以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている面を前面104として前後方向8が定義され、複合機10を前方から後方に視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は互いに直交している。
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(画像記録装置の一例)は、概ね直方体に形成されている。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で用紙12(シートの一例、図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を有している。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、プリンタ部11は、インクジェット記録方式以外、例えば電子写真方式で用紙12に画像を記録するものであってもよい。
図2に示されるように、プリンタ部11は、給送トレイ20と、排出トレイ21と、給送部15と、搬送部54と、排出部55と、反転部56と、再搬送部57と、記録部24と、プラテン42と、当接部材110と、経路切替部材41と、センサ120と、ロータリエンコーダ121と、センサ122と、リニアエンコーダ157(エンコーダの一例、図3参照)と、搬送モータ102(モータの一例、図8参照)と、駆動伝達部70(図8参照)とを備えている。
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1及び図2に示されるように、給送トレイ20は、プリンタ部11の正面に形成された開口13を通じて、後方へ挿入され、前方へ脱抜される。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持する。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されている。排出トレイ21は、開口13を通じて反転部56によって排出された用紙12を支持する。
[給送部15]
図2に示されるように、給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部に回転可能に支持されている。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。給送ローラ25は、後述する駆動伝達部70が第1伝達状態のときに搬送モータ102(図8参照)が逆回転することによって、図2における時計回りに回転し、給送トレイ20に支持された用紙12を後方へ搬送する。これにより、給送トレイ20に支持された用紙12は、第1搬送路65へ給送される。給送トレイ20によって第1搬送路65へ給送された用紙12は、第1搬送路65に配置された搬送部54へ向かう。
[第1搬送路65、第2搬送路66]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、用紙12が通過する第1搬送路65及び第2搬送路66が形成されている。
第1搬送路65は、プリンタ部11の内部において所定間隔を隔てて対向するガイド部材18、19によって画定される空間を指す。第1搬送路65は、湾曲された湾曲搬送路と、直線的に延びる直線搬送路とで構成されている。湾曲搬送路は、プリンタ部11の後部において下方から上方に延びつつUターンする経路である。直線搬送路は、搬送部54から記録部24を経て排出トレイ21に至る経路である。なお、第1搬送路65は、図2に示されたような湾曲搬送路と直線搬送路よりなる構成に限らない。例えば、第1搬送路65は、直線搬送路のみによって構成されていてもよい。
第2搬送路66は、プリンタ部11の内部において所定間隔を隔てて対向するガイド部材29、30によって画定される空間を指す。第2搬送路66は、記録部24によって画像が記録された用紙12を、表裏を反転させて再び記録部24に到達させるための経路である。本実施形態に係る第2搬送路66は、分岐位置66A(第1位置の一例)及び合流位置66B(第2位置の一例)において第1搬送路65と繋がっている。分岐位置66Aは、記録部24よりも第1搬送向き16A(搬送向きの一例)の下流に位置する。合流位置66Bは、記録部24よりも第1搬送向き16Aの上流に位置する。
第1搬送向き16Aは、用紙12が第1搬送路65を搬送される向きである。第1搬送向き16Aは、給送トレイ20に支持された用紙12が第1搬送路65を通って排出トレイ21に排出されるときに用紙12が搬送される向きである。第1搬送向き16Aは、第1搬送路65に沿っており、図2に一点鎖線の矢印で示されている。
用紙12が第2搬送路66を搬送される向きは、第2搬送向き16Bである。第2搬送向き16Bは、第1搬送路65に位置する用紙12が第2搬送路66を通って表裏反転した状態で再び第1搬送路65へ導かれるために当該用紙12が搬送される向きである。第2搬送向き16Bは、分岐位置66Aから合流位置66Bへ向かう向きであり、図2に二点鎖線の矢印で示されている。
[搬送部54、排出部55、反転部56、再搬送部57]
図2に示されるように、搬送部54は、第1搬送路65における合流位置66Bより第1搬送向き16Aの下流に配置されている。搬送部54は、互いに対向する搬送ローラ60(第1ローラの一例)及びピンチローラ61を備える。搬送ローラ60は、搬送モータ102によって駆動されて、左右方向9に沿った軸周りに回転する。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。
排出部55は、第1搬送路65における搬送部54及び分岐位置66Aの間に配置されている。排出部55は、互いに対向する排出ローラ62(第2ローラの一例)及び拍車63を備える。排出ローラ62は、搬送モータ102によって駆動されて、左右方向9に沿った軸周りに回転する。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。
反転部56は、第1搬送路65における分岐位置66Aよりも第1搬送向き16Aの下流に配置されている。反転部56は、互いに対向する反転ローラ45(第3ローラの一例)及び拍車46を備える。反転ローラ45は、搬送モータ102によって駆動されて、左右方向9に沿った軸周りに回転する。拍車46は、反転ローラ45の回転に伴って連れ回る。
なお、後述するように、搬送ローラ60、排出ローラ62、及び反転ローラ45は、用紙12を第1搬送向き16Aへ搬送する向き、及び当該方向と逆向きに回転可能である。以下の説明において、搬送ローラ60、排出ローラ62、及び反転ローラ45の回転のうち、用紙12を第1搬送向き16Aへ搬送する方向の回転は、順回転と記される。また、搬送ローラ60、排出ローラ62、及び反転ローラ45の回転のうち、当該順回転と逆向きの回転は、逆回転と記される。
再搬送部57は、第2搬送路66に配置されている。再搬送部57は、互いに対向する再搬送ローラ68(第4ローラの一例)及び従動ローラ69を備える。再搬送ローラ68は、搬送モータ102によって駆動されて、左右方向9に沿った軸周りに回転する。従動ローラ69は、再搬送ローラ68の回転に伴って連れ回る。
再搬送ローラ68は、用紙12を第2搬送向き16Bへ搬送する向きに回転可能である。以下の説明において、再搬送ローラ68の回転のうち、用紙12を第2搬送向き16Bへ搬送する向きの再搬送ローラ68の回転は、順回転と記される。また、再搬送ローラ68の回転のうち、当該順回転と逆向きの回転は、逆回転と記される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、第1搬送路65における搬送部54及び排出部55の間に配置されている。
記録部24は、プラテン42の上方にプラテン42に対向して配置されている。プラテン42は、搬送部54によって搬送される用紙12を下方から支持するものである。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
図3に示されるように、キャリッジ23からは、インクチューブ32及びフレキシブルフラットケーブル33が延出されている。インクチューブ32は、インクカートリッジのインクを記録ヘッド39に供給する。フレキシブルフラットケーブル33は、コントローラ130(図9参照)が実装された制御基板と記録ヘッド39とを電気的に接続する。
キャリッジ23は、ガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、前後方向8に沿って離間して配置されている。ガイドレール43、44は、左右方向9へ延設されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジモータ103(図9参照)の駆動により周運動する。ベルト機構が周運動することによって、キャリッジ23は、左右方向9に沿って往復移動する。左右方向9は、走査方向の一例である。
図2に示されるように、記録ヘッド39は、キャリッジ23に搭載されている。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に対して記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
キャリッジ23は、後述する切替機構170の切替を行うために、第1搬送路65より右方まで移動可能である。
[当接部材110]
図2に示されるように、第1搬送路65におけるノズル40よりも第1搬送向き16Aの上流には、当接部材110が設けられている。図4に示されるように、当接部材110は、左右方向9において間隔を空けて複数配置されている。図2及び図4に示されるように、各当接部材110は、取り付け部111と、湾曲部112と、当接部113とを備える。
取り付け部111は、概ね平板形状である。各取り付け部111は、ガイドレール43に取り付けられている。
湾曲部112は、取り付け部111から前方(第1搬送向き16Aの下流)へ向けて突設している。湾曲部112は、前方に延びながら下方に向かって湾曲している。湾曲部112の先端部、つまり前端部からは当接部113が前方に突出している。
当接部113は、概ね平板形状である。当接部113は、第1搬送路65における搬送ローラ60及びノズル40の間に位置している。当接部113は、上下方向7においてプラテン42と対向している。当接部113の下面114(図4参照)とプラテン42との間を、用紙12が搬送される。
図4に示されるように、当接部113の下面114には、下方に向かって突出する当接リブ115が設けられている。当接リブ115の下端は、プラテン42に支持された用紙12の画像記録面、つまり用紙12の上面に当接する。これにより、用紙12は、当接部113によって、下方(つまりプラテン42)へ向けて押さえられる。
一方、プラテン42の上面42Aには、複数の支持リブ42Bが形成されている。複数の支持リブ42Bは、左右方向9に間隔を空けて形成されている。各支持リブ42Bは、第1搬送向き16Aに沿って延びている。各支持リブ42Bは、左右方向9において、各当接部113が配置されていない位置に形成されている。つまり、当接部113と支持リブ42Bとは互いに対向していない。
各支持リブ42Bは、各当接部113の当接リブ115の下端よりも上方まで突出している。これにより、プラテン42(詳細にはプラテン42の支持リブ42B)に支持された用紙12は、プラテン42と当接部113との間において、前後方向8に沿った視線で波打った状態となる。
[経路切替部材41]
図2に示されるように、プリンタ部11は、第1搬送路65における排出部55及び反転部56の間に、経路切替部材41を備える。経路切替部材41は、フラップ49と、軸50とを備えている。フラップ49は、左右方向9に延びた軸50から概ね第1搬送向き16Aに延出されている。フラップ49は、左右方向9に延びた軸50周りに回動可能である。フラップ49は、第1搬送路65を閉塞させる反転位置(図2に実線で示される姿勢)と、第1搬送路65上の用紙12の通過を許容する排出位置(図2に破線で示される姿勢)との間を回動する。なお、フラップ49は、回動以外によって、例えば上下方向7に沿ったスライドによって、反転位置と排出位置とに移動してもよい。
通常状態におけるフラップ49は、自重によって反転位置となっている。なお、フラップ49は、バネなどによって反転位置に付勢されていてもよい。フラップ49は、第1搬送向き16Aに搬送される用紙12に持ち上げられることによって、反転位置から排出位置へ向けて回動する。以後、フラップ49は、第1搬送向き16Aに搬送される用紙12を案内する。フラップ49は、第1搬送向き16Aに搬送される用紙12の後端(第1搬送向き16Aの上流端)が分岐位置66Aに到達したことに応じて、自重によって排出位置から反転位置へ回動する。このとき、用紙12の後端は、反転位置へ回動したフラップ49に下方へ押されることによって、第2搬送路66を向く。
この状態において反転部56の反転ローラ45が順回転を継続すると、用紙12は、第1搬送向き16Aに搬送されて排出トレイ21へ排出される。一方、反転部56の反転ローラ45が順回転から逆回転に切り替えられると、用紙12は、第1搬送向き16Aの上流端を先端として、第2搬送路66に沿って第2搬送向き16Bに搬送される。
[センサ120]
図2に示されるように、プリンタ部11は、第1搬送路65における合流位置66B及び搬送部54の間に、センサ120を備える。センサ120は、センサ120の配置位置に用紙12が存在することを検知するためのセンサである。給送部15または再搬送部57によって搬送された用紙12は、センサ120の配置位置を通過して搬送部54に到達する。センサ120は、用紙12が配置位置に存在していることに応じて、ハイレベル信号またはローレベル信号の一方(本実施形態ではローレベル信号)をコントローラ130(図9参照)に出力する。一方、センサ120は、用紙12が配置位置に存在していないことに応じて、ハイレベル信号またはローレベル信号の他方(本実施形態ではハイレベル信号)をコントローラ130へ出力する。
[ロータリエンコーダ121]
図2に示されるように、プリンタ部11は、搬送ローラ60の回転に応じてパルス信号を発生させる公知のロータリエンコーダ121を備える。ロータリエンコーダ121は、エンコーダディスク123と、光学センサ124とを備える。エンコーダディスク123は、搬送ローラ60の回転と共に回転する。光学センサ124は、回転するエンコーダディスク123を読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号をコントローラ130(図9参照)へ出力する。搬送ローラ60の回転量が多い程、生成されるパルス信号は長くなる。つまり、ロータリエンコーダ121は、搬送ローラ60の回転量に応じた信号を出力する。
なお、ロータリエンコーダ121は、搬送ローラ60以外の回転量に応じた信号を出力してもよい。例えば、エンコーダディスク123が搬送モータ102の回転と共に回転するものであってもよい。この場合、ロータリエンコーダ121は、搬送モータ102の回転量に応じた信号を出力する。
[センサ122]
図2に示されるように、センサ122が、キャリッジ23に取り付けられている。センサ122は、第1搬送路65を搬送される用紙12を検知するために用いられる。センサ122は、キャリッジ23の下面に配置されている。
センサ122は、当接部材110の当接部113よりも第1搬送向き16Aの下流に位置している。つまり、センサ122は、第1搬送路65における当接部113及び排出部55の間に位置している。
図10に示されるように、センサ122は、記録ヘッド39よりも左方に配置されている。なお、図10は、平面図であり、キャリッジ23の下面は見えないため、センサ122及び記録ヘッド39は破線で描かれている。なお、図2及び図13では、センサ122を見やすくするために、記録ヘッド39がセンサ122よりも第1搬送向き16Aの下流に位置するように描かれている。しかし、本実施形態では、図10に示されるように、センサ122と記録ヘッド39は左右に並んでいる。もちろん、図2及び図13に示されるように、記録ヘッド39がセンサ122よりも第1搬送向き16Aの下流に位置していてもよい。
センサ122は、公知の構成を備えている。例えば、センサ122は、発光ダイオードなどからなる発光部と、光学式センサなどからなる受光部とを備えている。発光部は、コントローラ130(図9参照)によって指示された光量で、プラテン42(またはプラテン42に支持された用紙12)へ向けて光を照射する。照射された光は、プラテン42(またはプラテン42に支持された用紙12)において反射する。反射した光は受光部で受光される。
センサ122は、受光部における反射光の受光量に応じた電気信号を、コントローラ130へ出力する。例えば、センサ122は、受光量が大きい程、レベルの高い電気信号をコントローラ130へ出力する。本実施形態において、センサ122は、用紙12を検知しない場合(発光部が照射した光がプラテン42で反射した場合)にローレベルの信号をコントローラ130へ出力し、用紙12を検知した場合(発光部が照射した光が用紙12で反射した場合)にハイレベルの信号をコントローラ130へ出力する。
[リニアエンコーダ157]
図3に示されるように、ガイドレール44には、エンコーダストリップ155が配設されている。エンコーダストリップ155は、透明な樹脂からなる帯状のものである。エンコーダストリップ155は、その右端部及び左端部を支持用リブ(不図示)に係止されることによって、左右方向9に架設されている。
エンコーダストリップ155には、光を透過させる透光部と光を遮断する遮光部とが、長手方向に等ピッチで交互に配置されたパターンが記されている。キャリッジ23のエンコーダストリップ155に対応する位置には、透過型センサである光学センサ156が設けられている。エンコーダストリップ155と光学センサ156とによって、キャリッジ23の位置を検知するためのリニアエンコーダ157(エンコーダの一例)が構成される。光学センサ156は、キャリッジ23の移動する過程においてエンコーダストリップ155を読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号をコントローラ130(図9参照)へ出力する。キャリッジ23の移動量が多い程、生成されるパルス信号は長くなる。つまり、リニアエンコーダ157は、キャリッジ23の移動量に応じた信号を出力する。
[駆動伝達部70]
図9に示されるように、駆動伝達部70は、単一の搬送モータ102の駆動力を、給送ローラ25、搬送ローラ60、排出ローラ62、反転ローラ45、及び再搬送ローラ68へ伝達する。駆動伝達部70は、ギヤ、プーリ、無端環状のベルト、遊星ギヤ機構、及びワンウェイクラッチ等の全部又は一部を組み合わせて構成される。
図6~図8に示されるように、駆動伝達部70は、搬送モータ102の軸と一体回転するプーリ71と、搬送ローラ60の軸60Aと一体回転するプーリ72と、プーリ71、72に巻架された無端環状のベルト73とを備える。これにより、搬送ローラ60は、搬送モータ102の順回転が伝達されて順回転し、搬送モータ102の逆回転が伝達されて逆回転する。搬送ローラ60は、順回転することによって、ピンチローラ61との間に挟持した用紙12を第1搬送向き16Aへ搬送する。
図8に示されるように、駆動伝達部70は、搬送モータ102の回転の伝達先を切り替える切替機構170と、搬送モータ102の回転を搬送ローラ60の軸60Aを介して各ローラ25、62、45、68へ伝達する第1~第4伝達部74、149、85、140とを備える。但し、搬送モータ102の回転を各ローラ25、60、62、45、68へ伝達する具体的な構成は、以下の例に限定されない。
[切替機構170]
図5及び図8に示される切替機構170は、駆動伝達部70の状態を、第1伝達状態及び第2伝達状態に切替可能に構成されている。
第1伝達状態は、第3伝達部85を介した搬送ローラ60から給送ローラ25への搬送モータ102の回転の伝達が可能であり、第2伝達部149を介した搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45への搬送モータ102の回転の伝達が遮断されており、第4伝達部140を介した搬送ローラ60から再搬送ローラ68への搬送モータ102の回転の伝達が遮断されている状態である。
第2伝達状態は、第3伝達部85を介した搬送ローラ60から給送ローラ25への搬送モータ102の回転の伝達が遮断されており、第2伝達部149を介した搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45への搬送モータ102の回転の伝達が可能であり、第4伝達部140を介した搬送ローラ60から再搬送ローラ68への搬送モータ102の回転の伝達が可能である状態である。
図5に示されるように、切替機構170は、第1搬送路65よりも右方に設けられている。切替機構170は、切替ギヤ171(移動ギヤの一例)と、ギヤ177(図6~図8参照)と、受けギヤ172A(第1伝達ギヤの一例)と、受けギヤ172B(第2伝達ギヤの一例)と、保持部173と、押圧部材175と、切替レバー176(レバーの一例)と、第1バネ(不図示)と、第2バネ(不図示)とを備える。
切替ギヤ171は、支軸174を中心として回転可能で且つ支軸174の軸方向(左右方向9)に沿って移動可能である。切替ギヤ171には、搬送モータ102の回転が搬送ローラ60の軸60A及びギヤ177を通じて伝達される。ギヤ177は、搬送ローラ60の軸60Aに取り付けられており、搬送ローラ60の軸60Aと一体に回転する。受けギヤ172A、172Bは、支軸174の下方において左右方向9に沿った同軸上で回転可能である。受けギヤ172A、172Bは、切替ギヤ171に噛合可能である。つまり、切替ギヤ171は、左右方向9に移動することによって、受けギヤ172A、172Bのいずれかと噛合する。以上より、受けギヤ172A、172Bは、切替ギヤ171の移動位置に対応して切替ギヤ171と噛合可能に左右方向9に沿って並列配置されている。
受けギヤ172Aは、搬送モータ102の回転を、第3伝達部85を介して給送ローラ25へ伝達するためのギヤである。受けギヤ172Bは、搬送モータ102の回転を、第2伝達部149を介して排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達し、第4伝達部140を介して再搬送ローラ68へ伝達するためのギヤである。切替ギヤ171が受けギヤ172Aと噛合しているとき、駆動伝達部70は第1伝達状態であり、切替ギヤ171が受けギヤ172Bと噛合しているとき、駆動伝達部70は第2伝達状態である。
押圧部材175は、切替ギヤ171の右方に配置されており、左右方向9に沿って移動自在に支軸174に挿通されている。また、押圧部材175は、支軸174を中心に回転可能である。
切替レバー176は、押圧部材175から上方に突出し、保持部173の開口179を通って、キャリッジ23の移動領域(移動するキャリッジ23が占め得る領域)で且つ用紙12の通過領域(第1搬送路65を構成する領域)外にまで延びている。切替ギヤ171は第1バネ(不図示)によって右方へ付勢され、押圧部材175は第2バネ(不図示)によって左方へ付勢されている。第2バネの付勢力は、第1バネの付勢力より大きい。その結果、切替ギヤ171及び押圧部材175は、第2バネによって左方へ付勢されている。
保持部173は、切替ギヤ171の上方に配置されている。保持部173には、開口179が形成されている。開口179には、切替レバー176が上方へ挿通されている。開口179の縁部には、第1ストッパ180と、第1ストッパ180よりも右方に設けられた第2ストッパ181と、第2ストッパ181よりも右方に設けられた傾斜面182とが形成されている。
図5(A)に示されるように、第1ストッパ180は、切替ギヤ171が受けギヤ172Aと噛合している状態のとき、つまり駆動伝達部70が第1伝達状態のとき、切替レバー176と当接する。これにより、切替ギヤ171が、第2バネの付勢力によって、図5(A)に示される位置から左方へ移動することが規制される。一方、第1ストッパ180は、図5(A)に示される位置から切替ギヤ171の右方への移動を規制しない。
図5(B)に示されるように、第2ストッパ181は、切替ギヤ171が受けギヤ172Bと噛合している状態のとき、つまり駆動伝達部70が第2伝達状態のとき、切替レバー176と係合する。これにより、切替ギヤ171が、第2バネの付勢力によって、図5(B)に示される位置から左方へ移動することが規制される。一方、第2ストッパ181は、図5(B)に示される位置から切替ギヤ171の右方への移動を規制しない。
図5(A)に示されるように、切替ギヤ171が受けギヤ172Aと噛合している状態のとき、つまり駆動伝達部70が第1伝達状態のときに、切替レバー176が右方へ移動するキャリッジ23に当接されて押されると、切替レバー176は第2バネの付勢力に抗って右方へ移動する。これにより、押圧部材175は、切替レバー176と一体に右方へ移動する。押圧部材175が右方へ移動すると、第1バネによって右方へ付勢された切替ギヤ171は右方へ移動する。切替レバー176が第2ストッパ181と係合することで、切替ギヤ171は受けギヤ172Bと噛合した状態に保持される。つまり、駆動伝達部70は第2伝達状態に保持される(図5(B)参照)。以上のように、駆動伝達部70は、第1伝達状態から第2伝達状態に変化する。
図5(B)に示されるように、切替ギヤ171が受けギヤ172Bと噛合している状態のとき、つまり駆動伝達部70が第2伝達状態のときに、切替レバー176が右方へ移動するキャリッジ23に当接されて押されると、切替レバー176は第2バネの付勢力に抗って右方へ移動する。これにより、押圧部材175は、切替レバー176と一体に右方へ移動する。押圧部材175が右方へ移動すると、第1バネによって右方に付勢された切替ギヤ171は右方へ移動する。このとき、切替レバー176は、傾斜面182に沿って移動する。これにより、切替レバー176は、その突出先端(上端)が後方へ移動するように回転する。
切替レバー176が第2ストッパ181よりも右方に位置している状態では、キャリッジ23が切替レバー176との当接を維持することによって、切替ギヤ171が第2バネの付勢力によって左方へ移動することが規制される。
切替レバー176が図5(B)に示された位置よりも右方において傾斜面182と当接した状態で、キャリッジ23が左方に移動して切替レバー176から離間すると、切替レバー176は、第2バネの付勢力によって左方に移動する。このとき、上述したように、切替レバー176は、その突出先端が後方へ移動するように回転しているため、第2ストッパ181と係合せずに第2ストッパ181よりも左方へ移動する。その結果、切替レバー176は、第1ストッパ180と当接するまで左方へ移動する。このとき、切替ギヤ171は、押圧部材175に押されて左方へ移動して、受けギヤ172Aと噛合する(図5(A)参照)。つまり、駆動伝達部70が第1伝達状態に保持される。以上のように、切替機構170は、第2伝達状態から第1伝達状態に変化する。
なお、切替レバー176は、左方へ移動する際に、開口179の縁部における第1ストッパ180の近傍に形成された傾斜面183に沿って移動する。これにより、切替レバー176は、その突出先端が前方へ移動するように回転する。
[第1伝達部74]
図6及び図7に示される第1伝達部74は、搬送ローラ60の軸60Aを介して伝達された搬送モータ102の順回転を、排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達する。図8に示されるように、第1伝達部74は、第1搬送路65よりも左方に設けられている。なお、第1伝達部74の位置は、図8に示された位置に限定されない。例えば、第1伝達部74は、第1搬送路65よりも右方に設けられていてもよい。
図6及び図7に示されるように、第1伝達部74は、互いに噛合するギヤ75、76と、プーリ77乃至80と、無端環状のベルト81、82と、ワンウェイクラッチ83とで構成されている。
ギヤ75は、ギヤ76と噛合し且つ搬送ローラ60の軸60Aと一体回転する。ギヤ76及びプーリ77は、同軸で一体回転する。つまり、プーリ77は、搬送ローラ60の回転に連動して回転する。プーリ78は、ワンウェイクラッチ83を介して排出ローラ62の軸62Aに取り付けられている。つまり、プーリ78が回転することによって、排出ローラ62が連動して回転する。
ワンウェイクラッチ83は、搬送モータ102の順回転が伝達されたときに、排出ローラ62と一体に回転する。つまり、ワンウェイクラッチ83は、プーリ78へ伝達された搬送モータ102の順回転を、排出ローラ62の軸62A及びプーリ79へ伝達する。一方、ワンウェイクラッチ83は、搬送モータ102の逆回転が伝達されたときに、排出ローラ62に対して空転する。つまり、ワンウェイクラッチ83は、プーリ78へ伝達された搬送モータ102の逆回転を、排出ローラ62の軸62A及びプーリ79へ伝達しない。なお、ワンウェイクラッチ83としては、公知のものが使用される。
プーリ79は、排出ローラ62の軸62Aと一体回転する。つまり、プーリ79は、プーリ78の回転に連動して回転する。プーリ80は、反転ローラ45の軸45Aと一体回転する。つまり、プーリ80が回転することによって、反転ローラ45が連動して回転する。
ベルト81は、プーリ77、78に巻架されている。ベルト82は、プーリ79、80に巻架されている。
図6(A)に示されるように、第1伝達部74は、搬送モータ102の順回転を、搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達して、排出ローラ62及び反転ローラ45を順回転させる。一方、図6(B)に示されるように、第1伝達部74は、搬送モータ102の逆回転を、搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達しない。
以上より、排出ローラ62は、搬送モータ102の順回転が第1伝達部74を介して伝達されることによって、拍車63との間に挟持した用紙12を第1搬送向き16Aへ搬送する方向に回転する。また、反転ローラ45は、搬送モータ102の順回転が第1伝達部74を介して伝達されることによって、拍車46との間に挟持した用紙12を第1搬送向き16Aへ搬送する方向に回転する。これにより、用紙12は、排出トレイ21へ排出される。
[第2伝達部149]
図7に示される第2伝達部149は、駆動伝達部70が第2伝達状態のときに、搬送ローラ60の軸60A及び切替機構170を介して伝達された搬送モータ102の逆回転を、排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達する。図8に示されるように、第2伝達部149は、第1搬送路65よりも右方に設けられている。なお、第2伝達部149の位置は、図7に示された位置に限定されない。例えば、第2伝達部149は、第1搬送路65よりも左方に設けられていてもよい。第2伝達部149が第1搬送路65よりも左方に設けられている場合、第1伝達部74は、第1搬送路65よりも右方に設けられていることが好ましい。
図7に示されるように、第2伝達部149は、ギヤ列150と、太陽ギヤ151と、遊星ギヤ152と、アーム153と、ギヤ154と、プーリ79、80と、ベルト82とで構成される。プーリ79、80及びベルト82は、第1伝達部74の構成要素の一部であるとともに、第2伝達部149の構成要素の一部でもある。
ギヤ列150は、隣接するギヤ同士が互いに噛合する複数のギヤ150A~150Dを含む。ギヤ150Aは、受けギヤ172Bと噛合する。太陽ギヤ151は、ギヤ150Dと噛合する。遊星ギヤ152は、太陽ギヤ151と噛合し且つギヤ154に接離する。アーム153は、一端が太陽ギヤ151に回動可能に支持され、他端で遊星ギヤ152を自転可能及び太陽ギヤ151の周りを公転可能に支持している。これにより、遊星ギヤ152は、太陽ギヤ151が回転することによって、自転しながら太陽ギヤ151の周りを公転する。ギヤ154は、排出ローラ62の軸62Aと一体回転する。つまり、ギヤ154は、噛合した遊星ギヤ152から伝達された搬送モータ102の回転を排出ローラ62へ伝達する。
太陽ギヤ151は、搬送モータ102の順回転が伝達されることによって、図7(A)に矢印で示される第1回転向き105に回転する。これにより、遊星ギヤ152は、第1回転向き105に公転し、ギヤ154から離間する。その結果、第2伝達部149は、搬送モータ102の順回転を、搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達しない。
一方、太陽ギヤ151は、搬送モータ102の逆回転が伝達されることによって、図7(B)に矢印で示される第2回転向き106(第1回転向き105と逆向き)に回転する。これにより、遊星ギヤ152は、第2回転向き106に公転し、ギヤ154と噛合する。その結果、第2伝達部149は、搬送モータ102の逆回転を、搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達して、各ローラ62、45を逆回転させる。
また、反転ローラ45は、搬送モータ102の逆回転が第2伝達部149を介して伝達されることによって、拍車46との間に挟持した用紙12を第1搬送向き16Aと逆向きへ搬送する方向に回転する。
[第3伝達部85]
図6に示される第3伝達部85は、駆動伝達部70が第1伝達状態のときに搬送ローラ60の軸60A及び切替機構170を介して伝達された搬送モータ102の回転を、給送ローラ25へ伝達する。図6に示されるように、第3伝達部85は、ギヤ86乃至91と、プーリ92乃至95と、無端環状のベルト96、97と、太陽ギヤ98と、遊星ギヤ99と、アーム100とで構成されている。
ギヤ86は、受けギヤ172A及びギヤ87と噛合している。ギヤ87及びプーリ92は、同軸で一体回転する。ギヤ88及びプーリ93は、同軸で一体回転する。ギヤ89は、ギヤ88と噛合している。太陽ギヤ98は、ギヤ89と同軸で一体回転する。遊星ギヤ99は、太陽ギヤ98と噛合し且つギヤ90に接離する。アーム100は、一端が太陽ギヤ98に回動可能に支持され、他端で遊星ギヤ99を自転可能及び太陽ギヤ98の周りを公転可能に支持している。これにより、遊星ギヤ99は、太陽ギヤ98が回転することによって、自転しながら太陽ギヤ98の周りを公転する。ギヤ90は、ギヤ91と噛合する。ギヤ91及びプーリ94は、同軸で一体回転する。プーリ95は、給送ローラ25と同軸で一体回転する。ベルト96は、プーリ92、93に巻架されている。ベルト97は、プーリ94、95に巻架されている。
図6(A)に示されるように、遊星ギヤ99は、搬送モータ102の順回転が太陽ギヤ98へ伝達されることによって、ギヤ90から離間する。その結果、第3伝達部85は、搬送モータ102の順回転を給送ローラ25へ伝達しない。一方、図5(B)に示されるように、遊星ギヤ99は、搬送モータ102の逆回転が太陽ギヤ98へ伝達されることによって、ギヤ90と噛合する。その結果、第3伝達部85は、搬送モータ102の逆回転を給送ローラ25へ伝達する。これにより、給送ローラ25は回転する。
[第4伝達部140]
図7に示される第4伝達部140は、駆動伝達部70が第2伝達状態のときに搬送ローラ60の軸60A及び切替機構170を介して伝達された搬送モータ102の回転を、再搬送ローラ68へ伝達する。図7に示されるように、第4伝達部140は、太陽ギヤ141と、遊星ギヤ142、143と、アーム144、145と、ギヤ列146と、ギヤ147、148とで構成されている。
太陽ギヤ141は、受けギヤ172Bと噛合する。遊星ギヤ142は、太陽ギヤ141と噛合し且つギヤ146Aに接離する。遊星ギヤ143は、太陽ギヤ141と噛合し且つギヤ146Bに接離する。アーム144は、一端が太陽ギヤ141に回動可能に支持され、他端で遊星ギヤ142を自転可能及び太陽ギヤ141の周りを公転可能に支持している。アーム145は、一端が太陽ギヤ141に回動可能に支持され、他端で遊星ギヤ143を自転可能及び太陽ギヤ141の周りを公転可能に支持している。ギヤ列146は、隣接するギヤ同士が互いに噛合する複数のギヤ146A乃至146Fを含む。ギヤ147は、ギヤ146Fと同軸で一体回転する。ギヤ148は、ギヤ147と噛合し、再搬送ローラ68の軸と同軸で一体回転する。
図7(A)に示されるように、搬送モータ102の順回転が太陽ギヤ141へ伝達されることによって、遊星ギヤ142がギヤ146Aから離間し、遊星ギヤ143がギヤ146Bと噛合する。すなわち、搬送モータ102の順回転は、ギヤ146B~146Fを通じて搬送ローラ60から再搬送ローラ68に伝達される。一方、図7(B)に示されるように、搬送モータ102の逆回転が太陽ギヤ141へ伝達されることによって、遊星ギヤ142がギヤ146Aと噛合し、遊星ギヤ143がギヤ146Bから離間する。すなわち、搬送モータ102の逆回転は、ギヤ146A~146Fを通じて搬送ローラ60から再搬送ローラ68に伝達される。その結果、再搬送ローラ68は、搬送モータ102の順回転及び逆回転のいずれが伝達された場合であっても順回転する。再搬送ローラ68は、順回転することによって、従動ローラ69との間に挟持した用紙12を第2搬送向き16Bへ搬送する。
[駆動伝達部70による駆動力の伝達]
以上の駆動伝達部70の説明を纏めると、駆動伝達部70は、搬送モータ102から各ローラ25、60、62、45、68へ、以下のように駆動伝達する。
駆動伝達部70が第1伝達状態のときに、搬送モータ102が順回転すると、給送ローラ25が停止し、搬送ローラ60が順回転し、排出ローラ62が順回転し、反転ローラ45が順回転し、再搬送ローラ68が停止する。
駆動伝達部70が第1伝達状態のときに、搬送モータ102が逆回転すると、給送ローラ25が回転し、搬送ローラ60が逆回転し、排出ローラ62が停止し、反転ローラ45が停止し、再搬送ローラ68が停止する。
駆動伝達部70が第2伝達状態のときに、搬送モータ102が順回転すると、給送ローラ25が停止し、搬送ローラ60が順回転し、排出ローラ62が順回転し、反転ローラ45が順回転し、再搬送ローラ68が順回転する。
駆動伝達部70が第2伝達状態のときに、搬送モータ102が逆回転すると、給送ローラ25が停止し、搬送ローラ60が逆回転し、排出ローラ62が逆回転し、反転ローラ45が逆回転し、再搬送ローラ68が順回転する。
なお、再搬送ローラ68の回転は、上記に限らない。例えば、駆動伝達部70が第1伝達状態のときに、搬送モータ102が順回転すると再搬送ローラ68が順回転し、搬送モータ102が逆回転すると再搬送ローラ68が逆回転するように、駆動伝達部70が構成されていてもよい。
[コントローラ130]
図9に示されるように、コントローラ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えている。CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135は、内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC135には、搬送モータ102及びキャリッジモータ103が接続されている。ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC135からの駆動信号によって順回転及び逆回転する。例えば、コントローラ130は、搬送モータ102の駆動を制御して各ローラを駆動させる。また、コントローラ130は、キャリッジモータ103の駆動を制御してキャリッジ23を往復移動させる。また、コントローラ130は、記録ヘッド39を制御してノズル40からインクを吐出させる。
ASIC135には、センサ120、ロータリエンコーダ121、センサ122、及びリニアエンコーダ157が接続されている。
コントローラ130は、各センサ120、122から出力される検知信号に基づいて、各センサ120、122の配置位置に用紙12が存在することを検知する。
コントローラ130は、ロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号に基づいて搬送ローラ60の回転量を求める。また、コントローラ130は、センサ120から出力される検知信号と、ロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号とに基づいて、用紙12の位置を判断する。
コントローラ130は、リニアエンコーダ157から出力されるパルス信号に基づいてキャリッジ23の移動量を求める。また、コントローラ130は、キャリッジ23の基準位置(例えば、キャリッジ23の移動可能領域の右端位置または左端位置)からのキャリッジ23の移動量によって、キャリッジ23の位置を判断する。
[画像記録処理]
図11及び図12を参照して、本実施形態における画像記録処理を説明する。この画像記録処理は、コントローラ130のCPU131によって実行される。なお、以下の各処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が読み出して実行してもよいし、コントローラ130に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。
なお、以下に説明する画像記録処理では、初期状態において、駆動伝達部70は第1伝達状態である。
コントローラ130は、ユーザから用紙12に画像を記録する記録指示を取得したことに応じて(S10)、ステップS20以降の画像記録処理を実行する。記録指示の取得先は特に限定されないが、例えば、複合機10に設けられた操作部17(図1参照)を通じて取得してもよいし、外部機器から通信ネットワークを通じて取得してもよい。記録指示には、用紙12への画像記録を実行する旨のコマンドの他、画像を記録する用紙12のサイズに関する情報と、用紙12に記録する画像データとが含まれる。コントローラ130は、取得した記録指示に従って各ローラ、キャリッジ23、及び記録ヘッド39の動作を制御することによって、用紙12に画像を記録する。ステップS10の処理は、取得処理に相当する。
記録指示を取得したコントローラ130は、搬送モータ102を逆回転させる(S20)。これにより、給送ローラ25が回転して、給送トレイ20に支持された用紙12が、後方の第1搬送路65へ送られる。なお、このとき、搬送ローラ60は逆回転し、排出ローラ62及び反転ローラ45は停止している。第1搬送路65へ送られた用紙12は、搬送部54へ向けて第1搬送向き16Aに搬送される。用紙12の先端(第1搬送向き16Aの下流端)がセンサ120に到達すると、センサ120はローレベル信号をコントローラ130へ出力する。以後、コントローラ130は、ローレベル信号を受け取ってからの、ロータリエンコーダ121から受け取ったパルス信号によって、用紙12の位置を判断する。
コントローラ130は、用紙12が搬送部54に到達すると(S30:Yes)、搬送モータ102を逆回転から順回転に切り替える(S40)。これにより、給送ローラ25が停止するとともに、搬送ローラ60、排出ローラ62、反転ローラ45が順回転し、用紙12は搬送部54によって第1搬送向き16Aに搬送される。なお、搬送ローラ60が逆回転しているときに、用紙12が搬送部54に当接することによって、用紙12の斜行が矯正される。
次に、コントローラ130は、用紙12の表面に対する画像記録を実行する(S50)。詳細には、コントローラ130は、用紙12の表面に対する画像記録が完了するまで、搬送処理と吐出処理とを交互に繰り返し実行する(S50、S60:No)。搬送処理は、搬送部54に到達された用紙12を第1搬送向き16Aの所定の改行幅だけ搬送部54、排出部55、及び反転部56の少なくとも1つに搬送させる処理である。吐出処理は、所定の改行幅だけ搬送された用紙12に対して記録ヘッド39にインクを吐出させる処理である。
具体的には、コントローラ130は、搬送処理において、搬送モータ102を順回転させることによって、各ローラ60、62、45を順回転させる。また、コントローラ130は、吐出処理において、キャリッジモータ103を駆動させることによってキャリッジ23を左右方向9に沿って移動させ、且つ所定のタイミングで記録ヘッド39にインクを吐出させる。
用紙12の表面に対する画像記録が完了すると(S60:Yes)、コントローラ130は、ステップS10において取得した記録指示が用紙12の両面に画像を記録するものであるか否かを確認する(S70)。
記録指示が用紙12の片面のみに画像を記録するものである場合(S70:No)、コントローラ130は、記録指示に含まれる画像データに未だ用紙12に記録されていない画像データがあるか否か、換言すると次ページの画像記録があるか否かを判断する(S80)。
次ページの画像記録がある場合(S80:Yes)、コントローラ130は、ステップS20以降の処理を再び実行する。つまり、コントローラ130は、後続の用紙12を給送トレイ20から第1搬送路65へ給送して、後続の用紙12の表面に画像を記録する(S20~S60)。なお、ステップS40、S50において搬送モータ102が順回転されることにより、先行の用紙12(既に表面への画像記録が完了している用紙12)は、排出部55及び反転部56によって第1搬送向き16Aに搬送されて、排出トレイ21へ排出される。
一方、次ページの画像記録がない場合(S80:No)、コントローラ130は、搬送モータ102を順回転させる(S90)。これにより、既に表面への画像記録が完了している用紙12は、排出部55及び反転部56によって第1搬送向き16Aに搬送されて、排出トレイ21へ排出される。
ステップS70において、記録指示が用紙12の両面に画像を記録するものである場合(S70:Yes)、コントローラ130は、搬送モータ102を順回転させる。これにより、表面の画像記録が完了した用紙12は、排出部55及び反転部56によって第1搬送向き16Aに搬送される。コントローラ130は、用紙12が反転部56に挟持されており、且つ、用紙12の後端(第1搬送向き16Aの上流端)が分岐位置66Aとなる位置に、用紙12が到達すると搬送モータ102を停止する(S100)。
次に、コントローラ130は、キャリッジ23を移動させることによって、駆動伝達部70を第1伝達状態から第2伝達状態に状態変化させる(S110)。
次に、コントローラ130は、搬送モータ102を逆回転させる(S120)。これにより、反転部56が逆回転される。用紙12は、反転部56によって第1搬送向き16Aと逆向きに搬送されて、第2搬送路66へ送られる。第2搬送路66へ送られた用紙12は、反転部56及び再搬送部57によって、第2搬送路66を第2搬送向き16Bに搬送され、合流位置66Bを通って再び第1搬送路65へ送られる。
コントローラ130は、再び第1搬送路65へ送られた用紙12が搬送部54に到達すると(S130:Yes)、搬送モータ102を逆回転から順回転に切り替える(S140)。これにより、搬送ローラ60、排出ローラ62、反転ローラ45が逆回転から順回転に切り替わり、用紙12は搬送部54によって第1搬送向き16Aに搬送される。
次に、コントローラ130は、用紙12の裏面に対する画像記録を実行する(S150)。画像記録の手順は、表面の場合と同様である。
用紙12の裏面に対する画像記録が完了すると(S160:Yes)、コントローラ130は、ステップS10において取得した記録指示に含まれる画像データに未だ用紙12に記録されていないものがあるか否か、換言すると次ページの画像記録があるか否かを判断する(S170)。
次ページの画像記録がない場合(S170:No)、コントローラ130は、搬送モータ102を順回転させる(S90)。これにより、用紙12は、排出部55及び反転部56によって第1搬送向き16Aに搬送されて、排出トレイ21へ排出される。
一方、次ページの画像記録がある場合(S170:Yes)、コントローラ130は、搬送モータ102を順回転させる。これにより、裏面の画像記録が完了した用紙12は、排出部55及び反転部56によって第1搬送向き16Aに搬送される。コントローラ130は、用紙12が排出部55に挟持されており、且つ、用紙12の後端がセンサ122と排出部55の間となる位置に、用紙12が到達すると搬送モータ102を停止する(S180)。ステップS180の処理は、搬送処理に相当する。なお、ステップS170の時点で、用紙12が当該位置(用紙12が排出部55に挟持されており、且つ、用紙12の後端がセンサ122と排出部55の間となる位置)にある場合は、用紙12が移動されることなく、次のステップS190が実行されてもよい。
次に、コントローラ130は、キャリッジ23を移動させることによって、駆動伝達部70を第2伝達状態から第1伝達状態に状態変化させる(S190)。詳細には、キャリッジ23は、切替レバー176が傾斜面182と当接するまで右方へ移動された後、左方へ移動される。このキャリッジ23の左方へ移動により、切替ギヤ171は左方へ移動して、受けギヤ172Bと噛合した状態から受けギヤ172Aと噛合した状態となる。つまり、駆動伝達部70は、第2伝達状態から第1伝達状態に状態変化する。
しかしながら、上述のように構成された駆動伝達部70においては、切替ギヤ171が受けギヤ172Bから離れて受けギヤ172Aと噛合する際に、各ギヤ171、172A、172Bの歯の位置が一致しないために、切替ギヤ171と受けギヤ172A、172Bとが上手く噛み合わない場合がある。つまり、切替ギヤ171が噛合するギヤを受けギヤ172Bから受けギヤ172Aに切り替えること(ギヤの切替)が適切に行われない可能性がある。
そこで、本実施形態においては、ステップS190におけるキャリッジ23の左方への移動の際(キャリッジ23の移動中または移動直後)に、コントローラ130によって、搬送モータ102の順回転及び逆回転(正逆転)が交互に少なくとも一回実行される。このとき、搬送モータ102の順回転及び逆回転の各々の回転量は、搬送モータ102の1回転以下の回転量であって、少なくとも各ギヤ171、172A、172Bの歯と歯の間の隙間以上の回転量である。
このように、搬送モータ102の順回転及び逆回転が交互に少なくとも一回実行されることにより、切替ギヤ171が交互に順回転及び逆回転される。これにより、各ギヤ171、172A、172Bの歯が互いに噛合可能に合わせられ、ギヤの切替が円滑且つ確実に行われる。以上説明したステップS190の処理は、切替処理に相当する。
なお、本実施形態では、ステップS190(切替処理)は、ステップS180(搬送処理)の後に実行されているが、ステップS190(切替処理)は、ステップS180(搬送処理)の前に実行されてもよい。
次に、コントローラ130は、ステップS190において移動されたキャリッジ23を所定位置で停止させる(S200)。
本実施形態において、所定位置(端部位置の一例)は、センサ122が用紙12の右端部の真上となる位置(上下方向7においてセンサ122と用紙12の右端部とが対向する位置)である。つまり、所定位置は、センサ122が記録ヘッド39より左方に配置された本実施形態において、用紙12の左右方向9の両端部のうち、センサ122の記録ヘッド39に対する相対位置(本実施形態では、センサ122の記録ヘッド39に対する相対位置は左である。)と反対側の位置、つまり用紙12の右端部の真上となる位置である。すなわち、仮に、センサ122が記録ヘッド39より右方に配置されている場合、所定位置は、センサ122が用紙12の左端部の真上となる位置となる。
また、コントローラ130は、ステップS10において取得した記録指示に含まれる用紙12のサイズに関する情報に基づいて、用紙12の右端部の位置を判断し、当該位置にキャリッジ23を移動させる。つまり、所定位置は、用紙12のサイズに応じて異なる。図10には、大きなサイズの用紙12に対するキャリッジ23の所定位置が一点鎖線で示されており、小さなサイズの用紙12に対するキャリッジ23の所定位置が実線で示されている。以上説明したステップS200の処理は、移動処理に相当する。
なお、所定位置は、センサ122が用紙12の左右方向9の端部以外(例えば用紙12の左右方向9の中央部)の真上となる位置でもよい。
次に、コントローラ130は、搬送モータ102を逆回転させる(S210)。そして、コントローラ130は、センサ122から受け取る信号がローレベルからハイレベルとなるか否か(センサ122がONとなったか否か)を判断する(S220)。ステップS210、S220の処理は、回転処理に相当する。なお、ステップS210における搬送モータ102の逆回転の量は、第1搬送向き16Aにおけるセンサ122と排出部55との距離を用紙12が搬送される量以上に設定されることは望ましい。
ステップS190において、駆動伝達部70が第2伝達状態から第1伝達状態へ正常に切り替わっている場合、ステップS210における搬送モータ102の逆回転によって、給送ローラ25が回転するため、給送トレイ20に支持された用紙12(後続の用紙12)が、ステップS20のときと同様に、第1搬送路65へ給送される。
また、この場合、ステップS210における搬送モータ102の逆回転によって、排出ローラ62は回転しないため、既に表裏面に画像記録されて排出部55に挟持された用紙12(先行の用紙12)は搬送されない。よって、センサ122はONとならない(S220:No)。このとき、後続の用紙12に対して、ステップS30以降の処理が実行され、後続の用紙12に対する画像記録が実行される。なお、ステップS40、S50において搬送モータ102が順回転されることにより、先行の用紙12は、排出部55及び反転部56によって第1搬送向き16Aに搬送されて、排出トレイ21へ排出される。
一方、ステップS190において、駆動伝達部70が第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替わらずに第2伝達状態に維持されている場合、ステップS210における搬送モータ102の逆回転によって、給送ローラ25は回転しないため、後続の用紙12は第1搬送路65へ給送されない。
また、この場合、ステップS210における搬送モータ102の逆回転によって、排出ローラ62は逆回転するため、先行の用紙12が第1搬送向き16Aと逆向きへ搬送される。これにより、先行の用紙12は、センサ122によって検知され、センサ122はONとなる(S220:Yes)。このとき、コントローラ130は、搬送モータ102を停止させる(S230)。ステップS230の処理は、停止処理に相当する。
次に、コントローラ130は、ステップS190のときと同様に、搬送モータ102の順回転及び逆回転(正逆転)を交互に少なくとも一回実行する(S240)。ここで、本実施形態では、ステップS240において実行される搬送モータ102の正逆転の回数は、ステップS190において実行される搬送モータ102の正逆転の回数よりも多い。なお、ステップS240において実行される搬送モータ102の正逆転の回数は、ステップS190において実行される搬送モータ102の正逆転の回数以下であってもよい。ステップS190において駆動伝達部70の第1伝達状態への切り替わりが正常に行われていない場合であっても、ステップS240における搬送モータ102の正逆転によって、駆動伝達部70が第1伝達状態へ切り替わる可能性が高まる。ステップS240の処理は、再切替処理に相当する。
その後、コントローラ130は、搬送モータ102を順回転させて、用紙12が排出部55に挟持されており、且つ、用紙12の後端がセンサ122と排出部55の間となる位置に、用紙12を搬送させる(S250)。そして、次に、ステップS210、S220の処理が実行される。
なお、ステップS230の後の処理は、ステップS240の処理に限らない。例えば、ステップS230の後、コントローラ130は、ステップS240における搬送モータ102の正逆転を行うことなく、搬送モータ102を順回転させて、用紙12を排出トレイ21へ排出してもよい。
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、先行の用紙12が排出ローラ62上に位置しており且つ当該先行の用紙12の後端がセンサ122より第1搬送向き16Aの下流にある位置まで搬送され(S180)、且つ、切替処理(S190)が実行された後に回転処理(S210、S220)が実行される。
切替処理(S190)において駆動伝達部70が第2伝達状態から第1伝達状態へ正常に切り替わっている場合、回転処理(S210)において、給送ローラが回転し、排出ローラ62が停止する。給送ローラ25の回転によって後続の用紙12が第1搬送路65へ給送される。また、排出ローラ62が停止しているため、先行の用紙12が搬送されることはない。
一方、切替処理(S190)において駆動伝達部70が異常によって第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替わっていない場合、回転処理(S210)において、給送ローラ25が停止し、排出ローラ62が逆回転する。給送ローラ25が停止しているため、後続の用紙12は第1搬送路65へ給送されない。また、排出ローラ62が逆回転しているため、先行の用紙12が第1搬送路65を逆送する。
本実施形態によれば、第1搬送路65を逆送した先行の用紙12が、センサ122によって検知される(S220:Yes)。これにより、停止処理(S230)が実行されて、搬送モータ102が停止される。その結果、先行の用紙12の逆送が停止するため、当該先行の用紙12が複合機10の内部で詰まる可能性を低くすることができる。
また、本実施形態によれば、駆動伝達部70が第1伝達状態のときに搬送モータ102が逆回転されることによって、反転ローラ45上の用紙12を第1搬送路65に沿って逆送させ、分岐位置66Aを介して第2搬送路66へ送ることができる。
また、本実施形態によれば、第2搬送路66に再搬送ローラ68があるため、第2搬送路66上の用紙12の搬送が容易である。
また、本実施形態によれば、センサ122が当接部113よりも第1搬送向き16Aの下流に位置している。そのため、排出ローラ62の逆回転によって用紙12が逆送した場合、当該用紙12は当接部113に到達する前にセンサ122によって検知されて、停止処理(S230)が実行される。これにより、当該用紙12は当接部113に当接する前に停止する。よって、当該用紙12が当接部113に当接することによって複合機10の内部で詰まることを防止できる。
また、本実施形態によれば、用紙12の逆送を検知するためのセンサ122を、キャリッジ23と一体に移動することによって用紙12のサイズを検知するためのセンサと共用することができる。つまり、複合機10に設けられるセンサの数を減らすことができる。
また、本実施形態によれば、移動処理(S200)においてキャリッジ23は用紙12の左右方向9の端部位置にまでしか移動しない。そのため、移動処理(S200)においてキャリッジ23が用紙12の左右方向9の中央位置まで移動する場合よりも、移動処理(S200)におけるキャリッジ23の移動距離を短くすることができる。その結果、移動処理(S200)の実行にかかる時間を短くすることができる。
また、本実施形態のようにセンサ122が配置され、本実施形態のように移動処理(S200)においてキャリッジ23が移動されることによって、回転処理時に(S210)、記録部24の大部分が、左右方向9において用紙12より外側に位置する(図10参照)。そのため、用紙12が逆送された場合に、当該用紙12の記録部24への接触を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、切替処理(S190)において駆動伝達部70が異常によって第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替わっていない場合であっても、再切替処理(S240)において駆動伝達部70を第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替えることができる。
また、本実施形態によれば、受けギヤ172Bと噛合した切替ギヤ171が左右方向9に沿って移動して受けギヤ172Aと噛合することにより、駆動伝達部70は第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替わる。このとき、切替ギヤ171が受けギヤ172Bに引っ掛かり、正常に移動しないおそれがある。つまり、駆動伝達部70が第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替わらないおそれがある。そこで、本実施形態では、再切替処理(S240)において、搬送モータ102の正逆転が実行される。これにより、前述した切替ギヤ171の受けギヤ172Bへの引っ掛かりが解消する可能性を高くすることができる。
また、本実施形態によれば、再切替処理(S240)における正逆転の回数を切替処理(S190)における正逆転の回数より多くすることによって、再切替処理(S240)において駆動伝達部70が第2伝達状態から第1伝達状態へ正常に切り替わる可能性を高くすることができる。
また、本実施形態によれば、切替処理(S190)における正逆転の回数を再切替処理(S240)における正逆転の回数より少なくすることによって、切替処理(S190)の実行にかかる時間を短くすることができる
[変形例]
第2搬送路66は、記録部24と対向する用紙12の面を表裏逆とすることを目的とする経路である。そのため、当該目的が達成されるのであれば、第2搬送路66は、上記実施形態で説明された構成、具体的には図2に示された構成に限らない。
例えば、上記実施形態では、分岐位置66Aが第1搬送路65における記録部24よりも第1搬送向き16Aの下流で、合流位置66Bが第1搬送路65における記録部24よりも第1搬送向き16Aの上流に位置していたが、分岐位置66A及び合流位置66Bの位置は、上述のような位置に限らない。
例えば、図13に示されるような構成であってもよい。図13の構成では、分岐位置66A及び合流位置66B共に、第1搬送路65における記録部24よりも第1搬送向き16Aの上流に位置している。また、分岐位置66Aにおいてフラップ49がガイド部材19によって回動可能に支持されている。また、第1搬送路65におけるフラップ49と記録部24との間に、搬送部54が配置されている。また、第2搬送路66に、搬送部161が配置されている。搬送部161は、ローラ163、164で構成されている。ローラ163は、搬送モータ102から駆動伝達部70を介して駆動力を伝達される。ローラ164は、ローラ163に従動して回転する。
図13の構成の場合、搬送部161のローラ163が、第3ローラに相当する。なお、駆動伝達部70が第1伝達状態のときの搬送モータ102の順回転及び逆回転に対応したローラ163の回転の有無や回転向き、及び駆動伝達部70が第2伝達状態のときの搬送モータ102の順回転及び逆回転に対応したローラ163の回転の有無や回転向きは、図11及び図12の動作が実現されるように適宜設定される。そして、当該設定に合わせて、駆動伝達部70が構成される。
上記実施形態では、ステップS240(再切替処理)において、搬送モータ102の正逆転が実行されたが、ステップS240において実行される処理はこれに限らない。例えば、ステップS240において、駆動伝達部70を第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替えるためのキャリッジ23の移動(切替レバー176が傾斜面182と当接するまで右方へ移動した後、左方へ移動するようなキャリッジ23の移動)を行い、当該移動中または当該移動の直後に搬送モータ102の正逆転を行ってもよい。つまり、ステップS240において、ステップS190と同じ処理が実行されてもよい。また、例えば、ステップS240において、駆動伝達部70を第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替えるためのキャリッジ23の移動のみが実行され、搬送モータ102の正逆転は実行されなくてもよい。
上記実施形態では、ステップS190(切替処理)において、搬送モータ102の正逆転が実行されたが、搬送モータ102の正逆転が実行されなくてもよい。
搬送モータ102の正逆転の回数は、可変であってもよい。例えば、コントローラ130のEEPROM134に、搬送モータ102の正逆転の回数が記憶されており、種々の条件に応じて記憶された回数が変化される。
種々の条件は、例えば、ステップS230が実行されたことである。ステップS230が実行されるということは、それ以前の直近に実行されたステップS190において駆動伝達部70の第1伝達状態への切り替えが正常に実行されなかったということである。そこで、ステップS230が実行された場合、EEPROM134に記憶されている搬送モータ102の正逆転の回数が増加される。これにより、次回に実行されるステップS190において、搬送モータ102の正逆転の回数は、前回に実行されたステップS190のときよりも多くなり、駆動伝達部70の第1伝達状態への切り替えが正常に実行される可能性が高くなる。
また、種々の条件は、例えば、ステップS220においてセンサ122がONとならなかったことである。ステップS220においてセンサ122がONとならなかったということは、それ以前の直近に実行されたステップS190において駆動伝達部70の第1伝達状態への切り替えが正常に実行されたということである。そこで、ステップS220においてセンサ122がONとならなかった場合、EEPROM134に記憶されている搬送モータ102の正逆転の回数が減少される。これにより、次回に実行されるステップS190において、搬送モータ102の正逆転の回数は、前回に実行されたステップS190のときよりも少なくなり、ステップS190の実行時間が短縮される。
なお、前述した搬送モータ102の正逆転の回数の増減において、最大回数と最小回数が設定されてもよい。この場合、搬送モータ102の正逆転の回数は、上記種々の条件の具備にかかわらず、最大回数より多くならず、最小回数より少なくならない。
上記の変形例によれば、切替処理(S190)において駆動伝達部70が異常によって第2伝達状態から第1伝達状態へ切り替わらなかった場合に、次回の切替処理(S190)において正逆転の回数が多くされる。これにより、駆動伝達部70の第2伝達状態から第1伝達状態への切り替えの失敗が繰り返される可能性を低くすることができる。
また、上記の変形例によれば、切替処理(S190)において駆動伝達部70が第2伝達状態から第1伝達状態へ正常に切り替わった場合に、次回の切替処理(S190)において正逆転の回数が少なくされる。これにより、駆動伝達部70の切り替えが正常に行われるにもかかわらず、正逆転の回数が無駄に多くなっている状態を解消することができる。そのため、切替処理(S190)にかかる時間を短くすることができる。
上記実施形態では、第2搬送路66に、再搬送部57が配置されていたが、再搬送部57は配置されていなくてもよい。
上記実施形態では、センサ122はキャリッジ23に搭載されていたが、センサ122はキャリッジ23に搭載されていなくてもよい。例えば、センサ122は、第1搬送路65を構成するガイド部材に取り付けられていてもよい。
上記実施形態では、記録部24は、キャリッジ23を備えていたが、キャリッジ23を備えていなくてもよい。この場合、記録ヘッド39は、第1搬送路65の左端から右端に亘って配置された所謂ライン型となる。
上記実施形態では、プリンタ部11は、当接部材110を備えていたが、当接部材110を備えていなくてもよい。