JP7230354B2 - 立体造形用粉末、樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法 - Google Patents

立体造形用粉末、樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、立体造形用粉末、樹脂粉末、立体造形物の製造装置、及び立体造形物の製造方法に関する。
粉末床溶融(PBF:powder bed fusion)方式は、選択的にレーザーを照射して立体造形物を形成するSLS(selective laser sintering)方式や、マスクを使い平面状にレーザーを当てるSMS(selective mask sintering)方式などが知られている。
前記PBF方式の粉末を使用する場合では、薄層間の内部応力を低く維持することと緩和(リラックス)しながら、供給槽に供給された粉末の層を軟化点付近の温度まで加熱しておき、この層にレーザー光線を選択的に照射し、照射された粉末自身を軟化点以上の温度まで加熱して相互に融着させることにより立体造形が行われる。
また、脂肪族ポリオレフィンと雲母粉末及びタルクを含有する熱可塑性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、耐熱性に優れる立体造形物を製造することができる立体造形用粉末を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形用粉末は、示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して測定した10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときに得られる吸熱ピークの融解熱量をQ1とし、その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、融点より30℃高い温度まで10℃/minにて昇温したときの再融解熱量をQ2としたとき、前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.10以上であり、
立体造形用粉末を硬化してなる立体造形物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上である。
本発明によると、耐熱性に優れる立体造形物を製造することができる立体造形用粉末を提供することができる。
図1Aは、略円柱体の粒子の一例を示す概略斜視図である。 図1Bは、図1Aの略円柱体の粒子の側面図である。 図1Cは、略円柱体の粒子の頂点を持たない形状の一例を示す側面図である。 図1Dは、略円柱体の粒子の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図1Eは、略円柱体の粒子の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図1Fは、略円柱体の粒子の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図1Gは、略円柱体の粒子の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図1Hは、略円柱体の粒子の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図1Iは、略円柱体の粒子の頂点を持たない形状の他の一例を示す側面図である。 図2は、立体造形物の製造装置の一例を示す概略説明図である。 図3Aは、立体造形物の底面の層への粉末供給工程を示す概略説明図である。 図3Bは、立体造形物の底面の層の層形成工程を示す概略説明図である。 図4Aは、立体造形物の底面から2層目の層への粉末供給工程示す概略説明図である。 図4Bは、立体造形物の底面から2層目の層の層形成工程を示す概略説明図である。 図5は、柱体の一例を示す写真である。
(立体造形用粉末)
本発明の立体造形用粉末は、示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して測定した10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときに得られる吸熱ピークの融解熱量をQ1とし、その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、融点より30℃高い温度まで10℃/minにて昇温したときの再融解熱量をQ2としたとき、前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.10以上であり、
立体造形用粉末を硬化してなる立体造形物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上であり、必要に応じて、その他の成分を含有する。
本発明の立体造形用粉末は、従来の立体造形用粉末では、荷重たわみ温度が低いため、造形された立体造形物が高温になり易い環境下に配置される場合、熱変性しやすく、耐熱性が低いという問題があるという知見に基づくものである。また、従来の立体造形用粉末では、高温になり易い環境下での立体造形物の熱変性を抑制するため、ファイバーフィラーなどの強化剤や、アニーリング処理を必要とするという問題がある。更に、従来の立体造形用粉末を選択的に溶融して立体造形物を造形する方法の場合、立体造形物を高温環境下に配置する場合の耐熱性が低いという問題がある。
本発明の立体造形用粉末は、示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して測定した10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときに得られる吸熱ピークの融解熱量をQ1とし、その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、融点より30℃高い温度まで10℃/minにて昇温したときの再融解熱量をQ2としたとき、前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.10以上であり、立体造形用粉末を硬化してなる立体造形物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上であるため、造形された立体造形物が高温になり易い環境下に配置される場合でも、熱変性し難く、耐熱性が高い立体造形物を製造することができる。
また、本発明の立体造形用粉末は、ファイバーフィラーなどの強化剤を含まずに、耐熱性が高い立体造形物を製造することができる。更に、本発明の立体造形用粉末は、ファイバーフィラーなどの強化剤を含む必要がないため、軽量性に優れた立体造形物を製造することができる。
示差走査熱量測定による融解開始熱量Q1の測定方法としては、例えば、ISO 3146に準拠して、示差走査熱量測定装置(例えば、装置名:DSC-60A、株式会社島津製作所製)を用いて、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始熱量を測定し、Q1とすることができる。
示差走査熱量測定による再融解熱量Q2の測定方法としては、例えば、前記融解開始熱量Q1を測定した後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの再融解熱量を測定し、Q2とすることができる。
示差走査熱量測定による前記融解開始熱量Q1は、溶融開始時の結晶性に依存する。また、示差走査熱量測定による前記再融解熱量Q2は、再融解時の結晶性に依存する。
前記融解開始熱量Q1と前記再融解熱量Q2との比(Q1/Q2)が1.10以上であると、立体造形用粉末の結晶性が非常に高く、立体造形物の造形後も結晶性が高い状態を維持できるため、耐熱性に優れる立体造形物を製造することができる。
前記融解開始熱量Q1と前記再融解熱量Q2との比(Q1/Q2)としては、1.10以上であり、耐熱性の点から、1.20以上が好ましく、1.30以上がより好ましい。
立体造形用粉末を硬化してなる立体造形物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度としては、60℃以上であり、耐熱性の点から、66℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が特に好ましい。
また、立体造形用粉末としては、高い耐熱性を維持する点から、強化剤を含まないことが好ましい。
<樹脂>
前記立体造形用粉末は、樹脂を含有することが好ましい。
前記樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。
前記熱可塑性樹脂とは、熱をかけると可塑化し、溶融するものを意味する。前記熱可塑性樹脂の中でも、結晶性熱可塑性樹脂が好ましい。なお、前記結晶性熱可塑性樹脂とは、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)の測定をした場合に、融解ピークを有するものを意味する。
<<結晶性熱可塑性樹脂>>
前記結晶性熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリールケトン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer、LCP)、ポリアセタール(Polyoxymethylene、POM、融点:175℃)、ポリイミド、フッ素樹脂等のポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましい。
前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP、融点:160℃)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド410(PA410)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66、融点:265℃)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12);半芳香族性のポリアミド4T(PA4T)、ポリアミドMXD6(PAMXD6)、ポリアミド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T、融点:300℃)、ポリアミド10T(PA10T)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、PA9Tは、ポリノナメチレンテレフタルアミドとも呼ばれ、炭素が9つのジアミンにテレフタル酸モノマーから構成され、一般的にカルボン酸側が芳香族であるため半芳香族と呼ばれる。更には、ジアミン側も芳香族である全芳香族としてp-フェニレンジアミンとテレフタル酸モノマーとからできるアラミドと呼ばれるものも本発明のポリアミドに含まれる。
前記ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点:260℃)、ポリブチレンテレフタレート(PBT、融点:218℃)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。耐熱性を付与するため、一部テレフタル酸やイソフタル酸が入った芳香族を含むポリエステルも本発明に好適に用いることができる。
前記ポリアリールケトンとしては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、融点:343℃)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)などが挙げられる。前記ポリアリールケトン以外にも、結晶性ポリマーであればよく、例えば、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルスルフォンなどが挙げられる。
前記結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリアミド9Tのように、融点ピークを複数有する結晶性熱可塑性樹脂を用いてもよい。前記融点ピークを複数有する結晶性熱可塑性樹脂は、高温の融点ピーク以上に温度を上げることにより、完全に溶融させることができる。
前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶サイズは、均一であることが好ましい。
前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶配向は、揃うことが好ましい。
前記結晶サイズが均一、及び前記結晶配向が揃うことにより、前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶性が高くなる。これにより、高温環境下における立体造形プロセスにおいて、リコート処理によるエラーを低減させることができる。
前記結晶性熱可塑性樹脂の結晶性を高める方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、外部刺激を用いる方法、外部刺激を用いない方法などが挙げられる。
前記外部刺激を用いる方法としては、例えば、熱処理、延伸、超音波処理、外部電場印加処理などが挙げられる。
前記外部刺激を用いない方法としては、例えば、結晶核剤を用いて結晶性成長等の工程を経る方法、溶媒に溶解しゆっくりと揮発させる方法などが挙げられる。
なお、結晶性をより高める点から、前記結晶性熱可塑性樹脂に結晶核剤を加え、その後アニーリング処理などを行ってもよい。
前記熱処理としては、例えば、立体造形用粉末に対して各樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱するアニーリングなどが挙げられる。
前記アニーリングとしては、例えば、樹脂をガラス転移温度から50℃高い温度にて3日間加熱し、その後、室温までゆっくりと冷却することにより行うことができる。
前記延伸は、例えば、樹脂を延伸させることにより、樹脂の配向を高める方法が挙げられる。また、前記延伸により高配向、高結晶にしたものを粉砕、裁断等の加工を施す方法などが挙げられる。具体的には、柱状の繊維を作製し、その後裁断して直接的に略円柱体や直方体を得る方法、フィルム形状から直方体や立方体を得る方法、得られた直方体の粒子を作製後に後加工により略円柱体に作製する方法などが挙げられる。
前記延伸としては、例えば、押し出し加工機を用いて、融点より30℃以上高い温度にて溶融させ、撹拌しながら、樹脂溶融物を繊維状に押し出して伸ばすことにより行うことができる。この際、樹脂溶融物は、1倍以上10倍以下程度に延伸し繊維状にする。前記延伸された樹脂は、粉砕、裁断などの加工が施され、粉末とすることができる。
前記押出し加工機を用いる場合、ノズル口の形状により繊維断面の形状を決めることができる。
前記ノズル口の形状としては、柱体形状が略円柱体である場合には、ノズル口も円形形状がよく、柱体形状が直方体である場合は、ノズル口は長方形又は正方形形状がよい。
前記ノズルの口の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多ければ多いほど生産性が向上する。
前記ノズル口の寸法精度としては、高ければ高いほどよく、面の部分の円形形状の場合、半径において少なくとも10%以内が好ましい。
前記延伸における最大の延伸倍率としては、樹脂の溶融粘度などに応じて、適宜変更することができる。
前記延伸の段数としては、結晶化度を高める点から、1段で所望の延伸倍率に達成させるよりも、2段以上に分けて延伸倍率を達成させることが好ましく、結晶化度を更に高める点から、3段以上に分けて延伸することがより好ましい。
前記粉砕工程後としては、樹脂粉末を粒状化する球状化工程により角張った角を丸めることが好ましい。前記球状化には、樹脂粉末を溶解する溶媒を使用することや、熱をかけて球状の撹拌装置等により撹拌することにより得ることができる。
粉砕前、又は粉砕後に、結晶化度を上げる工程を伴うことが好ましい。
前記粉砕に好適に用いることができる粉砕装置としては、例えば、ピンドミル、カウンタージェットミル、バッフルプレート衝撃粉砕機などが挙げられる。
前記裁断しては、ギロチン方式といった上刃と下刃が共に刃物になっている切断装置や、押し切り方式と呼ばれる下側は刃物ではなく板にて、上刃で裁断していく装置などを用いることができる。前記装置を用いて、0.005mm以上0.2mm以下に直接カットすることやCOレーザー等を用いて裁断する方法がある。これらの方法により、前記粒子を直接得ることができる。
前記粒子としては、ペレット等の形態から数倍の延伸により数十μmから数百μmに調整後、繊維を数μm以上数百μm以下になるようにレーザーカットや刃を使ったカット等により得ることができる。
前記粒子は、一般的な粉砕方法としては、ペレット等の形態から粉砕することにより得られ、室温にて粉砕装置を使用し、目的の粒径以外のものをフィルター濾過などの分級操作などにより得られる。好ましくは0℃以下の低温(各樹脂自身の脆弱温度以下)、より好ましくは-25℃以下、特に好ましくは-100℃以下の極低温下での樹脂脆弱性を使用する粉砕により得ることができる。
別の好適な条件で得られる粒子としては、新たな粉末層をローラ等により引くごとに焼結処理を行うことが好ましい。前記焼結処理では、粉末層部分を選択的に溶融させる。新たな粉末層を先行して形成した層に施用し、再度選択的に溶融させ、これが繰り返され、所望の立体造形物が製造されるまで前記処理を継続する。
前記粒子の溶融としては、典型的には、電磁照射により行われるが、溶融の選択性は、例えば、抑制剤、吸収剤、又は電磁照射(例えば、マスクした若しくは直接レーザービームによる)の選択的施用などが挙げられる。いずれの適切な電磁照射源でも使用でき、例えば、COレーザー、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、LEDランプ等、又はこれらの組合せなどがある。
前記超音波処理としては、例えば、前記立体造形用粉末に、グリセリン(試薬グレード、東京化成工業株式会社製)溶媒を前記立体造形用粉末に対して5倍ほど加えた後、融点より20℃高い温度まで加熱し、超音波発生装置(装置名:ultrasonicator UP200S、ヒールシャー社製)にて周波数:24kHz、振幅:60%での超音波を2時間与えることにより行うことができる。その後、室温にてイソプロパノールの溶媒で洗浄し、真空乾燥することが好ましい。
前記外部電場印加処理としては、立体造形用粉末をガラス転移温度以上の温度にて加熱した後、600V/cmの交流電場(500Hz)を1時間印加し、その後にゆっくりと冷却することにより行うことができる。
一般的に前述した結晶化度(結晶化率)は、融点以上で加熱溶融することによりリセットされるため、どの程度結晶化度を上昇させたのか、融点以上で加熱後十分に溶融させた後に、冷却させ再度加熱することにより、結晶制御していない状態に近い結晶化度を測定することができる。
前記PBF方式では、結晶層変化についての温度幅(温度窓)が大きな方が、反り返りを抑制できるために好ましい。結晶層変化は、融解開始温度と冷却時の再結晶点間の差が大きな樹脂粉末の方が、造形性がよくなるため、より差がある方が好ましい。複数の融解温度が存在する場合は、温度が低い方の開始温度を使用する。
前記粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、柱体形状、球などが挙げられる。これらの中でも、粒子をより密に詰めることができる点から、柱体形状が好ましい。
前記立体造形用粉末は、個々の粒子の形状が独立した柱体形状であることが好ましい。
なお、前記粒子の形状は、例えば、走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA-3000、マルバーン社製)などにより観察することができる。得られた粒子を球状化処理したり、外添加材で処理したりして、粉体流動性を更に向上してもよい。
前記柱体形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略円柱体、直方体などが挙げられる。前記柱体形状であることにより、粒子を隙間なく詰めることができ、得られる立体造形物の強度を向上することができる。
前記柱体形状としては、向かい合う面を有することが好ましい。前記向かい合う面は傾斜がついていてもよく、生産性とレーザー造形の安定性から、平行で互いに傾斜がついていないものがより好ましい。
前記柱体形状の底面における直径又は長辺に対する高さの比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5倍以上5倍以下が好ましく、0.7倍以上2倍以下がより好ましく、0.8倍以上1.5倍以下が特に好ましい。
前記柱体形状の底面における直径及び長辺に対する高さは、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて、300倍の倍率における粒子の画像を確認し、少なくとも20個の柱体について、基準長を元に柱体の底面における直径又は長辺と、高さとを実測し、その平均値より算出することができる。
-略円柱体-
前記略円柱体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真円柱体、楕円柱体などが挙げられる。これらの中でも、真円柱体が好ましい。なお、前記略円柱体の円部分は、一部が欠けていてもよい。また、略円とは、長径と短径との比(長径/短径)が、1~10であるものを意味する。
また、前記略円柱体は、略円の向かい合う面を有することが好ましい。
前記向かい合う面の円の大きさが多少ずれていてもよいが大きい面と小さい面との円の直径の比(大きい面/小さい面)としては、1.5倍以下が好ましく、形が統一されていた方が密に詰めることができる点から、1.1倍以下がより好ましい。
前記略円柱体の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、略円柱体の円形部分が楕円形である場合は、前記直径とは、長径を意味する。
前記略円柱体の高さ(両面間の距離)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。
-直方体-
前記直方体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長方体、立方体などが挙げられる。これらの中でも、立方体が好ましい。なお、前記直方体は、一部が欠けていてもよいが、分散度が狭まりより密に詰まる点から、各辺の長さが近しい正方形が好ましい。
また、前記直方体は、長方形又は正方形の向かい合う面を有することが好ましい。
前記直方体の底面における各辺としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。なお、前記各辺における長辺は、直方体の1つの面を底面としたときの最も長い辺であり、前記直方体が立方体である場合は、底面の等しい長さの辺のうちの1辺である。
前記直方体の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上200μm以下が好ましい。前記高さとは、直方体の底面に対する高さ方向を意味する。
前記柱体の面と面の間の高さを形成する辺は、切断時に樹脂が軟化し、つぶれた状態(円柱形ではたる型)も本発明の範囲に含まれるが、弧を描くもの同士で空間を空けてしまうことから、粉末を密に詰めることができる点から、辺が直線状になっているものが好ましい。
前記柱体の高さとしては、50%累積体積粒径が、5μm以上100μmとなる長さが好ましく、特に高さが均一で粉の形や大きさに偏りがなく、同一な集合体として形成された単分散に近いものの方がより好ましい。
前記略円柱体においては、直径と高さが近いものがより再現性の観点から好ましく、同様な理由で直方体についても辺と高さが等しい立方体がより好ましい。
図5は、柱体の一例を示す写真である。
なお、図5は、SEM(走査型電子顕微鏡)観察による写真である。
図5に示すように、柱体21は、第一の面22と、第二の面23と、側面24とを有する。第一の面22は、第一の対向面22aと、側面24に沿って延伸した形状である第一の面の外周領域22bと、を有する。第一の面の外周領域22bは、曲面を介して第一の対向面22aと連続する面であり、第一の対向面22aと略直交する。第二の面23は、第一の対向面22aと対向する第二の対向面23aと、側面24に沿って延伸した形状である第二の面の外周領域23bと、を有する。第二の面の外周領域23bは、曲面を介して第二の対向面23aと連続する面であり、第二の対向面23aと略直交する。側面24は、第一の面22、及び第二の面23に隣接する。また、側面24上に、第一の面の外周領域22b、及び第二の面の外周領域23bが延伸している。
なお、第一の面の外周領域22bおよび第二の面の外周領域23b(以降、「外周領域」とも称する)の形状は、側面24とSEM画像上で区別可能な形状であればよく、外周領域の一部が側面24と一体化している形状、外周領域が側面24と接している形状、及び外周領域と側面24との間に空間が存在する形状等を含む。また、第一の面の外周領域22bおよび第二の面の外周領域23bは、側面24の面方向と略同一の面方向となるように設けられていることが好ましい。
なお、図5に示すように、第一の面の外周領域22bおよび第二の面の外周領域23bは、側面24に沿って延伸してなり、側面24上に位置する。また、第一の面の外周領域22bおよび第二の面の外周領域23bと、側面24と、の接続領域近辺を覆う第一の面および第二の面の特徴的な構造は、ボトルキャップ形状とも称する。
前記柱体形状の粒子は、底面と上面とを有するが、嵩密度を高めるため、粒子の端部が頂点を持たない形状であることがより好ましい。前記頂点とは、柱体形状の中に存在する角の部分をいう。例えば、図1Aに示す円柱体の側面図は図1Bで表される。この場合、長方形の形状を有しており、角の部分、即ち頂点が4箇所存在する。この頂点を持たない形状の一例を図1Cに示す。また、図1Dから図1Iは、いずれも略円柱体の粒子の頂点を持たない形状の一例を示す側面図である。実際に頂点の有無を確認するためには、前記柱体粒子の側面に対する投影像から判別することができる。例えば、柱体粒子の側面に対して走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)等を用いて観察し、二次元像として取得する。この場合、投影像は4辺形となり、各々隣り合う2辺によって構成される部位を端部とすると、隣り合う2つの直線のみで構成される場合は、角が形成され頂点を持つことになり、図1Cから図1Iのように端部が円弧によって構成される場合は頂点を持たないことになる。
このように、柱体形状の粒子において頂点を持たないような形状にすることで、流動性が向上し、充填密度をより一層高めることができ、立体造形物の強度を高める上で非常に有効である。
前記立体造形用粉末の柱体形状の粒子すべてにおいて、柱体形状の中に存在する角の部分である前記頂点を持たなくすることが最も好ましく、頂点を持たない柱体形状の粒子の割合が高い方がより好ましい。具体的には、すべての柱体形状の粒子に対する頂点を持たない柱体形状の粒子の含有比率は、50%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。これにより、粉末の流動性が高まり、本発明の効果がより高まる。
前記頂点の有無を判別する方法としては、例えば、前述のように走査型電子顕微鏡(装置名:S4200、株式会社日立製作所製)等を用いて粉末を観察し、得られた二次元像からすべての柱体粒子に対する頂点を持たない柱体粒子の割合を求めることによって判別することができる。例えば、上記の方法により10視野の二次元像を撮影し、全柱体形状の粒子に対する頂点を持たない柱体形状の粒子の割合を求め、平均することにより求めることができる。
なお、前記頂点を持たない柱体形状の粒子においては、整った略円柱体あるいは多角柱体である必要はなく、側面の投影像においてくびれを有する形状や、端部が引き伸ばされた形状、あるいは押しつぶされたり、曲がったりした形状のものを含んでいてもよい。
このように、粉末中の柱体形状の粒子について頂点を持たない形状にする方法としては、柱体形状の粒子の頂点を丸めることが可能な方法であれば、いずれの方法でも使用可能であり、例えば、高速回転式の機械粉砕や高速衝撃式の機械粉砕、あるいは機械摩擦により表面溶融など、従来公知の球形化処理装置を使用することができる。
前記立体造形用粉末は、粒子のみで構成されることが好ましいが、一般的に粉砕したものと組み合わせてもよい。
<その他の成分>
その他の成分としては、任意の劣化防止剤、流動化剤、強化剤、難燃剤、可塑剤、熱安定性添加剤や結晶核剤等の添加剤、非結晶性樹脂等のポリマー粒子などを含んでいてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリマー粒子としては、前記ポリマー粒子を混合して使用しても、前記ポリマー粒子の表面にポリマー粒子を被覆したものを使用してもよい。
<<劣化防止剤>>
前記立体造形用粉末は、前記立体造形用粉末を構成する分子の熱安定性を維持し、樹脂劣化を抑制する点から、劣化防止剤を含有することが好ましい。
前記劣化防止剤としては、例えば、金属キレート材、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
2種以上の劣化防止剤を併用する場合、より顕著な効果が得られる組み合わせも存在する。例えば、劣化防止剤としてヒンダートフェノール化合物と、リン化合物とを組み合わせて用いることにより、相補的に安定性を向上させる効果がある事から、長期熱安定性がより向上する。
前記金属キレート材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドラジド化合物、ホスフェート化合物、ホスファイト化合物などが挙げられる。
前記ホスフェート化合物、ホスファイト化合物としては、後述する酸価防止剤と同様のものを用いることができる。
前記紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアジン化合物などが挙げられる。
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸銅などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒンダードフェノール化合物、リン化合物、硫黄化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ヒンダードフェノール化合物は、例えば、ラジカル捕捉剤などの添加剤として用いられる。
前記ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α-トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-tert-ブチル-6-(3’-tert-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-ジメチレン-ビス(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)、2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、1,6-へキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル6-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’-ジ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-トリ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-チオジエチレンビス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、N,N’-ヘキサメチレンビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス2[3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)アセテート、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)アセチルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)ベンゼン、及びトリス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼンなどが挙げられる。
前記ヒンダードフェノール化合物の中でも、高温安定性の点から、テトラキス[メチレン-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼンが好ましい。
また、前記ヒンダードフェノール化合物の中でも、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼンがより好ましい。
前記リン化合物としては、例えば、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、ホスホネイト化合物、第3級ホスフィンなどが挙げられる。
前記ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
前記ホスファイト化合物の中でも、高温安定性の点から、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
前記ホスファイト化合物としては、適宜市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-8(商標)、旭電化工業株式会社製)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:JPP681S(商標)、城北化学工業株式会社製)、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-24G(商標)、旭電化工業株式会社製)、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:Alkanox P-24(商標)、Great Lakes社製)、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:Ultranox P626(商標)、GE Specialty Chemicals社製)、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:Doverphos S-9432(商標)、Dover Chemical社製)、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:Irgaofos126(商標)、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:126FF(商標)、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-36(商標)、旭電化工業株式会社製)、ビス{2,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-45(商標)、旭電化工業株式会社製)、ビス{2,4-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:Doverphos S-9228(商標)、Dover Chemical社製)などが挙げられる。
他の前記ホスファイト化合物としては、例えば、二価フェノール類と反応し、環状構造を有する化合物などが挙げられる。
前記二価フェノール類と反応し、環状構造を有する化合物としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどが挙げられる。
前記ホスフェート化合物としては、例えば、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、オクタデシルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられる。これらの中でも、高温安定性の点から、トリフェニルホスフェート、オクタデシルホスフェート、トリメチルホスフェートが好ましい。
前記ホスホナイト化合物としては、例えば、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイトなどが挙げられる。
前記ホスホナイト化合物の中でも、前記ホスファイト化合物と併用可能である点から、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。
前記ホスホネイト化合物としては、エステル結合を含み、例えば、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。
前記第3級ホスフィンとしては、例えば、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィンなどが挙げられる。これらの中でも、高温時の長期安定性の点から、トリフェニルホスフィンが好ましい。
前記劣化防止剤の含有量としては、長時間の劣化を防止する点から、立体造形用粉末全量に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、上記範囲内であることにより、熱劣化を防止する効果が得られ、造形に使用した粉末を再利用することが可能になる。また、熱による変色を防止する効果を得ることができる。
<<流動化剤>>
前記流動化剤とは、前記立体造形用粉末の表面の一部又はすべてを被覆することにより、立体造形用粉末の流動性を高める効果を有するものをいう。
前記流動化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料からなる球状粒子などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化鉄、酸化銅、水和シリカ、シランカップリング剤により表面を変性させたシリカ、ケイ酸マグネシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、流動性を向上させる点から、シリカ、チタニア、水和シリカ、シランカップリング剤により表面を変性させたシリカが好ましい。
前記シランカップリング剤により表面を変性させたシリカとしては、表面を疎水性に変性させたシリカがより好ましい。
前記流動化剤は、表面に疎水化処理されたものが好ましい。
前記疎水化処理の方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。前記疎水化処理に用いられる疎水化処理剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)等のシランカップリング剤、ジメチルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル処理剤などが挙げられる。これらの中でも、シランカップリング剤が好ましい。
前記疎水化処理剤による処理量としては、粒子の表面積あたり、2mg/m以上6mg/m以下が好ましい。
前記立体造形用粉末への前記流動化剤の混合、被覆の工程については、従来公知の粉末混合機が用いられるが、ジャケット等を装備して、内部の温度を調節できるものが好ましく用いられる。また、前記粉末混合機の回転数、速度、時間、温度などを任意に変更させることが可能である。
前記粉末混合機としては、例えば、V型混合機、ヘンシェルミキサー、ロッキングミキサー、ナウターミキサー、スーパーミキサーなどが挙げられる。
前記流動化剤の平均一次粒径としては、500nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。前記平均一次粒径が、500nm以下であると、立体造形用粉末の表面への流動化剤の被覆率を高めることができ、流動性が向上すると同時に空隙を低減できることから有効である。
前記平均一次粒径は、例えば、粒径測定システム(装置名:ELSZ-2000ZS、大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
前記流動化剤としては、10μm未満の体積平均粒径を有する粒状無機材料を好適に用いることができる。
前記流動化剤の含有量としては、粒子表面上に覆うのに十分な量であればよく、立体造形用粉末全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましい。
<<強化剤>>
立体造形物に、強化剤を含有していない場合も十分な耐熱性を有するが、強化剤を含有してもよい。前記強化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ファイバーフィラー、ビーズフィラー、国際公開第2008/057844号パンフレットに記載のガラスフィラー、ガラスビーズ、カーボンファイバー、アルミボール、セルロースナノファイバー、タルクナノコンポジット、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ファイバーフィラーの含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。前記含有量が5質量%以上であると、得られる立体造形物の強度を向上できる。前記含有量が60質量%以下であると、目的とする立体造形物の造形性が向上する。
前記ビーズフィラーの含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、5質量%以上60質量%以下が好ましい。前記含有量が5質量%以上であると、得られる立体造形物の強度を向上できる。前記含有量が60質量%以下であると、目的とする立体造形物の造形性が向上する。
<<難燃剤>>
前記難燃剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ハロゲン化合物、リン化合物、無機水和金属化合物、窒素化合物、シリコーン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記難燃剤を2種以上併用する場合、ハロゲン化合物と無機水和金属化合物との組合せが、難燃性能を高くすることができる点で好ましい。
前記難燃剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の無機繊維状物質、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の無機層状珪酸塩などの無機強化剤を添加しても難燃性を向上することができる。この場合は、物性強化と難燃性強化との両立が可能となる。
前記難燃剤としては、例えば、建築材料、車両材料、船舶艤装材料等火災防止対応が必要な材料に好適に用いることができる。
前記立体造形用粉末の難燃性は、例えば、JIS K6911、JIS L1091(ISO 6925)、JIS C3005、発熱性試験(コーンカロリメータ)などにより評価することができる。
前記難燃剤の含有量としては、立体造形用粉末全量に対して、1質量%以上50質量%以下が好ましく、より難燃性を高めることができる点から、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上であると、十分な難燃性を実現できる。また、前記含有量が、50質量%以下であると、立体造形用粉末の溶融固化特性が変化することを抑制し、造形精度低下や造形物の物性劣化が発生することを防止できる。
前記立体造形用粉末としては、SLS法、SMS法、MJF(Multi Jet Fusion)法、BJ(Binder Jetting)法などの立体造形物製造方法について、好適に使用できるが、適切な粒度、粒度分布、熱移動特性、溶融粘度、嵩密度、流動性、溶融温度、及び再結晶温度のようなパラメーターについて適切なバランスを示す特性を呈している。
前記立体造形用粉末は、下記(1)~(3)から選択される少なくとも1種を満たすことが好ましい。
(1)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf1(℃)とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、更に、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始温度をTmf2(℃)としたときに、(Tmf1-Tmf2)≧3℃であるため、(Tmf1-Tmf2)≧5℃が好ましく、(Tmf1-Tmf2)≧10℃がより好ましい。なお、前記吸熱ピークの融解開始温度は、融点での吸熱が終了した後に、熱量の一定となった所から低温側へx軸に対して平行な直線を引き、前記直線から-15mW下がった時点での温度である。
(2)示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd1(%)とし、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、更に、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークのエネルギー量から求められる結晶化度をCd2(%)としたときに、(Cd1-Cd2)≧3%であるため、(Cd1-Cd2)≧5%が好ましく、(Cd1-Cd2)≧10%がより好ましい。
(3)X線回折測定により得られる結晶化度をCx1(%)とし、窒素雰囲気下10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温し、その後、10℃/minにて、-30℃以下まで降温し、更に、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときのX線回折測定により得られる結晶化度をCx2(%)としたときに、(Cx1-Cx2)≧3%であるため、(Cx1-Cx2)≧5%が好ましく、(Cx1-Cx2)≧10%がより好ましい。
[耐熱性]
前記耐熱性としては、立体造形用粉末を硬化してなる立体造形物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上である。
前記荷重たわみ温度としては、例えば、JIS K7191に準じて、フラットワイズ方式で、曲げ応力:1.8MPaの荷重をかけ、0.34mm変動したときの温度とすることができる。
前記荷重たわみ温度は、例えば、熱変形試験機(装置名:HOT TESTER 3M-2、株式会社東洋精機製作所製)を用いて測定することができる。
[50%累積体積粒径]
前記立体造形用粉末の50%累積体積粒径としては、5μm以上200μm以下が好ましく、5μm以上100μm以下がより好ましく、寸法安定性の点から、5μm以上50μm以下が更に好ましく、20μm以上50μm以下が特に好ましい。なお、前記50%累積体積粒径は、例えば、粒度分布測定装置(装置名:microtrac MT3300EXII、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
[体積平均粒径/個数平均粒径の比]
前記立体造形用粉末の体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)は、造形精度を向上させる点から、2.50以下が好ましく、2.00以下がより好ましく、1.50以下が更に好ましく、1.20以下が特に好ましい。
なお、体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置(装置名:microtrac MT3300EXII、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
[融点]
前記立体造形用粉末の、ISO 3146に準拠して測定したときの融点としては、100℃以上であると、製品の外装等に使用されうる耐熱温度の範囲であるため好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。
なお、前記融点は、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができ、複数の融点が存在する場合は、高温側の融点を使用する。
ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)により測定される融解ピーク温度を意味し、複数の融解温度が存在する場合は、高温側の融点を使用する。結晶性が制御されることにより、微結晶体や非結晶体の割合が減少するため、前記DSCでの吸熱ピークの開始温度が高温側にシフトする。そのため、樹脂の吸熱温度が明確になり、レーザー中心部においてのみ溶解するシャープメルトな波形を有する。前記シャープメルトとは、一般に樹脂の融解開始温度が高く、DSCでの融点の開始温度から、吸熱終了ピーク温度までの幅が細いことを意味し、これにより、より制御された状態で所望の溶融条件を達成することができる。
[比重]
前記立体造形用粉末の比重としては、0.8g/mL以上が好ましい。前記比重が、0.8g/mL以上であると、立体造形物の造形時に層を形成するリコート処理時の粒子の2次凝集を抑止できるため好ましい。また、前記比重としては、金属を代替する軽量化のニーズから、3.0g/mL以下が好ましい。前記立体造形用粉末の比重は、真比重を測定することにより、求めることができる。
前記立体造形用粉末の真比重は、例えば、前記立体造形用粉末を入れたサンプルの体積を予め求めておき、気相置換法を用いた乾式自動密度計(装置名:アキュピック1330、株式会社島津製作所製)を用いて、一定温度で気体(Heガス)の体積と圧力とを変化させ、前記サンプルの体積から質量を計測し、サンプルの密度を測定することにより、求めることができる。
[平均円形度]
前記立体造形用粉末の平均円形度としては、0.5μm以上200μm以下の粒径の範囲において、0.7以上0.98以下が好ましく、0.83以上0.98以下がより好ましい。
前記円形度とは、円らしさを表す指標であり、1が最も円に近いことを意味する。前記円形度は、面積(画素数)をSとし、周囲長をLとしたときに、下記式(2)より求めることができる。
円形度=4πS/L ・・・式(2)
前記平均円形度としては、例えば、湿式フロー式粒子径・形状分析装置(装置名:FPIA-3000、マルバーン社製)を用いて測定することができ、前記立体造形用粉末について円形度を測定し、それらを算術平均した値が平均円形度として表される。この装置は、ガラスセル中を流れる懸濁液中の粒子画像をCCDカメラで高速撮像し、個々の粒子画像をリアルタイムに解析することができ、このような粒子を撮影し、画像解析を行う装置が、本発明の平均円形度を求める上で有効である。測定カウント数としては、特に制限はないが、3,000以上7,000以下が好ましい。
[嵩密度]
前記立体造形用粉末の嵩密度としては、PBF方式でのレーザー焼結度を促進する点から、樹脂自身の持っている密度に差異があるが嵩密度は大きい方が好ましく、タップ密度として0.35g/mL以上がより好ましく、0.40g/mL以上が更に好ましく、0.5g/mL以上が特に好ましい。
前記立体造形用粉末としては、電子機器パーツや自動車部品のプロトタイプや強度試験用の試作品、エアロスペースや自動車産業のドレスアップツール等に使われる少量製品などの用途に使用するための物品を形成することに好適に用いることができる。
また、本発明の樹脂粉末は、立体造形用樹脂粉末として使用する他、例えば、表面収縮剤、スペーサー、滑剤、塗料、砥石、添加剤、二次電池セパレーター、食品、化粧品、衣服等において好適に利用される。さらに、本発明の樹脂粉末は、自動車、精密機器、半導体、航空宇宙、医療等の分野において用いられる材料や金属代替材料として用いることもできる。
なお、本発明の樹脂粉末を用いて得られる成形品のJIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度としては、60℃以上であり、耐熱性の点から、66℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、80℃以上が特に好ましい。
前記立体造形用粉末を使用し、レーザー焼結により形成される立体造形物としては、焼結中から焼結後の冷却時の間に、発生する相変化による反りや歪み、発煙したりするような不適切なプロセス特性を示さないことが好ましい。
前記PBF方式以外の他の方式については、FDM(fused deposition modeling)やインクジェット方式と比較し、強度が優れることが期待されるため、実用の製品としても使用に耐える。生産スピードは、射出成型のような大量に生産するのにはかなわないが、例えば、小さい部品を平面状に大量に作ることにより必要な生産量を得ることができる。また、本発明に用いられるPBF方式における立体造形物の製造方法は、射出成型のような金型を必要としないため、試作及びプロトタイプの作製においては、圧倒的なコスト削減と納期削減を達成することができる。
(立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形用粉末が貯蔵されている供給槽と、前記立体造形用粉末を含む層を形成する層形成手段と、前記層の選択された領域内の粉末同士を接着させる粉末接着手段と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記立体造形用粉末としては、本発明の立体造形用粉末と同様のものを用いることができる。
前記粉末接着手段としては、例えば、整地された粉体に電磁波もしくはレーザーを照射して、樹脂を溶融させ冷却により硬化させる硬化手段などが挙げられる。
次に、図2を用いて、前記立体造形用粉末を用いて立体造形物を製造する立体造形物の製造装置について説明する。
図2において、造形装置1は、立体造形用粉末Pを収容する収容手段の一例としての供給槽11、供給槽11に収容されている立体造形用粉末Pを供給するローラ12、ローラ12によって供給された立体造形用粉末Pが配され、レーザーLが走査されるレーザー走査スペース13、電磁線としてのレーザーLの照射源である電磁照射源18、及び電磁照射源18によって照射されたレーザーLをレーザー走査スペース13の所定位置へ反射させる反射鏡19を有する。また、造形装置1は、供給槽11、及びレーザー走査スペース13に収容される立体造形用粉末Pをそれぞれ加熱するヒータ11H,13Hを有する。
造形装置1に、3D(three-dimensional)モデルを所定間隔でスライスしたときの各断面形状を、2次元データとして読み込ませる。これにより、電磁照射源18がレーザーLを照射している間、反射鏡19の反射面は、3Dモデルの2次元データに基づいて移動する。レーザーLの反射角度が変わることで、レーザー走査スペース13のうち、2次元データによって示される部分に、選択的にレーザーLが照射される。レーザーLの照射位置にある立体造形用粉末Pは、溶融し、焼結して層を形成する。即ち、電磁照射源18は、立体造形用粉末Pから立体造形物の各層を形成する層形成手段として機能する。
造形装置1の供給槽11、及びレーザー走査スペース13には、それぞれ、ピストン11P、及び13Pが設けられる。ピストン11P、及び13Pは、層の形成が完了すると、上方向、又は下方向へ移動する。これにより、供給槽11、及びレーザー走査スペース13が、立体造形物の積層方向に対し上方向、又は下方向へ移動される。したがって、供給槽11からレーザー走査スペース13へ、新たな層の形成に用いられる新たな立体造形用粉末Pを供給することができる。
造形装置1は、反射鏡19によってレーザーの照射位置を変えることにより、立体造形用粉末Pを選択的に溶融させるが、本発明はこのような実施形態に限定されない。
前記電磁照射に用いられる電磁照射源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、COレーザー、赤外照射源、マイクロウエーブ発生器、放射加熱器、LEDランプ等、又はこれらの組合せなどが挙げられる。
(立体造形物の製造方法)
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、前記層の選択された領域内の粉末同士を接着させる粉末接着工程と、を繰り返し、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記粉末接着工程が、前記形成された層に電磁照射し、溶融させた後に冷却後硬化する硬化工程を含むことが好ましい。
前記立体造形物の製造方法は、前記立体造形物の製造装置により好適に実施することが
できる。
前記立体造形用粉末としては、本発明の立体造形用粉末と同様のものを用いることができる。
次に、図3A、図3B、図4A、及び図4Bを用いて、前記立体造形用粉末を用いて立体造形物を製造する立体造形物の製造方法について説明する。
まず、立体造形物の底面の層への粉末供給工程の一例を示す(図3A)。造形装置1の供給槽11に収容された立体造形用粉末Pは、ヒータ11Hによって加熱される。造形装置1のエンジンは、ローラ12を駆動させ、供給槽5(不図示)の立体造形用粉末Pをレーザー走査スペース13へ供給して整地することで、1層分の厚さTの粉末層を形成する。レーザー走査スペース13へ供給された立体造形用粉末Pは、ヒータ13Hによって加熱される。
次に、立体造形物の底面の層の層形成工程の一例を示す(図3B)。造形装置1は、3Dモデルを所定間隔でスライスしたときの各断面形状の複数の2次元データの入力を受け付ける。複数の2次元データのうち、底面の層の2次元データに基づいて、造形装置1のエンジンは、反射鏡19の反射面を移動させながら、電磁照射源18にレーザーを照射させる。レーザーの照射により、粉末層のうち、底面の層の2次元データによって示される画素に対応する位置の立体造形用粉末Pが溶融する。レーザーの照射が完了すると、溶融した樹脂が硬化し、最も底面の層の2次元データが示す形状の焼結層が形成される。
次に、立体造形物の底面から2層目の層への粉末供給工程の一例を示す(図4A)。最も低面の焼結層が形成されると、レーザー走査スペース13に1層分の厚さTの造形スペースが形成されるように、造形装置1のエンジンは、ピストン13Pを駆動させ、レーザー走査スペース13を1層分の厚さTの分だけ降下させる。また、造形装置1のエンジンは、新たな立体造形用粉末Pを供給可能とするため、ピストン11Pを上昇させる。次に、造形装置1のエンジンは、ローラ12を駆動させ、供給槽5(不図示)の立体造形用粉末Pをレーザー走査スペース13へ供給して整地することで、1層分の厚さTの粉末層を形成する。
次に、立体造形物の底面から2層目の層の層形成工程の一例を示す(図4B)。複数の2次元データのうち、立体造形物の底面から2層目の層の2次元データに基づいて、造形装置1のエンジンは、反射鏡19の反射面を移動させつつ、電磁照射源18にレーザーを照射させる。これにより、粉末層のうち、立体造形物の底面から2層目の層の2次元データによって示される画素に対応する位置の立体造形用粉末Pが溶融する。レーザーの照射が完了すると、溶融した樹脂が硬化し、立体造形物の底面から2層目の層の2次元データが示す形状の焼結層が、最も底面の焼結層に積層して形成される。
造形装置1は、前記粉末供給工程と、層形成工程と、を繰り返すことにより、焼結層を積層させることができる。全ての2次元データに基づく造形を行うことにより、3Dモデルと同形状の立体造形物を製造することができる。
供給槽5(付図示)の温度としては、立体造形用粉末Pをレーザー照射により溶融するときに、立体造形物の反り返りを抑制する点、造形の安定性、及び造形装置1の温度制御の点から、立体造形用粉末Pの融点より5℃以上低い温度が好ましく、供給槽11での立体造形用粉末Pの溶融を防ぐ点から、立体造形用粉末Pの融点より10℃以上低い温度が好ましい。
前記レーザー走査スペース13における部品床温度としては、立体造形用粉末Pをレーザー照射により溶融するときに、立体造形物の反り返りを抑制する点、造形の安定性、造形装置1の温度制御の点、及びレーザー走査スペース13での立体造形用粉末Pの溶融を防ぐ点から、から、立体造形用粉末Pの融点より5℃以上低い温度が好ましい。
前記レーザーの出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10ワット以上150ワット以下が好ましい。
前記焼結層の厚みTとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数の焼結層の平均厚みとして、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上が特に好ましい。また、前記焼結層の厚みTとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数の焼結層の平均厚みとして、200μm未満が好ましく、150μm未満がより好ましく、120μm未満が特に好ましい。
いくつかの実施態様においては、選択的マスク焼結(selective mask sintering:SMS)技術を使用して、本発明における立体造形物を製造することができる。前記SMSプロセスについては、例えば、米国特許第6,531,086号明細書に記載されているものを好適に用いることができる。
前記SMSプロセスとしては、遮蔽マスクを使用して選択的に赤外放射を遮断し、粉末層の一部の選択的照射する。
前記立体造形用粉末から立体造形物を製造するためにSMSプロセスを使用する場合、立体造形用粉末の赤外吸収特性を増強させる物質を含有させることが好ましい。
前記赤外吸収特性を増強させる物質としては、例えば、熱吸収剤、暗色物質などが挙げられる。
前記熱吸収剤、暗色物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、セルロースナノファイバーなどが挙げられる。
(立体造形物)
前記立体造形物は、本発明の立体造形物の製造方法により好適に製造されることができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
得られた立体造形用粉末について、「融点」、「融解開始熱量Q1、及び再融解熱量Q2」、並びに「50%累積体積粒径、体積平均粒径、及び個数平均粒径」は、以下のようにして測定した。結果を下記表1~表3に示す。
[融点]
前記融点は、ISO 3146(プラスチック転移温度測定方法、JIS K7121)に準拠して、示差走査熱量測定装置(装置名:DSC-60A、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
[融解開始熱量Q1、及び再融解熱量Q2]
示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して、示差走査熱量測定装置(装置名:DSC-60A、株式会社島津製作所製)を用いて、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの融解開始熱量を測定し、Q1とした。その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときの吸熱ピークの再融解熱量を測定し、Q2とした。得られたQ1とQ2とから、融解開始熱量Q1と再融解熱量Q2との比(Q1/Q2)を求めた。
[50%累積体積粒径、体積平均粒径、及び個数平均粒径]
粒度分布測定装置(装置名:microtrac MT3300EXII、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、立体造形用粉末ごとの粒子屈折率を使用し、溶媒は使用せず、乾式(大気)法にて、得られた立体造形用粉末の50%累積体積粒径、体積平均粒径、及び個数平均粒径を測定した。また、得られた体積平均粒径、及び個数平均粒径から体積平均粒径/個数平均粒径の比を算出した。
なお、前記粒子屈折率は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂:1.57、ポリアミド66(PA66)樹脂:1.53、ポリプロピレン(PP)樹脂:1.48と設定した。
(実施例1)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂(商品名:ノバデュラン5020、三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、融点:218℃)99.8質量部に、劣化防止剤として、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン(商品名:AO-330、株式会社ADEKA製)0.2質量部を加え、一軸押出し機(装置名:D2020、株式会社東洋精機製作所製)を用いて、ペレットを混錬しながら温度250℃で押し出した。押し出された繊維状物質を、1段目の延伸により1.3倍の長さにし、更に2段目の延伸により2.5倍の長さにし、直径:60μmの繊維を作製して巻き取った。その後、切断装置(装置名:NZI0606、株式会社荻野精機製作所製)を用いて、得られた繊維を幅:60μm以上70μm以下になるように切断し、粉末を得た。得られた粉末は、50%累積体積粒径:65μmであった。また、得られた粉末は、走査電子顕微鏡(装置名:JSM-7800FPRIME、日本電子株式会社製)を用いたところ、線径:60μm、直径:60μmであった。次に、得られた粉末を、装置名:マルチパーパスミキサ(日本コークス工業株式会社製)を用いて、回転数:1,000rpmにて20分間処理し、機械摩擦により表面溶融させ、略柱体形状の粒子を得た。これを実施例1の立体造形用粉末とした。
(実施例2)
実施例1において、2段目の延伸により2.5倍の長さにした後、更に3段目の延伸により1.1倍の長さにし、直径:60μmの繊維を作製して巻き取った以外は、実施例1と同様にして、実施例2の立体造形用粉末を得た。
なお、切断後の粉末は、50%累積体積粒径:65μmであった。
(実施例3)
実施例2において、強化剤として、ガラスビーズ(商品名:GB731、ポッターズ・バロティーニ社製)42.9質量部を加えた以外は、実施例2と同様にして、実施例3の立体造形用粉末を得た。
なお、切断後の粉末は、50%累積体積粒径:68μmであった。
(実施例4)
実施例2において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を、ポリアミド66(PA66)樹脂(商品名:レオナ1300S、旭化成ケミカルズ株式会社製、融点:265℃)に変更し、更に、劣化防止剤として、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(商品名:アデカスタブPEP-24G(商標)、旭電化工業株式会社製)0.2質量部、酢酸銅0.1質量部を加え更に、混錬時の温度を295℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例4の立体造形用粉末を得た。
(実施例5)
実施例2において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を、ポリプロピレン(PP)樹脂(商品名:ノバテックMA3、日本ポリプロ株式会社製、融点:160℃、ガラス転移温度:0℃)に変更し混錬時の温度を190℃に変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例5の立体造形用粉末を得た。
(比較例1)
実施例1において、押し出された繊維状物質を、1段目の延伸により1.3倍の長さにし、直径:60μmの繊維を作製して巻き取った以外は、実施例1と同様にして、比較例1の立体造形用粉末を得た。
(比較例2)
比較例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を、ポリアミド66(PA66)樹脂(商品名:レオナ1300S、旭化成ケミカルズ株式会社製、融点:265℃)に変更し、更に、ペレットを混錬しながら押し出す時の温度を、295℃に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の立体造形用粉末を得た。
(比較例3)
比較例1において、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を、ポリプロピレン(PP)樹脂(商品名:ノバテックMA3、日本ポリプロ株式会社製、融点:160℃、ガラス転移温度:0℃)に変更し混錬時の温度を190℃に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例3の立体造形用粉末を得た。
<立体造形物の製造>
得られた立体造形用粉末を用いて、SLS方式造形装置(株式会社リコー製、AM S5500P)を使用し、立体造形物の製造を行った。設定条件として、0.1mmの層平均厚み、10ワット以上150ワット以下のレーザー出力に設定し、0.1mmのレーザー走査スペース、融点より3℃低い温度にて部品床温度を使用した。
[荷重たわみ温度]
製造した立体造形物について、JIS K7191に準じて、熱変形試験機(装置名:HOT TESTER 3M-2、株式会社東洋精機製作所製)を使いて、荷重たわみ試験を行った。なお、前記荷重たわみ試験は、フラットワイズ方式で、曲げ応力:1.8MPaの荷重をかけ、0.34mm変動したときの温度を荷重たわみ温度とした。なお、荷重たわみ温度は、60℃以上が実施可能レベルである。
Figure 0007230354000001
本発明の態様としては、例えば、以下の通りである。
<1> 示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して測定した10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときに得られる吸熱ピークの融解熱量をQ1とし、その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、融点より30℃高い温度まで10℃/minにて昇温したときの再融解熱量をQ2としたとき、前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.10以上であり、
立体造形用粉末を硬化してなる立体造形物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上であることを特徴とする立体造形用粉末である。
<2> 前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.20以上である前記<1>に記載の立体造形用粉末である。
<3> 前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.30以上である前記<2>に記載の立体造形用粉末である。
<4> 強化剤を含まない前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<5> 前記曲げ応力1.8MPaにおける前記荷重たわみ温度が、66℃以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<6> 前記曲げ応力1.8MPaにおける前記荷重たわみ温度が、70℃以上である前記<5>に記載の立体造形用粉末である。
<7> 前記曲げ応力1.8MPaにおける前記荷重たわみ温度が、80℃以上である前記<6>に記載の立体造形用粉末である。
<8> 50%累積体積粒径が、5μm以上200μm以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<9> 50%累積体積粒径が、5μm以上100μm以下である前記<8>に記載の立体造形用粉末である。
<10> 体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)が、2.50以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<11> 体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)が、2.00以下である前記<10>に記載の立体造形用粉末である。
<12> 結晶性熱可塑性樹脂を含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<13> 前記結晶性熱可塑性樹脂が、ポリエステル、ポリアミド、及びポリオレフィンから選択される少なくとも1種である前記<12>に記載の立体造形用粉末である。
<14> ISO 3146に準拠して測定したときの融点が、100℃以上である前記<1>から<13>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<15> ISO 3146に準拠して測定したときの融点が、150℃以上である前記<14>に記載の立体造形用粉末である。
<16> ISO 3146に準拠して測定したときの融点が、200℃以上である前記<15>に記載の立体造形用粉末である。
<17> 前記結晶性熱可塑性樹脂が、2段以上延伸された結晶性熱可塑性樹脂である前記<1>から<16>のいずれかに記載の立体造形用粉末である。
<18> 前記結晶性熱可塑性樹脂が、3段以上延伸された結晶性熱可塑性樹脂である前記<17>に記載の立体造形用粉末である。
<19> 柱体である前記<1>から<18>のいずれかに記載の立体造形物用粉末である。
<20> 前記<1>から<19>のいずれかに記載の立体造形用粉末が貯蔵されている供給槽と、
前記立体造形用粉末を含む層を形成する層形成手段と、
前記層の選択された領域内の粉末同士を接着させる粉末接着手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<21> 前記粉末接着手段が、前記形成された層に電磁照射し、溶融させた後に冷却後硬化する硬化手段を有する前記<20>に記載の立体造形物の製造装置である。
<22> 前記<1>から<19>のいずれかに記載の立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、
前記層の選択された領域内の粉末同士を接着させる粉末接着工程と、を繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<23> 前記粉末接着工程が、前記形成された層に電磁照射し、溶融させた後に冷却後硬化する硬化工程を含む前記<22>に記載の立体造形物の製造方法である。
<24> 示差走査熱量測定において、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときに得られる吸熱ピークの融解熱量をQ1とし、その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、融点より30℃高い温度まで10℃/minにて昇温したときの再融解熱量をQ2としたとき、前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.10以上であり、
曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上であることを特徴とする樹脂粉末である。
前記<1>から<19>のいずれかに記載の立体造形用粉末、前記<20>から<21>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置、前記<22>から<23>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、及び前記<24>に記載の樹脂粉末は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特公昭60-003337号公報

Claims (12)

  1. 示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して測定した、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときに得られる吸熱ピークの融解熱量をQ1とし、その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、融点より30℃高い温度まで10℃/minにて昇温したときの再融解熱量をQ2としたとき、前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.10以上1.60以下である立体造形用粉末であって、
    前記立体造形用粉末は、ポリエステル、ポリアミド、及びポリオレフィンから選択される少なくとも1種からなり、
    前記立体造形用粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、
    前記立体造形用粉末を以下の硬化条件によって硬化してなる立体造形物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上であることを特徴とする立体造形用粉末。
    [硬化条件]
    SLS方式造形装置を使用し、設定条件として、0.1mmの層平均厚み、10ワット以上150ワット以下のレーザー出力に設定し、0.1mmのレーザー走査スペース、融点より3℃低い温度にて部品床温度を使用した。
  2. 前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.20以上である請求項1に記載の立体造形用粉末。
  3. 前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.30以上である請求項2に記載の立体造形用粉末。
  4. 前記曲げ応力1.8MPaにおける前記荷重たわみ温度が、66℃以上である請求項1から3のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  5. 前記曲げ応力1.8MPaにおける前記荷重たわみ温度が、70℃以上である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  6. 前記曲げ応力1.8MPaにおける前記荷重たわみ温度が、80℃以上である請求項5に記載の立体造形用粉末。
  7. 50%累積体積粒径が、20μm以上100μm以下であり、かつ、
    体積平均粒径と個数平均粒径との比(体積平均粒径/個数平均粒径)が、2.50以下である請求項1から6のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  8. 柱体である請求項1から7のいずれかに記載の立体造形用粉末。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の立体造形用粉末が貯蔵されている供給槽と、
    前記立体造形用粉末を含む層を形成する層形成手段と、
    前記層の選択された領域内の粉末同士を接着させる粉末接着手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
  10. 立体造形用粉末を含む層を形成する層形成工程と、
    前記層の選択された領域内の粉末同士を接着させる粉末接着工程と、を繰り返す、立体造形物の製造方法であって、
    前記立体造形用粉末は、示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して測定した、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときに得られる吸熱ピークの融解熱量をQ1とし、その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、融点より30℃高い温度まで10℃/minにて昇温したときの再融解熱量をQ2としたとき、前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.10以上1.60以下であり、
    前記立体造形用粉末は、ポリエステル、ポリアミド、及びポリオレフィンから選択される少なくとも1種からなり、
    前記立体造形用粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、
    前記立体造形用粉末を以下の硬化条件によって硬化してなる立体造形物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上であることを特徴とする立体造形物の製造方法。
    [硬化条件]
    SLS方式造形装置を使用し、設定条件として、0.1mmの層平均厚み、10ワット以上150ワット以下のレーザー出力に設定し、0.1mmのレーザー走査スペース、融点より3℃低い温度にて部品床温度を使用した。
  11. 前記粉末接着工程が、前記形成された層に電磁照射し、溶融させた後に冷却後硬化する硬化工程を含む請求項10に記載の立体造形物の製造方法。
  12. 示差走査熱量測定において、ISO 3146に準拠して測定した、10℃/minにて、融点より30℃高い温度まで昇温したときに得られる吸熱ピークの融解熱量をQ1とし、その後、10℃/minにて、20℃以下まで降温し、更に、融点より30℃高い温度まで10℃/minにて昇温したときの再融解熱量をQ2としたとき、前記Q1と前記Q2との比(Q1/Q2)が、1.10以上1.60以下である樹脂粉末であって、
    前記樹脂粉末は、ポリエステル、ポリアミド、及びポリオレフィンから選択される少なくとも1種からなり、
    前記樹脂粉末の50%累積体積粒径が20μm以上であり、
    前記樹脂粉末を以下の硬化条件によって硬化してなる硬化物の、JIS K7191(ISO 75)に準拠して測定した、曲げ応力1.8MPaにおける荷重たわみ温度が、60℃以上であることを特徴とする樹脂粉末。
    [硬化条件]
    SLS方式造形装置を使用し、設定条件として、0.1mmの層平均厚み、10ワット以上150ワット以下のレーザー出力に設定し、0.1mmのレーザー走査スペース、融点より3℃低い温度にて部品床温度を使用した。
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