JP2012146706A - 紫外線センサー素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な材料と簡易な設備で製造しても紫外線検出能力に優れた紫外線センサー素子を提供すること。
【解決手段】酸化チタンまたは酸化亜鉛からなるn型半導体層と、酸化ニッケルからなるp型半導体層を積層してなり、前記n型半導体層と前記p型半導体層がpn接合を形成している紫外線センサー素子であって、前記n型半導体層の膜厚が0.5〜15μm、前記p型半導体層の膜厚が1〜30μmであることに要旨を有する紫外線センサー素子。
【選択図】なし

Description

本発明はpn接合を利用した紫外線センサー素子に関するものである。
一般に紫外線は波長が10〜400nmの電磁波であり、様々な分類がなされているが、例えば太陽光に含まれる紫外線に関してはUVA(315〜400nm)、UVB(280〜315nm)、UVC(200〜280nm)に分類することができる。このうち、UVCは大気通過中にオゾン層などによって吸収されるため、UVAやUVBが生活環境における主な紫外線として存在している。紫外線は殺菌消毒作用を発揮したり、ビタミンDの合成に寄与するなど有用である一方、皮膚や目にダメージを与えるなど、人体へ影響を及ぼすことで知られている。こうした紫外線をモニターすることは産業分野だけでなく、日常生活でも行われており、そのための紫外線センサーが各種提案されている。
例えば、紫外線センサーとしてSiやGeなどの単体半導体や、GaAs、InP、GaNなどの化合物半導体などの半導体単結晶材料を基板に形成したものが知られている。このような材料を用いた紫外線センサーは高感度・高性能であるが、これら材料は紫外線以外の可視光にも反応してしまうことから、紫外線センサーには紫外線のみを透過させるフィルター(バンドパスフィルター)を組み合わせることが必要となり、価格が高くなるという問題があった。また設備についても、高度なクリーンルームや専用半導体設備などが必要となり、容易に製造することが難しかった。
このような問題に対して、バンドパスフィルターを形成しなくても、紫外線のみに反応するセンサーとして、SiCやダイヤモンドなどを用いた紫外線センサーが提案されている(例えば特許文献1)。この技術は、酸化物導電層をn型SiC基板上に形成したものをダイオード(センサー)として用いるものであるが、具体的にはGaドープZnO膜をSiC基板上に形成することによって、波長380nm以下の光に感度を有するが、可視光領域には感度を示さないセンサーが提案されている。
また特許文献2には、ダイヤモンドを用いた高感度の紫外線センサーが提案されている。
しかしながらこれらの材料を用いた紫外線センサーは高価であり、高性能な紫外線センサーが要求される産業分野での需要はあるものの、日常生活などにおいて例えば日焼け対策や動植物の成長促進のために、日中の紫外線量を大まかに把握したい、というようなニーズに対しては上記の様な高性能で高価格な紫外線センサーはオーバースペックである。
そこで、こうしたニーズに応じて、簡易で且つ安価な紫外線センサーが各種提案されている。
例えば特許文献3には、ホトクロミック材料を用いた紫外線センサーが提案されている。この技術ではホトクロミック材料に紫外線が照射されると変色する性質を利用して、紫外線の有無を判定することができる。
また特許文献4には、基板上に、III族元素と窒素原子とを含む半導体(紫外線検出素子)を複数形成すると共に、各紫外線検出素子の波長分光特性、絶対感度、時間応答性などの特性を相互に異なるものとすることによって、分光器、光量測定器、パルス測定器としての機能を発現させた紫外線センサーが提案されている。
更に特許文献5には、p型導電性酸化物半導体化合物薄膜と、n型伝導性を示し紫外光感度を有するZnMgO系化合物薄膜、及びNiO薄膜から構成され、ZnMgO系化合物薄膜とNiO薄膜の界面にヘテロエピタキシャル界面を形成したPN接合デバイスが提案されている。この技術を用いた紫外線センサーは、2mVの起電力を発生させるとともに、UVB領域で急峻な感度を示すため、広い波長域で機能することができる。
しかしながら、上記技術は材料価格が高かったり、製造が煩雑などの理由により製造コストが高いため、より安価でしかも簡易に製造することができ、しかも紫外線を特異的に検出可能な紫外線センサーが求められている。
特開2006−228929号公報 特開2009−188222号公報 特開平8−43197号公報 特開2004−251754号公報 特開2004−119525号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、測定対象であるUVA(315〜400nm)やUVB(280〜315nm)を含む紫外線を検出できる紫外線センサー素子を提供することにある。特に安価な材料と簡易な設備で製造しても紫外線検出能力に優れた紫外線センサー素子を提供することにある。
上記課題を達成し得た本発明は、酸化チタンまたは酸化亜鉛からなるn型半導体層と、酸化ニッケルからなるp型半導体層を積層してなり、前記n型半導体層と前記p型半導体層がpn接合を形成している紫外線センサー素子であって、前記n型半導体層の膜厚が0.5〜15μm、前記p型半導体層の膜厚が1〜30μmであることに要旨を有する紫外線センサー素子である。
前記n型半導体層および/または前記p型半導体層の上側または下側に導電膜を有するものであることも好ましい実施態様である。
また前記n型半導体層および前記p型半導体層は、スクリーン印刷することによって形成されたものであることも好ましい実施態様である。
上記紫外線センサー素子は基板上に形成されたものであって、前記紫外線センサー素子に電極及び導線が形成されたものである紫外線センサーも好ましい実施形態の一つである。
また上記記載の紫外線センサーを用いた紫外線センサーアレイも本発明の好ましい実施形態の一つである。
本発明によれば、高価な単結晶半導体材料を使うことなく、また簡易な設備を利用した場合であっても紫外線検出能力に優れた紫外線センサー素子を提供できる。本発明では、n型半導体層とp型半導体層をスクリーン印刷などの簡易な方法で成膜すると共に、各層の膜厚を適切に制御しているため、照射された紫外線による起電力が高く、また出力(電流値)も大きい紫外線センサー素子を提供できる。
本発明の紫外線センサー素子及び紫外線センサーの構造を示す概略断面図である。 本発明の紫外線センサー素子及び紫外線センサーの他の構造を示す概略断面図である。 本発明の紫外線センサー素子を用いた紫外線センサーアレイの概略図である。 図3で用いた紫外線センサーの概略断面図である。
材料面と製造面でコストを削減して、安価で且つ簡易に製造できる紫外線センサー素子を提供するには、光が照射されると起電力(光起電力効果)を生ずる半導体を利用する紫外線センサーの使用が有効である。このような紫外線センサーとしては、pn接合させた半導体が知られている。紫外線を照射するとn型半導体層とp型半導体層の界面部分で酸化物が紫外線を吸収し、電子を励起して電子−正孔対を発生させて起電力と電流が生じ、この際に生じる電流を検出することによって、紫外線を測定できる。pn接合させた半導体は、既存の半導体製造装置を利用して製造が可能である。
本発明では、pn接合に用いるn型半導体層を構成する材料として酸化チタンや酸化亜鉛を用いた。酸化チタンや酸化亜鉛は光エネルギーが照射されると、光励起されるワイドバンドギャップを有し、エネルギーは約3eVであるため、同じくエネルギーが約3eVで波長は400nm以下の紫外線によって起電力を生じる一方で、可視光領域の光を照射しても起電力が生じないことから、紫外線センサー素子の材料としては有効だからである。またこれらの金属酸化物は安価で、容易に入手が可能であり、管理に手間のかからない材料である。
p型半導体層を構成する材料としては、これまでにも様々な材料が知られている。上記n型半導体層と接合することによって、接合部分に空乏層と拡散電位(電位障壁)を形成する材料のうちでも、汎用性のある材料を選択すると共に、扱い性に優れており、且つ特別な設備を設置することなく製造できることが、安価にpn接合を有する紫外線センサー素子を製造するための条件となる。そのような条件を満たすp型半導体層を構成する材料として、酸化ニッケルを選択した。またn型半導体層とp型半導体層を、好ましくはスクリーン印刷法で形成することとし、更にn型半導体層の膜厚とp型半導体層の膜厚を適切に制御することにより、紫外線に対する感度に優れた効果を発現する紫外線センサー素子を簡易かつ安価に提供できる。
なお、p型半導体材料としては様々な材料が知られているが、例えばSi、GaAsなどは、酸化物でないので、大気中で熱処理するような状況で動作させるには不向きである。またCuなどは製造工程における熱履歴などで物性の異なるCu2OやCuOが形成され、これらが混在するため好ましくない。
本発明の紫外線センサー素子の基本構造はpn接合を利用したものである。本発明に用いられるn型半導体は、酸化チタンまたは酸化亜鉛からなる酸化物層で構成されている。酸化チタンや酸化亜鉛は上記したように紫外線に対して起電力を生じるが、可視光に対しては起電力を生じないため、バンドパスフィルター等の紫外線以外の特定波長の光線を遮断するフィルターを設置しなくても紫外線のみを測定できるため望ましい。
上記したように本発明のn型半導体層は酸化チタンまたは酸化亜鉛であるため、p型半導体層として酸化ニッケルを結合(pn接合)させると空乏層が形成されると共に、電位差が生じて拡散電位(電位障壁)が形成される。そして酸化チタン又は酸化亜鉛と酸化ニッケルの界面に紫外線が照射されて光励起による順方向バイアスが印加されると、空乏層の拡散電位(電位障壁)が減少すると共に、拡散電流が増加して電流が流れるようになる。この電流を検出することによって、紫外線量を測定することができる。
ここでpn接合による光起電力効果をより有効に発揮させるには、n型半導体層及びp型半導体層の厚みを夫々適切に制御することが重要である。
まず、n型半導体層の厚みは0.5〜15μmとする。膜厚が薄すぎると、基板側の電極とp型半導体層との電気的な短絡が生じて紫外線センサーとして機能しなくなる。そのため、n型半導体層の膜厚は0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.2μm以上とする。一方、膜厚が厚すぎると、紫外線がn型半導体層を透過する間に減衰してしまいpn接合界面に到達する紫外線量が減少してセンサーの感度が低下する。そのため、n型半導体層の膜厚は15μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下とする。
次に、本発明に用いられるp型半導体層は、酸化ニッケルで構成されており、p型半導体層の厚みは1〜30μmとする。p型半導体層の厚みが薄すぎると、n型半導体層とp型半導体層側に設置した電極との電気的短絡が生じてセンサーとして十分に機能しなくなる。したがってp型半導体層の厚みは1μm以上、好ましくは1.5μm以上、更に好ましくは2μm以上とする。一方、p型半導体層を厚くし過ぎると、電気抵抗率が上昇して紫外線センサーの感度が低下する。したがってp型半導体層の厚みは30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。
以下、図1、2を参照しながら本発明の紫外線センサー素子、及び紫外線センサーについて説明する。なお、本発明の紫外線センサー素子、及び紫外線センサーは図1、2に限定されず、少なくともn型半導体層とp型半導体層がpn接合を形成するように構成されていればよく、それ以外の構成順序は特に限定されない。
図1に示すように本発明の紫外線センサー素子は、少なくとも酸化チタンまたは酸化亜鉛からなるn型半導体層3、p型半導体層4を積層しており、必要に応じてn型半導体層3に接して導電膜2が設けられている構成となっている。なお、図2に示すように基板上に積層するn型半導体層やp型半導体層などの積層順序は図1と逆でもよい。
また本発明の紫外線センサーの基本構成は、図1、図2に示すように基板1上、或いは基板1上に形成した導電膜2上に、pn接合を構成するn型半導体層3及びp型半導体層4が積層され、電極5及びリード線(導線)6、7が形成されたものである。
基板1は、基板上に積層するn型半導体層3、p型半導体層4などを支持できればよく、また導電性の有無は問わない。基板1側から紫外線を入射させる場合は、基板1は透明(透光性)であることが望ましいが、基板1側から紫外線を入射させない場合(例えば後記する図2の構成)は、基板1は透明でなくてもよい。したがって基板1としては、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラスなどの各種ガラスなどの透光性材料や、セラミックス、樹脂、金属(例えばチタン、ステンレス、鉄、銅、銀、アルミニウム等)などの非透光性材料が例示される。なお、ガラスの種類によっては、波長が短い紫外線(例えば300nm以下)を透過しないものや耐熱性が異なるため、要求される特性に応じて基板を選択することが望ましい。
導電膜2は、n型半導体層3および/またはp型半導体層4の上側または下側に電極として必要に応じて形成される膜であって、例えば基板1が導電性を有さない場合は、基板1上に透光性を有する導電膜2(透明導電膜)を形成し、その上にn型半導体層3を形成すればよい。後記する図2の様な構成の場合は、n型半導体層3の上に透光性を有する電導膜2を設けてもよい。また図示しないが、図1における電極5に代えてp型導電膜の上側に導電膜2を設けてもよく、或いは図2におけるp型導電膜の下側(基板側)に電極5に代えて導電膜2を設けてもよい。導電膜2としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、各種公知の材料を用いることができる。特に透光性が要求される場合には、透明導電膜として酸化インジウム(ITO)、アルミニウムを添加した酸化亜鉛(AZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)などが例示される。
導電膜2の厚みは特に限定されないが、膜厚が薄すぎると十分な導電性を確保できず、また膜厚が厚すぎても透光性が低下するため、例えば0.04〜2μm程度でよい。
上記紫外線センサー素子にリード線を接続することによって、紫外線センサーとなる。リード線6及び7は、紫外線を入射させてpn接合によって起電力が発生した場合の電子を流すための導線(配線)である。図1では、p型半導体層4に電極5(例えばカーボン電極)を設けて、該電極5にリード線6を接続する構成となっているが、電極5はp型半導体層に直接形成していなくてもよい。またリード線7は図示例では透明導電膜2に接続されているが、基板1が導電性を有するのであれば、図示しないが基板1にリード線7を接続したり、基板1の裏面に電極を設けてリード線7を接続してもよい。電極としては特に限定されず、各種公知の材料から選択すればよいが、電気抵抗率が低く、しかも材料が安価で形成も容易にできる金属電極(例えば銀ペースト)やカーボン電極などを用いることができる。
図1は、基板1側から光を入射する場合の構成例である。基板1側から入射された光は(透明)導電膜2及びn型半導体層3を透過してpn接合をしているn型半導体層3とp型半導体層4の界面を照射し、該界面で紫外線が吸収され、吸収された紫外線が電子を励起して電子−正孔対が発生し、起電力と電流が発生して、n型半導体層3側からp型半導体層4側に整流が生じ、電子がp型半導体層4側のリード線6を通じて図示しない検出装置に流れ、該検出装置によって電子(電気)が検出されることによって、紫外線を感知することができる。その後電子はリード線7から透明導電膜2を介してn型半導体層3に流れる。紫外線照射が継続していれば、この一連の動作の繰り返しによって、紫外線を感知し続けることができる。
図2は本発明に係る紫外線センサー素子の他の構成例であり、同一素材には同一の番号を付している。図2は図1と積層順が異なる構成であって、基板1側から順に電極5、p型半導体層4、n型半導体層3、(透明)導電膜2が積層されている。図2では、光は基板1側からではなく、n型半導体層3の上に形成した(透明)導電膜2側から入射させて、n型半導体層3を透過してpn接合部分(n型半導体層3とp型半導体層4の界面)に照射して起電力と電流を発生させている。
したがって基板1は透光性を有している必要がなく、金属等の非透光性の材料を用いることができる。また基板1に導電性を有する金属を用いる場合は、基板1上の電極5を形成しなくてもよく、その場合はリード線6を直接基板に接続することも可能であり、構成が簡素となると共に製造コストも低減できる。また基板1に透光性が要求されない場合は基板1上に有機導電膜を形成し、その上にp型半導体層4を積層させてもよい。有機導電膜としては、ポリアニリンまたはポリ(エチレンジオキシ−チオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PDOT:PSS)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PDOT)、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)などが例示される。
以下、図1に示す構造の紫外線センサー素子及び紫外線センサーの製造方法を説明する。以下で説明する製造方法は、本発明の好ましい実施形態の一例を示すものであり、これに限定する趣旨ではない。また下記製造プロセスの順序を変更することによって図2に示す構造の紫外線センサー素子及び紫外線センサーを作製することもできる。
基板1上に導電膜2を設ける場合、導電膜2の成膜方法は特に限定されず、所望の組成のスパッタリングターゲット材料を用いてスパッタリング法などによって、導電膜2を形成すればよい。またタッチパネルや液晶ディスプレーの製造用に予め基板に透明導電膜が形成されている製品を用いることもでき、この場合は導電膜2の成膜工程を省略できる。
次に導電膜2の上にn型半導体層3をスクリーン印刷法で形成する。スクリーン印刷法によれば、通常の製造環境下でよいため、クリーンルームなどの設備を必要とせず、また通常の薬品・試薬を用いて容易に製造することができる。特にクリーンルーム、真空装置、高純度の窒素ガスや排気除害装置などが必須となる真空プロセスと比べて簡易な製造設備で安価に製造することができるため望ましい。
スクリーン印刷法に用いる印刷用ペーストは特に限定されず、酸化物(酸化チタンまたは酸化亜鉛)の微粉末を適当な溶剤に懸濁した懸濁液を用いることもできるが、本発明のスクリーン印刷に用いるペーストとしては以下のように作製したものが好適である。具体的には平均粒径10nm〜20μmの酸化チタン又は酸化亜鉛の微粉末を用いることが好ましい。平均粒径が小さすぎると焼結した後の膜密度が上がらないことがある。一方、平均粒径が大きすぎると焼結しないことがある。
したがって平均粒径は好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは50nm以上であって、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下である。なお、上述の平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で任意の粒子100個の直径を測定し、その個数基準の平均粒子径を採用することができる。
特にスクリーン印刷後の焼成温度を350〜600℃とする場合は、上記平均粒径10nm〜20μmの酸化チタン又は酸化亜鉛に含まれる微粒子のうち、平均粒径が150nm以下の酸化チタン又は酸化亜鉛の微粒子の割合を2〜100質量%とすることが好ましく、このような平均粒径150nm以下の極微細な粒子の含有率を高めることで、該極微細な粒子が接着剤として作用して隣接する層等との密着性を高めることができ、良好なn型半導体層を形成できる。
上記酸化チタンまたは酸化亜鉛の微粉末をと水を混合してペースト状にする。続いてエチルアルコールなどの溶剤を加えた後、スターラーなどの攪拌装置によって攪拌し、さらに超音波ホモジナイザーなどで所望の時間分散化処理することによって、粉末の凝集が抑制され、滑らかな分散液が得られる。
得られた分散液にエチルセルロースなどの増粘材、テルピネオールなどの乾燥防止剤など所望の添加剤を更に添加して攪拌した後、エバポレーターなどの加熱処理によってエタノールを蒸発させて粘度を調整し、印刷用ペーストが得られる。
上記のようにして得られたn型半導体層の印刷用ペーストを用いて基板または基板上に形成された透明導電膜の上にスクリーン印刷法によって成膜する。スクリーン印刷する際の条件は特に限定されないが、均一な膜厚とするためには以下の条件で行うことが望ましい。
まず、スクリーン印刷に用いるメッシュについては特に限定されず、ステンレスなどの金属系材料やポリエチレンなどの有機系材料を用いることができる。またメッシュサイズについても特に限定されない。
印刷マスクについても特に限定されず、素材、形状等は必要に応じて選択すればよい。本発明ではスクリーン印刷法で半導体層を形成するため、任意の形状の半導体層を作製できる。
n型半導体層3を印刷(厚さは15〜100μm程度)した後、乾燥処理(例えば120〜200℃程度)を行って透明導電膜2上に印刷したn型半導体層3を乾燥させる。乾燥後、再度印刷してもよい。この乾燥と印刷を複数回繰り返すことで膜厚を所望の範囲に制御することができる。
続いて、n型半導体層3の上にp型半導体層4をスクリーン印刷によって形成する。
p型半導体層4のスクリーン印刷用ペーストについても、酸化ニッケルを用いて、上記n型半導体層3のスクリーン印刷用ペーストと同様にして作製すればよい。なお、酸化ニッケルは酸化チタンよりも焼結性が悪いため、酸化ニッケル微粉末の平均粒径は20〜600nm程度とすることが望ましい。
p型半導体層4のスクリーン印刷用ペーストを用いてスクリーン印刷する際の条件は特に限定されず、上記n型半導体層3のスクリーン印刷条件と同じ条件で印刷すればよい。
そして所望の膜厚となるまで印刷した後、焼成することによって、pn接合を有する半導体層(n型半導体層3とp型半導体層4)が基板上に形成される。なお、焼成することによって、印刷用ペーストに含まれるセルロースが分解されて、多孔質酸化物層が収縮するため、焼成する前の印刷厚さは、収縮することを加味して印刷厚さを調整することが望ましい。
本発明では、焼成用の装置として例えば陶芸用電気炉、ホットプレート、コンロなどでよく、特殊な設備を要しないため、低コストで容易に焼成できる。焼成する際に焼成温度が低すぎると、半導体層の強度が弱くなり、例えば後記する電極を形成する際に破損してしまうことがある。一方、焼成温度が高すぎると、半導体層に割れが生じることがある。
したがって焼成温度は350℃以上が好ましく、より好ましくは500℃以上、更に好ましくは510℃以上であって、好ましくは600℃以下、より好ましくは580℃以下、更に好ましくは560℃以下である。また焼成時間は特に限定されないが、焼成時間が短すぎると、十分に焼成できないため、半導体層の強度が低下する。したがって焼成時間は、好ましくは20分以上、より好ましくは25分以上、更に好ましくは30分以上である。また製造効率の観点から好ましくは600分以下、より好ましくは120分以下、更に好ましくは60分以下である。
上記説明ではn型半導体層3を乾燥させた後、p型半導体層4を印刷・乾燥させてから焼成しているが、特にこの構成に限定されず、例えばn型半導体層3を乾燥させた後、焼成を行ってから、p型半導体層4を印刷・乾燥・焼成してもよい。或いはn型半導体層3を印刷した後、乾燥させずに続けてp型半導体層4を印刷してから、乾燥・焼成してもよい。
以上のように本発明ではn型半導体層3及びp型半導体層4をスクリーン印刷法を用いて形成しているため、容易にしかも低コストで紫外線センサー素子を作製できる。
上記紫外線センサー素子のp型半導体層4上に、電極5を形成してもよい。電極5の形成方法は特に限定されず、各種公知の方法を採用できるが、p型半導体層4に銀ペースト、カーボンペースト、またはアルミペーストをスクリーン印刷して電極5を形成することが製造コスト低減の観点からは望ましい。
なお、スクリーン印刷法でp型半導体層4を形成する実施形態においては、電極形成時の熱処理等によって電極成分がp型半導体層4に侵入してn型半導体層3と電気的短絡を生じる恐れがあることから、銀ペーストやカーボンペースト等を用いて電極を形成する場合には、熱処理温度を制御することが望ましい。熱処理温度が高くなりすぎると、電極の印刷用ペーストの流動性が高まるため望ましくない。したがって熱処理温度は好ましくは300℃以下、より好ましく250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
そして導電層2と電極5の双方にリード線を接続することで紫外線センサーを作製することができる。
上記したように本発明の紫外線センサーは紫外線にのみ応答するセンサーとして機能する。例えばn型半導体層に酸化チタンを用いた場合、酸化チタンは波長200〜400nmの紫外線を吸収し、特に、280nmと340nmに吸収のピークを有しており、本発明の紫外線センサー素子を用いた紫外線センサーも波長200〜400nmの紫外線に感度を有するため、UVA(波長315〜400nm)、UVB(波長280〜315nm)の検出に有効である。
以上、本発明の紫外線センサー素子及び紫外線センサーの製造方法を説明した。
次に本発明の紫外線センサーを用いた紫外線センサーアレイについて図3、図4を参照しながら説明する。本発明の紫外線センサーアレイは図示例に限定されず、適宜変更を加えることができる。
図3は本発明の紫外線センサーを複数設けたアレイの一部を示す概略図であり、図4はこのアレイに設置する紫外線センサーの概略断面図である。図3に示すように、1つの基板1上に複数に平行した横配線と縦配線によって形成される各マトリックスに図4に示す紫外線センサーが設けられている。個々のセンサー電極間に適切な直流電圧を印加し各センサーを流れる信号電流を観察することによって、紫外線強度の一次元分布を測定することができる。例えばこの紫外線センサーアレイは、紫外線のビームプロファイラに利用できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
透明導電膜が形成されたガラス基板(Solaronix社製TCO22−15)を25mm角に切断し、エタノールで洗浄した。続いて透明導電膜上に下記に示す手順で作製した印刷用ペーストを用いてn型半導体層及びp型半導体層をスクリーン印刷で成膜して紫外線センサー素子を作製した。
(n型半導体層の印刷用ペースト)
印刷用ペーストを以下の方法で作成した。まず、平均粒径25nmの酸化チタン粉末(DEGUSSA社製酸化チタン粉末P25:平均粒径が150nm以下の酸化チタン微粒子の割合は95質量%)を6g秤量し、乳鉢に入れた。水10mLを加えて、グラインドした。続いてエタノールを100mL加えて、ビーカーに移し、更に和光純薬製のエチルセルロース3gとテルピネオール20gを加えてから、マグネットスターラーで攪拌した後、超音波洗浄機を用いて分散化処理した。続いてエバポレーターで全体量が30mLになるまでエタノールを蒸発させて印刷用ペーストを作製した。
(p型半導体層の印刷用ペースト)
平均粒径100nmの酸化ニッケル粉末(シグマアルドリッチ社製)を5g秤量し、乳鉢に入れ、上記n型半導体層の印刷用ペーストと同様にして、印刷用ペーストを作製した。
(n型半導体層及びp型半導体層のスクリーン印刷)
スクリーン印刷機(ニューロング精密社製)に、20mm角の印刷穴の開いているポリエステル製のスクリーン印刷メッシュ(125本/インチ)をセットし、透明導電膜の上に上記n型半導体層の印刷用ペーストを用いて1回印刷した。印刷後ホットプレート(IKA社製)に載置して120℃で5分の乾燥処理を行って余分なエタノール分を蒸発させてn型半導体層を形成した。
次に、16mm角の印刷穴の開いているポリエステル製のスクリーン印刷メッシュ(125本/インチ)をセットし、n型半導体層上に上記p型半導体層の印刷用ペーストを用いて1回印刷した。印刷後、上記と同様にして乾燥処理を行ってp型半導体層を形成した。
上記印刷・乾燥処理後、陶芸用電気炉(シロタ社製)で30分間500℃に維持して焼成処理を行って紫外線センサー素子を作製した。
(p型半導体層側の電極)
10mm角の印刷穴の開いているスクリーン印刷メッシュをセットして、上記p型半導体層上にカーボンペースト(藤倉化成製:カーボンペーストXC12)を用いて印刷し、室温で乾燥させてカーボン電極を形成した。
(リード線の形成)
上記作製した紫外線センサー素子の透明導電膜とカーボン電極にリード線を接続して紫外線センサーを作製した。
この紫外線センサーを用いて以下の方法で特性を評価した。
紫外線センサーのリード線をテスターに接続すると共に、紫外線(パナソニック製:ブラックライトFL4BL−B:紫外線放射出力0.25W:波長300〜400nm:ピーク波長352nm)を紫外線センサーの基板側から照射し、短絡電流と開放電圧を測定した。
ブラックライトを紫外線センサーに照射すると、開放電圧0.8V、短絡電流100μAの電流が測定され、紫外線を照射すると光起電力及び光電流が発生した。このことから実施例1の紫外線センサー素子は紫外線に対してセンサーとして機能していることがわかった。
なお、n型半導体層とp型半導体層の膜厚はセンサーを切断して走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。上記紫外線センサーのn型半導体層の膜厚は1.7μm、p型半導体層の膜厚は2.0μmだった。
実施例2
実施例1と同様にして透明導電膜が形成されたガラス基板の透明導電膜上にn型半導体層及びp型半導体層をスクリーン印刷で成膜して紫外線センサー素子を作製した。続いてp型半導体層上に透明導電膜(ITO及びSnドープIn)形成用溶液を塗布した後、400℃で焼成して透明導電膜を形成した。
上記作製した紫外線センサー素子の基板側の透明導電膜とp型半導体層側の透明導電膜にリード線を接続して紫外線センサーを作製した。
(試験)
この紫外線センサーを用いて以下の方法で特性を評価した。紫外線センサーのリード線をテスターに接続すると共に、紫外線(パナソニック製:滅菌灯GL−6:紫外線放射出力107W:波長330〜390nm:ピーク波長360nm)を紫外線センサーの基板側から照射し、短絡電流と開放電圧を測定した。
ブラックライトを紫外線センサーに照射すると、開放電圧0.75V、短絡電流10μAの電流が測定され、紫外線を照射すると光起電力及び光電流が発生した。このことから実施例2の紫外線センサー素子は紫外線に対してセンサーとして機能していることがわかった。
なお、n型半導体層とp型半導体層の膜厚はセンサーを切断して走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。上記紫外線センサーのn型半導体層の膜厚は1.7μm、p型半導体層の膜厚は2.0μmだった。
実施例3
実施例1のn型半導体層の印刷用ペーストを酸化チタン粉末に代えて平均粒径25nmの酸化亜鉛粉末(和光純薬社製)を用いて作製した以外は、実施例1と同様にして、紫外線センサー素子を作製した後、実施例1と同様にしてp型半導体層側にカーボン電極を形成した。続いて基板側の透明導電膜とカーボン電極にリード線を夫々接続して紫外線センサーを作製した。なお、平均粒径が150nm以下の酸化亜鉛微粒子の割合は95質量%であった。
この紫外線センサーを用いて実施例1と同様にして紫外線(パナソニック製:ブラックライトFL4BL−B)を照射し、短絡電流と開放電圧を測定した。
ブラックライトを紫外線センサーに照射すると、開放電圧0.5V、短絡電流45μAの電流が測定され、紫外線を照射すると光起電力及び光電流が発生した。このことから実施例4の紫外線センサー素子は紫外線に対してセンサーとして機能していることがわかった。
n型半導体層とp型半導体層の膜厚はセンサーを切断して走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。上記紫外線センサーのn型半導体層の膜厚は1.5μm、p型半導体層の膜厚は2.0μmだった。
実施例4
基板としてエタノール洗浄済のチタン箔(厚さ100μm:25mm角)を用いて、基板上に、実施例1と同様にして作製したn型半導体層の印刷用ペースト、及びp型半導体層の印刷用ペーストを用いて、下記手順でp型半導体層及びn型半導体層をスクリーン印刷で成膜して紫外線センサー素子を作製した。
(n型半導体層及びp型半導体層のスクリーン印刷)
スクリーン印刷機(ニューロング精密社製)に、20mm角の印刷穴の開いているポリエステル製のスクリーン印刷メッシュ(125本/インチ)をセットし、基板(チタン箔)の上に上記p型半導体層の印刷用ペースト(酸化ニッケル)を用いて5回印刷した。印刷後ホットプレート(IKA社製)に載置して120℃で5分の乾燥処理を行って余分なエタノール分を蒸発させてp型半導体層を形成した。平均粒径が150nm以下の酸化チタン微粒子の割合は80質量%だった。
次に、16mm角の印刷穴の開いているポリエステル製のスクリーン印刷メッシュ(125本/インチ)をセットし、n型半導体層上に上記n型半導体層の印刷用ペースト(酸化チタン)を用いて5回印刷した。印刷後、上記と同様にして乾燥処理を行ってn型半導体層を形成した。
上記印刷・乾燥処理後、陶芸用電気炉(シロタ社製)で30分間500℃に維持して焼成処理を行って紫外線センサー素子を作製した。
(導電膜)
紫外線センサー素子のn型半導体層表面に10mm角の印刷穴の開いているテフロンテープ(登録商標)を貼付して、シグマアルドリッチ社製のポリ(エチレンジオキシ−チオフェン)−ポリスチレンスルホン酸液(PDOT:PSS)を滴下した後、テフロンテープを取り除いてから、乾燥処理(80℃)をして乾燥させて導電膜を形成した後、基板(チタン箔)と導電膜(PDOT:PSS)にリード線を接続して紫外線センサーを作製した。
この紫外線センサーを用いて実施例1と同様にして紫外線(パナソニック製:ブラックライトFL4BL−B)を照射し、短絡電流と開放電圧を測定した。
ブラックライトを紫外線センサーに照射すると、開放電圧0.3V、短絡電流60μAの電流が測定され、紫外線を照射すると光起電力及び光電流が発生した。このことから実施例5の紫外線センサー素子は紫外線に対してセンサーとして機能していることがわかった。
なお、n型半導体層とp型半導体層の膜厚はセンサーを切断して走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。上記紫外線センサーのn型半導体層の膜厚は9.5μm、p型半導体層の膜厚は8.9μmだった。
実施例5
実施例4のn型半導体層の印刷用ペーストを平均粒径25nmの酸化チタン粉末(DEGUSSA社製)に代えて平均粒径2μmの酸化チタン粉末(高純度化学社製)を用いて作製すると共に、p型半導体層の印刷用ペーストを平均粒径100nmの酸化ニッケル粉末(シグマアルドリッチ社製)に代えて平均粒径3μmの酸化ニッケル粉末(高純度化学社製)を用いた以外は実施例4と同様にして印刷用ペーストを作製した。平均粒径が150nm以下の酸化チタン微粒子の割合は15質量%であった。
上記p型半導体層の印刷用ペースト(酸化ニッケル)を用いて基板上に3回印刷した以外は実施例4と同様にしてp型半導体層を形成した。また上記n型半導体層の印刷用ペースト(酸化チタン)を用いてp型半導体層上に4回印刷した以外は実施例4と同様にしてn型半導体層を形成した。上記印刷・乾燥処理後、陶芸用電気炉(シロタ社製)で30分間580℃に維持して焼成処理を行って紫外線センサー素子を作製した。
得られた紫外線センサー素子に実施例4と同様にして導電膜(PDOT:PSS)を形成した後、基板(チタン箔)と導電膜にリード線を接続して紫外線センサーを作製した。
この紫外線センサーを用いて実施例1と同様にして紫外線(パナソニック製:ブラックライトFL4BL−B)を照射し、短絡電流と開放電圧を測定した。
ブラックライトを紫外線センサーに照射すると、開放電圧0.25V、短絡電流20μAの電流が測定され、紫外線を照射すると光起電力及び光電流が発生した。このことから実施例4の紫外線センサー素子は紫外線に対してセンサーとして機能していることがわかった。
なお、n型半導体層とp型半導体層の膜厚はセンサーを切断して走査型電子顕微鏡(SEM)で測定した。上記紫外線センサーのn型半導体層の膜厚は9.0μm、p型半導体層の膜厚は6.0μmだった。
比較例1
透明導電膜が形成されたガラス基板(Solaronix社製TCO22−15:25mm角:エタノール洗浄済)に下記に示す手順で作製した印刷用ペーストを用いてn型半導体層及びp型半導体層をスクリーン印刷で成膜して紫外線センサー素子を作製しようとしたが、以下のように作製過程でn型半導体層が剥離してしまい、紫外線センサー素子を作製できなかった。
(n型半導体層の印刷用ペースト)
まず、印刷用ペーストを以下の方法で作成した。まず、平均粒径25μmの酸化チタン粉末(高純度化学社製)を6g秤量し、乳鉢に入れた。水10mLを加えて、グラインドした。続いてエタノールを100mL加えて、ビーカーに移し、更に和光純薬製のエチルセルロース3gとテルピネオール20gを加えてから、マグネットスターラーで攪拌した後、超音波洗浄機を用いて分散化処理した。続いてエバポレーターで全体量が30mLになるまでエタノールを蒸発させて印刷用ペーストを作製した。平均粒径が150nm以下の酸化チタン微粒子の割合は0.5%であった。
(p型半導体層の印刷用ペースト)
平均粒径60μmの酸化ニッケル粉末(シグマアルドリッチ社製)を6g秤量し、乳鉢に入れ、上記n型半導体層の印刷用ペーストと同様にして、印刷用ペーストを作製した。
(n型半導体層及びp型半導体層のスクリーン印刷)
スクリーン印刷機(ニューロング精密社製)に、20mm角の印刷穴の開いているポリエステル製のスクリーン印刷メッシュ(125本/インチ)をセットし、透明導電膜の上に上記n型半導体層の印刷用ペーストを用いて10回印刷した。印刷後ホットプレート(IKA社製)に載置して120℃で5分の乾燥処理を行って余分なエタノール分を蒸発させた。続いて陶芸用電気炉(シロタ社製)で500℃に維持して30分間焼成処理を行ったところ、n型半導体層の大部分が基板から剥離してしまいn型半導体層を形成することができず、紫外線センサー素子を作製できなかった。なお、基板上に残存するn型半導体層の膜厚は16μmであった。この比較例では酸化チタン粉末の平均粒径が大きすぎたため、十分に焼結できなかった。
(可視光照射試験)
可視光領域に連続的に光を含む岩崎電気製150Wメタルハライドランプ(アーバンアクト)を用い、富士フィルム製のバンドパスフィルターBPB45を用いて、波長400nm〜500nmの光を実施例1〜5の紫外線センサーに照射したが、開放電圧及び短絡電流は確認できなかった。同様に波長500nm以上の光を実施例1〜5の紫外線センサーに照射したが、開放電圧及び短絡電流は確認できなかった。このことから、本発明の紫外線センサー素子は紫外線にのみ応答することができ、しかもバンドパスフィルターなどを用いることなく紫外線センサーとして機能することができる。
本発明の紫外線センサー素子は、高価な単結晶半導体材料を使うことなく、また汎用の原料粉末を用いてスクリーン印刷法を主体に作製可能であるため任意の形状での形成も可能であり、安価で簡易に優れた紫外線センサー素子を提供できる。
また通常の結晶系半導体紫外線センサーの出力はpAレベルであり、微少信号をオペアンプなどで増幅して使用する必要があるが、本発明の紫外線センサー素子の起電力は0.3〜0.85Vと高く、電流値も1〜150μAと大きいため、増幅しなくても信号処理を行えるため、紫外線の検出感度にも優れている。
1 基板
2 透明導電膜
3 n型半導体層
4 p型半導体層
5 電極
6 リード線(+)
7 リード線(−)

Claims (5)

  1. 酸化チタンまたは酸化亜鉛からなるn型半導体層と、酸化ニッケルからなるp型半導体層を積層してなり、前記n型半導体層と前記p型半導体層がpn接合を形成している紫外線センサー素子であって、前記n型半導体層の膜厚が0.5〜15μm、前記p型半導体層の膜厚が1〜30μmであることを特徴とする紫外線センサー素子。
  2. 前記n型半導体層および/または前記p型半導体層の上側または下側に導電膜を有するものである請求項1に記載の紫外線センサー素子。
  3. 前記n型半導体層および前記p型半導体層は、スクリーン印刷することによって形成されたものである請求項1または2に記載の紫外線センサー素子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線センサー素子は基板上に形成されたものであって、前記紫外線センサー素子に電極及び導線が形成されたものである紫外線センサー。
  5. 請求項4に記載の紫外線センサーを用いた紫外線センサーアレイ。
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