[第1実施形態]
第1実施形態を図1~図12に基づいて説明する。図1,2に示すように搬送装置1は、例えば空港で利用され、図示省略の搭乗手続きカウンターで預かった搭乗者の手荷物(物品)5を航空機4の貨物室まで搬送する。搬送装置1は、上流搬送経路1aと下流搬送経路1bを備える。上流搬送経路1aは、メイクコンベヤとも称される長円形のループ状のコンベヤ2を含む。コンベヤ2は、図1中白抜き矢印で示す反時計回り方向に複数の手荷物5を搬送する複数の板と、複数の板を移動させるモータを有する。手荷物5は、例えばキャスタ付きのスーツケース(旅行鞄)である。
図1,2に示すようにコンベヤ2の図示右側領域(下流搬送経路1bに近い領域)の上方に搬送状態認識手段7が配置される。搬送状態認識手段7は、コンベヤ2を跨ぐ搬送フレーム6に取付けられ、コンベヤ2上の手荷物5を上方から認識する。搬送状態認識手段7は、例えば2Dカメラや3Dカメラと、カメラから得た画像情報を処理する画像処理回路を有する。搬送状態認識手段7は、画像情報を得て画像情報からコンベヤ2上の手荷物5の位置、大きさ(幅、長さ、高さ)及び搬送方向に対する姿勢(傾き)等に関する視覚情報を得る。
図1,2に示すように搬送フレーム6は、ピッキング装置(移載装置)10を前後左右方向に移動させるために前後フレーム6a,6bと左右フレーム6d,6eを有する。前後フレーム6a,6bは、左右方向に沿って延びる。後フレーム6aは、ループ形状のコンベヤ2の略中央に収まるように配置される。前フレーム6bは、コンベヤ2の前側、すなわち下流搬送経路1b側に配置される。前後フレーム6a,6bを架橋するように左右方向移動機構6cが設けられる。左右方向移動機構6cは、例えばモータを具備し、モータの駆動によって前後フレーム6a,6bに沿って左右方向に移動可能である。左右方向移動機構6cは、前後フレーム6a,6bを架橋する左右フレーム6d,6eを有する。左右フレーム6d,6eは、左右方向に並設される。左右フレーム6d,6eを架橋するように前後方向移動機構6fが設けられる。前後方向移動機構6fは、例えばモータを具備し、モータの駆動によって左右フレーム6d,6eに沿って前後方向に移動可能である。
図1,2に示すように前後方向移動機構6fの下部にピッキング装置10を昇降させる昇降機構6gが設けられる。昇降機構6gは、前後方向移動機構6fから下方に伸びる保持部6hと、保持部6hに沿って昇降可能なスライダ6iを有する。図2に示すようにスライダ6iが保持部6hの下部に位置する時、ピッキング装置10がコンベヤ2上の手荷物5と略平行になる上下角度で支持される。スライダ6iが上昇して保持部6hの上部に位置する時、ピッキング装置10が略水平になり、サイズ別コンベヤ30と略水平な姿勢になる。これによりピッキング装置10からサイズ別コンベヤ30に手荷物5が円滑に搬送される。
図1,2に示すようにピッキング装置10は、搬送状態認識手段7の搬送方向の下流側(図示上側)に配置される。ピッキング装置10は、手荷物5をエアの負圧で吸着するための開口部が形成された吸着部を有する。吸着部にホースが連結され、ホースが負圧を発生させる負圧発生装置に連結される。吸着部が手荷物5の上面に当接されて、手荷物5が負圧を利用してピッキング装置10に保持される。
図1,2に示すようにサイズ別コンベヤ30は、コンベヤ2の図示右側上方に配置される。サイズ別コンベヤ30は、並列配置された4つの分配コンベヤ31~34を有する。各分配コンベヤ31~34の搬送方向下流側の端部には、手荷物5の移動を規制する可動式のストッパ35と回転機構が設けられる。ストッパ35は、回転可能に分配コンベヤ31~34に連結される。回転機構は、ストッパ35を上方の閉じ位置と下方の開放位置の間で回転させる。
図1,2に示すように分配コンベヤ31~34の下流には、待機コンベヤ(トラバーサ)36が配置される。待機コンベヤ36は、図1中白抜き矢印で示すように分配コンベヤ31~34の搬送方向と交差する左右方向に延出するレール51d(図3,5参照)に移動可能に設置される。待機コンベヤ36は、大型の手荷物5を搬送可能な搭載面積を有する。モータ等の動力によって待機コンベヤ36がレール51dに沿って移動する。モータは、待機コンベヤ36に設けられた制御手段(コントローラ)によって移動量が決定される。
図2,3に示すように待機コンベヤ36は、手荷物5を挟むことで手荷物5を測定する物品サイズ検出装置50を有する。物品サイズ検出装置50は、水平な基台51と、基台51に沿って前方に進行するベルトコンベヤ51aを有する。ベルトコンベヤ51aは、基台51に設けられた前後一対のベルト駆動ローラ51fによって回転する。これによりベルトコンベヤ51a上の手荷物5が前方に進行する。以下の説明においてサイズ別コンベヤ30の進行方向を前方とし、進行方向前方を基準にして上下左右方向を規定する。
図4,5に示すように物品サイズ検出装置50は、一対のクランプ部材52と、一対のクランプ部材52をそれぞれスライド可能に支持する凸形レール56e,56fを有する。左右一対のクランプ部材52は、右方の第1クランプ52aと左方の第2クランプ52bを有する。第1クランプ52aと第2クランプ52bは、前後方向に長く、左右方向に厚みを有する板状部材である。第1クランプ52aと第2クランプ52bは、それぞれ左右方向に面する当接面を有し、当接面には受けた力を検出する第1ロードセル53aと第2ロードセル53bが設けられる。
図4,5に示すように第1クランプ52a,第2クランプ52bの後部は、起立する柱状の一対のクランプ支持部52cの下部に片持ち梁状に支持される。各クランプ支持部52cの上部にクランプ基部52d,52eが連結される。各クランプ基部52d,52eは、左右方向に延びた凹形レール52f,52gを有する。
図3~5に示すように基台51は、ベルトコンベヤ51aの左右両端のより外方にて立設する一対の駆動機支持部51bを有する。一対の駆動機支持部51bの上部は左右方向に延在するリニアガイド56cによって互いに連結される。リニアガイド56cは、ベルトコンベヤ51aに運ばれる手荷物5の高さよりも上方に配置される。リニアガイド56cの前面には、リニアガイド56cに沿って左右方向に延在する凸形レール56e,56fが左右に並設される。
図4,5に示すように凸形レール56e,56fにクランプ基部52d,52eに形成された凹形レール52f,52gがスライド可能に係合する。クランプ基部52d,52eにクランプ支持部52cの上部が連結され、各クランプ支持部52cの下部に第1クランプ52aと第2クランプ52bが連結される。すなわち第1クランプ52a,第2クランプ52bは、クランプ基部52d,52eのそれぞれに一体に設けられ、各クランプ基部52d,52eの下方で支持される。第1クランプ52aと第2クランプ52bは、左右方向に移動した際にベルトコンベヤ51a上の手荷物5を挟み込むことができる高さに位置する。
図5に示すように駆動機支持部51bの上部には、一対のクランプ部材52を同期して移動させる駆動機54が設けられる。駆動機54は、一対のサーボモータ55と力変換機構56を有する。力変換機構56は、一対のサーボモータ55それぞれの回転力を一対のクランプ部材52の直線移動に変換する。力変換機構56は、クランプ基部52d,52eそれぞれに左右方向に貫通される雌ねじ52h,52iと、ねじ軸56a,56bを有する。
図5に示すようにねじ軸56a,56bを支持する中央張出部56dが、リニアガイド56cの左右方向の略中央から上方に張り出す。ねじ軸56a,56bは、リニアガイド56cの上方で左右方向に延在する。ねじ軸56aの左端は、中央張出部56dに回転可能に支持される。ねじ軸56aは、クランプ基部52dの雌ねじ52hに螺合される。クランプ基部52dから右方に突出したねじ軸56aの右端には、第1サーボモータ55aが設けられる。第1サーボモータ55aを作動させることでねじ軸56aが軸回りに回転する。
図5に示すようにねじ軸56bの右端は、中央張出部56dによって回転可能に支持される。ねじ軸56bは、クランプ基部52eの雌ねじ52iに螺合される。クランプ基部52eから左方に突出したねじ軸56bの左端には、ねじ軸56bを軸回りに回転させる第2サーボモータ55bが設けられる。
図5,11に示すように物品サイズ検出装置50を制御する制御装置57は、位置検知機57aと物品サイズ決定回路57dを有する。位置検知機57aは、モータ制御回路57bと位置算出回路57cを有する。モータ制御回路57bは、第1サーボモータ55aと第2サーボモータ55bをそれぞれ独立して制御する。位置算出回路57cは、第1クランプ52aと第2クランプ52bの左右方向の位置を算出する。第1クランプ52aと第2クランプ52bの位置は、第1サーボモータ55aと第2サーボモータ55bそれぞれの回転量と、第1ロードセル53aと第2ロードセル53bがそれぞれ検出する力の大きさに基づいて算出される。
図5,11に示すように物品サイズ検出装置50は、物品サイズ決定回路57dを有する。物品サイズ決定回路57dは、第1クランプ52aと第2クランプ52bの間に位置する手荷物5の左右方向の大きさを決定する。手荷物5の大きさは、位置算出回路57cにより算出された第1クランプ52aと第2クランプ52bの左右方向の位置に基づいて決定される。
図3に示すようにベルトコンベヤ51aの前方には、手荷物5の移動を規制する可動式のストッパ51cと回転機構が設けられる。ストッパ51cは、回転可能に基台51に連結される。回転機構は、ストッパ51cを上方の閉じ位置と下方の開放位置の間で回転させる。ストッパ51cの後部にはバンパ51gが設けられる。バンパ51gの下部は、バンパ支軸51hに回転可能に連結される。バンパ51gは、基台51に設けられた付勢部材によって後方上向きに付勢される。バンパ51gは、ベルトコンベヤ51aに運ばれる手荷物5の前部と接触可能な高さを有する。バンパ51gは、前方への回転を検知する検知機構51iとして例えばリードスイッチを有する。
図3,5に示すように2本のレール51dが基台51の下方に配設される。2本のレール51dは、前後に並設され、図1に示す分配コンベヤ31~34の左右両端よりも長く左右方向に延在する。ベルトコンベヤ51aの下方にレール係合部51eが設けられる。レール係合部51eは、基台51の左右両側に2つずつ設けられる。計4つのレール係合部51eは、2本のレール51dに対して2つずつ係合する。これにより待機コンベヤ36は、2本のレール51dの延在する左右方向に平行移動可能である。
図1,2に示すようにサイズ別コンベヤ30と待機コンベヤ36の下方には、コンテナ3を搬出入する下流搬送経路1bが設けられる。待機コンベヤ36の前方には、待機コンベヤ36からコンテナ3内に手荷物5を積み込む積み込みロボット(積み込み装置)40が設けられる。積み込みロボット40は、多関節のロボットアームと、ロボットアームの先端で手荷物5を保持するロボットハンドを有する。積み込みロボット40は、テーブル45上に水平移動可能に載置される。
図1~12に基づいて搭乗手続きカウンターで預かった手荷物5を航空機4の貨物室4a内に積み込むまでの一連の流れを説明する。図1,2に示すように搭乗者の手荷物5がコンベヤ2へ順次搬入される。搬送状態認識手段7と画像処理回路によって、コンベヤ上の手荷物5の位置、大きさ及び搬送方向に対する傾き等に関する視覚情報が得られる。搬送状態認識手段7によって得られた手荷物5に関する情報はピッキング装置10に提供される。
図1,2に示すようにピッキング装置10は、コンベヤ2上で移動する手荷物5の上方に同期するように左右方向移動機構6cと前後方向移動機構6fによって移動する。昇降機構6gでピッキング装置10を下降させて手荷物5の上面にピッキング装置10の吸着部を当てる。負圧発生装置で負圧を発生させることによって手荷物5の上面を吸着部が保持する。
図1,2に示すように昇降機構6gがピッキング装置10を上昇させることで手荷物5の上面と吸着部の吸着面が略平行となる。ピッキング装置10が保持した手荷物5は、サイズ別コンベヤ30に搬送される。ピッキング装置10は、搬送状態認識手段7からの手荷物5に関する情報に基づいて手荷物5を各分配コンベヤ31~34にサイズ毎に分配する。例えば、手荷物5は、Sサイズ、M1サイズ、M2サイズ、Lサイズの4種類に分配して各分配コンベヤ31~34に分配される。分配コンベヤ31~34は、分配された手荷物5を前方へ移動させ、前端に設けられたストッパ35で手荷物5を停止させる。ストッパ35は、待機コンベヤ36の制御手段からの信号によって得られた待機コンベヤ36の左右位置に基づいて開閉する。
図1,3,5に示すようにレール係合部51eに支持された待機コンベヤ36は、レール51dに沿って左右方向に水平移動可能である。待機コンベヤ36は、制御手段に制御されることでコンテナ3への積み込みに好適な搬送対象サイズの分配コンベヤ31~34の前方に移動される。前方に待機コンベヤ36が移動していない分配コンベヤ31~34に備えられたストッパ35は、閉じ位置に保持される。閉じ位置のストッパ35によって手荷物5は分配コンベヤ31~34上で滞留する。前方に待機コンベヤ36が移動している分配コンベヤ31~34に備えられたストッパ35は、閉じ位置から開放位置に回転する。ストッパ35が開放位置に回転することで、手荷物5をサイズ別コンベヤ30から待機コンベヤ36に搬送できる。
図12に示すステップ(以下、STと略記する)01で図1に示すサイズ別コンベヤ30から図3~5に示すベルトコンベヤ51a上に手荷物5が搬送される。ベルトコンベヤ51a上に載せられた手荷物5は、ベルトコンベヤ51aの進行方向(前方)に搬送される。手荷物5は、上方の閉じ位置に保持されたバンパ51gに当たるまで前進する。バンパ51gが前方に回転していない場合、検知機構51iはオフ状態になっている。手荷物5が当たってバンパ51gが前方にわずかに回転すると、検知機構51iの近傍に設けられた磁石と検知機構51iが接近して、検知機構51iがオン状態になる。検知機構51iがオン状態になるとベルト駆動ローラ51fが停止される。これにより手荷物5は、待機位置にある一対のクランプ部材52の間で停止する(ST02)。
図5に示すように第1サーボモータ55aが作動してねじ軸56aが回転すると、雌ねじ52hとねじ軸56aの螺合によってクランプ基部52dが左右方向に平行移動する。第2サーボモータ55bが作動してねじ軸56bが回転すると、同様にしてクランプ基部52eが左右方向に平行移動する。クランプ基部52d,52eは、雌ねじ52h,52i及びねじ軸56a,56bのピッチと、ねじ軸56a,56bそれぞれの回転方向及び回転量に応じて左右方向に移動する。図5,6に示すように一対のサーボモータ55を作動させてクランプ基部52d,52eが移動することで、一対のクランプ部材52が互いに接近する(ST03)。第1クランプ52aは手荷物5に向かって左方へと移動し、第2クランプ52bは手荷物5に向かって右方へと移動する。
図7に示すように互いに接近する第1クランプ52aと第2クランプ52bは、手荷物5の左右両側面を把持する。把持されることで手荷物5の左右両側面は、第1クランプ52aと第2クランプ52bの延在する前後方向と平行になる。これにより手荷物5の側面が搬送方向と平行になる。第1ロードセル53aと第2ロードセル53bは、第1クランプ52aと第2クランプ52bがそれぞれ左右方向に受ける力を検知する。第1ロードセル53aと第2ロードセル53bの双方が検知する力が所定値(例えば300N)になるまで、一対のクランプ部材52は互いに接近する。手荷物5に接近した一対のクランプ部材52は、手荷物5を把持しつつ移動させる。これにより、手荷物5の中心5aが基台51の左右方向の中心位置Cに移動する。第1ロードセル53aと第2ロードセル53bの双方が検知する力が所定値以上になると、一対のクランプ部材52が左右方向に互いに離間する(ST04)。
図5に示す第1サーボモータ55aと第2サーボモータ55bをST03と反対方向に回転させる。これにより図8に示すように一対のクランプ部材52が左右方向に互いに離間して、一対のクランプ部材52による手荷物5の把持が解除される(ST05)。第1クランプ52aは手荷物5から右方に移動し、左方の第2クランプ52bは手荷物5から左方に移動する。第1クランプ52aと第2クランプ52bは、互いに独立して移動可能である。一対のクランプ部材52が手荷物5から離間する際、第1ロードセル53aと第2ロードセル53bは、第1クランプ52aと第2クランプ52bがそれぞれ左右方向に受ける力を検知する。
図7に示すように一対のクランプ部材52に挟み込まれた手荷物5は、把持力によって弾性変形して左右方向の大きさがわずかに小さくなる。図8に示すように把持力を解除すると、手荷物5が弾性力によって本来のサイズに戻る。手荷物5が本来のサイズに戻る場合、把持力によって手荷物5が弾性変形していた場合よりも一対のロードセル53それぞれが検出する力の大きさは小さくなる。例えば一対のクランプ部材52が手荷物5を把持する場合に、一対のロードセル53はそれぞれ約300Nの力を検出する。一対のクランプ部材52が手荷物5から離間する際に、一対のロードセル53それぞれが検出する力が30Nまで減少するタイミングがある。例えばこのタイミングを一対のクランプ部材52が手荷物5の把持を解除した時として、把持が解除された状態の手荷物5の大きさを測定する。
図8,9に示すように手荷物5から離間するタイミングが第1クランプ52aと第2クランプ52bで差が生じる場合がある。例えば手荷物5がスーツケースの場合、弾性変形が比較的小さく固い下面と、弾性変形が比較的大きく柔らかい上面を有する。手荷物5の下面にキャリアが設けられ、上面にハンドルが設けられる。一対のクランプ部材52を互いに離間させる際、手荷物5の弾性変形量を超えると一対のクランプ部材52が物品から離れる。例えば第1クランプ52aがスーツケースの下面を押し、第2クランプ52bが上面を押す場合、第1クランプ52aが下面から離れた後に第2クランプ52bが上面から離れる。
図9は第1クランプ52aが第2クランプ52bよりも先に手荷物5から離間する場合を示す。第1ロードセル53aが検知する力が所定値(例えば30N)以下になった場合(ST06)、第1ロードセル53aから図11に示す位置算出回路57cに検知信号が送られる。位置算出回路57cによって第1クランプ52aの左右方向の第1位置P1が算出される。第1位置P1は、第1サーボモータ55aが制御される回転量に基づいて位置算出回路57cによって算出される(ST07)。第2ロードセル53bが検知する力が所定値(例えば30N)以下になった場合(ST08)、第2ロードセル53bから位置算出回路57cに検知信号が送られ、第2クランプ52bの左右方向の第2位置P2が算出される。第2位置P2は、第2サーボモータ55bが制御される回転量に基づいて位置算出回路57cによって算出される(ST09)。
第1位置P1の検出(ST07)と第2位置P2の検出(ST09)は両方行われる(ST10)。位置検出が両方行われるまで一対のクランプ部材52は互いに左右方向に離間する(ST05)。ST07,09における位置検出において最初に検出された時の位置が、各クランプによる手荷物5の把持が解除された時の第1位置P1及び第2位置P2として記憶される。
ST07,09において検出した一対のクランプ部材52の第1位置P1と第2位置P2に基づいて、図11に示す物品サイズ決定回路57dによって手荷物5の左右方向の大きさが決定される(ST11)。図10に示すように一対のクランプ部材52は、手荷物5からさらに左右方向に離間して、手荷物5を把持する前の待機位置まで戻る(ST12)。以上により物品サイズ検出装置50による手荷物5の位置決め及び手荷物5の大きさの測定が終了する(ST13)。
図2,3に示すように積み込みロボット40は、物品サイズ検出装置50によって得られた手荷物5に関する情報(位置、姿勢、大きさ)を受けて積み込みロボット40を制御する制御回路を有する。ST13が終了した待機コンベヤ36は、手荷物5を積み込みロボット40に送り出す積み込み待機位置にレール51dに沿って移動する。待機コンベヤ36が積み込み待機位置に移動すると、ストッパ51cが閉じ位置から下方の開放位置に回転する。
図2に示すように積み込みロボット40によって待機コンベヤ36からコンテナ3に手荷物5が積み込まれる。積み込みロボット40のロボットハンドには、コンテナ3内の情報を得るために例えば3Dカメラが設けられる。コンテナ3の内部情報と物品サイズ検出装置50による手荷物5の大きさに基づいて積み込みロボット40は、効率良く手荷物5をコンテナ3内に積み込む。例えば手荷物5の大きさより少し大きいコンテナ3のスペースに手荷物5が搬送される。
積み込み動作は分配コンベヤ31~34ごとに繰り返されて大小全ての手荷物5がコンテナ3内に積み込まれる。この間にも、ピッキング装置10によりコンベヤ2から手荷物5がサイズ別コンベヤ30へ分配搬送される。コンテナ3への手荷物5の積み込みが完了すると、コンテナ3が牽引車により航空機4へ搬送され、コンテナ3が航空機4の貨物室4aに積み込まれる。
上述するように物品サイズ検出装置50は、図2に示すようにピッキング装置10によって搬送された手荷物5を積み込みロボット40で持ち上げて搬送する搬送システムで使用される。図5に示すように物品サイズ検出装置50は、基台51と一対のクランプ部材52と駆動機54を有する。基台51は、ピッキング装置10から搬送された手荷物5が載置される。一対のクランプ部材52は、基台51に対して左右方向に水平移動可能に設けられる。駆動機54は、一対のクランプ部材52を同期して手荷物5に向けて移動させることで手荷物5を所定の角度にて把持しつつ基台51の中心位置Cに合わせて移動させる。さらに物品サイズ検出装置50は、位置検知機57a(図11参照)と物品サイズ決定回路57dを有する。位置検知機57aは、一対のクランプ部材52の位置を検知または算出する。物品サイズ決定回路57dは、一対のクランプ部材52による手荷物5の把持力を解除した際に位置検知機57aからの信号に基づいて手荷物5の大きさを決定する。
したがって手荷物5は、一対のクランプ部材52に挟み込まれた把持力で弾性変形してわずかに小さくなる。把持力を解除すると、手荷物5が弾性力によって本来のサイズに戻る。この時に、物品サイズ決定回路57dが手荷物5の左右方向の大きさを検出する。したがって手荷物5の本来のサイズを精度良く検出できる。しかも手荷物5のサイズは、一対のクランプ部材52で測定する。そのため手荷物5の表面状態や作業現場の明るさ等に依らずに手荷物5のサイズを正確に測定できる。さらに手荷物5は、一対のクランプ部材52で把持した際に、一対のクランプ部材52の長手方向に倣って回転する。そのため手荷物5は、積み込みロボット40が保持するのに適した位置と姿勢に配置される。例えば搬送方向に平行となるように手荷物5の向きが決定されると同時に手荷物5が基台51の略中央に配置される。これにより積み込みロボット40が迅速に手荷物5を把持することができる。
図5に示すように駆動機54は、一対のサーボモータ55と、一対のサーボモータ55の回転力をそれぞれ一対のクランプ部材52の直線移動に変換する力変換機構56を有する。図11に示すように位置検知機57aは、一対のサーボモータ55をそれぞれ制御するモータ制御回路57bと、モータ制御回路57bによる一対のサーボモータ55の制御値から一対のクランプ部材52のそれぞれの位置を算出する位置算出回路57cを有する。
したがって一対のサーボモータ55の回転力によって一対のクランプ部材52が互いに接近または離間する。一対のクランプ部材52は、互いに接近することで手荷物5を把持し、互いに離間することで手荷物5の把持を解除する。一対のサーボモータ55の制御値から一対のクランプ部材52の位置を算出することで、把持が解除された際の手荷物5のサイズを検出できる。
図8,9に示すように第1クランプ52aと第2クランプ52bは、手荷物5と接する圧力を検出する第1ロードセル53aと第2ロードセル53bをそれぞれ有する。物品サイズ決定回路57d(図11参照)は、第1ロードセル53aからの信号に基づいて第1クランプ52aの手荷物5に接する圧力が所定値以下になった際に、第1クランプ52aの第1位置P1を記憶する。そして第2ロードセル53bからの信号に基づいて第2クランプ52bの手荷物に接する圧力が所定値以下になった際に、物品サイズ決定回路57dが第2クランプ52bの第2位置P2を記憶する。物品サイズ決定回路57dは、第1位置P1と第2位置P2から手荷物5の大きさを決定する。
したがって手荷物5と直に接する一対のクランプ部材52に一対のロードセル53がそれぞれ設けられる。これにより一対のクランプ部材52それぞれが手荷物5と接する圧力を精度良く検知できる。一対のクランプ部材52による手荷物5の把持が解除されるタイミングは、圧力を一対のロードセル53が検知することにより高精度で判断できる。かくして把持力を受けていない手荷物5の本来のサイズを精度良く検出できる。
把持力が手荷物5から解除されるタイミングが第1クランプ52aと第2クランプ52bで差が生じる場合がある。例えば手荷物5がスーツケースの場合、一般に下面が固く弾性変形量が小さく、上面が柔らかく弾性変形量が大きい。スーツケースは下面にキャリアを有し、上面にハンドルを有する。手荷物5を押す一対のクランプ部材52を離間させる際、手荷物5の弾性変形量を超えると一対のクランプ部材52が物品から離れる。したがってスーツケースの下面を押す第1クランプ52aが下面から離れた後に、上面を押す第2クランプ52bが上面から離れる。その結果、第1クランプ52aと第2クランプ52bそれぞれが手荷物5から離れるタイミングに差が生じた際でも手荷物5の本来のサイズを精度良く検出できる。
[第2実施形態]
第2実施形態を図13~17に基づいて説明する。図13に示すように物品サイズ検出装置60は、図5に示す第1実施形態の物品サイズ検出装置50に代えて待機コンベヤ36の上部に設けられる。物品サイズ検出装置60は、図5に示す一対のクランプ部材52と凸形レール56e,56fに代えて、一対のクランプ部材62と凸形レール66c,66dを有する。一対のクランプ部材62は、それぞれ凸形レール66c,66dにスライド可能に支持される。一対のクランプ部材62は、前後方向に延在して左右方向に厚みを有する板状部材である右方の第1クランプ62aと左方の第2クランプ62bを有する。第1クランプ62aには、第1クランプ62aの左右方向の当接面が受ける力を検出するロードセル63が設けられる。
図13に示すように第1クランプ62a,第2クランプ62bの後部は、起立する柱状の一対のクランプ支持部62cの下部に片持ち梁状に支持される。各クランプ支持部62cの上部にクランプ基部62d,62eが連結される。各クランプ基部62d,62eは、左右方向に延びた凹形レール62f,62gを有する。
図13に示すように一対の駆動機支持部51bの上部は左右方向に延在するリニアガイド66bによって互いに連結される。リニアガイド66bの前面には、リニアガイド66bに沿って左右方向に延在する凸形レール66c,66dが左右に並設される。凸形レール66c,66dに凹形レール62f,62gがスライド可能に係合する。第1クランプ62a,第2クランプ62bは、クランプ基部62d,62eのそれぞれに一体に設けられ、各クランプ基部62d,62eの下方で支持される。
図13に示すように駆動機支持部51bの上部には、一対のクランプ部材62を同期して移動させる駆動機64が設けられる。駆動機64は、クランプ基部62dの右方に設けられたサーボモータ65と、力変換機構66を有する。力変換機構66は、各クランプ基部62d,62eに左右方向に貫通される雌ねじ62h,62iと、ねじ軸66aを有する。ねじ軸66aは、雌ねじ62h,62iのそれぞれに螺合されて左右方向に延在する。雌ねじ62h,62iは、ピッチが同じであり、かつねじ切り方向が互いに逆方向である。ねじ軸66aは、雌ねじ62h,62iと螺合するように左右両側のねじ切り方向が互いに逆方向である。
図13に示すサーボモータ65は、図11に示すモータ制御回路57bによって制御される。図11に示す位置算出回路57cは、図13に示すサーボモータ65の回転量と、ロードセル63が検出する力の大きさに基づいて第1クランプ62aの左右方向の位置を算出する。第2クランプ62bの左右方向の位置は、第1クランプ62aの左右方向の位置に基づいて算出される。
図13~17に基づいて物品サイズ検出装置60による手荷物5の位置決め及び手荷物5の大きさの測定の一連の流れを説明する。図14に示すように手荷物5がベルトコンベヤ51aの進行方向(前方)に搬送され(ST21)、待機位置にある一対のクランプ部材62の間で停止する(ST22)。サーボモータ65が作動してねじ軸66aが回転する。力変換機構66によってサーボモータ65の回転力がクランプ基部62d,62eの直線移動に変換される。クランプ基部62dと一体である第1クランプ62aと、クランプ基部62eと一体である第2クランプ62bは、左右方向に移動して互いに手荷物5に接近する(ST23)。
図15に示すように互いに接近する第1クランプ62aと第2クランプ62bは、手荷物5の左右両側面を把持する。把持されることで手荷物5の左右両側面は、第1クランプ62aと第2クランプ62bの延在する搬送方向(前後方向)と平行になる。ロードセル63が検知する力が所定値(例えば300N)になるまで、一対のクランプ部材62は互いに接近する。一対のクランプ部材62は、手荷物5の中心5aが基台51の左右方向の中心位置Cに来るように手荷物5を移動させる。ロードセル63が検知する力が所定値以上になると、一対のクランプ部材62が左右方向に互いに離間する(ST24)。一対のクランプ部材62に挟み込まれた手荷物5は、把持力によって弾性変形して左右方向の大きさがわずかに小さくなる。
図15に示すように手荷物5の位置決めをした後に、図13に示すサーボモータ65を反対方向に回転させる。図16に示すように一対のクランプ部材62が左右方向に互いに離間して、一対のクランプ部材62による手荷物5の把持が解除される(ST25)。把持力が解除された手荷物5は、弾性力によって本来のサイズに戻る。ロードセル63は、第1クランプ62aが左右方向に受ける力を検出する。
図16に示すように一対のクランプ部材62が手荷物5から離間する際に、ロードセル63が検知する力が所定値(例えば30N)以下になった場合(ST26)、ロードセル63から図11に示す位置算出回路57cに検知信号が送られる。位置算出回路57cによって第1クランプ62aの左右方向の第1位置P1が算出される(ST27)。第1位置P1は、サーボモータ65が制御される回転量に基づいて位置算出回路57cによって算出される。第2クランプ62bの左右方向の第2位置P2は、中心位置Cを中心とした第1位置P1の左右方向の対称位置として位置算出回路57cによって算出される。算出した第1位置P1と第2位置P2に基づいて、図11に示す物品サイズ決定回路57dによって手荷物5の左右方向の大きさが決定される(ST28)。一対のクランプ部材62は、手荷物5からさらに左右方向に離間して、手荷物5を把持する前の待機位置まで戻る(ST29)。以上により物品サイズ検出装置60による手荷物5の位置決め及び大きさの測定が終了する(ST30)。
上述するように物品サイズ検出装置60は、図13に示すように第1クランプ62aが左右方向に受ける力を検出するロードセル63を有する。物品サイズ検出装置60は、クランプ基部62dの右方にサーボモータ65を有する。サーボモータ65の回転力によって一対のクランプ部材62が左右方向に平行移動する。図11に示す物品サイズ決定回路57dは、ロードセル63からの信号に基づいて第1クランプ62aの手荷物5に接する圧力が所定値以下になった際に、図16に示す第1位置P1と第2位置P2を算出する。図11に示す物品サイズ決定回路57dは、第1位置P1と第2位置P2から手荷物5の大きさを決定する。
したがって1つのサーボモータ65によって一対のクランプ部材62がそれぞれ左右方向に移動可能である。しかも1つのロードセル63による力の検出に基づいて第1位置P1と第2位置P2を算出でき、手荷物5の大きさを比較的精度良く決定できる。そのためロードセルとサーボモータを減らして製造コストを抑えることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態を図18~23に基づいて説明する。図19に示すように物品サイズ検出装置70は、図5に示す第1実施形態の物品サイズ検出装置50に代えて待機コンベヤ36の上部に設けられる。物品サイズ検出装置70は、図5に示す一対のクランプ部材52と凸形レール56e,56fに代えて、一対のクランプ部材72と一対の凸形レール76eを有する。一対のクランプ部材72は、それぞれ凸形レール76eにスライド可能に支持される。一対のクランプ部材72は、前後方向に延在して左右方向に厚みを有する板状部材である。
図18,19に示すように各クランプ部材72の後部は、起立する柱状の一対のクランプ支持部72aの下部に片持ち梁状に支持される。各クランプ支持部72aの上部に右方のクランプ基部72bと左方のクランプ基部72cが連結される。各クランプ基部72b,72cは、左右方向に延びた凹形レール72dを有する。
図19に示すように一対の駆動機支持部51bの上部は左右方向に延在するリニアガイド76dによって互いに連結される。リニアガイド76dの前面には、リニアガイド76dに沿って左右方向に延在する一対の凸形レール76eが左右に並設される。各凹形レール72dが凸形レール76eにスライド可能に係合する。一対のクランプ部材72は、各クランプ基部72b,72cと一体に設けられ、各クランプ基部72b,72cの下方で支持される。
図19に示すように駆動機支持部51bの上部には、一対のクランプ部材72を同期して移動させる駆動機74が設けられる。駆動機74は、左方のクランプ基部72bの上方に設けられたエアシリンダ75と、力伝達機構76を有する。エアシリンダ75は、クランプ基部72cが左右方向に移動するように付勢する。
図19に示すように力伝達機構76は、リニアガイド76dの略中央に設けられたピニオン76aと、各クランプ基部72b,72cに設けられたラック76b,76cを有する。ピニオン76aは、前後方向に延びる軸回りに回転可能にリニアガイド76dに支持される。ラック76b,76cは、各クランプ基部72b,72cからピニオン76aに向かって左右方向に延在する。クランプ基部72bから延在するラック76bがピニオン76aの下部で噛み合い、クランプ基部72cから延在するラック76cがピニオン76aの上部で噛み合う。ピニオン76aに対してラック76cが左右方向に移動すると、ピニオン76aが回転する。ピニオン76aの回転によってラック76bが左右方向に移動する。
図19に示すように左方の駆動機支持部51bには、ワイヤエンコーダ(位置検知機)79が設けられる。ワイヤエンコーダ79の端部79bは、ラック76cの先端(右端)に取り付けられる。ワイヤエンコーダ79によって端部79bの左右方向に移動距離が測定される。ワイヤエンコーダ79は、物品サイズ決定回路79aと電気的に接続されて測定した端部79bの移動距離についての信号を物品サイズ決定回路79aに送る。
図20~22に示すようにエアシリンダ75には、切り換え弁78を介してエア圧供給装置77から圧縮エアが供給される。エアシリンダ75は、第1エア室75aが拡張することでピストン軸が張り出し、第2エア室75bが拡張することでピストン軸が引込む。切り換え弁78は、第1経路78aと第2経路78bと第3経路78cに切り換えることができる。図20に示すように第1経路78aは、速度制御弁78dを介してエア圧供給装置77と第1エア室75aを連結し、第2エア室75bを大気に対して開放する。図22に示すように第2経路78bは、速度制御弁78eを介してエア圧供給装置77と第2エア室75bを連結し、第1エア室75aを大気に対して開放する。図21に示すように第3経路78cは、第1エア室75aと第2エア室75bを大気に対して開放する。
図18~23に基づいて物品サイズ検出装置70による手荷物5の位置決め及び手荷物5の大きさの測定の一連の流れを説明する。図18に示すように手荷物5がベルトコンベヤ51aの進行方向に搬送され(ST31)、待機位置にある一対のクランプ部材72の間で停止する(ST32)。図20に示すように切り換え弁78が第1経路78aに切り換えられて、エア圧供給装置77から第1エア室75aに圧縮エアが供給される(ST33)。図19に示すようにエアシリンダ75のピストン軸が張り出してクランプ基部72cが左方に移動する。クランプ基部72cと一体であるラック76cが左方に移動することで、ピニオン76aが回転し、ラック76bと一体であるクランプ基部72bが右方に移動する。一対のクランプ部材72は、左右方向に移動して互いに手荷物5に接近する(ST34)。
図19に示すように互いに接近する一対のクランプ部材72は、手荷物5の左右両側面を把持する。把持されることで手荷物5の左右両側面は、一対のクランプ部材72の延在する搬送方向(前後方向)と平行になる。エアシリンダ75の付勢力によって一対のクランプ部材72は、左右方向に略対称に移動する。そ第1エア室75aの圧力が所定値になるまで、一対のクランプ部材72は互いに接近する。一対のクランプ部材72は、手荷物5の中心5aが基台51の左右方向の中心位置Cに来るように手荷物5を移動させる。第1エア室75aの圧力が所定値以上になると、一対のクランプ部材72が左右方向に互いに離間する(ST35)。一対のクランプ部材72に挟み込まれた手荷物5は、把持力によって弾性変形して左右方向の大きさがわずかに小さくなる。
図21に示すように切り換え弁78が第3経路78cに切り換えられて第1エア室75aと第2エア室75bが大気開放される。これによりエアシリンダ75の付勢力が解除されて、一対のクランプ部材72による手荷物5の把持が解除される(ST36)。把持力が解除された手荷物5は、弾性力によって本来のサイズに戻る。ST35に代えて、図20に示すように第1経路78aによる第1エア室75aへエア供給する時間を測定するタイマを設け、所定時間経過すると図21に示すように切り換え弁78が第3経路78cに切り換えられるステップとしても良い。
図21に示す第1エア室75aの圧力が所定値(例えば大気圧)以下になった場合(ST37)、図19に示すワイヤエンコーダ79から物品サイズ決定回路79aに端部79bが左右方向に移動した距離の検知信号が送られる。一対のクランプ部材72は、互いに端部79bと略同じだけ左右方向に移動している。そのため端部79bの移動距離を2倍にすることで一対のクランプ部材72の間隔を測長できる。かくして手荷物5の左右方向の大きさが物品サイズ決定回路79aで決定される(ST38)。
手荷物5の左右方向の大きさが決定されると、図22に示すように切り換え弁78が第2経路に切り換えられる。エア圧供給装置77から第2エア室75bに圧縮エアが供給されて、エアシリンダ75のピストン軸が引込む。図19に示すクランプ基部72cと、クランプ基部72cと一体であるラック76cが右方に移動することで、ピニオン76aが回転し、ラック76bと一体であるクランプ基部72bが左方に移動する。一対のクランプ部材72は、左右方向に移動して互いに手荷物5から離間する(ST39)。一対のクランプ部材72は、手荷物5を把持する前の待機位置まで戻る(ST40)。以上により物品サイズ検出装置70による手荷物5の位置決め及び大きさの測定が終了する(ST41)。
上述するように駆動機74は、図20~22に示すように第1エア室75aと第2エア室75bを具備するエアシリンダ75と、エアシリンダ75とエア圧供給装置77の間に設けられる切り換え弁78を有する。切り換え弁78は、第1経路78aと第2経路78bと第3経路78cに切り換えることができる。第1経路78aは、第1エア室75aとエア圧供給装置77を連結する。第2経路78bは、第2エア室75bとエア圧供給装置77を連結する。第3経路78cは、第1エア室75aと第2エア室75bを開放する。ワイヤエンコーダ79と物品サイズ決定回路79aは、切り換え弁78が第3経路78cを選択した時における一対のクランプ部材72の位置に基づいて手荷物5の大きさを決定する。
したがって切り換え弁78が第1経路78aを選択した時に、一対のクランプ部材72は手荷物5を把持する。切り換え弁78が第3経路78cを選択した時に、一対のクランプ部材72は手荷物5の把持を解除する。手荷物5の把持が解除される際に、一対のクランプ部材72の左右方向の位置に基づいて把持力を受けていない手荷物5の本来のサイズを精度良く検出できる。切り換え弁78が第2経路78bを選択した時に、一対のクランプ部材72が手荷物5から離れる。エアシリンダ75は比較的安価なので、物品サイズ検出装置70の製造コストが抑えられる。加えてエアシリンダ75は比較的動作が速いため、手荷物5のサイズを迅速に検知できる。
以上説明した物品サイズ検出装置50,60,70には種々変更を加えることができる。例えば、搬送対象の物品として航空機搭乗者のキャスタ付きのスーツケース(手荷物5)を例示したが、段ボール箱、プラスチックケース等の箱形の物品等を搬送対象とすることもできる。空港ターミナルビルにおいて搭乗客の手荷物5をコンテナ3に密着させて積み込んで航空機4の貨物室4aに載せるまでの搬送経路を例示したが、例えば宅配荷物の集荷場等における搬送経路に例示した物品サイズ検出装置を適用しても良い。
例えば一対のクランプ部材それぞれにロードセルを設け、1つのサーボモータで一対のクランプ部材を左右方向に移動させる構成としても良い。例えば一対のクランプ部材の一方にロードセルを設け、一対のサーボモータで各クランプ部材をそれぞれ個別に左右方向に移動させる構成としても良い。動作を切り換える際の判断基準としてのクランプ部材が左右方向に受ける力の所定値や第1エア室75aのエア圧の所定値等について、例示した値に限らず適宜変更しても良い。一対のロードセル53aの双方が所定置以上の力を検知する場合に代えて、一対のロードセル53のいずれか一方が所定値以上の力を検知する場合に、一対のクランプ部材52を離間させ始める構成としても良い。手荷物5として例えば弾性力の大きいハードケースや弾性力が比較的小さいソフトケース等がある。図2に示す搬送状態認識手段7で手荷物5の種類についての情報を取得し、その情報に基づいて各所定値を適宜切り換える構成としても良い。
手荷物5のサイズを決定し、かつベルトコンベヤ51a上で手荷物5を位置決めする物品サイズ検出装置を例示したが、手荷物5のサイズ決定のみを行う物品サイズ検出装置に変更しても良い。例えば手荷物5の把持を解除した際の一対のクランプ部材の位置を記憶して、積み込みロボット40の保持部を一対のクランプ部材の位置に合わせて移動させて手荷物を保持する構成としても良い。手荷物5の中心5aをセンタリングする位置は、基台51の中心位置Cに限らず適宜変更しても良い。例えば物品サイズ検出装置60において雌ねじ62h,62iのピッチを互いに異なる構成にして第1クランプ62aと第2クランプ62bの移動速度を互いに異なるものとしても良い。