JP7278924B2 - β型サイアロン蛍光体および発光装置 - Google Patents
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Description
近年、発光装置の高出力化に伴い、蛍光体の耐熱性および耐久性に対する要求が高まっており、結晶構造が安定したβ型サイアロン蛍光体が注目されている。
ユウロピウムが固溶したβ型サイアロン蛍光体であって、
上記β型サイアロン蛍光体の一次粒子の50%面積平均径をD50とし、
上記β型サイアロン蛍光体の一次粒子の10%面積平均径をD10としたとき、
上記D50が7.0μm以上20.0μm以下であり、
(D50-D10)/D50が0.60以下であるβ型サイアロン蛍光体。
[2]
上記[1]に記載のβ型サイアロン蛍光体において、
上記β型サイアロン蛍光体の一次粒子の90%面積平均径をD90としたとき、
(D90-D10)/D50が1.45以下であるβ型サイアロン蛍光体。
[3]
上記[1]または[2]に記載のβ型サイアロン蛍光体において、
一般式Si6-zAlzOzN8-z:Eu2+(0<Z≦4.2)で示されるβ型サイアロン蛍光体。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載のβ型サイアロン蛍光体において、
上記β型サイアロン蛍光体の二次粒子のDV50粒径(50%体積平均径)が5μm以上50μm以下であるβ型サイアロン蛍光体。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のβ型サイアロン蛍光体において、
上記β型サイアロン蛍光体の二次粒子数に対する一次粒子数の比が1.90以下であるβ型サイアロン蛍光体。
[6]
発光光源と波長変換部材とを含む発光装置であって、
上記波長変換部材は蛍光体を含み、
上記蛍光体が上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載のβ型サイアロン蛍光体を含む発光装置。
[7]
上記[6]に記載の発光装置において、
上記発光光源が、300nm~500nmの波長の光を発生するLEDチップを含む発光装置。
[8]
上記[6]または[7]に記載の発光装置において、
上記蛍光体が、マンガンが固溶したKSF系蛍光体をさらに含む発光装置。
本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体は、ユウロピウムが固溶したβ型サイアロン蛍光体であって、上記β型サイアロン蛍光体の一次粒子の50%面積平均径をD50とし、上記β型サイアロン蛍光体の一次粒子の10%面積平均径をD10としたとき、上記D50が7.0μm以上20.0μm以下であり、(D50-D10)/D50が0.60以下である。
この理由については必ずしも明らかではないが、以下の理由が推察される。
β型サイアロン蛍光体の一次粒子の粒子径が大きいと、結晶粒界に存在する不純物の割合が低下して結晶性が向上するため、発光効率を向上させることができると考えられる。そのため、β型サイアロン蛍光体の一次粒子のD50および(D50-D10)/D50が上記範囲内であると、一次粒子の粒子径が小さく発光効率が低いβ型サイアロン粒子の割合が相対的に少なくなり、一次粒子の粒子径が大きく発光効率が高いβ型サイアロン粒子の割合が相対的に多くなり、その結果、β型サイアロン蛍光体の発光強度を向上させることができると考えられる。
以上の理由から、本実施形態によれば、輝度が向上したβ型サイアロン蛍光体および発光装置を提供することができる。
本実施形態において、β型サイアロン蛍光体の一次粒子のD50および(D50-D10)/D50は、後述するように、β型サイアロン蛍光体の原料の一つであるユウロピウム化合物を2回以上に分けて添加して焼成工程をおこなうとともに、2回目の焼成工程において従来よりもユウロピウム化合物を多量に添加して製造すること等によって実現することが可能である。
また、(D50-D10)/D50が0.60以下であるが、好ましくは0.55以下であり、より好ましくは0.53以下であり、さらに好ましくは0.51以下である。これにより、β型サイアロン粒子間の特性の差を小さくすることができ、その結果、得られる発光装置の発光特性や色のバラツキを低減することができる。
β型サイアロン蛍光体の個々の一次粒子、すなわち単結晶粒子が、断面積の小さな順から、CA1,CA2,CA3,・・・,CAi,・・・,CAkのように並べられる一次粒子の集団があるとする。ここで言う一次粒子とは、全ての単結晶粒子を意味し、複数の一次粒子同士が粒界を介して焼結して二次粒子を構成しているものと、二次粒子を構成していないものとを区別することなく含む。この一次粒子の集団の断面積の合計(CA1+CA2+CA3+・・・+CAi+・・・+CAk)を100%として累積カーブを求めたとき、この累積カーブの50%、10%および90%にあたる点の一次粒子の断面積(S50、S10、S90)より計算した一次粒子径を、それぞれ一次粒子の50%面積平均径D50、90%面積平均径D90および10%面積平均径D10とする。
粒子の断面積は、電子後方散乱回折像法(Electron backscatter diffraction、以下、EBSD法ともいう。)を利用して測定することができる。
図1は、EBSD法の測定に用いる装置の構成を示す模式図である。
図1に示すように、EBSD法に用いる装置1は、走査型電子顕微鏡2に電子後方散乱回折像法測定装置3を付加した装置から構成されている。走査型電子顕微鏡2は、鏡筒部2A、試料4が載置されるステージ部2B、ステージ制御部2C、電子線走査部2D、制御用コンピュータ2E等から構成されている。電子後方散乱回折像法測定装置3は、試料4に電子線5が照射されて発生し後方へ散乱された電子6を検出する蛍光スクリーン7と、この蛍光スクリーン7の蛍光画像を撮像するカメラ8と、図示しない電子後方散乱回折像のデータの取得及び解析を行うソフトウエア等から構成されている。
一次粒子の50%面積平均径=2×(S50/π)1/2 (1)
式中、S50は、個々の一次粒子の面積の累積カーブが50%となる点の一次粒子の面積である。
一次粒子の10%面積平均径=2×(S10/π)1/2 (2)
式中、S10は、個々の一次粒子の面積の累積カーブが10%となる点の一次粒子の面積である。
一次粒子の90%面積平均径=2×(S90/π)1/2 (3)
式中、S90は、個々の一次粒子の面積の累積カーブが90%となる点の一次粒子の面積である。
また、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体の二次粒子のDV50粒径(50%体積平均径)は5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。これにより、β型サイアロン蛍光体の発光効率を向上させたり、光の散乱を抑制して輝度を向上させたりすることができる。
ここで、本実施形態において「DV50粒径(50%体積平均径)」とは、JIS R1629:1997に準拠したレーザー回折散乱法による体積基準の積算分率における50%径を意味する。
また、β型サイアロン蛍光体の二次粒子数に対する一次粒子数の比が上記上限値以下であると、β型サイアロン粒子間の特性の差を小さくすることができ、その結果、得られる発光装置の発光特性や色のバラツキを低減することができる。
また、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体は、発光素子における蛍光体層の材料として好適に用いることができる。発光素子は、ディスプレイのバックライト光源、照明装置等の発光装置に適用することができる。発光素子としては、特に限定されないが、LEDと、LEDの発光面側に積層された蛍光体層とを備える。LEDとしては、300~500nmの波長の光を発する紫外LEDまたは青色LED、特に440~480nmの波長の光を発する青色LEDを用いることができる。特に、本実施形態に係る製造方法によって得られたβ型サイアロン蛍光体は、紫外から青色光の幅広い波長で励起され、高輝度の緑色発光を示すことから、青色または紫外光を光源とする白色LEDの蛍光体として好適に使用できる。
次に、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体の製造方法について説明する。
本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体の製造方法は、従来のβ型サイアロン蛍光体の製造方法とは異なるものである。すなわち、一次粒子の50%面積平均径D50および(D50-D10)/D50が上記範囲内であるβ型サイアロン蛍光体は、β型サイアロン蛍光体の原料の一つであるユウロピウム化合物を2回以上に分けて添加して焼成工程をおこなうとともに、2回目の焼成工程において従来よりもユウロピウム化合物を多量に添加して製造するという製法上の工夫点を採用することによって初めて得ることができる。
ただし、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体は、上記製法上の工夫点を採用することを前提に、例えば、その他の具体的な製造条件は種々のものを採用することができる。
本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体の製造方法は、少なくとも以下の2つの焼成工程を含む。すなわち、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体の製造方法は、第一ユウロピウム化合物を含む第一原料粉末を焼成して、β型サイアロン粒子を含む第一焼成粉を得る第一焼成工程と、得られた第一焼成粉および第二ユウロピウム化合物を含む第二原料粉末を焼成して、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体を得る第二焼成工程と、を含む。
ここで、第二焼成工程において、第二ユウロピウム化合物を従来の基準よりも多く添加する方法、より具体的には、第二焼成工程において、β型サイアロンに固溶可能なEu量よりもEu量が過剰になるように第二ユウロピウム化合物を添加する。
第二焼成工程において、β型サイアロンに固溶可能なEu量よりもEu量が過剰になるように第二ユウロピウム化合物を添加することによって、第二焼成工程におけるβ型サイアロン粒子の焼成時に液相を形成し、粒子径が小さいβ型サイアロン粒子の一次粒子をより粗大化できる。これにより、β型サイアロン蛍光体の一次粒子の50%面積平均径D50および(D50-D10)/D50を上記範囲内に調整することが可能となる。
また、本実施形態において「第一ユウロピウム化合物」とは第一焼成工程で添加されるユウロピウム化合物のことを意味し、「第二ユウロピウム化合物」とは第二焼成工程で添加されるユウロピウム化合物のことを意味する。
また、本実施形態において「第一原料粉末」とは第一焼成工程に用いる原料粉末のことを意味し、「第二原料粉末」とは第二焼成工程に用いる原料粉末のことである。それぞれの原料粉末は混合されていることが好ましい。
また、本実施形態において「第一焼成粉」とは第一焼成工程で得られる生成物のことを意味し、「第二焼成粉」とは第二焼成工程で得られる生成物のことを意味し、「第三の焼成粉」とは第三の焼成工程で得られる生成物のことを意味する。
また、第一原料粉末は、β型サイアロンをさらに含有してもよい。β型サイアロンは、骨材または核となる材料である。
第一原料粉末に含有される上記各成分の形態は、特に限定されないが、いずれも粉末状であることが好ましい。
また、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体の製造方法において、第二ユウロピウム化合物の割合が上記範囲内であると、β型サイアロン蛍光体の輝度向上に寄与しないEuをより一層効果的に除去できるとともに、酸処理で不溶な異相成分の発生を抑制できるため、異相成分を除去する製造工程等を簡略でき、その結果、β型サイアロン蛍光体の製造時間を短縮することが可能である。
また、第一原料粉末と第二原料粉末に含まれるユウロピウムの総量は特に限定されないが、最終的に得られたβ型サイアロン蛍光体に固溶したユウロピウム量の18倍以下であることが好ましい。これにより、酸処理で不溶な異相成分の発生量を低下させることができ、得られるβ型サイアロン蛍光体の輝度をより一層向上させることができる。
また、第一原料粉末中に含まれるユウロピウム量は、最終的に得られるβ型サイアロン蛍光体に固溶したユウロピウム量の3倍以下であることが好ましい。これにより、酸処理で不溶な異相成分の発生量を低下させることができ、得られるβ型サイアロン蛍光体の輝度をより一層良好にすることができる。
焼成温度が上記下限値以上であると、β型サイアロン蛍光体の粒成長がより効果的に進行するため、光吸収率、内部量子効率及び外部量子効率をより一層良好にすることができる。
焼成温度が上記上限値以下であると、β型サイアロン蛍光体の分解をより一層抑制できるため、光吸収率、内部量子効率および外部量子効率をより一層良好にすることができる。
各焼成工程における昇温時間、昇温速度、加熱保持時間および圧力等の他の条件も特に限定されず、使用する原料に応じて適宜調整すればよい。典型的には、加熱保持時間は3~30時間が好ましく、圧力は0.6~10MPaが好ましい。
具体的な処理方法としては、例えば、焼結体をボールミルや振動ミル、ジェットミル等の一般的な粉砕機を使用して所定の粒度に粉砕する方法が挙げられる。ただし、過度の粉砕は、光を散乱し易い微粒子を生成するだけでなく、粒子表面に結晶欠陥をもたらすため、β型サイアロンの発光効率の低下を引き起こすことがあるので留意すべきである。なお、この処理は、後述する酸処理やアルカリ処理後に行ってもよい。
このアニール工程は希ガス、窒素ガス等の不活性ガス、水素ガス、一酸化炭素ガス、炭化水素ガス、アンモニアガス等の還元性ガス、若しくはこれらの混合ガス、または真空中等の純窒素以外の非酸化性雰囲気中で行うことが好ましく、特に好ましくは水素ガス雰囲気中やアルゴン雰囲気中である。
また、アニール工程は、大気圧下または加圧下のいずれで行ってもよい。アニール工程における熱処理温度は、特に限定されないが、1200~1700℃が好ましく、1300℃~1600℃がより好ましい。
このアニール工程を行うことにより、β型サイアロン蛍光体の発光効率をより一層向上させることができる。また、元素の再配列により、ひずみや欠陥が除去されるため、透明性も向上させることができる。なお、アニール工程では、異相が発生する場合があるが、これは後述する酸処理等によって除去することができる。
ここで、酸処理またはアルカリ処理は、例えば、酸性またはアルカリ性の液体と、第二焼成粉または第二焼成粉のアニール処理物と、を接触させる処理である。フッ素処理は、例えば、フッ素を含むガスと、第二焼成粉または第二焼成粉のアニール処理物と、を接触させる工程である。
このような工程を行うことにより、焼成工程やアニール工程等で発生した異相成分(発光阻害因子)を溶解除去することができるため、β型サイアロン蛍光体の光吸収率、内部量子効率および外部量子効率をより一層向上させることができる。
酸性の液体としては、例えば、フッ化水素酸、硫酸、リン酸、塩酸、硝酸から選ばれる1種以上の酸を含む水溶液を用いることができる。アルカリ性の液体としては、例えば、水酸化カリウム、アンモニア水、水酸化ナトリウムから選ばれる1種以上のアルカリを含む水溶液を用いることができるが、より好ましくは酸性の水溶液であり、特に好ましくはフッ化水素酸と硝酸の混合水溶液である。
以下、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体を用いた発光装置について詳細に説明する。
本実施形態に係る発光装置は、発光光源と波長変換部材とを含む発光装置であって、上記波長変換部材は蛍光体を含み、上記蛍光体が本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体を含む。
図2に示す発光装置10は、発光光源12としてのLEDチップと、発光光源12を搭載する第1のリードフレーム13と、第2のリードフレーム14と、発光光源12を被覆する波長変換部材15と、発光光源12と第2のリードフレーム14を電気的につなぐボンディングワイヤ16と、これらを覆う合成樹脂製のキャップ19で形成されている。波長変換部材15は、蛍光体18と、蛍光体18を分散する封止樹脂17とを有する。
これらの中でも、本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体と組み合わせて用いる蛍光体としては、マンガンが固溶したKSF系蛍光体が好ましい。緑色を示す本実施形態に係るβ型サイアロン蛍光体と、赤色を示す上記KSF系蛍光体とを組み合わせて用いることによって、例えば、高演色TV等に適したバックライト用LEDとして好適に用いることができる。
発光光源12と波長変換部材15を組み合わせることによって高い発光強度を有する光を発光させることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
V型混合機(筒井理化学器械社製S-3)を用いて、宇部興産社製のα型窒化ケイ素粉末(SN-E10グレード、酸素含有量1.0質量%)95.80質量%、トクヤマ社製の窒化アルミニウム粉末(Fグレード、酸素含有量0.8質量%)2.74質量%、大明化学社製の酸化アルミニウム粉末(TM-DARグレード)0.56質量%および信越化学工業社製の酸化ユウロピウム粉末(RUグレード)0.90質量%を混合し、次いで、得られた混合物を目開き250μmの篩に通過させて凝集物を取り除き、第一原料混合粉末を得た。ここでの配合比(第一配合組成(質量%)と呼ぶ。)は、β型サイアロンの一般式:Si6-ZAlZOZN8-Zにおいて、酸化ユウロピウムを除いて、Si/Al比から算出してZ=0.22となるように設計したものである。
得られた第一焼成粉と、信越化学工業社製の酸化ユウロピウム粉末(RUグレード)とを90:10となる配合比(第二配合組成(質量%)と呼ぶ。)で配合し、V型混合機(筒井理化学器械社製S-3)を用いて、第一焼成粉と酸化ユウロピウム粉末を混合した。次いで、得られた混合物を目開き250μmのナイロン篩に通過させて凝集物を取り除き、第二原料混合粉末を得た。
粉末X線回折測定を行った結果、存在する結晶相はβ型サイアロン単相であり、β型サイアロン蛍光体が得られていることがわかった。ICP発光分光分析により測定したEu含有量は、0.72質量%であった。
ここで、実施例1における第一配合組成および第二配合組成を表1に示す。
実施例1のβ型サイアロン蛍光体の一次粒子の50%面積平均径D50、10%面積平均径D10および90%面積平均径D90を、EBSD法を用いて測定した。EBSD法として、走査型電子顕微鏡(日本電子社製FE-SEM、JSM-7001F型)2に電子後方散乱回折像法測定装置(EDAX-TSL社製OIM装置)3を付加した装置を用いて測定した。
加速電圧:15kV
作動距離:15mm
試料傾斜角度:70°
測定領域:80μm×200μm
ステップ幅:0.2μm
測定時間:50msec/ステップ
データポイント数:約400,000ポイント
画像解析にあっては、図3の走査型電子顕微鏡像(SEM像、電子の加速電圧は15kV、倍率は500倍)に示す実施例1のβ型サイアロン蛍光体から、図4のEBSD像を作製することによって行った。図4において、黒背景以外の箇所が一次粒子であり、各輪郭の内部に示した線は、 方位の異なる一次粒子の境界を示している。一次粒子の数が多いほど統計的な解析精度が向上する。一次粒子の数が3000個以上であれば解析に十分なデータが得られる。
この画像解析により求めた実施例1のβ型サイアロン蛍光体の一次粒子の50%面積平均径D50、β型サイアロン蛍光体の一次粒子の10%面積平均径をD10、β型サイアロン蛍光体の一次粒子の90%面積平均径D90、(D50-D10)/D50、(D90-D10)/D50およびβ型サイアロンの二次粒子数に対する一次粒子数の比を表2にそれぞれ示す。
実施例1のβ型サイアロン蛍光体の粒度分布をレーザー回折散乱法によって測定し、DV50を求めた。
β型サイアロン蛍光体の蛍光特性は、以下の方法で測定したピーク強度およびピーク波長により評価した。
装置としては、ローダミンB法および標準光源により校正した分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F-7000)を用いた。得られた蛍光体粉末を専用の固体試料ホルダーに充填し、次いで、分光蛍光光度計を用いて、波長455nmに分光した励起光を照射したときの蛍光スペクトルを測定し、得られた蛍光スペクトルからピーク強度およびピーク波長を求めた。得られた結果を表2に示す。
なお、ピーク強度は測定装置や条件によって変化するため単位は任意単位であり、各実施例および比較例において同一条件で測定し、各実施例および比較例のβ型サイアロン蛍光体を連続して測定し、比較を行った。表2では、比較例1のβ型サイアロン蛍光体のピーク強度を100%とした場合、蛍光体のピーク強度を示している。
蛍光スペクトルのCIE(国際照明委員会:Commission Internationale de l'Eclairage)色度は、瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製、MCPD-7000)にて、積分球を用いて455nmの励起に対する蛍光を集光した全光束の発光スペクトル測定で求めた。
第二配合組成を表1に示す配合比に変更した以外は、実施例1と同じ方法によりβ型サイアロン蛍光体粉末をそれぞれ得た。得られたβ型サイアロン蛍光体に対して、粉末X線回折測定を行った結果、いずれも存在する結晶相はβ型サイアロン単相であった。
また、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表1および表2にそれぞれ示す。
実施例1の第二焼成工程に相当する工程を実施しない以外は実施例1と同様の方法でβ型サイアロン蛍光体粉末を得た。得られたβ型サイアロン蛍光体に対して、粉末X線回折測定を行った結果、存在する結晶相はβ型サイアロン単相であった。
また、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表1および表2にそれぞれ示す。
実施例2の第1焼成工程において、実施例2の第一焼成粉を5質量%添加し、第一配合組成を表1に示す配合比に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でβ型サイアロン蛍光体粉末を得た。
また、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表1および表2にそれぞれ示す。
実施例4の第二焼成工程に相当する工程を実施しない以外は実施例4と同様の方法でβ型サイアロン蛍光体粉末を得た。得られたβ型サイアロン蛍光体に対して、粉末X線回折測定を行った結果、存在する結晶相はβ型サイアロン単相であった。
また、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表1および表2にそれぞれ示す。
粉砕条件を調整し、より小粒径となるよう調整したこと以外は、実施例2と同様の方法でβ型サイアロン蛍光体粉末を得た。
また、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表1および表2にそれぞれ示す。
実施例5の第二焼成工程に相当する工程を実施しない以外は実施例5と同様の方法でβ型サイアロン蛍光体粉末を得た。得られたβ型サイアロン蛍光体に対して、粉末X線回折測定を行った結果、存在する結晶相はβ型サイアロン単相であった。
また、実施例1と同様の評価をおこなった。得られた結果を表1および表2にそれぞれ示す。
2 走査型電子顕微鏡
2A 鏡筒部
2B ステージ部
2C ステージ制御部
2D 電子線走査部
2E 制御用コンピュータ
3 電子後方散乱回折像法測定装置
4 試料
5 電子線
6 後方散乱された電子
7 蛍光スクリーン
8 カメラ
10 発光装置
12 発光光源(LEDチップ)
13 第1のリードフレーム
13a 上部
13b 凹部
14 第2のリードフレーム
15 波長変換部材
16 ボンディングワイヤ
17 封止樹脂
18 蛍光体(β型サイアロン蛍光体)
19 キャップ
Claims (8)
- ユウロピウムが固溶したβ型サイアロン蛍光体であって、
前記β型サイアロン蛍光体は、一般式Si6-zAlzOzN8-z:Eu2+(0<Z≦4.2)で示され、
以下の手順により、前記β型サイアロン蛍光体の単結晶粒子を特定し、当該単結晶粒子の50%面積径をD50とし、前記単結晶粒子の10%面積径をD10としたとき、
前記β型サイアロン蛍光体は、前記単結晶粒子からなる粒子と、複数の前記単結晶粒子が粒界を介して焼結してなる粒子とを含むものであって、
D50が9.2μm以上20.0μm以下であり、
(D50-D10)/D50が0.60以下であるβ型サイアロン蛍光体。
(手順)
(i)前記β型サイアロン蛍光体を測定対象とする電子後方散乱回折像法の測定により、電子後方散乱回折像のデータを得る。
(ii)前記電子後方散乱回折像のデータを解析し、個々の前記β型サイアロン蛍光体の粒子における結晶方位を識別し、個々の結晶方位毎に区別できる領域を単結晶粒子とする。当該単結晶粒子の断面積を画像解析により求める。
(iii)前記単結晶粒子の前記断面積から累積カーブを作成し、50%および10%にあたる点の単結晶粒子の断面積を求め、これらを用いて、円換算した場合の直径にあたる単結晶粒子の50%面積径および10%面積径をそれぞれ求める。 - 請求項1に記載のβ型サイアロン蛍光体において、
前記手順の(iii)において、90%にあたる点の単結晶粒子の断面積を求め、これを用いて、円換算した場合の直径にあたる単結晶粒子の90%面積径を求め、当該単結晶粒子の90%面積径をD90としたとき、
(D90-D10)/D50が1.45以下であるβ型サイアロン蛍光体。 - 請求項1または2に記載のβ型サイアロン蛍光体において、
前記一般式において、0.005≦Z≦1.0であるβ型サイアロン蛍光体。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のβ型サイアロン蛍光体において、
前記β型サイアロン蛍光体のDV50粒径(JIS R 1629:1997に準拠したレーザー回折散乱法による体積基準の積算分率における50%体積径)が5μm以上50μm以下であるβ型サイアロン蛍光体。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のβ型サイアロン蛍光体において、
前記単結晶粒子が粒界を介して焼結してなる粒子の数に対する前記単結晶粒子からなる粒子の数の比が1.90以下であるβ型サイアロン蛍光体。 - 発光光源と波長変換部材とを含む発光装置であって、
前記波長変換部材は蛍光体を含み、
前記蛍光体が請求項1乃至5のいずれか一項に記載のβ型サイアロン蛍光体を含む発光装置。 - 請求項6に記載の発光装置において、
前記発光光源が、300nm~500nmの波長の光を発生するLEDチップを含む発光装置。 - 請求項6または7に記載の発光装置において、
前記蛍光体が、マンガンが固溶したKSF系蛍光体をさらに含む発光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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