JP7275755B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
昨今では、単に絵柄や意匠表現にとどまらず、機能性の向上や環境適合性などにも各方面からの要求が広がりを見せており、化粧シートの新たな用途開発や機能性向上が重要な課題となっている。
この反りを防止するためには、建具の枠体に金属製の支持体を入れて補強したり、化粧板の表面および裏面に、防湿層を設けたシートを貼って、湿度の影響を少なくするとともに、応力のバランスを取るなどする場合もある。
また防湿層としては、金属薄膜、金属酸化物薄膜、を用いる場合もあり、アルミニウム蒸着膜やアルミニウム箔を用いることもある。また無機化合物の蒸着膜をプラスチックフィルム上に形成して用いることもできる。
化粧シートは基材として、紙間強化紙などの紙基材を用いて絵柄印刷層を設けた後、樹脂コート層を設けて表面保護層とすることも行なわれている。必要に応じて他のフィルムや紙材料などとの積層も行なわれる。
この表面保護層によって、化粧シートには耐汚染性や耐傷性などが付与されるが、必ずしも万能というわけではなく、とくにクラックや、ピンホールなどの塗膜の微小欠陥がある場合には、油性の汚れなどは紙基材まで浸透して染みを作るおそれがある。
また特許文献2には、紙間強化紙を用い、表面保護層を有する化粧シートと、無機物質を含む防湿層を有する合成樹脂フィルムを積層した化粧シートの提案があるが、この場合においても建具の反りの防止と、生活上起こり得る油性汚れに対する耐汚染性の両立を考慮したものではなかった。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態の化粧シート10は、シート基材1の一方の面(表面)に、印刷絵柄層9、トップコート層4をこの順に設けた化粧紙20と、シート基材1の他方の面(裏面)にはバリアフィルム7とを有する。また、ここに示す例において、印刷絵柄層9は、ベタインキ層2および絵柄インキ層3を含んだ層である。
本実施形態においては、シート基材1には、耐油シートを用いる。また、印刷絵柄層9の上には、硬化型の透明樹脂を含むトップコート層4を設けてある。
また、シート基材1の裏面には、無機化合物層6を有するプラスチックフィルム5、すなわちバリアフィルム7を、接着剤層8を介して貼りあわせてある。
本実施形態による化粧シート10を構成する各材料について個々に説明を加える。
前述のように本実施形態においては、シート基材1には、耐油シートを用いる。耐油シートを用いることによって、化粧シート10の耐油性を向上することができ、仮にトップコート層4に、クラックやピンホールなどの微小欠陥が存在する場合においても、油脂汚れによる染み残りを防止することが可能になる。
シート基材1は、耐油シートは、熱可塑性樹脂と、無機質材料と、フッ素系耐油剤とを含有することによって耐油性を向上させたものを用いることができる。
フッ素系耐油剤は、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA)の両方を含まず、官能基を含めたフッ素樹脂の分子量が3000以上80000以下の範囲内であり、かつフッ素部位における炭素数が8個未満であることによって、より油脂汚れの染込みをなくして、環境適合的な材料構成とすることができる。
具体的には、オゾン層破壊の懸念であり、地球温暖化の懸念であり、フッ素資源枯渇の懸念であり、また人類を含む生体内への残留、蓄積への懸念であって、なお未知のリスクもゼロとは言い切れない。
上記フッ素化合物としては、例えば、ペルフルオロヘプタンスルホン酸(PFHpS)、ペルフルオロノナンスルホン酸(PFNS)、ペルフルオロデカンスルホン酸(PFDS)、ペルフルオロヘプタン酸(PFHpA)、ペルフルオロノナン酸(PFNA)、ペルフルオロデカン酸(PFDA)、ペルフルオロウンデカン酸(PFUnDA)、ペルフルオロドデカン酸(PFDoDA)、ペルフルオロトリデカン酸(PFTrDA)及びペルフルオロテトラデカン酸(PFTeDA)等がある。
また耐油度の基準としてJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法、N0.41:20000により測定した値が2以上であることによって、より耐油性に優れた実用的な化粧紙20とすることが可能である。
本実施形態の無機質材料の含有量はシート基材1の質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であればよく、20質量%以上80質量%以下の範囲内であればより好ましく、60質量%以上80質量%以下の範囲内であればさらに好ましい。無機質材料の含有量がシート基材1の質量に対して、15質量%未満であると、相対的に熱可塑性樹脂の割合が多くなるため、使用に耐え得る十分な機械強度が得にくい傾向がある。また、シート基材1の表面をホフマンスクラッチテスターを用いて引っ掻いた際に、視認できる程度の傷が付く、即ち十分な表面硬度が得られないことがある。一方、無機質材料の含有量がシート基材1の質量に対して、90質量%を超えると、相対的に熱可塑性樹脂の割合が少なくなる。このため、シート基材1表面に、後述するアンカー層の塗工等を行った際にシート基材1表面に所謂「粉吹き」が発生することがある。ここで、「粉吹き」とは、シート基材1に含まれた無機質材料がシート基材1の表面に浮き出ることをいう。また無機質材料の含有量がシート基材1の質量に対して、90質量%を超えると、シート基材1を折り曲げて再び開いた際に、折り曲げた部分から割れが発生したり、無機質材料が落ちたりすることがある。
また、フッ素系耐油剤の含有量がシート基材1の質量に対して、0質量%超10質量%以下の範囲内であれば、十分な耐油性を確実に得ることができる。
また、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量は、シート基材1の質量に対して、90質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましい。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が上記数値範囲内であれば、シートの折り曲げ部に発生する割れを低減することができる。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量がシート基材1の質量に対して、90質量%未満であると、シートの折り曲げ部に割れが発生したりすることがある。
また、シート基材1は、1軸延伸または2軸延伸のシート基材であることが好ましい。シート基材1が1軸延伸または2軸延伸のシート基材であれば、シート基材1の汎用性を高めることができる。
また、表面アンカー層14a及び裏面アンカー層14bを形成する前に、例えば、シート基材1の表面及び裏面の少なくとも一方をブラッシングして、粉吹きした無機質材料、例えば炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩の少なくとも一方を含む粉体を事前に落とすようにしてもよい。
表面アンカー層14aは、シート基材1の表面全体を覆うように形成された層であって、シート基材1に含まれる無機質材料の粉落ちを防止するための層である。シート基材1に印刷絵柄層9を印刷する際にシート基材1に含まれる無機質材料が印刷系内、具体的には印刷装置内で粉落ちすると、その印刷系内を汚染することがある。
表面アンカー層14aは、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有していることが好ましい。ここで、「塩酢ビ」とは、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体を意味する。また、「塩酢ビを含むウレタン系樹脂」とは、塩酢ビとウレタン系樹脂とを含んだ組成物であり、塩酢ビの含有量とウレタン系樹脂の含有量との比(塩酢ビの含有量(質量)/ウレタン系樹脂の含有量(質量))は80/20~1/99の範囲内であればよく、50/50~5/95の範囲内であれば好ましく、20/80~10/90の範囲内であればさらに好ましい。
裏面アンカー層14bは、シート基材1の裏面全体を覆うように形成された層であって、シート基材1に含まれる無機質材料の粉落ちを防止するための層である。シート基材1にバリアフィルム7を積層(接着)させるための接着剤層8の塗工時にシート基材1に含まれる無機質材料が塗工系内、具体的には印刷塗工装置内で粉落ちすると、その塗工系内を汚染することがある。
裏面アンカー層14bは、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有していることが好ましい。
なお、実施形態では、上述のように、表面アンカー層14a及び裏面アンカー層14bの両方を設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、表面アンカー層14a及び裏面アンカー層14bの少なくとも一方を設けた形態であっても良いし、表面アンカー層14a及び裏面アンカー層14bの両方を設けなくても良い。
印刷絵柄層9はベタインキ層2および絵柄インキ層3とからなる。ベタインキ層2は、シート基材1を隠蔽する役割を果たすとともに、印刷絵柄層9全体の色調を表現する。
また、絵柄インキ層3は、単色のほか複数の版を用いて構成され、例えば木目柄や抽象柄など、化粧紙20のより複雑な絵柄を表現することができる。
印刷方法には、既存の印刷方法を用いればよく、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法、インクジェット印刷法などから適宜選択して用いることができる。とくにグラビア印刷法は、印刷の精細度、生産性の点からより好適である。
また、印刷絵柄層9に用いるインキは、格別の制限を設けるものではなく、シート基材1への密着性、色調、耐光性などを考慮して適宜選択することができる。
たとえば、ベタインキ層2、および絵柄インキ層3には硝化綿系のインキを用いることができ、とくにベタインキ層2は、シート基材1を隠蔽する役割があるために、顔料に二酸化チタンを含む不透明な層とすることが好ましい。
本実施形態において、印刷絵柄層9の上には、硬化型の透明樹脂を含むトップコート層4を設けてある。トップコート層4は、化粧シート表面の耐傷性や、対汚染性を向上させることができ表面保護層として有効である。
トップコート層4の樹脂系は硬化型の透明樹脂の中から、適宜選択してよいが、たとえばアクリルポリオールからなるウレタン系樹脂を用いることができる。また意匠性の向上を目的として、はじきインキなどを用いて部分的に光沢の差を設けて、グロスマット効果を持たせることも可能である。
バリアフィルム7は、無機化合物層6とプラスチックフィルム5とを含む。無機化合物層6とプラスチックフィルム5との密着をより強固にすることを目的として、アンカーコート層(図示せず)を設けることができる。
本実施形態による化粧シート10を化粧板として建具などに用いる場合に、バリアフィルム7によって、建具表裏の温度、湿度の差、とくに湿度による木質基材への影響をなくすことができ、建具の反りを防止することができる。
プラスチックフィルム5は高分子樹脂組成物を含むフィルムであって、たとえばポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66等)、ポリイミドなどが使用でき、用途に応じて適宜選択される。とくにポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを基材フィルムとして使用する場合は、フィルム強度と価格においてより好ましい。
無機化合物層6を形成する方法としては,SiOやAlOなどの無機化合物を真空蒸着法を用いて、裏面アンカー層14bを設けたシート基材1上にコーティングし、真空蒸着法により無機化合物層を形成することができる。蒸着層の厚みは15nm~30nmが良い。
これら2層の複合により、緻密構造が形成される。このため、高いガスバリア性、耐湿性、耐水性を実現するとともに、変形に耐えられる可撓性を有する。そのため、建具などの基材へのラミネート適性なども具備することができる。
接着剤層8は、シート基材1とバリアフィルム7とを、積層して接着する。積層、接着はドライラミネーションを用いて行なうことができ、例えばポリエステル系ドライラミネーション接着剤を用いることができる。
このように、本実施形態によれば、化粧板として建具などに用いて、建具表裏の温度、湿度の差による建具の反りを防止することができるとともに、実生活上で考えられる、油脂汚れに対する耐汚染性を有する化粧シートを提供することが可能である。
下記実施例1~実施例19、および比較例1、比較例2に示す材料構成の化粧シートを作成し、評価項目を定めて評価を実施した。
実施例1の説明は、図1による。
化粧シート10の材料構成は以下のとおりである。
・シート基材1:フッ素系耐油剤を含有する耐油シートを用いた。(坪量40g/m2)
フッ素系耐油剤は、ペルフルオロヘプタンスルホン酸(PFHpS)(含有量4質量%、耐油度1)を用いた。このフッ素系耐油剤は、官能基を含めたフッ素樹脂の分子量が10000であり、かつフッ素部位における炭素数が7個であった。
また、耐油シートに含まれる無機質材料は、平均粒子径0.8μmのシリカ(15質量%)とした。また、耐油シートに含まれる熱可塑性樹脂は、ポリスチレンとした。また、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量は、85質量%とした。
・ベタインキ層2:二酸化チタン70%含有する硝化綿系インキをグラビア印刷法により塗工した。
・絵柄インキ層3:硝化綿系インキを用いてグラビア印刷法により木目の絵柄印刷をした。
・トップコート層4:アクリルポリオールからなるウレタン系樹脂を用いた。(塗布量7g/m2)。また表面はグロスマット絵柄付きとした。
・無機化合物層6:SiOを無機化合物として、プラスチックフィルム5上に真空蒸着法を用いて、無機化合物層6を形成した。
・プラスチックフィルム5:ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を用いた。
・接着剤層8:シート基材1の裏面と、バリアフィルム7の無機化合物層6側とを、接着剤層8を介して積層、接着した。ポリエステル系ドライラミネーション接着剤(塗布量3g/m2)とした。
無機質材料の含有量を80質量%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の化粧シート10を得た。
<実施例3>
フッ素系耐油剤の耐油度を2とした以外は、実施例2と同様にして、実施例3の化粧シート10を得た。
<実施例4>
フッ素系耐油剤の含有量を5質量%とした以外は、実施例2と同様にして、実施例4の化粧シート10を得た。
<実施例5>
フッ素系耐油剤の含有量を10質量%とした以外は、実施例2と同様にして、実施例5の化粧シート10を得た。
無機質材料の平均粒子径を1μmとした以外は、実施例2と同様にして、実施例6の化粧シート10を得た。
<実施例7>
無機質材料の平均粒子径を3μmとした以外は、実施例2と同様にして、実施例7の化粧シート10を得た。
<実施例8>
無機質材料を三酸化アンチモンとした以外は、実施例2と同様にして、実施例8の化粧シート10を得た。
<実施例9>
無機質材料を酸化ジルコンとした以外は、実施例2と同様にして、実施例9の化粧シート10を得た。
無機質材料を炭酸カルシウムとした以外は、実施例2と同様にして、実施例10の化粧シート10を得た。
<実施例11>
熱可塑性樹脂をポリプロピレンとした以外は、実施例2と同様にして、実施例11の化粧シート10を得た。
<実施例12>
熱可塑性樹脂をポリエチレンとした以外は、実施例2と同様にして、実施例12の化粧シート10を得た。
<実施例13>
熱可塑性樹脂をポリエステルとした以外は、実施例2と同様にして、実施例13の化粧シート10を得た。
熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量を90質量%とした以外は、実施例2と同様にして、実施例14の化粧シート10を得た。
<実施例15>
熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量を95質量%とした以外は、実施例2と同様にして、実施例15の化粧シート10を得た。
<実施例16>
シート基材1の両面にアンカー層を、塩酢ビを含むウレタン系樹脂で形成した以外は実施例2と同様にして、実施例16の化粧シート10を得た。
<実施例17>
シート基材1の両面にアンカー層を、塩酢ビを含むアクリル系樹脂で形成した以外は実施例2と同様にして、実施例17の化粧シート10を得た。
耐油シートに含まれる無機質材料を平均粒子径2μmの炭酸カルシウム(80質量%)とし、耐油シートに含まれる熱可塑性樹脂をポリプロピレンとし、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量を90質量%とし、フッ素系耐油剤の含有量を10質量%として、フッ素系耐油剤の耐油度を10とし、耐油シートの両面にアンカー層を、塩酢ビを含むウレタン系樹脂で形成した以外は、実施例2と同様にして、実施例18の化粧シート10を得た。
<実施例19>
耐油シートの両面にアンカー層を、塩酢ビを含むアクリル系樹脂で形成した以外は、実施例18と同様にして、実施例19の化粧シート10を得た。
比較例1の説明は、図2による。
化粧シート30の材料構成は以下のとおりである。
・シート基材11:紙間強化紙を用いた。(坪量30g/m2)
シート基材11以外の材料構成は、実施例1と同様である。
比較例2の説明は、図3による。
化粧シート40の材料構成は以下のとおりである。
・シート基材1:フッ素系耐油剤を含有する耐油シートを用いた。(坪量30g/m2)。
すなわち化粧紙の部分の材料構成は、実施例1と同様である。
シート基材1の印刷を施していない面と、紙間強化紙13との間に、防湿層12として低密度ポリエチレン層を形成し、積層、接着した。
すなわち比較例2は、バリアフィルムは用いていない構成である。
・反りの評価
(透湿度):JIS Z 0208による。
◎:1.0g/m2・24h以下
〇:1.0g/m2・24h超~1.5g/m2・24h以下
×:1.5g/m2・24h超
本評価では、透湿度が1.5g/m2・24hを超える場合には、反りが発生し得るとして「不合格(×)」とした。
(サラダ油滴下試験):化粧シート表面にズダンブラック(C29H24N6)で染色したサラダ油を1ml滴下して、時計皿で8時間被覆して放置した後、サラダ油を拭き取り、油の染込みの有無を観察した。
(ハンドクリーム評価試験):化粧シート表面にハンドクリーム(ニベアクリーム)(登録商標)を滴下して、時計皿で8時間被覆して放置した後、ハンドクリームを拭き取り、染込みの有無を観察した。
◎:油の染込み等は目視では確認できない
○:油の染込み等が目視にて僅かながら確認できるが使用上問題ない
△:油の染込み等が目視にて確認できるが使用上問題ない
×:油の染込み等が目視にて確認でき、使用に適さない
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法、N0.41:20000により測定した値を基準に、化粧シート全体の耐油性能を評価した。
◎:4以上
○:2以上4未満
△:1以上2未満
×:1未満
化粧シート10表面にニチバン製セロハンテープを圧着した後、一定の力で強く引き剥がし、印刷絵柄層9とシート基材1との層間での剥離の有無を目視にて評価した。なお、評価基準は以下の通りである。
◎:15N(ニュートン)の力で引き剥がした場合に、印刷絵柄層9とシート基材1との層間で剥離は発生せず
○:10Nの力で引き剥がした場合に、印刷絵柄層9とシート基材1との層間で剥離は発生せず
×:セロハンテープ全面にトップコート層4及び印刷絵柄層9が付着し、印刷絵柄層9とシート基材1との層間で顕著な剥離が発生
上記評価において、「◎」及び「○」を合格とした。
評価結果を、表1に示す。
より詳しくは、本実施例による化粧シートは、バリアフィルムによって防湿性を大きく向上させ、耐油シートによって、油脂汚れに対する耐油汚染性を向上させ、それらの両立を実現していることがわかる。
このように本発明によれば、化粧板として建具などに用いて、建具表裏の温度、湿度の差による建具の反りを防止することができるとともに、実生活上で考えられる、油脂汚れに対する耐汚染性を有する化粧シートの提供が可能である。
2・・・ベタインキ層
3・・・絵柄インキ層
4・・・トップコート層
5・・・プラスチックフィルム
6・・・無機化合物層
7・・・バリアフィルム
8・・・接着剤層
9・・・印刷絵柄層
10・・・化粧シート
11・・・シート基材
12・・・防湿層
13・・・紙間強化紙
14a・・・表面アンカー層
14b・・・裏面アンカー層
20・・・化粧紙
30・・・化粧シート
40・・・化粧シート
Claims (8)
- シート基材の一方の面上に、印刷絵柄層、トップコート層をこの順に設け、前記シート基材の他方の面にはバリアフィルムを積層した化粧シートであって、
前記シート基材には耐油シートを用い、
前記印刷絵柄層の上には、硬化型の透明樹脂を含む前記トップコート層を設け、
前記バリアフィルムは、無機化合物層を有するプラスチックフィルムを備え、
前記シート基材と前記バリアフィルムとは、接着剤層を介して貼り合わさっており、
前記耐油シートは、熱可塑性樹脂と、無機質材料と、フッ素系耐油剤とを含有し、
前記無機質材料の含有量は、前記耐油シートの質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であり、
前記耐油シートは、耐油度としてJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法、N0.41:2000により測定した値が2以上であることを特徴とする化粧シート。 - 前記フッ素系耐油剤は、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)を含まず、官能基を含めたフッ素樹脂の分子量が3000以上80000以下の範囲内であり、かつフッ素部位における炭素数が8個未満であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記フッ素系耐油剤の含有量は、前記耐油シートの質量に対して、0質量%超10質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧シート。
- 前記無機質材料は、粉末形状であり、平均粒子径が1μm以上3μm以下の範囲内であり、且つ最大粒子径が50μm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記無機質材料は、三酸化アンチモン、アンチモンソーダ、珪酸ジルコン、酸化ジルコン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、硼砂、ホウ酸亜鉛、炭酸カルシウム、三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムとの錯体、三酸化アンチモンとシリカとの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華との錯体、ジルコニウムのケイ酸、及びジルコニウム化合物と三酸化アンチモンとの錯体、並びにそれらの塩の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエステルの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記熱可塑性樹脂と、前記無機質材料との合計含有量は、前記耐油シートの質量に対して、90質量%以上95質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記耐油シートの第1の面に形成された第1のアンカー層と、
前記耐油シートの前記第1の面とは反対側の面である第2の面に形成された第2のアンカー層と、を更に備え、
前記第1のアンカー層及び前記第2のアンカー層は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の化粧シート。
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