JP7283083B2 - カーボンナノブラシ接着剤/粘着剤 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る接着剤および粘着剤は、繊維状カーボンナノホーン集合体を含む。繊維状カーボンナノホーン集合体はカーボンナノブラシ(CNB)とも呼ばれ、単層カーボンナノホーンが放射状に集合し、且つ、繊維状に繋がった構造を有する。繊維状カーボンナノホーン集合体は、単に単層カーボンナノホーンが複数連なって繊維状に見えるものとは異なり、遠心分離や超音波分散等の操作を行っても繊維状の形状を維持できる。単層カーボンナノホーンはグラフェンシートが巻かれた構造の先端が先端角約20°の角(ホーン)状に尖った、直径1nm~5nm、長さが30nm~100nmの円錐型の形状の炭素構造体である。ここで、炭素構造体とは炭素を主に含む構造体であり、軽元素や触媒金属を含んでもよい。繊維状カーボンナノホーン集合体は、繊維状の炭素構造体であり、一般的に、直径が30nm~200nmであり、長さが1μm~100μm、例えば2μm~30μmである。繊維状カーボンナノホーン集合体のアスペクト比(長さ/直径)は、一般的に4~4000であり、例えば、5~3500である。繊維状カーボンナノホーン集合体の表面には、直径1nm~5nm、長さ30nm~100nmの単層カーボンナノホーンの突起を有している。導電性が高い単層カーボンナノホーンが繊維状に繋がり、長い導電性パスを持つ構造を特徴とするため、繊維状カーボンナノホーン集合体は高い導電性を有する。更に、繊維状カーボンナノホーン集合体は、高い分散性を併せ持っており、導電性付与の効果が高い。
本実施形態に係る接着剤は、好ましくは25℃において103Pa~107Paの貯蔵弾性率または2mPa・s~100Pa・sの粘度を有する。この範囲において、繊維状カーボンナノホーン集合体が接着剤の塗布面から露出し易く、接着剤の導電性が改善される。接着剤の25℃における貯蔵弾性率は、より好ましくは102~104Paである。接着剤の25℃における粘度は、より好ましくは1Pa・s~60Pa・sである。なお、これらの値は、接着剤の硬化前のものである。
本実施形態に係る粘着剤は、好ましくは25℃において103Pa~107Paの貯蔵弾性率または1Pa・s~200Pa・sの粘度を有する。この範囲において、繊維状カーボンナノホーン集合体の分散性が良好となる。粘着剤の25℃における貯蔵弾性率は、より好ましくは103Pa~106Paである。粘着剤の25℃における粘度は、より好ましくは30Pa・s~100Pa・sである。
本実施形態に係る粘着剤は粘着シートとしてよい。粘着シートには、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等が包含され得る。粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよく、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。粘着シートは、本実施形態に係る粘着剤を含む粘着剤層を有している。粘着剤層における粘着剤の含有量は一般的には90質量%以上であり、100質量%であってもよい。粘着剤層は、支持体上に形成されていてもよく、支持体上に形成されていなくてもよい。粘着剤層を支持体上に形成する際には、支持体の片面または両面に形成することができる。粘着剤層が支持体上に形成される場合、溶媒に溶解または分散させた粘着剤を、乾燥後の厚さが通常1μm~200μm程度となるように塗着して、乾燥することにより粘着剤層を形成することができる。粘着剤の塗布に際しては、慣用の塗布方法を採用することができる。
CNHs:球状カーボンナノホーン集合体
CNT:カーボンナノチューブ
窒素雰囲気下のチャンバー内で、鉄を含有した炭素ターゲットをCO2レーザーアブレーションすることで繊維状カーボンナノホーン集合体を含む炭素材料混合物(以降CNB生成物と記載)を作製した。詳細には、鉄を1重量%含有する炭素ターゲットを、2rpmで回転させて、これにCO2レーザーを連続的に照射した。CO2レーザーのエネルギー密度は、50kW/cm2であった。チャンバー内の温度は室温とし、チャンバー内に供給する窒素の流量を10L/minになるように調整した。チャンバー内の圧力は933.254hPa~1266.559hPa(700Torr~950Torr)に制御した。
n-ブチルアクリレートとアクリル酸(モル比9:1)の共重合体であるアクリルポリマーの酢酸メチル溶液に、アクリルポリマー100質量部に対して10質量部のCNB生成物を加え、超音波45kHzで10分間分散した。この分散液にコロネートL(東ソー イソシアネート系架橋剤)を2質量部加え、三本ロールミルで混錬した。この粘着物を剥離シート(リンテック SP-PET381031)上に塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成し、その上に同じ剥離シートを載せた。粘着剤層の両側の剥離シートを剥がし、粘着剤層を電極2枚の間に挟んだ。両側から4N/cm3の過重をかけて粘着剤層と電極を密着させ、抵抗測定を行った。剥離シートを粘着剤層から引き剥がした時の粘着力は0.3N/cmだった。表1に結果を示す。
実施例1と同じアクリルポリマー100質量部の酢酸メチル溶液にCNB生成物ではなく多層CNTを10質量部加えた。それ以外は実施例1と同様に粘着剤層を作製した。実施例1と同様に作製した粘着剤層の抵抗測定を行った。
実施例1と同じアクリルポリマー100質量部の酢酸メチル溶液にCNB生成物ではなくCNHsを10質量部加えた。それ以外は実施例1と同様に粘着剤層を作製した。実施例1と同様に作製した粘着剤層の抵抗測定を行った。
剥離シートの代わりに、ダイシングテープ(日立化成 HAE-1503L)を用いた。それ以外は実施例1と同様に粘着剤層を作製した。実施例1と同様に作製した粘着剤層の抵抗測定を行った。ダイシングテープを粘着剤層から引き剥がした時の粘着力は3N/cmだった。
剥離シートの代わりに、ドット状に粘着剤が配置されたテープ(ニコムズ C3310)を用いた。それ以外は実施例1と同様に粘着剤層を作製した。実施例1と同様に粘着剤層の抵抗測定を行った。テープを粘着剤から引き剥がした時の粘着力は2N/cmだった。
実施例1と同じアクリルポリマーの酢酸メチル溶液に、アクリルポリマー100質量部に対して10質量部のCNB生成物を加え、超音波45kHzで10分間分散した。この分散液にコロネートL(東ソー 架橋剤)を20質量部加え、三本ロールミルで混錬した。これを剥離シート(リンテック SP-PET381031)上に塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成し、その上に同じ剥離シートを載せた。粘着剤層の両側の剥離シートを剥がし、粘着剤層を電極2枚の間に挟んだ。両側から4N/cm3の過重をかけて粘着剤層と電極を密着させ、抵抗測定を行った。剥離シートを粘着剤層から引き剥がした時の粘着力は0.1N/cmだった。
剥離シートの代わりに、ダイシングテープ(日立化成 HAE-1503L)を用いた。それ以外は実施例4と同様に粘着剤層を作製した。実施例4と同様に粘着剤層の抵抗測定を行った。ダイシングテープを樹脂から引き剥がした時の粘着力は1N/cmだった。
エポキシ樹脂を主成分とする接着剤A液(コニシ ボンドクイック5 粘度50Pa・s)100質量部に対して、CNB生成物を10質量部加え、三本ロールミルで混錬した。これに、ポリチオールを主成分とする硬化剤B液(コニシ ボンドクイック5 粘度50Pa・s)を更に加えて混ぜた。得られた接着剤を電極に塗布した。接着剤を塗布した電極を、接着剤を塗布していない別の電極に0.5N/cm3の過重をかけて貼り合わせ、2時間硬化後に抵抗測定を行った。
接着剤A液100質量部に、CNB生成物ではなく多層CNTを10質量部加えた。それ以外は実施例6と同様に接着剤を作製した。実施例6と同様に抵抗測定を行った。
接着剤A液100質量部に、CNB生成物ではなくCNHsを10質量部加えた。それ以外は実施例6と同様に接着剤を作製した。実施例6と同様に抵抗測定を行った。
(付記1)
単層カーボンナノホーンが放射状に集合し、且つ、繊維状に繋がっている繊維状カーボンナノホーン集合体を含む導電成分を含む接着剤または粘着剤。
(付記2)
25℃において103Pa~107Paの貯蔵弾性率または25℃において2mPa・s~100Pa・sの粘度を有する、付記1に記載の接着剤または粘着剤。
(付記3)
前記繊維状カーボンナノホーン集合体の量が0.01質量%以上10質量%以下である、付記1または2に記載の接着剤または粘着剤。
(付記4)
付記1~3のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層を有する粘着シートであって、前記粘着剤における前記導電成分の量が10質量%以下であり、前記粘着剤層の体積抵抗率が50Ω・cm以下である、粘着シート。
(付記5)
付記1~3のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層と、前記粘着剤層の少なくとも一方の表面に形成された易剥離性粘着シートと、を有する粘着シート。
(付記6)
前記易剥離性粘着シートの引きはがし粘着力が1N/cm以上である、付記5に記載の粘着シート。
(付記7)
前記易剥離性粘着シートの粘着面が粘着部と非粘着部を有する、付記5または6に記載の粘着シート。
(付記8)
前記非粘着部がシリコーン剥離剤または長鎖アルキル剥離剤を含む、付記7に記載の粘着シート。
(付記9)
前記粘着部がゴム系樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、またはビニルエーテル樹脂を含む、付記7または8に記載の粘着シート。
(付記10)
高導電性粘着シートの製造方法であって、
付記1~3のいずれか1項に記載の粘着剤を含む粘着剤層を有する粘着シートを用意する工程と、
前記粘着剤層に易剥離性粘着シートを貼合する工程、および
前記粘着剤層から前記易剥離性粘着シートを剥離する工程
を含む製造方法。
(付記11)
カーボンナノチューブを含む導電成分を含む粘着剤を含む粘着剤層と、前記粘着剤層の少なくとも一方の表面に形成された易剥離性粘着シートと、を有する粘着シート。
(付記12)
前記易剥離性粘着シートの引きはがし粘着力が1N/cm以上である、付記11に記載の粘着シート。
(付記13)
前記易剥離性粘着シートの粘着面が粘着部と非粘着部を有する、付記11または12に記載の粘着シート。
(付記14)
前記非粘着部がシリコーン剥離剤または長鎖アルキル剥離剤を含む、付記13に記載の粘着シート。
(付記15)
前記粘着部がゴム樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、またはビニルエーテル樹脂を含む、付記13または14に記載の粘着シート。
Claims (9)
- 単層カーボンナノホーンが放射状に集合し、且つ、繊維状に繋がっている繊維状カーボンナノホーン集合体を含む導電成分を含む粘着剤を含む粘着剤層と、前記粘着剤層の少なくとも一方の表面に形成された易剥離性粘着シートと、を有する粘着シート。
- 前記粘着剤が、25℃において10 3 Pa~10 7 Paの貯蔵弾性率または25℃において2mPa・s~100Pa・sの粘度を有する、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤における前記繊維状カーボンナノホーン集合体の量が0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤における前記導電成分の量が10質量%以下であり、前記粘着剤層の体積抵抗率が50Ω・cm以下である、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記易剥離性粘着シートの引きはがし粘着力が1N/cm以上である、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記易剥離性粘着シートの粘着面が粘着部と非粘着部を有する、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記非粘着部がシリコーン剥離剤または長鎖アルキル剥離剤を含む、請求項6に記載の粘着シート。
- 前記粘着部がゴム樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、またはビニルエーテル樹脂を含む、請求項6に記載の粘着シート。
- 高導電性粘着シートの製造方法であって、
単層カーボンナノホーンが放射状に集合し、且つ、繊維状に繋がっている繊維状カーボンナノホーン集合体を含む導電成分を含む粘着剤を含む粘着剤層を有する粘着シートを用意する工程と、
前記粘着剤層に易剥離性粘着シートを貼合する工程、および
前記粘着剤層から前記易剥離性粘着シートを剥離する工程
を含む製造方法。
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