以下、添付図面を参照しながら、実施の形態について説明する。各図において同一または相当する部分には同一の符号を付している。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における冷蔵庫1の正面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面の模式図である。
冷蔵庫1は、冷蔵室3と、温度切替室4と、冷凍室5と、が設けられた本体部2を備える。冷蔵室3、温度切替室4および冷凍室5は、食品等の被冷却物を収納するための貯蔵室である。
本実施の形態では、冷蔵室3は、本体部2の最上段に設けられている。冷凍室5は、本体部2の最下段に設けられている。温度切替室4は、本体部2において冷蔵室3と冷凍室5との間に設けられている。本体部2は、外箱と、内箱と、断熱部材と、から構成された断熱性を有する箱体である。外箱は、鋼等の金属で形成されており、前面に開口を有する。内箱は、樹脂で形成されており、外箱の開口から外箱内に嵌め込まれている。内箱の内部は、断熱性を有する仕切壁で各貯蔵室が区画されている。具体的には、仕切壁17によって、冷蔵室3と温度切替室4とが区画されている。また、仕切壁18によって、温度切替室4と冷凍室5とが区画されている。断熱部材は、例えば発泡ウレタンで構成されており、外箱と内箱との間の空間に充填されている。
冷蔵室3、温度切替室4および冷凍室5には、各貯蔵室を開閉するための扉がそれぞれ設けられている。例えば、冷蔵室3の前方には、片開き式の1枚扉である冷蔵室扉13が開閉自在に設けられている。温度切替室4の前方には、引出し式の温度切替室扉14が前後に開閉自在に設けられている。冷凍室5の前方には、引出し式の冷凍室扉15が前後に開閉自在に設けられている。引出し式の温度切替室扉14および冷凍室扉15は、扉本体に固定して設けられたフレームを各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに対してスライドさせることにより、冷蔵庫1の前後方向に開閉できるように構成されている。なお、上述した各貯蔵室の扉の構成は一例であり、これに限らない。例えば、冷蔵室扉13は両開き式(観音式)の2枚扉であってもよいし、温度切替室扉14および冷凍室扉15は片開き式の1枚扉であってもよい。
冷蔵室3には、食品等の被冷却物を載置する棚(不図示)が設けられている。温度切替室4には、被冷却物を内部に収納できる収納容器(不図示)が引き出し自在に設けられている。この収納容器は、温度切替室扉14のフレームによって支持されており、温度切替室扉14の開閉に連動して前後方向にスライドするように構成されている。温度切替室4と同様に、冷凍室5には、被冷却物を内部に収納できる収納容器(不図示)が引き出し自在に設けられている。
冷蔵室3は、冷蔵温度帯に設定されている。冷蔵温度帯は、例えば3℃以上5℃以下の温度帯である。冷凍室5は、冷凍温度帯に設定されている。冷凍温度帯は、冷蔵温度帯よりも低い温度帯である。冷凍温度帯は、0℃未満の温度帯であり、例えば-20℃以上-18℃以下の温度帯である。
温度切替室4は、冷蔵温度帯から冷凍温度帯までの範囲で設定温度を切り替えることができる。温度切替室4では、用途に応じて室内の温度帯が切り替えられる。本実施の形態では、温度切替室4は、主に、チルド温度帯、過冷却温度帯およびソフトフリージング温度帯の3つの温度帯に調整される。なお、温度切替室4は、これら3つの温度帯以外の温度帯に調整されてもよい。また、温度切替室4の設定温度は、冷蔵庫1の使用者が選択できる。よって、使用者が自身の生活スタイル等に合わせて温度切替室4の設定温度を調整できるので、使用者の利便性を向上させることができる。
チルド温度帯は、0℃以上3℃未満の温度帯であり、例えば1℃前後の温度帯である。温度切替室4内の温度をこの温度帯に設定することで、温度切替室4をチルド室として利用することができる。このような温度切替室4の利用方法は、冷蔵室3の容量が不足する使用者や当日に消費する食品が多い使用者を対象としている。
過冷却温度帯は、冷蔵室3よりも低温であり、食品が過冷却状態となる温度帯である。過冷却状態とは、食品の温度が凍結点(凍結温度)以下に達していても、食品の凍結が開始せず、食品が非凍結の状態を保っていることをいう。このような過冷却温度帯は、例えば食品の凍結点以下となる-3℃以上0℃未満の温度帯である。温度切替室4内の温度をこの温度帯に設定することで、温度切替室4を、食品を過冷却状態で保存する過冷却保存室として利用することができる。品質を維持したまま食品を保存するためには、食品をできるだけ低温でかつ凍結させずに維持することが望ましいところ、過冷却保存室によってこのような食品の保存を実現できる。温度切替室4を過冷却保存室として利用することによって、使用者は、肉や魚等の生鮮食品やこれらの加工品等の保存日数の短い食品を冷凍せずに保存することができる。
ソフトフリージング温度帯は、-10℃以上-5℃以下の温度帯であり、例えば-7℃前後の温度帯である。温度切替室4内の温度をこの温度帯に設定することで、温度切替室4をソフトフリージング室として利用することができる。この温度帯では、食品が長時間保存されていても、表面が固くなり過ぎないので、食品を容易に破砕したり破断したりすることが可能である。よって、使用者は、ソフトフリージング室に保存された食品を即座に使用することができる。このような温度切替室4の利用方法は、簡易的に冷凍室を使用する使用者を対象としている。
冷蔵室扉13には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、各貯蔵室内の温度設定等を行うための操作部と、各貯蔵室内の温度や設定温度等の温度情報や庫内の在庫情報等の表示を行う表示部とから構成されている。操作部は、例えば操作スイッチ等で構成され、表示部は、例えば液晶ディスプレイで構成されている。
また、冷蔵庫1は、冷却器21と、送風機22と、を有している。本体部2には、冷却器21および送風機22を収容する冷却器室23が設けられている。冷却器21は、空気を冷却する。送風機22は、冷却器21で冷却された空気(以下、「冷気」と適宜称する。)を各貯蔵室、すなわち冷蔵室3、温度切替室4および冷凍室5へ送風する。すなわち、冷却器21によって各貯蔵室内を冷却する冷気が生成され、生成された冷気が送風機22よって各貯蔵室へ送風される。本実施の形態では、冷却器室23は、冷蔵庫1の背面側にあたる本体部2の部分に設けられている。冷却器室23内において、送風機22は、冷却器21の上側に設けられている。
図3は、冷蔵庫1の冷凍サイクル27の概略図である。図3に示すように、冷却器21は、圧縮機24、凝縮器25および減圧装置26とともに冷蔵庫1の冷凍サイクル27を構成する。冷凍サイクル27では、圧縮機24、凝縮器25、減圧装置26および冷却器21が、この順で冷媒配管によって接続されている。図3における実線の矢印は、冷凍サイクル27において冷媒が循環する方向を示している。
圧縮機24は、冷媒を圧縮して高温高圧の気体の状態にする。圧縮機24は、図2に示すように、冷蔵庫1の背面側において冷却器室23の下部に設けられた機械室28に配置されている。圧縮機24から流出した高温高圧の状態の冷媒は、凝縮器25に流入する。凝縮器25は、圧縮機24から流入した冷媒の熱を放散させて、冷媒を凝縮させる。凝縮器25は、例えばフィンアンドチューブ型熱交換器等で構成される。凝縮器25で凝縮された冷媒は、減圧装置26に流入する。減圧装置26は、凝縮器25から流入した冷媒を減圧して液体と気体の二相の状態にする。減圧装置26は、例えば毛細管等で構成される。減圧装置26から流出した液体と気体の二相の状態の冷媒は、冷却器21に流入する。冷却器21は、減圧装置26で減圧された二相状態の冷媒を蒸発させ、冷媒の蒸発による吸熱作用で冷却器21周辺の空気を冷却する。すなわち、冷却器21は、冷凍サイクル27において蒸発器として機能する。冷却器21は、例えばフィンアンドチューブ型熱交換器等で構成される。冷却器21から流出した冷媒は、圧縮機24に戻る。以上の冷凍サイクル27によって、冷却器21周辺の空気が冷却され、各貯蔵室内を冷却する冷気が生成される。
本体部2には、冷却器21によって冷却された空気を各貯蔵室に供給するための冷気風路29が設けられている。冷気風路29は、冷蔵室3、温度切替室4および冷凍室5の各々と冷却器室23とを接続する。本実施の形態では、冷却器室23において、送風機22の駆動によって空気は冷却器21の下方から上方に向かう空気の流れ方向D1に流れるようになっている。冷気風路29の入口は、冷却器室23において送風機22の下流側に連通している。冷気風路29は、入口から途中で分岐して各貯蔵室に接続している。冷気風路29と冷蔵室3との接続部分には、冷気風路29の冷蔵室3への吹出口を開閉する冷蔵室ダンパ31が設けられている。冷蔵室ダンパ31の開度を変化させることによって、冷蔵室3に供給される冷気の風量を調節することができる。冷気風路29と温度切替室4との接続部分には、冷気風路29の温度切替室4への吹出口を開閉する温度切替室ダンパ32が設けられている。温度切替室ダンパ32の開度を変化させることによって、温度切替室4に供給される冷気の風量を調節することができる。冷気風路29と冷凍室5との接続部分には、冷気風路29の冷凍室5への吹出口を開閉する冷凍室ダンパ33が設けられている。冷凍室ダンパ33の開度を変化させることによって、冷凍室5に供給される冷気の風量を調節することができる。冷却器21によって生成された冷気は、送風機22によって冷気風路29に送風されて、冷気風路29から冷蔵室ダンパ31を通って冷蔵室3に供給され、冷気風路29から温度切替室ダンパ32を通って温度切替室4に供給され、冷気風路29から冷凍室ダンパ33を通って冷凍室5に供給される。
冷蔵室3には、冷蔵室3内の温度を検出するための冷蔵室温度センサ34が設けられている。冷蔵室温度センサ34は、例えば冷蔵室3の背面側の内壁面に設けられている。温度切替室4には、温度切替室4内の温度を検出するための温度切替室温度センサ35が設けられている。温度切替室温度センサ35は、例えば温度切替室4の背面側の内壁面に設けられている。冷凍室5には、冷凍室5内の温度を検出するための冷凍室温度センサ36が設けられている。冷凍室温度センサ36は、例えば冷凍室5の背面側の内壁面に設けられている。冷蔵室温度センサ34、温度切替室温度センサ35および冷凍室温度センサ36は、例えばサーミスタで構成される。
また、本体部2には、冷蔵室戻り風路40と、温度切替室戻り風路50と、冷凍室戻り風路60と、が設けられている。
冷蔵室戻り風路40は、冷蔵室3内の空気を冷却器室23に導くための風路である。温度切替室戻り風路50は、温度切替室4内の空気を冷却器室23に導くための風路である。冷凍室戻り風路60は、冷凍室5内の空気を冷却器室23に導くための風路である。冷蔵室戻り風路40、温度切替室戻り風路50および冷凍室戻り風路60は、互いに独立して設けられている。
冷蔵室戻り風路40は、冷却器室23に開口する冷蔵室戻り口41を有する。冷蔵室戻り口41は、冷却器室23において空気の流れ方向D1に対して冷却器21よりも上流側の位置に設けられている。また、冷蔵室戻り風路40は、冷蔵室3に開口する冷蔵室戻り風路入口42を有する。冷蔵室戻り風路入口42は、冷蔵室3において冷気風路29の吹出口とは離れて設けられている。本実施の形態では、冷蔵室戻り風路入口42は、冷蔵室3の背面側の内壁面に設けられている。冷蔵室3内の空気は、冷蔵室戻り風路入口42から冷蔵室戻り風路40を通って、冷蔵室戻り口41から冷却器室23へ流入する。
温度切替室戻り風路50は、複数設けられており、少なくとも2つ設けられている。本実施の形態では、温度切替室戻り風路50として、第1温度切替室戻り風路50A、第2温度切替室戻り風路50Bおよび第3温度切替室戻り風路50Cの3つが設けられている。また、温度切替室戻り風路50はそれぞれ、冷却器室23に開口する温度切替室戻り口51を有する。本実施の形態では、温度切替室戻り口51として、第1温度切替室戻り風路50Aは第1温度切替室戻り口51Aを有し、第2温度切替室戻り風路50Bは第2温度切替室戻り口51Bを有し、第3温度切替室戻り風路50Cは第3温度切替室戻り口51Cを有する。各温度切替室戻り口51は、冷却器室23において冷却器21に対向しかつ空気の流れ方向D1に対して互いに異なる位置に設けられている。本実施の形態では、3つの温度切替室戻り口51のうち、冷却器室23において空気の流れ方向D1に対して最も下流側に第1温度切替室戻り口51Aが配置され、第1温度切替室戻り口51Aの上流側に第2温度切替室戻り口51Bが配置され、さらに第2温度切替室戻り口51Bの上流側に第3温度切替室戻り口51Cが配置されている。また、第1温度切替室戻り口51A、第2温度切替室戻り口51Bおよび第3温度切替室戻り口51Cはいずれも、空気の流れ方向D1に対して冷蔵室戻り口41の下流側かつ後述する冷凍室戻り口61の上流側に配置されている。
温度切替室戻り風路50は、温度切替室4に開口する温度切替室戻り風路入口52をさらに有する。温度切替室戻り風路50は複数設けられるが、本実施の形態では、温度切替室戻り風路入口52は1つだけ設けられている。すなわち、温度切替室戻り風路入口52は、複数の温度切替室戻り風路50に対して共通に構成されている。具体的には、温度切替室戻り風路50は、1つの温度切替室戻り風路入口52から冷却器室23に至る途中で分岐して温度切替室戻り口51の各々につながるように構成されている。なお、温度切替室戻り風路50がそれぞれ独立した温度切替室戻り風路入口52を有し、各温度切替室戻り風路50が互いに独立して構成されていてもよい。
本実施の形態では、温度切替室戻り風路入口52は、温度切替室4の背面側の内壁面に設けられている。温度切替室戻り風路入口52は、温度切替室4において冷気風路29の吹出口とは離れて設けられている。温度切替室4内の空気は、温度切替室戻り風路入口52から複数の温度切替室戻り風路50のいずれか1つを通って、温度切替室戻り口51から冷却器室23へ流入する。
冷凍室戻り風路60は、冷却器室23に開口する冷凍室戻り口61を有する。冷凍室戻り口61は、冷却器室23において空気の流れ方向D1に対して冷蔵室戻り口41の下流側であって冷却器21に対向する位置に設けられている。本実施の形態では、冷凍室戻り口61は、冷却器室23において空気の流れ方向D1に対して冷蔵室戻り口41の下流側であり、さらに第1温度切替室戻り口51Aの下流側に設けられている。また、冷凍室戻り風路60は、冷凍室5に開口する冷凍室戻り風路入口62を有する。冷凍室戻り風路入口62は、冷凍室5において冷気風路29の吹出口とは離れて設けられている。本実施の形態では、冷凍室戻り風路入口62は、冷凍室5の背面側の内壁面に設けられている。冷凍室5内の空気は、冷凍室戻り風路入口62から冷凍室戻り風路60を通って、冷凍室戻り口61から冷却器室23へ流入する。
図4は、冷却器室23の構造を模式的に示す背面図である。図4を参照して、冷却器室23内における冷蔵室戻り口41、温度切替室戻り口51および冷凍室戻り口61の配置について詳述する。
本実施の形態では、図4に示すように、冷却器室23内に配置された冷却器21は、フィンが設けられた複数の伝熱管71と、U字状に形成された複数の連結管72と、を有する。伝熱管71は、上下方向に配列されている。図4の例では、上下方向に沿って8本の伝熱管が配列されている。また、上下に隣接する2本の伝熱管71は、左右方向の一端が連結管72によって連結されている。これにより、図4に示すように、ひと繋がりの冷媒管が形成されている。冷却器21の冷媒管内を流通する冷媒は、最下段の伝熱管71につながる冷却器入口側73から、最上段の伝熱管71につながる冷却器出口側74へ流れる。空気の流れ方向D1は冷却器21の下方から上方に向かう方向であるため、最下段の伝熱管71は、空気の流れ方向D1に対して複数の伝熱管71のうち最上流側に配置されており、最上段の伝熱管71は、空気の流れ方向D1に対して複数の伝熱管71のうち最下流側に配置されている。よって、減圧装置26から流入してくる低温の気液二相状態の冷媒は、冷却器入口側73から空気の流れ方向D1に対して最上流側の伝熱管71を流通し、段々と下流側の伝熱管71を流れて冷却器出口側74に至る。冷却器21を流れる二相状態の冷媒は、冷却器入口側73から冷却器出口側74に進むにつれて、伝熱管71の外側を流れる空気と熱交換を行う。これにより、二相状態の冷媒は、冷媒内の液相が蒸発しながら伝熱管71内を流れる。通常、冷却器入口側73における冷媒の温度は、冷却器出口側74における冷媒の温度よりも低い。
図4の例では、冷却器室23において、冷却器室最下部領域75、冷却器下部領域76、冷却器中下部領域77、冷却器中上部領域78および冷却器上部領域79の5つの領域が設定されている。冷却器室最下部領域75は、冷却器室23において冷却器21の下方に位置する領域であり、空気の流れ方向D1に対しては冷却器室23において最上流側に位置する領域である。冷却器下部領域76、冷却器中下部領域77、冷却器中上部領域78および冷却器上部領域79は、いずれも冷却器室23において冷却器21と重なる位置にある領域である。冷却器下部領域76が最も下方に位置し、冷却器下部領域76の上方に冷却器中下部領域77が位置し、冷却器中下部領域77の上方に冷却器中上部領域78が位置している。冷却器上部領域79は、これら4つの領域のうち最も上方に位置している。空気の流れ方向D1に対しては、上流側から冷却器下部領域76、冷却器中下部領域77、冷却器中上部領域78、冷却器上部領域79の順に並んでいる。
冷蔵室戻り口41は、冷却器室23において空気の流れ方向D1に対して冷却器21の上流側の位置として、例えば冷却器室最下部領域75に設けられる。また、冷凍室戻り口61は、冷却器室23において空気の流れ方向D1に対して冷蔵室戻り口41の下流側であって冷却器21に対向する位置として、例えば冷却器上部領域79に設けられる。複数の温度切替室戻り口51は、冷却器室23において冷却器21に対向しかつ空気の流れ方向D1に対して互いに異なる位置として、例えば冷却器下部領域76、冷却器中下部領域77および冷却器中上部領域78にそれぞれ設けられる。具体的には、第1温度切替室戻り口51Aは冷却器中上部領域78に設けられ、第2温度切替室戻り口51Bは冷却器中下部領域77に設けられ、第3温度切替室戻り口51Cは冷却器下部領域76に設けられる。
このような配置の違いにより、各貯蔵室から冷却器室23に戻る空気が冷却器21に流入してから流出するまでの熱交換を行う距離(以下、「熱交換距離」と適宜称する。)が変化し、各貯蔵室から戻る空気と冷却器21とが熱交換を行う伝熱面積が変化する。通常、冷蔵室3内の温度>温度切替室4内の温度>冷凍室5内の温度という関係がある。このため、冷蔵室3から冷却器室23に戻る空気(以下、「冷蔵室戻り空気」と適宜称する。)を最も多く冷却する必要があり、次いで温度切替室4から冷却器室23に戻る空気(以下、「温度切替室戻り空気」と適宜称する。)を多く冷却する必要があり、冷凍室5から冷却器室23に戻る空気(以下、「冷凍室戻り空気」と適宜称する。)を冷却する量は最も小さくなると考えられる。冷蔵室戻り風路40の冷蔵室戻り口41を冷却器室最下部領域75に設けることにより、冷蔵室戻り空気は、冷却器21の入口から出口まで、すなわち空気の流れ方向D1における冷却器21の上流側の端部から下流側の端部まで通過する。よって、冷蔵室戻り空気と冷却器21との熱交換距離が最も長くなり、冷却器21との伝熱面積も最大になる。一方、冷凍室戻り風路60の冷凍室戻り口61を冷却器上部領域79に設けることにより、冷凍室戻り空気は、空気の流れ方向D1における冷却器21の上流側の端部と下流側の端部との間の部分から下流側の端部まで通過する。よって、冷凍室戻り空気と冷却器21との熱交換距離が比較的短くなり、冷却器21との伝熱面積を抑制することができる。これにより、冷凍室戻り空気が冷却器21によって冷やされ過ぎることを防止し、必要最小限の熱交換を行うことで、冷却器21の熱負荷を低減することができる。また、温度切替室戻り風路50の温度切替室戻り口51を冷却器下部領域76から冷却器中上部領域78までの間に設けることにより、温度切替室戻り空気と冷却器21との熱交換距離を、冷蔵室戻り空気と冷却器21との熱交換距離よりも短く、冷凍室戻り空気と冷却器21との熱交換距離よりも長くすることができる。これにより、冷却器21における冷蔵室戻り空気の冷却量と冷凍室戻り空気の冷却量の間の冷却量で、温度切替室戻り空気を冷却することができる。
また、冷蔵庫1は、風路切替手段80と、制御装置90と、を備えている。
風路切替手段80は、温度切替室4内の空気が冷却器室23に戻る風路を、複数の温度切替室戻り風路50のうちのいずれか1つに切り替える。本実施の形態では、風路切替手段80は、温度切替室戻り風路50を開閉するダンパ(切替機構)で構成されている。具体的には、風路切替手段80は、第1温度切替室戻り風路50Aに設けられた第1温度切替室戻り風路ダンパ81Aと、第2温度切替室戻り風路50Bに設けられた第2温度切替室戻り風路ダンパ81Bと、第3温度切替室戻り風路50Cに設けられた第3温度切替室戻り風路ダンパ81Cと、を有している。第1温度切替室戻り風路ダンパ81Aは、第1温度切替室戻り風路50Aの第1温度切替室戻り口51Aを開閉するダンパである。第2温度切替室戻り風路ダンパ81Bは、第2温度切替室戻り風路50Bの第2温度切替室戻り口51Bを開閉するダンパである。第3温度切替室戻り風路ダンパ81Cは、第3温度切替室戻り風路50Cの第3温度切替室戻り口51Cを開閉するダンパである。風路切替手段80は、第1温度切替室戻り口51A、第2温度切替室戻り口51Bおよび第3温度切替室戻り口51Cのうちのいずれか1つを開き、残りの2つを閉じることで、複数の温度切替室戻り風路50のうちのいずれか1つに切り替えることができる。
制御装置90は、冷蔵庫1の動作を制御する。例えば、図2に示すように、制御装置90は、冷蔵庫1の背面側の上部に設けられる。図5は、冷蔵庫1の制御構成を示すブロック図である。本実施の形態では、制御装置90は、操作パネル6、送風機22、圧縮機24、冷蔵室ダンパ31、温度切替室ダンパ32、冷凍室ダンパ33、冷蔵室温度センサ34、温度切替室温度センサ35、冷凍室温度センサ36、第1温度切替室戻り風路ダンパ81A、第2温度切替室戻り風路ダンパ81Bおよび第3温度切替室戻り風路ダンパ81Cのそれぞれと、例えば信号線等により電気的に接続されている。制御装置90には、冷蔵室温度センサ34、温度切替室温度センサ35および冷凍室温度センサ36の各々による検出信号と、操作パネル6の操作部からの操作信号と、が入力される。制御装置90は、入力される各信号に基づいて、冷蔵室3、温度切替室4および冷凍室5の室内がそれぞれ設定された温度に維持されるように、予め記憶された動作プログラムに従って、圧縮機24の出力、送風機22の送風量および各ダンパの開度を制御する。また、制御装置90は、入力される各信号に基づいて、操作パネル6の表示部に各貯蔵室の温度等に関する表示信号を出力する。
図6は、制御装置90による温度制御に関連する機能ブロック図である。図6に示すように、本実施の形態では、制御装置90は、温度設定部91と、温度比較部92と、機器制御部93と、記憶部94と、を有する。記憶部94には、温度制御に用いられる各種データおよび動作プログラムが記憶されている。
温度設定部91は、操作パネル6の操作部からの操作信号に従って、冷蔵室3、温度切替室4および冷凍室5の各貯蔵室の設定温度を設定する。温度比較部92は、温度設定部91によって設定された各貯蔵室の設定温度と、各貯蔵室に設けられた温度センサによって検出された室内温度とを比較し、比較結果を機器制御部93へ出力する。具体的には、温度比較部92は、冷蔵室3の設定温度と冷蔵室温度センサ34によって検出された室内温度とを比較し、温度切替室4の設定温度と温度切替室温度センサ35によって検出された室内温度とを比較し、冷凍室5の設定温度と冷凍室温度センサ36によって検出された室内温度とを比較する。機器制御部93は、温度比較部92による比較結果に基づき、各貯蔵室に設けられた温度センサによって検出された室内温度が設定温度となるように、圧縮機24、送風機22、冷蔵室ダンパ31、温度切替室ダンパ32および冷凍室ダンパ33を制御する。
また、制御装置90は、温度切替室4の基準温度に基づいて、風路切替手段80に温度切替室戻り風路50を切り替えさせる制御を行う。本実施の形態では、温度切替室4の基準温度として、温度設定部91によって設定された温度切替室4の設定温度を用いており、この設定温度に基づいて、切り替える温度切替室戻り風路50を選択する。例えば、記憶部94には、温度切替室4の設定温度とその設定温度に適した温度切替室戻り風路50とが関連付けられたデータが予め記憶されている。機器制御部93は、温度設定部91によって設定された温度切替室4の設定温度と記憶部94に記憶されている当該データとを参照して、切り替える温度切替室戻り風路50を選択し、選択した温度切替室戻り風路50に切り替わるように風路切替手段80の第1温度切替室戻り風路ダンパ81A、第2温度切替室戻り風路ダンパ81Bおよび第3温度切替室戻り風路ダンパ81Cを制御する。
温度切替室4の設定温度と温度切替室戻り風路50とは、例えば次のように関連付けられる。複数の温度切替室戻り風路50はそれぞれ、空気の流れ方向D1に対して互いに頃なる位置に設けられた温度切替室戻り口51を有している。ここで、温度切替室4の設定温度が相対的に高いものほど、空気の流れ方向D1においてより上流側に位置する温度切替室戻り口51を有する温度切替室戻り風路50を関連付け、温度切替室4の設定温度が相対的に低いものほど、空気の流れ方向D1においてより下流側に位置する温度切替室戻り口51を有する温度切替室戻り風路50を関連付ける。温度切替室4の設定温度が高い場合、温度切替室4から冷却器室23に戻る空気を冷却するのに必要な冷却量が大きくなると考えられる。よって、温度切替室4から戻る空気を空気の流れ方向D1に対してより上流側に位置する温度切替室戻り口51から冷却器21に流入させることで、冷却器21における熱交換距離を十分に確保し、必要な冷却を行うことができる。一方で温度切替室4の設定温度が低い場合には、温度切替室4から戻る空気を空気の流れ方向D1に対して下流側に位置する温度切替室戻り口51から冷却器21に流入させることにより、冷却器21における熱交換距離を必要以上に長くせず、必要最小限の熱交換距離を確保するにとどめて、冷却器21の熱負荷を低減させることができる。
本実施の形態では、温度切替室4は3つの温度帯に調整でき、3つの温度切替室戻り風路50が設けられている。よって、例えば、温度切替室4がチルド温度帯に設定されている場合には、空気の流れ方向D1に対して最も上流側に配置されている第3温度切替室戻り口51Cを有する第3温度切替室戻り風路50Cを選択するように設定される。温度切替室4が過冷却温度帯に設定されている場合には、空気の流れ方向D1に対して第3温度切替室戻り口51Cの次に上流側に配置されている第2温度切替室戻り口51Bを有する第2温度切替室戻り風路50Bを選択するように設定される。また、温度切替室4がソフトフリージング温度帯に設定されている場合には、空気の流れ方向D1に対して最も下流側に配置されている第1温度切替室戻り口51Aを有する第1温度切替室戻り風路50Aを選択するように設定される。このとき、温度切替室4がチルド温度帯に設定されている場合の温度切替室戻り空気と冷却器21との熱交換距離が最も長く、温度切替室4が過冷却温度帯に設定されている場合の温度切替室戻り空気と冷却器21との熱交換距離が次いで長く、温度切替室4がソフトフリージング温度帯に設定されている場合の温度切替室戻り空気と冷却器21との熱交換距離が最も短くなる。このような関係に基づいて、制御装置90は、例えば、温度切替室4の設定温度がチルド温度帯に含まれる第1の温度である場合、風路切替手段80に、複数の温度切替室戻り風路50のうち第3温度切替室戻り口51Cを有する第3温度切替室戻り風路50Cに切り替えさせる制御を行う。また、制御装置90は、例えば、温度切替室4の設定温度が第1の温度よりも低い過冷却温度帯に含まれる第2の温度である場合、風路切替手段80に、複数の温度切替室戻り風路50のうちの、第3温度切替室戻り口51Cよりも空気の流れ方向D1に対して下流側に位置する第2温度切替室戻り口51Bを有する第2温度切替室戻り風路50Bに切り替えさせる制御を行う。
制御装置90の機能は、例えば、図7に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図7は、処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御装置90の機能は、例えば、図7に示すプロセッサ95がメモリ96に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、制御装置90の機能のうち一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ95およびメモリ96を用いて実現するようにしてもよい。
以上に説明したように、本実施の形態に係る冷蔵庫1は、冷蔵温度帯に設定される冷蔵室3と、冷凍温度帯に設定される冷凍室5と、冷蔵温度帯から冷凍温度帯までの範囲で設定温度を切り替え可能な温度切替室4と、空気を冷却する冷却器21と、冷却器21で冷却された空気を冷蔵室3、冷凍室5および温度切替室4へ送風する送風機22と、を収容する冷却器室23と、冷却器室23において冷却器室23内の空気の流れ方向D1に対して冷却器21よりも上流側の位置に開口する冷蔵室戻り口41を有し、冷蔵室3内の空気を冷却器室23へ導く冷蔵室戻り風路40と、冷却器室23において空気の流れ方向D1に対して冷蔵室戻り口41の下流側であって冷却器21に対向する位置に開口する冷凍室戻り口61を有し、冷凍室5内の空気を冷却器室23へ導く冷凍室戻り風路60と、冷却器室23において冷却器21に対向しかつ空気の流れ方向D1に対して互いに異なる位置に開口する温度切替室戻り口51を各々有し、温度切替室4内の空気を冷却器室23へ導く複数の温度切替室戻り風路50と、が設けられた本体部2と、温度切替室4内の空気が冷却器室23へ戻る風路を、複数の温度切替室戻り風路50のうちのいずれか1つに切り替える風路切替手段80と、温度切替室4の基準温度である設定温度に基づいて、風路切替手段80に温度切替室戻り風路50を切り替えさせる制御を行う制御装置90と、を備えるものである。
このような構成によって、冷蔵温度帯から冷凍温度帯までの広い範囲で設定温度を切り替えられる温度切替室4から空気が冷却器室23へ戻る風路を、そのときの温度切替室4の設定温度に基づいて、空気の流れ方向D1に対して異なる位置に開口する温度切替室戻り口51のうち適切な位置にある温度切替室戻り口51を有する温度切替室戻り風路50に切り替えることができる。これにより、温度切替室4の設定温度に応じて、温度切替室4から冷却器室23に戻る空気と冷却器21とが熱交換を行う距離および伝熱面積を適切に確保できる。このように温度切替室4から冷却器室23に戻る空気と冷却器21とが必要最小限の熱交換を行うことで、冷却器21の熱負荷を抑制させることができ、これに伴い冷却器21とともに冷凍サイクル27を構成する圧縮機24の仕事量を抑制することができる。これにより、冷蔵庫1の消費電力を抑制することができる。
また、制御装置90は、風路切替手段80に、温度切替室4の基準温度である設定温度が第1の温度帯に含まれる場合、複数の温度切替室戻り風路50のうちの第1の温度切替室戻り風路に切り替えさせ、温度切替室4の設定温度が第1の温度帯よりも低い第2の温度帯に含まれる場合、複数の温度切替室戻り風路50のうちの、第1の温度切替室戻り風路が有する温度切替室戻り口51よりも空気の流れ方向D1に対して下流側に位置する温度切替室戻り口51を有する第2の温度切替室戻り風路に切り替えさせる制御を行う。このような構成により、温度切替室4の設定温度が相対的に低い場合、風路切替手段80によって、空気の流れ方向D1に対して相対的に下流側に位置する温度切替室戻り口51を有する温度切替室戻り風路50に切り替えられ、温度切替室4の設定温度が相対的に高い場合、風路切替手段80によって、空気の流れ方向D1に対して相対的に上流側に位置する温度切替室戻り口51を有する温度切替室戻り風路50に切り替えられる。これにより、温度切替室4の設定温度が高い場合には、温度切替室4から冷却器室23に戻る空気と冷却器21とが熱交換を行う距離を長く伝熱面積を大きくするようにでき、温度切替室4の設定温度が低い場合には、温度切替室4から冷却器室23に戻る空気と冷却器21とが熱交換を行う距離を短く伝熱面積を小さくするようにできる。よって、温度切替室4から冷却器室23に戻る空気と冷却器21との熱交換をより適切に行うことができ、冷却器21の熱負荷を抑制させることができる。
複数の温度切替室戻り風路50の温度切替室戻り口51はいずれも、空気の流れ方向D1に対して冷蔵室戻り口41の下流側かつ冷凍室戻り口61の上流側に配置されている。このような構成により、温度切替室4から冷却器室23に戻る空気と冷却器21とが熱交換を行う距離を、冷蔵室3から冷却器室23に戻る空気と冷却器21とが熱交換を行う距離と冷凍室5から冷却器室23に戻る空気と冷却器21とが熱交換を行う距離との間の範囲に調整することができる。これにより、温度切替室4に設定され得る冷蔵温度帯から冷凍温度帯までの範囲の温度に対応して、温度切替室4から冷却器室23に戻る空気と冷却器21とが熱交換を行う距離を確保することができる。
温度切替室4は、0℃以上3℃未満のチルド温度帯と、-3℃以上0℃未満の過冷却温度帯と、-10℃以上-5℃以下のソフトフリージング温度帯と、の少なくとも3つの温度帯に切り替え可能である。このような構成によって、温度切替室4を、チルド室、過冷却保存室またはソフトフリージング室として利用できる。チルド室としての利用では、冷蔵室3の容量不足を補うこと等ができ、過冷却保存室としての利用では、生鮮食品等を品質を維持したまま保存することができ、ソフトフリージング室としての利用では、食品を即座に使用できるような態様で冷凍保存することができる。したがって、冷蔵庫1の使用者の利便性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態では、冷蔵庫1は、冷蔵室3、温度切替室4および冷凍室5を有し、上からこの順で配置されていたが、冷蔵庫1が有する貯蔵室の数や種類、配置はこれに限らない。例えば、冷蔵庫1は、冷蔵室3に加えてさらに他の冷蔵室を有してもよいし、他の種類の貯蔵室を有してもよい。また、例えば、冷凍室が冷蔵庫1の上部に設けられていてもよい。加えて、各貯蔵室に1つの扉が設けられていたが、これに限らず、例えば、温度切替室4と冷凍室5とを共通の扉で開閉するように構成されていてもよい。
また、制御装置90は、温度切替室4の基準温度として設定温度に基づいて、風路切替手段80を制御していたが、これに限らない。温度切替室4の基準温度は、測定された温度切替室4の室内温度であってもよい。例えば、制御装置90は、温度切替室4内の温度を検出する温度切替室温度センサ35によって検出された室内温度に基づいて、風路切替手段80を制御してもよい。このような構成により、温度切替室4が開かれて外気が流入し、室内温度が大きく上昇した場合に、その上昇した温度に応じて温度切替室戻り風路50を切り替えることができ、上昇した温度に対応した冷却量で温度切替室戻り空気と冷却器21との熱交換を行うことができる。さらに、温度切替室4の基準温度は、例えば、温度切替室4の設定温度と測定された室内温度との平均値であってもよい。温度切替室4の基準温度は、温度切替室4の設定温度と測定された室内温度との少なくとも一方に基づくものであればよい。
温度切替室4において調整される温度帯の数と温度切替室戻り風路50との数は、上述した説明では一致していたが、特に限定されない。例えば、温度切替室4において調整される温度帯の数が3つに対して、温度切替室戻り風路50との数が2つであってもよい。この場合、一例としては、温度切替室4の温度帯がチルド温度帯および過冷却温度帯のいずれかの場合に、冷却器室23において空気の流れ方向D1に対して上流側に位置する温度切替室戻り口51を有する温度切替室戻り風路50に切り替え、温度切替室4の温度帯がソフトフリージング温度帯の場合に、空気の流れ方向D1に対して下流側に位置する温度切替室戻り口51を有する温度切替室戻り風路50に切り替えるようにしてもよい。
貯蔵室内に収納される被冷却物は食品であるとして説明したが、これに限らない。例えば、被冷却物は、食用ではない小動物の生肉等のように自然界から採取されるものであってもよいし、クローン動物等の実験用の動物の生肉であってもよい。
実施の形態2.
次に、実施の形態2について、図8および図9を参照して説明する。図8は、本実施の形態における冷蔵庫101の温度切替室戻り風路150周辺の模式図である。図9は、冷蔵庫101の制御構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態のうち、実施の形態1と同様の部分の説明は省略する。
実施の形態1における風路切替手段80は、各温度切替室戻り風路50の温度切替室戻り口51を開閉するダンパで構成されていたのに対して、本実施の形態における風路切替手段180は、温度切替室戻り風路150に設けられた切替弁(切替機構)で構成されている点で異なっている。
図8に示すように、本実施の形態では、冷蔵庫101には、複数の温度切替室戻り風路150として、第1温度切替室戻り風路150Aと、第2温度切替室戻り風路150Bと、第3温度切替室戻り風路150Cと、が設けられている。また、冷却器室23に開口する温度切替室戻り口151として、第1温度切替室戻り風路150Aは第1温度切替室戻り口151Aを有し、第2温度切替室戻り風路150Bは第2温度切替室戻り口151Bを有し、第3温度切替室戻り風路150Cは第3温度切替室戻り口151Cを有する。冷却器室23において、空気の流れ方向D1に対して上流側から第3温度切替室戻り口151C、第2温度切替室戻り口151Bおよび第1温度切替室戻り口151Aの順で配置されている。温度切替室戻り風路150は、実施の形態1の温度切替室戻り風路50と同様に、1つの温度切替室戻り風路入口52から冷却器室23に至る途中で分岐して温度切替室戻り口151の各々につながるように構成されている。具体的には、温度切替室戻り風路入口52の下流側にある第1分岐部分153において、第3温度切替室戻り風路150Cが第1温度切替室戻り風路150Aおよび第2温度切替室戻り風路150Bと分岐している。また、第1分岐部分153の下流側にある第2分岐部分154において、第1温度切替室戻り風路150Aと第2温度切替室戻り風路150Bとが分岐している。
冷蔵庫101の風路切替手段180は、複数の温度切替室戻り風路150の分岐した部分において温度切替室戻り風路150を切り替える切替機構を有する。本実施の形態では、風路切替手段180は、切替機構として、第1分岐部分153に設けられた第1切替弁182と、第2分岐部分154に設けられた第2切替弁183と、を有する。第1切替弁182は、第3温度切替室戻り風路150Cと第1温度切替室戻り風路150Aおよび第2温度切替室戻り風路150Bの共通の風路とのいずれか一方に切り替える。第2切替弁183は、第1温度切替室戻り風路150Aと第2温度切替室戻り風路150Bとのいずれか一方に切り替える。例えば、風路切替手段180が複数の温度切替室戻り風路150のうち第1温度切替室戻り風路150Aに切り替える場合、第1切替弁182は、第3温度切替室戻り風路150Cを閉鎖して第1温度切替室戻り風路150Aおよび第2温度切替室戻り風路150Bの共通の風路に切り替え、第2切替弁183は、第2温度切替室戻り風路150Bを閉鎖して第1温度切替室戻り風路150Aに切り替える。
図9に示すように、本実施の形態では、制御装置90は、第1切替弁182および第2切替弁183のそれぞれと、例えば信号線等により電気的に接続されている。制御装置90は、実施の形態1と同様に、温度切替室4の設定温度に基づいて、風路切替手段180に温度切替室戻り風路150を切り替えさせる制御を行う。このとき、制御装置90は、温度切替室4の設定温度に基づいて切り替える温度切替室戻り風路150を選択し、選択した温度切替室戻り風路150に切り替わるように第1切替弁182および第2切替弁183を制御する。
上述したように、本実施の形態では、複数の温度切替室戻り風路150は、温度切替室4に開口する温度切替室戻り風路入口52から冷却器室23に至る途中で分岐して温度切替室戻り口151の各々につながるように構成されており、風路切替手段180は、複数の温度切替室戻り風路150の分岐した部分において温度切替室戻り風路150を切り替える第1切替弁182および第2切替弁183を有する。このような構成にすることで、温度切替室戻り風路150の各温度切替室戻り口151にダンパ等の切替機構を設ける場合に比べて、切替機構の個数を減らすことができ、より安価に風路切替手段を構成することができる。
実施の形態3.
次に、実施の形態3について、図10および図11を参照して説明する。図10は、本実施の形態における冷蔵庫201の温度切替室戻り風路150周辺の模式図である。図11は、冷蔵庫201の制御構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態のうち、上述した実施の形態と同様の部分の説明は省略する。
本実施の形態における冷蔵庫201は、実施の形態2における冷蔵庫101に対して、切替機構の凍結を防止する加熱手段をさらに備える点で異なっている。このような加熱手段は、例えば電気ヒータで構成される。図10に示すように、本実施の形態では、冷蔵庫201は、加熱手段として、第1凍結防止ヒータ184と、第2凍結防止ヒータ185と、を備える。第1凍結防止ヒータ184は、第1切替弁182の凍結を防止するため、第1分岐部分153の周囲に設けられている。第2凍結防止ヒータ185は、第2切替弁183の凍結を防止するため、第2分岐部分154の周囲に設けられている。第1切替弁182および第2切替弁183は、実施の形態1におけるダンパと異なり、温度切替室戻り風路150の内壁と直接接することで風路の切替えを行う。このため、長期間にわたって第1切替弁182や第2切替弁183を動作させていない場合、風路内壁と接しているためこれらの切替弁が凍結する可能性がある。第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185によって、第1分岐部分153および第2分岐部分154をそれぞれ加熱し、このような切替弁の凍結を防止している。
図11に示すように、本実施の形態では、制御装置90は、第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185の各々と、例えば信号線等により電気的に接続されている。制御装置90は、第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185の各々を通電制御することによって、各々を加熱動作させる。制御装置90は、第1切替弁182および第2切替弁183の凍結を防止するため、例えば、一定期間毎に第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185を動作させる。
なお、第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185を加熱させるタイミングは、冷却器21の霜取り時と同期させてもよい。通常、冷却器室23に流入する空気には水蒸気が含まれ、その水蒸気が霜として冷却器21に付着する。冷却器21に霜が付着すると、冷凍サイクル27の熱交換効率が低下し、その結果、冷蔵庫201の消費電力が増加する。このため、冷却器21には、霜取りのための除霜ヒータ(不図示)が設けられている。冷却器21の霜取り時にはこの除霜ヒータが動作する。
第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185を常時動作させると消費電力の増加を招くとともに、温度切替室戻り風路150を過熱してしまい、温度切替室戻り空気の冷却を阻害する可能性がある。そこで、冷却器21の霜取り中に第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185を動作させることにより、除霜ヒータによる冷却器21周りの昇温に合わせて第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185を最小限の加熱とし、温度切替室戻り空気の冷却の阻害とならずに、第1切替弁182および第2切替弁183の凍結防止を実施することができる。
上述したように、本実施の形態では、冷蔵庫201は、第1切替弁182および第2切替弁183の凍結を防止する第1凍結防止ヒータ184および第2凍結防止ヒータ185をさらに備える。このような構成により、温度切替室戻り風路150の分岐した部分に設けられる第1切替弁182および第2切替弁183が凍結して動作できなくなることを防止することができる。
なお、各実施の形態を、適宜、組み合わせたり、変形や省略したりすることも、実施の形態で示された技術的思想の範囲に含まれる。