以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~図14を参照して、本発明の一実施形態による電力変換装置100の構成について説明する。電力変換装置100は、たとえば、UPS(Uninterruptible Power Supply)やPCS(Power Conditioning System)である。
図1に示すように、電力変換装置100は、筐体10と、電力変換ユニット20と、を備えている。筐体10には、上下方向(Z方向)に並ぶように複数の設置面11が設けられている。電力変換ユニット20は、設置面11の上側(Z1側)に設置されている。設置面11は、水平方向(XY平面)に沿って配置されている。電力変換ユニット20は、半導体素子(図示しない)が内蔵された半導体モジュール21を含む。電力変換ユニット20は、たとえば、整流器やインバータである。電力変換ユニット20を構成する半導体モジュール21などの機器は、ユニット筐体22に収納されている。
電力変換装置100では、電力変換ユニット20の上側(Z1側)の端部20aと設置面11の下側(Z2側)の面11aとの間が、上下方向(Z方向)において、所定の距離だけ離間するように構成されている。すなわち、電力変換装置100では、電力変換ユニット20(ユニット筐体22)の上側(Z1側)の端部20aと設置面11の下側(Z2側)の面11aとの間に形成された空間30を、電力変換ユニット20を構成する半導体モジュール21などの機器の交換を行う際などの保守作業用の空間として利用することが可能である。
以下の説明では、筐体10の上下方向、左右方向および前後方向を、それぞれ、Z方向、X方向およびY方向とする。また、筐体10の上側、下側、左側、右側、前側(手前側)および後側(背面側)を、それぞれ、Z1側、Z2側、X1側、X2側、Y1側およびY2側とする。なお、Z1側およびZ2側は、それぞれ、特許請求の範囲の「上下方向の他方側」および「上下方向の一方側」の一例である。
図2に示すように、本実施形態では、電力変換ユニット20は、筐体10の前側(Y1側)からアクセス可能に構成されている。具体的には、筐体10は、設置面11の左側(X1側)に配置される側壁10aと、設置面11の右側(X2側)に配置される側壁10bと、設置面11の後側(Y2側)に配置される側壁10cと、を含む。そして、設置面11は、側壁10aと側壁10bと側壁10cとに囲まれている。一方、設置面11の前側(Y1側)には側壁が設けられていない。すなわち、筐体10の前側(Y1側)は、筐体10の外部に開放されている。なお、保守作業等が行われない通常時には、筐体10の前側(Y1側)をカバー部材で覆うように構成してもい。
電力変換ユニット20は、上方(Z1側)から見て、設置面11の略中央部に設けられている。電力変換ユニット20は、上方(Z1側)から見て、略矩形形状を有する。電力変換ユニット20において、半導体モジュール21は、複数(6つ)設けられている。なお、電力変換ユニット20の前側(Y1側)には、主回路端子23が設けられている。主回路端子23には、電力変換ユニット20と電力変換ユニット20外の装置(他の電力変換ユニット20、筐体10内の電力変換ユニット20以外の装置など)とを電気的に接続する導体(図示しない)が接続されている。
本実施形態では、複数の半導体モジュール21は、上方(Z1側)から見て、電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側(外側)の端部20bに配置されている。具体的には、6つの半導体モジュール21は、電力変換ユニット20において、Y1側およびY2側に、各々、3つずつ設けられている。Y1側の半導体モジュール21は、電力変換ユニット20のY方向における中央部20cよりもY1側の端部寄りに配置されている。また、Y2側の半導体モジュール21は、電力変換ユニット20のY方向における中央部20cよりもY2側の端部寄りに配置されている。なお、Y1側の半導体モジュール21とY2側の半導体モジュール21とは、上方(Z1側)から見て、電力変換ユニット20において、X方向に沿った中心線91(図9参照)に対して略対称な位置に配置されている。
ここで、本実施形態では、電力変換ユニット20を筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転させることによって、半導体モジュール21を交換可能に構成されている。詳細には、筐体10の設置面11には、第1係合部12が設けられている。また、電力変換ユニット20には、筐体10に対して電力変換ユニット20を設置面11の面内方向(XY平面内)に回転可能に第1係合部12と係合する第2係合部24が設けられている。
具体的には、図3に示すように、電力変換ユニット20の下側(Z2側)の面20d(図10参照)には、下側(Z2側)から上側(Z1側)に凹んでいる第2係合部24が設けられている。第2係合部24は、上下方向(Z方向)から見て、電力変換ユニット20の略中央部20eに設けられている。第2係合部24は、上側(Z1側)および下側(Z2側)を各々底面とする円柱形状を有する。すなわち、本実施形態では、第2係合部24は、上下方向(Z方向)の一方側(Z2側)から他方側(Z1側)に円形状の内周面24aを有するように凹んでいる。なお、図3では、主回路端子23の図示を省略している。
また、図4に示すように、設置面11の上側(Z1側)の面11bには、下側(Z2側)から上側(Z1側)に突出する第1係合部12が設けられている。第1係合部12は、上下方向(Z方向)から見て、設置面11の略中央部11cに設けられている。第1係合部12は、上側(Z1側)および下側(Z2側)を各々底面とする円柱形状を有する。図5に示すように、第1係合部12と第2係合部24とは、電力変換ユニット20を筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転可能に係合するように構成されている。そして、第1係合部12は、電力変換ユニット20を筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転させる際の回転軸として機能する。すなわち、本実施形態では、第1係合部12は、上下方向(Z方向)の一方側(Z2側)から他方側(Z1側)に突出する回転軸としての円形状の外周面12aを有する。なお、図5では、主回路端子23の図示を省略している。
また、本実施形態では、電力変換ユニット20と筐体10とは、第1係合部12が第2係合部24に係合した状態で、ユニット締結部材41により上下方向(Z方向)に締結固定されている。そして、図6に示すように、電力変換ユニット20は、筐体10に対する締結固定が解除された状態で、筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転可能に構成されている。
具体的には、図4に示すように、筐体10の設置面11には、上下方向(Z方向)に貫通する設置面側貫通孔11dが設けられている。設置面側貫通孔11dは、Y方向において、第1係合部12よりも前側(Y1側)に配置されている。設置面側貫通孔11dは、2つ設けられている。2つの設置面側貫通孔11dは、それぞれ、第1係合部12よりも左側(X1側)および右側(X2側)に配置されている。
また、図3に示すように、電力変換ユニット20は、電力変換ユニット20と設置面11とを締結固定するためのユニット締結部25を含む。ユニット締結部25は、ユニット筐体22の左側(X1側)の端部および右側(X2側)の端部から突出するように、ユニット締結部25の左側(X1側)および右側(X2側)に各々設けられている。すなわち、ユニット締結部25(ユニット側貫通孔25a)は、2つ設けられている。ユニット締結部25は、前後方向(Y方向)において、ユニット筐体22と略同様の長さを有する。ユニット締結部25には、上下方向(Z方向)に貫通するユニット側貫通孔25aが設けられている。ユニット側貫通孔25aは、ユニット締結部25の前側(Y1側)の端部に配置されている。なお、ユニット側貫通孔25aは、特許請求の範囲の「第2貫通孔」の一例である。
図1に示すように、2つのユニット側貫通孔25aは、2つの設置面側貫通孔11dと対応する位置に設けられている。また、ユニット締結部25は、電力変換ユニット20が設置面11に設置された状態で、設置面11に接触するように構成されている。そして、ユニット締結部25のユニット側貫通孔25aと、設置面11の設置面側貫通孔11dとが、上下方向(Z方向)から見て、略同じ位置に配置された状態で、ユニット側貫通孔25aおよび設置面側貫通孔11dにユニット締結部材41を貫通させることにより、電力変換ユニット20と筐体10とが締結固定されている。なお、電力変換装置100では、ユニット締結部材41が、ユニット締結部材41の脚部が下側(Z2側)に配置された状態で、ユニット締結部25の上方(Z1側)から、ユニット側貫通孔25aおよび設置面側貫通孔11dに貫通されることにより、電力変換ユニット20と筐体10とが、上方(Z1側)から締結固定されている。
図6に示すように、ユニット締結部材41が、ユニット側貫通孔25aおよび設置面側貫通孔11dから上方(Z1側)に取り外されることにより、電力変換ユニット20の筐体10に対する締結固定が解除される。そして、図7および図8に示すように、電力変換ユニット20の筐体10に対する締結固定が解除された状態において、電力変換ユニット20を筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転させることが可能となる。なお、図7では、上下方向(Z方向)から見て、電力変換ユニット20を、筐体10に対して、通常の状態(図2の状態)から、反時計回りに略45度回転させた状態を示している。また、図8では、上下方向(Z方向)から見て、電力変換ユニット20を、筐体10に対して、通常の状態(図2の状態)から、反時計回りに略180度回転させた状態を示している。
図9に示すように、電力変換ユニット20は、半導体モジュール21に加えて、ラミネートバスバー26と、制御基板27と、冷却部28と、コンデンサ29と、を含む。なお、ラミネートバスバー26は、特許請求の範囲の「バスバー」の一例である。
半導体モジュール21、ラミネートバスバー26、制御基板27、冷却部28およびコンデンサ29は、上方(Z1側)から見て、ユニット筐体22の内部に配置されている。電力変換装置100では、ユニット筐体22は、上方(Z1側)が開放されている。これにより、ユニット筐体22の上側(Z1側)に形成された保守作業用の空間30(図1参照)を経由して、ユニット筐体22の上方(Z1側)から、ユニット筐体22の内部にアクセスすることが可能である。なお、ユニット筐体22のY1側の面の上方(Z1側)には、ユニット筐体22からY1側に突出するように主回路端子23が配置されている。
半導体モジュール21は、電力変換ユニット20において、上下方向(Z方向)における略中央部に配置されている。ラミネートバスバー26は、半導体モジュール21に対して上方(Z1側)から重なるように配置されている。制御基板27は、ラミネートバスバー26に対して上方(Z1側)から重なるように配置されている。冷却部28は、半導体モジュール21の下方(Z2側)に配置されている。コンデンサ29は、上下方向(Z方向)から見て、半導体モジュール21および冷却部28とオーバラップしない位置において、ラミネートバスバー26の下方(Z2側)に配置されている。
図11に示すように、半導体モジュール21は、上方(Z1側)から見て、略矩形形状を有する。半導体モジュール21の上側(Z1側)の面には、半導体モジュール21内部の回路と半導体モジュール21外の回路とを電気的に接続するための端子21aが設けられている。半導体モジュール21の端子21aは、上方(Z1側)から見て、略中央部に配置されている。図中では、半導体モジュール21において、3相(U相、V相、W相)に対応する3つの端子21aを図示している。
図10に示すように、半導体モジュール21には、上下方向(Z方向)に貫通するモジュール貫通孔21bが設けられている。図11に示すように、モジュール貫通孔21bは、上方(Z1側)から見て、半導体モジュール21の四隅に配置されている。なお、モジュール貫通孔21bは、特許請求の範囲の「(半導体モジュールの)締結位置」の一例である。
図12に示すように、ラミネートバスバー26は、上方(Z1側)から見て、略矩形形状を有する。ラミネートバスバー26は、導電層と絶縁層とが積層されたバスバーである。ラミネートバスバー26は、半導体モジュール21の端子21aや主回路端子23などに接続されている。ラミネートバスバー26には、半導体モジュール21の端子21aに接続される端子接続部26aが設けられている。
ここで、本実施形態では、図10に示すように、ラミネートバスバー26は、半導体モジュール21に対して、上方(Z1側)からモジュール締結部材42により締結固定されている。そして、図13および図14に示すように、半導体モジュール21は、ラミネートバスバー26の締結固定が解除された状態で、電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側から取り外し可能に構成されている。
具体的には、図12に示すように、ラミネートバスバー26には、上下方向(Z方向)に貫通するモジュール締結用貫通孔26bが設けられている。図10に示すように、本実施形態では、モジュール締結用貫通孔26bは、半導体モジュール21のモジュール貫通孔21bに対応する位置に設けられている。モジュール締結部材42は、頭部42aと脚部42bとを含む。そして、モジュール締結部材42が、脚部42bが下側(Z2側)に配置された状態で、ラミネートバスバー26の上方(Z1側)から、ラミネートバスバー26のモジュール締結用貫通孔26bおよび半導体モジュール21のモジュール貫通孔21bに貫通されることにより、ラミネートバスバー26と半導体モジュール21とが締結固定されている。すなわち、本実施形態では、モジュール締結用貫通孔26bは、モジュール締結部材42の脚部42bが上下方向(Z方向)に貫通するように構成されている。なお、モジュール締結用貫通孔26bは、特許請求の範囲の「第1貫通孔」の一例である。また、脚部42bは、特許請求の範囲の「(モジュール締結部材の)締結部分」の一例である。
また、図12に示すように、ラミネートバスバー26には、上下方向(Z方向)に貫通する端子接続用貫通孔26cが設けられている。端子接続用貫通孔26cには、X方向に延びる梁部26dが配置されている。梁部26dの略中央部には、上述した端子接続部26aが設けられている。図10に示すように、端子接続部26aは、半導体モジュール21の端子21aに対応する位置に設けられている。半導体モジュール21の端子21aとラミネートバスバー26の端子接続部26aとは、導電性を有する端子接続部材43によって接続されている。端子接続部材43は、頭部43aと脚部43bとを含む。そして、端子接続部材43が、脚部43bが下側(Z2側)に配置された状態で、ラミネートバスバー26の上方(Z1側)から、ラミネートバスバー26の端子接続用貫通孔26cに貫通されるとともに半導体モジュール21の端子21aに締結固定されることにより、ラミネートバスバー26の端子接続部材43と半導体モジュール21の端子21aとが接続されている。すなわち、本実施形態では、ラミネートバスバー26の端子接続部26aは、上方(Z1側)から、半導体モジュール21の端子21aに対して締結固定されかつ接続されるように構成されている。
図13に示すように、モジュール締結部材42および端子接続部材43が、ラミネートバスバー26の上方(Z1側)に、ラミネートバスバー26および半導体モジュール21から取り外されることにより、ラミネートバスバー26と半導体モジュール21との締結固定が解除された状態となる。ここで、電力変換装置100では、ユニット筐体22のY1側の面およびY2側の面に、ユニット筐体22に対して取外し可能なカバー部材22aが取り付けられている。カバー部材22aが取り付けられた開口部22bは、ユニット筐体22のY1側の面およびY2側の面をY方向に貫通するとともに、上下方向(Z方向)において、半導体モジュール21とオーバラップする位置に設けられている。したがって、図14に示すように、ラミネートバスバー26と半導体モジュール21との締結固定が解除された状態において、カバー部材22aをユニット筐体22から取り外すことにより、半導体モジュール21を、ユニット筐体22の面内方向(XY平面内)における外周側に取り出すことが可能となる。
図10に示すように、制御基板27は、電力変換ユニット20において、Y方向における略中央部に配置されている。制御基板27は、半導体素子のスイッチングを制御するためのゲート駆動回路等を備えた基板である。制御基板27は、半導体モジュール21に対してパルス信号(制御信号)を送るためのゲート配線(図示しない)により半導体モジュール21と接続されている。
本実施形態では、制御基板27は、上方(Z1側)から見て、ラミネートバスバー26の(全ての)モジュール締結用貫通孔26bおよび(全ての)端子接続部26aとオーバラップしない位置に配置されている。具体的には、図9に示すように、制御基板27は、Y1側に設けられた全てのモジュール締結用貫通孔26bおよび全ての端子接続部26aよりもY2側、かつ、Y2側に設けられた全てのモジュール締結用貫通孔26bおよび全ての端子接続部26aよりもY1側に設けられている。
図10に示すように、冷却部28は、電力変換ユニット20において、2つ設けられている。電力変換装置100では、2つの冷却部28は、それぞれ、Y1側の半導体モジュール21およびY2側の半導体モジュール21に対応するように配置されている。すなわち、図9に示すように、Y1側に設けられた冷却部28は、上方(Z1側)から見て、Y1側の3つの半導体モジュール21とオーバラップするように配置されている。また、Y2側に設けられた冷却部28は、上方(Z1側)から見て、Y2側の3つの半導体モジュール21とオーバラップするように配置されている。なお、冷却部28は、半導体モジュール21を冷却する(半導体モジュール21から発生した熱を外部に放出する)ための部材である。
図10に示すように、冷却部28には、上下方向(Z方向)に延びる締結部材固定用開口部28aが設けられている。締結部材固定用開口部28aは、半導体モジュール21のモジュール貫通孔21bに対応する位置に設けられている。そして、モジュール締結部材42が、ラミネートバスバー26のモジュール締結用貫通孔26bおよび半導体モジュール21のモジュール貫通孔21bに貫通され、さらに、モジュール締結部材42の脚部42b側(Z2側)の先端部が、冷却部28の締結部材固定用開口部28aに挿入されることにより、ラミネートバスバー26と半導体モジュール21と冷却部28とが締結固定されている。すなわち、電力変換装置100では、ラミネートバスバー26と半導体モジュール21とが締結固定される際に、ラミネートバスバー26および半導体モジュール21は、冷却部28との間でも締結固定されている。
図9に示すように、コンデンサ29は、複数(10つ)設けられている。複数(10つ)のコンデンサ29は、X方向に沿った中心線91よりもY1側およびY2側に各々複数(5つ)設けられている。Y1側に設けられた複数(5つ)のコンデンサ29は、Y1側の半導体モジュール21および冷却部28よりも中心線91側に配置されている。Y2側に設けられた複数(5つ)のコンデンサ29は、Y2側の半導体モジュール21および冷却部28よりも中心線91側に配置されている。Y1側に設けられた複数(5つ)のコンデンサ29およびY2側に設けられた複数(5つ)のコンデンサ29は、各々、X方向に並ぶように配置されている。図10および図11に示すように、コンデンサ29は、略円柱形状を有する。コンデンサ29は、たとえば、電解コンデンサである。
(半導体モジュールの交換手順)
次に、図15および図16を参照して、電力変換装置100における半導体モジュール21の交換手順を説明する。なお、半導体モジュール21の交換作業を行う前に、作業者は、交換対象の半導体モジュール21(が手前側(Y1側)の半導体モジュール21であるか背面側(Y2側)の半導体モジュール21であるか)を既知であるとして説明する。
図15に示すように、まず、ステップS1において、作業者は、主回路端子23への接続を解体する(主回路端子23へ接続された導体を取り外す)。
そして、作業者は、手前側(Y1側)の半導体モジュール21を交換する場合は、ステップS4に進む。また、作業者は、背面側(Y2側)の半導体モジュール21を交換する場合は、ステップS2に進む。
ステップS2において、作業者は、電力変換ユニット20と設置面11とを締結しているユニット締結部材41を取り外す。
ステップS3において、作業者は、交換対象の半導体モジュール21(背面側(Y2側)の半導体モジュール21)が手前側(Y1側)に位置するように電力変換ユニット20を設置面11に対して回転させる。
ステップS4において、作業者は、電力変換ユニット20のカバー部材22aを取り外す。
ステップS5において、作業者は、ラミネートバスバー26と交換対象の半導体モジュール21とを締結固定しているモジュール締結部材42を取り外す。
ステップS6において、作業者は、ラミネートバスバー26の端子接続部26aと交換対象の半導体モジュール21の端子21aとの締結固定および接続を解除する。
ステップS7において、作業者は、制御基板27と交換対象の半導体モジュール21とを接続しているゲート配線を取り外す。
ステップS8において、作業者は、交換対象の半導体モジュール21を交換する。
図16に示すように、ステップS9において、作業者は、制御基板27と交換後の半導体モジュール21とを接続するゲート配線を取り付ける。
ステップS10において、作業者は、ラミネートバスバー26の端子接続部26aと交換後の半導体モジュール21の端子21aとの締結固定および接続を行う。
ステップS11において、作業者は、ラミネートバスバー26と交換後の半導体モジュール21とを締結固定するモジュール締結部材42を取り付ける。
ステップS12において、作業者は、電力変換ユニット20のカバー部材22aを取り付ける。
そして、作業者は、手前側(Y1側)の半導体モジュール21を交換した場合は、ステップS15に進む。また、作業者は、背面側(Y2側)の半導体モジュール21を交換した場合は、ステップS13に進む。
ステップS13において、作業者は、交換後の半導体モジュール21が元の位置(背面側(Y2側)の位置)になるように電力変換ユニット20を設置面11に対して回転させる。
ステップS14において、作業者は、電力変換ユニット20と設置面11とを締結するユニット締結部材41を取り付ける。
ステップS15において、作業者は、主回路端子23への接続を元に戻す(主回路端子23へ接続されていた導体を取り付ける)。
なお、上記のフローにおいて、ステップS5、ステップS6およびステップS7の順序は、変更されてもよい。同様に、ステップS9、ステップS10およびステップS11の順序は、変更されてもよい。また、交換対象の半導体モジュール21が、手前側(Y1側)の半導体モジュール21と背面側(Y2側)の半導体モジュール21との両方である場合、上記のフローにおいて、ステップS1を行った後に、ステップS4~ステップS12(手前側(Y1側)の半導体モジュール21を交換する場合)、および、ステップS2~ステップS14(背面側(Y2側)の半導体モジュール21を交換する場合)を行い、最後に、ステップS15を行えばよい。この場合、ステップS4~ステップS12と、ステップS2~ステップS14とは、いずれの順序で行ってもよい。
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、電力変換ユニット20を、筐体10に対して、電力変換ユニット20が設置される設置面11の面内方向(XY平面内)に回転させることによって、電力変換ユニット20に含まれる半導体モジュール21を交換可能に構成する。これにより、半導体モジュール21が電力変換ユニット20において筐体10の外部からアクセスし易い位置に設けられていない場合でも、半導体モジュール21が設けられた部分が筐体10の外部からアクセスし易い位置となるように電力変換ユニット20を回転させることにより、半導体モジュール21を容易に交換することができる。すなわち、半導体モジュール21が電力変換ユニット20において筐体10の外部からアクセスし易い位置に設けられていない場合に、半導体モジュール21を交換するために電力変換ユニット20全体を筐体10の設置面11から筐体10の外部に取り出すとともに、取り出した電力変換ユニット20に対して半導体モジュール21を交換した後、電力変換ユニット20を筐体10の設置面11に再度取り付ける作業が不要となる。その結果、部品交換のための作業時間が増加するのに起因して電力変換装置100の停止時間が長くなるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第2係合部24を、上下方向(Z方向)から見て、電力変換ユニット20の略中央部20eに設ける。これにより、電力変換ユニット20を面内方向(XY平面内)に回転させた場合の回転半径を小さくすることができるので、電力変換ユニット20を回転させるための空間が大きくなるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、電力変換ユニット20を、半導体モジュール21に対して上方(Z1側)から重なるように配置され、半導体モジュール21の端子21aに接続されるラミネートバスバー26を含むように構成する。また、ラミネートバスバー26を、半導体モジュール21に対して、上方(Z1側)からモジュール締結部材42により締結固定されるように構成する。そして、半導体モジュール21を、ラミネートバスバー26の締結固定が解除された状態で、電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側から取り外し可能に構成する。これにより、半導体モジュール21を電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側から取り外すことができるので、電力変換ユニット20を筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転させることによって、効果的に、半導体モジュール21を交換することができる。
また、本実施形態では、上記のように、ラミネートバスバー26を、半導体モジュール21の締結位置に対応する位置に設けられ、モジュール締結部材42の脚部42bが上下方向(Z方向)に貫通するモジュール締結用貫通孔26bを含むように構成する。これにより、半導体モジュール21の締結位置に対応する位置に設けられたラミネートバスバー26のモジュール締結用貫通孔26bに、モジュール締結部材42の脚部42bが上下方向(Z方向)に貫通するので、ラミネートバスバー26が半導体モジュール21の直上に配置された状態のままで、上方(Z1側)から、ラミネートバスバー26の半導体モジュール21に対する締結固定を解除することができる。その結果、半導体モジュール21を電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側から取り外すために電力変換ユニット20においてラミネートバスバー26を取り除く作業を省略することができる。
また、本実施形態では、上記のように、電力変換ユニット20を、ラミネートバスバー26に対して上方(Z1側)から重なるように配置され、半導体素子のスイッチングを制御する制御基板27を含むように構成する。そして、制御基板27を、上方(Z1側)から見て、ラミネートバスバー26のモジュール締結用貫通孔26bとオーバラップしない位置に配置する。これにより、ラミネートバスバー26に対して制御基板27を取り外すことなしに、ラミネートバスバー26の半導体モジュール21に対する締結固定を解除することができる。その結果、半導体モジュール21を電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側から取り外すために電力変換ユニット20において制御基板27を取り除く作業を省略することができる。
また、本実施形態では、上記のように、ラミネートバスバー26を、半導体モジュール21の端子21aに接続される端子接続部26aを含むように構成する。また、端子接続部26aを、上方(Z1側)から、半導体モジュール21の端子21aに対して締結固定されかつ接続されるように構成する。そして、制御基板27を、上方(Z1側)から見て、ラミネートバスバー26のモジュール締結用貫通孔26bおよび端子接続部26aとオーバラップしない位置に配置する。これにより、ラミネートバスバー26に対して制御基板27を取り外すことなしに、ラミネートバスバー26の半導体モジュール21に対する締結固定に加えてラミネートバスバー26の端子接続部26aに対する締結固定も解除することができる。その結果、半導体モジュール21を電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側から取り外すために電力変換ユニット20において制御基板27を取り除く作業を確実に省略することができる。
また、本実施形態では、上記のように、半導体モジュール21を、複数設ける。そして、複数の半導体モジュール21を、上方(Z1側)から見て、電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側の端部20bに配置する。これにより、複数の半導体モジュール21が電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側の端部20bに配置されているので、複数の半導体モジュール21のいずれも、ラミネートバスバー26の締結固定が解除された状態で、電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側から容易に取り外すことができる。また、電力変換ユニット20を筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転させることによって、電力変換ユニット20において筐体10の外部からアクセスし易い位置に設けられていない半導体モジュール21でも、半導体モジュール21を電力変換ユニット20の面内方向(XY平面内)における外周側から容易に交換することができる。
また、本実施形態では、上記のように、電力変換ユニット20と、筐体10とを、第1係合部12が第2係合部24に係合した状態で、ユニット締結部材41により上下方向(Z方向)に締結固定されるように構成する。そして、電力変換ユニット20を、筐体10に対する締結固定が解除された状態で、筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転可能に構成する。これにより、電力変換ユニット20と筐体10とがユニット締結部材41により締結固定されることにより、第1係合部12と第2係合部24とが係合している場合でも、電力変換ユニット20が筐体10に対して面内方向(XY平面内)に回転するのを防止することができる。その結果、電力変換ユニット20が筐体10に対して意図せずに回転してしまうのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、電力変換ユニット20を、筐体10の前側(Y1側)からアクセス可能に構成する。そして、ユニット締結部材41が、電力変換ユニット20の前側に設けられた上下方向(Z方向)に貫通するユニット側貫通孔25aを貫通することにより、電力変換ユニット20と筐体10とが締結固定されるように構成する。これにより、ユニット締結部材41が貫通するユニット側貫通孔25aが、電力変換ユニット20の前側(Y1側)に設けられているので、ユニット締結部材41による電力変換ユニット20と筐体10との締結固定を容易に解除することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1係合部12を、上下方向(Z方向)の一方側(Z2側)から他方側(Z1側)に突出する回転軸としての円形状の外周面12aを有するように構成する。また、第2係合部24を、上下方向(Z方向)の一方側(Z2側)から他方側(Z1側)に円形状の内周面24aを有するように凹んでいるように構成する。これにより、第1係合部12と第2係合部24とが、互いに、面内方向(XY平面内)に容易に回転可能に係合する形状を有するので、電力変換ユニット20を筐体10に対して面内方向(XY平面内)に容易に回転させることができる。
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、第1係合部12を、Z2側からZ1側に突出するように構成するとともに、第2係合部24を、Z2側からZ1側に凹んでいるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1係合部を、Z1側からZ2側に突出するように構成するとともに、第2係合部を、Z1側からZ2側に凹んでいるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、電力変換ユニット20を、筐体10の前側(Y1側)からアクセス可能に構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力変換ユニットを、筐体の後側(Y2側)、左側(X1側)および右側(X2側)のいずれかの方向からアクセス可能に構成してもよい。その場合、ユニット締結部材が貫通するユニット側貫通孔を、それぞれ、電力変換ユニットの後側(Y2側)、左側(X1側)および右側(X2側)のいずれかの側に設けることが好ましい。
また、上記実施形態では、制御基板27を、上方(Z1側)から見て、ラミネートバスバー26のモジュール締結用貫通孔26bとオーバラップしない位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御基板を、上方(Z1側)から見て、ラミネートのモジュール締結用貫通孔とオーバラップする位置に配置するように構成してもよい。この場合、半導体モジュールを電力変換ユニットの面内方向における外周側から取り外すために電力変換ユニットにおいて制御基板を取り除く作業が必要となる。
また、上記実施形態では、第2係合部24を、上下方向(Z方向)から見て、電力変換ユニット20の略中央部20eに設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2係合部を、上下方向(Z方向)から見て、電力変換ユニットの略中央部以外の位置に設けてもよい。
また、上記実施形態では、第1係合部12を、上下方向(Z方向)から見て、設置面11の略中央部20eに設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1係合部を、上下方向(Z方向)から見て、設置面の略中央部以外の位置に設けてもよい。
また、上記実施形態では、電力変換ユニット20を、上方(Z1側)から見て、設置面11の略中央部に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力変換ユニットを、上方(Z1側)から見て、設置面の略中央部以外の位置に設けてもよい。
また、上記実施形態では、電力変換ユニット20において、半導体モジュール21を、6つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力変換ユニット20において、5つ以下の半導体モジュール21を設けてもよいし、7つ以上の半導体モジュール21を設けててもよい。
また、上記実施形態では、複数の半導体モジュール21を、電力変換ユニット20において、筐体10の手前側(Y1側)および筐体10の背面側(Y2側)に各々設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の半導体モジュールを、電力変換ユニットにおいて、筐体の手前側のみに設けてもよいし、筐体の背面側のみに設けてもよい。また、複数の半導体モジュールを、電力変換ユニットにおいて、筐体の手前側および背面側以外(たとえば、筐体の左側または右側)に設けてもよい。
また、上記実施形態では、設置面側貫通孔11dを、2つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、設置面側貫通孔を、1つだけ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。
また、上記実施形態では、設置面側貫通孔11dを、第1係合部12よりも左側(X1側)および右側(X2側)に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、設置面側貫通孔を、第1係合部よりも左側(X1側)のみに配置してもよいし、第1係合部よりも右側(X2側)のみにしてもよい。
また、上記実施形態では、ユニット側貫通孔25aを、2つ設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ユニット側貫通孔を、1つだけ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。
また、上記実施形態では、ユニット側貫通孔25aを、ユニット筐体22の左側(X1側)の端部および右側(X2側)の端部に各々設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ユニット側貫通孔を、ユニット筐体の左側(X1側)の端部のみに設けてもよいし、ユニット筐体の右側(X2側)の端部のみに設けてもよい。
また、上記実施形態では、制御基板27を、上方(Z1側)から見て、ラミネートバスバー26の全てのモジュール締結用貫通孔26bとオーバラップしない位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御基板を、上方(Z1側)から見て、ラミネートバスバーの一部のモジュール締結用貫通孔とオーバラップしない位置に配置するように構成してもよい。この場合、制御基板がとオーバラップする位置に配置されるラミネートバスバーのモジュール締結用貫通孔において、モジュール締結部材によるラミネートバスバーと半導体モジュールとが締結固定が行われていない構成が好ましい。
また、上記実施形態では、制御基板27を、ラミネートバスバー26に対して上方(Z1側)から重なるように配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御基板を、ラミネートバスバーに対して下方(Z2側)から重なるように配置してもよい。
また、上記実施形態では、電力変換ユニット20を、半導体モジュール21を冷却する(半導体モジュール21から発生した熱を外部に放出する)ための冷却部28を備えるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力変換ユニットを、コンデンサを冷却する(コンデンサから発生した熱を外部に放出する)ための冷却部を備えるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、コンデンサ29を、X方向に沿った中心線91よりもY1側およびY2側に各々設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コンデンサを、X方向に沿った中心線よりもY1側のみに設けてもよいし、X方向に沿った中心線よりもY2側に設けてもよい。また、コンデンサを、X方向に沿った中心線を跨るように設けてもよい。