JP7282689B2 - リフォールディングした組み換えヒト化ラニビズマブの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、抗体フラグメントの調製のための、新規のクローニング、発現、及びリフォールディング方法に関する。
より詳細には、本発明は、組み換えヒト化(rHu)ラニビズマブの調製のための、クローニング、発現、及びリフォールディングのプラットフォームに関する。
発明の背景
標的治療タンパク質の時間及び費用効果の高い製造は、バイオシミラー産業の成功における重要な要素である。バイオ医薬品の研究及び開発における最近の動向は、抗体フラグメントの開発により重点を置いている。抗体フラグメントは、フルサイズのmAbでは利用できない改善した深い腫瘍浸透性、特異的エピトープ結合等、フルサイズのモノクローナル抗体療法よりも優れた確実な利点を提供する[1-2]
少さく且つグリコシル化されていない抗体フラグメントの細菌発現は、哺乳類の細胞系におけるモノクローナル抗体の生産よりも、より容易且つより安価になる。ラニビズマブは、滲出型加齢黄斑変性の治療に用いられる、組み換えヒト化モノクローナル抗体フラグメントである[3]。それは、抗血管新生抑制剤であり、ヒト血管内皮細胞増殖因子A(VEGF A)の生物学的活性を阻害する。ヒト化モノクローナル抗体フラグメントは、従来、組み換えDNA技術によりE.coli細胞中で発現され、血管内皮細胞増殖因子Aを標的としている[3、4]
rHuラニビズマブは、C末端で、重鎖の231残基のN末端セグメントに、ジスルフィド結合により結合した214残基の軽鎖を含む[5]。rHuラニビズマブの分子量は、それぞれ24,953ダルトンの重鎖の分子量と、23,430ダルトンの軽鎖の分子量とを有する、48,380ダルトンである。E.coli細胞を用いて生産されたrHuラニビズマブは、不溶性タンパク質凝集体の形態で、封入体を形成する。
封入体として発現したrHuラニビズマブに関して、リフォールディングは、製造全体において重要な律速段階である。このFab領域分子の既存の商業的なリフォールディング方法は、タンパク質の凝集体を生物学的活性のある可溶型へと変換する「3D」技術(希釈、透析濾過、透析)の一つに基づいている[6-9]。現在、インビボ及びインビトロにおける、ラニビズマブ調製のフォールディング方法についての理解はほとんどない。rHuラニビズマブのインビトロでのリフォールディングについての理解及び利用できる文献が限られているために、抗体フラグメントは、しばしばE.coliのペリプラズムにおいて可溶型で発現される。しかしながら、細菌のペリプラズムは、細胞の総体積の8%~16%しか構成しておらず、発現される可溶性タンパク質の量を制限している。ペリプラズムでのより高いレベルのタンパク質の発現は、封入体形成をも引き起こし、生産されたタンパク質の量と、生産に必要な時間との両方に関して、生産性を深刻に制限している。
E.coliのペリプラズム区画への発現は、最も一般的な抗体フラグメントの製造技術である。ペリプラズム発現の重大な欠点は、低い収量であり、この方法の商業的実現性を困難なものにしている。E.coli中の抗体フラグメントのペリプラズム発現に関する報告がいくつかある。破傷風トキソイドに対する抗体フラグメントは、単一の配列を抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖と共役させることにより、ペリプラズム空間で発現され16mg/lの収量をもたらした。
抗体フラグメントのペリプラズム分泌が、最小限の収量のタンパク質合成をもたらすことは、いくつかの先行技術の開示において見る価値のあることである。Humphreys DPらは、デュアルプロモーターベクターpDPH128を用いて、E.coli中における抗ヒトIgGの抗体フラグメントの生産を実証している。この抗体フラグメントの機能的な可溶型は、ペリプラズム分泌により150mg/lの収量で達成された。ウシ抗体フラグメントFabは、E.coli HB2151において、pComBoベクターを用いて生産された。ペリプラズム中でのこの抗体フラグメントの発現は、2mg/lの全収量をもたらした[13]。HuMAb4D5-8の抗体フラグメントのペリプラズム発現は、E.coli中で1~2g/lの収量で達成された[14]。治療用タンパク質のペリプラズム発現は、ミスフォールディング及び凝集のために、より低い発現量をしばしば引き起こす[15]
抗体フラグメントのペリプラズム発現、及びタグ付けを用いるような技術に関連する特許文献が採用されてきたが、抗体フラグメントの調製を可能にする試みはなかった。
米国特許出願公開第2016/289314号は、rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖をE.coli細胞のペリプラズム空間へと輸送するためのシグナル配列を開示している。この特許出願公開には、ペリプラズム中のタンパク質発現に、異なる発現ベクターを使用するが、同じ宿主細胞を用いる、rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖の発現のための技術が記載されている。希釈法によるインビトロでのリフォールディングのために、等しい割合の軽鎖及び重鎖を結合させた。
PCT国際公開第9845331号は、(a)VEGF抗原に対する強い結合親和性、(b)VEGF誘導性内皮細胞の増殖を阻害する能力、及び(c)インビボでVEGF誘導性の血管新生を阻害する能力を含む、治療学上の観点からの性質を伴うヒト化及び変異抗VEGF抗体の生産を開示している。該特許出願は、VL及びVHを含むベクターをE.coli細胞中でトランスフォームすることにより発現される、可変軽鎖及び可変重鎖のヌクレオチド配列を開示している。
PCT国際公開第2013076657号は、BL21(DE3)E.coli細胞中で、目的の可溶性タンパク質を得るための融合タグとして、メチオニンアミノペプチダーゼ(MAP)タンパク質を開示している。rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖遺伝子配列は、sMAPタンパク質でタグ付けされて、MAPLC及びMAPHC融合タンパク質は可溶型で発現した。
PH12015501593(A1)は、抗VEGF抗体、ウサギモノクローナル抗体のCDRを含む、可溶であって、安定した、抗VEGFイムノバインダーを合成するハイブリドーマ技術を開示している。それは、軽鎖及び重鎖の可変領域のヌクレオチド配列と、組み換え抗体フラグメントの発現のための発現構築物とを更に開示している。scFv又はFabポリペプチドを発現しているプラスミドは、適切な宿主、好ましくは、ペリプラズム発現のためにE.coli株JM83に、又は封入体中における発現のためにBL21に導入される。該ポリペプチドは、ペリプラズム又は封入体のいずれかから得られ、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及び/又はゲルろ過のような一般的な技術を用いて精製され得る。
米国特許出願公開第2008125580号は、異種宿主細胞中で生産されたリフォールディングした組み換えタンパク質を精製し、及び高pH緩衝液中でタンパク質をリフォールディングする方法を開示している。酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、及び血管内皮増殖因子のような増殖因子と類似の組み換えタンパク質は、宿主細胞内で発現され、還元剤及びカオトロピック剤を含む緩衝液を空気又は酸素の添加と同時に添加することにより、リフォールディングされた。
抗体フラグメントのペリプラズム発現にもたらされる欠点を考慮して、当技術分野では改善された純度及び収量を有する、等しい割合の抗体フラグメントの細胞質発現の方法を開発する必要がある。
発明の課題
本発明の決定的な課題は、抗体フラグメントの調製のためのクローニング方法を提供することである。
本発明の課題は、抗体フラグメントの重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む組み換え構築物と、宿主細胞中でその均等な発現を提供することである。
本発明の他の課題は、組み換え抗体フラグメントの細胞質発現を得ることである。
本発明の更に他の課題は、組み換え抗体フラグメントの経済的生産のために高密度細胞発酵を用いることである。
本発明のまた更に他の課題は、組み換えヒト化(rHu)ラニビズマブの調製のために、ハイスループットのリフォールディング方法を提供することである。
本発明の決定的な側面は、リフォールディングした抗体フラグメントを調製するためのクローニング方法を提供することである。
他の側面において、本発明は、リフォールディングした組み換えヒト化抗体フラグメントを調製するためのクローニング方法を提供し、前記方法は、
a)抗体フラグメントの重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを宿主細胞中でトランスフォームすること、
b)宿主細胞を高密度細胞発酵に供すること、
c)グルコース及びIPTGを含む混合物の存在下での誘導により、宿主細胞の細胞質中で前記抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を等しい割合で共発現させること
を含む。
リフォールディングした組み換えヒト化抗体フラグメントを調製するための方法は、
(i)組み換え抗体フラグメントの等しい割合の軽鎖及び重鎖を含む封入体を可溶化緩衝液の存在下で可溶化して、可溶化した軽鎖及び重鎖を得ること、及び
(ii)変性剤を希釈し、続いて酸化剤の存在下で酸化してジスルフィド結合の酸化を起こすことにより、可溶化した抗体フラグメントをリフォールディングして、rHuラニビズマブの生物学的活性型を得ること
を更に含む。
更に他の側面において、本発明は、組み換えヒト化ラニビズマブのクローニング及びリフォールディング法を提供する。
図1は、rHuラニビズマブの新規のクローニング、発現、及びリフォールディングのプラットフォームを示す。 図2は、rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖遺伝子の発現のためのデュエットベクターAを示す。 図3は、rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖遺伝子の発現のためのデュエットベクターBを示す。 図4は、還元SDS-PAGEを示し、ここで、レーン1:還元された標準イノベーターrHuラニビズマブ、2:デュエットベクターAを用いた軽鎖及び重鎖遺伝子の発現、3:デュエットベクターBを用いた軽鎖及び重鎖遺伝子の発現、4:誘導されていないE.coli細胞を示す。 図5は、還元SDS-PAGEを示す。1及び2:還元された開発rHuラニビズマブ、3:還元された標準イノベーターrHuラニビズマブ。 図6は、非還元SDS-PAGEを示す。1:タンパク質分子量マーカー、2:標準イノベーターrHuラニビズマブ、3:リフォールディングしたrHuラニビズマブ。 図7は、rHuラニビズマブ生産のための高細胞密度E.coli発酵の増殖曲線を示す。 図8は、リフォールディングしたrHuラニビズマブの逆相HPLCクロマトグラムを示す。A:標準イノベーターrHuラニビズマブ、B:リフォールディングしたrHuラニビズマブ。 図9は、リフォールディングしたrHuラニビズマブのサイズ排除クロマトグラムを示す。A:標準イノベーターrHuラニビズマブ、B:リフォールディングしたrHuラニビズマブ。 図10は、MALDI-TOFによるrHuラニビズマブのインタクトな質量分析を示す。A:標準イノベーターrHuラニビズマブ、B:リフォールディングしたrHuラニビズマブ。 図11は、還元され、アルキル化されたrHuラニビズマブのMALDI-TOFによる質量分析を示す。A:標準イノベーターrHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖、B:開発rHuラニビズマブ軽鎖及び重鎖。 図12は、E.coliの増殖曲線を示し、時間に関するバイオマス収量の増加を示す。
発明の詳細な説明
以下、本発明を、その様々な側面がより十分に理解され、評価され得るように、ある好ましく及び任意的な実施形態と関連付けて詳細に記載する。
生体材料の供給源:メルクミリポアライフサイエンス非公開有限責任会社、インドから購入したE.coli BL21(DE3)細胞。
ある好ましい実施形態において、本発明は、リフォールディングした組み換えヒト化抗体フラグメントを調製するためのクローニング方法を提供し、前記方法は、
d)抗体フラグメントの重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むベクターを宿主細胞中でトランスフォームすること、
e)宿主細胞を高密度細胞発酵に供すること、
f)グルコース及びIPTGを含む混合物の存在下での誘導により、宿主細胞の細胞質中で前記抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を等しい割合で共発現させること
を含む。
本発明における「ベクターをトランスフォームする」工程は、抗体フラグメントの重鎖及び軽鎖をコードする塩基配列を持つ少なくとも1つのデュエットベクターを宿主細胞中でトランスフォームすることをいう。
ある特定の実施形態において、本発明は、リフォールディングした組み換えヒト化ラニビズマブを調製するためのクローニング方法を提供し、前記方法は、
(i)ラニビズマブの重鎖及び軽鎖をコードする配列番号1及び配列番号3を含むベクターを宿主細胞中でトランスフォームすること、
(ii)宿主細胞を高密度細胞発酵に供すること、
(iii)グルコース及びIPTGを含む混合物の存在下での誘導により、宿主細胞の細胞質中で前記抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を等しい割合で共発現させること
を含む。
ある実施形態において、本発明は、配列番号2のラニビズマブの重鎖をコードする配列番号1のヌクレオチド配列を提供する。
他の実施形態において、本発明は、配列番号4のラニビズマブの軽鎖をコードする配列番号3のヌクレオチド配列を提供する。
一つの実施形態において、本発明は、抗体フラグメントの重鎖及び軽鎖の均等な発現のために配列番号1及び配列番号3を持つベクター構築物を提供する。
したがって、デュエットベクターは、マルチクローニングサイトI(MCS I)中のT7プロモーターに続くNcoI/HindIII部位に5’末端で挿入された、抗体フラグメントの軽鎖をコードする配列番号3のヌクレオチドと、マルチクローニングサイトII(MCS II)中の、T7プロモーターに続くNdeI/XhoI部位に5’末端で挿入された、抗体フラグメントの重鎖をコードする配列番号1のヌクレオチドとを含む(図2)。
更なる実施形態において、本発明は、マルチクローニングサイトI(MCS I)中の、T7プロモーターに続くNcoI/HindIII部位に5’末端で挿入された、抗体フラグメントの軽鎖をコードする配列番号3のヌクレオチドと、マルチクローニングサイトII(MCS II)中の、T7プロモーターに続くNdeI/XhoI部位に5’末端で挿入された、抗体フラグメントの重鎖をコードする配列番号1のヌクレオチドとを含むデュエットベクターを提供する(図3)。
他の好ましい実施形態において、軽鎖及び重鎖の遺伝子構築物を含む少なくとも1つのデュエットベクターは、発現系においてトランスフォームされる。トランスフォーメーションに供される最も好ましい発現系は、E.coli BL21(DE3)コンピテントセルである。rHuラニビズマブ抗体フラグメントの発現のために、BL21(DE3)細胞の選別された形質転換体を決定した。
図4は、デュエットベクターA及びデュエットベクターBを用いた軽鎖及び重鎖の発現を示し、それは、非誘導E.coli細胞におけるいかなる漏出発現もない、両鎖のほとんど等しい発現を裏付けた。更に好ましくは、rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖の一貫し、より高いレベルの均等な発現は、デュエットAベクターを用いて観察され、12%還元SDS-PAGEが、図5に示されている。
もう一つの他の実施形態において、本発明は、約5g/lから約15g/lまでの封入体を含む、約175g/lから約190g/lまでの範囲のバイオマス収量を提供する。図7は、rHuラニビズマブ生産のために、高密度細胞発酵に供されたトランスフォームされたE.coli細胞の増殖率の増加を示す。
図12は、E.coliの増殖曲線を示し、時間に関するバイオマス収量の増加を示している。
他の好ましい実施形態において、本発明は、
(i)組み換え抗体フラグメントの等しい割合の軽鎖及び重鎖を含む封入体を可溶化緩衝液の存在下で、可溶化して、可溶化した軽鎖及び重鎖を得、続いて酸化すること、及び
(ii)変性剤を希釈し、続いて酸化剤の存在下で酸化してジスルフィド結合の酸化を起こすことにより、可溶化した抗体フラグメントをリフォールディングして、rHuラニビズマブの生物学的活性型を得ること
を更に含む、リフォールディングした組み換えヒト化抗体フラグメントを調製する方法を提供する。
ある実施形態において、本発明は、トリス緩衝液、EDTA、変性剤、及び還元剤を含む可溶化緩衝液を提供する。
好ましい変性剤は、塩酸グアニジニン又は尿素からなる群から選択される。
好ましい還元剤は、ジチオトレイトール(DTT)又は/及びβ-メルカプトエタノールからなる群から選択される。
したがって、好ましいトリス緩衝液の濃度は、7から10までの範囲のpHを有する、0.1Mから0.5Mまでの範囲にある。好ましいEDTAの濃度は、1mMから4mMまでの範囲にあり、好ましい塩酸グアニジンの濃度は、約3mMから約6mMまでの範囲にある。
より好ましくは、可溶化緩衝液は、0.1MのトリスpH9.0、2mMのEDTA及び30分間のための変性剤として6M塩酸グアニジンを含み、還元剤、即ち5mMのDTTを更に含む。
可溶で還元された封入体溶液は、10mMの酸化型グルタチオンを添加することにより、酸化を受けた。続いて、0.1MのトリスpH9.0、0.6Mのアルギニン、5%のソルビトール、及び2mMのEDTAを含むリフォールディング緩衝液中における75倍希釈を用いて、10±2℃で、リフォールディングした。インビトロでのリフォールディング方法中に、1SLPM(標準リットル毎分)で純酸素を通過させることによって酸化リフォールディングも行った。
酸素は、システインアミノ酸のチオール基の酸化により、ジスルフィド結合の形成と反応速度を引き起こした。レドックスシャッフルも使用され、タンパク質のシステインアミノ酸との混成したジスルフィド結合を形成し、続いて求核攻撃によりタンパク質分子のシステインアミノ酸間に正しいジスルフィド結合が形成されることを可能にした。
100から110μg/mlまでの範囲の、生物学的活性なリフォールディングした機能的に活性なrHuラニビズマブが得られた。
更に、ペプチドフィンガープリンティング分析により、イノベーターrHuラニビズマブ及び開発したrHuラニビズマブの間に、85.4%の理論的な配列重複度で、望ましい一致が得られた。
例:以下の例は、例示として与えられているものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
例1:軽鎖及び重鎖遺伝子配列の構築のためのコドンの最適化
rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖のアミノ酸配列は、Drug Bankから取得し、コドンの最適化を行った(アクセッション番号:DB01270)。
例2:rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖の発現のためのデュエットベクターAの構築
マルチクローニングサイトI(MCS I)中の、T7プロモーターに続くNcoI/HindIII部位に5‘末端で配列番号3の軽鎖ヌクレオチド配列を挿入し、マルチクローニングサイトII(MCS II)中の、T7プロモーターに続くNdeI/XhoI部位に5’末端で配列番号1の重鎖ヌクレオチド配列を挿入することで、デュエットベクターA(図2)を構築した。
例3:rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖の発現のためのデュエットベクターBの構築
マルチクローニングサイトI(MCS I)中の、T7プロモーターに続くNcoI/HindIII部位に5’末端で配列番号3の軽鎖ヌクレオチド配列を挿入し、マルチクローニングサイトII(MCS II)中の、T7プロモーターに続くNdeI/XhoI部位に5‘末端で配列番号1の重鎖ヌクレオチド配列を挿入することで、デュエットベクターB(図3)を構築した。
例4:BL21(DE3)宿主細胞中の発現構築物のトランスフォーメーション
軽鎖遺伝子構築物を有するデュエットベクターA及びBを、コンピテントBL21(DE3)発現系でトランスフォームした。トランスフォーメーション法は、100μlの宿主細胞の0.5μgベクターによる氷上での30分間のインキュベーションと、続く、42℃で35秒間のヒートショックを含む[22]。ヒートショック後、氷上で15分間、細胞を再びインキュベートした。次いで、800μlのカタボライト抑制された超最適ブロス(Super Optimal broth with Catabolite repression、SOC)培地を反応混合物に加え、続いて1時間45分間、450rpmでインキュベーションした。形質転換した細胞は、2000rpmで5分間遠心した。BL21(DE3)E.coli形質転換体を30μg/mlのカナマイシンを含むLB寒天プレート上にプレーティングした。形質転換体を含むプレートを37℃で一晩インキュベートした。抗生物質選択マーカーに基づいて、形質転換陽性の細胞をプレートから分離し、タンパク質発現のために用いた。
例5:振盪フラスコレベルでのrHuラニビズマブ発現
選別されたBL21(DE3)細胞の形質転換体をrHuラニビズマブ発現に関して試験した。選別されたコロニーを30μg/mlのカナマイシンと共に10mlのLBブロスに播種した。600nmでの光学密度が1から1.5までの値に達するまで、細胞を増殖させた。これらの良く増殖したコロニーの2mlを100mlのTerrific HiVeg(登録商標)ブロスに移し替え、37℃で250rpmでインキュベートした。600nmで1~1.50の光学密度に達した後、E.coli培養を5mMのIPTGで誘導した。5時間の誘導後に細胞を回収し、6000rpmで20分間遠心した。上澄みを捨て、細胞ペレットを20mMのトリス、0.1mMのEDTA pH9.0溶解緩衝液中に再懸濁した。細胞を高圧ホモジナイザー中で15000バール圧で20分間溶解した。溶解した細胞を6000rpmで25分間遠心した。上澄み及びペレット中の発現したタンパク質の存在を、還元及び非還元SDS-PAGE分析を用いて確認した。図4は、デュエットベクターA及びデュエットベクターBを用いた軽鎖及び重鎖の発現を示し、そのことは、非誘導E.coli細胞におけるいかなる漏出発現もない、ほとんど等しい両鎖の発現を裏付けた。デュエットAベクターを用いて、rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖のより高い水準の発現が、12%還元SDS-PAGEを用いて観察された(図5)。振盪フラスコレベルのE.coli発酵は、600nmで3.78±0.05の光学密度をもたらし、0.868±0.01g/lの封入体生産の発生をもたらす9.3±0.12g/lのバイオマスを伴った。封入体中のrHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖の量及び純度は、逆相HPLCによって測定した(図8)。
例6:バイオリアクター段階でのrHuラニビズマブ発現
タンパク質発現を1Lバイオリアクター中で行った。選択的に形質転換したBL21(DE3)細胞をrHuラニビズマブ発現について評価した。選別したコロニーを30μg/mlのカナマイシンを含む10mlのLBブロスに播種した。細胞を600nmでの光学密度が1から1.5までに達するまで増殖させた。これらの良く増殖したコロニーの2mlを100mlのLBブイヨン中でに移し替え、37℃で250rpmでインキュベートした。100mlの種培養物を900mlのTerrific HiVeg(登録商標)中に移し替えた。ダイレクトドライブモーター、2つのラッシュトンインペラー、リングスパージャー(マクロスパージャー)を備えたバッフルアセンブリを有する2L熱ブランケットガラス管を使用することにより、1SLPMのガス流量で自動ガス混合を行いながら、BioFlo(登録商標)/GelliGen(登録商標)115ベンチトップ発酵層を用いて高密度細胞発酵を行った。自動DOカスケード撹拌、GasFlo及びOミックスを30%のDO設定点となるように選択した。撹拌カスケードの下限を300rpmに保ち、上限を1000rpmに保った。GasFloカスケードを1SLPMに保ち、Oミックスを0~80%に保った。E.coli培養物を5mMのIPTGで対数中期で誘導した。5時間の誘導後、細胞を回収し、6000rpmで20分間遠心した。上澄みを捨て、細胞ペレットを20mMのトリス、0.1mMのEDTA pH9.0可溶化緩衝液中に再懸濁した。細胞を高圧ホモジナイザー中で20分間15000barの圧で可溶化した。上澄み及びペレット中の発現したrHuラニビズマブの存在は、SDS-PAGE分析を用いて測定した。高細胞密度E.coli発酵は、600nmで75.0±1.2の光学密度をもたらし、7.0±0.1g/lの封入体生産の発生をもたらす182±2.9g/lバイオマスを伴った(図7)。
例7:rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖の封入体のためのタンパク質のリフォールディング及び前処理
可溶化手順:
まず、170mgの湿潤重量の封入体を0.1Mのトリス10 pH9.0、2mMのEDTA、及び変性剤として6Mの塩酸グアニジンを含む10mlの可溶化緩衝液中で30分間可溶化した。5mMのDTTを添加して還元を行い、還元のために25℃で1時間保った。この可溶化し還元した封入体に10mM酸化グルタチオンを添加して、酸化のために3時間25℃に保った。
リフォールディング手順:
この可溶性で、還元し、酸化した封入体を0.1Mのトリス pH9.0、0.6Mのアルギニン、5%のソルビトール、2mMのEDTAを含むリフォールディング緩衝液中で、10±2℃で75倍希釈した。インビトロにおけるリフォールディング方法で、1SLPM(標準リットル毎分)の流量で純酸素を通過させることで、酸化リフォールディングを行った。酸素は、システインアミノ酸中のチオール基の酸化により、ジスルフィド結合の形成と反応速度を起こした。レドックスシャッフルも使用されて、それは、タンパク質のシステインアミノ酸の混成したジスルフィド結合を形成し、続いて求核攻撃によりタンパク質分子のシステインアミノ酸間に正しいジスルフィド結合が形成されるのを可能にした。リフォールディング産物を5KDa Ultrasette(登録商標)Labタンジェント流ろ過装置を用いて限外ろ過し、続いて緩衝液を20mMのトリスpH9.0に交換した。非還元12%SDS-PAGE上48kDaで、リフォールディングしたrHuラニビズマブが観察された(図6)。リフォールディングしたrHuラニビズマブの量及び性質を逆相及びサイズ排除HPLCで測定した(図8)。
例8:組み換えrHuラニビズマブの分析的特性評価
rHuラニビズマブ試料のA280での吸光度測定
UV吸光度測定を用いて、リフォールディング及びクロマトグラフィー産物中の総タンパク質を280nmで測定した。Nanodrop(登録商標)2000及びUV-1800 島津製作所 紫外可視分光光度計を用いて、採取された全ての画分を280nmで読み取った。
例9:rHuラニビズマブの総タンパク質推定のためのブラッドフォードアッセイ
総タンパク質推定に使用したオルトゴナル技術は、Nanodrop(登録商標)2000を用いた595nmでのブラッドフォードアッセイであった。5μlの試料を250μlのブラッドフォード試薬に添加後、30分間撹拌機で混合を行った。混合した後、試料を染料の存在下で25分間インキュベートし、595nmでの吸光度を測定した[25]
例10:rHuラニビズマブ試料のSDS-PAGE分析
rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖の発現の同定のために、還元条件で、12%(厚さ1mm)の分離ゲルを用いて、SDS-PAGE分析を行い(図4)、リフォールディングしたrHuラニビズマブを非還元SDS-PAGEにて、濃縮ゲル定電圧120V及び分離ゲル定電圧100Vの条件で観察した(図7)。各試料をゲルに流し込む前に、開始バッファ中で10分間沸騰させた。ポリアクリルアミドゲル上の電気泳動分離後に、タンパク質を検出するために、4:1:5(水:氷酢酸:メタノール)中の0.05%(w/v)クマシーブリリアントブルーG-250を用いた[26]
例11:rHuラニビズマブの逆相HPLC分析
アジレント1260システムで4.6mm×50mm Poroshell 120 EC-C18 2.7μmカラムを用いた逆相クロマトグラフィーを用いて、rHuラニビズマブの定量及び定性分析を行った(図8)。移動相は、水中の0.1%(v/v)TFA(溶媒A)と、100%(v/v)のアセトニトリル中の0.1%(v/v)TFA(溶媒B)からなっていた。214nmの波長でAからBへの線形勾配を用いて、流量を1ml/分で維持した。図8は、イノベーター及びリフォールディングしたrHuラニビズマブのRP-HPLCクロマトグラムを示す。
例12:rHuラニビズマブのインビトロでの生物学的活性の定量のためのELISA分析
リフォールディングしたrHuラニビズマブを含む試料をプレートにコーティングされたVEGF抗原と反応させた。ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)酵素で標識された抗ヒトIgGにより、結合したrHuラニビズマブを検出した。免疫学的反応により、固相の抗体と結合したVEGF-ラニビズマブ-抗体を標識した酵素のサンドウィッチ複合体が形成する。マイクロタイターストリップを洗浄し、結合していない反応物を除去する。次に、基質であるテトラメチルベンジジン(TMB)を反応させる。加水分解された基質の量は、マイクロタイタープレートリーダー上で450nmで読み取り、存在するrHuラニビズマブの濃度に正比例する。生物学的に活性なリフォールディングしたrHuラニビズマブをインビトロでの生物学的アッセイを用いて定量した。102μg/mlの機能的に活性なrHuラニビズマブを得た[27]
例13:rHuラニビズマブのSE HPLC分析
様々な手順における産生物中の凝集体含量をYarra(登録商標)3μm SEC-2000(300×7.8mm ID)カラムを使用して行ったSEC-HPLC分析を用いて決定した(図9)。移動相は、pH5.50で50mMの塩化ナトリウム緩衝液と共に20mMの酢酸緩衝液から成る。分析は、イソクラティック方式で0.5ml/分の流量にて25℃で行った。フォトダイオードアレイ検出器を用いて、280nmでタンパク質検出を行った。図9は、0.5%の凝集体を含むイノベーターrHuラニビズマブに匹敵する、99.5%の精製したrHuラニビズマブの純度を示す。
例14:二本鎖DNAの推定
リフォールディング産物中のDNAの存在量をQuant-iT(登録商標)ピコグリーンアッセイを用いて推定した。二本鎖ラムダDNAを用いて標準曲線を作成した。0.5mlの方法産生物試料を0.5mlの希釈したQuant-iT(登録商標)dsDNA BR試薬に添加し、反応混合物を5分間インキュベートした。5分後、蛍光分光光度計を用いて蛍光を測定した(励起波長480nm、発光波長520nm)。
例15:マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI-TOF)(飛行時間型質量分析法)によるリフォールディングしたrHuラニビズマブのインタクト質量分析
標準及びリフォールディングした精製rHuラニビズマブをシナピン酸マトリックスと1:1の割合で混合し、MALDI-TOF分析を行った(図11)。同様に、還元し及びアルキル化した、標準及びリフォールディングしたrHuラニビズマブをシナピン酸マトリックスと1:1の割合で混合し、MALDI-TOF分析した(図12)。高純度水中の50%v/vアセトニトリル、0.1%v/vTFA中にシナピン酸マトリックス(10mg/ml)を調製した。1μlの試料及びマトリックスの均一混合物を清潔な384ウェルMALDIプレートに載せた。プレートをAB SCIEX TOF/TOF(登録商標)5800計器に挿入した。計器を陽イオンモードで使用した。337nm放射の窒素レーザーをイオン化源として維持した。4000から5000までのレーザー強度を試料の分析に使用した。データエクスプローラー(登録商標)ソフトウェア バージョン4.11を用いて結果の分析を行った。図10は、イノベーターrHuラニビズマブとの、リフォールディングしたrHuラニビズマブのインタクトな質量の比較を示す。図11は、還元しアルキル化したイノベーターrHuラニビズマブとの、精製したrHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖の質量の比較を示す。
例16:LC-MSによるペプチドフィンガープリンティング
ペプチドマッピングをウシ血清アルブミン(BSA)、標準イノベーターrHuラニビズマブ、及びリフォールディングしたrHuラニビズマブのIn-solution消化により行った。6.0Mの塩酸グアニジンを用いて室温で1時間、タンパク質の変性を行った。変性したタンパク質の還元のために10mMのDTTを添加し、1時間室温でインキュベートした。15mMのヨードアセトアミド(IAA)を用いてアルキル化し、15分間暗条件でインキュベートし、再び5mMのDTTを加えて過剰なIAAを中和した。変性し、還元し及びアルキル化したタンパク質試料を50mMの重炭酸アンモニウム中で緩衝液交換した。タンパク質試料の消化のために、1:50(トリプシン:タンパク質)の割合で、トリプシンを用いた。消化混合物を37℃で18時間インキュベートし、続いてZiptip(登録商標)ピペットチップを用いて試料を洗浄した。洗浄した試料をSPD1010 Speedvac(登録商標)濃縮装置を用いて乾燥した。消化したタンパク質試料を質量グレード水中の3%アセトニトリル及び0.1%ギ酸中で再構成した。ペプチドフィンガープリンティングをAB SCIEX TripleTOF(登録商標)5600システムを用いて行い、データをProteinPilot(登録商標)Softwareを用いて記録し、分析した。結果は、イノベーターrHuラニビズマブと、開発されたrHuラニビズマブとの間で、85.4%の理論的な配列重複度の良好な一致を示す[29]
本発明の利点
・本発明に開示されるベクター構築物を用いることにより、軽鎖及び重鎖の均等な発現が得られ、mAbフラグメントの軽鎖及び重鎖の均等な発現を得るための手動プロセスが省略される。
・組み換え抗体フラグメントのペリプラズム発現よりも、細胞質発現での高いバイオマス収量をもたらし、したがって組み換えタンパク質の増加した収量をもたらす。
・本発明で用いられる高密度細胞発酵は、バイオマス生産の増加を提供する。
以下に、本願発明の実施態様を付記する。
[1] a)抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖をコードする配列番号1及び配列番号3を有するヌクレオチド配列を含むベクターを宿主細胞中でトランスフォームすること、
b)前記宿主細胞を高密度細胞発酵に供すること、
c)グルコース及びIPTGを含む混合物の存在下での誘導により、前記抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を等しい割合で前記宿主細胞の細胞質中に共発現させ、封入体を得ることを含む、リフォールディングした組み換えヒト化ラニビズマブを製造する方法。
[2] d)等しい割合の組み換え抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を含む前記封入体を可溶化緩衝液の存在下で可溶化し、可溶化した抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を得ること、
e)変性剤を希釈し、続いて酸化剤の存在下で酸化してジスルフィド結合の酸化を起こすことにより、可溶化した抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖をリフォールディングし、rHuラニビズマブの生物学的活性型を得ること、及び
f)工程(v)で得たrHuラニビズマブを、20mMのトリスpH9.0により後続される、5kDaタンジェント流ろ過装置を用いて限外ろ過すること、を更に含む、[1]に記載のリフォールディングした組み換えヒト化ラニビズマブを生産する方法。
[3] 前記可溶化は、0.1Mのトリス緩衝液pH9.0、2mMのEDTA、変性剤及び還元剤を含む可溶化緩衝液を用いて行う、[2]に記載の方法。
[4] 前記変性剤は、塩酸グアニジン又は尿素から成る群から選択される、[3]に記載の方法。
[5] 前記還元剤は、ジチオトレイトール(DTT)又はβ-メルカプトエタノールから成る群から選択される、[3]に記載の方法。
[6] 前記可溶化した抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖は、インビトロでのリフォールディング方法中に、10mM酸化型グルタチオンの添加に続いて、1SLPM(標準リットル毎分)の流量で純酸素を通過させることで、酸化される、[2]に記載の方法。
[7] 前記リフォールディングは、0.1MのトリスpH9.0、0.6Mのアルギニン、5%のソルビトール、2mMのEDTAを含むリフォールディング緩衝液を用いて行われる、[2]に記載の方法。
[8] rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖遺伝子の発現のためのデュエット(バイシストロニック)ベクター発現系であって、前記デュエットベクターは、軽鎖をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、重鎖をコードする配列番号1のヌクレオチド配列、プロモーター配列、及び制限部位を含む、該ベクター発現系。
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Claims (7)

  1. a)1つのベクターにつき、抗体フラグメントの鎖をコードする配列番号を有するヌクレオチド配列及び抗体フラグメントの軽鎖コードする列番号3を有するヌクレオチド配列を両方とも含むベクターを宿主細胞中でトランスフォームすること、
    b)前記宿主細胞を高密度細胞発酵に供すること、
    c)グルコース及びIPTGを含む混合物の存在下での誘導により、前記抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を等しい割合で前記宿主細胞の細胞質中に共発現させ、封入体を得ること
    d)等しい割合の組み換え抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を含む前記封入体を可溶化緩衝液の存在下で可溶化し、可溶化した抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖を得ること、
    e)変性剤を希釈し、続いて酸化剤の存在下で酸化してジスルフィド結合の酸化を起こすことにより、可溶化した抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖をリフォールディングし、rHuラニビズマブの生物学的活性型を得ること、及び
    f)上記e)で得たrHuラニビズマブを、20mMのトリスpH9.0により後続される、5kDaタンジェント流ろ過装置を用いて限外ろ過すること、
    を含む、リフォールディングした組み換えヒト化ラニビズマブを生産する方法。
  2. 前記可溶化は、0.1Mのトリス緩衝液pH9.0、2mMのEDTA、変性剤及び還元剤を含む可溶化緩衝液を用いて行う、請求項に記載の方法。
  3. 前記変性剤は、塩酸グアニジン又は尿素から成る群から選択される、請求項に記載の方法。
  4. 前記還元剤は、ジチオトレイトール(DTT)又はβ-メルカプトエタノールから成る群から選択される、請求項に記載の方法。
  5. 前記可溶化した抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖は、インビトロでのリフォールディング方法中に、10mM酸化型グルタチオンの添加に続いて、1SLPM(標準リットル毎分)の流量で純酸素を通過させることで、酸化される、請求項に記載の方法。
  6. 前記リフォールディングは、0.1MのトリスpH9.0、0.6Mのアルギニン、5%のソルビトール、2mMのEDTAを含むリフォールディング緩衝液を用いて行われる、請求項に記載の方法。
  7. rHuラニビズマブの軽鎖及び重鎖遺伝子の発現のためのデュエット(バイシストロニック)ベクター発現系であって、
    第1のT7プロモーターに続くNcol/HinkIII部位に5’末端で挿入された状態で、前記第1のT7プロモーターに連結されている軽鎖をコードする配列番号3のヌクレオチド配列、及び第2のT7プロモーターに続くNdel/Xhol部位に5’末端で挿入された状態で、第2のT7プロモーターに連結されている重鎖をコードする配列番号1のヌクレオチド配列を含む、デュエットベクターと、
    前記デュエットベクターのトランスフォーメーションに供するためのE.coli BL21(DE3)コンピテント細胞と、
    を含む、該ベクター発現系。
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