以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
図1は本実施形態の車両用ミラー1の平面図であり、図2は図1のA-A線断面を示す模式図であり、図3は図1のB-B線断面を示す模式図である。図1には、互いに直交する3方向であるX方向、Y方向、及びZ方向が右手座標系で定義されている。以下では、Z方向を正面方向とし、各断面では、Z方向の正側を上側とし、負側を下側とする。従って、例えば正面視とは、Z方向に視たビューを意味する。
なお、本実施形態は、車両用ミラー1として車内に設けられるバックミラーを示しているが、車外に設けられるドアミラー等であってもよい。
また、本実施形態では、例えば、車両用ミラー1が搭載される車両(以下、「自車」とも称する)には、自車後方を撮像する車載カメラ96(図6A参照)が搭載されており、車載カメラ96の撮像する映像(スルー画像等)が車両用ミラー1に表示されることを想定している。ただし、変形例では、車載カメラ96が搭載されているが、後述するカメラモードが存在しない構成や、車載カメラ96が搭載されておらず、後述するカメラモードが存在しない構成等であってもよい。
図2及び図3に示すように、車両用ミラー1は、筐体10と、筐体10の開口部10Aを塞ぐように取り付けられる透明のカバー11と、筐体10内に収容された画像表示部20と、画像表示部20の画像出力側(図2及び図3の上側)に配置され、筐体10内に収容されたミラー部30と、を備えている。
(筐体10)
筐体10は、以下で説明する各部材を収容し、車両用ミラー1の外観を形成する部分である。
そして、図2及び図3では、筐体10を一体型のものとして描いているが、筐体10は、一体型のものに限定する必要はなく、成形上の観点や画像表示部20及びミラー部30を収容させる観点で、複数の部分に分離可能になっていてもよい。
(画像表示部20)
画像表示部20は、自車の後方側に設けられる車載カメラ96(図6A参照)の映像(スルー画像)等を表示する部分であり、画像出力側(図2及び図3の上側)に画像の出力が可能な開口部21Aを有するケース21と、ケース21内に配置され、制御基板22(制御部の一例)よりも開口部21A側に設けられた液晶モニタ23と、を備える。制御基板22は、ケース21内に配置され、ケース21の底部側(図2及び図3の下側)に設けられる。なお、制御基板22は、画像表示部20とは別に設けられてもよい。
なお、画像表示部20は、後述のように、車載カメラ96の映像(スルー画像)を表示する以外に、必要に応じて警告等の表示を行ってよい。また、変形例では、画像表示部20(制御基板22を除く構成)は、省略されてもよい。以下、このような変形例を、単に「画像表示部20が省略される変形例」とも称する。
制御基板22は、例えばマイクロコンピュータのような処理装置が実装される。制御基板22は、ECU(Electronic Control Unit)を形成する。制御基板22は、液晶モニタ23のどの部分(全面又は後述するあらかじめ決められた一部等)に、どのように車載カメラ96の映像(スルー画像)等を表示するのかを制御するとともに、後述するミラー部30の制御も行い、車両用ミラー1全体の制御を司る制御部になっている。なお、画像表示部20が省略される変形例では、制御基板22は、以下で説明する各種制御のうちの、液晶モニタ23の表示制御を除く部分(特に、ミラー部30の制御)を行う。制御基板22の詳細例は、図6A等を参照して後述する。
液晶モニタ23は、一般に知られているものでよく、例えば、バックライトと、バックライトの光出力側に配置されたカラー液晶表示部と、を備えており、カラー液晶表示部は、バックライト側から順に、裏面側偏光板、裏面側ガラス基板、液晶層、RGB用のカラーフィルタ、表面側ガラス基板、及び表面側偏光板、を備えている。
また、カラー液晶表示部は、裏面側ガラス基板の液晶層側の面に設けられ、カラーフィルタのそれぞれの画素が備えるRGBに対応したサブ画素ごとに形成された複数の画素電極と、カラーフィルタの液晶層側の面に設けられ、液晶層全体に対応するように形成された1つの対向電極(共通電極とも呼ばれる)と、を備えている。
なお、画素電極及び対向電極は、ITO等の透明電極材料が使用された透明電極になっており、例えば、画素電極のそれぞれには、アドレス線とデータ線によって制御される薄膜トランジスタ(TFT)が設けられ、画素電極に対する電圧の印加が個別に制御されるようになっている。
そして、カラー液晶表示部は、例えば、対向電極の電圧を一定にして、出力する画像に対応させるように画素電極の電圧を制御することで、サブ画素ごとにバックライトからの光を透過又は遮断させることでカラー画像の表示を行う。
このように、カラー液晶表示部は、液晶シャッタの原理で画像光を出力する制御を行っているため、その画像を形成するサブ画素に対応する光は、偏光した光になっており、この光を第1偏光の光ということにする。
したがって、画像表示部20は、第1偏光の光で画像を表示するものとなっている。
そして、以降の説明で出てくる第1偏光の光は、カラー液晶表示部から出力される光と同じ偏光状態である光を意味し、第1偏光に対して垂直に偏光した光を第2偏光の光と呼ぶ。
なお、本実施形態のカラー液晶表示部から出力される光はP偏光の光になっており、このため、本実施形態では、第1偏光の光がP偏光の光であり、第2偏光の光がS偏光の光である。
しかしながら、カラー液晶表示部の種類によっては、出力される光がS偏光の光である場合もあり、その場合には、第1偏光の光がS偏光の光であり、第2偏光の光がP偏光の光となる。
(ミラー部30)
ミラー部30は、図2に示すように、画像表示部20側から順に、第1偏光(P偏光)の光を透過し、第2偏光(S偏光)を反射する第1偏光板31(偏光層の一例)と、画像表示部20側を向く面に第1偏光板31が設けられた透明なガラス基板32と、光の偏光状態を制御する偏光制御部33と、透明なガラス基板34と、ガラス基板34の画像出力側(図2の上側)を向く面に設けられ、第1偏光(P偏光)の光を透過し、第2偏光(S偏光)の光を吸収する第2偏光板35(表偏光層の一例)と、を備えている。
なお、第1偏光板31及び第2偏光板35は、剛性の高い板材として形成されたものに限られる必要はなく、剛性の低いフィルム材として形成されているものでもよく、本実施形態では、第1偏光板31及び第2偏光板35にフィルム状のものを使用している。
偏光制御部33は、図2に示すように、液晶層33Aと、液晶層33Aの第1偏光板31側に設けられた下側電極部33Bと、液晶層33Aの第2偏光板35側に設けられた上側電極部33Cと、を備えている。液晶層33Aは、印加される電圧に応じて液晶分子の配向方向が変化する。液晶層33Aは、TN型液晶など任意のタイプであってよい。
ここで、本実施形態では、図1に示すように、銀色の蒸着や塗装等を行い、常時、ミラーとして機能する鏡面仕上げの固定ミラー部Mを除く、ミラーとして機能する領域(以下、単に、ミラーとして機能する領域とだけ記載する)を第1エリアB1(第1領域の一例)と、第2エリアB2(第2領域の一例)と、第3エリアB3(第3領域の一例)とに分けており、それに対応して、図3に示すように、下側電極部33Bが、複数のエリア電極で形成されている。なお、図1(後出する図12も同様)では、第1エリアB1等が点線で境界付けられているが、当該点線は、あくまで説明用であり、実際には可視でない。
本実施形態では、図1に示すように、第1エリアB1は、ミラーとして機能する領域のうちの、中央部であり、第2エリアB2は、第1エリアB1を囲繞する態様で設定され、第3エリアB3は、第2エリアB2を囲繞する態様で設定される。
第1エリアB1は、後述するように、自動防眩制御の際に反射率が比較的低くなるように制御されうる領域であり、後方車両のヘッドライトの光によってユーザ(典型的には、運転者)の感じる眩しさを低減するための領域である。この観点から、第1エリアB1は、車両用ミラー1の取り付け状態において、ミラーとして機能する領域における、後方車両のヘッドライトの光が反射する領域を包含するような位置及びサイズで設定される。
第2エリアB2は、後述するように、自動防眩制御の際に反射率が中間値(第1エリアB1と第3エリアB3)になるように制御されうる領域である。第2エリアB2は、自動防眩制御の際に生じうる、第1エリアB1と第3エリアB3との間の反射率の差を緩和する機能を有する。この観点から、第2エリアB2は、第1エリアB1と第3エリアB3との間に設定される。
第3エリアB3は、後述するように、自動防眩制御の際にミラー状態とされる領域であり、ミラー状態となる領域を最大化するための領域である。
なお、他の実施形態では、第2エリアB2及び第3エリアB3のうちの一方が省略(他方によって置換)されてもよいし、第4エリアのような更なるエリアが追加されてもよい。
なお、固定ミラー部Mの鏡面仕上げは、カバー11の筐体10で受けられる側の面に施されており、鏡面仕上げとは、上述のように蒸着や塗装に限られる必要はなく、ミラーとして光が反射できる仕上げになっていることを意味する点に留意されたい。
具体的には、本実施形態では、ミラーとして機能する領域は、第1エリアB1と、第2エリアB2と、第3エリアB3と、の3つのエリアに分けられているので、下側電極部33Bが、第1エリアB1に対応する領域に設けられた第1エリア電極33B1(第1電極部分の一例)と、第2エリアB2に対応する領域に設けられた第2エリア電極33B2(第2電極部分の一例)と、第3エリアB3に対応する領域に設けられた第3エリア電極33B3(第3電極部分の一例)と、の3つのエリア電極で形成されている。すなわち、第1エリア電極33B1は、正面視で、第1エリアB1に重なるように配置され、第2エリア電極33B2は、正面視で、第2エリアB2に重なるように配置され、第3エリア電極33B3は、正面視で、第3エリアB3に重なるように配置される。
より具体的には、ガラス基板32の液晶層33A側の面にITO等の透明電極材料を用いて第1エリア電極33B1、第2エリア電極33B2、及び第3エリア電極33B3を形成するようにしている。
図4は、第1エリア電極33B1、第2エリア電極33B2、及び第3エリア電極33B3のパターンの一例を示す正面図である。
図4に示す例では、第1エリア電極33B1、第2エリア電極33B2、及び第3エリア電極33B3は、それぞれ、Y方向負側に通電用の引き出し部33B1-1、33B2-1、33B3-1を有する。引き出し部33B1-1、33B2-1、33B3-1は、制御基板22に電気的に接続される。なお、引き出し部33B1-1、33B2-1、33B3-1は、図4に示す位置に限られず、任意であるが、同一の側から引き出される方が配線上、有利となる。すなわち、容易に取り回しが可能となり、省スペース化及び低コスト化を図ることができる。
上側電極部33Cは、図3に示すように、ミラーとして機能する領域の全体(液晶層33A全体)に設けられた1つの共通電極で形成されており、具体的には、ガラス基板34の液晶層33A側の面にITO等の透明電極材料を用いて共通電極を形成するようにしている。
ただし、後述の説明でわかるように、第1エリアB1に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、第2エリアB2に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、第3エリアB3に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧とが、個別に制御でき、第1エリアB1に対応する液晶層33Aの液晶分子の配向方向と、第2エリアB2に対応する液晶層33Aの液晶分子の配向方向と、第3エリアB3に対応する液晶層33Aの液晶分子の配向方向と、が、個別に制御可能であれば問題ないため、上側電極部33Cも、第1エリアB1に対応する領域に設けられた共通電極と、第2エリアB2に対応する領域に設けられた共通電極と、第3エリアB3に対応する領域に設けられた共通電極と、で形成されたものになっていてもよい。
なお、上述のように、第1エリアB1に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、第2エリアB2に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、第3エリアB3に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、が個別に制御できればよいため、下側電極部33Bをミラーとして機能する領域の全体(液晶層33A全体)に設けられた1つの共通電極で形成し、上側電極部33Cを第1エリアB1に対応する領域に設けられた第1エリア電極と、第2エリアB2に対応する領域に設けられた第2エリア電極と、第3エリアB3に対応する領域に設けられた第3エリア電極と、で形成されているものとしてもよい。
そして、この場合であっても、共通電極とする下側電極部33Bが、第1エリアB1、第2エリアB2、及び第3エリアB3にそれぞれ対応する複数の共通電極(本例では3つの共通電極となる)で形成されているものになっていてもよい。
このように、下側電極部33B及び上側電極部33Cは、ミラーとして機能する領域に設けられるエリア数に応じて、下側電極部33B又は上側電極部33Cのうちの少なくとも一方の電極部が、そのエリアに対応した複数のエリア電極で形成され、エリア電極で形成されていない方の電極部が1つの共通電極、又は、そのエリアに対応した複数の共通電極で形成されていればよい。
本実施形態では、上述のように、第1エリアB1に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、第2エリアB2に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、第3エリアB3に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、を個別に制御できる。
このため、例えば、第1エリアB1に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧を最大値(例えば5(V))としつつ、第2エリアB2に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧を最大値(例えば2.5(V))とし、第3エリアB3に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧を最小値(例えば0(V))とすることも可能であるし、第1エリアB1、第2エリアB2、及び第3エリアB3のそれぞれに対応する各液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧を最小値(例えば0(V))とすることも可能である。
本実施形態では、一例として、制御基板22は、第1エリアB1に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、第2エリアB2に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、第3エリアB3に対応する液晶層33Aの液晶分子に印加する電圧と、を個別に制御することで、ミラーモード、カメラモード、及び防眩ミラーモードを形成する。ミラーモードは、第1エリアB1、第2エリアB2及び第3エリアB3がすべてミラーとして機能する状態である。カメラモードは、第1エリアB1、第2エリアB2及び第3エリアB3がすべて透明な状態となり画像表示部20が機能する状態である。防眩ミラーモードとは、第1エリアB1、第2エリアB2及び第3エリアB3がすべて防眩ミラーとして機能する。ただし、本実施形態では、防眩ミラーモードにおいて、第1エリアB1、第2エリアB2及び第3エリアB3の間で反射率を異ならせる。なお、上述のように、画像表示部20が省略される変形例では、カメラモードは省略される。
(ミラーモード)
図5Aは、本実施形態の車両用ミラー1がミラーモードのときの動作を説明するための図であり、説明がわかりやすいように、文字等の記載はあるが、基本的に、図2と同様の図になっている。
まず、液晶層33Aに電圧が印加されない場合、つまり、下側電極部33Bの電圧V1と上側電極部33Cの電圧V2が同じ電圧であり、電圧差ΔVが0(V)である場合には、液晶層33Aの液晶分子の配向方向は、変化しない。
本実施形態では、下側から液晶層33Aに入射する光が第2偏光(S偏光)であれば、液晶層33Aの上側から出射するときには光が第1偏光(P偏光)になり、逆に、上側から液晶層33Aに入射する光が第1偏光(P偏光)であれば、液晶層33Aの下側から出射するときには光が第2偏光(S偏光)になる。
なお、以下、この電圧差ΔVを液晶層33Aに印加される電圧ΔVともいう。
一方、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが大きくなるのにつれて、液晶層33Aの液晶分子の配向方向が変化し、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが最大のときには、液晶層33Aは光の偏光状態を変える機能を発揮しないようになる。
つまり、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが最大のときには、液晶層33Aに入射する光が第2偏光(S偏光)であれば、液晶層33Aから出射するときの光も第2偏光(S偏光)となり、同様に、液晶層33Aに入射する光が第1偏光(P偏光)であれば、液晶層33Aから出射するときの光も第1偏光(P偏光)となる。
なお、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが大きくなるのにつれて、液晶層33Aに入射する光が第2偏光(S偏光)であれば、液晶層33Aから出射するときも第2偏光(S偏光)である光の割合が増加していく。
また、同様に、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが大きくなるのにつれて、液晶層33Aに入射する光が第1偏光(P偏光)であれば、液晶層33Aから出射するときも第1偏光(P偏光)である光の割合が増加していく。
そして、ミラーモードでは、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが0(V)となるように、下側電極部33Bの電圧V1と上側電極部33Cの電圧V2が制御される。
例えば、下側電極部33Bの電圧V1を0(V)とし、上側電極部33Cの電圧V2を0(V)とする制御を行う。
なお、当然、下側電極部33Bの電圧V1を5(V)とし、上側電極部33Cの電圧V2を5(V)とする制御を行っても、液晶層33Aに印加される電圧ΔVは0(V)となるので問題はない。
ここで、外光は第1偏光(P偏光)と第2偏光(S偏光)の光がほぼ同じ割合で含まれているので、図5Aに示すように、カバー11を透過して入射した外光は、第2偏光板35によって、第2偏光(S偏光)の光が吸収され、第1偏光(P偏光)の光だけが第2偏光板35を透過することになる。
そして、その第2偏光板35を透過した第1偏光(P偏光)の光は、ガラス基板34に入射することになるが、ガラス基板34には、偏光状態を変化させる機能がないので、第1偏光(P偏光)の光のまま、次の液晶層33Aに入射することになる。
ここで、先に、説明したように、ミラーモードのときには、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが0(V)であり、このときには液晶層33Aを透過する過程で偏光状態が変化し、第1偏光(P偏光)の光は、液晶層33Aを出射するときには、第2偏光(S偏光)の光に変化するので、第1偏光板31に到達するときには、第2偏光(S偏光)の光になっている。
このため、その光は、第1偏光板31で反射され、再び、液晶層33Aに入射するが、ここでも液晶層33Aを透過する過程で偏光状態が変化するため、液晶層33Aを出射するときには、第1偏光(P偏光)の光になっている。
したがって、液晶層33Aから出射した光は、ガラス基板34を透過した後に第2偏光板35を更に透過し、カバー11を介して車両用ミラー1の外部に照射される。
このように、ミラーモードのときには、外光のうちの第1偏光(P偏光)の光が反射されるので、ミラーとして機能する。
一方、ミラーモードのときには、画像表示部20を使用しないのでOFF(バックライト消灯)の状態とされ、液晶モニタ23は黒の表示状態となる。
(カメラモード)
図5Bは、本実施形態の車両用ミラー1がカメラモードのときの動作を説明するための図であり、説明がわかりやすいように、文字等の記載はあるが、基本的に、図2と同様の図になっている。図5Cは、カメラモードのときの下側電極部33Bと上側電極部33Cとに印加される電圧の時系列波形を模式的に示す図である。
カメラモードでは、ミラーとして機能する領域の全体(すなわち第1エリアB1、第2エリアB2及び第3エリアB3)をモニタとして機能させようとする状態であるため、画像表示部20をON(バックライト点灯)の状態として、液晶モニタ23全体に車載カメラ96の映像(スルー画像)が表示される。
そして、カメラモードでは、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが最大の状態とされ、液晶層33Aが光の偏光状態を変える機能を発揮しないようにされる。
そうすると、画像表示部20は、第1偏光(P偏光)の光で画像を表示するものとなっているので、画像表示部20からの画像の光(画像光ともいう)は、第1偏光板31を透過し、液晶層33Aに入射するが、ここでも偏光状態が変化しないので、第1偏光(P偏光)の光のまま、ガラス基板34に入射する。
そして、ガラス基板34も偏光状態を変化させないため、画像光は、第1偏光(P偏光)の光のまま、第2偏光板35に到達し、第2偏光板35を透過してカバー11を介して車両用ミラー1の外部に照射される。
当然、各部材には多少の光の吸収があるものの、画像表示部20からの画像光は、その吸収を除けばほぼ全て車両用ミラー1の外部に照射されるので、運転者は鮮明な画像を見ることができる。
一方、車両用ミラー1に入射する外光は、先ほどのミラーモードのときのように第1偏光板31で反射されることなく、画像表示部20側に向かうことになるので、再び、車両用ミラー1から外部に照射されることはない。
なお、カメラモードでは、図5Cに示すように、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが最大値Vmaxとなるように、下側電極部33Bと上側電極部33Cには、1フレームごとに正と負の電圧が交互に印加され、その差が電圧ΔVとなる。換言すると、下側電極部33Bには、電圧波形V1が印加され、上側電極部33Cには、電圧波形V2が印加され、電圧波形V1と電圧波形V2とは、振幅がVmaxであり、位相が反転した関係である。
(防眩ミラーモード)
図5Dは、防眩ミラーモードのときの第1エリア電極33B1と上側電極部33Cとに印加される電圧の時系列波形を模式的に示す図である。
防眩ミラーモードのときには、ミラーモードのときと同様に、画像表示部20を使用しないのでOFF(バックライト消灯)の状態とされ、液晶モニタ23は黒の表示状態とされる。
防眩ミラーモードのときには、第3エリアB3は、ミラーモードのときと同様、常にミラー状態(すなわち反射率が、制御可能な範囲の最大値)とされる。すなわち、第3エリアB3に関しては、液晶層33Aに印加される電圧ΔVが最小値(0(V))とされる。ただし、別の実施形態では、第3エリアB3は、第2エリアB2(及び第1エリアB1)以上となる態様で、反射率が可変とされてもよい。
他方、防眩ミラーモードのときは、第1エリアB1は、運転者が後方車両のヘッドライトの反射光により眩惑されることを防止するために、ミラーモードのときとは異なり、第2偏光板35を透過する第1偏光(P偏光)の光を常に全て車両用ミラー1の外部に照射することは行わない。
具体的に説明すると、本実施形態では、車両用ミラー1には、カバー11以外の位置であって、後方車両のヘッドライトから車両用ミラー1に向けて照射されている光の光量を測定できる位置に光量センサ90(後述)が設けられており、光量センサ90の検出する光量(光の強度)に応じて、液晶層33Aに印加する電圧ΔVを調節する制御(自動防眩制御)が行われる。
具体的には、防眩ミラーモードでは、図5Dに示すように、第1エリアB1においては液晶層33Aに印加される電圧ΔVが所定電圧となるように、第1エリア電極33B1と上側電極部33Cには、1フレームごとに正と負の電圧が交互に印加され、その差が電圧ΔVとなる。この際、所定電圧は、グレア光の強度に応じて、0(V)と最大値Vmax(例えば5(V))との間で可変される。
例えば、後方車両のヘッドライトから車両用ミラー1に向けて照射されている光の光量が多く、車両用ミラー1に入射する外光の光量が多い場合には、第1エリアB1において、液晶層33Aに印加する電圧ΔVを大きくする制御を行う。
そうすると、ミラーモードのところで説明したように、第1エリアB1において、液晶層33Aに印加する電圧ΔVが大きくなるにつれて、液晶層33Aが光の偏光状態を変える機能を発揮しないようになっていくので、ミラーモードのときには、第1偏光板31に到達した光のほとんどが反射されたが、防眩ミラーモードのときは、第1偏光板31に到達する光の一部が反射し、残りの一部は第1偏光板31を透過して画像表示部20側に向かうことになる。
そして、画像表示部20側には、光を反射する構成が存在しないので、第1偏光板31を透過して画像表示部20側に向かった光が再び第1偏光板31側に戻って来ることはない。
また、第1偏光板31で反射され、再び、液晶層33Aに入射する第2偏光(S偏光)の光にあっても、液晶層33Aを透過する過程で第1偏光(P偏光)の光に偏光状態が変わるのは一部であり、その第1偏光(P偏光)の光に偏光状態が変わった光だけが第2偏光板35を透過して、カバー11を介して車両用ミラー1の外部に照射される。
このように、防眩ミラーモードでは、第1エリアB1においては、第2偏光板35を透過した外光の第1偏光(P偏光)の光のうちの一部の光が反射されて、車両用ミラー1の外部に照射されることになるので、車両用ミラー1から外部に照射される光の光量が低減し、運転者が眩惑されることを防止できる。
なお、車両用ミラー1から外部に照射される光の光量を減衰させすぎると、ミラーとして機能しなくなるので、当然、液晶層33Aに印加する電圧ΔVは、運転者が眩惑されず、かつ、ミラーとしての機能を果たす光量の光が車両用ミラー1から外部に照射できるように制御される。なお、自動防眩制御の更なる詳細例は、図6A及び図6Bを参照して後述する。
また、防眩ミラーモードのときは、第2エリアB2は、ミラーモードのときとは異なり、第2偏光板35を透過する第1偏光(P偏光)の光を常に全て車両用ミラー1の外部に照射することは行わない。
本実施形態では、第2エリアB2においては、第1エリアB1と第3エリアB3との間の反射率の差を緩和する機能を第2エリアB2が果たすべく、第1エリアB1よりも反射率が高く(かつ第3エリアB3よりも反射率が低く)なるように、第2エリアB2における液晶層33Aに印加する電圧ΔVを調節する制御(自動防眩制御)が行われる。
より具体的には、第1エリア電極33B1と上側電極部33Cとの間に印加される電圧ΔVを、電圧ΔV1とし、第2エリア電極33B2と上側電極部33Cとの間に印加される電圧ΔVを、電圧ΔV2とし、第3エリア電極33B3と上側電極部33Cとの間に印加される電圧ΔVを、電圧ΔV3としたとき、ΔV1>ΔV2>ΔV3とされる。
(制御基板22の詳細例)
図6Aは、制御基板22の主要な機能の一例を示すブロック図である。制御基板22には、光量センサ90、日照センサ92、自動防眩スイッチ94、及び車載カメラ96が電気的に接続される。なお、車載カメラ96は、制御基板22に適切なバスを介して電気的に接続されてよい。この場合、制御基板22は、CAN(Controller Area Network)を介して、車載カメラ96以外の自車内の電子部品(例えばレーダセンサ等)から情報を取得してもよい。
光量センサ90は、入射する光の量に応じた電気信号を生成する光量検出手段である。光量センサ90は、例えばフォトダイオードであってよい。光量センサ90は、後方車両のヘッドライトによる光量を計測できるように、後方向きに設けられる。例えば、光量センサ90は、筐体10の額縁部10aに埋設されてもよい(図1参照)。光量センサ90が出力する電気信号は、車両用ミラー1に入射する光(外光)の光量を表す。光量センサ90が出力する電気信号は、外光量情報として制御基板22に入力される。
日照センサ92は、光量センサ90と同様、入射する光の量に応じた電気信号を生成する光量検出手段であり、例えばフォトダイオードであってよい。日照センサ92は、光量センサ90とは異なり、後方車両のヘッドライトからの光の影響を受けないように、例えば車両用ミラー1の前面側に設けられてよい。
自動防眩スイッチ94は、自動防眩制御のオン/オフ状態を切り替えるためのスイッチであり、ユーザにより操作可能である。自動防眩スイッチ94は、例えば車両用ミラー1の筐体10の側部等に設けられてもよい。
車載カメラ96は、上述したように、車両後方の風景を撮像する。なお、上述したように、画像表示部20が省略される変形例では、車載カメラ96は省略されてよい。
制御基板22は、周囲光情報取得部220と、モード決定部222と、反射率制御部224と、画像出力制御部226と、記憶部228とを含む。周囲光情報取得部220、モード決定部222、反射率制御部224、及び画像出力制御部226は、例えば、制御基板22上に実装されるCPU(Central Processing Unit、図示せず)が、制御基板22上に実装される記憶装置(図示せず、例えばROM(Read Only Memory))内のプログラムを実行することで実現できる。記憶部228は、制御基板22上に実装される記憶装置(図示せず、例えばROM)により実現できる。
周囲光情報取得部220は、日照センサ92からの周囲光の光量を表す周囲光情報を取得する。なお、他の実施形態では、周囲光情報取得部220は、画像センサから周囲光の光量を表す周囲光情報を取得してもよい。この場合、画像センサは、専用の画像センサであってもよいし、他の用途で使用される画像センサ(例えば車載カメラ96)であってもよい。
モード決定部222は、自動防眩スイッチ94のオン/オフ状態と、車両用ミラー1の制御モード(制御状態)を決定する。本実施形態では、一例として、上述のように、3つのモード(ミラーモード、カメラモード、及び防眩ミラーモード)間でモードを切り替える(いずれかのモードを決定する)。なお、上述したように、画像表示部20が省略される変形例では、カメラモードは省略される。
具体的には、モード決定部222は、自動防眩スイッチ94がオン状態である場合は、防眩ミラーモードに設定し、自動防眩スイッチ94がオフ状態である場合は、ミラーモードに設定する。また、モード決定部222は、ユーザによりカメラモードが指定されると、モードを“カメラモード”に決定する。この場合、車載カメラ96からの画像に基づいて上述した画像出力制御部226が機能する。なお、カメラモードの指定は、例えばモード選択スイッチ(図示せず)の操作により可能とされてよい。この場合、自動防眩スイッチ94は、モード選択スイッチとして実現されてもよい。
反射率制御部224は、モード決定部222により決定されるモードが“防眩ミラーモード”である場合、光量センサ90からの外光量情報に基づいて自動防眩制御を行う。
自動防眩制御を行う際、例えば、反射率制御部224は、光量センサ90からの外光量情報と、日照センサ92からの周囲光の光量を表す周囲光情報とに基づいて、グレア光の強度に応じた車両用ミラー1の反射率(制御目標値)を決定する。例えば、図6Bに示すような関係(グレア光の強度と反射率との関係)になるように、グレア光の強度に応じた車両用ミラー1の反射率(制御目標値)が決定される。図6Bは、横軸にグレア光の強度を取り、縦軸に反射率を取り、グレア光の強度に応じた車両用ミラー1の反射率(制御目標値)の曲線600が示される。この場合、グレア光の強度が閾値Th1を超えるまでは、車両用ミラー1の反射率(制御目標値)は、最大値(ミラー状態に対応)とされ、グレア光の強度が閾値Th1を超えると、車両用ミラー1の反射率(制御目標値)は徐々に最小値(透過状態に対応、例えば20%程度)に向かって低減される。なお、図6Bに示すような関係は、マップ情報として、記憶部228に予め記憶される。なお、グレア光の強度は、光量センサ90からの外光量情報と、日照センサ92からの周囲光の光量を表す周囲光情報とに基づいて算出されてもよいし、光量センサ90からの外光量情報に基づいて算出されてもよい。
反射率制御部224は、このようにして制御目標値を決定すると、当該制御目標値が実現されるように、第1エリアB1における液晶層33Aに印加する電圧ΔVを制御する。また、同時に、制御基板22は、第2エリアB2における液晶層33Aに印加する電圧ΔVを制御する。この際、上述したように、第1エリアB1における液晶層33Aに印加する電圧ΔVを、電圧ΔV1とし、第2エリアB2における液晶層33Aに印加する電圧ΔVを、電圧ΔV2としたとき、ΔV1>ΔV2とされる。このとき、所定の係数kを用いて、ΔV2=k×ΔV1として算出されてもよい。この場合、kは、0よりも大きく1よりも小さい。
図7は、反射率制御部224による制御目標値の他の決定方法を説明するための表図である。図7には、制御目標値としての反射率が示される。なお、「ミラー」は、制御可能な範囲内の反射率の最大値を表し、当該最大値は、30%よりも有意に大きい。
具体的には、図7において、「エリア1」は、第1エリアB1に対応し、「エリア2」は、第2エリアB2に対応し、「エリア3」は、第3エリアB3に対応する。「ミラー」は、上述のように、反射率が最大(制御可能な範囲内の最大)になるように制御されている状態(ミラー状態)に対応する。「昼間」及び「夜間」は、周囲光の光量に関連して決まる期間であり、例えば「昼間」は、周囲光の光量が比較的多い期間(周囲が比較的明るい期間)であり、「夜間」は、周囲光の光量が比較的少ない期間(周囲が比較的暗い期間)である。なお、「昼間」と「夜間」とは、周囲光の光量と、所定の昼夜判定用の閾値とに基づいて判定できる。この場合、周囲光の光量が昼夜判定用の閾値よりも大きい値であれば、「昼間」と判定され、周囲光の光量が昼夜判定用の閾値よりも小さい値であれば、「夜間」と判定されてよい。周囲光の光量は、周囲光情報取得部220からの周囲光情報に基づいて算出できる。なお、別の実施形態では、「昼間」と「夜間」とは、時間(時計)によって判定されてもよい。また、「グレア光」の欄の「有り」は、グレア光の強度が比較的高い状態を表し、「無し」は、グレア光の強度が比較的低い状態を表す。グレア光の「有り」と「無し」とは、光量センサ90からの外光量情報に基づく外光量と、所定のグレア判定用の閾値とに基づいて判定できる。この場合、外光量がグレア判定用の閾値よりも大きい値であれば、「有り」と判定され、外光量がグレア判定用の閾値よりも小さい値であれば、「無し」と判定されてよい。なお、グレア判定用の閾値は、図6Bに示した閾値Th1に対応する値であってもよいし、図6Bに示した閾値Th1に対応する値よりも大きい値であってもよい。
図7に示す例では、反射率制御部224は、「昼間」においては、グレア光の「有り」と「無し」のいずれにおいても、すべてのエリア(第1エリアB1、第2エリアB2、及び第3エリアB3)をミラー状態に制御する。
また、反射率制御部224は、「夜間」においては、グレア光の「無し」の場合は、すべてのエリア(第1エリアB1、第2エリアB2、及び第3エリアB3)をミラー状態に制御する。
他方、反射率制御部224は、「夜間」において、グレア光の「有り」の場合は、第1エリアB1の反射率が10%となり、第2エリアB2の反射率が30%となり、第3エリアB3がミラー状態となるように、液晶層33Aに印加する電圧ΔVを制御する。
図6Aを再度参照するに、画像出力制御部226は、モード決定部222により決定されるモードが“カメラモード”である場合、車載カメラ96からの映像を画像表示部20に出力する。なお、上述したように、画像表示部20が省略される変形例では、画像出力制御部226は省略される。
(本実施形態の効果等)
図8Aは、後方車両が映る本実施形態の車両用ミラー1の状態を模式的に示す図であり、図8Bは、後方車両が映る比較例の車両用ミラーの状態を模式的に示す図である。図8A及び図8Bは、ともに、運転者から見た車両用ミラーの状態を模式的に示す。
図8Aでは、後方車両のヘッドライトの位置が第1エリアB1内に位置する。従って、この場合、後方車両のヘッドライトからの光は、第1エリアB1の比較的低い反射率で反射されることになるので、運転者が眩しさを感じる可能性は低くなる。このようにして、本実施形態によれば、後方車両のヘッドライトの位置が第1エリアB1内に位置する場合に、運転者が眩しさ(グレア)を感じる可能性を低減できる。
ここで、グレアが問題となるときの、車両用ミラー1に映る後方車両のヘッドライトの位置は、厳密には一定ではないが、車両用ミラー1のミラーとして機能する領域において、ある程度の範囲内に収まる傾向がある。従って、車両用ミラー1のミラーとして機能する領域において、第1エリアB1のサイズや位置を適切に設定することで、自動防眩制御の有用性を高めることができる。
この点、グレアが問題となるときの車両用ミラー1に映る後方車両は、典型的には、同一車線上の後方車両である。従って、第1エリアB1を、同一車線上の後方車両が映る領域、すなわち車両用ミラー1のミラーとして機能する領域の左右方向の中心(図1の上下方向かつ左右方向の中心O参照)が含まれるように設定することで、自動防眩制御の有用性を高めることができる。
また、車両用ミラー1の向き(運転者の好み)等にも依存するが、グレアが問題となるときの、車両用ミラー1に映る後方車両のヘッドライトの位置は、車両用ミラー1のミラーとして機能する領域の上下方向の中心付近であることが多い傾向がある。従って、第1エリアB1を、ミラーとして機能する領域の上下方向の中心(図1の上下方向かつ左右方向の中心O参照)が含まれるように設定することで、自動防眩制御の有用性を高めることができる。
ところで、図8Bに示すような比較例の構成では、ミラーとして機能する領域B4が分割されておらず、領域B4全体として反射率が可変とされる。この場合、ミラーとして機能する領域B4を比較的低い反射率に制御すれば、図8Bに示すように、車両用ミラーに映る後方車両のヘッドライトの位置は、必ず、比較的低い反射率の領域B4内に位置することになる。このため、比較例によれば、運転者が眩しさ(グレア)を感じる可能性を確実に低減できる。
しかしながら、その反面として、図8Bに示すような比較例の構成では、グレアを与えうる後方車両が検出されると、ミラーとして機能する領域B4の全体が一様に比較的低い反射率に制御されることになるので、ミラーとして機能する領域B4のうちの、他の領域(後方車両のヘッドライトが映る領域以外の周辺領域)に映る物体又は風景の視認性が不必要に損なわれる。すなわち、図8Bに示すような比較例の構成では、グレアを与えうる後方車両が検出されると、ミラーとしての機能が実質的に低下してしまう領域が、必要以上に広くなってしまう。
この点、本実施形態では、上述したように、グレアを与えうる後方車両が検出された場合でも、第3エリアB3はミラー状態に制御(維持)される。従って、本実施形態によれば、図8Bに示すような比較例に比べて、ミラーとしての機能が実質的に低下してしまう領域を低減でき、車両用ミラー1に映る物体又は風景の視認性が不必要に損なわれる可能性を低減できる。
また、本実施形態では、第2エリアB2が設定されるので、第2エリアB2が存在しない場合に第1エリアB1と第3エリアB3との間に生じる反射率の差に起因した不都合(すなわち、比較的大きいコントラストの差による違和感等)を、無くすことができる。なお、本実施形態では、第2エリアB2は、1つだけであるが、第2エリアB2を複数に分割し、第1エリアB1と第3エリアB3との間に生じる反射率の差を、よりきめ細やかに緩和してもよい。
また、本実施形態では、ミラーとして機能する領域を複数に分割するものの、すべての領域(すなわち第1エリアB1、第2エリアB2、及び第3エリアB3)をミラー状態とすることが可能である。従って、例えば昼間のような、自動防眩制御が必要でない期間では、すべての領域(すなわち第1エリアB1、第2エリアB2、及び第3エリアB3)をミラー状態とすることで(図7参照)、視認性かつ見栄えを良好に維持することができる。
このようにして、本実施形態によれば、見栄えや視認性(ミラーの機能)を実質的に損なうことなく、領域(すなわち第1エリアB1、第2エリアB2、及び第3エリアB3)ごとに反射率を異ならせて反射光による眩しさを適切に低減することが可能となる。
(変形例1)
上記実施形態では、電圧を印加しているときに配向方向が揃うタイプの液晶分子が使用されているが、電圧を印加していないときに配向方向が揃うタイプの液晶分子が使用されてもよい。このような変形例を図9を参照して説明する。
図9は、電圧を印加していないときに配向方向が揃うタイプの液晶分子が使用される場合の説明図であり、本変形例の場合の図1のA-A線断面を示す模式図である。図9に示す変形例の車両用ミラー1Aでは、上述した実施形態に対して、第1偏光板31及び偏光制御部33が、第1偏光板310(偏光層の一例)及び偏光制御部330でそれぞれ置換された点が異なる。
第1偏光板310は、S偏光の光を透過し、P偏光の光を反射する特性を有する。
偏光制御部330は、上述した実施形態と同様、下側電極部33B及び上側電極部33Cを備えている。同様に、本変形例でも、ミラーとして機能する領域は、第1エリアB1と、第2エリアB2と、第3エリアB3と、の3つのエリアに分けられているので、下側電極部33Bが、第1エリアB1に対応する領域に設けられた第1エリア電極33B1(第1電極部分の一例)と、第2エリアB2に対応する領域に設けられた第2エリア電極33B2(第2電極部分の一例)と、第3エリアB3に対応する領域に設けられた第3エリア電極33B3(第3電極部分の一例)と、の3つのエリア電極で形成されている。
偏光制御部330は、下側電極部33B及び上側電極部33Cに加えて、液晶層330Aを含む。液晶層330Aは、電圧を印加していないときに配向方向が揃うタイプの液晶分子を含む。
例えばミラーモードでは、図9を参照するに、本変形例では、液晶層330Aの液晶分子に対して電圧を印加していないとき(電圧ΔVが0(V)のとき)には、光が液晶層330Aを透過する際に、偏光状態が変化しないように、液晶層330Aの液晶分子の配向方向が設定されている。
そして、外光はP偏光とS偏光の光がほぼ同じ割合で含まれているので、図9に示すように、カバー11を透過してミラー部30Aに入射した光のうち、S偏光の光は第2偏光板35で吸収され、P偏光の光が第2偏光板35を透過して液晶層330Aに入射する。
そして、先に説明したように、ミラーモードでは、液晶層330Aの液晶分子全体が光の偏光状態を変化させない向きに配向方向がなっているため、液晶層330Aに入射した光は、液晶層330Aを透過する際にP偏光のまま、第1偏光板310に到達する。
そうすると、液晶層330Aを透過したP偏光の光は、第1偏光板310で反射され、再び、液晶層330Aに入射するが、ここでも偏光状態が変化せず、P偏光の光で液晶層330Aから出力され、第2偏光板35に阻害されることなく、第2偏光板35を透過してカバー11を介してミラー部30Aの外部に照射される。
防眩ミラーモード等の説明は省略するが、かかる変形例においても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
(変形例2)
上記実施形態では、偏光制御部33の液晶層33Aとは別に、画像表示部20が設けられるが、偏光制御部33の液晶層33Aと画像表示部20とを一体的に実現することも可能である。すなわち、画像表示部が偏光制御部としても機能する構成を実現することも可能である。このような変形例を図10を参照して説明する。
図10は、画像表示部が偏光制御部としても機能する場合の説明図であり、本変形例の場合の図1のB-B線断面を示す模式図である。なお、以下の説明及び図10において、上述した実施形態と同様であってよい構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する場合がある。
車両用ミラー1Bでは、画像表示部720は、画像出力側(図10の上側)に画像の出力が可能な開口部721Aを有するケース721と、ケース721内に収容され、ケース721の底部側(図10の下側)に設けられた制御基板22と、ケース721内に収容され、制御基板22よりも開口部721A側に設けられたバックライト723と、ケース721内に収容され、バックライト723からの光が照射される側となる開口部721A側に設けられたミラー部730と、を備えている。
なお、本変形例では、ミラー部730は、スペーサSによって、バックライト723より開口部721A側にバックライト723から離間して配置されているが、必ずしも、離間させる必要はない。
また、カバー11のケース721によって受けられている部分(接触部ともいう)は、見栄えをよくするために、カバー11の接触部の表面に銀色等の着色を行い鏡面仕上げになっているのが好ましい。
ただし、鏡面仕上げは着色に限らず、ミラーとして光が反射できる仕上げになっていることを意味する点に留意されたい。
バックライト723は、車両用ミラー1Bに車載カメラ96の映像(スルー画像)等を表示するときに点灯し、映像(スルー画像)等を形成するための光をミラー部730に向けて照射する光源である。
ミラー部730は、制御基板22からの指示に従って、バックライト723からの光を利用して車両用ミラー1Bに表示する車載カメラ96の映像(スルー画像)等を形成するだけでなく、制御基板22からの指示に従って、ミラーとして画像表示部720を機能させる場合に、車両用ミラー1Bに入射する外光の反射率の制御等も行う。
ミラー部730は、バックライト723側から順に、P偏光の光を反射し、S偏光の光を透過する第1偏光板731(偏光層の一例)と、光の偏光状態を制御する偏光制御部732と、P偏光の光を透過し、S偏光の光を吸収する第2偏光板734(表偏光層の一例)と、を備えている。
なお、本変形例では、第1偏光板731は、ガラス基板731Aのバックライト723側の面に、P偏光の光を反射し、S偏光の光を透過する第1偏光フィルム731Bを張り付けたものとしているが、これに限定される必要はなく、剛性の高い偏光板をそのまま用いるようにしてもよい。
また、本変形例では、第2偏光板734も、ガラス基板734Aの偏光制御部732の反対側を向く面にP偏光の光を透過し、S偏光の光を吸収する第2偏光フィルム734Bを張り付けたものとしているが、これに限定される必要はなく、剛性の高い偏光板をそのまま用いるようにしてもよい。
そして、本変形例では、偏光制御部732と第2偏光板734の間に設けられ、RGBに対応するカラーパタンを有するカラーフィルタ層733を備えている。
偏光制御部732は、液晶層732Aと、液晶層732Aの第1偏光板731側に設けられた第1電極部732Bと、液晶層732Aの第2偏光板734側に設けられた第2電極部732Cと、を備えており、液晶層732Aと第1電極部732Bの間には、例えば、ポリイミド配向膜(第1配向膜PAF1ともいう)が設けられ、同様に、液晶層732Aと第2電極部732Cの間には、例えば、ポリイミド配向膜(第2配向膜PAF2ともいう)が設けられている。
図11は、第1電極部732Bを説明するための模式図である。
第1電極部732Bは、図11に示すように、ガラス基板731Aの液晶層732A側の面(第1面ともいう)に設けられ、カラーフィルタのそれぞれの画素が備えるRGBに対応したサブ画素ごとに形成された複数の画素電極を備えており、それぞれの画素電極には、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられ、ソース線及びゲート線で個別にTFTの駆動が制御されることで、個別に画素電極に印加される電圧が制御される。
より詳細には、複数の画素電極で形成される電極部である第1電極部732Bは、画素電極に加えて、Y方向(図11の上下方向)に並ぶ複数のゲート線と、ゲート線とで格子状を形成するように、X方向(図11の左右方向)に並ぶソース線と、ゲート線及びソース線で囲まれた領域ごとに設けられ、ゲート線及びソース線に接続される薄膜トランジスタ(TFT)と、を少なくとも備えており、画素電極が、少なくともゲート線及びソース線で囲まれた領域ごとに薄膜トランジスタに接続されるように設けられている。
なお、複数のソース線はそれぞれ対応するTFTのソース電極に接続され、複数のゲート線はそれぞれ対応するTFTのゲート電極に接続されており、図11は、平面視で見たところであるため、ソース線とゲート線はクロスする部分で接触しているように見えるが、この部分は、ソース線とゲート線が短絡しないように形成されている。
さらに、ソース線とゲート線で区画される各矩形状の領域が、少なくともカラーフィルタのそれぞれの画素が備えるRGBに対応したサブ画素に対応する領域(サブ画素領域ともいう)になっており、TFTのドレイン電極が画素電極に接続されようにして、サブ画素領域ごとに、TFT、及び、画素電極が設けられている。
そして、ゲート線の端部がゲートドライバ(図示せず)に接続されるとともに、ソース線の端部がソースドライバ(図示せず)に接続され、制御基板22からの指示に従って、それらゲートドライバ及びソースドライバがTFTの駆動を制御することで、個別に画素電極に印加される電圧が制御される。
一方、第2電極部732Cは、カラーフィルタ層733の液晶層732A側の面に設けられ、例えば、液晶層732Aの全面に対応するベタ電極として形成された共通電極を備えている。
なお、共通電極及び画素電極には、ITO等の透明電極材料が用いられている。
ただし、本変形例では、第1電極部732Bが画素電極で形成され、第2電極部732Cが共通電極で形成される場合について示しているが、これらは逆であってもよく、第1電極部732B又は第2電極部732Cのうちの一方が、共通電極で形成され、第1電極部732B又は第2電極部732Cのうちの共通電極でない方の電極部が、画素電極で形成されていればよい。
そして、上述のように、ミラー部730は、共通電極である第2電極部732Cと、その第2電極部732Cに対してサブ画素領域ごとに駆動できる複数の画素電極を備えた第1電極部732Bと、を備えた電極構造を備えているため、後ほどの説明でわかるように、液晶層732Aに印加する電圧をサブ画素ごとに印加でき、サブ画素ごとに外光に対する反射率及びバックライト723からの光の透過率の制御を行えるものになっている。
具体的には、制御基板22がゲートドライバ(図示せず)及びソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、画素電極ごとに印加する電圧を制御することで、液晶層732Aに印加する電圧をサブ画素ごとに制御し、サブ画素ごとに外光に対する反射率及びバックライト723からの光の透過率の制御が可能となる。
従って、本変形例によっても、画素電極ごとに印加する電圧を制御することで、第1エリアB1に対応する液晶層732Aの液晶分子に印加する電圧と、第2エリアB2に対応する液晶層732Aの液晶分子に印加する電圧と、第3エリアB3に対応する液晶層732Aの液晶分子に印加する電圧と、を個別に制御できる。すなわち、第1電極部732Bにおける第1エリアB1内の各画素電極(第1電極部分の一例)と、第1電極部732Bにおける第2エリアB2内の各画素電極(第2電極部分の一例)と、第1電極部732Bにおける第3エリアB3内の各画素電極(第3電極部分の一例)と、を用いて、第1エリアB1に対応する液晶層732Aの液晶分子に印加する電圧と、第2エリアB2に対応する液晶層732Aの液晶分子に印加する電圧と、第3エリアB3に対応する液晶層732Aの液晶分子に印加する電圧と、を個別に制御できる。よって、本変形例によっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
ところで、上述したように、グレアが問題となるときの、車両用ミラー1に映る後方車両のヘッドライトの位置は、厳密には一定ではない。すなわち、車両用ミラー1に映る後方車両のヘッドライトの位置は、自車に対する後方車両の位置が同じであっても、後方車両の属性に応じて変化する。例えば、後方車両が大型車両(例えばトラック)であるときと、普通車であるときとでは、車両用ミラー1に映る後方車両のヘッドライトの位置は、異なる場合がある。
また、後方車両の属性が同じであっても、自車に対する後方車両の位置が異なると、それに応じて、車両用ミラー1に映る後方車両のヘッドライトの位置が異なる場合がある。例えば、後方車両が自車に対して遠方に位置するときと、自車に対して近接するときとでは、車両用ミラー1に映る後方車両のヘッドライトの位置は、異なる場合がある。
この点、上述した実施形態では、第1エリアB1は、固定であるので、グレアが問題となるときの、車両用ミラー1に映る後方車両のヘッドライトの位置が取りうる範囲をカバーするためには、ある程度のサイズを有する第1エリアB1を設定する必要性が高くなる。
これに対して、本変形例では、画素電極単位で第1エリアB1(及びそれに伴い第2エリアB2等)を動的に変化させることができるので、例えば、自車に対する後方車両の位置、及び/又は、後方車両の属性に応じて、画素電極単位で第1エリアB1(及びそれに伴い第2エリアB2等)を動的に変化させてもよい。この場合、第1エリアB1を必要以上に大きくする必要がなくなるので、ミラー状態となる領域(すなわち第3エリアB3)の最大化を図ることができる。なお、この場合、自車に対する後方車両の位置は、後方画像センサや後方レーダセンサ、LiDAR(Light Detection and Ranging)により検出されてもよく、後方車両の属性は、後方画像センサや車々間通信情報等に基づいて判断されてもよい。
なお、同じ観点から、上述した実施形態においても、ミラーとして機能する領域を多数(4つ以上)に分割し、自車に対する後方車両の位置、及び/又は、後方車両の属性に応じて、多数のエリアのうちの、第1エリアB1とするエリアを動的に変化させてもよい。
なお、本変形例においては、上述した変形例1と同様、電圧を印加していないときに配向方向が揃うタイプの液晶分子が使用されているが、上述した実施形態のように、電圧を印加しているときに配向方向が揃うタイプの液晶分子が使用されてもよい。
なお、本変形例は、部分的に上述した実施形態と組み合わせることも可能である。具体的には、第1エリアB1及び第2エリアB2のうちの、任意のいずれか一方のエリアに対してのみ、本変形例の構造が適用されてもよい。
以上、各実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施形態では、第2エリア電極33B2は、1つだけ設けられるが、複数の分離した形態で、複数個、設けられてもよい。例えば、図12に示す車両用ミラー1Cのように、左右方向で第1エリアB1の両側に分離した態様で第2エリアB2が設定されてもよい。この場合、第2エリア電極33B2も分離した態様で設けられる。これは、第3エリア電極33B3についても同様である。
また、上述した実施形態において説明した、画像表示部20が省略される変形例においては、第3エリアB3は、電子制御可能でないミラー(すなわち液晶層33A等が背後に設けられない通常のミラー)により実現されてもよい。
また、上述した実施形態では、自動防眩制御においては、図6Bに示すような関係に基づいて、グレア光の強度に応じて反射率を多段階に可変しているが、これに限られない。例えば簡易な構成として、夜間において、後方車両が検出された場合に、後方車両が検出されない場合に比べて反射率を低下させることとしてもよい。この場合、後方車両は、光量センサ90の検出する光量(光の強度)が所定閾値を超えた否かに応じて検出されてもよいし、後方レーダセンサ等により検出されてもよい。
また、上述した実施形態では、第1エリア電極33B1と上側電極部33Cとの間に印加される電圧ΔVを、電圧ΔV1とし、第2エリア電極33B2と上側電極部33Cとの間に印加される電圧ΔVを、電圧ΔV2とし、第3エリア電極33B3と上側電極部33Cとの間に印加される電圧ΔVを、電圧ΔV3としたとき、反射率制御部224は、自動防眩制御の実行状態における所定の状態(例えば図6Bの場合は、グレア光の強度が閾値Th1を超える状態)において、ΔV1>ΔV2>ΔV3とするが、これに限られない。例えば、自動防眩制御の実行状態における所定の状態(例えば、図6Bの場合は、グレア光の強度が閾値Th1を超える状態、図7の場合は、グレア光の「有り」の状態)のうちの、特定状態だけ、ΔV1=ΔV2>ΔV3とし、所定の状態のうちの他の状態において、ΔV1>ΔV2>ΔV3としてもよい。特定状態は、例えば、車両用ミラー1に映る後方車両(複数台の場合も含む)のヘッドライトの位置が、第1エリアB1のみならず第2エリアB2にも属する状態であってよい。この場合、例えば図7に示す例では、第1エリアB1(及び第2エリアB2)の反射率が10%となり、かつ、第3エリアB3の反射率が30%(又はミラー状態)とされてもよい。あるいは、第1エリアB1(及び第2エリアB2)の反射率が30%となり、かつ、第3エリアB3がミラー状態とされてもよい。
また、自動防眩制御の実行状態における所定の状態(例えば図6Bの場合は、グレア光の強度が閾値Th1を超える状態、図7の場合は、グレア光の「有り」の状態)のうちの、特定状態だけ、ΔV1>ΔV3>ΔV2とし、所定の状態のうちの他の状態において、ΔV1>ΔV2>ΔV3としてもよい。この場合、特定状態は、例えば、車両用ミラー1に映る後方車両(複数台の場合も含む)のヘッドライトの位置が、第2エリアB2にだけ属する状態であってよい。
このような変形例では、車両用ミラー1に映る後方車両(複数台の場合も含む)のヘッドライトの位置が、第1エリアB1及び第2エリアB2の双方又は一方に属するかどうかを任意の方法で判定することができる。例えば、後方監視カメラや後方レーダ、LIDAR、後方車両との車々間通信等を介して後方車両の横位置(自車に対する相対的な横位置)を検出し、横位置に応じて、車両用ミラー1に映る後方車両(複数台の場合も含む)のヘッドライトの位置が、第1エリアB1及び第2エリアB2の双方又は一方に属するかどうかを判定してもよい。あるいは、図13に模式的に車両用ミラー1Dに示すように、光量センサ90の左右に新たな光量センサ91を設け、光量センサ90からの外光量情報と、光量センサ91からの外光量情報とに基づいて、車両用ミラー1Dに映る後方車両(複数台の場合も含む)のヘッドライトの位置が、第1エリアB1及び第2エリアB2の双方又は一方に属するかどうかを判定してもよい。この場合、例えば光量センサ90からの外光量情報に基づくグレア光の強度が閾値Th1を超えた場合に、車両用ミラー1Dに映る後方車両のヘッドライトの位置が、第1エリアB1に属すると判定し、左右いずれかの光量センサ91からの外光量情報に基づくグレア光の強度が閾値Th1を超えた場合に、車両用ミラー1Dに映る後方車両のヘッドライトの位置が、第2エリアB2に属すると判定してもよい。