JP7271346B2 - 有機無機ハイブリッド膜、表面応力センサ、及び有機無機ハイブリッド膜を製造する方法 - Google Patents

有機無機ハイブリッド膜、表面応力センサ、及び有機無機ハイブリッド膜を製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機無機ハイブリッド膜、表面応力センサ、及び有機無機ハイブリッド膜を製造する方法に関する。
一般に嗅覚センサは、対象となるアナライトガスや匂いを高感度かつ高選択的な検出を可能とする検知部(感応膜)を有する。アラナイトガスや匂いを感応膜が検出する機序は以下のとおりである。まず、感応膜に含まれる官能基がガス分子と相互作用することにより、表面応力が発生する。当該表面応力を、4点固定のピエゾ抵抗の変形により電気シグナル化することにより、ガス分子の検出ができる。
例えば、特許文献1には、表面応力(MSS)センサの感応膜として、金属酸化物ナノ粒子を含む膜が使用できることが開示されている。特許文献1には、具体的には、多孔質材料又は粒状材料を、物理パラメータを検出するタイプのセンサ本体上に被覆し、検体分子を前記多孔質材料又は粒状材料が吸着することによる前記物理パラメータの変化により前記検体分子を検出するセンサが記載されており、粒状材料として、アミノプロピル基及びオクタデシル基修飾シリカチタニアハイブリッド粒状材料、金属有機構造体(MOF)ナノ粒子を使用したことが開示されている。
一方、シリカは、その存在の形態が様々あり、用途に応じて適した形態がある。
例えば、特許文献2には、平均粒子径10~80nmの球状コロイダルシリカ粒子と当該球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカからなり、動的光散乱法による測定粒子径(D1nm)と球状コロイダルシリカ粒子の平均粒子径(窒素吸着法による測定粒子径/D2nm)の比D1/D2が3以上であって、このD1は50~500nmであり、球状コロイダルシリカ粒子が一平面内のみにつながった数珠状コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるSiO2濃度1~50重量%の安定なシリカゾルが開示されている。
また、特許文献3には、平均粒子径が5~500nmの範囲にある1次粒子が、2個以上会合した会合シリカ微粒子の製造方法であって、
(A)一般式(1):Si(OR14 (1)
(式中、R1は同一又は異種の、炭素原子数1~6の1価炭化水素基である)
で示される四官能性シラン化合物及び該四官能性シラン化合物の部分加水分解縮合生成物のうち少なくとも1種の化合物を、塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒と水との混合媒体中で加水分解、縮合反応させ、親水性シリカ微粒子の核粒子を生成させる工程と、
(B)会合促進添加剤を系内に添加することで前記核粒子を会合させ、核粒子会合体を生成させる工程と、
(C)上記一般式(1)で示される四官能性シラン化合物及び該四官能性シラン化合物の部分加水分解縮合生成物のうち少なくとも1種の化合物を更に系内に添加し、加水分解、縮合反応させ、前記核粒子会合体を成長、会合させることで会合シリカ微粒子を生成させる工程を有することを特徴とする会合シリカ微粒子の製造方法が開示されている。
特許文献4では、正の表面電位を有するシリカ粒子の表面に、この正の表面電位を維持したまま、アミノ基を少なくとも1つ有するアルキル基を共有結合させて前記シリカ粒子を表面修飾する工程を含んでなる、粒子表面にアミノ基を有するシリカ粒子の製造方法が開示されている。
国際公開第2016/121155号 国際公開第2000/015552号 特開2012-25596号公報 特開2009-274923号公報
特許文献1における金属酸化物感応膜は、高い感度と選択性、安定性を実現することができるとされている一方で、金属酸化物は溶剤分散性に優れない。そのため、溶剤へ懸濁し、スプレーコーティングを用いてMSSセンサ表面上に塗布している。このとき塗布量の制御が難しく、また、メンブレンへの裏回りのため、生産性が低く、またセンサの再現性が低下する。
特許文献2、3には、数珠状、会合状、鎖状のシリカが開示されているが、有機官能基により変性されたシリカ粒子は開示されていなく、また、上記シリカをセンサの感応膜に利用することは開示されていない。
特許文献4にはアミノ基で表面変性されたシリカ粒子が開示されているが、シリカが鎖状連続構造を有することは開示されていない。
本発明は、ガスや匂い成分を検知する受容体、特に、表面応力(MSS)センサの感応膜として用いることができ、受容体として高い感度を有すると共に、生産性及び再現性に優れる有機無機ハイブリッド膜を提供することを課題とする。また、本発明の有機無機ハイブリッド膜は、MSSセンサの感応膜として用いることができ、例えば、高濃度の揮発性有機化合物(VOC)の蒸気等にさらされた場合であっても形状劣化のない膜、すなわち、構造安定性に優れる膜を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、所定の有機無機ハイブリッド膜が、ガスや匂い成分を検知する受容体として用いることができ、生産性及び再現性良く、MSSセンサのメンブレン上に成膜でき、当該膜は構造安定性及び感度に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ホウ素原子、及びリン原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む有機官能基で変性されたSiO3/2骨格を含み、
コーヒーリング型の形状を有する、
有機無機ハイブリッド膜。
[2]
前記有機無機ハイブリッド膜が、シリカ粒子膜である、
[1]に記載の有機無機ハイブリッド膜。
[3]
前記有機無機ハイブリッド膜が、シリカ粒子が相互に接合することにより形成される連続鎖状構造を含む、
[1]又は[2]に記載の有機無機ハイブリッド膜。
[4]
有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を含む、
[1]~[3]のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド膜。
[5]
前記有機官能基が、炭素不飽和結合、芳香族、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びフッ素原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む、
[1]~[4]のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド膜。
[6]
0m2/g以上1000m2/g以下のBET比表面積を有する、
[1]~[5]のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド膜。
[7]
0cm3/g以上1.5cm3/g以下のBET全細孔容積を有する、
[1]~[6]のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド膜。
[8]
TGAにおける有機分の熱重量減少率が、3%以上70%以下である、
[1]~[7]のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド膜。
[9]
有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子のN,N-ジメチルホルムアミド及び/又はプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液から作製された、
[1]~[8]のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド膜。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載の有機無機ハイブリッド膜を有する、表面応力センサ。
[11]
有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を有機溶媒に分散させた塗布液を得る工程と、
上記塗布液を、インクジェット装置を用いて表面応力センサ表面上に塗布する工程と、
を含む、有機無機ハイブリッド膜を製造する方法。
有機無機ハイブリッド膜を製造するための分散性の高い塗布液を作製し、例えばインクジェット法を用いて当該塗布液を塗布することによって、再現性良く、本発明の有機無機ハイブリッド膜を得ることができる。また、本発明の有機無機ハイブリッド膜は、生産性にも優れる。さらに、本発明の有機無機ハイブリッド膜は、感度に優れ、また、高濃度のVOCの蒸気等にさらされた場合であっても形状劣化がなく構造安定性に優れる。
実施例1におけるMSSセンサ表面上のレーザー顕微鏡における膜形状画像である。 実施例2にて製造した有機無機ハイブリッド膜のSEM画像である。 実施例3にて製造した有機無機ハイブリッド膜のSEM画像である。 1枚のMSSセンサチップの4チャンネルすべてに同じ実施例16で調製された塗布液を塗布して得られたMSSセンサチップのマイクロスコープの画像である。 エタノール100ppm、25℃の測定により得られた3回目の電気シグナルを示す図である。 比較例4にて製造された有機無機ハイブリッド膜のレーザー顕微鏡の像である。 実施例16と比較例4をそれぞれ5サンプル以上同条件でセンサを作製し、その応答強度の箱ひげ図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく。その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
[有機無機ハイブリッド膜]
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ホウ素原子、及びリン原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む有機官能基で変性されたSiO3/2骨格を含み、コーヒーリング型の形状を有する。
有機無機ハイブリッド膜に含まれる上記有機官能基で変性されたSiO3/2骨格は、RSiO3/2で表すこともできる。ここで、前記Rは有機官能基を表す。
有機無機ハイブリッド膜の原料は分散性の高い塗布液とすることができ、例えばインクジェット法を用いて当該塗布液を塗布することによって、再現性良く、有機無機ハイブリッド膜を得ることができる。また、本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は生産性にも優れる。さらに、本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、感度に優れ、また、高濃度のVOCの蒸気にさらされた場合であっても形状劣化がなく構造安定性に優れる膜である。
本実施形態における有機官能基は、少なくとも一つの芳香環を含むことが好ましい。有機官能基が芳香環を含む場合、耐湿度性と感度がより向上する傾向にある。芳香環としては、センサの用途等を考慮して適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、p-トリル基、ビフェニル基等の芳香族炭化水素基;4-クロロフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-アミノフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等の置換芳香族炭化水素基;3-フリル基、3-チエニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基等の複素環炭化水素基;フェロセニル基等のメタロセン;等が挙げられる。本実施形態における有機官能基は、上述した芳香環を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を併せて含んでいてもよい。
本実施形態のSiO3/2骨格において、少なくとも一つの芳香環を含む場合、芳香環とケイ素原子との間には、アルキル基(炭素数が、好ましくは1から18である。)、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、ウレタン結合、尿素結合、イミド基、イミン基等からなる群より選択される一種以上のスペーサー構造を含んでいてもよい。応答性感度を高める観点から、スペーサーを介さず、芳香環が、前記SiO3/2骨格におけるSi原子に直接結合していることが好ましい。
構造安定性と様々なガス分子への選択性とを両立する観点から、本実施形態におけるSiO3/2骨格は、芳香環構造と非芳香環構造との共重合構造を含むことが好ましい。
本実施形態における有機官能基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ホウ素原子、リン原子を含む。これらの原子は、1種単独であっても、2種以上であってもよい。これらの原子を含むことにより、極性の高いガス及び/又はニオイ分子への応答性を高めることができる。構造安定性を高める観点から、有機官能基は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びフッ素原子からなる群より選択される1種以上の原子を含有することが好ましい。本実施形態における有機官能基は、より好ましくは、飽和炭素結合、炭素不飽和結合、芳香族、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ホウ素原子、リン原子を含み、さらに好ましくは、炭素不飽和結合、芳香族、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子を含む。
本実施形態における有機官能基としては、以下に限定されないが、例えば、ハロゲン原子等の置換基を有してもよい直鎖状又は分岐状炭化水素基(例えば、3-クロロプロピル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、オクチル基等の直鎖状若しくは分岐状C1-8アルキル基)、ハロゲン原子等の置換基を有してもよい脂環炭化水素基(例えば、シクロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC5-6シクロアルキル基)、ハロゲン原子等の置換基を有してもよい芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、ビニル基、アリル基、アクリル基、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(例えば、(メタ)アクリロイルオキシプロピル基等の(メタ)アクリロイルオキシC1-3アルキル基)、エポキシ基、グリシジルオキシアルキル基(例えば、3-グリシジルオキシプロピル基等のグリシジルオキシC1-3アルキル基)、(エポキシシクロアルキル)アルキル基(例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基等)、ヒドロキシ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、メルカプト基、メルカプトアルキル基(例えば、メルカプトプロピル基等のメルカプトC1-3アルキル基)、スルフィド基、アミノ基(例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基)、アミノアルキル基(例えば、アミノプロピル基等のアミノC1-3アルキル基)、(アミノアルキルアミノ)アルキル基(例えば、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル基)、イミダゾリル基、イミダゾリルアルキル基(例えば、3-(2-イミダゾリン-1-イル)プロピル基)、アルキルアミノアルキル基(例えば、3-(ジメチルアミノ)プロピル基)、アミド基、複素環芳香族基、オキシム基、イミド基、イミン基、ハロゲン基、ニトリル基、ホスホン基、リン酸基等が挙げられる。
これらの中でも、有機官能基は、入手容易性の観点から、置換基を有してもよい直鎖状又は分岐状炭化水素基、置換基を有してもよい脂環炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、グリシジルオキシアルキル基、(エポキシシクロアルキル)アルキル基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基、(アミノアルキルアミノ)アルキル基、イミダゾリルアルキル基、及びアルキルアミノアルキル基、ヒドロキシ基からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
これらの官能基は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
有機官能基は、シランカップリング剤由来の有機官能基であることが好ましい。シランカップリング剤としては、アルコキシシラン、アセトキシシラン、及びクロロシラン等の加水分解性金属酸化物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、加水分解性金属酸化物は、取り扱い性、官能基の汎用性の観点から、アルコキシシランが好ましく、反応性の観点から3官能性のアルコキシシランがより好ましい。
3官能性のアルコキシシランは、1,2,4官能性のアルコキシシラン等と共重合されてもよく、有機無機ハイブリッドのヤング率を上げ高感度化させる観点から、4官能性のアルコキシシランと共重合されることが好ましい。
3官能性のアルコキシシランとしては、アルコキシ基にメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基を有するシランカップリング剤を使用することができる。
シランカップリング剤は、有機官能基が芳香族を有する場合のシランカップリング剤と有機官能基が芳香族を有しない場合のシランカップリング剤とに分類することもでき、それぞれの場合のシランカップリング剤を、芳香族系シランカップリング剤及び非芳香族系シランカップリング剤という。
芳香族系シランカップリング剤としては、市販の芳香族系シランカップリング剤を使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、フェニルトリアルコキシシラン、ニトロベンゼンアミドトリアルコキシシラン、ベンジルトリアルコキシシラン、4-クロロフェニルトリアルコキシシラン、フェニルアミノプロピルトリアルコキシシラン、4-アミノフェニルトリアルコキシシラン、ナフチルトリアルコキシシラン、4-メトキシトリアルコキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリアルコキシシラン、フェロセニルトリアルコキシシラン、ビフェニルトリアルコキシシラン、3-フリルトリアルコキシシラン、3-チエニルトリアルコキシシラン、2-ピリジルトリアルコキシシラン、3-ピリジルトリアルコキシシラン、4-ピリジルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
非芳香族系シランカップリング剤としては、市販の非芳香族系シランカップリング剤を使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、シクロヘキシルトリアルコキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、3-(ジメチルアミノ)プロピルトリアルコキシシラン、3-(2-イミダゾリン-1-イル)プロピルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリアルコキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリアルコキシシラン、3-(アクリロイルオキシ)プロピルトリアルコキシシラン、アリルトリアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、エチルトリアルコキシシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ブチルアルコキシシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、オクチルトリアルコキシシラン、デシルトリアルコキシシラン、ドデシルトリアルコキシシラン、オクタデシルトリアルコキシシラン、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、シクロヘキシルアミノプロピルトリアルコキシシラン、ヘキサフルオロフェニルトリアルコキシシラン、3-クロロプロピルトリアルコキシシラン、3-ブロモプロピルトリアルコキシシラン、3-ピペラジノプロピルトリアルコキシシラン、3-モルフォリノプロピルトリアルコキシシラン、3-アリルアミノプロピルトリアルコキシシラン、ノルボルニルトリアルコキシシラン、ピペリジノプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
2種類以上のシランカップリング剤を共重合する場合、芳香族シランカップリング剤と非芳香族シランカップリング剤との比率として、モル比で1:10から1:5であることが好ましく、耐熱性の観点から1:5から1:1であることが好ましく、湿度下におけるシグナル強度低減の抑制の観点から、1:1から10:1であることが好ましい。
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜における有機官能基は、センサ本体上の感応膜をSEM-EDXやXPS、ATR等の表面元素解析に供することにより、同定することができる。
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、さらにフィラーを含むことが好ましい。フィラーを用いることにより、有機無機ハイブリッド膜のヤング率を向上させ、感度を高めることができる。
本実施形態におけるフィラーとしては、特に限定されず、種々公知のものから選択することができる。フィラーとしては、具体例には、以下に限定されないが、ポリスチレンやポリメチルメタクリレート、ポリフェニレンオキシド等のポリマービーズやアクリルラテックス等の球状粒子、窒化シリコン等の金属窒化物、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化スズ等の金属酸化物、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ITO等の複合金属化合物、金や銀、銅、パラジウム、白金、鉄、アルミニウム等の無機金属フィラー、カーボンナノチューブやグラフェン、カーボンブラック等のカーボン材料から選ばれる1種以上を含むことができる。
本実施形態におけるフィラーとしては、分散性及び/又は塗布性を向上させる観点から、無機フィラーであることが好ましい。上記同様の観点から、本実施形態においては、シリカ、ジルコニア、チタニア、アルミナ等の金属化合物、金や銀、銅、パラジウム、白金、鉄、アルミニウム等の無機金属フィラーが好ましく、湿度下での水分によるシグナル減衰の影響が小さい点からシリカ、ジルコニア等の金属酸化物がより好ましく、経済性の観点からシリカであることがさらに好ましい。
本発明者らは、特にシリカを用いる場合、湿度のある状態でもエタノール、アセトアルデヒド等の一般的な親水性ガスの応答の減衰がより顕著に改良されることを見出した。その理由としては、以下のように考えられるが、以下に限定する趣旨ではない。すなわち、シリカの骨格及びケイ素原子に結合した状態で存在する水酸基が、特許文献1のチタニア骨格もしくはチタン原子に結合した水酸基に比べて比較的疎水性を有するため、疎水性相互作用により、水分由来の吸着阻害が抑制されるものと推定する。
フィラーの形状としては、特に限定されないが、好ましくは、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であり、より好ましくは球状、鎖状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等も含む略球状を意味する。
球状のフィラーのサイズとしては、特に限定するものではないが、インクの分散性を維持し、ノズルの詰まりを防ぎ、インクジェットでの塗布性を向上できる観点から、平均一次粒子径として、100μm以下が好ましく、感度を向上できる観点から500nm以下がより好ましく、より空隙を低減する観点から200nm以下であることがさらに好ましい。ここで、平均一次粒子径とは数平均での値を意味する。上記平均一次粒子径は、本明細書の実施例の項に記載の走査型電子顕微鏡を用いた方法、又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される粒子50個の数平均値である。
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、コーヒーリング型の形状を有する。
コーヒーリング型とは、円形の有機無機ハイブリッド膜において、円の中心部が平坦であり、円の周囲部に厚みがある形状である。コーヒーリング型は、例えば、図1に示される形状である。
また、コーヒーリング型の有機無機ハイブリッド膜は、例えば、後述するように、有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を有機溶剤に分散させた塗布液を、インクジェット装置を用いて膜を形成することによって得ることができる。
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、例えば、インクジェット装置を用いて製造する際にインクジェットによる詰まりがなく製造でき、生産性に優れ、得られた膜を備えるセンサの再現性に優れる。また、得られた膜は、高濃度のVOCの蒸気にさらされた場合であっても形状劣化がなく、構造安定性に優れ、また平坦構造からなる膜構造にくらべて高い感度を有する。その理由としては、以下のように考えられるが、以下に限定する趣旨ではない。表面応力センサ上にコーヒーリング型の感応膜を配した場合、ピエゾ近くにより多くの膜体積を配するためその変形による応力をより効率よくピエゾ素子に伝播するため、より高い感度が実現できると考えられる。
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜が、コーヒーリング型の形状を有することは、膜の断面図から判断することができる。コーヒーリング型として、円形状に形成された感応膜の直径上における2点間の断面プロファイルを取得し、断面プロファイルから中心部の膜厚が最大部の膜厚に対して好ましくは80%以下であることが好ましい。中心部の膜厚が最大部の膜厚に対して80%以下であることにより、感度の再現性が高まる傾向にある。また、感度の向上の観点から60%以下であることがより好ましく、応答感度の最大化の観点から40%以下であることがさらに好ましい。
[シリカ粒子膜]
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、シリカ粒子膜であることが好ましい。
本実施形態のシリカ粒子膜は、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状により構成され、好ましくは球状の形状により構成される。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等も含む略球状を意味する。本実施形態のシリカ粒子膜は、好ましくは、シリカ粒子が相互に接合することにより形成される連続鎖状構造を含む。
本実施形態の好ましい態様の一つは、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ホウ素原子、リン原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む有機官能基で変性され、コーヒーリング型の形状を有する、シリカ粒子膜である。
本実施形態のシリカ粒子膜とは、シリカ粒子を含む膜である。また、本実施形態のシリカ粒子膜は、シリカ粒子が相互に接合することにより形成される連続鎖状構造を含む。本明細書において、シリカ粒子が相互に接合して連続鎖状構造を形成している物は、鎖状シリカ粒子ともいう。
本実施形態における連続鎖状構造は、シリカ粒子が相互に化学結合して接合することにより形成され、球状のシリカ粒子が、連続的に真直に接合した構造、分岐して接合した構造、屈曲して接合した構造、及び、環状に接合した構造(本明細書では、これらをパールネックレス状と表現する)、並びに、個々に連続した球状には観察されず糸状の構造が多数絡まりあった構造(本明細書では、ネットワーク状と表現する)等が挙げられる。連続鎖状構造は、例えば、図2、図3のSEM画像に示されるが、これらに限定されない。
シリカ粒子が相互に化学結合するときの化学結合としては、シリカ粒子が相互に接合できる相互作用であれば特に限定されない。
本実施形態におけるシリカ粒子は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ホウ素原子、及びリン原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む有機官能基で変性されたSiO3/2骨格を含むとともに、SiO2を少なくとも含むことが好ましい。また、上記シリカ粒子は、さらにSiO3/2及びSiO1/2からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
また、シリカ粒子は、SiO2と、SiO3/2及びSiO1/2からなる群より選択される少なくとも一種とを主成分として含むことが好ましい。ここで、「シリカ粒子がシリカを主成分とする」とは、シリカ粒子全量に対し、SiO2、SiO3/2及びSiO1/2の合計量が通常50質量%超過であり、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、さらにより好ましくは98%以上である。
さらに、シリカ粒子は、SiO2を主成分とすることが好ましい。
鎖状シリカ粒子は、例えば、ゾルゲル法によって調製することができる。具体的には、鎖状シリカ粒子は、アルコキシ基、クロロ基等の官能性加水分解基を3つ又は4つ有する有機ケイ素化合物を原料として用い、ゾルゲル法によって製造することができる。
また、鎖状シリカ粒子は、市販品として入手することもできる。市販品としては、例えば、LEVASILシリーズ(H.C.Starck(株)製)、クオートロンP Lシリーズ(扶桑化学(株)製)、OSCALシリーズ(触媒化成工業(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えばアエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株))、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等、日産化学株式会社製の、スノーテックス(登録商標)IPA-ST-UP、MEK-ST-UP、ST-UP、ST-PS-S、ST-PS-M、ST-OUP、ST-PS-SO、ST-PS-MO、ST-AK-PS-S等が挙げられる。
本実施形態のシリカ粒子膜は、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ホウ素原子、リン原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む有機官能基で変性されている。シリカ粒子膜が有機官能基で変性されているとは、シリカ粒子膜に有機官能基が導入されていることを指す。
シリカ粒子膜には、シリカ粒子膜を構成するシリカ粒子の表面を有機官能基により修飾することにより、有機官能基を導入することができる。すなわち、シリカ粒子膜を構成するシリカ粒子の表面を有機官能基により修飾することにより、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ホウ素原子、及びリン原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む有機官能基で変性されたSiO3/2骨格を少なくとも含む本実施形態の有機無機ハイブリッド膜が得られる。
シリカ粒子膜は、具体的には、上述した市販の鎖状シリカ粒子の表面を、有機官能基を有する変性剤で処理し、有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を用いて成膜することにより、有機官能基で変性されたシリカ粒子膜とすることができる。
また、鎖状シリカ粒子をゾルゲル法によって調製する場合、例えば、原料である有機ケイ素化合物として、官能性加水分解基と別に前記有機官能基を有する有機ケイ素化合物を、4つの官能性加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と共重合することにより表面及び/又は内部に有機官能基が導入された鎖状シリカ粒子を得る。当該有機官能基が導入された鎖状シリカ粒子を用いて成膜することにより、有機官能基で変性されたシリカ粒子膜とすることもできる。
したがって、本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、好ましくは、有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を含む。
有機官能基を導入するため、アルコキシシラン及び/又はクロロシラン等の加水分解性基を有する有機ケイ素化合物が、変性剤、又は、鎖状シリカ粒子をゾルゲル法によって調製する際の原料として用いられる。
上記有機ケイ素化合物としては、取り扱い性及び官能基の汎用性に優れる観点から、好ましくはアルコキシシランであり、反応性の観点から、3つのアルコキシ基を有するアルコキシシランがより好ましい。
有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子のサイズは、一概に球状を仮定して一次粒子径で規定してよく、また、TEM/SEMによる電子顕微鏡観察により鎖幅を観察し算出してもよい。
有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子の鎖幅は、通常1nm以上200nm以下の範囲であり、比表面積を大きくする観点から、好ましくは1nm以上100nm以下の範囲であり、ガス応答性の感度を良くする観点から、より好ましくは1nm以上85nm以下の範囲である。
本実施形態の膜が、シリカ粒子が相互に接合することにより形成される連続鎖状構造を含むことにより、鎖状構造の剛直性により球状のシリカ粒子に比べてより大きな比表面積及び全細孔容積を形成することができる。大きな比表面積、全細孔容積は、ガス分子がMSSセンサ上の感応膜内部へのアクセス性を高めることから、応答の高感度化に寄与する。
比表面積は、好ましくは0m2/g以上1000m2/g以下であり、構造安定性をより高める観点から、より好ましくは10m2/g以上1000m2/g以下であり、さらに好ましくは15m2/g以上1000m2/g以下であり、よりさらに好ましくは15m2/g以上800m2/g以下である。ここで比表面積は、BET比表面積である。
全細孔容積は、好ましくは0cm3/g以上1.5cm3/g以下であり、構造安定性をより高める観点から、より好ましくは0.01cm3/g以上1.5cm3/g以下であり、さらに好ましくは0.02cm3/g以上1.5cm3/gであり、よりさらに好ましくは0.03cm3/g以上1.0cm3/g以下である。ここで全細孔容積は、BET全細孔容積である。
シリカ粒子膜の比表面積と全細孔容積は、窒素吸着のBET測定により評価することできる。
[有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子の製造方法]
有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子は、鎖状シリカ粒子を含む市販のコロイダルシリカをシランカップリング剤で処理して得てもよく、上述のシランカップリング剤と4官能性のアルコキシシランであるテトラアルコキシシランとを同時に縮合反応することにより得てもよい。本明細書において有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を、変性鎖状シリカ粒子ともいう。
変性鎖状シリカ粒子を用いることにより、高濃度のVOC蒸気にさらされた場合も形状劣化のない有機無機ハイブリッド膜とすることができる。
鎖状シリカ粒子を含む市販のコロイダルシリカをシランカップリング剤で処理して、有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を得る場合、図3に示されるように鎖状シリカの表面にシランカップリング剤の縮合体が付着したような構造となる。ここで、コロイダルシリカをシランカップリング剤で処理して得られる有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を、変性鎖状シリカ粒子Aともいう。
変性鎖状シリカ粒子Aは、具体的には、鎖状シリカ粒子を分散媒に分散させた状態で表面修飾をすることにより行われ、例えば、アルコール及び水を含む鎖状シリカ粒子の均一分散液に、触媒存在下又は非存在下で上述したシランカップリング剤を添加する工程を含む製造方法により製造される。
シランカップリング剤と4官能性アルコキシシランの同時縮合により、有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を製造する場合(ここで、縮合により得られる有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を、変性鎖状シリカ粒子Bともいう)、例えば、アルコール及び水を含む溶媒中、触媒存在下又は非存在下で、シランカップリング剤と4官能性アルコキシシランとを混合、反応させることにより製造される。
変性鎖状シリカ粒子Aの比表面積は、表面の変性により、原料の鎖状シリカの比表面積に比べて小さくなる。
一方、変性鎖状シリカ粒子Bは、表面に付着は観察されず官能基は鎖状構造体の内部及び表面に非局在的に分布する。
表面修飾及び縮合の反応速度の調節を可能にするため、触媒の存在下で、表面修飾、又は、シランカップリング剤と4官能性アルコキシシランとの縮合を行うことが好ましい。
触媒の種類としては、酸触媒及び塩基触媒が挙げられる。
酸触媒としては、例えば、無機酸及び有機酸が挙げられる。
無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。
有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。
これらの酸触媒は、1種で又は2種以上を混合して用いることができる。
塩基触媒としては、無機塩基及び有機塩基が挙げられる。
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸水素塩;アンモニア;等が挙げられる。アンモニアは、アンモニア水であってもよい。
有機塩基としては、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等の炭素数1~4のN,N-ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6-ルチジン等の、炭素数1~4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体;等が挙げられる。
これらの塩基触媒は、1種で又は2種以上を混合して用いることができる。
反応系のpHを0.01~6.0の範囲、若しくはpH8~14になる量の触媒を加えることが、反応効率の点で好ましく、より効率を高めるためにはpH8~14の塩基性条件下で反応を行うことがより好ましい。
変性鎖状シリカ粒子A及び変性鎖状シリカ粒子Bを製造するための表面修飾及び縮合は、有機溶媒中で行うこともできる。
有機溶媒としては、例えば、アルコール溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、エーテル溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、アミド溶媒等が挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類;等が挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
エーテル溶媒としては、上記の多価アルコールのモノエーテル類の他に、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;テトラヒドロフラン;1,4-ジオキサン;アニソール等が挙げられる。
脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
以上の溶媒の中でも、アルコール溶媒としてメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等;ケトン溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等;エーテル溶媒としてエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等;及びアミド溶媒としてジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が水と混合しやすい点で好ましい。
これらの溶媒は単独で使用してもよく、複数の溶媒を組み合わせて使用してもよい。
変性鎖状シリカ粒子は沈殿物、ゲル化物を遠心分離、ろ過により濾別することにより回収される。鎖状構造と反応しないシランカップリング剤の縮合物が残渣として存在しうる。その縮合物はシリカ粒子膜に入ってもよい。感応膜の物理耐久性の観点から、残渣は少ないことが好ましい。
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜が有機官能基で変性されていることは、FT-IR、元素分析、及び熱重量減少測定により確認することができる。
吸着水の影響を除去するため150℃から1000℃までの熱重量減少率は、通常3%以上70%以下であり、シリカ粒子膜の感度を高める観点から、好ましくは3%超過70%以下であり、より好ましくは5%以上65%以下であり、シリカ粒子膜の熱安定性を高める観点から、さらに好ましくは5%以上55%以下である。
[有機無機ハイブリッド膜の製造方法]
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、例えば、有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子を有機溶剤に分散させ塗布液を得、当該塗布液をMSSセンサ上に塗布することにより製造することができる。塗布液をMSSセンサのチップ上に塗布する際には、インクジェット装置を好適に用いることができる。インクジェット装置は塗布液の液滴を射出し、液滴がMSSセンサのチップ上に塗布されシリカ粒子膜が成膜される。
塗布液中の有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子の濃度は、好ましくは0.1g/L以上50g/L以下であり、生産性の観点から、より好ましくは0.5g/L以上50g/L以下であり、インクジェット装置におけるノズル詰まりを抑制する観点から、さらに好ましくは0.5g/L以上15g/L以下である。
上記鎖状シリカ粒子を分散する有機溶媒としては、分散可能な溶媒であれば特に制限されない。
有機溶媒の沸点は、好ましくは80℃以上250℃以下であり、ノズルの詰まりによる生産性の低下を抑制する観点から、より好ましくは100℃以上250℃以下であり、乾燥にかかる時間を短縮し、生産性を高める観点から、さらに好ましくは100℃以上200℃以下である。
有機溶媒としては、例えば、アルコール溶媒、エステル溶媒、ケトン溶媒、エーテル溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、アミド溶媒等が挙げられる。
アルコール溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類;等が挙げられる。
エステル溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン等が挙げられる。
ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
エーテル溶媒としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;テトラヒドロフラン;1,4-ジオキサン;アニソール;等が挙げられる。
脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
アミド溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機溶媒の中でも、安全性及び溶解性に優れることから、N,N-ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子以外に、任意の粒子、イオン性化合物、樹脂、及び低分子化合物等の添加物を含んでもよい。
上記添加物は塗布液に配合し、MSSセンサ表面に塗布することにより、上記添加物を含むシリカ粒子膜を得ることができる。
本実施形態の一つは、有機官能基で変性された鎖状シリカ粒子のN,N-ジメチルホルムアミド及び/又はプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液から作製された、有機無機ハイブリッド膜である。
[表面応力(MSS)センサ]
本実施形態の有機無機ハイブリッド膜は、4点固定のピエゾ素子型表面応力(MSS)センサの感応膜として好適に使用できる。
有機無機ハイブリッド粒子をMSSセンサ表面に被覆するための手法は、ディップコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティング、インクジェットスポッティング、キャスティング、ドクターブレード等を用いた被覆が可能である。
300μmφのMSSセンサのメンブレンに塗布するためには、インクジェット、マイクロジェット方式が好ましく、生産性の観点からマイクロジェット方式の塗布がより好ましい。
有機無機ハイブリッド膜の膜厚は、本実施形態の有機無機ハイブリッド膜がコーヒーリング状の形状を有するため、均一でなくてもよい。この場合、感応膜の中心部分における最も薄い部分、及び端部分における最も厚い部分の膜厚は、それぞれ通常10nm以上50μm以下である。膜厚は、製造時における乾燥に要する時間を短縮し、生産性を高める観点から、好ましくは10nm以上30μm以下であり、感度を高める観点から、より好ましくは20nm以上30μm以下である。
本実施形態の一つは、本実施形態の有機無機ハイブリッド膜を有する表面応力センサである。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の例にて製造した鎖状有機変性シリカ、それを塗布したMSSセンサについて、以下の(1)~(8)の物性を以下に示す手順にしたがって測定した。
(1)膜形状の観察
共焦点レーザー顕微鏡(VK09700 Violet Laser(キーエンス製))を用いてセンサにおける感応膜未塗布部分と感応膜の最大膜厚部分を以下の観察条件にしたがって観察することにより、感応膜の膜厚を測定した。すなわち、略円形状に形成された感応膜の直径上における2点間の断面プロファイルを取得し、断面プロファイルから中心部の膜厚が最大部の膜厚に対して80%以下の膜厚であるものをコーヒーリング、80%超過であるものを平坦とした。
(観察条件)
対物レンズ:標準レンズ 20.0倍
測定エリア:面
測定モード:表面形状
RPD:精度優先
測定品質:高精細
測定ピッチ:0.5μm
Z測定距離:37.92μm
ワイドダイナミックレンジ:OFF
明るさ1:648
減光フィルタ:100%
光学ズーム:1倍
平均回数:1回
フィルタ:OFF
ホワイトバランスモード:ワンプッシュ
ホワイトバランスR:131
ホワイトバランスB:138
受光光量補正モード:γ補正
γ補正値:0.45
γオフセット:0
白黒反転:OFF
ヘッド種別:VK-9700
光量偏心補正:ON
像面湾曲補正:ON
XYキャリブレーション:688nm/pixel
Zキャリブレーション:1nm/digit
鮮やかさ:5
コントラスト:5
明るさ:0
(2)連続鎖状有機変性シリカの比表面積及び全細孔容量
BET窒素吸着により測定した。
(3)熱重量減少率
TGAにて空気雰囲気10℃/minで1000℃まで昇温させ、150℃と1000℃での熱重量減少量を有機分量とした。
(4)物理及び化学安定性
物理及び化学安定性は、エタノール、トルエンによる飽和蒸気試験後の構造安定性により評価した。具体的には、25℃にてエタノール、トルエン、水飽和蒸気(流量30sccm)10分/パージパージ(乾燥窒素下)10分を3回ずつ測定後、光学顕微鏡による観察で膜形状に変形がみられたものを×、変形がみられなかったものを〇とした。
(5)塗布液の分散性
塗布液をDLSによって測定した。Cumlantでの粒径が小さい値であるほど分散性に優れることを意味し、表1中、300nm以下であった場合を〇、300nm超過600nm未満であった場合を△、600nm以上であった場合を×とした。
(6)インクジェット塗布性
300pL、300発の塗布中に詰まりが生じ、塗布できたものを〇、できなかったものを×とした。
(7)応答感度
25℃にてエタノール(流量30sccm)10分/パージパージ(乾燥窒素下)10分を3回ずつ測定後、3つ目のピーク強度がブリッジ電圧1V(Vb=1V)あたり2mV/Vb以上のものを〇、1mV/Vb以上2mV/Vb未満のものを△、1mV/Vb未満のものを×した。
(8)再現性
5サンプル以上同条件でセンサを作製し、その応答強度を測定した。応答強度の最大と最小の比が1.5以下を「再現性あり」(表中、「高」)とし、1.5超過を「再現性なし」(表中、「低」)とした。
<実施例1>
セパラブルフラスコに、鎖状コロイダルシリカの2-プロパノール分散液であるIPA-UP(日産化学社製)50g、水80g、28%アンモニア水20g、2-プロパノール400gを入れ、さらにビニルトリエトキシシラン25.4gを加え、80℃で6時間反応させた。
反応液を空冷後、6000rpm,10分間遠心分離することにより沈殿物を単離した。上記沈殿物を、エタノールで十分に洗浄したのち、1g/mLになるようにN,N-ジメチルホルムアミドで溶解し、塗布液を得た。上記沈殿物の一部を80℃真空下で乾燥させて、熱重量減少量を測定した。
上記塗布液300pLを、マイクロジェットを用いて300滴として80℃のホットプレート上に配したMSSセンサの表面上に塗布し、シリカ粒子膜を得た。
得られたシリカ粒子膜のレーザー顕微鏡写真を図1に示した。図1に示されるように、シリカ粒子膜はコーヒーリング状であった。上記測定(1)~(7)の物性の測定結果を表1に示した。
<実施例2>
エタノール120g、ビニルトリエトキシシラン6.8g、テトラエトキシシラン9.3g、28%アンモニア水3.6gを混合し、ゲル化するまで室温で放置した。ゲルをろ過により液体と濾別し、エタノールで十分に洗浄したのち、1g/mlになるようにN,N-ジメチルホルムアミドで溶解し、塗布液を得た。ゲルとして得られた鎖状変性シリカの一部を80℃真空下で乾燥させて、熱重量減少量を測定した。
上記塗布液300pLを、マイクロジェットを用いて300滴として80℃のホットプレート上に配したMSSセンサの表面上に塗布し、シリカ粒子膜を得た。上記測定(1)~(7)の物性の測定結果を表1に示した。得られたシリカ粒子膜のSEM画像(鎖状有機変性シリカの画像)を図2に示した。
<実施例3>
ビニルトリエトキシシランをフェニルトリメトキシシラン79.3gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
得られたシリカ粒子膜のSEM画像(鎖状有機変性シリカの画像)を図3に示した。
<実施例4>
ビニルトリエトキシシランをフェニルトリエトキシシラン8.59gに変えたこと以外は、実施例2と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例5>
エタノールの量を180gに変えたこと以外は、実施例2と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例6>
ビニルトリメトキシシランを3-アミノプロピルトリエトキシシラン29.5gに変えたこと、及び、得られた沈殿物を、N,N-ジメチルホルムアミドの代わりにプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解し、塗布液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例7>
ビニルトリエトキシシランを3-アミノプロピルトリエトキシシラン7.91gに変えたこと、及び、得られた沈殿物を、N,N-ジメチルホルムアミドの代わりにプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解し、塗布液を得たこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例8>
ビニルトリメトキシシランを3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン31.8gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例9>
ビニルトリエトキシシランを3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン8.51gに変えた以外は、実施例2と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例10>
ビニルトリメトキシシランをオクチルトリエトキシシラン36.9gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例11>
ビニルトリメトキシシランをシクロヘキシルトリメトキシシラン27.2gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例12>
ビニルトリメトキシシランを3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン38.7gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例13>
ビニルトリメトキシシランを2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン98.6gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例14>
ビニルトリメトキシシランを3-(2-イミダゾリン-1-イル)プロピルトリエトキシシラン109.8gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例15>
ビニルトリメトキシシラン79.3gを、フェニルトリメトキシシラン14gとペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン20.2gとの混合物に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてシリカ粒子膜を得た。
<実施例16>
セパラブルフラスコに鎖状コロイダルシリカの2-プロパノール分散液IPA-ST-UP(日産化学製品)50g、水90g、28%アンモニア水10g、2-プロパノール300gに、フェニルトリメトキシシラン27.1gを加え80℃で4時間反応させた。
反応液を空冷後、6000rpm、10分間遠心分離することで沈殿物を単離した。エタノールでサンプルを十分に洗浄したのち、N,N-ジメチルホルムアミドで10g/mLになるように溶解し、塗布液を得た。サンプルの一部を80℃真空下で乾燥させて、熱重量減少率を測定した。
上記塗布液を、インクジェット装置を用いて1滴当たり600pLの量にて20滴を、50℃のホットプレート上に配したMSSセンサの表面上に塗布することにより感応膜付きの表面応力センサを得た。
図4は、一枚のMSSセンサのチップの4チャンネルすべてに同じ塗布液を塗布したマイクロスコープの画像である。
図5は、エタノール100ppm、25℃の測定により得られた3回目の電気シグナルである。ch1~ch4はいずれも実施例16の条件にて同様に塗布された。
<実施例17>
フェニルトリメトキシシラン10g、水10g、エタノール30g、28%アンモニア水を混合し、80℃で2時間反応させた。6000rpm、10分間遠心分離することで沈殿物を単離した。エタノールでサンプルを十分に洗浄したのち、N,N-ジメチルホルムアミドで10g/mLになるように溶解し、塗布液を得た。塗布液を、マイクロジェットを用いて1滴当たり600pLの量にて20滴を80℃のホットプレート上に配したMSSセンサの表面上に塗布した。
<実施例18>
フェニルトリメトキシシラン27.1gを4-クロロフェニルトリエトキシシラン37.6gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例19>
フェニルトリメトキシシラン27.1gを4-メトキシフェニルトリメトキシシラン30.4gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例20>
フェニルトリメトキシシラン27.1gを3-フリルトリエトキシシラン31.5gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例21>
フェニルトリメトキシシラン27.1gを3-チエニルトリエトキシシラン33.9gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例22>
フェニルトリメトキシシラン27.1gを4-アミノフェニルトリメトキシシラン23.3gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例23>
フェニルトリメトキシシラン27.1gをp-トリルトリメトキシシラン29gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例24>
フェニルトリメトキシシラン27.1gをフェニルトリメトキシシラン27.1g及び3-(2-イミザゾリンプロピル)トリエトキシシラン37.5gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例25>
フェニルトリメトキシシラン27.1gをフェニルトリメトキシシラン27.1g及び3-ウレイドプロピルトリエトキシシシラン21.6gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例26>
フェニルトリメトキシシラン27.1gをフェニルトリメトキシシラン27.1g及び3-[ビス[(ジフェニルホスフィノ)メチル]アミノ]プロピルトリメトキシシラン25.3gにしたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<実施例27>
IPA-ST-UP(日産化学製品)50gをIPA-ST-L(45nm球状シリカ)25gに変えたこと以外は、実施例16に準じて操作を行った。
<比較例1>
シリカチタニア粒子(粒状)を国際公開第2016/121155号に準じて合成した。
具体的には、オクタデシルアミン(ODA)が溶解したアンモニア塩基性のイソプロパノール(IPA)水溶液中における、3-アミノプロピルトリエトキシシランとチタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)の共加水分解、縮合重合反応により合成した。上記合成反応は、マイクロメートルサイズのY字型流路を有するテフロン(登録商標)製マイクロリアクタを用いて実施した。前駆溶液は、溶液1:3-アミノプロピルリエトキシシラン/IPA、溶液2:H2O/IPA/アンモニア、溶液3:TTIP/IPA、溶液4:H2O/IPAの4つとし、溶液1から溶液4まで体積を揃えて調製した。前駆溶液はシリンジポンプにより同時に一定速度で送液した。溶液1と溶液2、溶液3と溶液4を並列したマイクロリアクタ内でそれぞれ混合し、両リアクタからの吐出液をさらに別のマイクロリアクタ内で混合することにより、1つの反応液とした。反応液は別途調製しておいた前駆溶液5:ODA/H2O/IPA中へ吐出し、吐出終了まで一定速度で撹拌した。その後、室温で静置し、ナノ粒子分散液を得た。反応液を空冷後、6000rpm,10分間遠心分離することで沈殿物を単離した。エタノールで沈殿物を十分に洗浄したのち、1g/mlになるように水で懸濁し、超音波処理により塗布液を得た。
塗布液300pLを、マイクロジェットを用いて300滴として80℃のホットプレート上に配したMSSセンサの表面上に塗布しようと試みた。しかし、塗布液のインクジェットディスペンサに詰まりが発生し、塗布できなかった。
物理、化学安定性はスプレーコートで塗布したサンプルで評価した。
<比較例2>
2-プロパノール分散液IPA-UP(日産化学性)を2-プロパノールで1g/mlになるように希釈し、塗布液を作製した。塗布液300pLを、マイクロジェットを用いて300滴として80℃のホットプレート上に配したMSSセンサの表面上に塗布しようと試みた。しかし、塗布液のインクジェットディスペンサに詰まりが発生し、塗布できなかった。
物理、化学安定性はスプレーコートで塗布したサンプルで評価した。
<比較例3>
フェニルトリメトキシシラン10g、水10g、エタノール30g、28%アンモニア水を混合し、80℃で2時間反応させた。6000rpm,10分間遠心分離することにより沈殿物を単離した。エタノールで沈殿物を十分に洗浄したのち、1g/mlになるようにN,N-ジメチルホルムアミドで溶解し、塗布液を得た。
上記塗布液300pLを、マイクロジェットを用いて300滴として80℃のホットプレート上に配したMSSセンサの表面上に塗布し、膜を得た。なお、膜には、SiO2が含まれなかった。
上記測定(1)~(7)の物性の測定結果は表1に示した。エタノール、トルエン飽和蒸気下での3回ずつ(4)の物性測定後、光学顕微鏡による観察で膜形状に明らかな変形がみられた。
<比較例4>
実施例16の溶液を用いて、200pLずつ60発塗布することで、膜形状を平坦にした。レーザー顕微鏡の像を図6に示した。また、実施例16と比較例4をそれぞれ5サンプル以上同条件でセンサを作製し、その応答強度を箱ひげ図で図7に示した。図7に示されるように、比較例4の応答強度にはばらつきがあり再現性が低かった。すなわち、膜形状が平坦であることにより、再現性は低下した。
Figure 0007271346000001
Figure 0007271346000002
本発明の有機無機ハイブリッドは、表面応力(MSS)センサの感応膜として用いることができる。

Claims (3)

  1. 有機無機ハイブリッド膜を有する表面応力センサであって、
    前記有機無機ハイブリッド膜が、
    炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、ハロゲン原子、ホウ素原子、及びリン原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む有機官能基で変性されたSiO3/2骨格を含み、
    シリカ粒子が相互に接合することにより形成される連続鎖状構造を含み、
    シリカ粒子膜であり、かつ、
    コーヒーリング型の形状を有し、前記コーヒーリング型の形状が、円形状に形成された感応膜の直径上における2点間の断面プロファイルを取得し、前記断面プロファイルから中心部の膜厚が最大部の膜厚に対して80%以下である、表面応力センサ
  2. 前記コーヒーリング型の形状が、円形状に形成された感応膜の直径上における2点間の断面プロファイルを取得し、前記断面プロファイルから中心部の膜厚が最大部の膜厚に対して40%以下である、請求項1に記載の表面応力センサ
  3. 前記有機官能基が、炭素不飽和結合、芳香族、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、及びフッ素原子からなる群より選択される少なくとも一つを含む、請求項1又は2表面応力センサ

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