[第1実施形態]
図1~図5を参照して、本発明の一実施形態である自動かんな盤1の概略構成について説明する。
自動かんな盤1は、テーブル43が有する載置面431に載置された被切削部材CMを切削領域CAに移送し、切削領域CAを通過する被切削部材CMの上方面を切削可能に構成されている。本実施形態においては、自動かんな盤1は、テーブル43に載置された被切削部材を図1に示した矢印の移送方向に移送する。
以下の説明では、便宜上、移送方向を前後方向と定義し、自動かんな盤1における被切削部材CMが移送される先を後側、反対側を前側と定義する。すなわち、被切削部材CMは、自動かんな盤1の前側から後側に向けて移送される。また、テーブル43における被切削部材CMを載置するための載置面431に垂直な方向を上下方向と定義し、上下方向のうちテーブル43から切削部材に向かう方向を上方向と定義し、上方向の逆方向を下方向と定義する。さらに、前後方向および上下方向に垂直な方向を左右方向と定義する。左右方向のうち、移送方向に向かって左側を左方向と定義し、移送方向に向かって右側を右方向と定義する。
図示するように、自動かんな盤1は、切削機能を有する本体ユニット10を備える。本体ユニット10の上方にはトップカバー41が配置され、下方には、ベース80が配置されている。ベース80の上部には、テーブル43が配置される。また、本体ユニット10の左側方には左側方カバー46が配置され、右側方には右側方カバー47が配置される。
トップカバー41には、昇降ハンドル48が設けられている。昇降ハンドル48は、上下方向に延在する回動軸周りに回動可能に構成されている。本体ユニット10は、昇降ハンドル48が使用者によって回動されることによって、テーブル43に対して相対的に上下方向に昇降可能に構成されている。本体ユニット10が昇降することによって、本体ユニット10とテーブル43と左側方カバー46と右側方カバー47とによって囲われた切削領域CAの上下方向の長さは調整可能である。被切削部材CMの厚さ(上下方向の長さ)に応じて切削領域CAの上下方向の長さが調整されることによって、自動かんな盤1は種々の厚さの被切削部材CMを切削可能に構成されている。
テーブル43の前側端部には、前側補助テーブル44が、左右方向に延在する回動軸周りに回動可能に支持されている。また、テーブル43の後側端部には、後側補助テーブル45が、左右方向に延在する回動軸周りに回動可能に支持されている。前側補助テーブル44は、被切削部材CMを載置可能な載置面441を有する。後側補助テーブル45は、被切削部材CMを載置可能な載置面451を有する。前側補助テーブル44および後側補助テーブル45が水平状態(開状態)のときには、載置面441と、載置面431と、載置面451とは、同一平面上に位置するように構成されている。前側補助テーブル44および後側補助テーブル45が回動軸周りに上方側へ回動した状態のときは、前側補助テーブル44および後側補助テーブル45は、テーブル43の前後端部上方に折り畳まれた状態(閉状態)となる。
なお、上述したように、本体ユニット10とテーブル43と左側方カバー46と右側方カバー47とによって囲われた領域を切削領域CAと定義する。また、図2に示すように、移送される被切削部材CMが通過する領域を移送領域TAと定義する。さらに、図3に示すように、昇降ハンドル48を含むトップカバー41よりも上方側の領域をカバー上方領域CUAと定義する。メインハウジング100の上端よりも上方の領域をハウジング上方領域HUAと定義する。メインフレーム30の下端からメインハウジング100の上端までの領域を駆動機構配置領域DMAと定義する。テーブル43の載置面431よりも下方の領域をベース領域BSAと定義する。左側方カバー46よりも左方の領域を左側方領域LSAと定義する。右側方カバー47よりも右方の領域を右側方領域RSAと定義する。
本実施形態においては、メインハウジング100よりも上方であって、トップカバー41よりも下方の領域に、バッテリパック取付ユニット50が取り付けられている。すなわち、バッテリパック取付ユニット50は、ハウジング上方領域HUAに取り付けられている。具体的には、トップカバー41の下面に、バッテリパック取付ユニット50が複数のネジ部によって締結されている。バッテリパック取付ユニット50は、2つのバッテリパック60が取り外し自在な状態で取り付け可能である。バッテリパック60は、バッテリパック取付ユニット50に対してスライドさせることによって着脱される。
図4および図5に示すように、バッテリパック60は、自動かんな盤1の後方側から、バッテリパック取付ユニット50に対して前後方向にスライドされることによって着脱される。トップカバー41の後方側には、アーチ形状の逃がし形状420が形成されている。逃がし形状420は、使用者によるバッテリパック60の着脱作業を容易にする。
バッテリパック取付ユニット50と本体ユニット10とは、電気コード52によって互いに電気的に接続されている。本実施形態における自動かんな盤1は、定格電圧が36ボルトである。バッテリパック取付ユニット50には、公称電圧が18ボルトである2つのバッテリパック60が、電気的に直列に接続されて取り付けられている。自動かんな盤1は、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられた2つのバッテリパック60から供給される電力によって駆動する。バッテリパック取付ユニット50およびバッテリパック60の詳細については後述する。
図3に示すように、本体ユニット10は、メインハウジング100と、メインフレーム30とを含む。メインハウジング100には、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられた2つのバッテリパック60の各々のバッテリ残容量を表示する残容量表示部19が設けられている。残容量表示部19には、残容量ゲージ191と残容量ゲージ192とが配置されている。残容量ゲージ191は、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられた2つのバッテリパック60のうちの一方のバッテリ残容量を表示する。残容量ゲージ192は、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられた2つのバッテリパック60のうちの他方のバッテリ残容量を表示する。残容量ゲージ191には、3つのLEDランプが左右方向に一列に並んだ状態で配置されている。残容量ゲージ191に対応するバッテリパック60がフル充電の状態のときには、残容量ゲージ191の3つのLEDランプが点灯する。当該バッテリパック60の残容量が減少するにしたがって、3つのLEDランプが順次消灯する。残容量ゲージ192の構成は、残容量ゲージ191と同様の構成であるので、残容量ゲージ192の構成についての説明を省略する。
また、メインハウジング100には、メインスイッチ71とレバースイッチ72とが設けられている。メインスイッチ71をON状態にすることで、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられたバッテリパック60から後述するモータ15までの電気回路のうち、レバースイッチ72まで電力が供給される。メインスイッチ71をON状態に維持し、レバースイッチ72をON状態にすることで、モータ15に電力が供給され、モータ15は回転を開始し、自動かんな盤1は被切削部材CMを切削可能な駆動状態となる。
メインスイッチ71は、押圧式のオルタネートスイッチである。OFF状態のメインスイッチ71は、一度押圧されると、OFF状態からON状態になり、ON状態を維持する。また、ON状態のメインスイッチ71は一度押圧されると、ON状態からOFF状態となり、OFF状態を維持する。
レバースイッチ72は、左右方向に延在する回動軸周りを回動可能にメインハウジング100に支持されている。OFF状態のレバースイッチ72は回動軸周りに上方側に所定角度回動されるとON状態となり、ON状態を維持する。ON状態のレバースイッチ72は回動軸周りに下方側に回動されて初期の位置に戻されると、OFF状態となり、OFF状態を維持する。なお、図1~図5に示した自動かんな盤1においては、レバースイッチ72はOFF状態である。本実施形態の自動かんな盤1においては、メインスイッチ71とレバースイッチ72とを隣接して配置することによって、使用者が操作しやすい構成としている。
メインスイッチ71およびレバースイッチ72がON状態であり自動かんな盤1が駆動している状態で、切削領域CAに被切削部材CMが移送されると、自動かんな盤1は被切削部材CMを切削する。自動かんな盤1が被切削部材CMを切削することによって発生する切削屑は、本体ユニット10の後方側に設けられた切削屑排出口145から排出される。切削屑排出口145からはエアが噴出する。切削屑排出口145から噴出するエアは、切削屑排出口145から排出された切削屑を吹き飛ばし、切削屑排出口145の近傍に切削屑が蓄積することを抑制する。また、切削屑排出口145の上方には、板状形状のチップカバー350が、メインフレーム30にネジ部351とネジ部352によって締結されている。チップカバー350は、切削屑排出口145から排出される切削屑の飛散を抑制する。
図6~図10を参照して、自動かんな盤1の詳細な構成について説明する。
図6、図7および図8に示すように、ベース80の四つの角には、支柱411、支柱412、支柱413、支柱414が、載置面431に垂直に立設されている。支柱411、支柱412、支柱413、支柱414の各上端部は、各々、ネジ部415、ネジ部416、ネジ部417、ネジ部418によって、トップカバー41と締結されている。また、メインフレーム30の4つの角には、支柱411、支柱412、支柱413、支柱414に対して上下方向にスライド可能なスライド部341、スライド部342、スライド部343、スライド部344が設けられている。スライド部341、スライド部342、スライド部343、スライド部344は、各々貫通孔を有し、各貫通孔には支柱411、支柱412、支柱413、支柱414がスライド可能に挿入されている。
ベース80の左端部および右端部には、昇降ネジ軸485、昇降ネジ軸486が、載置面431が備える軸受部材を介して回動可能に載置面431に垂直に立設されている。また、昇降ネジ軸485の下端部と、昇降ネジ軸486の下端部は、いずれも、ベース80の下方側に突出している。ベース80の下方側には空間(下方側領域)が形成されている。ベース80の下方側領域には、左右方向に延在する回動軸である昇降シャフト(図示省略)が配置されている。昇降ネジ軸485の下端部と、昇降ネジ軸486の下端部は、昇降シャフトによって接続されている。昇降シャフトは、昇降ネジ軸485の回動と、昇降ネジ軸486の回動とを同期させるために設けられている。昇降シャフトは、昇降ネジ軸485の上下方向に延在する回動軸周りの回動を、左右方向に延在する回動軸周りの回動に変換して、さらに、上下方向に延在する回動軸周りの回動に変換して、昇降ネジ軸486を回動させる。
メインフレーム30の左端部および右端部には、昇降ネジ孔部345、昇降ネジ孔部346が設けられている。昇降ネジ孔部345および昇降ネジ孔部346は、上下方向に貫通する貫通口を有し、当該貫通口に昇降ネジ軸485および昇降ネジ軸486が回動可能に螺合している。図8に示すように、昇降ネジ軸485の上端部は、トップカバー41を貫通し、昇降ハンドル48と接続されている。使用者によって昇降ハンドル48が回動されると、昇降ネジ軸485が昇降ハンドル48と一体的に回動する。また、昇降ネジ軸485の回動と同期して昇降ネジ軸486が回動する。昇降ネジ軸485および昇降ネジ軸486の回動によって、昇降ネジ孔部345および昇降ネジ孔部346が、昇降ネジ軸485および昇降ネジ軸486から上方または下方の力を受けて、メインフレーム30が上方または下方にスライドする。メインフレーム30が上方または下方にスライドすることによって、本体ユニット10が上方または下方にスライドし、切削領域CAの上下方向の長さが変更される。このように、使用者によって昇降ハンドル48が回動されることで、切削領域CAの上下方向の長さが変更される。
次に、本体ユニット10の詳細について説明する。
図9に示すように、メインハウジング100は、第1ハウジング110と、第2ハウジング160と、第3ハウジング180とを有する。第1ハウジング110には、モータ15と、コントローラ112が収容されている。コントローラ112は、モータ15の駆動を制御する制御基板114を有する。制御基板114は、モータ15へ流れる電流をスイッチングするトランジスタ115を有する。本実施例においては、トランジスタ115として、FET(Field effect transistor)を採用する。制御基板114は、トランジスタ115を用いたPWM制御(Pulse Width Modulation)によってモータ15の駆動を制御する。
モータ15は、コントローラ112の下方に配置されている。本実施形態では、モータ15として、ステータ151と、ロータ152と、ロータ152から延設されたモータシャフト153とを備えたブラシレスモータが採用される。左右方向に延在するモータシャフト153は、左右端部において、ベアリング154およびベアリング155によって回動可能に支持されている。なお、本実施形態においては、モータ15およびベアリング155が第1ハウジング110に組み込まれる際に、第1ハウジング110が有する右端壁部118の外側から第1ハウジング110の内側に向けてモータシャフト153が挿入される。モータシャフト153が第1ハウジング110に挿入された後、ベアリング155が、モータシャフト153を軸支するように、右端壁部118の外側から第1ハウジング110に取り付けられる。
モータシャフト153におけるベアリング154とロータ152との間には、ファン156が設けられている。ファン156は、モータシャフト153を回動軸にしてモータシャフト153と一体的に回動する。メインハウジング100には、吸気口121と排気口125とが設けられている。また、メインハウジング100の内部には、吸気口121と排気口125とを連通するエア流路が形成されている。ファン156は、吸気口121からエア流路を経由して排気口125へと流通するエアの流れを発生させる。エア流路を流通するエアは、モータ15およびコントローラ112を冷却する。
第2ハウジング160には、ギア161と、ギア162と、ギア163とが収容されている。この3つのギアは、モータシャフト153の回動軸と平行な回動軸周りに回動可能に構成されている。モータシャフト153の左端部は第2ハウジング160内に突出しており、この部分にギア161が噛合する。ギア161はギア162と噛合し、ギア162はギア163と噛合する。第3ハウジング180には、ドライブシャフト164が収容されており、ギア163には、ドライブシャフト164の右端部が一体的に連結されている。ドライブシャフト164は、モータシャフト153の回動軸と平行な回動軸周りに回動可能に構成されている。ドライブシャフト164は、ギア163と一体的に回動する。モータ15の回転動力は、ギア161、ギア162、およびギア163を介して適宜変速されて、ドライブシャフト164に伝達される。図10に示すように、ドライブシャフト164の左端部には、ドライブシャフト164と一体的に回動するギア166が連結されている。ギア166には、チェーン301が架け渡されている。メインフレーム30には、移送ローラ31および移送ローラ33が収容されている。チェーン301は、移送ローラ31が有するギア312に架け渡されるとともに、移送ローラ33が有するギア332に架け渡されている。ドライブシャフト164の回転動力は、ギア166、チェーン301、ギア312を介して移送ローラ31に伝達されるとともに、ギア166、チェーン301、ギア332を介して移送ローラ33に伝達される。
図10に示すように、メインフレーム30には、被切削部材CMを切削するためのかんな胴21と、被切削部材CMを移送するための移送ローラ31および移送ローラ33が配置されている。移送ローラ31は、かんな胴21の前方に配置され、移送ローラ33は、かんな胴21の後方に配置される。移送ローラ31は、シャフト311と、ギア312と、ローラ部313とを有する。シャフト311は、左右方向に延在する回動軸周りを回動可能に構成されている。シャフト311の左端部には、ギア312がシャフト311と一体的に連結されている。シャフト311の回動軸周縁には、被切削部材CMを移送するときに当該被切削部材CMと当接するローラ部313が周設されている。移送ローラ33は、シャフト331と、ギア332と、ローラ部333とを有する。シャフト331は、左右方向に延在する回動軸周りを回動可能に構成されている。シャフト331の回動軸周縁には、被切削部材CMを移送するときに当該被切削部材CMと当接するローラ部333が周設されている。ローラ部313およびローラ部333は、移送ローラ31および移送ローラ33の回動力を、推進力として被切削部材CMに伝達するように構成されている。
図10に示すように、モータシャフト153の右端部には、プーリ157が、モータシャフト153と一体的に回動可能に連結されている。プーリ157にはベルト201が架け渡されている。ベルト201は、かんな胴21が有するプーリ211に架け渡されている。モータ15の回転動力は、プーリ157、ベルト201、プーリ211を介して適宜変速されてかんな胴21に伝達される。
かんな胴21は、左右方向に延在する回動軸周りに回動可能に構成されている。かんな胴21の周縁には、かんな刃213およびかんな刃214が、回動軸方向に平行に延設されている。かんな刃213およびかんな刃214は、かんな胴21の回動軸を中心として対称的な位置に、複数のネジ部215によって締結されている。かんな胴21の右端部には、プーリ211が、かんな胴21と一体的に回動可能に連結されている。上述したように、かんな胴21は、プーリ157、ベルト201、プーリ211を介して伝達されたモータ15の回転動力によって回動する。かんな胴21のかんな刃213およびかんな刃214は、移送ローラ31および移送ローラ33によって前方から後方に向けて移送される被切削部材CMを切削する。
次に、図8、図11~図14を参照して、バッテリパック取付ユニット50およびバッテリパック60について説明する。
バッテリパック60は、公称電圧が18ボルトのバッテリパックである。バッテリパック60は、自動かんな盤1の電源として使用可能である。さらに、バッテリパック60は、自動かんな盤1以外の他の電動工具の電源として使用可能である。自動かんな盤1以外の他の電動工具として、例えば、電動ドリル、電動ドライバ、電動レンチ、電動グラインダ、電動マルノコ、電動レシプロソー、電動ジグソー、電動ハンマ、電動カッター、電動チェーンソー、電動カンナ、電動釘打ち機、電動ヘッジトリマ、電動芝生バリカン、電動芝刈機、電動刈払機、電動ブロワー、電動クリーナなどの電動工具が挙げられる。
バッテリパック60は、バッテリーパッケージや組電池と呼ばれる場合があり、所定のサイズに成形された外郭ハウジングと当該外郭ハウジング内に収容され、直列に接続された5個のリチウムイオン電池セルを有している。バッテリパック60は、再充電可能なバッテリパックであり、自動かんな盤1および他の電動工具の電源として使用された後に、充電器(図示省略)によって再充電することができる。バッテリパック60は、いわゆるスライド式のバッテリパックであり、自動かんな盤1が有するバッテリパック取付ユニット50や充電器に、取り外し自在な状態で取り付け可能である。
図12に示すように、バッテリパック60には、左右一対のレール受け部61aが設けられている。以下の説明では、バッテリパック60において、レール受け部61aが配置されている側を、バッテリパック60の上方とし、バッテリパック60の上方と逆方向を、バッテリパック60の下方とする。左右のレール受け部61aの間には、正極出力端子61bおよび負極出力端子61cが配置されている。正極出力端子61bと負極出力端子61cとの間には、バッテリパック60が充電器によって充電される際に充電器との間で制御信号を送受信するためのコネクタ部61dが配置されている。また、バッテリパック60の上方部には、ロック部材61eが設けられている。また、バッテリパック60の筐体内部であってロック部材61eの下方には、バネ部材(図示省略)が配置されている。当該バネ部材は、ロック部材61eを上方に押し上げるように付勢している。バッテリパック60の背面には、アンロックボタン61fが配置されている。アンロックボタン61f(図13参照)が下方側に押下されると、ロック部材61eは下方側に移動する。
図11に示すように、バッテリパック取付ユニット50には、取付部51が2つ配置されている。2つの取付部51は互いに同様の構成を備えている。2つの取付部51は電気的に直列に接続されている。従って、バッテリパック取付ユニット50は、公称電圧が18ボルトである2つのバッテリパック60を直列に接続することができる。上述のように、自動かんな盤1は、定格電圧が36ボルトである。バッテリパック60が2つ取り付けられたバッテリパック取付ユニット50から供給される電力で、自動かんな盤1は駆動することができる。取付部51には、左右一対のレール部51aが設けられている。左右のレール部51aの間には、正極入力端子51bと負極入力端子51cが配置されている。また、取付部51には、バッテリパック60のロック部材61eが係合するロック受入穴51eが設けられている。
取付部51に対してバッテリパック60が取り付け方向にスライドされることで、レール受け部61aがレール部51aに係合して、バッテリパック60は取付部51に取り付けられる。なお、以下の説明では、バッテリパック取付ユニット50のレール部51aに沿った方向をスライド方向と定義する。バッテリパック60が取付部51に取り付けられると、取付部51が有する正極入力端子51bおよび負極入力端子51cが、バッテリパック60が有する正極出力端子61bおよび負極出力端子61cに電気的に接続される。また、バッテリパック60が取付部51に取り付けられると、ロック部材61eがロック受入穴51eに係合し、バッテリパック60がスライド方向に移動不能に固定されたロック状態となる。
取付部51に取り付けられたバッテリパック60のアンロックボタン61fが使用者によって押下されると、ロック部材61eとロック受入穴51eとの係合が解除された状態(アンロック状態)となる。アンロック状態において、取付部51に対してバッテリパック60が取り外し方向にスライドされることによって、バッテリパック60は取付部51から取り外される。このように、バッテリパック60は、バッテリパック取付ユニット50が有する取付部51に、取り外し自在な状態で取り付け可能である。
次に、図8および図14を参照して、本実施形態の自動かんな盤1においてバッテリパック取付ユニット50が取り付けられている位置について詳細に説明する。
バッテリパック取付ユニット50は、バッテリパック取付ユニット50とバッテリパック60とが移送領域TA(図2参照)を回避した位置に存在するように、自動かんな盤1に配置されている。本実施形態においては、ハウジング上方領域HUA(図3参照)に、バッテリパック取付ユニット50とバッテリパック60とが配置されている。具体的には、バッテリパック取付ユニット50は、メインハウジング100よりも上方、かつ、トップカバー41よりも下方に配置されている。ここで、図14に示すように、本実施形態の自動かんな盤1においては、メインハウジング100の前後方向の長さHLは、メインフレーム30の前後方向の長さFLよりも短い。また、メインハウジング100は、メインフレーム30の上方領域の前方側に配置されている。したがって、メインフレーム30の上方領域の後方側にはスペースが存在する。そこで、本実施形態においては、バッテリパック取付ユニット50は、トップカバー41の下面であって、当該下面の後方側に複数のネジ部によって固定される。このような構成を採用することで、本体ユニット10がテーブル43に対して相対的に上昇し得る最も高い位置に上昇したときには、バッテリパック60およびバッテリパック取付ユニット50は当該スペースに収まり、バッテリパック60およびバッテリパック取付ユニット50が本体ユニット10と接触することを回避することができる。
本実施形態では、取付部51、レール部51a、正極入力端子51b、負極入力端子51cが、バッテリパック取付ユニット50の下方に位置するように、バッテリパック取付ユニット50はトップカバー41に取り付けられている。すなわち、レール受け部61a、正極出力端子61b、負極出力端子61cが上方を向いた状態のバッテリパック60が、バッテリパック取付ユニット50に取り付けられる。
また、上述したように、バッテリパック取付ユニット50とメインハウジング100とは、電気コード52によって接続されている。本実施形態においては、バッテリパック取付ユニット50から電気コード52が延出する方向と、メインハウジング100から電気コード52が延出する方向とは、ねじれの位置にある。具体的には、図8に示すように、バッテリパック取付ユニット50から電気コード52が延出する方向は左右方向であり、メインハウジング100から電気コード52が延出する方向は前後方向である。すなわち、上方から見た場合、バッテリパック取付ユニット50から電気コード52が延出する方向と、メインハウジング100から電気コード52が延出する方向とは、略直角である。このような構成を採用することで、本体ユニット10がテーブル43に対して相対的に上昇して、メインハウジング100とバッテリパック取付ユニット50との距離が短くなった場合に、メインハウジング100の後方、且つ、バッテリパック取付ユニット50の左方に位置する空間に、メインハウジング100とバッテリパック取付ユニット50との距離に対して余った電気コード52が緩やかに曲がりながら逃げることができる。このような構成を採用することで、本体ユニット10が上昇した場合に、電気コード52は、急なカーブで屈曲することを回避することができる。
図14に示すように、自動かんな盤1が運搬される場合や、収納される場合には、前側補助テーブル44および後側補助テーブル45は、左右方向に延在する回動軸周りに上方側へ回動され、テーブル43の前後端部上方に折り畳まれた状態(閉状態)となる。本実施形態の自動かんな盤1は、バッテリパック取付ユニット50およびバッテリパック60の後端部が、閉状態の後側補助テーブル45の後端部よりも前方側(内側)に位置するように構成されている。従って、自動かんな盤1が運搬される場合や、収納される場合に、バッテリパック取付ユニット50およびバッテリパック60が、作業者や周囲の設備などの外的な要素と接触することが回避される。
また、トップカバー41の上面に設けられた昇降ハンドル48は、回動軸483によって支持されている。図4に示すように、自動かんな盤1が使用される場合には、昇降ハンドル48は、昇降ハンドル48が有する操作部481が上方を向くように、回動軸483回りに回動される。一方、図14に示すように、自動かんな盤1が運搬される場合や、収納される場合には、昇降ハンドル48は、昇降ハンドル48が有する操作部481が下方を向くように、回動軸483回りに回動され折り畳まれる。昇降ハンドル48が折り畳まれた場合、昇降ハンドル48の上端は、トップカバー41の上端よりも下方側に位置する。このような構成を採用することによって、自動かんな盤1が運搬される場合や、収納される場合に、昇降ハンドル48が、作業者や周囲の設備などの外的な要素と接触することが回避される。
次に、図15~図17を参照して、レバースイッチ72について説明する。
本実施形態では、レバースイッチ72は、第3ハウジング180に配置されている。レバースイッチ72は、操作用部材720と、中継部材740と、モーメンタリスイッチ760とを備える。操作用部材720は、左右方向に延在する回動軸721周りに回動可能に、第3ハウジング180に支持されている。
操作用部材720の一端は、第3ハウジング180の外部に延出し、使用者が操作するための操作部722として構成されている。操作部722は、回動軸721と平行な平面を有する板状部材によって構成されている(図1参照)。従って、使用者による操作用部材720の回動操作において、使用者の力が操作用部材720に対して回動方向に伝わりやすい構成とされている。操作用部材720の他端は、第3ハウジング180の内部に収容され、中継部材740と接触する接触部723として構成されている。また、操作用部材720において、回動軸721は、操作部722と接触部723との間に位置している。本実施形態においては、回動軸721から操作部722の端部までの距離は、回動軸721から接触部723の端部までの距離よりも長くなるように構成されている。
中継部材740は、第3ハウジング180の内部に収容されている。中継部材740は、自動かんな盤1の前後方向において、操作用部材720とモーメンタリスイッチ760との間に配置されている。中継部材740の上端部には、左右方向に延在する回動軸741が設けられている。中継部材740は、回動軸741周りに回動可能に、第3ハウジング180に支持されている。中継部材740の前方面には、操作用部材720の接触部723と接触する接触部743が形成されている。中継部材740は、接触部743および接触部723を介して操作用部材720と力学的に相互に作用することによって操作用部材720と連動するように構成されている。中継部材740の後方面には、モーメンタリスイッチ760と接触する接触部745が形成されている。接触部745は、凸形状に形成されている。また、本実施形態においては、回動軸741から操作用部材720の接触部723が接触する接触部743の位置までの距離は、回動軸741から接触部745までの距離よりも長くなるように構成されている。
モーメンタリスイッチ760は、スイッチング機能を有する接点が収容される本体部762と、本体部762から前方向に突出する可動部765とを有する。可動部765は、前後方向にスライド可能に構成され、中継部材740の接触部745と接触する。モーメンタリスイッチ760は、可動部765および接触部745を介して中継部材740と力学的に相互に作用することによって中継部材740と連動するように構成されている。モーメンタリスイッチ760は、入り切り可能な2つの接点を有する。1つの接点は、バッテリパック60から供給されるモータ15の駆動用の電力を入り切りするための駆動電力用接点(図示省略)である。もう1つの接点は、モータ15の駆動を制御するための制御信号の入り切りをするための制御信号用接点(図示省略)である。本体部762の内部において、駆動電力用接点と、制御信号用接点とは、それぞれ、別の収容室に収容されている。
モーメンタリスイッチ760は、可動部765が本体部762に向けて所定量以上押し込まれている期間だけ、駆動電力用接点と制御信号用接点との両方がON状態になる。そして、モーメンタリスイッチ760は、可動部765の本体部762への押し込みが解除されると、駆動電力用接点と制御信号用接点の両方がOFF状態に移行する。より具体的には、可動部765が本体部762に向け押し込まれると、最初に駆動電力用接点がON状態に移行し、その後、制御信号用接点がON状態に移行する。そして、可動部765の本体部762への押し込みが解除されると、最初に制御信号用接点がOFF状態に移行し、その後、駆動電力用接点がOFF状態に移行する。
ここで、便宜上、以下の定義をする。駆動電力用接点と制御信号用接点の両方がOFF状態であるモーメンタリスイッチ760の状態を第1のスイッチ状態と定義する。駆動電力用接点と制御信号用接点との両方がON状態であるモーメンタリスイッチ760の状態を第2のスイッチ状態と定義する。回動軸721を中心とする操作用部材720の上方側の回動方向を、第1の回動方向と定義する。操作用部材720の第1の回動方向と逆の回動方向を、第2の回動方向と定義する。また、モーメンタリスイッチ760が第1のスイッチ状態の場合における自動かんな盤1の状態を停止状態と定義する。モーメンタリスイッチ760が第2のスイッチ状態の場合における自動かんな盤1の状態を駆動状態と定義する。モーメンタリスイッチ760が第1のスイッチ状態であり、かつ、操作用部材720が第2の回動方向に回動することができない状態(図15の操作用部材720の状態)を初期位置状態と定義する。モーメンタリスイッチ760が第2のスイッチ状態の場合における操作用部材720の状態をオン位置状態と定義する。さらに、第1の回動方向を基準として操作用部材720が初期位置状態から回動した角度の値を操作回動角と定義する。
モーメンタリスイッチ760は、本体部762の内部に、バネ部(図示省略)を備え、第1のスイッチ状態から第2のスイッチ状態に移行する場合に、第1のスイッチ状態に戻る方向の付勢力が生じる。すなわち、可動部765には、後方から前方へ向う方向の付勢力が作用している。この付勢力によって、モーメンタリスイッチ760は、可動部765が本体部762に向けて所定量以上押し込まれている期間だけ、第2のスイッチ状態となる。そして、モーメンタリスイッチ760は、可動部765の本体部762への押し込みが解除されると、第1のスイッチ状態に移行する。
次に、自動かんな盤1を停止状態から駆動状態に移行させる場合のレバースイッチ72の動作、および、自動かんな盤1を駆動状態から停止状態に移行させる場合のレバースイッチ72の動作について説明する。
図15に示すように、操作用部材720が初期位置状態のときには、モーメンタリスイッチ760は第1のスイッチ状態であり、自動かんな盤1は停止状態である。使用者が操作用部材720を、初期位置状態から第1の回動方向に回動させるように操作部722に力を作用させると、図16に示すように、操作用部材720は第1の回動方向に回動する。操作用部材720は、操作部722に加えられた力を、回動軸721を梃子の支点として中継部材740に伝える。具体的には、操作用部材720が第1の回動方向に回動することによって、操作用部材720の接触部723が、中継部材740の接触部743に対して前方側、且つ、下方側に摺動する。操作用部材720の接触部723が、中継部材740の接触部743に対して前方側、且つ、下方側に摺動すると、中継部材740は、回動軸741を支点として、モーメンタリスイッチ760を第1のスイッチ状態から第2のスイッチ状態に移行させる方向に回動する。
中継部材740は、モーメンタリスイッチ760を第1のスイッチ状態から第2のスイッチ状態に移行させる方向に回動することによって、操作用部材720から伝えられた力を、回動軸741を梃子の支点としてモーメンタリスイッチ760に伝える。具体的には、中継部材740が回動することによって、中継部材740の接触部745は、モーメンタリスイッチ760の可動部765を本体部762側に向けて押し込む。中継部材740の接触部745がモーメンタリスイッチ760の可動部765を本体部762側に向けて押し込む過程において、中継部材740の接触部745はモーメンタリスイッチ760の可動部765に対して摺動する。そして、図17に示すように、モーメンタリスイッチ760は、接触部745を介して中継部材740から伝えられた力によって、第1のスイッチ状態から第2のスイッチ状態に移行する。モーメンタリスイッチ760が第2のスイッチ状態に移行すると、自動かんな盤1は駆動状態に移行する。
本実施形態のレバースイッチ72においては、操作用部材720が初期位置状態から第1の回動方向に回動した場合に、操作用部材720の接触部723の移動する方向と中継部材740の接触部743の移動する方向とのズレの大きさよりも、中継部材740の接触部745の移動する方向とモーメンタリスイッチ760の可動部765の移動する方向とのズレの大きさの方が小さい。従って、本実施形態のレバースイッチ72は、操作用部材720が回動した場合には、操作用部材720の接触部723と中継部材740の接触部743との間の摺動距離よりも、中継部材740の接触部743とモーメンタリスイッチ760の可動部765との間の摺動距離の方が小さくなるように構成されている。よって、操作用部材720とモーメンタリスイッチ760とが直接に接触している構成と比較して、操作用部材720を回動させることによる、モーメンタリスイッチ760に対する他部材の摺動距離が短くなる。これにより、レバースイッチ72は、モーメンタリスイッチ760の摺動による磨耗が抑制される構成とされている。すなわち、本実施形態のレバースイッチ72は、モーメンタリスイッチ760の耐摩耗性を向上させることができる。
また、本実施形態のモーメンタリスイッチ760は、上述したように、第1のスイッチ状態から第2のスイッチ状態に移行する場合に、第1のスイッチ状態に戻る方向の付勢力が生じる。以下、本実施形態のモーメンタリスイッチ760に生じる付勢力を、単に付勢力とも呼ぶ。モーメンタリスイッチ760の付勢力は、モーメンタリスイッチ760の可動部765および中継部材740の接触部745を介して中継部材740に伝わる。そして、モーメンタリスイッチ760の付勢力は、中継部材740の接触部743および操作用部材720の接触部723を介して操作用部材720に伝わる。
操作用部材720の操作回動角が所定値α未満である場合には、モーメンタリスイッチ760から中継部材740を介して操作用部材720に作用する付勢力は、操作用部材720を第2の回動方向に回動させる方向に作用する。
使用者が、操作用部材720を第2の回動方向に回動させる方向の力に抗して、操作用部材720を第1の回動方向に回動させると、一時的に、中継部材740が操作用部材720に作用させる力の方向と、回動軸721と接触部723を結ぶ方向とが同じになる。この状態においては、モーメンタリスイッチ760から中継部材740を介して操作用部材720に作用する付勢力は、操作用部材720を回動させる方向の力として作用しない。この状態における操作用部材720の操作回動角が、上述した所定値αの操作回動角に対応する。
そして、使用者が、さらに操作用部材720を第1の回動方向に回動させて、操作用部材720の操作回動角が所定値αより大きくなった場合には、モーメンタリスイッチ760から中継部材740を介して操作用部材720に作用する付勢力は、操作用部材720を第1の回動方向に回動させる方向に作用する。従って、使用者による操作用部材720を第1の回動方向に回動させる方向の力と、付勢力に起因する操作用部材720を第1の回動方向に回動させる方向の力によって、操作用部材720は第1の回動方向に回動し、モーメンタリスイッチ760は第2のスイッチ状態になる。
ここで、モーメンタリスイッチ760が第2のスイッチ状態である場合における操作用部材720の操作回動角のうち特定の操作回動角をオン状態操作回動角と定義する。第3ハウジング180は、操作回動角がオン状態操作回動角より大きくならないように、操作用部材720の第1の回動方向の回動を規制する操作回動角規制部185を有する。操作回動角規制部185は、操作部722と当接することによって、操作回動角がオン状態操作回動角より大きくならないように操作用部材720の第1の回動方向の回動を規制する。従って、操作用部材720の操作回動角がオン状態操作回動角のときには、操作用部材720に作用する付勢力は、操作用部材720を第1の回動方向に回動させる方向に作用し、その一方で、操作回動角規制部185は操作回動角がオン状態操作回動角より大きくならないように操作用部材720の第1の回動方向の回動を規制する。これにより、操作用部材720の操作回動角は、オン状態操作回動角に安定的に維持される。
操作用部材720の操作回動角は、オン状態操作回動角で安定的に維持されているので、オン位置状態の操作用部材720に対して、外的な要因によって第2の回動方向の力が作用した場合に、その外的な要因による第2の回動方向の力が、モーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する操作用部材720を第1の回動方向に回動させる力よりも小さい場合には、操作用部材720の操作回動角は、オン状態操作回動角に維持される。
オン位置状態の操作用部材720に対して、外的な要因による第2の回動方向の力が作用した場合に、その外的な要因による第2の回動方向の力が、モーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する操作用部材720を第1の回動方向に回動させる力よりも大きい場合には、操作用部材720は第2の回動方向に回動を開始する。このとき、操作回動角が所定値α未満となる前に、外的な要因による第2の回動方向の力が解除された場合には、モーメンタリスイッチ760の付勢力は操作用部材720を第1の回動方向に回動させる方向に作用するので、操作用部材720は、再び、第1の回動方向に回動し、操作用部材720の操作回動角は、オン状態操作回動角に戻る。
使用者がオン位置状態の操作用部材720を第2の回動方向に回動させて、操作用部材720の操作回動角が所定値α未満となった場合には、上述したように、モーメンタリスイッチ760の付勢力は、操作用部材720を第2の回動方向に回動させる方向に作用する。従って、使用者が、駆動状態の自動かんな盤1を停止状態に移行させるために操作用部材720を第2の回動方向に回動させる状況において、操作回動角が所定値α未満となるまで操作用部材720を第2の回動方向に回動させた後は、モーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する力が操作用部材720を第2の回動方向に回動させるための補助として機能する。
このようなレバースイッチ72の特徴をまとめると、以下のようになる。
操作用部材720が初期位置状態の場合には、操作回動角は所定値α未満であるので、操作用部材720に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第2の回動方向の力が作用する。よって、レバースイッチ72に対して外的な力が作用していない状況においては、操作用部材720は、初期位置状態が保持される。これにより、モーメンタリスイッチ760は、第1のスイッチ状態が保持される。
操作用部材720が初期位置状態から第1の回動方向に回動する状況において、操作回動角が所定値α未満の場合には、操作用部材720に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第2の回動方向の力が作用する。従って、外的な要因により不意に操作用部材720に力が作用した場合であっても、操作部722が第1の回動方向に回動することが抑制される。これにより、外的な要因により不意に自動かんな盤1が停止状態から駆動状態に移行することが抑制される。
操作用部材720が第1の回動方向に回動されて操作回動角が所定値αより大きくなった場合には、操作用部材720に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第1の回動方向の力が作用する。従って、使用者は、操作回動角が所定値αより大きくなるまで操作用部材720を第1の回動方向に回動させた後は、より軽い力で、操作用部材720を第1の回動方向に回動させることができる。そして、操作用部材720はオン位置状態に移行し、モーメンタリスイッチ760は第2のスイッチ状態に移行し、自動かんな盤1は駆動状態に移行する。
操作用部材720がオン位置状態の場合には、操作回動角が所定値αより大きいので、操作用部材720に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第1の回動方向の力が作用する。よって、レバースイッチ72に対して外的な力が作用していない状況においては、操作用部材720は、オン位置状態が保持される。これにより、モーメンタリスイッチ760は、第2のスイッチ状態が保持される。
操作用部材720がオン位置状態から第2の回動方向に回動する状況において、操作回動角が所定値αより大きい場合には、操作用部材720にはモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第1の回動方向の力が作用する。従って、外的な要素により不意に操作用部材720に力が作用した場合であっても、操作用部材720が第2の回動方向に回動することが抑制される。これにより、外的な要素により不意に自動かんな盤1が駆動状態から停止状態に移行することが抑制される。
操作用部材720が第2の回動方向に回動されて操作回動角が所定値α未満になった場合には、操作用部材720に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第2の回動方向の力が作用する。従って、使用者は、操作回動角が所定値α未満になるまで操作用部材720を第2の回動方向に回動させた後は、より軽い力で、操作用部材720を第2の回動方向に回動させることができる。そして、操作用部材720は初期位置状態に移行し、モーメンタリスイッチ760は第1のスイッチ状態に移行し、自動かんな盤1は停止状態に移行する。
以上説明したように、本実施形態のレバースイッチ72は、操作用部材720および中継部材740を備える。そして、操作用部材720および中継部材740は、モーメンタリスイッチ760を第1のスイッチ状態で保持可能に構成されている。また、操作用部材720および中継部材740は、モーメンタリスイッチ760を第2のスイッチ状態で保持可能に構成されている。
一般的に、モーメンタリスイッチは、ロッカースイッチよりも、適用可能な定格電流が大きいという特徴(以下、特徴1とも呼ぶ)を有する。また、モーメンタリスイッチ760は、その構造上、2つの接点を経時的に順に入り切り可能な構造にすることが容易であるという特徴(以下、特徴2とも呼ぶ)を有する。具体的には、本実施形態においては、モーメンタリスイッチ760は、駆動電力用接点および制御信号用接点を経時的に順に入り切り可能である。この特徴1および特徴2は、自動かんな盤1が有するブラシレスモータ(モータ15)に用いるスイッチに適合する。
その一方で、モーメンタリスイッチ760は、可動部765が本体部762に向けて所定量以上押し込まれている期間だけ、駆動電力用接点と制御信号用接点との両方がON状態になるといった特徴(以下、特徴3とも呼ぶ)を有する。この特徴3は、駆動状態を維持しながら使用される自動かんな盤1には不適合である。
そこで、本実施形態のレバースイッチ72は、操作用部材720および中継部材740を備えることで、モーメンタリスイッチ760が有する特徴1および特徴2を備えつつ特徴3が除去される。従って、レバースイッチ72は、ブラシレスモータ(モータ15)を有する自動かんな盤1に最適なスイッチとして提供されることができる。
本実施形態においては、操作用部材720は、操作部722に加えられた力を、回動軸721を梃子の支点として中継部材740に伝える。中継部材740は、操作用部材720から伝えられた力を、回動軸741を梃子の支点としてモーメンタリスイッチ760に伝える。そして、モーメンタリスイッチ760は、中継部材740から伝えられた力によって、第1のスイッチ状態から第2のスイッチ状態に移行する。すなわち、本実施形態の自動かんな盤1は、梃子の原理を利用してモーメンタリスイッチ760を動作させることができる。本実施形態においては、回動軸721から操作部722の端部までの距離は、回動軸721から接触部723の端部までの距離よりも長くなるように構成されている。また、本実施形態においては、回動軸741から操作用部材720の接触部723が接触する接触部743の位置までの距離は、回動軸741から接触部745までの距離よりも長くなるように構成されている。従って、モーメンタリスイッチ760を直接的に動作させるときに必要な力よりも小さい力で、モーメンタリスイッチ760を動作させることができる。
また、本実施形態においては、操作回動角が所定値α未満である場合には、付勢力に起因した力であって、モーメンタリスイッチ760から中継部材740を介して操作用部材720に作用する力が、操作用部材720を第2の回動方向に回動させるように構成されている。従って、操作用部材720が初期位置状態の場合には、操作回動角は所定値α未満であるので、操作用部材720に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第2の回動方向の力が作用する。よって、レバースイッチ72に対して外的な力が作用していない状況においては、操作用部材720は、初期位置状態が保持される。これにより、モーメンタリスイッチ760を、第1のスイッチ状態に保持することができる。
本実施形態においては、操作用部材720が初期位置状態から第1の回動方向に回動する状況において、操作回動角が所定値α未満の場合には、操作用部材720に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第2の回動方向の力が作用する。従って、外的な要因により不意に操作用部材720に力が作用した場合であっても、操作用部材720が第1の回動方向に回動することが抑制される。これにより、外的な要因により不意に自動かんな盤1が停止状態から駆動状態に移行することを抑制することができる。
また、本実施形態においては、操作用部材720が第1の回動方向に回動されて操作回動角が所定値αより大きくなった場合には、操作部722に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第1の回動方向の力が作用する。従って、使用者は、操作回動角が所定値αより大きくなるまで操作用部材720を第1の回動方向に回動させた後は、より軽い力で、操作用部材720を第1の回動方向に回動させることができる。
本実施形態においては、操作用部材720がオン位置状態の場合には、操作回動角が所定値αより大きいので、操作用部材720に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第1の回動方向の力が作用する。よって、レバースイッチ72に対して外的な力が作用していない状況においては、操作用部材720は、オン位置状態が保持される。これにより、モーメンタリスイッチ760を、第2のスイッチ状態に保持することができる。
さらに、操作用部材720がオン位置状態から第2の回動方向に回動する状況において、操作回動角が所定値αより大きい場合には、操作用部材720にはモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第1の回動方向の力が作用する。従って、外的な要因により不意に操作用部材720に力が作用した場合であっても、操作用部材720が第2の回動方向に回動することが抑制される。これにより、外的な要因により不意に自動かんな盤1が駆動状態から停止状態に移行することを抑制することができる。
操作用部材720が第2の回動方向に回動されて操作回動角が所定値α未満になった場合には、操作部722に対してモーメンタリスイッチ760の付勢力に起因する第2の回動方向の力が作用する。従って、使用者は、操作回動角が所定値α未満になるまで操作用部材720を第2の回動方向に回動させた後は、より軽い力で、操作用部材720を第2の回動方向に回動させることができる。
また、本実施形態においては、操作回動角がオン状態操作回動角より大きくならないように規制する操作回動角規制部185を備える。また上述のように、モーメンタリスイッチ760が第2のスイッチ状態である場合には、モーメンタリスイッチ760の付勢力に起因した力であってモーメンタリスイッチ760から中継部材740を介して操作用部材720に作用する力が、操作用部材720を第1の回動方向に回動させるように構成されている。従って、モーメンタリスイッチ760が第2のスイッチ状態である場合には、操作用部材720の操作回動角をオン状態操作回動角に安定させることができる。
さらに、本実施形態のレバースイッチ72においては、操作用部材720が回動した場合には、操作用部材720の接触部723と中継部材740の接触部743との間の摺動距離よりも、中継部材740の接触部743とモーメンタリスイッチ760の可動部765との間の摺動距離の方が小さくなるように構成されている。従って、操作用部材720とモーメンタリスイッチ760とが直接に接触している構成と比較して、操作用部材720を回動させることによる、モーメンタリスイッチ760に対する他部材の摺動距離を短くすることができる。これにより、レバースイッチ72を、モーメンタリスイッチ760の磨耗を抑制した構成とすることができる。すなわち、本実施形態のレバースイッチ72によれば、モーメンタリスイッチ760の耐摩耗性を向上させることができる。
また、上記の効果に加えて、操作部722は、回動軸721と平行な平面を有する板状部材によって構成されている。よって、使用者による操作用部材720の回動操作において、使用者の力が操作用部材720に対して回動方向に伝わりやすい構成とされている。これにより、レバースイッチ72は、使用者が瞬時に切り操作を行なうことができる。従って、レバースイッチ72を、自動かんな盤1の緊急停止用のスイッチとして適用することができる。
また、本実施形態におけるレバースイッチ72を木工用定置式加工機である自動かんな盤1に適用することによって、モーメンタリスイッチ760の利点(特徴1および特徴2)を備えつつ、第1のスイッチ状態および第2のスイッチ状態で保持可能なスイッチを備えた自動かんな盤を構成することができる。
[変形例]
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る木工用定置式加工機は、例示された自動かんな盤1の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示す自動かんな盤1あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
上記第1実施形態では、木工用定置式加工機として自動かんな盤1が採用されている。しかしながら、他の木工用定置式加工機が採用されてもよい。他の木工用定置式加工機として、例えば、手押しかんな、直角二面かんな、超仕上げかんな、定置式バンドソー、テーブルソー等を挙げることができる。レバースイッチ72を木工用定置式加工機の緊急停止用のスイッチとして適用することができる。
上記第1実施形態では、トップカバー41を有する構成の自動かんな盤1にレバースイッチ72を採用しているが、トップカバー41を有さない構成の自動かんな盤にレバースイッチ72を採用してもよい。
操作用部材は、上記実施形態の構成に限定されず、他の構成が採用されてもよい。回動軸721が第1実施形態とは異なる位置に形成された操作用部材720を採用してもよい。例えば、回動軸721から操作部722の端部までの距離が、回動軸721から接触部723の端部までの距離よりも短かい操作用部材720を採用してもよい。その他、丸い形状や、立体的な形状など種々の形状である操作部722を有する操作用部材720を採用してもよい。中継部材は、上記実施形態の構成に限定されず、中継部材740と同様の機能を有する他の構成を採用してもよい。回動軸741が第1実施形態とは異なる位置に形成された操作用部材720を採用してもよい。
また、モーメンタリスイッチ760は、上記実施形態の構成に限定されず、他の構成を採用してもよい。例えば、接点を1つ有するモーメンタリスイッチや、接点を3つ以上有するモーメンタリスイッチを採用してもよい。
操作用部材720と、モーメンタリスイッチ760との間に複数の中継部材が設けられる構成が採用されてもよい。この構成を採用した場合、複数の中継部材は互いに力学的に相互に作用することによって連動する。従って、以下のような構成を採用することもできる。例えば、操作可能な操作部を備える操作用部材720と、操作用部材720と力学的に相互に作用することによって、操作用部材720と連動する第1の中継部材と、第1の中継部材と力学的に相互に作用することによって、第1の中継部材と連動する第2の中継部材と、第2の中継部材と力学的に相互に作用することによって、第2の中継部材と連動し、木工用定置式加工機の所定の動作のオフ状態とオン状態とを切り替えるモーメンタリスイッチ760とを備える木工用定置式加工機を採用することができる。
その他、操作用部材は、上記実施形態の構成に限定されず、他の構成が採用されてもよい。例えば、回動軸を有さない操作用部材が採用されてもよい。具体的には、プッシュ式の操作用部材を採用することができる。当該操作用部材は、押し込まれた状態を維持することができるように、戻し防止機構が設けられており、モーメンタリスイッチ760を第1のスイッチ状態から第2のスイッチ状態に移行させる場合には、操作用部材を前方から後方へ向けて押し込む。当該操作用部材が押し込まれることによって、中継部材740は、回動軸741を支点として回動し、モーメンタリスイッチ760の可動部765を押し込む。この場合、戻し防止機構が第3ハウジング180に係止されることによって、操作用部材は押し込まれた状態を維持する。また、モーメンタリスイッチ760は、第2のスイッチ状態を保持する。モーメンタリスイッチ760を第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態に移行させる場合には、操作用部材の戻し防止機構を解除する。この場合、モーメンタリスイッチ760に起因する付勢力によって、中継部材740は回動軸741を支点として回動し、操作用部材は後方から前方に移動する。そして、モーメンタリスイッチ760は、第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態に移行する。このような構成を採用しても、モーメンタリスイッチを第1のスイッチ状態で保持可能であるとともに、モーメンタリスイッチを第2のスイッチ状態で保持可能である。
さらに、中継部材は、上記実施形態の構成に限定されず、他の構成が採用されてもよい。例えば、回動軸を有さない中継部材が採用されてもよい。具体的には、自動かんな盤1に対して前後方向にスライド可能な中継部材を採用してもよい。
[対応関係]
上記実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。自動かんな盤1は、本発明の「木工用定置式加工機」の一例である。操作用部材720は、本発明の「操作用部材」の一例である。操作部722は、本発明の「操作部」の一例である。中継部材740は、本発明の「中継部材」の一例である。モーメンタリスイッチ760は、本発明の「モーメンタリスイッチ」の一例である。自動かんな盤1の停止状態は、本発明の「所定の動作のオフ状態」の一例である。自動かんな盤1の駆動状態は、本発明の「所定の動作のオン状態」の一例である。回動軸721は、本発明の「第1の回動軸」の一例である。回動軸741は、本発明の「第2の回動軸」の一例である。操作回動角の所定値αは、本発明の「操作回動角の所定値」の一例である。操作回動角規制部185は、本発明の「操作回動角規制部」の一例である。