JP7275857B2 - ゴルフボール用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフボール用樹脂組成物及びこれを用いたゴルフボールに関し、特に、コアに単層又は複数層のカバーが被覆されるゴルフボールのカバー材料として好適に用いられるゴルフボール用樹脂組成物及びこれを用いたゴルフボールに関する。
ゴルフボールの要求特性は、主に飛距離の増大であるが、そのほかには、アプローチショット時にはボールが良く止まる性能や耐擦過傷性がある。即ち、今までは、ドライバー打撃時はよく飛び、アプローチショット時にはバックスピンが好適にかかるゴルフボールが多く開発されている。更に、ゴルフボールのカバー材料として、高反発であり且つ耐傷付き性の良いものが開発されてきた。
このようなカバー材料としては、特にプロや上級者向きとして、アイオノマー樹脂材料に代わるものとしてウレタン樹脂材料を採用するものが多くなっている。しかしながら、プロや上級者からはアプローチ時に更にコントロールし易いゴルフボールを要望しており、より具体的には、グリーン周りにおけるサンドウエッジ(SW)等のショートアイアンでの操作性に優れ、より繊細にコントロールできることが要求される。このため、ウレタン樹脂材料をベース樹脂とするカバー材料の更なる改良が求められている。
ウレタン樹脂材料をベース樹脂して、他の樹脂材料を混合させたポリマーブレンドのカバー材料がいくつか提案されている。例えば、特開平11-9721号公報には、カバー材の耐擦過傷性を改良するため、熱可塑性ポリウレタンとスチレンベースブロック共重合体のブレンド物をカバーの主材として用いることが提案されている。しかし、このブレンドのカバーは、反発弾性や耐擦過傷性の面で不充分であった。
最近では、熱可塑性ウレタンエラストマーの諸物性はグレードアップしており、その一つとして耐擦過傷性が改良されている。従って、他の樹脂材料をブレンドする際、その樹脂の種類や配合量を適宜調整することによって、本来熱可塑性ウレタンエラストマーが持つ耐擦過傷性が低下しないことが望まれている。
また、低硬度化を目的として、ウレタン樹脂材料を他の樹脂材料とブレンドする際、反発弾性の変化や成型性の悪化をできるだけ避けることも望まれる。
特開平11-9721号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ドライバーショット時の飛距離を落とすことなく、アプローチショット時のコントロール性に優れると共に、耐擦過傷性及び成型性を良好に維持できるゴルフボール用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、従来から使用されているポリウレタンカバーを更に改良すべく、下記(A),(B)成分
(A)芳香族ビニル系エラストマー
(B)ポリウレタンまたはポリウレア
を含有し、(A)成分の配合量を(B)100質量部に対して50質量部以下とすることにより、特にプロや上級者のゴルファーにとってアプローチ時が更にコントロールし易いものとなり、ドライバーショット時の飛距離を犠牲することもなく、且つ、耐擦過傷性と成型性とを良好に維持できる高品質ゴルフボールを提供できることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記のゴルフボール用樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いたゴルフボールを提供する。
1.下記(A)及び(B)成分
(A)芳香族ビニル系エラストマー
(B)ポリウレタンまたはポリウレア
を含有し、(A)成分の配合量が(B)100質量部に対して50質量部以下であり、且つ、(A)成分の反発弾性率が、JIS-K 6255規格の測定で40%以下であることを特徴とするゴ
2.(A)成分が水添芳香族ビニル系エラストマーである上記1記載のゴルフボール用樹脂組成物。
3.(A)成分が、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック、および、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体ブロックからなる重合体を水添して得られるエラストマーである上記1記載のゴルフボール用樹脂組成物。
4.(A)成分が、スチレンからなる重合体ブロック及びスチレンとブタジエンとのランダム共重合体ブロックからなり、両末端にスチレンからなる重合体ブロック、中間にランダム共重合体ブロックを有する重合体を水添して得られる水添芳香族ビニル系エラストマーである上記1記載のゴルフボール用樹脂組成物。
.動的粘弾性測定(DMA)により得られるtanδピーク温度で示されるガラス転移温度(Tg)であって、(A)成分のガラス転移温度が-20~50℃である上記1~のいずれかに記載のゴルフボール用樹脂組成物。
.(A)成分におけるスチレン成分の含有量が30質量%以上である上記1~のいずれかに記載のゴルフボール用樹脂組成物。
.上記樹脂組成物の主成分であるポリウレタンが、エーテル系熱可塑性ポリウレタンである上記1~のいずれかに記載のゴルフボール用樹脂組成物。
.樹脂組成物の反発弾性率が、JIS-K 6255規格の測定で65%以下である上記1~のいずれかに記載のゴルフボール用樹脂組成物。
.下記(A)及び(B)成分
(A)芳香族ビニル系エラストマー
(B)ポリウレタンまたはポリウレア
を含有し、(A)成分の配合量が(B)100質量部に対して50質量部以下であり、且つ、動的粘弾性測定(DMA)により得られるtanδピーク温度で示されるガラス転移温度(Tg)であって、(A)成分のガラス転移温度が-20~50℃であることを特徴とするゴルフボール用樹脂組成物。
10.コアに単層又は複数層のカバーが被覆されるゴルフボールであって、該カバーのうち少なくとも1層が、上記1~9のいずれかに記載のゴルフボール用樹脂組成物により形成されることを特徴とするゴルフボール。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、アプローチショット時においてボール初速が落ちることで、アプローチショット時に飛びすぎず、コントロールし易いものであり、且つドライバーショット時の飛距離を落とすことなく、耐擦過傷性や成型性を良好に維持することができ、特に、ゴルフボールのカバー材として有用である。
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、下記(A)及び(B)成分
(A)芳香族ビニル系エラストマー
(B)ポリウレタンまたはポリウレア
を含有する。以下、(A)成分,(B)成分について詳述する。
(A)芳香族ビニル系エラストマー
芳香族ビニル系エラストマーは、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック、および、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体ブロックからなる重合体(エラストマー)である。すなわち、芳香族ビニル系エラストマーは一般的に、SEBS等に代表されるように、ハードセグメントとして芳香族ビニル化合物の成分からなるブロックを両末端に、ソフトセグメントとして共役ジエン化合物の成分からなるブロックを中間に有している。最近の研究では、中間ブロックに、共役ジエン化合物の成分に加えて、芳香族ビニル系の成分をランダムに組み込んだポリマーも報告されている。芳香族ビニル系エラストマーの硬度は一般的に、ハードセグメントとなる芳香族ビニル含有量が減少するほど硬度が低下し、ソフトセグメント成分が増大するため反発弾性が上昇する。その一方、中間ブロックのソフト成分に対し芳香族ビニル成分をランダムに組み込んだ場合、硬度はあまり上昇せずに反発弾性が低下する。また、中間ブロックにランダムに組み込む芳香族ビニル化合物の代わりに、高Tgを示す共役ジエン化合物を用いることによっても同様な効果が得られる。特に、本発明では、上述した作用効果を十分に発揮させるために、(A)成分として、上記重合体(エラストマー)を水素添加処理されたものを用いることが好適である。
上記重合体中の芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの群の中では、スチレンが好ましい。
上記重合体中の共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの群の中では、ブタジエン、イソプレンが好ましく、ブタジエンがより好ましい。
なお、上記共役ジエン化合物に由来する単位、例えば、ブタジエンに由来する単位は、水素添加処理が施されることにより、エチレン単位又はブチレン単位となる。例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)に対して、水素添加処理が施されることにより、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)となる。
上述したように(A)成分である芳香族ビニル系エラストマーとしては、水素添加処理されたもの、すなわち、水添芳香族ビニル系エラストマーを採用することが好適である。水添芳香族ビニル系エラストマーとしては、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック、および、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体ブロックからなる重合体を水添して得られるエラストマーが好ましく、スチレンを主体とする重合体ブロックおよびスチレンとブタジエンとのランダム共重合体ブロックからなる重合体を水添して得られるエラストマーがより好ましく、スチレンを主体とする重合体ブロックおよびスチレンとブタジエンとのランダム共重合体ブロックからなり、特に、両末端にスチレンを主体とする重合体ブロック(特に両末端にスチレンのみから重合体ブロック)、中間にランダム共重合体ブロックを有する重合体を水添して得られるエラストマーが好ましい。この構造を有する共重合体を使用することで、低硬度化と低反発化を共に具備し、且つ成形後の固化速度が早いためタックが少なく、(B)成分であるポリウレタン樹脂との相溶性に優れるためブレンドによる物性低下を最小限に抑制することができると考えられる。
上記水添芳香族ビニル系エラストマーの具体例としては、例えば、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレンブロック共重合体(SIB)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP)等が挙げられる。
上記芳香族ビニル系エラストマーにおいて、芳香族ビニル化合物に由来する単位がその共重合体に占める割合(即ち、芳香族ビニル化合物含有量、好ましくはスチレン含有量)については、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、最も好ましくは60質量%以上である。このように、芳香族ビニル化合物含有量、好ましくはスチレン含有量を多く設定することで、(B)成分であるウレタン樹脂との相溶性が良好となり、且つ、所望の硬度と成形性の悪化を防ぐことができる。なお、上記の芳香族ビニル化合物に由来する単位の含有量(好ましくはスチレン含有量)の測定は、H1-NMR測定により算出することができる。
また、上記芳香族ビニル系エラストマーにおいて、動的粘弾性測定(DMA)により得られるtanδピーク温度で示されるガラス転移温度(Tg)が-20~50℃であることが好ましく、より好ましくは0℃以上、更に好ましくは5℃以上である。即ち、上記tanδピーク温度が、ゴルフボールが通常使用される温度付近に有することにより、ゴルフボールが通常使用される温度領域において樹脂組成物全体の反発弾性を低く抑えて本発明の所望の効果を高めることができると考えられる。
(A)成分である芳香族ビニル系エラストマーとしては市販品を用いることができ、例えば、市販品としては、旭化成社製の「S.O.E.(商標名)」、「タフテック」及び「タフプレン」、或いは、DIC社製の「ディックスチレン」等を挙げることができる。
(A)成分の反発弾性率は、JIS-K 6255規格の測定で40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下である。このように反発弾性率を非常に低く抑えることにより、少ない添加量でゴルフボール物性に悪影響を及ぼすことなく、アプローチショット時のボール初速低下が実現できる。但し、その反発弾性率の下限値は、ドライバーショット時の反発低下及び飛距離の低減への影響をできるだけ抑制するために20%以上であることが好適である。
(A)成分の配合量は、後述する(B)成分100質量部に対して50質量部以下であることを要する。但し、この配合量の下限値としては、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であることが好ましい。(A)成分の配合量が多くなると、耐擦過傷性や成型性が悪化するおそれがある。一方、(A)成分の配合量があまりにも少ないと、カバー樹脂材料として低硬度且つ所望の反発弾性が得らなくなり、アプローチショット時のボール初速低下効果も少なくなる場合がある。
(B)ポリウレタンまたはポリウレア
次に(B)成分は、本発明の樹脂組成物の主材またはベース樹脂となり得るものである。この成分であるポリウレタン(B-1)またはポリウレア(B-2)の詳細は以下のとおりである。
(B-1)ポリウレタン
ポリウレタンの構造は、長鎖ポリオールである高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する鎖延長剤及びポリイソシアネートからなる。ここで、原料となる高分子ポリオールとしては、従来からポリウレタン材料に関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではない。例えば、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。ポリエステル系ポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール等のアジペート系ポリオールやポリカプロラクトンポリオール等のラクトン系ポリオールを採用することができる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)及びポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記高分子ポリオールとしては、ポリエーテル系ポリオールを用いることが好適である。
上記の長鎖ポリオールの数平均分子量は、1,000~5,000の範囲内であることが好ましい。かかる数平均分子量を有する長鎖ポリオールを使用することにより、上記した反発性や生産性などの種々の特性に優れたポリウレタン組成物からなるゴルフボールを確実に得ることができる。長鎖ポリオールの数平均分子量は、1,500~4,000の範囲内であることがより好ましく、1,700~3,500の範囲内であることが更に好ましい。
なお、上記の数平均分子量とは、JIS-K1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である(以下、同様。)。
鎖延長剤としては、従来のポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限されるものではない。本発明では、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有し、かつ分子量が2,000以下である低分子化合物を用いることができ、その中でも炭素数2~12の脂肪族ジオールを好適に用いることができる。具体的には、1,4-ブチレングリコール、1,2-エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール等を挙げることができ、その中でも特に1,4-ブチレングリコールを好適に使用することができる。
ポリイソシアネートとしては、従来のポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。
また、上記ポリウレタン形成反応における活性水素原子:イソシアネート基の配合比は適宜好ましい範囲にて調整することができる。具体的には、上記の長鎖ポリオール、ポリイソシアネート化合物及び鎖延長剤を反応させてポリウレタンを製造するに当たり、長鎖ポリオールと鎖延長剤とが有する活性水素原子1モルに対して、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が0.95~1.05モルとなる割合で各成分を使用することが好ましい。
ポリウレタンの製造方法は特に限定されず、長鎖ポリオール、鎖延長剤及びポリイソシアネート化合物を使用して、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合により製造することが好ましい。
上述したポリウレタンとしては、熱可塑性ポリウレタン材料を用いることが好ましく、特にエーテル系熱可塑性ポリウレタン材料であることが好適である。熱可塑性ポリウレタン材料としては、市販品を好適に用いることができ、例えば、ディーアイシーコベストロポリマー社製の商品名「パンデックス」や、大日精化工業社製の商品名「レザミン」などを挙げることができる。
(B-2)ポリウレア
ポリウレアは、(i)イソシアネートと(ii)アミン末端化合物との反応により生成するウレア結合を主体にした樹脂組成物である。この樹脂組成物について以下に詳述する。
(i)イソシアネート
イソシアネートは、従来のポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はなく、上記ポリウレタン材料で説明したものと同様のものを用いることができる。
(ii)アミン末端化合物
アミン末端化合物は、分子鎖の末端にアミノ基を有する化合物であり、本発明では、以下に示す長鎖ポリアミン及び/又はアミン系硬化剤を用いることができる。
長鎖ポリアミンは、イソシアネート基と反応し得るアミノ基を分子中に2個以上有し、かつ数平均分子量が1,000~5,000であるアミン化合物である。本発明では、より好ましい数平均分子量は1,500~4,000であり、更に好ましくは1,900~3,000である。上記長鎖ポリアミンの具体例としては、アミン末端を持つ炭化水素、アミン末端を持つポリエーテル、アミン末端を持つポリエステル、アミン末端を持つポリカーボネート、アミン末端を持つポリカプロラクトン、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの長鎖ポリアミンは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、アミン系硬化剤は、イソシアネート基と反応し得るアミノ基を分子中に2個以上有し、かつ数平均分子量が1,000未満であるアミン化合物である。本発明では、より好ましい数平均分子量は800未満であり、更に好ましくは600未満である。上記アミン系硬化剤の具体例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1-メチル-2,6-シクロヘキシルジアミン、テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン、2,2,4-及び2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、4,4’-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタン、1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン、1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-シクロヘキサン、4,4’-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジシクロヘキシルメタンの誘導体、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン)、1,3-シクロヘキサン-ビス-(メチルアミン)、ジエチレングリコールジ-(アミノプロピル)エーテル、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピレントリアミン、イミド-ビス-プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンビス-(2-クロロアニリン)、3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,6-トルエンジアミン、3,5-ジエチルチオ-2,4-トルエンジアミン、3,5-ジエチルチオ-2,6-トルエンジアミン、4,4’-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ジフェニルメタン及びその誘導体、1,4-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ベンゼン、1,2-ビス-(sec-ブチルアミノ)-ベンゼン、N,N’-ジアルキルアミノ-ジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリメチレングリコール-ジ-p-アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート、4,4’-メチレンビス-(3-クロロ-2,6-ジエチレンアニリン)、4,4’-メチレンビス-(2,6-ジエチルアニリン)、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらのアミン系硬化剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(iii)ポリオール
ポリウレアには、必須成分ではないが、上述した(i)成分及び(ii)成分に加えて更にポリオールを配合することができる。このポリオールとして、従来のポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はないが、具体例として、以下に示す長鎖ポリオール及び/又はポリオール系硬化剤を例示することができる。
長鎖ポリオールとしては、従来からポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記長鎖ポリオールの数平均分子量は、1,000~5,000であることが好ましく、より好ましくは1,700~3,500である。この数平均分子量の範囲であれば、反発性及び生産性等がより一層優れるものとなる。
ポリオール系硬化剤としては、従来のポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限されるものではない。本発明では、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有し、かつ分子量が1000未満である低分子化合物を用いることができ、その中でも炭素数2~12の脂肪族ジオールを好適に用いることができる。具体的には、1,4-ブチレングリコール、1,2-エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール等を挙げることができ、その中でも特に1,4-ブチレングリコールを好適に使用することができる。また、上記ポリオール系硬化剤の、好ましい数平均分子量は800未満であり、より好ましくは600未満である。
上記ポリウレアの製造方法については、公知の方法を採用し得、プレポリマー法、ワンショット法等の公知の方法を適宜選択すればよい。
上記(B)成分の材料硬度については、ゴルフボールとして得られるスピン特性や耐擦過傷性の点から、ショアD硬度で65以下であることが好ましく、より好ましくはショアD硬度で60以下、更に好ましくは55以下である。また、その下限値としては、成型性の点からショアD硬度で25以上が好ましく、より好ましくはショアD硬度で30以上である。
上記(B)成分は樹脂組成物の主材であり、ウレタン樹脂が有する耐擦過傷性を十分に付与する点から、樹脂組成物の50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
また、本発明のゴルフボール樹脂組成物には、上述した樹脂成分以外には、他の樹脂材料を配合してもよい。その目的は、ゴルフボール用樹脂組成物の更なる流動性の向上や反発性、耐擦過傷性等の諸物性を高めるなどの点からである。
他の樹脂材料としては、具体的には、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー樹脂、エチレン-エチレン・ブチレン-エチレンブロック共重合体又はその変性物、ポリアセタール、ポリエチレン、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド及びポリアミドイミドから選ばれ、その1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明の樹脂組成物には、更に、活性のあるイソシアネート化合物を含むことができる。この活性イソシアネート化合物は、主成分であるポリウレタン又はポリウレアと反応して、樹脂組成物全体の耐擦過傷性を更に向上させることができるほか、イソシアネートの可塑化効果により流動性を向上させて成型性を向上させることができる。
上記のイソシアネート化合物としては、通常のポリウレタンに使用されているイソシアネート化合物であれば特に制限なく用いることができ、例えば芳香族イソシアネート化合物としては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート又はこれら両者の混合物、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニルジイソシアネートなどが挙げられ、これら芳香族イソシアネート化合物の水添物、例えばジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを用いることもできる。また、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。更に、末端に2個以上のイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基と活性水素を有する化合物とを反応させたブロックイソシアネート化合物や、イソシアネートの二量化によるウレチジオン体などが挙げられる。
上記のイソシアネート化合物の配合量は、主材であるポリウレタンまたはポリウレア樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、上限値としては、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下である。この配合量が少なすぎると、十分な架橋反応が得られず、物性の向上が認められない場合がある。一方、この配合量が多すぎると、経時、熱や紫外線による変色が大きくなり、あるいは、熱可塑性を失ってしまったり、反発の低下等の問題が生じる場合がある。
更に、本発明のゴルフボール用樹脂組成物には、任意の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。例えば、本発明のゴルフボール用材料をカバー材として用いる場合、上記成分に、充填剤(無機フィラー)、有機短繊維、補強剤、架橋剤、顔料,分散剤,老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤などの各種添加剤を加えることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量としては、基材樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、上限として、好ましくは10質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
本発明の樹脂組成物の反発弾性率については、この値が高すぎるとドライバーショット時の飛距離増大の効果はあるものの、アプローチショット時のボール初速も同様に高くなりコントロールしにくいものとなってしまうことから、JIS-K 6255規格の測定で65%以下であることが好ましい。但し、その反発弾性率の下限値は、ドライバーショット時の反発低下及び飛距離の低減をできるだけ抑制するために30%以上であることが好適である。
また、本発明の樹脂組成物の材料硬度については、ゴルフボールとして得られるスピン特性や耐擦過傷性の点から、ショアD硬度で60以下であることが好ましく、より好ましくはショアD硬度で55以下、更に好ましくは50以下、最も好ましくは45以下である。また、その下限値としては、成型性の点からショアD硬度で20以上が好ましく、より好ましくはショアD硬度で30以上である。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物の各成分の調製方法については、例えば、混練型(単軸又は)二軸押出機,バンバリー,ニーダー,ラボプラストミル等の各種の混練機を用いて混合することができ、或いは、樹脂組成物の射出成形時にドライブレンドにより各成分を混合しても良い。更に、上記の活性イソシアネート化合物を用いる場合には、各種混練機を用いて樹脂混合時に含有させてもよく、または、予め活性イソシアネート化合物やその他の成分を含有したマスターバッチを別途用意し、樹脂組成物の射出成形時にドライブレンドすることにより、各成分を混合しても良い。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、ゴルフボールの各部材の樹脂材料として用いられるものであり、例えば、ワンピースゴルフボールそれ自体の材料として使用されるほか、コアと該コアを被覆するカバーとからなるツーピースソリッドゴルフボール、又は、1層以上のコアと該コアを被覆する多層のカバーとからなるマルチピースソリッドゴルフボールにおけるカバー材として好適に用いることができる。
例えば、上記カバーを成形する方法としては、例えば、射出成形機に上述の樹脂組成物を供給し、コアの周囲に溶融した樹脂組成物を射出することによりカバーを成形することができる。この場合、成形温度としては(B)成分であるポリウレタン又はポリウレア等の種類によって異なるが、通常150~270℃の範囲である。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1~13、比較例1~3〕
表1に示す配合により、全ての例に共通するコア用のゴム組成物を調製・加硫成形することにより直径38.6mmのコアを作製した。
Figure 0007275857000001
上記コア材料の詳細は下記のとおりである。
・「cis-1,4-ポリブタジエン」JSR社製、商品名「BR01」
・「アクリル酸亜鉛」日本触媒社製
・「酸化亜鉛」堺化学工業社製
・「硫酸バリウム」堺化学工業社製
・「老化防止剤」商品名「ノクラックNS6」(大内新興化学工業社製)
・「有機過酸化物(1)」ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」(日油社製)
・「有機過酸化物(2)」1,1-ジ(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物、商品名「パーヘキサC-40」(日油社製)
・「ステアリン酸亜鉛」日油社製
次に、全ての例に共通する中間層樹脂材料を配合した。この中間層樹脂材料は、酸含量18質量%のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体のナトリウム中和物50質量部と、酸含量15質量%のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体の亜鉛中和物50質量部との合計100質量部とするブレンド物である。この樹脂材料を、上記で得た直径38.6mmのコアの周囲に射出成形し、厚さ1.25mmの中間層を有する中間層被覆球体を製造した。
次に、上記の中間層被覆球体の周囲に、下記表2及び表3に示すカバー材料を用い、同表に示す配合量で射出成形し、厚さ0.8mmのカバー層(最外層)を有する直径42.7mmのスリーピースゴルフボールを作製した。この際、各実施例、比較例のカバー表面には、特に図示してはいないが、共通するディンプルが形成された。
カバー樹脂組成物の調製
樹脂組成物については、表2及び表3に示す成分及び配合量でドライブレンドにより混合し、成形温度210~250℃で射出成型した。
Figure 0007275857000002
Figure 0007275857000003
表2及び表3の組成物中の含有成分の詳細は、以下の通りである。
・「TPU」:ディーアイシーコベストロポリマー社製の商品名「パンデックス」、芳香族系エーテルタイプ熱可塑性ポリウレタン(ショアD硬度「40」及び反発弾性「61%」)
・「S.O.E. S1611」:旭化成社製の水添芳香族ビニル系エラストマー(スチレン含有量「60質量%」、ショアD硬度「23」及び反発弾性「20%」)
・「MH-6800-1」:耐衝撃性ポリスチレン樹脂ディックスチレン(HIPS)DIC社製のビニル系エラストマー(ショアD硬度「74」及び反発弾性「37%」)
・「ハイトレル4001」:東レデュポン社製のポリエステルエラストマー(ショアD硬度「37」及び反発弾性「77%」)
得られた実施例及び比較例の各ゴルフボールについて、ドライバーショット時の初速・飛距離と、アプローチショット時の初速とを計測した。また、成型性、耐擦過傷性及びアプローチショット時の官能評価を下記のとおり評価した。これらの結果を下記の表4及び表5に示す。
ドライバーショット時のボール物性(DR初速及びDR飛距離)
クラブを打撃ロボットに装着し、ヘッドスピード(HS)45m/sで打撃した直後の、ボールの初速を初期条件計測装置により測定した。また、その飛距離を測定した。
アプローチショット時のボール物性(AP初速)
ゴルフ打撃ロボットにサンドウェッジ(SW)を装着し、ヘッドスピード(HS)20m/sで打撃した直後のボールの初速を初期条件計測装置により測定した。また、比較例1のアプローチショット時の初速を基準として、各実施例と比較例1との初速差を調べた。
アプローチコントロール性
また、下記のようにアプローチ官能評価を行った。
◎ ・・・ 操作性に非常に優れる。
〇 ・・・ 操作性に優れる。
△ ・・・ 操作性にやや優れる。
× ・・・ 操作性がやや劣る。
耐擦過傷性の評価
ボールを23℃に保温するとともに、スウィングロボットマシンを用い、クラブはピッチングウェッジを使用して、ヘッドスピード33m/sで各ボールを各5球ずつ打撃し、打撃傷を以下の基準で目視にて評価した。
○ ・・・ やや傷がついているか、ほとんど傷が目立たない。
△ ・・・ 表面がやや毛羽立っているか、ディンプルがやや欠けている。
× ・・・ ディンプルが完全に削り取られている。
成型性(脱型性)の評価
カバー射出成形後の金型からの脱型性を以下の基準で各例のボールを評価した。
○ ・・・ 脱型時ランナー切れやピン付き等の外傷が生じない。
△ ・・・ 脱型時ランナー切れやピン付き等の外傷が生じるが、成型には問題ない。
× ・・・ 脱型時ランナー切れやピン付き等の外傷が生じ、成型できない。
Figure 0007275857000004
表4の結果から、本実施例1~8は、ドライバーショット時の反発(初速)及び飛距離を落とすことなく、アプローチショット時の反発(初速)を落とすことができ、アプローチ時のコントロール性(操作性)が良好であることが分かる。また、耐擦過傷性および成型性も良好に維持できていることが分かる。
Figure 0007275857000005
表5の結果から、本実施例9~13は、ドライバーショット時の反発(初速)を落とさずにアプローチショット時の反発(初速)を落とすことができ、ドライバーショット時の飛距離を落とさずにアプローチショット時の操作性を向上することができ、また、耐擦過傷性も成型性も損なわれないことが分かる。一方、比較例2及び比較例3は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)にポリエステルエラストマーを少量配合した樹脂組成物ではあるが、ドライバーショット時の飛距離は落ちていないが、アプローチショット時の初速が落ちず、操作性が悪いことが分かる。

Claims (10)

  1. 下記(A)及び(B)成分
    (A)芳香族ビニル系エラストマー
    (B)ポリウレタンまたはポリウレア
    を含有し、(A)成分の配合量が(B)100質量部に対して50質量部以下であり、且つ、(A)成分の反発弾性率が、JIS-K 6255規格の測定で40%以下であることを特徴とするゴルフボール用樹脂組成物。
  2. (A)成分が水添芳香族ビニル系エラストマーである請求項1記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  3. (A)成分が、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック、および、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体ブロックからなる重合体を水添して得られるエラストマーである請求項1記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  4. (A)成分が、スチレンからなる重合体ブロック、および、スチレンとブタジエンとのランダム共重合体ブロックからなり、両末端にスチレンからなる重合体ブロック、中間にランダム共重合体ブロックを有する重合体を水添して得られる水添芳香族ビニル系エラストマーである請求項1記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  5. 動的粘弾性測定(DMA)により得られるtanδピーク温度で示されるガラス転移温度(Tg)であって、(A)成分のガラス転移温度が-20~50℃である請求項1~のいずれか1項記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  6. (A)成分におけるスチレン成分の含有量が30質量%以上である請求項1~のいずれか1項記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  7. 上記樹脂組成物の主成分であるポリウレタンが、エーテル系熱可塑性ポリウレタンである請求項1~のいずれか1項記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  8. 樹脂組成物の反発弾性率が、JIS-K 6255規格の測定で65%以下である請求項1~のいずれか1項記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  9. 下記(A)及び(B)成分
    (A)芳香族ビニル系エラストマー
    (B)ポリウレタンまたはポリウレア
    を含有し、(A)成分の配合量が(B)100質量部に対して50質量部以下であり、且つ、動的粘弾性測定(DMA)により得られるtanδピーク温度で示されるガラス転移温度(Tg)であって、(A)成分のガラス転移温度が-20~50℃であることを特徴とするゴルフボール用樹脂組成物。
  10. コアに単層又は複数層のカバーが被覆されるゴルフボールであって、該カバーのうち少なくとも1層が、請求項1~9のいずれか1項記載のゴルフボール用樹脂組成物により形成されることを特徴とするゴルフボール。
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