以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する。)について詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。
図1は本発明に係る実施形態の車両用ミラー1の平面図であり、図2は図1のA-A線断面を示す模式図である。
なお、本実施形態は、車両用ミラー1として車内に設けられるバックミラーを示しているが、車外に設けられるドアミラー等であってもよい。
また、本実施形態では、例えば、車両に車両の後方を広く撮像する車載カメラや車両の後方の近くを撮像する車載カメラが搭載されており、車両用ミラー1を後述するカメラモードや一部カメラモードで使用する場合に、その車載カメラの撮像する映像(スルー画像等)が車両用ミラー1に表示されることを想定している。
図2に示すように、車両用ミラー1は、運転者によって視認される側に開口部10Aを有する有底矩形状の筐体10と、筐体10の開口部10Aを塞ぐように取り付けられる透明のカバー11と、筐体10とカバー11で形成される空間内に収容された画像表示部20と、を備えている。
画像表示部20は、画像出力側(図2の上側)に画像の出力が可能な開口部21Aを有するケース21と、ケース21内に収容され、ケース21の底部側(図2の下側)に設けられた制御基板22と、ケース21内に収容され、制御基板22よりも開口部21A側に設けられたバックライト23と、ケース21内に収容され、バックライト23から光が照射される側となる開口部21A側に設けられたミラー部30と、を備えている。
なお、本実施形態では、ミラー部30は、スペーサSによって、バックライト23より開口部21A側にバックライト23から離間して配置されているが、必ずしも、離間させる必要はない。
また、カバー11のケース21によって受けられている部分(接触部ともいう。)は、見栄えをよくするために、カバー11の接触部の表面に銀色等の着色を行い鏡面仕上げになっているのが好ましい。
ただし、鏡面仕上げは着色に限らず、ミラーとして光が反射できる仕上げになっていることを意味する点に留意されたい。
制御基板22は、画像表示部20に車載カメラの映像(スルー画像)等を表示するための駆動を行わせたり、車載カメラの映像(スルー画像)等を表示するのではなく、ミラーとして画像表示部20を機能させる駆動を行わせる等、画像表示部20の駆動を制御して、車両用ミラー1全体の制御を司る制御部になっている。
バックライト23は、車両用ミラー1に車載カメラの映像(スルー画像)等を表示するときに点灯し、映像(スルー画像)等を形成するための光をミラー部30に向けて照射する光源である。
ミラー部30は、制御部(制御基板22)からの指示に従って、バックライト23からの光を利用して車両用ミラー1に表示する車載カメラの映像(スルー画像)等を形成するだけでなく、制御部(制御基板22)からの指示に従って、ミラーとして画像表示部20を機能させる場合に、車両用ミラー1に入射する外光の反射率の制御等も行う。
以下、具体的に、ミラー部30の詳細な構成について説明する。
ミラー部30は、バックライト23側から順に、第1偏光の光を反射し、第2偏光の光を透過する第1偏光板31と、光の偏光状態を制御する偏光制御部32と、第1偏光の光を透過し、第2偏光の光を吸収する第2偏光板34と、を備えている。
なお、本実施形態では、第1偏光板31は、ガラス基板31Aのバックライト23側の面に、第1偏光の光を反射し、第2偏光の光を透過する第1偏光フィルム31Bを張り付けたものとしているが、これに限定される必要はなく、剛性の高い偏光板をそのまま用いるようにしてもよい。
また、本実施形態では、第2偏光板34も、ガラス基板34Aの偏光制御部32の反対側を向く面に第1偏光の光を透過し、第2偏光の光を吸収する第2偏光フィルム34Bを張り付けたものとしているが、これに限定される必要はなく、剛性の高い偏光板をそのまま用いるようにしてもよい。
そして、本実施形態では、偏光制御部32と第2偏光板34の間に設けられ、RGBに対応するカラーパタンを有するカラーフィルタ層33を備えている。
偏光制御部32は、液晶層32Aと、液晶層32Aの第1偏光板31側に設けられた第1電極部32Bと、液晶層32Aの第2偏光板34側に設けられた第2電極部32Cと、を備えており、液晶層32Aと第1電極部32Bの間には、例えば、ポリイミド配向膜(第1配向膜PAF1ともいう。)が設けられ、同様に、液晶層32Aと第2電極部32Cの間には、例えば、ポリイミド配向膜(第2配向膜PAF2ともいう。)が設けられている。
図3は、第1電極部32Bを説明するための模式図である。
第1電極部32Bは、図3に示すように、ガラス基板31Aの液晶層32A側の面(第1面ともいう。)に設けられ、カラーフィルタのそれぞれの画素が備えるRGBに対応したサブ画素ごとに形成された複数の画素電極を備えており、それぞれの画素電極には、薄膜トランジスタ(TFT)が設けられ、ソース線及びゲート線で個別にTFTの駆動が制御されることで、個別に画素電極に印加される電圧が制御される。
より詳細には、複数の画素電極で形成される電極部である第1電極部32Bは、画素電極に加えて、第1方向(図3上下方向)に並ぶ複数のゲート線と、ゲート線とで格子状を形成するように、第1方向に直交する第2方向(図3左右方向)に並ぶソース線と、ゲート線及びソース線で囲まれた領域ごとに設けられ、ゲート線及びソース線に接続される薄膜トランジスタ(TFT)と、を少なくとも備えており、画素電極が、少なくともゲート線及びソース線で囲まれた領域ごとに薄膜トランジスタに接続されるように設けられている。
なお、複数のソース線はそれぞれ対応するTFTのソース電極に接続され、複数のゲート線はそれぞれ対応するTFTのゲート電極に接続されており、図3は、平面視で見たところであるため、ソース線とゲート線はクロスする部分で接触しているように見えるが、この部分は、ソース線とゲート線が短絡しないように形成されている。
さらに、ソース線とゲート線で区画される各矩形状の領域が、少なくともカラーフィルタのそれぞれの画素が備えるRGBに対応したサブ画素に対応する領域(サブ画素領域ともいう。)になっており、TFTのドレイン電極が画素電極に接続されようにして、サブ画素領域ごとに、TFT、及び、画素電極が設けられている。
そして、ゲート線の端部がゲートドライバ(図示せず)に接続されるとともに、ソース線の端部がソースドライバ(図示せず)に接続され、制御部(制御基板22)からの指示に従って、それらゲートドライバ及びソースドライバがTFTの駆動を制御することで、個別に画素電極に印加される電圧が制御される。
一方、第2電極部32Cは、カラーフィルタ層33の液晶層32A側の面に設けられ、例えば、液晶層32Aの全面に対応するベタ電極として形成された共通電極を備えている。
なお、共通電極及び画素電極には、ITO等の透明電極材料が用いられている。
ただし、本実施形態では、第1電極部32Bが画素電極で形成され、第2電極部32Cが共通電極で形成される場合について示しているが、これらは逆であってもよく、第1電極部32B又は第2電極部32Cのうちの一方が、共通電極で形成され、第1電極部32B又は第2電極部32Cのうちの共通電極でない方の電極部が、画素電極で形成されていればよい。
そして、上述のように、ミラー部30は、共通電極である第2電極部32Cと、その第2電極部32Cに対してサブ画素領域ごとに駆動できる複数の画素電極を備えた第1電極部32Bと、を備えた電極構造を備えているため、後ほどの説明でわかるように、液晶層32Aに印加する電圧をサブ画素ごとに印加でき、サブ画素ごとに外光に対する反射率及びバックライト23からの光の透過率の制御の行えるものになっている。
具体的には、後ほど説明するが、制御部(制御基板22)がゲートドライバ(図示せず)及びソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、画素電極ごとに印加する電圧を制御することで、液晶層32Aに印加する電圧をサブ画素ごとに制御し、サブ画素ごとに外光に対する反射率及びバックライト23からの光の透過率の制御が行われる。
次に、上記の構成を有する本実施形態の車両用ミラー1の動作について説明する。
具体的には、本実施形態の車両用ミラー1は、動作モードとして、大きく分けて、外光に対する反射率が最も高い状態で固定されたミラーとして画像表示部20を機能させるミラーモードと、後続車からの光によるグレアを抑制するように外光に対する反射率を変えるミラーとして画像表示部20を機能させる防眩モードと、画像表示部20をミラーとして機能させず、画像表示部20に車載カメラの映像(スルー画像)等を表示するカメラモードと、画像表示部20の一部に車載カメラ等の映像(スルー画像)等を表示させるとともに残る部分をミラーとして機能させる一部カメラモードの4つの動作モードを有しており、以下、ミラーモード、防眩モード、カメラモード、一部カメラモードの順で説明を行う。
なお、後ほど説明するが一部カメラモードでは、映像(スルー画像)の表示が1か所又は複数箇所である場合、及び、ミラーとする部分を外光に対する反射率が最も高い状態で固定又は反射率を変える場合、が存在し、一部カメラモードは、更に4つのモードに細分化されたものになっている。
また、以下の説明では、これまでの説明における第1偏光をP偏光として、第2偏光をS偏光として説明するが、第1偏光がS偏光で、第2偏光がP偏光であってもよい。
(ミラーモード)
図4は車両用ミラー1のミラーモードとして動作を説明するための図である。
なお、図4は説明がわかりやすいように文字等の記載を加える一方、一部符号の記載を省略しているが、基本的に、図2と同様の図である。
まず、ミラーモードでは、バックライト23がOFF(消灯)の状態とされ、第1電極部32Bの全ての画素電極、及び、第2電極部32Cの共通電極に印加される電圧が0(V)とされる。
つまり、第1電極部32B及び第2電極部32Cは、電圧が印加されていない状態となっている。
なお、第1電極部32Bは、先に説明したように、サブ画素ごとに形成された複数の画素電極を備えているが、ミラーモードは、画像表示部20全体をミラーとして機能させるため、上述のように、全ての画素電極に印加される電圧VPが0(V)とされる。
そして、液晶層32Aの液晶分子に印加される電圧VLは、共通電極に印加される電圧VCと画素電極に印加される電圧VPとの差、つまり、電圧VL=電圧VP-電圧VCであるので、ミラーモードでは、液晶層32Aの全ての液晶分子に対して電圧を印加していない状態とされている。
なお、電圧VCと電圧VPが同じ電圧になっていれば、やはり、液晶層32Aの液晶分子に印加される電圧VLは0(V)となるので、このようにしても動作上の問題はない。
本実施形態では、液晶層32Aの液晶分子に対して電圧を印加していないとき(電圧VLが0(V)のとき)には、液晶層32Aを挟むように設けられた第1配向膜PAF1及び第2配向膜PAF2によって、光が液晶層32Aを透過する際に、偏光状態が変化しない向きに、液晶層32Aの液晶分子の配向方向が揃うようになっている。
そして、外光はP偏光とS偏光の光がほぼ同じ割合で含まれているので、図4に示すように、カバー11を透過して車両用ミラー1に入射した光のうち、S偏光の光は第2偏光板34(より正確には、第2偏光フィルム34B)で吸収され、P偏光の光が第2偏光板34を透過して液晶層32Aに入射する。
なお、液晶層32Aに到達する前に、P偏光の光は、カラーフィルタ層33を透過することになるが、画像を表示するときのように、個別にサブ画素ごとに透過、遮断が制御されるわけでないため、外光の光に含まれる光の色に影響を及ぼすことはない。
そして、先に説明したように、ミラーモードのときには、液晶層32Aの液晶分子全体が光の偏光状態を変えない向きに配向方向が揃っているため、液晶層32Aに入射した光は、P偏光の状態のまま液晶層32Aを透過し、第1偏光板31に到達する。
そうすると、液晶層32Aを透過したP偏光の光は、第1偏光板31(より正確には、第1偏光フィルム31B)で反射され、再び、液晶層32Aに入射するが、ここでも偏光状態が変化することなく、P偏光の光のまま液晶層32Aを透過するので、第2偏光板34に阻害されることなく、第2偏光板34を透過してカバー11を介して車両用ミラー1の外部に照射される。
このため、ミラーモードでは、ほぼハーフミラーで光が反射されるのと同様の状態(ほぼ反射率50%の状態)が実現されており、画像表示部20がミラーとして機能するものとなっている。
なお、各部材を光が透過する際に吸収損失が発生するため、完全な反射率50%の状態になっているわけではないが、各部材の厚みが薄いこともあり、ハーフミラーの反射率と比べてもあまり遜色がない程度の反射率が得られる。
(防眩モード)
図5は車両用ミラー1の防眩モードとして動作を説明するための図である。
なお、図5も説明がわかりやすいように文字等の記載を加える一方、一部符号の記載を省略しているが、基本的に、図2と同様の図である。
先に、説明したように、本実施形態では、液晶層32Aの液晶分子に対して電圧を印加していないとき(電圧VLが0(V)のとき)には、光が液晶層32Aを透過する際に、偏光状態が変化しない向きに、液晶層32Aの液晶分子の配向方向が揃うようになっている。
逆に、本実施形態では、液晶層32Aの液晶分子に対して印加する電圧VLを最大の電圧VLMAXにしたとき(例えば、電圧VLMAX=5(V)、電圧VC=0(V)、電圧VP=5(V)のとき)には、液晶層32Aに入射する光がS偏光であれば、透過する際に、P偏光に偏光状態を変化させる方向に、液晶層32Aの液晶分子の配向方向が変化する。
また、この印加される電圧VLが最大の電圧VLMAXのときには、液晶層32Aに入射する光がP偏光であれば、透過する際に、S偏光に偏光状態が変化する。
一方、液晶層32Aの液晶分子に対して印加される電圧VLが最大の電圧VLMAXではないものの0(V)でない場合でも、液晶層32Aの液晶分子の配向方向は変化するので、光が液晶層32Aを透過する際に偏光状態が変化するように液晶層32Aは作用する。
しかし、この場合には、S偏光の光をほぼ完全にP偏光に変化させるわけではなく、印加される電圧VLが大きくなるにつれて、透過した光に含まれるP偏光の光の割合が増えるようになる。
なお、液晶層32Aに入射する光がP偏光であれば、印加される電圧VLが大きくなるにつれて透過した光に含まれるS偏光の光の割合が増えるようになる。
このため、液晶層32Aの液晶分子に対して最大の電圧VLMAX未満の電圧VLが印加されていると、第2偏光板34を透過したP偏光の光のうちの一部の光が、液晶層32Aを透過する際に、S偏光の光になるので、そのS偏光の状態になった光は、第1偏光板31で反射されず、バックライト23側に抜けていくことになる。
また、第1偏光板31で反射されたP偏光の光は、再び、液晶層32Aを透過することになるが、この際にも、一部の光がS偏光に変化し、第2偏光板34で吸収されることになり、残ったP偏光の光だけが、第2偏光板34を透過してカバー11を介して車両用ミラー1の外部に照射される。
このため、先ほど説明したミラーモードのときは、外光が第2偏光板34を透過するときに、S偏光の光が吸収され、残りのP偏光の光がカバー11を介して車両用ミラー1の外部に照射されていたので、ほぼ反射率が50%のミラー状態になっていたが、液晶層32Aの液晶分子に対して0(V)より大きい電圧VLが印加されていると、ミラーモードのときよりも反射率が低くなる。
なお、反射率がどの程度まで低くなるかは、液晶層32Aの液晶分子に対して印加する電圧VLの大きさによって変わり、印加する電圧VLが最大の電圧VLMAXに近づくほど反射率が0%に近づく。
本実施形態の車両用ミラー1は、上記のようにしてミラーとしての反射率を制御できることを利用して後続車からのグレアを抑制するようにし、防眩モードの動作を実現しており、より詳細に説明する。
本実施形態では、防眩モードのときも、ミラーモードのときのように、バックライト23がOFF(消灯)の状態とされ、画像表示部20全体をミラーとして機能させるため、全ての画素電極に印加される電圧VPを個別に変えることは行わず、全ての画素電極に印加される電圧VPは同じ電圧とされる。
また、本実施形態では、車両用ミラー1のカバー11以外の位置に光量を測定する光量センサが設けられており、後続車のヘッドライトから車両用ミラー1に向けて照射されている光の光量を得ることができるようにしている。
ただし、先に述べたように、車両には車両の後方を撮像する車載カメラが搭載されており、本実施形態では、防眩モードのときに、画像表示部20に車載カメラの映像(スルー画像)等を表示することは行わないが、その車載カメラの撮像する画像に基づいて、後続車のヘッドライトから車両に向けて照射されている光の光量を得るようにして、光量センサを省略するようにしてもよい。
そして、例えば、第2電極部32Cの共通電極に印加される電圧VCを0(V)、つまり、電圧を印加していない状態としておいて、後続車から車両に向けて照射されている光の光量に合わせて、グレアを抑制でき、かつ、ミラーとして機能する所定の反射率となるように、第1電極部32Bの全ての画素電極に印加する電圧VPを調整する。
つまり、防眩モードとして動作させ、反射率を制御するミラーとして画像表示部20を機能させる場合、後続車からのグレアが抑制できるとともにミラーとしても機能する、所定の反射率となるように液晶層32Aの液晶分子の向きを変更するだけの電圧VLが、全画素に対応する液晶層32Aの全ての領域に対して、ほぼ均一に印加される。
例えば、後続車から車両に照射されている光の光量が大きい場合には、第1電極部32Bの全ての画素電極に印加する電圧VPをほぼ均一に大きくし、液晶層32Aの全ての領域に対してほぼ均一な大きい電圧VLを印加し、画像表示部20全体の反射率をほぼ均一に小さくする。
このようにすると、ミラーモードのときのように、ほぼハーフミラーと同等の反射率のときには、白色又は銀色になっていたミラー面がグレー色のミラー面になるので、運転者に向かってミラー面から反射される光が減り、グレアを抑制することができる。
なお、画像表示部20全体の反射率が小さくなるほど、濃いグレー色又は黒色に近いミラー面になっていく。
(カメラモード)
図6は車両用ミラー1のカメラモードとして動作を説明するための図である。
なお、図6は説明がわかりやすいように文字等の記載を加える一方、一部符号の記載を省略しているが、基本的に、図2と同様の図である。
これまで説明したように、画像表示部20をミラーとして機能させる場合、つまり、ミラーモード及び防眩モードのどちらの場合でも、バックライト23はOFF(消灯)した状態とされ、バックライト23を発光させないようにしていた。
しかし、カメラモードでは、画像表示部20に車載カメラの映像(スルー画像)等を表示するため、その映像(スルー画像)を形成する画像光の元になる光が必要であり、バックライト23をON(点灯)の状態として、バックライト23を発光させる。
なお、カメラモードでは、車両の後方を広く撮像する車載カメラと車両の後方の近くを撮像する車載カメラのどちらの車載カメラの映像(スルー画像)を表示するのかが運転者等によって選択できるようになっていてもよく、あらかじめ、ギアがバックになっているときに車両の後方の近くを撮像する車載カメラの映像(スルー画像)が表示され、そうでない場合に車両の後方を広く撮像する車載カメラの映像(スルー画像)が表示されるように設定されていてもよい。
また、本実施形態では、液晶層32Aに印加する電圧VLの制御を第2電極部32Cの共通電極に印加される電圧VCを0(V)、つまり、電圧を印加していない状態として、第1電極部32Bの画素電極に印加する電圧VPを制御することで行っているため、第2電極部32Cの共通電極に印加される電圧VCについては、これまでと同様に0(V)とされる。
一方、これまでは、第1電極部32Bの全ての画素電極に印加する電圧VPが同じ電圧とされていたが、カメラモードでは、形成すべき画像に合わせて、第1電極部32Bの画素電極に印加する電圧VPが個別に制御される。
実際には、バックライト23を発光させると、バックライト23のミラー部30(図2参照)側を向く面全体から光がミラー部30側に照射されることになるが、図6では、説明がわかりやすいように、バックライト23から照射される光を2つの太矢印で示している。
バックライト23から照射される光には、S偏光の光もP偏光の光もほぼ同じ割合で含んでいるため、図6に示すように、第1偏光板31のどの位置であっても、その照射される光のうちのS偏光の光が第1偏光板31を透過することになる。
そして、図6に示すX領域に対応した第1電極部32Bの画素電極には、0(V)より大きい電圧VPが印加されているので、X領域に対応する液晶層32Aに対しては、0(V)より大きい電圧VLが印加された状態になっている。
このため、第1偏光板31を透過したS偏光の光は、液晶層32Aを透過する際に、偏光状態が変化し、P偏光の光を含む状態でカラーフィルタ層33に入射することになる。
なお、どの程度の光をP偏光の光に変化させるかは、X領域に対応する液晶層32Aに対して印加される電圧VLの大きさによって制御され、例えば、電圧VLが最大の電圧VLMAXに制御されれば、ほぼ全ての光がP偏光の光に変わる。
そして、カラーフィルタ層33を透過したP偏光の光は、第2偏光板34も透過してカバー11を介して車両用ミラー1の外部に照射される。
一方、図6に示すY領域に対応するバックライト23の領域から照射される光であっても、その光に含まれるS偏光の光が第1偏光板31を透過する点は同じであるが、Y領域対応した第1電極部32Bの画素電極の電圧VPは0(V)に制御されている。
このため、Y領域に対応する液晶層32Aに対しては電圧が印加されておらず、液晶層32Aを透過する際に、偏光状態が変化せず、S偏光の光のままカラーフィルタ層33に入射する。
そして、カラーフィルタ層33を透過する際に偏光状態は変わらないため、S偏光の光のまま第2偏光板34に到達し、第2偏光板34で吸収されるので、車両用ミラー1の外部に照射されない。
そして、サブ画素ごとに、上述のような制御が行われ、画像が形成されるのは、液晶モニタの原理と同じであるので、カメラモードのときに運転者が見る映像(スルー画像)は、液晶モニタと同じ明度の映像(画像)となり、画像表示部の前方にハーフミラーが配置される特許文献1の構成に比べ、圧倒的に明るい映像(画像)となる。
一方、本実施形態の構成は、画像表示制御を行うための偏光制御部32のバックライト23側の第1偏光板31を第1偏光の光を反射し、第2偏光の光を透過するものとすることで、1つの偏光制御部32を画像表示制御とミラーの反射率制御に兼用するものとしている。
つまり、1つの液晶層32Aが画像表示制御とミラーの反射率制御に兼用される構成となっているため、画像表示部に加え、画像表示部の液晶層とは別の液晶層を有する複数の部品で構成される鏡機能部を設けるようにしている特許文献2の構成に比べ圧倒的に、部品点数が低減される。
(一部カメラモード)
先に少し触れたように、一部カメラモードは、更に一部カメラ第1モードと、一部カメラ第2モードと、一部カメラ第3モードと、一部カメラ第4モードと、の4つのモードに細分化されており、以下、順に説明する。
なお、以後の説明では省略するが、一部カメラモードは、画像表示部20の一部に映像(スルー画像)を表示することになるため、一部カメラ第1モード、一部カメラ第2モード、一部カメラ第3モード、一部カメラ第4モードのいずれのモードにおいても、カメラモードのときと同様に、バックライト23をON(点灯)の状態として、バックライト23を発光させる。
また、一部カメラモードでは、カメラモードと同様に、液晶層32Aに印加する電圧VLの制御を第2電極部32Cの共通電極に印加される電圧VCを0(V)、つまり、第2電極部32Cの共通電極に印加される電圧VCについては、0(V)とされ、第1電極部32Bの画素電極に印加する電圧VPを制御することが行われる。
しかし、第1電極部32Bの画素電極に印加する電圧VPの制御の内容がカメラモードとは異なっており、以下では、この点について主に説明する。
[一部カメラ第1モード]
一部カメラ第1モードは、画像表示部20のあらかじめ決められた一か所の領域に、例えば、車両の後方を広く撮像する車載カメラ、又は、車両の後方の近くを撮像する車載カメラの映像(スルー画像)を表示するとともに、残りの部分をミラーモードのときと同様に、外光に対する反射率が最も高い状態で固定されたミラーとして機能させるモードである。
なお、一部カメラ第1モードにおいても、カメラモードと同様に、車両の後方を広く撮像する車載カメラと車両の後方の近くを撮像する車載カメラのどちらの車載カメラの映像(スルー画像)を表示するのかが運転者等によって選択できるようになっていてもよく、あらかじめ、ギアがバックになっているときに車両の後方の近くを撮像する車載カメラの映像(スルー画像)が表示され、そうでない場合に車両の後方を広く撮像する車載カメラの映像(スルー画像)が表示されるように設定されていてもよい。
このため、一部カメラ第1モードでは、制御部(制御基板22)がゲートドライバ(図示せず)及びソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示部20の1か所に映像(スルー画像)を表示するための画像表示領域を形成するとともに、画像表示部20の画像表示領域以外の領域を反射率が最も高い状態で固定したミラー領域とするように制御する。
図7は一部カメラ第1モードで制御部(制御基板22)がゲートドライバ(図示せず)及びソースドライバ(図示せず)の駆動を司って行う制御を説明するための図である。
図7では、画像表示部20の映像(スルー画像)の表示が可能な範囲を模式的に矩形状の実線枠で示し、画像形成領域とされる領域を点線枠で示している。
また、ゲート線のそれぞれにG1からG7の符号を与え、ソース線のそれぞれにS1からS13の符号を与えている。
ただし、図の見やすさのために、ゲート線及びソース線の数は実際よりもかなり少ない図示になっている。
なお、図7では図示を省略しているが、先に図3を参照して説明したように、ゲート線とソース線で区画される各矩形状の領域のそれぞれにはTFTと画素電極が設けられている。
ただし、ゲート線及びソース線の基端部側(符号を付した側)は、矩形状に区画された状態になっていないが、画像表示部20の映像(スルー画像)の表示が可能な範囲を模式的に示した実線枠、ゲート線及びソース線を含めて見たときに矩形状に区画された領域にもTFTと画素電極が設けられている。
まず、簡単に、各画素電極の制御について説明すると、ゲート線からTFTをオンさせるオン信号が供給されているときには、ソース線からの信号(電圧信号)に従った電圧が、そのゲート線及びソース線に関係する画素電極(そのゲート線及びソース線に繋がったTFTに繋がる画素電極)に書き込まれることになる。
例えば、ゲート線G1からTFTをオンさせるオン信号が供給されているときに、ソース線S1からF(V)の信号が供給されると、ゲート線G1及びソース線S1に繋がったTFTに繋がる画素電極にF(V)の電圧の書き込みが行われる。
一方、ゲート線G1からTFTをオフさせるオフ信号が供給されているときには、この電圧の書き込みが行われず、既に書き込まれた電圧が維持される。
なお、オン信号に対応してオフ信号という表現で説明しているが、オフ信号を供給するとは、信号を供給しない状態を意味する。
このことを踏まえた上で、以下、詳細に一部カメラ第1モードで制御部(制御基板22)がゲートドライバ(図示せず)及びソースドライバ(図示せず)の駆動を司って行う制御について説明する。
画像表示部20の一部に画像を表示するモードである一部カメラ第1モードのときには、制御部(制御基板22)がゲートドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)に所定のタイミングでTFTをオンさせるためのオン信号を供給させる制御を行う。
具体的には、所定のタイミングは、後述する画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)の画像に対応する画像信号(画像電圧)が、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)に到達するタイミングを除く、タイミングである。
つまり、制御部(制御基板22)がゲートドライバ(図示せず)の駆動を司って、後述する画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)の画像に対応する画像信号(画像電圧)が画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)に到達するタイミングでは、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)にTFTをオフさせるためのオフ信号を供給させる制御を行い、それ以外のタイミングである所定のタイミングでは、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)にTFTをオンさせるためのオン信号を供給させる制御を行う。
このため、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)、及び、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)の両方に関係する画素電極には、画像に対応する電圧(画像電圧)の書き込みが行われない。
なお、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)も、上述のように、所定のタイミングでTFTをオンさせるためのオン信号を供給しており、後述するように、その所定のタイミングのときに、ミラー領域の反射率に対応させるための電圧の書き込みが行われる。
また、制御部(制御基板22)はソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)に画素電極の電圧をミラー領域の反射率に対応させるための駆動信号(電圧信号)を常時供給させる制御を行う。
一部カメラ第1モードでは、ミラー領域の反射率をミラーモードのときと同様に、反射率が最も高い状態で固定するため、駆動信号は0(V)の信号とされることになる。
そして、先に触れたように、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)は、所定のタイミングのときにTFTをオンさせるためのオン信号を供給しているため、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)が、反射率が最も高い状態で固定するための駆動信号である0(V)の信号を常時供給することで、その所定のタイミングのときに、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)及び画像表示領域(図7の点線の枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)の両方に関係する画素電極に0(V)の書き込みが行われ、その画素電極に対応する部分は、ミラーモードで説明したのと同様の状態である反射率が最も高い状態になる。
なお、この電圧は、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)がオフ信号を供給しているときも維持されるため、このときにもミラーモードで説明したのと同様の状態である反射率が最も高い状態になる。
つまり、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)が、オフ信号を供給しているときには、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)及び画像表示領域(図7の点線の枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)の両方に関係する画素電極の電圧の書き換えが起きないだけであるから、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)が、オフ信号を供給しているときも、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)及び画像表示領域(図7の点線の枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)の両方に関係する画素電極は0(V)のままとなり、その画素電極に対応する部分は、ミラーモードで説明したのと同様の状態である反射率が最も高い状態になる。
また、制御部(制御基板22)はゲートドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)に所定のタイミングでオン信号を供給させるスキャン制御を行う。
例えば、制御部(制御基板22)は、ゲートドライバ(図示せず)の駆動を司って、ゲート線G3にオン信号を供給させた後、ゲート線G3にオフ信号を供給させるとともに、ゲート線G4にオン信号を供給させ、さらに、ゲート線G4にオフ信号を供給させるとともに、ゲート線G5にオン信号を供給させるという動作を繰り返し行うスキャン制御を行う。
そして、先ほど説明したように、画像表示領域(図7の点線の枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)は、ミラー領域の反射率をミラーモードのときと同様に、反射率が最も高い状態で固定するために、常時、駆動信号として0(V)の信号を供給しているため、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)及び画像表示領域(図7の点線の枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)の両方に関係する画素電極には、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)がオン信号を供給しているときに0(V)の書き込みが行われ、その画素電極に対応する部分は、ミラーモードで説明したのと同様の状態である反射率が最も高い状態になる。
なお、先に説明したのと同様に、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)がオフ信号を供給しているときに、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)及び画像表示領域(図7の点線の枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)の両方に関係する画素電極への電圧の書き込みは行われず、先に書き込まれた電圧が維持され、ミラーモードで説明したのと同様の状態である反射率が最も高い状態になる。
一方、制御部(制御基板22)はソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)に所定のタイミングに合わせて画像に対応する画像信号を供給させるとともに、所定のタイミング以外のときにミラー領域の反射率に対応する駆動信号を供給させる制御を行う。
具体的には、図7に例示として、ゲート線G3とゲート線G4、及び、ソース線S3とソース線S4の駆動状態を示しているが、制御部(制御基板22)はゲートドライバ(図示せず)及びソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、ゲート線G3とゲート線G4にオン信号を供給させる所定のタイミング(ゲート線オンのタイミング)のときに、ソース線S3とソース線S4に画像を形成するのに合わせた電圧とするための画像信号(画像電圧)を供給する制御を行う。
なお、この画像信号(画像電圧)は、図6を参照してカメラモードで説明した画素電極に印加される電圧VPと同じである。
また、そのゲート線G3とゲート線G4にオン信号が供給されている所定のタイミング(ゲート線オンのタイミング)以外のときには、これまで説明したのと同様にミラー領域の反射率に対応する駆動信号としての0(V)の信号が供給される。
このため、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)にオン信号が供給されている所定のタイミング(ゲート線オンのタイミング)のときに、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)及び画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)の両方に関係する画素電極に画像を形成するための電圧(画像電圧)の書き込みが行われ、画像表示領域(図7の点線枠参照)に画像が表示される。
また、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)がオフのときには、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)からミラー領域の反射率に対応する駆動信号が供給されているが、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)及び画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)の両方に関係する画素電極への駆動信号による電圧の書き込みは行われないため、画像の表示が維持される。
一方、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するゲート線(ゲート線G3からG5)がオフのときには、先に説明したように、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)は、オン信号を供給しているため、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)及び画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)の両方に関係する画素電極には、反射率が最も高い状態で固定するための駆動信号として0(V)の電圧の書き込みが行われることになる。
このため、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないゲート線(ゲート線G1、G2、G6及びG7)及び画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)の両方に関係する画素電極に対応する領域はミラーモードで説明したのと同様の状態である反射率が最も高い状態になる。
以上のような制御によって、一部カメラ第1モードでは、画像表示部20の一部の領域に映像(スルー画像)が表示されるとともに、それ以外の領域はミラーモードで説明したのと同様の反射率が最も高い状態のミラーとして機能するものになる。
[一部カメラ第2モード]
一部カメラ第2モードは、基本的には、一部カメラ第1モードとほぼ同様であるが、ミラー領域の反射率を一部カメラ第1モードのように、反射率が最も高い状態とするのではなく、防眩モードで説明したのと同様に、後続車からの光によるグレアを抑制するように外光に対する反射率を変える点が異なる。
つまり、制御部(制御基板22)が、ミラー領域に対応する液晶層32Aに印加する電圧を制御することで、眩光を抑制する反射率にミラー領域の反射率が調節される点が一部カメラ第1モードと異なる。
具体的には、ゲート線に関する制御については、一部カメラ第1モードと同様である。
また、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)に画素電極の電圧をミラー領域の反射率に対応させるための駆動信号(電圧信号)を常時供給させる制御、及び、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)に所定のタイミングに合わせて画像に対応する画像信号を供給させるとともに、所定のタイミング以外のときにミラー領域の反射率に対応する駆動信号を供給させる制御についても、基本的には、一部カメラ第1モードと同様であるが、このソース線に供給される駆動信号が一部カメラ第1モードと異なることになる。
つまり、一部カメラ第1モードでは、画像表示領域(図7の点線の枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)に、ミラー領域の反射率をミラーモードのときと同様に、反射率が最も高い状態で固定するための駆動信号として0(V)の信号を供給していたが、一部カメラ第2モードでは、画像表示領域(図7の点線の枠参照)に対応しないソース線(ソース線S1、S2、S6からS13)に、液晶層32Aに対して印加される電圧VLを後続車からのグレアが抑制できるとともにミラーとしても機能する、所定の反射率となるように液晶層32Aの液晶分子の向きを変更するだけの電圧VLとするための駆動信号として、防眩モードで説明した画素電極に印加する電圧VPの信号を供給することになる。
また、画像表示領域(図7の点線枠参照)に対応するソース線(ソース線S3からS5)においても、所定のタイミング以外のときに供給される駆動信号が防眩モードで説明した画素電極に印加する電圧VPの信号を供給することになる。
このように、一部カメラ第2モードでは、駆動信号が防眩モードで説明した画素電極に印加する電圧VPの信号とされているので、ミラー領域の反射率が防眩モードで説明したのと同様の状態となる。
以上のような制御によって、一部カメラ第2モードでは、画像表示部20の一部の領域に映像(スルー画像)が表示されるとともに、それ以外の領域は防眩モードで説明したのと同様に、後続車からの光によるグレアを抑制するように外光に対する反射率を変えるミラーとして機能するものになる。
[一部カメラ第3モード]
図8は一部カメラ第3モードを説明するための図であり、図7の上側に示した図に対応する図である。
なお、図7と同様に、画像形成領域とされる領域を点線枠で示している。
一部カメラ第3モードでは、制御部(制御基板22)が、画像表示部20の少なくとも1か所以上に画像表示領域(図8の点線枠参照)を形成するとともに、画像表示部20の画像表示領域(図8の点線枠参照)以外の領域をミラー領域とするように制御する。
本例では、先に説明した車両の後方を広く撮像する車載カメラの映像(スルー画像)と車両の後方の近くを撮像する車載カメラの映像(スルー画像)と、が表示される。
このため、それぞれの映像(スルー画像)を表示するために画像表示領域(図8の点線枠参照)が2箇所形成されたものになっているが、画像表示領域(図8の点線枠参照)を2箇所にする必要はなく、車両に3台の車載カメラが搭載されているのであれば、画像表示領域(図8の点線枠参照)を3箇所形成するようにしてもよい。
なお、本例では、2つある車載カメラのそれぞれの映像(スルー画像)を同時に画像表示部20に表示する場合としているが、例えば、2つある車載カメラのうちの1つの車載カメラの映像(スルー画像)を1つの画像表示領域(図8の点線枠参照)に表示させ、もう1つの画像表示領域(図8の点線枠参照)には、注意喚起等の文字や図柄等を表示するようにしてもよい。
そして、一部カメラ第3モードは、画像表示領域(図8の点線枠参照)の数が異なるだけで、基本的には、一部カメラ第1モードと同じであり、ミラー領域は反射率が最も高い状態のミラーとして機能するものとされる。
つまり、一部カメラ第3モードは、一部カメラ第1モードと比較して画像表示領域(図8の点線枠参照)の数が増加しただけである。
そして、画像形成領域(図8の点線枠参照)が増えていることに伴って、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応しないゲート線がゲート線G1、G7となり、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応するゲート線がゲート線G2からG6となるが、制御部(制御基板22)がゲートドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応しないゲート線に対して行う制御、及び、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応するゲート線に対して行う制御は、既に、一部カメラ第1モードで詳細に説明したのと同じである。
また、画像形成領域(図8の点線枠参照)が増えていることに伴って、画像表示領域(図8の点線の枠参照)に対応しないソース線がソース線S1、S2、S6からS9、S13となり、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応するソース線がソース線S3からS5、S10からS12となるが、制御部(制御基板22)がソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図8の点線の枠参照)に対応しないソース線に対して行う制御、及び、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応するソース線に対して行う制御は、既に、一部カメラ第1モードで詳細に説明したのと同じである。
[一部カメラ第4モード]
一部カメラ第4モードでは、制御部(制御基板22)が、画像表示部20の少なくとも1か所以上に画像表示領域(図8の点線枠参照)を形成するとともに、画像表示部20の画像表示領域(図8の点線枠参照)以外の領域をミラー領域とするように制御するが、このミラー領域を、既に、一部カメラ第2モードで説明したのと同様に、後続車からの光によるグレアを抑制するように外光に対する反射率を変えるものとされる点が、一部カメラ第3モードと異なる。
また、別の表現で言えば、画像表示領域(図8の点線枠参照)の数が増えた点だけが一部カメラ第2モードと異なるともいえる。
そして、一部カメラ第2モードと比較して、画像形成領域(図8の点線枠参照)が増えていることに伴って、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応しないゲート線がゲート線G1、G7となり、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応するゲート線がゲート線G2からG6となっている点が異なる。
しかし、制御部(制御基板22)がゲートドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応しないゲート線に対して行う制御、及び、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応するゲート線に対して行う制御は、既に、一部カメラ第2モードで詳細に説明したのと同じである。
同様に、一部カメラ第2モードと比較して、画像形成領域(図8の点線枠参照)が増えていることに伴って、画像表示領域(図8の点線の枠参照)に対応しないソース線がソース線S1、S2、S6からS9、S13となり、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応するソース線がソース線S3からS5、S10からS12となっている点が異なる。
しかし、制御部(制御基板22)がソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図8の点線の枠参照)に対応しないソース線に対して行う制御、及び、画像表示領域(図8の点線枠参照)に対応するソース線に対して行う制御は、既に、一部カメラ第2モードで詳細に説明したのと同じである。
以上のように、画像表示部20の一部に画像を表示するモードである一部カメラモード(一部カメラ第1モード、一部カメラ第2モード、一部カメラ第3モード、及び、一部カメラ第4モード)のときに制御部(制御基板22)は、ゲートドライバ(図示せず)及びソースドライバ(図示せず)の駆動を司って、画像表示領域(図7及び図8の点線枠参照)に対応しないゲート線に所定のタイミングでオン信号を供給させる制御と、画像表示領域(図7及び図8の点線枠参照)に対応するゲート線に所定のタイミングでオン信号を供給させるスキャン制御と、画像表示領域(図7及び図8の点線枠参照)に対応しないソース線にミラー領域の反射率に対応する駆動信号を常時供給させる制御と、画像表示領域(図7及び図8の点線枠参照)に対応するソース線に所定のタイミングに合わせて画像に対応する画像信号を供給させるとともに、所定のタイミング以外のときにミラー領域の反射率に対応する駆動信号を供給させる制御と、を行う。
以上、具体的な実施形態を基に本発明の説明を行ってきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記では、第1偏光板31が第1偏光の光を反射し、第2偏光の光を透過するものとされ、第2偏光板34が第1偏光の光を透過し、第2偏光の光を吸収するものとされていた。
しかし、第1偏光板31が第2偏光の光を反射し、第1偏光の光を透過するものとされ、第2偏光板34が第1偏光の光を透過し、第2偏光の光を吸収するものとされていてもよい。
このように、第1偏光板31が第2偏光の光を反射し、第1偏光の光を透過するものとされていても、それに応じて、第1配向膜PAF1及び第2配向膜PAF2によって設定される初期設定の液晶層32Aの液晶分子の配向方向を適切に設定しなおせば、これまで説明したのと同様の動作を実現することが可能である。
したがって、第1偏光板31は第1偏光の光、又は、第2偏光の光のうちのいずれか一方の光を反射し、残るもう一方の光を透過するものであればよい。
また、上記実施形態では、カラーフィルタ層33が設けられるが、カラーフィルタ層33は省略されてもよい。カラーフィルタ層33が設けられない構成においても、例えばモノクロ映像表示や文字/記号表示を実現できる。
また、上記実施形態では、電圧を印加していないときに配向方向が揃うタイプの液晶分子が使用されているが、電圧を印加しているときに配向方向が揃うタイプの液晶分子が使用されてもよい。このような変形例を図9を参照して説明する。
図9は、電圧を印加しているときに配向方向が揃うタイプの液晶分子が使用される場合の説明図であり、変形例の場合の図1のA-A線断面を示す模式図である。図9に示す変形例では、上述した実施形態に対して、画像表示部20が画像表示部120で置換された点が異なる。画像表示部120は、上述した実施形態による画像表示部20に対して、第1偏光板31及び偏光制御部32が、第1偏光板310及び偏光制御部320でそれぞれ置換された点が異なる。
第1偏光板310は、上述した実施形態による第1偏光板31に対して、第1偏光フィルム31Bが第1偏光フィルム310Bで置換された点が異なる。第1偏光フィルム310Bは、P偏光の光を透過し、S偏光の光を反射する特性を有する。
偏光制御部320は、液晶層32Aが液晶層320Aで置換された点が異なる。液晶層320Aは、電圧を印加しているときに配向方向が揃うタイプの液晶分子を含む。
例えばミラーモードでは、図9を参照するに、本実施形態では、液晶層320Aの液晶分子に対して電圧を印加していないとき(電圧VLが0(V)のとき)には、液晶層320Aを挟むように設けられた第1配向膜PAF1及び第2配向膜PAF2によって、光が液晶層320Aを透過する際に、偏光状態が変化するように、液晶層320Aの液晶分子の配向方向が設定されている。
そして、外光はP偏光とS偏光の光がほぼ同じ割合で含まれているので、図9に示すように、カバー11を透過して画像表示部120に入射した光のうち、S偏光の光は第2偏光板34(より正確には、第2偏光フィルム34B)で吸収され、P偏光の光が第2偏光板34を透過して液晶層320Aに入射する。
そして、先に説明したように、ミラーモードのときには、液晶層320Aの液晶分子全体が光の偏光状態を変える向きに配向方向がなっているため、液晶層320Aに入射した光は、液晶層320Aを透過する際にS偏光に変化し、第1偏光板310に到達する。
そうすると、液晶層320Aを透過したS偏光の光は、第1偏光板310(より正確には、第1偏光フィルム310B)で反射され、再び、液晶層320Aに入射するが、ここでも偏光状態が変化し、P偏光の光で液晶層320Aから出力され、第2偏光板34に阻害されることなく、第2偏光板34を透過してカバー11を介して画像表示部120の外部に照射される。
防眩モード等の説明は省略するが、かかる変形例においても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、技術的思想を逸脱することのない変更や改良を行ったものも発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。