本発明に係る自動走行システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
この自動走行システム1は、図1に示すように、自動走行経路K1,K2(図3参照)に沿って自動走行する作業車両としてのトラクタ2と、そのトラクタ2に対して各種の情報を指示可能な無線通信端末3とが備えられている。そして、この実施形態では、トラクタ2の位置情報を取得するための基準局4が備えられている。
トラクタ2は、後方側に作業機5を装着可能な車体6を備え、車体6の前部が左右一対の前輪7で支持され、車体6の後部が左右一対の後輪8で支持されている。車体6の前部にはボンネット9が配置され、そのボンネット9内に駆動源としてのエンジン10(ディーゼルエンジン)が収容されている。エンジン10の上部には、排気ガスに含まれる粒子状物質(以下、「PM」と略称する)を捕集して排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置11(以下、「DPF」と略称する)が備えられている。DPF11はボンネット9内においてエンジン10の出力軸の軸心方向と平行又は直交する方向に延びる姿勢で配置される。ボンネット9の後方側には、ユーザが搭乗するためのキャビン12が備えられ、そのキャビン12内には、ユーザが操向操作するためのステアリングハンドル13、ユーザの運転座席14等が備えられている。
図1では、作業車両としてトラクタ2を例示したが、トラクタの他、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等、乗用型作業車両に加え、歩行型作業車両も適用可能である。
図2に示すように、トラクタ2には車両側無線通信部25が備えられ、無線通信端末3には端末側無線通信部31が備えられ、基準局4には基準局側無線通信部41が備えられている。車両側無線通信部25と端末側無線通信部31との間での無線通信によりトラクタ2と無線通信端末3との間で各種の情報を送受信可能とするとともに、車両側無線通信部25と基準局側無線通信部41との間での無線通信によりトラクタ2と基準局4との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。そして、無線通信端末3と基準局4とは、トラクタ2を介して各種の情報を送受信可能に構成されている。ちなみに、端末側無線通信部31と基準局側無線通信部41との間での無線通信により無線通信端末3と基準局4とが、トラクタ2を介さずに直接各種の情報を送受信可能に構成することもできる。各無線通信部同士での無線通信に用いられる周波数帯域は、共通の周波数帯域であってもよいし、互いに異なる周波数帯域であってもよい。
トラクタ2には、図2に示すように、測位用アンテナ21、車両側制御部22、DPF再生制御部23、位置情報取得部24、車両側無線通信部25、車両側再生スイッチ26、記憶部(図示省略)等が備えられている。車両側制御部22は、位置情報取得部24にて自己の現在位置情報(トラクタ2の現在位置)を取得しながら、エンジン制御装置、変速装置及び操舵装置等(図示省略)のトラクタ2に備えられる各種の装置を制御して、トラクタ2を自動走行可能に構成されている。また、トラクタ2には、3軸のジャイロと3方向の加速度計等を有する慣性計測装置(図示省略)が備えられ、車両側制御部22が、慣性計測装置の計測情報に基づいて、トラクタ2の姿勢や進行方向の方位等を検知可能に構成されている。車両側再生スイッチ26は、図示は省略するが、例えば、ステアリングハンドル13の横側脇等、ステアリングハンドル13の近傍箇所に配置されている。
測位用アンテナ21は、図1に示すように、例えば、衛星測位システム(GNSS)を構成する測位衛星15からの信号を受信するように構成されている。測位用アンテナ21は、例えば、トラクタ2のキャビン12のルーフの上面に配置されている。
衛星測位システムを用いた測位方法として、図1に示すように、予め定められた基準点に設置された基準局4を備え、その基準局4からの測位補正情報によりトラクタ2(移動局)の衛星測位情報を補正して、トラクタ2の現在位置を求める測位方法を適用可能としている。例えば、DGPS(ディファレンシャルGPS測位)、RTK測位(リアルタイムキネマティック測位)等の各種の測位方法を適用することができる。ちなみに、測位方法については、基準局4を備えずに単独測位を用いることもできる。
この実施形態では、例えば、RTK測位を適用していることから、図1及び図2に示すように、移動局側となるトラクタ2に測位用アンテナ21を備えるのに加えて、基準局4が備えられている。基準局4の設置位置となる基準点の位置情報は予め設定されて把握されている。基準局4は、例えば、圃場の周囲等、トラクタ2の走行の邪魔にならない位置(基準点)に配置されている。基準局4には、基準局側無線通信部41と基準局測位アンテナ42とが備えられている。
RTK測位では、基準点に設置された基準局4と、位置情報を求める対象の移動局側となるトラクタ2の測位用アンテナ21との両方で測位衛星15からの搬送波位相(衛星測位情報)を測定している。基準局4では、測位衛星15から衛星測位情報を測定する毎に又は設定周期が経過する毎に、測定した衛星測位情報と基準点の位置情報等を含む測位補正情報を生成して、基準局側無線通信部41からトラクタ2の車両側無線通信部25に測位補正情報を送信している。トラクタ2の位置情報取得部24は、測位用アンテナ21にて測定した衛星測位情報を、基準局4から送信される測位補正情報を用いて補正して、トラクタ2の現在位置情報を求めている。位置情報取得部24は、トラクタ2の現在位置情報として、例えば、緯度情報・経度情報を求めている。
無線通信端末3は、例えば、タッチパネルを有するタブレット型のパーソナルコンピュータ等から構成され、各種情報をタッチパネルに表示可能であり、タッチパネルを操作することで、各種の情報も入力可能となっている。無線通信端末3については、ユーザがトラクタ2の外部にて携帯して使用することが可能であるとともに、トラクタ2の運転座席14の側脇等に装着して使用することもできる。
無線通信端末3には、図2に示すように、端末側無線通信部31、端末側制御部32、経路生成部33、表示部34、再生スイッチ35等が備えられている。経路生成部33は、トラクタ2が自動走行する自動走行経路K1,K2(図3参照)を生成するように構成されている。また、無線通信端末3には、記憶部(図示省略)が備えられており、この記憶部には、ユーザにより登録された情報等、各種の情報が記憶されている。
トラクタ2の自動走行を行う場合には、ユーザが無線通信端末3のタッチパネル等を操作して圃場領域、トラクタ2や作業機5に関する情報等の自動走行経路K1,K2を生成するための情報を登録している。無線通信端末3の経路生成部33が、登録情報等に基づいて、トラクタ2が自動走行する自動走行経路K1,K2を生成している。例えば、図3に示すように、経路生成部33は、圃場H内において、自動走行経路K1,K2として、トラクタ2を自動走行させながら耕耘等の作業を行う直線路K1と、直線路K1から次の直線路K1にトラクタ2を旋回させる旋回路K2とを生成している。図3に示す自動走行経路K1,K2は、あくまで一例であり、経路生成部33が、どのような自動走行経路K1,K2を生成するかは適宜変更が可能である。
経路生成部33が自動走行経路K1,K2を生成するに当たり、圃場Hの形状や位置情報等、圃場Hに関する情報が先に登録されている。そして、圃場H内において、自動走行経路K1,K2を生成するための領域として、耕耘等の作業を行う作業領域R1と作業を行わない非作業領域R2(枕地)とが特定されている。経路生成部33は、作業領域R1に対して直線路K1を生成し、非作業領域R2に旋回路K2を生成している。直線路K1は、圃場H内の作業領域R1において一端側から他端側に向けて自動走行させる経路であり、直線路K1がスタート地点Sからゴール地点Gまで作業領域R1の全体に亘って圃場Hの幅方向に隣接して複数並ぶように生成されている。旋回路K2は、圃場Hの幅方向に並ぶ2つの直線路K1においてその端部同士を接続してトラクタ2を旋回させるための経路として生成されている。
このようにして、経路生成部33が自動走行経路K1,K2を生成すると、無線通信端末3の端末側制御部32が、無線通信端末3からトラクタ2に自動走行経路K1,K2に関する経路情報を転送することで、トラクタ2の車両側制御部22が、経路情報を取得することができる。車両側制御部22は、取得した経路情報に基づいて、位置情報取得部24にて自己の現在位置情報(トラクタ2の現在位置)を取得しながら、自動走行経路K1,K2に沿ってトラクタ2を自動走行させることができる。位置情報取得部24にて取得するトラクタ2の現在位置情報については、リアルタイム(例えば、数秒周期)でトラクタ2から無線通信端末3に送信されており、無線通信端末3にてトラクタ2の現在位置を把握するようにしている。
ここで、自動走行経路K1,K2を生成するに当たり、直線路K1及び旋回路K2の夫々に対して、基準エンジン回転速度及びトラクタ2の基準車速が設定されている。直線路K1に対する基準エンジン回転速度及びトラクタ2の基準車速と旋回路K2に対する基準エンジン回転速度及びトラクタ2の基準車速とは、同じエンジン回転速度や車速に設定したり、異なるエンジン回転速度や車速に設定することができる。基準エンジン回転速度を示すエンジン回転速度設定情報、及び、トラクタ2の基準車速を示す車速情報は、経路情報に併せて、無線通信端末3からトラクタ2に無線通信可能に構成されている。
また、自動走行経路K1,K2を生成するに当たり、どのような作業を行うかの作業内容等も設定可能となっており、経路生成部33では、設定された作業内容、経路情報等の各種の情報に基づいて、生成した自動走行経路K1,K2に沿ってトラクタ2を自動走行させたときに作業に要する作業予定時間を求めている。作業予定時間を示す作業予定時間情報は、経路情報に併せて、無線通信端末3からトラクタ2に無線通信可能に構成されている。
無線通信端末3では、ユーザがタッチパネルを操作して自動走行の開始が指示されると、無線通信端末3は、自動走行の開始指示をトラクタ2に送信する。これにより、トラクタ2では、車両側制御部22が、自動走行の開始指示を受けることで、位置情報取得部24にて自己の現在位置情報(トラクタ2の現在位置)を取得しながら、自動走行経路K1,K2に沿ってトラクタ2を自動走行させる自動走行制御を行うように構成されている。
上述の如く、図1に示すように、トラクタ2には、ボンネット9内にエンジン10が配置されており、エンジン10の排気ガスに含まれるPMを捕集して排気ガスを浄化するDPF11が備えられている。以下、図4に基づいて、エンジン10の吸気及び排気についての概略構成について説明する。
エンジン10には、外部から空気を吸入する吸気路51と、燃料を燃焼させる燃焼室52と、燃焼室52からの排気ガスを外部に排出する排気路53とが備えられている。ちなみに、図4では、4つの燃焼室52を有する4気筒のエンジン10を示しているが、燃焼室52の数は適宜変更が可能である。吸気路51には、その空気の流れ方向の上流側から順に、吸気弁54、吸気マニホールド55が配置されている。吸気弁54は、燃焼室52に供給する空気供給量を調整可能に構成されており、吸気マニホールド55は、吸入空気を複数の燃焼室52の夫々に対して分配供給するように構成されている。
エンジン10には、燃焼室52に燃料を供給するために、コモンレール56とインジェクタ57とが備えられている。コモンレール56には、燃料ポンプ(図示省略)により燃料が圧送されている。インジェクタ57は、各燃焼室52に配置されており、コモンレール56にて高圧で蓄えられた燃料を所定のタイミングで各燃焼室52に噴出している。
排気路53には、排気ガスの流れ方向の上流側から順に、排気マニホールド58、排気弁59、DPF11が配置されている。排気マニホールド58は、各燃焼室52にて発生した排気ガスをまとめて排出するように構成されており、排気弁59は、エンジン10の外部に排出する排気ガスの排気量を調整可能に構成されている。
DPF11は、排ガスの流れ方向の上流側から順に、酸化触媒11a、スートフィルタ11bを備えており、酸化触媒11a及びスートフィルタ11bはケーシング内に収容されている。酸化触媒11aは、排気ガスに含まれる一酸化炭素、一酸化窒素等の酸化を促進するように構成されている。スートフィルタ11bは、排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質(PM)を捕集するように構成されており、スートフィルタ11bにて捕集して堆積したPMを燃焼除去するように構成されている。
エンジン10は、EGR装置60を備えており、排気ガスの一部を吸気側に還流可能に構成されている。EGR装置60は、排気路53の排気ガスの一部を吸気路51に還流させるEGR路61を備えている。EGR路61には、排気ガスの流れ方向の上流側から順に、還流する排気ガスを冷却するEGRクーラ62、排気ガスの還流量を調整可能なEGR弁63が配置されている。
エンジン10には、各種のセンサが備えられている。センサとして、例えば、エンジン10の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ64、DPF11における酸化触媒11aの上流側の温度を検出する酸化触媒温度センサ65、DPF11におけるスートフィルタ11bの上流側の温度を検出するスートフィルタ温度センサ66、DPF11におけるスートフィルタ11bの上流側と下流側との差圧を検出する差圧センサ67等が備えられている。
車両側制御部22は、各種のセンサの検出情報、及び、予め設定されているマップ等を用いて、吸気弁54による空気供給量、排気弁59による排気量、インジェクタ57による燃料噴射タイミングや燃料噴射量、EGR弁63による還流量等を制御することで、エンジン10の出力状態が所定の出力状態となるようにしている。車両側制御部22は、例えば、エンジン回転速度センサ64にて検出されるエンジン回転速度が所定のエンジン回転速度になるように、吸気弁54による空気供給量、排気弁59による排気量、インジェクタ57による燃料噴射タイミングや燃料噴射量、EGR弁63による還流量等を制御している。
上述の如く、DPF11におけるスートフィルタ11bによりPMを捕集するので、スートフィルタ11bにはPMが堆積していくことになる。そこで、車両側制御部22には、排気ガスを昇温させることで、DPF11におけるスートフィルタ11bに堆積したPMを燃焼除去し、DPFのPM捕集能力を回復させる、いわゆる再生処理を行うDPF再生制御部23(図2、図4参照)が備えられている。
DPF再生制御部23は、再生処理として、アシスト再生処理とリセット再生処理と駐車再生処理とを実行可能に構成されている。ちなみに、車両側制御部22は、エンジン10の出力状態を所定の出力状態(作業に適した出力状態)になるようにエンジン10を制御しているので、エンジン10の排気ガスの温度(例えば、酸化触媒温度センサ65の検出温度)がPMを燃焼除去するのに十分な高温となっている場合がある。このような場合には、車両側制御部22がエンジン10の通常運転を行うことで、DPF11におけるスートフィルタ11bに堆積したPMの燃焼除去が自然に行われることになる。そこで、車両側制御部22によるエンジン10の通常運転を行っても、DPF11におけるスートフィルタ11bに堆積したPMを燃焼除去できない場合に、DPF再生制御部23による再生処理が行われる。
アシスト再生処理では、DPF再生制御部23が、吸気弁54の開度を絞り側に調整するとともに、インジェクタ57の噴射タイミングをメイン噴射の後のアフタ噴射側とすることで、DPF11内の温度(例えば、酸化触媒温度センサ65やスートフィルタ温度センサ66の検出温度)を設定温度(例えば、250℃~500℃)に制御している。
リセット再生処理(第1再生処理に相当する)では、DPF再生制御部23が、アシスト再生処理に加えて、燃焼工程後にインジェクタ57により燃焼室52内に燃料を噴射(ポスト噴射)することで、DPF11内の温度(例えば、酸化触媒温度センサ65やスートフィルタ温度センサ66の検出温度)を設定温度以上(例えば、560度程度)に制御している。DPF再生制御部23は、リセット再生処理の開始から設定時間(例えば、30分)が経過すると、リセット再生処理を終了している。
駐車再生処理(第2再生処理に相当する)では、トラクタ2を停止させた状態で、DPF再生制御部23が、リセット再生処理に加えて、エンジン回転速度がハイアイドル用エンジン回転速度になるようにエンジン回転速度を増大させることで、DPF11内の温度(例えば、酸化触媒温度センサ65やスートフィルタ温度センサ66の検出温度)を設定温度以上(例えば、600度程度)に制御している。DPF再生制御部23は、駐車再生の開始から設定時間(例えば、30分)が経過すると、駐車再生処理を終了している。
アシスト再生処理とリセット再生処理と駐車再生処理との何れの処理を実行するかの優先順位については、アシスト再生処理を行ってもスートフィルタ11bのPM堆積量が減少しない場合に、DPF再生制御部23が、リセット再生処理を行うように構成されている。また、リセット再生処理を行ってもスートフィルタ11bのPM堆積量が減少しない場合に、DPF再生制御部23が、駐車再生処理を行うように構成されている。
スートフィルタ11bのPM堆積量の求め方について説明する。
スートフィルタ11bにおける上流側と下流側との差圧に対するPM堆積量の関係が実験等により予め設定されている。車両側制御部22(DPF再生制御部23)が、予め設定された差圧に対するPM堆積量の関係を用いて、差圧センサ67の検出情報に基づいて、PM堆積量を示すPM堆積量情報を取得することができる。また、エンジン10から排出されるPMの排出量からDPF11において燃焼除去されるPMの再生量を引くことで、PM堆積量を求めることもできる。PMの排出量及びPMの再生量は、エンジン10の出力状態がどのような出力状態であるかによって異なることから、実験等により、エンジン10の出力状態に対するPMの排出量及びPMの再生量の関係を予め設定しておくことができる。これにより、車両側制御部22(DPF再生制御部23)は、エンジン回転速度センサ64の検出情報や自動走行経路K1,K2に対して設定された基準エンジン回転速度等、エンジン10の出力状態に関する情報を取得することで、予め設定されたエンジン10の出力状態に対するPMの排出量及びPMの再生量の関係を用いて、PM堆積量を示すPM堆積量情報を取得することができる。
この自動走行システム1では、車両側制御部22(制御部に相当する)が、トラクタ2(車体6)を自動走行経路K1,K2に沿って自動走行させる自動走行制御を行うことで、トラクタ2にユーザが搭乗しなくても、圃場H(図3)での耕耘等の各種の作業を行うことができる。自動走行制御を行う際に、車両側制御部22は、必要に応じて、上述の再生処理を行うことが必要となる。
そこで、以下、図5のフローチャートに基づいて、トラクタ2の自動走行を行う際に、どのように再生処理を行うかについて説明する。車両側制御部22が、自動走行制御を開始する前であって、自動走行経路K1,K2に関する経路情報を取得している状態で、図5のフローチャートに示す動作が行われる。
ちなみに、図5では示していないが、アシスト再生処理については、トラクタ2の自動走行制御の開始前、及び、トラクタ2の自動走行制御の実行途中において、PM堆積量が設定量以上となることで、車両側制御部22が、DPF再生制御部23によるアシスト再生処理を行うようにしている。そして、DPF再生制御部23によるアシスト再生処理の実行中に、リセット再生処理及び駐車再生処理を行うことが必要となった場合には、アシスト再生処理から、リセット再生処理や駐車再生処理に移行するように構成されている。
まず、車両側制御部22は、自動走行制御を開始する前に、自動走行制御の実行途中に、リセット再生又は駐車再生条件が成立する可能性があるか否かを判別している(ステップ#1)。自動走行制御を開始する前において、車両側制御部22は、DPF11におけるスートフィルタ11bのDPF堆積量を示すPM堆積量情報、自動走行経路K1,K2に対して設定された基準エンジン回転速度を示すエンジン回転数設定情報、及び、自動走行制御によりトラクタ2が自動走行経路K1,K2を自動走行する予定走行時間を示す予定走行時間情報に基づいて、自動走行制御の実行途中に、リセット再生又は駐車再生条件が成立する可能性があるか否かを判別している。
リセット再生条件は、例えば、アシスト再生処理を実行してもPM堆積量が設定量未満とならない条件や、エンジン10の累積駆動時間が設定時間(例えば、100時間)を経過する毎にリセット再生処理を行うための条件等を含むように設定することができる。駐車再生条件は、例えば、リセット再生処理を実行してもPM堆積量が設定量未満とならない条件を含むように設定することができる。
車両側制御部22は、PM堆積量情報、及び、エンジン回転数設定情報等に基づいて、駐車再生処理を行うべきタイミングとなるまでの猶予時間を求めており、その猶予時間と予定走行時間(予定走行時間情報)とを比較して、猶予時間が予定走行時間を下回る場合に、駐車再生条件が成立する可能性があると判別している。車両側制御部22は、駐車再生条件が成立する可能性があると判別すると、自動走行を禁止しており、PM堆積量が設定量未満に減少するまで、自動走行を禁止する状態を維持している(ステップ#1の駐車再生のYesの場合、ステップ#2、ステップ#3)。この場合、車両側制御部22は、自動走行を禁止していることを示す表示を無線通信端末3の表示部34に表示させるための表示制御信号を出力するようにしてもよい。これにより、無線通信端末3では、表示部34に自動走行を禁止していることが表示されるので、自動走行が禁止されていることをユーザが認識することができる。
ステップ#1にて駐車再生条件が成立する可能性があると判別された場合、ユーザは、手動運転によりトラクタ2を走行させて排気ガスの温度を上昇させることでPMを燃焼除去し、PM堆積量を設定量未満に減少させることで、ステップ#1に戻ることが可能である。なお、ステップ#1にて駐車再生条件が成立する可能性があると判別された場合、後述するステップ#8と同様に、車両側制御部22は駐車再生制御を実行することとしてもよい。駐車再生条件が成立していなくても、その後、駐車再生条件が成立する可能性が高い場合に、自動走行を開始する前に、駐車再生制御を実行することで、より確実にPMを燃焼除去することが可能である。
このようにして、車両側制御部22は、自動走行制御を開始する前に、自動走行制御の実行途中に駐車再生処理(第2再生処理)を行うことが必要となると予測すると、少なくとも駐車再生処理を行うことが必要となる状況であるとして、自動走行制御の開始を禁止している。つまり、車両側制御部22は、少なくとも駐車再生処理に関する自動走行禁止条件が成立していると、少なくとも駐車再生処理を行うことが必要となる状況であるとして、自動走行制御の開始を禁止している。
ここで、車両側制御部22は、駐車再生処理を行うべきタイミングとなるまでの猶予時間と予定走行時間(予定走行時間情報)とを比較することで、駐車再生条件が成立する可能性があるか否かを判別しているが、例えば、自動走行制御を実行するときにエンジン10にかかるエンジン負荷の大小等により、駐車再生条件が成立する可能性があるか否かを判別することもできる。エンジン10にかかるエンジン負荷が大きくなると、排気ガスの温度も上昇することになり、PM堆積量も少なくなる傾向にある。そこで、自動走行制御を実行するときに、エンジン10に対して所定負荷以上の負荷がかからない場合(例えば、自動走行制御を行う作業内容がエンジン負荷の小さい作業内容である場合)には、駐車再生条件が成立する可能性があると判別することができる。
図5のステップ#1において、車両側制御部22は、PM堆積量情報、及び、エンジン回転数設定情報に基づいて、リセット再生処理を行うべきタイミングとなるまでの猶予時間を求めており、その猶予時間と予定走行時間(予定走行時間情報)とを比較して、猶予時間が予定走行時間を下回る場合に、リセット再生条件が成立する可能性があると判別している。車両側制御部22は、リセット再生条件が成立する可能性があると判別すると、リセット再生条件が成立する可能性があることを示す表示を無線通信端末3の表示部34に表示させるための表示制御信号を出力している(ステップ#1のリセット再生のYesの場合、ステップ#4)。その後、無線通信端末3において、ユーザがタッチパネルを操作して自動走行の開始が指示されると、車両側制御部22が、自動走行制御を開始して、トラクタ2の自動走行を行う(ステップ#5のYesの場合、ステップ#6)。
このようにして、車両側制御部22は、自動走行制御を開始する前に、自動走行制御の実行途中にリセット再生処理を行うことが必要となると予測すると、その予測内容を無線通信端末3の表示部34に表示させて、ユーザに予測内容を認識させるようにしている。
ちなみに、リセット再生条件が成立する可能性があるか否かの判別についても、駐車再生条件と同様に、猶予時間と予定走行時間との比較に限るものではなく、例えば、エンジン負荷の大小等、その他の条件に基づいて、リセット再生条件が成立する可能性があるか否かの判別を行うことができる。
車両側制御部22は、リセット再生条件及び駐車再生条件の両条件が成立する可能性がないと判別しているときに(ステップ#1のNoの場合)、無線通信端末3において、ユーザがタッチパネルを操作して自動走行の開始が指示されると、車両側制御部22が、自動走行制御を開始して、トラクタ2の自動走行を行う(ステップ#5のYesの場合、ステップ#6)。ちなみに、車両側制御部22は、リセット再生条件及び駐車再生条件の両条件が成立する可能性がないと判別しているときに、リセット再生条件及び駐車再生条件の両条件が成立する可能性がないことを示す表示を無線通信端末3の表示部34に表示させるための表示制御信号を出力してもよい。
車両側制御部22は、自動走行制御の実行中に、リセット再生又は駐車再生条件が成立するか否かを判別している(ステップ#7)。
車両側制御部22が、駐車再生条件が成立していると判別すると、駐車再生制御が実行され、PM堆積量が設定量未満に減少するまで、駐車再生制御を実行する状態を維持している(ステップ#7の駐車再生のYesの場合、ステップ#8、ステップ#9)。
ここで、駐車再生制御について説明する。
まず、駐車再生制御を行う際の表示等について説明すると、駐車再生条件が成立した場合には、車両側制御部22が、再生スイッチ35(図2参照)を表示させるための表示制御信号を無線通信端末3に送信している。無線通信端末3では、その表示制御信号を受信すると、表示部34に再生スイッチ35を表示させることで、再生スイッチ35を現出させている。
例えば、無線通信端末3では、表示制御信号を受信すると、図8に示す表示画面が表示部34に表示される。図8に示す表示画面では、自動走行経路K1等の経路情報やトラクタ2の現在位置が表示画面の中央部に表示され、自動走行の開始を指令する開始アイコン36及び自動走行の停止を指令する停止アイコン37が表示画面の上方側に表示されている。また、表示画面では、その他各種の情報が表示されているとともに、各種の動作を指令するためのアイコン等も表示されている。駐車再生条件が成立して自動走行が不可となることで、図8に示す表示画面では、開始アイコン36が所定色(例えば、グレー)に表示されて自動走行の開始を指令できない状態となるとともに、左側下端部に位置するアイコン38が他のアイコンと識別可能に表示されている(例えば、赤色に表示されている)。このとき、ユーザによりアイコン38が押し操作されると、表示部34では、図8に示す表示画面から図9に示す表示画面に移行され、開始アイコン36と停止アイコン37との間に再生アイコン(再生スイッチ35)を現出させている。ちなみに、図9に示す表示画面では、DPFアイコン39が他のアイコンと識別可能に表示され(例えば、赤色に表示され)、ユーザがDPFアイコン39を押し操作することで、詳細内容を確認可能な表示画面に移行することになる。
また、車両側制御部22は駐車再生条件が成立した場合に、無線通信端末3の表示部34に再生スイッチ35を現出させるだけでなく、トラクタ2に備えられた車両側再生スイッチ26が備える発光部を点滅発光させる。つまり、駐車再生条件が成立した場合、トラクタ2の車両側再生スイッチ26が点滅し、且つ、無線通信端末3の表示部34に再生スイッチ35が現出する。
車両側再生スイッチ26が点滅し、且つ、再生スイッチ35が現出している状態で、何れかの再生スイッチが操作されると、車両側再生スイッチ26が点灯表示されることで駐車再生処理の実行中であることが示され、また、図10に示す表示画面のように、表示部34に駐車再生処理の実行中であることを示す駐車再生実行メッセージが表示される。そして、駐車再生処理が終了することで、車両側再生スイッチ26を消灯し、また、表示部34における駐車再生実行メッセージの表示が終了する。なお、本実施形態において再生スイッチ35は駐車再生処理の実行中において表示部34に表示しないこととしているが、例えば、駐車再生処理の実行前(例えば点滅表示)と異なる態様(例えは点灯表示)で表示部34に表示し、駐車再生処理が終了したときに表示部34への表示を終了することとしてもよい。
図7に基づいて、駐車再生制御の動作について説明する。ちなみに、以下の説明ではトラクタ2にユーザが搭乗していないことを前提に、所定のステップにおいて再生スイッチ35に対するユーザの操作を判定することとするが、車両側再生スイッチ26に対するユーザの操作についても同時に判定することとしてよい。
車両側制御部22は、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に位置するか否かを判別しており、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に位置していなければ、再生スイッチ35がユーザにより操作されているか否かを確認している(ステップ#31のNoの場合、ステップ#32)。車両側制御部22は、再生スイッチ35が操作されていることを確認し、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に到達したことを確認すると、自動走行を停止させ、DPF再生制御部23による駐車再生処理を行う(ステップ#32のYesの場合、ステップ#33のYesの場合、ステップ#34、ステップ#37)。
ステップ#31において、車両側制御部22は、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に位置していると、自動走行を停止させ、再生スイッチ35が操作されていることを確認すると、DPF再生制御部23による駐車再生処理を行う(ステップ#31のYesの場合、ステップ#35、ステップ#36のYesの場合、ステップ#37)。
このようにして、駐車再生制御では、車両側制御部22が、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に位置しているときに、ユーザによる再生スイッチ35の操作が確認できれば、DPF再生制御部23により駐車再生処理を行っている。自動走行経路K1,K2は、直線路K1と旋回路K2とを含むものであるが、直線路K1が駐車再生処理の実行が禁止されている第1経路に設定され、旋回路K2が駐車再生処理の実行が禁止されていない第2経路に設定されている。そして、車両側制御部22は、トラクタ2の現在位置が旋回路K2(第2経路)に位置するときに駐車再生処理を行うようにしている。これにより、トラクタ2にて作業が行われる直線路K1では、車両側制御部22が駐車再生処理を実行することがないので、作業が中断されることなく、作業効率の向上を図りながら、駐車再生処理を行うことができる。また、車両側制御部22は、無線通信端末3の再生スイッチ35(操作部に相当する)が操作されていない場合に、駐車再生処理の実行を禁止している。駐車再生処理は、トラクタ2の自動走行を一旦停止させることから、ユーザの意思を確認している。ユーザによる再生スイッチ35の人為操作が行われなければ、駐車再生処理が行われず、ユーザによる再生スイッチ35の人為操作によって駐車再生処理の実行を許可するというユーザの意思を確認した上で、駐車再生処理を行うようにしている。
また、駐車再生処理を行うタイミングについては、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に位置しているときとしているが、例えば、旋回路K2において、トラクタ2の走行方向を反転させるポイント(例えば、トラクタ2の姿勢が直線路K1に直交する方向に沿う姿勢となるポイント)にトラクタ2が位置するときに、駐車再生処理を行うようにしてもよい。このように、旋回路K2の全長に亘ってどのポイントにトラクタ2が位置するときでも駐車再生処理を行うことができるだけでなく、旋回路K2において予め設定された一部のポイントにトラクタ2が位置するときだけ駐車再生処理を行うこともできる。
図5に戻り、ステップ#7において、車両側制御部22が、リセット再生条件が成立していると判別すると、リセット再生制御を行う(ステップ#10)。車両側制御部22は、リセット再生制御を行うことで、PM堆積量が設定量未満に減少しているか否かを確認している(ステップ#11)。車両側制御部22は、PM堆積量が設定量未満に減少していると、ステップ#6に戻り、自動走行制御を継続している(ステップ#11のYesの場合)。車両側制御部22は、PM堆積量が設定量未満に減少しておらず、且つ、駐車再生条件が成立していると、上述の駐車再生制御(図7参照)を行う(ステップ#11のNo、且つ、ステップ#13のYesの場合)。
ここで、図6に基づいて、リセット再生制御について説明する。
車両側制御部22は、直線路K1に対応付けられた基準エンジン回転速度が所定回転速度以上であるか否かを判別し、直線路K1に対応付けられた基準エンジン回転速度が所定回転速度未満であると、直線路K1の基準エンジン回転速度を所定回転速度以上のエンジン回転速度(第1再生処理用のエンジン回転速度)に変更している(ステップ#21のNoの場合、ステップ#22)。
車両側制御部22は、旋回路K2に対応付けられた基準エンジン回転速度が所定回転速度以上であるか否かを判別し、旋回路K2に対応付けられた基準エンジン回転速度が未満であると、旋回路K2の基準エンジン回転速度を所定回転速度以上のエンジン回転速度(第1再生処理用のエンジン回転速度)に変更している(ステップ#23のNoの場合、ステップ#24)。
ちなみに、直線路K1における所定回転速度と旋回路K2における所定回転速度とは、同じ回転速度に設定したり、異なる回転速度に設定することができる。基準エンジン回転速度を変更する場合に、どのような回転速度に変更するかについては、ユーザ等によりエンジン回転速度の変更可能範囲を設定することができる。このとき、エンジン回転速度の変更可能範囲は、直線路K1及び旋回路K2に対応付けられたトラクタ2の車速が変更されない範囲に設定することができる。また、エンジン回転速度の変更可能範囲を、直線路K1及び旋回路K2に対応付けられたトラクタ2の車速が変更される範囲とする場合には、車速が変更されることを無線通信端末3の表示部34に表示させて、ユーザに車速が変更することを認識させている。ユーザが車速の変更を許可するための許可操作が行われたときのみ、エンジン回転速度の変更可能範囲を、直線路K1及び旋回路K2に対応付けられたトラクタ2の車速が変更される範囲に設定している。
このようにして、車両側制御部22は、直線路K1に対応付けられた基準エンジン回転速度を所定回転速度以上とし、且つ、旋回路K2に対応付けられた基準エンジン回転速度を所定回転速度以上とした上で、DPF再生制御部23によりリセット再生処理を行うようにしている(ステップ#25)。
DPF再生制御部23によるリセット再生処理では、トラクタ2の現在位置が直線路K1に位置すると、車両側制御部22が、エンジン回転速度を所定回転速度以上の基準エンジン回転速度に制御した状態で、DPF再生制御部23がリセット再生処理を行う。また、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に位置すると、車両側制御部22が、エンジン回転速度を所定回転速度以上の基準エンジン回転速度に制御した状態で、DPF再生制御部23がリセット再生処理を行う。
直線路K1に対応付けられた基準エンジン回転速度を変更した場合、及び、旋回路K2に対応付けられた基準エンジン回転速度を変更した場合には、車両側制御部22が、DPF再生制御部23によるリセット再生処理が終了とすると、直線路K1に対応付けられた基準エンジン回転速度を元の基準エンジン回転速度に復帰設定するとともに、旋回路K2に対応付けられた基準エンジン回転速度を元の基準エンジン回転速度に復帰設定している。
図5に戻り、ステップ#7において、車両側制御部22が、リセット再生条件及び駐車再生条件の両条件が成立していないと判別すると、リセット再生の事前実行条件が成立するか否かを判別している(ステップ#7のNoの場合、ステップ#14)。車両側制御部22は、自動走行制御による作業が終了する前にリセット再生処理が必要となり、且つ、リセット再生処理に要する時間(例えば、30分)が現時点から自動走行制御による作業が終了する前の残り作業時間を上回る場合に、リセット再生の事前実行条件が成立すると判別している。車両側制御部22は、PM堆積量情報、エンジン回転数設定情報、経路情報、及び、トラクタ2の現在の位置情報等に基づいて、自動走行制御による作業が終了する前にリセット再生処理が必要となるか否かを判別している。また、車両側制御部22は、経路情報、及び、トラクタ2の現在の位置情報等に基づいて、リセット再生処理に要する時間(例えば、30分)が残り作業時間を上回るか否かを判別している。
車両側制御部22は、リセット再生の事前実行条件が成立していると判別すると、上述のリセット再生制御を実行する(ステップ#14のYesの場合、ステップ#10)。車両側制御部22は、リセット再生の事前実行条件が成立していないと判別すると、作業が終了したか否かを判別して、作業が終了していると、自動走行制御を終了する(ステップ#14のNoの場合、ステップ#15のYesの場合、ステップ#16)。
このようにして、車両側制御部22は、自動走行制御の実行中に、リセット再生又は駐車再生条件が成立するか否かを繰り返し判別するとともに、リセット再生の事前実行条件が成立するか否かを繰り返し判別している。車両側制御部22は、いずれかの条件が成立すると、その条件に応じた再生制御(リセット再生制御又は駐車再生制御)を行うように構成されている。
ここで、図5~図7に示す動作についてはあくまで一例であり、その他の動作を行うこともできる。例えば、図5のステップ#1において、車両側制御部22は、リセット再生条件が成立する可能性があると判別すると、リセット再生条件が成立する可能性があることを示す表示を無線通信端末3の表示部34に表示させるための表示制御信号を出力している(ステップ#4)。これに代えて、車両側制御部22は、リセット再生条件が成立する可能性があると判別すると、自動走行経路K1,K2を再度生成するための経路再生成指示信号を出力するようにしてもよい。この場合には、無線通信端末3では、経路再生成指示信号を受信すると、表示部34に自動走行経路K1,K2を再度生成するための設定画面等を表示させることができる。このように、自動走行制御を開始する前に、リセット再生条件が成立する可能性がある場合には、再度、自動走行経路を生成することができる。再度、自動走行経路を生成するときには、例えば、エンジン10の負荷が増大して排気ガスの温度が上昇側となる条件を満たすように、自動走行経路を生成することができる。
図5のステップ#14において、車両側制御部22は、リセット再生の事前実行条件が成立していると判別すると、リセット再生制御を実行している(ステップ#14のYesの場合、ステップ#15)。これに代えて、車両側制御部22は、リセット再生の事前実行条件が成立していると判別すると、リセット再生制御の実行を禁止することもできる。これにより、自動走行制御が終了するまでにリセット再生処理が終了しない場合には、リセット再生処理を行わず、自動走行制御が終了した後にリセット再生処理が継続されている状況が現出するのを防止することができる。また、車両側制御部22は、リセット再生の事前実行条件が成立していると判別すると、自動走行制御が終了した後にリセット再生処理が継続されることを示す表示を無線通信端末3の表示部34に表示させるための表示制御信号を出力することもできる。更に、ステップ#14を省略して、リセット再生の事前実行条件が成立しているか否かの判別を行わずに、自動走行制御を行うこともできる。
図5のステップ#7において、車両側制御部22は、自動走行制御の実行中に、駐車再生条件が成立していると判別すると、駐車再生制御(駐車再生処理)を実行している(ステップ#8)。これに代えて、車両側制御部22は、自動走行制御の実行中に、駐車再生条件が成立していると判別しても、駐車再生制御(駐車再生処理)を実行せず、自動走行制御が終了した後に、駐車再生制御(駐車再生処理)を自動的に実行することができる。この場合、車両側制御部22は、自動走行制御が終了した後に駐車再生制御(駐車再生処理)が自動的に実行されることを示す表示を無線通信端末3の表示部34に表示させるための表示制御信号を出力しておくことができる。
図6のリセット再生制御では、再生スイッチ35又は車両側再生スイッチ26に対するユーザの操作を要求することなく、DPF再生制御部23によりリセット再生処理を行うようにしている。これに代えて、リセット再生制御を行うときには、駐車再生制御を行うとき(図7参照)と同様に、無線通信端末3の表示部34に再生スイッチ35を現出させ、且つ、車両側再生スイッチ26を点滅表示させておく。車両側制御部22は、ユーザにより再生スイッチ35又は車両側再生スイッチ26が操作されていない場合にDPF再生制御部23によるリセット再生処理の実行を禁止し、ユーザにより再生スイッチ35又は車両側再生スイッチ26が操作されている場合のみDPF再生制御部23によるリセット再生処理を実行することができる。ちなみに、DPF再生制御部23によるリセット再生処理を行う場合には、リセット再生処理を行うことを示す表示を無線通信端末3の表示部34に表示させることができる。
図7のステップ#33において、車両側制御部22は、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に到達したことを確認した上で、DPF再生制御部23による駐車再生処理を実行している(ステップ#36)。これに代えて、車両側制御部22は、ステップ#32において、再生スイッチ35が操作されると、ステップ#33を省略して、トラクタ2の現在位置が旋回路K2に到達しているか否かにかかわらず、再生スイッチ35が操作された時点で自動走行を停止させて、DPF再生制御部23による駐車再生処理を実行することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、駐車再生処理の実行が禁止されている第1経路を直線路K1とし、駐車再生処理の実行が禁止されていない第2経路を旋回路K2としているが、逆に、駐車再生処理の実行が禁止されている第1経路を旋回路K2とし、駐車再生処理の実行が禁止されていない第2経路を直線路K1とすることもできる。
また、複数の旋回路K2の一部だけを第2経路として、それ以外の自動走行経路K1,K2を第1経路とすることもでき、自動走行経路K1,K2において第1経路と第2経路をどのように設定するかは適宜変更が可能である。例えば、自動走行経路K1,K2において、高温の排気ガスの排出が許容できない経路部分を第1経路とし、高温の排気ガスの排出が許容できる経路部分を第2経路とすることもでき、自動走行制御の作業状況や周囲の状況等の各種の条件に応じて、第1経路と第2経路を設定することができる。
第1経路及び第2経路の設定については、例えば、必要に応じてユーザが無線通信端末3を操作することで、第1経路及び第2経路を変更設定可能に構成することもできるが、第1経路及び第2経路の設定を変更不可として、第1経路及び第2経路の設定を固定しておくこともできる。
(2)上記実施形態では、車両側制御部22が、トラクタ2の現在位置が旋回路K2(第2経路)に位置するときに駐車再生処理を行うようにしている。これに代えて又は加えて、車両側制御部22は、自動走行制御を開始する前や自動走行制御の実行中に、駐車再生処理を行うことが必要となるタイミングを事前に予測しておく。そして、車両側制御部22は、トラクタ2が旋回路K2(第2経路)を走行するタイミングにて、駐車再生処理を行うことが必要となるタイミングとなることが予測されると、そのままトラクタ2が旋回路K2(第2経路)を走行するタイミングにて駐車再生処理を行うことができる。逆に、車両側制御部22は、トラクタ2が直線路K1(第2経路)を走行するタイミングにて、駐車再生処理を行うことが必要となるタイミングとなることが予測されると、直線路K1の手前(直前でなくともよい)の旋回路K2又は直線路K1の次の旋回路K2をトラクタ2が走行するタイミングにて駐車再生処理を行うことができる。
(3)上記実施形態では、車両側制御部22が、ユーザにより再生スイッチ35又は車両側再生スイッチ26が操作されていない場合にDPF再生制御部23による駐車再生処理の実行を禁止し、ユーザにより再生スイッチ35又は車両側再生スイッチ26が操作されている場合のみDPF再生制御部23による駐車再生処理を実行している。これに代えて、車両側制御部22が、ユーザにより再生スイッチ35又は車両側再生スイッチ26が操作されているか否かにかかわらず、DPF再生制御部23による駐車再生処理を行うことができる。この場合には、車両側制御部22は、ユーザにより再生スイッチ35又は車両側再生スイッチ26が操作されたタイミングにてDPF再生制御部23による駐車再生処理を行うとともに、ユーザにより再生スイッチ35又は車両側再生スイッチ26が操作されていない状態が設定時間以上継続すると、DPF再生制御部23による駐車再生処理を自動的に行うことができる。
(4)上記実施形態では、リセット再生処理を第1再生処理に設定しているが、例えば、アシスト再生処理とリセット再生処理とを第1再生処理に設定することもでき、第1再生処理は、トラクタ2を停止させない状態で排気ガス浄化装置11のPMを燃焼除去するものであればよい。
<発明の付記>
本発明の第1特徴構成は、車体を自動走行経路に沿って自動走行させる自動走行制御、及び、エンジンの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置に捕集された粒子状物質を除去する再生処理を実行可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記再生処理として、前記車体の停止を条件とせずに粒子状物質を除去する第1再生処理と、前記車体の停止を条件として粒子状物質を除去する第2再生処理とを実行可能であり、
前記制御部は、少なくとも前記第2再生処理を行うことが必要となる状況である場合に、前記自動走行制御の開始を禁止するように構成されている点にある。
本構成によれば、少なくとも第2再生処理を行うことが必要となる状況であれば、制御部が自動走行制御の開始を禁止するので、自動走行制御を開始する前に、事前に第2再生処理を行うことができる。これにより、その後の自動走行制御を適切に行うことができるので、再生処理を適切なタイミングにて行うことができながら、作業車両等の車体を自動走行させることができる。
本発明の第2特徴構成は、前記制御部は、前記自動走行制御を開始する前に、前記自動走行制御の実行途中に前記第2再生処理を行うことが必要となると予測すると、少なくとも前記第2再生処理を行うことが必要となる状況であると判断している点にある。
自動走行制御を開始する前の時点で第2再生処理を行うことが必要でなくても、その後、自動走行制御の実行途中に第2再生処理を行うことが必要となる場合がある。そこで、本構成によれば、制御部は、自動走行制御を開始する前に、自動走行制御の実行途中に第2再生処理を行うことが必要となると予測できると、少なくとも第2再生処理を行うことが必要となる状況であると判断して、自動走行制御の開始を禁止している。これにより、自動走行制御の実行途中に第2再生処理を行うことが必要となる場合でも、自動走行制御の開始前に事前に第2再生処理を行うことができるので、再生処理を適切なタイミングにて行うことができながら、自動走行制御を適切に行うことができる。
本発明の第3特徴構成は、前記制御部は、前記第2再生処理を行うべきタイミングとなるまでの猶予時間と前記自動走行制御により前記車体が自動走行経路を自動走行する予定走行時間とを比較して、前記猶予時間が前記予定走行時間を下回っている場合に、前記自動走行制御の実行途中に前記第2再生処理を行うことが必要となると予測している点にある。
第2再生処理を行うべきタイミングとなるまでの猶予時間が予定走行時間を下回ると、自動走行制御の実行途中に第2再生処理を行うことが必要となるので、制御部は、猶予時間と予定走行時間とを比較するという比較的簡易な構成でありながら、自動走行制御の実行途中に第2再生処理を行うことが必要となるか否かの予測を適切に行うことができる。これにより、適切な予測に基づいて、自動走行制御を開始する前に第2再生処理を事前に行うことができるので、最適なタイミングにて第2再生処理を行うことができる。
本発明の第4特徴構成は、前記自動走行経路は、前記第2再生処理の実行が禁止されている第1経路と、前記第2再生処理の実行が禁止されていない第2経路とが含まれ、
前記制御部は、前記自動走行制御の実行中に、前記第2経路に前記車体が位置するときに前記第2再生処理を実行するように構成されている点にある。
本構成によれば、制御部は、自動走行制御の実行中に、第1経路に車体が位置するときに第2再生処理を行わず、第2経路に車体が位置するときに第2再生処理を行う。これにより、自動走行制御による作業状況や周囲の状況等の各種の条件に応じて、自動走行経路を第1経路と第2経路に分けることができるので、車体が第2再生処理を行うのに適した経路に位置するときに第2再生処理を行いながら、作業効率の向上を図ることができる。
本発明の第5特徴構成は、前記自動走行制御では、前記自動走行経路に対して基準エンジン回転速度が予め設定されており、前記制御部は、前記自動走行制御の実行中に前記第1再生処理を行う必要がある場合に、前記基準エンジン回転速度を第1再生処理用のエンジン回転速度に変更可能に構成されている点にある。
本構成によれば、制御部は、自動走行制御の実行中に第1再生処理を行う必要がある場合に、基準エンジン回転速度を第1再生処理用のエンジン回転速度に変更できるので、第1再生処理を行うのに適したエンジン回転速度に変更した上で、第1再生処理を行うことができる。これにより、第1再生処理を適切に行うことができるので、DPFに堆積したPMの燃焼除去を適切に行うことができる。
本発明の第6特徴構成は、前記制御部との間で無線通信可能であり、且つ、前記第2再生処理の実行を許可する人為操作式の操作部を有する無線通信端末が備えられ、
前記制御部は、前記無線通信端末の前記操作部が操作された場合に、前記第2再生処理を実行可能に構成されている点にある。
本構成によれば、無線通信端末には、第2再生処理の実行を許可する人為操作式の操作部が備えられているので、ユーザにより操作部が操作されているか否かによって、ユーザが第2再生処理の実行を許可しているか否かを判断することができる。制御部は、無線通信端末の操作部が操作された場合に、第2再生処理の実行を許可するというユーザの意思が確認できたとして、第2再生処理を実行するので、第2再生処理を適切なタイミングにて実行することができる。