JP2007264821A - 流体移動時間算出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 導管網解析データから任意の節点間の流体の最短移動時間を簡易に算出可能な流体移動時間算出方法を提供する。
【解決手段】 導管網データと導管網解析データを用いて、算出対象となる2節点の上流側節点から下流側節点までを連絡する1以上の導管経路を抽出する導管経路抽出工程と、抽出された各導管経路を構成する個々の導管毎の前記流体が上流側から下流側まで流れる導管別移動時間を、導管網データの管情報と導管網解析データから得られる導管を流れる流体に関する解析値に基づいて算出する第1算出工程と、第1算出工程で算出した導管別移動時間を各導管経路に沿って合計して、抽出された各導管経路の上流側から下流側まで流れる導管経路別移動時間を算出する第2算出工程と、第2算出工程で算出した1以上の導管経路別移動時間の最小値を最短移動時間として出力する移動時間出力工程と、を有する。
【選択図】 図5
【解決手段】 導管網データと導管網解析データを用いて、算出対象となる2節点の上流側節点から下流側節点までを連絡する1以上の導管経路を抽出する導管経路抽出工程と、抽出された各導管経路を構成する個々の導管毎の前記流体が上流側から下流側まで流れる導管別移動時間を、導管網データの管情報と導管網解析データから得られる導管を流れる流体に関する解析値に基づいて算出する第1算出工程と、第1算出工程で算出した導管別移動時間を各導管経路に沿って合計して、抽出された各導管経路の上流側から下流側まで流れる導管経路別移動時間を算出する第2算出工程と、第2算出工程で算出した1以上の導管経路別移動時間の最小値を最短移動時間として出力する移動時間出力工程と、を有する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、複数の節点と複数の導管を備えて構成される導管網を流れる流体が任意の2節点間を移動するのに要する最短移動時間を算出する流体移動時間算出方法及び流体移動時間算出システムに関する。
ガスや水道の供給事業者は顧客に対して常に安定な圧力で必要な流量を供給しなければならないので、供給圧力等の安定性をチェックする必要がある。特に、導管工事、ガス等の製造所の工事、導管網の特定個所での異常発生時における供給量の調整等、或いは、製造所における供給量の週間、月間、年間等での供給計画の策定等において、導管網内における圧力等の流体状態の確認が必要となる。
ところで、ガスや上水を供給する導管は通常網状に敷設されていることから導管網と呼ばれており、従来から、導管網を節点及び節点間を連絡する導管を用いて表現し、定常状態でのガス等の流体の流れをコンピュータ・シミュレーションによって解析する導管網解析を行い、導管網内における圧力等の流体状態をチェックしている。導管網の各節点における圧力や流量を演算する種々のアルゴリズムが開発されており、このアルゴリズムに基づく導管網解析プログラムをパソコン等に搭載することで、特定の導管網における圧力シミュレーションを行うことができる。簡単な演算により導管網解析を可能とするアルゴリズムとして、例えばハーディ・クロス法が挙げられる。この種のアルゴリズムによれば、導管網中に任意のループを選定し、ループの各節点における流体の流入量と流出量は等しいという条件と、ループにおける圧力降下が0であるという条件を満たすように、そのループの任意の導管の流量を仮定しながら各導管の圧力降下を計算することを繰り返し、最終的に導管網中の全てのループについて周回圧力差が実質的に0になったときの導管流量を最適解として、各節点の圧力や各導管の流量を算定することができる。ハーディ・クロス法等を用いた導管網解析手法については、例えば、下記の特許文献1や特許文献2に開示されている。
ところで、例えば、ガス供給事業者において、ガス製造所で製造されたガスを、ガス導管網を介してガス導管網上に分散する各ガス需要者に供給する際に、誤って仕様範囲外のオフスペックガスが送出される場合があると、供給されるガスの仕様値が厳格であることを要求するガス需要者に対しては、当該オフスペックガスが当該ガス需要者に供給されるまでにその旨の連絡を行う等の対応が必要となる。
従来は、上記オフスペックガスの送出が確認された時点で、作業者が、導管網地図上でガス製造所から要対応ガス需要者までの最短経路と考えられる経路を目視で探し出し、当該経路上の節点及び導管における導管網解析結果を用いて、各節点間のガス流速と導管延長距離から導管毎の通過時間を計算し、それらを合計して最短でのガス移動時間を計算していた。
しかしながら、従来の人手による作業では、要対応ガス需要者が複数の場合は、その数だけ作業量増加し、また、要対応ガス需要者までの導管網が複雑である場合には、目視による探索では、必ずしも最短経路が選別されるとは限らず、多様な状況に対して速やかに対応できる方策が求められていた。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、導管網解析データから任意の節点間の流体の最短移動時間を簡易に算出可能な流体移動時間算出方法及び流体移動時間算出システムを提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る流体移動時間算出方法は、複数の節点と複数の導管を備えて構成される導管網を流れる流体が任意の2節点間を移動するのに要する最短移動時間を算出する流体移動時間算出方法であって、前記導管網を構成する前記複数の節点と前記複数の導管の関係、及び、前記複数の導管の管情報を規定した導管網データと、前記導管網の定常解析結果である前記複数の節点の圧力と前記複数の導管の前記流体の流量、流速または区間通過時間を含む導管網解析データとを用いて、前記最短移動時間の算出対象となる2節点の上流側節点から下流側節点までを連絡する1または複数の導管経路を抽出する導管経路抽出工程と、抽出された前記各導管経路を構成する個々の導管毎の前記流体が上流側から下流側まで流れる導管別移動時間を、前記導管網データの前記管情報と前記導管網解析データから得られる前記導管に関する前記定常解析結果、つまり、前記流体の流量、流速または区間通過時間に基づいて算出する第1算出工程と、前記第1算出工程で算出した前記導管別移動時間を前記各導管経路に沿って合計して、抽出された前記各導管経路の上流側から下流側まで流れる導管経路別移動時間を算出する第2算出工程と、前記第2算出工程で算出した1または複数の前記導管経路別移動時間の内の最小値を前記最短移動時間として出力する移動時間出力工程と、を有することを第1の特徴とする。
更に、本発明に係る流体移動時間算出方法は、上記第1の特徴に加えて、前記第1算出工程において、前記導管別移動時間を、前記導管網データの前記管情報から得られる導管容積を前記導管網解析データから得られる流量で除して算出することを第2の特徴とする。
更に、本発明に係る流体移動時間算出方法は、上記第1の特徴に加えて、前記第1算出工程において、前記導管別移動時間を、前記導管網データの前記管情報から得られる導管延長を前記導管網解析データから得られる流速で除して算出することを第3の特徴とする。
更に、本発明に係る流体移動時間算出方法は、上記何れか1つの特徴に加えて、前記第2算出工程で算出した1または複数の前記導管経路別移動時間の内の最小値を与える前記1または複数の導管経路の1つを最短導管経路として選別し、選別した前記最短導管経路を特定可能な最短経路情報を出力する最短経路出力工程を、更に有することを第4の特徴とする。
更に、本発明に係る流体移動時間算出方法は、上記何れか1つの特徴に加えて、前記導管経路抽出工程において、1つの前記導管経路を抽出する処理では、前記導管網解析データから得られる前記流体の流れる方向を示すデータに基づいて、前記上流側節点から順に、前記導管経路上の1つの節点から前記流体の流れる方向に沿って選択可能な下流側の次の1つの節点を順次選択し、前記下流側節点に至った時点で、1つの前記導管経路の抽出処理を終了して、次の前記導管経路の抽出処理を開始し、1つの前記導管経路の抽出処理において、前記下流側節点に至る前に、前記流体の流れる方向に沿って選択可能な下流側の次の1つの節点がない場合には、1つ上流側の節点に戻って前記流体の流れる方向に沿って選択可能な下流側の次の他の1つの節点を選択することを第5の特徴とする。
更に、本発明に係る流体移動時間算出システムは、上記第1乃至第5の何れか1つの特徴の流体移動時間算出方法で使用する前記最短移動時間の算出対象となる前記上流側節点と前記下流側節点の情報と、前記導管網データと、前記導管網解析データの入力を受け付ける入力手段と、前記流体移動時間算出方法の前記導管経路抽出工程、前記第1算出工程、前記第2算出工程、及び、前記移動時間出力工程を各別に実行する処理手段と、を備えてなることを特徴とする。
上記第1乃至第3の特徴の流体移動時間算出方法によれば、既存の導管網データと導管網解析データを用いて、導管網上の任意の2節点間の流体の最短移動時間を簡易且つ正確に算出できるため、当該2節点の上流側で異常のある流体が下流側に最短で何時到達するかの情報を速やかに取得でき、必要な対策を講じるまでの時間的余裕を確保できる。
更に、第4の特徴の流体移動時間算出方法によれば、最短導管経路を特定可能な最短経路情報が出力されるため、導管網を地図画面上に表示可能なシステムにおいて、当該最短導管経路を重ねて表示可能となる。これにより、最短導管経路上の途中までの移動時間の概略を目視で把握可能となる。
また、第5の特徴の流体移動時間算出方法によれば、導管経路抽出工程において、最短移動時間の算出対象となる2節点の上流側節点から下流側節点までを連絡する導管経路の全てを、導管網解析データに基づいて流体の流れる方向に沿って抽出した上で、最短移動時間となる導管経路を計算により選別するため、算出対象となる2節点間の最短移動時間を確実に算出可能となる。
また、上記特徴の流体移動時間算出システムによれば、上記第1乃至第3の何れかの特徴の本発明に係る流体移動時間算出方法を実行することができ、上記第1乃至第3の何れかの特徴による作用効果を奏することができ、既存の導管網データと導管網解析データを用いて、導管網上の任意の2節点間の流体の最短移動時間を簡易且つ正確に算出できる。
以下、本発明に係る流体移動時間算出方法及び流体移動時間算出システム(以下、適宜「本発明方法」及び「本発明システム」と略称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明システムは、導管網によって搬送される流体(本実施形態では、都市ガスを想定する)が導管網内の任意の2節点間を移動するのに要する最短移動時間を、導管網を規定する導管網データと導管網の定常解析結果である導管網解析データに基づいて算出する本発明方法をコンピュータ処理により実行する流体移動時間算出システムである。
図1に示すように、本発明システム1は、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータ2上に、最短移動時間の算出対象となる2節点(上流側節点(起点)と下流側節点(終点))の入力情報D1と、導管網データD2と、導管網解析データD3の各入力を受け付ける入力手段3、及び、後述する本発明方法の導管経路抽出工程、第1算出工程、第2算出工程、移動時間出力工程、及び、最短経路出力工程を各別に実行する処理手段4を備えて構成される。
本発明システム1は、LAN等のコンピュータネットワーク5を介して、導管網データD2を格納する導管網データベース6、導管網解析データD3を格納する導管網解析データベース7、導管網データD2に基づいてハーディ・クロス法等を用いた導管網定常解析を行って導管網解析データD3を生成する導管網解析システム8、及び、所定の表示端末(図示せず)の地図表示画面上に導管網データD2に基づいて導管網を表示するとともに、当該導管網表示と重ねて導管網解析データD3を所定の出力形式で表示する導管網表示システム9と、相互に接続している。
入力手段3は、本発明方法による最短移動時間の算出を開始するに当たって、オペレータによるコンピュータ2のキーボードやマウス等の入力装置の操作によって入力された入力情報D1を受け付けて、コンピュータ2の記憶装置内に一時的に記憶するとともに、導管網データベース6及び導管網解析データベース7にアクセスして、導管網データD2と導管網解析データD3を読み出してコンピュータ2の記憶装置内に一時的に記憶する。
処理手段4は、具体的には、導管経路抽出工程、第1算出工程、第2算出工程、移動時間出力工程、及び、最短経路出力工程の夫々をコンピュータ2のCPU(中央演算処理装置)上で実行可能なコンピュータプログラムを、コンピュータ2の記憶装置内にインストールしておき、当該プログラムを上記CPU上で実行することによって実現される。
次に、本発明システム1及び本発明方法で使用される導管網データD2及び導管網解析データD3の構成について説明する。
導管網解析用に導管網は、節点と2節点間を連絡する導管を用いて規定される。尚、導管網内に異なる圧力区分の小導管網が複数存在する場合は、異なる圧力区分の2つの小導管網間の高圧側と低圧側の接続個所(整圧器の1次側と2次側に相当)に夫々個別の接続節点(節点の一種)を設け、これらの接続節点間を仮想導管(導管の一種)で接続して構成する。
導管網データD2は、節点を規定する節点情報、導管を規定する導管情報、仮想導管を規定する仮想導管情報、及び、需要量情報を含んで構成される。尚、需要量情報は、導管網解析システム8が導管網定常解析を行うのに使用するが、本発明方法では需要量情報を使用しないので、入力手段3は需要量情報の読み込みを行う必要はないが、需要量情報が節点情報に含まれる場合には、読み込んでも構わない。また、算出対象の導管網が1つの圧力区分内である場合には、仮想導管情報の読み込みも必要ない。
節点情報は、図2に示すように、節点毎の属性情報を備えた節点リストファイルとして構成され、その属性情報として、節点番号、節点名称(未設定も可)、需要量、圧力(導管網解析データD3の圧力値の入力枠、圧力指定節点の圧力設定値)、使用状態(使用または不使用)、節点種別(ホルダ、一般負荷、大口負荷、製造所、昇圧機、等)、圧力区分(高圧、中圧A等)、等を備える。接続節点は、節点の一種として節点情報によって規定され、圧力指定節点に含まれる。
導管情報は、図3に示すように、導管毎の属性情報を備えた導管リストファイルとして構成され、その属性情報として、左右の各節点番号、導管種別(通常管または異径管)、管径、長さ、圧力区分(高圧、中圧A等)、導管状態(連絡または切断)、流量(導管網解析データD3の流量値の入力枠)等を備える。
仮想導管情報は、図4に示すように、仮想導管毎の属性情報を備えた仮想導管リストファイルとして構成され、その属性情報として、上流側及び下流側の各節点番号、導管種別、計算順序、使用状態(使用または不使用)、等を備える。仮想導管の導管種別は、上流側に接続する導管網の圧力区分と下流側に接続する導管網の圧力区分により規定される。
導管網解析データD3は、各節点の圧力値と各導管の流量値で構成され、入力手段3によって読み込まれると、節点情報内の各節点の圧力と導管情報内の各導管の流量に書き込まれる。これにより、節点情報と導管情報が、導管網データD2と導管網解析データD3の両方を包含する。
次に、入力手段3が入力情報D1と導管網データD2と導管網解析データD3の各入力を受け付け一時的に記憶した後に、処理手段4が上記導管網データを使用して実行する導管経路抽出工程、第1算出工程、第2算出工程、移動時間出力工程、及び、最短経路出力工程の各工程について、図5及び図6を参照して説明する。
図5に示すように、処理手段4は、先ず、以下に示す要領で導管経路抽出工程(ステップ#10)を実行する。導管経路抽出工程(ステップ#10)では、図6に示すように、先ず、入力情報D1から上流側節点(起点)を特定し、導管情報に基づいて上流側節点(起点)と1つの導管を介して隣接する1以上の節点を抽出し、その中から、節点情報に基づいて上流側節点(起点)より低圧の節点、つまり下流側の節点を1つ仮選択する(ステップ#11)。当該仮選択は、例えば、節点番号の小さい順に選択する等の一定の選択ルールに基づいて行えばよい。引き続き、同じ要領で、仮選択した節点に隣接する節点であり、且つ、仮選択した節点より下流側の節点であって、更に以前に仮選択されていない新規の節点を1つ仮選択するために、仮選択の可能性を判定する(ステップ#12)。ステップ#12で、1以上の下流側の新規節点の仮選択が行える場合は、当該下流側の節点を1つ仮選択する(ステップ#13)。次に、仮選択した節点が、算出対象となる2節点の内の下流側節点(終点)であるか否かの判定を行い(ステップ#14)、下流側節点(終点)でない場合は、ステップ#12に戻り、ステップ#13で仮選択した下流側の節点を基点として、仮選択の可能性の判定を再度行い、下流側節点(終点)に到達するまで、ステップ#12〜#14の処理を繰り返す。
ステップ#14の判定で、仮選択した節点が下流側節点(終点)である場合は、上流側節点(起点)から下流側節点(終点)に至る1つの導管経路が抽出された判断し、当該導管経路上の節点を上流側節点(起点)から順番に、1つの導管経路情報D4として、一時記憶する(ステップ#15)。
ステップ#15に引き続き、下流側節点(終点)から1つ上流側の仮選択済みの節点に戻り(ステップ#16)、戻った節点を基点として、仮選択済みの節点を除外して次の下流側の節点を1つ仮選択するために、仮選択の可能性を判定する(ステップ#17)。ステップ#17で、1以上の下流側の節点の仮選択が行える場合は、ステップ#13に移行して、下流側の節点を1つ仮選択する。次に、仮選択した節点が、算出対象となる2節点の内の下流側節点(終点)であるか否かの判定を行い(ステップ#14)、下流側節点(終点)でない場合は、ステップ#12に戻り、ステップ#13で仮選択した下流側の節点を基点として、仮選択の可能性の判定を再度行い、下流側節点(終点)に到達するまで、ステップ#12〜#14の処理を繰り返す。ステップ#14の判定で、仮選択した節点が下流側節点(終点)である場合は、ステップ#15以降の処理を繰り返す。
1回目以降のステップ#12の判定の中で、下流側の節点の仮選択が行えない場合は、ステップ#16に移行して、1つ上流側の仮選択済みの節点に戻り、戻った節点を基点として、仮選択済みの節点を除外して次の下流側の節点を1つ仮選択するために、仮選択の可能性を判定する(ステップ#17)。ステップ#17で、1以上の下流側の節点の仮選択が行える場合は、ステップ#13に移行して、下流側の節点を1つ仮選択する。次に、仮選択した節点が、算出対象となる2節点の内の下流側節点(終点)であるか否かの判定を行い(ステップ#14)、下流側節点(終点)でない場合は、ステップ#12に戻り、ステップ#13で仮選択した下流側の節点を基点として、仮選択の可能性の判定を再度行い、下流側節点(終点)に到達するまで、ステップ#12〜#14の処理を繰り返す。
ステップ#17の判定で、1以上の下流側の節点の仮選択が行えない場合は、判定に係る基点が上流側節点(起点)であるか否かの判定を行う(ステップ#18)。ステップ#18の判定で基点が上流側節点(起点)でない場合は、ステップ#16に戻り、1以上の下流側の節点の仮選択が行えるまでステップ#16〜#18を繰り返す。ステップ#18の判定で基点が上流側節点(起点)の場合には、それ以上の探索が不可能なため、導管経路抽出工程(ステップ#10)を終了する。この時点で、1以上の導管経路が抽出されることになる。
図5に示すように、導管経路抽出工程(ステップ#10)が終了すると、処理手段4は、以下に示す要領で抽出された導管経路毎に、第1算出工程(ステップ#20)と第2算出工程(ステップ#30)を実行する。以下、抽出された導管経路の本数をNとして説明する。
先ず、初期設定(ステップ#19)の後、第1算出工程(ステップ#20)において、導管経路情報D4から1つの導管経路R(i)を構成する個々の導管P(i,j)を特定し、各導管P(i,j)の導管延長(長さ)と管径と流量F(i,j)[Nm3/h]を導管リストファイルから抽出し、導管P(i,j)内をガス(流体)が移動する導管別移動時間TP(i,j)[h]を、以下の数1によって算出する。数1中のV(i,j)は導管容積[Nm3/h]で導管延長(長さ)と管径から計算される。ここで、引数iは導管経路の抽出順の番号を示す自然数であり、引数jは、導管経路R(i)の上流側節点(起点)からの導管の順番を示す自然数である。また、導管経路R(i)を構成する導管P(i,j)の個数をM(i)とする。
(数1)
TP(i,j)=V(i,j)/F(i,j)
TP(i,j)=V(i,j)/F(i,j)
引き続き、第2算出工程(ステップ#30)において、算出された導管別移動時間TP(i,j)を、導管経路R(i)を構成する導管P(i,j)の全てについて合計して、導管経路R(i)の上流側節点(起点)から下流側節点(終点)までをガス(流体)が移動するのに要する導管経路別移動時間TR(i)を、以下の数2によって算出する。尚、数2中の加算演算子Σj=1〜M(i)は、引数jにつき1からM(i)までの加算を行う。
(数2)
TR(i)=Σj=1〜M(i){TP(i,j)}
TR(i)=Σj=1〜M(i){TP(i,j)}
第2算出工程(ステップ#30)が終了すると、抽出された全ての導管経路について、第1算出工程(ステップ#20)と第2算出工程(ステップ#30)が終了したか否かを判定し(ステップ#31)、全ての導管経路について終了していない場合は、引数iを1加算して(ステップ#32)、第1算出工程(ステップ#20)と第2算出工程(ステップ#30)を繰り返す。
全ての導管経路について終了した場合には、図5に示すように、処理手段4は移動時間出力工程(ステップ#40)と最短経路出力工程(ステップ#50)を実行する。
移動時間出力工程(ステップ#40)において、第2算出工程(ステップ#30)で算出した1または複数の導管経路別移動時間TR(i)の内の最小値を上流側節点(起点)から下流側節点(終点)までの最短移動時間Tとして、本発明システムの表示画面上に出力するとともに、導管網表示システム9にも出力する。
引き続き、最短経路出力工程(ステップ#50)において、導管経路抽出工程(ステップ#10)で抽出された導管経路R(i)(i=1〜N)の中から、第2算出工程(ステップ#30)で算出した1または複数の導管経路別移動時間TR(i)の内の最小値(最短移動時間T)を与える導管経路を最短導管経路として選別し、選別した最短導管経路の導管経路情報D4を最短経路情報として、本発明システムの表示画面上に出力するとともに、導管網表示システム9にも出力する。
導管網表示システム9では、本発明システム1から出力された最短移動時間Tと、導管経路情報D4によって特定される最短導管経路を、所定の表示端末(図示せず)の地図表示画面上に、導管網表示と重ねて表示することができる。
次に、本発明システムの別実施形態について説明する。
〈1〉上記実施形態の本発明方法において、導管経路抽出工程(ステップ#10)での導管経路R(i)の探索アルゴリズムは、一例であり、上記実施形態の処理手順に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、1つの導管経路が抽出された場合には、下流側節点(終点)から1つ上流側の仮選択済みの節点に戻る場合を説明したが、上流側節点(起点)に戻るようにしてもよい。
〈2〉上記実施形態では、移動時間出力工程(ステップ#40)と最短経路出力工程(ステップ#50)において、本発明システム1は、最短移動時間Tと最短導管経路を導管網表示システム9に出力する場合を想定して説明したが、必ずしも導管網表示システム9に出力しなくてもよい。また、導管網表示システム9等の外部システムにだけ最短移動時間Tと最短導管経路を出力する形態であっても構わない。
更に、移動時間出力工程(ステップ#40)と最短経路出力工程(ステップ#50)において、最短移動時間Tと最短導管経路以外にも、他の導管経路R(i)と、その導管経路別移動時間TR(i)を全て出力するようにしてもよい。
〈3〉また、上記実施形態で説明した、導管網データD2及び導管網解析データD3の構成は、一例であり、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
更に、上記実施形態では、入力された導管網データD2と導管網解析データD3の各節点情報と各導管情報が、共通の節点リストファイルと導管リストファイルに格納される形態を例示したが、導管網データD2と導管網解析データD3は、夫々個別のファイルに格納される形態であっても構わない。
〈4〉また、上記実施形態では、入力情報D1は、本発明システム1を構成するコンピュータ2のキーボードやマウス等の入力装置の操作によって入力手段3に入力される場合を説明したが、例えば、導管網解析システム8や導管網表示システム9等の外部のシステムから入力される形態でも構わない。
〈5〉上記実施形態では、導管網解析データD3は、各節点の圧力値と各導管の流量値で構成される場合を想定して説明したが、導管網解析データD3は、各導管の流量値に代えて、流速或いは区間通過時間であっても構わない。
導管網解析データD3として、各導管の流速が与えられる場合は、第1算出工程(ステップ#20)において、導管経路情報D4から1つの導管経路R(i)を構成する個々の導管P(i,j)を特定し、各導管P(i,j)の導管延長(長さ)L(i,j)[m]と流速U(i,j)[m/h]を導管リストファイルから抽出し、導管P(i,j)内をガス(流体)が移動する導管別移動時間TP(i,j)を、以下の数3によって算出する。
(数3)
TP(i,j)=L(i,j)/U(i,j)
TP(i,j)=L(i,j)/U(i,j)
更に、導管網解析データD3として、各導管の区間通過時間が与えられる場合は、第1算出工程(ステップ#20)において、導管経路情報D4から1つの導管経路R(i)を構成する個々の導管P(i,j)を特定し、各導管P(i,j)の区間通過時間を導管リストファイルから抽出し、そのまま、導管P(i,j)内をガス(流体)が移動する導管別移動時間TP(i,j)とする。
本発明に係る流体移動時間算出方法及び流体移動時間算出システムは、複数の節点と複数の導管を備えて構成される導管網を流れる流体が任意の2節点間を移動するのに要する最短移動時間を算出するのに利用可能である。
1: 本発明に係る流体移動時間算出システム
2: コンピュータ
3: 入力手段
4: 処理手段
5: コンピュータネットワーク
6: 導管網データベース
7: 導管網解析データベース
8: 導管網解析システム
9: 導管網表示システム
D1: 最短移動時間の算出対象となる2節点の入力情報
D2: 導管網データ
D3: 導管網解析データ
D4: 導管経路情報
2: コンピュータ
3: 入力手段
4: 処理手段
5: コンピュータネットワーク
6: 導管網データベース
7: 導管網解析データベース
8: 導管網解析システム
9: 導管網表示システム
D1: 最短移動時間の算出対象となる2節点の入力情報
D2: 導管網データ
D3: 導管網解析データ
D4: 導管経路情報
Claims (6)
- 複数の節点と複数の導管を備えて構成される導管網を流れる流体が任意の2節点間を移動するのに要する最短移動時間を算出する流体移動時間算出方法であって、
前記導管網を構成する前記複数の節点と前記複数の導管の関係、及び、前記複数の導管の管情報を規定した導管網データと、前記導管網の定常解析結果である前記複数の節点の圧力と前記複数の導管の前記流体の流量、流速または区間通過時間を含む導管網解析データとを用いて、前記最短移動時間の算出対象となる2節点の上流側節点から下流側節点までを連絡する1または複数の導管経路を抽出する導管経路抽出工程と、
抽出された前記各導管経路を構成する個々の導管毎の前記流体が上流側から下流側まで流れる導管別移動時間を、前記導管網データの前記管情報と前記導管網解析データから得られる前記導管に関する前記定常解析結果に基づいて算出する第1算出工程と、
前記第1算出工程で算出した前記導管別移動時間を前記各導管経路に沿って合計して、抽出された前記各導管経路の上流側から下流側まで流れる導管経路別移動時間を算出する第2算出工程と、
前記第2算出工程で算出した1または複数の前記導管経路別移動時間の内の最小値を前記最短移動時間として出力する移動時間出力工程と、
を有することを特徴とする流体移動時間算出方法。 - 前記第1算出工程において、前記導管別移動時間を、前記導管網データの前記管情報から得られる導管容積を前記導管網解析データから得られる流量で除して算出することを特徴とする請求項1に記載の流体移動時間算出方法。
- 前記第1算出工程において、前記導管別移動時間を、前記導管網データの前記管情報から得られる導管延長を前記導管網解析データから得られる流速で除して算出することを特徴とする請求項1に記載の流体移動時間算出方法。
- 前記第2算出工程で算出した1または複数の前記導管経路別移動時間の内の最小値を与える前記1または複数の導管経路の1つを最短導管経路として選別し、選別した前記最短導管経路を特定可能な最短経路情報を出力する最短経路出力工程を、更に有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の流体移動時間算出方法。
- 前記導管経路抽出工程において、1つの前記導管経路を抽出する処理では、前記導管網解析データから得られる前記流体の流れる方向を示すデータに基づいて、前記上流側節点から順に、前記導管経路上の1つの節点から前記流体の流れる方向に沿って選択可能な下流側の次の1つの節点を順次選択し、前記下流側節点に至った時点で、1つの前記導管経路の抽出処理を終了して、次の前記導管経路の抽出処理を開始し、
1つの前記導管経路の抽出処理において、前記下流側節点に至る前に、前記流体の流れる方向に沿って選択可能な下流側の次の1つの節点がない場合には、1つ上流側の節点に戻って前記流体の流れる方向に沿って選択可能な下流側の次の他の1つの節点を選択することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の流体移動時間算出方法。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載の流体移動時間算出方法で使用する前記最短移動時間の算出対象となる前記上流側節点と前記下流側節点の情報と、前記導管網データと、前記導管網解析データの入力を受け付ける入力手段と、
前記流体移動時間算出方法の前記導管経路抽出工程、前記第1算出工程、前記第2算出工程、及び、前記移動時間出力工程を各別に実行する処理手段と、
を備えてなることを特徴とする流体移動時間算出システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006086386A JP2007264821A (ja) | 2006-03-27 | 2006-03-27 | 流体移動時間算出システム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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