以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上方向4及び下方向5が定義され、開口13が設けられている面を前面104として前方向6及び後方向7が定義され、複合機10を後方向7に視て右方向8及び左方向9が定義される。上方向4及び下方向5は互いに反対方向である。前方向6及び後方向7は互いに反対方向である。右方向8及び左方向9は互いに反対方向である。上方向4、前方向6、及び右方向8は互いに直交している。
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10(画像記録装置の一例)は、概ね直方体に形成されている。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11を有している。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、プリンタ部11は、インクジェット記録方式以外、例えば電子写真方式で用紙12に画像を記録するものであってもよい。
図2に示されるように、プリンタ部11は、搬送装置と、記録部24と、プラテン42とを備えている。搬送装置は、給送部15と、給送トレイ20(トレイの一例)と、排出トレイ21と、搬送部54と、排出部55と、反転部56と、再搬送部57と、搬送モータ102(モータの一例、図7参照)と、駆動伝達機構70(図7参照)とを備えている。
[給送トレイ20、排出トレイ21]
図1及び図2に示されるように、給送トレイ20は、プリンタ部11の正面に形成された開口13を通じて、後方向7へ挿入され、前方向6へ脱抜される。給送トレイ20は、積層された複数の用紙12を支持する。排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に配置されている。排出トレイ21は、開口13を通じて反転部56によって排出された用紙12を支持する。
[給送部15]
図2に示されるように、給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、搬送モータ102(図7参照)の逆転によって、給送トレイ20に支持された用紙12を第1搬送方向16A(搬送方向の一例)へ搬送する方向に回転する。第1搬送方向16Aは、後述する第1搬送路65に沿った方向で、図2に一点鎖線の矢印で示されている。給送トレイ20によって第1搬送方向16Aへ搬送される用紙12は、第1搬送路65に配置された搬送部54へ向かう。給送アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に支持されている。
なお、以下の説明において、用紙12を第1搬送方向16Aへ搬送する方向の給送ローラ25の回転は、正転と記される。
[第1搬送路65、第2搬送路66]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、用紙12が通過する第1搬送路65及び第2搬送路66が形成されている。第1搬送路65は、プリンタ部11の内部において所定間隔を隔てて対向するガイド部材18、19によって画定される空間を指す。
第1搬送路65は、湾曲された湾曲搬送路と、直線的に延びる直線搬送路とで構成されている。湾曲搬送路は、プリンタ部11の後部において下方から上方に延びつつUターンする経路である。直線搬送路は、搬送部54から記録部24を経て排出トレイ21に至る経路である。また、本実施形態に係る排出部55及び反転部56は、第1搬送路65の直線搬送路に配置されている。
なお、第1搬送路65は、図2に示されたような湾曲搬送路と直線搬送路よりなる構成に限らない。例えば、第1搬送路65は、直線搬送路のみによって構成されていてもよい。
第2搬送路66は、プリンタ部11の内部において所定間隔を隔てて対向するガイド部材29、30によって画定される空間を指す。第2搬送路66は、記録部24によって画像が記録された用紙12を、表裏を反転させて再び記録部24に到達させるための経路である。本実施形態に係る第2搬送路66は、分岐位置66A(第1接続位置の一例)において第1搬送路65から分岐し、合流位置66B(第2接続位置の一例)において第1搬送路65と合流する。分岐位置66Aは、記録部24よりも第1搬送方向16Aの下流に位置する。合流位置66Bは、後述する第1センサ120より第1搬送方向16Aの上流に位置する。第2搬送路66内における用紙12の第2搬送方向16Bは、図2に二点鎖線の矢印で示されている。
[搬送部54、排出部55、反転部56、再搬送部57]
図2に示されるように、搬送部54は、第1搬送路65における第1センサ120及び記録部24の間に配置されている。搬送部54は、互いに対向する搬送ローラ60(駆動部及び第2ローラの一例)及びピンチローラ61を備える。搬送ローラ60は、搬送モータ102によって駆動される。ピンチローラ61は、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。
排出部55は、第1搬送路65における記録部24及び分岐位置66Aの間に配置されている。排出部55は、互いに対向する排出ローラ62(第1ローラの一例)及び拍車63を備える。排出ローラ62は、搬送モータ102によって駆動される。拍車63は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。
反転部56は、第1搬送路65における分岐位置66Aよりも第1搬送方向16Aの下流に配置されている。反転部56は、互いに対向する反転ローラ45(第4ローラの一例)及び拍車46を備える。反転ローラ45は、搬送モータ102によって駆動される。拍車46は、反転ローラ45の回転に伴って連れ回る。
なお、後述するように、搬送ローラ60、排出ローラ62、及び反転ローラ45は、用紙12を第1搬送方向16Aへ搬送する方向、及び当該方向と逆方向に回転可能である。以下の説明において、各ローラ60、62、45の回転のうち、用紙12を第1搬送方向16Aへ搬送する方向の回転は、正転と記される。また、各ローラ60、62、45の回転のうち、当該正転と逆方向の回転は、逆転と記される。
再搬送部57は、第2搬送路66に配置されている。再搬送部57は、互いに対向する再搬送ローラ68(第3ローラの一例)及び従動ローラ69を備える。再搬送ローラ68は、搬送モータ102によって駆動される。従動ローラ69は、再搬送ローラ68の回転に伴って連れ回る。
なお、後述するように、再搬送ローラ68は、用紙12を第2搬送方向16Bへ搬送する方向に回転可能である。以下の説明において、用紙12を第2搬送方向16Bへ搬送する方向の再搬送ローラ68の回転は、正転と記される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、第1搬送路65の直線搬送路に配置されている。本実施形態において、記録部24は、第1搬送路65における搬送部54及び排出部55の間に配置されている。
記録部24は、プラテン42の上方にプラテン42に対向して配置されている。プラテン42は、搬送部54によって搬送される用紙12を下方から支持するものである。記録部24は、キャリッジ23と、記録ヘッド39とを備えている。
図3に示されるように、キャリッジ23からは、インクチューブ32及びフレキシブルフラットケーブル33が延出されている。インクチューブ32は、インクカートリッジのインクを記録ヘッド39に供給する。フレキシブルフラットケーブル33は、制御部130(図8参照)が実装された制御基板と記録ヘッド39とを電気的に接続する。
キャリッジ23は、ガイドレール43、44に支持されている。ガイドレール43、44は、前方向6及び後方向7に沿って離間して配置されている。ガイドレール43、44は、右方向8及び左方向9へ延設されている。キャリッジ23は、ガイドレール44に設けられた公知のベルト機構に連結されている。ベルト機構は、キャリッジモータ103(図8参照)の駆動により周運動する。ベルト機構が周運動することによって、キャリッジ23は、右方向8及び左方向9に沿って往復移動する。
図2に示されるように、記録ヘッド39は、キャリッジ23に搭載されている。記録ヘッド39の下面には、複数のノズル40が形成されている。記録ヘッド39は、ノズル40からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が移動する過程において、プラテン42に支持されている用紙12に対して記録ヘッド39がインク滴を吐出する。これにより、用紙12に画像が記録される。
[経路切替部材41]
図2に示されるように、プリンタ部11は、第1搬送路65における排出部55及び反転部56の間に、経路切替部材41を備える。経路切替部材41は、フラップ49と、軸50とを備えている。フラップ49は、軸50から概ね第1搬送方向16Aに延出されている。フラップ49は、軸50に回動可能に軸支されている。フラップ49は、第1搬送路65を閉塞させる反転位置(図2に実線で示される姿勢)と、第1搬送路65上の用紙12の通過を許容する排出位置(図2に破線で示される姿勢)との間を、軸50を中心として回動する。なお、フラップ49は、回動以外によって、例えば上方向4及び下方向5に沿った移動によって、反転位置と排出位置とに移動してもよい。
通常状態におけるフラップ49は、自重によって反転位置となっている。なお、フラップ49は、バネなどによって反転位置に付勢されていてもよい。フラップ49は、第1搬送方向16Aに搬送される用紙12に持ち上げられることによって、反転位置から排出位置へ向けて軸50周りに回動する。以後、フラップ49は、第1搬送方向16Aに搬送される用紙12を案内する。また、フラップ49は、第1搬送方向16Aに搬送される用紙12の後端(第1搬送方向16Aの上流端)が分岐位置66Aに到達したことに応じて、自重によって排出位置から反転位置へ回動する。
この状態において反転部56の反転ローラ45が正転を継続すると、後述するように、用紙12は、第1搬送方向16Aに搬送されて排出トレイ21へ排出される。一方、反転部56の反転ローラ45が正転から逆転に切り替えられると、後述するように、用紙12は、第1搬送方向16Aの上流端を先端として、第2搬送路66に沿って第2搬送方向16Bに搬送される。
[第1センサ120、第2センサ122]
図2に示されるように、プリンタ部11は、第1搬送路65における合流位置66B及び搬送部54の間に、公知の第1センサ120を備える。第1センサ120は、第1センサ120の配置位置に用紙12が存在することを検知するためのセンサである。給送部15または再搬送部57によって搬送された用紙12は、第1センサ120の配置位置を通過して搬送部54に到達する。第1センサ120は、用紙12が配置位置に存在していることに応じて、ハイレベル信号またはローレベル信号の一方(本実施形態ではローレベル信号)を制御部130(図8参照)に出力する。一方、第1センサ120は、用紙12が配置位置に存在していないことに応じて、ハイレベル信号またはローレベル信号の他方(本実施形態ではハイレベル信号)を制御部130へ出力する。
また、プリンタ部11は、分岐位置66Aに第2センサ122を備える。第2センサ122は、第1センサ120と同様に、第2センサ122の配置位置に用紙12が存在していることに応じてハイレベル信号またはローレベル信号の一方(本実施形態ではローレベル信号)を制御部130に出力し、第2センサ122の配置位置に用紙12が存在していないことに応じてハイレベル信号またはローレベル信号の他方(本実施形態ではハイレベル信号)を制御部130へ出力する。
[ロータリエンコーダ121]
図2に示されるように、プリンタ部11は、搬送ローラ60の回転に応じてパルス信号を発生させる公知のロータリエンコーダ121を備える。ロータリエンコーダ121は、エンコーダディスク123と、光学センサ124とを備える。エンコーダディスク123は、搬送ローラ60の回転と共に回転する。光学センサ124は、回転するエンコーダディスク123を読み取ってパルス信号を生成し、生成したパルス信号を制御部130へ出力する。
[駆動伝達機構70]
図8に示されるように、駆動伝達機構70は、単一の搬送モータ102の回転を、給送ローラ25、搬送ローラ60、排出ローラ62、反転ローラ45、及び再搬送ローラ68へ伝達する。駆動伝達機構70は、ギヤ、プーリ、無端環状のベルト、遊星ギヤ機構、及びワンウェイクラッチ等の全部又は一部を組み合わせて構成される。
図5〜図7に示されるように、駆動伝達機構70は、搬送モータ102の軸と一体回転するプーリ71と、搬送ローラ60の軸60Aと一体回転するプーリ72と、プーリ71、72に巻架された無端環状のベルト73とを備える。これにより、搬送ローラ60は、搬送モータ102の正転が伝達されて正転し、搬送モータ102の逆転が伝達されて逆転する。搬送ローラ60は、正転することによって、ピンチローラ61との間に挟持した用紙12を第1搬送方向16Aへ搬送する。
図7に示されるように、駆動伝達機構70は、搬送モータ102の回転の伝達先を切り替える切替機構170と、搬送モータ102の回転を搬送ローラ60の軸60Aを介して各ローラ25、62、45、68へ伝達する第1〜第4伝達部74、149、85、140とを備える。但し、搬送モータ102の回転を各ローラ25、60、62、45、68へ伝達する具体的な構成は、以下の例に限定されない。第1伝達部74は第1駆動伝達機構の一例である。第2伝達部149は第2駆動伝達機構の一例である。第3伝達部85は第3駆動伝達機構の一例である。第4伝達部140は第4駆動伝達機構の一例である。
[切替機構170]
図4及び図7に示される切替機構170は、搬送モータ102の回転の伝達状態を、第1状態及び第2状態に切替可能に構成されている。
第1状態は、第3伝達部85を介した搬送ローラ60から給送ローラ25への搬送モータ102の回転の伝達が可能であり、第2伝達部149を介した搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45への搬送モータ102の回転の伝達が遮断されており、第4伝達部140を介した搬送ローラ60から再搬送ローラ68への搬送モータ102の回転の伝達が遮断されている状態である。
第2状態は、第3伝達部85を介した搬送ローラ60から給送ローラ25への搬送モータ102の回転の伝達が遮断されており、第2伝達部149を介した搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45への搬送モータ102の回転の伝達が可能であり、第4伝達部140を介した搬送ローラ60から再搬送ローラ68への搬送モータ102の回転の伝達が可能である状態である。
切替機構170は、第1搬送路65よりも右方に設けられている。切替機構170は、切替ギヤ171と、ギヤ177と、2つの受けギヤ172A、172Bと、保持部173と、押圧部材175と、切替レバー176と、第1バネ(不図示)と、第2バネ(不図示)とを備える。
切替ギヤ171は、支軸174を中心として回転可能で且つ支軸174の軸方向(右方向8及び左方向9)に沿って移動可能である。切替ギヤ171には、搬送モータ102の回転が搬送ローラ60の軸60A及びギヤ177を通じて伝達される。ギヤ177は、搬送ローラ60の軸60Aに取り付けられており、搬送ローラ60の軸60Aと一体に回転する。受けギヤ172A、172Bは、支軸174の下方において右方向8及び左方向9に沿った同軸上で回転可能であり、切替ギヤ171に噛合可能に構成されている。すなわち、切替ギヤ171は、右方向8及び左方向9に移動することによって、受けギヤ172A、172Bのいずれかと噛合する。
受けギヤ172Aは、搬送モータ102の回転を、第3伝達部85を介して給送ローラ25へ伝達するためのギヤである。受けギヤ172Bは、搬送モータ102の回転を、第2伝達部149を介して排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達し、第4伝達部140を介して再搬送ローラ68へ伝達するためのギヤである。切替ギヤ171が受けギヤ172Aと噛合しているとき、切替機構170は第1状態であり、切替ギヤ171が受けギヤ172Bと噛合しているとき、切替機構170は第2状態である。
押圧部材175は、切替ギヤ171の右方に配置されており、右方向8及び左方向9に沿って移動自在に支軸174に挿通されている。また、押圧部材175は、支軸174を中心に回転可能である。切替レバー176は、押圧部材175から上方に突出し、保持部173の開口179を通って、キャリッジ23の移動経路で且つ用紙12の通過領域外にまで延びている。切替ギヤ171は第1バネ(不図示)によって右方向8へ付勢され、押圧部材175は第2バネ(不図示)によって左方向9へ付勢されている。第2バネの付勢力は、第1バネの付勢力より大きい。その結果、切替ギヤ171及び押圧部材175は、第2バネによって左方向9へ付勢されている。
保持部173は、切替ギヤ171の上方に設けられている。保持部173には、開口179が形成されている。開口179には、切替レバー176が上方向4へ挿通されている。開口179の縁部には、第1ストッパ180と、第1ストッパ180よりも右方に設けられた第2ストッパ181と、第2ストッパ181よりも右方に設けられた傾斜面182とが形成されている。
図4(A)に示されるように、第1ストッパ180は、切替ギヤ171が受けギヤ172Aと噛合している状態のとき、つまり切替機構170が第1状態のとき、切替レバー176と当接する。これにより、切替ギヤ171が、第2バネの付勢力によって、図4(A)に示される位置から左方へ移動することが規制される。一方、第1ストッパ180は、図4(A)に示される位置から切替ギヤ171の右方への移動を規制しない。
図4(B)に示されるように、第2ストッパ181は、切替ギヤ171が受けギヤ172Bと噛合している状態のとき、つまり切替機構170が第2状態のとき、切替レバー176と係合する。これにより、切替ギヤ171が、第2バネの付勢力によって、図4(B)に示される位置から左方へ移動することが規制される。一方、第2ストッパ181は、図4(B)に示される位置から切替ギヤ171の右方への移動を規制しない。
図4(A)に示されるように、切替ギヤ171が受けギヤ172Aと噛合している状態のとき、つまり切替機構170が第1状態のときに、切替レバー176が右方へ移動するキャリッジ23に当接されて押されると、切替レバー176は第2バネの付勢力に抗って右方へ移動する。これにより、押圧部材175は、切替レバー176と一体に右方へ移動する。押圧部材175が右方へ移動すると、第1バネによって右方向8へ付勢された切替ギヤ171は右方へ移動する。切替レバー176が第2ストッパ181と係合することで、切替ギヤ171は受けギヤ172Bと噛合した状態に保持される。つまり、切替機構170は第2状態に保持される(図4(B)参照)。以上のように、切替機構170は、第1状態から第2状態に変化する。
図4(B)に示されるように、切替ギヤ171が受けギヤ172Bと噛合している状態のとき、つまり切替機構170が第2状態のときに、切替レバー176が右方へ移動するキャリッジ23に当接されて押されると、切替レバー176は第2バネの付勢力に抗って右方へ移動する。これにより、押圧部材175は、切替レバー176と一体に右方へ移動する。押圧部材175が右方へ移動すると、第1バネによって右方向8に付勢された切替ギヤ171は右方へ移動する。このとき、切替レバー176は、傾斜面182に沿って移動する。これにより、切替レバー176は、その突出先端(上端)が後方へ移動するように回転する。
切替レバー176が第2ストッパ181よりも右方に位置している状態では、キャリッジ23が切替レバー176との当接を維持することによって、切替ギヤ171が第2バネの付勢力によって左方へ移動することが規制される。
切替レバー176が図4(B)に示された位置よりも右方において傾斜面182と当接した状態で、キャリッジ23が左方に移動して切替レバー176から離間すると、切替レバー176は、第2バネの付勢力によって左方に移動する。このとき、上述したように、切替レバー176は、その突出先端が後方へ移動するように回転しているため、第2ストッパ181と係合せずに第2ストッパ181よりも左方へ移動する。その結果、切替レバー176は、第1ストッパ180と当接するまで左方へ移動する。このとき、切替ギヤ171は、押圧部材175に押されて左方へ移動して、受けギヤ172Aと噛合する(図4(A)参照)。つまり、切替機構170が第1状態に保持される。以上のように、切替機構170は、第2状態から第1状態に変化する。
なお、切替レバー176は、左方へ移動する際に、開口179の縁部における第1ストッパ180の近傍に形成された傾斜面183に沿って移動する。これにより、切替レバー176は、その突出先端が前方へ移動するように回転する。
[第1伝達部74]
図5及び図6に示される第1伝達部74は、搬送ローラ60の軸60Aを介して伝達された搬送モータ102の正転を、排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達する。図7に示されるように、第1伝達部74は、第1搬送路65よりも左方に設けられている。つまり、第1伝達部74は、排出ローラ62の左側(一端側の一例)から排出ローラ62へ回転を伝達する。なお、第1伝達部74の位置は、図7に示された位置に限定されない。例えば、第1伝達部74は、第1搬送路65よりも右方に設けられていてもよい。
図5及び図6に示されるように、第1伝達部74は、互いに噛合するギヤ75、76と、プーリ77乃至80と、無端環状のベルト81、82と、ワンウェイクラッチ83とで構成されている。プーリ77は第1プーリの一例である。プーリ78は第2プーリの一例である。プーリ79は第3プーリの一例である。プーリ80は第4プーリの一例である。ベルト81は第1ベルトの一例である。ベルト82は第2ベルトの一例である。
ギヤ75は、ギヤ76と噛合し且つ搬送ローラ60の軸60Aと一体回転する。ギヤ76及びプーリ77は、同軸で一体回転する。つまり、プーリ77は、搬送ローラ60の回転に連動して回転する。プーリ78は、ワンウェイクラッチ83を介して排出ローラ62の軸62Aに取り付けられている。つまり、プーリ78が回転することによって、排出ローラ62が連動して回転する。
ワンウェイクラッチ83は、搬送モータ102の正転が伝達されたときに、排出ローラ62と一体に回転する。つまり、ワンウェイクラッチ83は、プーリ78へ伝達された搬送モータ102の正転を、排出ローラ62の軸62A及びプーリ79へ伝達する。一方、ワンウェイクラッチ83は、搬送モータ102の逆転が伝達されたときに、排出ローラ62に対して空転する。つまり、ワンウェイクラッチ83は、プーリ78へ伝達された搬送モータ102の逆転を、排出ローラ62の軸62A及びプーリ79へ伝達しない。なお、ワンウェイクラッチ83としては、公知のものが使用される。
プーリ79は、排出ローラ62の軸62Aと一体回転する。つまり、プーリ79は、プーリ78の回転に連動して回転する。プーリ80は、反転ローラ45の軸45Aと一体回転する。つまり、プーリ80が回転することによって、反転ローラ45が連動して回転する。
ベルト81は、プーリ77、78に巻架されている。ベルト82は、プーリ79、80に巻架されている。
図5(A)に示されるように、第1伝達部74は、搬送モータ102の正転を、搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達して、各ローラ62、45を正転させる。一方、図5(B)に示されるように、第1伝達部74は、搬送モータ102の逆転を、搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達しない。
以上より、排出ローラ62は、搬送モータ102の正転が第1伝達部74を介して伝達されることによって、拍車63との間に挟持した用紙12を第1搬送方向16Aへ搬送する方向に回転する。また、反転ローラ45は、搬送モータ102の正転が第1伝達部74を介して伝達されることによって、拍車46との間に挟持した用紙12を第1搬送方向16Aへ搬送する方向に回転する。これにより、用紙12は、排出トレイ21へ排出される。
[第2伝達部149]
図6に示される第2伝達部149は、搬送ローラ60の軸60A及び第2状態の切替機構170を介して伝達された搬送モータ102の逆転を、排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達する。図7に示されるように、第2伝達部149は、第1搬送路65よりも右方に設けられている。つまり、第2伝達部149は、排出ローラ62の右側(他端側の一例)から排出ローラ62へ回転を伝達する。なお、第2伝達部149の位置は、図7に示された位置に限定されない。例えば、第2伝達部149は、第1搬送路65よりも左方に設けられていてもよい。第2伝達部149が第1搬送路65よりも左方に設けられている場合、第1伝達部74は、第1搬送路65よりも右方に設けられていることが好ましい。
図6に示されるように、第2伝達部149は、ギヤ列150と、太陽ギヤ151と、遊星ギヤ152と、アーム153と、ギヤ154(伝達ギヤ及びトルクリミッタの一例)と、プーリ79、80と、ベルト82とで構成される。プーリ79、80及びベルト82は、第1伝達部74の構成要素の一部であるとともに、第2伝達部149の構成要素の一部でもある。
ギヤ列150は、隣接するギヤ同士が互いに噛合する複数のギヤ150A〜150Dを含む。ギヤ150Aは、受けギヤ172Bと噛合する。太陽ギヤ151は、ギヤ150Dと噛合する。遊星ギヤ152は、太陽ギヤ151と噛合し且つギヤ154(詳細には、ギヤ154の回転体112(図10参照))に接離する。アーム153は、一端が太陽ギヤ151に回動可能に支持され、他端で遊星ギヤ152を自転可能及び太陽ギヤ151の周りを公転可能に支持している。これにより、遊星ギヤ152は、太陽ギヤ151が回転することによって、自転しながら太陽ギヤ151の周りを公転する。
ギヤ154は、第2伝達部149での搬送モータ102の回転の伝達経路における遊星ギヤ152及び排出ローラ62の間に設けられている。これにより、ギヤ154は、噛合した遊星ギヤ152から伝達された搬送モータ102の回転を排出ローラ62へ伝達する。なお、ギヤ154については、後に詳細に説明される。
太陽ギヤ151は、搬送モータ102の正転が伝達されることによって、図6(A)に矢印で示される第1回転方向105に回転する。これにより、遊星ギヤ152は、第1回転方向105に公転し、ギヤ154から離間する。その結果、第2伝達部149は、搬送モータ102の正転を、搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達しない。
一方、太陽ギヤ151は、搬送モータ102の逆転が伝達されることによって、図6(B)に矢印で示される第2回転方向106(第1回転方向105と逆方向)に回転する。これにより、遊星ギヤ152は、第2回転方向106に公転し、ギヤ154と噛合する。その結果、第2伝達部149は、搬送モータ102の逆転を、搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達して、各ローラ62、45を逆転させる。
また、反転ローラ45は、搬送モータ102の逆転が第2伝達部149を介して伝達されることによって、拍車46との間に挟持した用紙12を第1搬送方向16Aと逆方向へ搬送する方向に回転する。なお、このとき、フラップ49が通常状態であれば、用紙12は、第1搬送方向16Aの上流端を先端として第2搬送路66へ案内されて、第2搬送路66を第2搬送方向16Bへ搬送される。
第2伝達部149は、搬送ローラ60の回転速度を減速させて排出ローラ62へ伝達する減速部を備えている。これにより、再搬送ローラ68の回転速度を排出ローラ62及び反転ローラ45の回転速度よりも速くすることができる。その結果、第2搬送路66における再搬送ローラ68と反転ローラ45との間で、用紙12が撓むことを防止できる。また、反転ローラ45が正転している状態で、用紙12が反転部56及び再搬送部57の双方に挟持されている場合、反転部56及び再搬送部57の間で用紙12の引っ張り合いが発生するが、引っ張り合いが発生した場合であっても、回転速度の速い再搬送ローラ68によって用紙12を第2搬送路66へ導くことができる。
本実施形態において、減速部は、第2伝達部149における搬送ローラ60から排出ローラ62への伝達方向の最も上流に位置するギヤ150Aと、当該伝達方向の最も下流に位置するギヤ154である。ギヤ150Aの歯数n1とギヤ154の歯数n2との比(n2/n1)は、1よりも大きい。なお、減速部の構成は、上述した構成に限らない。例えば、第2伝達部149を構成するいずれかのギヤ(例えばギヤ150B)における各歯の間隔が、第2伝達部149を構成するギヤ150B以外のギヤよりも大きく構成されていてもよい。この場合、ギヤ150Bが減速部である。もちろん、ギヤ150B以外のギヤの各歯の間隔が大きくされてもよい。
[第3伝達部85]
図5に示される第3伝達部85は、搬送ローラ60の軸60A及び第1状態の切替機構170を介して伝達された搬送モータ102の回転を、給送ローラ25へ伝達する。図5に示されるように、第3伝達部85は、ギヤ86乃至91と、プーリ92乃至95と、無端環状のベルト96、97と、太陽ギヤ98と、遊星ギヤ99と、アーム100とで構成されている。
ギヤ86は、受けギヤ172A及びギヤ87と噛合している。ギヤ87及びプーリ92は、同軸で一体回転する。ギヤ88及びプーリ93は、同軸で一体回転する。ギヤ89は、ギヤ88と噛合している。太陽ギヤ98は、ギヤ89と同軸で一体回転する。遊星ギヤ99は、太陽ギヤ98と噛合し且つギヤ90に接離する。アーム100は、一端が太陽ギヤ98に回動可能に支持され、他端で遊星ギヤ99を自転可能及び太陽ギヤ98の周りを公転可能に支持している。これにより、遊星ギヤ99は、太陽ギヤ98が回転することによって、自転しながら太陽ギヤ98の周りを公転する。ギヤ90は、ギヤ91と噛合する。ギヤ91及びプーリ94は、同軸で一体回転する。プーリ95は、給送ローラ25と同軸で一体回転する。ベルト96は、プーリ92、93に巻架されている。ベルト97は、プーリ94、95に巻架されている。
図5(A)に示されるように、遊星ギヤ99は、搬送モータ102の正転が太陽ギヤ98へ伝達されることによって、ギヤ90から離間する。その結果、第3伝達部85は、搬送モータ102の正転を給送ローラ25へ伝達しない。一方、図5(B)に示されるように、遊星ギヤ99は、搬送モータ102の逆転が太陽ギヤ98へ伝達されることによって、ギヤ90と噛合する。その結果、第3伝達部85は、搬送モータ102の逆転を給送ローラ25へ伝達する。これにより、給送ローラ25は正転する。
[第4伝達部140]
図6に示される第4伝達部140は、搬送ローラ60の軸60A及び第2状態の切替機構170を介して伝達された搬送モータ102の回転を、再搬送ローラ68へ伝達する。図6に示されるように、第4伝達部140は、太陽ギヤ141と、遊星ギヤ142、143と、アーム144、145と、ギヤ列146と、ギヤ147、148とで構成されている。
太陽ギヤ141は、受けギヤ172Bと噛合する。遊星ギヤ142は、太陽ギヤ141と噛合し且つギヤ146Aに接離する。遊星ギヤ143は、太陽ギヤ141と噛合し且つギヤ146Bに接離する。アーム144は、一端が太陽ギヤ141に回動可能に支持され、他端で遊星ギヤ142を自転可能及び太陽ギヤ141の周りを公転可能に支持している。アーム145は、一端が太陽ギヤ141に回動可能に支持され、他端で遊星ギヤ143を自転可能及び太陽ギヤ141の周りを公転可能に支持している。ギヤ列146は、隣接するギヤ同士が互いに噛合する複数のギヤ146A乃至146Fを含む。ギヤ147は、ギヤ146Fと同軸で一体回転する。ギヤ148は、ギヤ147と噛合し、再搬送ローラ68の軸と同軸で一体回転する。
図6(A)に示されるように、搬送モータ102の正転が太陽ギヤ141へ伝達されることによって、遊星ギヤ142がギヤ146Aから離間し、遊星ギヤ143がギヤ146Bと噛合する。すなわち、搬送モータ102の正転は、ギヤ146B〜146Fを通じて搬送ローラ60から再搬送ローラ68に伝達される。一方、図6(B)に示されるように、搬送モータ102の逆転が太陽ギヤ141へ伝達されることによって、遊星ギヤ142がギヤ146Aと噛合し、遊星ギヤ143がギヤ146Bから離間する。すなわち、搬送モータ102の逆転は、ギヤ146A〜146Fを通じて搬送ローラ60から再搬送ローラ68に伝達される。その結果、再搬送ローラ68は、搬送モータ102の正転及び逆転のいずれが伝達された場合であっても正転する。再搬送ローラ68は、正転することによって、従動ローラ69との間に挟持した用紙12を第2搬送方向16Bへ搬送する。
[ギヤ154]
図6に示される第2伝達部149のギヤ154は、以下に詳述するように、トルクリミッタとしての機能を有している。
図10及び図11に示されるように、ギヤ154は、2つの回転体111、112と、付勢部材113と、を備えている。
回転体111(第2回転体の一例)は、排出ローラ62の軸62Aに外嵌されている。回転体111は、円筒形状の本体部115と、本体部115の左端部から本体部115の径方向へ延びたフランジ部116とを備えている。
本体部115には、右方向8及び左方向9に沿った貫通孔117が形成されている。貫通孔117には、排出ローラ62の軸62Aが挿通されている。貫通孔117の内径は、軸62Aの外径よりも僅かに小さい。これにより、軸62Aは、本体部115を弾性変形させつつ、本体部115に挿入される。その結果、回転体111は、排出ローラ62の軸62Aと一体に回転可能である。つまり、回転体111の軸方向は、軸62Aと同様に右方向8及び左方向9に沿った方向である。
なお、回転体111が排出ローラ62の軸62Aと一体に回転可能となる構成は、上述した構成に限らない。例えば、回転体111は、軸62Aと一体成型されていてもよい。また、例えば、本体部115または軸62Aの一方に形成された凸部と、本体部115または軸62Aの他方に形成された凹部とが、嵌合していてもよい。この場合、貫通孔117の内径は、軸62Aの外径よりも大きくてもよい。
フランジ部116の右面116Aには、右方向8へ突出する凸部118(第2凸部の一例)が形成されている。本実施形態において、凸部118は、回転体111の周方向155、156に沿って等間隔に3つ設けられている。周方向155、156は、互いに逆方向である。なお、凸部118の数は、1つでもよいし、3つ以外の複数でもよい。また、凸部118が複数設けられている場合、各凸部118の間隔は等間隔でなくてもよい。
凸部118は、傾斜した2つの面118A、118Bを備えている。面118Aは、周方向155を向く面である。面118Aにおける凸部118の突出基端は、面118Aにおける凸部118の突出先端よりも、周方向155に位置する。面118Bは、周方向156を向く面である。面118Bにおける凸部118の突出基端は、面118Bにおける凸部118の突出先端よりも、周方向156に位置する。
回転体112(第1回転体の一例)は、右方向8及び左方向9に沿った貫通孔119が形成された円筒形状である。回転体112の外周面には、複数の歯が等間隔に形成されている。つまり、回転体112は、ギヤを構成している。回転体112は、遊星ギヤ152と噛合可能である。
回転体112は、回転体111の本体部115に外嵌されている。これにより、回転体112は、回転体111のフランジ部116の右方に位置しており、右方向8及び左方向9において回転体111のフランジ部116と対向している。つまり、上述した回転体111の凸部118は、回転体112へ向けて突出している。
回転体112の内径は、本体部115の外径よりも大きい。これにより、回転体112は、回転体111に対して、右方向8及び左方向9に沿って相対移動可能である。また、回転体112は、回転体111と同軸で回転する。
回転体112の左面112Aには、左方向9へ突出する凸部126(第1凸部の一例)が形成されている。つまり、凸部126は、回転体111のフランジ部116へ向けて突出している。本実施形態において、凸部126は、回転体112の周方向155、156に沿って等間隔に3つ設けられている。つまり、凸部126は、回転体111の凸部118と同数設けられている。回転体112は回転体111と同軸で回転するため、回転体111の周方向155、156が回転体112の周方向に相当する。
なお、凸部126の数は、1つでもよいし、3つ以外の複数でもよい。また、凸部126の数は、本実施形態のように回転体111の凸部118の数と同数であってもよいし、異なる数であってもよい。例えば、凸部126の数が1つで、凸部118の数が複数であってもよいし、凸部126の数が複数で、凸部118の数が1つであってもよいし、本実施形態のように凸部126、118ともに複数であってもよい。また、凸部126が複数設けられている場合、各凸部118の間隔は等間隔でなくてもよい。
凸部126は、傾斜した2つの面126A、126Bを備えている。面126Aは、周方向156を向く面である。面126Aにおける凸部126の突出基端は、面126Aにおける凸部126の突出先端よりも、周方向156に位置する。面126Bは、周方向155を向く面である。面126Bにおける凸部126の突出基端は、面126Bにおける凸部126の突出先端よりも、周方向155に位置する。
後述するように、面126Aは、周方向155、156において面118Aと対向している。また、面126Bは、周方向155、156において面118Bと対向している。つまり、本実施形態では、周方向155、156において対向する2つの面のいずれもが傾斜した面である。しかし、周方向155、156において対向する2つの面のいずれかが傾斜した面であればよい。例えば、対向する面118A、126Aのうちの一方が傾斜していれば他方は傾斜していなくてもよい。
なお、本実施形態において、凸部118、126は、図10及び図11に示されるように、周方向155、156を向く傾斜した面を備える形状であったが、凸部118、126の形状は、図10及び図11に示された形状に限らない。例えば、凸部118、126は、回転体111、112の径方向に視て、半円状であってもよい。
付勢部材113は、本実施形態においてコイルバネである。付勢部材113は、回転体112を左方向9へ向けて付勢するものである。換言すると、付勢部材113は、回転体112を回転体111のフランジ部116へ向けて付勢するものである。なお、付勢部材113は、コイルバネに限らず、例えば板バネやトーションバネなどであってもよい。
付勢部材113の左端は、回転体112の右面112Bと当接している。付勢部材113の右端は、当接部材114と当接している。当接部材114は、ギヤ154の右方に配置された部材である。本実施形態において、当接部材114は、排出ローラ62の軸62Aに取り付けられた止め輪であるが、当接部材114は、止め輪に限らない。例えば、当接部材114は、軸62Aに形成されたフランジであってもよい。また、例えば、当接部材114は、ギヤ154の右方に配置された複合機10のフレームであってもよい。
回転体112が付勢部材113に付勢されることによって、回転体111の凸部118は回転体112の左面112Aと当接し、回転体112の凸部126は回転体111のフランジ部116の右面116Aと当接する。つまり、回転体111の凸部118は、回転体112の隣り合う2つの凸部126の間に位置しており、回転体112の凸部126は、回転体111の隣り合う2つの凸部118の間に位置している。これにより、面126Aは、周方向155、156において面118Aと対向している。また、面126Bは、周方向155、156において面118Bと対向している。
搬送モータ102の逆転を伝達された回転体111の周方向155への回転によって、面118Aと面126Aとが当接する。また、搬送モータ102の正転を伝達された回転体111の周方向156への回転、または、搬送モータ102の逆転を伝達された回転体112の周方向155への回転によって、面118Bと面126Bとが当接する。これにより、搬送モータ102の回転は、回転体111から回転体112へ、または、回転体112から回転体111へ伝達される。以上より、回転体112が付勢部材113に付勢された状態で、凸部118、126は、周方向155、156において当接可能である。
ギヤ154は、上記のように構成されていることによって、以下のように動作する。
まず、搬送モータ102が逆転から正転に切り替わるときのギヤ154の動作が説明される。なお、当該動作において、切替機構170は第2状態とされている。これにより、搬送モータ102の逆転が第2伝達部149へ伝達可能である。
搬送モータ102の逆転が伝達されているとき、回転体112は、遊星ギヤ152と噛合している。これにより、回転体112は、遊星ギヤ152から搬送モータ102の逆転を伝達されて、周方向155に回転する。回転体112が周方向155に回転すると、凸部126の面126Bが回転体111の凸部118の面118Bと当接して面118Bを押す。これにより、回転体111は回転体112と一体に周方向155に回転する。その結果、回転体111と一体に回転する排出ローラ62の軸62Aも、周方向155に回転する。つまり、排出ローラ62は逆転する(図6(B)参照)。
この状態において、搬送モータ102の回転が逆転から正転に切り替えられると、通常、遊星ギヤ152が回転体112から離間し、その後、排出ローラ62が第1伝達部74を介して搬送モータ102の正転を伝達されることによって正転する。これにより、回転体111は周方向156に回転する。すると、凸部118の面118Bが、回転体112の凸部126の面126Bと当接して面126Bを押す。これにより、回転体112は回転体111と一体に周方向156に回転する。
しかしながら、第1伝達部74及び第2伝達部149を構成する部材の寸法公差や取付誤差などによっては、搬送モータ102の回転が逆転から正転に切り替えられたときに、第2伝達部149において遊星ギヤ152が回転体112から離間するタイミングが遅くなったり、搬送モータ102の正転が第1伝達部74を介して排出ローラ60へ伝達されるタイミングが早くなったりするおそれがある。
このようなタイミングのずれが生じると、搬送モータ102の回転が逆転から正転に切り替えられたときに、遊星ギヤ152が回転体112から離間するよりも先に、排出ローラ62が第1伝達部74を介して搬送モータ102の正転を伝達されることによって正転するおそれがある。
遊星ギヤ152と回転体112とが噛合した状態で排出ローラ62が正転した場合、ギヤ154は、以下に詳述するように動作する。まず、排出ローラ62の正転によって、回転体111が周方向156に回転しようとする。つまり、凸部118の面118Bが、回転体112の凸部126の面126Bと当接して面126Bを押す。これにより、回転体112に対して凸部118から周方向156のトルクが作用する。しかし、回転体112に対して凸部118から周方向156のトルクが作用しても、回転体112の周方向156への回転は、噛合している遊星ギヤ152によって阻害される。つまり、回転体112は、周方向156に回転することができない。また、搬送モータ102の正転を第2伝達部149を介して伝達された遊星ギヤ152が回転体112から離間しようとするが、当該離間は、凸部118に押されて周方向156に回転しようとしている回転体112のトルクによって阻害される。つまり、遊星ギヤ152は、回転体112から離間することができない。
通常、搬送モータ102から回転を伝達されるローラやギヤなどは、搬送モータ102の回転によって搬送モータ102に生じる最大量のトルクT1(第2量のトルクの一例)よりも小さな量のトルクT2(第1量のトルクの一例)で回転する。つまり、当該ローラやギヤなどが回転するために必要なトルクは、トルクT2である。そのため、通常、当該ローラやギヤなどにトルクT1が作用することはない。しかし、上述したように、回転体112が回転できない場合、回転体112にはトルクT1が作用する。
すると、面118BがトルクT1で凸部126の面126Bを押す。ここで、付勢部材113の付勢力は、トルクT2よりも大きく且つトルクT1よりも小さい値に設定されている。よって、面118BがトルクT1で面126Bを押すと、回転体112は、付勢部材113の付勢力に抗って右方向8に移動する。つまり、回転体112は、回転体111から離れる方向に移動する。なお、付勢部材113の付勢力は、トルクT2よりも大きいため、回転体111、112が一定に回転しているときに、回転体112が付勢部材113の付勢力に抗って右方向8に移動することはない。
面118A、118Bは、凸部118の突出先端が突出基端よりも、面118A、118Bが周方向155、156に対向する面126A、126Bによって押される方向において下流に位置するように傾斜している。また、面126A、126Bは、凸部126の突出先端が突出基端よりも、面126A、126Bが周方向155、156に対向する面118A、118Bによって押される方向において下流に位置するように傾斜している。これにより、回転体112が付勢部材113の付勢力に抗って右方向8に移動すると、凸部118は、面126Bに沿って凸部126の突出先端へ向けて案内される。その結果、凸部118は、凸部126を乗り越える。
凸部118が凸部126を乗り越えると、回転体112が付勢部材113の付勢力によって左方向9に移動するとともに、回転体111が回転体112に対して空転する。つまり、回転体112にトルクT1がかかると、回転体111、112間を伝達するトルクが遮断される。これにより、遊星ギヤ152に回転体112からのトルクが作用しなくなるため、遊星ギヤ152は、回転体112から離間することができる。なお、遊星ギヤ152の回転体112からの離間は、以下で説明する設定区間の間に実行される。
回転体111の回転体112に対する空転は、設定区間の間、実行される。つまり、設定区間の間、回転体112にはトルクがかからない。一方、設定区間の間、排出ローラ60と一体に回転する回転体111には、トルクT2がかかっている。ここで、設定区間は、回転体111が、トルクT2によって1周未満の所定回転量を回転する区間である。本実施形態において、1周未満の所定回転量は、凸部118が凸部126を乗り越えてから再び凸部126と当接するまでの、回転体111の回転量である。つまり、所定回転量は、凸部126が複数設けられた構成の場合には、隣り合う2つの凸部126の周方向155、156に沿った距離によって定まる。また、所定回転量は、凸部126が1つのみ設けられた構成の場合には、面126A、126Bの間の周方向155、156に沿った距離によって定まる。
回転体111の回転体112に対する空転が設定区間実行されると、凸部118は再び凸部126と当接する。このときには、既に、遊星ギヤ152は回転体112から離間されている。そのため、回転体112は、凸部126が凸部118に押されることによって、回転体111と一体に周方向156に回転する。
次に、搬送モータ102が正転から逆転に切り替わるときのギヤ154の動作が説明される。なお、当該動作において、切替機構170は第2状態とされている。これにより、搬送モータ102の逆転が第2伝達部149へ伝達可能である。
搬送モータ102の正転が伝達されているとき、回転体112は、遊星ギヤ152から離間している。また、回転体111は、第1伝達部74を介して搬送モータ102の正転が伝達されることにより、正転する排出ローラ62と一体に周方向156に回転する(図6(A)参照)。回転体111が周方向156に回転すると、凸部118の面118Bが回転体112の凸部126の面126Bと当接して面126Bを押す。これにより、回転体112は回転体111と一体に周方向156に回転する。
この状態において、搬送モータ102の回転が正転から逆転に切り替えられると、ワンウェイクラッチ83によって第1伝達部74を介した搬送モータ102の逆転の排出ローラ62への伝達は遮断される。一方、遊星ギヤ152が回転体112と噛合することによって、搬送モータ102の逆転は遊星ギヤ152から回転体112に伝達される。これにより、回転体112は周方向155に回転する。すると、凸部126の面126Bが回転体111の凸部118の面118Bと当接して面118Bを押す。これにより、回転体111は回転体112と一体に周方向155に回転する。その結果、回転体111と一体に回転する排出ローラ62の軸62Aも、周方向155に回転する。つまり、排出ローラ62は逆転する(図6(B)参照)。
なお、本実施形態では、ギヤ154は、回転体112にトルクT1がかかると、回転体111、112間を伝達するトルクを遮断したが、必ずしも遮断する必要はない。つまり、ギヤ154は、回転体112にトルクT1がかかると、回転体111、112間を伝達するトルクをトルクT2未満で且つゼロよりも大きい量とするものであってもよい。
また、本実施形態では、ギヤ154が本発明のトルクリミッタに相当している。しかし、本発明のトルクリミッタは、第2伝達部149における搬送モータ102の回転の伝達経路において、遊星ギヤ152と排出ローラ62との間に設けられていればよく、遊星ギヤと噛合するギヤそのものに設けられている必要はない。例えば、当該伝達経路における遊星ギヤ152とギヤ154との間に、ギヤ列(不図示)が設けられている場合に、本発明のトルクリミッタは、当該ギヤ列を構成するギヤのいずれかであってもよい。
また、本実施形態では、回転体112が第1回転体の一例であり、回転体111が第2回転体の一例であった。しかし、本実施形態とは逆に、回転体111が第1回転体の一例であり、回転体112が第2回転体の一例であってもよい。この場合、付勢部材113は、回転体111を回転体112へ向けて付勢するものである。但し、この場合、回転体111と排出ローラ62の軸62Aとの間にギヤが設けられていることなどによって、回転体111が軸62Aに取り付けられていない構成であることが望ましい。
また、本発明のトルクリミッタは、回転体111または回転体112に、排出ローラ62が回転するために必要なトルクT2よりも大きなトルクT1がかかると、設定区間の間、回転体111、112の間を伝達するトルクがトルクT2未満となる機能を有していればよい。つまり、本発明のトルクリミッタの具体的構成は、上述したものに限らず、当該機能を有していることを条件として、他の公知の構成であってもよい。
[制御部130]
図8に示されるように、制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC135には、搬送モータ102及びキャリッジモータ103が接続されている。ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC135からの駆動信号によって正転又は逆転する。例えば、制御部130は、搬送モータ102の駆動を制御して各ローラを駆動させる。また、制御部130は、キャリッジモータ103の駆動を制御してキャリッジ23を往復移動させる。また、制御部130は、記録ヘッド39を制御してノズル40からインクを吐出させる。
また、ASIC135には、第1センサ120と、ロータリエンコーダ121と、第2センサ122とが接続されている。制御部130は、第1センサ120及び第2センサ122から出力される検知信号に基づいて、各センサの配置位置に用紙12が存在することを検知する。また、制御部130は、第1センサ120から出力される検知信号と、ロータリエンコーダ121から出力されるパルス信号とに基づいて、用紙12の位置を検知する。
[画像記録処理]
図9を参照して、本実施形態における画像記録処理を説明する。この画像記録処理は、制御部130のCPU131によって実行される。なお、以下の各処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が読み出して実行してもよいし、制御部130に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。
制御部130は、ユーザからシートの両面に画像を記録する記録指示を取得したことに応じて、画像記録処理を実行する。記録指示の取得先は特に限定されないが、例えば、複合機10に設けられた操作部17(図1参照)を通じて取得してもよいし、外部機器から通信ネットワークを通じて取得してもよい。制御部130は、取得した記録指示に従って各ローラ、キャリッジ23、及び記録ヘッド39の動作を制御することによって、用紙12に画像を記録する。
まず、制御部130は、切替機構170を第1状態に切り替える(S11)。具体的には、制御部130は、キャリッジ23を右方向8及び左方向9に沿って移動させることによって、切替レバー176を第1ストッパ180に当接させる。これにより、切替ギヤ171を移動させて、切替ギヤ171と受けギヤ172Aとを噛合させる。但し、切替機構170が既に第1状態である場合、制御部130は、ステップS11を実行することなく、ステップS12以降の処理を実行する。
次に、制御部130は、用紙12に対する表面給紙処理を実行する(S12)。表面給紙処理は、給送トレイ20に支持された用紙12の先端(第1搬送方向16Aの下流端)を搬送部54に到達させる処理である。具体的には、制御部130は、搬送モータ102を逆転させることによって、給送ローラ25を回転させる。
次に、制御部130は、用紙12に対する表面記録処理を実行する(S13)。表面記録処理は、用紙12の表面に画像を記録する処理である。詳細には、制御部130は、ステップS13において、搬送処理と吐出処理とを交互に繰り返し実行する。搬送処理は、搬送部54に到達された用紙12を第1搬送方向16Aの所定の改行幅だけ搬送部54、排出部55、及び反転部56の少なくとも1つに搬送させる処理である。吐出処理は、所定の改行幅だけ搬送された用紙12に対して記録ヘッド39にインクを吐出させる処理である。
具体的には、制御部130は、搬送処理において、搬送モータ102を正転させることによって、各ローラ60、62、45を正転させる。なお、搬送モータ102の正転は、第1伝達部74を介して搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達される。また、制御部130は、吐出処理において、キャリッジモータ103を駆動させることによってキャリッジ23を右方向8及び左方向9に沿って移動させ、且つ所定のタイミングで記録ヘッド39にインクを吐出させる。
次に、制御部130は、用紙12に対する表面排紙処理を実行する(S14)。表面排紙処理は、搬送部54、排出部55、または反転部56の少なくとも1つに、表面に画像が記録された用紙12の後端(第1搬送方向16Aの上流端)が分岐位置66Aに到達する位置まで当該用紙12を第1搬送方向16Aに搬送させる処理である。具体的には、制御部130は、搬送モータ102を正転させることによって、各ローラ60、62、45を正転させる。なお、このとき、フラップ49は、第1搬送方向16Aに搬送される用紙12に持ち上げられることによって反転位置から排出位置へ回動した後、用紙12の後端が分岐位置66Aに到達すると自重によって排出位置から反転位置へ回動する。これにより、用紙12の後端が第2搬送路66を向いた状態となる。
次に、制御部130は、切替機構170を第1状態から第2状態に切り替える(S15)。具体的には、制御部130は、キャリッジ23を右方向8へ移動させることによって、切替レバー176を第2ストッパ181に当接させる。これにより、切替ギヤ171を移動させて、切替ギヤ171と受けギヤ172Bとを噛合させる。
次に、制御部130は、裏面給紙処理を実行する(S16)。裏面給紙処理は、表面に画像が記録された用紙12の表裏を反転させて、再び搬送部54に到達させる処理である。具体的には、制御部130は、搬送モータ102を逆転させることによって、反転ローラ45を逆転させ且つ再搬送ローラ68を正転させる。これにより、用紙12は、第1搬送方向16Aの上流端を先端として分岐位置66Aから第2搬送路66に進入し、合流位置66Bを通じて搬送部54に到達する。なお、搬送モータ102の逆転は、第2伝達部149を介して搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達され、第4伝達部140を介して搬送ローラ60から再搬送ローラ68へ伝達される。
次に、制御部130は、用紙12に対する裏面記録処理を実行する(S17)。裏面記録処理は、用紙12の裏面に画像を記録する処理である。裏面記録処理は、表面記録処理と同様に、搬送処理と吐出処理とを交互に繰り返す処理である。
制御部130は、裏面記録処理の搬送処理において、搬送モータ102を正転させる。これにより、搬送モータ102の正転は、第1伝達部74を介して搬送ローラ60から排出ローラ62及び反転ローラ45へ伝達され、各ローラ60、62、45を正転させる。つまり、制御部130は、裏面給紙処理において逆転されていた搬送モータ102の回転を、搬送処理において正転に切り替える。この搬送モータ102の回転の切り替えは、用紙12が合流位置66Bを通じて搬送部54に到達するよりも前に行われる。これにより、用紙12が搬送部54に到達したときに、搬送部54は用紙12を第1搬送方向16Aに搬送することができる。また、搬送モータ102が逆転から正転に切り替わっても、再搬送ローラ68は正転し続けるため、用紙12の第2搬送路66に沿った搬送は正常に行われる。
上述した搬送モータ102の逆転から正転への切り替え時に、第2伝達部149に搬送モータ102の正転が伝達されることによって、遊星ギヤ152がギヤ154から離間する。また、搬送モータ102が逆転から正転へ切り替えられることによって、搬送モータ102の正転が、第1伝達部74を介して搬送ローラ60から排出ローラ62へ伝達される。このとき、仮に、搬送ローラ60から排出ローラ62への第1伝達部74を介した搬送モータ102の正転の伝達が可能となるタイミングが、遊星ギヤ152がギヤ154から離間するタイミングよりも早くなった場合、ギヤ154がトルクリミッタとして機能する。これにより、第1伝達部74及び排出ローラ62を介して搬送モータ62の正転が伝達されたギヤ154が、遊星ギヤ152のギヤ154からの離間を阻害することを防止できる。
次に、制御部130は、裏面排紙処理を実行する(S18)。裏面排紙処理は、用紙12が反転部56を通過するまで(すなわち、用紙12が排出トレイ21に排出されるまで)、排出部55及び反転部56に用紙12を第1搬送方向16Aに搬送させる処理である。具体的には、制御部130は、搬送モータ102を正転させることによって、各ローラ60、62、45を正転させる。
[本実施形態の効果]
搬送モータ102から搬送ローラ60へ伝達される回転が逆転から正転に変わったときに、仮に、第1伝達部74及び排出ローラ62を介したギヤ154への搬送モータ102の回転の伝達が可能となるタイミングが、遊星ギヤ152がギヤ154から離間するタイミングよりも早いと、ギヤ154は、遊星ギヤ152と噛合した状態で、搬送モータ102の正転によって回転する。これにより、遊星ギヤ152が、ギヤ154から離間できなくなる。
このとき、上記の実施形態によれば、回転体112にトルクT2がかかると、回転体111、112の間を伝達するトルクが小さくなる。これにより、第2伝達部149を介して搬送モータ102の正転を伝達された太陽ギヤ151の第1回転方向105の回転によって遊星ギヤ152がギヤ154から離間しようとする力が、第1伝達部74及び排出ローラ62を介して伝達された搬送モータ102の正転によってギヤ154が遊星ギヤ152との噛合を維持しようとする力よりも大きくなる。すると、遊星ギヤ152がギヤ154から離間する。その結果、搬送モータ102がロックすることを防止できる。
また、上記の実施形態によれば、回転体111、112の間を伝達するトルクがトルクT2未満となる状態が、回転体111がトルクT2のトルクによって1周未満を回転する間に限られている。よって、回転体111が当該1周未満を回転すると、回転体111、112の間を伝達するトルクは、少なくともトルクT2となる。これにより、第2伝達部149を介した搬送ローラ60から排出ローラ62への搬送モータ102の逆転の伝達が可能な状態となる。なお、このとき、既に、遊星ギヤ152がギヤ154から離間しているため、回転体112にトルクT2のような過大なトルクがかかることはない。よって、搬送モータ102がロックすることはない。
また、上記の実施形態によれば、設定区間における回転体111、112の間を伝達するトルクがゼロである。よって、遊星ギヤ152がギヤ154から離間しようとする力と、ギヤ154が遊星ギヤ152との噛合を維持しようとする力との差を大きくすることができる。その結果、遊星ギヤ152をギヤ154からより確実に離間させることができる。
また、上記の実施形態によれば、ギヤ154が、凸部118が形成された回転体111と、凸部126が形成された回転体112と、付勢部材113とで構成されている。そのため、上述した機能を有するトルクリミッタを簡易な構成で実現することができる。
また、上記の実施形態によれば、凸部118、126が傾斜した面118A、118B、126A、126Bを備えているため、凸部118が凸部126を周方向156に押すことによる回転体112の右方向8への移動が、円滑に実行可能である。
また、上記の実施形態によれば、凸部118、126が複数設けられているため、設定区間に対応する回転体111の回転量を小さくすることができる。これにより、回転体112にトルクT1がかかってから、第2伝達部149を介した搬送ローラ60から排出ローラ62への搬送モータ102の逆転の伝達が可能な状態となるまでの時間を短くすることができる。
また、上記の実施形態によれば、凸部118、126のいずれもが周方向155、156に沿って等間隔に設けられており、且つ凸部118、126が同数設けられている。これにより、回転体111、112の間において伝達されるトルクの周方向155、156における偏りを小さくすることができる。
また、上記の実施形態によれば、ワンウェイクラッチ83を備えることによって、第1伝達部74を簡易な構成で実現することができる。
また、上記の実施形態によれば、切替機構170を第1状態とすることによって、搬送ローラ60を回転させつつ排出ローラ62を停止させることができる。例えば、搬送ローラ60を、用紙12を第1搬送方向16Aと逆方向に搬送させる方向に回転させつつ、排出ローラ62を停止させることができる。これにより、搬送ローラ60へ向けて搬送される用紙12が、用紙12を第1搬送方向16Aと逆方向に搬送させる方向に回転する搬送ローラ60に当接することによって、当該用紙12の斜行を矯正することができる。また、このとき、当該用紙12に先行する用紙12が排出ローラ62に当接している状態であっても、排出ローラ62が停止しているため、当該先行する用紙12が排出ローラ62によって搬送されることはない。
また、上記の実施形態によれば、切替機構170を第1状態とし、且つ搬送ローラ60へ搬送モータ102の逆転を伝達することによって、給送トレイ20に支持された用紙12を給送ローラ25によって搬送ローラ60へ向けて給送することができる。
また、上記の実施形態によれば、切替機構170を第2状態として、搬送ローラ60から再搬送ローラ68へ第4伝達部140を介して搬送モータ102の回転を伝達することによって、第2搬送路66へ案内される用紙12を再搬送ローラ68によって第2搬送路66に沿って搬送することができる。また、切替機構170の状態に応じて、給送ローラ25による用紙12の給送と、再搬送ローラ68による用紙12の第2搬送路66に沿った搬送とを別々に実行することができる。
また、上記の実施形態によれば、第1伝達部74及び第2伝達部149の駆動伝達経路うち、排出ローラ62から反転ローラ45への部分を共通化することができる。これにより、第1伝達部74及び第2伝達部149が占めるスペースを小さくすることができる。
また、上記の実施形態によれば、第1伝達部74は第1搬送路65よりも左方に設けられており、第2伝達部149は第1搬送路65よりも右方に設けられている。これにより、第1伝達部74と第2伝達部149とが干渉しないため、各伝達部74、149の構成を簡略化できる。
[変形例]
上記の実施形態では、第1伝達部74を介して搬送モータ102の正転を伝達された各ローラ60、62、45は正転し、第2伝達部149を介して搬送モータ102の逆転を伝達された各ローラ60、62、45は逆転したが、各ローラ60、62、45の回転方向は上記の実施形態の方向に限らない。例えば、各ローラ60、62、45は、第1伝達部74を介して搬送モータ102の正転を伝達されたとき、及び第2伝達部149を介して搬送モータ102の逆転を伝達されたときのいずれの場合であっても、同方向に回転してもよい。
また、上記の実施形態では、本発明の駆動部は、搬送ローラ60であったが、搬送ローラ60に限らない。例えば、本発明の駆動部は、ノズル40内のインクを吸引する際に駆動されるポンプ(不図示)であってもよい。ポンプは、ノズル40内のインクの吸引時に、ノズルに接続されるチューブ(不図示)に配置される。チューブの一端はノズル40に接続されており、チューブの他端は廃インクタンク(不図示)に接続されている。ポンプが駆動されると、チューブが扱かれる。これにより、ノズル40内のインクがチューブに吸引されて、廃インクタンクへ流通される。なお、本発明の駆動部がポンプの場合、ポンプに設けられたギヤなどによって、ポンプから排出ローラ62へ搬送モータ102の回転が伝達される。
また、搬送モータ102から各ローラ25、60、62、45、68へ伝達される正転及び逆転は、上記の実施形態とは逆であってもよい。例えば、上記の実施形態では、第1伝達部74を介して搬送モータ102の正転を伝達された各ローラ60、62、45は正転し、第2伝達部149を介して搬送モータ102の逆転を伝達された各ローラ60、62、45は逆転した。しかし、上記の実施形態とは逆に、第1伝達部74を介して搬送モータ102の逆転を伝達された各ローラ60、62、45が正転し、第2伝達部149を介して搬送モータ102の正転を伝達された各ローラ60、62、45が逆転してもよい。
また、第2搬送路66は、記録部24によって画像が記録された用紙12を、表裏を反転させて再び記録部24に到達させることが可能であることを条件として、図2に示されたものとは異なる構成であってもよい。例えば、分岐位置66Aが、記録部24よりも第1搬送方向16Aの上流に位置しており、合流位置66Bが、分岐位置66Aよりも第1搬送方向16Aの上流に位置していてもよい。
また、上記の実施形態における画像記録処理では、用紙12の両面に画像記録を行う際の裏面記録処理における搬送処理のときに、ギヤ154がトルクリミッタとして機能する可能性があった。しかし、ギヤ154がトルクリミッタとして機能し得るのは、裏面記録処理における搬送処理のときに限らず、搬送モータ102が正転から逆転、または、逆転から正転に切り替えられるときであれば、如何なるときであってもよい。
例えば、複合機10が、CDやDVDなどの板状の被記録媒体の盤面上に画像を記録する機能を有している場合における搬送モータ102の回転の切り替え時に、ギヤ154がトルクリミッタとして機能してもよい。当該場合において、被記録媒体は、開口13から第1搬送方向16Aと逆方向に挿入された後、第1搬送方向16Aに搬送されつつ画像記録され、その後、開口13を通じて排出される。そして、搬送モータ102は、被記録媒体が第1搬送方向16Aと逆方向に挿入される際には逆転され、被記録媒体が第1搬送方向16Aに搬送される際には正転される。つまり、被記録媒体の搬送方向が切り替えられるとき、搬送モータ102は逆転から正転に切り替えられる。そして、このとき、ギヤ154がトルクリミッタとして機能してもよい。