JP7279506B2 - 熱可塑性樹脂粉末、立体造形用樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂粉末、立体造形用樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂粉末、立体造形用樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法に関する。
近年、樹脂粉末が多種多様な分野のプラスチック製品の原料として用いられている。例えば、樹脂粉末として、例えば、半芳香族ポリアミドと多価アルコールと繊維状強化材とを含む半芳香族ポリアミド樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、帯電が生じやすく、品質の高いプラスチック製品を得ることは難しかった。
本発明は、帯電防止効果に優れ、装置内における樹脂粉末の付着を低減でき、綺麗な造形面を有する立体造形物を造形することができる熱可塑性樹脂粉末を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段としての本発明の熱可塑性樹脂粉末は、耐熱性帯電防止剤を0.01質量%以上30.0質量%以下含む。
本発明によると、帯電防止効果に優れ、装置内における樹脂粉末の付着を低減でき、綺麗な造形面を有する立体造形物を造形することができる熱可塑性樹脂粉末を提供することができる。
図1Aは、円柱体の樹脂粒子の一例を示す概略斜視図である。 図1Bは、図1Aに示した略円柱体の樹脂粒子の概略側面図である。 図1Cは、円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の一例を示す概略側面図である。 図1Dは、円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の他の一例を示す概略側面図である。 図1Eは、円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の他の一例を示す概略側面図である。 図1Fは、円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の他の一例を示す概略側面図である。 図1Gは、円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の他の一例を示す概略側面図である。 図1Hは、円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の他の一例を示す概略側面図である。 図1Iは、円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の他の一例を示す概略側面図である。 図2は、円柱体の樹脂粉末の一例を示す写真である。 図3は、本発明の一実施形態に係る立体造形装置を示す概略図である。 図4は、立体造形物の製造装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
(熱可塑性樹脂粉末)
本発明の熱可塑性樹脂粉末は、耐熱性帯電防止剤を0.01質量%以上30.0質量%以下含み、樹脂粒子を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
<樹脂粒子>
樹脂粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱体、多角柱体、球体などの形状が挙げられる。これらの中でも、円柱体が、粒子間の接触面積が非常に多いため、帯電しやすいため、帯電防止効果が高くより好ましい。
円柱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、真円柱体、楕円柱体などが挙げられる。これらの中でも、真円柱体が好ましい。
なお、円柱体には、略円柱体が含まれる。ここで、略円とは、短径に対する長径の比(長径/短径)が、1以上10以下であることを意味する。また、円柱体の円形部分は、一部が欠けていてもよい。
多角柱体としては、円柱体と同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、多角柱体における多角形部分の一部が欠けていてもよい。
球体としては、円柱体と同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、球体の一部が欠けていてもよい。
円柱体の円形部分の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、円柱体の円形部分が楕円形である場合、直径とは長径を意味する。
多角柱体の多角形部分の一辺の長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多角形部分を全て含むような最小の円(最小包含円)の直径が5μm以上200μm以下であることが好ましい。
球体の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下であることが好ましい。
円柱体の高さ、即ち対向する2つの円形部分の距離(上面-底面間の距離)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。
多角柱体の高さ、即ち対向する2つの多角形部分の距離(上面-底面間の距離)としては、円柱体の高さと同様に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。
円柱体における、対向する2つの円形部分(上面及び底面)の面積は、互いに異なっていてもよい。ただし、面積が小さいほうの円形部分の直径r1に対する面積が大きいほうの円形部分の直径r2の比(r2/r1)としては、2つの円形部分の面積に差がないほうが嵩密度を高めることができる点で、1.5以下が好ましく、1.1以下がより好ましい。
多角柱体における、対向する2つの多角形部分(上面及び底面)の面積は、互いに異なっていてもよい。ただし、多角形部分の小さいほうの面積(S1)に対する多角形部分の大きいほうの面積(S2)の比(S2/S1)としては、2つの多角形部分の面積に差がないほうが嵩密度を高めることができる点で、1に近いことが好ましい。
粉末床溶融結合方式(PBF;Part Bed Fusion)で立体造形物を造形する際には、樹脂粒子の嵩密度を高めることにより、造形物や成形物の精度を向上させることができる。
円柱体や多角柱体などの柱体の樹脂粒子においては、嵩密度を高めるため、頂点を持たないことが好ましい。なお、頂点とは、柱体の中に存在する角の部分をいう。
ここで、円柱体の樹脂粒子の形状について、図1Aから図1Iを用いて説明する。
図1Aは、円柱体の樹脂粒子の一例を示す概略斜視図である。図1Bは、図1Aに示した円柱体の樹脂粒子の概略側面図である。図1Cは、円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の一例を示す概略側面図である。図1Dから図1Iは、いずれも円柱体の樹脂粒子において端部に頂点を持たない形状の他の一例を示す概略側面図である。
図1Aに示す円柱体を、側面から観察すると、図1Bに示すように長方形の形状を有しており、角の部分、即ち頂点が4箇所存在する。この端部に頂点を持たない形状の一例が図1Cから図1Iである。
柱体の樹脂粒子の頂点の有無の確認は、柱体の樹脂粒子の側面に対する投影像から判別することができる。例えば、柱体の樹脂粒子の側面に対して走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)等を用いて観察し、二次元像として取得する。この場合、投影像は4辺形となり、各々隣り合う2辺によって構成される部位を端部とする。すると、隣り合う2つの直線のみで構成される場合は、角が形成され頂点を持つことになり、図1Cから図1Iのように端部が円弧によって構成される場合は端部に頂点を持たないことになる。
例えば、図2に示すように、柱体の樹脂粒子21は、第1の面22と、第2の面23と、側面24とを有する。
第1の面22は、第1の対向面22aと、側面24に沿って延伸した形状である第1の面の外周領域22bと、を有する。第1の面の外周領域22bは、曲面を介して第1の対向面22aと連続する面であり、第1の対向面22aと略直交する。
第2の面23は、第1の対向面22aと対向する第2の対向面23aと、側面24に沿って延伸した形状である第2の面の外周領域23bと、を有する。第2の面の外周領域23bは、曲面を介して第2の対向面23aと連続する面であり、第2の対向面23aと略直交する。
側面24は、第1の面22及び第2の面23に隣接する。また、側面24上に、第1の面の外周領域22b及び第2の面の外周領域23bが延伸している。
なお、第1の面の外周領域22b及び第2の面の外周領域23b(以下、「外周領域」とも称する)の形状は、側面24とSEM(Scanning Electron Microscope)画像上で区別可能な形状であればよい。具体的には、外周領域の形状としては、例えば、外周領域の一部が側面24と一体化している形状、外周領域が側面24と接している形状、外周領域と側面24との間に空間が存在する形状などが挙げられる。
また、外周領域は、側面24の面方向と略同一の面方向となるように設けられていることが好ましい。
更に、図2に示すように、外周領域は、側面24に沿って延伸してなり、側面24上に位置する。また、外周領域と側面24との接続領域近辺を覆う第1の面及び第2の面の構造は、ボトルキャップ形状とも称する。
樹脂粒子が頂点を有さない形状にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速回転式の機械粉砕、高速衝撃式の機械粉砕、機械摩擦による表面溶融等の球形化処理装置を使用した公知の方法などが挙げられる。
樹脂粒子の融点としては、目的に応じて適宜選択することができるが、造形物や成形物の外装の造形に用いるときの耐熱温度などを考慮すると、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、140℃以上が更に好ましい。
樹脂粒子の融点は、例えば、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により測定することができる。具体的には、樹脂粒子の融点は、ISO3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準じて、例えば、株式会社島津製作所製、DSC-60Aなどの示差走査量測定装置を用いて測定することができる。測定方法としては、例えば、10℃/minにて温度を上昇させ、樹脂粒子のDSC測定を行い、得られた吸熱ピークの頂点の温度あるいは融点ピークの頂点の温度を融点とする。なお、樹脂粒子に複数の融点が存在する場合には、高温側の融点としてもよい。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂とは、熱を加えると可塑化し、溶融する樹脂を意味する。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、結晶性樹脂であってもよいし、非結晶性樹脂あってもよい。
なお、結晶性樹脂とは、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠した測定において、融点ピークが検出される樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer、ポリアセタール(POM:Polyoxymethylene、)、ポリイミド、フッ素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。ポリプロピレンでは、ブロック体、ランダム体、ホモ体のいずれでもよく、中にタルクやガラスファイバーなどのコンポジット材料が含まれていてもよい。
ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド410(PA410)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66、融点:265℃)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12);ポリアミド4T(PA4T)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T、融点:300℃)、ポリアミド10T(PA10T)などの半芳香族性のポリアミドが挙げられる。
なお、PA9Tは、ポリノナメチレンテレフタルアミドとも呼ばれ、炭素が9つのジアミンとテレフタル酸モノマーとを含み、カルボン酸側が芳香族である半芳香族である。カルボン酸側だけでなく、ジアミン側も芳香族である全芳香族として、p-フェニレンジアミンとテレフタル酸モノマーとから生成されるアラミドもポリアミドに含まれる。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点:260℃)、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性を付与する点で、テレフタル酸やイソフタル酸を一部に含む芳香族を有するものが好ましい。
ポリエーテルとしては、例えば、ポリアリールケトン、ポリエーテルスルフォンなどが挙げられる。
ポリアリールケトンとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、PA9Tのように2つの融点ピークを有するものでもよい。2つの融点ピークを有する熱可塑性樹脂は、高温側の融点ピーク以上の温度になると完全に溶融する。なお、熱可塑性樹脂粉末は、100℃以上の融点の熱可塑性樹脂を1種以上含むことが好ましい。
[樹脂粒子の製造方法]
樹脂粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂組成物を粉砕又は切断して所定の粒径にする方法などが好ましい。
樹脂組成物を粉砕して所定の粒径にする方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を含むペレット形状の樹脂組成物を粉砕装置により粉砕し、所定の粒径以外の樹脂粒子を分級又はフィルターにより濾過する方法などが挙げられる。また、樹脂組成物の脆弱性を利用して粉砕する場合、粉砕時の環境温度としては、樹脂組成物の脆弱温度以下がよく、室温(25℃)以下が好ましく、0℃以下がより好ましく、-25℃以下が更に好ましく、-100℃以下が特に好ましい。分級操作では、樹脂粒子の流動性を向上させるために、例えば、25μm以上80μm以下の樹脂粒子を捕集することが好ましい。
樹脂組成物を切断して所定の粒径にする方法としては、例えば、押出成形により繊維化した樹脂組成物を所定の粒径になるように切断する方法などが挙げられる。
これらの中でも、押出成形により繊維化した樹脂組成物を所定の粒径になるように切断する方法が好ましい。樹脂粒子の製造方法が押出成形により繊維化した樹脂組成物を所定の粒径になるように切断する方法であると、繊維径(上面と底面の面積)とカット幅(柱体の高さに該当)によって樹脂粒子の形状を変化させることが比較的容易にできる点で有利である。
-結晶性制御-
樹脂粒子における結晶性樹脂の結晶サイズ及び結晶配向を制御することで、例えば、PBF方式で立体造形物を造形する際には、高温環境下の造形プロセスにおいて粉末材料層を成膜するリコート処理によるエラーの発生を低減させることができる。
結晶サイズ及び結晶配向を制御する方法としては、例えば、熱処理、延伸処理、超音波処理、外部電場印加処理等の外部刺激を用いる方法;結晶核剤を用いる方法;樹脂を溶媒に溶解し、溶媒をゆっくりと揮発させて結晶性を高める方法などが挙げられる。
熱処理としては、例えば、結晶性を高めるために、樹脂組成物をガラス転移温度以上の温度に加熱するアニーリング処理などが挙げられる。
アニーリング処理としては、例えば、結晶核剤が添加されている樹脂組成物をガラス転移温度から50℃高い温度で3日間保温し、その後、室温(25℃)までゆっくりと冷却する処理などが挙げられる。
延伸処理は、樹脂の延伸により樹脂の配向を高め、結晶性を高めるために行われる。延伸された樹脂は、粉砕、裁断などの加工が施され樹脂粒子となる。
延伸処理としては、例えば、押出加工機を用いて、樹脂を融点より30℃以上高い温度にて溶融させ撹拌しながら、溶融物を1倍以上10倍以下に延伸して繊維状にする処理などが挙げられる。
延伸処理における最大延伸倍率は、樹脂組成物の溶融粘度などに応じて、適宜設定される。押出加工機を用いる場合、ノズル口の数は、特に限定されないが、多いほど生産性が向上する。
延伸の倍率としては、高ければ高いほど結晶配向性が向上することから、2.0倍以上が好ましく、2.5倍以上が理想的な結晶・配向性を得られやすくなる点でより好ましい。延伸処理後には、アニーリング工程やリラックス工程を入れてもよく加熱時の繊維の変形が起こらないようにしてもよい。
また、延伸処理を行う場合には、樹脂粒子の形状は、押出加工機のノズル口の形状により決まる。例えば、円柱体の樹脂粒子を得るためには、ノズル口の形状を円形にすればよく、多角柱体の樹脂粒子の形状を得るためには、ノズル口の形状を多角形にすればよい。
超音波処理としては、例えば、グリセリン(試薬グレード、東京化成工業株式会社製)溶媒を樹脂粒子に対して5倍ほど加えた後、樹脂の融点より20℃高い温度まで加熱し、ヒールシャー社製、ultrasonicator UP200Sなどの超音波発生装置にて24kHz、振幅60%での超音波を2時間与える処理などが挙げられる。この場合、超音波を与える処理後、室温にて樹脂粒子をイソプロパノールの溶媒で洗浄して真空乾燥することが好ましい。
外部電場印加処理としては、例えば、樹脂粒子をガラス転移温度以上にて加熱した後に600V/cmの交流電場(500Hz)を1時間印加した後にゆっくりと冷却する処理などが挙げられる。
結晶相変化についての温度幅(温度窓)、即ち、加熱時の溶融開始温度と冷却時の再結晶温度との差としては、3℃よりも大きいほうが造形物の反りを防ぐ点で好ましく、5℃以上大きいほうが高精細な造形物を造形できる点でより好ましい。また、PBF方式でレーザーにより立体造形物を造形する際には、レーザーによる加熱温度よりも高い分解温度を有する樹脂やその他の成分を選択することで、レーザー照射による発煙を抑制することができる。
円柱形又は多角形柱状の樹脂粒子の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましく、PBF方式で立体造形物を造形する際には、30μm以上200μm以下がPBF方式とのマッチング性の点でより好ましい。樹脂粒子の高さが好ましい範囲であると、造形物の強度が向上し、かつ造形物や成形物の反りを抑制できる点で有利である。
樹脂粒子が円柱体である場合には、樹脂粒子の上面又は底面の円形部分の直径に対する高さの比としては、0.5倍以上2倍以下が好ましく、1倍以上2倍以下が加工性の点でより好ましい。また、樹脂粒子が多角柱体である場合には、樹脂粒子の上面又は底面の多角形部分を全て含むような最小の円(最小包含円)の直径に対する高さの比としては、0.5倍以上2倍以下が好ましく、加工性の点でより好ましい。
<耐熱性帯電防止剤>
耐熱性帯電防止剤とは、ISO 7111-1987に準拠した測定方法での5%質量減少温度が150℃以上である耐熱性を備えた帯電防止剤を意味する。
前記熱可塑性樹脂粉末は耐熱性帯電防止剤を0.01質量%以上30.0質量%以下含み、0.1質量%以上5.0質量%以下含むことが好ましい。
前記熱可塑性樹脂粉末は、耐熱性帯電防止剤を0.01質量%以上30.0質量%以下含むことにより、帯電防止効果に優れ、装置内における樹脂粉末の付着を低減でき、綺麗な造形面を有する立体造形物を造形することができる。
耐熱性帯電防止剤は、樹脂粉末に対して内添でもよく、外添でもよい。内添する場合には、樹脂粒子の製造方法において、樹脂組成物中に耐熱性帯電防止剤を練り込む。
ポリエチレン、ポリプロピレン等の密度が1g/cm未満の軽い熱可塑性樹脂に対しては、樹脂粉末に加わる力として静電気力の影響が相対的に大きいため、とりわけ効果的であることが確認されている。また、同様に表面に極性がなく疎水性である樹脂粉末に対して、樹脂粒子表面に帯電しやすく静電気力の影響を受けやすいため、とりわけ効果的であることが確認されている。
例えば、PBF方式の三次元造形装置では、造形の最中は樹脂粉末面に対し余熱を行うことが一般的であり、このような高温低湿度の環境下では界面活性の作用を持たせる帯電防止剤は効果が不安定となる。このため、直接樹脂の抵抗率を下げる帯電防止剤が好ましい。直接樹脂の抵抗率を下げる帯電防止剤としては、例えば、外添剤を用いて、樹脂のチャージのし易い対の電荷をもつ外添剤を添加してもよい。外添剤では造形を繰り返した際に起こる外添剤の脱落の影響、更に熱により樹脂粉末が軟化することによる埋没等の影響により帯電防止効果が弱まり、リサイクル性の低下につながるため、内添剤の方がより好ましい。また、樹脂の抵抗率を下げる目的の内添剤は少量の添加で帯電防止効果があるものが好ましい。内添剤の添加比率が上がるほど樹脂本来の物性が損なわれ、例えば、引張強度などの強度の低下につながるためである。
本発明においては、帯電防止効果を向上させるため、ISO 7111-1987に準拠した測定方法としてTG/DTAを用い、10℃/minで温度を上昇させ、5質量%減少温度が150℃以上である耐熱性帯電防止剤が好適に用いられる。
このような耐熱性帯電防止剤は、電荷が蓄積しないように表面電位を漏洩させる目的で用いられるが、一般的な界面活性剤などの塗布型や練り混み型では、高温下に置かれる三次元の造形時に揮発してしまい、高温時の帯電防止効果が低下してしまう。
耐熱性帯電防止剤としては、例えば、カーボンブラック、ケッチョンブラック、カーボンナノチューブ、ポリピロール、ポリチオフェン、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤などが挙げられる。
耐熱性帯電防止剤としては、例えば、CABELEC社の登録商標である導電性コンパウンド(CA6141グレード)を使用してもよい。
また、長時間使用する目的から、低分子帯電防止剤よりも、高分子帯電防止剤の方がより好ましい。高分子帯電防止剤としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸塩、4級アンモニウム塩共重合体などが挙げられ、化学名では、グリセリンモノ脂肪酸エステルや、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、ホウ素アミン両性イオンポリエチレンポリマーなどが挙げられる。
高分子帯電防止剤としては、安定性の観点から、株式会社ADEKA製のAS113やAS310Eといった特殊な構造を持つ耐熱性帯電防止剤、株式会社ボロン研究所製のビオミセルBN105などが挙げられる。
耐熱性帯電防止剤としては、無機物質でもよく、カーボンブラック、グラフェン、カーボンナノチューブ;酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物微粒子などが挙げられる。
前記耐熱性帯電防止剤としては、分子中に下記構造式(1)で表される原子団1個と炭素数11~22の直鎖型飽和炭化水素基を最小限1個有する半極性有機化合物の1種以上と、分子中に塩基性窒素原子団1個と炭素数11~22の直鎖型飽和炭化水素基を最小限1個有する塩基性有機化合物の1種以上とを含む組成物からなるドナー・アクセプターハイブリッド型帯電防止剤であることが、帯電防止効果の点から好ましい。
Figure 0007279506000001
分子中に上記構造式(1)で表される原子団1個と炭素数11~22の直鎖型飽和炭化水素基を最小限1個有する半極性有機化合物としては、以下の構造式(2)から(8)で表されるものなどが挙げられる。
Figure 0007279506000002
Figure 0007279506000003
Figure 0007279506000004
Figure 0007279506000005
Figure 0007279506000006
Figure 0007279506000007
Figure 0007279506000008
分子中に塩基性窒素原子団1個と炭素数11~22の直鎖型飽和炭化水素基を最小限1個有する塩基性有機化合物としては、以下の構造式(9)から(18)表されるものなどが挙げられる。
Figure 0007279506000009
Figure 0007279506000010
Figure 0007279506000011
Figure 0007279506000012
Figure 0007279506000013
Figure 0007279506000014
Figure 0007279506000015
Figure 0007279506000016
Figure 0007279506000017
Figure 0007279506000018
<その他の成分>
樹脂粉末におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、劣化防止剤、流動化剤、強化剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤等の添加剤や非結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、その他の成分は、各樹脂粒子に混合して使用しても、各樹脂粒子の表面に被覆して使用してもよい。
<<劣化防止剤>>
熱可塑性樹脂粉末は、分子の熱安定性を維持し、架橋又は分解などの樹脂劣化を抑制するために、劣化防止剤を含有してもよい。
劣化防止剤としては、例えば、金属キレート材、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤などが挙げられる。なお、劣化防止剤として用いる粉末の酸化防止剤は、樹脂ペレットの周囲に滑剤などの油状成分でコーティングした後に、混ぜることによって、酸化防止剤のマスターバッチを作ること無く、均一に混合することができる。
金属キレート材としては、例えば、ヒドラジド系、ホスフェート系、ホスファイト系等の化合物などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系の化合物などが挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、酢酸銅などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の化合物などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば、ラジカル捕捉剤等の各種の添加剤などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系の酸化防止剤としては、例えば、α-トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-tert-ブチル-6-(3’-tert-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-ジメチレン-ビス(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、1,6-へキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル6-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1,-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’-ジ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-トリ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-チオジエチレンビス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、N,N’-ヘキサメチレンビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス2[3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)アセテート、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)アセチルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)ベンゼン、トリス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)イソシアヌレート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、テトラキス[メチレン-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが、高温安定性の点で好ましい。
リン系の酸化防止剤としては、例えば、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸;ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、ホスホネイト化合物などのこれらのエステル;第3級ホスフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトが、高温安定性の点で好ましい。
これらのホスファイト化合物としては、市販品を使用してもよい。
ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトの市販品としては、例えば、アデカスタブPEP-8(登録商標、株式会社ADEKA製)、JPP681S(登録商標、城北化学工業株式会社製)などが挙げられる。
ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの市販品としては、例えば、アデカスタブPEP-24G(登録商標、株式会社ADEKA製)、Alkanox P-24(登録商標、Great Lakes社製)、Ultranox P626(登録商標、GE Specialty Chemicals社製)、Doverphos S-9432(登録商標、Dover Chemical社製)、Irgaofos126、126FF(登録商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)などが挙げられる。
ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの市販品としては、例えば、アデカスタブPEP-36(登録商標、株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
ビス{2,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトの市販品としては、例えば、アデカスタブPEP-45(登録商標、株式会社ADEKA製)、Doverphos S-9228(登録商標、Dover Chemical社製)などが挙げられる。
他のホスファイト化合物としては、二価フェノール類と反応し、環状構造を有する化合物などが挙げられる。
二価フェノール類と反応し、環状構造を有する化合物としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが挙げられる。
ホスフェート化合物としては、例えば、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、オクタデシルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、トリフェニルホスフェート、オクタデシルホスフェート、トリメチルホスフェートが、高温安定性の点から好ましい。
ホスホナイト化合物としては、例えば、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、テトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトが、ホスファイト化合物と併用可能である点から好ましい。
ホスホネイト化合物としては、例えば、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、例えば、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トリフェニルホスフィンが、高温時の長期安定性の点から好ましい。
2種類以上の劣化防止剤を併用する場合には、より顕著な効果が得られる組み合わせも存在する。例えば、劣化防止剤としてヒンダードフェノール系及びリン系の酸化防止剤を組み合わせて用いることで、相補的に安定性を向上させる効果があることから、より長期熱安定性がよくなる効果が得られる。
劣化防止剤の含有量としては、長時間の劣化を防止する点で、樹脂粉末の全量に対して0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上0.4質量%以下が更に好ましい。2種類以上の劣化防止剤を併用する場合の各劣化防止剤の含有量の好ましい範囲は、上記の範囲と同様である。劣化防止剤の含有量が好ましい範囲内であれば、樹脂粉末の熱劣化を防止する効果が十分に得られ、造形に使用した樹脂粉末をリサイクルしたときの造形物の物性が向上し、樹脂粉末の熱による変色を防止する効果も得られる。更には、高分子型の耐電防止の安定性を更に増すことができるため、高分子帯電防止剤を使用する際には併用するのがより好ましい。
<<流動化剤>>
流動化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料からなる球状粒子などが挙げられる。
無機材料からなる球状粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm未満であることが好ましい。
流動化剤の含有量としては、粒子表面上に覆うために十分な量であればよく、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂粉末全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
球状粒子における無機材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化鉄、酸化銅、水和シリカ、シランカップリング剤により表面を変性させたシリカ、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。これらの中でも、シリカ、チタニア、水和シリカ、及びシランカップリング剤により表面を変性させたシリカが流動性の改良の効果の点で好ましく、シランカップリング剤により表面を疎水性に変性させたシリカがコストの点でより好ましい。
<<強化剤>>
強化剤としては、強度向上の点から、無機ファイバーフィラー、ビーズフィラー、国際公開第2008/057844号パンフレットに記載のガラスフィラー、ガラスビーズ、カーボンファイバー、アルミボールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機ファイバーフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンファイバー、無機ガラスファイバー、金属ファイバーなどが挙げられる。
ビーズフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンビーズ、無機ガラスビーズ、金属ビーズなどが挙げられる。
無機ファイバーフィラーやビーズフィラーの熱伝導率は、樹脂粉末の熱伝導率よりも高いため、SLS(Selective Laser Sintering)、LS造形において樹脂粉末の表面にレーザーを照射すると、照射部の熱がレーザー照射部外へ拡散する。このため、シャープメルト性を有さない樹脂粉末に対して、ファイバーフィラー又はビーズフィラーを混合すると、レーザー照射部外の樹脂粉末が、熱拡散により加熱され、過剰に溶融することで、造形精度が低くなる。ところが、結晶性熱可塑性樹脂を含有し、シャープメルト性を有する樹脂粉末に対して、ファイバーフィラーやビーズフィラーを混合すると、レーザー照射部外の樹脂粉末が、熱拡散により加熱されたとしても溶融しにくくなるため、高い造形精度を維持することができる。
無機ファイバーフィラーの平均繊維径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上30μm以下が好ましい。
無機ファイバーフィラーの平均繊維長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm以上500μm以下が好ましい。
無機ファイバーフィラーの平均繊維径及び平均繊維長さが好ましい範囲であると、造形物の強度が向上し、かつファイバーフィラーを含まない造形物の表面粗さと同程度とすることができる点で有利である。
無機ファイバーフィラーの含有量としては、樹脂粉末の全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。無機ファイバーフィラーの含有量が5質量%以上であると造形物の強度が向上し、60質量%以下であると造形性が向上する。
ビーズフィラーの円形度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.8以上1.0以下が好ましい。
なお、円形度は、面積(ビーズフィラーを撮像したときのビーズフィラーを示す画素数)をS、周囲長をLとしたときに、次式、円形度=4πS/L、により求められる。
ビーズフィラーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm以上200μm以下が好ましい。
体積平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて測定することができる。
ビーズフィラーの含有量としては、樹脂粉末の全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。含有量が5質量%以上であると、造形物の強度が向上し、60質量%以下であると、造形性が向上する。
<<難燃剤>>
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系、リン系、無機水和金属化合物系、窒素系、シリコーン系等の各種難燃剤などが挙げられる。建築、車両、又は船舶艤装用などの各種の難燃剤を樹脂粉末に用いてもよい。難燃剤を2種以上併用する場合には、ハロゲン系と無機水和金属化合物系とを組合せることで難燃性能が向上する。
また、樹脂粉末は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の繊維状物質;若しくはタルク、マイカ、モンモリロナイト等の無機層状珪酸塩などの無機強化剤を含有してもよい。このような実施形態によると、物性強化と難燃性強化とを両立できる。
樹脂粉末の難燃性は、例えば、JIS K6911、JIS L1091(ISO6925)、JIS C3005、発熱性試験(コーンカロリメータ)などにより評価することができる。
難燃剤の含有量としては、樹脂粉末の全量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。難燃剤の含有量が1質量%以上であると、十分な難燃性が得られる。難燃剤の含有量が50質量%以下であると、樹脂粉末の溶融固化特性が変化することが抑制され、造形精度の低下や造形物の物性劣化を防止できる。
なお、熱可塑性樹脂粉末は、造形に影響を及ぼさない程度に乾燥していることが好ましい。このため、真空乾燥機やシリカゲルにより乾燥させた樹脂粒子を用いて造形してもよい。
<熱可塑性樹脂粉末の諸特性>
-密度-
熱可塑性樹脂粉末の密度としては、0.8g/cm以上1.4g/cm以下であることが好ましく、帯電防止剤の効果の点から、0.8g/cm以上1.0g/cm以下がより好ましい。熱可塑性樹脂粉末の密度が0.8g/cm以上であると、造形時に粉末材料層を成膜するリコート処理において、粒子の二次凝集を抑止することができる。一方、金属代替などの用途では、軽量化のニーズから、熱可塑性樹脂粉末の密度としては、1.4g/cm以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂粉末の密度は、真密度の測定により得られる。真密度は、例えば、気相置換法を用いた乾式自動密度計(アキュピック1330、株式会社島津製作所製)を用いて一定温度で気体(Heガス)の体積と圧力を変化させて、サンプルの体積を求め、及びこのサンプルの質量を計測し、密度を算出することができる。
-50%累積体積粒径D50
熱可塑性樹脂粉末の50%累積体積粒径D50としては、5μm以上200μm以下が好ましく、寸法安定性の点から、5μm以上50μm以下がより好ましい。また、樹脂粉末の体積平均粒径(Mv)を個数平均粒径(Mn)で除した比(Mv/Mn)は、造形精度向上の点で、2.00以下が好ましく、1.50以下がより好ましく、1.20以下が更に好ましい。
なお、50%累積体積粒径及びMv/Mnは、例えば、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、microtrac MT3300EXII)を用いて測定することができる。
-抵抗率-
熱可塑性樹脂粉末は室温25℃、相対湿度65%~67%、印加電圧250Vの測定条件で樹脂粉末の表面抵抗率を1×10Ω以上1×1014Ω以下の範囲に制御することで、帯電防止効果を付与させ、樹脂粉末の舞い上がりや付着を大幅に改善し造形不良を抑制できる。
熱可塑性樹脂粉末の表面抵抗率を下げることで、粉末化され三次元造形に適用した時に粒子の動きに伴う粒子間、粒子装置間の摩擦などにより発生する電荷の蓄積を抑制することができ、粒子間の静電気力による反発が招く粉末の舞い上がりや、導体である金属部分などへの付着を引き起こしにくくする効果が得られる。
熱可塑性樹脂粉末の表面抵抗率は1×10Ω以上1×1014Ω以下の範囲に制御されていることが好ましく、体積抵抗率は1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下の範囲にあることが好ましい。
また、付着量が大きく減少するため表面抵抗率は1×10Ω以上1×1013Ω以下の範囲に制御されている方がより好ましい。ただし、抵抗があまり低いと粒子間の静電気力による粒子間の反発が弱まり流動性が悪化するため、表面抵抗率は1×10Ω以上であることが好ましい。
熱可塑性樹脂粉末の表面抵抗率及び体積抵抗率は、例えば、電極としては高抵抗用抵抗セル(Agilent Technologies社製、Agilent 16008B Bias RESISTIVELY CELL)、測定装置としてはハイレジスタンスメータ(Agilent Technologies社製、Agilent 4339B ハイレジスタンスメータ)を用いれば測定して判別することができる。
また、高温抵抗率として、150℃真空加熱し30分間ほど放置した後に上記装置にて測定したものを、高温抵抗率とした。
高温抵抗率は1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下であることが好ましい。
-リサイクル性-
熱可塑性樹脂粉末を用いることにより、リサイクル性に優れ、余剰粉を繰り返し使用しても、帯電防止効果を損なうことなく造形を行うことができる。
樹脂粉末の帯電を防止するため、樹脂と逆の極性をもつ材料微粒子の外添が効果的であるが、外添された微粒子は造形のプロセスを通して、粉末と装置との摩擦あるいは粉末間の摩擦により脱落の影響、更に熱により樹脂粉末が軟化することによる埋没等の影響により帯電防止効果が損なわれ、造形を繰り返すことによりリサイクル性の低下を引き起こす。
本発明の熱可塑性樹脂粉末は、樹脂に練り込んでいるために造形を繰り返すことによる脱落や埋没が起こらず、高いリサイクル性が保たれる。
リサイクル性の確認方法としては、造形に用いた樹脂粉末のうち未焼結、未溶融分を供給床中に戻し同様の造形を行う試験を繰り返すことが有効である。
本発明において用いられるリサイクル粉末としては、PBF方式の造形機(株式会社リコー製、AMS5500P)中にて、リサイクル粉末を少なくとも1回以上試験を行った後も、金属部分への付着を抑えることができ、リコーターなどの可動部に樹脂粉末が付着したものが大きく成長し、やがて平坦に形成された粉面に落下して造形を阻害する現象が見られない。
粉面に前記の大きく成長した粉末塊が落下すると、その領域にレーザー照射あるいはインク吐出が行われた場合、局所的に盛り上がった造形物が造形され、次の層の粉面形成でリコーターに接触して造形物がずれる現象、あるいは粉末塊が造形物に融合してしまい造形物表層に意図しない突起が形成される現象の原因となる。
<用途>
本発明の熱可塑性樹脂粉末は、粒度、粒度分布、熱移動特性、溶融粘度、嵩密度、流動性、溶融温度、及び再結晶温度のようなパラメータについて適切なバランスを有し、SLS方式、SMS(Selective Mask Sintering)方式、MJF(Multi Jet Fusion)方式、HSS(High speed sintering)方式、又はBJ(Binder Jetting)法などの樹脂粉末を用いた各種立体造形方法において好適に利用される。
本発明の熱可塑性樹脂粉末は、表面収縮剤、スペーサー、滑剤、塗料、砥石、添加剤、二次電池セパレーター、食品、化粧品、衣服等において好適に利用される。このほか、自動車、精密機器、半導体、航空宇宙、医療等の分野において用いられる材料や金属代替材料として用いてもよい。これらの用途の中でも、各種物品を立体造形する立体造形用樹脂粉末が特に好ましい。
(立体造形用樹脂粉末)
本発明の立体造形用樹脂粉末は、耐熱性帯電防止剤を0.01質量%以上30.0質量%以下含み、
摩擦帯電法で以下の条件により測定した表面帯電電位が±100V以下である。
[条件]熱可塑性樹脂粉末の融点-10℃の温度で10分間、ステンレス鋼(SUS)リコーターを500m/分で回転させて、供給槽から造形槽に熱可塑性樹脂粉末を供給した後、100℃での造形槽の粉末層表面の表面帯電電位を測定する。
摩擦帯電法で上記の条件により測定した表面帯電電位が±100V以下であり、±40V以下が好ましく、±100V以下がより好ましい。
摩擦帯電法で上記の条件により測定した表面帯電電位が±100V以下であると、造形物強度が低下することなく、添加剤の添加量を極力少なくした上で、優れたリコート付着防止効果が得られる。
本発明の立体造形用樹脂粉末を用いて、レーザー焼結により形成される立体造形物は、内部欠陥が少なく安定した強度や造形物の外観を得られることができる。またレーザー焼結以外にもフィルム加工用に粉末を使用してもよく、一般的なフィルムを作るのが難しいものでも粉を引くことができるので、フィルムを得ることができる。
本発明の立体造形用樹脂粉末は、優れた長期リサイクル性を有する。本実施形態の新品の樹脂粉末、及びリサイクル粉末を用いて、PBF方式、MJF及びHSS方式等で造形することで、安定して造形物を作ることができる。従来の粉末では、初期にリコートによる付着が低かったものでも繰り返しの仕様により付着が発生し、造形面が均質にならないため、造形物の強度低下が生じていた。しかし、本発明の立体造形用樹脂粉末を使用した三次元造形では、初期だけでなく、継続して、リコートへの付着が抑制できる。
リサイクル粉末は、例えば、SLS方式の造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)を用いて50時間、造形したときに、造形に用いられなかった樹脂粉末である。このリサイクル粉末に対し新品の樹脂粉末を30質量%足して、更に50時間の造形を更に2回繰り返しても、リコートへの付着量増加を示さず、造形欠陥のない立体物が得られる。評価は、樹脂粉末により形成されるISO(国際標準化機構)3167 Type1A 150mm長さ多目的犬骨様試験標本を用いて実施することできる。
(立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、樹脂粉末からなる粉末材料層を形成する工程と、前記粉末材料層を溶融させる工程と、を含み、これらの工程を繰り返して立体造形物を造形する。
本発明の立体造形物の製造装置は、樹脂粉末からなる粉末材料層を形成する粉末材料層形成手段と、前記粉末材料層を溶融させる溶融手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
<粉末材料層形成工程及び粉末材料層形成手段>
粉末材料層形成工程は、樹脂粉末からなる粉末材料層を形成する工程であり、粉末材料層形成手段により実施される。
前記粉末材料層は支持体上に形成されることが好ましい。
前記支持体としては、前記樹脂粉末を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記樹脂粉末の載置面を有する台、特開2000-328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレートなどが挙げられる。
前記支持体の表面、即ち、前記樹脂粉末を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよいが、前記樹脂粉末における前記有機材料が加熱溶解し冷却固化した際に、熱膨張係数が異なるものであれば得られた立体造形物を前記載置面から取り外すことが容易である点で好ましい。
前記樹脂粉末を前記支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラー)などを用いる方法、前記樹脂粉末をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記樹脂粉末の表面に押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層装置を用いる方法、などが好適に挙げられる。
前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記樹脂粉末を薄層に載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。
即ち、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、前記外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記樹脂粉末を、前記カウンター回転機構(カウンターローラー)、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、即ち、前記樹脂粉末層の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記樹脂粉末を載置させる。以上により、前記樹脂粉末を前記支持体上に薄層に載置させることができる。
前記粉末材料層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みでは、1μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上200μm以下がより好ましい。
<溶融工程及び溶融手段>
粉末材料層を溶融させる工程としては、適宜変更することが可能であるが、例えば、電磁照射による方法、抑制剤や吸収剤を用いる方法などが挙げられる。これらの中でも、電磁照射が好ましく、選択的に電磁照射を行うことがより好ましい。
電磁照射としては、適宜変更が可能であるが、例えば、レーザー光源、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、LEDランプなどが挙げられる。これらを組み合わせてもよい。レーザー光源を用いる場合、選択的に直接レーザーを照射してもよいし、マスクを使い平面状にレーザーを照射してもよい。これらの中でも、選択的に直接レーザーを照射することが好ましい。
マスクを用いる場合、選択的マスク焼結(SMS)技術を使用して、本実施形態の立体造形物を製造できる。SMSプロセスについては、例えば、米国特許第6,531,086号明細書等に記載されている。SMSプロセスでは遮蔽マスクを使用して選択的に赤外放射を遮断し、粉末材料層の一部が選択的に照射される。
上述したように、粉末材料層を溶融し焼結層が形成されるが、焼結層の厚さは造形プロセスにより適宜変更することが可能である。複数の焼結層は、各々を平均して1層あたり10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上が更に好ましい。
<その他の工程及びその他の手段>
その他の工程としては、例えば、焼結工程、制御工程などが挙げられる。
その他の手段としては、例えば、焼結手段、制御手段などが挙げられる。
ここで、図3を用いて、樹脂粉末を用いて造形する立体造形物の製造装置について説明する。
図3に示す立体造形物の製造装置1は、供給槽11、ローラ12、レーザー走査スペース13、電磁照射源18、反射鏡19、ヒータ11H,13Hを有する。
供給槽11は、造形材料として樹脂粉末Pを収容し、収容手段の一例である。
ローラ12は、供給槽11に収容されている樹脂粉末Pをレーザー走査スペース13に供給し、供給手段の一例である。ローラ12は、例えば、ステンレス鋼(SUS)等の材質である。
レーザー走査スペース13は、電磁線としてのレーザーLが走査されるスペースである。ローラ12によって、所定の厚みの粉末材料層が形成される。
電磁照射源18はレーザーLを照射する。
反射鏡19は、電磁照射源18によって照射されたレーザーLをレーザー走査スペース13の所定位置へ反射させる。電磁照射源18及び反射鏡は、レーザー照射手段の一例である。反射鏡19の反射面は、電磁照射源18がレーザーLを照射している間、3Dデータに基づいて、移動する。
3Dデータは、3Dモデルを所定間隔でスライスしたときの各断面形状を示す。これにより、レーザーLの反射角度が変わることで、レーザー走査スペース13のうち、3Dデータで示される所定の層に、選択的にレーザーLが照射される。レーザーLが照射されることによって、照射位置の樹脂粉末は、溶融し、焼結して造形層を形成する。即ち、電磁照射源18は、樹脂粉末Pから造形物の各層を形成する層形成手段として機能する。また、ヒータ11H,13Hは、供給槽11、及びレーザー走査スペース13に収容される樹脂粉末Pをそれぞれ加熱してもよい。
また、立体造形物の製造装置1の供給槽11、及びレーザー走査スペース13には、ピストン11P,13Pが設けられている。ピストン11P,13Pは、層の造形が完了すると、供給槽11、及びレーザー走査スペース13を、造形物の積層方向に対し上、又は下方向に移動させる。これにより、供給槽11からレーザー走査スペース13へ、新たな層の造形に用いられる新たな樹脂粉末Pを供給することが可能になる。
立体造形物の製造装置1は、反射鏡19によってレーザーの照射位置を変えることにより、樹脂粉末Pを選択的に溶融させてもよい。他にも本発明の樹脂粉末は、選択的マスク焼結(SMS: Selective Mask Sintering)方式や高速焼結(HSS:High Speed Sintering)など種々の造形装置に適用可能である。SMS方式では、例えば、樹脂粉末の一部を遮蔽マスクによりマスクし、電磁線が照射され、マスクされていない部分に赤外線などの電磁線を照射し、選択的に樹脂粉末を溶融することにより造形する。
SMS方式を用いる場合、樹脂粉末Pは、赤外吸収特性を増強させる熱吸収剤、又は暗色物質などを1種以上含有することが好ましい。
熱吸収剤、又は暗色物質としては、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、及びセルロースナノファイバーなどを用いることが好ましい。HSS方式では、粉末材料層上の造形領域に放射エネルギー吸収剤を含む造形用溶液を吐出し、放射エネルギーを付与して樹脂粒子を含む粉末同士を融着させる。
図4は、立体造形物の製造装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。以下、図3を参照しながら、立体造形物の製造装置1の立体造形について説明する。
ステップS1では、造形材料が供給される(供給工程)。具体的には、造形材料として、供給槽5の樹脂粉末Pはレーザー走査スペース13へ供給され、ローラ12を駆動することによって平坦化される。これよって、1層分の厚さTの粉末材料層が形成される。
次に、ステップS2では、造形材料にレーザーが照射される(レーザー照射工程)。造形データの所定の層のデータに基づいて、反射鏡19の反射面を移動させつつ、電磁照射源18にレーザーを照射させる。レーザーの照射により、粉末材料層のうち、所定の層のデータによって示される画素に対応する位置の樹脂粉末Pが溶融する。レーザーの照射によって溶融した樹脂は硬化して、1層分の造形層が造形される。
次に、ステップS3では、立体造形物の製造装置1は、全ての層を造形したか否かを判断する。造形データは複数の層のデータが含まれおり、全ての層のデータが造形を終了したか判断する。全て終わった場合には、造形を終了する。造形が終わっていなければ、供給槽11、及びレーザー走査スペース13を、造形物の積層方向に対し上、又は下方向に移動させる。
そして、ステップS1に戻る。供給工程(ステップS1)と、照射工程(ステップS2)とを繰り返すことで、造形層を積層して、立体造形物を造形する。なお、ステップS1とステップS2でそれぞれ供給槽11、及びレーザー走査スペース13に収容される樹脂粉末Pは、ヒータ11H,13Hでそれぞれ加熱されていてもよい。
(立体造形物)
本発明の熱可塑性樹脂粉末によって造形される立体造形物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子機器パーツや自動車部品のプロトタイプ、強度試験用の試作品、エアロスペース、又は自動車産業のドレスアップツールなどに使われる少量製品などが挙げられる。PBF方式については、FFF(Fused Filament Fabrication)方式やインクジェット方式などの他の方式と比較し、強度が優れることが期待されるため、実用の製品としても使用に耐える。
生産スピードは、射出成型のような大量に生産するのにはかなわないが、例えば、小さい部品を平面状に大量に作ることにより必要な生産量を得ることができる。また、本発明に用いられるPBF方式における立体造形物の製造方法は、射出成型のような金型を必要としないため、試作及びプロトタイプの作製においては、圧倒的なコスト削減と納期削減を達成することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン(PP)樹脂(商品名:プライムポリプロJ704UG、株式会社プライムポリマー製、融点:160℃)99質量部に、耐熱性帯電防止剤としてビオミセルBN105(株式会社ボロン研究所製)を同じグレードのPPで10倍に添加しているマスターバッチを1質量部使用した。それらを均一に混合した後に、添加して二軸押出し機(装置名:2D25S、株式会社東洋精機製作所製)に投入し、二軸押出し機のノズル口を円形として延伸5倍で巻き取り、直径50μmの樹脂繊維を形成した。その後、形成した樹脂繊維を、自動切断機(装置名:NZI-0606、株式会社荻野精機製作所製)を用いて目的の粒度にするための大きさで裁断した。
実施例1では、50%累積体積粒径(D50)が80μmになるように、55μmの高さの円柱体に切断して樹脂粉末を得た。なお、以降の実施例では、50%累積体積粒径(D50)を目標値にする場合には、前記カット幅、即ち円柱の高さを対角線である√2で、割り返した結果とした。
次に、得られた樹脂粉末表面を機械摩擦により溶融させるため、Qミキサー(メカノハイブリッドMH型、日本コークス株式会社製)を用いて、回転数1,000rpmで20分間処理して熱可塑性樹脂粉末を得た。
得られた熱可塑性樹脂粉末について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1-1及び表1-2に示した。
<熱可塑性樹脂粉末の融点の測定>
得られた熱可塑性樹脂粉末に対して、ISO 3146に準拠して、示差走査量測定装置(DSC-60A、株式会社島津製作所製)を用いて、融点を測定した。具体的には、昇温温度勾配を10℃/minとして樹脂粒子のDSC測定を行い、得られた吸熱ピークの頂点の温度あるいは融点ピークの頂点の温度を融点とした。なお、樹脂粒子に複数の融点が存在する場合には、高温側の融点とした。
<熱可塑性樹脂粉末の密度測定>
熱可塑性樹脂粉末の真密度は、樹脂粉末を入れたサンプルの体積を予め求めておき、気相置換法を用いた乾式自動密度計(装置名:アキュピック1330、株式会社島津製作所製)を用いて、一定温度で気体(Heガス)の体積と圧力とを変化させ、前記サンプルの体積から質量を計測し、サンプルの密度を測定した。
<熱可塑性樹脂粉末の形状、底面の直径×高さ>
得られた熱可塑性樹脂粉末について、走査型電子顕微鏡(装置名:JSM-7800FPRIME、日本電子株式会社製)により、樹脂粒子の形状を観察した。更に、多角柱、円柱形状の場合は、底面の直径又は対角線の長さと、高さを測長した。
<50%累積体積粒径(D50)、比(Mv/Mn)>
熱可塑性樹脂粉末の50%累積体積粒径(D50)は、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製、micro trac MT3300EXII)を用いて測定した。また、同装粒度分布測定装置置を用いて、体積平均粒径Mv及び個数平均粒径Mnを測定し、比(Mv/Mn)を算出した。
<熱分解測定>
ISO 7111-1987に準じてTg-DTA測定を、示差熱天秤(Thermo plus EVO TG-DTA、株式会社リガク製)を用い、窒素雰囲気下で測定を実施した。質量が5%減少した温度を5%質量減少温度(Td5)として測定した。
また、前記示差熱天秤を使用して、熱可塑性樹脂粉末の融点から―10℃で4時間後の質量減少率を求めた。
<摩擦帯電法>
(1)室温(25℃):SLS方式造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)を用い、供給槽及び造形槽の温度を室温(25℃)に設定し、ステンレス鋼リコーターを500m/分で回転させ、積層ピッチを100μmに設定後、10分間供給槽から造形槽に熱可塑性樹脂粉末を供給した。その後、表面電位計(model344、トレックジャパン株式会社製)を用いて、造形槽の粉末層表面に対して2mm上での表面電位を測定し、下記の基準で評価した。
(2)高温(100℃):上記(1)から、造形槽及び供給槽の温度を使用する熱可塑性樹脂粉末の融点から10℃低い温度に設定した以外は、上記(1)と同様の方法で試験を実施した。なお、表面電位計での測定は、供給槽及び造形槽の温度が100℃になったところで測定し、下記基準で評価した。
[評価基準]
×:±100V以上
○:±100V未満
◎:±10V以下
<立体造形物の製造>
得られた熱可塑性樹脂粉末を用いて、SLS方式造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)を使用し、SLS方式により立体造形物の製造を行った。設定条件として、0.1mmの層平均厚み、10ワット以上150ワット以下のレーザー出力に設定し、0.1mmのレーザー走査スペース、融点より3℃低い温度にて部品床温度を使用した。
<立体造形の可否>
上記立体造形物の製造において、得られた立体造形物について、以下の基準により、立体造形の可否を評価した。
[評価基準]
○:形状がいびつであることなく得られた
×:粉面が乱れ造形が不可になったものや造形物が引きずられ造形が継続できなかったり、リコーターからの粉が落ちたことにより、造形物の荒れや大きな空孔が発生した
<造形後のリコート付着量>
上記立体造形物の製造を行った後にリコーターバーを外し、付いている熱可塑性樹脂粉末を掻き落とし、付着していた熱可塑性樹脂粉末の重量を測定し、付着量を求め、以下の基準で評価した。
[評価基準]
×:付着量が1g以上
○:付着量が1g未満
◎:付着量が0.1g以下
(実施例2)
実施例1において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:AO-330、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、株式会社ADEKA製)を0.1質量部、リン系劣化防止剤としてビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカスタブPEP-36、株式会社ADEKA製)を0.2質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(実施例3)
実施例1において、耐熱性帯電防止剤としてのビオミセルBN105(株式会社ボロン研究所製)の含有量を1質量部から0.2質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(実施例4)
実施例1において、耐熱性帯電防止剤としてのビオミセルBN105(株式会社ボロン研究所製)の含有量を1質量部から4.5質量部に変え、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(AO-330、株式会社ADEKA製)を0.2質量部、リン系劣化防止剤(アデカスタブPEP-36、株式会社ADEKA製)を0.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(実施例5)
実施例4において、二軸押出し機の吐出口の形状を丸型から、四角型に変更し、繊維径を127μm、カット幅を127μmに変え、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(AO-330、株式会社ADEKA製)を添加せず、リン系劣化防止剤(アデカスタブPEP-36、株式会社ADEKA製)を0.4質量部とした以外は、実施例4と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
参考例6)
実施例1において、樹脂種をPPランダム(J-721GR、プライムポリマー社製)に変更し、耐熱性帯電防止剤としてのポリオキシアルキレンアルキルエステル(商品名:エマール 20C、花王株式会社製)4.8質量部に変更し、20μmの繊維径にした後、-100℃の凍結粉砕法にて樹脂粉末を得た。
得られた樹脂粉末の表面を機械摩擦により溶融させるため、Qミキサー(メカノハイブリッドMH型、日本コークス株式会社製)を用いて、得られた真球形状の樹脂粉末を、回転数1,000rpmで20分間処理して、熱可塑性樹脂粉末を得た。
参考例7)
実施例2において、耐熱性帯電防止剤としてのポリオキシアルキレンアルキルエステル(商品名:エマール 20C、花王株式会社製)4.8質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
参考例8)
実施例2において、耐熱性帯電防止剤としてのAS301E(株式会社ADEKA製)1質量部に変更した以外は、実施例2と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(実施例9)
実施例2において、樹脂種をポリメチルペンテン(三井化学株式会社製、DX231)に変更した以外は、実施例2と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(実施例10)
実施例2において、以下に示すHSS方式での造形に変更した以外は、実施例2と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
<HSS方式>
得られた立体造形用粉末を用いて、HSS方式造形装置(株式会社HP製、HP Jet Fusion 3D 4200 printer)を使用し、立体造形物の製造を行った。設定条件として、0.1mmの層平均厚みに設定し、0.1mmのレーザー走査スペース、融点より20℃低い温度にて部品床温度を使用した。
(実施例11)
実施例1において、耐熱性帯電防止剤としてのビオミセルBN105(株式会社ボロン研究所製)の含有量を1質量部から5.1質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(実施例12)
実施例1において、耐熱性帯電防止剤としてのビオミセルBN105(株式会社ボロン研究所製)の含有量を1質量部から0.01質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(比較例1)
参考例6において、耐熱性帯電防止剤としてのポリオキシアルキレンアルキルエステル(商品名:エマール 20C、花王株式会社製)を使用しなかった以外は、参考例6と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(比較例2)
実施例1において、耐熱性帯電防止剤としてのビオミセルBN105(株式会社ボロン研究所製)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(比較例3)
比較例2において、50%累積体積粒径(D50)を300μmに変更した以外は、比較例2と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(比較例4)
比較例2において、帯電防止剤としてキャタナックSN(カチオン界面活性剤、塩ビ用)4.8質量部に変更した以外は、比較例2と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(比較例5)
比較例4において、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:AO-330、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、株式会社ADEKA製)を0.1質量部とし、リン系劣化防止剤として、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカスタブPEP-36、株式会社ADEKA製)を0.2質量部添加した以外は、比較例4と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(比較例6)
比較例5において、帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製、リケマール)4.8質量部に変更した以外は、比較例5と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(比較例7)
実施例9において、耐熱性帯電防止剤としてのビオミセルBN105(株式会社ボロン研究所製)を使用しなかった以外は、実施例9と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
(比較例8)
実施例1において、耐熱性帯電防止剤としてのビオミセルBN105(株式会社ボロン研究所製)の含有量を1質量部から31質量部に変えた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
Figure 0007279506000019
Figure 0007279506000020
表1-1及び表1-2中の略号の内容は、以下のとおりである。
-樹脂種-
*PPランダム:ポリプロピレン樹脂(PP)(商品名:J-721GR、プライムポリマー社製)
*PPブロック:ポリプロピレン(PP)樹脂(商品名:プライムポリプロJ704UG、株式会社プライムポリマー製、融点:160℃)
*ポリメチルペンテン:三井化学株式会社製、DX231
-帯電防止剤-
*ビオミセルBN105:株式会社ボロン研究所製、耐熱性帯電防止剤
*ポリオキシアルキレンアルキルエステル、商品名:エマール 20C、花王株式会社製、耐熱性帯電防止剤
*AS301E、株式会社ADEKA製、耐熱性帯電防止剤
*キャタナックSN、カチオン界面活性剤、塩ビ用、耐熱性帯電防止剤ではない
*グリセリン脂肪酸エステル、理研ビタミン株式会社製、商品名:リケマール、耐熱性帯電防止剤ではない
なお、「キャタナックSN(カチオン界面活性剤)」、及び「グリセリン脂肪酸エステル(リケマール)」は、ISO 7111-1987に準拠した測定方法での5%質量減少温度が150℃以上を満たしておらず、耐熱性帯電防止剤ではない。
-酸化防止剤-
*AO:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名:AO-330、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、株式会社ADEKA製)
*PEP:リン系劣化防止剤として、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカスタブPEP-36、株式会社ADEKA製)
表1-1及び表1-2の結果から、適切な耐熱性帯電防止剤を使用することにより、装置内での熱可塑性樹脂粉末の付着を低減でき、綺麗な造形面を有する立体造形物を造形することができ、従来は安定的に造形できなかった造形物が得られることがわかった。
(参考例13~19及び比較例9~10)
実施例1において、表2に示す樹脂種及び帯電防止剤を用いた以外は、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粉末を得た。
Figure 0007279506000021
表2中の各成分の詳細については、以下のとおりである。
-熱可塑性樹脂-
*PP:ポリプロピレン樹脂、プライムポリプロ株式会社製、J704UG
*TPX:三井化学株式会社製、TX845
*PBT:ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンプラ株式会社製、5010
-耐熱性帯電防止剤-
耐熱性帯電防止剤(内添剤)として、以下のカーボンナノチューブ、酸化チタンナノ粒子、又はカーボンブラックを使用した。
・カーボンナノチューブ(トーヨーカラー株式会社製、PPM 0KC290 BLK)
・酸化チタンナノ粒子(石原産業株式会社製、TTO-51)
・カーボンブラック(東海カーボン株式会社製、TOKABLACK)
耐熱性帯電防止剤(外添剤)としては、以下のフュームドシリカを使用した。
・フュームドシリカ(日本アエロジル株式会社製、RA200H)
次に、得られた各熱可塑性樹脂粉末について、以下のようにして、諸特性を測定した。結果を表3に示した。
<付着量>
リコーター機構周辺を含む可動部への熱可塑性樹脂粉末の付着は、移動時の衝撃等により飛散付着及び堆積した樹脂粉末が部品床や選択的に焼結、溶融した部品領域に落下し、造形不良を発生させる原因となるため、無いことが好ましい。
上記立体造形終了後のリコーター機構周辺を含む可動部への熱可塑性樹脂粉末の付着の有無を下記の粘着テープ試験により評価した。
-粘着テープ試験-
スコッチテープ(3M社製)を造形後の可動部であるリコーターのローラ部に貼り付け、剥がした際にスコッチテープに付着した粒子数を走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)を用いて観察し、面積当たりに付着する粒子数を算出した。試験は異なる3箇所で行い、得られた測定値の平均値を用いた。なお、粒子数が100個/cm以下が実使用可能なレベルである。
<熱可塑性樹脂粉末の表面抵抗率及び体積抵抗率>
電極としては高抵抗用抵抗セル(Agilent Technologies社製、Agilent 16008B Bias RESISTIVELY CELL)、測定装置としてはハイレジスタンスメータ(Agilent Technologies社製、Agilent 4339B ハイレジスタンスメータ)を用いて、各樹脂粉末の表面抵抗率及び体積抵抗率を測定した。
<立体造形>
得られた各熱可塑性樹脂粉末を、SLS方式造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)を使用し、立体造形物の製造を行った。設定条件は、0.1mmの層平均厚み、100mm/sのリコーター移動速度、10ワット以上150ワット以下のレーザー出力を設定し、0.1mmのレーザー走査スペース、熱可塑性樹脂粉末の融点より±3℃の温度にて部品床温度を使用した。供給槽の温度は、融点より-10℃以下とした。
次に、得られた造形物について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
-引張強度比率-
引っ張り試験標本を中心部にZ軸方向に長辺が向くように、引っ張り試験標本の長手方向に5個造形した。引張り試験標本サンプルは、ISO(国際標準化機構)3167 Type1A 150mm長さ多目的犬骨様試験標本(標本は、長さ80mm、厚さ4mm、幅10mmの中心部分を有する)を使用して行った。
得られた立体造形物(引張り試験標本サンプル)について、ISO 527に準じた引張試験(株式会社島津製作所製、AGS-5kN)を使用して実施した引張強度を、帯電防止剤を含まない同グレードの樹脂ペレット材料を製造元メーカの推奨条件を用いて射出成形した引っ張り試験標本の引張強度で除し、百分率とした引張強度比率を算出した。引張試験における試験速度は、50mm/分とした。また、算出には5回試験を行い、得られた測定値の平均値を用いた。なお、引張強度比率は70%以上が実使用可能なレベルである。
-リサイクル性-
引張強度の評価に用いた立体造形物を作製した時に使用した熱可塑性樹脂粉末の余剰粉を、立体造形物の製造装置の供給槽中に戻し、使用済みの熱可塑性樹脂粉末を用いて立体造形物の造形を行った。この作業を繰り返し10回行い、粘着テープ試験における付着した粒子数が100個/cm以下程度と実使用可能なレベルであり、粉落ちによる造形不良が起きない繰り返し回数を求めた。
Figure 0007279506000022
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 耐熱性帯電防止剤を0.01質量%以上30.0質量%以下含むことを特徴とする熱可塑性樹脂粉末である。
<2> 耐熱性帯電防止剤を0.1質量%以上5.0質量%以下含む前記<1>に記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<3> ISO 7111-1987に準拠した測定方法による5%質量減少温度が150℃以上の耐熱性帯電防止剤を0.1質量%以上5.0質量%以下含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<4> 50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径(Mv)と個数平均粒径(Mn)との比(Mv/Mn)が2.00以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<5> 前記比(Mv/Mn)が1.30以下である前記<4>に記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<6> ISO 3146に準拠した測定方法による融点が100℃以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<7> 表面抵抗率が1×10Ω以上1×1014Ω以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<8> 体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<9> 高温抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<10> 酸化防止剤を更に含む前記<1>から<9>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<11> 前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を0.10質量%以上0.8質量%以下含み、及びフェノール系酸化防止剤を0.05質量%以上0.2質量%以下含む前記<10>に記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<12> 前記耐熱性帯電防止剤は、分子中に下記構造式(1)で表される原子団1個と炭素数11~22の直鎖型飽和炭化水素基を最小限1個有する半極性有機化合物の1種以上と、分子中に塩基性窒素原子団1個と炭素数11~22の直鎖型飽和炭化水素基を最小限1個有する塩基性有機化合物の1種以上とを含む組成物からなるドナー・アクセプターハイブリッド型帯電防止剤である前記<1>から<11>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
Figure 0007279506000023
<13> 樹脂粉末が柱体粒子を含み、かつ前記柱体粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が0.5倍以上2倍以下である前記<1>から<12>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<14> 樹脂粉末が略円柱体を含み、前記略円柱体の底面における直径が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下であるか、又は
樹脂粉末が直方体を含み、前記直方体の底面における各辺が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下である前記<1>から<13>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<15> 密度が0.8g/cm以上1.4g/cm以下である前記<1>から<14>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<16> TG-DTA法による、樹脂粉末の融点-10℃の温度で4時間加熱後の質量減少率が0.65質量%以下である前記<1>から<15>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末である。
<17> 前記<1>から<16>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末を含むことを特徴とする立体造形用樹脂粉末である。
<18> 耐熱性帯電防止剤を0.01質量%以上30.0質量%以下含み、
摩擦帯電法で以下の条件により測定した表面帯電電位が±100V以下であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末である。
[条件]熱可塑性樹脂粉末の融点-10℃の温度で10分間、ステンレス鋼リコーターを500m/分で回転させて、供給槽から造形槽に熱可塑性樹脂粉末を供給した後、100℃での造形槽の粉末層表面の表面帯電電位を測定する。
<19> 前記<1>から<16>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末が貯蔵されている供給槽と、
前記供給槽に貯蔵された前記熱可塑性樹脂粉末を供給する供給手段と、
前記熱可塑性樹脂粉末を含む層を形成する層形成手段と、
前記層を硬化する硬化手段と、
を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<20> 前記<1>から<16>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末を含む層を形成する層形成工程と、
前記層を硬化する硬化工程と、を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
前記<1>から<16>のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末、前記<17>から<18>のいずれかに記載の立体造形用樹脂粉末、前記<19>に記載の立体造形物の製造装置、及びに前記<20>に記載の立体造形物の製造方法によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 立体造形物の製造装置
11 供給槽
11H ヒータ
11P ピストン
12 ローラ
13 レーザー走査スペース
13H ヒータ
13P ピストン
18 電磁照射源
19 反射鏡
国際公開第2015/159834号パンフレット

Claims (19)

  1. 耐熱性帯電防止剤を0.01質量%以上30.0質量%以下含む熱可塑性樹脂粉末であって、
    前記耐熱性帯電防止剤が、分子中に下記構造式(1)で表される原子団1個と炭素数11~22の直鎖型飽和炭化水素基を最小限1個有する半極性有機化合物の1種以上と、分子中に塩基性窒素原子団1個と炭素数11~22の直鎖型飽和炭化水素基を最小限1個有する塩基性有機化合物の1種以上とを含む組成物からなるドナー・アクセプターハイブリッド型帯電防止剤であり、
    前記熱可塑性樹脂粉末が柱体粒子を含み、かつ前記柱体粒子の底面における直径又は長辺に対する高さの比が0.5倍以上2倍以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂粉末。
    Figure 0007279506000024
  2. 耐熱性帯電防止剤を0.1質量%以上5.0質量%以下含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂粉末。
  3. ISO 7111-1987に準拠した測定方法による5%質量減少温度が150℃以上の耐熱性帯電防止剤を0.1質量%以上5.0質量%以下含む請求項1から2のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  4. 50%累積体積粒径が5μm以上200μm以下であり、かつ体積平均粒径(Mv)と個数平均粒径(Mn)との比(Mv/Mn)が2.00以下である請求項1から3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  5. 前記比(Mv/Mn)が1.30以下である請求項4に記載の熱可塑性樹脂粉末。
  6. ISO 3146に準拠した測定方法による融点が100℃以上である請求項1から5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  7. 表面抵抗率が1×10Ω以上1×1014Ω以下である請求項1から6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  8. 体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下である請求項1から7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  9. 高温抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下である請求項1から8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  10. 酸化防止剤を更に含む請求項1から9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  11. 前記酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を0.10質量%以上0.8質量%以下含み、及びフェノール系酸化防止剤を0.05質量%以上0.2質量%以下含む請求項10に記載の熱可塑性樹脂粉末。
  12. 前記柱体粒子が、円柱体及び多角柱体のいずれかである請求項1から11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  13. 前記耐熱性帯電防止剤が、前記熱可塑性樹脂粉末に対して内添されている請求項1から12のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  14. 前記熱可塑性樹脂粉末が略円柱体を含み、前記略円柱体の底面における直径が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下であるか、又は
    前記熱可塑性樹脂粉末が直方体を含み、前記直方体の底面における各辺が5μm以上200μm以下であり、かつ高さが5μm以上200μm以下である請求項1から13のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  15. 密度が0.8g/cm以上1.4g/cm以下である請求項1から14のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  16. TG-DTA法による、前記熱可塑性樹脂粉末の融点-10℃の温度で4時間加熱後の質量減少率が0.65質量%以下である請求項1から15のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末。
  17. 請求項1から16のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末を含み、
    摩擦帯電法で以下の条件により測定した表面帯電電位が±100V以下であることを特徴とする立体造形用樹脂粉末。
    [条件]
    熱可塑性樹脂粉末の融点-10℃の温度で10分間、ステンレス鋼リコーターを500m/分で回転させて、供給槽から造形槽に熱可塑性樹脂粉末を供給した後、100℃での造形槽の粉末層表面の表面帯電電位を測定する。
  18. 請求項1から16のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末が貯蔵されている供給槽と、
    前記供給槽に貯蔵された前記熱可塑性樹脂粉末を供給する供給手段と、
    前記熱可塑性樹脂粉末を含む層を形成する層形成手段と、
    前記層を硬化する硬化手段と、
    を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
  19. 請求項1から16のいずれかに記載の熱可塑性樹脂粉末を含む層を形成する層形成工程と、
    前記層を硬化する硬化工程と、を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。
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