JP7275339B1 - 金属積層造形物の製造方法及びその製造加工プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 金属積層造形物について、高品位に製造効率よく得られる製造方法及びその製造加工プログラムの提供。【解決手段】 製造方法は、予熱した母材にビードを形成する工程、ビードの上面にさらにビードを形成する工程、ビードの上面を切削して切削面を形成する工程、切削面にビードを形成する工程を含み、ビードは、金属ワイヤをアーク放電により溶融して形成される。切削面を形成する工程では、切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでにビードの形成を開始可能な切削条件でドライ切削し、ビードを形成する工程では、切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでにビードの形成を開始する。プログラムは、切削面を形成させるルーチンでは、切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでにビードの形成を開始可能な切削条件でドライ切削させ、ビードを形成させるルーチンでは、切削面が予熱下限温度以下に低下するまでにビードの形成を開始させる。【選択図】図5
Description
本発明は、金属積層造形物の製造方法及びその製造加工プログラムに関する。
金属材料を積層しながら造形する付加製造による金属造形では、寸法精度と内部性状に優れた高品位な金属造形物を得るため、積層面を一定の積層数毎に切削加工にて平坦化させることがある。
例えば、特許文献1では、連続的または断続的に供給される原料粉末を溶融し、凝固することで金属造形物(付加製造体)を製造する付加製造方法において、金属造形物の加熱状態を維持したまま、付加製造工程後に、切削油を使用せずセラミック製の切削工具を用いてドライ切削を行う製造方法を開示している。
特許文献1に開示されたように金属粉末を溶融させてビードを積層させる場合、ビードの形成に時間がかかり、形成したビードの温度が大きく低下する。そのため、切削加工工程及び付加製造工程において、加工装置内部の加熱装置によりワークを加熱する必要が生じる。ところが、加工装置内部に加熱装置を組み込むと限られた加工スペース内で移動する切削加工装置や付加製造装置との干渉を考慮した装置配置が必要となってしまう。
そこで、本発明の目的とするところは、ビードを積層させて造形される金属積層造形物について、誘導加熱装置などの加熱装置を必要とせずに、高品位な金属積層造形物を製造効率よく得られる製造方法及びその製造加工プログラムを提供することにある。
本発明による製造方法は、予熱した母材にビードを形成する工程と、形成したビードの上面に、さらにビードを形成して積層する工程と、積層したビードの上面を切削して切削面を形成する層間切削工程と、切削面にビードを形成する切削後積層工程と、を含み、ビードは、金属ワイヤをアーク放電により溶融して形成され、層間切削工程において、切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでに切削面へのビードの形成を開始可能な切削条件でドライ切削し、切削後積層工程において、切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでに、切削面へのビードの形成を開始する。
また、本発明による金属積層造形物の製造加工プログラムは、予熱した母材にビードを形成させるルーチンと、形成したビードの上面に、さらにビードを形成して積層させるルーチンと、積層したビードの上面を切削して切削面を形成させる層間切削ルーチンと、切削面にビードを形成させる切削面積層ルーチンと、を含み、ビードは金属ワイヤをアーク放電により溶融して形成されるよう処理され、層間切削ルーチンは、切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでに切削面へのビードの形成を開始可能な切削条件でドライ切削させるルーチンであり、切削面積層ルーチンは、切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでに、切削面へのビードの形成を開始させるルーチンである。
上記発明によれば、加工装置外部又は内部の加熱装置無しに、高品位な金属積層造形物を製造効率よく得られるのである。
以下、本発明による金属積層造形物の製造方法及びその製造加工プログラムについて図1乃至図7を用いて詳細に説明する。
まず、金属積層造形物の製造に用いる複合加工装置について説明する。
図1及び図2に示すように、複合加工装置10は、ワークWを切削するための切削を行う切削加工装置33とワークWに材料を積層させて積層造形物を得るための付加製造を行うアーク装置34とを備える。なお、本実施例において、アーク装置34は、金属ワイヤをアーク放電で溶融してビードを形成させることができ、かかるビードを積層させて金属積層造形物を造形し製造する。
複合加工装置10は、四方を覆うカバー1を備え、カバー1のうち前方(手前側)にはドア2、窓3及び操作盤4が設けられる。ドア2は、側方にスライドして開閉可能であり、カバー1の外部から作業者又は自動着脱装置によるワークWの取付け取り外しを可能としている。窓3は、加工中のワークWを外部から視認するために設けられている。付加製造においてアーク放電等の強い光を放出することのある場合、窓3は外部からアーク放電の光を肉眼で観察可能な程度に遮光可能なフィルタに切り換えできることが好ましい。例えば、液晶パネルによって透過する光量を変化させることで切り換えを行うことができる。また、操作盤4は、作業者によって複合加工装置10を操作可能とするために設けられ、製造加工プログラム及びその他の動作命令を入力する入力装置や、入力内容や動作の確認のための表示装置等を備える。
複合加工装置10は、カバー1の内側に複合加工装置10の土台であるベース30を備える。さらに、複合加工装置10は、ベース30に対してドア2側から見て左右方向に移動自在に支持されるサドル31と、サドル31に対して前後方向に移動自在に支持されるコラム32と、コラム32に対して上下方向に移動自在に支持される切削加工装置33とを含む。また、切削加工装置33には、アーク装置34が設置されており、切削加工装置33とともに移動可能とされる。
切削加工装置33は切削工具35を含む。特に、切削加工装置33は切削工具35を保持し回転させる機構を含み、切削工具35を回転させながら行うミーリング等の切削加工によってワークWを加工することができる。また、アーク装置34は、トーチ36を含み、ワークWに対する付加製造を行うことができる。ここで、切削加工装置33とアーク装置34とは、切削工具35及びトーチ36を互いに所定の距離だけ離間させており、一方をワークWに近接させると、同時に他方をワークWから待避させ、互いの装置同士を干渉させないように配置される。なお、切削加工装置33は、切削工具35を自動交換できる機構を備え、例えば、アーク放電を行う際に切削工具35を外して待避させ得ることが好ましい。また、アーク装置34は、その内部にトーチ36を収容できる機構を備え、例えば、切削加工を行う際にトーチ36を内部に退避させ得ることが好ましい。また、アーク装置34は、切削加工装置33に対して上下方向に移動自在に設置されてもよい。
複合加工装置10は、ワークWを保持するための保持台41と、ワークWを保持台41に固定するための治具42とをベース30に支持されるように切削加工装置33及びアーク装置34の下方に備える。付加的に、保持台41は、水平面内で前後方向に延びる軸の周りで回転可能に支持され、さらにワークWをかかる軸に直交する方向に延びる軸の周りで回転させることができるように構成してもよい。つまり、ワークWは保持台41によって2軸回転可能に保持されてもよい。これによって、ワークWを回転させながら行う旋削加工等の切削加工を可能とする。
また、複合加工装置10は、ワークWの表面の温度を測定できる温度測定装置45を備える。温度測定装置45としては、例えば、赤外線放射温度計などの非接触で温度を光学計測できるものを好適に使用し得る。
図3に示すように、複合加工装置10は、さらに上面カバー5を備える。上面カバー5は、カバー1の手前側の上端から後方へ向かって水平に延びる前方部5aと、その後方で下後方へ向けて延びる傾斜部5bとを備える。また、傾斜部5bには、切削加工装置33及びアーク装置34の下方部分を上後方から挿入される穴部5cが備えられる。つまり、上面カバー5は、切削加工装置33及びアーク装置34の下方に備えられる切削工具35及びトーチ36の周囲を上方から覆っている。
なお、ベース30の内部や後方には、サドル31、コラム32、切削加工装置33や、保持台41等を動作させるための動力を発生して伝達する駆動機構を備える。これについては、公知であるのでこれ以上の説明や図示を省略する。
次に、本実施例における金属積層造形物の製造方法について説明する。かかる製造には上記したように複合加工装置10を用いることができる。
図4(a)に示すように、ワークWを母材として複合加工装置10の保持台41に治具42を介して取り付け、アーク装置34(図2参照)によって金属を積層させる。詳細には、アーク装置34のトーチ36から伸びる金属ワイヤ37をワークWの表面に沿って移動させながらアーク放電によって金属ワイヤ37を溶融させてビード21を形成する。このようなビード21の形成を繰り返して積層させることで金属積層造形物を得られる。ここで、複数層に製造されたビード21においては、ビード形成の繰り返しによってその表面に形成される凹凸が粗大になり、ビード21の内部性状や寸法精度を低下させ、金属積層造形物の品質を低下させる場合がある。
そこで、図4(b)に示すように、積層を繰り返す間に、ビード21を切削して平坦な切削面22を得る切削加工の工程(層間切削工程)が有効となる。そして、かかる切削加工の後の切削面22上に再びビード21の積層を続ける工程(切削面積層工程)と、ビード21上にさらにビード21を形成して積層する工程とを経ることで、形成される凹凸を粗大にさせないようにして品質の低下を防止し、寸法精度と内部性状に優れた高品位な金属積層造形物を得ることができる。このようなビード21を切削して平坦な切削面22を得る切削加工は層間切削と呼ばれる。なお、同図ではビード21をワークWの平面上に形成したが、ワークWの表面は平面とは限らず、曲面など他の形状であってもよい。また、切削面22も平滑な面であればよく、曲面でもよい。保持台41によってワークWの角度を変えながらビード21の形成や切削加工を行うことができ、多種の形状とし得る。
上記した層間の切削加工を行うにあたって、一般には、切削中に切削工具とワークとの間の潤滑及び過熱防止のために切削油によるクーラントを用いたウェット加工を行う。クーラントを用いる場合、積層させたビードを切削前に十分に徐冷して切削加工中のクーラントによる急冷での割れを防止する必要がある。つまり、クーラントを用いる層間の切削加工では多大な時間を必要とする。
そこで、本実施例においては、クーラントを用いないドライ切削によって層間の切削加工を行う。そのため、切削工具35として例えばセラミックス工具やCBN(Cubic Boron Nitride)工具などの高温での機械強度に優れる材料による工具を用いる。これによって、クーラントを用いずに比較的高温でドライ切削を行うことができる。そのため、層間の切削加工の前に徐冷を必要とせず、大幅な作業時間の短縮となる。さらに、比較的硬度の高い金属材料を用いて形成されたビードであっても、かかるビードは高温で軟化された状態で切削されるため、切削工具の負荷を増大させる方向に切削条件を調整することができ、結果として切削に要する時間も短縮される。なお、ドライ切削は一般に切削油を用いない場合を指すが、本実施例においてはビード21やその切削面22を冷却するもの、例えば、クーラントにガスを用いた乾式切削を除外する。つまり、本実施例においてドライ切削は、切削油等の液体を用いない乾式切削であり、かつその他のクーラントをも用いないことを意味する。
一方で、このようなビードの積層については、アーク放電による加熱とビード形成後の外気への放熱等による冷却とによって熱応力を生じ、割れを発生させることがある。そのため、形成するビードの下層を割れの生じない温度範囲から設定した予熱下限温度以上の温度に加熱した上でビードの形成を開始するようにして、熱応力の発生を抑制し割れの発生を防止する必要がある。このような場合、一般には外部加熱装置などによってワークとともに積層されたビードを加熱して予熱下限温度以上の温度を確保して次のビードの積層を行うことになる。特にクーラントを用いる切削加工を行った場合には加熱が必須となる。また、金属粉末を溶融してビードを積層させる場合においては、ビードの形成に時間を要して放熱を進行させてしまうため、積層造形している間や層間切削している間に予熱下限温度以上の温度を維持するための加熱を必要とする。
ここで、本実施例においては、形成したビード21上の切削面22の温度をかかる予熱下限温度以下に低下させるまでに切削加工を完了させて、更に次のビードの形成による積層を開始可能な切削条件で切削加工を行う。具体的には、上記したように積層では金属ワイヤをアーク放電で溶融させるワイヤーアーク方式によってビードを形成させ、なおかつ、層間切削においてはクーラントを用いないドライ切削を行うことで、このような切削加工が可能となる。つまり、ワイヤーアーク方式を採用することでビードを形成する時間を減じて温度低下を防止し、さらに、クーラントを用いないことで切削加工中に高温を維持するのである。
これによって、次のビードの形成開始時に切削面22では予熱下限温度よりも高い温度を維持でき、加熱をせずともビード形成に必要とされる予熱下限温度以上の温度を確保できる。つまり、層間切削の後であっても外部加熱装置や内部に組み込んだ加熱装置を用いる必要がない。
ところで、実際にビードを形成させて自然放冷したときの温度と時間をあらかじめ求めておけば、層間切削に費やすことのできる時間を定めることができる。詳細には、形成したビードの温度が予熱下限温度以下に低下する時間を測定する。そして、かかる時間内に切削加工を完了させ、さらに次の積層を開始できるようにドライ切削に費やすことのできる時間を定める。その上で、かかる時間に切削加工を完了できるようにドライ切削の詳細な条件を選定するのである。
そして、図4(c)に示す様に、ビード21の形成を開始する。このとき上記したように切削面の温度が予熱下限温度以上となるようにされる。そのため、ここで形成を開始したビード21の積層において割れの発生を防止できる。なお、かかるドライ切削における切削条件としては、切り込み量、切削速度(切削工具35の回転数)、送り速度、切削パス、切削量のうち、少なくともいずれか1つを含む。
このような製造方法によれば、外部加熱装置や内部の加熱装置を不要とし割れを生じることなくビード形成による積層とドライ切削による切削加工を行うことができる。加熱装置による加熱や、割れ防止のための徐冷を必要とせず、短時間での製造が可能となる。そのため、高品位な金属積層造形物を製造効率よく得られるのである。
また、本実施例においては、クーラントを用いないドライ切削を行うため、切削加工に伴う切削熱によりビード21の切削加工中の温度低下は緩慢になり、高温を比較的長時間維持できる。また、切削条件を調整することでも切削熱の発生と層間切削に必要とする時間とを操作でき、これによっても高温の維持に寄与することができる。例えば、切り込み量を小さくして送り速度を大きくすることで、切削熱を大きくでき、加えて加工時間も短くできる。また、切削加工のパスは断続的な切削を行う一方向パスとはせずに、連続的な切削を続けられるスパイラルパスとなるようにすることも切削熱の発生を持続させ得て好ましい。
また、ビードの形成後において、ビードの温度は少なくとも予熱下限温度を超えていなければならない。つまり、そのようなビードの形成にかかる時間や積層パスを選定する必要がある。特に、同切削面の全域の温度を所定温度幅内で一定とするように、積層パスを定めることも好ましい。例えば、ビードの形成後に温度低下の速い外周側を最後に形成するような積層パスにすると形成されるビード全体として高温を維持しやすく、切削面の温度を所定温度幅内とすることが比較的容易である。
ビード形成開始時に必要とされる予熱下限温度以上の温度は、主にビードを形成するための金属ワイヤの材料によって定められるが、多くの材料において100℃~300℃の範囲内で定めることが好ましい。例えば、SUS630の場合、ビード形成開始時の温度を100℃未満とすると低温割れを発生させる可能性が高まり、300℃超とすると溶け落ちを発生させる可能性が高まる。そこで、SUS630の場合、上記した所定温度は100℃~300℃の範囲内で定めると良い。また、例えば、SKD61の場合、150℃未満で割れや剥離の発生する可能性が高くなる。そこで、SKD61の場合、上記した所定温度は150℃以上の範囲内で定める。
なお、上記したように予熱において温度が高すぎると溶け落ちの可能性も生じる。そこで、溶け落ちが生じないような範囲で予熱上限温度を設定することが好ましい。積層の開始前にその下層となるビードの温度を測定し、かかる温度が予熱上限温度を超えるような場合は、待機して放熱させることで予熱上限温度以下に温度を低下させ、これを待って積層を開始するのである。さらに、層間切削を行った後、切削面の温度を測定してもよい。そして、かかる温度が予熱上限温度を超えるような場合は、同様に、待機して放熱させることで予熱上限温度以下に温度を低下させ、これを待って切削面に対する積層を開始するのである。
また、積層したビードの上面の温度を測定することも好ましい。かかる温度から層間切削を行って切削面を得てからかかる切削面の温度が設定した予熱上限温度以下に低下するまでの時間を予測し、この時間を短くするように切削条件を調整することができる。例えば、切削後に予熱上限温度以下に低下するまでの時間が長ければ層間切削に費やす時間を長くしても効率を低下させないばかりか、切削工具にかかる負担を減じるように切削条件を調整できる。
なお、図5に示すように、治具42は、母材としてのワークWを爪状のチャック部42aにて保持できる爪状治具とすることも好ましい。すなわち、ワークWを保持するにあたり、比較的小さい面積でワークWに当接するようにすることで、治具42からの抜熱を抑制し、保持台41を介して複合加工装置10への熱伝導を可及的に小さくし、ワークWの温度を高く維持するのである。チャック部42aの材料を熱伝導率の比較的小さいものとすることも好ましい。
上記した金属積層造形物の製造方法は、複合加工装置10に所定の製造加工プログラムを実行させることで実現可能である。
例えば、図6に示すように、ビードを3層形成させる毎に層間の切削加工を行う場合に以下のような製造加工プログラムを用い得る。
まず、母材であるワークWを予熱する(R1)。母材上への1層目の積層前においては例外的に予熱下限温度を得るための加熱を必要とする。そこで、複合加工装置10に取り付けた母材をガスバーナーで加熱する、機外の電気炉等で加熱したワークWを複合加工装置10に取り付ける、などによって予熱下限温度以上の温度を得るようにする。これについては、複合加工装置10の装備にもよるので、プログラムの処理によって実行してもよいし、プログラムの処理とは別に、作業者によるマニュアル処理としてもよい。
次いで、変数n及び変数iにそれぞれ0を格納する(R2)。ここで変数nは最終的にビードの積層の終了を判定するために積層されたビードの総積層数をカウントするためのものである。一方、変数iは、層間の切削加工を行うまでに積層されるビードの層数をカウントするためのものである。
次に、低温判定ルーチン(R3)にて所定の部位の温度を測定し、100℃以上であるかを判定する。ここでは、温度測定装置45でビード形成範囲全域またはそのうちの一部の温度を測定し、ビードを形成した際に低温割れを防止できる温度以上であることを確認する。また、後述する層間の切削加工を行った場合は、その切削加工により形成された切削面またはそのうちの一部の温度を測定し、ビードを形成した際に低温割れを防止できる温度以上であることを確認する。つまり、ここでは予熱下限温度として100℃を設定した。測定した温度が100℃未満であった場合(R3:No)、異常と判定し、アラームを発して複合加工装置10の動作を停止させ、プログラムを終了する(R4)。それ以外の場合、つまり、100℃以上であった場合(R3:Yes)、R5の判定へ進む。
次に、所定の部位の温度を測定し、300℃以下か判定する(R5、高温判定ルーチン)。ここでは、温度測定装置45でビード形成範囲全域またはそのうちの一部の温度を測定し、ビードを形成しても溶け落ちの発生しない温度であることを確認する。また、後述する層間の切削加工を行った場合は、その切削加工により形成された切削面またはそのうちの一部の温度を測定し、ビードを形成しても溶け落ちの発生しない温度であることを確認する。つまり、ここでは予熱上限温度として300℃を設定した。測定した温度が300℃以下でなかった場合(R5:No)、待機(R6)して300℃以下になるまで繰り返す。なお、高温のときほど長く待機するようにしてもよい。
300℃以下になったら(R5:Yes)、ビードの形成を行う(R7、積層ルーチン)。ここでは予め定めたパスでワークW上や下層のビードの表面に沿って移動させながら金属ワイヤを溶融させてビードを形成させるように、トーチ36とワークWを保持する保持台41とを動作させるようプログラムが組まれている。なお、積層ルーチンには、母材上にビードを形成させるルーチン、ビード上にさらにビードを形成させるルーチン、層間切削による切削面上にビードを形成させるルーチン(切削面積層ルーチン)の少なくとも3種類がある。
ビードを形成したら、変数n及び変数iにそれぞれ1を加算して格納し(R8)、変数iが3であるか判定する(R9)。上記したようにビードの形成による積層が3層となる毎に層間の切削加工を行うので、変数iによってこれをカウントしている。iが3に満たない場合(R9:No)、低温判定ルーチン(R3)に戻り、再度、低温判定ルーチン(R3)及び高温判定ルーチン(R5)で温度を判定する。つまり、変数iが3になるまで低温判定ルーチン(R3)及び高温判定ルーチン(R5)を経た上で積層ルーチン(R7)と変数n及び変数iへの1の加算(R8)を繰り返す。
一方、変数iが3になった場合(R9:Yes)、変数nの値によって、ビードの形成による総積層数が所望の層数となったか確認する(R10)。変数nの値が所望の数に満たない場合(R10:No)、層間の切削加工を行う(R11、層間切削ルーチン)。そして変数iに0を代入して(R12)、低温判定ルーチン(R3)に戻る。つまり、積層ルーチンを複数回(ここでは3回)繰り返す毎に、層間切削ルーチン(R11)を実行する。
上記したように、層間の切削加工では切削面の温度が100℃以下になるまでの間に切削加工を完了しさらに切削面への積層を開始できるように切削条件を定めている。特に、上記したようにドライ切削とするので、クーラントの供給はOFFとされる。実際には、ビードの形成後に例えば900~450℃程度の高温であり、これを維持または緩慢に温度低下させ、切削加工後に例えば450~300℃程度の高温を維持することができる。なお、上記したように低温判定ルーチン(R3)にて100℃未満の異常を検知した場合には、アラームを発して停止することとし、ビード形成を行う積層ルーチン(R7)には進まないようにした。
一方、変数nによりカウントされるビードの総積層数が所望の層数になった場合(R10:Yes)、ワークWを自然放熱などにより割れを生じないように徐冷して(R13)、金属積層造形物を得る。なお、徐冷する前に仕上げの切削加工をドライ切削によって行ってもよい。この場合は、層間の切削加工とは異なり、切削面を冷却してしまっても構わないため、高温を維持できなくともよく、表面粗さ等の仕上加工として必要とされる品質を得るための切削条件とされる。一方で切削熱の寄与によって結果として仕上げの切削加工中に徐冷を同時進行させ得て好適である。なお、仕上げの切削加工は徐冷後にクーラントを用いて行ってもよい。
温度測定装置45を光学計測によるものとした場合、光学部品の保護のため、アーク放電中を避けて温度測定を行うことが好ましい。例えば、積層造形におけるアーク放電中は光学部品を開閉シャッタなどで覆うようにすれば、光学部品がアーク放電により影響を受けることを避けられる。また、切削加工中においても、光学部品を開閉シャッタなどで覆うようにすれば、切削加工中に生じる切屑から光学部品を保護できる。なお、ビード形成(R7)後の低温判定ルーチン(R3)及び高温判定ルーチン(R5)においても温度測定を行うので、この場合、ビード21の積層後にトーチ36を含むアーク装置34積層したビード21の近傍から一旦待避させることが好ましい。例えば、アーク装置34の待避後に温度測定装置45による温度測定を開始するようにしてもよい。
また、図7に示すように、測定した温度に基づき、層間切削の条件を自動調整するようにしてもよい。詳細には、層間の切削加工(R11-3)の前に、温度測定装置45によってビードの上面の温度測定を行い(R11-1)、この温度測定の結果に基づいてドライ切削の切削条件を調整する処理(R11-2)を行うのである。例えば、まず、測定した温度から、切削面を形成した後の予熱上限温度以下に低下するまでの時間を予測する。つまり、切削加工後の待機(R6)(及びその繰り返し)による待機時間を予測する。高温であった場合には、この待機時間が長くなるから、切削速度や送り速度を小さくして工具に負担のかからないようにしつつ、待機(R6)となる時間を減じるようにし得る。換言すれば、この待機時間を減じるように切削条件を調整することで、製造効率を低下させずに切削工具にかかる負担を減じ得る。ドライ切削であるから、上記と同様にクーラントはOFFとされ、その上で切削速度、送り速度、切り込み量、切削パス、切削量などを調整し得る。なお、その他の処理については前述したものと同様なので説明を省略する。
以上、本発明による代表的な実施例及びこれに伴う変形例について述べたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、適宜、当業者によって変更され得る。すなわち、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
10 複合加工装置
21 ビード
22 切削面
33 切削加工装置
34 アーク装置
35 切削工具
36 トーチ
45 温度測定装置
R7 積層ルーチン
R11 層間切削ルーチン
W ワーク
21 ビード
22 切削面
33 切削加工装置
34 アーク装置
35 切削工具
36 トーチ
45 温度測定装置
R7 積層ルーチン
R11 層間切削ルーチン
W ワーク
Claims (12)
- 予熱した母材にビードを形成する工程と、
形成した前記ビードの上面に、さらに前記ビードを形成して積層する工程と、
積層した前記ビードの上面を切削して切削面を形成する層間切削工程と、
前記切削面に前記ビードを形成する切削面積層工程と、を含み、
前記ビードは、金属ワイヤをアーク放電により溶融して形成され、
前記層間切削工程において、前記切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでに前記切削面への前記ビードの形成を開始可能な切削条件でドライ切削し、
前記切削面積層工程において、前記切削面の温度が前記予熱下限温度以下に低下するまでに、前記切削面への前記ビードの形成を開始する、金属積層造形物の製造方法。 - 前記ビードの形成後に前記ビードの温度が前記予熱下限温度に低下するまでの時間をあらかじめ求めておき、前記予熱下限温度に低下するまでの時間内に前記切削を完了させ更に前記切削面への前記ビードの積層を開始させる、請求項1記載の金属積層造形物の製造方法。
- 前記切削面の温度を測定する工程を含み、
前記切削面積層工程において、前記切削面の温度が予熱上限温度以下に低下するまで前記ビードの形成を開始せず待機する、請求項1又は2に記載の金属積層造形物の製造方法。 - 積層した前記ビードの上面の温度を測定する工程を含み、
前記層間切削工程において、前記切削面を形成した後の前記予熱上限温度以下に低下するまでの待機時間を前記ビードの上面の温度から予測し、前記待機時間を減少させるように前記切削条件を調整する、請求項3記載の金属積層造形物の製造方法。 - 前記切削条件は、切り込み量、切削速度、送り速度、切削パス、及び切削量のうちの少なくとも1つ以上を含む、請求項1乃至4のうちの1つに記載の金属積層造形物の製造方法。
- 前記ドライ切削は、切削工具としてセラミックス工具又はCBN工具を用いる、請求項1乃至5のうちの1つに記載の金属積層造形物の製造方法。
- 前記母材からの抜熱を抑制するように前記母材を爪状治具で保持する、請求項1乃至6のうちの1つに記載の金属積層造形物の製造方法。
- 予熱した母材にビードを形成させるルーチンと、
形成した前記ビードの上面に、さらに前記ビードを形成して積層させるルーチンと、
積層した前記ビードの上面を切削して切削面を形成させる層間切削ルーチンと、
前記切削面に前記ビードを形成させる切削面積層ルーチンと、を含み、
前記ビードは金属ワイヤをアーク放電により溶融して形成されるよう処理され、
前記層間切削ルーチンは、前記切削面の温度が予熱下限温度以下に低下するまでに前記切削面への前記ビードの形成を開始可能な切削条件でドライ切削させるルーチンであり、
前記切削面積層ルーチンは、前記切削面の温度が前記予熱下限温度以下に低下するまでに、前記切削面への前記ビードの形成を開始させるルーチンである、金属積層造形物の製造加工プログラム。 - 前記ビードの形成後に前記ビードの温度が前記予熱下限温度に低下するまでの時間をあらかじめ求めておき、前記予熱下限温度に低下するまでの時間内に前記切削を完了させ更に前記切削面への前記ビードの積層を開始させる処理を含む、請求項8記載の金属積層造形物の製造加工プログラム。
- 前記切削面の温度を測定するルーチンを含み、
前記切削面積層ルーチンにおいて、前記切削面の温度が予熱上限温度以下に低下するまで前記ビードの形成を開始せず待機させる処理を含む、請求項8又は9に記載の金属積層造形物の製造加工プログラム。 - 積層した前記ビードの上面の温度を測定するルーチンを含み、
前記層間切削ルーチンにおいて、前記切削面を形成した後の前記予熱上限温度以下に低下するまでの待機時間を前記ビードの上面の温度から予測し、前記待機時間を減少させるように前記切削条件を調整する処理を含む、請求項10記載の金属積層造形物の製造加工プログラム。 - 前記切削条件は、切り込み量、切削速度、送り速度、切削パス、及び切削量のうちの少なくとも1つ以上を含む、請求項8乃至11のうちの1つに記載の金属積層造形物の製造加工プログラム。
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