JP2015059828A - 配水管網の情報システム - Google Patents

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Abstract

【課題】管網状態を効率的に把握し、更新計画の作成・変更を支援可能な技術を提供する。【解決手段】配水管網の情報システムは、管網情報を格納する管網DB310と、配水池から給水栓における配水管網の流量および残留塩素濃度を格納する水量・水質DB320と、異常のない管路および異常のある管路における残留塩素濃度を算出する管網計算手段350と、管網計算手段350の結果に基づき、異常の度合いが大きな区間を抽出する重要検査区間指定手段360と、重要検査区間指定手段360で指定した区間の少なくとも始点と末端に設置した水質および流量を計測できるセンサと、センサの計測値と重要検査区間指定手段360の計算値から実際の管路の異常の程度を診断して、更新計画を作成・変更する更新計画作成手段370と、各計算結果を格納する計算結果格納DB330と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、水道事業体の管網管理を支援するシステムに関する。
各水道事業体が有している浄水場で造水された上水は、配水池(もしくは浄水池)から配水管網を通り、消費者に供給される。世界各国ではいくつかの手段で上水を消毒している。日本では1957年に制定された水道法により、蛇口での残留塩素濃度を0.1mg/L以上保持するように定められ、一方で、味やにおいの観点から、水質管理目標値として上限(1mg/L以下)も示されている。日本では消毒剤として、次亜塩素酸ナトリウムが広く使用されている。一般的に浄水場では、後塩素処理として配水池に次亜塩素酸ナトリウムを注入し、残留塩素濃度を所定の値に保持している。残留塩素濃度は、配水池や配水管網の管の材質、上水に含まれる有機物等の水質に影響され、時間の経過に伴い減少する。また、残留塩素濃度は、後述する配水管内部に生じた腐食等により消費が進行する性質がある。
上水道の普及は、昭和20年代後半から水道普及率が急上昇し、昭和50年代後半には90%近くとなり、それに合わせて配水管は敷設された。そのため、現在、配水管の多くは、敷設後かなりの年数が経過している。敷設された配水管は、適時更新が続けられているが、近年、水需要の減少による水道料金収入の減少、また、予算の削減等の影響を受け、十分な更新ができず、年々老朽化が進行している。老朽化した配水管は、内部が腐食して錆が生じて残留塩素の消費を進行させる。また、上水に錆が混入することで、水の見た目、におい、味等に影響する。さらに、腐食の進行が激しい場合、配水管の強度が低下して亀裂が生じ、漏水が発生する可能性がある。
現状、配水管の老朽化、水需要の減少に伴った滞留時間増加による残留塩素の消費に対処するため、配水管の管末等に水質計測器を設置して残留塩素管理を実施する。必要に応じて配水池や配水管網内で追加塩素注入をして、残留塩素濃度を確保する。残留塩素の低下が見込まれるとき、配水管網に排水施設を設置し、定期的に排水する。等の対策が取られている。また、管路の更新に関しては、定期的に配水管の強度や耐久性等を診断して、診断に基づいて老朽管を改良する等の対策が取られている。しかし、上述した財政上の制約や人的資源の不足により、管路の更新は十分ではないため、効率的に管網状態を把握できる技術が必要である。
本技術分野の背景技術として、特許文献1がある。この公報には、「配水管網内に流量センサ、残留塩素等を計測する水質モニタを配置し、残留塩素が所定値以下となった場合、付近の管路から水道水を外部に放出する」ことが記載されている。また、特許文献2がある。この公報には、「配水管網内に水量と水質を検出するセンサと水質センサを設け、計測値を基に水質指標を演算し、薬品注入点と注入量を換算する」ことが記載されている。また、特許文献3がある。この公報には、「流量センサ等の計測値から水利解析を、残留塩素センサ等の計測値から水質解析を行い、それらの結果を基に、2点間での水理、水質の変化状況を把握するルート検索を行う」ことが記載されている。最後に、特許文献4がある。この公報には、「配水管網の水理解析により得た流速データに基づいて、残留塩素濃度を演算し、計測結果と比較し、比較結果を基に演算式を修正する」ことが記載されている。
特開2000−84537号公報 特開2007−197977号公報 特開2004−92285号公報 特開平7−290040号公報
上述の先行技術文献は、主に上水の水質管理のための技術であり、管網状態の検出を行う技術は開示されていない。
そこで、本発明では管網状態を効率的に把握し、更新計画の作成・変更を支援可能な技術を提供する。
上記課題を解決するために、本発明の水道の配水管網の情報システムは、管網情報を格
納する管網データベースと、配水池から給水栓における配水管網の流量および残留塩素濃度を格納する水量・水質データベースと、管路の残留塩素濃度を算出する管網計算手段と、前記管網計算手段の結果に基づき、異常の度合いが大きな区間を抽出する重要検査区間指定手段と、前記重要検査区間指定手段で指定した区間の少なくとも始点と末端に設置した水質および流量を計測できるセンサと、前記センサの計測値と重要検査区間指定手段の計算値から実際の管路の異常の程度を診断して、診断結果に基づいて更新計画を作成・変更する更新計画作成手段と、前記管網計算手段、前記重要検査区間指定手段、前記更新計画作成手段の結果を格納する計算結果格納データベースと、を備えることを特徴とするものである。
更に、本発明は水道の配水管網の情報システムにおいて、管路情報が敷設位置、敷設年月日、管口径、管路長、管内面材質、水圧であることを特徴とするものである。
更に、本発明は水道の配水管網の情報システムにおいて、センサの計測項目として流量と残留塩素濃度の他に、有機物(TOC,UV260)、水温、pHの少なくとも一つを含むことを特徴とするものである。
更に、本発明は水道の配水管網の情報システムにおいて、重要検査区間指定手段が、管網DBの敷設年月日、残存管厚、水圧、トラブル件数の情報を用いることを特徴とするものである。
更に、本発明は水道の配水管網の情報システムにおいて、管網計算手段が異常のない管路の場合、水温、管口径、管路長、管内面材質を使って算出し、異常のある管路の場合、水温、管口径、管路長、管内面材質、敷設年月日を使って算出することを特徴とするものである。
更に、本発明は水道の配水管網の情報システムにおいて、重要検査区間指定手段が、管網計算による残留塩素濃度と、管路データベースの管路長から得られる指標を用いることを特徴とするものである。
更に、本発明は水道の配水管網の情報システムにおいて、重要検査区間指定手段で指定した重要検査区間に追塩設備を設置することを特徴とするものである。
更に、本発明は水道の配水管網の情報システムにおいて、重要検査区間指定手段で指定した重要検査区間に漏水検知、超音波探傷もしくは両方を備えたセンサを設置することを特徴とするものである。
本発明によれば、管網計算を利用して容易に危険度の高い管路を探索し、効率的にその管路のみを管路診断できる。また、効率的に管路診断を進めることで、老朽管の適切な更新が可能となり、上水の安全性を確保することが実現できる。
管網異常検出システムの構成図の例である。 管網異常検出手段の一構成例である。 複数の配水管をまとめて計算するときの例である。 重点検査区間を指定するためのフロー例である。 管網計算手段の一結果例である。 更新計画作成手段のフロー例である。 更新時期の決定方法の一例である。 実施例2における重点検査区間を指定するためのフロー例である。 実施例2における管網計算手段の一結果例である。 実施例3における重点検査区間を指定するためのフロー例である。 実施例3における重要検査区間を指定するための表の例である。 実施例4における管網異常検出システムの構成図の例である。
以下、実施例を図面を用いて説明する。
本実施例では、管網異常検出システム400の例を説明する。
図1は、管網異常検出システムの構成図の例である。実施例1での管網異常検出システム400は、センサ210〜230、管網異常検出手段300から構成される。このうち、センサ210は浄水場の配水池等、配水管網140の始点に設置される。センサ220、センサ230は、配水管網140内の任意の位置に設置される。実施例1では、配水管網内2ヶ所にセンサを設置した場合とする。管網異常検出手段300は、浄水場110内でも外でもよく、実施例1では浄水場110外に設置したものとする。センサ210〜230は、ネットワーク(図示無し)を介して通信しており、取得したデータを送信、受信する。
浄水場110では、河川、地下水等の水源から取水した原水を浄水処理し、最終的に得られたろ過水を配水池120から上水として送水し、給水栓130から消費者に供給される。ここで、実施例1では配水池120のみを記載したが、送水元としては浄水池の可能性もあり、どちらでも構わない。
実施例1の場合、センサ210が取得するデータは、流量、残留塩素濃度、水温、pH、有機物量で、センサ220およびセンサ230が取得するデータは、流量、残留塩素濃度である。センサ210〜センサ230が取得したデータは、管網異常検出手段300に送信される。
ここで、管網異常検出手段300は、例えばパーソナルコンピュータ等の計算機および計算機上のソフトからなり、センサ210〜230から図示しないネットワークを介して水量データと水質データの受信を実行する。また、別に管網情報の受信を実行する。ここで、管網情報とは配水管の敷設位置、敷設年月日、管口径、管路長、管種(ダクタイル鋳鉄管、硬質塩化ビニル管等)、管内面材質、管外面材質、継手、残存管厚、通水断面積、周辺土壌、地下水水質、水圧、標高、トラブル件数等がある。管網情報は電子データ化されている場合は、ネットワーク(図示無し)を介して管網異常検出手段300に送信される。電子データ化されていない場合は、キーボード等のインターフェース(以下、IF)を介して管網異常検出手段300に送信される。
図2は、管網異常検出手段の一構成例である。実施例1での管網異常検出手段300は、管網データベース(以下、管網DB)310、水量・水質データベース(以下、水量・水質DB)320、計算結果格納データベース(以下、計算結果格納DB)330、メモリ340、管網計算手段350、重点検査区間指定手段360、更新計画作成手段370、CPU380、インターフェース(以下、IF)390から構成される。
メモリ340には、管網計算手段350、重点検査区間指定手段360、更新計画作成手段370が記憶されており、CPU380はプログラムを実行して、各手段を動作させる。このとき、IF390は、図示していないネットワークに接続されたセンサ210〜230と情報を通信する働きをする。
管網DB310には、前述した管網情報が格納されている。
水量・水質DB320には、センサ210〜230で計測された流量、残留塩素濃度のデータを、計測した位置データとともに時系列で格納する。
計算結果格納DB330は、管網計算手段350、重点検査区間指定手段360および更新計画作成手段370の実行された結果を格納する。
管網計算手段350は、管網DB310に格納された管網情報および水量・水質DB320に格納された水量・水質データを基に、管網計算を実施し、配水管網内の水量、水圧さらに水質(残留塩素濃度)を出力する。管網計算の方法としては、市販のソフトと同様に、圧力管の流速と損失水頭に関する関係式を使用して損失水頭を計算、水位差と流量の収支により反復計算をして収束解を得るものとする。このとき、計算結果として配水管網内の流量、水圧、滞留時間等が得られる。残留塩素濃度は管網計算により得られた滞留時間、さらに水量・水質DB320に格納されている水温(化学反応速度に影響)、上水水質(有機物量、有機物の種類、pH等)、管網DB310に格納されている管網情報(管路長、管内面材質、管口径)を用いて残留塩素濃度予測式(1)から算出される。
Ct=C0・exp(−k・t) ・・・(1)
ここで、Ct:t時間経過後(計算区間終点)の残留塩素濃度(mg/L)、C0:初期(計算区間始点)残留塩素濃度(mg/L)、k:残留塩素濃度減少速度係数(1/h)、t:計算区間毎の滞留時間(h)である。
k値は、上述した水温、上水水質、管網情報から計算される。例えばk値は、管口径が小さい場合、管内面との接触時間が大きくなるため、残留塩素濃度の減少が大きくなる。また、管内面に錆がある場合等には、大きく残留塩素濃度が減少する。水質由来の減少要因は主に水温による変動が大きく、水温が上昇すると残留塩素濃度が大きく減少する。管内面材質に関しては管内面のライニング有無で比較すると、ライニング管が残留塩素濃度の減少を抑制できる。k値は以下の式(2)や式(2´)から算出される。
k=a・Tb・pHc・OMd・+e・P1 f・P2 g・P3 h+i・COR・・・(2)
k=a・Tb・+e・P1 f・P2 g・P3 h+i・COR・・・(2´)
ここで、a、b、c、d、e、f、g、h、i:係数、COR:配水管の腐食度、OM:有機物量(mg−Carbon/L)、pH:pH(−)、P1:管路長(m)、P2:管内面材質、P3:管口径(mm)、T:水温(℃)である。
残留塩素濃度予測式およびk値の算出式は、式(1)、式(2)および式(2´)に限定されず、例えば、残留塩素濃度予測式は式(3)のような形でもよい。
Ct=j・C0-k・t ・・・(3)
ここで、j:係数である。また、配水管の腐食度は、管網情報の敷設年月日から使用年数:AGEを算出して、以下の式(4)から算出される。
COR=l・AGEm ・・・(4)
ここで、l、m:係数である。配水管の腐食度を算出する式は、式(4)に限定されず、例えば、残存管厚等も利用してもよい。
式(1)および式(2)は、単一配水管に関する計算式であるが、順次、配水管網内の配水管に適用して逐次計算することで、配水管網全体の残留塩素濃度の計算が可能である。このとき、水温、pH、有機物量等の水質に関しては、センサ210で取得して配水管網全体の計算に利用しても、センサ220、センサ230もしくは図示しないセンサ等で配水管網内の所定の位置で取得した値を利用してもよい。管路長、管内面材質、管口径等の管網情報に関しては、例えば、以下のような計算式で複数の配水管をまとめて計算してもよい。
図3は、複数の配水管をまとめて計算するときの例である。R1〜R3は例えば式(2)の右辺第二項、管網情報のみ考慮した各配水管の残留塩濃度減少速度係数である。
R=e・P1 f・P2 g・P3 h ・・・(5)
区間abにおいて、図3のように配水管網が構成されている場合、配水管をまとめた管網情報のみ考慮した各配水管の残留塩濃度減少速度係数:Rtotalは以下の式(6)から算出される。
total=(R1・R2・R3)/(R1+R2+R3) ・・・(6)
式(6)は電気抵抗の並列の式と同様である。Rtotalを式(2)の右辺第二項の代わりに使用することで、複数の配水管をまとめて計算することができる。
k=a・Tb・pHc・OMd・+Rtotal+i・COR ・・・(7)
配水管をまとめた管網情報のみ考慮した各配水管の残留塩濃度減少速度係数を算出する式は、式(6)に限定されず、例えば、P1:管路長(m)、P2:管内面材質、P3:管口径(mm)それぞれでまとめてもよい。計算結果は計算結果格納DB330に記録される。
重点検査区間指定手段360は、管網計算手段350より得られた配水管網内の残留塩素濃度の値を利用して、重点検査区間を指定する。
図4は、重点検査区間を指定するためのフロー例である。重点検査区間指定手段360は、ステップ1(以下、S1と称する)で、管網計算手段350より、配水管の異常(腐食等)がない場合の理想的な残留塩素濃度:CL0を取得する。これは式(2)の右辺第三項を除いて計算することである。次にS2で、再び管網計算手段350より、配水管の異常(腐食等)を考慮した場合の残留塩素濃度:CLdを取得する。
図5は、管網計算手段の一結果例である。理想的な残留塩素濃度に対して配水管の異常(腐食等)を考慮した残留塩素濃度は、各区間において低下する。ここで、区間とは二つの意味があることに留意する。一方は実際の配水管網に関して、地域、主要な配水管、標高等で分類した区間で、他方は管網計算手段350で計算する際の節点のことである。管網計算手段350で示す区間とは後者の節点のことである。ただし、この節点の決定は、計算上の都合(CPU、メモリ、計算時間等)で決めてもよいが、実際の配水管網に照らし合わせて節点を決めるのが望ましい。本実施例では、実際の配水管網に照らし合わせて節点を決定したものとする。
S3で、S1とS2で得られた各節点の残留塩素濃度を用いて、理想的な残留塩素濃度からの検査指標:Is0と、配水管の異常を考慮した残留塩素濃度からの検査指標:Isdを算出する。本実施例における検査指標は、例えば以下のような式(8)と式(9)で算出される。
Is0=(CL0a−CL0b)/Lab ・・・(8)
Isd=(CLda−CLdb)/Lab ・・・(9)
ここで、CL0a:節点aにおける理想的な残留塩素濃度(mg/L)、CL0b:節点bにおける理想的な残留塩素濃度(mg/L)、CLda:節点aにおける配水管の異常(腐食等)を考慮した残留塩素濃度(mg/L)、CLdb:節点bにおける配水管の異常(腐食等)を考慮した残留塩素濃度(mg/L)、Lab:区間abの総管路長(m)である。
S4で、算出した検査指標:Is0とIsdの差分をとる。
S5で、Isd−Is0が大きい順にソートして上位20区間を重要検査区間として指定する。ここで、S5の重要検査区域の指定は、上述した方法のみではない。例えば、予めIsd−Is0の閾値を重要検査区間指定手段360に記録しておき、閾値を超えたものを重要検査区間として指定してもよい。計算結果は計算結果格納DB330に記録される。
重要検査区間指定手段360で指定された重要検査区間のデータが浄水場110に出力され、重要度順に、センサが設置される。本実施例では、センサ220が節点aに、センサ230が節点bに設置されたものとする。
図6は、更新計画作成手段のフロー例である。更新計画作成手段370は、S6で、設置したセンサ220およびセンサ230より、節点aにおける残留塩素濃度:CLma、節点bにおける残留塩素濃度:CLmbを取得する。
S7で、残留塩素濃度の実測値からの検査指標:Imを以下の式(10)に従い算出する。
Im=(CLma−CLmb)/Lab ・・・(10)
S8で、配水管の異常を考慮した残留塩素濃度からの検査指標(計算結果):Isdを計算結果格納DB330から取得し、残留塩素濃度の実測値からの検査指標:Imと比較する。Isd=Imの場合は更新計画通り、Isd<Imの場合は更新計画前倒し、Isd>Imの場合は更新計画後倒しとなる。
S9で比較の結果から、更新計画の作成・変更をする。
図7は、更新時期の決定方法の一例である。更新計画作成手段370に閾値を記録しておき、Is0−Imが閾値を超えたときが更新時期となる。図7のように、Isd=Imに対して、Isd<Imの場合は更新時期が早くなり、Isd>Imの場合は更新時期が遅くなる。
以上で得られた結果は計算結果格納DB330に記録される。また、データは浄水場110へ送信される。
実施例1は、管網計算を利用して容易に危険度の高い管路を探索し、効率的にその管路のみを管路診断できる。また、効率的に管路診断を進めることで、老朽管の適切な更新が可能となり、上水の安全性を確保できる。
本実施例は、前述の実施例1における重点検査区間指定手段360の残留塩素濃度の計算順を逆にした例である。
図8は、実施例2における重点検査区間を指定するためのフロー例である。実施例2では、先にS10で、配水管の異常(腐食等)を考慮した残留塩素濃度:CLdを取得し、次にS11で、区間毎に理想的な残留塩素濃度:CL0を取得している。
図9は、実施例2における管網計算手段の一結果例である。理想的な残留塩素濃度を算出するための管網計算は区間毎に行い、区間の始点の残留塩素濃度として、配水管の異常(腐食等)を考慮した残留塩素濃度:CLdを使用している。
実施例2は、実施例1と同様の効果があり、さらに、理想的な残留塩素濃度を算出するための管網計算を、区間毎に配水管の異常(腐食等)を考慮した残留塩素濃度:CLdを使用して行うことで、計算結果の精度を向上できる。
本実施例は、前述の実施例1における重点検査区間指定手段360において、管網DB310の管網情報も利用して重点検査区間を指定する例である。
図10は、実施例3における重点検査区間を指定するためのフロー例である。実施例3では、S19で、管網DB310より、管網情報を取得する。このとき、取得する管網情報は配水管の異常に関連する項目で、例えば、敷設年月日、残存管厚、水圧、トラブル件数(漏水、異臭味水等)がある。
S20で重要検査区間として指定する。Isd−Is0および取得した管網情報を利用して重要検査区間を指定する場合、例えば、各項目を点数化して総合点で判断する方法がある。
図11は、実施例3における重要検査区間を指定するための表の例である。各項目で値の範囲や件数等を基準として予め重要検査区間指定手段360に記録しておき、それに基づいて0点〜10点の点数を付ける。そして、各区間の総合点から検査順位を決定するものである。
重要検査区間を指定するための表は、図11に記載されている項目および比較方法に限定されず、重要検査区間を指定できるならどのような方法でもよい。
実施例3は、実施例1と同様の効果があり、さらに、管網情報を利用することで重要検査区間の指定する精度を向上できる。
本実施例は、実施例1における管網異常検出システム400に追塩設備410を追加した例である。
図12は、実施例4における管網異常検出システムの構成図の例である。本実施例では重要検査区域指定手段360で、重要検査区間を探索して危険度の高い管路に追塩設備410を設置する。追塩設備410の設置基準としては、例えば、前述した図7の更新時期の決定法の一例で説明すると、更新計画作成手段の閾値を超えたが、財政上の都合等で更新できない場合である。
実施例4は、実施例1と同様の効果があり、予め重要検査区間指定手段360で、重要検査区間を探索することで、危険度の高い管路に効果的に追塩設備410を設置することが可能となる。また、追塩設備410を設置することで実施例1と比較してさらに上水の安全性を確保できる。
本実施例は、前述の実施例1におけるセンサ220およびセンサ230に漏水検知、超音波探傷もしくは両方を備えた例である(特に新たな図面の提示は無い)。
センサ220およびセンサ230が漏水を検知した場合、図示しないネットワークを経由して管網異常検出手段300にデータを送信し、前記データは浄水場110に送信される。
また、センサ220およびセンサ230は超音波探傷を実施することで、構造物内部の欠陥および残存管厚を計測し、図示しないネットワークを経由して管網異常検出手段300にデータを送信し、管網DB310に記録される。
超音波探傷で得られた管網情報は、実施例3で記載した管網情報利用して重点検査区間を指定する例にて、重点検査区間を指定するのに使用することができる。
実施例5は、実施例1と同様の効果があり、重要検査区間指定手段360で指定された危険度の高い管路に効果的に漏水検知、超音波探傷もしくは両方を備えたセンサ220およびセンサ230を設置することが可能となる。また、センサ220およびセンサ230を設置することで実施例1と比較してさらに上水の安全性を確保できる。
ここで、超音波探傷を備えたセンサは、センサ220およびセンサ230とは別に、区間の始点であるセンサ220と区間の末端であるセンサ230の間に設置してもよい。
110 浄水場
120 配水池
130 給水管
140 配水管網
210 センサ
220 センサ
230 センサ
300 管網異常検出手段
310 管網データベース
320 水量・水質データベース
330 計算結果格納データベース
340 メモリ
350 管網計算手段
360 重点検査区間指定手段
370 更新計画作成手段
380 CPU
390 インターフェース
400 管網異常検出システム
410 追塩設備

Claims (8)

  1. 管網情報を格納する管網データベースと、
    配水池から給水栓における配水管網の流量および残留塩素濃度を格納する水量・水質データベースと、
    管路の残留塩素濃度を算出する管網計算手段と、
    前記管網計算手段の結果に基づき、異常の度合いが大きな区間を抽出する重要検査区間指定手段と、
    前記重要検査区間指定手段で指定した区間の少なくとも始点と末端に設置した水質および流量を計測できるセンサと、
    前記センサの計測値と重要検査区間指定手段の計算値から実際の管路の異常の程度を診断して、診断結果に基づいて更新計画を作成・変更する更新計画作成手段と、
    前記管網計算手段、前記重要検査区間指定手段、前記更新計画作成手段の結果を格納する計算結果格納データベースと、を備えることを特徴とする水道の配水管網の情報システム。
  2. 請求項1の水道の配水管網の情報システムにおいて、
    管路情報が敷設位置、敷設年月日、管口径、管路長、管内面材質、水圧であることを特徴とする水道の配水管網の情報システム。
  3. 請求項1の水道の配水管網の情報システムにおいて、
    センサの計測項目として流量と残留塩素濃度の他に、有機物(TOC,UV260)、水温、pHの少なくとも一つを含むことを特徴とする水道の配水管網の情報システム。
  4. 請求項1の水道の配水管網の情報システムにおいて、
    重要検査区間指定手段が、管網DBの敷設年月日、残存管厚、水圧、トラブル件数の情報を用いることを特徴とする水道の配水管網の情報システム。
  5. 請求項1の水道の配水管網の情報システムにおいて、
    管網計算手段が異常のない管路の場合、水温、管口径、管路長、管内面材質を使って算出し、異常のある管路の場合、水温、管口径、管路長、管内面材質、敷設年月日を使って算出することを特徴とする水道の配水管網の情報システム。
  6. 請求項1の水道の配水管網の情報システムにおいて、
    重要検査区間指定手段が、管網計算による残留塩素濃度と、管路データベースの管路長から得られる指標を用いることを特徴とする水道の配水管網の情報システム。
  7. 請求項1の水道の配水管網の情報システムにおいて、
    重要検査区間指定手段で指定した重要検査区間に追塩設備を設置することを特徴とする水道の配水管網の情報システム。
  8. 請求項1の水道の配水管網の情報システムにおいて、
    重要検査区間指定手段で指定した重要検査区間に漏水検知、超音波探傷もしくは両方を備えたセンサを設置することを特徴とする水道の配水管網の情報システム。
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