JP7282095B2 - 消音システム - Google Patents

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Description

本発明は、消音システムに関する。
換気口、空調用ダクトなど、室内と室外とを隔てる壁に設けられた、室内と室外とを貫通する管状部材において、室外からの騒音が室内に伝わるのを抑制するため、あるいは室内からの騒音が外部に伝わるのを抑制するために、管状部材内にウレタン、ポリエチレン等の吸音材を設置することが行なわれている。
しかしながら、ウレタンおよびポリエチレン等の吸音材を用いる場合には、800Hz以下の低周波音の吸収率が極端に低くなるため、吸収率を大きくするためには体積を大きくするが必要であるが、換気口、空調用ダクトなどの通気性を確保する必要があるため、吸音材の大きさには限度があり、高い通気性と防音性能とを両立することが難しいという問題があった。
ここで、換気口および空調用ダクト等の管状部材における騒音として、管状部材の共鳴音が問題となる。特に、最低周波数の共鳴音が問題となる。この共鳴音が800Hz以下の場合には、吸音材で防音するためには、吸音材の量が著しく増加してしまう。そのため、通気を犠牲にしたとしても、一般的に十分な防音性能を出すことは難しい。市販品を例にあげると、住宅用換気スリーブの内部に挿入する吸音材タイプの防音製品であるポリエチレン製防音スリーブ(株式会社新協和製 SK-BO75)では、開口率が36%となり大幅に通気量を低下させるにもかかわらず、8割以上の共鳴音が透過してしまう。
このような管状部材の共鳴音を消音するために、特定の周波数の音を消音する共鳴型の消音器が用いられる。
例えば、特許文献1には、第1空間と第2空間とを仕切る仕切部に、両空間相互の通気を図る通気スリーブが貫通状態に設けられ、通気スリーブの通過音に対する消音を図る共鳴型消音機構が通気スリーブに設けられている通気孔構造であって、共鳴型消音機構は、通気スリーブの筒軸芯方向における仕切部の外の位置で、且つ、仕切部と、仕切部に沿ってその表面から離間する状態に設けられた化粧板との間の位置で、通気スリーブの外周部に形成してある通気孔構造が記載されている。また、共鳴型消音機構として、サイドブランチ型消音器、ヘルムホルツ共鳴器が記載されている。
また、特許文献2には、自然換気口のスリーブ管内に設置して用いる消音用管状体であって、少なくとも一方の端部を閉止し、他方の端部付近に開口部を設け、一方の端部から開口部の中心までの長さがスリーブ管の全長の略半分の長さを有し、内部には多孔質材を配置する消音用管状体が記載されている。
また、特許文献2には、住宅、マンション等における外壁の厚さは、200~400mm程度であり、この外壁に設けられるスリーブ管に生じる第一共鳴周波数(400~700Hz)の周波数帯において遮音性能の低下が生じることが記載されている(図15参照)。
特許第4820163号公報(特開2007-169959号公報) 特開2016-95070号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、共鳴型の消音器を用いて、管状部材の最低共鳴周波数の音を消音する場合には、少なくとも共鳴周波数の波長の1/4の長さが必要となり、消音器のサイズが大型化してしまう。そのため、高い通気性と防音性能とを両立することが難しいという問題があった。
また、共鳴型の消音器は、特定の周波数(周波数帯域)の音を選択的に消音するものである。管状部材の長さおよび形状等が異なると、管状部材の共鳴周波数も変わる。そのため、管状部材に合わせた設計が必要となり、汎用性が低いという問題があった。
また、管状部材の共鳴は複数の周波数で発生するが、共鳴型の消音器は特定の周波数の音を消音する。そのため、消音対象となる共鳴音は1つの周波数のみとなり、共鳴型の消音器が消音する周波数帯域は狭いので、他の周波数の共鳴音は消音できないという問題があった。
また、共鳴型の消音器は解放空間に配置すると効果的であるが、管状部材のような共鳴体の内部に同じ共鳴周波数で配置した場合、管状部材の共鳴と消音器の共鳴が相互作用してしまう。これにより、管状部材による元の共鳴透過音を二つの周波数に分離させて、新たな共鳴透過音を発生させてしまうため、消音器としての効果が小さいという問題があった。
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、高い通気性と防音性能を両立することができ、また、複数の共鳴音を消音することができ、また、管状部材に合わせた設計が不要で汎用性の高い消音システムを提供することを課題とする。
この課題を解決するために、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられる管状部材に、一つ以上の消音器が配置された消音システムであって、
消音器が配置された管状部材の内部空間における規格化有効弾性率をBnとすると、
0<Re[Bn]<1
Im[Bn]>0
を満たす消音システム。
なお、規格化有効弾性率Bnは、管状部材の第一共鳴周波数が存在するオクターブバンドで平均した値である。
[2] 消音器は、管状部材の第一共鳴周波数で共鳴する構造を有さない[1]に記載の消音システム。
[3] 管状部材は、通気スリーブであって、
消音器は、壁と、壁から離間して配置される化粧板との間の、通気スリーブの端部に配置される[1]または[2]に記載の消音システム。
[4] 消音器は、音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構を有する[1]~[3]のいずれかに記載の消音システム。
[5] 変換機構は、多孔質吸音材である[4]に記載の消音システム。
[6] 管状部材の中心軸に垂直な断面において、消音器が配置された位置における断面積が、管状部材単体の断面積よりも大きい[1]~[5]のいずれかに記載の消音システム。
[7] 消音器は、管状部材の内部空間に連通する空洞部を有し、
管状部材の内部空間および消音器の空洞部の合計体積は、管状部材単体の内部空間の体積よりも大きい[1]~[6]のいずれかに記載の消音システム。
[8] 管状部材の内部空間の合計体積が18000cm3以下である[7]に記載の消音システム。
[9] 消音器が配置された通気スリーブ内における一方の空間側から他方の空間側までの最短距離が壁の厚みの1.9倍以下である[1]~[8]のいずれかに記載の消音システム。
[10] 管状部材の、壁に平行な断面が、900cm2以下である[1]~[9]のいずれかに記載の消音システム。
[11] 消音器を配置した通気スリーブ内の通気可能な空間である通風路は、通気スリーブの中心軸に垂直な断面の面方向において少なくとも一部が直線上にある[1]~[10]のいずれかに記載の消音システム。
本発明によれば、高い通気性と防音性能を両立することができ、また、複数の共鳴音を消音することができ、また、管状部材に合わせた設計が不要で汎用性の高い消音システムを提供することができる。
規格化有効弾性率を説明するための計算モデルを概念的に示す図である。 規格化有効弾性率を説明するための計算モデルを概念的に示す図である。 規格化有効弾性率を説明するための概念図である。 角周波数と規格化有効弾性率の実部との関係を表すグラフである。 周波数と気柱共鳴長さと規格化有効弾性率の実部との関係を表すグラフである。 周波数と透過率との関係を表すグラフである。 規格化有効弾性率の実部と透過損失との関係を表すグラフである。 流れ抵抗と気柱共鳴長さと規格化有効弾性率の実部との関係を表すグラフである。 流れ抵抗と気柱共鳴長さと規格化有効弾性率の虚部との関係を表すグラフである。 流れ抵抗と気柱共鳴長さと透過損失との関係を表すグラフである。 シミュレーションの方法を説明するための図である。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 比較例の計算モデルの評価方法を説明するための概念図である。 図13のD-D線断面図である。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 比較例の構成を説明するための模式的な側面図である。 周波数と透過音圧強度との関係を表すグラフである。 本発明の消音システムの第一実施形態の好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の好適な実施態様の他の一例を示す模式的な断面図である。 消音器の空洞部の深さLdと幅Lwとを説明するための図である。 音場空間を説明するための図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 シミュレーションに用いた消音システムのモデルを模式的に表す断面図である。 流れ抵抗と開口幅/筒長と規格化透過損失との関係を表すグラフである。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 図35のC-C線断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 消音装置の他の一例を概念的に示す断面図である。 消音装置の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 図44の消音システムを風量調整部材側から見た図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 シミュレーションモデルの模式図である。 透過音圧強度と周波数との関係を表すグラフである。 500Hzバンドの透過損失を表すグラフである。 シミュレーションモデルを説明するための模式図である。 500Hzバンドの透過損失を表すグラフである。 シミュレーションモデルを説明するための模式図である。 500Hzバンドの透過損失を表すグラフである。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 図56のD-D線断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 図58のE-E線断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第一実施形態の他の一例を概念的に示す断面図である。 音響透過壁を配置した管状部材の折れ曲がり部を模式的に示す断面図である。 音響透過壁を配置した管状部材の折れ曲がり部を模式的に示す断面図である。 本発明の消音システムの第二実施形態の一例を概念的に示す断面図である。 図64のB-B線断面図である。 シミュレーションモデルを概念的に示す図である。 有効弾性率の領域を説明する図である。 周波数と透過損失との関係を表すグラフである。 外径と基準化透過損失との関係を表すグラフである。 規格化有効弾性率の実部および虚部をプロットしたグラフである。 比較例の構成を概念的に表す図である。 実施例の構成を概念的に表す図である。 周波数と音圧の差分との関係を表すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「直交」および「平行」とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、「直交」および「平行」とは、厳密な直交あるいは平行に対して±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な直交あるいは平行に対しての誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
本明細書において、「同一」、「同じ」は、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
[消音システム]
本発明の消音システムの構成について、図面を用いて説明する。
本発明の消音システムは、
2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられる管状部材に、一つ以上の消音器が配置された消音システムであって、
消音器が配置された管状部材の内部空間における規格化有効弾性率をBnとすると、
0<Re[Bn]<1
Im[Bn]>0
を満たす消音システムである。
なお、規格化有効弾性率Bnは、管状部材の第一共鳴周波数が存在するオクターブバンドで平均した値である。
また、ある周波数のオクターブバンドとは、その周波数を含む1オクターブの幅を持った周波数の帯域である。その周波数を中心とするオクターブバンドで式(1)を満たすのが好ましい。なお、オクターブバンドの中心周波数とは、周波数帯域の中央値ではなく、上限周波数=中心周波数×√2、下限周波数=中心周波数/√2を満たす周波数である。
本発明において、有効弾性率とは、2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられる管状部材の内部空間内における空気の有効弾性率である。図1に示すように管状部材単体の場合(消音器が設置されていない場合)には、管状部材の内部空間内における弾性率は空気の弾性率である。これに対して、例えば、図2に示すように管状部材に並列に消音器を配置すると、図3に示すように、管状部材の内部空間内の領域RA0における空気の弾性率が変化したのと同義の状態となる。このように、消音器を配置することで変化した、管状部材の内部空間内における空気の実効的な弾性率を有効弾性率という。
なお、領域RA0の幅dは、管状部材の第一共鳴周波数が存在するオクターブバンドの中心周波数の波長の1/15の長さとする。例えば、管状部材の第一共鳴周波数が存在するオクターブバンドの中心周波数が250Hzの場合には、領域RA0の幅dは91mm、500Hzの場合には45mmとなる。領域RA0の幅dが、管状部材の第一共鳴周波数が存在するオクターブバンドの中心周波数の波長の1/15の長さ以下であれば、管状部材内を伝播する音波に対して、空気の実効的な弾性率を一意的に定義できる。その理由は、実効的な弾性率を算出する際に、逆三角関数を使用するため2πの不確定性が発生するが、それを避けることができるためである。また、領域RA0の軸方向の位置は、軸方向の領域RA0の中心位置を、消音器の開口部の軸方向の中心位置とする。後述する実施例1(図67参照)のように消音器を複数有し、開口部を複数有する場合には、すべての開口部を含む領域の幅d0の中心位置を領域RA0の中心位置とする。
まず、規格化有効弾性率の実部の範囲について説明する。
図1に示すような直管の管状部材12であって消音器が配置されていない場合を考える。管状部材12の内部空間における空気中の音波の位相速度v0は、管状部材12の内部空間における空気の弾性率をBair、密度をρとすると、
0=√(Bair/ρ) ・・・式(1)
となる。
ここで、管状部材12の内部空間における有効弾性率Beffは、例えば、管状部材に共鳴周波数を持つ共鳴体を並列配置することで変化する。並列配置とは、図2に示すように、管状部材12の外周部に共鳴器22を配置した場合のように、共鳴器を管状部材の内部空間を塞がないように配置した場合に相当する。
この場合の有効弾性率Beffは、管状部材を伝播する音波の角周波数をω、共鳴体の共鳴角周波数をωi、共鳴体の減衰成分をΓとすると、
Beff-1=Bair-1×{1-ωi 2/(ω2-ωi 2+i×ω×Γ)} ・・・式(2)
で表される。ただし、iは共鳴体の各共鳴モードの次数を表す。空気の弾性率Bairで規格化した規格化有効弾性率をBnとすると、規格化有効弾性率の実部Re[Bn]は、Re[Beff/Bair]である。従って、上記式(2)から、規格化有効弾性率の実部Re[Bn]と、音波の角周波数ωとの関係をグラフに表すと図4のようになる。
このように有効弾性率Beffを変化させることで、式(1)から管状部材内を伝播する音波の速度vを
v=√(Beff/ρ)
に変えることができる。管状部材内を伝播する音波の速度を変えることにより、反射透過などの波動伝搬特性を操ることができる。
また、音波の角周波数ωが共鳴体の共鳴角周波数ωiと一致するときに共鳴体の共鳴が起こる。このとき、図4に示すように、規格化有効弾性率の実部は、Re[Bn]=0となる。
管状部材内に気柱共鳴体を並列配置した場合の規格化有効弾性率を、伝達マトリックス法によって計算した。規格化有効弾性率の、音波の周波数と気柱共鳴管の長さとに対する依存性を計算したグラフを図5に示す。
図5中の白点線は、規格化有効弾性率Bnの実部Re[Bn]が0となる箇所である。これによると白点線より左下領域では、Re[Bn]>0となり共鳴しない領域で、かつ、より小型で有効弾性率を制御できる。右上の領域にもRe[Bn]>0となる領域はあるが、伝播する音波の周波数依存性が大きかったり、ほぼ1000Hz以上となってしまったりと、実用的ではないことがわかる。
このようなRe[Bn]>0となる領域の気柱共鳴管を管状部材内に配置した際の透過特性について説明する。
まず、消音器を配置しない、管状部材単体の場合の透過率を図1に示すようなモデルを用いてシミュレーションから算出した。結果を図6に示す。なお、管状部材の直径は100mm、長さは300mmとし、伝達マトリックス法によって計算を行った。
図6から、この場合の管状部材の第一共鳴周波数は480Hz程度に存在し、この管状部材においては、この共鳴周波数の音がもっとも問題となる透過騒音となる。
次に、図2に示すように、この管状部材に気柱共鳴管を並列配置した場合を考える。気柱共鳴管により制御された規格化有効弾性率(500Hzのオクターブバンドにおける有効弾性率)と管状部材の透過損失(500Hzのオクターブバンドにおける透過損失)とを計算した。結果を図7に示す。なお、500Hzオクターブバンドは、354Hzから707Hzの範囲であり、この範囲における有効弾性率の平均値が、500Hzオクターブバンドにおける有効弾性率である。透過損失も同様である。
図7に示すように、規格化有効弾性率の実部が1より小さくなると、すなわち、管状部材内の有効弾性率が空気の有効弾性率よりも小さくなると、透過損失が大きくなることがわかる。
以上より、規格化有効弾性率Bnの実部Re[Bn]は、
0<Re[Bn]<1
の範囲であると管状部材を透過する騒音をより低減でき、防音性能が高くなる。
次に、規格化有効弾性率の虚部について説明する。
管状部材に気柱共鳴管を並列配置し(図2参照)、さらに、気柱共鳴管内に多孔質吸音材が配置された場合を考える。
気柱共鳴管の長さ、および、多孔質吸音材の流れ抵抗を種々変更して上記式(2)から500Hzオクターブバンドにおける規格化有効弾性率の実部Re[Bn]、および、虚部Im[Bn]を算出した。実部の結果を図8に示し、虚部の結果を図9に示す。
図8から、多孔質吸音材の流れ抵抗が103以上となる領域で規格化有効弾性率の実部が、0<Re[Bn]<1となる領域が拡大していることがわかる。
また、図9から、図中右上の領域、すなわち、流れ抵抗が大きい領域で規格化有効弾性率の虚部Im[Bn]の値が増大していることがわかる。
次に、気柱共鳴管の長さ、および、多孔質吸音材の流れ抵抗を種々変更して透過損失を算出した。結果を図10に示す。なお、図10中、実部Re[Bn]が0の線を実線で示し、虚部Im[Bn]が0の線を白破線で示す。
図10から、前述の、0<Re[Bn]<1となる領域の拡大した部分、すなわち、多孔質吸音材の流れ抵抗が103以上となる領域で透過損失が高くなっており、防音性能が高くなることがわかる。
また、多孔質吸音材を備えることは、有効弾性率に虚部が発生することであり、規格化有効弾性率の虚部Im[Bn]が大きくなることは、音波が別のエネルギーに変換される量が大きくなることを意味する。本発明において、多孔質吸音材が、音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構である。
以上より、規格化有効弾性率Bnの虚部Im[Bn]は、
Im[Bn]>0
の範囲であると管状部材を透過する騒音をより低減でき、防音性能が高くなる。
前述のとおり、共鳴型の消音器を用いて、共鳴型の消音器の共鳴周波数を、管状部材の共鳴周波数に合わせて、管状部材の最低共鳴周波数の音を消音する場合には、少なくとも共鳴周波数の波長λの1/4の長さが必要となり、消音器のサイズが大型化してしまう。そのため、高い通気性と防音性能とを両立することが難しいという問題があった。
また、共鳴型の消音器は、特定の周波数(周波数帯域)の音を選択的に消音するものである。そのため、管状部材の共鳴周波数に合わせた設計が必要となり、汎用性が低いという問題があった。
また、管状部材の共鳴は複数の周波数で発生するが、共鳴型の消音器は特定の周波数の音を消音する。そのため、消音対象となる共鳴音は1つの周波数のみとなり、また、共鳴型の消音器が消音する周波数帯域は狭いので、他の周波数の共鳴音は消音できないという問題があった。
また、共鳴型の消音器は解放空間に配置すると効果的であるが、管状部材のような共鳴体の内部に同じ共鳴周波数で配置した場合、管状部材の共鳴と消音器の共鳴が相互作用してしまう。これにより、管状部材による元の共鳴透過音を二つの周波数に分離させて、新たな共鳴透過音を発生させてしまうため、消音器としての効果が小さいという問題があった。
また、管状部材の内部に騒音源がある場合(例えば開口を持つ気柱共鳴管で風がある場合や、風を作るファン等が動作している場合の風切り音など)消音器として共鳴体を配置すると共鳴器が共鳴周波数の風切り音を増幅して、新たな騒音源となってしまうという問題があった。
これに対して、本発明は、2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられる管状部材に、一つ以上の消音器が配置された消音システムにおいて、消音器が配置された管状部材の内部空間における規格化有効弾性率Bnの実部Re[Bn]と虚部Im[Bn]が
0<Re[Bn]<1
Im[Bn]>0
を満たす。
前述のとおり、規格化有効弾性率Bnの実部Re[Bn]が0より大きいことは、消音器が消音対象の音の周波数(管状部材の共鳴周波数)で共鳴していないことを意味する。
また、規格化有効弾性率Bnの実部Re[Bn]が1より小さいことは、消音器が配置された管状部材における、管状部材の内部空間および消音器の合計体積が、管状部材単体の内部空間の体積よりも大きいことを意味する。以下にその詳細を説明する。
Re[Bn]<1である領域は、有効弾性率が低く空気より柔らかいため、空気に対して隣接して設置した場合に自由端境界を形成する領域である。自由端とは、その端の先では音波が自由に振動しやすいために反射波が生じる端であり、例としては、(1)半無限の解放空間、(2)管状部材よりも断面積が大きい拡張空間、(3)管状部材の壁面が音波エネルギーを受け取れるよう振動する(膜振動、ヘルムホルツ共鳴体)場合、などがある。本発明のケースでは、(2)と(3)であり、消音器の断面積は管状部材よりも大きく、通風断面積は管状部材の同等以上となる。
一方、Re[Bn]≧1では、通気性を悪くすることとなる。弾性率が空気より高く固い場合は固定端となり、音波の振動がより制限される端となる。例としては、(4)管状部材をふさぐ剛体壁、(5)管状部材をふさぐ振動壁(膜など)、(3)管状部材よりも断面積が小さくした場合、などである。この場合、防音性は高くできても、通風性は大きく低下してしまうため、防音性と通風性を両立することは難しい。
ただし例外として、Re[Bn]<1でも通気性が低下する場合がある。その例の一つとして、通気断面積を狭くして通気性を低下させた領域に、弾性率を低くする機構を形成する方法である。この方法では設計自由度が高くなり、単に通気断面積だけを狭くしたり、弾性率だけを低くする機構を配置したりするよりも、防音性を高く設計できるので、通気性低下が許容される範囲内で使用すると効果的である。
また、規格化有効弾性率Bnの実部Re[Bn]を1より小さくすることで、消音器を配置しない場合に比べて透過損失を高くすることができる。
また、規格化有効弾性率Bnの虚部Im[Bn]が0より大きいことは、一般的に自由端を形成する領域における音エネルギーの消失を意味し、本発明においては、物理的意味から音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構を有することを意味する。
以上から、本発明は、規格化有効弾性率Bnの実部Re[Bn]と虚部Im[Bn]が上記式を満たすことで、高い通気性を維持しつつ、管状部材を透過する騒音をより低減でき、高い防音性能を得ることができる。
また、本発明における消音は、消音器の共鳴を利用していないので、音波の波長依存性が小さく、管状部材の長さおよび形状等が異なる場合でも、防音性能を発現することができ、管状部材に合わせた設計が不要であり汎用性が高い。
また、本発明における消音は、消音器の共鳴を利用していないので、消音器の構造で決まるような特定の周波数のみの音を消音せず、広い周波数帯域における複数の共鳴音を消音することができる。
また、本発明における消音は、消音器の共鳴を利用していないので、管状部材の共鳴との相互作用が発生せず、管状部材による元の共鳴透過音を二つの周波数に分離させることもなく、十分な消音効果が得られる。
また、本発明における消音は、消音器の共鳴を利用していないので、風切り音を増幅するのを抑制できる。
有効弾性率は以下の方法で求めることができる。
(手順1)
まず、消音器が配置された管状部材における反射係数Rおよび透過係数T0を導出する。反射係数および透過係数は、COMSOLや、伝達マトリクス法で消音器の構造をモデル化し、音響管(平面波)モデルで計算して求める方法、あるいは、音響管内に消音器を配置して実験により求める方法によって求めることができる。
(手順2)
次に、手順1で求めた反射係数Rおよび透過係数T0から、Physical Review B 76, 144302 (2007)とPhysical Review B 65, 195104 (2002)に記載された手法にて有効インピーダンスξと有効屈折率nとを算出する。有効インピーダンスξおよび有効屈折率nは下記式で表される。なお、2πm(mは整数)は、導出過程の逆三角関数の使用において発生した2π分の不確定性であり、本発明で定義した領域ではmは0である。
Figure 0007282095000001
なお、式中rおよびxは下記式で求められる。また、Tは有効透過係数であり、T=T0×exp(-i×k×d)で表される。kは波数(波長の逆数)、dは領域RA0の厚みである。
Figure 0007282095000002
(手順3)
次に、手順2で求めた有効インピーダンスξと有効屈折率nとから、規格化有効弾性率Bnは、下記式(5)で求められる。
Bn=ξ/n ・・・式(5)
ここで、管状部材の共鳴周波数と同じ共鳴周波数を有する共鳴型の消音器を管状部材内に配置した場合について、シミュレーションを用いて説明する。前述のとおり、管状部材の共鳴周波数と同じ共鳴周波数を有する共鳴型の消音器を管状部材内に並列配置した場合は、Re[Bn]=0となる。
シミュレーションは、有限要素法計算ソフトCOMSOL ver5.3(COMSOL社)の音響モジュールを用いた。
図11に示すように、シミュレーションにおいて通気スリーブ(管状部材)の直径は100mmとし、壁の厚みは100mmとし、化粧板の厚みは10mmとし、壁と化粧板との間の距離は140mmとした。すなわち、壁と化粧板との合計厚みは、250mmとした。
このようなシミュレーションモデルを用いて、図11に示すように、壁で仕切られた一方の空間の半球状の面から音波を入射させ、他方の空間の半球状の面に到達する音波の単位体積あたりの振幅を求めた。半球状の面は、通気スリーブの開口面の中心位置を中心とした半径500mmの半球状の面である。入射させる音波は単位体積あたりの振幅を1とした。
また、音波検出面側の通気スリーブの端面から32mmの位置には、レジスター(直径102mm)の蓋が配置されるものとしてモデル化した。
まず、リファレンスとして、消音器を配置しない場合(以下、ストレート管の場合ともいう)について計算を行なった。
図12に、シミュレーションの結果を、周波数と透過音圧強度との関係のグラフとして示す。
図12から、消音器を配置しない場合(ストレート管の場合)の通気スリーブ12の第一共鳴の周波数は、515Hz程度であることがわかる。
次に、共鳴周波数が515Hz程度となる気柱共鳴型の消音器を設計した。
図13および図14に示すように、長さ1000mm、直径100mmの音響管の外周部に気柱共鳴型の消音器が接続されたモデルを作成して、気柱共鳴型消音器の基本的な音響特性を評価した。音響管の一方の端面から平面波を入射させ他方の端面に到達する音波の単位体積あたりの振幅を求めた。入射させる音波は単位体積あたりの振幅を1とした。検出面上における音圧振幅の積分値を、入射面上における音圧振幅の積分値で割った値を2乗したものを、透過音圧強度とした。
気柱共鳴型消音器の長手方向の一方の面が開口して音響管に接続されている。また、音響管の軸方向における、気柱共鳴型消音器の位置は略中央位置とした。
気柱共鳴型消音器は、断面の大きさが45mm×45mmの直方体形状とし、長さを種々変更して、周波数と透過音圧強度との関係を計算して共鳴周波数を求めた。その結果、図15に計算例1として示すように、長さ150mmで共鳴周波数が515Hz程度となることがわかった。
次に、図16に示すように、この気柱共鳴型消音器を有する消音器をモデル化して、通気スリーブに接続したモデルを作成し、上記と同様に、壁で仕切られた一方の空間の半球状の面から音波を入射させ、他方の空間の半球状の面に到達する音波の単位体積あたりの振幅を求めた。図16の気柱共鳴型消音器の位置での断面図は図14と同様である。
図14および図16に示すように、気柱共鳴共鳴型の消音器のモデルは、45mm×45mmの角柱状で長さ(深さ)が150mmの気柱共鳴管を側面に2つ有し、通気スリーブと同じ直径(100mm)の管状の消音器を通気スリーブの端部に配置する構成とした。通気スリーブの軸方向の長さは130mm、消音器の管状部の軸方向の長さは120mmとした。気柱共鳴管の軸方向の位置は通気スリーブ側の端面から5mmの位置とした。
図12に、シミュレーションの結果を、周波数と透過音圧強度との関係のグラフとして示す(比較例1)。また、図17に、実験の結果を、周波数と透過音圧強度との関係のグラフとして示す。
実験は、上述した形状及び寸法の消音器を厚み5mmアクリル板を用いて作製し、後述する簡易小型防音室を用いて、実施例と同様の方法で周波数と透過音圧強度との関係を測定した。
図12および図17に比較例1として示すように、共鳴型の消音器を通気スリーブに配置した場合には、共鳴型の消音器を配置しない場合の通気スリーブの第一共鳴周波数の両側に、透過音圧強度のピークが生じていることがわかる。すなわち、共鳴型の消音器を配置しない場合の第一共鳴周波数よりも低い周波数と、高い周波数との2つの周波数にピークが生じている。これは、共鳴を生じる通気スリーブの音場空間内に、共鳴型の消音器を配置することで、強い相互作用が働いて結合モードと反結合モードとの2つのモードに分離する現象によるものである。
その結果、通気スリーブの第一共鳴周波数の音は消音できるものの、新たに2つのピークが存在する。
このように、通気スリーブに対する消音器として、共鳴型の消音器を用いる場合には、別の新たな透過音圧強度のピークを生成してしまうため十分に消音することはできない。
ここで、防音性能および通気性の観点から、規格化有効弾性率の実部は、0<Re[Bn]<1であり、0.05≦Re[Bn]≦0.8がより好ましく、0.1≦Re[Bn]≦0.6がより好ましく、0.15≦Re[Bn]≦0.5がさらに好ましい。また、規格化有効弾性率の虚部は、0<Im[Bn]≦0.5が好ましく、0.0005≦Im[Bn]≦0.45がより好ましく、0.001≦Im[Bn]≦0.4がさらに好ましく、0.0015≦Im[Bn]≦0.3が特に好ましい。
また、規格化有効弾性率Bnの実部および虚部が、0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たす構成とするために、消音器は、管状部材の第一共鳴周波数の波長よりも小さい構造を有することが好ましく、管状部材の第一共鳴周波数で共鳴する構造を有さないことが好ましい。
また、管状部材の中心軸に垂直な断面において、消音器が配置された位置における断面積が、管状部材単体の断面積よりも大きいことが好ましい。すなわち、消音器の外径が管状部材の外径よりも大きいことが好ましい。
また、規格化有効弾性率Bnの実部および虚部が、0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たす構成とするために、消音器は、管状部材の内部空間に連通する空洞部を有し、管状部材内に消音器が配置された状態における、管状部材の内部空間および消音器の空洞部の合計体積は、管状部材単体の内部空間の体積よりも大きいことが好ましい。
なお、管状部材が、住宅、マンション等に設けられる通気スリーブの場合、通気スリーブの断面形状は最大で30cm角程度であり、壁の厚みは20cm程度であるので、管状部材の断面積は、最大で900cm2程度である。すなわち、通気スリーブの場合、管状部材の断面積は900cm2以下である。また、管状部材単体の内部空間の体積は、最大で18000cm3程度である。すなわち、通気スリーブの場合、管状部材単体の内部空間の体積は、18000cm3以下である。
また、規格化有効弾性率Bnの実部および虚部が、0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たす構成とするために、消音器は、音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構を有することが好ましい。
以下、規格化有効弾性率Bnが、0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たす構成について、具体的に説明する。
<第一実施形態>
図18は、本発明の消音システムの第一実施形態の好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図である。
図18に示すように、消音システム10zは、2つの空間を隔てる壁16を貫通して設けられる、筒状の管状部材12の外側の周面(外周面)に消音器21が配置された構成を有する。
管状部材12は、例えば、換気口および空調用ダクト等の通気スリーブである。
消音器21は、管状部材内に生じる第一共鳴の周波数を含む周波数の音を消音するものである。
消音器21は、管状部材12の半径方向に延在する略直方体形状で、内部に略直方体形状の空洞部30を有する。空洞部30の管状部材12側の端面には、空洞部30と外部とを連通する開口部32が形成されている。
消音器21の開口部32は、管状部材12の周面に形成された周面開口部12aと接続されている。開口部32が周面開口部12aに接続することによって、消音システム10aにおける管状部材12内に生じる第一共鳴の音場空間に開口部32が接続している。
なお、管状部材12は、換気口および空調用ダクト等に限定はされず、各種機器に用いられる一般的なダクトであってもよい。
また、図18に示すように、消音器21の空洞部30内の音波の進行方向における空洞部30の深さをLdとし、管状部材12の軸方向(以下、単に軸方向ともいう)における消音器21の開口部32の幅をLoとすると、空洞部30の深さLdは、開口部32の幅Loよりも大きい。
ここで、空洞部30内の音波の進行方向は、シミュレーションにより求めることができる。図18に示す例においは、空洞部30は半径方向に延在しているため、空洞部30内の音波の進行方向は半径方向(図中上下方向)である。従って、空洞部30の深さLdは、半径方向における開口部32から空洞部30上端までの長さである。なお、位置によって空洞部30の深さが異なる場合には、空洞部30の深さLdは、各位置での深さの平均値である。
また、位置によって開口部32の幅が異なる場合には、開口部32の幅Loは、各位置での幅の平均値である。
また、消音システム内における管状部材12内に生じる第一共鳴の共鳴周波数における音波の波長をλとすると、後述する消音器内に配置された多孔質吸音材の流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]が、後述する好適範囲内において、消音器21の空洞部30の深さLdは、波長λよりも小さく、0.02×λ<Ld<0.25×λを満たすことが好ましい。すなわち、空洞部30の深さはLdは、λ/4よりも小さく、消音器21は、管状部材の第一共鳴周波数で共鳴する構造ではない。
なお、図18に示す例においては、消音器21および内部の空洞部30は略直方体形状としたがこれに限定はされず円筒形状等の種々の形状とすることができる。また、開口部32の形状も限定はなく、矩形状、多角形状、円形状、楕円形状等の種々の形状とすることができる。
また、管状部材12内に生じる第一共鳴の周波数をF0とし、消音器21の共鳴周波数をF1とすると、1.15×F0<F1を満たすことが好ましい。管状部材12内に生じる第一共鳴の周波数F0と、消音器21の共鳴周波数F1との関係を上記範囲とすることで、消音器21の共鳴周波数F1において管状部材12内に生じる第一共鳴の透過音圧強度がピーク値に対して25%以下となるため、管状部材12内に生じる第一共鳴と消音器の共鳴との相互作用が小さくなる。
消音器21の共鳴周波数F1において管状部材12内に生じる第一共鳴の透過音圧強度をより小さくして相互作用をより小さくできる観点から、管状部材12内に生じる第一共鳴の周波数F0と、消音器21の共鳴周波数F1は、1.17×F0<F1を満たすことが好ましく、1.22×F0<F1を満たすことがより好ましく、1.34×F0<F1を満たすことがさらに好ましい。上記条件を満たすことで、消音器21の共鳴周波数F1において管状部材12内に生じる第一共鳴の透過音圧強度がピーク値に対して20%以下、15%以下、10%以下となる。
この点については、他の実施形態においても同様である。
また、図18に示す例では、消音器21の空洞部30が半径方向に延在するものとして、空洞部30内における音波の進行方向が半径方向となるものとしたがこれに限定はされない。例えば、図19に示すように、空洞部30が軸方向に延在するものとして、空洞部30内における音波の進行方向が軸方向となるようにしてもよい。なお、以下の説明において、図18に示すような消音器21を垂直筒型の消音器ともいう。
図19は、本発明の消音システムの好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図である。また、図20は、消音器の空洞部の深さLdと幅Lwとを説明するための図である。なお、図20においては、壁16の図示を省略している。以降の図においても、壁16の図示を省略する場合がある。
図19に示すように、消音システム10aは、2つの空間を隔てる壁16を貫通して設けられる、円筒状の管状部材12の外側の周面(外周面)に消音器22が配置された構成を有する。
管状部材12は例えば、換気口および空調用ダクト等の通気スリーブである。
消音器22は、軸方向に平行な断面において、軸方向に延在し、管状部材12の外周面に沿って湾曲した略直方体形状で、内部に軸方向に延在する略直方体形状の空洞部30を有する。また、消音器22の管状部材12側の面の、軸方向の一方の端部側には、空洞部30と外部とを連通する開口部32を有する。すなわち、消音器22は、L字型の空間を有する。この開口部32は、管状部材12の周面に形成された周面開口部12aと接続されている。開口部32が周面開口部12aに接続することによって、消音システム10aにおける管状部材12内に生じる第一共鳴の音場空間に開口部32が接続している。
ここで、図19に示す例においては、空洞部30は軸方向に延在しているため、空洞部30内における音波の進行方向は軸方向(図中左右方向)である。従って、図20に示すとおり、空洞部30の深さLdは、軸方向における開口部32の中心位置から空洞部30の遠い側の端面までの長さである。
なお、以下の説明において、図19に示すような消音器22をL字型の消音器ともいう。
図18に示す消音器21、および、図19に示す消音器22は、消音器の壁面近傍における流体の粘性、および、壁面の凹凸(表面粗さ)、あるいは、後述する消音器内に配置された多孔質吸音材24等の音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構を備える。
このように、図18に示す消音器21を配置した消音システム10z、および、図19に示す消音器22を配置した消音システム10aは、管状部材12の内部空間における規格化有効弾性率Bnを、0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たす構成とすることができる。従って、高い通気性を維持しつつ、管状部材を透過する騒音をより低減でき、高い防音性能を得ることができる。
また、消音器22をL字型の空間を有する形状とすることで、消音器22の実効外径、すなわち、消音システムの外径をより小さくすることができ、高い防音性能を維持しつつ、より高い通気性を得ることができる。実効外径については後に詳述する。
ここで、図18および図19に示す例では、消音器は、管状部材12の外周に配置される構成としたが、これに限定はされず、消音器の開口部が管状部材12の第一共鳴の音場空間に接続されていればよい。
音場空間について図21を用いて説明する。
図21は、2つの空間を隔てる壁16を貫通して設けられる管状部材12の第一共鳴モードにおける音圧の分布をシミュレーションによって求めたものである。図21からわかるように、管状部材12の第一共鳴の音場空間は、管状部材12内、および、開口端補正距離内の空間である。周知のとおり、開口端補正の距離だけ音場の定在波の腹が管状部材12の外側にはみ出している。なお、円筒形の管状部材12の場合の開口端補正距離は、大凡1.2×管直径で与えられる。
消音器22は開口部32が、この管状部材12の第一共鳴の音場空間に接続される位置に配置されていればよい。従って、図22に示す消音システム10bのように、消音器22の開口部32が管状部材12の開口端面の外側に配置されていてもよい。あるいは、図23に示す消音システム10cのように、消音器22が管状部材12の内部に配置されていてもよい。
なお、図22に示す消音システム10bおよび図23に示す消音システム10cにおいて、消音器22は開口部32が管状部材12の中心軸側を向くように配置されている。なお、管状部材12の中心軸とは、管状部材12の断面における重心を通る軸である。
ここで、軸方向における消音器22の開口部32の位置には限定はない。開口部32の位置によって、より好適に消音する周波数帯を制御することが可能である。
例えば、管状部材12の第一共鳴周波数の音波を消音する場合には、第一共鳴周波数の音波の音圧が高くなる位置、すなわち、軸方向における管状部材の中央に消音器22の開口部32を配置することで、より高い防音性能を発現することができる。
また、防音性能および通気性の観点から、消音器22の空洞部30の深さLdは、後述する消音器内に配置された多孔質吸音材の流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]が、後述する好適範囲内に置いて、0.022×λ<Ld<0.23×λを満たすのが好ましく、0.032×λ<Ld<0.21×λを満たすのがより好ましく、0.042×λ<Ld<0.19×λを満たすのがさらに好ましい。
また、軸方向に平行な断面において、空洞部30の深さ方向に直交する方向の空洞部30の幅Lw(図20参照)は、後述する消音器内に配置された多孔質吸音材の流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]が、後述する好適範囲内に置いて、0.02×λ<L<0.15×λを満たすのが好ましく、0.03×λ<L<0.12×λを満たすのが好ましく、0.04×λ<Lw<0.1×λを満たすのがより好ましい。なお、図18においては、空洞部30の幅は、図中左右方向の長さであり、開口部32の幅Lと一致している。
また、音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構は、前述のとおり、消音器の壁面近傍における流体の粘性、および、消音器の壁面の凹凸(表面粗さ)、あるいは、消音器内に配置された多孔質吸音材等であり、多孔質吸音材を用いることが好ましい。
図24に示す消音システム10dのように、多孔質吸音材24は消音器22の空洞部30内の少なくとも一部に配置される構成とすればよい。あるいは、図25に示す消音システム10eのように、多孔質吸音材24は消音器22の開口部32の少なくとも一部を覆うように配置される構成としてもよい。
多孔質吸音材24は、単位厚さ当たりの流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]が3.0<log(σ1)<4.7を満たすことが好ましく、3.3<log(σ1)<4.6を満たすことがより好ましく、3.8<log(σ1)<4.4を満たすことがより好ましい。なお、上記式において、Ldの単位は[mm]であり、logは常用対数である。吸音材の流れ抵抗は、1cm厚の吸音材の垂直入射吸音率を測定し、Mikiモデル(J. Acoust. Soc. Jpn., 11(1) pp.19-24 (1990))でフィッティングすることで評価した。または「ISO 9053」に従って評価してもよい。
また、空洞部30の深さ方向における空洞部30の長さ(以下、筒長ともいう)と、開口部の幅との比(開口幅/筒長)をKrate(%)とすると、多孔質吸音材24の単位長さ当たりの流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]は、5%<Krate≦50%のとき、(0.014×Krate+3.00)<logσ1<(0.015×Krate+3.9)を満たすのが好ましく、50%<Krateのとき、(0.004×Krate+3.5)<logσ1<(0.007×Krate+4.3)を満たすのが好ましい。また、5%<Krate≦50%のとき、(0.020×Krate+3.05)<logσ1<(0.015×Krate+3.85)を満たすのがより好ましく、50%<Krateのとき、(0.004×Krate+3.7)<logσ1<(0.007×Krate+4.25)を満たすのがより好ましい。また、5%<Krate≦50%のとき、0.020×Krate+3.10)<logσ1<(0.016×Krate+3.8)を満たすのがさらに好ましく、50%<Krateのとき、(0.004×Krate+3.93)<logσ1<(0.007×Krate+4.15)を満たすのがさらに好ましい。なお、上記式において、logは常用対数である。
筒長と開口幅との比Krateと、多孔質吸音材24の単位長さ当たりの流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]との関係についてシミュレーションを行なった結果を説明する。
図26は、シミュレーションに用いた消音システムのモデルを模式的に表す断面図である。
図26に示すように、壁16の厚みは212.5mmとし、管状部材12の直径は100mmとした。消音器22は、入射側(図26中左側)の壁から100mm離間する位置に配置した。消音器22は、管状部材12の外周に管状に配置し、軸方向が深さ方向とした。消音器22の空洞部30の長さ(筒長)は42mmとした。幅は37mmとした。開口部32は管状部材12の周面方向にスリット状に配置した。開口部32は、軸方向において、入射側(図26中左側)に形成されるものとした。消音器22の空洞部30の全域に多孔質吸音材24を配置した。
また、管状部材12の、音波の入射側の開口部にはガラリ(カバー部材)が配置され、音波の出射側の開口部にはレジスター(風量調整部材)が配置される構成とした。
ガラリ、および、レジスターは、市販のものを参考にモデル化した。
また、多孔質吸音材24の流れ抵抗σ1と開口部の幅とを種々変更して、管状部材を透過する音波についてシミュレーションを行なった。シミュレーションによって、管状部材を透過して一方の空間(図26中左側)から他方の空間(図26中右側)に伝搬する音波の音圧から透過損失を算出した。
結果を図27に示す。図27は、流れ抵抗と開口幅/筒長と規格化透過損失との関係を表すグラフである。なお、規格化透過損失は、透過損失が最大となる値を1として規格化した値である。
図27から、流れ抵抗は、開口幅/筒長に応じて最適な範囲があることがわかる。図26において点線の内側の領域は規格化透過損失が約0.8以上となる領域である。この領域を式で表すと、上述した、5%<Krate≦50%のとき、(0.014×Krate+3.00)<logσ1<(0.015×Krate+3.9)を満たすのが好ましく、50%<Krateのとき、(0.004×Krate+3.5)<logσ1<(0.007×Krate+4.3)を満たすのが好ましい。
多孔質吸音材24としては、特に限定はなく、従来公知の吸音材が適宜利用可能である。例えば、発泡ウレタン、軟質ウレタンフォーム、木材、セラミックス粒子焼結材、フェノールフォーム等の発泡材料および微小な空気を含む材料;グラスウール、ロックウール、マイクロファイバー(3M社製シンサレートなど)、フロアマット、絨毯、メルトブローン不織布、金属不織布、ポリエステル不織布、金属ウール、フェルト、インシュレーションボードおよびガラス不織布等のファイバーおよび不織布類材料;木毛セメント板;シリカナノファイバーなどのナノファイバー系材料;石膏ボード;種々の公知の吸音材が利用可能である。
また、消音器の空洞部に吸音材を配置する構成とする場合には、吸音材の形状を空洞部の形状に合わせて成型されたものとするのが好ましい。吸音材の形状を空洞部の形状に合わせて成型されたものとすることで、吸音材を空洞部内に均一に充填するのが容易になり、コストダウンでき、メンテナンスを簡易化することが可能となる。
また、図19に示す例では、1つの消音器22を有する構成としたが、これに限定はされず、2以上の消音器22を有する構成としてもよい。例えば、図28に示す消音システム10fのように、2つの消音器22を管状部材12の外周面に配置して、管状部材12の周面に形成された周面開口部12aに接続された構成としてもよい。あるいは、2つの消音器22を管状部材12の内部に配置する構成としてもよい。
2以上の消音器22を有する場合には、2以上の消音器22は管状部材12の中心軸に対して回転対称に配置されていることが好ましい。
例えば、図29に示すように、3つの消音器22を有し、3つの消音器22が管状部材12の外周面に、周面方向に等間隔に配置されて回転対称となる構成としてもよい。なお、消音器22の数は3つに限定はされず、例えば、2つの消音器22が回転対称に配置される構成であってもよいし、4つ以上の消音器22が回転対称に配置される構成であってもよい。
消音器22が管状部材12の内部に配置される場合も同様に、2以上の消音器22が回転対称に配置されるのが好ましい。
また、複数の消音器22を管状部材12の外周面に、周面方向に配列して配置する構成の場合には、複数の消音器22を連結してもよい。例えば、図30に示す例のように、8つの消音器22を周面方向に連結した構成としてもよい。
消音器22が管状部材12内に配置される場合も同様に、複数の消音器22を管状部材12の内周面に、周面方向に配列して配置する構成の場合には、複数の消音器22を連結してもよい。
また、図18に示す例では、消音器22は管状部材12の外周面に沿った略立方体形状としたが、これに限定はされず、空洞部を有する各種の立体形状であればよい。あるいは、図31に示すように、消音器22は、周面方向において管状部材12の外周面の全周に沿った円環状であってもよい。この場合、開口部32は、管状部材12の内周面の周面方向に沿ったスリット状に形成される。
消音器22が管状部材12内に配置される場合も同様に、消音器22は、周面方向において管状部材12の内周面の全周に沿った円環状であってもよい。
また、消音器22が管状部材12の外周面に配置される場合において、消音器22が周面方向において管状部材12の外周面の全周を覆うと想定した場合の消音器22の外径(実効外径)をD1とし、管状部材12の外径(実効外径)をD0とすると(図31参照)、D1<D0+2×(0.045×λ+5mm)を満たすのが好ましい。なお、式中のD1、D0およびλの単位はmmである。言い換えると、管状部材の中心軸に垂直な断面において、消音器が配置された位置における断面積が、管状部材単体の断面積よりも大きい構成であることが好ましい。
これにより、規格化有効弾性率Bnの実部および虚部が、0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たす構成とすることができ、消音システムの大型化を抑制しつつ、高い防音性能を発現することができる。
なお、実効外径は、円相当直径であり、断面が円形ではない場合、その断面積と同じ円の直径を実効外径とした。
また、消音器22が管状部材12の内周面に配置される場合において、消音器22が周面方向において管状部材12の内周面の全周を覆うと想定した場合の消音器22の内径をD2とし、管状部材12の内径をD0とすると、0.75×D0<D2を満たすのが好ましい。
これにより、消音システムの大型化を抑制して通気性を確保しつつ、高い防音性能を発現することができる。
また、図28~図30に示す例では、複数の消音器22を管状部材12の周面方向に配列した構成としたが、これに限定はされず、複数の消音器22を管状部材12の軸方向に配列した構成としてもよい。言い換えると、管状部材12の軸方向の少なくとも2箇所以上の位置に、複数の消音器22の開口部32が配置される構成としてもよい。
例えば、図32に示す消音システム10hは、軸方向において、管状部材12の略中央部で、管状部材12の周面開口部12aに接続される消音器22aと、管状部材12の一方の端部近傍で周面開口部12aに接続される消音器22bとを有する。
また、図32に示す例では、周面方向にもそれぞれ2つの消音器を回転対称に配置している。このように、周面方向および軸方向のそれぞれで、2つ以上の消音器を配置してもよい。
なお、図32に示す例では、軸方向に2つの消音器を配置する構成としたが、これに限定はされず、軸方向に3つ以上の消音器を配置する構成としてもよい。
また、複数の消音器を軸方向に配置する構成とする場合には、開口部の位置ごとに空洞部の長さLdが異なる消音器を配置することが好ましい。
例えば、図33に示す消音システム10iは、軸方向において、管状部材12の略中央部で、管状部材12の周面開口部12aに接続される消音器22aと、管状部材12の一方の端部近傍で周面開口部12aに接続される消音器22bとを有する。中央部側の消音器22aの空洞部30aの深さLdは、端部側の消音器22bの空洞部30bの深さLdが互いに異なる。
また、複数の消音器を軸方向に配置する構成とする場合には、開口部の位置ごとに空洞部内に音響特性の異なる吸音材を配置することが好ましい。
例えば、図34に示す消音システム10jは、軸方向において、管状部材12の略中央部で、管状部材12の周面開口部12aに接続される消音器22aと、管状部材12の一方の端部近傍で周面開口部12aに接続される消音器22bとを有する。中央部側の消音器22aの空洞部30aには多孔質吸音材24aが配置されており、端部側の消音器22bの空洞部30bには多孔質吸音材24bが配置されている。多孔質吸音材24aの吸音特性と多孔質吸音材24bの吸音特性とは互いに異なる。
本発明の消音システムにおいては、軸方向における消音器(開口部)の配置位置に応じて、好適に消音可能な波長が変化する。従って、軸方向に複数の消音器を配置することで異なる波長域の音を消音することができ、より広帯域に消音することができる。また、軸方向における開口部の位置ごとに好適に消音可能な波長に合わせて、空洞部の深さLd、および、吸音体の吸音特性を調整することによって、より好適に消音することができる。
また、図18に示す例では、消音器21の空洞部30は開口部から半径方向に深さLdを有する構成とし、図19に示す例では、消音器22の空洞部30は開口部32から軸方向に深さLdを有する構成としたが、これに限定はされず、開口部32から周面方向に深さを有する構成としてもよい。
図35は、本発明の消音システムの他の一例を模式的に表す断面図であり、図36は、図35のC-C線断面図である。
図35および図36に示す消音システムは、2つの消音器23が管状部材12の外周面に沿って配置されている。消音器23の空洞部30は、開口部32から管状部材12の周面方向に沿って延在している。すなわち、消音器23は開口部32から周面方向に深さを有する。
このような構成とすることで、消音器の軸方向の長さを短くすることができる。
なお、図36に示す例では、2つの消音器23を有する構成としたが、これに限定はされず、3以上の消音器23を有していてもよい。
また、図19に示す例では、消音器22の空洞部30の深さは一方向に伸びる構成としたが、これに限定はされない。例えば、図37に示すように、空洞部30の形状を深さ方向が折り返した略C形状としてもよい。図37に示す空洞部30内に侵入した音波は、開口部32から図中右方向に進んだ後、折り返して図中左方向に進む。空洞部30の深さLdは、音波の進行方向に沿った長さであるので、図37に示す空洞部30の深さLdは、折り返した形状に沿った長さである。
ここで、本発明の消音システムは、消音器および挿入部を有する消音装置の一部を、管状部材(通気スリーブ)に挿入して配置する構成としてもよい。
図38に本発明の消音システムの他の一例の模式的な断面図を示す。
図38に示す消音システム10kは、管状部材12の一方の端面側に、管状部材12を通過する音を消音する消音装置14が設置された構成を有する。
消音装置14は、挿入部26と消音器22とを有する。挿入部26は、両端が開放された筒状の部材で、一方の端面に消音器22が接続されている。また、挿入部26の外径は、管状部材12の内径より小さく、管状部材12内に挿入可能である。
消音器22は、挿入部26の端面に配置される以外は、上述のL字型の消音器22と同様の構成を有する。また、消音器22は、挿入部26の内径を塞がないように、挿入部26の周面に沿って配置されている。また、消音器22はその開口部32が挿入部26の中心軸(管状部材12の中心軸)を向くように配置されている。なお、挿入部26の中心軸とは、挿入部26の断面における重心を通る軸である。
消音装置14は、挿入部26の消音器22が配置されていない端面側から管状部材12内に挿入されて設置されている。消音器22の実効外径は管状部材12の内径よりも大きいため、挿入部26は、消音器22が管状部材12の端面に接する位置まで挿入される。これにより、消音器22は管状部材12の開口端面近傍に配置される。すなわち、消音器22の開口部32は、管状部材12の開口端補正距離内の空間に配置される。従って、消音器22の開口部32は、管状部材12の第一共鳴の音場空間に接続される。
このように、消音器および挿入部を有する消音装置を管状部材内に挿入して設置する構成とすることで、既存の換気口および空調ダクト等に大規模な工事等を行うことなく簡易に設置することが可能となる。従って、消音器が劣化あるいは破損した時の交換が簡易である。また、住宅の換気スリーブなどに使用する場合は、コンクリート壁の貫通穴径を変える必要がなく施工が簡易である。また、リノベーション時に後付けで設置することが簡易である。
また、マンションのような住宅の壁は、例えば、コンクリート壁、石膏ボード、断熱材、化粧板、および、壁紙等を有して構成されており、これらを貫通して換気スリーブが設けられている。このような壁の換気スリーブに、図38に示すような消音装置14を設置する場合には、本発明における壁16はコンクリート壁に相当し、消音装置14の消音器22部分はコンクリート壁の外側に設置されて、コンクリート壁と化粧板の間に設置されるのが好ましい(図43参照)。
なお、図38に示す例では、消音装置14の挿入部26を管状部材12内に挿入して、消音装置14を管状部材12の開口部に配置する構成としたが、これに限定はされない。
例えば、消音装置14が挿入部を有さず、壁16に接着剤等で貼り付ける構成としてもよい。
あるいは、図39に示す消音システム10pのように、消音装置14の挿入部26の内径を壁16に配置された管状部材12の外径と略同じ径として、消音装置14の挿入部26内に管状部材12を挿入して、消音装置14を設置する構成としてもよい。挿入部26は、管状部材12と壁16との間に配置される。
あるいは、消音装置14の挿入部26の内径を管状部材12の外径よりも大きくして、挿入部26が壁16内に配置される構成としてもよい。
図39に示すような構成にすることにより、挿入部26を管状部材12に挿入することによる開口率の低下を抑制でき、管状部材12の通気性を向上できる。
なお、図39に示すように、挿入部26を壁16内に配置する構成とする場合には、挿入部26の大きさおよび形状に合わせて、壁16に挿入部26を配置するための溝を形成すればよい。あるいは、壁16を作製する際に、あらかじめ消音装置14(および管状部材12)を設置しておき、コンクリートを流し込んで壁16を作製してもよい。
なお、図38に示す例では、消音装置14はL字型の消音器22を有する構成としたが、これに限定はされず、垂直筒型の消音器21を有する構成であってもよいし、あるいは、周面方向に深さを有する消音器23を有する構成としてもよい。
なお、図38に示すような消音システム10kの消音装置14においても、空洞部30内、あるいは、開口部32近傍に多孔質吸音材24を配置する構成とするのが好ましい。
また、消音装置14は、複数の消音器22を有するのが好ましい。
複数の消音器22を有する場合には、周面方向に等間隔に配置されて回転対称となる構成としてもよい。
あるいは、図40に示す消音システム10lのように軸方向に複数の消音器22を有し、軸方向の少なくとも2箇所以上の位置に、複数の消音器22の開口部32が配置される構成としてもよい。
また、複数の消音器を軸方向に配置する構成とする場合には、開口部の位置ごとに空洞部の深さLdが異なる消音器を配置することが好ましい。
例えば、図40に示す消音装置は、軸方向に挿入部26側から消音器22aと消音器22bとを有する。消音器22aの空洞部30aの深さLdは、消音器22bの空洞部30bの深さLdが互いに異なる。
また、複数の消音器を軸方向に配置する構成とする場合には、開口部の位置ごとに空洞部内に音響特性の異なる吸音材を配置することが好ましい。
例えば、図40に示す消音装置は、軸方向に挿入部26側から消音器22aと消音器22bとを有する。消音器22aの空洞部30aには多孔質吸音材24aが配置されており、消音器22bの空洞部30bには多孔質吸音材24bが配置されている。多孔質吸音材24aの吸音特性と多孔質吸音材24bの吸音特性とは互いに異なる。
また、消音器の空洞部に吸音材を配置する構成とする場合には、1つの空洞部に複数の吸音材を配置する構成としてもよい。
図41に示す消音装置は、軸方向に挿入部26側から消音器22aと消音器22bとを有する。消音器22aの空洞部30aおよび空洞部30b内にはそれぞれ3つの多孔質吸音材24c、24dおよび24eが配置されている。各空洞部内において、多孔質吸音材24c~24eは、空洞部の深さ方向に積層されている。
空洞部内に複数の吸音材を配置する構成とすることで、製造の際に、吸音材を開口部から空洞部内に充填しやすくなり、また、メンテナンスの際に、吸音材を交換しやすくなる。
また、空洞部の形状に合わせて成型された吸音材が複数に分割されているのがより好ましい。
同じ空洞部内に配置される複数の多孔質吸音材24c~24eは、同じ種類の吸音材であってもよいし、少なくとも1つが異なる種類の吸音材、すなわち、吸音性能(流れ抵抗、材質、構造等)の異なる吸音材であってもよい。
空洞部内に異なる種類の吸音材を複数配置することで、消音器による消音を、消音器(空洞部)の形状、および、吸音対象の音等に適した吸音性能に制御することが容易となる。
また、例えば、図42に示すように、消音装置は、消音器を分離可能に構成されていてもよい。消音器を分離可能とすることで、消音器の大きさおよび数等を変えた消音器の作製が容易となる。また、空洞部内への吸音材の設置および交換が容易となる。
例えば、コンクリート壁と化粧板との間の距離はさまざまで、同じマンションであっても場所によって異なったり、施工会社によって異なったりする。コンクリート壁と化粧板との間の距離に応じて、そのつど消音装置を設計して作製するとコストがかかる。また全ての距離に適用できるよう消音装置を薄く設計すると、防音性能が低くなってしまう。そこで、消音装置をコンクリート壁と化粧板との間に設置する場合に、コンクリート壁と化粧板との間の距離に応じて分離された複数の消音器を適宜組み合わせて設置することで、低コストで防音性能を最大化することができる。
また、消音装置14は、管状部材12に着脱可能に設置されるのが好ましい。これにより、消音装置14の交換、あるいはリフォーム等を簡単に行うことができる。
また、消音装置14は、管状部材12の室内側の端面、および、室外側の端面のどちらに設置してもよいが、室内側の端面に設置されるのが好ましい。
また、消音システムは、管状部材のいずれか一方の端面に設置されるカバー部材および他方の端部に設置される風量調整部材の少なくとも一方を有していてもよい。カバー部材は、換気口および空調用ダクト等に設置される従来公知の、ルーバ、ガラリ等である。また、風量調整部材は、従来公知のレジスター等である。
また、カバー部材および風量調整部材は、管状部材の消音装置が設置された側の端面に設置されてもよいし、消音装置が設置されていない側の端面に設置されてもよい。
また、例えば、図43に示すように、風量調整部材20が消音装置14側に設置される場合には、軸方向から見た際に、風量調整部材20が消音装置14を全て覆うように設置されるのが好ましい。カバー部材が消音装置14側に設置される場合も同様である。
カバー部材および風量調整部材を有していてもよい点については他の実施形態においても同様である。
ここで、マンション等の一般的な住宅においては、コンクリート壁と化粧板とが離間して設置されており、コンクリート壁と化粧板との間に、断熱材等が配置されている。消音装置14は、コンクリート壁と化粧板との間の空間に設置するのが好ましい。その際、図43に示すように、消音装置14は化粧板40側の端面が、化粧板40の壁12側の面よりも壁16側に配置される構成としてもよい。あるいは、図44に示すように、消音装置14は化粧板40側の端面が、化粧板40の壁12とは反対側の面と面一に配置される構成としてもよい。すなわち、化粧板40に形成される貫通孔を消音装置14の外径と略同じにして、化粧板40の貫通孔に消音装置14を挿通させる構成としてもよい。なお、図44に示す例では、消音装置14は化粧板40側の端面と、化粧板40の壁12とは反対側の面とが面一となる構成としたが、これに限定はされず、消音装置14の一部が、化粧版40がある平面上に存在する構成であってもよい。
化粧板40の貫通孔に消音装置14を挿通させる構成とすることで、消音装置の設置、交換等が容易になる。
消音装置14の消音器22は、サイズが大きいほど消音性能が高くなる。
ここで、図44に示すように、消音装置14は化粧板40側の端面が、化粧板40の壁12とは反対側の面と面一に配置される構成の場合には、消音器22のサイズが大きいと、化粧板40側にレジスターのような風量調整部材20を設置しても、室内から化粧板40に形成した貫通孔(消音装置14と化粧板40との境界)が視認されてしまうおそれがある。従って、図44に示すように、風量調整部材20と化粧板40および消音装置14との間に、境界カバー42を設置するのが好ましい。これにより、室内側(風量調整部材20側)から見た際に、図45に示すように、化粧板40の貫通孔が境界カバー42によって隠れるので、意匠性を高めることができる。
なお、図44に示す例では、消音装置14と境界カバー42とを別部材としたが、消音装置14と境界カバー42を一体的に形成してもよい。すなわち、消音装置14にフリンジを設けてもよい。
また、図43等に示す例においては、消音装置14の内径は、管状部材12と略同じ径で一様としたが、これに限定はされない。図46に示す消音システム10rのように、消音器22部分の内径を挿入部26の内径よりも大きく、すなわち、管状部材12の内径よりも大きくしてもよい。
消音器22部分の内径を管状部材12の内径よりも大きくすることで、管状部材12の径よりも大きい径の管状部材用の、大きな風量調整部材20を用いることができる。大きな風量調整部材20を用いることで、化粧板40の貫通孔が風量調整部材20によって隠れるので、意匠性を高めることができる。
また、消音装置14と風量調整部材20とを一体化してもよい。
図43等に示すように、市販のレジスター等の風量調整部材20は、差込部を有し、差込部を消音装置14に差し込んで設置される。しかしながら、市販のレジスターの差し込み部は、接続時の剛性および密閉性確保のため、長さが5cm程度あり、消音装置14の設計が制限されるおそれがある。これに対して、消音装置14と風量調整部材20とを一体化することで、消音装置14の設計自由度が高くなり、また、施工も簡易化される点で好ましい。
なお、消音システムが、カバー部材および風量調整部材を有する場合には、管状部材内に生じる第一共鳴は、カバー部材、風量調整部材および消音装置を含む消音システムにおける管状部材の第一共鳴である。従って、消音器の空洞部の長さLdは、カバー部材、風量調整部材および消音装置を含む消音システムにおける管状部材の第一共鳴の共鳴周波数における音波の波長λの1/4よりも短い。
また、図43等に示す例では、消音装置14は、消音装置14の中心軸が管状部材12の中心軸に一致するように配置されている、すなわち、消音装置14は、管状部材12の中心軸に対して回転対称の形状に形成されているがこれに限定はされない。
図47に示す消音システムのように、消音装置14は、消音装置14の中心軸が、中心軸に垂直な方向に管状部材12の中心軸とずれるように配置されていてもよい。
消音装置14の中心軸と管状部材12の中心軸とが一致する構成は通気性の点で好ましい。一方、消音装置14の中心軸と管状部材12の中心軸とがずれている場合は、音の反射が増えるため防音性能が向上する点で好ましい。特に直進性の高い高周波領域で効果がある。
なお、消音装置14の中心軸が、中心軸に垂直な方向に管状部材12の中心軸とずれるように配置されている場合には、壁に垂直な方向から見た際に、一方の空間側から通気スリーブを通して他方の空間側が視認できることが好ましい。すなわち、消音器を配置した通気スリーブ内の通気可能な空間、すなわち、通風路は、通気スリーブの中心軸に垂直な断面の面方向において少なくとも一部が直線上にあることが好ましい。これにより、通風路の折れ曲がりによる圧力損失を低減できる。
また、消音器が配置された通気スリーブ内における一方の空間側から他方の空間側までの最短距離が壁の厚みの1.9倍以下であることが好ましい。
ここで、住宅用の壁の厚みは、すなわち、コンクリート壁と化粧板との間の空間を含む、コンクリート壁と化粧板との合計厚み(以下、壁と化粧板との合計厚みともいう)は、175mm~400mm程度である。従って、住宅用に用いられる通気スリーブ(環状部材)の長さは175mm~400mmである。この範囲の長さの通気スリーブで生じる共鳴の第一共鳴周波数は、355Hz~710Hz程度である。
なお、住宅用の壁に用いられる通気スリーブの防音を考えた場合、コンクリート壁と化粧板との合計厚み、すなわち、通気スリーブの長さは175mm~400mmであるので、通気スリーブの第一共鳴の波長が最も短い場合(通気スリーブの長さが175mmのとき、λ=497mm)を考えると、十分な防音性能が得られる観点から、空洞部の幅Lwは、5.5mm以上であるのが好ましく、15mm以上であるのがより好ましく、25mm以上であるのがさらに好ましい。
一方、住宅用の壁は、全体の厚み(コンクリート壁と化粧板との合計厚み)は最大で400mmであり、コンクリート壁が少なくとも100mmであるため、空洞部の幅Lwは、住宅のコンクリート壁と化粧板との間の空間に配置可能な観点から、300mm以下であるのが好ましく、さらに汎用性の観点から200mm以下であるのがより好ましく、150mm以下であるのがさらに好ましい。
同様に、通気スリーブの第一共鳴の波長が最も短い場合(通気スリーブの長さが175mmのとき、λ=497mm)を考えると、十分な防音性能が得られる観点から、空洞部の深さLdは、25.3mm以上であるのが好ましく、27.8mm以上であるのがより好ましく、30.3mm以上であるのがさらに好ましい。
一方、消音器は径方向において住宅の柱と柱の間に配置される。住宅の柱と柱の間は最大で450mm程度であり、通気スリーブは少なくとも100mm程度である。従って、空洞部の深さLdは、住宅の柱と柱の間の空間に配置可能な観点から、175mm以下(=(450mm-100mm)/2)であるのが好ましく、130mm以下であるのがより好ましく、100mm以下であるのがさらに好ましい。
また、消音器22の空洞部30内の一部に多孔質吸音材を有する構成とする場合には、開口部32を覆うように、あるいは、開口部32を狭くするように配置するのが好ましい。すなわち、吸音材は空洞部30内の開口部32に近い位置に配置されるのが好ましい。また、空洞部30の、深さ方向における開口部32から遠い側の端面から離れた位置に吸音材を配置するのが好ましい。
空洞部30内における吸音材の位置の違いによる防音性能の差を以下のシミュレーションによって検討した。
図48に、シミュレーションモデルの模式図を示す。
図48に示すように、シミュレーションにおいて管状部材の長さは200mm、直径は100mmとした。消音器22は、管状部材12の外周に管状に設置した。軸方向において管状部材12の音波の入射側の端面と消音器22との間の距離は100mmとした。消音器22の開口部32は管状部材の周面方向にスリット状に配置した。開口部32の幅は15mmとした。空洞部30の軸方向の長さは60mm、軸方向に垂直な方向の幅は33mmとした。
図48に示すように、軸方向に平行なある断面で見た際に、空洞部30内を9分割し、9分割した領域p1~p9の各領域に流れ抵抗13000[Pa・s/m2]の多孔質吸音材24が配置されるものとして、シミュレーションを行った。p1が開口部32に最も近い領域であり、p2およびp3は、半径方向においてp1よりも開口部32から遠い領域である。また、p4およびp7は、軸方向においてp1よりも開口部32から遠い領域である。p5およびp8は、軸方向においてp2よりも開口部32から遠い領域である。p6およびp9は、軸方向においてp3よりも開口部32から遠い領域である。
図49に、p1、p2、p3、p5、および、p9のそれぞれの領域に吸音材を配置した場合の透過音圧強度と周波数との関係を表すグラフを示す。透過音圧強度は、消音器を設置しなかった場合の透過音圧のピーク(第一共鳴周波数の透過音圧)を1として規格化した。消音器を設置しない場合の管状部材内の第一共鳴周波数は630Hzであるので、630Hzにおける透過音圧がピーク音圧である。
また、図50には、p1~p9の各領域に吸音材を配置した場合の、500Hzバンドの透過損失を表すグラフを示す。500Hzバンドの透過損失は、354Hz以上707Hz以下の周波数での透過損失の平均値を求めたものである。
図49および図50に示すように、開口部32に最も近いp1の領域に吸音材を配置する構成、すなわち、開口部32を覆う構成が、最も透過音圧強度が低く、500Hzバンドの透過損失が高く、防音性能が高いことがわかる。また、開口部32に近いp2およびp4の領域に吸音材を配置する構成が、p1以外の他の領域に比べて透過音圧強度が低く500Hzバンドの透過損失が高く防音性能が高いことがわかる。
次に、図51に示すように、軸方向に平行なある断面で見た際に、空洞部30内を軸方向に3分割し、3分割した領域pz1~pz3の各領域に流れ抵抗13000[Pa・s/m2]の多孔質吸音材24が配置されるものとして、シミュレーションを行った。pz1が開口部32に最も近い領域であり、pz2およびpz3は、軸方向においてpz1よりも開口部32から遠い領域である。
図52には、pz1~pz3の各領域に吸音材を配置した場合の、500Hzバンドの透過損失を表すグラフを示す。
また、図53に示すように、軸方向に平行なある断面で見た際に、空洞部30内を半径方向に3分割し、3分割した領域ph1~ph3の各領域に流れ抵抗13000[Pa・s/m2]の多孔質吸音材24が配置されるものとして、シミュレーションを行った。ph1が開口部32に最も近い領域であり、ph2およびph3は、半径方向においてph1よりも開口部32から遠い領域である。
図54には、ph1~ph3の各領域に吸音材を配置した場合の、500Hzバンドの透過損失を表すグラフを示す。
図52および図54に示すように、吸音材を配置する領域が開口部32に近いほど、500Hzバンドの透過損失が高くなり、防音性能が高くなることがわかる。
また、消音器22は、管状部材12内に生じる第一共鳴の音場空間に接続しない位置に、空洞部30と連通する第2開口部38を有していてもよい。
図55は本発明の消音システムの他の一例を概念的に示す断面図である。
図55に示す消音システムにおいては、消音器22の空洞部30を構成する壁面の、開口部32を有する面と対面する面に第2空洞部38を有する。管状部材12内に生じる第一共鳴の音場空間に接続しない位置に、空洞部30と連通する第2開口部38を有する構成とすることで、規格化有効弾性率の実部をより低くすることができる。また、空洞部30の体積を大きくすることなく規格化有効弾性率の実部をより低くすることができるので、消音器を小型化することができる。
第2開口部38の形成位置は、管状部材12内に生じる第一共鳴の音場空間に接続しない位置であれば限定はない。また、第2開口部38の大きさも限定はないが大きいのが好ましい。
ここで、管状部材12内に生じる第一共鳴の音場空間に接続しない位置に第2開口部38を形成した構成の場合には、水や湿気が壁内に侵入したり、壁から空洞部内に水や湿気が入り込んだりするおそれがある。そこで、図55に示す消音システムの第2開口部38を膜状部材で覆う構成としてもよい。膜状部材は、音波を通しやすく水を通さない膜状の部材で、サランラップ(登録商標)等の薄い樹脂フィルム、撥水処理した不織布等を用いることができる。これによって、規格化有効弾性率の実部を低くしつつ、水や湿気が入り込むのを防止することができる。膜状部材の材料としては、後述する防風用フィルム44の材料と同様の材料を用いることができる。
また、図56および図57に示す例のように、管状部材12内に浸入防止板34を有する構成としてもよい。
図56は、本発明の消音システムの他の一例の模式的断面図である。また、図57は、図56のD-D線断面図である。
図56および図57に示すように、浸入防止板34は、管状部材12内の鉛直方向の下方に、管状部材12の径方向に立設している板状の部材である。
住宅の壁に設置される通気スリーブ(管状部材)は、屋外に通じているため、台風などの強風時には雨水が外部ガラリや外部フード等を通過して通気スリーブ内に浸入する場合がある。本発明の消音システムでは、空洞部を有する消音器が通気スリーブに接続されているため、通気スリーブ内に浸入した雨水が空洞部に浸入して溜まってしまうおそれがある。
これに対して、図56および図57に示すように、管状部材12内に浸入防止板34を設けることで、外部から管状部材12内に浸入した雨水が消音器22の空洞部30に浸入するのを防止できる。
浸入防止板34の鉛直方向の高さは、5mm以上40mm以下が好ましい。
また、雨水が消音器22の空洞部30に浸入するのを防止する構成として、図58および図59に示すように、消音器22の開口部32の鉛直方向の下側の領域を蓋部36で塞ぐ構成としてもよい。
図58は、本発明の消音システムの他の一例の模式的断面図である。また、図59は、図58のE-E線断面図である。
図58および図59に示すように、消音器22の開口部32の鉛直方向の下側の領域を蓋部36で塞ぐ構成とすることによって、外部から管状部材12内に浸入した雨水が消音器22の空洞部30に浸入するのを防止できる。
また、図60に示すように、消音器22の開口部32側の面を形成する部材を別部材(仕切り部材54)として、仕切り部材54を交換可能とする構成としてもよい。仕切り部材54を交換可能とすることで、開口部32の大きさを容易に変更することができるため、消音器22の共鳴周波数を適宜設定することができる。また、空洞部30内に設置された多孔質吸音材24を容易に交換することができる。
消音器22および消音装置14の形成材料としては、金属材料、樹脂材料、強化プラスチック材料、および、カーボンファイバ等を挙げることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、および、これらの合金等の金属材料を挙げることができる。また、樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、および、トリアセチルセルロース等の樹脂材料を挙げることができる。また、強化プラスチック材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、および、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)を挙げることができる。
ここで、消音器22および消音装置14は、排気口等に利用可能な点から、難燃材料より耐熱性の高い材料からなることが好ましい。耐熱性は、例えば、建築基準法施行令の第百八条の二各号を満たす時間で定義することができる。建築基準法施行令の第百八条の二各号を満たす時間が5分間以上10分間未満の場合が難燃材料であり、10分間以上20分間未満の場合が準不燃材料であり、20分間以上の場合が不燃材料である。ただし耐熱性は各分野ごとで定義されることが多い。そのため、消音システムを利用する分野に合わせて、消音器22および消音装置14を、その分野で定義される難燃性相当以上の耐熱性を有する材料からなるものとすればよい。
また、図61に示す消音システム10tのように、各消音器22の開口部32が、音波は透過し、空気(風)は遮蔽する防風用フィルム44によって覆われているのが好ましい。
消音器22の空洞部30内に空気が流入可能な構成の場合には、直管の場合に比べて、消音システム全体としての圧力損失が大きくなる。そのため、通気量が少なくなってしまうおそれがある。これに対して、各消音器22の開口部32を防風用フィルム44で覆う構成とすることで、防風用フィルム44が音波を透過するため、消音器22による消音の効果は得られ、かつ、防風用フィルム44が空気を遮蔽するため、空洞部30内に空気が流入するのを抑制して圧力損失を低減することができる。
防風用フィルム44は、非通気のフィルムであってもよく、通気性の低いフィルムであってもよい。
非通気の防風用フィルム44の材料としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等の樹脂材料、が利用可能である。
低通気性の防風用フィルム44の材料としては、上記樹脂からなる多孔質フィルム、多孔質金属箔(多孔質アルミニウム箔等)、不織布(レジンボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、ナノファイバー不織布)、織布、紙等が利用可能である。
なお、多孔質フィルム、多孔質金属箔、不織布、織布を用いた場合には、それらが有する貫通孔部によって吸音効果を得ることができる。すなわち、これらは音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構としても機能する。
防風用フィルム44の厚みは、材質にもよるが、1μm~500μmが好ましく、3μm~300μmがより好ましく、5μm~100μmがより好ましい。
また、本発明の消音システムにおいて、他の市販の防音部材を有していてもよい。
例えば、管状部材12の一方の端部には、本発明における消音装置14が配置され、管状部材12の内部には、内挿型消音器が配置される構成としてもよい。
また、管状部材12の一方の端部には、本発明における消音装置14が配置され、管状部材12の他方の端部には、野外設置型の防音フードが配置される構成としてもよい。
あるいは、管状部材12の一方の端部には、本発明における消音装置14が配置され、管状部材12の内部には、内挿型消音器が配置され、管状部材12の他方の端部には、野外設置型の防音フードが配置される構成としてもよい。
このように、他の防音部材と組み合わせることで、より広い帯域で高い防音性能を得られる。
この点については、他の実施形態においても同様である。
内挿型消音器としては、種々の公知の内挿型消音器が利用可能である。例えば、株式会社新協和製:防音スリーブ(SK-BO100等)、大建プラスチックス株式会社製:防音スリーブ(100NS2等)、西邦工業株式会社製 自然換気用サイレンサー(SEIHO NPJ100等)、株式会社ユニックス製:サイレンサー(UPS100SA等)、株式会社建友製:サイレントスリーブP(HMS-K等)等を用いることができる。
野外設置型の防音フードとしては、種々の公知の防音スリーブが利用可能である。例えば、株式会社ユニックス製:防音フード(SSFW-A10M等)、株式会社シルファー製:防音型フード(BON-TS等)等を用いることができる。
ここで、管状部材12は、直管状のものに限定はされず、折れ曲がり構造を有するものであってもよい。管状部材12が折れ曲がり構造を有する場合には、折れ曲がり部において、風(空気の流れ)も音波も上流側に反射されるため、風も音波も通過しにくくなる。通気性を確保するために、折れ曲がり部を曲面にするなどして壁の角度変化を緩やかにしたり、折れ曲がり部に整流板を設けるなどして風の進行方向を変えて通気性を確保することが考えられる。
しかしながら、折れ曲がり部を曲面にしたり、折れ曲がり部に整流板を設けた場合には、通気性が向上するものの、音波の透過率も高くなってしまう。
そこで、図62に示すように、風は通さず(通しにくく)、音波を透過する音響透過壁60を、管状部材12の折れ曲がり部に配置する。図62において、管状部材12は、略90°に曲がる折れ曲がり部を有している。音響透過壁60は、管状部材12の折れ曲がり部に、入射側の管状部材12の長手方向および出射側の管状部材12の長手方向それぞれに対して表面を約45°傾けて配置されている。なお、図62および図63において、図中上端部側が入射側で右側端部側が出射側である。
図62に示すように、音響透過壁60は音波を透過するので、上流側から入射した音波は、折れ曲がり部で音響透過壁60を透過し、管状部材12の壁で上流側に反射される。すなわち、元の管状部材12の特性が維持される。一方、図63に示すように、音響透過壁60は風は通さないので、上流側から入射した風は、折れ曲がり部で音響透過壁60によって、進行方向が曲げられて下流側に流れる。このように、折れ曲がり部に音響透過壁60を配置することで、音の透過率は低く維持しつつ、通気性を向上することができる。
音響透過壁60としては、密度の小さい不織布、および、厚みと密度の小さい膜を用いることができる。
密度の小さい不織布としては、株式会社巴川製紙所:ステンレス繊維シート(トミーファイレックSS)、通常のティッシュペーパーなどが挙げられる。厚みと密度の小さい膜としては、市販の各種ラップフィルム、シリコーンゴムフィルム、金属箔などが挙げられる。
<第二実施形態>
規格化有効弾性率Bnが、0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たす構成とするために、図64に示すような構成であってもよい。
図64は、本発明の消音システムの第二実施形態の好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図である。図65は、図64のB-B線断面図である。
図64に示すように、消音システム10vは、2つの空間を隔てる壁16を貫通して設けられる、円筒状の通気スリーブ12の外周部に消音器62が配置された構成を有する。
図64に示す例では、消音システム10vは、壁16と、壁16から所定距離離間して、壁16に平行に設けられた化粧板40と、壁16および化粧板40を貫通する通気スリーブ12と、壁16と化粧板40の間の空間の通気スリーブ12の外周部に配置される消音器62とを有する。
通気スリーブ12、壁16および化粧板40は、第一実施形態と同様である。
消音器62は、空洞部30、および、空洞部30と通気スリーブ12内とを連通する開口部32を有するケース部28、ならびに、ケース部28の空洞部30内に配置される多孔質吸音材24を有する。
図64および図65に示すように、ケース部28は、通気スリーブ12の外周部の周方向の全周に開口部32および空洞部30を有する。すなわち、消音システム10vでは、通気スリーブ12の軸方向において、消音器62の位置で通気スリーブ12の直径よりも大きな径となっている。
ケース部28の開口部32が通気スリーブ12内と連通することによって、消音システム10における通気スリーブ12内に生じる第一共鳴の音場空間に開口部32が接続している。
ここで、図65に示す例では、消音器62のケース部28(空洞部30)は通気スリーブ12の外周面の全周に沿った略環状としたが、これに限定はされず、空洞部を有する各種の立体形状であればよい。例えば、半環形状であってもよいし、直方体形状であってもよい。
多孔質吸音材24は、ケース部28の空洞部30内の全体に配置されている。従って、多孔質吸音材24は、円環形状である。
周知のとおり、多孔質吸音材は、内部を通過する音の音エネルギーを熱エネルギーに変換することで吸音するものである。
多孔質吸音材24としては、第一実施形態で記載した多孔質吸音材24が利用可能である。
なお、図64および図65に示す例では、多孔質吸音材24はケース部28の空洞部30内の全体に配置される構成としたが、これに限定はされず、空洞部30内の少なくとも一部に配置される構成とすればよい。あるいは、多孔質吸音材24は消音器62の開口部32の少なくとも一部を覆うように配置される構成としてもよい。
ここで、第二実施形態の消音システムは、通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数をf1、波長をλとし、消音器内の周波数f1における実効音響伝搬長をαとすると、消音器と多孔質吸音材の形状や体積や消音対象の音波の周波数もよるが、
-1.0<log(α/λ)<0.3
を満たすのが好ましい。
なお、上記式において、logは自然対数である。
また、周波数f1における消音器内の実効音響伝搬長とは、多孔質吸音材が配置された状態で空洞部内を周波数f1の音が伝搬すると考えた場合の実効音響伝搬長である。
多孔質吸音材内における実効音響伝搬長α0は、
α0=1/Re[γ]
で求められる。ただし、γは伝搬定数である。また、Re[γ]は、伝搬定数の実部を意味する。
音響材料の伝搬定数は、音響管と2本のマイクを用いた伝達関数法による測定を行うことで求めることができる。この手法はJIS A1405-2、ISO 10534-2、ASTM E 1050の規格に従うものである。
音響管としては、例えば日東紡音響エンジニアリング株式会社製のWinZacと同一の測定原理であるものを用いることができる。この方法で広いスペクトル帯域において伝搬定数を測定することができる。
消音器内の実効音響伝搬長αは、多孔質吸音材がケース部の空洞部内全体に充填される場合は、多孔質吸音材の実効音響伝搬長α0と一致する。また、多孔質吸音材がケース部の空洞部内の一部に充填される場合は、多孔質吸音材の実効音響伝搬長α0と多孔質吸音材が配置されていない空間の長さとの合計が消音器内の実効音響伝搬長αとなる。なお、以下の説明においては、基本的に多孔質吸音材がケース部の空洞部内全体に充填される構成として説明を行なっている。従って、多孔質吸音材の実効音響伝搬長α0と消音器内の実効音響伝搬長αとを区別せずに説明する場合がある。
第二実施形態の消音システムは、消音器が、通気スリーブの外周部に形成された空洞部および空洞部と通気スリーブとを連通する開口部を有するケース部と、ケース部の空洞部内の少なくとも一部に、または、ケース部の開口部の少なくとも一部を覆う位置に配置される多孔質吸音材とを有し、消音器の開口部は、消音システム内における通気スリーブの音場空間に接続されており、通気スリーブが第一共鳴する音波の周波数をf1、波長をλとし、周波数f1における消音器内の実効音響伝搬長をαとすると、-1.0<log(α/λ)<0.3を満たす構成とする。このような構成とすることで、第一共鳴が存在するオクターブバンドの規格化有効弾性率Bnの実部と虚部が0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たす構成とすることができる。
これによって、高い防音性能と高い通気性を発現することができる。
また、この消音の原理は消音器の共鳴を利用しないので、防音性能の波長依存性が小さく、通気スリーブ12の長さおよび形状等が異なる場合でも、防音性能を発現することができ、通気スリーブ12に合わせた設計が不要であり汎用性が高い。
また、この消音の原理は共鳴を利用しないので、風切り音を増幅することがない。
防音性能の観点から、消音器と多孔質吸音材の形状や体積や消音対象の音波の周波数もよるが、-0.7≦log(α/λ)≦0.25が好ましく、-0.4≦log(α/λ)≦0.2がより好ましく、-0.2≦log(α/λ)≦0.15がさらに好ましい。
多孔質吸音材24は、消音器と多孔質吸音材の形状や体積や消音対象の音波の周波数もよるが、単位厚さ当たりの流れ抵抗σ1[Pa・s/m2]が、3<log(σ1)<4.6を満たすことが好ましく、3.1<log(σ1)<4.5を満たすことがより好ましく、3.3<log(σ1)<4.3を満たすことがさらに好ましい。
ここで、防音性能の観点から、通気スリーブの軸方向における、消音器62のケース部28の空洞部30の幅L1は、0.02×λ≦L1≦0.15×λを満たすのが好ましい。また、通気スリーブの径方向における、空洞部30の深さL2は、0.03×λ≦L2≦0.12×λを満たすのが好ましい。
なお、位置によって空洞部30の深さが異なる場合には、空洞部30の深さLは、各位置での深さの平均値である。
また、位置によって開口部32の幅が異なる場合には、開口部32の幅Lは、各位置での幅の平均値である。
なお、幅L1、深さL2は分解能を1mmとして測定すればよい。すなわち、1mm未満の凹凸等の微細構造を有する場合には、これを平均化して幅L1、深さL2を求めればよい。
500Hzバンドにおいて3dB以上の十分な防音性能が得られる観点から、空洞部の幅L1および深さL2は、第二実施形態と同様の範囲とするのが好ましい。
ここで、図64に示す例では、消音器62は、開口部32の軸方向の長さ(以下、開口部の幅という)が空洞部30の幅L1と同じとしたが、これに限定はされず、開口部32の幅が空洞部の幅L2よりも小さい構成としてもよい。
また、図64に示す例では、消音システムは1つの消音器62を有する構成としたが、これに限定はされず、2以上の消音器62を通気スリーブ12の軸方向に配列した構成としてもよい。言い換えると、通気スリーブ12の軸方向の少なくとも2箇所以上の位置に、複数の消音器62の開口部32が配置される構成としてもよい。
また、複数の消音器を軸方向に配置する構成とする場合には、各消音器の開口部および空洞部等の寸法は互いに異なっていてもよい。
また、複数の消音器を軸方向に配置する構成とする場合には、各消音器の空洞部内に音響特性の異なる多孔質吸音材を配置する構成としてもよい。
また、1つの空洞部に複数の吸音材を配置する構成としてもよい。
また、第一実施形態と同様に、消音器の開口部が、音波は透過し、空気(風)は遮蔽する防風用フィルムによって覆われていてもよい。
また、図64に示す例では、消音器は通気スリーブと一体的に形成される構成としたが、これに限定はされず、消音器は、通気スリーブとは別部材として形成されていてもよい。
消音器を通気スリーブと別部材とした場合には、消音器を通気スリーブ(壁)の端面に接着剤等の公知の固定方法で固定すればよい。その際、消音器は通気スリーブに着脱可能に設置されるのが好ましい。これにより、消音器の交換、あるいはリフォーム等を簡単に行うことができる。
また、第一実施形態と同様に、消音器は、通気スリーブ(壁)の室内側の端面、および、室外側の端面のどちらに設置してもよいが、室内側の端面、すなわち、コンクリート壁と化粧板との間に設置されるのが好ましい。また、消音器を分離可能に構成されていてもよい。
また、第一実施形態と同様に、通気スリーブ内に浸入防止板を有する構成としてもよい。あるいは、蓋部36を有する構成としてもよい。
また、第一実施形態と同様に、消音器62の開口部32側の面を形成する部材を別部材(仕切り部材)として、仕切り部材を交換可能とする構成としてもよい。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
実施例1として、図66に示すように、管状部材12の外周面に消音器22を配置した構成(第一実施形態の構成)についてシミュレーションを行なった。
消音器22は、L字型の消音器であり、周面方向において管状部材12の外周面の全周に沿った円環状であり、開口部32が周面方向に沿ったスリット状に形成された形状である。また、軸方向に消音器22(開口部および空洞部)を2つ有する構成とした。また、2つの消音器22の空洞部内には多孔質吸音材24が配置される構成とした。
また、管状部材12の消音器22が設置される側とは反対側の開口面にはガラリ(カバー部材)が配置され、消音器22の管状部材12とは反対側の面にはレジスター(風量調整部材)が配置される構成とした。
管状部材12の内径を154mmとし、2つの消音器22の軸方向の合計長さT1を90mm、外径を267mmとし、消音器のフレーム肉厚を2mmとした。空洞部の軸方向の幅はそれぞれ42mm、深さはそれぞれ56.5mmである。また、一方の開口部の軸方向の幅L01は27mmとし、他方の開口部の軸方向の幅L02は10mmとした。
また、多孔質吸音材24は、空洞部30の全域に充填されるものとした。多孔質吸音材24の流れ抵抗は7000[Pa・s/m2]とした。以下の実施例においても特に記載がない場合は、多孔質吸音材24は空洞部30の全域に充填されるものとし、多孔質吸音材24の流れ抵抗は7000[Pa・s/m2]としてシミュレーションを行った。
シミュレーションによって透過損失を求めた。また、反射係数Rおよび透過係数T0を求め、前述の式(3)~式(5)から対応する領域RA0(図67参照)における規格化有効弾性率Bnを求めた。なお、本実施例では管状部材12の第一共鳴周波数は250Hzオクターブバンド(170Hz~354Hz)にあるため、250Hzオクターブバンドでの規格化有効弾性率Bnを求めた。
[実施例2~3、比較例2]
消音器22の外径をそれぞれ250mm、230mm、210mmとした以外は、実施例1と同様にして、透過損失、および、規格化有効弾性率Bnを求めた。
なお、実施例2は空洞部の深さが46mmである。実施例3は空洞部の深さが36mmである。比較例2は空洞部の深さが26mmである。
図68に実施例1および比較例2の周波数と透過損失との関係を表すグラフを示す。図69には、各実施例および比較例の消音器を作製して実験によって求めた基準化透過損失と外径との関係を表すグラフを示す。図70に、各実施例および比較例の規格化有効弾性率の実部および虚部をプロットしたグラフを示す。
図70から、実施例1~3は、規格化有効弾性率の実部および虚部が、0<Re[Bn]<1、および、Im[Bn]>0を満たしており、本発明の範囲であることがわかる。一方、比較例1は、規格化有効弾性率の虚部が0以下であり、本発明の範囲外であることがわかる。
図68から、比較例2は、管状部材の第一共鳴周波数付近で透過損失が低くなっていることがわかる。これに対して、実施例1は、管状部材の第一共鳴周波数付近でも透過損失が高く、高い防音性能を得られることがわかる。
また、図69から、実施例1~3は、比較例に比べて透過損失が高いことがわかる。
また、実施例1~3の消音システムは、消音器を管状部材の外周部側に配置する構成のため、通気性を消音器を配置しない場合と比べて同等以上にできることは明らかである。
次に、スピーカー音源からの音を発生を行わず、圧力設定をして風だけを発生させて、管状部材に風切り音が発生するか否かの検討を行った。管状部材内に消音器を配置した場合、通風路が狭くなるため風切り音が発生しやすくなる。
[比較例3]
図71に示すように、一方の開口部をチャンバーに接続された管状部材12内に内挿型の消音器(UNIX社製サイレンサーUPS150SA)を設置し、チャンバー内のゲージ圧を30Paとして管状部材12に向かう風を発生させた。管状部材12の開口面に対して、角度45°、距離50cmの位置にマイクロフォンMPを設置し、音圧を測定し、消音器を配置しない場合の音圧に対する差分(音圧の差分)を求めた。
なお、管状部材は内径15cm、長さ20cmの塩ビ(塩化ビニル)管を用いた。
また、内挿型消音器の開口径は8.2cmであり、管状部材12の開口面積に対する開口率は約30%である。
[実施例4]
図72に示すように、チャンバーに接続された管状部材12の端面に消音器を設置した以外は、比較例3と同様にして音圧を測定し、消音器を配置しない場合の音圧に対する差分(音圧の差分)を求めた。
消音器の構成は、実施例1と同様とした。
また、消音器の開口径は約15cmであり、管状部材12の開口面積に対する開口率は約100%である。
結果を図73に示す。
図73から、比較例3は管状部材内を風が通ることによって風切り音が発生していることがわかる。図73中、400Hz付近のピークは管状部材の共鳴によるものである。また、600Hz~1200Hzにかけてのピークは消音器の共鳴によるものである。比較例3のように、消音器を管状部材の内部に配置すると、管状部材の開口面積が狭くなるため、風切り音が発生する。また、近くに共鳴体があると、風切り音が増幅される。また、管状部材内で発生した風切り音は、室外と室内両方へ騒音を発生させる、等の問題が生じることがわかる。
これに対して、実施例4は、管状部材の第一共鳴周波数である400Hz付近でも音圧の差分が小さく、また、他の周波数帯域においても音圧の差分が小さく、風切り音の発生を抑制していることがわかる。
以上の結果より本発明の効果は明らかである。
10a~10w 消音システム
12 管状部材
14 消音装置
16 壁
18 カバー部材
20 風量調整部材
21、22、22a、22b、23、60、62 消音器
24、24a~24e 多孔質吸音材
26 挿入部
28 ケース部
30、30a、30b 空洞部
32、32a、32b 開口部
34 浸入防止板
36 蓋部
38 第2開口部
40 化粧板
42 境界カバー
44 非通気フィルム
46 膜状部材
54 仕切り部材
60 音響透過壁

Claims (10)

  1. 2つの空間を隔てる壁を貫通して設けられる管状部材に、一つ以上の消音器が配置された消音システムであって、
    前記消音器は、前記管状部材の第一共鳴周波数で共鳴する構造を有さず、
    前記消音器が配置された管状部材の内部空間における規格化有効弾性率をBnとすると、
    0<Re[Bn]<1
    Im[Bn]>0
    を満たし、
    前記管状部材内に生じる第一共鳴の周波数F0と、前記消音器の共鳴周波数F1とが、
    1.15×F0<F1
    を満たす消音システム。
    なお、規格化有効弾性率Bnは、前記管状部材の第一共鳴周波数が存在するオクターブバンドで平均した値である。
  2. 前記管状部材は、通気スリーブであって、
    前記消音器は、前記壁と、前記壁から離間して配置される化粧板との間の、前記通気スリーブの端部に配置される請求項1に記載の消音システム。
  3. 前記消音器は、音エネルギーを熱エネルギーに変換する変換機構を有する請求項1または2に記載の消音システム。
  4. 前記変換機構は、多孔質吸音材である請求項3に記載の消音システム。
  5. 前記管状部材の中心軸に垂直な断面において、前記消音器が配置された位置における断面積が、前記管状部材単体の断面積よりも大きい請求項1~4のいずれか一項に記載の消音システム。
  6. 前記消音器は、前記管状部材の内部空間に連通する空洞部を有し、
    前記管状部材の内部空間および前記消音器の空洞部の合計体積は、前記管状部材単体の内部空間の体積よりも大きい請求項1~5のいずれか一項に記載の消音システム。
  7. 前記管状部材の内部空間の合計体積が18000cm3以下である請求項6に記載の消音システム。
  8. 前記消音器が配置された前記通気スリーブ内における一方の空間側から他方の空間側までの最短距離が前記壁の厚みの1.9倍以下である請求項2に記載の消音システム。
  9. 前記管状部材の、前記壁に平行な断面が、900cm2以下である請求項1~8のいずれか一項に記載の消音システム。
  10. 前記消音器を配置した前記通気スリーブ内の通気可能な空間である通風路は、前記通気スリーブの中心軸に垂直な断面の面方向において少なくとも一部が直線上にある請求項2または8に記載の消音システム。
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