1つまたはそれ以上の実施形態において、チェーンソーは、ソーチェーンを回転させるモータと、ソーチェーンに供給するオイルを貯蔵するオイルタンクと、モータとオイルタンクとが配置される第1空間を有するハウジングと、を備えてもよい。ハウジングは、第1空間とハウジングの外部とを連通する貫通孔を有してもよい。オイルタンクは、内部にオイルを貯蔵するオイルタンク本体と、貫通孔に挿通されてハウジングの外部に露出しておりオイルタンク本体の内部にオイルを給油するための給油部と、抑止構造と、を備えてもよい。抑止構造は、給油部よりもモータ側に配置されていてもよく、給油部が鉛直方向の上方を向くようにチェーンソーを載置面に載置したとき、鉛直方向の上方を向いているオイルタンク本体の第1外面上のオイルがモータ側に流れることを抑えてもよい。
上記の構成では、オイルがモータ側に向かって給油部の外にこぼれた場合、抑止構造は、こぼれたオイルがモータ側に向かって流れることを抑制する。このため、ハウジング内にあってモータ側に位置するオイルタンクの外面にオイルが流れることを抑制することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、オイルタンク本体の第1外面は、給油部が鉛直方向の上方を向くようにチェーンソーを載置面に載置したとき、モータから離れる方向に向かって鉛直方向の下方に傾斜していてもよい。
上記の構成では、オイルが給油部の外にこぼれた場合、オイルは、オイルタンク本体の第1外面上を、モータから離れる方向に向かってオイルタンク本体の第1外面上を流れる。このため、ハウジング内にあってモータ側に位置するオイルタンクの外面にオイルが流れることを抑制することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、オイルタンクは、案内構造を備えてもよい。案内構造は、抑止構造に接続されていてもよく、給油部が鉛直方向の上方を向くようにチェーンソーを載置面に載置したとき、モータから離れる方向に向けてオイルを案内してもよい。
上記の構成では、給油部の外にこぼれて抑止構造によってせき止められたオイルは、案内構造に案内され、モータから離れる方向に向かって流れる。この結果、ハウジング内にあってモータ側に位置するオイルタンクの外面にオイルが流れることを抑制することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、ハウジングの第1空間側の面には、オイルタンクから垂れたオイルを受ける受け部が形成されていてもよい。受け部は、チェーンソーが作業姿勢にある場合に、オイルタンクの鉛直方向の下方に配置されていてもよく、チェーンソーを鉛直方向の上方から見たときにオイルタンクと少なくとも部分的に重なり合っていてもよい。
チェーンソーが作業姿勢にあるとき、オイルは、オイルタンクの外面を伝って、鉛直方向の下方に移動する。その後、オイルはオイルタンクから垂れる。上記の構成では、オイルは、ハウジングの第1空間側の面に形成された受け部に垂れる。このため、オイルが受け部の外に垂れることを抑制することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、ハウジングには、第1空間とハウジングの外部とを連通する連通孔が形成されていてもよい。連通孔は、受け部に形成されていてもよい。
上記の構成では、チェーンソーが作業姿勢にあるとき、受け部内のオイルは、連通孔を通り、ハウジングの外部に排出される。このため、オイルがハウジングの内部に蓄積することを抑制することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1空間は、モータを冷却する空気が流れる空気流路を備えてもよい。オイルタンクは、空気流路の一部を画定していてもよい。
上記の構成では、オイルタンクの外面に沿って空気が流れる。オイルタンクの外面に屑が付着した場合でも、空気によって屑をオイルタンクの外面から取り除くことができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、チェーンソーは、ソーチェーンを回転させる原動機と、ソーチェーンの回転を停止させるブレーキ機構と、原動機が配置される第1空間およびブレーキ機構が配置される第2空間を内部に有するハウジングと、ブレーキ機構を操作する操作部材と、を備えてもよい。ハウジングは、第1空間と第2空間とを連通する開口と、第2空間とハウジングの外部とを連通する貫通孔と、を有してもよい。操作部材は、貫通孔を介して、第2空間とハウジングの外部に跨って配置されていてもよい。操作部材は、ソーチェーンの回転を妨げるようにブレーキ機構を動作させるブレーキ位置と、ソーチェーンの回転を妨げないようにブレーキ機構を動作させる駆動位置との間で移動可能であってもよい。ブレーキ機構は、操作部材の移動に連動して第2空間内で移動する連結部材を備えてもよい。
上記の構成では、原動機が配置された第1空間とブレーキ機構が配置された第2空間とが開口によって連通しているため、ブレーキ機構の連結部材が第2空間内で移動するときに、第2空間に存在する屑が、開口を介して第2空間から第1空間に排出される。このため、屑が第2空間に蓄積して、ブレーキ機構の動作に支障が生じることを抑制することができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、チェーンソーが作業姿勢にあるとき、開口は、連結部材の鉛直方向の下方に配置されていてもよい。
上記の構成では、チェーンソーが作業姿勢にあるとき、第2空間に存在する屑は、重力によって開口の近傍に蓄積される。このため、連結部材が第2空間内で移動したとき、第2空間内の屑を、開口を介して第2空間から第1空間に排出し易くすることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、連結部材は、操作部材が駆動位置にあるときに直線状態となり、操作部材がブレーキ位置にあるときに屈曲状態となる関節部材と、関節部材に圧縮力を作用させる付勢部材と、を備えてもよい。
上記の構成では、操作部材が駆動位置にあり、関節部材が直線状態にあるときに、付勢部材から圧縮力が作用していても、関節部材は直線状態で維持される。しかしながら、切断作業時のキックバックによって、チェーンソーに衝撃が作用すると、関節部材がわずかに屈曲して、付勢部材から作用する圧縮力によって、関節部材が直線状態から屈曲状態に切り替わる。上記の構成では、キックバックが発生したとき、自動的にブレーキ機構を動作させることができ、作業者の安全性を高めることができる。
1つまたはそれ以上の実施形態において、チェーンソーは、原動機の回転をソーチェーンに伝達するシャフトと、シャフトに固定されたブレーキドラムと、をさらに備えてもよい。ブレーキ機構は、ブレーキドラムの周囲を囲うように配置されており操作部材が駆動位置からブレーキ位置に移動すると縮径してブレーキドラムの回転を妨げ、操作部材がブレーキ位置から駆動位置に移動すると拡径してブレーキドラムの回転を妨げないバンドシューと、をさらに備えてもよい。
上記の構成では、簡素な構成によって、ブレーキ機構を実現することができる。
(実施例)
図1から図13を参照して、実施例のチェーンソー2を説明する。図1に示すように、チェーンソー2は、ハウジング4と、ガイドバー6と、ソーチェーン8と、を備える。ガイドバー6は、細長い板状の部材である。ガイドバー6は、ハウジング4から前方に向かって突出するようにハウジング4に取り付けられている。ソーチェーン8は、複数のカッタが互いに連結された環状のチェーンである。ソーチェーン8は、ガイドバー6の周縁に沿って取り付けられている。ハウジング4には、バッテリ10が取り付けられている。バッテリ10から供給される電力によって、ソーチェーン8をガイドバー6の周縁に沿って回転させることで、チェーンソー2は、木材等の被切断物を切断する。以下では、チェーンソー2を地面等の載置面P(図2参照)に載置したときに、載置面Pに直交する方向(鉛直方向)を上下方向と呼び、載置面Pにガイドバー6の長手方向を投影した方向を前後方向と呼び、上下方向と前後方向とに直交する方向を左右方向と呼ぶ。なお、図面を見易くするために、図1以外の図面では、ソーチェーン8が図示省略されている。
ハウジング4は、ハウジング本体12を備える。ハウジング本体12の後方下部には、バッテリ10が取り付けられる。また、ハウジング本体12の上面には、作業者がチェーンソー2の電源のオン状態とオフ状態とを切り替えるための電源スイッチ22と、電源ランプ24が配置されている。電源ランプ24が点灯しているとき、チェーンソー2の電源はオン状態であり、電源ランプ24が消灯しているとき、チェーンソー2の電源はオフ状態である。
チェーンソー2は、トップハンドルチェーンソーである。ハウジング本体12は、ハウジング本体12の上部に、作業者が手で把持するためのトップハンドル14aを有する。トップハンドル14aは、電源スイッチ22と電源ランプ24よりも後方に配置されている。トップハンドル14aの断面は、略円形状を有する。トップハンドル14aの下面には、トリガスイッチ26が配置されている。作業者によって、トリガスイッチ26が押し上げられると、ソーチェーン8がガイドバー6の周縁に沿って回転する。
トップハンドル14aの上面には、トリガロックレバー28が配置されている。トリガロックレバー28が押し上げられた状態では、作業者はトリガスイッチ26を操作することができない。一方、トリガロックレバー28が押し下げられた状態では、作業者はトリガスイッチ26を操作することができる。
サイドハンドル14bは、作業者が手で把持するための部材である。サイドハンドル14bは、ハウジング本体12の前方上部の左側面と前方下部の左側面との間を連結している。作業者は、チェーンソー2を使用するとき、右手でトップハンドル14aを把持し、左手でサイドハンドル14bを把持して、チェーンソー2を保持する。
図2に示すように、ハウジング本体12は、ハウジング本体12の後面に吸気孔16を有する。吸気孔16は、厚み方向にハウジング本体12を貫通している。吸気孔16は、ハウジング本体12の外部から内部に空気を吸い込むための孔である。
ハウジング本体12は、ハウジング本体12の下面に、凹部18を有する。凹部18は、ハウジング本体12の下面から内側に向かって凹んでいる。凹部18の内部には、排気孔20が配置されている。排気孔20は、厚み方向にハウジング本体12を貫通している。排気孔20は、ハウジング本体12の内部から外部に空気を排気するための孔である。チェーンソー2が作業姿勢で載置面Pに載置されても、排気孔20は、載置面Pによって塞がれない。
ハウジング本体12は、内部に第1空間12aを有する。図3に示すように、第1空間12aには、モータ34とオイルタンク60とが配置されている。
モータ34は、ソーチェーン8を回転させる原動機である。モータ34は、アウタロータ型のDCブラシレスモータである。モータ34は、ステータ36と、ロータ40と、冷却ファン42と、シャフト44と、を備える。ステータ36は、コアの周りにコイル線38が巻き回されている部材である。ステータ36は、ハウジング本体12に対して固定されている。
ステータ36の外側には、ロータ40が配置されている。バッテリ10からコイル線38に電力が供給されると、ロータ40は、ステータ36の周りを回転する。
ロータ40には、冷却ファン42が連結されている。ロータ40が回転すると、冷却ファン42も同時に回転する。これにより、ハウジング4の外部の空気が、ハウジング本体12の吸気孔16から第1空間12aに侵入し、ステータ36とロータ40とシャフト44とを冷却して冷却ファン42まで流れる。その後、空気は、ハウジング本体12の排気孔20からハウジング4の外部に排出される。なお、図2および図3には、空気の流れの向きを示す矢印が図示されている。以下では、第1空間12aにあって、冷却ファン42の回転によって空気が流れる第1空間12aを空気流路12bと呼ぶ。
シャフト44は、ステータ36とロータ40との中央を貫通するように配置されている。シャフト44は、細長い円柱形状を有する。シャフト44は、ベアリング46、48を介してハウジング本体12に回転可能に支持されている。シャフト44は、冷却ファン42に連結されている。ロータ40の回転に伴い冷却ファン42が回転すると、シャフト44も同時に回転する。シャフト44は、モータ34の回転をソーチェーン8に伝達する。
シャフト44の一端は、ハウジング本体12の外部に突出している。シャフト44の一端の近傍には、スプロケット50とブレーキベース52とが固定されている。スプロケット50とブレーキベース52とは、ベアリング46、48よりもシャフト44の一端に近い箇所に配置されている。ブレーキベース52には、ブレーキドラム54が嵌合している。
スプロケット50は、ハウジング本体12の外部に配置されている。スプロケット50には、ガイドバー6からソーチェーン8が架け渡されている。モータ34が駆動すると、シャフト44の回転に伴いスプロケット50も同時に回転する。これにより、ソーチェーン8がガイドバー6の周縁に沿って回転する。
モータ34の前方には、オイルタンク60が配置されている。第1空間12aでは、オイルタンク60は、ハウジング本体12の最前部に位置している。図3および図4に示すように、オイルタンク60は、オイルタンク本体62と、給油部64と、抑止構造66と、案内構造70と、を備える。図3および図4では、オイルタンク60の給油部64が上方を向いている。以下では、給油部64が上方を向いている状態の図面を使用して説明する。このため、以下では、上下方向と前後方向と左右方向とは、給油部64が上方を向いているときの方向であることに留意されたい。
図3に示すように、オイルタンク本体62の一端は、ハウジング本体12に固定されている。オイルタンク本体62とハウジング本体12とによって内部に空間が画定されている。この空間にオイルが貯蔵される。オイルタンク本体62は、内部の空間にオイルを貯蔵することができる。モータ34の回転に連動して駆動する給油ポンプ(図示省略)によって、オイルはソーチェーン8に供給される。オイルは、ソーチェーン8とガイドバー6との摩擦抵抗を下げる。これにより、ソーチェーン8の摩耗が抑制される。また、オイルタンク本体62の外面は、空気流路12bの一部を画定している。空気は、オイルタンク本体62の外面に沿ってオイルタンク本体62とモータ34との間を流れる。
給油部64は、オイルタンク本体62にオイルを給油するための開口である。図4に示すように、給油部64は、オイルタンク本体62の第1外面62aに配置されている。第1外面62aは、給油部64が上方を向くようにチェーンソー2を載置面Pに載置したときのオイルタンク60の上面である。第1外面62aは、モータ34から離れる方向に向かって(即ち、チェーンソー2の前方に向かって)下方に傾斜している。
図3に示すように、給油部64は、ハウジング本体12に形成されている貫通孔76に挿通されている。図1に示すように、チェーンソー2が作業姿勢にあるとき、貫通孔76は、ハウジング本体12の左側面の前方に位置している。貫通孔76は、厚み方向にハウジング本体12を貫通している。貫通孔76は、第1空間12aとハウジング4の外部とを連通する。このため、給油部64は、ハウジング本体12の外部に露出している。給油部64には、給油部64に取り外し可能なキャップ64aが取り付けられる。
図4に示すように、オイルタンク本体62の第1外面62aには、抑止構造66が設けられている。抑止構造66は、オイルタンク本体62の第1外面62aから外側に向かって(即ち、上方に向かって)延びている。抑止構造66は、給油部64の外周に沿って延びている。これにより、給油部64と抑止構造66との間に、溝68が形成される。抑止構造66は、第1外面62a上のオイルがモータ34側に流れることを抑制する。これにより、オイルタンク本体62のモータ34側の外面にオイルが付着しないため、空気流路12bに被切断物から発生する屑が蓄積することを抑制することができる。
図3に示すように、オイルタンク60が第1空間12aに配置されているとき、抑止構造66は、貫通孔76の周縁のハウジング本体12の内面(以下では、内面と呼ぶ)から延びる周壁78の周りに配置されている。周壁78は、給油部64と抑止構造66との間に配置されている。モータ34に近づく方向に向かって、給油部64、周壁78、抑止構造66が順に並んでいる。周壁78は、溝68に配置されている。溝68は、周壁78を受け入れている。
図4に示すように、オイルタンク本体62の第1外面62aには、案内構造70が設けられている。案内構造70は、オイルタンク本体62の第1外面62aから外側に向かって(即ち、上方に向かって)延びている。案内構造70は、抑止構造66に接続されている。案内構造70と抑止構造66とは、一体的に形成されている。案内構造70は、第1外面62a上のオイルをモータ34から離れる方向に向けて案内する。案内構造70は、第1案内構造72と第2案内構造74とを備える。第1案内構造72は、抑止構造66の左側(チェーンソー2が作業姿勢にあるときは抑止構造66の下方)に配置されており、第2案内構造74は、抑止構造66の右側(チェーンソー2が作業姿勢にあるときは抑止構造66の上方)に配置されている。第1案内構造72は、抑止構造66に連結される端から左側に向かって延びており、その後湾曲して前方に向かって延びている。第2案内構造74は、抑止構造66に連結される端から右側に向かって延びており、その後湾曲して前方に向かって延びている。図示省略しているが、オイルタンク60が第1空間12aに配置されているとき、第1案内構造72と第2案内構造74とは、ハウジング本体12の周壁78の周りに配置されている。
上記では、給油部64が上方を向いている状態の図面を使用して説明したが、以下では、チェーンソー2が作業姿勢にある状態の図面を使用して説明する。このため、以下では、上下方向と前後方向と左右方向とは、チェーンソー2が作業姿勢にあるときの方向であることに留意されたい。図2に示すように、オイルタンク60の下方には、内壁80が配置されている。内壁80は、ハウジング本体12の内面に設けられている。内壁80は、ハウジング本体12の内面からオイルタンク60に向かって延びている。内壁80は、左右方向(図2では紙面垂直方向)に延びている。内壁80の一端は、ハウジング本体12の左側内面まで達している。内壁80は、オイルタンク60と離れている。
内壁80は、内壁80よりも前方に受け部82を画定している。受け部82は、ハウジング本体12の下側内面に形成されている。受け部82は、ハウジング本体12の前側内面と内壁80との間に配置されている。受け部82は、左右方向(図2では紙面垂直方向)に延びている。受け部82は、オイルタンク60の下方に配置されている。作業姿勢にあるチェーンソー2を上方から見たとき、受け部82は、オイルタンク60に重なり合っている。受け部82は、オイルタンク60から垂れたオイルを受ける。
図5に示すように、ハウジング本体12は、ハウジング本体12の前方下面に連通孔84を有する。連通孔84は、厚み方向にハウジング本体12を貫通している。連通孔84は、第1空間12aとハウジング4の外部とを連通する。連通孔84は、受け部82に形成されている。連通孔84は、受け部82の長手方向の端部に位置している。
図6に示すように、ハウジング4は、ブレーキカバー90をさらに備える。図6では、ガイドバー6が図示省略されている。ブレーキカバー90は、ハウジング本体12の右側面に固定されている。ブレーキカバー90は、ハウジング本体12との間に第2空間92を形成している。即ち、ハウジング4は、第2空間92を有する。ブレーキカバー90は、前方において、ハウジング本体12との間に貫通孔98を形成している。即ち、ハウジング4は、貫通孔98を有する。貫通孔98は、第2空間92とハウジング4の外部とを連通する。
また、ブレーキカバー90は、ハウジング本体12に形成されている開口94(図7および図8参照)と、ハウジング本体12に設けられている案内壁96(図7および図8参照)とを覆っている。
図7および図8に示すように、開口94と案内壁96とは、ハウジング本体12の右側面の前方に配置されている。開口94は、厚み方向にハウジング本体12を貫通している。開口94は、空気流路12b(即ち第1空間12a)と第2空間92を連通している。
案内壁96は、ハウジング本体12と一体的に形成されている。案内壁96は、ハウジング本体12の右側面から突出している。案内壁96は、開口94の下端の周縁に沿って延びている。案内壁96は、案内壁96の基端でハウジング本体12の右側面に接続しており、ハウジング本体12の右側面から離間するのに従って上方に向かって延びている。即ち、案内壁96は、案内壁96の基端から先端に向かって、上方に傾斜している。案内壁96は、開口94の上端の周縁を覆っていない。
チェーンソー2は、操作部材100とブレーキ機構104とをさらに備える。操作部材100の一部とブレーキ機構104とは、第2空間92に配置されている。
操作部材100は、貫通孔98に挿通されている。操作部材100は、第2空間92とハウジング4の外部とに跨って配置されている。貫通孔98に挿通される部分の操作部材100の断面は、貫通孔98の断面よりも小さい。このため、貫通孔98に操作部材100が挿通されても、第2空間92とハウジング4の外部とは、貫通孔98を介して連通している。第2空間92側に配置されている操作部材100の端部は、ハウジング本体12に回動可能に支持されている。操作部材100は、駆動位置とブレーキ位置との間を移動する。駆動位置にある操作部材100が前方に向けて押し倒されると、操作部材100は駆動位置からブレーキ位置に移動する。一方、ブレーキ位置にある操作部材100が後方に向けて引き起こされると、操作部材100はブレーキ位置から駆動位置に移動する。
ブレーキ機構104は、操作部材100によって操作されてソーチェーン8の回転を停止する。ブレーキ機構104は、付勢部材102と、突起部材103と、連結部材105と、バンドシュー114と、を備える。付勢部材102は、コイルばねである。図7に示すように、操作部材100が駆動位置にあるとき、付勢部材102は、突起部材103を、操作部材100の第2空間92側の端部の近傍に位置している溝部100aに押し付けている。このため、操作部材100を前方に向けて倒す力が操作部材100に作用しても、その力が所定値よりも小さいと、操作部材100は駆動位置で維持される。一方、その力が所定値よりも大きいと、操作部材100は駆動位置からブレーキ位置に移動する。
付勢部材102と突起部材103とともに、連結部材105は、第2空間92に配置されている。連結部材105は、関節部材106と、中間部材108と、付勢部材110と、を備える。関節部材106の一端は、操作部材100に固定されている。関節部材106の下方に、開口94と案内壁96とが配置されている。関節部材106は、直線状態と屈曲状態とに切り替わる。関節部材106は、操作部材100の移動に連動して移動する。図7に示すように、操作部材100が駆動位置にあるとき、関節部材106は直線状態になる。直線状態では、関節部材106は、直線状に延びている。図8に示すように、操作部材100がブレーキ位置にあるとき、関節部材106は、屈曲状態になる。屈曲状態では、関節部材106は、上方に向かって屈曲している。関節部材106が直線状態と屈曲状態との間を移動すると、第2空間92に存在する屑は、開口94を通って、空気流路12b(即ち第1空間12a)に移動する。その後、屑は、空気流路12bを流れる空気によって、排気孔20からハウジング4の外部に排出される。
関節部材106の他端には、中間部材108が回動可能に接続されている。図7に示すように、関節部材106が直線状態にあるとき、中間部材108は後方位置に位置している。一方、図8に示すように、関節部材106が屈曲状態にあるとき、中間部材108は前方位置に位置している。中間部材108の一部は、付勢部材110の内部に挿通されている。
付勢部材110は、コイルばねである。付勢部材110は、ハウジング本体12に対して、中間部材108を前方に向かって付勢する。図7に示すように、操作部材100が駆動位置にあり、関節部材106が直線状態にある場合、付勢部材110の圧縮力が中間部材108に作用しても、関節部材106は直線状態で維持される。しかしながら、切断作業時のキックバックによって、チェーンソー2に衝撃が作用すると、関節部材106がわずかに屈曲して、付勢部材110の圧縮力によって関節部材106が直線状態から屈曲状態に切り替わるとともに、操作部材100が駆動位置からブレーキ位置に移動する(図8参照)。
中間部材108には、バンドシュー114が接続されている。バンドシュー114は、ブレーキドラム54の周囲を囲うように配置されている。バンドシュー114の他端は、ハウジング本体12に固定されている。図8に示すように、操作部材100が駆動位置からブレーキ位置に移動すると、中間部材108が前方位置に移動し、バンドシュー114は縮径して、ブレーキドラム54の外周面に当接する。バンドシュー114とブレーキドラム54との間に働く摩擦力によって、ブレーキドラム54の回転が妨げられる。即ち、スプロケット50の回転が妨げられる。これにより、ソーチェーン8の回転が停止する。一方、図7に示すように、操作部材100がブレーキ位置から駆動位置に移動すると、中間部材108が後方位置に移動して、バンドシュー114は拡径して、ブレーキドラム54の外周面から離れる。この場合、ブレーキドラム54の回転が妨げられない。即ち、スプロケット50の回転が妨げられない。このため、ソーチェーン8が回転する。
図9および図10に示すように、チェーンソー2は、スイッチ部材120と板部材124とをさらに備える。図9および図10は、作業姿勢にあるチェーンソー2のハウジング本体12の右側面の前方を第1空間12a側から見た図である。図9に示すように、スイッチ部材120と板部材124とは、ハウジング本体12の第1空間12aに配置されている。図示省略しているが、スイッチ部材120と板部材124とは、ハウジング本体12の右側面を挟んで、ブレーキ機構104に対して反対側に配置されている。スイッチ部材120は、スイッチ122を有する。スイッチ122が押されている状態では、モータ34に電流が供給されることが許容される。このため、トリガスイッチ26(図1参照)が押されると、モータ34が駆動して、ソーチェーン8が回転する。スイッチ122が押されていない状態では、モータ34に電流が供給されることが禁止される。このため、トリガスイッチ26(図1参照)が押されていても、モータ34が駆動せず、ソーチェーン8が回転しない。
板部材124は、直線部126と湾曲部128とを備える。直線部126は、直線状に延びている。湾曲部128は、半円状に湾曲している。
チェーンソー2は、押付部材132をさらに備える。押付部材132は、操作部材100に一体的に形成されている。押付部材132は、ハウジング本体12の右側面に形成されている挿通孔134に挿通されて、第1空間12aまで延びている。挿通孔134は、第2空間92側で操作部材100によって塞がれている。操作部材100が移動すると、押付部材132が連動して移動する。図9に示すように、操作部材100が駆動位置にあるとき、押付部材132は湾曲部128に当接して、直線部126をスイッチ部材120に向けて押し付けている。この状態では、スイッチ122が押されている。図10に示すように、操作部材100がブレーキ位置にあるとき、押付部材132は、板部材124に当接せずに離れている。この状態では、直線部126は、スイッチ122から離れている。即ち、スイッチ122が押されていない。
図11に示すように、ハウジング4は、内側プレート136と、外側プレート142と、スプロケットカバー150と、をさらに備える。内側プレート136と外側プレート142とは、ガイドバー6を挟持した状態で、ハウジング本体12の右側面に固定されている。
図12に示すように、内側プレート136は、第1平面部138と、第1屈曲部139a、139bと、第2平面部140a、140bと、第2屈曲部141a、141bと、を備える。第1平面部138は上下方向に延びている。第1屈曲部139a、139bのそれぞれは、第1平面部138の上下方向の端部のそれぞれに接続されて、左側に向かって屈曲している。第2平面部140a、140bのそれぞれは、第1屈曲部139a、139bのそれぞれに接続されて、上下方向に延びている。第2屈曲部141aは、第2平面部140aの上端部に接続されて、上方左側に向かって屈曲している。第2屈曲部141bは、第2平面部140bの下端部に接続されて、下方左側に向かって屈曲している。
図13に示すように、外側プレート142は、第1平面部144と、第1屈曲部145a、145bと、第2平面部146a、146bと、第2屈曲部147a、147bと、を備える。第1平面部144は上下方向に延びている。第1屈曲部145a、145bのそれぞれは、第1平面部144の上下方向の端部のそれぞれに接続されて、右側に向かって屈曲している。第2平面部146a、146bのそれぞれは、第1屈曲部145a、145bのそれぞれに接続されて、上下方向に延びている。第2屈曲部147aは、第2平面部146aの上端部に接続されて、上方右側に向かって屈曲している。第2屈曲部147bは、第2平面部146bの下端部に接続されて、下方右側に向かって屈曲している。
図11に示すように、内側プレート136の第1平面部138と外側プレート142の第1平面部144との間にガイドバー6が配置されている。内側プレート136の第1平面部138と外側プレート142の第1平面部144との間の幅は、ガイドバー6の厚み方向の幅と等しい。内側プレート136の第2平面部140aと外側プレート142の第2平面部146aとの間の幅は、内側プレート136の第2平面部140bと外側プレート142の第2平面部146bとの間の幅と等しく、内側プレート136の第1平面部138と外側プレート142の第1平面部144との間の幅よりも長い。ソーチェーン8が回転すると、ソーチェーン8は、内側プレート136の第2平面部140aと外側プレート142の第2平面部146aとの間および内側プレート136の第2平面部140bと外側プレート142の第2平面部146bとの間を通過する。図11では、ソーチェーン8の通過領域が一点鎖線で図示されている。チェーンソー2を使用して被切断物を切断したときにソーチェーン8に付着した屑は、内側プレート136の第2平面部140aと外側プレート142の第2平面部146aとの間および内側プレート136の第2平面部140bと外側プレート142の第2平面部146bとの間でソーチェーン8から外れる。
スプロケット50と内側プレート136と外側プレート142とは、スプロケットカバー150によって覆われている。スプロケットカバー150は、ハウジング本体12の右側面に固定されている。
本実施例のチェーンソー2では、オイルタンク60の給油部64が上方を向くようにチェーンソー2を載置面Pに載置した状態で、オイルがオイルタンク60に給油される。給油をしているとき、オイルが給油部64の外にこぼれる場合がある。本実施例のチェーンソー2では、ハウジング4のハウジング本体12の第1空間12aには、モータ34とオイルタンク60とが配置されている。オイルタンク60の給油部64は、貫通孔76に挿通されてハウジング4のハウジング本体12の外部に露出している。オイルタンク60の抑止構造66は、給油部64が鉛直方向の上方を向くようにチェーンソー2を載置面Pに載置したとき、給油部64よりもモータ34側に配置されており、鉛直方向の上方を向いているオイルタンク本体62の第1外面62a上のオイルがモータ34側に流れることを抑制する。上記の構成では、オイルがモータ34側に向かって給油部64の外にこぼれた場合、抑止構造66は、オイルがモータ34側に向かって流れることを抑制する。このため、オイルが、第1空間12aにあってモータ34側に位置するオイルタンク本体62の外面に流れることを抑制することができる。
また、給油部64が鉛直方向の上方を向くようにチェーンソー2を載置面Pに載置したとき、第1外面62aは、モータ34から離れる方向に向かって鉛直方向の下方に傾斜している。上記の構成では、オイルが給油部64の外にこぼれた場合、オイルは、第1外面62a上をモータ34から離れる方向に向かって流れる。このため、オイルが、第1空間12aにあってモータ34側に位置するオイルタンク本体62の外面に流れることを抑制することができる。
また、案内構造70は、抑止構造66に接続されている。案内構造70は、モータ34から離れる方向に向けてオイルを案内する。上記の構成では、抑止構造66によってせき止められたオイルは、案内構造70に案内されて、モータ34から離れる方向に向かって流れる。このため、オイルが第1空間12aにあってモータ34側に位置するオイルタンク本体62の外面に流れることを抑制することができる。
また、チェーンソー2が作業姿勢にあるとき、給油部64の外にこぼれたオイルは、オイルタンク本体62の外面を伝って、鉛直方向の下方に流れる。その後、オイルはオイルタンク本体62から垂れる。本実施例のチェーンソー2では、チェーンソー2が作業姿勢にある場合に、受け部82は、オイルタンク60の鉛直方向の下方に配置されており、チェーンソー2を鉛直方向の上方から見たときにオイルタンク60と少なくとも部分的に重なり合っている。上記の構成では、オイルは、オイルタンク60から受け部82に向かって垂れる。このため、オイルが受け部82の外に垂れることを抑制することができる。
また、連通孔84は、第1空間12aとハウジング4のハウジング本体12の外部とを連通する。連通孔84は、受け部82に形成されている。上記の構成では、チェーンソー2が作業姿勢にあるとき、受け部82に垂れたオイルは、連通孔84を通り、ハウジング本体12の外部に排出される。このため、オイルが第1空間12aに蓄積することを抑制することができる。
また、オイルタンク本体62は、空気流路12bの一部を画定している。空気は、オイルタンク本体62の外面に沿って、オイルタンク本体62とモータ34との間を流れる。上記の構成では、オイルタンク本体62の外面に屑が付着した場合でも、オイルタンク本体62の外面に沿って流れる空気によって、屑をオイルタンク本体62の外面から取り除くことができる。
また、オイルタンク60が第1空間12aに配置されているとき、抑止構造66は、ハウジング本体12の貫通孔76の周縁に沿って延びている周壁78に当接している。周壁78は、給油部64と抑止構造66との間に形成される溝68の間に配置されている。上記の構成では、オイルをオイルタンク60に給油しているときにオイルが給油部64の外に勢い良くこぼれた場合、周壁78は、オイルの流れの勢いを抑制する。このため、チェーンソー2が周壁78を備えない場合と比較して、オイルが、抑止構造66を乗り越えてモータ34側に流れることを抑制することができる。
また、本実施例のチェーンソー2を使用して被切断物を切断する切断作業中に、被切断物の屑が、貫通孔98を通って、第2空間92に侵入して蓄積することがある。本実施例のチェーンソー2では、操作部材100とブレーキ機構104とは、第2空間92に配置されている。操作部材100は、ブレーキ位置と駆動位置との間を移動する。ブレーキ機構104の連結部材105の関節部材106は、操作部材100に連動して第2空間92内で移動する。ハウジング4のハウジング本体12の開口94は、第1空間12aと第2空間92とを連通している。上記の構成では、操作部材100に連動して関節部材106が移動することによって、第2空間92に存在する屑は押されて移動する。屑は、開口94を介して第2空間92から第1空間12aに排出される。このため、屑が第2空間92に蓄積して、ブレーキ機構104の動作に支障が生じることを抑制することができる。
また、チェーンソー2が作業姿勢にあるとき、開口94は、ブレーキ機構104の鉛直方向の下方に配置されている。上記の構成では、チェーンソー2が作業姿勢にあるときに、第2空間92に存在する屑は、重力によって開口94の近傍に蓄積される。このため、関節部材106が移動したときに、屑を、開口94を介して第2空間92から第1空間12aに排出し易くすることができる。
また、関節部材106は、操作部材100が駆動位置にあるときに直線状態になり、操作部材100がブレーキ位置にあるときに屈曲状態になる。付勢部材110は、中間部材108を前方に向かって付勢することによって、関節部材106に圧縮力を作用させる。上記の構成では、関節部材106が直線状態にあるときに、付勢部材110の圧縮力が中間部材108に作用しても、関節部材106は直線状態で維持される。しかしながら、切断作業時のキックバックによって、チェーンソー2に衝撃が作用すると、関節部材106はわずかに屈曲して、付勢部材110から作用する圧縮力によって、関節部材106が直線状態から屈曲状態に切り替わる。上記の構成では、キックバックが発生したとき、自動的にブレーキ機構104を動作させることができる。このため、作業者の安全性を高めることができる。
また、バンドシュー114は、ブレーキドラム54の周囲を囲うように配置されている。操作部材100が駆動位置からブレーキ位置に移動すると、中間部材108が前方位置に移動し、バンドシュー114は縮径して、ブレーキドラム54の外周面に当接する。これにより、ブレーキドラム54回転が妨げられる。一方、操作部材100がブレーキ位置から駆動位置に移動すると、中間部材108が後方位置に移動して、バンドシュー114は拡径して、ブレーキドラム54の外周面から離れる。これにより、ブレーキドラム54の回転が妨げられない。上記の構成では、バンドシュー114の簡易な構造によって、ブレーキ機構104を実現することができる。
また、チェーンソー2が作業姿勢にあるとき、案内壁96は、開口94の下端の周縁に沿って延びている。案内壁96は、ハウジング本体12の左側面から突出している。上記の構成では、連結部材105の移動によって開口94まで移動してきた屑は、案内壁96に案内されて、案内壁96に沿って開口94まで移動する。このため、屑を開口94に効率良く移動させることができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
なお、一実施形態に係るチェーンソー2は、スプロケット50を回転させる原動機として、モータ34の代わりに、エンジンを備えていてもよい。この場合、エンジンの駆動によって、スプロケット50に連結されたシャフト44を回転させる構成としてもよい。
一実施形態に係るチェーンソー2は、リアハンドルチェーンソーであってもよい。
一実施形態に係るチェーンソー2では、開口94は、関節部材106の屈曲方向の延長線上に位置していてもよい。
一実施形態に係るチェーンソー2では、操作部材100が駆動位置とブレーキ位置との間を移動するとき、関節部材106は、屈曲することなく、直線状に移動してもよい。
一実施形態に係るチェーンソー2では、抑止構造66は、オイルタンク本体62の第1外面62aから内側に向かって凹む溝であってもよい。
一実施形態に係るチェーンソー2では、オイルタンク本体62は、オイルタンク本体62のみによってオイルを貯留する空間が画定される構成であってもよい。
一実施形態に係るチェーンソー2は、スイッチ部材120を備えなくてもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。