JP7286598B2 - 電子機器の製造方法及び組立用治具 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器製品の組立作業に適した電子機器の製造方法、及びこの製造方法で使用可能な組立用治具に関する。
電子機器として例えば、容器状のケース体の内部に磁性体部品を収容し、これに電子部品を組み合わせて完成状態となる電流センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の電流センサの特徴として、磁性体部品であるコアが完成品の容積の大部分を占めており、これに対して基板やホール素子といった電子部品は極小さく、そのような極小の電子部品は、比較的大型なコアの一部に設けられた僅かなギャップ内に正確に位置決めして配置されるということが挙げられる。
一般に、この種の電流センサの組立作業は、先ず、ケース体に形成された収容空間内にコアを落とし込み、その後から基板やホール素子といった精密部品を微妙に位置合わせしながら組み付けていくといった手順で行われる。これは、コアのような比較的大型の重量物は先に収容しておいた方が、後で小型軽量の部品を位置合わせしやすいという事情による。したがって通常、電流センサのような電子機器には、完成状態でみたコアと電子部品の位置関係にその組み立て順序が反映されており、完成状態でケース体の奥側にコアが位置し、その手前側に電子部品が位置した構造となる。
特開2006-78255号公報
しかしながら、上記電流センサの組立作業では、先にコアを収容空間内に落とし込んでしまうことから、後から電子部品を挿入するギャップの位置が収容空間の奥深くにあり、視認性があまり良くないという問題がある。このため、場合によっては作業者が視認に依らず、おおよその見当だけで組み付け作業を強いられることがあり、ギャップのエッジ等に電子部品が接触して破損するというリスクがある。
本発明は、作業性を向上できる技術を提供するものである。
本発明は、製造方法を提供する。本発明の製造方法は、以下の工程から構成される。
〔第1工程〕
この工程では、一端面が開口し、他端面が磁性体部品を収容可能に閉塞された容器状のケース体に、その開口を通じて内部に磁性体部品を組み入れる。このとき、ケース体の開口を上向きにした状態で、その上方から磁性体部品を挿入してもよい。
〔第2工程〕
この工程では、先の第1工程で組み入れた磁性体部品を、ケース体の外側から作用させた磁力を用いて開口の近傍位置に保持する。
あるいは、上記の〔第2工程〕では、ケース体の外側面に近接して配置した磁石で磁性体部品を吸引することにより、ケース体の内部から開口の近傍位置まで磁性体部品を浮上させることもできる。
〔第3工程〕
この工程では、先の第2工程で開口の近傍位置に保持した磁性体部品に対し、完成状態で所定の位置関係に組み合わされる電子部品を仮組みする。
これにより、先に比較的大型で重い磁性体部品をケース体の内部に落し込んでおくとしても、電子部品を仮組みしようとする段階では、ケース体の開口近くに磁性体部品が位置するため、電子部品が完成状態で組み合わされるべき位置の視認性が向上し、作業ミスの発生を減らすことができる。
本発明の製造方法は、さらに以下の工程を含む。
〔第4工程〕
この工程では、第3工程で仮組みした磁性体部品及び電子部品を樹脂ケース内の各収容位置に設置させる。
これにより、仮組みした部品同士が正しい位置関係を維持したまま、それぞれの収容位置に収まるので、最終的な完成品の組み立て精度を向上することができる。
次に本発明は、組立用治具を提供する。組立用治具は、載置面、当接面及び磁石を備える。このうち載置面は、組立対象の中間製品を載置可能である。また、当接面は、載置面に載置された中間製品の側面に当接可能である。磁石は、当接面の載置面から所定高さ離れた位置で、中間製品の内部に組み入れられた磁性体部品に対して磁力を作用させることが可能である。
このような組立用治具は、本発明の製造方法への適用が可能である。すなわち、上記〔第1工程〕でケース体に磁性体部品を組み入れたものを中間製品とし、上記〔第2工程〕では、そのような中間製品を載置面上に載置した上で、ケース体の側面を当接面に当接させることにより、外側から磁力を作用させて磁性体部品をケース体の開口近傍位置に浮上させ、その視認性を向上させることができる。そしてこの状態で、上記〔第3工程〕で電子部品を仮組みすることにより、電子部品が破損するリスクを大きく低減することができる。
本発明によれば、作業性を向上することができる。
電流センサ100の組み立て後完成状態を示す斜視図である。 電流センサ100の構成を示す分解斜視図である。 図2中のIII-III線に沿う断面図である。 電流センサ100の一般的な組み立て手順例を示した図である。 図4中(B)のV-V線に沿う断面図である。 組立用治具200の構成を示す斜視図である。 図6中(A)のVII-VII線に沿う断面図である。 組立用治具200を用いた電流センサ100の製造方法の作業手順例を示す連続である。 組立用治具200を用いた電流センサ100の製造方法の作業手順例を示す連続である。 図9中(B)のX-X線に沿う断面図である。 組立用治具200を用いた電流センサ100の製造方法の作業手順例を示す連続である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、組立及び製造の対象となる電子機器の一例として電流センサを挙げているが、本発明の製造対象はこれに限られるものではない。
〔製造対象の例〕
図1は、製造方法の対象とすることができる電子機器の一例として、電流センサ100の組み立て後完成状態を示す斜視図である。また図2は、電流センサ100の構成を示す分解斜視図である。なお、図1中(A)に示す電流センサ100を異なる方向(180°反対側)から示すと、図1中(B)の斜視図となる。
電流センサ100は、主にケース体102、磁性体コア106及び回路基板110を備えており、ケース体102に磁性体コア106及び回路基板110を収容した状態で、図1に示されるような一使用形態となる。図1は、この使用形態を想定した姿勢で電流センサ100を示しており、この使用形態では、被検出電流を導通する図示しない導体(バスバー等)が横方向(水平方向)に挿通されることを想定している。なお、電流センサ100はその他の姿勢(例えば平置き姿勢、小端立て姿勢、倒立姿勢等)で使用される形態であってもよい。また、図1中(A)のように組み立て後、ケース体102の内部に例えば封止樹脂が充填される。
〔ケース体〕
ケース体102は、一端面が開放し、他端面が外装壁102dによって閉塞された矩形の容器状をなしており、その内部は各種部品の収容空間102aとして形成されている。また、ケース体102は、その中央に矩形状の貫通孔104が形成されており、ケース体102は、貫通孔104の周囲を区画する内周壁102bを有している。このためケース体102内部の収容空間102aは、貫通孔104を除く範囲が全体として矩形の環状をなしている。貫通孔104は、組み立て状態で電流センサ100の中央を厚み方向に貫通しており、上記の図示しない導体は、図1に示す電流センサ100の立姿勢において、貫通孔104内を横方向(水平方向)に挿通されることになる。なお、ケース体102の材料には、例えば樹脂が用いられる。
また、図2に示されているように、ケース体102の内部には、各種のリブ(参照符号なし)が形成されている他、一端面の開口からある程度内側の位置に内周面に沿って段付き部102cが形成されている。いくつかのリブは、組み立て作業時に内周壁102bとともに磁性体コア106の組み入れ(ケース体102内への挿入)を案内し、また、完成状態では磁性体コア106をケース体102内にて位置決めすることができる。また、いくつかのリブや段付き部102cは、組み立て作業時に回路基板110の周縁部を案内し、完成状態で回路基板110をケース体102内にて位置決めすることができる。
〔磁性体部品〕
製造対象が電流センサ100である場合、ケース体102に収容される磁性体部品は上記の磁性体コア106となる。磁性体コア106は、矩形の環状をなしており、ケース体102内部の収容空間102aは、このような磁性体コア106の形状に合わせて成形されている。なお、磁性体コア106は矩形環状となっているが、円環状であってもよいし、その他の環形状であってもよい。磁性体コア106は、その内側に図示しない一次導体を挿通させた状態で、一次電流(被検出電流)の導通により発生する磁界を収束可能である。また、磁性体コア106には、その周方向の1箇所にギャップ106aが形成されている。磁性体コア106には軟磁性材料(例えばフェライト、珪素鋼板等)が用いられ、構造的にはトロイダルコアや積層コア等を採用することができる。
〔電子部品〕
電流センサ100は、電子部品の一例としてホール素子108を備える。このホール素子108は、回路基板110上の実装基板112に実装された状態で、磁性体コア106のギャップ106a内に配置される。このため回路基板110には、実装基板112を支持する多数のクリップ端子112aが設けられており、これらのクリップ端子112aの列で実装基板112が保持されている。実装基板112は、ベースとなる回路基板110の基板面から垂直方向に保持されており、その基板面にホール素子108が実装されている。
その他、回路基板110には、実装基板112とは反対側の基板面に接続端子列114が実装されており、図1中(A)に示されているように、電流センサ100の組み立て後完成状態で、接続端子列114の個々の端子はケース体102の外側(下方)に突出する。
また、本実施形態では磁性体コア106の表面(外周面)に例えばグランド端子106bが接合されており、このグランド端子106bは、磁性体コア106を回路基板110のグランド(GND)に接続させるものである。電流センサ100を回路基板110にグランド接続させることで、電流センサ100の電気的特性(いわゆるdV/dtノイズ特性)を改善することができる。
〔位置関係〕
図3は、組み立て後の完成状態でみた電流センサ100の断面図(図2中のIII-III線に沿う断面図)である。なお、ここでは充填材の図示を省略している(これ以降も同様。)。
上記のように、磁性体コア106はケース体102内部の収容空間102aに最奥深くに収容された状態で、その一端面(図3では下端面)が外装壁102d内面に接した状態で位置決めされている。なお、外装壁102d内面と磁性体コア106との間にリブ等でクリアランスが確保される態様であってもよい。
ケース体102の最奥に位置する磁性体コア106に対し、回路基板110はケース体102の一端開口寄りの位置で、上記の段付き部102cにより位置決めされている。このとき、電子部品としてのホール素子108は、回路基板110に支持された状態で磁性体コア106のギャップ106a内に位置付けられ、互いに所定の位置関係を保持している。このような位置関係は、電流センサ100が一次電流を正常に測定する上で規定されたものである。
〔組み立て手順例〕
次に図4は、電流センサ100の一般的な組み立て手順例を示した図である。ここでは先ず、一般的に考えられる組み立て手順例を説明する。
図4中(A):図示しない作業台等にケース体102の一端面の開口を上向きにして置き、その上方からギャップ106aの向きを合わせて磁性体コア106をケース体102の収容空間102a内に落とし込む。このとき、磁性体コア106の表裏については、グランド端子106bを上向きに突出させる向きに合わせる。磁性体コア106には相当の重さがあるので、ケース体102の開口近傍である程度まで位置を合わせておけば、磁性体コア106が自重でケース体102内に落下する。
図4中(B):磁性体コア106を落とし込んだケース体102内に、回路基板110を組み入れる(挿入する)。このとき、回路基板110の挿入位置は、実装基板112(ホール素子108)がギャップ106a内に正しく入り込む位置とする。
図4中(C):回路基板110を正しく挿入すると、周縁部がケース体102内の段付き部102cで受け止められ、ケース体102に対しても位置決めされる。これにより、電流センサ100の組み立て作業が完了する。なお、この後にケース体102内が封止樹脂で充填される。
〔破損リスク〕
図5は、組み立て作業途中の電流センサ100を示した断面図(図4中(B)のV-V線に沿う断面図)である。このうち、図5中(A)が全体的な断面を示し、図5中(B)が図5中(A)の一点鎖線で囲んだ範囲の拡大図である。
先の一般的な組み立て作業途中(図4中(B))等においては、回路基板110を挿入する際に磁性体コア106、特にギャップ106aの視認性があまり良好ではない。これに対し、ギャップ106aの間隔は規定(数mm)であり、ここに入り込むホール素子108の厚みは、実装基板112を含めた全体を最小としてもギャップ106aに対して規定より僅かに小さいだけ(数mm-α)であり、クリアランスにはあまり余裕がない。このため、挿入時に回路基板110が僅かに傾いているだけで、ホール素子108等の電子部品がギャップ106aのエッジと接触し、不所望に破損するリスクがある。
〔組立用治具〕
そこで本実施形態では、上記のような組み立て作業時の破損リスクを軽減するために、以下の組立用治具200を用いることとする。
図6は、組立用治具200の構成を示す斜視図である。図6中(A)に示す組立用治具200を異なる方向(180°反対側)から示すと、図6中(B)の斜視図となる。また、図7は、組立用治具200の内部構造を示す縦断面図(図6中(A)のVII-VII線に沿う断面図)である。
組立用治具200は、大きく分けてベース板部202、壁板部204及び磁石206から構成されている。このうちベース板部202及び壁板部204は、いずれもある程度の肉厚を有した矩形状の板材から構成されている。なお、ベース板部202及び壁板部204の材料には、例えば非磁性金属が好適に用いられるが、樹脂や木材を用いてもよい。また、ベース板部202や壁板部204は、適度に肉抜き加工が施されていてもよい。
〔ベース板部,載置面〕
ベース板部202は、図6及び図7に示すように平置きの姿勢で配置され、その上面が平滑な載置面202aとして形成されている。ベース板部202は、載置面202a上に開口を上向きにしたケース体102を安定して載置することが可能な大きさに形成されている。
〔壁板部,当接面〕
壁板部204は、ベース板部202の一側端にボルト等の締結具を用いて取り付けられ、載置面202aとの間に90°程度の開きをなす一側面が当接面204aとして形成されている。壁板部204は、載置面202a上にケース体102を載置した状態で、その側面に当接面204aを当接させることが可能な大きさに形成されている。なお本実施形態では、壁板部204に緩衝板208を取り付け可能である。したがって、壁板部204に緩衝板208を取り付けた場合、実際には緩衝板208にてケース体102の側面に当接することが可能である。このため本実施形態では、緩衝板208の表出した側面が実際の当接面となり、緩衝板208を含めて壁板部を構成する場合がある。
〔磁石〕
磁石206は、壁板部204の内部(肉厚部分)に埋設するようにして配置されている。また、磁石206の配置は、載置面202aから一定の高さに設定されている。なお、磁石206の配置と磁力の作用についてはさらに後述する。
〔案内部材〕
また、ベース板部202には、載置面202aとなる範囲の両側に一対の案内部材210が取り付けられている。一対の案内部材210は、いずれも細幅の平板形状(短冊形状)をなしており、載置面202aを中心としてベース板部202の両側縁部に分かれて配置されている。これら案内部材210は、載置面202a上にケース体102を載置した状態で、その長手方向の両側面の下端部を案内する。また、一対の案内部材210のうち一方には、上面視でベース板部202の外側方に向かって斜めに切り落とし部(符号なし)が形成されている。これにより、一対の案内部材210同士の間隔がベース板部202の外側方に向かってテーパ状に拡がり、外側方からのケース体102の受け入れを容易にしている。
〔その他〕
詳細には図示していないが、例えば図6中(B)に示されるように、壁板部204の取り付けにはボルトを用いるとともに、壁板部204に上下方向の長孔が設けられている。このため、壁板部204の高さ方向の位置をボルトで調節し、載置面202aからの磁石206の高さを適宜に調節することができる。この他にも、各案内部材210に幅方向の長孔を設けることで、ケース体102の大きさに合わせて一対の案内部材210同士の間隔を調節することもできる。
〔製造方法〕
本実施形態では、上記の組立用治具200を用いた製造方法(組み立て作業手順)を提示する。以下、本実施形態の製造方法について説明する。
図8から図11は、組立用治具200を用いた電流センサ100の製造方法の作業手順例を示す図である。このうち、図8、図9及び図11が連続図であり、図10が作業途中における中間製品の断面図(図9中(B)のX-X線に沿う断面図)である。また、図11中(B)は、図11中(A)の一点鎖線で囲まれた範囲の拡大図である。
〔第1工程〕
図8中(A):ケース体102の開口を上向きにした状態で、開口を通じてケース体102内部の収容空間102aに磁性体コア106を組み入れる。この作業は、先に一般的な手順として挙げたもの(図4中(A))と同様である。また、この作業では特に組立用治具200を用いなくてもよい。
図8中(B):上記のように、ケース体102内に磁性体コア106を組み入れたものを電流センサ100の中間製品とする。そして、ここから好適に組立用治具200が用いられる。すなわち、組立用治具200を用意し、上記の中間製品を載置面202a上に載置する。このとき、一対の案内部材210の間にケース体102を滑り込ませるようにして載置することができる。
図9中(A):載置面202a上に載置した中間製品を壁板部204の方にスライドさせる。具体的には、ケース体102の側面を磁石206及び当接面204a(ここでは緩衝板208の側面)に押し付けるようにして中間製品を滑らせる。
〔第2工程〕
図9中(B):緩衝板208を介して磁石206にケース体102を押し付けると、磁性体コア106がケース体102の底から開口面(天面)まで浮上する。すなわち、ケース体102の外側から作用させた磁石206の磁気吸引力を用いて磁性体コア106を浮き上がらせ、磁石206の磁力でケース体102開口の近傍位置に磁性体コア106を水平姿勢で保持する。これにより、ギャップ106a位置を含めた磁性体コア106の視認性が向上し、作業性を大きく高めることができる。なお、このとき緩衝板208が適度に磁力の大きさを緩和しつつ調整し、磁性体コア106の姿勢を安定させることができる。
〔磁石の配置等〕
図10:磁石206を配置する高さ(載置面202aからの高さ)は、製造対象に応じて予め設定されている。具体的には、今回の製造対象で用いるケース体102及び磁性体コア106の仕様(寸法,質量等)から、当接面204a(緩衝板208の側面)に当接させたときに磁性体コア106をケース体102の開口面(天面)に保持することを想定し、磁石206の磁力や高さ位置を予め設定しておくことができる。したがって、製造対象の仕様が異なれば、これに合わせて組立用治具200の詳細な仕様も異なってくる。
〔第3工程〕
図11中(A):ケース体102の開口面(天面)位置で保持した磁性体コア106に対し、ホール素子108や実装基板112を含む回路基板110を仮組みする。具体的には、ホール素子108及び実装基板112をギャップ106a内に正しく挿入する。
図11中(B):このとき作業者は、ギャップ106aの視認性を活かして適切な作業を行うことができるので、ホール素子108等の破損リスクが極めて低く抑えられる。なお、この段階でグランド端子106bを回路基板110に半田付けしてもよい。
〔第4工程〕
特に図示していないが、上記のように回路基板110を仮組みした後、中間製品を磁石206から離隔させて磁力を解除すれば、磁性体コア106及び回路基板110をケース体102の収容空間102a内で各収容位置に設置させることができる(図3)。
上述した実施形態の製造方法によれば、以下の利点が得られる。
(1)組み立て作業の過程で、ギャップ106aを含む磁性体コア106の視認性を向上させた状態で回路基板110を挿入することができる。
(2)視認性の向上により、作業時にホール素子108等の電子部品が破損するリスクを大幅に低減することができる。
(3)その結果、製品の歩留まりが高まり、品質を高度に維持することができる。
(4)また、組立用治具200を用いれば、簡単かつ確実に本実施形態の製造方法を使用することができる。
(5)組立用治具200は、載置面202a上に中間製品を載置し、当接面204aの磁石206にケース体102を押し付けるという作業に特化した簡易な構造であるため、制作が容易であり、作業現場の都合に合わせて充分な台数を用意することが可能である。
(6)組立用治具200は、磁石206の高さ等を組立対象の仕様に応じて調節可能であるため、製品の仕様変更にも迅速に対応することができる。
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
製造方法は、多様な形状のケース体及び磁性体部品にも対応することができ、実施形態で挙げたケース体102及び磁性体コア106の形状に限られない。
また、磁性体コア106をケース体102の開口面(天面)近傍で保持する際は、実施形態のようにギャップ106aと反対側を磁石206に押し付けることが好ましいが、ギャップ106a位置とは90°隣り合った磁性体コア106の側面を磁石206に押し付けてもよい。あるいは、作業時の視認性を向上することができるのであれば、ギャップ106aが位置する磁性体コア106の側面を磁石206に押し付けても構わない。
ホール素子108等の電子部品は、実装基板112に実装されている形態の他に、回路基板110の方に実装されている形態であってもよい。あるいは、回路基板110がなく実装基板112が単体で設けられていて、磁性体コア106のギャップ106aに挿入される部品は、実装基板112のみとしてもよい。
組立用治具200は、ベース板部202と壁板部204とが一体部品で成形されていていてもよい。また、磁石206は埋め込み式ではなく、壁板部204から突出している形態であってもよい。この場合、突出している磁石206の外面そのものが当接面となり、このような当接面に対してケース体102の側面が当接する態様であってもよい。
磁石206は、複数箇所に設けられていてもよい。あるいは、磁石206が当接面204aのほぼ全域に拡がる大きさであってもよい。この場合でも、磁力が最も強い位置で磁性体コア106を保持することができる。
磁性体部品が磁気を帯びている場合、これと極性が逆向きの磁力をケース体102の下面側から作用させ、磁性体部品の反発力で浮上させてもよい。
実施形態では、載置面202a上でケース体102をスライドさせているが、ケース体102の位置を固定として、磁石206及び壁板部204の方をケース体102の側面に対して近接させてもよい。
その他、実施形態において図示とともに挙げた構造はあくまで好ましい一例であり、基本的な構造に各種の要素を付加し、あるいは一部を置換しても本発明を好適に実施可能であることはいうまでもない。
100 電流センサ
102 ケース体
102a 収容空間
106 磁性体コア
106a ギャップ
108 ホール素子
110 回路基板
200 組立用治具
202 ベース板部
202a 載置面
204 壁板部
204a 当接面
206 磁石
208 緩衝板

Claims (7)

  1. 一端面が開口し、他端面が磁性体部品を収容可能に閉塞された容器状のケース体に、前記開口を通じて内部に前記磁性体部品を組み入れる第1工程と、
    前記第1工程で組み入れた前記磁性体部品を、前記ケース体の外側から作用させた磁力を用いて完成状態での収容位置とは異なる前記開口の近傍位置に保持する第2工程と、
    前記第2工程で保持した前記磁性体部品に対し、完成状態で所定の位置関係に組み合わされる電子部品を完成状態での収容位置とは異なる位置で仮組みする第3工程と
    を備えた電子機器の製造方法。
  2. 請求項1に記載の電子機器の製造方法において、
    前記第3工程で完成状態での収容位置とは異なる位置で仮組みした前記磁性体部品及び前記電子部品を前記ケース体の内部の完成状態における各収容位置に設置させる第4工程をさらに備えた電子機器の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法において、
    前記第2工程では、
    前記ケース体の外側面に近接して配置した磁石で前記磁性体部品を吸引することにより、前記ケース体の内部から前記開口の近傍位置まで浮上させることを特徴とする電子機器の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の電子機器の製造方法に用いられる組立用治具であって、
    組立対象の中間製品を載置可能な載置面と、
    前記載置面に載置された前記中間製品の側面に当接可能な当接面と、
    前記当接面の前記載置面から所定高さ離れた位置で、前記中間製品の内部に組み入れられた磁性体部品に対して磁力を作用させることが可能な磁石と
    を備えた組立用治具。
  5. 請求項4に記載の組立用治具において、
    上面に前記載置面を形成するベース板部と、
    前記ベース板部の一側端に取り付けられ、一側面に前記当接面を形成する壁板部とをさらに備え、
    前記磁石は、
    前記壁板部の内部に埋設されていることを特徴とする組立用治具。
  6. 請求項4又は5に記載の組立用治具において、
    前記載置面上に設けられ、載置された前記中間製品の前記当接面への近接移動を案内する案内部材をさらに備えたことを特徴とする組立用治具。
  7. 請求項4から6のいずれかに記載の組立用治具において、
    前記磁石の前記載置面からの高さ位置を、前記中間製品に応じて調節可能であることを特徴とする組立用治具。
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