JP7283690B2 - 光触媒の製造方法 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 (1)平成30年7月2日に「第122回触媒討論会」のウェブサイトにて公開 (2)平成30年9月26日に「一般社団法人 触媒学会」が発行した「第122回触媒討論会 討論会A予稿集」にて発表 (3)平成30年9月26日に「第122回触媒討論会」の口頭発表にて発表 (4)平成30年10月16日に「2018年日本化学会中国四国支部大会・化学教育研究発表会」のウェブサイトにて公開 (5)平成30年11月17日に「2018年日本化学会中国四国支部大会実行委員会」が発行した「2018年日本化学会中国四国支部大会・化学教育研究発表会」にて発表 (6)平成30年11月17日に「2018年日本化学会中国四国支部大会 愛媛大会」のポスター発表にて発表 (7)平成30年12月8日に「水素で作る未来社会」において口頭発表にて発表
本発明は、窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子を用いる光触媒の製造方法に関する。
酸化チタン(TiO)やチタン酸ストロンチウム(SrTiO)のような酸化物系半導体は、紫外線照射下で高い光触媒活性を示すことが知られている。なかでも安価で無害な酸化チタンは、汚染物質の浄化技術や超親水性作用を利用した防曇技術に対して広く応用されており、製品化が最も進んでいる光触媒の代表物質である。しかしながら、これら酸化物系光触媒は、バンドギャップが大きいことに基づいて可視光応答性を示さず、太陽光を十分に利用できないという問題がある。このような問題を解決するために、酸化物系光触媒に対して各種の可視光化の検討がなされてきた。これまでに酸化物系半導体に微量の金属をドープしてドナー準位を形成させて可視光領域の吸収を可能にする手法や、硫化または窒化することにより価電子帯上端に新たなバンドを形成させてバンドギャップの縮小を図る手法などが報告されてきた。しかしながら、金属のドープには800℃以上の高温処理が必要であることや、硫化や窒化には硫化水素およびアンモニアのような有害性や危険性の高いガス雰囲気下での焼成が必要である。そのためより温和な条件での可視光化が望まれている。
しかしながら、従来、温和な条件での可視光化は困難であった。例えば、特許文献1には、酸化チタンを主な構成材料とする薄膜の製法が記載され、金属をドープする方法も記載されているが、ここに記載された方法は金属を打ち込む方法である。また、特許文献2には、フッ化窒化チタンの光触媒の製造方法が記載されており、窒化によるドープ方法が記載されているが、その方法はアンモニア気流中で焼成するものである。また、特許文献3には、酸化チタンとグラファイト状窒化炭素とで構成された光触媒が記載されているが、これは酸化チタンとグラファイト状窒化炭素とを混合した状態(混合物)で用いて、グラファイト状窒化炭素を還元サイトとして機能させ、酸化チタンを酸化サイトとして機能させるものであり、酸化チタンに窒素や炭素をドープするものではない。これらのいずれも、温和な条件で有害物質を使用せずに、簡易に異種元素をドープできるものではなかった。
特表2005-507974号公報 特開2003-236389号公報 特開2012-200698号公報
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、温和な条件で有害物質を使用せずに酸化物系半導体に異種元素をドープでき、光触媒性能を向上させることができる光触媒の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、酸化物系半導体の光触媒活性を向上させるため、また可視光により光触媒作用を発現させるために、酸化物系半導体に異種元素をドープする研究を行ってきた。その研究の中で、温和で安全な条件でドープを行うことを目指して検討を進めたところ、意外にも、従来、酸化物系半導体に異種元素をドープする材料としては全く考えられていなかった窒化炭素(C)ナノシートをドープ材料として用いると、温和な条件下でチタン酸ストロンチウム(SrTiO)等の酸化物系半導体に窒素及び/又は炭素をドープすることができ、その結果、光触媒活性を向上させることや可視光による光触媒作用を発現できることを見いだした。例えば、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)は、紫外線により光触媒作用を発現する酸化物系半導体であるが、窒化炭素(C)ナノシートと混合して焼成することにより、窒素及び/又は炭素がドープされ、紫外線による光触媒活性が向上し、さらに可視光による光触媒作用を発現した。ナノシートは、内部よりも表面の割合が高いことから表面エネルギーが高いため、他の物質との強い吸着相互作用を示すと考えられ、そのため、ナノシートを酸化物系半導体粒子と混合することにより、窒化炭素(C)ナノシートが酸化物系半導体粒子の表面に吸着されて複合体が形成され、この複合体を焼成することにより比較的低温で窒化炭素(C)の窒素や炭素が酸化物系半導体にドープされるためと考えられる。本発明は、こうして完成したものである。
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合する工程、及び前記工程で混合した混合物を焼成する工程を含む光触媒の製造方法。
(2)酸化物系半導体粒子がチタン酸ストロンチウム粒子であることを特徴とする上記(1)の光触媒の製造方法。
(3)窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子との混合が液相中で行われることを特徴とする上記(1)又は(2)の光触媒の製造方法。
(4)焼成温度が500~700℃であることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかの光触媒の製造方法。
(5)酸化物系半導体粒子の平均粒子径が10~100nmであることを特徴とする上記(1)~(4)のいずれかの光触媒の製造方法。
(6)混合物を焼成する工程で、酸化物系半導体に窒素及び/又は炭素をドープすることを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかの光触媒の製造方法。
(7)窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合する工程、及び前記工程で混合した混合物を焼成する工程を含む、前記酸化物系半導体への窒素及び/又は炭素のドープ方法。
本発明の光触媒の製造方法によると、窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合し、焼成するという簡易な方法で、窒化炭素ナノシートを構成する元素を酸化物系半導体粒子へドープすることができる。しかも、従来のドープ法に比べると比較的低温の温和な条件下の焼成でドープすることができる。従来、窒素や硫黄のドーピングにはアンモニアや硫化水素などの有害なガス雰囲気下での焼成が必要であったが、本発明の製造方法によると、そのような有害なドープ剤を必要とせずに安全なプロセスでドープを行うことが可能である。また、本発明の製造方法によると、酸化物系半導体粒子がもともと有する光触媒作用を向上させることができる。また、可視光領域に新たな吸収を発現させることができ、可視光での光触媒作用を発現させることができる。
図1は、実施例1におけるドープ試料(図中SrTiO3/C34(数字)で表示)、未ドープのSrTiO及びCナノシートのXRDパターンである。 図2は、実施例1におけるドープ試料、未ドープのSrTiO及びCナノシートの拡散反射UV-Vis吸収スペクトルを示す図である。 図3は、実施例1におけるドープ試料、未ドープのSrTiO及びCナノシートの拡散反射UV-Vis吸収スペクトルから求めたTaucプロットを示す図である。 図4は、(a)実施例1で使用したCナノシートのSEM画像であり、(b)実施例1で使用した未ドープのSrTiOのSEM画像であり、(c)実施例1で得られたSrTiO/C(15)のSEM画像である。 図5は、実施例1で得られた各種ドープ試料の犠牲剤存在下での水からの水素発生反応における紫外線照射下での光触媒活性を示す図である。 図6は、実施例1で得られたSrTiO/C(15)、未ドープのSrTiO、Cナノシートそれぞれの光触媒活性を示す図である。 図7は、実施例1で得られたSrTiO/C(15)の紫外線照射下での水からの水素発生反応における経時変化と、可視光照射下(λ>420nm)での水からの水素発生反応における経時変化を示す図である。 図8は、実施例1で得られたSrTiO/C(15)の光触媒活性(λ>420nm)のPt担持量依存性を示す図である。 図9は、左側は、平均粒子径が30nmのSrTiO粒子と平均粒子径が100nmのSrTiO粒子のTEM画像である。右側は、平均粒子径が30nmのSrTiO粒子と平均粒子径が100nmのSrTiO粒子について、未ドープ試料とドープ試料の紫外線照射下における光触媒活性を示す図である。
本発明の光触媒の製造方法は、窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合する工程、及び前記工程で混合した混合物を焼成する工程を含むことを特徴とする。本発明における窒化炭素ナノシートとは、化学組成がCで表される層状化合物であり、その層数及び厚みは特に限定されるものではないが、層数は30以下が好ましく、20以下が更に好ましく、10以下がより好ましい。厚みは、30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましく、10nm以下がより好ましい。本発明における窒化炭素ナノシートとしては、単層の窒化炭素ナノシートが好ましい。また、本発明における窒化炭素ナノシートは、1辺の長さが、1μm以下が好ましく、500nm以下が更に好ましく、100nm以下がより好ましい。本発明における窒化炭素ナノシートは、例えば、グラファイト状窒化炭素のような多層構造を有する窒化炭素(C)を層間剥離して得ることができる。本発明における窒化炭素ナノシートを製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、有機溶媒中でCに超音波処理を施して剥離して製造する方法、アルカリ性水溶液又は酸性水溶液中で加熱処理して剥離して製造する方法等の公知の方法を挙げることができる。
本発明における酸化物系半導体粒子は、酸化物系の半導体粒子であれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)、タンタル酸ナトリウム(NaTaO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)等を挙げることができる。なかでも、窒化炭素ナノシートとの適合性の観点からチタン酸ストロンチウム(SrTiO)が好ましい。酸化物系半導体粒子の粒子径や形状は、特に限定されるものではないが、Cナノシートによるドープ効果を向上させる観点から、平均粒子径は10~100nmが好ましく、10~40nmがより好ましく、形状は球状が好ましい。窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合する工程における混合方法は、両者が十分に混合できる限り特に限定されるものではないが、例えば、液相での混合、固相での混合等を挙げることができる。液相での混合は、例えば、窒化炭素ナノシートが分散した分散液と酸化物系半導体粒子が分散した分散液とを混合し撹拌することにより両者を混合する方法や、分散媒に窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを添加して撹拌することにより両者を混合する方法等を挙げることができる。また、酸化物系半導体粒子としては、酸化物系半導体のゾルを使用することもできる。窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを均一に混合し、酸化物系半導体粒子それぞれの表面に窒化炭素ナノシートを吸着させる観点から、両者を液相中で混合することが好ましい。混合工程で混合した混合物を焼成する工程における焼成方法及び焼成条件は、窒化炭素ナノシートを構成する元素が酸化物系半導体にドープされる限り特に限定されるものではないが、本発明の製造方法によれば、500~700℃といった低温でドープすることができ、550~650℃や600℃前後の温度でドープすることができる。焼成雰囲気は特に限定されるものではないが、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中で焼成することが好ましい。焼成時間は特に限定されるものでなく、窒化炭素ナノシート及び酸化物系半導体粒子の量やドープさせる程度に応じて適宜設定することができる。窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子の混合比は、特に限定されるものではないが、酸化物系半導体粒子に対する窒化炭素ナノシートの質量比が0.001~0.007であることが好ましい。本発明において、ドープとは酸化物系半導体の結晶構造中に異種元素を導入することをいう。本発明の酸化物系半導体への窒素及び/又は炭素のドープ方法は、窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合する工程、及び前記工程で混合した混合物を焼成する工程を含むことを特徴とする。窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合する工程、及び前記工程で混合した混合物を焼成する工程は、本発明の光触媒の製造方法で述べた工程と同様である。本発明の光触媒の製造方法及び本発明のドープ方法では、酸化物系半導体粒子を構成する酸化物系半導体の結晶構造中に窒素及び/又は炭素をドープすることができる。
本発明の光触媒の製造方法の一実施形態を、酸化物系半導体粒子としてチタン酸ストロンチウム(SrTiO)を用いた場合について述べる。窒化炭素(C)ナノシート分散液を次のとおり調製する。Cを塩酸等の酸性溶液中に添加して超音波処理した後、所定時間撹拌する。超音波処理した後の分散液を、100℃以上で水熱処理し、水熱処理した分散液から限外ろ過等の分離方法により固形分を分離する。分離された固形分をイオン交換水、蒸留水等の分散媒に分散させることにより、Cナノシート分散液を得ることができる。チタン酸ストロンチウム(SrTiO)分散液を次のとおり調製する。SrTiO粒子を、イオン交換水、蒸留水等の分散媒に添加し、超音波処理することによりSrTiO粒子分散液を得ることができる。こうして調製したSrTiO分散液中にCナノシート分散液を強攪拌しながら添加する。添加後、所定の時間攪拌しその後静置した後、遠心分離等の分離操作を行い固形分を分離する。分離した固形分を乾燥し、粉砕処理後600℃等の所定温度で窒素等の不活性ガス中で焼成する。
[実施例1]
(Cナノシート分散液の調製)
尿素10gをるつぼにいれて密封後、600℃まで10℃/分の速度で昇温し、600℃で3時間加熱後、さらに10℃/分の速度で650℃まで昇温して650℃で30分加熱焼成することにより窒化炭素(C)を得た。焼成後の試料は、0.1MのHNOでろ過洗浄し、70℃で約12時間乾燥させた。乾燥後のC0.9gを15%塩酸水溶液150mLに分散し、1時間超音波処理後、室温で24時間撹拌した。その分散液をオートクレーブ中で110℃で5時間水熱処理した後、200mLの蒸留水で限外ろ過洗浄した。前記限外ろ過洗浄操作5回繰り返した後、100mLのCナノシート分散液を得た。
(SrTiO分散液の調製)
チタン酸ストロンチウム(SrTiO)粒子として、平均粒子径30nm(戸田工業株式会社製)の球状の粒子を用いた。前記試料0.3gを蒸留水100mLに投入して10分間超音波処理をしてSrTiO分散液を得た。平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製 JEM-1010)による観察で得られた画像を画像解析式粒度分布測定ソフト(Macview、MOUNTECH社)を用いて200個の粒子を解析してその平均求めた。
(ドープ試料の調製)
上記で得られたSrTiO分散液に、上記で得られたCナノシート分散液を強撹拌下で少しずつ添加した。添加終了後、室温で1時間撹拌した後、1時間程度静置し、静置後に遠心分離して固形分を分離した。分離した固形分を110℃で約12時間乾燥した。乾燥した試料を15分程度、混合物の凝集粒子の大きさが均一になる程度に粉砕処理して、管状炉を用いてN流通下で、昇温速度10℃/分で600℃まで昇温し、600℃で5時間加熱焼成することによりCナノシートを構成する元素がドープされたSrTiO試料を得た(以下、「ドープ試料」ともいう)。ドープ量はCナノシート分散液の添加量により調整した。Cナノシート分散液の添加量は、10mL、15mL、20mL、25mL、30mLの5種類とした。Cナノシート分散液の添加量が異なるドープ試料は、以後SrTiO/C(x)(x=Cナノシート分散液の添加量(mL))と表記する。
異種元素がドープされ部分固溶体が形成されると、母体化合物の単位格子の大きさが変化することが知られている。ドープ試料の構造をXRDにより解析した。異なるC添加量で調製した試料のXRDパターンを[図1]に示し、(100)面の面間隔の値を[表1]に示す。各試料のXRDパターンは、立方晶のSrTiOに基づく回折線のみが見られ、Cに帰属される回折線は見られなかった。ドープ処理した後の試料では、いずれも回折線の位置がSrTiO単独に比べて高角度側にシフトし、それにともない面間隔の減少が見られた。この面間隔の変化は、SrTiOの格子内に窒素及び/又は炭素が導入されたことを示唆している。
Figure 0007283690000001
各試料の光吸収特性を調べるために、拡散反射UV-Vis吸収スペクトルを測定した結果を[図2]に示す。このスペクトルは吸収端付近の変化を明確にするために250nmでのクベルカ-ムンク関数値を20に規格化している。各試料には380nm付近にバンドギャップ励起に基づく吸収端とともに、380nm以上にドープ試料に特有の裾吸収が観察された。また、ドープ試料の色は薄い黄色であり、元のSrTiOとは異なる色を呈していた。これらUV-Vis吸収スペクトルからバンドギャップを求めるために、励起エネルギー(hν)に対してクベルカ-ムンク関数値と励起エネルギーの積を1/2乗した値([F(R)hν]1/2をプロット(Taucプロット)した結果を[図3]に示す。また、[表2]にTaucプロットにおける吸収端付近における接線と横軸との交点から求めたバンドギャップ値を示す。未ドープのSrTiOのバンドギャップ(3.2eV)に比べて、各ドープ試料のバンドギャップは小さい値を示し、C添加量の増加とともにバンドギャップの縮小が進行した。この結果はO2p軌道で形成される価電子帯付近に導入された元素によるドナー準位が形成されて、バンドギャップが縮小したためと推定される。このバンドギャップ縮小は、420nm以上の可視光を利用できる光触媒が合成できたことを示している。
Figure 0007283690000002
さらにドープ試料の粒子形態を走査型電子顕微鏡(SEM)(S-4800、株式会社日立製作所製)で観察して、各単独試料と比較した。[図4]は、Cナノシート単独試料(図4a)、SrTiO単独試料(図4b)、Cナノシート分散液の添加量が15mLであるドープ試料(SrTiO/C(15))(図4c)のそれぞれのSEM観察画像である。ドープ試料のSEM像(図4c)では、SrTiO単独試料(図4b)で見られる約50nmの一次粒子からなる二次粒子が見られた。その一方で、Cナノシート単独試料(図4a)に見られる薄片状の粒子はほとんど観測されなかった。この結果は、ドープ試料は原料として用いたSrTiO粒子とCナノシートの単なる混合物ではないことを示している。
(光触媒特性の評価)
光触媒反応は閉鎖循環系外部照射型石英セルを用いて行った。反応セルにメタノール75mL、脱気水75mL及び光触媒0.1gを導入して超音波処理により光触媒を分散後、密封して反応装置に設置した。系内を200mbarまで脱気後、大気圧までアルゴンガスを導入する作業を10回繰り返して空気をアルゴンで完全に置換した。内圧を200mbarまで調整した後、500Wキセノンランプを用いて光照射して反応させた。熱線カットフィルターにより赤外光を除去し、可視光照射には420nmカットフィルターを用いた。生成物はガスクロ(島津GC-8A、MS-5Aカラム)で定量した。生成物の経時変化プロットにおける傾きから反応速度を求めた。この方法により、異なるC添加量で合成したドープ試料の光触媒活性を、メタノールを犠牲剤とする水からの水素発生反応により評価した。[図5]に合成時に添加したCの量に対して、水素発生反応速度をプロットした図を示す。光触媒活性は、合成時のC添加量に依存し、15mL添加試料が最も高い活性を示した。C添加量が15mL以上になるとドープ量も多くなるが、過剰なドープは光励起により生じた電子と正孔の再結合を促進するため、光触媒活性が低下したと示唆される。最も高い活性を示したC添加量が15mLの試料について、単独試料それぞれの紫外線照射下における光触媒活性と比較して、ドープ効果について検討した。その結果を[図6]に示す。Cナノシートは単独でも光触媒作用を示すが、ドープ試料はSrTiO粒子単独およびCナノシート単独試料の触媒活性を合わせたよりもはるかに高い活性を示し、相乗効果により光触媒活性が向上することがわかった。この結果は、ドープによりもたらされた電子状態の変化が光触媒活性に大きく寄与したと示唆される。さらにC添加量が15mLの試料について可視光照射下での光触媒活性と比較した。その結果を[図7]に示す。ドープ試料は可視光照射下においても水素発生を示し、これはドープにより形成されたドナー準位からの光励起によって光触媒作用がもたらされたと考えられる。可視光照射下での光触媒活性をさらに向上させるために助触媒担持効果について検討した。助触媒の中でもPtが最も高い効果を示したので、Pt担持試料について担持量依存性を調べた。その結果を[図8]に示す。0.05wt%担持の試料において最も高い活性を示し、未担持試料に比べて約8倍光触媒活性が向上した。
[実施例2]
平均粒子径100nmの球状のSrTiO粒子(戸田工業株式会社製)を用いて、実施例1と同様に調製したSrTiO分散液を用いて実施例1と同様にドープ試料を調製した。[図9]の左側は、平均粒子径30nm、100nmのそれぞれの未ドープのSrTiOを透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製 JEM-1010)で観察したTEM画像である。また、[図9]の右側は、各粒子径における未ドープ試料とドープ試料(Cナノシート添加量15mL)の紫外線照射下における光触媒活性の比較を示した図である。どちらの粒子径のドープ試料も未ドープ試料に比べて高い活性を示した。また、ドープ効果は粒子径の小さい30nm試料において顕著であることがわかった。この結果は粒子径の減少にともない表面積が大きくなったことでCナノシートとの吸着性および反応性が向上し、高いドープ効果を示したと示唆される。
このように、本発明の製造方法により得られたドープ試料は、紫外線領域下で高い光触媒活性を示し、また可視光領域下でも光触媒活性を示すので、水素製造、二酸化炭素の変換、汚染物質の分解などへの広範囲な応用が期待できる。本発明の製造方法は、このようなドープ試料簡易に安全に製造することができる。

Claims (6)

  1. 窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合する工程、及び
    前記工程で混合した混合物を焼成する工程を含み、前記酸化物系半導体粒子がチタン酸ストロンチウム粒子である光触媒の製造方法。
  2. 窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子との混合が液相中で行われることを特徴とする請求項1記載の光触媒の製造方法。
  3. 焼成温度が500~700℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の光触媒の製造方法。
  4. 酸化物系半導体粒子の平均粒子径が10~100nmであることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の光触媒の製造方法。
  5. 混合物を焼成する工程で、酸化物系半導体に窒素及び/又は炭素をドープすることを特徴とする請求項1~のいずれか記載の光触媒の製造方法。
  6. 窒化炭素ナノシートと酸化物系半導体粒子とを混合する工程であり、前記酸化物系半導体がチタン酸ストロンチウムである工程、及び
    前記工程で混合した混合物を焼成する工程を含む、前記酸化物系半導体への窒素及び/又は炭素のドープ方法。
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