JP7279885B2 - 1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出する方法 - Google Patents
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Description
[1]1種以上の被検物質と共存した細胞またはその由来物のゲノム関連情報を検出する方法であって、
前記被検物質と共存させた細胞またはその由来物と、第一バーコード核酸と、第二バーコード核酸連結ビーズとを含んでなる複数の対象コンパートメントを準備し、
ここで、前記第一バーコード核酸は被検物質に予め関連付けされており、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸を含んでおり、
前記ゲノム関連核酸および第一バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
前記ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
前記増幅物の発現パターンを指標として細胞における前記被検物質の共存後のゲノム関連情報を検出すること
を含んでなる、方法。
[2]前記第一バーコード核酸と前記被検物質との関連付けが、前記被検物質と、前記細胞またはその由来物と、前記第一バーコード核酸とを共存させることを含んでなる、[1]に記載の方法。
[3]前記対象コンパートメントの準備が、前記被検物質と共存させた細胞またはその由来物と第一バーコード核酸とを含んでなるサブコンパートメントと、前記第二バーコード核酸連結ビーズを含んでなるサブコンパートメントとを結合させることを含んでなる、[1]または[2]に記載の方法。
[4]1種以上の被検物質と共存した細胞またはその由来物のゲノム関連情報を検出する方法であって、
1種以上の被検物質と、該被検物質に対応する第一バーコード核酸とを含む複数種の第一コンパートメント、および
細胞またはその由来物と第二バーコード核酸連結ビーズとを含む複数種の第二コンパートメント
をそれぞれ準備し、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
1個の第一コンパートメントと、1個の第二コンパートメントとを融合した、複数種の第三コンパートメントを作成し、
ここで、第三コンパートメントにおいて細胞またはその由来物と被検物質とは共存しており;
前記ゲノム関連核酸および第一バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
前記ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
前記増幅物の発現パターンを指標として細胞における前記被検物質の共存後のゲノム関連情報を検出すること
を含んでなる、方法。
[5]第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、
前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出する、[1]~[4]のいずれか一つに記載の方法。
[6]前記ゲノム関連核酸が、前記細胞ゲノムDNA、または前記細胞ゲノムに由来するRNAもしくはそのcDNAである、[1]~[5]のいずれか一つに記載の方法。
[7]第一バーコード核酸が各々、同一の被検物質において共通する第一共通バーコード領域と、第二バーコード核酸とハイブリダイズ可能な第一ハイブリダイズ領域とを含んでいる、[1]~[6]のいずれか一つに記載の方法。
[8]第一共通バーコード領域の配列情報が、被検物質を特定する指標となる、[1]~[7]のいずれか一つに記載の方法。
[9]前記第二ビーズに連結した複数の第二バーコード核酸が各々、互いに共通する第二共通バーコード領域と、互いに峻別しうる第二固有バーコード領域と、ゲノム関連核酸または第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な第二ハイブリダイズ領域とを含んでなる、[1]~[8]のいずれか一つに記載の方法。
[10]前記第二共通バーコード領域の配列情報が、コンパートメント中に存在する細胞またはその由来物を特定する指標となる、[8]に記載の方法。
[11]前記第二固有バーコード領域の配列情報が、ゲノム関連核酸を特定する指標となる、[9]または[10]に記載の方法。
[12]第二バーコード核酸が、PCRプライマー領域をさらに含んでなる、[1]~[11]のいずれか一つに記載の方法。
[13]第二ハイブリダイズ領域が、前記第一ハイブリダイズ領域または前記ゲノム関連核酸と相補的な核酸を含んでなる、[9]~[12]のいずれか一つに記載の方法。
[14]1種以上の被検物質と共存した細胞の非破壊的計測情報とゲノム関連情報とを一体的に検出する、[1]~[3]のいずれかに記載の方法であって、
前記対象コンパートメントが、第三バーコード核酸を有するビーズをさらに含み、
ここで、第三バーコード核酸を有するビーズは、
各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸と切断可能に連結されている粒子、または、
各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸を含む生物であって、
かつ第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報は互いに峻別可能であり、
細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けし、
前記関連付けした第三バーコード核酸を有するビーズから第三バーコード核酸を切断するか取り出し、前記ゲノム関連核酸および第三バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
前記ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
前記増幅物の発現パターンを指標として細胞における非破壊的計測情報とゲノム関連情報とを一体的に検出すること
をさらに含んでなる、方法。
[15]1種以上の被検物質と共存した細胞の非破壊的計測情報とゲノム関連情報とを一体的に検出する、[4]~[13]のいずれか一つに記載の方法であって、
前記第二コンパートメントが、さらに第三バーコード核酸を有するビーズを含み、
ここで、第三バーコード核酸を有するビーズは、
各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸と切断可能に連結されている粒子、または、
各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸を含む生物であって、
かつ第三コンパートメントにおける第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報は互いに峻別可能であり、
細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けし、
前記関連付けした第三バーコード核酸を有するビーズから第三バーコード核酸を切断するか取り出し、前記ゲノム関連核酸および第三バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
前記ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
前記増幅物の発現パターンを指標として細胞における非破壊的計測情報とゲノム関連情報とを一体的に検出すること
をさらに含んでなる、方法。
[16]第三コンパートメントを準備する前、第二コンパートメント、および/または第三コンパートメントにおいて、細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けする、[14]または[15]に記載の方法。
[17]前記非破壊的計測情報が、色、蛍光、サイズ、形状、電磁波、透過、位相、散乱、反射、コヒーレントラマン、ラマンおよび吸収スペクトルから選択される少なくとも1つの測定情報に基づくものである、[14]~[16]のいずれか一つに記載の方法。
[18]1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸および第二バーコード核酸連結ビーズの組み合わせ物であって、
第一バーコード核酸は各々、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、
第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができる、組み合わせ物。
[19]1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第二バーコード核酸連結ビーズと共に用いる、第一バーコード核酸を含んでなる検出剤であって、
第一バーコード核酸は各々、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、
第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができる、検出剤。
[20]1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸と共に用いる、第二バーコード核酸連結ビーズを含んでなる検出剤であって、
第一バーコード核酸各々は、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、
第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができる、検出剤。
[21]複数種の第一コンパートメントを含む組成物であって、各第一コンパートメントには、それぞれ1種の被検物質と当該1種の被検物質に対応する第一バーコード核酸が含まれる、組成物。
[22]1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸と共に用いる、複数種の第二コンパートメントを含む組成物であって、
第一バーコード核酸各々は、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、
各第二コンパートメントは、それぞれ細胞またはその由来物と第二バーコード核酸連結ビーズとを含み、
第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができる、組成物。
[23][1]~[17]に記載の方法において検出される細胞またはその由来物のゲノム関連情報に基づき、被検物質をスクリーニングする方法。
[24][14]~[17]に記載の方法において検出される細胞の非破壊的計測情報およびゲノム関連情報に基づき、被検物質をスクリーニングする方法。
本明細書において「ゲノム関連情報」とは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報をいう。ここで、「ゲノム関連核酸」とは、好ましくは細胞のゲノムDNA、細胞ゲノムに由来するmRNA等のRNAもしくはそのcDNA、または細胞で発現する蛋白質等の分子に特異的に相互作用(例えば、結合)する核酸プローブ(以下、細胞で発現する蛋白質等の分子に特異的な核酸プローブともいう)をいう。前記核酸プローブは、標的とする蛋白質等の分子に特異的に結合する分子(以下、結合分子ともいう)に切断可能に連結された互いに峻別しうるバーコード核酸を含むことが好ましい。また、核酸がゲノムDNAである場合には、当該DNAは制限酵素等で切断された断片でも良いし、当該DNA断片にDNAタグが導入されていても良い。
バーコード領域の種類としては、共通バーコード領域、固有バーコード領域の二種類が存在する。
共通バーコード領域とは、同一の識別の対象において共通するバーコード領域である。識別の対象が被検物質である場合には、例えば、被検物質毎に異なるバーコード領域、すなわち、一つの被検物質において共通するバーコード領域が挙げられる。共通バーコード領域で標識することにより、各被検物質が識別可能とされる。また、1つのコンパートメント中に被検物質の組み合わせが含まれる等、識別の対象が被検物質の組み合わせである場合には、該組み合わせ毎に異なるバーコード領域、すなわち、特定の被検物質の組み合わせにおいて共通するバーコード領域であるか、被検物質毎で共通する共通バーコード領域を有するバーコード核酸で標識することが挙げられる。かかる共通バーコード領域で標識することにより、被検物質の組み合わせが識別可能とされる。識別の対象が一細胞のゲノム関連情報である場合には、細胞毎に異なるバーコード領域、すなわち、一つの細胞において共通するバーコード領域が挙げられる。共通バーコード領域で標識することにより、同細胞由来のゲノム関連情報が識別可能とされる。また、識別の対象がビーズのイメージング情報の場合には、同一のイメージング情報を有するビーズ毎に異なるバーコード領域、すなわち、同一のイメージング情報を有するビーズにおいて共通するバーコード領域が挙げられる。共通バーコード領域で標識することにより、同一のイメージング情報を有するビーズ由来のイメージング情報を識別可能とするものである。
さらに、細胞で発現する蛋白質等の分子に特異的な核酸プローブにおいて、該核酸プローブは該蛋白質等の分子に特異的に結合する分子(結合分子)を含むものである。ここで、前記核酸プローブにおける、前記結合分子毎に異なるバーコード領域、すなわち、同一の結合分子において共通するバーコード領域も共通バーコード領域とされる。
また、固有バーコード領域とは、バーコード核酸毎に異なるバーコード領域で標識することにより、各バーコード核酸を各々峻別可能とするものである。例えば、固有バーコード領域に標識されることにより、各バーコード核酸に連結したビーズ、各バーコード核酸を含む生物、各バーコード核酸とハイブリダイズしたゲノム関連核酸が識別可能とされる。
バーコード領域の長さは、特に限定されるものでないが、好ましくは10~40塩基長の配列である。例えばバーコード領域が12塩基長である場合は、412種類の多様性のあるバーコード配列を一度に核酸増幅することができ、412種類のビーズを作製することができる。
したがって、「ハイブリダイズ領域」は、細胞ゲノムもしくはその由来物に対応するゲノム関連核酸または別のバーコード核酸に結合する(ハイブリダイズする)領域が好ましい。かかるハイブリダイズ領域は、バーコード核酸においてバーコード領域と共に存在することが好ましい。
例えば、ゲノム関連核酸がmRNAである場合は、第二バーコード核酸における第二ハイブリダイズ領域はTにより構成されるポリチミンであることが好ましい。ポリチミンの長さはmRNAのポリアデニン(A)テールとアニーリングし得る(ハイブリダイズし得る)長さであればよい。上記の場合、第一および第三ハイブリダイズ領域はポリチミンに相補的な配列、例えば、ポリアデニン(ポリA)であることが好ましい。
ゲノム関連核酸がゲノムDNA等のDNAである場合、第二バーコード核酸における第二ハイブリダイズ領域は当該DNAの特定の配列または当該DNAに導入されたDNAタグの配列と相補的な配列を含んでなることが好ましい。上記の場合、第一および第三ハイブリダイズ領域は第二ハイブリダイズ領域に相補的な配列であることが好ましい。
また、細胞で発現する蛋白質等の分子に特異的な核酸プローブがバーコード核酸を含み、当該バーコード核酸がハイブリダイズ領域を含む場合には、第二バーコード核酸における第二ハイブリダイズ領域は当該ハイブリダイズ領域と相補的な配列を含んでなることが好ましい。上記の場合、上記核酸プローブに連結したバーコード核酸におけるハイブリダイズ領域は第二ハイブリダイズ領域に相補的な配列であることが好ましい。
1種以上の被検物質と、該被検物質に対応する第一バーコード核酸とを含む複数種の第一コンパートメント、および
細胞またはその由来物と第二バーコード核酸連結ビーズとを含む複数種の第二コンパートメント
をそれぞれ準備し、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、;
1個の第一コンパートメントと、1個の第二コンパートメントとを融合した、複数種の第三コンパートメントを作成し、
ここで、第三コンパートメントにおいて細胞またはその由来物と被検物質とは共存しており;
前記ゲノム関連核酸および第一バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得;
該ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し;
該増幅物の発現パターンを指標として細胞における前記被検物質の共存後のゲノム関連情報を検出することを含んでなることを特徴としている。
本発明の第一コンパートメントおよび第二コンパートメント準備工程は、1コンパートメント当たり、1種以上の被検物質と該被検物質に対応する第一バーコード核酸とを含む複数種の第一コンパートメント、および細胞またはその由来物と第二バーコード核酸連結ビーズとを含む複数種の第二コンパートメントをそれぞれ準備する工程である。ここで、第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結している。
本発明のコンパートメントとしては、1種以上の被検物質と該被検物質に対応する第一バーコード核酸とを含む第一コンパートメント、細胞またはその由来物と第二バーコード核酸連結ビーズとを含む第二コンパートメント、第一コンパートメントと第二コンパートメントとを融合した第三コンパートメント、第四コンパートメントおよび第五コンパートメントが挙げられる。かかるコンパートメントはそれぞれ、コンパートメント中の各成分の組み合わせを、他のコンパートメントと区別しうる区画の単位である。
検出の対象となる細胞の種類、形態は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されず、目的に応じて細胞を選択することができる。また、上記コンパートメントに含まれる細胞は、細胞の由来物であってもよい。かかる由来物としては、細胞の破砕物、細胞の内容物、細胞の溶解物、細胞から構成されるユニット(例えば、細胞塊、スフェロイド、オルガノイド)が挙げられる。
本発明の被検物質は、所望の細胞での応答を検討する被検物質であれば特に限定されず、化合物(例えば、薬剤、培地成分)、細胞等が挙げられる。
本発明の第一バーコード核酸は、各被検物質に対応するバーコード領域を含んでいれば、特に限定されず、例えば、該核酸はRNA、DNAまたはそれら組み合わせである。
上記第一バーコード核酸は核酸単体であってもよく、第一ビーズに連結されるか(以下、第一バーコード核酸連結ビーズともいう)または第一ビーズ中に存在していてもよい。 本明細書において、ビーズとは、本発明の効果を妨げない限り特に限定されず、バーコード核酸が連結できる粒子もしくはバーコード核酸を含むことができる粒子またはバーコード核酸を含むことができる生物が好ましい。または、ビーズの形状も限定されない。
第一バーコード核酸は第一ビーズ一つあたり同一の第一バーコード核酸が複数連結しているか、第一ビーズ一つあたり同一の第一バーコード核酸が複数存在していることが好ましい。
また、上記第一ビーズに連結されるか上記第一ビーズ中に存在する第一バーコード核酸は一種類であることが好ましい。
図1では、第一バーコード核酸の一態様として、第一バーコード核酸がDNAである態様を示す。第一バーコード核酸101は第一共通バーコード領域102および第一ハイブリダイズ領域103を含む。ここで、第一ハイブリダイズ領域103としてポリアデニンが挙げられる。
第一バーコード核酸は特定の核酸配列を固相合成法または酵素合成法により調製される。バーコード核酸がRNAである場合は、一本鎖バーコード核酸の相補鎖となるDNA鋳型を合成した後、線形増幅反応にて、DNA鋳型上のプロモーター配列に結合して一本鎖バーコード領域を含むRNAを合成する、T7等のRNAポリメラーゼにより合成してもよい。バーコード核酸がDNAである場合は、該バーコード核酸は本発明の効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、既知配列を用いて合成されおよび/または設計されてもよい。
第一バーコード核酸連結ビーズは、後述の第三バーコード核酸を有するビーズの製造方法と同様の製造方法を用いることができる。
図2では、ゲノム関連核酸、および第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結している第二ビーズ(以下、第二バーコード核酸連結ビーズともいう)の一態様を示す。
図2では、第二バーコード核酸連結ビーズ207を示し、第二バーコード核酸202が第二ビーズ201に連結している。第二バーコード核酸202は、第二共通バーコード領域203、第二固有バーコード領域204および第二ハイブリダイズ領域205を含む。第二バーコード核酸202は、第二ビーズ側から順に、PCRプライマー領域206、第二共通バーコード領域203、第二固有バーコード領域204および第二ハイブリダイズ領域205を含む。上記第二ハイブリダイズ領域205はポリチミンである。第二バーコード核酸202は、第二固有バーコード領域204を含むため、各第二バーコード核酸としてはそれぞれ異なる配列を有する。したがって、第二ビーズに連結する複数の第二バーコード核酸は複数種の第二バーコード核酸となることが好ましい。
第二ビーズは、多数のゲノム関連核酸とハイブリダイズできる観点から、1,000~100,000の第二バーコード核酸と連結していることが好ましい。
本発明の第二ビーズの材質は、第一ビーズ粒子と同様の材質を用いることができる。
本発明の第二ビーズの材質は、好ましくは、ハイドロゲル、樹脂であり、より好ましくは、アクリルアミド、ポリスチレン、親水性ビニルポリマー、PEGまたはその誘導体が結合した親水性ビニルポリマーである。
本発明の第二バーコード核酸は、バーコード領域を含んでいれば、特に限定されず、例えば、該核酸は、RNA、DNAまたはそれら組み合わせである。第二バーコード核酸は第二ビーズに直接的または間接的に連結することができる。
上述のように、ゲノム関連核酸は上記第二共通バーコード領域の配列情報に関連づけられるため、該ゲノム関連核酸が由来する細胞を特定することができる。さらに、上記第二バーコード核酸は第一バーコード核酸とハイブリダイズするため、第一バーコード核酸の第一共通バーコード領域等の配列情報も上記第二共通バーコード領域の配列情報に関連づけられることとなる。なお、上述のように、第一共通バーコード領域の配列情報は各被検物質に対応している。
さらに、上記第二バーコード核酸は第三バーコード核酸とハイブリダイズするため、第三バーコード核酸を有するビーズの第三共通バーコード領域等の配列情報も上記第二共通バーコード領域の配列情報に関連づけられることとなる。なお、第三共通バーコード領域の配列情報は各第三ビーズのイメージング情報に関連づけられている。また、細胞の非破壊的計測情報も各第三ビーズのイメージング情報に関連づけられている。したがって、ゲノム関連核酸情報と細胞の非破壊的計測情報に一対一に対応できる。
複数種の第二バーコード核酸連結ビーズの製造方法は、公知の手法により製造することができる。例えば、E. Z. Macosko et al., Highly Parallel Genome-wide Expression Profiling of Individual Cells Using Nanoliter Droplets. Cell. 161, 1202-1214 (2015)またはGierahn, T. M et al., Seq-Well: A Portable, Low-Cost Platform for High-Throughput Single-Cell RNA-Seq of Low-Input Samples;Nat Methods. 14, 395-398 (2017)に記載の方法により製造することができる。
上記第二共通バーコードを製造した後に、第二固有バーコード領域を合成する。第二共通バーコード領域に連結した全てのビーズに対してA、T、G、Cの全ての塩基の存在下での合成をmラウンド行う。ラウンド数mは、製造するバーコード配列の長さにより適宜設定できる。例えば、m=3~15が挙げられる。
まず、n種の被検物質、すなわち、被検物質1 301~被検物質n 303、および、被検物質1 301、被検物質n 303にそれぞれ対応する第一バーコード核酸 302、304を準備する。その後、1つの被検物質に対応する第一バーコード核酸をそれぞれ含む第一コンパートメント305を準備する。なお、図3aでは、第一バーコード核酸はDNAであり、第一共通バーコード領域およびポリアデニンを含む。
分配処理の方法は後述する。
1個の第一コンパートメント305と1個の第二コンパートメント308とを融合させて第三コンパートメント309を作成する方法は、公知の手法を用いることができる。例えば、B.L. Wang et al., Nat Biotechnol. 32(5), 473-8 (2014 May)、B. Demaree et al., J Vis Exp. (135), 57598 (2018)、L. Xu et al., Lab Chip. 12(20), 3936-42 (2012)、L. Mazutis et al., Lab Chip. 9(20), 2902-8 (2009)に記載の方法が挙げられる。
必要に応じ、細胞またはその由来物と被検物質とを第三コンパートメントにおいて共存した状態で培養してもよい。かかる培養とは、例えば、第三コンパートメントを所望の培養時間、培養温度で保持することが挙げられる。第三コンパートメントの保持において、複数種の第三コンパートメントを保持できるリザーバに、第三コンパートメントを移動し保持してもよい。上記工程は、公知の手法により行うことができる。例えば、J.J. Agresti et al., Proc Natl Acad Sci U S A., 107(9), 4004-9 (2010)、A. Abbaspourrad et al., Sci Rep., 5, 12756 (2015)、B.L. Wang et al., Nat Biotechnol., 32(5), 473-8 (2014)に記載の方法により行うことができる。
ハイブリダイズ複合体取得工程は、前記ゲノム関連核酸および第一バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得る工程を含む。
上記工程は、公知の手法により行うことができる。例えば、E. Z. Macosko et al., Highly Parallel Genome-wide Expression Profiling of Individual Cells Using Nanoliter Droplets. Cell. 161, 1202-1214 (2015)またはZheng GX et al., Massively parallel digital transcriptional profiling of single cells. Nat Commun. 6;8:14049 (2017)に記載の方法により行うことができる。
以下、特に限定するものではないが、ハイブリダイズ複合体取得工程の一態様を図3bに従って説明する。
上述の様に、複数種の第三コンパートメント作成工程、および、必要に応じ、被検物質共存下における細胞の培養工程、細胞溶解バッファー添加工程に続き、細胞を溶解する。その後、コンパートメント内で、細胞由来mRNA312および第一バーコード核酸302をそれぞれ、第二バーコード核酸313にハイブリダイズさせ、ハイブリダイズ複合体314を得る。その後に、液滴を破壊する。
ハイブリダイズ複合体由来の増幅物の製造工程は、上記ハイブリダイズ複合体取得工程で得られたハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造する工程を含む。
上記工程は、公知の手法により行うことができる。例えば、E. Z. Macosko et al., Highly Parallel Genome-wide Expression Profiling of Individual Cells Using Nanoliter Droplets. Cell. 161, 1202-1214 (2015)またはZheng GX et al., Massively parallel digital transcriptional profiling of single cells. Nat Commun. 6;8:14049 (2017)に記載の方法により行うことができる。
上述のハイブリダイズ複合体取得工程で得られたハイブリダイズ複合体に対して、相補鎖DNAの合成および逆転写反応を行う。この合成反応および逆転写反応により、細胞由来mRNA312に対するcDNA317が合成され、第一バーコード核酸302に対する相補鎖DNA316が合成される。その後、鋳型切り替え(テンプレートスイッチング)を行ってもよい。
その後、得られた増幅物に基づいて、被検物質1~nをそれぞれ含む各第三コンパートメントに由来する、第一増幅物および第二増幅物を含む増幅物のライブラリーを調製する。
細胞における被検物質共存後のゲノム関連情報の検出工程は、上記ハイブリダイズ複合体由来の増幅物の製造工程で得られた増幅物の発現パターンを指標として細胞と共存した被検物質を同定し該細胞のゲノム関連情報を検出する工程を含む。上記増幅物の発現パターンとしては、例えば、シークエンシングにより得られた、増幅物の配列情報、例えば、該配列情報中の第一バーコード核酸の配列情報(例えば、第一共通バーコード領域の配列情報)、第二バーコード核酸の配列情報(例えば、第二共通バーコード領域の配列情報、第二固有バーコード領域の配列情報)等が挙げられる。
上述のハイブリダイズ複合体由来の増幅物の製造工程で得られた増幅物(第一増幅物、第二増幅物)の配列をシーケンサーにより決定し、増幅物の配列情報の解析を行う。第二増幅物の解析では、第二共通バーコード領域の配列情報を指標として、各増幅物の由来する細胞を割り当てる。また、第二固有バーコード領域の配列情報により、各mRNA分子を識別できることから、該配列情報を指標として、細胞毎のmRNAの配列およびその発現量等の情報を得ることができる。上記第二増幅物の解析で得られた情報に基づき、細胞毎のトランスクリプトーム情報322を得ることができる。
したがって、1種以上の被検物質と共存した細胞またはその由来物のトランスクリプトーム情報等のゲノム関連情報の検出により、共存した被検物質に対しての細胞の応答を評価することができる。
本発明の第二の態様によれば、本発明は、第一の態様による検出方法に加え、1種以上の被検物質と共存した細胞の非破壊的計測情報とゲノム関連情報とを一体的に検出する方法をさらに含む。
かかる方法は、上述の、1種以上の被検物質と共存した細胞またはその由来物のゲノム関連情報を検出する方法であって、
前記第二コンパートメントが、さらに第三バーコード核酸を有するビーズを含み、
ここで、第三バーコード核酸を有するビーズは、
各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸と切断可能に連結されている粒子、または、
各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸を含む生物であって、
かつ第三コンパートメントにおける第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報は互いに峻別可能であり、
細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けし、
関連付けした第三バーコード核酸を有するビーズから第三バーコード核酸を切断するか取り出し、前記ゲノム関連核酸および第三バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
増幅物の発現パターンを指標として細胞における非破壊的計測情報とゲノム関連情報とを一体的に検出すること
をさらに含んでなることを特徴としている。
本発明の第三バーコード核酸を有するビーズで用いられる第三ビーズは、そのイメージング情報に基づき、各コンパートメント中の細胞またはその由来物の非破壊的計測情報を特定するための指標として用いられる。したがって、本発明の第三ビーズは、細胞またはその由来物と共にコンパートメントに分配することが可能であり、かつイメージング情報を測定可能なビーズとすることができる。また、各コンパートメントに分配されるビーズは、コンパートメント内の細胞またはその由来物の非破壊的計測情報を特定する指標として機能することから、互いに峻別しうるイメージング情報を有していることが好ましい。
第三ビーズが粒子である場合、その材質は、第一ビーズと同様の材質を用いることができる。第三ビーズの材質は、好ましくは、ハイドロゲルであり、より好ましくは、アクリルアミド、アルギン酸である。
第三ビーズが生物である場合、第一ビーズと同様の生物を用いることができる。かかる生物としては、具体的には、大腸菌等のバクテリア、酵母等の真菌が挙げられる。かかる生物は第三バーコード核酸を有するプラスミドを増幅できることが好ましい。
例えば、第三ビーズのイメージング情報として、ビーズのサイズ、蛍光の色、蛍光の濃度を選択した例を以下に示す。ビーズのサイズが3種類(3、7、11μm)、蛍光色素の色が3色(青、緑、赤)、蛍光色素の濃度による強度レベルが6種類(0、1、2、3、4、5)とする。その場合、第三ビーズの種類としては、(強度レベルサイズ種類-1)×サイズ種類=(63-1)×3=645となる。
ここで、コンパートメント中に、第三ビーズが3個存在する場合、第三ビーズの各組み合わせの種類としては645C3>107通りと非常に多くの種類の組み合わせを得ることができる。
上記細胞の非破壊的計測情報としては、細胞の特徴を認識できるものであれば、特に限定されず、イメージング情報、細胞から得られる形態情報、細胞から得られる物理波(例えば、音、超音波)の測定情報、細胞から得られる電磁波(例えば、光、テラヘルツ)の測定情報が挙げられる。ここで、上記イメージング情報は第三ビーズのイメージング情報と同様に得ることができる。上記非破壊的計測情報としては、例えば、色、蛍光、サイズ、形状、電磁波、透過、位相、散乱、反射、コヒーレントラマン、赤外分光、ラマン、もしくは吸収スペクトル等の測定情報に基づくイメージング情報、または、核、細胞質の大きさ、細胞骨格の粗密さ、内部構造の特徴量、膜の一様さ、各構造の蛍光強度、分子局在、分子もしくは観察対象の位置関係等の細胞の形態情報が挙げられ、好ましくは、細胞から得られる形態情報である。
本発明における、第三バーコード核酸を有するビーズは、各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸と切断可能に連結されている粒子、または、各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸を含む生物であることが好ましい。
第三バーコード核酸402が、互いに峻別しうるイメージング情報を有する第三ビーズ401に連結している。第三バーコード核酸402は第三共通バーコード領域403および第三ハイブリダイズ領域404を含む。第三バーコード核酸402は、第三ビーズ側から順に、第三共通バーコード領域403および第三ハイブリダイズ領域404を含む。ここで、第三ハイブリダイズ領域404としてポリアデニンが挙げられる。さらに、第三バーコード核酸402は、切断可能なリンカー405を介して切断可能に、ビーズ401に連結している。
本発明の第三ビーズは、第三バーコード核酸を含みかつ互いに峻別しうるイメージング情報を有する生物(以下、第三バーコード核酸を含む生物、ともいう)であってもよい。 かかる生物は、第三バーコード核酸を有するプラスミドを含むことが好ましい。また、かかる生物におけるイメージング情報は、本発明のイメージング情報であれば特に限定されないが、好ましくは、生物の個数、蛍光であり、蛍光としては各色のスペクトルのみならずその輝度情報も含む。さらに、蛍光はプラスミド中に存在する蛍光タンパク質遺伝子から発現する蛍光タンパク質により得られることが好ましい。したがって、本発明の生物は、例えば、第三バーコード核酸と蛍光タンパク質遺伝子とを有するプラスミドを含むことが好ましい。ここで、第三バーコード核酸は第三共通バーコード領域(例えば、蛍光タンパク質毎に共通した共通バーコード領域)および第三ハイブリダイズ領域を含み、第三ハイブリダイズ領域としてポリアデニンが挙げられる。さらに、第三バーコード核酸は第三固有バーコード領域を含んでいてもよい。かかる第三固有バーコード領域は生物の各クローンを峻別可能とするものである。したがって、本発明の生物におけるプラスミドの構成は、例えば、順に、蛍光タンパク質遺伝子領域、第三固有バーコード領域、第三共通バーコード領域、および第三ハイブリダイズ領域とされる。
本発明の第三バーコード核酸は、各イメージング情報に対応するバーコード領域を含んでいれば、特に限定されず、例えば、該核酸はRNA、DNAまたはそれら組み合わせである。
また、本発明の第三ビーズは一種類の第三バーコード核酸を連結していることが好ましい。
第三バーコード核酸と連結している第三ビーズの製造方法は、公知の手法に準じて製造することができる。例えば、A. M. Klein et al., Droplet Barcoding for Single-Cell Transcriptomics Applied to Embryonic Stem Cells. Cell. 161, 1187-1201 (2015) に記載の方法に準じて製造することができる。
上記方法の一例としては、マイクロ流体エマルジョン技術により、第三バーコード核酸含有アクリルアミド:ビスアクリルアミド水溶液を有機溶媒層中でアクリルアミド重合体とし、第三ビーズとして用いる。ここで、第三バーコード核酸に結合した切断可能なリンカーのビーズ連結側はアクリルホスホロアミダイド部分(Acrydite(商標))等のアクリルアミド部分で修飾することができる。上記修飾によりアクリルアミドの重合時に、第三バーコード核酸もアクリルアミド重合体に共に重合される。このエマルション化の前に、例えば、上記水溶液に、蛍光標識されたアクリルアミドモノマーを溶解させておくことにより、各色での種々の蛍光強度を有する第三ビーズを作成することができる。具体的には、第三ビーズはフローフォーカシング・デバイス(flow focusing device)、またはマイクロウェル等のマイクロ流体技術を用いた液滴製造法を用いて製造することができる。ビーズのサイズは、フローフォーカシング・デバイスでは流体条件を変えることにより、マイクロウェルではそれぞれのチャンバーのサイズを変更することにより制御することができる。重合化した後、得られた第三ビーズを液滴から取り出し、何回か洗浄し、第三ビーズとして用いる。
上記方法の一例を述べる。まず、第三バーコード核酸は特定の核酸配列を固相合成法または酵素合成法により調製される。その後、切断可能なリンカーを介して第三ビーズに結合する。バーコード核酸がRNAである場合は、一本鎖バーコード核酸の相補鎖となるDNA鋳型を合成した後、線形増幅反応にて、DNA鋳型上のプロモーター配列に結合して一本鎖バーコード領域を含むRNAを合成する、T7等のRNAポリメラーゼにより合成してもよい。
まず、n種の被検物質、すなわち、被検物質1 501~被検物質n 503、および、被検物質1 501、被検物質n 503にそれぞれ対応する第一バーコード核酸 502、504を準備する。その後、1つの被検物質に対応する第一バーコード核酸をそれぞれ含む第一コンパートメント505を準備する。なお、図5aでは、第一バーコード核酸はDNAであり、第一共通バーコード領域およびポリアデニンを含む。
また、組織または複数の細胞等検出対象となる細胞群506、複数種の第二バーコード核酸連結ビーズ507、複数種の第三バーコード核酸を有するビーズ508をそれぞれ準備する。なお、図5aでは、第三バーコード核酸はRNAであり、第三共通バーコード領域およびポリアデニンを含み、UV切断可能なリンカーを介して第三ビーズに連結している。また、第二バーコード核酸はDNAであり、PCRプライマー領域、第二共通バーコード領域、第二固有バーコード領域およびポリチミンを含む。
分配処理の方法は後述する。
1個の第一コンパートメント505と1個の第二コンパートメント509とを融合させて第三コンパートメント510を作成する方法は、公知の手法を用いることができる。例えば、B.L. Wang et al., Nat Biotechnol. 32(5), 473-8 (2014 May)、B. Demaree et al., J Vis Exp. (135), 57598 (2018)、L. Xu et al., Lab Chip. 12(20), 3936-42 (2012)、L. Mazutis et al., Lab Chip. 9(20), 2902-8 (2009)に記載の方法が挙げられる。
本発明の細胞の非破壊的計測情報とビーズのイメージング情報の関連付け工程は、細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けする工程を含む。
以下、本発明を特に限定するものではないが、本発明の第二の態様における非破壊的計測情報の関連付け工程の一態様を図5bに従って説明する。
図5fは、サイズ、RGB、蛍光輝度やその他の光学特性をコントロールして作製されたm種類(ID)の第三ビーズのイメージング情報を指標とする場合の第三ビーズのデータベースの模式図である。図5fでは、第三ビーズのイメージング情報を計測し、得られた第三ビーズのイメージング情報に光学的ビーズIDを紐付けしている。
さらに、図5gでは、細胞および第三ビーズの組合せの測定を行い、細胞の非破壊的計測情報と第三ビーズのイメージング情報を関連付けしている。まず、各第三ビーズの光学バーコードIDが読み出される(ここで、光学的なキャリブレーションが行われる)。また、各第三ビーズには、第三ビーズに連結する第三バーコード核酸の第三共通バーコード領域に基づいて核酸バーコードIDが付与されている。したがって、上記第三バーコード核酸を有するビーズの核酸バーコードIDの組合せと上記光学的ビーズIDの組合せとを照合し、細胞が特定される。この後、細胞の非破壊的計測情報と細胞のゲノム関連情報とを紐付けることができる。
必要に応じ、細胞またはその由来物と被検物質とを第三コンパートメントにおいて共存した状態で培養してもよい。かかる培養とは、例えば、第三コンパートメントを所望の培養時間、培養温度で保持することが挙げられる。第三コンパートメントの保持において、複数種の第三コンパートメントを保持できるリザーバに、第三コンパートメントを移動し保持してもよい。上記工程は、公知の手法により行うことができる。例えば、J.J. Agresti et al., Proc Natl Acad Sci U S A., 107(9), 4004-9 (2010)、A. Abbaspourrad et al., Sci Rep., 5, 12756 (2015)、B.L. Wang et al., Nat Biotechnol., 32(5), 473-8 (2014)に記載の方法により行うことができる。
ここで、培養時間、培養温度としては、被検物質に対しての細胞の応答評価が可能な程度の培養時間、培養温度を設定することができる。かかる培養時間は、例えば、0時間以上14日以下が挙げられ、好ましくは2時間以上2日以下である。培養温度は、例えば、0℃以上100℃以下が挙げられ、好ましくは20℃以上40℃以下である。
ハイブリダイズ複合体取得工程は、前記関連付けした第三ビーズから第三バーコード核酸を切断した後、前記ゲノム関連核酸、第一バーコード核酸および第三バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得る工程を含む。
上記工程は、公知の手法により行うことができる。例えば、E. Z. Macosko et al., Highly Parallel Genome-wide Expression Profiling of Individual Cells Using Nanoliter Droplets. Cell. 161, 1202-1214 (2015)またはZheng GX et al., Massively parallel digital transcriptional profiling of single cells. Nat Commun. 6;8:14049 (2017)に記載の方法により行うことができる。
以下、特に限定するものではないが、本発明の第二の態様におけるハイブリダイズ複合体取得工程の一態様を図5cに従って説明する。
上述の細胞の非破壊的計測情報とビーズのイメージング情報の関連付け工程および複数種の第三コンパートメント作成工程、および、必要に応じ、被検物質共存下における細胞の培養工程、細胞溶解バッファー添加工程に続き、切断可能なリンカーを切断(例えば、UV照射によりUV切断可能なリンカーを切断)し、第三バーコード核酸516を切り離し、その後細胞を溶解する。その後、コンパートメント内で、第一バーコード核酸502、細胞由来mRNA512および第三バーコード核酸516をそれぞれ、第二バーコード核酸513にハイブリダイズさせ、ハイブリダイズ複合体514を得る。その後に、液滴を破壊する。
ハイブリダイズ複合体由来の増幅物の製造工程は、上記ハイブリダイズ複合体取得工程で得られたハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造する工程を含む。
以下、特に限定するものではないが、本発明の第二の態様におけるハイブリダイズ複合体由来の増幅物の製造工程の一態様を図5dに従って説明する。
上述のハイブリダイズ複合体取得工程で得られたハイブリダイズ複合体に対して、相補鎖DNAの合成および逆転写反応を行う。この合成反応および逆転写反応により、細胞由来mRNA512に対するcDNA515が合成され、第一バーコード核酸502に対する相補鎖DNA517、第三バーコード核酸516に対するcDNA528が合成される。その後、鋳型切り替え(テンプレートスイッチング)を行ってもよい。
その後、PCR反応を行う。このPCR反応により、第一バーコード核酸502と第二バーコード核酸513とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物519、細胞由来mRNA512と第二バーコード核酸513とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物520、および、第三バーコード核酸516と第二バーコード核酸513とのハイブリダイズ複合体に由来する第三増幅物521の3種類の増幅物518が生じる。なお、ゲノム関連核酸がDNAである場合には、上記PCR反応としてエクステンションPCR法を行うことができる。
その後、得られた増幅物に基づいて、被検物質1~nをそれぞれ含む各第三コンパートメントに由来する、第一、第二および第三増幅物を含む増幅物のライブラリーを調製する。
細胞における非破壊的計測情報と被検物質共存後のゲノム関連情報とを一体的に検出する工程は、上記ハイブリダイズ複合体由来の増幅物の製造工程で得られた増幅物の発現パターンを指標として細胞における非破壊的計測情報と被検物質共存後の該細胞のゲノム関連情報とを一体的に検出する工程を含む。かかる工程は、さらに該細胞と共存した被検物質を同定する工程も含む。上記増幅物の発現パターンとしては、例えば、シークエンシングにより得られた、増幅物の配列情報、例えば、該配列情報中の第一バーコード核酸の配列情報(例えば、第一共通バーコード領域の配列情報)、第二バーコード核酸の配列情報(例えば、第二共通バーコード領域の配列情報、第二固有バーコード領域の配列情報)および第三バーコード核酸の配列情報(例えば、第三共通バーコード領域の配列情報、第三固有バーコード領域の情報)等が挙げられる。
したがって、上記検出により、共存した被検物質に対しての細胞の応答を遺伝子レベルのみならず細胞の形態等からも評価することができる。
また、図6Aの第一コンパートメント625は、被検物質1 623および被検物質1に対応する第一バーコード核酸624を含む。ここで、第一バーコード核酸624は第一共通バーコード領域627および第一ハイブリダイズ領域626を含む。
また、図6Bでは、ハイブリダイズ複合体を示す。ここで、第二バーコード核酸612は第二ハイブリダイズ領域615にて、第三バーコード核酸602の第三ハイブリダイズ領域604とハイブリダイズしている。さらに、第二バーコード核酸612は第二ハイブリダイズ領域615にて、ゲノム関連核酸622の特定の配列621とハイブリダイズしている。さらに、第二バーコード核酸612は第二ハイブリダイズ領域615にて、第一バーコード核酸624の第一ハイブリダイズ領域626とハイブリダイズしている。
したがって、細胞で発現する分子に特異的な核酸プローブを用いることにより、被検物質共存後の細胞における大量プロテオミクスと細胞の非破壊的計測情報とが一対一に対応できる。
図9Aはコンパートメントの準備工程を示す。図9Aの第三バーコード核酸と連結している第三ビーズ900では、第三バーコード核酸902が、互いに峻別しうるイメージング情報を有する第三ビーズ901に連結している。第三バーコード核酸902は第三共通バーコード領域903および第三ハイブリダイズ領域905を含む。第三バーコード核酸902は、第三ビーズ側から順に、PCRプライマー領域908、第三共通バーコード領域903、第三固有バーコード領域904および第三ハイブリダイズ領域905を含む。さらに、第三バーコード核酸902は、切断可能なリンカー906を介して切断可能に、第三ビーズ901に結合したアクリルホスホロアミダイド部分(Acrydite(商標))等のアクリルアミド部分907に連結している。さらに、第三ハイブリダイズ領域905はポリアデニンである。
また、図9Aの第一バーコード核酸928は第一共通バーコード領域929および第一ハイブリダイズ領域930を含む。ここで、第一ハイブリダイズ領域930はポリアデニンである。926は被検物質1を示す。
また、図9Cでは、ハイブリダイズ複合体を示す。ここで、第二バーコード核酸912は第二ハイブリダイズ領域915にて、第一バーコード核酸928の第一ハイブリダイズ領域930とハイブリダイズしている。さらに、DNAポリメラーゼ931により相補鎖DNA932が合成される。ここで、第二バーコード核酸912は第二ハイブリダイズ領域915にて、第三バーコード核酸902の第三ハイブリダイズ領域905とハイブリダイズしている。さらに、DNAポリメラーゼ922により相補鎖DNA923が合成される。また、第二バーコード核酸912は第二ハイブリダイズ領域915にて、細胞由来mRNA921のポリアデニンとハイブリダイズしている。
本発明における分配処理、すなわち、コンパートメントの製造方法の一態様を図10、11に基づき、具体的に説明する。
図10は、被検物質、第一バーコード核酸、細胞および第二バーコード核酸連結ビーズを含む態様においてコンパートメントを製造する方法を示す。
具体的には、まず、被検物質1~nと該被検物質1~nに対応する第一バーコード核酸1~nとをそれぞれ含む複数種の第一コンパートメント1001を準備する。一方、細胞1002、第二バーコード核酸連結ビーズ1003を含む溶液を油1004中に入れ、第二コンパートメント1005としての液滴を作成する。次に、第一コンパートメント1001と第二コンパートメント1005とを融合して第三コンパートメント1006を作成する。得られた第三コンパートメント1006をリザーバ1007に移動し一定時間培養を行う。一方、細胞溶解バッファーを含む水性溶媒1008が油1009の充填された流路に放出され、第四コンパートメント1010が作成される。次に、第四コンパートメント1010と第三コンパートメント1006とを融合して第五コンパートメント1011を作成し、出口1012で放出する。上記方法において、具体的にコンパートメントの製造に使用する機器としては、フローフォーカシング・デバイス等のマイクロ流体技術を用いた液滴製造法に用いられる機器が挙げられる。上記機器としては、本発明を妨げない限り、公知の機器を用いることができる。フローフォーカシング・デバイス等のマイクロ流体技術を用いた液滴製造法に用いられる機器として、例えば、E. Z. Macosko et al., Highly Parallel Genome-wide Expression Profiling of Individual Cells Using Nanoliter Droplets. Cell. 161, 1202-1214 (2015)、Microfluid Nanofluid(2008)5:585-594, Applied Physics Letters、Vol.85, No.13, 27, September 2004, p2649-2651、T. M. Gierahn et al., Seq-Well: portable, low-cost RNA sequencing of single cells at high throughput, Nature Methods, 14, 395-398 (2017)、特表2013-508156等に記載の機器が挙げられる。
具体的には、まず、被検物質1~nと該被検物質1~nに対応する第一バーコード核酸1~nとをそれぞれ含む複数種の第一コンパートメント1101を準備する。一方、細胞1102、第二バーコード核酸連結ビーズ1103および第三バーコード核酸を有するビーズ1104を含む溶液を油1105中に入れ、第二コンパートメント1106としての液滴を作成する。次に、第一コンパートメント1101と第二コンパートメント1106とを融合して第三コンパートメント1107を作成する。得られた第三コンパートメント1107をリザーバ1109に移動し一定時間培養を行う。一方、細胞溶解バッファーを含む水性溶媒1111が油1112の充填された流路に放出され、第四コンパートメント1113が作成される。次に、第四コンパートメント1113と第三コンパートメント1107とを融合して第五コンパートメント1114を作成し、出口1115で放出する。非破壊的計測情報の測定は、第三コンパートメントにおいて培養前および培養後に行われる。培養の前と後に各1種類の測定、例えば蛍光イメージング測定1108、明視野イメージング1110を行うことができる。ここで、培養前の蛍光イメージング測定では、細胞および第三ビーズの正確なイメージング情報を得ることができ、培養後の明視野イメージングでは、被検物質との共存後の細胞および第三ビーズの組み合わせを確認することができる。また、かかる方法によれば、細胞および第三ビーズの自然な状態が撮影可能になる。また、培養前に、蛍光イメージング測定および明視野イメージング測定を行ってもよく、ラマン等の非修飾イメージング測定を用いてもよい。上記方法において、具体的に使用する機器としては、コンパートメントの製造には上述のようにフローフォーカシング・デバイス等のマイクロ流体技術を用いた液滴製造法に用いられる機器が挙げられ、非破壊的計測情報の測定には、イメージングフローサイトメトリー等が挙げられる。上記機器としては、本発明を妨げない限り、公知の機器を用いることができる。上記フローフォーカシング・デバイス等のマイクロ流体技術を用いた液滴製造法に用いられる機器によれば、色、形、サイズをはじめとするイメージング情報を有するビーズを効率よく大量に製造することができる。
なお、本発明の方法において、第三コンパートメントは、上述の通り、第一および第二コンパートメントを融合することにより製造してよいが、被検物質と第一バーコード核酸との関連付け、および第二バーコード核酸と細胞またはそのゲノム由来物との関連付けを妨げない範囲において、第一および第二コンパートメントへ封入する成分の組み合わせや、第三コンパートメントの製造方法は適宜変更して実施することができる。したがって、本発明の別の好ましい態様によれば、1種以上の被検物質と共存した細胞またはその由来物のゲノム関連情報を検出する方法であって、被検物質と共存させた細胞またはその由来物と、第一バーコード核酸と、第二バーコード核酸連結ビーズとを含んでなる複数の対象コンパートメントを準備し、ここで、前記第一バーコード核酸は被検物質に予め関連付けされており、第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸を含んでおり、ゲノム関連核酸および第一バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、増幅物の発現パターンを指標として細胞における前記被検物質の共存後のゲノム関連情報を検出することを含んでなる方法が提供される。別の好ましい態様においては、対象コンパートメントは、第一の態様における第一コンパートメントに対応する。
をさらに含んでなる。
本発明の別の実施態様によれば、1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸および第二バーコード核酸連結ビーズの組み合わせ物であって、第一バーコード核酸は各々、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができることを特徴としている。また、本発明の組み合わせ物は、1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するために用いる限り、特に制限されず、1つの組成物または試薬等の剤の形態であってもよく、複数種の組成物または試薬等の剤の組み合わせから構成されていてもよい。また、上記組み合わせ物は一体的にまたは別体として構成されていてもよい。上記複数または別体としての組成物の組み合わせとしては、例えば、第一バーコード核酸を含んでなる組成物と、第二バーコード核酸連結ビーズを含んでなる組成物との組み合わせが挙げられる。ここで、上記組み合わせ物は、細胞1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出する方法に用いるための試薬キットであってもよい。かかる試薬キットは、緩衝液、逆転写反応またはPCR反応に必要な試薬、細胞溶解バッファー等の必要な試薬、使用説明書等を備えていてもよい。
本発明の別の実施態様によれば、1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第二バーコード核酸連結ビーズと共に用いる、第一バーコード核酸を含んでなる検出剤であって、第一バーコード核酸は各々、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができることを特徴としている。
本発明の別の実施態様によれば、1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸と共に用いる、第二バーコード核酸連結ビーズを含んでなる検出剤であって、第一バーコード核酸各々は、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができることを特徴としている。
本発明の別の実施態様によれば、複数種の第一コンパートメントを含む組成物であって、各第一コンパートメントには、それぞれ1種の被検物質と当該1種の被検物質に対応する第一バーコード核酸が含まれることを特徴としている。かかる組成物は、スクリーニングに用いるための組成物、すなわち、ライブラリーとして使用できる。本発明の好ましい別の態様によれば、上述の複数種の第一コンパートメントを含む組成物は、1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第二バーコード核酸連結ビーズと共に用いる、第一コンパートメントを含む組成物であってもよく、ここで、第一バーコード核酸は各々、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができる。上述の複数種の第一コンパートメントを含む組成物における第一コンパートメントの形態は特に限定されず、第一コンパートメントの形態が油中の水性液滴である場合には、上記組成物は、水性液滴と共に油を含んでいてもよい。
本発明の別の実施態様によれば、1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸と共に用いる、複数種の第二コンパートメントを含む組成物であって、第一バーコード核酸各々は、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、各第二コンパートメントは、それぞれ細胞またはその由来物と第二バーコード核酸連結ビーズとを含み、第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸あるいは第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができることを特徴としている。本発明のさらに別の実施態様によれば、1種以上の被検物質と共存した細胞の非破壊的計測情報とゲノム関連情報とを一体的に検出するための、第一バーコード核酸と共に用いる、複数種の第二コンパートメントを含む組成物であって、第一バーコード核酸各々は、細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、;各第二コンパートメントは、それぞれ細胞またはその由来物、第二バーコード核酸連結ビーズおよび第三バーコード核酸を有するビーズを含み、;第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノムまたはその由来物に対応するゲノム関連核酸、第一バーコード核酸あるいは第三バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、第三バーコード核酸を有するビーズは、各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸と切断可能に連結されている粒子、または、各々、各イメージング情報に対応する第三バーコード核酸を含む生物であって、かつ第三コンパートメントにおける第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報は互いに峻別可能であり、;第一バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の発現パターンを指標として被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の発現パターンを指標として細胞のゲノム関連情報を検出することができ、;細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、細胞の非破壊的計測情報と、第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けし、;第三バーコード核酸と第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第三増幅物の発現パターンを指標として細胞における非破壊的計測情報を検出でき、;該被検物質と共存した細胞の非破壊的計測情報とゲノム関連情報とを一体的に検出することができることを特徴としている。上述の複数種の第二コンパートメントを含む組成物は、被検物質のスクリーニングのための組成物として使用できる。上述の複数種の第二コンパートメントを含む組成物における第二コンパートメントの形態は特に限定されず、第二コンパートメントの形態が油中の水性液滴である場合には、上記組成物は、水性液滴と共に油を含んでいてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の第一の態様の検出方法において検出される細胞またはその由来物のゲノム関連情報に基づき、被検物質をスクリーニングする方法が提供される。本発明の別の好ましい態様によれば、本発明の第二の態様の検出方法において検出される細胞の非破壊的計測情報およびゲノム関連情報に基づき、被検物質をスクリーニングする方法が提供される。
本実験においては、マイクロ流体デバイスを用いて、薬剤(Lipopolysaccharide:LPS)、細胞(THP1細胞)、第二バーコード核酸連結ビーズ(Macosko-2011-10(V+), ChemGenes社製(商標))を同時に内包する液滴が生成し、安定に存在できることを確認した。本実施例において液滴(コンパートメント)の生成には、E. Z. Macosko et al., Highly Parallel Genome-wide Expression Profiling of Individual Cells Using Nanoliter Droplets. Cell. 161, 1202-1214 (2015)の記載に準じて、フローフォーカシングデバイスを用いた。水相には10%FBS添加RPMI1640 培地を用い、LPSを2μg/mLの濃度で溶かした。有機溶媒相にはDroplet Generator oil for EvaGreen(BioRad社製)を用いた。有機溶媒相に用いたDroplet Generator oil for EvaGreenは、酸素の透過性を有し、細胞の液滴内培養に適している。
本実験では、まずチューブ1内において、コレステロール修飾が付加されたオリゴヌクレオチドリンカー(以下、コレステロール修飾が付加されたオリゴヌクレオチドリンカーを「アンカーCMO」とも称する)(5'-3'Cholesterol-TEG-GTAACGATGGAGCTGTCACTTGGAATTCTCGGGTGCCAAGG-3'(配列番号1))と細胞とを水中で混合した。また、オリゴヌクレオチドリンカー中の「3'Cholesterol-TEG」はhttps://sg.idtdna.com/site/Catalog/Modifications/Product/2555に記載の市販品を使用している。また、細胞としてはTHP1細胞を用い、細胞濃度は1X107/mLであり、溶媒としてはPhosphate Buffer Saline(PBS)を用い、アンカーCMO終濃度は250nMとした。4℃、5分間のインキュベーションを行った。 そこに、もう一方のコレステロール修飾が付加された共オリゴヌクレオチドリンカー(アンカーCMO:5'-AGTGACAGCTGGATCGTTAC-3'Cholesterol-TEG-3'(配列番号2))をさらに混合した。共アンカーCMO終濃度は250nMとした。4℃で5分間のインキュベーションを行った。
102 第一共通バーコード領域
103 第一ハイブリダイズ領域
201 第二ビーズ
202 第二バーコード核酸
203 第二共通バーコード領域
204 第二固有バーコード領域
205 第二ハイブリダイズ領域
206 PCRプライマー領域
207 第二バーコード核酸連結ビーズ
301 被検物質1
302 被検物質1に対応する第一バーコード核酸
303 被検物質n
304 被検物質nに対応する第一バーコード核酸
305 第一コンパートメント
306 細胞群
307 第二バーコード核酸連結ビーズ
308 第二コンパートメント
309 第三コンパートメント
310 細胞
312 細胞由来mRNA
313 第二バーコード核酸
314 ハイブリダイズ複合体
315 第五コンパートメント
316 第一バーコード核酸に対する相補鎖DNA
317 細胞由来mRNAに対するcDNA
318 増幅物
319 第一増幅物
320 第二増幅物
321 細胞と共存した被検物質
322 細胞のトランスクリプトーム情報
323 細胞溶解バッファーを含む水性溶媒
324 第四コンパートメント
401 第三ビーズ
402 第三バーコード核酸
403 第三共通バーコード領域
404 第三ハイブリダイズ領域
405 切断可能なリンカー
406 第三バーコード核酸連結ビーズ
501 被検物質1
502 被検物質1に対応する第一バーコード核酸
503 被検物質n
504 被検物質nに対応する第一バーコード核酸
505 第一コンパートメント
506 細胞群
507 第二バーコード核酸連結ビーズ
508 第三バーコード核酸を有するビーズ
509 第二コンパートメント
510 第三コンパートメント
511 細胞
512 細胞由来mRNA
513 第二バーコード核酸
514 ハイブリダイズ複合体
515 細胞由来mRNAに対するcDNA
516 第三バーコード核酸
517 第一バーコード核酸に対する相補鎖DNA
518 増幅物
519 第一増幅物
520 第二増幅物
521 第三増幅物
522 細胞溶解バッファーを含む水性溶媒
523 第四コンパートメント
524 第五コンパートメント
525 細胞と共存した被検物質
526 細胞の非破壊的計測情報
527 細胞のトランスクリプトーム情報
528 第三バーコード核酸に対するcDNA
600 第三バーコード核酸を有するビーズ
601 第三ビーズ
602 第三バーコード核酸
603 第三共通バーコード領域
604 第三ハイブリダイズ領域
605 切断可能なリンカー
610 第二バーコード核酸連結ビーズ
611 第二ビーズ
612 第二バーコード核酸
613 第二共通バーコード領域
614 第二固有バーコード領域
615 第二ハイブリダイズ領域
616 PCRプライマー領域
620 細胞
621 ゲノム関連核酸の特定の配列
622 ゲノム関連核酸
623 被検物質1
624 被検物質1に対応する第一バーコード核酸
625 第一コンパートメント
626 第一ハイブリダイズ領域
627 第一共通バーコード領域
630 第三コンパートメント
700 第三バーコード核酸を有するビーズ
701 第三ビーズ
702 第三バーコード核酸
703 第三共通バーコード領域
704 第三ハイブリダイズ領域
705 切断可能なリンカー
710 第二バーコード核酸連結ビーズ
711 第二ビーズ
712 第二バーコード核酸
713 第二共通バーコード領域
714 第二固有バーコード領域
715 第二ハイブリダイズ領域
716 PCRプライマー領域
720 核酸プローブ
721 細胞で発現する目的蛋白質等の分子に特異的に結合する分子
722 第四バーコード核酸
723 第四共通バーコード領域
724 第四ハイブリダイズ領域
725 切断可能なリンカー
730 細胞
740 第三コンパートメント
750 第一コンパートメント
751 被検物質1
752 被検物質1に対応する第一バーコード核酸
753 第一ハイブリダイズ領域
754 第一共通バーコード領域
800 第三バーコード核酸を有するビーズ
801 第三ビーズ
802 第三バーコード核酸
803 第三共通バーコード領域
804 第三ハイブリダイズ領域
805 切断可能なリンカー
806 特定の配列
807 特定の配列に相補的な配列のプライマー
810 第二バーコード核酸連結ビーズ
812 第二バーコード核酸
815 第二ハイブリダイズ領域
900 第三バーコード核酸を有しているビーズ
901 第三ビーズ
902 第三バーコード核酸
903 第三共通バーコード領域
904 第三固有バーコード領域
905 第三ハイブリダイズ領域
906 切断可能なリンカー
907 アクリルアミド部分
908 PCRプライマー領域
910 第二バーコード核酸連結ビーズ
911 第二ビーズ
912 第二バーコード核酸
913 第二共通バーコード領域
914 第二固有バーコード領域
915 第二ハイブリダイズ領域
916 PCRプライマー領域
920 細胞
921 細胞由来mRNA
922 DNAポリメラーゼ
923 相補鎖DNA
924 細胞由来mRNAに対するcDNA
925 DNAタグ
926 被検物質1
928 第一バーコード核酸
929 第一共通バーコード領域
930 第一ハイブリダイズ領域
931 DNAポリメラーゼ
932 相補鎖DNA
1001 第一コンパートメント
1002 細胞
1003 第二バーコード核酸連結ビーズ
1004 油
1005 第二コンパートメント
1006 第三コンパートメント
1007 リザーバ
1008 細胞溶解バッファーを含む水性溶媒
1009 油
1010 第四コンパートメント
1011 第五コンパートメント
1012 出口
1101 第一コンパートメント
1102 細胞
1103 第二バーコード核酸連結ビーズ
1104 第三バーコード核酸を有するビーズ
1105 油
1106 第二コンパートメント
1107 第三コンパートメント
1108 蛍光イメージング測定
1109 リザーバ
1110 明視野イメージング
1111 細胞溶解バッファーを含む水性溶媒
1112 油
1113 第四コンパートメント
1114 第五コンパートメント
1115 出口
Claims (24)
- 1種以上の被検物質と共存した細胞又はその由来物のゲノム関連情報を検出する方法であって、
前記被検物質と共存させた細胞又はその由来物と、第一バーコード核酸と、第二バーコード核酸連結ビーズとを含む複数の対象コンパートメントを準備し、
ここで、前記第一バーコード核酸は前記被検物質に予め関連付けされており、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノム又はその由来物に対応するゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸を含んでおり、
前記第二バーコード核酸は、前記細胞又はその由来物を特定するための第二共通バーコード領域を含み、
前記ゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸をそれぞれ、前記第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
前記ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
前記増幅物の配列情報を指標として前記細胞における前記被検物質の共存後のゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報を検出すること
を含む、方法。 - 前記第一バーコード核酸と前記被検物質との関連付けが、前記被検物質と、前記細胞又はその由来物と、前記第一バーコード核酸とを共存させることを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記対象コンパートメントの準備が、前記被検物質と共存させた前記細胞又はその由来物と前記第一バーコード核酸とを含むサブコンパートメントと、前記第二バーコード核酸連結ビーズを含むサブコンパートメントとを結合させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
- 1種以上の被検物質と共存した細胞又はその由来物のゲノム関連情報を検出する方法であって、
1種以上の被検物質と、該被検物質に対応する第一バーコード核酸とを含む複数種の第一コンパートメント、及び
細胞又はその由来物と第二バーコード核酸連結ビーズとを含む複数種の第二コンパートメント
をそれぞれ準備し、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノム又はその由来物に対応するゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
前記第二バーコード核酸は、前記細胞又はその由来物を特定するための第二共通バーコード領域を含み、
1個の第一コンパートメントと、1個の第二コンパートメントとを融合した、複数種の第三コンパートメントを作成し、
ここで、前記第三コンパートメントにおいて前記細胞又はその由来物と前記被検物質とは共存しており、
前記ゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸をそれぞれ、前記第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
前記ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
前記増幅物の配列情報を指標として細胞における前記被検物質の共存後のゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報を検出すること
を含む、方法。 - 前記第一バーコード核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の配列情報を指標として前記被検物質を同定し、
前記ゲノム関連核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の配列情報を指標として前記細胞のゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報を検出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。 - 前記ゲノム関連核酸が、前記細胞ゲノムDNA、又は前記細胞ゲノムに由来するRNAもしくはそのcDNAである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第一バーコード核酸が各々、同一の被検物質において共通する第一共通バーコード領域と、前記第二バーコード核酸とハイブリダイズ可能な第一ハイブリダイズ領域とを含んでいる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第一共通バーコード領域の配列情報が、被検物質を特定する指標となる、請求項7に記載の方法。
- 前記複数の第二バーコード核酸が各々、互いに峻別しうる第二固有バーコード領域と、ゲノム関連核酸及び第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な第二ハイブリダイズ領域とをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第二共通バーコード領域の配列情報が、前記コンパートメント中に存在する細胞又はその由来物を特定する指標となる、請求項9に記載の方法。
- 前記第二固有バーコード領域の配列情報が、前記ゲノム関連核酸を特定する指標となる、請求項9又は10に記載の方法。
- 前記第二バーコード核酸が、PCRプライマー領域をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第二ハイブリダイズ領域が、前記第一バーコード核酸の第一ハイブリダイズ領域及び前記ゲノム関連核酸と相補的な核酸を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
- 1種以上の前記被検物質と共存した前記細胞の非破壊的計測情報と前記ゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報とを一体的に検出する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記対象コンパートメントが、第三バーコード核酸を有するビーズをさらに含み、
ここで、前記第三バーコード核酸を有するビーズは、
各々、各イメージング情報に対応する前記第三バーコード核酸と切断可能に連結されている粒子、又は、
各々、各イメージング情報に対応する前記第三バーコード核酸を含む生物であって、
かつ前記第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報は互いに峻別可能であり、
前記細胞の非破壊的計測情報と、前記第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、前記細胞の非破壊的計測情報と、前記第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けし、
前記関連付けした第三バーコード核酸を有するビーズから第三バーコード核酸を切断するか取り出し、前記ゲノム関連核酸及び第三バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
前記ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
前記増幅物の配列情報を指標として前記細胞における非破壊的計測情報と前記ゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報とを一体的に検出すること
をさらに含む、方法。 - 1種以上の前記被検物質と共存した前記細胞の非破壊的計測情報と前記ゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報とを一体的に検出する、請求項4に記載の方法であって、
前記第二コンパートメントが、さらに第三バーコード核酸を有するビーズを含み、
ここで、前記第三バーコード核酸を有するビーズは、
各々、各イメージング情報に対応する前記第三バーコード核酸と切断可能に連結されている粒子、又は、
各々、各イメージング情報に対応する前記第三バーコード核酸を含む生物であって、
かつ前記第三コンパートメントにおける前記第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報は互いに峻別可能であり、
前記細胞の非破壊的計測情報と、前記第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、前記細胞の非破壊的計測情報と、前記第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けし、;
前記関連付けした第三バーコード核酸を有するビーズから前記第三バーコード核酸を切断するか取り出し、前記ゲノム関連核酸及び前記第三バーコード核酸をそれぞれ、第二バーコード核酸とハイブリダイズさせてハイブリダイズ複合体を得、
前記ハイブリダイズ複合体に由来する増幅物を製造し、
前記増幅物の配列情報を指標として前記細胞における非破壊的計測情報と前記ゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報とを一体的に検出すること
をさらに含む、方法。 - 第三コンパートメントを準備する前、前記第二コンパートメント、及び/又は前記第三コンパートメントにおいて、前記細胞の非破壊的計測情報と、前記第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを共に検出して、前記細胞の非破壊的計測情報と、前記第三バーコード核酸を有するビーズのイメージング情報とを関連付けする、請求項15に記載の方法。
- 前記非破壊的計測情報が、色、蛍光、サイズ、形状、電磁波、透過、位相、散乱、反射、コヒーレントラマン、ラマン及び吸収スペクトルから選択される少なくとも1つの測定情報に基づくものである、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
- 1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸及び第二バーコード核酸連結ビーズの組み合わせ物であって、
前記第一バーコード核酸は各々、前記細胞と共存する1種以上の被検物質に対応しており、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノム又はその由来物に対応するゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
前記第二バーコード核酸は、前記細胞又はその由来物を特定するための第二共通バーコード領域を含み、
前記第一バーコード核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の配列情報を指標として前記被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の配列情報を指標として前記細胞のゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報を検出することができる、組み合わせ物。 - 1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第二バーコード核酸連結ビーズと共に用いる、第一バーコード核酸を含む検出剤であって、
前記第一バーコード核酸は各々、前記細胞と共存する1種以上の前記被検物質に対応しており、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノム又はその由来物に対応するゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
前記第二バーコード核酸は、前記細胞又はその由来物を特定するための第二共通バーコード領域を含み、
前記第一バーコード核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の配列情報を指標として前記被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の配列情報を指標として前記細胞のゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報を検出することができる、検出剤。 - 1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸と共に用いる、第二バーコード核酸連結ビーズを含む検出剤であって、
前記第一バーコード核酸各々は、前記細胞と共存する1種以上の前記被検物質に対応しており、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノム又はその由来物に対応するゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
前記第二バーコード核酸は、前記細胞又はその由来物を特定するための第二共通バーコード領域を含み、
前記第一バーコード核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の配列情報を指標として前記被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の配列情報を指標として前記細胞のゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報を検出することができる、検出剤。 - 複数種の第一コンパートメントと、第二バーコード核酸連結ビーズと、を含む、1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための組成物であって、
各第一コンパートメントには、それぞれ1種の被検物質と当該1種の被検物質に対応する第一バーコード核酸が含まれ、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞又はその由来物を含む第二コンパートメントに入れられ、
前記第二バーコード核酸は、細胞ゲノム又はその由来物に対応するゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能であり、
前記第二バーコード核酸は、前記細胞又はその由来物を特定するための第二共通バーコード領域を含む、
組成物。 - 1種以上の被検物質と共存した細胞のゲノム関連情報を検出するための、第一バーコード核酸と共に用いる、複数種のコンパートメントを含む組成物であって、
前記第一バーコード核酸各々は、前記細胞と共存する1種以上の前記被検物質に対応しており、
前記複数種のコンパートメントの各コンパートメントは、それぞれ細胞又はその由来物と第二バーコード核酸連結ビーズとを含み、
前記第二バーコード核酸連結ビーズは、細胞ゲノム又はその由来物に対応するゲノム関連核酸及び前記第一バーコード核酸とハイブリダイズ可能な複数の第二バーコード核酸と連結しており、
前記第二バーコード核酸は、前記細胞又はその由来物を特定するための第二共通バーコード領域を含み、
前記第一バーコード核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第一増幅物の配列情報を指標として前記被検物質を同定し、かつ前記ゲノム関連核酸と前記第二バーコード核酸とのハイブリダイズ複合体に由来する第二増幅物の配列情報を指標として前記細胞のゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報を検出することができる、組成物。 - 前記検出された細胞又はその由来物のゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報に基づき、前記被検物質をスクリーニングすることをさらに含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
- 前記検出された細胞の非破壊的計測情報及びゲノム関連核酸に由来する核酸配列情報に基づき、前記被検物質をスクリーニングすることをさらに含む、請求項14~16のいずれかに記載の方法。
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