JP7281120B2 - 貼付材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る貼付材10は、図1に示すように、基材層12と、基材層12の下面(一面)に積層された粘着層14とを備えている。
基材層12は、極細繊維不織布からなる。
粘着層14は、粘着成分を含む。また、粘着層14は、薬効成分及び/又は化粧料成分を含んでもよい。さらに、粘着層14は、その他の添加剤を含有してもよい。
粘着成分としては、特に限定されるものではなく、公知の非水溶性粘着成分及び水溶性粘着成分(水溶性成分)のいずれも用いることができる。
化粧料成分としては、例えば、ヒアルロン酸Na、セラミド、米糠エキス等が上げられる。
粘着層14中には、上記の成分に加えて、その他の添加剤成分を、目的に応じて適宜配合することができる。添加剤成分としては、架橋剤、硬化調整剤、溶媒、吸収促進剤、安定化剤、界面活性剤等が挙げられる。これらの添加剤成分は、単独又は2種以上の組み合わせで使用することが可能である。
本明細書において、粘着層14の「塗膏量」とは、粘着層14の積層方向の厚さ(μm)又は単位面積当たりの質量(g/m2)をいうものとする。
-原理-
図3に示すように、極細繊維不織布101のみをそのまま人の肌301に貼付したとすると、入射光401は、極細繊維不織布101の極細繊維102に当たって屈折及び/又は反射される。極細繊維102は種々の配向で互いに絡み合って延びているから、極細繊維102自体が僅かに着色しているか又は透明であったとしても、屈折率及び乱反射の影響により極細繊維102に当たった入射光401は散乱する。そうして、極細繊維不織布101を貼付した箇所の外観は白く目立ちやすくなり得る。
貼付材10の色は、例えば測色計によりL*a*b*表色系の数値を計測することにより評価することができる。L*a*b*表色系は、JIS Z8781-4:2013に基づく一般的な色の表現方法である。
但し、L*1、a*1及びb*1は、人の肌のL*値、a*値及びb*値であり、L*2、a*2及びb*2は、貼付材を貼付した部分のL*値、a*値及びb*値である。
本実施形態に係る貼付材10は、例えば図2に示すように、支持層16やフィルム層18を設けて、本実施形態に係る貼付材製品11とすることができる。具体的には例えば、図2に示すように、基材層12における粘着層14が形成されていない面、及び粘着層14における基材層12が形成されていない面に、それぞれ支持層16及びフィルム層18を設けて、貼付材製品11とすることができる。
支持層16は、後述する紡糸工程S2において、電界紡糸によって基材層12を形成する際の支持体として用いられ、主に極細繊維不織布のシート形状の維持、及び保護を目的とする。また、支持層16は貼付材10において、皮膚貼付時のハンドリング性を向上させるためのものであり、皮膚貼付後には容易に基材層12から離脱するものが好ましい。具体的には例えば、コットン、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ビニロン、アセテート、ポリプロピレン、ポリウレタン等の不織布、織布、編布、紙材等が挙げられる。支持層16の厚さは、例えば10μm以上500μm以下とすることができる。
フィルム層18は、粘着層14を保護するためのものであり、具体的には例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック系のフィルム、セルロース系のフィルム及びシリコーン系剥離剤を表面にコーティングした上記フィルム、紙シート等が挙げられ、特にポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック系のフィルムが好ましい。フィルム層18の厚さは、例えば5μm以上200μm以下とすることができる。
貼付材製品11を用いて貼付材10を肌に貼付する方法としては、例えば、フィルム層18の一方側18aを剥がして粘着層14の半分を肌に貼付した後、他方側18bを剥がして粘着層14の全体を肌に貼付する。そして、支持層16を剥離することにより、貼付材10を肌に貼付することができる。
本実施形態に係る貼付材10は、例えばパップ剤、プラスター剤等で構成される痔疾用薬、虫刺され薬、消炎鎮痛薬、皮膚病薬等の治療用皮膚外用貼付剤、サージカルテープ、ドレッシング剤等の医療用、美白、シミ取り、しわ取り、皮膚機能改善等の化粧用、その他皮膚に貼付する用途の各種貼付材として用いることができる。
本実施形態に係る貼付材10及び貼付材製品11の製造方法は、図5に示すように、基材層を形成する樹脂溶液調製工程S1(基材層形成工程)及び紡糸工程S2(基材層形成工程)と、粘着層形成工程S3と、熟成工程S4とを備える。
樹脂溶液調製工程S1は、原料樹脂と、染料又は顔料と、必要に応じてさらなる添加物を溶媒に溶解させて樹脂溶液51を調製する工程である。樹脂溶液51の調製は、例えば、容器に原料樹脂を秤量し、溶媒、添加物を加え、撹拌機等の公知の撹拌手段(図示せず。)により撹拌して、溶媒中に樹脂、添加物を溶解・分散させることにより行う。撹拌に際し、同時に加熱や超音波等を印加してもよい。
紡糸工程S2は、樹脂溶液51を、電界紡糸法を用いて紡糸し、基材層12としての極細繊維不織布を得る工程である。
基材層12の一面に支持層16が形成されている場合には、基材層12の支持層16が形成されていない面に、粘着層14を形成するための組成物を配置することにより、粘着層14が形成された貼付材本体を得ることができる。貼付材本体は、次の熟成工程S4を経て貼付材10となる。
m)、すなわち粘着層の積層方向の厚さは、塗布対象物である基材層12及び支持層16
と、フィルムアプリケータとの隙間の大きさとなる。
粘着層形成工程S3で得られた貼付材本体を大気中に所定時間、例えば20分~1時間保持し、熟成させて貼付材10を得る。
実施例1~5の貼付材製品、及び比較例1,2の貼付材製品を準備した。実施例及び比較例の貼付材製品の構成を表1に示す。
溶媒としてのDMF中に、酸性染料(HUNTSMAN社製TECTILONシリーズ、RED2B 200%(R)、YELLOW 4R 200%(Y)、BLUE 4R-01 200%(B))を、染料成分比R:Y:B=60:85:5で、最終的に得られる樹脂溶液中の溶媒以外の固形分、すなわち樹脂成分に対する染料割合が0.2質量%となるように添加し、撹拌した。この染料含有DMF溶液に、ポリフッ化ビニリデン樹脂(東京材料株式会社製KYNAR(登録商標)2501-00)を、添加し、撹拌して溶解させた。その後、さらにMEK(DMF:MEK=3:2)を加えて撹拌し、樹脂溶液を調製した。なお、最終的に得られた樹脂溶液中の樹脂濃度は、15質量%であった。この樹脂溶液を、マルチノズル式エレクトロスピニング装置(自社製作、図6)を用い、支持層としてのポリプロピレン樹脂製の不織布シート(厚さ約100μm)をコレクタ下部に接触させるように一定速度(30mm/分)で流し、これに対し、印加電圧30kV、ノズル先端-コレクタ間距離200mm、ノズル吐出速度22mg/秒の条件で紡糸し、支持層上に厚さ25μm~35μmの極細繊維不織布を得、支持層及び基材層を得た。
粘着層の塗膏量を200μm(単位面積当たりの質量80g/m2)とした以外は実施例1と同様に貼付材製品を作製した。
染料成分比をR:Y:B=65:80:5、樹脂成分に対する染料割合を0.5質量%とするとともに、粘着層の塗膏量を120μm(単位面積当たりの質量48g/m2)とした以外は実施例1と同様に貼付材製品を作製した。
染料成分比をR:Y:B=40:57:3、樹脂成分に対する染料割合を0.5質量%とするとともに、粘着層の塗膏量を180μm(単位面積当たりの質量72g/m2)とした以外は実施例1と同様に貼付材製品を作製した。
染料成分比をR:Y:B=40:57:3とするとともに、粘着層の塗膏量を180μm(単位面積当たりの質量72g/m2)とした以外は実施例1と同様に貼付材製品を作製した。
貼付材製品として、市販のパップ剤(リフェンダフェルビナク(株式会社タカミツ製))を用いた。
粘着層の塗膏量を400μm(単位面積当たりの質量160g/m2)とした以外は実施例1と同様に貼付材製品を作製した。
表2に示す製造例1~4の極細繊維不織布(基材層)を作製した。
実施例1と同様の手順により、表2で示す割合でポリフッ化ビニリデン樹脂(東京材料株式会社製KYNAR(登録商標)2501-00)を含む樹脂溶液を調整した。この樹脂溶液を、マルチノズル式エレクトロスピニング装置(自社製作、図6)を用い、支持層としてのポリプロピレン樹脂製の不織布シート(厚さ約100μm)をコレクタ下部に接触させるように一定速度30mm/分で流し、これに対し、印加電圧30kV、ノズル先端-コレクタ間距離200mm、ノズル吐出速度22mg/秒の条件で紡糸し、支持層上に厚さ25μm~35μmの基材層としての極細繊維不織布を得た。
表2に示すように、樹脂及び溶媒の混合割合が異なる以外は、製造例1と同様の手順で極細繊維不織布を得た。
支持層速度を60mm/分とした以外は、製造例1と同様の手順で極細繊維不織布を得た。
<電子顕微鏡観察試験I>
製造例1~4の極細繊維不織布を、支持層としてのポリプロピレン樹脂製の不織布シートを下側にしてサンプルホルダ上に配置し、極細繊維不織布の一部とサンプルホルダとに跨がるようにカーボンテープを貼付し、60秒間スパッタ処理を行った。そして、走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製JSM-6610LA)を用いて、極細繊維不織布表面のSEM観察を行った。そして、極細繊維不織布の平均繊維径[nm]と空隙最大径[nm]を算出した。製造例2の極細繊維不織布のSEM像を図7A,図7Bに示す。図7A,図7Bは、真空度10-3~10-4Torrの高真空状態における5000倍のSEM像であり、それぞれ平均繊維径及び空隙最大径の算出方法を示している。
実施例1の貼付材製品について、ポリエステル製のフィルムを剥がし、粘着層をサンプルホルダ上に貼付し、支持層を剥がした。貼付材の一部とサンプルホルダとに跨がるようにカーボンテープを貼付した。そして、走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製JSM-6610LA)を用いて、基材層表面のSEM観察を行った。図8A,図8B,図9A,図9Bに観察結果のSEM像を示す。なお、図8A,図8Bは、真空度10-3~10-4Torrの高真空撮影により得られたSEM像であり、それぞれ2000倍、5000倍のSEM像である。また、図9A,図9Bは、真空度0.1~1.0Torrの低真空撮影により得られた2000倍のSEM像であり、それぞれ観察開始直後のSEM像、観察開始直後から約3分経過後のSEM像である。
実験例1~5として、表3に示す被験者の右下腕外側の肌に貼付材を貼り、色差を評価する実験を行った。具体的には、まず、表3に示す被験者の右下腕外側の肌の色について、測色計(KONICA MINOLTA社製SPECTRO PHOTO METER CM-3600d)を用いてL*値、a*値、b*値をCIE標準光源であるD65光源下で測定した。また、表3に示す被験者の右下腕外側の肌に実施例1~4及び比較例1,2の貼付材を貼付し、上記測色計を用いてL*値、a*値、b*値をD65光源下で測定した。得られたL*値、a*値、b*値から、上述の式(1)を用いて色差ΔEを算出した。また、CIEDE2000色差式で表される色差ΔE00を算出した。
比較例1の貼付材について、貼付材自体(実験例1-1)のL*値、a*値、b*値、被験者A~Cの肌に貼付したときのL*値、a*値、b*値、及び色差ΔE(実験例1-2~1-4)、及び被験者D~Gの肌に貼付したときのL*値、a*値、b*値、色差ΔE及び色差ΔE00(実験例1-5~1-8)を測定及び算出した。結果を表4に示す。
実施例1,2及び比較例2の貼付材について、被験者A,Bの肌に貼付したときの、L*値、a*値、b*値、色差ΔE及び色差ΔE00(実験例2-1~2-3及び実験例3-1~3-3)を測定及び算出した。結果を表5に示す。
実験例4-1~4-4として、実施例4の貼付材を被験者D~Gの肌に貼付したときの、L*値、a*値、b*値、色差ΔE及び色差ΔE00を測定及び算出した。また、実験例5-1~5-4として、実施例3の貼付材を被験者H~Kの肌に貼付したときの、L*値、a*値、b*値、色差ΔE及び色差ΔE00を測定及び算出した。結果を表6に示す。
実験例6として、肌色カラースケール Skin Color 75(日本色研事業株式会社発行)を用いて貼付材の色差を評価した。具体的には、75色の色パターンについて、上記測色計を用いてL*値、a*値、b*値をD65光源下で測定した。また、色パターンに実施例4,5及び比較例1の貼付材を貼付し、上記測色計を用いてL*値、a*値、b*値をD65光源下で測定した。得られたL*値、a*値、b*値から、上述の色差式(1)を用いて色差ΔEを算出した。また、CIEDE2000色差式で表される色差ΔE00を算出した。結果を表7A~表7Dに示す。また、表7A~表7Dの算出結果から、ΔE及び/又はΔE00が10未満、及び5未満になる色パターンの数を数えた結果を表8に示す。
11 貼付材製品
12 基材層
14 粘着層
16 支持層
18 フィルム層
33 マルチノズル式噴射装置
34 高圧電源装置
35 コレクタ
51 樹脂溶液
101 極細繊維不織布
102 極細繊維
201 液状体
301 肌
401 入射光
S1 樹脂溶液調製工程
S2 紡糸工程
S3 粘着層形成工程
S4 熟成工程
Claims (11)
- 染料を含む極細繊維不織布からなる基材層と、
前記基材層の一面に積層され、粘着成分を含む粘着層とを備えた貼付材であって、
前記基材層の積層方向の厚さは5μm以上200μm以下であり、
前記基材層を形成する極細繊維不織布の繊維径は50nm以上2000nm以下であり、
前記極細繊維不織布の樹脂成分に対する前記染料の割合は、0.01質量%以上2.0質量%以下であり、
前記粘着層の塗膏量は5μm以上400μm未満であり、
前記粘着成分は、中和度が10モル%以上50モル%以下のポリ(メタ)アクリル酸部分中和物であり、
前記粘着層中における前記粘着成分の含有量は、1質量%以上10質量%以下であり、
前記粘着成分は、前記基材層における前記極細繊維不織布の繊維と繊維の交差個所にも水かき状の付着物として存在しており、
肌の色がL*a*b*表色系でL*45以上67以下、a*4以上11以下、及びb*13以上23以下の被験者について、前記貼付材を前記被験者の肌に貼付したときに、前記被験者の肌の色と、前記被験者における前記貼付材を貼付した部分の色とのL*a*b*表色系における色差ΔEが10以下である
ことを特徴とする貼付材。 - 前記貼付材を、肌色カラースケール Skin Color 75(日本色研事業株式会社発行)に記載の75色の色パターン上に貼付したときに、27色以上の色パターンにおいて、前記色パターンの色と、前記色パターンにおける前記貼付材を貼付した部分の色とのL*a*b*表色系における色差ΔEが10以下となる
ことを特徴とする請求項1に記載の貼付材。 - 前記基材層を形成する極細繊維不織布の繊維径は200nm以上800nm以下である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貼付材。 - 前記極細繊維不織布のSEM像において、繊維間の空隙の開口径を測定して得られた最も大きい該開口径の値を空隙最大径としたときに、該空隙最大径は0.1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貼付材。
- 前記粘着層は、薬効成分又は化粧料成分を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の貼付材。 - 前記極細繊維不織布の原料樹脂は、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、ポリ乳酸、ポリアクリロニトリル、ポリカプロラクタン、シルク及びポリビニルアルコールの群から選ばれる少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の貼付材。 - 前記貼付材を人の肌に貼付して所定時間経過後に、前記基材層中で前記粘着成分が固化して膜を形成することにより、前記貼付材は半透明状態を維持する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の貼付材。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載された貼付材の製造方法であって、
前記基材層の前記一面に前記粘着層を形成したときに、前記粘着層の粘着成分が前記基材層の一面側から他面側に向かって前記基材層の内部に浸透することにより、全体として半透明の不織布膜を形成することを特徴とする貼付材の製造方法。 - 原料樹脂を含む樹脂溶液を紡糸して前記基材層を得る基材層形成工程と、
前記基材層の一面に、前記粘着成分を含む組成物を配置して前記粘着層が積層された貼付材本体を得る粘着層形成工程と、
前記貼付材本体を大気中に保持し、熟成させて前記貼付材を得る熟成工程とを備え、
前記熟成工程で、前記粘着成分は前記基材層の内部に浸透する
ことを特徴とする請求項8に記載の貼付材の製造方法。 - 前記染料は、分散染料及び酸性染料の少なくとも一方である
ことを特徴とする請求項9に記載の貼付材の製造方法。 - 前記基材層形成工程で、前記樹脂溶液を、電界紡糸法を用いて紡糸するものであり、
前記電界紡糸法による紡糸は、マルチノズル式エレクトロスピニング装置を用い、ノズル先端から前記樹脂溶液を噴射させて、コレクタの表面上に一定速度で流れるように配置された支持層の表面に該樹脂溶液を吹付けることで行われ、
前記樹脂溶液中における樹脂の濃度は、5質量%以上50質量%以下であり、
前記ノズルと前記コレクタとの間に印加される電圧は、10kV以上50kV以下であり、
前記ノズル先端から前記コレクタまでの距離は、50mm以上200mm以下であり、
前記支持層の送り速度は、0.5mm/分以上200mm/分以下であり、
前記ノズル先端から前記樹脂溶液を噴射させるときのノズル噴射速度は、2mg/秒以上25mg/秒以下である
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の貼付材の製造方法。
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