JP7282412B2 - 遮蔽設備およびその製造方法 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月14日付で出願した米国特許仮出願第62/779,822号に対して優先権を主張するものであり、全ての目的において、その内容の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
本開示は実施形態において、放射線遮蔽の分野に関連し、ハドロン治療に伴う陽子、中性子、パイオン、重イオンなどのハドロンの遮蔽、および放射線治療における光子の遮蔽に対する適用に関する。本開示は実施形態において、放射線治療、原子力、科学研究、および工業用加速器を含む(これらに限定されるものではない)、構造体とは独立した遮蔽材料の最適化が有益と考えられる、放射線遮蔽の分野に関連する。
粒子生成および加速設備は、科学研究、発電、工業用非破壊検査、および医療治療など、数多くの用途において利用されている。光子(x線およびガンマ線)および電子線の形態の放射線は、診断用、標的治療用、工業用、航空宇宙産業用、および研究用目的のために長年利用されてきた。このような目的に用いられるエネルギーレベルは、低KeVレベル(5KeV~250KeV)から25MeVまでの範囲に亘り、10MeV~25MeVの光子および電子線が、今日の放射線治療において通常用いられるエネルギーの最高のレベルとされている。上記の使用目的において、従来このような放射線タイプおよびエネルギーレベルが圧倒的多数を占めてきたため、当該放射線を閉じ込めるために建設された遮蔽室には、このようなタイプの放射線および当該放射線に用いられるエネルギーレベルおよび強度レベルに特有の物理的課題の組み合わせに最も適した材料、手段、および方法が従来採用されてきた。このような物理的課題項目を考えると、その目的は比較的単純である。すなわち、その目的は、電子および光子、および/または一次放射線源との相互作用によって発生する、その他任意の形態の二次電離放射線を阻止または閉じ込めることにある。高エネルギーの電子線および当該電子線より発生する任意の二次(散乱)放射線は阻止することが比較的容易である。高エネルギーの光子は、遥かにより透過性があり、より多くの二次放射線が発生するため、より堅強な遮蔽構造(遮蔽室)を必要とする。したがって、光子放射線、光子透過、および光子減衰の物理特性は、従来の放射線治療を遮蔽するための解決手段(すなわち、使用される材料および遮蔽室の設計および建設における解決手段)を考案する上で主に考慮される点である。従来、2~8フィートの厚さの壁および天井を有するコンクリート製遮蔽室および/またはコンクリートブロックがこのような物理的要件および制約に対する解決手段として最も一般的に採用されてきた。このようなコンクリート製遮蔽室および/またはコンクリートブロックは、遮蔽体としての要件を満たすとともに、構造体または構造的に独立した部材としての機能を果たしてきた。近年において、異なる材料を利用することで、遮蔽用構成部材および構造的部材を分離するとともに、この2つの要件の各々を満たす別の解決手段が導入された。例えば、ラッド・テクノロジー・メディカル・システムズによる、PROシステム遮蔽室および一時的放射線治療遮蔽室(TRV)ではそれぞれ、遮蔽室の構造要件を満たす複数の鉄鋼モジュールのアセンブリが使用されるが、これらのモジュールは、遮蔽要件を満たすための、「容易にかつ地域的に入手可能な任意の粒状材料」を含む容器として作用する。このようなラッド・テクノロジーの既存の解決手段により、腫瘍科用または工業用放射線遮蔽室をモジュール化し容易に搬送することが可能となるが、これらの手段にはコンクリートよりも低密度の遮蔽材料が使用されるため、打設コンクリートまたはコンクリートブロックよりも物理的に大型であることが多い。比較的低エネルギーのものに用いられるため、全体的なサイズ(設置面積)の違いは通常それほど重要ではないが、可搬性、復元可能性、および適合性における違いは、当該遮蔽産業においてパラダイムシフトをもたらすものである。但し、ラッド・テクノロジーの既存の遮蔽室は、従来のコンクリートでできた遮蔽室と共通の特徴を有する。すなわち当該遮蔽室は、中間エネルギーの光子およびそのような光子によって発生するより低エネルギーの中性子を遮蔽するために設計および建設されているものである。二次中性子線については、比較的少量であるため、それほど重要視する必要はない。1インチまたは2インチのホウ素化ポリエチレンおよび追加の合板または石膏を加えることで少量の二次中性子線は処理されるため、遮蔽室の基本設計は同一のものとなる。
しかしながら近年においては、陽子加速器が支持されてきており、これにより新規の異なる治療法としての陽子線治療が普及してきた。陽子加速器は、光子および電子線治療と比べて一桁分よりも大きいエネルギーで動作し、全く新しい物理的課題を伴い、その結果、新規の遮蔽手段が必要となる。陽子、中性子、または、例えばハドロンなどのその他の重粒子の生成および/または使用によって発生する放射線は、一次ビームであるか、一次ビームの副生成物として発生する放射線であるかに関わらず、近距離いる従事者、公衆、および近距離に配置された機器を保護するために遮蔽する必要がある。したがって、当該装置が設置された設備では、設備内外にいる人、および場合によっては機器が放射線に暴露することを防ぐために、様々な放射線の種類、エネルギー、および強度を十分に減衰させるための設計および建設が必要である。また、このような設備の内外双方での放射線レベルは、連邦および州の適切な規則に準拠する必要がある。
陽子およびその他の重イオン加速器用の設備は通常、8~20フィートまたはそれ以上のコンクリートの壁、天井、および床でできている。コンクリートは、当該設備の遮蔽および構造の両方に寄与している。しかしながら、これは時間、費用、および不動産(サイズ/設置面積)という点で非常にコスト高であることが分かっている。ときには1核子(陽子または中性子)あたり250MeVを超えるエネルギーでより高質量の陽子および(炭素イオンなどの)重イオンを加速する場合、遮蔽のための物理的課題は、堅強性のみでなく、従来の放射線治療とは根本的に異なるものである。
この新たな課題における主な懸念事項は中性子の透過にある。陽子および中性子は、電子の1800倍を超える高質量を有し、これらの新規の粒子線用加速器を加速するためのエネルギーは、光子および電子線治治療で従来利用されている最高エネルギーの10倍よりも大きくになることもある。ガンマ線と同様に、中性子は散乱し物質との相互作用によって吸収されるが、このような相互作用が中性子線を遮蔽するために使用される方法の基礎を形成する。しかしながら、物質の原子内電子と主に相互作用するガンマ線とは異なり、中性子は原子核と主に相互作用する。その結果、中性子の遮蔽に適する材料の種類は、ガンマ線の減衰に最も効果的な、高密度の高原子番号吸収体とは非常に異なる。一般に、高速中性子においては、捕獲反応よりも散乱反応が起こる可能性が高い。さらに、散乱反応により中性子のエネルギーが低減にするに従って、捕獲などの中性子の追加反応の可能性および数が増加する。高エネルギーの陽子(または重イオン)の、加速装置内の物体または構成部材との相互作用、空中での相互作用、患者の体内での相互作用、室内の物体および遮蔽壁自体との相互作用により、二次または散乱放射線が発生する。このような放射線は、従来の光子および電子線治治療においても発生する。しかしながら、光子および電子線治治療とは異なり、より高質量および高エネルギーのハドロン粒子では異なる相互作用が起こり、0に近い値からビームエネルギーにわたる広範囲のエネルギーを含む高レベルの中性子線が発生する。異なるエネルギー粒子にはそれぞれ、異なる反応確率で異なる一次反応が起きる。陽子は実質的に患者の体内に完全に吸収されるが、その一方発生した二次粒子、光子、および最も重要な点として中性子は、遮蔽障壁を透過するため遮蔽するうえでの主な課題となる。この広範囲にわたる、高エネルギー、高フルエンスの中性子線の課題には、根本的に異なる遮蔽方法が必要とされる。
さらに、この新規の放射線環境における重要な課題は、従来の遮蔽材であるコンクリートが超高エネルギーに長期間暴露されることによって放射性を有するようになる「放射化」である。「放射化」したコンクリートからなる構成部材の一部は、安全なレベルまで崩壊するのに数年、あるいは数十年をも要するため、即時的および長期的な安全上の問題をもたらす。
従来のハドロンおよび放射線設備は、遮蔽の観点からいうと多くの欠点がある。従来の遮蔽壁は通常コンクリート混合物からなり、現場での連続打設作業によって形成されるが、このような作業はスケジュール問題の原因となり、多大な時間が失われ、それによって市場機会(収入)が失われることとなる。この極厚のコンクリート壁の使用が必須であることによって、既にコスト高であり大規模な設置面積を有するハドロンビーム設備にさらなるコストおよび設置面積が追加され、設備内および所有地自体において使用可能な空間が減少する。さらに、コンクリート壁の使用が必須であると、完成した構造物を容易に修理または変更することができない。有効耐用期間の終了時における構造体の閉鎖および除去は、遮蔽障壁内の放射性物質を除去し、適切に処分する必要性により複雑化する。従来のコンクリート製遮蔽室では、コンクリート製障壁材の一部が、高エネルギーを有する大粒子によって長期間衝撃を受けることにより放射化する。この障壁材は、非常に長い放射能半減期を有するため、現場に放置および安全担保するとともに、人との接触を断絶するか、若しくは適用法および規則に従い、多大な労力、時間、費用を掛けて分解および処分する必要がある。さらに、コンクリートの不均一性により、遮蔽壁内における密度の不均一性またはその他の特質の変動、および経時的劣化が生じ、その結果、放射性粒子の不完全な捕獲および/または放射性粒子の不完全な崩壊が生じる。
また、コンクリートを使用する場合、打設構造内に複数の(場合によっては数多くの)導管およびダクトを埋め込む必要があり、遮蔽体全体から完全に空隙を除去するために導管およびダクトの経路を複雑な設計にする必要がある。従来の打設コンクリートの中央部における遮蔽壁は構造体であるため、構造体の引張強度を高めるために鉄筋材料もともにコンクリート壁内に埋め込まれる。導管経路は、遮蔽体に空隙が形成されるのを避けるために迂回させる必要があるのみでなく、鉄筋網内に埋設する必要があるため、設計および設置に費用および時間が掛かる。
本明細書で提供する遮蔽解決手段は非構造的であり、したがってこのような鉄筋網を必要としない。さらに、導管は、現場に搬送する前にモジュール方式で設置することができるため、現場での複雑な設計の総建設時間が削減される。打設コンクリートとは異なり、将来的にシステムを変更または機能向上させるために導管またはダクトを改良または拡張する必要がある場合、若しくは既存の設計配置に問題点が見つかった場合において、本明細書で提供する取り外し自在な充填設計によって遮蔽体内の任意および全貫通部に対する変更が可能となる。
実施形態において、本開示は本明細書において特定した課題を解決するものであり、当該課題は非限定的に以下の事項を含む。(a)遮蔽体が構造体である必要性をなくすこと、(b)遮蔽材料の搬送をより容易にすることで当該材料の再利用または効率的な処分を促進すること、(c)遮蔽材料の容易な設置および取り外しを可能とすること、(d)様々な基本プロセス相互作用に基づいて中性子の減衰を最適化すること、(e)遮蔽材料の長期にわたる放射化(長い半減期)を短縮すること。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2002/0166293号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2013/0111825号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2017/0084358号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2002/0050371号明細書
(特許文献5) 米国特許第5802136号明細書
(特許文献6) 米国特許第5061858号明細書
(特許文献7) 米国特許第4229316号明細書
(特許文献8) 国際公開第2006/034779号明細書
(特許文献9) 米国特許第7820993号明細書
(特許文献10) 米国特許第2726339号明細書
(特許文献11) 米国特許第2961415号明細書
(特許文献12) 米国特許第3238148号明細書
(特許文献13) 米国特許第3780306号明細書
(特許文献14) 米国特許第4437013号明細書
(特許文献15) 米国特許第5786611号明細書
(特許文献16) 米国特許第6608319号明細書
(特許文献17) 米国特許第6741669号明細書
(特許文献18) 米国特許第6927407号明細書
(特許文献19) 米国特許第6973758号明細書
(特許文献20) 米国特許第7250119号明細書
(特許文献21) 米国特許第7312466号明細書
(特許文献22) 米国特許第7728311号明細書
(特許文献23) 米国特許第7820993号明細書
(特許文献24) 米国特許第8042314号明細書
(特許文献25) 米国特許第8139705号明細書
(特許文献26) 米国特許第8283645号明細書
(特許文献27) 米国特許出願公開第2004/0025448号明細書
(特許文献28) 米国特許出願公開第2005/0286674号明細書
(特許文献29) 米国特許出願公開第2008/0308754号明細書
(特許文献30) 米国特許出願公開第2011/0198516号明細書
(特許文献31) 米国特許出願公開第2013/0015408号明細書
(特許文献32) 米国特許出願公開第2013/0082196号明細書
(特許文献33) 米国特許出願公開第2013/0111825号明細書
(特許文献34) 国際公開第2006/034779号明細書
(特許文献35) 欧州特許出願公開第0220937号明細書
(特許文献36) 国際公開第2008/100827号明細書
(非特許文献)
(非特許文献1) International Search Report and Written Opinion to corresponding International Application No.PCT/US19/66294,mailed May 11,2020
1実施形態において本開示は施設であって、この施設は、
a)5MeV~500MeVのエネルギー範囲を有する放射エネルギーのビームを生成するように構成された装置と、
b)前記装置を取り囲む第1の遮蔽障壁であって、厚さが0.5メートル~6メートルであり、
i)前記装置を取り囲む第1の放射線遮蔽壁と、
ii)前記第1の放射線遮蔽壁を取り囲む第2の放射線遮蔽壁と、
iii)前記第1の放射線遮蔽壁と前記第2の放射線遮蔽壁との間に配置され、第1の障壁を形成する放射線遮蔽充填材と
を有する、前記第1の遮蔽障壁と
を有し、
前記放射線遮蔽充填材は、原子番号12~83を有する元素を少なくとも50重量%含む。
実施形態において、原子番号12~83を有する前記元素は、鉄、鉛、タングステン、およびチタンからなる群から選択される。
さらなる別の実施形態において、前記放射線遮蔽充填材は、磁鉄鉱または赤鉄鉱うちの少なくとも1つを少なくとも50重量%含む。
別の実施形態において、前記放射線遮蔽充填材は粒状である。
別の実施形態において、前記エネルギー範囲は、5MeV~70MeV、5MeV~250MeV、および5MeV~300MeVからなる群から選択される。
さらなる別の実施形態において、前記第1の放射線遮蔽壁および前記第2の放射線遮蔽壁のうちの少なくとも1つは、構造的外骨格上に取り付けられたパネルを有する。
さらなる別の実施形態において、前記第1の放射線遮蔽壁または前記第2の放射線遮蔽壁のうちの少なくとも1つは鉄鋼を有する。
別の実施形態において、前記設備は、さらに、第2の遮蔽障壁を有し、この第2の遮蔽障壁は、前記第1の遮蔽障壁の前記第2の放射線遮蔽壁を取り囲む第3の放射線遮蔽壁と、前記第2の放射線遮蔽壁と前記第2の遮蔽障壁の前記第3の放射線遮蔽壁との間に配置された第2の放射線遮蔽充填材とを有し、前記第2の放射線遮蔽充填材は、原子番号1~8を有する元素を少なくとも25重量%含み、前記第2の遮蔽障壁の厚さは0.5メートル~6メートルである。
1実施形態において、前記第3の放射線遮蔽壁は、構造的外骨格上に取り付けられたパネルを有する。
別の実施形態において、前記第3の放射線遮蔽壁は鉄鋼を有する。
さらなる別の実施形態において、原子番号1~8を有する前記元素は、水素、炭素、酸素、およびホウ素からなる群から選択される。
1実施形態において、前記第2の放射線遮蔽充填材は、ホウ砂、石膏、灰硼石、プラスチック複合材料、および石灰のうちの少なくとも1つを有する。
1実施形態において、前記放射エネルギーのビームは、粒子または光子のうちの少なくとも1つを有する。
1実施形態において、前記粒子はハドロンである。
1実施形態において、前記ハドロンは、陽子、中性子、パイオン、重陽子または(A>2を有する)重イオン、またはこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを有する。
さらなる別の実施形態において、本開示は施設であって、この施設は、
a)複数の電子機器と、
b)前記複数の電子機器を取り囲む第1の遮蔽障壁であって、厚さが0.5メートル~6メートルであり、
i)前記複数の電子機器を取り囲む第1の放射線遮蔽壁と、
ii)前記第1の放射線遮蔽壁を取り囲む第2の放射線遮蔽壁と、
iii)前記第1の放射線遮蔽壁の間に配置された放射線遮蔽充填材と
を有する、前記第1の遮蔽障壁と
を有し、
前記放射線遮蔽充填材は、原子番号12~83を有する元素を少なくとも50重量%含む。
さらなる別の実施形態において、原子番号12~83を有する前記元素は、鉄、鉛、タングステン、およびチタンからなる群から選択される。
実施形態において、前記放射線遮蔽充填材は、磁鉄鉱および赤鉄鉱うちの少なくとも1つを少なくとも50重量%含む。
実施形態において、前記放射線遮蔽充填材は粒状である。
実施形態において、前記第1の放射線遮蔽壁または前記第2の放射線遮蔽壁のうちの少なくとも1つは、構造的外骨格上に取り付けられたパネルを有する。
別の実施形態において、前記第1の放射線遮蔽壁または前記第2の放射線遮蔽壁のうちの少なくとも1つは鉄鋼を有する。
別の実施形態において、前記設備は第2の遮蔽障壁を有し、前記第2の遮蔽障壁は、前記第1の遮蔽障壁の前記第1の放射線遮蔽壁によって取り囲まれた第3の放射線遮蔽壁と、前記第1の遮蔽障壁の前記第1の放射線遮蔽壁と前記第2の遮蔽障壁の前記第3の放射線遮蔽壁との間に配置された第2の放射線遮蔽充填材とを有し、前記第2の放射線遮蔽充填材は、原子番号1~8を有する元素を少なくとも25重量%含むものであり、前記第2の遮蔽障壁の厚さは0.5メートル~6メートルである。
実施形態において、前記第3の放射線遮蔽壁は、構造的外骨格上に取り付けられたパネルを有する。
別の実施形態において、前記第3の放射線遮蔽壁は鉄鋼を有する。
さらなる別の実施形態において、原子番号1~8を有する前記元素は、水素、炭素、酸素、およびホウ素からなる群から選択される。
実施形態において、前記第2の放射線遮蔽充填材は、ホウ砂、石膏、灰硼石、プラスチック複合材料、および石灰のうちの少なくとも1つを有する。
いくつかの実施形態において、前記第1の遮蔽障壁は構造体である。
いくつかの実施形態において、前記第1の遮蔽障壁は非構造体である。
いくつかの実施形態において、前記第2の遮蔽障壁は構造体である。
いくつかの実施形態において、前記第2の遮蔽障壁は非構造体である。
いくつかの実施形態において、追加の遮蔽障壁を備えてもよい。例えば、3、4、5、6、7、8、あるいはそれ以上の遮蔽障壁を備えてもよい。これらの遮蔽障壁の一部または全てが構造体であってもよい。また、これらの遮蔽障壁の一部または全てが非構造体てもよい。
添付の図面を参照することにより本開示をさらに詳細に説明する。いくつかの図において全般的に、同様の構造については同様の参照番号により言及する。本図面は原寸に必ずしも比例したものではなく、本開示の原理を図示することに重点を置いているものである。さらに、特定の構成部材の詳細を示すために特徴の一部が誇張されている場合がある。
図1aおよび1bは、水標的(陽子線治療を受けるシミュレーションされた患者)に入射する、230MeVの陽子線の直下流側に配置された障壁面上の遮蔽されていない中性子フルエンスの角度分布を示す。円の中央部は一次ビームの衝撃点であり、半径が大きくなるについて一次ビーム軸からの距離が大きくなることを示している。1実施形態(図1a)では等しい面積を表しており、別の実施形態(図1b)では、等しい半径を表している。いくつかの実施形態において、一次ビームからの角距離が大きくなるにつれて放射線フルエンスは減少する。 図1aおよび1bは、水標的(陽子線治療を受けるシミュレーションされた患者)に入射する、230MeVの陽子線の直下流側に配置された障壁面上の遮蔽されていない中性子フルエンスの角度分布を示す。円の中央部は一次ビームの衝撃点であり、半径が大きくなるについて一次ビーム軸からの距離が大きくなることを示している。1実施形態(図1a)では等しい面積を表しており、別の実施形態(図1b)では、等しい半径を表している。いくつかの実施形態において、一次ビームからの角距離が大きくなるにつれて放射線フルエンスは減少することに留意されたい。 図2は、本開示の実施形態による磁鉄鉱/灰硼石の凝集体からなる二重遮蔽壁/障壁を横断する中性子運動の最終的な停止に寄与するプロセスに関し、打設コンクリートからなる従来技術の障壁と比較した相対分布を示す。いくつかの実施形態において、障壁材料間の主な相互作用の違いについて留意されたい。 図3は、従来のコンクリート壁の性能と、本開示の実施形態による、様々な相対量の異なる材料の関数としてのモジュール式の可搬型二重障壁の性能を示す。本研究は、二重障壁の全厚が3mのものに関し、アルファ(α)=第2の後続する障壁(B)要素の厚さに対する第1の障壁(A)要素の厚さの比率である。したがって、アルファ(α)=無限大は、非複合材料であり、材料(A)の単一材料からなる3mの壁である。円の大きさは、対応する線量値のグラフ表示である。通常安全な遮蔽設計のために用いられる2mSv(ミリシーベルト)/年の年間線量の線が示されている。コンクリートでない材料はより優れた遮蔽性(すなわち、同一の厚さに対して透過線量がて低減)を提供することができる。 図4は、従来のコンクリート壁の性能と、障壁全厚の関数としての、本開示の実施形態による、様々な相対量の磁鉄鉱および灰硼石(円)と、赤鉄鉱および灰硼石(四角)からなるモジュール式の可搬型二重障壁の性能を示す。ここで、アルファ(α)=第2の障壁(B)の厚さに対する第1の障壁(A)の厚さの比率である。したがって、アルファ(α)=無限大は、非複合材料であり、材料(A)の単一材料からなる壁である。通常安全な遮蔽設計のために用いられる2mSv(ミリシーベルト)/年の年間線量の線が示されている。ここでも、いくつかの実施形態において、代替材料はコンクリートより優れているといえる。 図5、6a、6b、および6cはそれぞれ、患者をシミュレーションした水標的円筒体に入射し、中性子および標的から生じる他の粒子を発生させ、本開示の実施形態による二重障壁を通過して、最終的に透過線量を判定するためのシミュレーションされた検出器容積を通過する、陽子線のGEANT4によるレイトレーシングを示す。障壁に吸収された光子(黒色)および中性子(灰色)の経路が視認できる。図5の色版は、その他の粒子を緑色および青色で示す。 図5、6a、6b、および6cはそれぞれ、患者をシミュレーションした水標的円筒体に入射し、中性子および標的から生じる他の粒子を発生させ、本開示の実施形態による二重障壁を通過して、最終的に透過線量を判定するためのシミュレーションされた検出器容積を通過する、陽子線のGEANT4によるレイトレーシングを示す。障壁に吸収された光子(黒色)および中性子(灰色)の経路が視認できる。図5の色版は、その他の粒子を緑色および青色で示す。 図5、6a、6b、および6cはそれぞれ、患者をシミュレーションした水標的円筒体に入射し、中性子および標的から生じる他の粒子を発生させ、本開示の実施形態による二重障壁を通過して、最終的に透過線量を判定するためのシミュレーションされた検出器容積を通過する、陽子線のGEANT4によるレイトレーシングを示す。障壁に吸収された光子(黒色)および中性子(灰色)の経路が視認できる。図5の色版は、その他の粒子を緑色および青色で示す。 図5、6a、6b、および6cはそれぞれ、患者をシミュレーションした水標的円筒体に入射し、中性子および標的から生じる他の粒子を発生させ、本開示の実施形態による二重障壁を通過して、最終的に透過線量を判定するためのシミュレーションされた検出器容積を通過する、陽子線のGEANT4によるレイトレーシングを示す。障壁に吸収された光子(黒色)および中性子(灰色)の経路が視認できる。図5の色版は、その他の粒子を緑色および青色で示す。 図7は、本開示の実施形態によるモジュール式陽子線治療用設備を示す。 図8は、図7に示すモジュール式陽子線治療用設備の分解図を示す。 図9は、図7に類似した、多階型のモジュール式陽子線治療用設備の非限定的実施例の全断面における側立面図を示す。 図10は、図7に類似した、多階型のモジュール式陽子線治療用設備の非限定的実施例の全断面における側立面図を示す。 図11は、図7に類似した、多階型のモジュール式陽子線治療用設備の非限定的実施例の上段を構成するモジュールの底部組の平面図を示す。 図12は、図7に類似した、多階型のモジュール式陽子線治療用設備の非限定的実施例の下段を構成するモジュールの底部組の平面図を示す。本設備は、遮蔽材料からなる2つの障壁(すなわち、内側障壁および外側障壁)を有するように構成されており、これらの障壁は、中央部治療室を取り囲む2つの異なる網掛け部分として示されている。本設備は、遮蔽材料からなる二重障壁とともに図示されており、この二重障壁は、中央部治療室を取り囲む2つの異なる網掛け部分として示されている。本設備の内部空間は、遮蔽を必要とする人および/または機器を収容するように配置可能な複数の内部室に区分けできる。例えば、いつかの実施形態において、人および/または高感度の電子機器(図示せず)を本設備の内部室に配置して外部放射線から遮蔽することができる。代替的に、別の実施形態において、放射線放出源を本設備の内部室に配置し、遮蔽壁によって、施設内の一次および二次放射線放出源によって生成される放射線から施設の外側にいる人を遮蔽することができる。 図13は、本開示の遮蔽設備における非限定的な最適化推進要因を示す。 図14は、図13の非限定的な最適化推進要因が例示的な遮蔽設備の設計に及ぼす影響を示す例示的なフロー図である。
本図面は本明細書の一部を構成するものであり、本開示の例示的な実施形態を含むとともに、本開示の様々な構成部材および特徴を図示する。また、本図面は、原寸に必ずしも比例したものではなく、特定の構成部材の詳細を示すために特徴の一部が誇張されている場合がある。さらに、本図面で示す測定値、仕様等は例示を意図するものであり、限定を意図していない。したがって、本明細書で開示する特定の構造的、機能的詳細は限定的であると解釈されるべきではなく、単に、当業者が本開示を様々な態様で採用するための基礎的な教示として解釈すべきである。
開示されている斯かる利点および改善点の他に、添付の図面との関連で示される以下の記載により、本開示の他の目的および特長も明白となるであろう。本開示の詳細な実施形態が本明細書に開示されているが、開示されている実施形態は、種々の形態で実施可能な本開示を例示的に示しているに過ぎないことは理解されたい。加えて、本開示の種々の実施形態との関連で例示的に示される実施例は、各々、非限定的なものである。
以下の用語は、本明細書および特許請求項全体に亘り、他の意味が文脈により明示されない限り、本明細書に明示的に関連付けられた意味を有するものである。「1つの実施形態」および「いくつかの実施形態」という言い回しは、本明細書で使用される場合、必ずしも同じ実施形態(複数も可)に言及するものではない(但し、そういう場合もある)。さらに、「別の実施形態」および「いくつかの他の実施形態」という言い回しは、本明細書で使用される場合、必ずしも異なる実施形態に言及するものではない(但し、そういう場合もある)。従って、以下に記載されるように、本開示の種々の実施形態が、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、容易に組み合わせ可能である。
加えて、本明細書で使用される場合、他の意味が文脈により明示されない限り、「または」と言う用語は、包含的論理和演算子であり、「および/または」と言う用語に等しい。「に基づく」と言う用語は排他的でなものではなく、他の意味が文脈により明示されない限り、記載されていない追加の要因に基づく場合も斟酌されている。加えて、本明細書全体において、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の意味は複数も包含するものである。
以下の開示は、少なくとも部分的には、本明細書に詳細に記載される実施形態を支持するのに使用される。本開示は、実施形態において、(1)陽子線治療および重イオン治療などのハドロンビーム適用、および中性子遮蔽が主要関心である発電などの他の用途、(2)特に広帯域中性子減衰のために、最適な遮蔽材料の選択および設計を簡便化する方法としての、本明細書に記載されているようなモジュール式遮蔽体の使用、(3)部屋の壁構造の一部である非構造性鉄鉱石(または他の)材料の使用、(4)(ビームダンプや他の固定型の遮蔽用途とは異なり)可搬型の中性子遮蔽用の解決手段、および(5)遮蔽壁の最適化を可能にするための、異なる組成による多重障壁の使用を扱うものである。
本開示は、実施形態において、ハドロン(陽子、中性子、パイオン、重イオン等)遮蔽にモジュールを採用することに関し、斯かるタイプの放射線(陽子、中性子、パイオン等)並びに広帯域/連続スペクトルのエネルギーを最適化するため、遮蔽における可搬性と、放射線遮蔽の調整機能との組み合わせを提供する。
人体へのイオン化放射線の影響を評価するため、人体組織に等価である媒体(僅かなテスト量)の特定点で吸収されるエネルギーを測定することにより、物理的線量が決定される。他の形態の放射線(特に中性子)においては、生物学的影響は放射線のタイプおよびエネルギーにさらに依存している。1MeVの中性子の影響が200MeVの中性子の影響とは異なるように、200MeV中性子の生物学的またはその他の影響は、200MeVの陽子または200MeVの光子の影響とは大幅に異なっている。中性子の場合、グレイ単位で表わされジュール/kgで測定される物理的(吸収)量は、エネルギー依存変換係数(Sv(E))と掛け合わされ、シーベルト量または実行線量(E)が提供される。さらに、放射エネルギーが分布されている場合(スペクトルの場合)、Sv(E)とフルエンス(f(E))との積が、関連する全てのスペクトルエネルギーについて統合されなければならない。Sv(E)およびf(E)の畳み込みにおいては、Sv(E)は等価の不連続関数wとして表現されなければならない。放射線タイプkに関する、ICRP92,2007 Publication 103の放射線重み付け係数wは、特定の中性子および他の粒子エネルギー帯に関し、数値および連続曲線として以下のように与えられる。
粒子タイプおよびエネルギーによる重み付け係数
・全エネルギーの光子、電子、およびミューオン:w=1
・E<1MeVの「低速」または「熱」中性子:w=2.5+18.2exp(-(In(E))/6)
・1~50MeVのEの「高速」中性子:w=5+17.2exp(-(In(2E))/6)
・E>50MeVの「高エネルギー高速」中性子:w=2.5+3.5(-(In(0.04E))/6)
・E>2MeVの陽子:w=2
・全エネルギーのアルファ粒子、核分裂片、および重い核:w=20(最大)
電子機器への損傷は人体への損傷とは異なっているが、やはり通常、約1MeVに中性子損傷ピークを有するエネルギー依存スペクトルに従う(上述の場合と明らかに異なっており、高エネルギー範囲が最大のw(重み付け)値を有している)。
二次中性子線は、炭素イオン線治療などに使用される陽子線設備または他のハドロンビーム設備、並びに一般的に種々の高エネルギービーム(ハドロンビームなど)に関連する多くの用途において、主要な遮蔽問題をもたらす。図1aおよび1bは、2つの異なる方法を用いて、(人体組織をシミュレーションする)水ファントム(または標的)に入射する例示的陽子線によって生成される中性子フルエンスの分布を示している。図1Aにおいて、標的への入射ビームの直下流側にある空間ビーム範囲が、典型的な治療室の距離で等しい面積に分割されている。その結果、面積当たりの中性子数が、対応する中性子フルエンスとして直接見ることができる。図1Bにおいて、各部分の面積は変化しているが、半径の増加は一定である。この方法により、一次ビーム方向からの半径の増大に伴って中性子数がどのように変化するかが評価可能となる。しかし、両方の方法共、半径の関数として同一のフルエンス挙動をもたらす。
照射源エネルギー並びに製造幾何形状も、遮蔽用途においては考慮されるべきである。平均的な中性子エネルギーおよびフルエンスはビームの入射角によって変化するが、例えばゼロ度の角度で(すなわち障壁に垂直な方向から)230MeVの陽子線がもたらす中性子の最大エネルギーは、ビーム経路の任意の物質から中性子を放出するのに必要な結合エネルギーを入射陽子エネルギーから差し引いた値である。中性子は遮蔽障壁を移行するに伴い遮蔽物質と相互作用を行うので、中性子のエネルギーは、各相互作用により、相互作用のタイプおよび激しさに依存する量だけ減少する。斯かる相互作用により、中性子のエネルギーは、最大eVのエネルギーよりも6桁以上少ないeVレベルへ減少し得る。これは、上述したような重み付け係数(w)の範囲をカバーする広範囲なエネルギースペクトルをもたらす。さらに、異なる状況下に応じて異なるビーム電流が用いられてもよい。放射線腫瘍学の分野においては、これは通常、所定の治療対象患者に処方される線量によって決定される。しかし、このフルエンスは、サイクロトロンタイプの加速器に配置されるエネルギーデグレーダシステムの場合のように、エネルギー依存性であってもよい。
中性子減衰においては様々なタイプの相互作用が存在しており、それには、限定されないが、イオン化および核分断も含まれる。イオン化は、中性原子から荷電粒子を除去することである。核分断プロセスは、大きい核分裂片が小さい核分裂片になることである。
いくつかの実施形態において、本開示は「非破壊的試験」を行うように構成された設備に関係している。本明細書で使用される場合、「非破壊的試験」と言う用語は、材料、組成、またはシステムに損傷を与えることなく、斯かる材料、組成、またはシステムの特性を評価する技術を意味する。
いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、350kV~1.5MeVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、350kV~1MeVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、350kV~500kVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、350kV~400kVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。
いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、400kV~1.5MeVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、500kV~1.5MeVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、1MeV~1.5MeVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。
いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、400kV~500MeVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、400kV~1MeVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。いくつかの実施形態においては、非破壊的試験を行うように構成された設備は、500kV~1MeVのエネルギー範囲のビームを生成するように構成された装置を有する。
実施形態において、本開示は、特に、(<1MeV)の低速(熱)中性子の吸収から(1MeVからビームエネルギーまでの)高速中性子および高エネルギー高速中性子の調整までの解決手段の最適化を容易にする。
いくつかの実施形態において、設備は、第1および/または第2の障壁内に位置する5MeV~500MeVのエネルギー範囲を持つ粒子ビームを有している。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は5MeV~400MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は5MeV~300MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は5MeV~250MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は5MeV~150MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は5MeV~100MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は5MeV~75MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は5MeV~50MeVである。
いくつかの実施形態において、設備は、第1および/または第2の障壁内に位置する50MeV~500MeVのエネルギー範囲を持つビーム源または照射源を有している。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は100MeV~500MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は150MeV~500MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は250MeV~500MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は300MeV~500MeVである。いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は400MeV~500MeVである。
いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は1MeV~5MeVである。
いくつかの実施形態において、設備内に位置するビーム源または放射線源のエネルギー範囲は無制限である。例えば、いくつかの実施形態においては、1keVのように低エネルギーであってもよい。いくつかの実施形態では、エネルギーは100GeVを超えていてもよい。
本開示は、実施形態において、遮蔽問題に対してモジュール式かつ可搬型の解決手段を提供するものである。これは、結果的に得られる遮蔽設備(遮蔽室)の遮蔽部分を構造部分から切り離すことにより達成される。換言すると、構造上の目標は一組の材料および方法を用いて達成され、遮蔽目標は異なる組の材料および方法を用いて達成される。実施形態において、本開示は、構造特性の欠如の故に今まで軽視/無視されていた減衰材料を採用する。この事実は、特に広範囲なエネルギースペクトルの吸収を可能にするのに利用されるだけでなく、他の望ましい利点も包含している。異なる遮蔽材料の望ましさおよび有効性を決定するにあたり、複数の、時には矛盾し合う特性が存在しており、それには、限定されないが、低価格性、利用可能性、均一性、不融性、高密度または高原子番号、低原子番号、最少中性子再生、高中性子捕獲断面積、コンパクト性、使用容易性、低毒性、および放射線活性化の低可能性などが含まれる。実施形態において、本開示は、ハドロンビーム生成および発生、宇宙線、および任意の放射線設備構造体(遮蔽は設備構造体の構造要素ではなく、様々な粒状の遮蔽材料の使用を可能にする構造体)に関係している。
実施形態において、第1の障壁用の放射線遮蔽充填材は、障壁の遮蔽性能を最適化するのに適した相互作用断面積(バーン単位で測定される相互作用蓋然性の測定値)を有する要素を含んでいる。実施形態において、放射線遮蔽充填材は、少なくとも部分的には、以下の表1に示されるデータに基づいて決定されてもよい。
Figure 0007282412000001
表1(上述)は、異なるタイプの吸収機構(弾性および非弾性散乱並びに捕獲反応)に関して、陽子線癌治療用の遮蔽のため、関心対象の断面積範囲を提供するものである。この表では、ホウ素の低MeV中性子に対する比較的高い捕獲断面積が明白に示されている。コンクリートの水素の弾性散乱断面積に注目されたい。この場合、断面積はスペクトルの低エネルギー末端においては大きいが、高エネルギー中性子においては比較的小さい。
本開示は、実施形態において、広範囲なエネルギースペクトルに亘って行われる中性子遮蔽の最適化を強調する。斯かる方法は、人体に必要なあらゆる保護のみならず、電子部品の損傷(例えば、シングルイベント効果(SEE)やアプセット(SEU)は、治療室や他の用途、例えば、大型の倉庫タイプのコンピュータサーバー設備や戦略的な接地電子機器などの機器不能を引き起こす)をも減少させるものである。SEEは低線量領域でも問題を引き起こす事象でもあり得るが、主に陽子や熱中性子などのハドロンによって引き起こされるものである。
放射線遮蔽充填材は、構造的要求、さらには自耐性の(例えばコンクリートブロックを用いた)構造的強靭化の要求なしに、全エネルギースペクトル中性子の最大吸収、並びに特に核分断に焦点を当てた高エネルギー中性子用の最適化が可能である。異なるエネルギーを有する中性子が、様々な中性子終了プロセスによって停止、吸収、あるいは弱体化される。本開示は、いくつかの実施形態において、コンクリート壁に関連するイオン化プロセスに依存する現在の産業基準とは異なり、核分断(「破砕」としても知られる)に焦点を当て、それを利用する遮蔽問題への解決手段を提示するものである。
本開示は、実施形態において、電子機器の用途に特有な放射線障壁を提供する目的で、1MeV範囲で減衰レベルを増大させる遮蔽障壁を提供するように構成されている。
本開示は、実施形態において、原子番号12~83(以後「高原子番号元素」と呼ぶ)の元素(複数も可)を有する材料を含む単一の障壁、あるいは高原子番号元素(複数も可)および原子番号1~8(以後「低原子番号元素」と呼ぶ)の元素の両方を有する多重障壁または二重障壁である。その役割は例えば陽子線治療設備で見ることができ、そこでは約1MeVの中性子が電子機器への放射線損傷の主な関心事であるが、一方、人体への線量を考慮して使用される測定線量の複数倍の品質係数(Q)は、それよりも高く約200MeVの中性子用である。治療室の遮蔽壁の最後の数インチに生成される多量の透過低エネルギー(「低速」または「熱」)中性子は、中央にいる従業員または一般集団への透過線量に有意な寄与は行わないので、コンクリートまたは他の標準の遮蔽方法においては通常無視されている。しかし、本明細書において詳細に示されている本開示の実施形態を用いた二重障壁においては、低エネルギー中性子も第2の障壁で同様に吸収され、電子機器を保護することができる。
本開示は、実施形態において、原子番号12~70の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号12~65の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号12~60の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号12~50の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号12~40の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号12~30の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号12~25の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号12~20の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号12~15の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。
本開示は、実施形態において、原子番号15~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号20~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号25~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号30~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号40~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号50~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号60~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号65~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号70~83の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。
本開示は、実施形態において、原子番号15~70の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号20~65の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号25~60の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。本開示は、実施形態において、原子番号30~50の元素(複数も可)を有する材料を含む単一障壁である。
本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号1~8(以後「低原子番号元素」と呼ぶ)の元素を有する材料との両方を含む単一障壁または多重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号1~7の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号1~6の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号1~5の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号1~4の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号1~3の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号1~2の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。
本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号2~8の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号3~8の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号4~8の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号5~8の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号6~8の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号7~8の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。
本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号2~7の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号3~6の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。本開示は、実施形態において、本明細書で詳細に示される任意の範囲の高原子番号元素(複数も可)を有する材料と、原子番号4~5の元素を有する材料との両方を含む多重障壁または二重障壁である。
本明細書に詳細に示される本開示は、実施形態において、遮蔽材料が多孔質性粒状充填材であり、壁から容易にそれを除去する方法が提供できるものであり、さらに長期活性化の影響を受け易い材料の量が潜在的に少ないので、閉鎖要求事項を満たすことができる。
さらに、潜在的に放射能を有する除去対象の遮蔽材料は、複数年や数十年単位よりも数秒、数日、数週間単位で測定される実質的に迅速な崩壊時間(短い半減期)を有するように選択できるし、それが建物の構造部分ではないので、閉鎖プロセス中の安全性が全体的に向上する。本明細書記載の設計を用いれば、従来のコンクリート遮蔽構造体とは異なり、全体的な構造はそのままであり、遮蔽材料除去中の労働者の安全も保証される。
本開示は、実施形態において、ハドロンビーム設備建設の新しい方法を提供するものであり、当該設備は建物の構造を提供する内部骨格および外部骨格を用いて建設されるものである。内部骨格および外部骨格間には、一連のコンテナ、容器、あるいは外骨格を有するまたは外骨格上に積載された内壁および外壁間の空隙が存在する。斯かる空隙は、非構造性である放射線遮蔽充填材で充填される。本明細書で使用される場合、「非構造性」と言う用語は非耐荷重性を意味しており、コンクリートブロックのように自耐性の機能すら有していない。従って、「非構造性」の材料は固形化するものでも、何らかの形態の構造体または支持を提供するものでもない。放射線遮蔽充填材は、非構造性なので、構造性であるコンクリートとは異なり、構造上の要求事項を考慮することなく、その放射性遮蔽機能および遮蔽メカニズムによって主に選択できる。
本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、第1の障壁を形成する、第1の放射線遮蔽壁と第2の放射線遮蔽壁との間に配置される。いくつかの実施形態において、放射線遮蔽充填材は、高原子番号元素を有する材料および/または主な減衰方法として核分断に依存する他の材料を有する。放射線遮蔽充填材の高原子番号元素には、非限定的な例として、鉄、鉛、タングステン、およびチタンが含まれる。いくつかの実施形態においては、放射線遮蔽充填材には、磁鉄鉱、赤鉄鉱、針鉄鉱、褐鉄鉱、および菱鉄鉱が含まれる。放射線遮蔽充填材は、実施形態において、凝集体の形態であり、従って粒状材料である。
本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの高原子番号元素を少なくとも50重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの高原子番号元素を少なくとも60重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの高原子番号元素を少なくとも70重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの高原子番号元素を少なくとも80重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの高原子番号元素を少なくとも90重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの高原子番号元素を少なくと95重量%含む。
本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、鉄、鉛、タングステン、チタン、またはそれらの組み合わせを少なくとも50重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、鉄、鉛、タングステン、チタン、またはそれらの組み合わせを少なくとも60重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、鉄、鉛、タングステン、チタン、またはそれらの組み合わせを少なくとも70重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、鉄、鉛、タングステン、チタン、またはそれらの組み合わせを少なくとも80重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、鉄、鉛、タングステン、チタン、またはそれらの組み合わせを少なくとも90重量%含む。本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、鉄、鉛、タングステン、チタン、またはそれらの組み合わせを少なくとも95重量%含む。
実施形態において、放射線遮蔽用の高原子番号元素(複数も可)の選択は、少なくとも部分的に、核結合エネルギーに基づいている。種々の形態(同位元素)の鉄は地球で最も豊富な元素であるが、ニッケルは地球の殻にある元素のうち22番目に豊富な元素であり、アクセスが容易ではないし安価でもない。全核種の中で、鉄は核子当たりの質量が最も小さく、核結合エネルギーが最大(天然存在度91.75%の最も一般的な鉄同位元素である56Feにおいて核子当たり8.8MeV)であり、58Fe(天然存在度0.28%)および希少な62Ni(天然存在度3.6%)を除いて、最も緊密に結合した核の一つである。我々は斯かる事実をここで遮蔽に利用している。鉄鉱石材料は利用可能な全遮蔽材料の中で最も大きい結合エネルギーを有している。鉄の核から中性子を叩き出すのに、他の核からよりも多くのエネルギーが必要であることをこれは意味しており、従って、斯かる材料は相当な量のエネルギーを吸収するので、鉄は入手可能であると同時に、本開示のいくつかの実施形態によって利用される本明細書記載の分断プロセスにおいても最適な遮蔽材料である。
鉄鉱石材料は、それを含む鉄鋼モジュールによる天然の「ファラデーケージ」環境を向上させる。これは、電磁場が背景ノイズを引き起こしたり目的のシグナルと干渉したりする場合の用途において、例えば研究所内の高感度機器や磁気共鳴画像法(MRI)などの医療用用途において重要である。ファラデーケージは、外部の無線干渉(RFI)から高感度の電子機器を保護したり、セル式/無線送信機などのRFIを生じさせる装置を囲ったりして、無線波が他の近くの機器に干渉するのを防止するのに特に使用される。それは静電放電などの電流から人々および機器を保護するのにも利用される。医療施設で一般的に使用される緊急無線通信も干渉を受け易い。
いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~9メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~8メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~7メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~6メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~5メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~4メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~3メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~2メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~1メートルである。
いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは1~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは2~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは3~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは4~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは5~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは610メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは7~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは8~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは9~10メートルである。
いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは2~9メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは3~8メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは4~7メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは5~6メートルである。
いくつかの実施形態において、第1の障壁または第2の障壁は複数のセンサーを有している。他の実施形態では、センサーは、第1の障壁の遮蔽材料が除去されるべき時を検出するように構成される。実施形態において、センサーは、第1の障壁の遮蔽材料が活性化されている時を検出するように構成される。実施形態において、センサーは、第1の障壁の遮蔽材料が除去されるべき時を決定するように構成されたタイマーである。センサーは、囲われた遮蔽室内に発生する放射線を測定するように較正される。
実施形態において、異なる遮蔽材料の第2の障壁が利用される。高エネルギー高速中性子は、高密度(例えば、高原子番号元素(複数も可)の材料)内の反応によって停止または低速化されるが、斯かる反応は低エネルギー高速および/または低速または熱中性子の生成を引き起こす。後者の場合、異なるエネルギー範囲において様々な反応が優勢となるので、高密度材料は必ずしも最適遮蔽を提供するものではない。斯かる低エネルギー放射線の最適吸収のため、少なくとも1つの低原子番号元素を含む第2の内側障壁が配置される。斯かる第2の内側障壁は、例えば、電子機器の保護のため、治療室内に提供されてもよい。あるいは、斯かる第2の外側障壁が、従業員への追加の保護を提供するため、治療室壁の外側に提供されてもよい。
実施形態において、多重障壁選択が利用されてもよく、その場合、低エネルギー遮蔽最適化を内部および外部の両方で達成するため、例えば上述のように高密度材料の両側を低原子番号元素を有する材料で囲ってもよい。斯かるやり方は、内部か外部の遮蔽が必要であるが、1つの部屋の内部は隣接した部屋の外部でもある横並びの治療室の場合にも、追加的に使用できるであろう。
本開示の実施形態において、放射線遮蔽充填材は、第2の障壁を形成する、第2の放射線遮蔽壁と第3の放射線遮蔽壁との間に配置される。いくつかの実施形態において、放射線遮蔽充填材は、低原子番号元素を有する材料を含む。放射線遮蔽充填材の低原子番号元素の非限定的例には、水素、炭素、酸素、およびホウ素が含まれる。いくつかの実施形態において、放射線遮蔽充填材には、ホウ砂、石膏、灰硼石、プラスチック複合材料、および石灰のうちの少なくとも1つが含まれる。実施形態において、放射線遮蔽充填材は、凝集体の形態であり、従って粒状材料である。
本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの低原子番号元素を少なくとも50重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの低原子番号元素を少なくとも60重量%含む。(本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、)少なくとも1つの低原子番号元素を少なくとも70重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの低原子番号元素を少なくとも80重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの低原子番号元素を少なくとも90重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、少なくとも1つの低原子番号元素を少なくとも95重量%含む。
本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、水素、炭素、酸素、ホウ素、またはそれらの組み合わせを少なくとも50重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、水素、炭素、酸素、ホウ素、またはそれらの組み合わせを少なくとも60重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、水素、炭素、酸素、ホウ素、またはそれらの組み合わせを少なくとも70重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、水素、炭素、酸素、ホウ素、またはそれらの組み合わせを少なくとも80重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、水素、炭素、酸素、ホウ素、またはそれらの組み合わせを少なくとも90重量%含む。本開示の実施形態において、第2の障壁を形成する放射線遮蔽充填材は、水素、炭素、酸素、ホウ素、またはそれらの組み合わせを少なくとも95重量%含む。
いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~10メートルである。いくつかの実施形態において、第1の障壁の厚さは0.5~9メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~8メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~7メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~6メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~5メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~4メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~3メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~2メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは0.5~1メートルである。
いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは1~10メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは2~10メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは3~10メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは4~10メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは5~10メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは610メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは7~10メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは8~10メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは9~10メートルである。
いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは2~9メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは3~8メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは4~7メートルである。いくつかの実施形態において、第2の障壁の厚さは5~6メートルである。
いくつかの実施形態において、第1の障壁は低原子番号元素を有する材料を含み、第2の障壁は高原子番号元素を有する材料を含む。換言すると、いくつかの実施形態において、第1の障壁は第2の障壁の構成と一貫性を持って構成されており、第2の障壁は本明細書において詳細に記載される第1の障壁の構成と一貫性を持って構成されている。
実施形態において、第1および/または第2の障壁のうちの少なくとも1つは、低原子番号元素を有する材料と高原子番号元素を有する材料との組み合わせを有している。
実施形態において、設備は、当該設備の要求事項に基づき、第1および/または第2の障壁に関して本明細書において詳細に記載される材料および厚さを有する第3、第4、第5、第6、第7の障壁、またはそれ以上の障壁を有していてもよい。
実施形態において、障壁(第1、第2、第3、第4、またはそれ以上)はいずれも複数のセクションで構成されていてもよい。実施形態において、各障壁の複数のセクションは、障壁を形成する放射線充填材の一部の除去を可能にするように構成されていてもよい。実施形態において、障壁は、組み合わされて第1および/または第2の障壁を形成する個々のモジュール式セクションで構成されていてもよい。個々のモジュール式セクションの各々は使用後除去され、未使用の放射線遮蔽充填材で充填されたモジュール式セクションで置き換えられてもよい。実施形態において、個々のモジュール式セクションの1つ以上が、本明細書において詳細に記載されているセンサーであって、当該セクションの放射線遮蔽充填材が置換を必要としている場合にそれを示すためのセンサーを有していてもよい。
実施形態において、特定の材料が、放射線の線量を決定するためのセンサーとして使用されてもよい。例えば、プラスチックは放射線の存在下で黄色になり、あるレベルに達すると黒っぽく変色する。
実施形態において、本開示は、同レベルの放射線遮蔽を達成するのに、最適化されていない材料からなる遮蔽壁(コンクリートなど)ほどに厚くする必要のない、最適化放射線遮蔽充填材を含む遮蔽壁を有する。実施形態において、本明細書で詳細に示されるような高原子番号元素を有する材料で充填された遮蔽壁を持つ陽子線設備の遮蔽壁は、コンクリートまたはコンクリートブロック遮蔽壁と比較して、同一のまたはより優れた遮蔽機能を提供しつつ、厚さを5%~25%減少させることが可能である。いくつかの実施形態において、放射線遮蔽充填材は、特定の方向に異なる遮蔽障壁を提供する(すなわち特定目的用にさらに工夫された放射線遮蔽能力および/またはサイズ効率を提供する)ため、異なる放射線遮蔽充填材で充填された一連の空隙を有している。
図2は、本開示の実施形態による磁鉄鉱/灰硼石の凝集体(左、「二重障壁」として示される)からなる二重遮蔽壁/障壁を横断する中性子運動の最終的な停止に寄与するプロセスに関するものであり、打設コンクリートからなる従来技術の障壁(右)と比較した相対分布を示している。数値はGEANT4 Monte Carloシミュレーションから得られたものであり、中性子は陽子放射線治療用の治療室の患者をシミュレーションした水標的中で生成された。
本明細書で使用される場合、「GEANT4 Monte Carloシミュレーション」は、障壁の中性子減衰能力の基礎として、透過中性子線量を測定するために開発されたものであり、GEANT4は、物質中を通過する粒子のシミュレーション用として公的に利用可能(http://geant4.web.cern.chを参照)な「ツール」である。その適応分野には、高エネルギー、核物理学および加速器物理学、並びに医療および宇宙科学の研究が含まれる。Geant4のために、3つの主要な参考論文、すなわちNuclear Instruments and Methods in Physics Research A 506(2003)250-303、IEEE Transactions on Nuclear Science 53 No. 1(2006)270-278、およびNuclear Instruments and Methods in Physics Research A 835(2016)186-225が出版されている。
図3および4並びに表2は、二重/非二重壁組成用に研究された様々な材料を例示したものである。この研究は全厚さ3メートルの二重障壁に関するものであり、αは第2の障壁(B)元素の厚さに対する第1の障壁(A)元素の厚さの比率を示す。従って、α=無限大は、材料Aからなる非複合単一材料の3メートル壁を意味する。
Figure 0007282412000002
図5は、水標的(陽子放射線治療におけるシミュレーションされた患者)に入射する230MeVの量子ビームの直下流側に位置する、非遮蔽中性子フルエンス角分布を示している。
図2に挙げたプロセスは、遮蔽障壁内でシミュレーションによって評価された可能な相互作用であり、放射粒子(一次粒子)のタイプとそれが相互作用する二次粒子との両方に基づくものである。但し、図2は、水標的(シミュレーションされた人体)に入射する230MeVの陽子線から生じる二次中性子スペクトル(陽子線治療センターにおける遮蔽課題の約91%を有する)のみによって生成されたものである。
典型的なコンクリート障壁内の水標的(シミュレーションされた患者)に入射する230MeVの陽子線のモデル化は、コンクリート障壁の中性子の動きの主要な終了プロセスがイオン化であり、電子イオン化が全中性子終了プロセスの約60%、ハドロンイオン化が約10%を構成することを示している。核分断は、コンクリート障壁においては全終了プロセスの約16%に過ぎない。主に核分断に依存する本開示の実施形態に示される設計とは、これは対照的である。核分断はより多くのエネルギーを吸収するものであり、従って、相対的に薄くより可搬性を有する障壁を提供するより効率的な方法である。ここで再び強調しておきたいことであるが、解決手段としての可搬性および効率向上の必要性(すなわち、より小さい設置面積)が、構造構成と遮蔽構成を分離しようとする本開示の追加の推進要因である。
提案されている技術の電磁気遮蔽特徴および放射線遮蔽特徴の両方が多重方向性である。換言すると、放射線治療用の治療室の外に立っている人はその中で発生する放射線から遮蔽障壁/壁によって遮蔽される、あるいは治療室の電子機器は、遮蔽障壁/壁内の相互作用(二次的なまたは散乱放射線)によって生じる放射線から、戦略的に選択された内壁上の障壁によって遮蔽できる、および/または治療室の電子部品は、治療室外で発生した電磁シグナルまたは他の放射線から遮蔽可能である。別の例として、複数の材料組成からなる障壁方式においては、隣接した治療室間の壁は両部屋に遮蔽を提供できる。これはコンクリートに関しても同様であるが、本明細書に記載されている方法は、より広範囲なエネルギースペクトル全体に亘ってさらに効果的な遮蔽(ひいては、障壁の厚さの減少およびコストの削減につながる)を提供し、エネルギー的に低い光子および電子線を抑制する目的で設計/建設されるコンクリート製遮蔽室では得られない高エネルギー高フルエンス中性子線を効果的に遮蔽するという追加の利点も提供する。別の例では、例えば、大きい無保護の設備内または放射線を発生させる設備内の小さい遮蔽室に、感度の高い電子機器を配置できる。上述の全ての用途において、二重または多重障壁方法は、広範囲なスペクトルや減衰最適化を提供する様々な障壁で複数の材料を利用可能にするものである点に注目されたい。例えば、鉄鉱石材料を1つの障壁に使用し、低エネルギー中性子吸収を最適化するため、密度の低い材料を別の障壁に使用するようにしてもよい。
図3および4は、例えば、従来のコンクリート壁の性能と、本開示の実施形態による、様々な相対量の磁鉄鉱(MR2)/灰硼石(CR2)からなる可搬型二重障壁の性能とを比較したものである。この場合、比率αはL/Lに等しい、すなわち中性子に遭遇する第2の障壁の厚さ(B)に対する第1の障壁の厚さ(A)に等しい。従って、無限大に対応するαは純粋な磁鉄鉱の障壁である。通常、2ミリシーベルト/年の透過シーベルト線量(TSD)の安全性要求限度が、壁厚さの最小許容値を決定する。この場合、円の大きさは、各例において、透過中性子の線量(すなわちTSD)に比例する。全ての場合において、核分断による中性子吸収プロセスを利用および最適化するモジュール式の可搬型壁は卓越した方法である。図面に示された結果はGEANT4 Monte Carloシミュレーションに基づいており、陽子線治療装置による年間臨床使用線量(5x1015陽子/年に対応する)の比率に多少強引に割り当てられている。主要な中性子終了プロセスとしてイオン化に依存する構造的なコンクリート遮蔽壁に対し、本開示の、主に高原子番号元素(複数も可)からなる遮蔽壁による主要中性子終了プロセスは核分断である。本明細書に示されるように、主要な中性子終了プロセスとして、核分断によるより有効な減衰メカニズムを選択および利用することにより、我々は最大の放射線吸収を達成し、より効率的な改善された遮蔽障壁を立証するものである。
従って、図3および4に示されるように、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも小さい。実施形態において、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも5%~25%小さい。実施形態において、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも5%~20%小さい。実施形態において、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも5%~15%小さい。実施形態において、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも5%~10%小さい。実施形態において、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも10%~25%小さい。実施形態において、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも15%~25%小さい。実施形態において、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも20%~25%小さい。実施形態において、同一の透過シーベルト線量を達成するにあたり、放射線遮蔽充填材の厚さはコンクリート壁の厚さよりも5%、10%、15%、20%、または25%小さい。
図5、6a、6b、および6cは、(患者をシミュレーションする)水標的円筒体に入射し、二次中性子線および標的から生じる他の粒子を発生させ、本開示の実施形態による二重障壁を通過して、最終的にシミュレーションされた検出器容積を通過するビーム(黒色)のGEANT4によるレイトレーシングを示している。図面に示されるように、障壁の第1の部分を通過する中性子は極めて少ないものであり、その観察に基づいて、我々は一次障壁で機能する主要吸収メカニズムが何であるかを調査するに至った。
図7は、本開示の実施形態による、多階型のモジュール式陽子線治療用設備700を示している。当該設備は、全体的に設備を形成するように構成された複数のモジュール701を有する。実施形態において、複数のモジュール701の1つ以上が、少なくとも部分的に、遮蔽充填材(図示しない)で充填されている。
図8は、図7に示されるモジュール式陽子線治療用設備700の分解図を示している。いくつかの実施形態において、複数のモジュール701の上部組は、1つの組のモジュール(図示しない)の下に別の組のモジュール(図示しない)を有する二重層システムであり、各々、場所特有の設計パラメーターによって決定される厚さ(同じの場合も異なる場合もある)を有する。
図9および10は、図7に示される設備700に類似の、多階型のモジュール式陽子線用治療設備900の非限定的実施例の全断面を示す側立面図である。図は、外壁903間に配置された選択的な内側障壁902を有している。図10は、下部三(3)レベルの各々にある高放射能領域へアクセスするための通路をさらに示している。
図11は、多階型のモジュール式陽子線治用療設備1100(および700)の非限定的実施例の上段の一部であるモジュール701(内側障壁1104遮蔽材料を含む)の底部組の平面図である。図面に示される設備は、(図12の1206で示される)例示的治療室の上部および周囲に2つの異なる網掛け部分で示される遮蔽材料の2つの障壁(すなわち、内側障壁1104および外側障壁1105)を用いて建設される。斯かる上段を構成する上部組のモジュール(図示しない)は、外側障壁1105と同一の遮蔽を有していてもよい。いくつかの実施形態において、除去可能中核1106は、設置、除去、および/または修理用の主要構成部材に容易にアクセスできるように、屋根を通して遮蔽材料の除去を可能にするものであってもよい。
いくつかの実施形態において、本開示の設備の内部空間は、遮蔽を必要とする人および/または機器を収容するように配置可能な複数の内部室に区分けできる。例えば、いくつかの実施形態において、人および/または感度の高い電子機器を設備の内部室に配置し、外部の放射線から遮蔽できる。あるいは、他の実施形態においては、放射線放出源を設備の内部室に配置し、遮蔽壁によって、設備内の一次および二次放射線発生源によって生じる放射線から設備の外側に居る人々を遮蔽できる。
図12は、多階型のモジュール式陽子線治療用設備1200の非限定的実施例の下段の平面図である。図12は、内側障壁1204、外側障壁1205、および(白い空間で示される)入口迷路(通路)および内部に陽子伝送装置1206を有する治療室を含んでいる。
本開示の1つの形態において、ハドロンビーム設備は一連の組み立て式モジュール(現場外で建設され、現場へ運ばれ、現場で組み立てられ、ハドロンビーム設備の構造的外骨格並びに要求される全非遮蔽空間(臨床、機械等)が形成される)を用いて建設される。遮蔽モジュールは、従来のモジュール式建設技術を用いて、建物の望ましい内部構造を有するプレハブ式であるのが好ましい。しかし、各遮蔽モジュールは、ハドロンビーム設備にとってユニークな放射線遮蔽の必要性に従い、種々のパネルで構成される外側構造枠(通常、鋼鉄)を有している。各モジュールのいくつかの側は金属壁(「パネル」)からなり、他の側は開放されている。種々のモジュールのパネルは、モジュールの組み立ての際に、種々のパネルが上または下のモジュールのパネル並びに任意にいずれかの側のモジュールのパネルと整列し、比較的連続した内壁および外壁(空隙空間を形成する)を構築するように、方向付けがなされている。斯かる空隙空間は、その後、選択された放射線遮蔽材で充填される。種々のモジュールの構造枠は、一旦接続されると、組み合わされて建物の内部骨格および外部骨格を形成し、モジュールを有するまたはモジュールに積載されるパネルは、組み合わされて、空隙空間(放射線遮蔽充填材を含む)を設定する内壁および外壁を形成する。内壁および外壁の間に、異なるタイプの遮蔽材料で充填された複数の空隙空間を有する、同じ方法で構築された中間壁が存在していてもよい。モジュールは、対応する設備の機能空間、例えば、待合室、制御室、患者用のテーブルを含む治療室、(例えば)陽子線治療装置用の構台などの内部仕上げも含んでいる。粒状遮蔽材料の単一障壁を有する放射線治療設備の建設の詳細は、本明細書に参照として援用される、Zeik等に許諾された米国特許番号第6,973,758号およびLefkus等に許諾された米国特許番号第9,027,297号にさらに詳細に記載されているが、斯かる方法は、内部空間および遮蔽壁の配置、壁数並びにそれに伴う空隙空間の数および遮蔽材料、ハドロンビーム設備の望ましい構成用の厚さおよび材料などを適切に調整することにより、ハドロンビーム設備の建設に応用可能である。
1つの改良点として、遮蔽壁は、異なる放射線遮蔽充填材で別個に充填可能な個別の区画を用いて作製されてもよい。斯かる個別の区画は多くの目的達成に役立つ。例えば、遮蔽壁の厚さを用いて個別の区画を作製することにより、相互作用を減衰させる1つのタイプ用に最適化された1つのタイプの充填材を有する内壁(内部とは放射線源に最も近いことを意味する)と、相互作用を減衰させる別のタイプ用に最適化された外部層(外部とは放射線源から離れていることを意味する)とを用いて、層状の壁が構築できる。例えば、内側障壁は高エネルギー中性子を低エネルギー状態に低速させるのに役立ち、外側障壁は低速の低エネルギー中性子を吸収するのに役立つであろう。同様の方法で、追加の障壁(すなわち、2、3、4、またはそれ以上の遮蔽障壁)が構築されてもよい。上述したように、各障壁の放射線遮蔽充填材は非構造的なので、多種多様な材料が可能である。斯かる方法を用いて、任意の所定の用途の主要関連プロセス(放射線タイプおよびエネルギー範囲)を各材料について活用することにより、広範囲なエネルギースペクトル遮蔽用の機器が構築できる。
大半の半導体電子部品が放射線損傷を受け易い。残留イオン化放射線への長期曝露は、粒子治療設備の医療機器の電子部品を破壊する恐れがある。医療設備の中には電荷結合素子(CCD)カメラを毎月交換する設備もあるし、過酷な環境に耐え得る高価な放射線強化機器を購入する設備もある。斯かる問題に対処するには、残留イオン化放射線を減少させるため、1つ以上の遮蔽障壁を最適化するようにすればよい。例えば、(高速中性子の調整に最適の)石膏のような水素を豊富に含む充填材の第2の障壁、または(低速中性子の捕獲に最適の)ホウ砂のようなホウ素を豊富に含む充填材の第2の障壁の使用である。斯かる方法はハドロン粒子治療を目的としているが、様々な放射線環境にある電子部品にも適用可能であり、地上の光線や宇宙線でさえSEEを通して安全性の喪失を引き起こす低レベル放射線環境、例えば、大型の倉庫タイプのコンピュータサーバー設備や戦略的な接地電子機器等さえもその中に含まれる。電子機器において重大なソフト故障を引き起こす粒子は中性子、光子、およびパイオンである。
遮蔽壁の厚さを通した仕切り(すなわち内側障壁および外側障壁)作製の代わりにまたはそれに加えて、遮蔽充填材に横方向の仕切りを作製してもよい。横方向の仕切りの使用方法の1つは、遮蔽壁の特定のセクションを他のセクションとは独立に除去できるようにすることである。斯かる方法は、高い放射線に曝露され、活性化される可能性の高い領域において特に有益である。活性化の可能性のある領域に充填材を含む個別の容器を作製することにより、斯かる個別の容器を定期的に試験し、活性化されている場合には、壁全体を破壊することなく、それを除去および廃棄することが可能となる。
大きいブロック/セクション内の活性化セクションを容易に除去可能な場合には、グラウトを充填材に導入し、それを最も取り扱い易いサイズに固形化させてもよく、斯かる方法で、最も経済的な除去、輸送、および廃棄手段を達成してもよい。グラウトの導入を簡便化するため、流体管を各セクションに埋め込んでもよい。
放射線センサーを遮蔽壁の異なるセクションに埋め込んでもよい。放射線センサーは、各壁セクションに到達する放射線のレベルを検出でき、特定のセクションが活性化され除去を必要としているか否かを決定するのに使用できる。ここで示される緩く集合させる方法は、機器類にアクセスし、維持、高度化、および修理のための取り外しを可能にするので、斯かるタイプの機器には役に立つ。機器類用の電路導管(遮蔽に望ましくない空隙をもたらす)のない打設コンクリートに埋め込まれたセンサーでは、この方法は可能ではない。
最も奥の壁、天井、および床を形成し、遮蔽室から放射線遮蔽充填材を分離するパネルは、中央の遮蔽室、または必要/望ましいと思われる場所の周りに事実上のファラデーケージを形成するように、鋼鉄製または他の導電材料からできていてもよい。斯かるファラデーケージは、陽子遮蔽室(陽子加速器を含む)の領域の任意の回路、関連する電気/電子部品、および設備全体および隣接する他の全てのコンピュータおよび電気/電子装置に生じ得る通信干渉またはノイズの導入を回避するのに役立つ。
本開示による陽子線治療センター用二重障壁の遮蔽特性のシミュレーションが、異なる壁厚さ用にモデル化された。モデル化された本開示の障壁は、磁鉄鉱の内側障壁(障壁A)と灰硼石の外側障壁(障壁B)との二重障壁であった。外側の灰硼石障壁の厚さに対する内側の磁鉄鉱障壁の厚さについて、2、5、7、および無限大(無限大は、灰硼石の障壁を備えない磁鉄鉱の単一障壁に対応)の4つの異なる比率(α=障壁A/障壁B)がモデル化された。相対的に分厚いコンクリート壁のモデル化された結果と比較すると、本発明のモデル化された障壁はコンクリート壁を全て大幅に上回った。図3および4に示されるように、(磁鉄鉱のみの障壁を含め)モデル化された障壁は、230MeVの陽子線エネルギーに十分な遮蔽を提供し、透過シーベルト線量を2ミリシーベルト/年の目標をはるかに下回る値に減少させることが判明した。
実施形態において、本開示は、耐用年数が終了した場合に取り外しが容易になるように設計されている。閉鎖される放射線設備においては、サービスは安全な方法で終結され、残留放射能は放射線使用ライセンスの終了を認可するレベルにまで排除または削減され、敷地は自由な使用目的で解放される、あるいは最悪の場合には、特定の制限された条件下において解放される。
実施形態において、放射能性の材料は吸引によって容器から除去されるか、あるいは固化され、その後、取り扱い可能な大きさのブロックの形で除去されるので、本開示は、迅速かつ低価格の閉鎖を可能にするものである。いくつかの実施形態において、粒子状の材料は、活性化された部分を活性化されていない部分から分離するのを可能にする。いくつかの実施形態において、分離された材料の少なくともいくらかは保存できる。いくつかの実施形態において、分離された材料の少なくともいくらかは貯蔵できる。いくつかの実施形態において、分離された材料の少なくともいくらかは廃棄できる。いくつかの実施形態において、分離された材料の少なくともいくらかは販売できる。
本明細書で説明および援用されている適切な技術は、当業者には明白なように、本開示の種々の例示的態様を実施するのに使用されてよい。本開示の1つの態様において、放射線遮蔽設備の設計および建設のプロセスが提供される。最初の工程は、何が保護されるべきかを決定することである。例えば、それは人であってもよいし、電子機器であってもよいし、その両方であってもよい。保護対象(複数も可)が何であるかが決定されたら、次に、目的の中性子エネルギー範囲、放射線の強度、および許容最大線量が決定される。上述したように、斯かる量は人および電子機器では異なっている。
次の工程は、放射線源との関係で、遮蔽されるべき対象(人または機器)がどこに位置しているかを決定することである。遮蔽されるべき対象(複数も可)は主要放射線源と同一側であるかもしれないし、反対側であるかもしれないし、あるいはその両方であるかもしれない。その決定の結果、単一層(一方向性)の障壁の方法を使用するか、それとも双方向性の障壁の方法を使用するかの選択が行われる。
次に、中性子エネルギーの範囲、および放射線が障壁を横切る方向に基づいて、どのタイプの核減衰相互作用が斯かる範囲およびタイプの放射線を最も効率的に減衰させるかが評価および決定され、その後、最適なタイプの核減衰相互関係に利用可能な組成を有する遮蔽材料が選択される。その目的は、最も効果的な核減衰相互関係の相対比率を増大させるように材料特性を活用すること、すなわち、最も効果的な減衰方法(複数も可)を選択し、斯かる方法(複数も可)を最も効果的に利用する材料を用いて減衰を最大限にすることである。材料が選択され、従ってその核減衰特性が明らかとなったら、モデルを用いて、透過放射線量を望ましい閾値未満にするのに必要な減衰レベルを達成するには、どの程度の壁の厚さが必要かが計算される。
追加の材料障壁についてプロセスが反復されるが、その場合、設計パラメーターは、遮蔽材料のタイプ(遮蔽特性を決定する)、遮蔽材料(複数も可)の厚さ、および障壁が2つ以上の場合には障壁の順番/配列である。この目的は、遮蔽される実体(人および/または電子機器)の特性、および放射線源および遮蔽壁の障壁(複数も可)に対する実体の相対位置(複数も可)に基づいて、遮蔽材料を最適化することである。
反復プロセスが考慮されているが、その場合、自由変数は、(a)障壁数、(b)各障壁の材料選択、(c)各障壁の材料密度(緊密度に影響される)、(d)各障壁の厚さ、(e)障壁が2つ以上の場合には障壁の順番/配列、および(f)許容可能な活性化のうちの1つ以上である。材料は理論的には任意の数だけ選択できるが、選択される材料は、第一に、より望ましいまたは効果的な核減衰相互作用を選択的に利用する能力(それが上述したように遮蔽壁の選択目的である)、すなわち解決されるべき放射線の特性、並びに何が保護/遮蔽される対象かに基づいている。
さらに、いくつかの実施形態においては、材料選択プロセスは、比較的安価で、および/または入手し易い材料に関係している(これは材料選択の範囲をさらに制限するものである)。従って、遮蔽問題が十分に理解されたら、入手可能な遮蔽材料のコスト、入手可能性、および適切性が次の妥当な工程である。例えば、三層の壁が最善の解決手段である事が決定され、各層の望ましい特徴が確立されたならば、その仕事に適した(すなわち、特定のタイプの核減衰相互作用に最適化された)、そして十分入手可能で安価な3つの材料がまず選択される。次に、障壁数および各障壁に使用される材料が決定され、全障壁の全体的な壁の厚さが計算され、遮蔽壁を構成する異なる障壁の様々な相対的厚さを用いて、放射線減衰特性および効果をモデル化するためのシミュレーションが実行される。壁の全厚さにとって最も効果的な各障壁の相対的厚さを見出すため、シミュレーションが最適化されてもよいし、シミュレーションの結果次第では、壁の全厚さが調整(反復プロセスが反復)されてもよい。
実施形態において、様々な壁の全厚さがまず選択され、各障壁の相対的厚さの相対比率を最適化するためのプロセスが反復されてもよい。
さらに他の実施形態においては、異なる出発材料が選択され、様々な遮蔽材料用に壁建設パラメーターを最適化するプロセスが反復されてもよい。斯かる方法は、(土地価格の高い値段または場所の制約の故に)建設設置面積を最小限にするのが望ましい場合には最も価値があるかもしれない。高価な遮蔽材料は、特定の遮蔽問題に関して優れた減衰特性および結果を提供するかもしれない。従って、安価な遮蔽材料が使用される場合よりも遮蔽壁の全体的厚さを小さくすることにより、設備の全体的な設置面積を削減するようにしてもよい。斯かる場合には、高価な遮蔽材料の使用に起因する追加のコストが、削減された土地使用コストおよび/または設計自由度の増大によって相殺できる。
本開示のさらに別の実施形態においては、設備は、放射線によってマイナスの影響を受ける電気機器または他の機器を保護するように設計される。斯かる実施形態においては、設備は、ビームを発生するように構成された装置の代わりに、放射線によってマイナスの影響を受ける電気機器または他の機器を複数有している。
上述の観点から、遮蔽材料は設備構造には関係しておらず、放射線遮蔽特性並びにそのコストおよび利用可能性のみに基づいて選択できるという事実は、新規で前代未聞の設計自由度を提供するものである。斯かる設計自由度を本開示に基づいて利用することにより、今まで不可能であったコストおよび建設速度で、遮蔽設備の構造体を適所に構築できるようになる。
いくつかの実施形態において、設備の最適化は3つの主要推進要因に基づく。斯かる3つの推進要因には、限定されないが、遮蔽性能、遮蔽空間、遮蔽コストのうちの少なくとも1つが含まれる。図13は、遮蔽コスト、遮蔽空間、および遮蔽性能が推進要因となる非限定的な最適化された解決手段を示す。図14は、図13の非限定的最適化推進要因が例示的遮蔽設備の設計に及ぼす影響に関する例示的フローチャートを示す。
いくつかの状況下では、遮蔽性能は設備設計上の一次推進要因である。遮蔽性能は、課題タイプに応じた最適化および望ましい減衰レベルの最適化を含む。利用可能な遮蔽空間は、課題解決のための、利用可能な物理的空間の最適化を含む。第3の推進要因は遮蔽コストである。遮蔽コストは、好ましい性能を達成するのに必要なコストの最適化を含む。
いくつかの実施形態において、モジュール方式は、異なる領域における異なる遮蔽レベル(例えば、放射線曝露または占有レベルが高い領域には高い減衰レベル)を可能にする。
いくつかの状況下では、遮蔽性能は設備設計上の一次推進要因である。遮蔽性能は、中性子および他の原子内粒子を減衰するための最も効果的な解決手段を提供することに基づく。以下の非限定的実施例においては、コストは考慮されていない。斯かる例において、感度の高い電子機器は、中性子および他の原子内粒子からの保護が必要である。時間経過に伴う電子機器の安全性には、透過シーベルト線量0.20(人間が安全に吸収可能な線量の10分の1)が要求される。機器を保護する必要性に応じて、最も優れた性能解決手段が選択されねばならない。追加の考察点には利用可能な空間サイズが含まれる。空間は物理的障壁の制約要因である。利用可能な領域が小さければ、障壁はより効率的かつ高い性能でなければならない。障壁の性能は、材料、その純度、緊密度、および体積によって最適化される。上述したように、斯かる例においては、コストは推進要因ではない。いくつかの状況下では、性能は、いくつかの最適化すべき二次的な推進要因を有する。例えば、遮蔽性能は、限定されないが、光子、中性子、陽子、および数多くの他の課題を含むいくつかの要因に基づいて最適化されてもよい。
いくつかの状況下では、遮蔽空間が設備設計の一次推進要因である。既存の場所が利用可能領域のサイズにおける物理的制約要因である場合に、遮蔽空間が推進要因となり得る。非限定的な例において、既存の作業に近いと言う理由で、および/または大衆の注視を気にすることにより、設備の中庭が新しい機器の配置用に選択される。遮蔽空間は3メートル未満であり、性能は2.00ミリシーベルト/年である。制限された遮蔽空間はコンクリートおよびブロックを使用する従来の遮蔽方法では適切な広さを提供しないし、コンクリートを配置するための兵站業務も困難である。従って、遮蔽の効率が一次推進要因である。障壁用に利用可能な総領域が判明したら、次は性能(すなわち、制限された空間内でどの材料が適切な保護を提供できるか)が考慮されるであろう。
いくつかの実施形態において、コストは一次推進要因ではない。いくつかの状況下では、遮蔽空間は、いくつかの最適化されるべき二次的な推進要因を有する。例えば、限定されないが、縦的制限、横的制限、および総体積を含むいくつかの要因に基づいて遮蔽空間が最適化されてもよい。
いくつかの状況下では、遮蔽コストが設備設計上の一次推進要因である。遮蔽コストは、未開発地域における商業用用地の推進要因であり得る。空間の制約は無いと考えられ、また、性能も従来と同等と考えられる。非限定的実施例において、新しい設備は、一般的に陽子線治療に使用される医療用装置を有して建設される。大学の顧客には、可能な限り低価格の解決手段が求められる。利用可能な土地は問題ではなく、特別の減衰も要求されない。数エーカーの未開発空間がプロジェクト用に存在する。線量率の制限も2.00ミリシーベルト/年と適度である。遮蔽コストが一次推進要因であり、標準の性能は二次的な考慮要因である。遮蔽材料は、(現場への近接性によって影響を受ける)取得コストに基づいて選択されるであろう。いくつかの実施形態においては、純度と体積との間にトレードオフが存在する。いくつかの実施形態においては、同一の空間を達成するために体積を増やせば、それは輸送費の増大につながる。従って、利用可能な遮蔽空間は推進要因にはならないと考えられる。いくつかの状況下では、遮蔽コストは、最適化されねばならないいくつかの要因を有していてもよい。例えば、限定されないが、初期節約、長期的節約、および時間的節約のうちの少なくとも1つに基づいて遮蔽コストを最適化してもよい。
技術的計算の範囲内で、3つの主要推進要因において最適化を行う機会が存在する。少なくとも部分的には遮蔽対象の放射線タイプおよびエネルギーに基づいて、異なる相互作用が利用されバランスが取られてもよい。いくつかの実施形態において、最適化は統計的重み付けアルゴリズムを用いて行われてもよい。最適化アルゴリズムは、結果を再度重み付けして最適化された解決手段を決定するが、その場合の一連の値に、材料コストや障壁サイズなどの非限定的量が割り当てられてもよい。実施形態において、従来の遮蔽アルゴリズムに対し、統計的厳密さを持って多くの選択肢を精査するため、Monte Carlo抽出技術を通して、重み付け計算のベイズ最適化が行われてもよい。
本明細書に詳細に示される方法の柔軟性により、設計者は、アルゴリズムおよび可能性として機械学習/人工知能を通して、確立した目標を達成するための種々のシナリオを評価できる。当該方法を用いて、材料の範囲、物理的空間、放射線のタイプ(光子、原子、または原子内)、特定のエネルギーおよび/またはエネルギーの範囲等が(決定される)。
エネルギー値には制限がない。例えば、いくつかの実施形態では、エネルギーは1keVレベルの低さである。いくつかの実施形態においては、エネルギーは1000GeVレベルの高さであってもよい。望ましい性能は、予測解析を用いて最適化されてもよい。いくつかの実施形態においては、斯かる方法により、体積および/または凝集体密度を単純に増大させるという制限された変数に基づく従来の標準的建設方法とは大幅に異なる結果が達成されるであろう。
非限定的実施例である陽子放射線治療用設備
実施形態において、陽子線治療設備建設の第1の工程は、隣接した治療室のベッドに横たわる患者を治療するのに使用される放射線から放射線治療士を保護するための治療室壁を考慮することである。斯かる用途の中性子エネルギーは、ゼロに近いMeVと、ビームエネルギーから遮蔽材料(複数も可)の結合エネルギーを差し引いた値との間の範囲であろう。放射線治療士用の最大許容透過シーベルト線量は2ミリシーベルト/年(「閾値透過シーベルト線量」)である。
治療士はビームが伝送される間治療室の外で働くので、設計目的は、ビーム伝送中その部屋から障壁を通して治療士(複数も可)が働く領域へ送られる中性子を考慮しなければならない。(陽子は、迅速かつ容易に停止されるので、停止される前に中性子を発生させると言う事実を除いては、考慮対象の要因ではない。)当該用途においては、最適遮蔽は、鉄鉱石材料を通して核分断プロセスを利用することによって達成できることが見出されている。本明細書に示されるように、閾値透過シーベルト線量を下回るレベルへの透過シーベルト線量(TSD)の減衰は、斯かる材料の単一障壁を用いて達成できる。この場合、要求される障壁の厚さは、構造特性と遮蔽特性の組み合わせで一般的に配置されるコンクリートのそれよりも小さいであろう。
異なる遮蔽材料からなる追加障壁が含まれてもよく、その場合、複数障壁の相対的厚さは上述の方法で最適化される。複数の障壁は、設備の遮蔽壁全体で使用されてもよいし、選別された場所だけで使用されてもよい。粒子治療設備において、放射線スペクトルは全方向で均一ではないので、追加の遮蔽障壁の位置は、遮蔽壁の異なる領域に衝突する予期される放射線スペクトルに基づいて選択されてもよい。追加の遮蔽障壁の位置は、障壁の反対側に誰がいるか、または何があるか(感度の高い電子機器、占有率の高い未制御の待合室など)に基づいてさらに選択されてもよい。例えば、(360度回転する構台の周りに縦的に方向づけられた円形の「帯」を形成する)ビーム方向の真反対の領域に、より分厚い遮蔽が配置されてもよい。
治療室内の電子機器の位置に基づいて、追加の障壁が追加されてもよいし、および/または最適化されてもよい。斯かる最適化のため、後方散乱放射線(高エネルギー中性子(二次放射線または散乱放射線とも呼ばれる)が遮蔽壁に入った後、治療室の方へ再び散乱される放射線)がモデル化され、治療室に後方散乱して電子機器に損傷を与える放射線を減衰させるように、遮蔽材料の内側障壁が選択される。
遮蔽材料が選択されると、上述したように、設計パラメーター(すなわち、治療士への閾値透過シーベルト線量が2ミリシーベルト/年未満、および/または確立されている機器への最大許容線量)を達成するのに必要な異なる障壁の厚さを見出すため、組み合わされた放射線遮蔽特性の反復モデル化が実行される。
現在のシミュレーションは、斯かるタイプの陽子設備にとって、磁鉄鉱が望ましい遮蔽材料であることを示している。赤鉄鉱も好ましい材料であることが判明しているし、低価格でもある。
本開示の例示的実施形態および適用が本明細書(上述の内容および例示的な図面に示される内容を含む)に記載されているが、本開示は斯かる例示的実施形態および適用に限定されるように意図されているものでもないし、例示的実施形態および適用が本明細書において作用および記載されている態様に限定されるように意図されているものでもない。実際、当業者には自明なように、例示的実施形態の変形および変更(研究施設、電力施設、戦略的施設など医療施設を超えた分野のアプリケーション)が数多く可能である。
本開示の実施形態が数多く記載されているが、斯かる実施形態は例示的であり限定的でないこと、および多くの修正が当業者には明白であることは理解されたい。さらに、種々の工程は任意の望ましい順序で実行されてよい(並びに、任意の望ましい工程が追加されてもよいし、および/または任意の望ましい工程が除外されてもよい)。

Claims (28)

  1. 設備であって、
    a)5MeV~500MeVのエネルギー範囲を有する放射エネルギーのビームを生成するように構成された装置と、
    b)前記装置を取り囲む第1の遮蔽障壁であって、厚さが0.5メートル~6メートルであり、
    i)前記装置を取り囲む第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁と、
    ii)前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁を取り囲む第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁であって、前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁と当該第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁との間に空隙空間が形成されるものである、前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁と、
    iii)前記空隙空間内に配置され、前記空隙空間内で前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁および前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁によって支持される放射線遮蔽充填材と
    を有する、前記第1の遮蔽障壁と
    を有し、
    前記放射線遮蔽充填材は、原子番号12~83を有する元素を少なくとも50重量%含むものであ
    当該設備は、さらに、
    第2の遮蔽障壁を有し、この第2の遮蔽障壁は、
    前記第1の遮蔽障壁の前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁を取り囲む第3の放射線遮蔽壁と、
    前記第1の遮蔽障壁の前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁と前記第2の遮蔽障壁の前記第3の放射線遮蔽壁との間に配置された第2の放射線遮蔽充填材と
    を有し、
    前記第2の放射線遮蔽充填材は、原子番号1~8を有する元素を少なくとも25重量%含み、
    前記第2の遮蔽障壁の厚さは0.5メートル~6メートルである、
    設備。
  2. 請求項1記載の設備において、原子番号12~83を有する前記元素は、鉄、鉛、タングステン、およびチタンからなる群から選択されるものである、設備。
  3. 請求項1記載の設備において、前記放射線遮蔽充填材は、その総重量に基づいて、磁鉄鉱または赤鉄鉱うちの少なくとも1つを少なくとも50重量%含むものである、設備。
  4. 請求項3記載の設備において、前記放射線遮蔽充填材は粒状である、設備。
  5. 請求項1記載の設備において、前記エネルギー範囲は、5MeV~70MeV、5MeV~250MeV、および5MeV~300MeVからなる群から選択されるものである、設備。
  6. 請求項1記載の設備において、前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁または前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁のうちの少なくとも1つは、構造的外骨格上に取り付けられたパネルを有するものである、設備。
  7. 請求項1記載の設備において、前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁または前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁のうちの少なくとも1つは鉄鋼を有するものである、設備。
  8. 請求項記載の設備において、前記第3の放射線遮蔽壁は、構造的外骨格上に取り付けられたパネルを有するものである、設備。
  9. 請求項記載の設備において、前記第3の放射線遮蔽壁は鉄鋼を有するものである、設備。
  10. 請求項記載の設備において、原子番号1~8を有する前記元素は、水素、炭素、酸素、およびホウ素からなる群から選択されるものである、設備。
  11. 請求項記載の設備において、前記第2の放射線遮蔽充填材は、ホウ砂、石膏、灰硼石、プラスチック複合材料、および石灰のうちの少なくとも1つを有するものである、設備。
  12. 請求項1記載の設備において、前記放射エネルギーのビームは、粒子または光子のうちの少なくとも1つを有するものである、設備。
  13. 請求項12記載の設備において、前記粒子はハドロンである、設備。
  14. 請求項13記載の設備において、前記ハドロンは、陽子、中性子、パイオン、または重イオンのうちの少なくとも1つを有するものである、設備。
  15. 請求項1記載の設備において、前記第1の遮蔽障壁は構造体である、設備。
  16. 請求項1記載の設備において、前記第1の遮蔽障壁は非構造体である、設備。
  17. 設備であって、
    a)複数の電子機器と、
    b)前記複数の電子機器を取り囲む第1の遮蔽障壁であって、厚さが0.5メートル~6メートルであり、
    i)前記複数の電子機器を取り囲む第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁と、
    ii)前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁を取り囲む第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁であって、前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁と当該第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁との間に空隙空間が形成されるものである、前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁と、
    iii)前記空隙空間内に配置され、前記空隙空間内で前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁および前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁によって支持される放射線遮蔽充填材と
    を有する、前記第1の遮蔽障壁と
    を有し、
    前記放射線遮蔽充填材は、原子番号12~83を有する元素を少なくとも50重量%含むものであ
    当該設備は、さらに、第2の遮蔽障壁を有し、
    前記第2の遮蔽障壁は、前記複数の電子機器と前記第1の遮蔽障壁との間に配置されるものであり、厚さが0.5メートル~6メートルであり、
    前記第1の遮蔽障壁の前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁によって取り囲まれた第3の放射線遮蔽壁と、
    前記第1の遮蔽障壁の前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁と前記第2の遮蔽障壁の前記第3の放射線遮蔽壁との間に配置された第2の放射線遮蔽充填材と
    を有し、
    前記第2の放射線遮蔽充填材は、原子番号1~8を有する元素を少なくとも25重量%含むものである、
    設備。
  18. 請求項17記載の設備において、原子番号12~83を有する前記元素は、鉄、鉛、タングステン、およびチタンからなる群から選択されるものである、設備。
  19. 請求項17記載の設備において、前記放射線遮蔽充填材は、その総重量に基づいて、磁鉄鉱または赤鉄鉱うちの少なくとも1つを少なくとも50重量%含むものである、設備。
  20. 請求項17記載の設備において、前記放射線遮蔽充填材は粒状である、設備。
  21. 請求項17記載の設備において、前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁または前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁のうちの少なくとも1つは、構造的外骨格上に取り付けられたパネルを有するものである、設備。
  22. 請求項17記載の設備において、前記第1の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁または前記第2の鋼鉄または非コンクリート製放射線遮蔽壁のうちの少なくとも1つは鉄鋼を有するものである、設備。
  23. 請求項17記載の設備において、前記第3の放射線遮蔽壁は、構造的外骨格上に取り付けられたパネルを有するものである、設備。
  24. 請求項17記載の設備において、前記第3の放射線遮蔽壁は鉄鋼を有するものである、設備。
  25. 請求項17記載の設備において、原子番号1~8を有する前記元素は、水素、炭素、酸素、およびホウ素からなる群から選択されるものである、設備。
  26. 請求項17記載の設備において、前記第2の放射線遮蔽充填材は、ホウ砂、石膏、灰硼石、プラスチック複合材料、および石灰のうちの少なくとも1つを有するものである、設備。
  27. 請求項17記載の設備において、前記第1の遮蔽障壁は構造体である、設備。
  28. 請求項17記載の設備において、前記第1の遮蔽障壁は非構造体である、設備。
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