JP7281786B2 - 溶接用チップ - Google Patents

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Description

本発明は、消耗電極である溶接ワイヤに給電する溶接用チップに関するものである。
消耗電極を用いたアーク溶接では、ワイヤ送給装置によって溶接ワイヤを溶接トーチに送り、溶接トーチの先端に設けられている溶接用チップであるコンタクトチップを介して、溶接機から溶接ワイヤに対して溶接電流を供給する。コンタクトチップには、軸心に溶接ワイヤを挿通するためのワイヤ挿通孔が形成されており、溶接ワイヤは、ワイヤ挿通孔を通って、コンタクトチップの先端からワークの所定の位置に延びて供給され、アーク溶接が行われる。
溶接ワイヤがリールに巻かれている仕様の場合には、溶接ワイヤは巻回されたことにより曲がり癖が付いている。このため、溶接によるチップ摩耗でワイヤ挿通孔が大きくなってくると、溶接ワイヤはワイヤ挿通孔内で位置決めされず、溶接ワイヤと溶接チップ先端部の接触面積が変動してしまう。これは、溶接ワイヤとワイヤ挿通孔との間でスパークが発生し、ワイヤ挿通孔の内面に凹凸を生じるためである。このような凹凸が生じると、給電効率が低下し、バーンバック(電極の爆発音)とスパッタ(電極の飛散膜)が発生しやすくなる。同様に、ワイヤ挿通孔の内面に凹凸を生じると、溶接ワイヤがワイヤ挿通孔内を移動する際の摩擦抵抗が増大し、所望のワイヤ供給量が得られずに溶接不良が発生する。このような不具合を回避するために、特許文献1には、溶接ワイヤとコンタクトチップとを確実に接触させる構成が開示されている。
図8に示すように、特許文献1に開示された従来のコンタクトチップ101は、銅または銅とクロムの合金からなり、軸心に溶接ワイヤ105を挿通させるワイヤ挿通孔106が形成されている。ワイヤ挿通孔106は、溶接ワイヤ105の入口側に、溶接ワイヤ105を容易にコンタクトチップ101内に案内できるように設けられた大径の先細状テーパ孔107と、溶接ワイヤ105の出口側に、溶接ワイヤ105が溶着したとしても容易に溶接ワイヤ105を引き離すことができるように末広がり状のテーパ孔108と、を有している。
また、コンタクトチップ101の上端部には、図示しないトーチの電極にコンタクトチップ101を取付けるための取付け部102が設けられて、下端部には円錐形状の溶接側先端部103が設けられている。取付け部102にはネジ山104が形成されており、コンタクトチップ101を電極にネジ結合させるようにしてある。
溶接ワイヤ105はワイヤ巻取リール109に巻かれており、溶接ワイヤ105はワイヤ送給モータ110により回転駆動されるワイヤ送給ローラ111,111を通ってワイヤ巻取リール109からワイヤ挿通孔106に案内され、ワイヤ挿通孔106における先細状テーパ孔107を経て、末広がり状テーパ孔108まで供給されるようになっている。
コンタクトチップ101内にはワイヤ挿通孔106に沿って開口部112が形成されており、開口部112内には板バネ113を有している。板バネ113はその前脚114をコンタクトチップ101内に埋設し、後脚115を開口部112に連通した凹部116内に挿入し、中央突出部117をワイヤ挿通孔106内に突出するように開口部112内に張設されており、板バネ113の中央突出部117は溶接ワイヤ105をワイヤ挿通孔106の内面に一定の力で押圧するように付勢されている。
特開平10-034341号公報
しかし、上記の従来のコンタクトチップ101では、溶接ワイヤ105を押圧する板バネ113に電流が流れるため、板バネ113の押圧部である中央突出部117と溶接ワイヤ105との間でスパークが発生し摩耗が進行しやすくなってしまう。特に、板バネ113のチップ先端側端部に当たる後脚115がコンタクトチップ101に設けられた凹部116に挿入されて固定されており、また、板バネ113の径方向の幅が開口部112の径方向の幅とほぼ等しくなっている。このため、溶接ワイヤ105が上下に移動して溶接ワイヤ105の摩耗粉が発生すると、摩耗粉自体の自重により、凹部116の上面近傍に蓄積しやすくなる。このように摩耗粉が板バネ113の周囲、特にコンタクトチップ101とのチップ先端側での接続部に蓄積することで板バネ113の動きが阻害される。このことにより、板バネ113が溶接ワイヤ105を押圧する押圧力が低下するため、溶接ワイヤへの給電が安定しなくなり、コンタクトチップ101の寿命が短くなるおそれがあった。
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的は、摩耗粉を外部に排出して寿命を向上できる溶接用チップを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る溶接用チップは、内周面に給電点を有するワイヤ挿通孔が軸心に設けられ、該ワイヤ挿通孔に挿通され、上方向または下方向に送給される溶接ワイヤに前記給電点から給電する溶接用チップであって、前記ワイヤ挿通孔が形成されたチップ本体と、前記溶接ワイヤを前記給電点に当接させるように押圧する押圧部と、を備え、前記チップ本体の先端側外周面に開口部が形成され、前記押圧部は、前記開口部に収容され、前記チップ本体の先端側に位置する一端部が自由端である一方、前記一端部と反対側に位置する他端部が、前記チップ本体に固定されており、前記開口部は、前記押圧部を収容するための第1開口部と、前記第1開口部と連通し、溶接時に前記給電点で発生する摩耗粉を外部に排出するための第2開口部と、を有し、前記押圧部は板バネであり、前記第1開口部の内部において前記他端部から前記チップ本体の先端側へ延びて、第1折り曲げ部で前記溶接ワイヤに近づくように折り曲げられ、第2折り曲げ部で前記溶接ワイヤから離れるように折り曲げられており、前記第2折り曲げ部が所定の押圧力で前記溶接ワイヤを前記給電点に押圧する接点として構成されており、前記他端部と前記チップ本体との間に、前記押圧部と前記チップ本体を電気的に絶縁する絶縁体が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、溶接時に発生する摩耗粉を外部に排出できるとともに摩耗粉によって押圧部の動きが阻害されるのを防止できるため、押圧部による溶接ワイヤの押圧力の低下を抑制し、チップ寿命を向上させることができる。
また、この構成によれば、溶接ワイヤと給電点とを確実に接触させて、溶接ワイヤに流れる電流を安定させることができる。また、溶接ワイヤと給電点とを確実に接触させて、溶接ワイヤに流れる電流を安定させることができる。
前記第2開口部は、前記給電点に対し軸方向に相対する両側に互いに所定の間隔をあけて並んだ状態で複数形成されていてもよい。
この構成によれば、摩耗粉を確実に外部に排出することができる
前記第2開口部は、前記押圧部の押圧方向に沿って開口するように前記給電点に対して円周方向の両側に前記チップ本体の周方向に並んだ状態で複数形成されていてもよい。
この構成によれば、摩耗粉を確実に外部に排出することができる。特に、給電点に対して円周方向の両側にチップ本体の周方向に並んだ状態で複数形成することで、給電点と略同じ高さに第2開口部を設けられ、摩耗粉をより確実に外部に排出することができる。
記絶縁体は、所定の耐熱性を有しており、セラミック、樹脂、または紙素材のいずれかからなることがさらに好ましい。
この構成によれば、アーク溶接時の発熱による絶縁体の劣化を抑制できる。
記溶接ワイヤに当接する前記押圧部の接点の形状が角形または平面形状であることがより好ましい。
この構成によれば、溶接ワイヤと給電点とを確実に接触させて、溶接ワイヤに流れる電流を安定させることができる。
前記溶接ワイヤのワイヤ径は、前記溶接ワイヤに当接する前記押圧部の接点の前記ワイヤ径方向の幅と同じか、または当該接点の前記ワイヤ径方向の幅よりも小さいことを特徴とする。
この構成によれば、押圧部が溶接ワイヤを確実に給電点に押圧することができる。
前記チップ本体と別体に、かつ前記チップ本体に対して着脱可能に設けられた給電部材をさらに備え、前記給電部材に前記給電点が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、給電部材に設けられた給電点から溶接ワイヤに確実に給電できるとともに、給電部材を交換することで、チップ本体の寿命を向上させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、溶接ワイヤの押圧力の低下を抑制して、溶接用チップの寿命を向上させることができる。
図1Aは、本発明の実施形態1に係る溶接用チップの側面図である。 図1Bは、溶接用チップの下面図である。 図1Cは、図1BのIC-IC線での断面模式図である。 図1Dは、図1CのID-ID線での断面模式図である。 図1Eは、図1CのIE-IE線での断面模式図である。 図2は、変形例1に係る溶接用チップの断面模式図である。 図3Aは、変形例2に係る溶接用チップの側面図である。 図3Bは、変形例2に係る溶接用チップの下面図である。 図3Cは、図3BのIIIC-IIIC線での断面模式図である。 図3Dは、図3CのIIID-IIID線での断面模式図である。 図4Aは、本発明の実施形態2に係る溶接用チップの側面図である。 図4Bは、溶接用チップの下面図である。 図4Cは、図4BのIVC-IVC線での断面模式図である。 図4Dは、図4CのIVD-IVD線での断面模式図である。 図5Aは、変形例3に係る溶接用チップの側面図である。 図5Bは、溶接用チップの下面図である。 図5Cは、図5BのVC-VC線での断面模式図である。 図5Dは、図5CのVD-VD線での断面模式図である。 図6は、本発明の実施形態3に係る溶接用チップの断面模式図である。 図7は、本発明の実施形態4に係る溶接用チップの断面模式図である。 図8は、従来の溶接用チップを示す断面模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
[溶接用チップの構造]
図1Aは、本実施形態に係る溶接用チップの側面図を、図1Bは下面図をそれぞれ示す。また、図1Cは、図1BのIC-IC線での断面模式図を、図1Dは、図1CのID-ID線での断面模式図を、図1Eは、図1CのIE-IE線での断面模式図をそれぞれ示す。
図1A~1Eに示すように、溶接チップ1は、チップ本体1aと板バネ(押圧部)4と開口部11とを備えている。また、図1Cに示すように、溶接ワイヤ6の先端と後述する給電点との間の距離をExと、給電点7とチップ本体1aの先端面との間の距離をEx1と、チップ本体1aの先端面と溶接ワイヤ6の先端との間の距離をEx3と呼称する。ここで、距離Exは溶接ワイヤ6の実際の突出し長に相当する。また、溶接ワイヤ6の先端はアーク溶接時の溶接点位置に相当する。また、図1Cから明らかなように、距離Exは、距離Ex1と距離Ex3との和に等しい。
なお、以降の説明において、ワイヤ挿通孔10の延在方向をZ方向、板バネ4が溶接ワイヤ6を押圧する方向と平行な方向をX方向、X方向及びZ方向のいずれにも直交する方向をY方向と呼ぶことがある。また、ワイヤ挿通孔10の入口側を「上側」と、ワイヤ挿通孔10の出口側、すなわち、溶接用チップ1の先端側を「下側」とそれぞれ呼ぶことがある。
チップ本体1aは、銅または銅とクロムの合金からなり、軸心に溶接ワイヤ6を挿通させるワイヤ挿通孔10が形成されている。ワイヤ挿通孔10は、溶接ワイヤ6の入口側である上端部から下側に進むにつれて径が小さくなる上側テーパ部10aと、上側テーパ部10aに連続して設けられるとともに、径が略一定であるストレート部10bと、ストレート部10bに連続して設けられるとともに、溶接ワイヤ6の出口側である下端部に進むにつれて径が大きくなる下側テーパ部10cと、を有している。上側テーパ部10aを上記の形状とすることで、溶接ワイヤ6を容易にワイヤ挿通孔10に案内することができる、また、下側テーパ部10cを上記の形状とすることで、溶接ワイヤ6の出口付近で溶接ワイヤ6が溶着したとしても、容易にこれを引き離すことができる。
また、チップ本体1aの上端部には、図示しないトーチの電極に溶接用チップ1を取付けるための取付け部8が設けられている。取付け部8にはネジ山9が形成されており、トーチの電極に溶接用チップ1を螺合させるようにしている。また、ワイヤ挿通孔10の内面に位置する所定の点(以下、給電点7という)に溶接ワイヤ6が接触することで、チップ本体1aを介してトーチの電極から溶接ワイヤ6に給電され、溶接ワイヤ6がジュール発熱するとともに溶接ワイヤ6と図示しない溶接対象物であるワークとの間にアークを発生させることができる。
また、チップ本体1aの下側、つまり先端側の外周面には、開口部11が形成されている。開口部11は、板バネ4を収容する第1開口部11aと、溶接ワイヤ6を挟んで第1開口部11aと対向して、かつ第1開口部11aに連通して設けられた第2開口部11bとで構成されている。第2開口部11bは、アーク溶接中に溶接ワイヤ6と給電点7との間でスパークが発生したときに生じる金属飛沫や溶接ワイヤ6の送給時に板バネ4と擦れ合って生じる溶接ワイヤ6の摩耗粉等を溶接用チップ1の外部に排出するために設けられている。なお、これら金属飛沫や溶接ワイヤ6の摩耗粉を総称して、以降の説明において、「摩耗粉」と呼ぶことがある。また、「摩耗粉」には、溶接ワイヤ6のメッキ部分が擦れて生じる摩耗粉も含まれる。
図1Cに示すように、板バネ4の上側の端部はチップ本体1aに保持されて固定され、溶接ワイヤ6に当接する第2折り曲げ部(接点)4bが第1開口部11a内に配置されている。また、板バネ4の下側、つまりチップ本体1aの先端側の端部は、第1開口部11a内にあり、チップ本体1aに接続されていない。つまり、チップ本体1aの先端側に位置する板バネ4の端部は自由端となっている。また、図1C,1Dに示すように、第2開口部11bは、給電点7の上下に互いに所定の間隔をあけて、つまり、給電点7に対し軸方向に相対する両側に互いに所定の間隔をあけて並んだ状態でチップ本体1aの先端側外周面にそれぞれ形成されている。また、図1Eに示すように、第2開口部11bの間に位置するチップ本体1aは第1開口部11aを3方向から囲むように設けられている。また、溶接ワイヤ6のワイヤ径は、板バネ4の第2折り曲げ部4bのY方向の幅と同じか、または当該ワイヤ径よりも小さくなるように構成されている。このことにより、板バネ4が溶接ワイヤ6を確実に給電点7に押圧することができる。また、図1Dに示すように、チップ本体1aに保持される部分の板バネ4のY方向の幅は、図1Eに示す第2折り曲げ部4bのY方向の幅よりも広くなるようにしているが、図1Dに示す板バネ4のY方向の幅を第2折り曲げ部4bのY方向の幅と同じになるようにしてもよい。
なお、図1Dに示すように、第2開口部11bは、チップ本体1aの先端側外周面に向けて一定の幅W1で延びて設けられているが、当該外周面に向けて幅が広くなるようにテーパ形状としてもよい。例えば、R形状や面取り形状になるようにしてもよい。
また、第2開口部11bのY方向の幅は溶接ワイヤ6のワイヤ径よりも大きくなるようにするのが好ましい。例えば、本実施形態において、ワイヤ径がφ1.2mmの場合に、第2開口部11bのZ方向の幅H1,H2を1mm~5mmとし、Y方向の幅W1を5mm~9.2mmとしている。なお、第2開口部11bの間に位置するチップ本体1a、つまり、給電点7が位置している部分のZ方向の幅は、3~5mm程度にする。このように各寸法を設定することで、第2開口部11bの間に位置するチップ本体1aの幅が5mm以下でも溶接ワイヤ6に対して確実に給電できる。一方、当該幅を3mm以下にすると、この部分での熱容量が小さくなりすぎ、溶接を繰り返すことで早く消耗して溶接用チップ1の寿命を短くするおそれがある。ただし、上記の値は、溶接ワイヤ6に流れる電流量や溶接用チップ1の材質やサイズ等によって適宜変更されうる。
板バネ4は、鉄やステンレス等の金属材料からなる板状部材であり、チップ本体1aに保持された部分から下側に延び、第1折り曲げ部4aで溶接ワイヤに近づくように折り曲げられている。また、溶接ワイヤ6との当接部である第2折り曲げ部4bで溶接ワイヤ6から離れるように折り曲げられており、板バネ4の第1折り曲げ部4aから下側の部分は、L字形状をなしている。板バネ4をこのように折り曲げることで、第2折り曲げ部4bが所定の押圧力で溶接ワイヤ6を給電点7に押圧する接点として構成されている。また、板バネ4を上記の材質からなる部材とすることで、アーク溶接時に発生する熱で板バネ4が変形するのを抑制でき、溶接ワイヤ6への押圧力を維持することができる。板バネ4がリン青銅等の銅合金であると、アーク溶接時に発生する熱で、板バネ4が変形し、溶接ワイヤ6への押圧力が弱まったり、板バネ4自体が摩耗しやすくなったりする場合がある。なお、板バネ4が押圧力を発揮するためには所定の厚みが必要であり、例えば、本実施形態では、板バネ4の厚みを0.2mm~0.5mm程度としている。ただし、特にこれに限定されず、押圧力の設定等により適宜変更されうる。
また、溶接ワイヤ6が上方向または下方向に送給されるとき、溶接ワイヤ6と第2折り曲げ部4bとの間で摩擦抵抗を生じる。この抵抗を低減するために、例えば、第2折り曲げ部4bの曲げ代を1mm~3mmとし、曲げ角を90°とする。なお、板バネ4がチップ本体1aに接触しないようにするため、図1Cに示す、給電点7とチップ本体1aの先端面との距離Ex1は2mm~5mm程度とするのが好ましい。ただし、この値は特に限定されるものではなく、上記の摩擦抵抗を低減できればよく、第2折り曲げ部4bが鋭利な端部にならないようにすればよい。例えば、曲げ角度を60°から120°の間の任意の角度としてもよい。また、第2折り曲げ部4bの形状が円弧形状となるようにしてもよい。
また、板バネ4のチップ本体1aに保持される部分には絶縁体5が装着されている。板バネ4と絶縁体5には、ボルト3を挿通するための開口4c,5aがそれぞれ形成されているが、後述するように板バネ4とボルト3との接触を避けるため、板バネ4に形成された開口4cはボルト3の径に対して所定のクリアランスを保つようにボルト3の径よりも大きく形成されている。一方、絶縁体5に形成された開口5aは、板バネ4に形成された開口4cよりも径が小さく形成されている。当該開口5aにおいて、ボルト3と絶縁体5が接触するようにしてもよい。
なお、絶縁体5は、セラミック、樹脂、または紙等からなるシート状の部材であり、所定の耐熱性を有している。例えば、200℃以上の耐熱性を有する材料からなるのが好ましい。アーク溶接時に溶接用チップ1の温度は、先端側では400℃近くになることもある。一方、板バネ4が保持される部分では、温度が200℃程度で留まる。これは、溶接箇所へのトーチ移動や溶接対象物の交換時等のアーク溶接が行われていない期間にチップ本体1aが冷却されるためである。よって、絶縁体5の耐熱性を上記の値程度としてもよい。なお、絶縁体5が所定の絶縁性を発揮するには所定の厚みが必要であり、例えば、本実施形態では、0.05mm~0.2mm程度としている。ただし、特にこれに限定されず、絶縁体5の材質や要求される絶縁耐圧等によって適宜変更されうる。
また、絶縁体5を板バネ4に装着することで、板バネ4とチップ本体1a及び溶接ワイヤ6との電気的絶縁をそれぞれ確保することができる。アーク溶接を繰り返すことで板バネ4が消耗する原因は大きく分けて2つあり、一つは、上述したように、溶接ワイヤ6が送給されることによる板バネ4の機械的な消耗である。他方は、給電時に溶接ワイヤ6と給電点7近傍との間で発生するアークによる消耗であり、後者が支配的である。よって、絶縁体5を板バネ4に装着することで、このアーク発生を防止することができる、また板バネ4に電流が流れて発熱することがない。これらのことにより、所定の押圧力を保持して溶接ワイヤ6を給電点7に押圧し、所望のアーク溶接を行うことができる。また、チップ本体1aに形成されたワイヤ挿通孔10の内面に位置する給電点7から溶接ワイヤ6に対して確実に給電することができる。また、絶縁体5を板バネ4に装着しているため、摩耗粉が板バネ4に直接付着することがなく、また、例えば、溶接電流による発熱等によって摩耗粉を介して板バネ4と溶接ワイヤ6とが互いに固着されることがない。このことにより、溶接ワイヤ6を所望の速度で送給できるとともに、溶接ワイヤ6を給電点7に押圧し、所望のアーク溶接を行うことができる。
チップ本体1aの先端側には開口部11に連通する凹部1bが形成されており、凹部1bの底面、この場合は、チップ本体1aの内部に位置し、Z方向と平行な面に絶縁体5が装着された板バネ4が配置され、その外側から開口を有する金属製のカバー2が装着されている。カバー2の開口と板バネ4の開口4cとに挿通された金属製のボルト3がチップ本体1aに締結されて、板バネ4がチップ本体1aに固定される。
また、図示しないが、溶接ワイヤ6はワイヤ巻取リールに巻かれており、ワイヤ送給モータにより回転駆動されるワイヤ送給ローラを通ってワイヤ巻取リールからワイヤ挿通孔10に案内され、ワイヤ挿通孔10を通してワークとの溶接点に供給されるようになっている。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係る溶接用チップ1は、軸心にワイヤ挿通孔10が形成されたチップ本体1aと、溶接ワイヤ6をワイヤ挿通孔10の内面に位置する給電点7に押圧する押圧部である板バネ4とを備えている。ワイヤ挿通孔10に溶接ワイヤ6が挿通されるとともに、給電点7から溶接ワイヤ6に給電している。チップ本体1aの先端側外周面には開口部11が形成されており、開口部11は、板バネ4を収容するための第1開口部11aと、第1開口部11aと連通し、溶接時に発生する摩耗粉を外部に排出するための第2開口部11bと、を有している。また、板バネ4は、開口部11の第1開口部11aに収容され、チップ本体1aの先端側に位置する一端部が自由端である一方、この一端部と反対側に位置する他端部が、チップ本体1aに固定されている。
溶接用チップ1をこのような構成とすることで、溶接ワイヤ6と給電点7とを確実に接触させて、溶接ワイヤ6に安定して給電することができる。また、溶接用チップ1の先端側外周面から摩耗粉が外部に排出されるようにすることで、摩耗粉が板バネ4に付着して板バネ4の接点やワイヤ挿通孔10の内部等に蓄積するのを防止することができる。特に、第1開口部11aに収容された板バネ4の下端部、つまり、チップ本体1aの先端側に位置する一端部がチップ本体1aに固定されていない自由端であり、特許文献1に開示されたように、コンタクトチップ101と板バネ113の下端部との接続部分がないため、摩耗粉が自重によって第1開口部11aの下面に落下しても、板バネ4の動きが阻害されることがない。このことにより、板バネ4が溶接ワイヤ6を押圧する押圧力を維持でき、溶接用チップ1の寿命を向上させることができる。また、溶接ワイヤ6に安定して給電することができる。
また、第2開口部11bがチップ本体1aの先端側外周面に設けられているため、開口部11はチップ本体1aの先端部分によって、溶接時に発生するアークから遮蔽される。このことにより、高温雰囲気に板バネ4が直接曝されることがなく、板バネ4の熱的劣化を防止して、溶接用チップ1の寿命を向上させることができる。
また、押圧部を板バネ4とすることで、溶接ワイヤ6を確実に給電点7に押圧することができる。また、押圧部である板バネ4の設置コスト及び製造コストを低減できる。また、特許文献1に開示された従来の構成に対して、溶接ワイヤ6への給電状態を安定させることができる。このことにより、ワイヤ挿通孔10の内面で凹凸が発生するのを抑制し、給電効率の低下によるバーンバックやスパッタの発生を抑制することができる。また、ワイヤ挿通孔10の内面に凹凸が生じることで、溶接ワイヤ6の送給時の摩擦抵抗が増大し、所望のワイヤ供給量が得られずに溶接不良が発生することを抑制することができる。
なお、押圧部を他の構造、例えば、コイルバネと絶縁部材とからなる構造とし、コイルバネに付勢された絶縁部材が溶接ワイヤ6を給電点7に押圧するようにしてもよい。ただし、このような構造にすると、絶縁部材やカバー2をセラミック材料等にする必要が生じ、高価なものとなる。
また、溶接ワイヤ6のワイヤ径は、溶接ワイヤ6に当接する板バネ4の第2折り曲げ部(接点)4bのワイヤ径方向の幅、つまり、Y方向の幅と同じか、または小さいのが好ましい。このことにより、板バネ4が溶接ワイヤ6を確実に給電点7に押圧することができる。
また、本実施形態によれば、溶接用チップ1の構造が複雑にならず、製造時の組立や加工を容易に行えるため、低コストの溶接用チップ1を提供することができる。
<変形例1>
図2は、本変形例に係る溶接用チップの断面模式図を示す。なお、図2に示す断面は、図1Cに示す断面に対応している。なお、本変形例において、実施形態1と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、以降で説明する実施形態や変形例についても同様に、実施形態1と同様の箇所については、必要に応じて同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例の構成と図1に示す実施形態1の構成とでは、溶接ワイヤ6との当接部である板バネ4の第2折り曲げ部4bの形状が異なり、具体的には、図1に示す構成で、第2折り曲げ部4bが90°に曲げられた角形状であるのに対し、図2に示す構成では、第2折り曲げ部4bと第3折り曲げ部4dとの間の部分4eが角形の平面形状になっており、当該部分4eが板バネ4と溶接ワイヤ6との接点である点で異なる。
溶接ワイヤ6と当接する板バネ4の接点4eを図2に示す形状とすることで、板バネ4の消耗をさらに低減して、溶接用チップ1の寿命を向上させることができる。溶接ワイヤ6に加わる押圧力は板バネ4の剛性によって決まるため、曲げ角度や板バネ4の材質や厚み等が同じであれば、押圧力自体は大きく変化しない。一方で、溶接ワイヤ6との接触面積が大きくなるため、溶接ワイヤ6に加わる単位面積あたりの圧力は小さくなる。よって、溶接ワイヤ6の送給時に、溶接ワイヤ6と板バネ4との間に生じる摩擦力が低減して、板バネ4の消耗を低減することができる。また、板バネ4の接点4eがZ方向に移動するのに伴って給電点7も移動するため、給電点7、ひいてはチップ本体1aの消耗範囲が拡がる。このことにより、チップ本体1aの局所的な消耗を低減して、溶接用チップ1の寿命を向上させることができる。なお、本変形例では、板バネ4の接点4eのZ方向の長さを2mm~5mm程度としているが、特にこれに限定されず、適宜変更されうる。
なお、板バネ4の接点4eが溶接ワイヤ6に沿ってZ方向に移動することで、溶接ワイヤ6に給電される出力電流も同時に変動する。ただし、この電流変動は、溶接ワイヤ6に流れる電流量全体(例えば、80A~350A)から見れば大きいものではなく、アーク溶接に大きな影響を与えることはない。従来の構成においても、溶接用チップ1の消耗が進むと給電点7がワイヤ挿通孔10内で上方に移動するが、この場合の電流量の変動に対して、本変形例における電流量の変動は5~20A程度と小さいものである。また、板バネ4の接点4eは平面形状であればよく、角形でなくてもよい。
<変形例2>
図3Aは、本変形例に係る溶接用チップの側面図を、図3Bは、溶接用チップの下面図をそれぞれ示す。また、図3Cは、図3BのIIIC-IIIC線での断面模式図を、図3Dは、図3CのIIID-IIID線での断面模式図をそれぞれ示す。
実施形態1に示す構成に対して、本変形例に示す構成では、第2開口部11bが給電点7の下側、つまり、給電点7よりもチップ本体1aの先端に近い側に1箇所設けられている点で異なる。また、本変形例における給電点7はワイヤ挿通孔10の内面に位置し、第2開口部11bの上面であって溶接ワイヤ6に当接している箇所である。
溶接用チップ1をこのような構成とすることによっても、溶接用チップ1の先端側外周面から摩耗粉が外部に排出されて、摩耗粉が板バネ4の接点(第2折り曲げ部)4b等に付着、蓄積するのを防止することができる。このことにより、板バネ4が溶接ワイヤ6を押圧する押圧力を維持でき、溶接用チップ1の寿命を向上させることができる。また、溶接ワイヤ6に安定して給電することができる。特に、給電点7が、溶接ワイヤ6を挟んで、板バネ4の接点4bの反対側に位置しなくなるため、摩耗粉がワイヤ挿通孔10内で滞留しにくくなり、確実に摩耗粉を溶接用チップ1の外部に排出することができる。
また、変形例1,2及び実施形態1に示す構成において、第2開口部11bを給電点7よりもチップ本体1aの先端に近い側に設けるようにすることで、下側に落下した摩耗粉を確実に外部に排出することができる。なお、以降に示す構成においても、第2開口部11bを給電点7よりもチップ本体1aの先端に近い側に設けるようにすることで、同様の効果を奏する。
なお、本変形例では、第2開口部11bの方向の幅H5を1mm~5mm程度とし、Y方向の幅W1を溶接ワイヤ6のワイヤ径よりも大きく、具体的には、溶接ワイヤ6の外周からチップ本体1aの径方向外側に1mm~2mm程度拡げた値としている。ただし、上記の値は、溶接ワイヤ6に流れる電流量や溶接用チップ1の材質やサイズ等によって適宜変更されうる。
(実施形態2)
図4Aは、本実施形態に係る溶接用チップの側面図を、図4Bは、溶接用チップの下面図をそれぞれ示す。また、図4Cは、図4BのIVC-IVC線での断面模式図を、図4Dは、図4CのIVD-IVD線での断面模式図をそれぞれ示す。
本実施形態に示す構成と実施形態1に示す構成とでは、2箇所に設けられた第2開口部11bの配置が異なる。具体的には、実施形態1に示す構成では、給電点7に対し軸方向に相対する両側に互いに所定の間隔をあけて並んだ状態で第2開口部11bが複数形成されているのに対して、本実施形態に示す構成では、第2開口部11bが、板バネ4の押圧方向と交差する方向、この場合はY方向に沿って開口するように給電点7に対し円周方向の両側にチップ本体1aの周方向に並んだ状態で複数形成されている点で異なる。
図4C,4Dに示すように、本実施形態において、第2開口部11bは給電点7を挟んでY方向に延びて形成されており、第2開口部11bのZ方向の幅H3を給電点7の上下に1mm~5mmとしている。また、チップ本体1aの給電点7が位置する部分のY方向の幅をW2とし、その両側に位置する第2開口部11bのY方向の幅をそれぞれW3とするとき、給電点7と溶接ワイヤ6とを確実に接触させるために、幅W2を溶接ワイヤ6のワイヤ径よりも大きく、具体的には、溶接ワイヤ6の外周からチップ本体1aの径方向外側に0.5mm~2mm程度拡げた値とするのが好ましい。幅W2として、溶接ワイヤ6の外周からチップ本体1aの径方向外側に0.5mm程度拡げた値であれば、溶接ワイヤ6と給電点7との接触面積を確保できる。幅W2がさらに広がると、給電点7での熱容量が確保され、チップ本体1aの消耗を緩和することができる。また、幅W3は、幅W2に対してY方向の両側にそれぞれ0.5mm~2mm程度確保するようにするのが好ましい。例えば、溶接ワイヤ6のワイヤ径がφ1.2mmの場合に、第2開口部11bのZ方向の幅H3は2mm~10mm程度であり、幅W3は幅W2のY方向の両側にそれぞれ0.5mm~2mm程度確保するようにしている。また、X方向の幅L1を4mm~6mmとしている。ただし、上記の値は、溶接ワイヤ6に流れる電流量や溶接用チップ1の材質やサイズ等によって適宜変更されうる。
第2開口部11bを上記の形状とすることで、溶接時に発生する摩耗粉を溶接用チップ1の外部に排出して、溶接用チップ1の寿命を向上させることができる。特に、第2開口部11bが、Y方向に沿って開口するように給電点7に対し円周方向の両側にチップ本体1aの周方向に並んだ状態で複数形成されていることで、給電点7近傍でのスパッタによる金属飛沫を確実に溶接用チップ1の外部に排出することができる。また、第2開口部11bは、給電点7よりもチップ本体1aの先端に近い側にも形成されているため、下側に落下した摩耗粉を確実に外部に排出することができる。
なお、第2開口部11bは、チップ本体1aの先端側外周面に向けて一定の幅L1で延びて形成されているが、実施形態1と同様に、当該外周面に向けて幅が広くなるようにテーパ形状としてもよい。例えば、R形状や面取り形状になるようにしてもよい。
<変形例3>
図5Aは、本変形例に係る溶接用チップの側面図を、図5Bは、溶接用チップの下面図をそれぞれ示す。また、図5Cは、図5BのVC-VC線での断面模式図を、図5Dは、図5CのVD-VD線での断面模式図をそれぞれ示す。
本変形例に示す構成と実施形態2に示す構成とでは、2箇所に形成された第2開口部11bの配置が異なる。具体的には、実施形態2に示す構成では、第2開口部11bが、板バネ4の押圧方向と交差する方向であるY方向に沿って開口するように給電点7に対し円周方向の両側にチップ本体1aの周方向に並んだ状態で複数形成されているのに対して、本変形例に示す構成では、第2開口部11bが、板バネ4の押圧方向であるX方向に沿って開口するように給電点7に対し円周方向の両側にチップ本体1aの周方向に並んだ状態で複数形成されている点で異なる。また、第2開口部11bのZ方向の幅H3、チップ本体1aの給電点が位置する部分の幅W2は、実施形態2に示したのと同じ値である。第2開口部11bのY方向の幅W4は、実施形態2に示す幅W3と同じ値である。ただし、上記の値は、溶接ワイヤ6に流れる電流量や溶接用チップ1の材質やサイズ等によって適宜変更されうる。
溶接用チップ1をこのような構成とすることによっても、溶接用チップ1の先端側外周面から摩耗粉が外部に排出されて、摩耗粉が板バネ4の接点等に付着したり、ワイヤ挿通孔10内に蓄積したりするのを防止することができる。このことにより、板バネ4が溶接ワイヤ6を押圧する押圧力を維持でき、溶接用チップ1の寿命を向上させることができる。また、溶接ワイヤ6に安定して給電することができる。
(実施形態3)
図6は、本実施形態に係る溶接用チップの断面模式図を示す。なお、図6に示す断面は、図1Cに示す断面に対応している。
実施形態1に示す構成と本実施形態に示す構成とでは、給電点7とチップ本体1aの先端面との間の距離が異なっており、実施形態1に示す距離Ex1よりも、本実施形態における当該距離Ex2のほうが長くなるようにしている。
例えば、実施形態1では、距離Ex1を2mm~5mm程度としていたが、本実施形態での距離Ex2は、5mm以上30mm以下としている。例えば、溶接ワイヤ6のワイヤ径をΦ1.2mm、距離Ex3を10mm以上15mm以下とした場合、距離Ex2を10mm以上15mm以下とし、距離Exを20mm以上25mm以下とすることが好ましい。実際のワイヤ突出し長である距離Exが20mmより短くなるとジュール発熱量が小さくなり、所望の溶接を行えないおそれがある。一方、距離Exが25mmより長いとジュール発熱量が大きくなりすぎ、溶接ワイヤ6が過剰に溶融して、アークが不安定となる。
また、溶接ワイヤ6のワイヤ径をΦ1.4mm、距離Ex3を10mm以上15mm以下とした場合、距離Ex2を10mm以上15mm以下とし、距離Exを25mm以上30mm以下とすることが好ましい。実際のワイヤ突出し長である距離Exが25mmより短くなるとジュール発熱量が小さくなり、所望の溶接を行えないおそれがある。一方、距離Exが30mmより長いとジュール発熱量が大きくなりすぎ、溶接ワイヤ6が過剰に溶融して、アークが不安定となる。
このように、距離Ex2を長く取ることで、溶接ワイヤ6の実際の突出し長である距離Exを長く取ることができる。例えば、距離Ex2を、溶接ワイヤ6のワイヤ径が増大するほど長くなるように設定する一方、溶接時に発生するアークが安定するように距離Ex2の上限が設定されることで、突出し長である距離Exを適切な値とすることができる。このことにより、溶接ワイヤ6で発生するジュール熱を所定の範囲に収めることができ、溶接時に発生するアークを安定させて、所望の溶接を行うことができる。また、溶接ワイヤ6での発熱量が増加することにより、例えば、同じ電流を溶接ワイヤ6に流したときにワイヤ送給速度を高めることができ、溶接速度の向上によるサイクルタイム短縮や溶融金属量の増加による溶接品質向上につなげることができる。
ただし、距離Ex2は、この範囲に特に限定されず、溶接ワイヤ6のワイヤ径やチップ本体1aの先端面と溶接点との間の距離等によって適宜変更されうる。
(実施形態4)
図7は、本実施形態に係る溶接用チップの断面模式図を示す。なお、図7に示す断面は、図1Cに示す断面に対応している。
実施形態1に示す構成と、本実施形態に示す構成とでは、溶接ワイヤ6を挟んで板バネ4と反対側に、つまり、給電点7と同じ側に、チップ本体1aと別体に形成された給電部材12を設けた点にある。
給電部材12は、内面にZ方向に延びる凹部(図示せず)を有する導電性部材であり、チップ本体1aの内側に形成された切り欠き部1cに着脱可能に嵌め込まれるとともに、金属製のボルト3によってチップ本体1aに締結固定されている。また、当該凹部が、ワイヤ挿通孔10の一部、具体的にはストレート部10bの一部を構成している。さらに、給電部材12には第2開口部11bと連通する開口12aが給電点7に対し軸方向に相対する両側に互いに所定の間隔をあけて並んだ状態でそれぞれ形成されている。
本実施形態に示すように、チップ本体1aと別体に、かつチップ本体1aに対して着脱可能に給電部材12を設けることで、給電部材12と溶接ワイヤ6との接触部分のうち、板バネ4に押圧された部分が給電点7となり、溶接ワイヤ6に給電することができる。つまり、給電部材12に給電点7が設けられていることにより、チップ本体1aが消耗するのを防止できる。また、給電部材12を容易に交換できるため、チップ本体1aの交換時期を延ばすことができる。これらのことにより、溶接用チップ1の寿命を向上させることができる。また、給電部材12を耐摩耗性に優れた材料、例えば、モリブデンやタングステン等とすることで、溶接用チップ1の寿命をさらに向上させることができる。また、給電部材12自体はサイズが小さいため、溶接用チップ1のコスト上昇を抑制することができる。
なお、本実施形態に示す給電部材12は、変形例1~3を含む実施形態1~3に示す構成に適用することができ、その場合も、本実施形態と同様の効果を奏する。また、これに限らず、上記の各実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
本発明の溶接用チップは、溶接時に発生する摩耗粉を外部に排出して寿命を向上させることができるため、ロボット等の自動溶接システムに用いられる溶接用チップとして特に有用である。
1 溶接用チップ
1a チップ本体
2 カバー
3 ボルト
4 板バネ(押圧部)
4a 第1折り曲げ部
4b 第2折り曲げ部(接点)
4c 開口
4d 第3折り曲げ部
4e 溶接ワイヤ6との当接部(接点)
5 絶縁体
6 溶接ワイヤ
7 給電点
8 取付け部
9 ネジ山
10 ワイヤ挿通孔
11 開口部
11a 第1開口部
11b 第2開口部
12 給電部材
101 コンタクトチップ
102 取付け部
103 溶接側先端部
104 ネジ山
105 溶接ワイヤ
106 ワイヤ挿通孔
109 ワイヤ巻取りリール
110 ワイヤ送給モータ
111 ワイヤ送給ローラ
112 開口部
113 板バネ
117 中央突出部

Claims (7)

  1. 内周面に給電点を有するワイヤ挿通孔が軸心に設けられ、該ワイヤ挿通孔に挿通され、上方向または下方向に送給される溶接ワイヤに前記給電点から給電する溶接用チップであって、
    前記ワイヤ挿通孔が形成されたチップ本体と、
    前記溶接ワイヤを前記給電点に当接させるように押圧する押圧部と、を備え、
    前記チップ本体の先端側外周面に開口部が形成され、
    前記押圧部は、前記開口部に収容され、前記チップ本体の先端側に位置する一端部が自由端である一方、前記一端部と反対側に位置する他端部が、前記チップ本体に固定されており、
    前記開口部は、前記押圧部を収容するための第1開口部と、
    前記第1開口部と連通し、溶接時に前記給電点で発生する摩耗粉を外部に排出するための第2開口部と、を有し、
    前記押圧部は板バネであり、前記第1開口部の内部において前記他端部から前記チップ本体の先端側へ延びて、第1折り曲げ部で前記溶接ワイヤに近づくように折り曲げられ、第2折り曲げ部で前記溶接ワイヤから離れるように折り曲げられており、
    前記第2折り曲げ部が所定の押圧力で前記溶接ワイヤを前記給電点に押圧する接点として構成されており、
    前記他端部と前記チップ本体との間に、前記押圧部と前記チップ本体を電気的に絶縁する絶縁体が設けられていることを特徴とする溶接用チップ。
  2. 請求項1に記載の溶接用チップにおいて、
    前記第2開口部は、前記給電点に対し軸方向に相対する両側に互いに所定の間隔をあけて並んだ状態で複数形成されていることを特徴とする溶接用チップ。
  3. 請求項1に記載の溶接用チップにおいて、
    前記第2開口部は、前記押圧部の押圧方向に沿って開口するように前記給電点に対し円周方向の両側に前記チップ本体の周方向に並んだ状態で複数形成されていることを特徴とする溶接用チップ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の溶接用チップにおいて、
    前記絶縁体は、所定の耐熱性を有しており、セラミック、樹脂、または紙素材のいずれかからなることを特徴とする溶接用チップ。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の溶接用チップにおいて、
    前記溶接ワイヤに当接する前記押圧部の接点の形状が角形または平面形状であることを特徴とする溶接用チップ。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の溶接用チップにおいて、
    前記溶接ワイヤのワイヤ径は、前記溶接ワイヤに当接する前記押圧部の接点のワイヤ径方向の幅と同じか、または当該接点の前記ワイヤ径方向の幅よりも小さいことを特徴とする溶接用チップ。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の溶接用チップにおいて、
    前記チップ本体と別体に、かつ前記チップ本体に対して着脱可能に設けられた給電部材をさらに備え、
    前記給電部材に前記給電点が設けられていることを特徴とする溶接用チップ。
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