JP2004092285A - 配水管網ルート検索装置及びこの装置を用いた配水制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示された配水管網ルートの検索手段が容易に判明する。
【解決手段】管網モデル作成・調整部11は、管網モデルを作成または修正するとともに、結果をデータベース14へ登録する。作成された管網モデルをもとに、水理解析(流量など)や水質解析(残塩解析など)を管網解析部12で実行するとともに、結果をデータベース14に登録する。ルート検索部13では、管網解析部12の結果を使用して任意の2点間でのルート検索を行なう。管網解析部12の結果を使用するのは、ルート検索を行なうには、流向を使用する必要があるためである。流向を使用すると、管路上は接続されているが、流れないようなルートを未然に削除することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】管網モデル作成・調整部11は、管網モデルを作成または修正するとともに、結果をデータベース14へ登録する。作成された管網モデルをもとに、水理解析(流量など)や水質解析(残塩解析など)を管網解析部12で実行するとともに、結果をデータベース14に登録する。ルート検索部13では、管網解析部12の結果を使用して任意の2点間でのルート検索を行なう。管網解析部12の結果を使用するのは、ルート検索を行なうには、流向を使用する必要があるためである。流向を使用すると、管路上は接続されているが、流れないようなルートを未然に削除することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、上水道配水管網における配水管網ルート検索装置及びこの装置を用いた配水制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上水道配水管網解析は、近年コンピュータなどの高性能化により節点数・管路数を増やした解析が可能となり、都市全体をより詳細で複雑な管網をモデル化し、解析する傾向にある。流量や水圧などの水理解析、残塩などの水質解析は解析範囲全域に対して行なわれ、GISなど地図情報と組み合せて解析範囲全体の結果が視覚的に判り易いシステムが増えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、単に配水管網の2点間での水質の状況を知りたい場合がある。通常、配水管網におけるルート検索は、主に次のように使用されると考えられる。
【0004】
a.配水池からの流れがどのようになっているか
b.2点間の動水勾配はどのようになっているか
c.水質汚染がどのように広がっていくか。
【0005】
ここで問題となるのは、管網上は接続されているが、実際には水の流れがないルートも多数存在していることである。解析結果は一般に流向の表示もされるが、管網が複雑で、かつデータが非常に多いため、ユーザーが2点間の流れを認識できず、任意の2点間をユーザーが指定しても、流れるルートが検索できない場合がある。
【0006】
上記のように配水管網におけるルート検索においては、次のような問題点がある。
(1)表示されたルートがどのような方法で検索された不明である点、
(2)動水勾配は判明するが、他の水質因子がどのように広がっていくか判明しにくい、
(3)検索されたルートがユーザーの期待したルートと異なるときがある。
【0007】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、表示された配水管網ルートの検索手段が容易に判明し、かつ事前に水質汚染や残留塩素を判明することができる配水管網ルート検索装置及びこの装置を用いた配水制御装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を達成するために、配水管網モデルを作成または修正する配水管網モデル作成・調整部と、この配水管網モデル作成・調整部で作成された配水管網モデルをもとに、水理解析やなどの水質解析を実行する配水管網解析部と、この配水管網解析部で解析された結果及び作成された配水管網モデルを登録するデータベースと、前記配水管網解析部の結果を使用して任意の2点間での配水管網ルートを検索し、その任意の2点間の水理や水質の変化状況を把握するルート検索部とを備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
ルート検索部は、ルート検索に際して配水管網の下流側から上流側に向けて検索し、また、ルート決定に際して配水管網の管路長または管路内滞留時間を用いることを特徴とするものである。
【0010】
配水管網解析部における水理解析は、流量、圧力、流向センサーからの計測情報を解析することを特徴とするものである。
【0011】
配水管網解析部における水質解析は、水質センサー、残塩センサーからの計測情報を解析することを特徴とするものである。
【0012】
また、配水管上流側に設置した水質センサーの計測情報を配水管解析部にて解析し、その解析結果に応じてルート検索部で配水管網ルートを検索し、その検索により上流側から下流側まで流水が到達する最短時間を計算して、主水源から需要家への配水管網ルートの配水を止め、補助水源から需要家の配水管網ルートへ配水を供給させるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、配水管上流側に設置した残留塩素センサーの計測情報を配水管解析部にて解析し、その解析結果に応じてルート検索部で配水管網ルートを検索し、その検索により上流側から下流側まで残留塩素流水が到達する最短時間を計算して、主水源から需要家への配水管網ルートで残留塩素が減少したことを検知したとき、補助水源に設置されている追加塩素注入設備から需要家の配水管網ルートへ一定の残留塩素の配水を供給させるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の第1形態を示すルート検索機能を具備した配水管網の解析方法の構成図で、図1において、この配水管網の解析方法は、配水管網モデル作成・調整部11、管網解析部(水理解析・水質解析)12、ルート検索部13及びデータベース14から構成される。
【0015】
配水管網モデル作成・調整部11では、管網モデルを作成または修正するとともに、その結果をデータベース14へ登録する。この管網モデル作成・調整部11で作成された管網モデルをもとに、流量、圧力、流向などの水理解析や残塩解析、汚染物質拡散解析などの水質解析を管網解析部12で実行するとともに、その結果をデータベース14に登録する。
【0016】
ルート検索部13では、管網解析部12の結果を使用して任意の2点間でのルート検索を行なう。管網解析部12の結果を使用するのは、ルート検索を行なうには、流向を使用する必要があるためである。流向を使用すると、管路上は接続されているが、流れないようなルートを未然に削除することができるからである。
【0017】
図2はルート検索できる場合と検索できない場合の配水管網の概念図で、図2中数字符号を付した丸印は、節点を示し、矢印は流向を含んだ管路を示す。ここでは、圧力や流量は関係がない。
【0018】
図2において、ルート2→5としては、2→3→5と2→4→5の2つのルート検索が考えられる。一方、ルート3→4では、5→4または3→2で逆行するため、ルート検索は特定できない。
【0019】
ルート検索部13において、表示される項目は、横軸に節点間の距離か項目、縦軸に全水頭、残塩、汚染物質濃度、滞留時間などである。動水勾配は、横軸に距離、縦軸に全水頭をプロットすることで表示可能であるが、残塩や汚染物質濃度といった水質も表示することが可能で、残塩の減少傾向が判明する。このようにすることで、任意の節点間の圧力や水質の変化状況が把握できる管網解析方法が可能となる。
【0020】
図3はこの発明の実施の第2形態を示す樹木状配水管網の概念図で、図中の数字符号を付した丸印は、図2と同様に節点を示し、矢印は流向を含んだ管路を示す。この配水管網の例では、ルートは、必ず1つのみ存在する。そのため、始点節点(ルート検索で指定する上流側の指定節点)が検索されると、検索を終了することができる。検索順は、終点節点(ルート検索で指定する下流側の指定節点)から始まり、始点節点で終了するようにする。水道管網は、配水池が少数で末端に多数の需要点があるため、下流側から検索した方が無駄な検索をしなくて良いためである。
【0021】
ルート検索の例を述べるにあたり、上記以外の用語の定義を記す。上流管路とは、対象となる節点に対し、水が流れ込む管路、上流節点とは、上流管路に接続した相手節点、下流管路とは、対象となる節点に対し、水が流れ出る管路、下流節点とは、下流管路に接続した相手節点である。
【0022】
ルート検索の1つの例として、図3において、始点節点が節点4、終点節点が節点6の場合を考える。ルートは、節点6→節点5→節点4の順に検索され終了する。同時に、節点をつなぐ管路は、管路[5]→管路[4]の順に検索される。このとき、節点5の下流節点である節点7は検索されない。
【0023】
なお、節点と管路の両方を検索する理由は、動水勾配を決定する全水頭は節点に対して計算されるが、始点節点と終点節点との距離を計算するには、管路長を足し合わせる必要があるためである。最上流となる配水池は複数存在することが考えられる。
【0024】
次に別のルート検索例を述べる。この例として、始点節点が節点3、終点節点が節点6の場合を考える。最終的には、ルートは、節点6→節点5→節点4→節点3の順に検索され終了するが、節点4は上流節点が節点1と節点3の2つが存在する。
【0025】
節点4から節点1が先に検索された場合、最上流である配水池に到達しても始点節点がないことになる。しかし、実際は別ルートに始点節点である節点4が存在する。
【0026】
従って、始点節点に到達する前に配水池に到達した場合、2つ以上上流節点がある節点4まで戻り、別ルートを検索するルーチンが必要となる。また、戻るには、一旦登録したルートを削除しながら節点4に移動する。このようにすることで、樹木状管網のルート検索を行うことができる。
【0027】
上述したようなルート検索の例のフローチャートを図4に示す。図4において、管網解析結果の読み込み処理(接続関係、流向、水質)をステップS1で行なった後、始点節点、終点節点の設定処理をステップS2で行う。
【0028】
その後、全節点の上流節点の数をステップS3で決定する。節点の数を決定したならステップS5で終点節点を指定処理する。
【0029】
終点節点指定処理後、全ルート検索を完了したかをステップS6で判定処理し、完了した「YES」ならステップS7の登録されたルートの書き出し処理を行なって処理を終了する。
【0030】
一方、ステップS6の判定処理で、完了しない「NO」なら節点をルートに登録処理(ステップS8)してから、最上流(配水池)か始点節点に到達かをステップ9で判定処理する。
【0031】
ステップS9の判定処理で「NO」なら上流節点が1つであるかをステップS10で判定処理する。ここで、「YES」なら上流節点を指定処理(ステップS11)してから上流管路をルートに登録処理(ステップ12)した後、ステップS6の判定処理に戻る。なお、ステップS10で「NO」なら検索していない上流節点を指定処理(ステップ13)してステップ12の処理に進む。
【0032】
前記ステップS9の判定処理で「YES」なら始点節点に到達したかをステップS14で判定処理して「YES」ならステップS7の処理を行い、「NO」ならステップS15で「登録していたルート、次の上流節点を初期化」処理し、ステップS16の処理に進む。ステップS16は、2つ以上上流節点があり、検索していない節点まで戻る処理で、この処理を行なった後、ステップS17で節点が終点節点であるかを判定処理する。判定の結果、「YES」ならステップS7の処理を行い、「NO」ならステップS10判定処理を行う。
【0033】
上記のような処理を行うことで、第2形態の樹木状配水管網のルート検索方法を行うことができる。
【0034】
図5はこの発明の実施の第3形態を示す網目状配水管網の概念図で、図中の数字符号を付した丸印は、図2と同様に節点を示し、矢印は流向を含んだ管路を示す。この配水管網の例では、ルートは、複数存在することが予想される。そのため、始点節点が検索されても、検索を終了することはできない。このため、最大ルート数を設定するか、考えられる全てのルートの検索が終了するまで続けられる。なお、検索順は、第2形態と同じく、終点節点(下流側)から始まり、始点節点(上流側)で終了するようにする。
【0035】
ルート検索の1つの例として、図5において、始点節点1、終点節点11とする場合を考える。ルートは、節点11→節点7→節点3→節点2→節点1の順に検索される。同時に、節点をつなぐ管路は、管路13→管路6→管路2→管路1の順に検索される。このとき、節点11の下流節点である節点12や節点15は検索されない。
【0036】
網目状配水管網では、ルートが見つかり、次のルートを検索するとき、見つかったルートを次のルートにコピーする。そして、次のルートに行ってから、2つ以上の上流節点がある節点まで戻り、次のルートの検索を始める。
【0037】
上記の例では、節点2、節点3とも上流節点は1つであるため、節点7まで戻ることになる。そして、始点節点である節点1まで検索する。このようにして、合計6個のルートが表1、表2に示すように検索される。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
また、節点6は2つの下流管路と2つの上流管路があり、いずれの下流管路側からもルートに入ってくる。つまり、管路9からのルートを2つ検索した(2番目と3番目)とき、節点6は2つのルートを検索したことになるが、管路12からのルートでも2つ検索されなければならない(4番目と5番目)従って、節点が上流節点数だけ検索し、更に下流に戻るとき、節点の検索数を初期化する必要がある(例えば、「登録していたルート、次の上流節点を初期化」「2つ以上の上流節点があり、検索していない節点まで戻る」ルーチンにおいて実行)。
【0041】
上記のように処理することにより網目状の配水管網のルート検索を行うことができる。
【0042】
図6は上述した網目状配水管網のルート検索のフローチャートで、図4に示したフローチャートと同じ処理には、同じステップを付して説明する。図6において、図4に示したフローチャートのステップS2と異なる処理は、始点節点(目的地)、終点節点の設定(最大ルート数の設定)処理を行う点である。
【0043】
その後、図4に示した処理をステップS9の判定処理まで行ない、その判定処理で、「YES」ならステップS19の判定処理で配水池に到達したかを判定する。その判定処理の結果、「YES」ならステップS15の処理に進み、「NO」ならステップS20の処理を行う。ステップS20は、登録していたルートを次のルートにコピーする処理で、この処理の後、ステップS21の次のルートへ登録するように変更する処理を行なって、ステップS15の処理に進む。
【0044】
その後、ステップS17の処理まで行なった後、ステップS17の判定処理で、「YES」ならステップS22の全ルート検索完了したかの判定処理を行い、この判定処理で完了した「YES」ならステップS7の処理に進み、完了しない「NO」ならステップS13の処理に進む。
【0045】
次にこの発明の実施の第4形態から第6形態について述べる。第4形態から第6形態は、ルート決定のための選択肢で、第4形態は最長距離を選択肢とし、第5形態は最短時間を選択肢とし、第6形態は大口径管路を選択肢とした特の例である。
【0046】
まず、第4形態について述べるに、第2形態ではルートが1つであるが、第3形態ではルートが複数存在した。この場合、どのルートを決定するかが必要となる。この第4形態では、距離を使用したルート決定方法について説明する。
【0047】
図5に示した網目状管網でルート検索した結果、次の表3に示す結果が得られたとする。
【0048】
【表3】
【0049】
表3において、合計距離は、図5に示す管路番号1から20のカッコ内の数字を距離としたときの合計である。それぞれのルートにおいて管路順が検索されているため、距離の合計を計算するのは容易である。合計距離を比較し、最も長い1番目のルートが最終的に決定されるルートとなる(もちろん、最も短い距離のルートを決定するルートとしてもよい)。
【0050】
上記第4形態では、距離を指標としてルート決定を行なったが、第5形態では、時間を使用したルート決定方法について述べる。図5に示した網目状管網でルート検索した結果、次の表4に示す結果が得られたとする。
【0051】
【表4】
【0052】
表4において、合計時間は、図5に示す管路番号1から20のカッコ内の数字を時間としたときの合計である。それぞれのルートにおいて管路順が検索されているため、時間の合計を計算するのは容易である。合計時間を比較し、最も短い時間6番目のルートが最終的に決定されるルートとなる(もちろん、最も長い時間のルートを決定するルートとしてもよい)。
【0053】
次に第6形態について述べるに、管網解析では、時間や距離でなく、メインのルートがどのような状況になっているかを考慮することがある。メインのルートは管径が太いことが多いため、ここでは管径を指標に判断していく、以下第6形態によるルート決定方法について述べる。
【0054】
図5に示す管路番号1から20のカッコ内の数字は管径であるとする。ここで、検索されたルートの始点での下流管路の管径を比較する。管路1の管径は10、管路4の管径は9であるため、管路1が選択される。次に管路1とつながった節点2で同じように管径を比較すると、管路2が選択される。この段階で、1番目のルートしか該当するルートがないため、最終的に1番目が決定される。
【0055】
また、下流管路に同じ管径の管路が存在したときには、流量を比較することでルートを判断する。ここでは同じ管径の下流管路がなく流量も記載されていないが、メインルートの方の流量が多いことが考えられるためである。管径流量とも同じ場合は、どちらかのルートをとり、次の下流節点での管径を比較することとする。
【0056】
上記のように処理することで、メインルートでのルート決定をすることができる。
【0057】
図7はこの発明の実施の第7形態を示す水質汚染物質の拡大状況予測方法の概念図で、この第7形態は水質解析とルート検索との組み合せ例である。図7において、水源70である節点1から流入した水は、節点5にある需要家である工場71まで到達する。
【0058】
工場71に都合の悪い水質汚濁物質を検知するセンサーは、節点5には設置できないため、節点2に設置されている。水質センサー72での計測情報は、管網解析・ルート検索装置73に入力されている。各節点での水質や節点2から節点5までの最短の到達時間を計算することができる。節点4は補助水源74であり、バルブ75が閉まったときなど非常時のみの運転となる。
【0059】
節点1から濃度2.0μg/Lで水質汚染物質が流入したとする。また、節点4からは濃度0.0μg/Lとする。水質汚染物質は節点2にある水質センサー72により検知される。
【0060】
ここで、節点2からバルブ75までの到達時間が管網解析・ルート検索装置73により1時間と計算されたとすると、それまでにバルブ75を事前に閉めることができるとともに、補助水源74を運転することができ、工場71には水質汚染物質が流入しないことになる。
【0061】
一般にバルブ75の開閉や水源の運転は設定状態になるまで時間を要する(操作員が閉める場合も多い)ため、事前に水質汚染を検知できると、需要家に被害を及ぼさないシステムが構築できる。
【0062】
また、この第7形態では、水質汚染の検知から工場71まで複数のルートが存在し、それぞれにバルブ75がついている場合、ルート検索により最短な時間のルートからバルブ75の操作をしていくことも可能となる。
【0063】
図8(a)はこの発明の実施の第8形態を示す残留塩素の減少状況予測方法の概念図で、この第8形態は水質解析とルート検索との組み合せ例である。図8(a)において、水源80である節点1から流入した水は、節点5にある需要家81まで到達する。
【0064】
残留塩素を測定する残塩センサー82は、節点5には設置できないため、節点2に設置されている。残塩センサー82での計測情報は管網解析・ルート検索装置83に入力されており、各節点での水質や節点2から節点5までの最短の到達時間を計算することができる。
【0065】
節点4は補助水源84であるが、ここには非常用の追加塩素注入設備85が設置されており、通常塩素は注入しない。残留塩素は管路で1日当たり0.1mg/Lの割合で減少するとする。
【0066】
いま、図8(b)に示すように、節点1から濃度0.7mg/Lで残塩が流入したとする。節点4からは0.0mg/Lとする。残塩は節点2にある残塩センサー82により検知される。通常は、需要家81のある節点5での残塩濃度が0.1mg/Lとする。
【0067】
ここで、仮に節点2と節点3の間で事故があり、この間だけ1日0.2mg/Lの割合で減少するようになったとする。すると、管網解析・ルート検策装置83では、残塩減少率を再定義できるとともに、到達時間を計算することができる。そのため、需要家81に残塩濃度の低い水が配水される前に、追加塩素注入設備85を運転することができ、従って、需要家81には一定の残留塩素の水を送ることができる。
【0068】
一般に追加塩素注入設備は、たくさん設置できず、到達時間もかかるため、設定した状態になるまで時間を要する。このように、事前に残留塩素低下の事故が判明すると、需要家に安心して被害を拡大させないシステムが構成できる。
【0069】
また、上記第8形態では、事故の検知から需要家まで複数のルートが存在し、追加塩素注入設備や事故発生箇所が複数存在しても、ルート検索により被害の最も早く発生するルートから対策することも可能となる。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、以下のような作用効果が得られる。
(1)管網解析結果である流向を使用すると、管路上は接続されているが、流れないようなルートを未然に削除することができる。また、節点と管路を同時に検索できるため、任意の節点間の圧力や水質の変化状況が距離や時間と関連付けて把握できる管網解析システムが構成可能となる。
(2)下流側節点から上流側節点を検索し、下流側節点は検索しないことで、樹木状管網のルート検索を効率良く行うことができる。この管網に加えて、ルートコピールーチン、ある節点での上流節点を全て検索したのち初期化するルーチンを加えることで、網目状管網のルート検索を無駄なく全て行うことができる。
(3)管路長を用いることで、また、管路内滞留時間を採用することで最適なルートを求めることができるとともに、管路長をもちいることでメインルートでの最適なルートを求めることができる利点もある。
(4)バルブの開閉や水源の運転は、設定状態に到達するまで時間を要するため、事前に水質汚染が判明すると、需要家に被害を発生させないシステムが構築できる利点がある。また、複数のルートが存在し、それぞれにバルブが付いている場合、ルート検索により最短な時間のルートからバルブの操作を行なっていくことが可能となる。
(5)追加塩素注入設備は、たくさん設置できず、到達時間もかかるため、設定した状態になるまで時間を要するが、事前に残留塩素低下の事故が判明しても、需要家に被害を発生させないシステムが構築できる。また、複数のルートが存在し、追加塩素注入設備や事故発生箇所が複数存在しても、ルート検索により被害の最も早く発生するルートから対策することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の第1形態を示すルート検索機能を具備した配水管網の解析方法の構成図。
【図2】ルート検索できる場合と検索できない場合の配水管網の概念図。
【図3】この発明の実施の第2形態を示す樹木状配水管網の概念図。
【図4】樹木状配水管網におけるルートの検索方法を示すフローチャート。
【図5】この発明の実施の第3形態を示す網目状配水管網の概念図。
【図6】網目状配水管網におけるルートの検索方法を示すフローチャート。
【図7】この発明の実施の第7形態を示す水質汚染物質の拡大状況予測方法の概念図。
【図8】(a)はこの発明の実施の第8形態を示す残留塩素の減少状況予測方法の概念図、(b)は予測方法の動作説明図。
【符号の説明】
11…管網モデル作成・調整部
12…管網解析部
13…ルート検索部
14…データベース
70、80…水源
71、81…需要家
72…水質センサー
73、83…管網解析・ルート検索装置
74、84…補助水源
75…バルブ
82…残塩センサー
85…追加塩素注入設備
【発明の属する技術分野】
この発明は、上水道配水管網における配水管網ルート検索装置及びこの装置を用いた配水制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上水道配水管網解析は、近年コンピュータなどの高性能化により節点数・管路数を増やした解析が可能となり、都市全体をより詳細で複雑な管網をモデル化し、解析する傾向にある。流量や水圧などの水理解析、残塩などの水質解析は解析範囲全域に対して行なわれ、GISなど地図情報と組み合せて解析範囲全体の結果が視覚的に判り易いシステムが増えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、単に配水管網の2点間での水質の状況を知りたい場合がある。通常、配水管網におけるルート検索は、主に次のように使用されると考えられる。
【0004】
a.配水池からの流れがどのようになっているか
b.2点間の動水勾配はどのようになっているか
c.水質汚染がどのように広がっていくか。
【0005】
ここで問題となるのは、管網上は接続されているが、実際には水の流れがないルートも多数存在していることである。解析結果は一般に流向の表示もされるが、管網が複雑で、かつデータが非常に多いため、ユーザーが2点間の流れを認識できず、任意の2点間をユーザーが指定しても、流れるルートが検索できない場合がある。
【0006】
上記のように配水管網におけるルート検索においては、次のような問題点がある。
(1)表示されたルートがどのような方法で検索された不明である点、
(2)動水勾配は判明するが、他の水質因子がどのように広がっていくか判明しにくい、
(3)検索されたルートがユーザーの期待したルートと異なるときがある。
【0007】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、表示された配水管網ルートの検索手段が容易に判明し、かつ事前に水質汚染や残留塩素を判明することができる配水管網ルート検索装置及びこの装置を用いた配水制御装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の課題を達成するために、配水管網モデルを作成または修正する配水管網モデル作成・調整部と、この配水管網モデル作成・調整部で作成された配水管網モデルをもとに、水理解析やなどの水質解析を実行する配水管網解析部と、この配水管網解析部で解析された結果及び作成された配水管網モデルを登録するデータベースと、前記配水管網解析部の結果を使用して任意の2点間での配水管網ルートを検索し、その任意の2点間の水理や水質の変化状況を把握するルート検索部とを備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
ルート検索部は、ルート検索に際して配水管網の下流側から上流側に向けて検索し、また、ルート決定に際して配水管網の管路長または管路内滞留時間を用いることを特徴とするものである。
【0010】
配水管網解析部における水理解析は、流量、圧力、流向センサーからの計測情報を解析することを特徴とするものである。
【0011】
配水管網解析部における水質解析は、水質センサー、残塩センサーからの計測情報を解析することを特徴とするものである。
【0012】
また、配水管上流側に設置した水質センサーの計測情報を配水管解析部にて解析し、その解析結果に応じてルート検索部で配水管網ルートを検索し、その検索により上流側から下流側まで流水が到達する最短時間を計算して、主水源から需要家への配水管網ルートの配水を止め、補助水源から需要家の配水管網ルートへ配水を供給させるようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、配水管上流側に設置した残留塩素センサーの計測情報を配水管解析部にて解析し、その解析結果に応じてルート検索部で配水管網ルートを検索し、その検索により上流側から下流側まで残留塩素流水が到達する最短時間を計算して、主水源から需要家への配水管網ルートで残留塩素が減少したことを検知したとき、補助水源に設置されている追加塩素注入設備から需要家の配水管網ルートへ一定の残留塩素の配水を供給させるようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はこの発明の実施の第1形態を示すルート検索機能を具備した配水管網の解析方法の構成図で、図1において、この配水管網の解析方法は、配水管網モデル作成・調整部11、管網解析部(水理解析・水質解析)12、ルート検索部13及びデータベース14から構成される。
【0015】
配水管網モデル作成・調整部11では、管網モデルを作成または修正するとともに、その結果をデータベース14へ登録する。この管網モデル作成・調整部11で作成された管網モデルをもとに、流量、圧力、流向などの水理解析や残塩解析、汚染物質拡散解析などの水質解析を管網解析部12で実行するとともに、その結果をデータベース14に登録する。
【0016】
ルート検索部13では、管網解析部12の結果を使用して任意の2点間でのルート検索を行なう。管網解析部12の結果を使用するのは、ルート検索を行なうには、流向を使用する必要があるためである。流向を使用すると、管路上は接続されているが、流れないようなルートを未然に削除することができるからである。
【0017】
図2はルート検索できる場合と検索できない場合の配水管網の概念図で、図2中数字符号を付した丸印は、節点を示し、矢印は流向を含んだ管路を示す。ここでは、圧力や流量は関係がない。
【0018】
図2において、ルート2→5としては、2→3→5と2→4→5の2つのルート検索が考えられる。一方、ルート3→4では、5→4または3→2で逆行するため、ルート検索は特定できない。
【0019】
ルート検索部13において、表示される項目は、横軸に節点間の距離か項目、縦軸に全水頭、残塩、汚染物質濃度、滞留時間などである。動水勾配は、横軸に距離、縦軸に全水頭をプロットすることで表示可能であるが、残塩や汚染物質濃度といった水質も表示することが可能で、残塩の減少傾向が判明する。このようにすることで、任意の節点間の圧力や水質の変化状況が把握できる管網解析方法が可能となる。
【0020】
図3はこの発明の実施の第2形態を示す樹木状配水管網の概念図で、図中の数字符号を付した丸印は、図2と同様に節点を示し、矢印は流向を含んだ管路を示す。この配水管網の例では、ルートは、必ず1つのみ存在する。そのため、始点節点(ルート検索で指定する上流側の指定節点)が検索されると、検索を終了することができる。検索順は、終点節点(ルート検索で指定する下流側の指定節点)から始まり、始点節点で終了するようにする。水道管網は、配水池が少数で末端に多数の需要点があるため、下流側から検索した方が無駄な検索をしなくて良いためである。
【0021】
ルート検索の例を述べるにあたり、上記以外の用語の定義を記す。上流管路とは、対象となる節点に対し、水が流れ込む管路、上流節点とは、上流管路に接続した相手節点、下流管路とは、対象となる節点に対し、水が流れ出る管路、下流節点とは、下流管路に接続した相手節点である。
【0022】
ルート検索の1つの例として、図3において、始点節点が節点4、終点節点が節点6の場合を考える。ルートは、節点6→節点5→節点4の順に検索され終了する。同時に、節点をつなぐ管路は、管路[5]→管路[4]の順に検索される。このとき、節点5の下流節点である節点7は検索されない。
【0023】
なお、節点と管路の両方を検索する理由は、動水勾配を決定する全水頭は節点に対して計算されるが、始点節点と終点節点との距離を計算するには、管路長を足し合わせる必要があるためである。最上流となる配水池は複数存在することが考えられる。
【0024】
次に別のルート検索例を述べる。この例として、始点節点が節点3、終点節点が節点6の場合を考える。最終的には、ルートは、節点6→節点5→節点4→節点3の順に検索され終了するが、節点4は上流節点が節点1と節点3の2つが存在する。
【0025】
節点4から節点1が先に検索された場合、最上流である配水池に到達しても始点節点がないことになる。しかし、実際は別ルートに始点節点である節点4が存在する。
【0026】
従って、始点節点に到達する前に配水池に到達した場合、2つ以上上流節点がある節点4まで戻り、別ルートを検索するルーチンが必要となる。また、戻るには、一旦登録したルートを削除しながら節点4に移動する。このようにすることで、樹木状管網のルート検索を行うことができる。
【0027】
上述したようなルート検索の例のフローチャートを図4に示す。図4において、管網解析結果の読み込み処理(接続関係、流向、水質)をステップS1で行なった後、始点節点、終点節点の設定処理をステップS2で行う。
【0028】
その後、全節点の上流節点の数をステップS3で決定する。節点の数を決定したならステップS5で終点節点を指定処理する。
【0029】
終点節点指定処理後、全ルート検索を完了したかをステップS6で判定処理し、完了した「YES」ならステップS7の登録されたルートの書き出し処理を行なって処理を終了する。
【0030】
一方、ステップS6の判定処理で、完了しない「NO」なら節点をルートに登録処理(ステップS8)してから、最上流(配水池)か始点節点に到達かをステップ9で判定処理する。
【0031】
ステップS9の判定処理で「NO」なら上流節点が1つであるかをステップS10で判定処理する。ここで、「YES」なら上流節点を指定処理(ステップS11)してから上流管路をルートに登録処理(ステップ12)した後、ステップS6の判定処理に戻る。なお、ステップS10で「NO」なら検索していない上流節点を指定処理(ステップ13)してステップ12の処理に進む。
【0032】
前記ステップS9の判定処理で「YES」なら始点節点に到達したかをステップS14で判定処理して「YES」ならステップS7の処理を行い、「NO」ならステップS15で「登録していたルート、次の上流節点を初期化」処理し、ステップS16の処理に進む。ステップS16は、2つ以上上流節点があり、検索していない節点まで戻る処理で、この処理を行なった後、ステップS17で節点が終点節点であるかを判定処理する。判定の結果、「YES」ならステップS7の処理を行い、「NO」ならステップS10判定処理を行う。
【0033】
上記のような処理を行うことで、第2形態の樹木状配水管網のルート検索方法を行うことができる。
【0034】
図5はこの発明の実施の第3形態を示す網目状配水管網の概念図で、図中の数字符号を付した丸印は、図2と同様に節点を示し、矢印は流向を含んだ管路を示す。この配水管網の例では、ルートは、複数存在することが予想される。そのため、始点節点が検索されても、検索を終了することはできない。このため、最大ルート数を設定するか、考えられる全てのルートの検索が終了するまで続けられる。なお、検索順は、第2形態と同じく、終点節点(下流側)から始まり、始点節点(上流側)で終了するようにする。
【0035】
ルート検索の1つの例として、図5において、始点節点1、終点節点11とする場合を考える。ルートは、節点11→節点7→節点3→節点2→節点1の順に検索される。同時に、節点をつなぐ管路は、管路13→管路6→管路2→管路1の順に検索される。このとき、節点11の下流節点である節点12や節点15は検索されない。
【0036】
網目状配水管網では、ルートが見つかり、次のルートを検索するとき、見つかったルートを次のルートにコピーする。そして、次のルートに行ってから、2つ以上の上流節点がある節点まで戻り、次のルートの検索を始める。
【0037】
上記の例では、節点2、節点3とも上流節点は1つであるため、節点7まで戻ることになる。そして、始点節点である節点1まで検索する。このようにして、合計6個のルートが表1、表2に示すように検索される。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
また、節点6は2つの下流管路と2つの上流管路があり、いずれの下流管路側からもルートに入ってくる。つまり、管路9からのルートを2つ検索した(2番目と3番目)とき、節点6は2つのルートを検索したことになるが、管路12からのルートでも2つ検索されなければならない(4番目と5番目)従って、節点が上流節点数だけ検索し、更に下流に戻るとき、節点の検索数を初期化する必要がある(例えば、「登録していたルート、次の上流節点を初期化」「2つ以上の上流節点があり、検索していない節点まで戻る」ルーチンにおいて実行)。
【0041】
上記のように処理することにより網目状の配水管網のルート検索を行うことができる。
【0042】
図6は上述した網目状配水管網のルート検索のフローチャートで、図4に示したフローチャートと同じ処理には、同じステップを付して説明する。図6において、図4に示したフローチャートのステップS2と異なる処理は、始点節点(目的地)、終点節点の設定(最大ルート数の設定)処理を行う点である。
【0043】
その後、図4に示した処理をステップS9の判定処理まで行ない、その判定処理で、「YES」ならステップS19の判定処理で配水池に到達したかを判定する。その判定処理の結果、「YES」ならステップS15の処理に進み、「NO」ならステップS20の処理を行う。ステップS20は、登録していたルートを次のルートにコピーする処理で、この処理の後、ステップS21の次のルートへ登録するように変更する処理を行なって、ステップS15の処理に進む。
【0044】
その後、ステップS17の処理まで行なった後、ステップS17の判定処理で、「YES」ならステップS22の全ルート検索完了したかの判定処理を行い、この判定処理で完了した「YES」ならステップS7の処理に進み、完了しない「NO」ならステップS13の処理に進む。
【0045】
次にこの発明の実施の第4形態から第6形態について述べる。第4形態から第6形態は、ルート決定のための選択肢で、第4形態は最長距離を選択肢とし、第5形態は最短時間を選択肢とし、第6形態は大口径管路を選択肢とした特の例である。
【0046】
まず、第4形態について述べるに、第2形態ではルートが1つであるが、第3形態ではルートが複数存在した。この場合、どのルートを決定するかが必要となる。この第4形態では、距離を使用したルート決定方法について説明する。
【0047】
図5に示した網目状管網でルート検索した結果、次の表3に示す結果が得られたとする。
【0048】
【表3】
【0049】
表3において、合計距離は、図5に示す管路番号1から20のカッコ内の数字を距離としたときの合計である。それぞれのルートにおいて管路順が検索されているため、距離の合計を計算するのは容易である。合計距離を比較し、最も長い1番目のルートが最終的に決定されるルートとなる(もちろん、最も短い距離のルートを決定するルートとしてもよい)。
【0050】
上記第4形態では、距離を指標としてルート決定を行なったが、第5形態では、時間を使用したルート決定方法について述べる。図5に示した網目状管網でルート検索した結果、次の表4に示す結果が得られたとする。
【0051】
【表4】
【0052】
表4において、合計時間は、図5に示す管路番号1から20のカッコ内の数字を時間としたときの合計である。それぞれのルートにおいて管路順が検索されているため、時間の合計を計算するのは容易である。合計時間を比較し、最も短い時間6番目のルートが最終的に決定されるルートとなる(もちろん、最も長い時間のルートを決定するルートとしてもよい)。
【0053】
次に第6形態について述べるに、管網解析では、時間や距離でなく、メインのルートがどのような状況になっているかを考慮することがある。メインのルートは管径が太いことが多いため、ここでは管径を指標に判断していく、以下第6形態によるルート決定方法について述べる。
【0054】
図5に示す管路番号1から20のカッコ内の数字は管径であるとする。ここで、検索されたルートの始点での下流管路の管径を比較する。管路1の管径は10、管路4の管径は9であるため、管路1が選択される。次に管路1とつながった節点2で同じように管径を比較すると、管路2が選択される。この段階で、1番目のルートしか該当するルートがないため、最終的に1番目が決定される。
【0055】
また、下流管路に同じ管径の管路が存在したときには、流量を比較することでルートを判断する。ここでは同じ管径の下流管路がなく流量も記載されていないが、メインルートの方の流量が多いことが考えられるためである。管径流量とも同じ場合は、どちらかのルートをとり、次の下流節点での管径を比較することとする。
【0056】
上記のように処理することで、メインルートでのルート決定をすることができる。
【0057】
図7はこの発明の実施の第7形態を示す水質汚染物質の拡大状況予測方法の概念図で、この第7形態は水質解析とルート検索との組み合せ例である。図7において、水源70である節点1から流入した水は、節点5にある需要家である工場71まで到達する。
【0058】
工場71に都合の悪い水質汚濁物質を検知するセンサーは、節点5には設置できないため、節点2に設置されている。水質センサー72での計測情報は、管網解析・ルート検索装置73に入力されている。各節点での水質や節点2から節点5までの最短の到達時間を計算することができる。節点4は補助水源74であり、バルブ75が閉まったときなど非常時のみの運転となる。
【0059】
節点1から濃度2.0μg/Lで水質汚染物質が流入したとする。また、節点4からは濃度0.0μg/Lとする。水質汚染物質は節点2にある水質センサー72により検知される。
【0060】
ここで、節点2からバルブ75までの到達時間が管網解析・ルート検索装置73により1時間と計算されたとすると、それまでにバルブ75を事前に閉めることができるとともに、補助水源74を運転することができ、工場71には水質汚染物質が流入しないことになる。
【0061】
一般にバルブ75の開閉や水源の運転は設定状態になるまで時間を要する(操作員が閉める場合も多い)ため、事前に水質汚染を検知できると、需要家に被害を及ぼさないシステムが構築できる。
【0062】
また、この第7形態では、水質汚染の検知から工場71まで複数のルートが存在し、それぞれにバルブ75がついている場合、ルート検索により最短な時間のルートからバルブ75の操作をしていくことも可能となる。
【0063】
図8(a)はこの発明の実施の第8形態を示す残留塩素の減少状況予測方法の概念図で、この第8形態は水質解析とルート検索との組み合せ例である。図8(a)において、水源80である節点1から流入した水は、節点5にある需要家81まで到達する。
【0064】
残留塩素を測定する残塩センサー82は、節点5には設置できないため、節点2に設置されている。残塩センサー82での計測情報は管網解析・ルート検索装置83に入力されており、各節点での水質や節点2から節点5までの最短の到達時間を計算することができる。
【0065】
節点4は補助水源84であるが、ここには非常用の追加塩素注入設備85が設置されており、通常塩素は注入しない。残留塩素は管路で1日当たり0.1mg/Lの割合で減少するとする。
【0066】
いま、図8(b)に示すように、節点1から濃度0.7mg/Lで残塩が流入したとする。節点4からは0.0mg/Lとする。残塩は節点2にある残塩センサー82により検知される。通常は、需要家81のある節点5での残塩濃度が0.1mg/Lとする。
【0067】
ここで、仮に節点2と節点3の間で事故があり、この間だけ1日0.2mg/Lの割合で減少するようになったとする。すると、管網解析・ルート検策装置83では、残塩減少率を再定義できるとともに、到達時間を計算することができる。そのため、需要家81に残塩濃度の低い水が配水される前に、追加塩素注入設備85を運転することができ、従って、需要家81には一定の残留塩素の水を送ることができる。
【0068】
一般に追加塩素注入設備は、たくさん設置できず、到達時間もかかるため、設定した状態になるまで時間を要する。このように、事前に残留塩素低下の事故が判明すると、需要家に安心して被害を拡大させないシステムが構成できる。
【0069】
また、上記第8形態では、事故の検知から需要家まで複数のルートが存在し、追加塩素注入設備や事故発生箇所が複数存在しても、ルート検索により被害の最も早く発生するルートから対策することも可能となる。
【0070】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、以下のような作用効果が得られる。
(1)管網解析結果である流向を使用すると、管路上は接続されているが、流れないようなルートを未然に削除することができる。また、節点と管路を同時に検索できるため、任意の節点間の圧力や水質の変化状況が距離や時間と関連付けて把握できる管網解析システムが構成可能となる。
(2)下流側節点から上流側節点を検索し、下流側節点は検索しないことで、樹木状管網のルート検索を効率良く行うことができる。この管網に加えて、ルートコピールーチン、ある節点での上流節点を全て検索したのち初期化するルーチンを加えることで、網目状管網のルート検索を無駄なく全て行うことができる。
(3)管路長を用いることで、また、管路内滞留時間を採用することで最適なルートを求めることができるとともに、管路長をもちいることでメインルートでの最適なルートを求めることができる利点もある。
(4)バルブの開閉や水源の運転は、設定状態に到達するまで時間を要するため、事前に水質汚染が判明すると、需要家に被害を発生させないシステムが構築できる利点がある。また、複数のルートが存在し、それぞれにバルブが付いている場合、ルート検索により最短な時間のルートからバルブの操作を行なっていくことが可能となる。
(5)追加塩素注入設備は、たくさん設置できず、到達時間もかかるため、設定した状態になるまで時間を要するが、事前に残留塩素低下の事故が判明しても、需要家に被害を発生させないシステムが構築できる。また、複数のルートが存在し、追加塩素注入設備や事故発生箇所が複数存在しても、ルート検索により被害の最も早く発生するルートから対策することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の第1形態を示すルート検索機能を具備した配水管網の解析方法の構成図。
【図2】ルート検索できる場合と検索できない場合の配水管網の概念図。
【図3】この発明の実施の第2形態を示す樹木状配水管網の概念図。
【図4】樹木状配水管網におけるルートの検索方法を示すフローチャート。
【図5】この発明の実施の第3形態を示す網目状配水管網の概念図。
【図6】網目状配水管網におけるルートの検索方法を示すフローチャート。
【図7】この発明の実施の第7形態を示す水質汚染物質の拡大状況予測方法の概念図。
【図8】(a)はこの発明の実施の第8形態を示す残留塩素の減少状況予測方法の概念図、(b)は予測方法の動作説明図。
【符号の説明】
11…管網モデル作成・調整部
12…管網解析部
13…ルート検索部
14…データベース
70、80…水源
71、81…需要家
72…水質センサー
73、83…管網解析・ルート検索装置
74、84…補助水源
75…バルブ
82…残塩センサー
85…追加塩素注入設備
Claims (6)
- 配水管網モデルを作成または修正する配水管網モデル作成・調整部と、
この配水管網モデル作成・調整部で作成された配水管網モデルをもとに、水理解析や水質解析を実行する配水管網解析部と、
この配水管網解析部で解析された結果及び作成された配水管網モデルを登録するデータベースと、
前記配水管網解析部の結果を使用して任意の2点間での配水管網ルートを検索し、その任意の2点間の水理や水質の変化状況を把握するルート検索部と、
を備えてなることを特徴とする配水管網ルート検索装置。 - ルート検索部は、ルート検索に際して配水管網の下流側から上流側に向けて検索し、または、ルート決定に際して配水管網の管路長または管路内滞留時間を用いることを特徴とする請求項1記載の配水管網ルート検索装置。
- 配水管網解析部における水理解析は、流量、圧力、流向センサーからの計測情報を解析することを特徴とする請求項1記載の配水管網ルート検索装置。
- 配水管網解析部における水質解析は、水質センサー、残塩センサーからの計測情報を解析することを特徴とする請求項1記載の配水管網ルート検索装置。
- 請求項1記載の配水管網ルート検索装置において、配水管上流側に設置した水質センサーの計測情報を配水管解析部にて解析し、その解析結果に応じてルート検索部で配水管網ルートを検索し、その検索により上流側から下流側まで流水が到達する最短時間を計算して、主水源から需要家への配水管網ルートの配水を止め、補助水源から需要家の配水管網ルートへ配水を供給させるようにしたことを特徴とする配水管網ルート検索装置を用いた配水制御装置。
- 請求項1記載の配水管網ルート検索装置において、配水管上流側に設置した残留塩素センサーの計測情報を配水管解析部にて解析し、その解析結果に応じてルート検索部で配水管網ルートを検索し、その検索により上流側から下流側まで残留塩素流水が到達する最短時間を計算して、主水源から需要家への配水管網ルートで残留塩素が減少したことを検知したとき、補助水源に設置されている追加塩素注入設備から需要家の配水管網ルートへ一定の残留塩素の配水を供給させるようにしたことを特徴とする配水管網ルート検索装置を用いた配水制御装置。
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