JP7284860B2 - 空調ドレン用管 - Google Patents

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Description

本発明は、空調ドレン用管に関する。
空調ドレン用管として、断熱性に優れたものが要求されている。このような空調ドレン用管としては、塩化ビニル系樹脂を含み、発泡層と、発泡層の内面に積層された非発泡内層と、発泡層の外面に積層された非発泡外層と、を有する三層構造の管が好ましく用いられる。
特許文献1では、押出成形時に、発泡層用の熱可塑性樹脂組成物の外面を冷却することにより被覆層を形成して三層構造の管を製造する方法が提案されている。
特開2015-96314号公報
しかし、特許文献1の方法で得られる管は、外部からの衝撃に弱く割れやすいという問題がある。
本発明の目的は、外部からの衝撃に強い空調ドレン用管を提供することである。
本発明は以下の態様を有する。
[1]塩化ビニル系樹脂(B)を含む筒状の発泡層と、
前記発泡層の外面に設けられ、塩化ビニル系樹脂(A)を含む非発泡外層と、を備える空調ドレン用管であって、
前記発泡層の発泡倍率が3.5倍以上であり、
前記塩化ビニル系樹脂(A)が、塩化ビニル樹脂とエラストマー樹脂との混合物、又は塩化ビニル樹脂にエラストマー樹脂がグラフト重合したグラフト重合体である、空調ドレン用管。
[2]前記塩化ビニル系樹脂(A)が含有する塩化ビニル樹脂の平均重合度が、800以上1000以下である、[1]に記載の空調ドレン用管。
本発明によれば、外部からの衝撃に強い空調ドレン用管を提供できる。
本発明の空調ドレン用管の一例を示す断面図である。 融着強度を測定するための装置を示す正面図である。 本発明の空調ドレン用管の他の例を示す断面図である。 空調ドレン用管を製造するための製造装置の平面図である。 空調ドレン用管を製造するための製造装置の正面図である。 空調ドレン用管の製造装置に用いる金型と管外面成形用チューブを示す構成図である。 比較例2の空調ドレン用管を製造するための製造装置の平面図である。 比較例2の空調ドレン用管を製造するための製造装置の正面図である。 比較例2の空調ドレン用管の製造装置に用いる金型と管外面調整装置と冷却装置とを示す構成図である。 図9におけるA部の拡大図である。
≪空調ドレン用管≫
本発明の空調ドレン用管は、塩化ビニル系樹脂(B)を含む筒状の発泡層と、前記発泡層の外面に設けられ、塩化ビニル系樹脂(A)を含む非発泡外層と、を備える。
図1は、本発明の空調ドレン用管の一例を示す断面図である。図1に示すように、空調ドレン用管10は、筒状の発泡層2と、発泡層2の外面に積層された非発泡外層3と、を備える。
空調ドレン用管10は、施工現場において任意の長さに切断され、ソケットやエルボ、チーズ等の管継手(不図示)の受口に空調ドレン用管10の端部を挿入することで接続される。空調ドレン用管10と管継手とは、空調ドレン配管を構成する。そのため、管継手の受口内部において、空調ドレン用管10の端面(切断面)には発泡層2、非発泡外層3がそれぞれ露出している。
空調ドレン用管10は、発泡層2の独立気泡率が高く、管内部を流下するドレン排水が浸透しにくいため、従来の様に空調ドレン用管の端部に接着剤を均一に塗布したり、管継手の内部に環状弾性体を設けたりしなくともよい。
空調ドレン用管10の外径は、例えば、32mm以上100mm以下が好ましい。空調ドレン用管10の内径は、例えば、19mm以上80mm以下が好ましい。発泡層2、非発泡外層3を合わせた空調ドレン用管10の厚さは、例えば、6mm以上10mm以下が好ましい。
空調ドレン用管10の縦弾性係数は、400MPa以上1500MPa以下が好ましく、500MPa以上1300MPa以下がより好ましく、600MPa以上1000MPa以下がさらに好ましい。
縦弾性係数を上記数値範囲内とすることにより、空調ドレン用管10が外力を受けた際、曲げや伸びの変形を抑えつつ、これらの外力に柔軟に追従して空調ドレン用管10が破壊されるのを防ぐことができる。
縦弾性係数は、縦弾性率、ヤング率とも呼ばれ、JIS K 7161-1:2014に従い、引張試験により得られる引張応力と引張ひずみから求められる。
縦弾性係数は、塩化ビニル系樹脂の重合度や発泡層2の発泡倍率、発泡層2、非発泡外層3のそれぞれの厚さ等により調節することができる。
<非発泡外層>
非発泡外層3は塩化ビニル系樹脂(A)を含む非発泡層である。ここで、非発泡層とは塩化ビニル系樹脂が発泡剤を含まず、発泡剤の膨張による気泡が形成されていない層を指す。
塩化ビニル系樹脂(A)としては、塩化ビニル樹脂とエラストマー樹脂との混合物か、エラストマー樹脂に塩化ビニル樹脂がグラフト重合したグラフト重合体であってもよい。 塩化ビニル樹脂としては、ポリ塩化ビニルでもよいし、塩化ビニル単量体と、該塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。上記塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化アリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の単量体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されても良い。
エラストマー樹脂としては、例えば、塩素化ポリエチレン(CPE)、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、アルキル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
塩化ビニル樹脂:エラストマー樹脂で表される質量比は、100:4~100:10が好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂としては、ホモポリマーのガラス転移温度がー20℃未満のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを主体とするものが好ましい。上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチル琥珀酸等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用しても良い。
上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂の形態や構造としては特に限定されないが、例えば、樹脂粒子の内部(コア部)と表層部(シェル部)のモノマー組成が異なるコアシェル構造は、狙いとする性能に応じ、コア部とシェル部に相違する機能を持たせることが可能となるので好ましい。上記コア部に用いられるアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、成形体の耐衝撃性向上を考えた場合、ガラス転移温度の低いものを用いることが好ましく、例えば、2-エチルヘキシルアクリレートが好適に使用され、シェル部には、上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂のハンドリング性向上の点から、n-ブチルアクリレートが用いられるのが好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂としては、上記アルキル(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して多官能性モノマー0.01~15重量部添加されたものであってもよい。上記多官能性モノマーの添加量が、上記アルキル(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して0.01重量部未満であると、最終的に得られる成形体の耐久性が低下し、15重量部を超えると、耐衝撃性が低下する。
上記多官能性モノマーしては、上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート類;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル化合物;ブタジエン等の不飽和化合物等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用しても良い。
上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂を得る方法としては特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。耐衝撃性の発現性を考慮すると、乳化重合法が好ましい。乳化重合法では、上記アルキル(メタ)アクリレートモノマーの乳化液中での分散安定性を向上させ、重合を効率的に行う目的で、乳化分散剤が添加される。上記乳化分散剤としては特に限定されず、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリビニルアルコール、セルロース系分散剤、ゼラチンなどが挙げられる。
また、乳化重合法では、重合開始剤が使用される。重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水の水溶性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。さらに、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤等が添加されていてもよい。
上記乳化重合法としては特に限定されず、モノマーの添加方法の違いから、例えば、一括重合法、モノマー滴下法、エマルジョン滴下法等が挙げられる。一括重合法は、例えば、ジャケット付重合反応器内に、純水、乳化分散剤、重合開始剤及び混合モノマー〔上記アルキル(メタ)アクリレートモノマー+必要に応じて添加される上記多官能性モノマー〕を一括して添加し、窒素気流による酸素除去及び加圧の条件下において、撹拌により充分乳化した後、器内をジャケットにより加熱することで重合する方法である。
モノマー滴下法は、例えば、ジャケット付重合反応器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を入れ、窒素気流下による酸素除去及び加圧の条件下において、まず器内をジャケットにより加熱した後、上記混合モノマーを一定量ずつ滴下することにより徐々に重合する方法である。
エマルジョン滴下法は、例えば、上記混合モノマー、乳化分散剤、純水を撹拌により充分乳化することにより予め乳化モノマーを調整し、ついでジャケット付重合反応器内に純水、重合開始剤を入れ、窒素気流下による酸素除去及び加圧の条件下において、まず器内をジャケットにより加熱した後、上記乳化モノマーを一定量ずつ滴下することにより重合する方法である。
上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂がコアシェル構造を有している場合においても、その形成方法は特に限定されないが、例えば、まず、コア部を構成する混合モノマー〔上記アルキル(メタ)アクリレートモノマー+必要に応じて添加される上記多官能性モノマー〕、純水及び乳化剤から調製した乳化モノマーに重合開始剤を加えて重合反応を行い、コア部の樹脂粒子を形成し、次いで、シェル部を構成する混合モノマー〔上記アルキル(メタ)アクリレートモノマー+必要に応じて添加される上記多官能性モノマー〕、純水及び乳化剤から調製した乳化モノマーを添加し、上記コア部にシェル部をグラフト共重合させる方法等が挙げられる。
このようにして得られたアルキル(メタ)アクリレート樹脂は、上記コア部の表面を上記シェル部が三次元的に覆い、上記シェル部を構成する共重合体と上記コア部を構成する共重合体とが部分的に共有結合し、上記シェル部が三次元的な架橋構造を形成している。上記方法において、上記シェル部のグラフト共重合は、上記コア部の重合と同一の重合工程で連続して行ってもよい。
上記コア部と上記シェル部の割合は、上記乳化重合法において、コア部を形成する混合モノマーとシェル部を形成する混合モノマーとの割合を調整することによって調節可能である。
塩化ビニル系樹脂(A)としては、上記の方法で得られるアルキル(メタ)アクリレート樹脂を用い、このアルキル(メタ)アクリレート樹脂に、塩化ビニル、又は、塩化ビニルと塩化ビニルと共重合可能な他の単量体、からなる塩化ビニル系樹脂(A)がグラフト共重合されてなるものが好適に使用される。
上記塩化ビニル系樹脂を得る方法としては特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。なかでも、懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法では、上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂の分散安定性を向上させ、塩化ビニル又は塩化ビニルと、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体との混合物のグラフト共重合を効率的に行う目的で、分散剤及び油溶性重合開始剤を使用する。
上記分散剤としては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン無水マレイン酸-スチレン共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上併用しても良い。
上記油溶性重合開始剤としては、グラフト共重合に有利な点から、ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。本発明で用いられる重合開始剤は例えば、t-ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、イソブチリルパーオキサイド、α、α' ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類;2,2-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
上記の懸濁重合法では、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤等が添加されていてもよい。
上記懸濁重合法においては、具体的には、例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純水、上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂、分散剤、油溶性重合開始剤、及び、必要に応じて、重合調整剤を投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、さらに撹拌条件下で塩化ビニル、及び、必要に応じて、他のビニルモノマーを投入した後、反応容器内をジャケットにより加熱し、塩化ビニルのグラフト共重合を行う。
上記塩化ビニルのグラフト共重合は、発熱反応であるので、ジャケット温度を変えることにより反応容器内の温度を制御することができる。反応終了後は、未反応の塩化ビニルを除去してスラリー状にし、更に脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂を製造することができる。以上の製造方法により製造された塩化ビニル系樹脂は、アルキル(メタ)アクリレート樹脂に塩化ビニル系樹脂(A)をグラフト共重合して得られるので、耐衝撃性に優れた塩化ビニル系樹脂成形体を成形することができる。
非発泡外層3は塩化ビニル系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブテン、塩素化ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
塩化ビニル系樹脂(A)の質量平均分子量は37500以上81000以下が好ましく、50000以上81000以下がより好ましい。
質量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定値である。
塩化ビニル系樹脂(A)中の塩化ビニル樹脂の平均重合度は600以上1300以下が好ましく、800以上1300以下がより好ましく、800以上1000以下がさらに好ましい。
なお、平均重合度は、質量平均分子量をクロロエチレンの分子量で除することにより算出できる。
非発泡外層3の厚さは0.6mm以上1.5mm以下が好ましく、1.0mm以上1.3mm以下がより好ましい。非発泡外層3の厚さを上記下限値以上とすることにより、外部からの衝撃により強くすることができる。非発泡外層3の厚さを上記上限値以下とすることにより、空調ドレン用管10を軽量にできる。また、発泡層2の厚さを厚くできるため、空調ドレン用管10を断熱性に優れたものにできる。
外部からの衝撃により強くする場合には、非発泡外層3の厚さは、1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上3.5mm以下がより好ましい。
非発泡外層3には顔料が含まれていてもよい。顔料が含まれていることにより、外観を良好にすることができる。
<発泡層>
発泡層2は、塩化ビニル系樹脂(B)を含む樹脂、及び発泡剤を含む発泡層用熱可塑性樹脂組成物を発泡させて形成される。
塩化ビニル系樹脂(B)としては、塩化ビニル樹脂であってもよいし、塩化ビニル樹脂とエラストマー樹脂との混合物か、エラストマー樹脂に塩化ビニル樹脂がグラフト重合したグラフト重合体であってもよい。
塩化ビニル樹脂としては、ポリ塩化ビニルでもよいし、塩化ビニル単量体と、該塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。上記塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化アリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の単量体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されても良い。
エラストマー樹脂としては、例えば、塩素化ポリエチレン(CPE)、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、アルキル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂(B)は、塩化ビニル系樹脂(A)と同一であってもよく、異なっていてもよい。
発泡層2の厚さは、4.0mm以上10mm以下が好ましい。
発泡層2は塩化ビニル系樹脂(B)以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブテン、塩素化ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
塩化ビニル系樹脂(B)の質量平均分子量は37500以上62500以下が好ましく、44000以上56000以下がより好ましい。
塩化ビニル系樹脂(B)中の塩化ビニル樹脂の平均重合度は600以上1000以下が好ましく、700以上900以下がより好ましい。
発泡剤としては、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれを使用してもよい。
揮発性発泡剤としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等が挙げられる。このうち脂肪族炭化水素としては、例えばプロパン、ブタン(ノルマルブタン、イソブタン)、ペンタン(ノルマルペンタン、イソペンタンなど)等が挙げられ、脂環族炭化水素としては、例えばシクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えばトリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素などの1種または2種以上が挙げられる。さらにエーテルとしては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられ、ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
また分解型発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウムなどの無機系発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの有機系発泡剤が挙げられる。
また、上記炭化水素が熱可塑性樹脂内に内包された熱膨張性カプセルを用いてもよい。 その他、炭酸ガス、窒素、空気等のガスを発泡剤として用いてもよい。
これらは単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
発泡層2には、安定剤として鉛化合物(鉛系安定剤)、CaZn化合物(CaZn系安定剤)、錫化合物(錫系安定剤)等公知の安定剤が含まれていてもよい。特に、錫化合物を含む安定剤が含まれていることにより、樹脂の熱安定性を高めやすくなる。錫化合物としては、メルカプト系、ラウレート系、マレート系が好ましい。
これらの化合物の存在、及びその含有量は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)等により確認することができる。ICP-AESの場合、EN ISO17353:2004に準拠して測定できる。
発泡層2には、滑剤が含まれていてもよい。滑剤が含まれていることにより、金属面との滑り性や樹脂間の滑り性を保持しやすくなる。滑剤としては、エステル系、ポリエチレン系、酸化ポリエチレン系が好ましい。
発泡層2の発泡倍率は3.5倍以上であり、4.0倍以上が好ましい。また、8.0倍以下が好ましく、6.0倍以下がより好ましい。
発泡倍率を上記範囲内とすることにより、断熱性と管の強度を両立することができる。また、発泡倍率を上記範囲内とすることにより、空調ドレン用管10を軽量にできる。 発泡倍率は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
なお、発泡倍率は以下の方法で測定することができる。
[発泡倍率の測定方法]
空調ドレン用管10から円周方向10mm以上、軸方向50mmを切り出し、非発泡外層3をフライスで切削し、発泡層2だけを長さ約50mm程度の板状に加工したものを試験片とする。なお、試験片は内周方向に均等に4分割した点を中心に4個作成するものとする。
試験片をJIS K 7112:1999に従い、23℃±2℃で水置換式比重測定機で見かけ密度を小数点以下3桁まで求め、下記式(1)により発泡倍率を算出する。
m=γc/γ ・・・(1)
[式(1)中、mは発泡倍率であり、γは発泡層2の見かけ密度(g/cm)であり、γcは発泡層2の未発泡時の密度(g/cm)である。]
発泡層2の独立気泡率は、20%以上が好ましく、45%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましい。独立気泡率の上限値は特に限定されず、実用的には95%以下とされ、100%であっても、90%以下であってもよい。 独立気泡率を上記範囲内とすることにより、断熱性を向上させ、発泡層2への水の浸透を防止できる。また、発泡層2の独立気泡率が上記数値範囲内であると、後述する非発泡外層3の厚さを薄くしても外部から水が浸透しにくく、断熱性が低下するおそれが低い。 独立気泡率は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
なお、独立気泡率は以下の方法で測定することができる。
[独立気泡率の測定方法]
空調ドレン用管10を約30mmの長さに切断し、周長約20mmとなるように周方向に切断し、NTカッターにて非発泡外層3を除去したものを試験片とする。
JIS K 7138に従い、23℃±2℃で空気比較式比重計で体積を測定し、JIS K 7112:1999に従い、23℃±2℃で水置換式比重計で求めた体積を測定し、下記式(2)により独立気泡率を測定する。
Cc=(Va/Vaq)×100 ・・・(2)
[式(2)中、Ccは独立気泡率(%)であり、Vaは空気比較式体積(cm)であり、Vaqは水置換法体積(cm)である。]
発泡層2の平均気泡径は、30μm以上1000μm以下が好ましく、40μm以上700μm以下がより好ましく、50μm以上400μm以下がさらに好ましく、50μm以上250μm以下が特に好ましい。
平均気泡径を上記範囲内とすることにより、断熱性を向上させ、発泡層2への水の浸透を防止できる。気泡が完全な独立気泡(独立気泡率が100%)でなく、気泡壁が一部連通していて水の浸透が可能であっても、平均気泡径を上記範囲とし、かつ、独立気泡率が上記範囲内であれば、水が発泡層2の内部深くまで浸透することは無く、実用において断熱性能が問題となることは無い。
平均気泡径は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
なお、平均気泡径は以下の方法で測定することができる。
[平均気泡径の測定方法]
空調ドレン用管の円周方向に切断し、JIS K 6400-1に従い、切断した空調ドレン用管の円環状の端面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて20倍で撮影し、撮影した画像上に3.6cmの直線(実際の管断面における長さ1800μmに相当する)を8本引き(垂直方向(管断面の厚さ方向)に2本、水平方向(管断面の周方向)に2本、水平方向に対し斜め45°に2本、水平方向に対し斜め135°に2本)、各直線上の気泡数で1800μmを割った値を気泡径(μm)とした。そして、8本の直線から得られる気泡径の平均値を平均気泡径とする。
<非発泡内層>
本発明の空調ドレン用管は、図3に示すように、発泡層2の内面に設けられ、塩化ビニル系樹脂(C)を含む非発泡層である非発泡内層1を有していてもよい。塩化ビニル系樹脂(C)は、塩化ビニル樹脂であってもよいし、塩化ビニル樹脂とエラストマー樹脂との混合物か、エラストマー樹脂に塩化ビニル樹脂がグラフト重合したグラフト重合体であってもよい。
塩化ビニル樹脂としては、ポリ塩化ビニルでもよいし、塩化ビニル単量体と、該塩化ビニル単量体と共重合可能な他の共重合体であってもよい。上記塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化アリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の単量体が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されても良い。
エラストマー樹脂としては、例えば、塩素化ポリエチレン(CPE)、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、アルキル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
塩化ビニル樹脂:エラストマー樹脂で表される質量比は、100:4~100:10が好ましい。
塩化ビニル系樹脂(C)は、塩化ビニル系樹脂(A)と同一であってもよく、異なっていてもよい。
非発泡内層1は塩化ビニル系樹脂(C)以外の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。該熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブテン、塩素化ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
塩化ビニル系樹脂(C)の質量平均分子量は37500以上62500以下が好ましく、50000以上62500以下がより好ましい。
塩化ビニル系樹脂(C)中の塩化ビニル樹脂の平均重合度は800以上1000以下が好ましい。
非発泡内層1の厚さは、1.0mm以上5.0mm以下が好ましく、1.5mm以上3.5mm以下がより好ましい。非発泡内層1の厚さを上記数値範囲内とすることにより、内部を流れるドレン排水が発泡層2へと浸透する恐れが無く、断熱性に優れた空調ドレン用管10’にできる。
一方、発泡層2の独立気泡率が高い場合、発泡層2自身がドレン排水の浸透を防ぐため、非発泡内層1としては厚さを0.6mm以上1.5mm以下としてもよく、空調ドレン用管10’を軽量にできる。また、発泡層2の厚さを厚くできるため、空調ドレン用管10’を断熱性に優れたものにできる。
発泡層2と非発泡内層1との融着強度は1.5MPa以上が好ましく、2.0MPa以上がより好ましい。
融着強度を上記範囲内とすることにより、発泡層2と非発泡内層1とが剥離することを防止できる。
融着強度は、樹脂の種類又は量、発泡剤の種類又は量、製造条件等により調節することができる。
なお、融着強度は以下の方法で測定することができる。
[融着強度の測定方法]
空調ドレン用管10’を管軸に沿って20mmの管状に切り取ったものを試験片とする。
温度が23℃±2℃、湿度が常湿(45~85%)の条件下、試験片43を図2に示す万能試験機40の抜き打ち治具41にセットして、圧縮板間42にはさみ、管軸に直角の方向に毎分10mm/min±2mm/minの速さで圧縮し、非発泡内層1と発泡層2との融着面が剥離する際の最大荷重を求め、下記式(3)及び(4)で融着強度を算出する。
F=W/S ・・・(3)
S=3.14×d×L・・・(4)
[式(3)及び(4)中、Fは融着強度(MPa)であり、Wは最大荷重(N)であり、Sは融着面積(cm)であり、dは非発泡内層平均外径(cm)であり、Lは試験片長さ(cm)である。]
≪空調ドレン用管の製造方法≫
図4及び図5は、三層構造の空調ドレン用管10’を製造するための製造装置20の全体構成図である。製造装置20は、内外層押出機11、発泡層押出機12、金型13、冷却水槽15、引取機16、及び切断機17を備える。内外層押出機11、及び発泡層押出機12には金型13が接続されており、金型13には冷却水槽15が接続されている。冷却水槽15に引取機16が接続されており、引取機16には切断機17が接続されている。さらに、図4及び図5に示すように、ガスボンベ18と定量ポンプ19が発泡層押出機12に接続されていてもよい。
ガスボンベ18と定量ポンプ19は、発泡層押出機12のベント孔から、気体の発泡剤を供給するものである。
内外層押出機11は、非発泡内層1及び非発泡外層3を形成する非発泡層用熱可塑性樹脂組成物を溶融混練し、金型13に押し出すものである。
発泡層押出機12は、発泡層2を形成する発泡層用熱可塑性樹脂組成物を溶融混練し、金型13に押し出すものである。
金型13は、内外層押出機11から注入された非発泡層用熱可塑性樹脂組成物と、発泡層押出機12から注入された発泡層用熱可塑性樹脂組成物から、三層構造の未硬化の空調ドレン用管100’を成形するものである。
冷却水槽15には、未硬化の空調ドレン用管100’を所定寸法に成形するための管外面成形用チューブ14が取り付けられており、金型13で成形された未硬化の空調ドレン用管100’の外面を管外面成形用チューブ14に接触させた状態で冷却するものである。
引取機16は、冷却水槽15で冷却された空調ドレン用管10’を受け取るものである。
切断機17は、引取機16から送られてきた空調ドレン用管10’を所定の長さに切断するものである。
まず、非発泡層用熱可塑性樹脂組成物を内外層押出機11に供給し、溶融混練する。これとは別に、発泡層用熱可塑性樹脂組成物を発泡層押出機12に供給し、溶融混練する。このときガスを発泡剤として使用する場合には、発泡層用熱可塑性樹脂組成物を溶融混練しているところに、ガスボンベ18内のガスを定量ポンプ19のポンプ動作によりベント孔から供給する。固体又は液体の発泡剤を使用する場合には、発泡層用熱可塑性樹脂組成物に発泡剤をあらかじめ配合しておいてもよい。
そして、図6に示すように、内外層押出機11により溶融混練された非発泡層用熱可塑性樹脂組成物21と、発泡層押出機12により溶融混練された発泡層用熱可塑性樹脂組成物22を、金型13に注入し、金型13内部で合流させて、三層構造の未硬化の空調ドレン用管100’を成形する。未硬化の空調ドレン用管100’は、非発泡層用熱可塑性樹脂組成物21から形成される非発泡熱可塑性樹脂層31と、非発泡内層及び非発泡外層の間の、発泡層用熱可塑性樹脂組成物22から形成される発泡熱可塑性樹脂層32とから構成される。
さらに、三層構造の未硬化の空調ドレン用管100’を金型13より吐出すると、発泡熱可塑性樹脂層32の樹脂が発泡する。未硬化の空調ドレン用管100’を管外面成形用チューブ14内に挿入し、未硬化の空調ドレン用管100’は所定寸法に型成形されながら冷却水槽15内で冷却されて空調ドレン用管10’となる。さらに、冷却成形された空調ドレン用管10’を引取機16に引き渡して切断機17に送り、切断機17において所定の長さに切断する。
金型13で成形するときの温度は、140℃以上200℃以下が好ましく、160℃以上190℃以下がより好ましい。
金型で成形するときの時間は、10分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
以下に表中の成分を説明する。
なお、表中の各成分の含有量は、発泡層のポリ塩化ビニルを100質量部としたときの質量部を表す。
<塩化ビニル系樹脂(B)>
・B-1:ポリ塩化ビニル(重合度800、徳山積水工業社製、商品名「TS-800E」)。
<発泡剤>
・D-1:重曹(永和化成工業社製、商品名「セルボンSC-855」)。
・D-2:アゾジカルボンアミド(永和化成工業社製、商品名「ビニホールAC#3」)。
<塩化ビニル系樹脂(A)、及び(C)>
・A-1:ポリ塩化ビニル(重合度1000、徳山積水工業社製、商品名「TS-1000R」)100質量部に対し、MBS(カネカ社製、商品名「B-564」)を5質量部、CPE(昭和電工社製、商品名「エラスレン351A」)を3質量部混合したもの。・A-2:ポリ塩化ビニル(重合度1000、徳山積水工業社製、商品名「TS-1000R」)100質量部に対し、MBS(カネカ社製、商品名「B-564」)を6.5質量部、CPE(昭和電工社製、商品名「エラスレン351A」)を3.5質量部混合したもの。
・A-3:ポリ塩化ビニル(重合度1000、徳山積水工業社製、商品名「TS-1000R」)100質量部に対し、MBS(カネカ社製、商品名「B-564」)を5質量部、CPE(昭和電工社製、商品名「エラスレン351A」)を1.5質量部混合したもの。
・A-4:塩化ビニルとアルキル(メタ)アクリレートとのグラフト重合体(重合度1200、徳山積水工業社製、商品名「AG-64T」、エラストマー含有量:5.3質量%)。
・A-5:ポリ塩化ビニル(重合度1000、徳山積水工業社製、商品名「TS-1000R」)。
・A-6:ポリ塩化ビニル(重合度800、徳山積水工業社製、商品名「TS-800E」)。
(実施例1)
ポリ塩化ビニルB-1 100質量部と、錫系安定剤(大協化成工業社製、商品名「STX-80」)2質量部と、発泡剤D-1 2.2質量部とを混合して発泡層用熱可塑性樹脂組成物を調製した。
塩化ビニル系樹脂A-1を上記の様に調製し、塩化ビニル系樹脂A-1 100質量部と、錫系安定剤(大協化成工業社製、商品名「STX-80」)2質量部とを混合して内層及び外層用熱可塑性樹脂組成物を調製した。
これらの組成物を、図4~6に示す内外層押出機11、発泡層押出機12、金型13、管外面成形用チューブ14が取り付けられた冷却水槽15、引取機16、切断機17とから構成されている製造装置を用いて押出成形を行った。
具体的には、非発泡層用熱可塑性樹脂組成物を180℃で内外層押出機11にて混練し、押出量45kg/hで金型13に注入した。また、発泡層用熱可塑性樹脂組成物を発泡層押出機12にて170℃で混練し、25kg/hにて金型13に注入した。金型13として、製品外径89mm、内径77mmの金型を用いた。金型13から吐出した組成物を、管外面成形用チューブ14内に挿入し、冷却水槽15内で冷却し、引取機16で引き取った後、切断機17で所定の長さに切断して三層構造の空調ドレン用管を得た。非発泡外層の厚さを測定したところ、1.0mmであった。
(実施例2~5、比較例1、3)
表1及び2に記載の成分に変更した以外は、実施例1と同様にして三層構造の空調ドレン用管を得た。非発泡外層の厚さを測定したところ、1.0mmであった。
(比較例2)
ポリ塩化ビニルB-1 100質量部と、発泡剤D-1 2.2質量部とを混合して発泡層用熱可塑性樹脂組成物を調製した。
内層及び外層用熱可塑性樹脂組成物として塩化ビニル系樹脂A-6を用いた。
図7、8に示す空調ドレン用管製造装置500を用いて、空調ドレン用管を製造した。図7、8中、製造装置500は、第1押出機530、第2押出機540、金型550、管外面調整装置560、冷却装置570、引取機580、及び切断機590を備える。第1押出機530、第2押出機540、は金型550に接続され、金型550は管外面調整装置560に接続され、管外面調整装置560は冷却装置570に接続され、冷却装置570は引取機580に接続され、引取機580は切断機590に接続されている。発泡層用熱可塑性樹脂組成物を170℃で第1押出機530にて混練し、押出量25kg/hで金型550に注入した。また、非発泡層用熱可塑性樹脂組成物を180℃で第2押出機540にて混練し、押出量45kg/hにて金型550に注入した。金型550として、製品外径89mm、内径77mmの金型を用いた。金型550は、図9に示すように、第1金型551と、クロスヘッドダイ552とを有する。金型550から吐出した組成物を、管外面調整装置560内に接触させる。このとき外面の温度が低下し、図10に示すように、最外層に被覆層230が形成される。冷却装置570内で冷却し、引取機580で引き取った後、切断機590で所定の長さに切断して、非発泡内層210、発泡層220、被覆層230からなる三層構造の空調ドレン用管を得た。被覆層の厚みを測定したところ、1.0mmであった。
得られた各例の空調ドレン用管について、発泡倍率、耐衝撃性、融着強度、鉛筆硬度、縦弾性係数をそれぞれ以下の手順で測定した。
[発泡倍率の測定]
空調ドレン用管から円周方向10mm以上、軸方向50mmを切り出し、非発泡内層及び非発泡外層をフライスで切削し、発泡層だけを長さ約50mm程度の板状に加工したものを試験片とした。なお、試験片は内周方向に均等に4分割した点を中心に4個作成した。
試験片をJIS K 7112:1999に従い、23℃±2℃で水置換式比重測定機で見かけ密度を小数点以下3桁まで求め、下記式(1)により発泡倍率を算出した。
m=γc/γ ・・・(1)
[式(1)中、mは発泡倍率であり、γは発泡層の見かけ密度(g/cm)であり、γcは発泡層の未発泡時の密度(g/cm)である。]
得られた結果を表1、2に示す。
[耐衝撃性の測定]
空調ドレン用管の上に、プラスドライバー(100g)を垂直に落下させ、空調ドレン用管に割れが生じる高さを測定した。
具体的には、プラスドライバーを所定の高さから空調ドレン用管の上に垂直に落下させ、空調ドレン用管内部に0.06MPaの水圧を1分間かけて漏水の有無を確認した。漏水が確認された時の、プラスドライバーを落下した高さを測定した。
得られた結果を表1、2に示す。
[融着強度の測定]
空調ドレン用管を管軸に沿って20mmの管状に切り取ったものを試験片とした。
温度が23℃±2℃、湿度が常湿(45~85%)の条件下、試験片43を図2に示す万能試験機40の抜き打ち治具41にセットして圧縮板間42にはさみ、管軸に直角の方向に毎分10mm/min±2mm/minの速さで圧縮し、非発泡内層と発泡層との融着面が剥離する際の最大荷重を求め、下記式(3)及び(4)で融着強度を算出した。 F=W/S ・・・(3)
S=3.14×d×L ・・・(4)
[式(3)及び(4)中、Fは融着強度(MPa)であり、Wは最大荷重(N)であり、Sは融着面積(cm)であり、dは非発泡内層平均外径(cm)であり、Lは試験片長さ(cm)である。]
得られた結果を表1、2に示す。
[鉛筆硬度の測定]
JIS K 5600-5-4に従い、非発泡外層の鉛筆硬度を荷重750g、鉛筆角度45°の鉛筆硬度試験機(オールグッド社製 054)にて測定した。
得られた結果を表1、2に示す。表中の符号は、JIS S 6006に規定する鉛筆の硬度記号を表す。
[縦弾性係数の測定]
JIS K 7161-1:2014に従い、管軸に沿って試験片を作成し、15℃における縦弾性係数を測定した。
得られた結果を表1、2に示す。
Figure 0007284860000001
Figure 0007284860000002
表1、2に示すように、実施例1~5の空調ドレン用管は外部からの衝撃に強いことが分かった。
塩化ビニル系樹脂(A)の代わりにポリ塩化ビニルを用いた比較例1~3は、外部からの衝撃によって割れが生じやすいことが分かった。
1 非発泡内層
2 発泡層
3 非発泡外層
10 空調ドレン用管
10’ 空調ドレン用管

Claims (5)

  1. 塩化ビニル系樹脂(B)を含む筒状の発泡層と、
    前記発泡層の外面に設けられ、塩化ビニル系樹脂(A)を含む非発泡外層と、を備える空調ドレン用管であって、
    前記発泡層の発泡倍率が4.0倍以上8.0倍以下であり、
    前記塩化ビニル系樹脂(A)と前記塩化ビニル系樹脂(B)は、各々塩化ビニル樹脂を含有し、
    前記塩化ビニル系樹脂(A)が含有する塩化ビニル樹脂の平均重合度と、前記塩化ビニル系樹脂(B)が含有する塩化ビニル樹脂の平均重合度とが異なり、
    前記非発泡外層の厚さが1.5mm3.5mm以下である、空調ドレン用管。
  2. 前記塩化ビニル系樹脂(A)が含有する塩化ビニル樹脂の平均重合度が、800以上1000以下である、請求項1に記載の空調ドレン用管。
  3. 前記発泡層の内面に設けられ、塩化ビニル系樹脂(C)を含む非発泡内層を備え、
    前記非発泡内層の厚さが1.5mm以上3.5mm以下である、請求項1または2に記載の空調ドレン用管。
  4. 前記発泡層の内面に設けられ、塩化ビニル系樹脂(C)を含む非発泡内層を備え、
    前記塩化ビニル系樹脂(C)は、前記塩化ビニル系樹脂(A)が含有する塩化ビニル樹脂と同一の塩化ビニル樹脂を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の空調ドレン用管。
  5. 前記非発泡内層と前記発泡層との融着強度が2.0MPa以上である、請求項3または4に記載の空調ドレン用管。
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