JP2019077126A - チェンソー - Google Patents

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Abstract

【課題】作業を終了してエンジンを停止した後に、オイル供給経路内に溜まっているオイルが漏れ出すことを防止できるようにしたチェンソーを提供する。【解決手段】ガイドバー30に沿ってソーチェンを回転させ、ソーチェンにオイルを供給するオイルポンプ20を有するチェンソー1において、オイル供給経路の連通および遮断を切替えるために遮断機構40を設けた。遮断機構40は、窪み部44の内部で移動可能なプランジャ41をスプリング44によって付勢し、エンジン停止時にはスプリング44の弾性力によってオイル供給経路を遮断し、エンジン駆動時にはプランジャ41に加わるオイルの液圧が弾性力を上回ることにより入口開口45aからオイル供給スロット46に至るオイル供給経路を連通させる。【選択図】図5

Description

本発明はソーチェンにオイルを供給するオイル供給装置を備えるチェンソーに関する。
樹木や枝等を切断する携帯型動力作業機としてエンジン駆動又は電気モータ駆動のチェンソーが広く用いられている。チェンソーでは、特許文献1にて知られているように動力源を収容するハウジングに作業部としてのソーチェンとガイドバーとからなるソーチェンセットが取り付けられる。ソーチェンはガイドバーの外周案内面を摺動するので、回転するソーチェンの焼き付きを防止するために、ガイドバー及びソーチェンの摺接面にオイル(潤滑油)を供給するオイル供給装置が設けられる。オイル供給装置は動力源による回転力又は電力を用いて駆動されるオイルポンプ(給油ポンプ)を用いて実現される。オイルポンプは、ハウジングに設けられているオイルタンクからオイルを吸引して、パイプを介して所要の場所にて吐出することにより、ソーチェンにオイルを供給する。供給されるオイルの量は、適正に調整されることが望ましく、そのために何らかのオイルの吐出量や流量の調整機構を有する。
図11は従来のオイルの供給機構を説明するための図であって、エンジン式チェンソーの右側の部分側面図(一部を透視図にて示す)である。クランク軸111はエンジンの出力軸であって、ソーチェンを駆動するための駆動軸となり、斜歯歯車115を回転させてオイルポンプ120を駆動する。クランク軸111に下側の隣接する位置にはオイルポンプ120が設けられる。オイルポンプ120の流入側は、吸引管117によってオイルタンクからの流路が構成され、排出側は吐出管118によってオイルの吐出部119への流路が構成される。吸引管117及び吐出管118は、耐油性のある弾性チューブであって、吐出管118の先端部分にはオイルの出口となる開口部が形成された吐出部119が形成される。弾性チューブ、は、例えばウレタンチューブ、耐油性合成ゴムホース、柔軟フッ素ホースを用いることができる。吐出部119は円筒部材をL字状に曲げた合成樹脂製の接続部材であり、一端側の開口が吐出管118に接続されるが、他端側の開口部分は閉鎖されており、その途中の側面に貫通孔(開口部)を形成することにより、吐出部119から流入口(第1の経路)139への通路を形成する。吐出部119の外縁断面形状は略円形であり、エンジンケース102の左右方向に形成された円筒孔の内部に吐出部119の外筒部分を嵌め込むことより、吐出部119が動かないように保持される。吐出部119の開口部の位置は、エンジンケース2に形成されたオイル溜めとなるオイル供給スロット146に向いた方向になるように配置され、吐出部119とオイル供給スロット146との間の第1の経路139は、エンジンケース2の側面に形成された溝として形成される。オイル供給スロット146は、図示しないガイドバーのオイル供給穴に対向させる部分に形成され、ソーチェンの張力調整のためにチェンバーを前後方向に移動させても対応できるように前後方向に所定の長さを有する。
オイルポンプ120には、円筒部の側面にねじ歯車(ウォーム)123が形成され、ねじ歯車123によってポンプ軸122が回転する。図ではオイルポンプ120の内部形状がわかるように、一部を透視図で図示しており、ポンプ軸122の先端にはポンプ室121が形成され、ポンプ室121の下側には吸引管117に繋がる開口が形成され、上側には吐出管118に繋がる開口が形成される。ポンプ軸122の先端付近には切り欠き部122aが形成され、ポンプ室121室内において切り欠き部122aが回転することにより、ポンプ室121内の容積を変化させることにより、オイルの吸引及び排出動作を行う。
特開2014−31774号公報
図11にて示した従来の供給機構によると、ソーチェンの潤滑用のオイルは、ソーチェンの回転時は潤滑に適切に消費されるが、作業終了後の保管時には、オイル供給経路内にたまっている潤滑油が漏れ出してしまって、チェンソーの周辺を汚してしまう虞があった。特に従来のチェンソーでは、オイル供給経路に残ったオイルがソーチェン側に排出されることを抑制する手段が設けられていないため、チェンソーの保管時に載置方向が悪かったり、気温や気圧の大きな変動があったり、車載などにより振動が大きい環境下に置かれた場合などに、オイルが漏れる虞があった。そのため、潤滑用のオイルの確実な流量調整に加えて、停止時のオイル流出の遮断性能を上げて信頼性の面から更なる改良の余地が望まれていた。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的はソーチェンへのオイルの供給を適切に行うことができ、信頼性の高めたオイル供給装置を備えたチェンソーを提供することにある。
本発明の他の目的は、簡単な構成で、動力源の非駆動時にはオイル供給経路に残ったオイルの漏れを抑制することができるチェンソーを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、動力源としてエンジンを用いた場合に、アイドリング状態の時にオイルポンプから吐出されるオイルをオイルタンクに戻すように切り替えるようにしたチェンソーを提供することにある。
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、駆動軸を回転させる動力源と、駆動軸の回転によって駆動されるソーチェンと、駆動軸の回転力を用いてオイルタンクに貯留されたオイルを吸引するオイルポンプと、オイルポンプから吸引されたオイルをソーチェン近傍の吐出口へ供給するオイル供給経路を備えたチェンソーであって、オイル供給経路の連通および遮断を切替えるためにオイル供給経路に遮断機構を設け、遮断機構はオイル供給経路を弾性力によって遮断し、オイルの液圧が弾性力を上回ることによりオイル供給経路を連通させるようにした。遮断機構は、オイル供給経路を遮断可能な弁部材と、弁部材を所定方向に付勢する弾性体を含んで構成され、オイルポンプが駆動すると弁部材がオイルの圧力により弾性体に抗して移動することによりオイル供給経路が連通し、オイルポンプが停止すると弁部材が弾性体の付勢力により元の位置に戻ることによりオイル供給経路を遮断する。また、動力源はエンジンであり、駆動軸はエンジンのクランク軸であり、オイルポンプはクランク軸の近傍に設けられ、オイル供給経路は、オイルポンプと遮断機構とを接続する第1の経路と、遮断機構と吐出口とを接続する第2の経路を有するように構成した。
本発明の他の特徴によれば、遮断機構とオイルタンクとを接続する第3の経路を設け、遮断機構は、動力源が作業回転数のときに第1の経路と第2の経路とを連通させ、動力源がアイドリング回転数のときに第1の経路と第3の経路とを連通させることにより第1の経路から第2の経路を遮断する。またチェンソーは、動力源とオイルタンクを収容するハウジングと、ハウジングから前方に延びるようにハウジングの右側側面に取り付けられるガイドバーと、駆動軸の回転力が伝達されて駆動されるスプロケットと、スプロケットと噛合しながらガイドバーの外周に沿って回転するソーチェンと、スプロケットとガイドバーの取付部を覆うようにしてハウジングに設けられるサイドカバーを有する。さらに遮断機構は、ハウジングの外壁部分に形成された細長い窪み部と、窪み部に収容される弁部材及び弾性体と、窪み部の開口面を塞ぐようにハウジングの外壁部分に取り付けられるプレート部材を含んで構成される。
本発明のさらに他の特徴によれば、弁部材は、窪み部にてオイルの流れる軸方向に移動可能であって、流入口から軸方向に形成された軸方向通路と、軸方向通路から径方向に連通する径方向通路が形成され、径方向通路は弁部材の径方向外側に開口する排出口を有し、窪み部の軸方向と交差する方向に向けて第2の経路の入口が開口し、弁部材の排出口が第2の経路の入口開口と対向した際に第1の経路と第2の経路が連通し、弁部材の排出口が窪み部の壁面と対向した際に第1の経路が閉鎖されるようにした。窪み部の壁面には、第2の経路の入口開口とは独立した第3の経路の入口開口が形成され、第2の経路の入口開口と第3の経路の入口開口とは、軸方向に離れた位置に配置される。また、第3の経路の入口開口は、第2の経路の入口開口よりも流入方向上流側に配置され、弁部材の先端から排出口までの軸方向の間隔Lは、第2の経路の入口開口と第3の経路の入口開口との軸方向の間隔Lよりも小さくなるように構成した。
本発明のさらに他の特徴によれば、駆動軸を回転させる動力源と、駆動軸の回転によって駆動されるソーチェンと、駆動軸の回転力を用いてオイルタンクに貯留されたオイルを吸引するオイルポンプと、オイルポンプから吸引されたオイルをソーチェン近傍の吐出口へ供給するオイル供給経路を備えたチェンソーであって、オイル供給経路の連通および遮断を切替えるためにオイル供給経路に遮断機構を設け、オイル供給経路は、オイルポンプと遮断機構とを接続する第1の経路と、遮断機構と吐出口とを接続する第2の経路を有する。また、遮断機構とオイルタンクとを接続する第3の経路を設け、遮断機構は、動力源が作業回転数のときに第1の経路と第2の経路とを連通させ、動力源がアイドリング回転数のときに第1の経路と第3の経路とを連通させることにより第1の経路から第2の経路を遮断する。
本発明によれば、オイル供給経路を、弾性体の弾性力を用いた遮断機構によって遮断可能にしたので、動力源の非駆動時にはオイルポンプと遮断機構までの流路内に残ったオイルの漏れを確実に防止できる。動力源の駆動時には、オイルの液圧が弾性力を上回ることにより遮断機構による遮断を解除させることにより、オイル供給経路を連通させることができる。以上のように、遮断機構が弾性力によってオイル供給経路を遮断し、オイルの圧力によりオイル供給経路を連通する構成であるため、単純な構成で信頼性の高いオイルの遮断機構を実現できる。また、オイルポンプから吐出されるエンジンケース部に、弾性体によって付勢される弁部材を設置するので、従来のエンジンケースの形状をわずかに変更するだけで、オイルの遮断機構を容易に実現できる。さらに、動力源としてエンジンを用いた場合に、アイドリング状態の時にオイルポンプから吐出されるオイルをオイルタンクに戻す戻し経路を設けたので、オイルポンプに負荷をかけない構成でアイドリング時にソーチェン側にオイルが供給されることを防止できる。
本発明の実施例に係るチェンソー1の右側側面図である。 本発明の実施例に係るチェンソー1の左側側面図である。 図1のガイドバー30の形状を示す図であり、(1)は右側面図であり、(2)は(1)のA−A断面図であり、(3)は(2)のB−B断面図である。 本発明の実施例に係るチェンソー1のオイル供給経路を説明するための図であり、ガイドバー30の取り付け部付近の部分拡大図(一部透視図)である。 本実施例のオイルの漏れを抑制する遮断機構を説明するための図であり、(1)はガイドバー30の取り付け部付近の部分拡大図(一部透視図)であり、(2)は(1)の状態からガイドバー30及びガイドバープレート50を取り外した状態を示す部分拡大図である。 (1)は図4のC−C部の断面図であり、(2)は(1)の展開断面図である。 エンジンケース2に形成された第1から第3の経路を説明するための概略図である。 図5のプランジャ41を示す図であり、(1)は側面図、(2)は背面図、(3)は(1)のE−E部の断面図である。 ガイドバープレート50を示す図であり、(1)は上面図、(2)は右側面図、(3)は正面図、(4)は背面図である。 図5(2)の楕円で囲んだD部の拡大図であり、(1)はエンジン停止中の状態を示し、(2)はエンジンがアイドリング状態にあるときの状態を示し、(3)はエンジンが高回転で運転中の状態を示す。 従来のチェンソー101におけるオイル供給機構を説明するための図であって、チェンソー101の右部分側面図(一部透視図)である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
図1は本発明の実施例に係るチェンソー1の右側側面図である。チェンソー1は、2サイクル方式のエンジン10を動力源として、ガイドバー30に巻き付けられた図示しないソーチェンを回転させる。チェンソー1の主要構成要素は、樹脂製のエンジンケース2とトップカバー3と右サイドカバー9と左サイドカバー15(図2で後述)からなるハウジングの内部に収容される。エンジンケース2の後方側には作業者が把持するためのメインハンドル4が設けられる。メインハンドル4は作業者が右手で把持するためのハンドルであり、サブハンドル5は作業者が左手で把持するためのハンドルである。サブハンドル5の前方側には、ハンドガード7が設けられる。ハンドガード7は、作業者の手に、枝や切断物などがあたらないように保護する役割をする。さらに、チェンソー1の前方側が跳ね上がる、いわゆるキックバックが生じた際には、ハンドガード7が作業者の手にあたって前方に傾くことによりソーチェンの回転を停めるブレーキ(図示せず)を作用させることができる。
メインハンドル4の下方にはエンジンのスロットルレバー8aが設けられる。スロットルレバー8aは、メインハンドル4の上方に突出するロックレバー8bを把持することにより押し込んだ状態で操作が可能となる。ガイドバー30はハウジングの右側に位置するように設けられ、エンジンケース2から前方側に延在する。ガイドバー30は、エンジンケース2と右サイドカバー9に挟まれるように位置し、エンジンケース2から伸びる2本のスタッドボルト12、13を用いて右サイドカバー9と共に図示しないナットにより固定される。ガイドバー30は、エンジンケース2又は右サイドカバー9に装着されているソーチェンの張力の調整機構14によってその前後方向の位置が調整される。ガイドバー30の左側近傍であってエンジンケース2の前方側には、丸太等の切断時にガイドをするためのスパイク6が設けられる。
図2は本発明の実施例に係るチェンソー1の左側面図である。エンジンケース2の内部には、ソーチェンが回転する際のガイドバー30との摩擦を軽減するためのオイル(潤滑油)を貯蔵する図示しないオイルタンクが設けられる。オイルタンクは、エンジンケース2の内部に設けられ、エンジンケース2の左側壁面にオイルキャップ28で塞がれる給油口が設けられ、右側側面にオイルポンプ20(図4で後述)へオイルを送るための給油用の貫通孔2a(図5参照)と、オイルポンプ20から排出されたオイルをオイルタンク内に戻すための貫通孔(図示せず)が形成される。エンジンケース2の後方側の内部空間であって、エンジン10(図1参照)の後方側には燃料タンク(図示せず)が設けられ、燃料タンクへの給油口は燃料タンクキャップ27により塞がれる。左サイドカバー15の内側部分には、エンジン10のクランク軸に接続される冷却用のファンと、エンジン10を始動するためのリコイルスタータ(図示せず)が設けられる。左サイドカバー15の中央付近から上方には、リコイルスタータを引くためのスタータハンドル16が突出するように配置される。
図3はガイドバー30の形状を示す図であり、(1)は右側面図であり、(2)は(1)のA−A断面図であり、(3)は(2)のB−B断面図である。ガイドバー30は、エンジンケース2の右側前方の取り付け部においてスタッドボルト12、13に対して2本のナット(図示せず)により取り付けられる。ガイドバー30は、エンジン10のクランク軸に連結された遠心クラッチ(図示せず)に設けられるスプロケットに掛け回されたソーチェンを外周縁上にて案内する。ガイドバー30を固定するには、エンジンケース2から右方向に水平に突出する2本のスタッドボルト12、13をガイドバー30の後方付近に形成された長穴状のスロット34に貫通させた後、図示しないスプロケットやガイドバー30の後方部分を覆う右サイドカバー9に設けられた装着孔をこのスタッドボルト12、13に嵌入させ、右サイドカバー9の外側から図示しないナットをスタッドボルト12、13に螺合させる。この際、ガイドバー30の前後位置を調整して、スロット34内に位置する2本のスタッドボルト12、13の前後方向の相対位置を変更させ、2つの図示しないナットの締め付けにより、ガイドバー30と右サイドカバー9をエンジンケース2に固定する。右サイドカバー9は合成樹脂の一体成形にて構成されるが、スタッドボルト12、13が貫通する貫通穴の内壁側周囲は、所定の面積を有する金属プレートを用いた補強部(図示せず)が形成され、この補強部とエンジンケース2にてガイドバー30のスロット34の周囲を挟持して固定する。
ガイドバー30のスロット34の上方には、(オイル供給用の)貫通穴35が設けられる。オイル供給スロット46はガイドバー30の左側から右側まで貫通する形状であるが、ガイドバー30がエンジンケース2に装着された際に、貫通穴35の左側面の開口はエンジンケース2に形成されたオイル供給スロット46に対向する位置となり、貫通穴35の内部にオイルが流入可能となる。貫通穴35の右側側面の開口は、右サイドカバー9の補強部の金属プレートでその開口が閉鎖されるため貫通穴35の右側開口からはオイルは流出しない。ガイドバー30のスロット34の下方には、チェン張り調整機構14(図1参照)と係合させるための貫通穴36が形成される。チェン張り調整機構14は、ガイドバー30のエンジンケース2に対する前後方向の相対位置を調整することにより図示しないソーチェンに適正なテンションを付与するものである。チェン張り調整機構14の構成は種々知られているが、ガイドバー30の長手方向に沿って配設されたねじ部を有するねじ棒部材と、このねじ棒部材のねじ部に螺合されると共にガイドバーの貫通穴36に係合される係合部材とを備え、ガイドバー30をエンジンケース2に固定するナットを緩めた後、ねじ棒部材をドライバーにて回転させて係合部材をねじ棒部材の軸線方向に沿って前側又は後側に移動させて、貫通穴36の位置を係合部材の係合ピンと同期させて移動させることにより、ガイドバー30がソーチェンに対して適切な張り圧力を付与するようにする。
図3(2)は図3(1)のA−A断面図である。ガイドバー30は積層構造にて形成され、一対の外側積層体31、33と、これらの間に配置された内側積層体32を含んで構成される。外側積層体31、33は金属の平板であって、内側積層体32は、外側積層体31、33を所定の間隔にて固定する役目を果たす部材である。従って、内側積層体32をどのような材質で製造するかは任意である。図から理解できるように、内側積層体32の外縁位置が外側積層体31、33の外縁位置よりも径方向に小さいように構成されるので、ガイドバー30の外縁部分の断面が凹状に形成され、図示しないソーチェンの走行を安定して案内できる。
図3(3)は、(2)のB−B部の断面図である。ここでは内側積層体32の断面図とその左側に位置する外側積層体31の側面図が図示されている。本実施例のガイドバー30は前方側に回転軸37aの回りを回転するスプロケット37が設けられる。図示しないソーチェンはスプロケット37の歯と噛合しながら回転することになる。内側積層体32と外側積層体31、33には同形のスロット34(34a〜34c)が形成されるが、貫通穴35の形状に関しては、外側積層体31、33の形状と、内側積層体32による形状が異なる。外側積層体31、33には、円形の貫通穴35a、35cが形成されるが、外側積層体31、33の間に挟まれる内側積層体32には、貫通穴では無くて、外縁が上から下方向に窪むような凹部35bとして形成される。このように凹部35bとして形成したことにより、外側積層体31の貫通穴35aを介して流入するオイルは、図中の凹部35bの底面に沿って矢印の方向に移動し、ガイドバー30に沿って前後方向に広がってソーチェンにまんべんなく供給されることになる。前述したように外側積層体31側の貫通穴35cは、右サイドカバー9の補強部の金属プレートで閉鎖されるため、外側積層体31の貫通穴35aを介して流入するオイルはすべて矢印の方向に供給される。ここではソーチェンの回転方向(図では時計回り)に向かって斜めに形成された斜面32aを形成することにより、適量のオイルがソーチェンにまんべんなく届くようにしている。貫通穴36の形状に関しては、貫通穴35と同様であって、外側積層体31、33の形状と、内側積層体32による形状が異なる。外側積層体31、33には、円形の貫通穴36a、36cが形成されるが、外側積層体31、33の間に挟まれる内側積層体32には、貫通穴では無くて、外縁が下から上方向に窪むような凹部36bとして形成される。
図4は本発明の実施例に係るチェンソー1の取り付け部付近の部分拡大図(一部透視図)である。この図は、図1の状態から右サイドカバー9を取り外した状態である。ガイドバー30のスロット34内には2本のスタッドボルト12、13が貫通する。その後、ガイドバー30の取付部分と、ソーチェンの駆動部は右サイドカバー9によって覆われ、右サイドカバー9の外側から図示しないナットにより締め付けられる。ソーチェンは、チェンソー1の本体の右側に取り付けられているガイドバー30に案内され、スプロケットに架け渡される。ガイドバー30とエンジンケース2の間には、金属製のガイドバープレート(プレート部材)50が介在される。オイルポンプ20は図11で示したオイルポンプ120と同一部品を用いることができ、図示しないクランク軸に隣接して設けられる。オイルポンプ20は、オイルタンクからの吸引管17が下側に接続され、吸引管17の接続位置と対向する上側には吐出管18が接続される。吐出管18を介して送られたオイルは、エンジンケース2に形成されたオイル供給スロット46(図5で後述)の内部を満たすように供給され、満たされてあふれたオイルはガイドバープレート50に形成された長穴状のオイル供給用スリット54とガイドバー30に形成された貫通穴35を通って、ガイドバー30の内側積層体32の凹部35bから矢印に示す方向にガイドバー30の外縁部に向かって流出する。点線で示すガイドバープレート50には、張力調整用の貫通穴36と対向する張力調整用スリット55が形成され、図示しない調整機構14(図1参照)の係合ピンが貫通穴36と係合する。
図5は本実施例のオイルの漏れを抑制する遮断機構40を説明するための図であり、(1)はガイドバー30の取り付け部付近の部分拡大図(一部透視図)である。図5(2)は(1)の状態からガイドバー30を取り外した状態を示す部分拡大図である。図示しないオイルタンクの側面にはオイルの取出口たる貫通孔2aが設けられ、貫通孔2aから吸引管17がオイルポンプ20に接続される。オイルポンプ20から排出されるオイルは、吐出管18を通って吐出部19側に送出される。吐出部19は、エンジンケース2の円柱形の保持部38にその円筒形の部分を挿入することによりエンジンケース2に固定できるように構成され、吐出管18を介したオイル通路の出口となる開口19bが吐出部19の側面、遮断機構40に向いた側に形成される。開口19bから排出されたオイルは、エンジンケース2に形成されたオイル供給スロット46に送られるが、オイル供給スロット46と吐出部19との間には、オイルの遮断機構40が設けられる。遮断機構40は、吐出部19からオイル供給スロット46へ至る通路を遮断又は開放するための弁機構であって、オイルポンプ20からのオイル圧力が無い場合又は低い場合は、スプリング44によって弁部材(プランジャ41)を移動させて流路を閉鎖することにより、オイルポンプ20からオイル供給スロット46に至るオイルの流れを遮断する。一方、オイルポンプ20からのオイル圧力が所定の圧力以上の場合は、スプリング44の付勢力に打ち勝つように弁部材(プランジャ41)を移動させることにより、オイルポンプ20からオイル供給スロット46へ至る通路を開通させる。
図5(2)にて示すように、遮断機構40は弁としての機能を果たすプランジャ41と、プランジャ41を所定方向、即ちオイルの流れる方向の上流側に向けて付勢するスプリング44を含んで構成される。スプリング44は、金属製の圧縮コイルバネとしているがプランジャ41を付勢する弾性体としてどのようなものを用いるかは任意であり、圧縮コイルバネだけでなくその他の公知のバネや弾性部材を用いるようにしても良い。遮断機構40はオイル供給スロット46と吐出部19を接続する経路中に配置されるが、ここでは細長くて前後方向に伸びる窪み部45がオイル供給スロット46の長手方向に対してほぼ並行に並ぶように配置される。そして窪み部45におけるプランジャ41の移動範囲の側壁部分には、オイル供給スロット46への入口開口46aとオイル戻りスロット47への入口開口47aが配置される。オイル供給スロット46への入口開口46aの開口面積はオイル戻りスロット47の開口面積よりも大きい。
図6(1)は図4のC−C部の断面図であり、(2)は(1)の展開断面図である。オイルの遮断機構40は、エンジンケース2に形成された凹状の窪み部45とその内部に収容されるプランジャ41とスプリング44によって形成される。窪み部45はC−C断面(左右方向を通る鉛直断面)で見た際に四角形状となるもので、エンジンケース2の右側側壁から左方向に窪むように凹状に形成される。窪み部45は、合成樹脂製のエンジンケース2に成形加工により形成される。窪み部45は上面、左側側面、底面が閉鎖されるが、右側側面部分は金属製の別部材、即ちガイドバープレート50により閉鎖される。また、図5にて示したように窪み部45の前方側が閉鎖され、後方側にはオイルの流入口39との接続用の入口開口45aが形成される。ガイドバープレート50は、例えばステンレス製の板材であって、ガイドバー30とエンジンケース2との間に挟持される。ガイドバー30を図示しない2本のナットにて固定する為に、エンジンケース2にはスタッドボルト13が固定されている。図6(2)は(1)で示した各部品を分解した展開図であるが、ソーチェンの交換等のメンテナンス時には、ガイドバー30を取り外す必要性はあっても、オイルの遮断機構40を取り外す必要性はほとんどない。従って、ガイドバープレート50も取り付けた状態のままとしても良い。このように遮断機構40のプランジャ41の移動空間を、窪み部45と、窪み部45の開放面を閉鎖するガイドバープレート50によって形成したので、組立性やメンテナンス性の優れたオイルの遮断機構を実現できた。尚、オイルの遮断機構40は、窪み部45とガイドバープレート50により画定される空間内に配置するだけでなく、エンジンケース2に形成され、オイルポンプ20に近い側の壁面から前方向に向けて形成されるドリル穴によってその空間を形成しても良い。このように形成すればガイドバープレート50に頼ること無くオイルの遮断機構40を固定できる。その際にはプランジャ41は長手方向と垂直な断面形状を円形とすれば良い。
図7はエンジンケース2に形成された第1〜第3の経路を説明するための概略図である。ここでは説明を容易とするために、図5で示したプランジャ41とスプリング44の記載を省略している。オイルポンプ20の吐出口には給油用の弾性チューブ18の一端が接続され、吸引口には別の弾性チューブ17(図5参照)の一端が接続される。弾性チューブ18の先端は、弾性チューブ18の長手方向と直交方向に曲げられた太径の円筒状の吐出部19が接続される。吐出部19には周方向の一部を面取りした面取り部19aが形成され、面取り部19aのほぼ中央にはオイルの出口となる開口19bが形成される。開口19bは、第1の経路の流入口39に対向する位置に設けられる。吐出部19は左側部分において弾性チューブ18による通路と接続されて、いわゆるL字状の通路を形成するが、吐出部19の右側部分は閉鎖面となる。従って、オイルポンプ20の突出口から矢印OFのように流出したオイルは、弾性チューブ18及び吐出部19を通って、第1の経路39内の流路39aを矢印OF1のように流れる。オイルの流れOF1は、その後に窪み部45の入口開口45aを通って遮断機構収容空間45bの内部に到達する。遮断機構収容空間45bに到達したオイルは、図8で後述するプランジャ41内の通路を通って第2の経路となるオイル供給スロット46側へ流れる矢印OF2の流れが生じる状態か、第3の経路となるオイル戻りスロット47へ流れる矢印OF3の流れが生じる状態か、又は、第2の経路及び第3の経路の双方にも接続されない状態かのいずれかの状態が切り替えられる。
窪み部45と、オイル供給スロット46と、オイル戻りスロット47は、合成樹脂の成形にて製造されるエンジンケース2の右側壁面部分に一体に成形される。オイル戻りスロット47には凹状の窪みとして形成されるだけでなく、図示しないオイルタンクに連通するような水平方向に配置される貫通孔47bが形成される。プランジャ41を切替弁又は操作栓として用いる切り替え動作は、窪み部45の内部で移動するプランジャ41(図8にて後述)によって、遮断機構収容空間45bからみて第2の経路の入口開口46aと第3の経路の入口開口47aを開放又は閉鎖するこことにより行われる。尚、オイルポンプ20が停止してオイルの供給が停止している時には、遮断機構40の収容空間45bからみて第2の経路の入口開口46aと第3の経路の入口開口47aの双方を閉鎖する。この閉鎖状態を実現するために、入口開口46aと入口開口47aの間隔L2は、図8にて後述する閉鎖部41aの軸方向長さL1よりも大きくする。第2の経路となるオイル供給スロット46の形状や、設置位置は図11で示した従来のオイル供給スロット146の位置と同じとする。このようにオイル供給スロット46の形状を従来と互換性を持たせれば、従来から用いられるガイドバー30を本実施例のチェンソー1にそのまま使用することができる。
ソーチェンを回転させる動力源としてエンジンを用いる場合は、エンジン10を始動してスロットルレバー8aを操作していない時に、低速の回転を維持する、いわゆるアイドリング運転が行われる。このアイドリング運転状態では、エンジン10のクランク軸とソーチェンを駆動するスプロケットの間に設けられる遠心クラッチが遮断状態にあるため、ソーチェンは停止したままである。一方、アイドリング状態でもクランク軸11は低速ながら回転をするため、クランク軸11にて駆動されるオイルポンプ20は稼働する。本実施例ではアイドリング状態にて稼働するオイルポンプ20から吐出される流量の低いオイルを、第3の経路たるオイル戻りスロット47から貫通孔47bを経由してオイルタンクに戻すようにした。このように構成することにより、オイル供給経路を遮断可能な弁部材によって、動力源たるエンジン10が高速の回転数(作業回転数)のときに第1の経路39と第2の経路46とを連通させる一方で、エンジン10がアイドリング回転数のときに第1の経路39と第3の経路47とを連通させることにより第1の経路39から供給されるオイルが第2の経路46へ給送されないように遮断できる。つまり、アイドリング状態で回転停止中のソーチェンに対してオイルを供給し続けることを防ぐことができ、過剰なオイルがガイドバー30外縁付近から漏れたり垂れたりすることを効果的に予防できる。
図8は図5のプランジャ41の単体を示す図であり、(1)は側面図、(2)は背面図、(3)はE−E部の断面図である。プランジャ41は、遮断機構40の構成部品の一つであり、オイル供給経路を遮断可能な弁部材となるものである。プランジャ41は、合成樹脂製又は金属製とすることができ、直方体の軸方向にみた一部(細径部41b)を円柱状に細く削って形成する。細径部41bの後方側は主要部41cとなり、細径部41bの先端側は閉鎖部41aとなる。閉鎖部41aによって、細径部41bの位置がオイル供給スロット46の入口開口46aと、オイル戻りスロット47の入口開口47aとの相対位置によって、入口開口46aや入口開口47aのいずれか一方を開放するか、または双方とも閉鎖するかを決定する。閉鎖部41aの軸方向長さL1は、オイル供給スロット46への開口と、オイル戻りスロット47への開口の間隔(長さL2)との兼ね合いで決定される。プランジャ41の先端41dは平面になっており、スプリング44が当接する面となる。後端面41eの形状は略平面状であるが、中心軸線にそって軸方向通路42が形成される。軸方向通路42は、(3)にて示すようにプランジャ41の中心軸に沿って後端面41eから形成された貫通孔であり、後端面41eの中央には円形の開口42aが開口する。軸方向通路42の底部(前端部)42bには、細径部41bの径方向に形成された貫通孔たる径方向通路43が接続される。従って、オイルポンプ20から供給されるオイルの給送圧力によって後端面41e及び径方向通路43の底部42b(前端部)にオイルの液圧が掛かって、その液圧が先端41d側からスプリング44によって付勢される付勢力を上回ると、プランジャ41が軸方向前方向側に移動し、液圧とスプリング44による付勢力が等しくなる位置にプランジャ41が留まることになる。この状態からオイルポンプ20から供給されるオイルの給送圧力が低下して後端面41eにかかる面圧が減少又は無くなると、先端41d側からスプリング44によって付勢される付勢力によってプランジャ41が軸方向後方側に移動する。
図9はガイドバープレート50を示す図であり、(1)は上面図、(2)は右側面図、(3)は正面図、(4)は背面図である。ガイドバープレート50はガイドバー30をエンジンケース2と右サイドカバー9に挟持する際の補強板となるものであり、ガイドバー30を図示しない2本のナットにて固定する際にガイドバー30からの締め付け力が、エンジンケース2の一部に集中して変形することを防ぐようにして合成樹脂製のエンジンケース2を保護する。ガイドバープレート50の主要部分(鉛直面51a)はステンレス等の金属板をプレス加工することによって複数の穴部を形成した。また、ガイドバープレート50は、第1〜第3のオイル経路と、遮断機構40を配置させる窪み部45の右側開口部分を塞いで、閉鎖された流路を画定する覆い板としても機能する。
図9(2)に示すように、ガイドバープレート50にはスタッドボルト12、13を貫通させるための貫通穴52、53が形成される。貫通穴52、53の上側には、オイル供給用スリット54が形成される。オイル供給用スリット54の形状は、図6で示したオイル供給スロット46の形状と対応してほぼ同形に形成される。これは、ガイドバー30のオイル供給用の貫通穴35のオイル供給スロット46に対する固定位置が、図5で示した一例の位置だけに限らずに前後方向に変更されるためである。例えば、ソーチェンの張力を強めるためにガイドバー30を、エンジンケース2に対して相対的に前方向に移動させると、貫通穴35も前方向に移動する。このようにガイドバー30の前後方向位置を変化させても、オイル供給スロット46と貫通穴35が必ず対面するように、オイル供給スロット46は前後方向に細長く形成される。上下方向にみてオイル供給用スリット54と貫通穴52、53の間の部分、かつ、前後方向にみて後半分の部分は、図5に示した窪み部45、オイル供給スロット46の入口開口46a、オイル戻りスロット47の入口開口47a、流入口39、吐出部19を覆うために貫通穴が形成されない。スタッドボルト12、13の下側には、前後方向に細長いスリット55が形成される。スリット55は、図示しないチェン張り調整機構14(図1参照)の可動空間を確保するためのものである。ガイドバープレート50の上縁部は、図9(1)、(3)、(4)に示すように左側に折り曲げた形状とされる。このうち上面51bは水平に形成されるが、その後の傾斜上面51cはエンジンケース2の当接部分の形状に沿って後方側が下がるような斜めの面で形成される。また、図9(3)、(4)に示すように、下面51dもエンジンケース2の当接部分の形状に沿って左側に折り曲げられる。
図10の各図は図5(2)の楕円で囲んだD部の拡大図である。図10(1)はエンジン停止中のプランジャ41の位置を示すもので、プランジャ41がスプリング44の付勢力によって遮断機構40へ接続される第1の経路たる流路39a側(オイルの流れに対して上流側)に付勢される。プランジャ41の後端面41eは狭く形成される流路39aの出口側開口39bに当接する位置にて保持される。その際のプランジャ41の細径部41bは、第3の経路たるオイル戻りスロット47の入口開口47aよりも上流側に位置して、プランジャ41の閉鎖部41aが入口開口47aを塞ぐ状態となる。この結果、エンジン10の停止時には、プランジャ41の先端41dの位置がF1の位置まで後退することになり、第1の経路(流入口39)から第2の経路(オイル供給スロット46)への流路と、第1の経路(流入口39)から第3の経路(オイル戻りスロット47)とのいずれの流路も遮断される。このようにしてエンジン10の停止時には遮断機構40を用いてオイルポンプ20からオイル供給スロット46への通路を遮断するようにしたので、オイルポンプ20からオイル供給スロット46へ至るオイル供給経路に残ったオイルが、ソーチェン側に排出されることを大幅に抑制できる。特に、チェンソー1の保管にチェンソー1を右側側面が下向きになるように置いた場合などに起きやすいオイル供給経路に残ったオイルの漏れ出し量を大きく抑制でき、チェンソー周辺を汚してしまう虞を大幅に減らすことができる。
図10(2)はエンジン10がアイドリング状態にあるときのプランジャ41の位置を示すもので、プランジャ41の後端面41eにはオイルポンプ20から吐出されるオイルの圧力が加わる。このアイドリング状態では、クランク軸の回転速度が低いため、オイルポンプ20からの時間あたりの吐出量が少なく、オイルの吐出圧力(液圧)も低めである。その状態でプランジャ41は、スプリング44による付勢力とオイルの液圧のバランスがとれた位置、即ち(2)にて示されるように先端41dの位置がF1の位置からF2の位置に移動した位置で安定する。この位置では、プランジャ41の閉鎖部41aがオイル戻りスロット47の入口開口47aとオイル戻りスロット47の入口開口47aの間に位置する。この結果、プランジャ41の細径部41bが入口開口47aに対向することになり、この結果、第1の経路(流入口39)から第3の経路(オイル戻りスロット47)への流路が確立されることになる。吐出部19の開口19bから吐出されたオイルは、第1の経路(流入口39)を通って、窪み部45内に流入し、プランジャ41の軸方向通路42と径方向通路43(図7(3)参照)を通ってオイル戻りスロット47に流入する。オイル戻りスロット47に流入したオイルは、図示しないオイルタンクに戻される。図10(2)の状態では、プランジャ41の先端41dの位置はオイル供給スロット46の入口開口46aに到達していないため、オイル供給スロット46側への通路は遮断状態のままであり、オイルは供給されない。このようにしてエンジン10のアイドリング状態で、図示しない遠心クラッチ機構によってソーチェンが停止状態にあるときは、オイルポンプ20から吐出されるオイルはオイルタンクに戻されることになるので、アイドリング状態が長く続いたとしてもオイル供給スロット46を介してオイルがガイドバー側に供給されることを防止できる。また、オイルポンプ20から吐出されるオイルはオイルタンクに戻されることにより、オイルポンプ20に加わる負荷を低減できる。
図10(3)はエンジン10が高回転で回転中のプランジャ41の位置を示す。エンジン10が作業機器を動作させる作業回転数、即ち高回転で回転すると、図示しない遠心クラッチ機構が接続状態となり図示しないソーチェンがガイドバー30に沿って周回することになる。また、クランク軸の回転速度が早くなると、オイルポンプ20からの時間あたりの吐出量が多くなり、オイルの吐出圧力(液圧)が高くなる。その状態でプランジャ41は、スプリング44による付勢力とオイルの液圧のバランスがとれた位置が、(2)で示すF2の位置からさらにオイルの流れ方向に移動してF3の位置になる。この位置では、プランジャ41の閉鎖部41aがオイル供給スロット46の入口開口46aよりもスプリング44側にまで移動して、プランジャ41の細径部41bが入口開口46aに対向することになり、この結果、第1の経路(流入口39)から第2の経路(オイル供給スロット46)への流路が確保される。つまり、吐出部19の開口19bから吐出されたオイルは、第1の通路(流入口39)を通って、窪み部45内に流入し、プランジャ41の軸方向通路42と径方向通路43(図7(3)参照)を通ってオイル供給スロット46に流入し、オイル収容空間46bをオイルで満たすことになる。オイル収容空間46b内に満たされて余剰となったオイルは、オイル供給スロット46からガイドバープレート50のオイル供給用スリット54(図9参照)を通り、図3に示したガイドバー30に形成された貫通穴35を介してソーチェン側に供給される。
図10(3)のプランジャ41の位置では、オイル戻りスロット47の入口開口47aにプランジャ41の主要部41cが位置することにより、第1の経路(流入口39)から第3の経路(オイル戻りスロット47)への流路が遮断されることになる。このようにしてエンジン10が高速で回転してソーチェンが回転する状態では、オイルポンプ20から吐出されるオイルがすべてソーチェン側に供給されるので、最適な潤滑効果が得られる。また、チェンソー1を用いた作業が終了して、エンジン10の回転が高速回転からアイドリング運転に低下すると、プランジャ41の先端位置F3がスプリング44の付勢力により図10(2)のF2の位置まで戻るので、オイルの吐出先経路が、オイル供給スロット46からオイル戻りスロット47に切り替わる。さらに、エンジン10を停止させるとオイルポンプ20が停止するため、オイルの液圧が無くなってプランジャ41の先端位置がスプリング44の付勢力によりF2の位置から図10(1)に示すF1の位置にまで戻ることにより、第1の経路(流入口39)が閉鎖される。
以上説明したように、本実施例では弁部材たるプランジャ41を有する遮断機構40が、スプリング44の弾性力によってオイル供給経路を遮断し、オイルポンプ稼働時のオイルの圧力によりオイル供給経路を連通させる構成であるため、簡単な構成で、動力源の駆動状態に応じてオイル供給経路を開閉することができる。また、動力源の停止時に生じやすいオイルポンプ部からオイル供給スロット46の経路中に溜まったオイルの漏れを大幅に抑制することができる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では、エンジンで駆動されるソーチェンを説明したが、動力源はエンジンだけに限られずに、商用電源又は電池パックを電源とする電気モータを用いたチェンソーであっても良い。また、上述の実施例では弁部材として長手方向と直交する断面形状が四角形のプランジャ41を用いるようにしたが、断面形状が円形であっても良いし、プランジャ41の代わりにスチールボールで形成するようにしても良い。スチールボールがスプリングの付勢力に抗して移動することにより第1の経路39の出口側開口39bを閉鎖するようにすれば、オイルポンプからスチールボールまでの間の経路に残ったオイルがエンジン停止時にオイル供給経路から漏れ出すことを効果的に防止できる。また、オイルポンプが稼働するとオイルの圧力によりスチールボールが第1の経路39の出口側開口39bを開放するので、簡単な構成にてオイルの自動開閉機構を実現できる。
1 チェンソー 2 エンジンケース 2a 貫通孔 3 トップカバー
4 メインハンドル 5 サブハンドル 6 スパイク
7 ハンドガード 8a スロットルレバー 8b ロックレバー
9 右サイドカバー 10 エンジン 11 クランク軸
12、13 スタッドボルト 14 チェン張り調整機構
15 左サイドカバー 16 スタータハンドル
17 弾性チューブ(吸引管) 18 弾性チューブ(吐出管)
19 吐出部 19a 面取り部 19b 開口
20 オイルポンプ 21 ポンプ室 22 ポンプ軸
22a 切り欠き部 27 燃料タンクキャップ 28 オイルキャップ
30 ガイドバー 31 外側積層体 32 内側積層体 32a 斜面
33 外側積層体 34 スロット 35 (オイル供給用の)貫通穴
35a、35c 貫通穴 35b 凹部 36 (張力調整用の)貫通穴
36a、36c 貫通穴 36b 凹部 37 スプロケット
37a 回転軸 38 保持部 39 流入口(第1の経路)
39a 流路 39b 出口側開口 40 遮断機構
41 プランジャ(弁部材) 41a 閉鎖部 41b 細径部
41c 主要部 41d 先端 41e 後端面 42 軸方向通路
42a 開口 42b 底部 43 径方向通路 44 スプリング
45 窪み部 45a 入口開口 45b (遮断機構の)収容空間
46 オイル供給スロット(第2の経路) 46a 入口開口
46b オイル収容空間 47 オイル戻りスロット(第3の経路)
47a 入口開口 47b 貫通孔
50 ガイドバープレート(プレート部材) 51a 主要面(鉛直面)
51b 上面 51c 傾斜上面 51d 下面 52、53 貫通穴
54 オイル供給用スリット 55 (張力調整用の)スリット
56 貫通穴 101 チェンソー 102 エンジンケース
102a 貫通孔 111 クランク軸 115 斜歯歯車
117 吸引管 118 吐出管 119 吐出部
120 オイルポンプ 121 ポンプ室 122 ポンプ軸
122a 切り欠き部 123 ねじ歯車 139 流入口(第1の経路)
146 オイル供給スロット

Claims (9)

  1. 駆動軸を回転させる動力源と、
    前記駆動軸の回転によって駆動されるソーチェンと、
    前記駆動軸の回転力を用いてオイルタンクに貯留されたオイルを吸引するオイルポンプと、
    前記オイルポンプから吸引されたオイルを前記ソーチェン近傍の吐出口へ供給するオイル供給経路を備えたチェンソーであって、
    前記オイル供給経路の連通および遮断を切替えるために前記オイル供給経路に遮断機構を設け、
    前記遮断機構は、前記オイル供給経路を弾性力によって遮断し、前記オイルの液圧が前記弾性力を上回ることにより前記オイル供給経路を連通させることを特徴とするチェンソー。
  2. 前記遮断機構は、前記オイル供給経路を遮断可能な弁部材と、前記弁部材を所定方向に付勢する弾性体を含んで構成され、
    前記オイルポンプが駆動すると前記弁部材が前記オイルの圧力により前記弾性体に抗して移動することにより前記オイル供給経路が連通し、前記オイルポンプが停止すると前記弁部材が前記弾性体の付勢力により元の位置に戻ることにより前記オイル供給経路を遮断することを特徴とする請求項1に記載のチェンソー。
  3. 前記動力源はエンジンであり、
    前記駆動軸は前記エンジンのクランク軸であり、
    前記オイルポンプは前記クランク軸の近傍に設けられ、
    前記オイル供給経路は、前記オイルポンプと前記遮断機構とを接続する第1の経路と、前記遮断機構と前記吐出口とを接続する第2の経路を有することを特徴とする請求項2に記載のチェンソー。
  4. 前記遮断機構と前記オイルタンクとを接続する第3の経路を設け、
    前記遮断機構は、前記動力源が作業回転数のときに前記第1の経路と前記第2の経路とを連通させ、前記動力源がアイドリング回転数のときに前記第1の経路と前記第3の経路とを連通させることにより前記第1の経路から前記第2の経路を遮断することを特徴とする請求項3に記載のチェンソー。
  5. 前記チェンソーは、前記動力源と前記オイルタンクを収容するハウジングと、前記ハウジングから前方に延びるように前記ハウジングの右側側面に取り付けられるガイドバーと、前記駆動軸の回転力が伝達されて駆動されるスプロケットと、前記スプロケットと噛合しながら前記ガイドバーの外周に沿って回転するソーチェンと、前記スプロケットと前記ガイドバーの取付部を覆うようにして前記ハウジングに設けられるサイドカバーと、を有し、
    前記遮断機構は、前記ハウジングの外壁部分に形成された細長い窪み部と、前記窪み部に収容される前記弁部材及び前記弾性体と、前記窪み部の開口面を塞ぐように前記ハウジングの外壁部分に取り付けられるプレート部材を含むことを特徴とする請求項4に記載のチェンソー。
  6. 前記弁部材は、前記窪み部にて前記オイルの流れる軸方向に移動可能であって、流入口から軸方向に形成された軸方向通路と、前記軸方向通路から径方向に連通する径方向通路が形成され、前記径方向通路は前記弁部材の径方向外側に開口する排出口を有し、
    前記窪み部の軸方向と交差する方向に向けて前記第2の経路の入口が開口し、
    前記弁部材の排出口が前記第2の経路の入口開口と対向した際に前記第1の経路と前記第2の経路が連通し、前記弁部材の排出口が前記窪み部の壁面と対向した際に前記第1の経路が閉鎖されることを特徴とする請求項5に記載のチェンソー。
  7. 前記窪み部の壁面には、第2の経路の入口開口とは独立した第3の経路の入口開口が形成され、前記第2の経路の入口開口と第3の経路の入口開口とは、軸方向に離れた位置に配置されることを特徴とする請求項6に記載のチェンソー。
  8. 前記第3の経路の入口開口は、前記第2の経路の入口開口よりも流入方向上流側に配置され、
    前記弁部材の先端から前記排出口までの軸方向の間隔Lは、前記第2の経路の入口開口と第3の経路の入口開口との軸方向の間隔Lよりも小さいことを特徴とする請求項7に記載のチェンソー。
  9. 駆動軸を回転させる動力源と、
    前記駆動軸の回転によって駆動されるソーチェンと、
    前記駆動軸の回転力を用いてオイルタンクに貯留されたオイルを吸引するオイルポンプと、
    前記オイルポンプから吸引されたオイルを前記ソーチェン近傍の吐出口へ供給するオイル供給経路を備えたチェンソーであって、
    前記オイル供給経路の連通および遮断を切替えるために前記オイル供給経路に遮断機構を設け、
    前記オイル供給経路は、前記オイルポンプと前記遮断機構とを接続する第1の経路と、前記遮断機構と前記吐出口とを接続する第2の経路を有し、
    前記遮断機構と前記オイルタンクとを接続する第3の経路を設け、
    前記遮断機構は、前記動力源が作業回転数のときに前記第1の経路と前記第2の経路とを連通させ、前記動力源がアイドリング回転数のときに前記第1の経路と前記第3の経路とを連通させることにより前記第1の経路から前記第2の経路を遮断することを特徴とするチェンソー。
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CN110449659A (zh) * 2019-07-22 2019-11-15 浙江亚特电器有限公司 一种链锯的油泵位置调节结构及链锯
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