以下、本開示の実施形態および変形例を図面に基づいて説明する。以下に説明される実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
<実施形態>
図1は、実施形態にかかるモータ制御システム1000の構成を示した例示的かつ模式的な図である。
図1に示されるように、実施形態にかかるモータ制御システム1000は、モータ10と、位置検出回路20と、報知部30と、イグニッション(IG)スイッチ40と、操作入力部50と、ECU(Electronic Control Unit)100と、を備えている。なお、ECU100は、「モータ制御装置」の一例である。
また、実施形態にかかるモータ制御システム1000は、他のECU200と、状態センサ201と、を備えている。他のECU200は、モータ10が搭載された装置の状態に関する状態情報を検出する状態センサ201の出力に基づいて、モータ10が搭載された装置の状態を監視する監視装置である。
なお、実施形態において、ECU100と他のECU200とは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。また、実施形態において、モータ10が搭載された装置とは、たとえば車両であり、状態情報とは、たとえば状態センサ201としての速度センサや加速度センサなどにより検出される車両の速度や加速度などを示す車両状態データである。
モータ10は、たとえば、車両に設けられるトランスファを駆動するアクチュエータとして設けられている。なお、トランスファとは、たとえば四輪の車両において四輪駆動と二輪駆動とを切り替えるための装置である。
位置検出回路20は、モータ10の駆動位置を検出するための回路である。位置検出回路20は、たとえば摺動接点型のスイッチとして構成された3つの位置検出スイッチ20a~20cを有している。これら3つの位置検出スイッチ20a~20cは、故障などの異常が存在しない限り、予め決められた、たとえば次の図2に示されるような切り替えパターンに従い、モータ10の駆動位置に応じてオンオフが切り替わる。
図2は、実施形態にかかる位置検出スイッチ20a~20cの正常な切り替えパターンの例を示した例示的かつ模式的な図である。
図2に示される例は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフが、モータ10の駆動位置に応じて、5つの切り替えパターンSP210、SP215、SP220、SP225、SP230に従って切り替わることを表している。なお、図2に示される例では、位置検出スイッチ20a~20cがそれぞれSW1~SW3として図示されている。
より具体的に、図2に示される例において、位置検出スイッチ20aおよび20bがオンとなり、位置検出スイッチ20cがオフとなる切り替えパターンSP210は、モータ10の駆動位置が位置P210となることに応じて実現される。また、位置検出スイッチ20cがオンとなり、位置検出スイッチ20aおよび20bがオフとなる切り替えパターンSP220は、モータ10の駆動位置が位置P220となることに応じて実現される。また、位置検出スイッチ20bがオンとなり、位置検出スイッチ20aおよび20cがオフとなる切り替えパターンSP230は、モータ10の駆動位置が位置P230となることに対応して実現される。
なお、図2に示される例において、位置検出スイッチ20aがオンとなり、位置検出スイッチ20bおよび20cがオフとなる切り替えパターンSP215は、モータ10の駆動位置が位置P210と位置P210との間の中間位置にあることに応じて実現され、位置検出スイッチ20bおよび20cがオンとなり、位置検出スイッチ20aがオフとなる切り替えパターンSP225は、モータ10の駆動位置が位置P220と位置P230との中間位置にあることに応じて実現される。
このように、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態は、位置検出スイッチ20a~20cに故障などの異常が存在しない限り、モータ10の駆動位置に応じて予め決められた状態となる。したがって、単純に考えると、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れた場合、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在すると判定することが可能である。
ところで、位置検出スイッチ20a~20cは、その接点に摩耗が発生したり酸化被膜が形成されたりした場合、開放故障が発生した場合と同様、常にオフの状態となる。この場合、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態は、予め決められた状態から外れやすくなる。
しかしながら、一般に、上記のような摩耗または酸化被膜に起因するオフの状態は、位置検出スイッチ20a~20cに通常よりも大きい電流を流すことで解消されうるので、異常に該当すると確定的に判定するのは妥当でない。したがって、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れているか否かだけを根拠として異常の有無を判定するのは妥当でない。
そこで、実施形態は、以下に説明するような構成により、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在するか否かをより正確に判定することを実現する。
図1に戻り、ECU100は、電源110と、電流制御回路120a~120cと、制御部130と、を備えている。
電源110は、ECU100に電源を供給する。電源110は、たとえばドライバによるイグニッションスイッチ40の操作に応じて車両のイグニッションがオンになった場合に電源の供給を開始する。
電流制御回路120a~120cは、位置検出スイッチ20a~20cにそれぞれ対応するように設けられている。電流制御回路120a~120cは、それぞれ同じ構成を有しているので、以下では、特に区別する必要がない場合、電流制御回路120a~120cを総称して電流制御回路120と記載することがある。
電流制御回路120は、電流制御スイッチ121と、5つの抵抗122~126と、を有している。
電流制御スイッチ121は、制御端子としてのベースと、一方端子としてのコレクタと、他方端子としてのエミッタと、の3つの端子を有したトランジスタとして構成されている。
電流制御スイッチ121のベースは、制御部130の制御信号出力端子131に抵抗122を介して接続されている。なお、制御信号出力端子131は、電流制御スイッチ121のオンオフを切り替えるための制御信号を出力する端子であり、電流制御回路120a~120cにそれぞれ対応するように3つ(制御信号出力端子131a~131c)設けられている。
電流制御スイッチ121のコレクタは、対応する位置検出スイッチ20a~20cに抵抗123を介して接続されている。したがって、位置検出スイッチ20a~20cがオンになった場合、電流制御スイッチ121のコレクタは、位置検出スイッチ20a~20cを介してグランドに接続される。
また、電流制御スイッチ121のコレクタは、制御部130の状態監視端子132に抵抗123および124を介して接続されている。抵抗124と状態監視端子132との間のラインは、抵抗125を介してグランドに接続されている。なお、状態監視端子132は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態を監視するための端子であり、位置検出スイッチ20a~20cにそれぞれ対応するように3つ(状態監視端子132a~132c)設けられている。
電流制御スイッチ121のエミッタは、電源110に接続されている。電流制御スイッチ121のエミッタと電源110との間のラインと、抵抗123と位置検出スイッチ20a~20cとの間のラインとは、抵抗126を介して接続されている。
ここで、実施形態において、抵抗123の抵抗値は、抵抗126の抵抗値よりも十分に小さく設定されている。したがって、電流制御スイッチ121がオフになっている場合に抵抗126を介して位置検出スイッチ20a~20c側に流れる第1電流(矢印A111、A121、およびA131参照)は、電流制御スイッチ121がオンになっている場合に抵抗123を介して位置検出スイッチ20a~20c側に流れる第2電流(矢印A112、A122、およびA132参照)よりも小さくなる。
このように、実施形態において、電流制御スイッチ121は、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流(矢印A111、A121、およびA131参照)を流すか当該第1電流よりも大きい第2電流(矢印A112、A122、およびA132参照)を流すかをオンオフに応じて切り替える。なお、第2電流は、摩耗の発生や酸化被膜の形成に起因する位置検出スイッチ20a~20cのオフの状態を解消可能な程度の大きさに設定されている。
上記を踏まえて、実施形態において、制御部130は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態を監視するとともにモータ10および電流制御スイッチ121を制御する。
より具体的に、制御部130は、次の図3に示される機能を有している。すなわち、制御部130は、プロセッサやメモリなどといったハードウェア(回路)を有したマイクロコンピュータとして構成されており、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサにより読み出して実行した結果として、次の図3に示される機能を実現される。ただし、実施形態では、次の図3に示される機能の一部または全部が、専用のハードウェアのみによって実現されてもよい。
図3は、実施形態にかかる制御部130の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図3に示されるように、制御部130は、操作検出部301と、状態監視部302と、モータ制御部303と、電流制御部304と、異常検出部305と、フェールセーフ処理部306と、を有している。
操作検出部301は、車両に対するドライバの操作を検出する。たとえば、操作検出部301は、車両のイグニッションのオンオフを切り替えるイグニッションスイッチ40(図1参照)の操作や、トランスファにより二輪駆動と四輪駆動とを切り替えるために操作入力部50(図1参照)を介して入力されるモータ10を駆動させるための駆動操作などが考えられる。
状態監視部302は、状態監視端子132を介して、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態を監視する。そして、状態監視部302は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が、図2に示される例のような予め決められた状態から外れたか否かを判定する判定処理を実行する。
モータ制御部303は、モータ10を制御する。たとえば、モータ制御部303は、モータ10の駆動位置が駆動操作に応じた量だけ移動し、トランスファにより二輪駆動と四輪駆動とが切り替わるようにモータ10を駆動したりすることが可能である。
電流制御部304は、制御信号出力端子131を介して、電流制御スイッチ121を制御する。なお、電流制御スイッチ121のオンオフが切り替わるタイミングについては、後で説明するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
異常検出部305は、位置検出スイッチ20a~20cの異常に関する異常情報を検出する。詳細は後述するが、異常検出部305は、基本的に、電流制御スイッチ121がオフになっていてもオンになっていても、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れる場合に、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在すると判定する。
フェールセーフ処理部306は、異常検出部305により異常情報が検出された場合に、フェールセーフ処理を実行する。フェールセーフ処理としては、たとえば、車両に設けられる報知部30(図1参照)を介して異常を報知する処理などが考えられる。
以上の機能により、実施形態において、制御部130は、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すように電流制御スイッチ121をオンにした後に、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れているか否かに基づいて、位置検出スイッチ20a~20cの異常に関する異常情報を検出する。
より具体的に、実施形態において、制御部130は、以下の図4~図6に示されるフローチャートに従って、ECU100の始動時に対応した始動モードと、ECU100の始動後からドライバによる駆動操作が入力されるまでの待機期間に対応した待機モードと、ドライバによる駆動操作の入力に応じてモータ10を駆動させる駆動時に対応した駆動モードと、の3つのモードを遷移しながら、位置検出スイッチ20a~20cの異常を検出する。
図4は、実施形態にかかる始動モードにおいて制御部130が実行する一連の処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図4に示されるように、始動モードにおいて、制御部130の電流制御部304は、まず、S401において、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流を流すように電流制御スイッチ121をオフに設定する。
そして、S402において、制御部130の状態監視部302は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常か否か、すなわち図2に示される例のような予め決められた状態(のうちいずれか)に該当するか否かを判定する。
S402において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態に該当すると判定された場合、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在しないと判定することが可能である。したがって、この場合、始動モードが終了し、待機モードへ処理が移行する。
一方、S402において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れていると判定された場合、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在する可能性があると判定することが可能である。ただし、この異常が、前述したような摩耗または酸化被膜に起因している場合、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流よりも大きい第2電流を流せば、異常が解消する可能性がある。
したがって、この場合、S403に処理が進み、当該S403において、制御部130の電流制御部304は、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すように電流制御スイッチ121をオンに設定する。これにより、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すことで解消可能な異常が以降の処理において検出されるのを回避することが可能である。
そして、S404において、制御部130の状態監視部302は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常か否か、すなわち図2に示される例のような予め決められた状態(のうちいずれか)に該当するか否かを再び判定する。
S404において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態に該当すると判定された場合、位置検出スイッチ20a~20cにやはり異常が存在しないと判定することが可能である。したがって、この場合、始動モードが終了し、待機モードへ処理が移行する。
一方、S404において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れていると判定された場合、位置検出スイッチ20a~20cにやはり異常が存在する可能性があると判定することが可能である。
したがって、この場合、S405に処理が進み、当該S405において、制御部130の異常検出部305は、異常情報として、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在する可能性があるという仮異常情報を検出する。
そして、S406において、制御部130のフェールセーフ処理部306は、フェールセーフ処理を実行する。たとえば、フェールセーフ処理部306は、フェールセーフ処理として、車両に設けられる報知部30によって異常を報知する処理を実行する。そして、待機モードへ処理が移行する。
図5は、実施形態にかかる待機モードにおいて制御部130が実行する一連の処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図5に示されるように、待機モードにおいて、制御部130の電流制御部304は、まず、S501において、電流制御スイッチ121をオフに設定する。このS501の処理は、図4に示されるS401の処理と実質的に同様である。
そして、制御部130の状態監視部302は、S502において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常か否かを判定する。このS502の処理は、図4に示されるS402の処理と実質的に同様である。
S502において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常であると判定された場合、後述するS507に処理が進む。
一方、S502において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常ではないと判定された場合、S503に処理が進む。
そして、S503において、制御部130の電流制御部304は、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すように電流制御スイッチ121をオンに設定する。このS503の処理は、図4に示されるS403の処理と実質的に同様である。
そして、S504において、制御部130の状態監視部302は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常か否かを再び判定する。このS504の処理は、図4に示されるS404の処理と実質的に同様である。
S504において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常であると判定された場合、後述するS507に処理が進む。
一方、S504において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常でないと判定された場合、S505に処理が進む。
そして、S505において、制御部130の異常検出部305は、異常情報として、仮異常情報を検出する。このS505の処理は、図4に示されるS405の処理と実質的に同様である。
そして、S506において、制御部130のフェールセーフ処理部306は、フェールセーフ処理を実行する。このS506の処理は、図4に示されるS406の処理と実質的に同様である。そして、次のS507に処理が進む。
S507において、制御部130の操作検出部301は、モータ10を駆動させるための駆動操作が操作入力部50を介して入力されたか否かを判定する。
S507において、駆動操作が入力されていないと判定された場合、S501に処理が戻る。これにより、待機モードにおいては、駆動操作が入力されるまで、位置検出スイッチ20a~20cの異常を検出する処理が繰り返し実行される。
一方、S507において、駆動操作が入力されたと判定された場合、待機モードが終了し、駆動モードへ処理が移行する。
図6は、実施形態にかかる駆動モードにおいて制御部130が実行する一連の処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図6に示されるように、駆動モードにおいて、制御部130の電流制御部304は、まず、S601において、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すように電流制御スイッチ121をオンに設定する。
そして、S602において、制御部130の異常検出部305は、始動モードおよび待機モードにおいて仮異常情報が既に検出済みであるか否かを判定する。
ここで、S602において、仮異常情報が未検出であると判定された場合であっても、念のため位置検出スイッチ20a~20cの異常を検出する処理を実行した方が望ましい。
したがって、この場合、S603に処理が進み、S603において、制御部130の状態監視部302は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常であるか否かを判定する。
S603において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常であると判定された場合、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在せず、駆動操作に応じてモータ10を駆動しても問題ないと判定することが可能である。
したがって、この場合、S604に処理が進み、S604において、制御部130のモータ制御部303は、モータ10の駆動位置が駆動操作に応じた量だけ移動するようにモータ10の駆動を開始する。
そして、S605において、制御部130のモータ制御部303は、モータ10の駆動を終了する。
そして、S606において、制御部130の電流制御部304は、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流を流すように電流制御スイッチ121をオフに設定する。これにより、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を継続して流し続けることによる発熱および消費電力の増大を抑制することが可能である。そして、待機モードへ処理が移行する。
一方、S602において仮異常情報が検出済みであると判定された場合、および、S603において位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が正常でないと判定された場合、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在する可能性があると判定することが可能である。ただし、モータ10が搭載された装置(たとえば車両)が正常に動作するのであれば、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在すると判定しなくても不都合が少ない。
したがって、この場合、S607に処理が進み、S607において、制御部130の状態監視部302は、モータ10が搭載された装置の状態に関する状態情報を、他のECU200から取得する。なお、他のECU200は、状態情報を状態センサ201の出力に応じて取得する。
そして、S608において、制御部130の状態監視部302は、S607で取得された状態情報に基づいて、モータ10が搭載された装置が正常か否か、すなわちモータ10が搭載された装置が正常に動作するか否かを判定する。
S608において、モータ10が搭載された装置が正常に動作すると判定された場合、位置検出スイッチ20a~20cにやはり異常が存在しないと判定することが可能である。したがって、この場合、上述したS604に処理が進み、S604~S606の処理を経て、待機モードへ処理が移行する。
一方、S608において、モータ10が搭載された装置が正常に動作しないと判定された場合、位置検出スイッチ20a~20cに異常が確定的に存在すると判定することが可能である。
したがって、この場合、S609に処理が進み、S609において、制御部130の異常検出部305は、異常情報として、位置検出スイッチ20a~20cに異常が(確定的に)存在するという確定異常情報を検出する。
そして、S610において、制御部130のフェールセーフ処理部306は、フェールセーフ処理を実行する。そして、待機モードへ処理が移行する。
以上説明したように、実施形態にかかるECU100は、電流制御スイッチ121と、制御部130と、を備えている。電流制御スイッチ121は、モータ10の駆動位置に応じてオンオフが切り替わる位置検出スイッチ20a~20cに第1電流を流すか当該第1電流よりも大きい第2電流を流すかをオンオフに応じて切り替える。制御部130は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態を監視するとともにモータ10および電流制御スイッチ121を制御する。制御部130は、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すように電流制御スイッチ121のオンオフを制御した後に、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態がモータ10の駆動位置に応じて予め決められた状態から外れているか否かに基づいて、位置検出スイッチ20a~20cの異常に関する異常情報を検出する。
上述したECU100によれば、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すことで、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が摩耗または酸化被膜に起因して予め決められた状態から外れる可能性を低減した後で、位置検出スイッチ20a~20cの異常に関する異常情報を検出することができる。したがって、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在するか否かを正確に判定することができる。
ここで、実施形態において、制御部130は、ECU100の始動時に、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流を流すように電流制御スイッチ121のオンオフを制御した後に、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れているか否かを判定する第1判定処理を実行する。そして、制御部130は、第1判定処理において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れていると判定された場合に、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すように電流制御スイッチ121のオンオフを制御した後に、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れているか否かを再び判定する第2判定処理を実行する。そして、制御部130は、第2判定処理において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れていると判定された場合に、異常情報として、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在する可能性があるという仮異常情報を検出する。このような構成によれば、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流が流れている状態で実行される第1判定処理と、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流が流れている状態で実行される第2判定処理と、の2段階の処理により、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在する可能性があるか否かを正確に判定することができる。
この場合において、制御部130は、上記の第1判定処理または第2判定処理において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れていないと判定された場合、モータ10を駆動させるための駆動操作が操作入力部50を介して入力されるまで、上記の第1判定処理を再度実行する。このような構成によれば、駆動操作が入力されるまで、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在する可能性があるか否かを繰り返し判定することができる。
また、この場合において、制御部130は、駆動操作が入力された場合、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流を流すように電流制御スイッチ121のオンオフを設定した後に、仮異常情報が検出済みであるか否かを判定する。そして、制御部130は、仮異常情報が検出済みであると判定された場合、モータ10が搭載された装置(たとえば車両)の状態を監視する監視装置としての他のECU200から、モータ10が搭載された装置の状態に関する情報を取得し、当該状態情報に基づいて、モータ10が搭載された装置が正常に動作するか否かを判定する第3判定処理を実行する。そして、制御部130は、第3判定処理において、モータ10が搭載された装置が正常に動作しないと判定された場合に、異常情報として、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在するという確定異常情報を検出する。このような構成によれば、仮異常情報が検出済みであるか否かに加えて、モータ10が搭載された装置が正常に動作するか否かをさらに考慮して、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在するか否かを確定的に判定することができる。
また、この場合において、制御部130は、仮異常情報が未検出である場合、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れているか否かを判定する第4判定処理を実行する。そして、制御部130は、第4判定処理において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れていると判定された場合、他のECU200から上記の状態情報を取得し、当該状態情報に基づいて、上記の第3判定処理を実行する。このような構成によれば、第4判定処理と第3判定処理との2段階の処理により、位置検出スイッチ20a~20cに異常が存在する否かを確定的に判定することができる。
また、この場合において、制御部130は、上記の第3判定処理または第4判定処理において、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態が予め決められた状態から外れていないと判定された場合、モータ10の駆動位置が駆動操作に応じた量だけ移動するようにモータ10を駆動した後、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流を流すように電流制御スイッチ121のオンオフを制御し、上記の第1判定処理を再度実行する。このような構成によれば、モータ10の駆動が終了した後、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流が流れている状態で実行される第1判定処理に処理が戻ることで、位置検出スイッチ20a~20cに第2電流が流れている状態が継続するのを回避し、発熱および消費電力の増大を抑制することができる。
さらに、実施形態において、制御部130は、異常情報が検出された場合、報知部30を介して異常情報を報知する。このような構成によれば、たとえば、位置検出スイッチ20a~20cの異常(および異常の可能性)への対処を促すことができる。
<変形例>
なお、上述した実施形態では、車両のトランスファを駆動するモータを制御するためのモータ制御装置としてのECUおよび当該ECUを備えたモータ制御システムが例示されている。しかしながら、本開示の技術は、車両のトランスファ以外の構成を駆動するモータを制御するための構成にも適用することが可能である。
また、上述した実施形態では、位置検出スイッチおよび電流制御スイッチがそれぞれ3つずつ設けられた構成が例示されている。しかしながら、本開示の技術は、位置検出スイッチおよび電流制御スイッチが2個以下ずつ設けられた構成にも4個以上ずつ設けられた構成にも適用することが可能である。なお、基本的には、位置検出スイッチの個数が多い方が、モータの位置をより細かく検出することが可能である。
また、本開示の技術は、たとえば次の図7に示されるような、位置検出スイッチの個数と電流制御スイッチの個数とが一致していない構成にも適用することが可能である。
図7は、実施形態の変形例にかかるモータ制御システム7000の構成を示した例示的かつ模式的な図である。なお、以下では、図7と図1とで共通する構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
図7に示されるように、変形例にかかるモータ制御システム7000は、モータ10と、位置検出回路20と、報知部30と、イグニッションスイッチ40と、操作入力部50と、ECU700と、を備えている。なお、ECU700は、「モータ制御装置」の一例である。
ここで、図7に示される例では、ECU100が、電源110と、電流制御回路720と、抵抗回路720a~720cと、制御部730と、を備えている。
電流制御回路720は、電流制御スイッチ721と、抵抗722と、を有している。また、抵抗回路720a~720cは、それぞれ同様の構成を有しており、各抵抗回路720a~720cは、4つの抵抗723~726を有している。図7に示される例は、電流制御スイッチ721を有する構成が電流制御回路720の1つだけであるという点で、図1に示される例と異なる。
電流制御スイッチ721は、制御端子としてのベースと、一方端子としてのコレクタと、他方端子としてのエミッタと、の3つの端子を有したトランジスタとして構成されている。
電流制御スイッチ721のベースは、制御部730の制御信号出力端子731に抵抗722を介して接続されている。なお、制御信号出力端子731は、電流制御スイッチ721のオンオフを切り替えるための制御信号を出力する端子であり、電流制御回路720に対応するように1つだけ設けられている。
電流制御スイッチ721のコレクタは、抵抗回路720aの抵抗723を介して位置検出スイッチ20aに接続されている。また、電流制御スイッチ721のコレクタは、抵抗回路720bの抵抗723を介して位置検出スイッチ20bに接続されているとともに、抵抗回路720cの抵抗723を介して位置検出スイッチ20cに接続されている。したがって、位置検出スイッチ20a~20cがオンになった場合、電流制御スイッチ721のコレクタは、位置検出スイッチ20a~20cを介してグランドに接続される。
また、電流制御スイッチ721のコレクタは、制御部730の状態監視端子732に抵抗723および724を介して接続されている。抵抗724と状態監視端子732との間のラインは、抵抗725を介してグランドに接続されている。なお、状態監視端子732は、位置検出スイッチ20a~20cのオンオフの状態を監視するための端子であり、位置検出スイッチ20a~20cにそれぞれ対応するように3つ(状態監視端子732a~732c)設けられている。
電流制御スイッチ721のエミッタは、電源110に接続されている。電流制御スイッチ721のエミッタと電源110との間のラインは、抵抗回路720aの抵抗723と位置検出スイッチ20aとの間のラインに抵抗回路720aの抵抗726を介して接続されている。また、電流制御スイッチ721のエミッタと電源110との間のラインは、抵抗回路720bの抵抗723と位置検出スイッチ20bとの間のラインに抵抗回路720bの抵抗726を介して接続されているとともに、抵抗回路720cの抵抗723と位置検出スイッチ20cとの間のラインに抵抗回路720cの抵抗726を介して接続されている。
ここで、図7に示される例においても、図1に示される例と同様の発想に基づいて、抵抗723の抵抗値は、抵抗726の抵抗値よりも十分に小さく設定されている。したがって、電流制御スイッチ721がオフになっている場合に抵抗726を介して位置検出スイッチ20a~20c側に流れる第1電流(矢印A711、A721、およびA731参照)は、電流制御スイッチ721がオンになっている場合に抵抗723を介して位置検出スイッチ20a~20c側に流れる第2電流(矢印A712、A722、およびA732参照)よりも小さくなる。
このように、図7に示される例では、1つの電流制御スイッチ721のオンオフが切り替わることで、位置検出スイッチ20a~20cに第1電流を流すか当該第1電流よりも大きい第2電流を流すかが切り替わる。したがって、図7に示される例において、制御部730は、1つの電流制御スイッチ721を制御するだけで、より簡単な(つまり低コストな)回路構成で、上述した実施形態と同等の処理を実行し、同等の効果を得ることができる。
以上、本開示の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。