(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図10を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、第1の実施形態に係るシート11を概略的に示す例示的な側面図である。シート11は、四輪自動車のような車両1に搭載される。シート11に、例えば、スライドレール12とシートリフタ13とが設けられる。
スライドレール12は、シート11を車両1の前後方向にスライド可能とする。スライドレール12は、例えば、一対のアッパレール21と、一対のロアレール22とを有する。ロアレール22は、車両1のフロア1aに取り付けられる。アッパレール21は、車両1の前後方向にスライド可能に、ロアレール22に取り付けられる。
シートリフタ13は、シート11を車両1の上下方向に昇降可能とする。シートリフタ13は、例えば、一対のベースプレート24と、一対のアーム25と、一対のフロントリンク26と、一対のリアリンク27と、ロッド28と、駆動装置29と、を有する。駆動装置29は、例えば、ギアボックスモータと称され得る。
ベースプレート24は、アッパレール21に取り付けられる。アーム25は、フロントリンク26及びリアリンク27を介して、車両1の上下方向に昇降可能に、ベースプレート24に取り付けられる。
フロントリンク26の一方の端部は、例えばピンによって回転可能に、ベースプレート24の前端部に取り付けられる。フロントリンク26の他方の端部は、例えばピンによって回転可能に、アーム25の前端部に取り付けられる。
リアリンク27の一方の端部は、例えばピンによって回転可能に、ベースプレート24の後端部に取り付けられる。リアリンク27の他方の端部は、例えばロッド28によって回転可能に、アーム25の後端部に取り付けられる。一対のアーム25は、ロッド28によって互いに連結される。
シートリフタ13は、ベースプレート24と、アーム25と、フロントリンク26と、リアリンク27とで、四節回転機構を形成する。フロントリンク26又はリアリンク27を回転させることで、アーム25は、ベースプレート24に対して昇降する。
リアリンク27に、ギヤ部27aが設けられる。ギヤ部27aは、ロッド28を中心として略円弧状に並べられた複数の歯を有する。駆動装置29は、ギヤ部27aが設けられたリアリンク27とともに、アーム25に取り付けられる。駆動装置29は、ピニオン29aを有する。ピニオン29aは、リアリンク27のギヤ部27aに嵌合する。
駆動装置29が駆動されると、ピニオン29aが回転する。ギヤ部27aと噛み合うピニオン29aは、リアリンク27を回転させる。これにより、アーム25は、ベースプレート24に対して昇降する。
図2は、第1の実施形態の駆動装置29を概略的に示す例示的な側面図である。図3は、第1の実施形態の駆動装置29を概略的に示す例示的な正面図である。図4は、第1の実施形態の駆動装置29を、図2のF4-F4線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。図5は、第1の実施形態の駆動装置29を分解して概略的に示す例示的な斜視図である。
図2に示すように、駆動装置29は、モータ31と、減速装置32とを有する。モータ31は、例えば、駆動機構と称され得る。駆動装置29は、モータ31の回転を減速装置32によって減速し、ピニオン29aを回転する。
図5に示すように、モータ31は、ケース31aと、ケース31aに収容された構成部品とを有する。構成部品には、例えば、モータシャフト、ステータ、ロータ、コイル、及び磁石が含まれる。モータ31は、電力によって駆動され、回転軸Ax1まわりにモータシャフトを回転させる。
減速装置32は、いわゆるタウメル機構であり、回転伝達機構35と、ハウジング36と、カバー37と、座金38とを有する。回転伝達機構35は、例えば、減速部と称され得る。カバー37は、例えば、キャップと称され得る。
回転伝達機構35は、ハウジング36に収容される。回転伝達機構35は、第1の減速部41と、第2の減速部42と、出力軸43とを有する。モータ31の駆動力は、第1の減速部41を介して第2の減速部42に伝達され、さらに第2の減速部42から出力軸43に伝達される。
出力軸43は、回転軸Ax2まわりに回転可能に、ハウジング36及びカバー37に支持される。回転軸Ax2は、回転軸Ax1の軸方向と交差する方向に延びる、出力軸43の中心軸である。回転軸Ax2は、回転軸又は第1の回転軸と称され得る。
以下の説明において、軸方向は、回転軸Ax1及び回転軸Ax2のような回転軸に沿う方向であると定義される。さらに、径方向は回転軸と直交する方向であり、周方向は回転軸まわりに回転する方向であると定義される。
出力軸43に、駆動装置29のピニオン29aが設けられる。ピニオン29aは、ハウジング36の外部に突出する。ピニオン29aは、出力軸43と一体に、回転軸Ax2まわりに回転可能である。
第1の減速部41は、ウォーム51と、ウォームホイール52とを有する。ウォームホイール52は、従動ギヤと称され得る。ウォーム51は、モータ31のモータシャフトに結合され、モータシャフトと一体に回転軸Ax1まわりに回転する。
図4に示すように、ウォームホイール52は、回転軸Ax2まわりに回転可能に、ハウジング36及び出力軸43に支持される。ウォームホイール52は、回転軸Ax2を中心とする略円盤状に形成され、第1の端面52aと、第2の端面52bと、複数の歯52cと、支持突起52dとを有する。第1の端面52aは、回転軸Ax2の軸方向の一方側(図4における上方向)に向く。第2の端面52bは、第1の端面52aの反対側に位置する。第2の端面52bは、回転軸Ax2の軸方向の他方側(図4における下方向)に向き、ハウジング36に支持される。複数の歯52cは、回転軸Ax2の周方向に略等間隔に並べられ、ウォーム51と噛み合う。支持突起52dは、第2の端面52bから突出し、回転軸Ax2の周方向に延びる。
第1の減速部41において、モータ31の駆動力によってウォーム51が回転軸Ax1まわりに回転すると、ウォームホイール52が回転軸Ax2まわりに回転する。すなわち、ウォームホイール52は、モータ31の駆動力によって回転軸Ax2まわりに回転させられる。第1の減速部41は、モータ31のモータシャフトに対して減速してウォームホイール52を回転させる。
第2の減速部42は、偏心軸61と、外歯ギヤ62と、ブッシュ63と、ストッパプレート64と、内歯ギヤ65と、を有する。外歯ギヤ62は、第1のギヤ又はギヤと称され得る。ストッパプレート64は、制限部材と称され得る。内歯ギヤ65は、第2のギヤ又はギヤと称され得る。なお、本実施形態において、偏心軸61はウォームホイール52と一体の部品であり、内歯ギヤ65は出力軸43と一体の部品である。
偏心軸61は、ウォームホイール52の第1の端面52aから、回転軸Ax3に沿って突出する。回転軸Ax3は、第2の回転軸と称され得る。回転軸Ax3は、回転軸Ax2と平行であり、回転軸Ax2と異なる位置にある。すなわち、偏心軸61の中心である回転軸Ax3は、ウォームホイール52の中心である回転軸Ax2から偏心している。
偏心軸61は、外周面61aを有する。外周面61aは、回転軸Ax3を中心とする略円筒形の外面であり、回転軸Ax3の径方向における外側に向く。さらに、偏心軸61に、挿通孔61bが設けられる。挿通孔61bは、回転軸Ax2に沿って延びる。外周面61aの中心である回転軸Ax3は、挿通孔61bの中心である回転軸Ax2から偏心している。出力軸43は、挿通孔61bに挿通されることで、回転可能に偏心軸61に支持される。出力軸43と、ウォームホイール52及び偏心軸61とは、互いに相対的に回転可能である。
外周面61aは、第1の部分61aaと、第2の部分61abとを有する。第1の部分61aaと第2の部分61abとは、回転軸Ax3の軸方向に並べられる。第1の部分61aaの表面粗さは、例えば切削又は研削により、第2の部分61abの表面粗さよりも低くされる。
偏心軸61は、ウォームホイール52と一体に回転可能である。回転軸Ax2まわりに回転するウォームホイール52によって、偏心軸61の少なくとも外周面61aを有する部分は、回転軸Ax2の周方向に移動させられる。言い換えると、偏心軸61は、回転軸Ax2の周りを公転する。偏心軸61とともに、回転軸Ax3も回転軸Ax2の周方向に移動(公転)する。
外歯ギヤ62は、回転軸Ax3を中心とする板状に形成される。外歯ギヤ62に、回転軸Ax3に沿って延びる挿通孔62aが設けられる。偏心軸61は、外歯ギヤ62に対して回転軸Ax3まわりに相対的に回転可能に、挿通孔62aに挿通される。
回転するウォームホイール52及び公転する偏心軸61によって、外歯ギヤ62は、回転軸Ax2と回転軸Ax3との間の距離を半径とする円軌跡を描きながら、回転軸Ax2の周方向に移動させられる。言い換えると、外歯ギヤ62は、回転軸Ax2の周りを公転する。
外歯ギヤ62は、第1の平面62bと、第2の平面62cと、凹面62dと、凸面62eと、複数の外歯62fと、フランジ62gと、図5に示す二つのガイド突起62hと、内周面62iとを有する。第1の平面62bは、第4の面と称され得る。第2の平面62cは、第5の面と称され得る。凹面62dは、第1の面と称され得る。凸面62eは、第2の面と称され得る。外歯62fは、第1の歯と称され得る。
第1の平面62bは、回転軸Ax3の軸方向の一方側に向く略平坦な円環状の面である。第2の平面62cは、第1の平面62bの反対側に位置し、回転軸Ax3の軸方向の他方側に向く略平坦な円環状の面である。
凹面62dは、第1の平面62bから窪み、第1の平面62bよりも第2の平面62cに近い略平坦な面である。凹面62dは、回転軸Ax3の軸方向の一方側に向き、回転軸Ax3の径方向において第1の平面62bの内側に位置する。挿通孔62aの一方の端が、凹面62dで開く。
凸面62eは、第2の平面62cから突出し、第2の平面62cよりも第1の平面62bから遠い略平坦な面である。凸面62eは、凹面62dの反対側に位置し、回転軸Ax3の軸方向の他方側に向く。凸面62eは、回転軸Ax3の径方向において第2の平面62cの内側に位置する。挿通孔62aの他方の端が、凸面62eで開く。第2の平面62c及び凸面62eは、間隔を介してウォームホイール52に向く。
外歯62fは、回転軸Ax3の径方向において第1の平面62bの外側に位置する。外歯62fは、回転軸Ax3の径方向の外側に突出するとともに、回転軸Ax3の周方向に略等間隔に並べられる。
フランジ62gは、第2の平面62cを囲む略環状の部分である。フランジ62gは、第2の平面62cから回転軸Ax3の軸方向の他方側に突出するように、第2の平面62cに接続される。
図5に示すように、ガイド突起62hは、フランジ62gから回転軸Ax3の軸方向の他方側に突出する。二つのガイド突起62hは、第1の方向D1に互いに離間する。第1の方向D1は、回転軸Ax2(回転軸Ax3)の軸方向と直交する方向である。挿通孔62a、第2の平面62c、及び凸面62eは、第1の方向D1において、二つのガイド突起62hの間に位置する。
第1の平面62b、第2の平面62c、凹面62d、凸面62e、外歯62f、フランジ62g、及びガイド突起62hは、例えば、半抜き加工(エンボス加工、ハーフパンチ加工、ハーフシャー加工)によって形成される。このため、図4に示すように、第1の平面62bと第2の平面62cとの間の距離(厚さ)は、凹面62dと凸面62eとの間の距離(厚さ)に等しく、且つフランジ62gの厚さに等しい。なお、外歯ギヤ62の加工法及び厚さは、この例に限られない。
内周面62iは、挿通孔62aを形成する。言い換えると、内周面62iは、挿通孔62aの縁である。内周面62iは、ブッシュ63を介して偏心軸61の外周面61aに向く。
ブッシュ63は、例えば、合成樹脂によって作られる。なお、ブッシュ63は、他の材料によって作られても良い。ブッシュ63は、筒部63aと、第1の鍔部63bと、第2の鍔部63cとを有する。なお、ブッシュ63は、第1の鍔部63b及び第2の鍔部63cのうち一方が省略されても良い。
筒部63aは、略円筒状に形成され、外歯ギヤ62の挿通孔62aに圧入される。筒部63aは、外歯ギヤ62の内周面62iに接触し、内周面62iと偏心軸61の外周面61aとの間に介在する。筒部63aは、外周面61aの第1の部分61aaに接触する。筒部63aと第1の部分61aaとの接触部分における摩擦係数は、筒部63aと第2の部分61abとが接触した場合の摩擦係数よりも低い。外周面61aの第2の部分61abは、ブッシュ63から回転軸Ax3の軸方向に離間する。
第1の鍔部63bは、回転軸Ax3の径方向における外側に筒部63aから突出し、略円環状に形成される。第1の鍔部63bは、外歯ギヤ62の凹面62dに接触する。第1の鍔部63bの外径は、凹面62dの外径よりも小さい。
第2の鍔部63cは、回転軸Ax3の径方向における外側に筒部63aから突出し、略円環状に形成される。第2の鍔部63cは、外歯ギヤ62の凸面62eに接触する。外歯ギヤ62の一部は、第1の鍔部63bと第2の鍔部63cとの間に保持される。このため、外歯ギヤ62とブッシュ63とは、回転軸Ax3の軸方向に相対的に移動することを制限される。
本実施形態のブッシュ63において、第1の鍔部63bは、予め形成される。第2の鍔部63cは、例えば、筒部63aに外歯ギヤ62が圧入された後、加締めにより形成される。なお、第1の鍔部63bが加締めにより形成されても良い。
ストッパプレート64は、回転軸Ax2(回転軸Ax3)の軸方向において、ウォームホイール52と外歯ギヤ62との間に位置する。ストッパプレート64は、ハウジング36に支持されるとともに、外歯ギヤ62を支持する。
ストッパプレート64は、例えば、金属によって作られる。なお、ストッパプレート64は、他の材料によって作られても良い。ストッパプレート64は、例えば、プレス加工により成型される。このため、ストッパプレート64は、ダレ面64aと、バリ面64bとを有する。ダレ面64aは、第1の表面と称され得る。バリ面64bは、第2の表面と称され得る。
ダレ面64aは、回転軸Ax2の軸方向の一方側に向く略平坦な面である。ダレ面64aは、外歯ギヤ62に向き、外歯ギヤ62のフランジ62gを支持する。バリ面64bは、ダレ面64aの反対側にあり、回転軸Ax2の軸方向の他方側に向く略平坦な面である。バリ面64bの一部は、ハウジング36に向き、ハウジング36に支持される。バリ面64bの他の一部は、間隔を介してウォームホイール52に向く。
図6は、第1の実施形態のハウジング36の一部及びストッパプレート64の一部を図4のF6-F6線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。図6に示すように、ストッパプレート64は、垂下縁部64cと、突出縁部64dとを有する。
垂下縁部64cは、いわゆるダレ(shear drop)であり、ダレ面64aの縁からバリ面64bに向かって垂れ下がった(凹んだ)部分である。突出縁部64dは、いわゆるバリ(burr)であり、バリ面64bの縁から回転軸Ax2の軸方向の他方側に突出した部分である。回転軸Ax2の軸方向の他方側は、ダレ面64aから遠ざかる方向である。なお、垂下縁部64c及び突出縁部64dは、プレス加工とは異なる方法により形成されても良い。
図7は、第1の実施形態のハウジング36及びストッパプレート64を示す側面図である。図7に示すように、ストッパプレート64は、第1のガイド71と、二つの第2のガイド72とを有する。
第1のガイド71及び第2のガイド72は、第2の方向D2に並べられる。第2の方向D2は、回転軸Ax2(回転軸Ax3)の軸方向と直交し且つ第1の方向D1と異なる方向である。本実施形態において、第2の方向D2は、第1の方向D1と直交する方向である。第1のガイド71及び第2のガイド72はそれぞれ、ダレ面64a及びバリ面64bを有する。
第1のガイド71は、回転対称且つ鏡像対称な形状に形成される。なお、第1のガイド71の形状は、この例に限られない。第1のガイド71に、挿通孔71aと、二つのガイド溝71bとが設けられる。挿通孔71a及びガイド溝71bはそれぞれ、回転軸Ax2の軸方向に延び、第1のガイド71のダレ面64a及びバリ面64bに開く。
挿通孔71aは、第1のガイド71の略中央に位置する。図4に示すように、偏心軸61は、挿通孔71aに挿通される。挿通孔71aの直径は、偏心軸61の外周面61aの直径よりも大きい。偏心軸61は、回転軸Ax2の周方向に移動しても、ストッパプレート64から離間している。
図7に示すように、二つのガイド溝71bは、第1の方向D1に互いに離間する。本実施形態において、ガイド溝71bは、第1の方向D1における第1のガイド71の端部に開く切欠きである。なお、ガイド溝71bはこの例に限らない。挿通孔71aは、第1の方向D1において、二つのガイド溝71bの間に位置する。
外歯ギヤ62のガイド突起62hが、対応するガイド溝71bに嵌め込まれる。ガイド突起62hは、第1のガイド71により、ガイド溝71bに沿って第1の方向D1に移動可能に支持される。これにより、第1のガイド71は、第1の方向D1における外歯ギヤ62の移動を許容するとともに、ストッパプレート64と外歯ギヤ62との回転軸Ax3まわりの相対的な回転を制限する。なお、第1のガイド71は、他の手段により、第1の方向D1に外歯ギヤ62が移動可能にストッパプレート64と外歯ギヤ62との相対的な回転を制限しても良い。
二つの第2のガイド72は、第1のガイド71から、第2の方向D2の一方側及び他方側に突出する。言い換えると、二つの第2のガイド72は、第1のガイド71から互いに逆方向に突出する。
以下、第2のガイド72のうち、一方を第2のガイド72Aと称し、他方を第2のガイド72Bと称することがある。なお、第2のガイド72A,72Bに共通する説明においては、第2のガイド72A,72Bは単に第2のガイド72と称される。
回転軸Ax2(回転軸Ax3)の軸方向と直交し且つ第2の方向D2と直交する第3の方向D3において、第2のガイド72Aの中心C1が、第2のガイド72Bの中心C2と異なる位置にある。本実施形態において、第3の方向D3は、第1の方向D1と略同一の方向である。なお、第3の方向D3と第1の方向D1とが異なっても良い。
本実施形態では、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの中心C1は、ストッパプレート64の中心C3と略同一の位置にある。一方、第3の方向D3において、第2のガイド72Bの中心C2は、ストッパプレート64の中心C3と異なる位置にある。
第2のガイド72はそれぞれ、第1の側縁72aと、第2の側縁72bとを有する。第1の側縁72aは、第3の方向D3の一方側(図7における上方向)に向くとともに第2の方向D2に延びる。第2の側縁72bは、第3の方向D3の他方側(図7における下方向)に向くとともに第2の方向D2に延びる。
第2のガイド72Aの第1の側縁72aと、第2のガイド72Bの第1の側縁72aとは、同一線上に配置される。言い換えると、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの第1の側縁72aと、第2のガイド72Bの第1の側縁72aとは、略同一の位置にある。
一方、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの第2の側縁72bは、第2のガイド72Bの第2の側縁72bと異なる位置にある。このため、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの長さ(幅)と、第2のガイド72Bの長さ(幅)と、が異なる。
第2のガイド72A,72Bの位置及び幅は、上記の例に限られない。例えば、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの中心C1と第2のガイド72Bの中心C2とが共に、ストッパプレート64の中心C3と異なる位置にあっても良い。
第2のガイド72は、ハウジング36により、第2の方向D2に移動可能に支持される。これにより、ストッパプレート64は、ハウジング36に対する中心C3まわりの相対的な回転を制限される。
以上により、ストッパプレート64は、外歯ギヤ62の回転軸Ax3まわりの回転(自転)を制限する。このため、外歯ギヤ62は、自転を制限されながら、回転軸Ax2の周方向に平行移動(公転)する。
図4に示すように、内歯ギヤ65は、回転軸Ax2を中心とする板状に形成される。出力軸43は、内歯ギヤ65と回転軸Ax2まわりに一体に回転可能である。
内歯ギヤ65は、平面65bと、フランジ65cと、複数の内歯65dとを有する。平面65bは、第3の面と称され得る。内歯65dは、第2の歯と称され得る。
平面65bは、回転軸Ax2の軸方向の他方側に向く略平坦な面である。平面65bは、隙間を介して外歯ギヤ62の第1の平面62bに向く。なお、平面65bは、第1の平面62bに接触しても良い。
平面65bと外歯ギヤ62の第1の平面62bとの間の距離は、平面65bと凹面62dとの間の距離よりも短い。すなわち、第1の平面62bは、凹面62dよりも平面65bに近い。また、平面65bと凹面62dとの間の距離は、ブッシュ63の厚さよりも長い。このため、ブッシュ63の第1の鍔部63bは、平面65bから離間する。
フランジ65cは、平面65bを囲む略環状の部分である。フランジ65cは、平面65bから回転軸Ax2の軸方向の他方側に突出するように、平面65bに接続される。フランジ65cは、外歯ギヤ62のフランジ62gに支持される。
内歯65dは、フランジ65cから回転軸Ax2の径方向の内側に突出するとともに、回転軸Ax2の周方向に略等間隔に並べられる。内歯65dの少なくとも一つが、外歯ギヤ62の外歯62fのうち少なくとも一つと噛み合う。
本実施形態において、内歯65dの数は、外歯62fの数よりも多い。例えば、内歯65dの数は、外歯62fの数より一つ又は二つ多い。内歯65dと外歯62fとは、一カ所で噛み合う。外歯ギヤ62が回転軸Ax2の周方向に移動すると、内歯65dと外歯62fとの噛み合い部が回転軸Ax2まわりに移動し、内歯ギヤ65が回転軸Ax2まわりに回転する。すなわち、内歯ギヤ65は、外歯ギヤ62によって回転軸Ax2まわりに回転させられる。
第2の減速部42において、内歯65dの数が外歯62fの数よりも多いので、内歯ギヤ65が、ウォームホイール52に対して減速して回転する。内歯ギヤ65に取り付けられた出力軸43と、出力軸43に設けられたピニオン29aとは、内歯ギヤ65と一体に回転する。外歯ギヤ62及び内歯ギヤ65は、ウォームホイール52と出力軸43との間で回転を伝達する。
ハウジング36は、例えば、合成樹脂によって作られる。なお、ハウジング36は、金属のような他の材料によって作られても良い。図5に示すように、ハウジング36は、モータ保持部81と、機構保持部82とを有する。
モータ保持部81に、取付開口84が設けられる。取付開口84は、回転軸Ax1の軸方向に開く孔である。モータ31は、取付開口84に嵌め込まれることで、モータ保持部81に取り付けられる。
機構保持部82は、モータ保持部81と一体に形成される。機構保持部82は、回転軸Ax2の軸方向の一方側に向く外面82aを有する。機構保持部82に、収容開口85が設けられる。収容開口85は、外面82aに開く有底の穴である。収容開口85は、取付開口84に連通する。回転伝達機構35及び座金38が、収容開口85に収容される。
図8は、第1の実施形態のハウジング36を概略的に示す例示的な側面図である。図8に示すように、収容開口85は、第1の収容部87と、二つの第2の収容部88とを有する。
図4に示すように、第1の収容部87に、出力軸43、ウォームホイール52、偏心軸61、外歯ギヤ62、ブッシュ63、ストッパプレート64の第1のガイド71、及び内歯ギヤ65が収容される。ハウジング36は、第1の収容部87の内面87a及び底面87bを有する。第1の収容部87の内面87aは、収容開口の内面と称され得る。第1の収容部87の底面87bは、収容開口の底面と称され得る。
第1の収容部87の内面87aは、回転軸Ax2の径方向における内側に向いて、間隔を介して回転伝達機構35に向く。第1の収容部87の底面87bは、回転軸Ax2の軸方向の一方側に向いて、間隔を介して回転伝達機構35に向く。
図8に示すように、ハウジング36は、第1の支持部91と、第2の支持部92と、複数のリブ93とをさらに有する。第1の支持部91、第2の支持部92、及びリブ93はそれぞれ、第1の収容部87の底面87bから突出する。
第1の支持部91及び第2の支持部92はそれぞれ、回転軸Ax2の周方向に延びる略円環状に形成される。第1の支持部91及び第2の支持部92はこの例に限られず、例えば、底面87bから突出して回転軸Ax2の周方向に並べられた複数の突起により形成されても良い。第1の支持部91及び第2の支持部92は、第1の収容部87の内面87aから回転軸Ax2の径方向における内側に離間する。
第1の支持部91の内径は、第2の支持部92の外径よりも大きい。このため、第2の支持部92は、第1の支持部91から回転軸Ax2の径方向における内側に離間する。第2の支持部92の内側に、出力軸43が嵌め込まれる。これにより、第2の支持部92は、回転軸Ax2まわりに回転可能に出力軸43を支持する。
リブ93は、第1の支持部91と第2の支持部92との間で、回転軸Ax2の径方向に延びる。言い換えると、リブ93は、放射状に延びる。リブ93は、第1の支持部91と第2の支持部92とに接続される。
二つの第2の収容部88は、第1の収容部87から第2の方向D2の一方側及び他方側に延びる。図7に示すように、第2の収容部88に、第2の方向D2におけるストッパプレート64の移動を許容するように、対応する第2のガイド72が収容される。ハウジング36は、第2の収容部88のそれぞれの内面88a及び底面88bを有する。
第2の収容部88の内面88aは、第2のガイド72の第1の側縁72a及び第2の側縁72bに向く。内面88aは、第2のガイド72を支持することで、ハウジング36及びストッパプレート64の相対的な回転を制限する。すなわち、第2の収容部88に、ハウジング36及びストッパプレート64の相対的な回転を制限するように、第2のガイド72が収容される。
図4に示すように、第2の収容部88の底面88bは、回転軸Ax2の軸方向の一方側に向いて、間隔を介して対応する第2のガイド72のバリ面64bに面する。底面88bは、第1の収容部87の底面87bよりも、ストッパプレート64に近い。
ハウジング36は、二つの突出部95をさらに有する。突出部95はそれぞれ、対応する第2の収容部88の底面88bから突出し、対応する第2のガイド72のバリ面64bを支持する。これにより、ストッパプレート64の突出縁部64dは、底面88bから離間する。
図8に示すように、突出部95は、第2の収容部88の内面88aから離間する。第3の方向D3において、突出部95の中心は、対応する第2の収容部88の底面88bの中心に位置する。突出部95は、第2の方向D2において対応する底面88bの両端のうち第1の収容部87に近い端に位置する。一方、突出部95は、第2の方向D2において対応する底面88bの両端のうち第1の収容部87から遠い端から離間する。突出部95は、上記のように配置されることで、突出縁部64dから離間する。
図7に示すように、ハウジング36は、係合壁101と、係合突起102と、第1の位置決め突起103と、第2の位置決め突起104とを有する。係合壁101及び係合突起102はそれぞれ、第1の係合部と称され得る。係合突起102は、突起と称され得る。係合壁101及び係合突起102は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の一方側(図7及び図8における上方向)に位置する。
係合壁101は、回転軸Ax2の周方向において、係合突起102よりも第2のガイド72Bに近い。係合突起102は、回転軸Ax2の周方向において、係合壁101よりも第2のガイド72Aに近い。
図9は、第1の実施形態のハウジング36の一部及びストッパプレート64の一部を概略的に示す例示的な側面図である。図9に示すように、係合壁101に、開口101aが設けられる。開口101aは、第1の収容部87から回転軸Ax2の径方向における外側に離間した位置で、機構保持部82の外面82aに開く有底の孔である。
係合壁101は、第1の壁101bと、第2の壁101cと、第3の壁101dと、第4の壁101eとを有する。第1の壁101bは、開口101aと第1の収容部87との間に位置する。
第2の壁101c及び第3の壁101dは、第1の壁101bから、回転軸Ax2の径方向における外側に突出する。回転軸Ax2の周方向において、第2の壁101cと第3の壁101dとの間に、開口101aが位置する。第2の壁101cは、第3の壁101dよりも、第2のガイド72Bに近い。
第4の壁101eは、第2の壁101cと第3の壁101dとに接続される。第1の壁101b、第2の壁101c、第3の壁101d、及び第4の壁101eにより、開口101aが形成される。
図8に示すように、係合突起102と、第1の位置決め突起103と、第2の位置決め突起104とはそれぞれ、略円柱状に形成され、機構保持部82の外面82aから突出する。係合突起102の直径及び断面積は、第1の位置決め突起103の直径及び断面積よりも大きく、且つ第2の位置決め突起104の直径及び断面積よりも大きい。さらに、係合突起102は、第1の位置決め突起103よりも回転軸Ax2の径方向における外側に位置する。
第1の位置決め突起103は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の一方側に位置する。第2の位置決め突起104は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の他方側(図7及び図8の下方向)に位置する。
ハウジング36に、二つの固定孔108が設けられる。固定孔108は、機構保持部82の外面82aに開く。
固定孔108は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の他方側に位置する。
第1の位置決め突起103は、回転軸Ax2の周方向において、係合壁101と係合突起102との間に位置する。このため、係合壁101は、回転軸Ax2の周方向において、第2のガイド72Bと、第1の位置決め突起103と、の間に位置する。また、係合突起102は、回転軸Ax2の周方向において、第2のガイド72Aと、第1の位置決め突起103と、の間に位置する。
図4に示すように、カバー37は、例えば、金属によって作られる。なお、カバー37は、合成樹脂のような他の材料で作られても良い。図5に示すように、カバー37は、例えば、三つのネジ111によりハウジング36に取り付けられ、収容開口85を覆う。ネジ111は、例えば、カバー37を貫通し、機構保持部82の外面82aに開く孔に挿入される。
図2に示すように、カバー37に、露出孔113と、二つの挿通孔114と、二つの位置決め孔115とが設けられる。出力軸43が露出孔113に挿通されることで、出力軸43に設けられたピニオン29aがハウジング36及びカバー37の外部に露出される。二つのボルト116が、固定孔108及び挿通孔114を通り、例えば図1のアーム25に固定される。これにより、ボルト116が、ハウジング36及びカバー37を、車両1のシート11に結合する。位置決め孔115に第1の位置決め突起103及び第2の位置決め突起104が嵌められる。これにより、ハウジング36に対してカバー37が位置決めされる。
カバー37は、結合部121と、被係合爪122と、被係合部123とを有する。被係合爪122及び被係合部123はそれぞれ、第2の係合部と称され得る。被係合爪122は、爪と称され得る。結合部121、被係合爪122、及び被係合部123は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の一方側に位置する。
結合部121は、例えば、カバー37に溶接されたボルトである。なお、結合部121はこの例に限られ、例えば、リベットや、溶接された部分のような結合のための部分であっても良い。結合部121は、回転軸Ax2の周方向において、第2のガイド72Aと係合突起102との間に位置する。結合部121は、係合突起102及び第1の位置決め突起103から離間している。結合部121と第1の位置決め突起103との間の距離は、結合部121と係合突起102との間の距離よりも長い。
結合部121は、ハウジング36から回転軸Ax2の軸方向に浮いている。言い換えると、結合部121は、ハウジング36から離間している。結合部121がハウジング36から離間することで、結合部121の配置の自由度が向上する。結合部121は、例えば図1のアーム25に固定される。これにより、カバー37の結合部121は、車両1のシート11に結合される。
減速装置32は、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側において、結合部121によりシート11に結合される。また、減速装置32は、第2のガイド72に対する第3の方向D3の他方側において、ボルト116によりシート11に結合される。すなわち、ハウジング36は、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側において、シート11に結合されていない。なお、ハウジング36はこの例に限られない。
被係合爪122は、例えば、カバー37の一部であり、曲げ加工により形成される。被係合爪122は、係合壁101の開口101aに挿入される。これにより、被係合爪122が、係合壁101に係合する。
被係合爪122は、係合壁101の第1の壁101bよりも、回転軸Ax2の径方向の外側に位置し、第1の壁101bに沿って延びる。被係合爪122は、回転軸Ax2の径方向における厚さが、回転軸Ax2の周方向における幅よりも小さい。
図9に示すように、係合壁101の第2の壁101cは、回転軸Ax2の周方向において、被係合爪122と第2のガイド72Bとの間に位置する。被係合爪122は、回転軸Ax2の周方向において、第2の壁101cと第3の壁101dとの間に位置し、第2の壁101c及び第3の壁101dに面する。
第4の壁101eは、被係合爪122よりも、回転軸Ax2の径方向の外側に位置する。回転軸Ax2の径方向において、被係合爪122は、第1の壁101bと第4の壁101eとの間に位置する。
被係合爪122は、係合壁101と係合して、係合壁101が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する。以下に、係合壁101及び被係合爪122の係合について詳しく例示する。
例えば、車両1の前方において衝突が発生し、衝撃によってシート11に荷重が作用することがある。このとき、リアリンク27、ピニオン29a、出力軸43、内歯ギヤ65、及び外歯ギヤ62を介して、ストッパプレート64に回転軸Ax3の周方向に荷重が作用する。これにより、第2のガイド72Bが、第2の収容部88の内面88aに、荷重Fr1を作用させる。
荷重Fr1は、ハウジング36のうち、第2のガイド72Bに対して第3の方向D3の一方側に位置する部分36aに作用する。部分36aは、第2のガイド72Bが収容される第2の収容部88の内面88aと、係合壁101と、を含む。
荷重Fr1は、係合壁101が回転軸Ax2から遠ざかるように、部分36aを変形させる可能性がある。別の表現によれば、荷重Fr1は、収容開口85が拡大するように、部分36aを変形させる可能性がある。
荷重Fr1が部分36aに作用したとき、被係合爪122が、係合壁101の第1の壁101bを、回転軸Ax2の径方向における外側から支持する。このため、被係合爪122は、係合壁101が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する。
さらに、荷重Fr1が部分36aに作用したとき、押された部分36aが若干移動する。例えば、第2の壁101cは、回転軸Ax2から遠ざかり、且つ被係合爪122に近づく。また、第3の壁101dは、回転軸Ax2から遠ざかり、且つ被係合爪122から遠ざかる。上記の第2の壁101c及び第3の壁101dの移動は、一般的に、機構保持部82の外面82aに近いほど大きくなり、且つ第2のガイド72Bに近いほど大きくなる。このため、部分36aは捩れるように変形する。
被係合爪122は、移動する第2の壁101cを、回転軸Ax2の周方向に支持する。これにより、被係合爪122は、ハウジング36の変形を制限する。さらに、第2の壁101cは、被係合爪122に荷重を作用させる。しかし、第3の壁101dが、被係合爪122を支持することで、被係合爪122の変形を制限する。
回転軸Ax2の周方向において、係合壁101及び被係合爪122は、第2のガイド72Bと、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115と、の間に位置する。このため、荷重Fr1に起因する荷重は、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115よりも、係合壁101及び被係合爪122により大きく作用する。このため、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115が嵌り合う部分の耐久性が向上する。
さらに、回転軸Ax2の周方向において、係合壁101及び被係合爪122は、第2のガイド72Bと、ネジ111によりカバー37がハウジング36に取り付けられた部分と、の間に位置する。このため、荷重Fr1に起因する荷重は、ネジ111による取付部分よりも、係合壁101及び被係合爪122により大きく作用する。このため、ネジ111による取付部分の耐久性が向上する。
図2に示すように、被係合部123は、例えば、カバー37の一部である。被係合部123に、開口123aが設けられる。開口123aは、例えば、略円形の孔である。さらに、被係合部123は、開口123aを形成(規定)する縁123bを有する。
被係合部123の開口123aに、係合突起102が嵌められる。これにより、被係合部123が、係合突起102に係合する。被係合部123の縁123bの一部は、係合突起102よりも、回転軸Ax2の径方向における外側に位置する。
係合突起102と開口123aの縁123bとの間の隙間は、第1の位置決め突起103と位置決め孔115の縁との間の隙間よりも大きく、且つ第2の位置決め突起104と位置決め孔115の縁との間の隙間よりも大きい。なお、係合突起102と開口123aとの大きさは、この例に限られない。
被係合部123は、係合突起102と係合して、係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する。以下に、係合突起102及び被係合部123の係合について詳しく例示する。
例えば、車両1の後方において衝突が発生し、衝撃によってシート11に荷重が作用することがある。このとき、ストッパプレート64に回転軸Ax3の周方向に荷重が作用する。これにより、図7に示すように、第2のガイド72Aが、第2の収容部88の内面88aに、荷重Fr2を作用させる。
荷重Fr2は、ハウジング36のうち、第2のガイド72Aに対して第3の方向D3の一方側に位置する部分36bに作用する。部分36bは、第2のガイド72Aが収容される第2の収容部88の内面88aと、係合突起102と、を含む。
荷重Fr2は、係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるように、部分36bを変形させる可能性がある。別の表現によれば、荷重Fr2は、収容開口85が拡大するように、部分36bを変形させる可能性がある。
荷重Fr2が部分36bに作用したとき、被係合部123の縁123bが、係合突起102を、回転軸Ax2の径方向における外側から支持する。このため、被係合部123は、係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する。
回転軸Ax2の周方向において、係合突起102及び被係合部123は、第2のガイド72Aと、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115と、の間に位置する。このため、荷重Fr2に起因する荷重は、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115よりも、係合突起102及び被係合部123により大きく作用する。このため、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115が嵌り合う部分の耐久性が向上する。
さらに、回転軸Ax2の周方向において、係合突起102及び被係合部123は、第2のガイド72Aと、ネジ111による取付部分と、の間に位置する。このため、荷重Fr2に起因する荷重は、ネジ111による取付部分よりも、係合突起102及び被係合部123により大きく作用する。このため、ネジ111による取付部分の耐久性が向上する。
結合部121がシート11に結合されるため、結合部121と、例えば係合突起102及び被係合部123との間で、引張荷重が生じる。しかし、回転軸Ax2の周方向において、係合突起102及び被係合部123は、結合部121から離間している。このため、係合突起102及び被係合部123と結合部121との間で、荷重が分散し得る。
さらに、回転軸Ax2の周方向において、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115は、係合突起102及び被係合部123よりも、結合部121から離間する。これにより、荷重は、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115よりも、係合突起102及び被係合部123により大きく作用する。このため、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115が嵌り合う部分の耐久性が向上する。
係合突起102及び被係合部123は、結合部121よりも、回転軸Ax2の径方向における外側に位置する。このため、係合突起102及び被係合部123は、係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限することができる。
車両1の後方における衝突により作用する荷重Fr2は、車両1の前方における衝突により作用する荷重Fr1よりも、一般的に強い。本実施形態では、荷重Fr1に起因する荷重が、曲げ荷重として被係合爪122に入力される。一方、荷重Fr2に起因する荷重が、せん断荷重として被係合部123の縁123bに入力される。このように、より耐久性の高い被係合部123に、より強い荷重が作用するように設計されることで、減速装置32の耐久性が向上する。
図5に示すように、本実施形態において、座金38は、ウェーブワッシャである。座金38は、三つの第1の山38aと、三つの第2の山38bと、内縁38cとを有する。なお、第1の山38a及び第2の山38bの数は、この例に限られず、三つより多くても良いし、三つより少なくても良い。
図4に示すように、第1の山38aは、回転軸Ax2の軸方向の一方側における座金38の頂点である。第2の山38bは、回転軸Ax2の軸方向の他方側における座金38の頂点である。すなわち、座金38は、回転軸Ax2の軸方向の一方側において三つの頂点(第1の山38a)を形成し、回転軸Ax2の軸方向の他方側において三つの頂点(第2の山38b)を形成するような、波形に形成される。
図4に示すように、座金38は、第1の収容部87の底面87bと、回転伝達機構35のウォームホイール52との間に介在する。第1の山38aは、ウォームホイール52の支持突起52dに接触する。第2の山38bは、第1の収容部87の底面87bに接触する。
座金38と第1の収容部87の底面87bとの間の接触面積は、座金38とウォームホイール52との間の接触面積よりも大きい。このため、ウォームホイール52が回転したとしても、座金38はハウジング36に対して回転せずに略同一位置に保たれる。
出力軸43の一部、ウォームホイール52、偏心軸61、及び内歯ギヤ65は、カバー37と座金38との間に位置する。座金38は、弾性により、出力軸43の一部、ウォームホイール52、偏心軸61、及び内歯ギヤ65を、カバー37に向かって押す。これにより、例えば、出力軸43及び内歯ギヤ65がカバー37に押し付けられ、回転伝達機構35が異音を生じさせることが抑制される。なお、座金38は、回転伝達機構35の他の部品をカバー37に向かって押しても良い。
図10は、第1の実施形態のハウジング36及び座金38を概略的に示す例示的な斜視図である。図10に示すように、座金38は、回転軸Ax2の周方向において、第1の支持部91と、第1の収容部87の内面87aとの間に位置する。第1の収容部87の内面87aは、座金38から離間している。
内縁38cは、座金38の、回転軸Ax2の径方向における内側の縁である。このため、内縁38cは、回転軸Ax2の径方向における内側に向く。さらに、内縁38cは、間隔を介して出力軸43に向く。
第1の支持部91は、座金38の内縁38cと、出力軸43との間に介在する。座金38の内縁38cは、第1の支持部91に、出力軸43から離間した位置で支持されることが可能である。言い換えると、第1の支持部91は、座金38が出力軸43に近づくことを制限する。
以上説明された第1の実施形態に係る減速装置32において、ストッパプレート64の第2のガイド72は、第1のガイド71から回転軸Ax2の軸方向と直交する第2の方向D2に突出する。第2の収容部88が第2のガイド72を収容し、第2の収容部88の内面88aがハウジング36及びストッパプレート64の相対的な回転を制限する。すなわち、ストッパプレート64がハウジング36に対して回転しようとすると、第2のガイド72は、第2の収容部88の内面88aに当接し、第2の収容部88の内面88aに、回転軸Ax2の周方向に荷重Fr1,Fr2を入力する。また、カバー37の結合部121は、第2のガイド72に対して回転軸Ax2の軸方向と直交し且つ第2の方向D2と直交する第3の方向D3の一方側に位置し、ハウジング36から離間し、車両1のシート11に結合される。このため、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側において、ハウジング36は、シート11に直接結合されておらず、シート11に対して自由となる。第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36a,36bは、荷重Fr1,Fr2を入力されると、回転軸Ax2から遠ざかるように変形することがある。
本実施形態では、ハウジング36は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の一方側に位置する係合壁101及び係合突起102を有する。さらに、カバー37は、係合壁101及び係合突起102と係合して、係合壁101及び係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する、被係合爪122及び被係合部123を有する。これにより、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36a,36bは、第2のガイド72から荷重Fr1,Fr2を入力されても、回転軸Ax2から遠ざかるように変形することを抑制される。すなわち、ハウジング36の変形が抑制される。
被係合部123に開口123aが設けられ、係合突起102は開口123aに嵌められる。これにより、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36bは、回転軸Ax2から遠ざかるような変形に加え、回転軸Ax2に近づくような変形や、回転軸Ax2の周方向における変形を抑制される。従って、ハウジング36の変形が抑制される。
被係合爪122は、係合壁101の第1の壁101bに沿って延びる爪である。これにより、減速装置32が径方向に大きくなることが抑制される。さらに、係合壁101及び被係合爪122の配置の自由度が向上する。
係合壁101は、回転軸Ax2の周方向において被係合爪122と第2のガイド72Bとの間に位置し、被係合爪122に面する、第2の壁101cを有する。第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36aは、第2のガイド72から回転軸Ax2の周方向に荷重Fr1を入力されると、当該周方向に移動するように変形する。しかし、被係合爪122が第2の壁101cを支持することで、当該変形が抑制される。従って、ハウジング36の変形が抑制される。
被係合爪122は、回転軸Ax2の周方向において第2の壁101cと第3の壁101dとの間に位置する。第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36aは、第2のガイド72から回転軸Ax2の周方向に荷重Fr1を入力されると、当該周方向に移動し且つ回転軸Ax2から遠ざかるように捩れる。当該捩れにより、ハウジング36は被係合爪122に荷重を入力する。しかし、第3の壁101dが被係合爪122を支持することで、被係合爪122が変形することが抑制される。
第4の壁101eは、被係合爪122よりも回転軸Ax2の径方向の外側に位置し、第2の壁101cと第3の壁101dとに接続される。これにより、第1の壁101b、第2の壁101c、第3の壁101d、及び第4の壁101eが枠状に形成され、係合壁101の剛性が向上する。
ブッシュ63は、偏心軸61の外周面61a及び外歯ギヤ62の内周面62iの間に介在する筒部63aと、回転軸Ax3の径方向における外側に筒部63aから突出し、凹面62dに接触する第1の鍔部63bと、を有する。第1の鍔部63bによりブッシュ63と外歯ギヤ62との間の接触面積が増大する。これにより、ブッシュ63と外歯ギヤ62とが相対的に回転することが抑制され、偏心軸61と外歯ギヤ62との相対的な回転が安定する。さらに、ブッシュ63が挿通孔62aから抜けることが抑制される。
ブッシュ63は、回転軸Ax3の径方向における外側に筒部63aから突出し、凸面62eに接触する、第2の鍔部63cを有する。第2の鍔部63cによりブッシュ63と外歯ギヤ62との間の接触面積がさらに増大する。これにより、ブッシュ63と外歯ギヤ62とが相対的に回転することが抑制され、偏心軸61と外歯ギヤ62との相対的な回転が安定する。さらに、外歯ギヤ62が第1の鍔部63bと第2の鍔部63cとの間に保持されるため、ブッシュ63が挿通孔62aから抜けることが抑制される。
外歯ギヤ62は、凹面62dよりも平面65bに近い第1の平面62bを有する。ブッシュ63は、内歯ギヤ65から離間する。これにより、ブッシュ63と内歯ギヤ65との接触による、異音や、外歯62fと内歯65dとの噛み合いの減少が抑制される。
外歯ギヤ62は、第1の平面62bの反対側に位置する第2の平面62cを有する。凹面62dと凸面62eとの間の距離は、第1の平面62bと第2の平面62cとの間の距離に等しい。これにより、外歯ギヤ62の厚さが減少することが抑制され、外歯ギヤ62が偏心軸61を安定して保持することができる。さらに、当該凹面62dは、例えば、半抜き加工によって形成可能である。このため、ブッシュ63が内歯ギヤ65から離間するように、第1の鍔部63bの厚さに応じて凹面62dと第1の平面62bとの間の距離(深さ)を容易に調整できる。
外周面61aは、筒部63aに接触する第1の部分61aaと、ブッシュ63から回転軸Ax2の軸方向に離間した第2の部分61abと、を有する。第1の部分61aaの表面粗さは、第2の部分61abの表面粗さよりも低い。これにより、筒部63aが摩耗することが抑制され、ブッシュ63の耐久性が向上する。さらに、第2の部分61abの表面粗さを低減させる加工が必要無く、減速装置32のコストの増加が抑制される。
座金38の内縁38cは、第1の支持部91に出力軸43から離間した位置で支持されることが可能である。これにより、座金38の内縁38cと出力軸43とが擦れることによる、座金38の耐久力の低下や、異音が抑制される。
収容開口85の第1の収容部87の内面87aは、座金38から離間する。これにより、第1の収容部87の内面87aと弾性変形する座金38とが干渉することが抑制される。
第2の支持部92は、収容開口85の第1の収容部87の底面87bから突出し、第1の支持部91から回転軸Ax2の径方向における内側に離間し、出力軸43を支持する。すなわち、第1の支持部91は、出力軸43を支持する第2の支持部92よりも回転軸Ax2の径方向における外側に位置する。さらに、座金38は、当該第1の支持部91から回転軸Ax2の径方向における外側に離間する。これにより、座金38が、回転軸Ax2の径方向における比較的外側でウォームホイール52に接触し、回転伝達機構35を安定してカバー37に向かって押すことができる。
ハウジング36は、第1の収容部87の底面87bから突出し、回転軸Ax2の径方向に延びて第1の支持部91と第2の支持部92とに接続されるリブ93を有する。これにより、第1の支持部91及び第2の支持部92が変形することが抑制される。
座金38は、回転伝達機構35に接触する三つ以上の第1の山38aと、第1の収容部87の底面87bに接触する三つ以上の第2の山38bと、を有するウェーブワッシャである。これにより、座金38は、回転伝達機構35を安定してカバー37に向かって押すことができる。また、座金38がウェーブワッシャであることで、荷重の変動が緩やかになる。
ストッパプレート64は、第1のガイド71から回転軸Ax2の軸方向と直交する第2の方向D2の一方側及び他方側に突出する二つの第2のガイド72を有する。回転軸Ax2の軸方向と直交し且つ第2の方向D2と直交する第3の方向D3において、第2のガイド72Aの中心C1が、第2のガイド72Bの中心C2と異なる位置にある。これにより、ストッパプレート64が、ダレ面64a及びバリ面64bが逆転する誤った姿勢で収容開口85に配置されることが抑制される。
第3の方向D3において、二つの第2のガイド72の長さが異なる。これにより、ストッパプレート64が、ダレ面64a及びバリ面64bが逆転する誤った姿勢で収容開口85に配置されることが抑制される。
第2のガイド72Aの第1の側縁72aと、第2のガイド72Bの第1の側縁72aと、が同一線上に配置される。しかし、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの第2の側縁72bは、第2のガイド72Bの第2の側縁72bと異なる位置にある。これにより、ストッパプレート64が、ダレ面64a及びバリ面64bが逆転する誤った姿勢で収容開口85に配置されることが抑制される。
ストッパプレート64は、外歯ギヤ62に向くダレ面64aと、ダレ面64aの反対側にあるとともに少なくとも一部がハウジング36に向くバリ面64bと、ダレ面64aの縁からバリ面64bに向かって垂れ下がった垂下縁部64cと、バリ面64bの縁からダレ面64aから遠ざかる方向に突出した突出縁部64dと、を有する。垂下縁部64cや突出縁部64dは、例えばプレス加工により形成されることがある。この場合も、突出縁部64dが設けられるバリ面64bが、外歯ギヤ62に向かず、ハウジング36に向くことで、外歯ギヤ62の移動が妨げられることが抑制される。
例えば、ダレ面64aの垂下縁部64cが、さらに面取りされても良い。この場合、例えば、面取りされた垂下縁部64cが、外歯ギヤ62のフランジ62gとガイド突起62hとの接続部分(R部分)を避けることができる。
ハウジング36は、回転軸Ax2の軸方向に向くとともに第2のガイド72にそれぞれ面する第2の収容部88の底面88bと、第2の収容部88の底面88bから突出して対応する第2のガイド72を支持可能な突出部95と、を有する。突出部95は、突出縁部64dから離間する。これにより、ストッパプレート64が突出部95により支持されるとともに、突出縁部64dがハウジング36に干渉することが抑制される。
第3の方向D3において、突出部95の中心は、第2の収容部88の底面88bの中心に位置する。突出部95は、第2の方向D2において底面88bの両端のうち第1の収容部87に近い端に位置し、第2の方向D2において底面88bの両端のうち第1の収容部87から遠い端から離間する。これにより、突出縁部64dがハウジング36に干渉することが抑制されるとともに、突出部95が第2のガイド72を第2の方向D2に移動可能に支持することができる。
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図11を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
図11は、第2の実施形態に係る減速装置32を概略的に示す例示的な断面図である。図11に示すように、第2の実施形態の座金38は、皿バネである。第2の実施形態の座金38も、第1の実施形態と同じく、弾性により、出力軸43の一部、ウォームホイール52、偏心軸61、及び内歯ギヤ65を、カバー37に向かって押す。
第2の実施形態のように、座金38は、第1の実施形態のウェーブワッシャに限られない。座金38は、第2の実施形態の皿バネであっても良いし、バネワッシャのような他の座金であっても良い。
以上の複数の実施形態における各部品及び部分の形状、材料、位置、機能、及び関係性は、説明されたもの及び図面に示されたものに限定されない。例えば、ウォームホイール52と偏心軸61とは、別の部品であっても良い。また、出力軸43と内歯ギヤ65とは、別の部品であっても良い。
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。