JP7270920B2 - 化学・物理現象検出素子 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体イオンセンサ構造を利用して、外部からの圧力もしくは力学的な力を検出する化学・物理現象検出素子(センサ)の素子構造を提供するものである。半導体イオンセンサと集積化することが容易であり、化学反応等(水素イオン濃度もしくはpH変化の挙動等)と力学的な力を同時に検出するマルチモーダルイメージセンサを実現するものである。
半導体イオンセンサはバイオ、医療、工業分野等での利用が検討されている。バイオ、医療分野においては、高感度なイオンセンサ(特許文献1)をアレイ状に配置し、細胞活動に起因して発生する化学反応を2次元分布として取得する検討がなされている。半導体イオンセンサが光にも応答することを利用して、化学反応と併せて、観察対象の挙動を光学的に観察できる素子構造も実現されている(特許文献2)。また、標準CMOSプロセスに適したエクステンデッド型構造も実現されている(特許文献3、特許文献4)。更には、半導体イオンセンサを電位検出器とし、半導体イオンセンサ上にガス感応性導電膜及び基準電極を形成することで、ガスセンサとして利用することも検討されている(非特許文献1)。このような構成により、ガス感応性導電膜が目的とするガスに曝露された際に生じる膜特性の変化が半導体イオンセンサの電位変化として検出できる。
特許第3623728号「累積型化学・物理現象検出装置」 特許第5273742号「複合検出装置」 国際公開2016/114202「化学・物理現象検出装置」 国際公開2016/147798「化学・物理現象検出装置」
新名直也、岩田達哉、橋詰賢一、黒木俊一郎、澤田和明、「小型においセンサを目指した微細電位型ガスセンサアレイの作製と応答パターンによるガス識別」、第62回化学センサ研究発表会予稿集、pp.54-56(2017).
しかしながら、イオンの挙動、光学画像、ガスの挙動の検出が可能であっても、圧力もしくは力学的な力の挙動を直接観察することができなかった。
本発明では、前述の課題を鑑みて、半導体イオンセンサ上に主に圧電材料からなる薄膜構造体を設けることで、従来は化学反応、光、ガスを検出していたセンサに圧力もしくは力学的な力を検出する機能を追加し、化学反応及び圧力もしくは力学的な力を同時に検出できるマルチモーダルセンサを実現する。
本発明の第1の局面は、
半導体基板上に水素イオンを吸着する感応膜と、水素イオンの吸着による感応膜表面における電位変化に対応して半導体中の電位井戸の深さを変化させるセンシング領域からなる電位検出部を有し、
前記電位検出部の前記感応膜上に基材樹脂層、金属層及び圧電層からなる薄膜構造体を有し、
前記薄膜構造体の前記圧電層は前記電位検出部の前記感応膜上に形成されていることを特徴とする。
本発明の第2の局面は、
半導体基板上に水素イオンを吸着する感応膜と、水素イオンの吸着による感応膜表面における電位変化に対応して半導体中の電位井戸の深さを変化させるセンシング領域からなる複数の電位検出部を有し、
一部または全部の前記電位検出部の前記感応膜上に基材樹脂層、金属層及び圧電層からなる薄膜構造体を有し、
前記薄膜構造体の前記圧電層は前記電位検出部の前記感応膜上に形成されていることを特徴とする。
本発明の第3の局面は、
半導体基板上に水素イオンを吸着する感応膜と、水素イオンの吸着による感応膜表面における電位変化に対応して半導体中の電位井戸の深さを変化させるセンシング領域からなる電位検出部を有し、
前記電位検出部の前記感応膜上に基材樹脂層、金属層及び圧電層からなる薄膜構造体を有し、
前記薄膜構造体の前記圧電層は前記電位検出部の前記感応膜上に形成され、前記圧電層の膜厚が1μm程度であることを特徴とする。
本発明の第4の局面は、
力学的な力を検出する第1のセンサ素子と、化学反応を検出する第2のセンサ素子がアレイ状に配置されていることを特徴とする。
本発明の第5の局面は、
本発明の第1の局面から第4の局面において、前記水素イオンを吸着する感応膜は窒化シリコン膜または五酸化タンタル膜からなることを特徴とする。
前記薄膜構造体の金属層は酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin-Oxide)層からなり、圧電層はポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂層、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンとの共重合体(VDF-TrFE)からなる樹脂層またはフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体(VDF-TeFE)からなる樹脂層のいずれかからなり、基材樹脂層はポリエチレンテレフタラート(PET:Polyethylene terephthalate)樹脂層からなることを特徴とする。金属層を光透過性電極とすることで、光が透過できるので、光学像と力学的な力を同時に観察できる。
前記電位検出器上に前記薄膜構造体を貼り付ける場合は、粘着性材料として紫外線硬化性樹脂(UV cross-linking polymer)を用いてもよい。ここでは、紫外線硬化樹脂として、東洋合成工業株式会社製BIOSURFINE(登録商標)-AWPを用いた。
ここで、紫外線硬化樹脂が使用できることは、電極層に光透過性を有するITO層を用いているために基材樹脂層も光透過性を有するからである。
図1は第1の実施形態のセンサ素子の構成図である。 図2は図1のセンサ素子の電位分布である。 図3は基準電位と電位検出部との間の電気的な接続状態を表す等価回路である。 図4は圧電層の膜厚と検出比の関係を表す計算結果である。 図5は第2の実施形態のセンサ素子の構成図である。 図6は第3の実施形態のセンサ素子の構成図である。
圧力または力学的な力を検出するためには、圧電層の誘電率の変化を利用する。圧電材料(例えば、水晶や特定のセラミック材料)は力学的な力に対する応答として生じる電気的ポテンシャルを発生する。一般に、圧電材料に力学的な力を加えた場合、電気的ポテンシャルの発生は短時間に終了し、誘電率の変化が恒常的に発生する。
電位検出部は電位検出部自身の電位と基準電位(例えば、1.5Vが設定される)との電位差を検出するが、電位検出部自身が持つ寄生容量、感応部が持つ寄生容量を介して電位差を検出している。したがって、電位検出部自身及び感応部が持つ寄生容量に比べて、圧電膜が持つ静電容量の変化が大きければ検出感度は高くできる。圧電層の静電容量の変化を大きくするためには、圧電層を薄層化して圧電層の静電容量を高くすればよい。
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態のセンサ素子1の原理的な構成を図1に示す。図2に半導体内での電位分布を示す。本実施形態に示すセンサ素子1はシリコン基板8に形成された電位検出部100とその上に積層される薄膜構造体200から構成される。
薄膜構造体200は、圧電層16、ITO層17、PET樹脂層18の順で形成され、薄膜構造体200と電位検出部100の最上層となる感応膜14は粘着性材料15にて接着される。ここで、圧電層16は力学的な力を検出するためのものであり、ITO層17は基準電位を印加するためのものである。薄膜構造体200と電位検出部100を接着する手段として、圧電層16に帯電しやすい材料を使用すれば粘着性材料15は不要である。この場合、圧電層16と感応膜14は静電気力で密着する。
次に、電位検出部100の構成について述べる。シリコン基板8に、第2の電荷蓄積(FD2)領域6から電荷を転送する方向へ順に電荷移送制御(TG)領域4、第1の電荷蓄積(FD1)領域5、センシング領域3、電荷排出(D)領域2が区画される。
各領域の区画はシリコン基板8の表面におけるシリコン半導体の伝導型の違いにより規定される。例えば、電荷として電子を用いた場合、電荷排出(D)領域2、第1の電荷蓄積(FD1)領域5、第2の電荷蓄積(FD2)領域6はn+型の領域であり、センシング領域3、電荷移送制御(TG)領域4はp型の領域である。
センシング領域3上にセンシング領域規定電極11が形成される。更に酸化シリコン層13が積層され、酸化シリコン層の表面に感応膜としての窒化シリコン層14が積層される。この窒化シリコン層14の電位変化は酸化シリコン層13内に埋設された金属材料などからなる導電層12を介してセンシング領域規定電極11に伝達される。電荷移送制御領域4上に電荷移送制御電極10が形成される。通常、電荷移送制御電極10及びセンシング領域規定電極11には通常ポリシリコン膜を利用する。電荷移送制御電極10及びセンシング領域規定電極11はゲート酸化膜9を介してシリコン基板8上に形成される。
図2を参照しながら電位検出部100の動作を説明する。電位検出部100の動作ステップは図2Aから図2Dに示す4ステップからなっている。電位の高さを矢印で示しており、下側が高電位となっている。
図2Aは初期状態である。第2の電荷蓄積(FD2)領域6及び第1の電荷蓄積(FD1)領域5には電荷が充填されている。電荷移送制御(TG)領域4の電位を充分な低電位、例えば、0Vとすることで、第1の電荷蓄積(FD1)領域5に蓄積される電荷の最低電位はセンシング領域3の電位の高さと等しくなり、第2の電荷蓄積(FD2)領域6に蓄積される電荷の最低電位は電荷移送制御(TG)領域4の電位と等しくなっている。ここで、センシング領域3の電位は感応膜14表面の電位に対応した高さになっている。電荷排出(D)領域2には充分な高電圧、例えば、電源電圧が印加され、以降の動作ステップでも保持される。したがって、電荷排出(D)領域2に到来した電荷は常に外部へ排出される。
図2Bでは、電荷移送制御(TG)領域4の電位を充分な高電位とし、第1の電荷蓄積(FD1)領域5、電荷移送制御(TG)領域4及び第2の電荷蓄積(FD2)領域6に電荷を充満させる。
図2Cでは、センシング領域3の電位より低い電位を持つ電荷が、センシング領域3を通過して電荷排出(D)領域2に排出されることを示している。この時、第1の電荷蓄積(FD1)領域5、電荷移送制御(TG)領域4及び第2の電荷蓄積(FD2)領域6に残存した電荷の最低電位はセンシング領域3の電位と等しくなる。
図2Dでは、電荷移送制御(TG)領域4の電位を充分に低電位とし、第2の電荷蓄積(FD2)領域6のみに電荷を充填させる。尚、第1の電荷蓄積(FD1)領域5にも電荷が残存している。第2の電荷蓄積(FD2)領域6に充填された電荷量はセンシング領域3の電位の高さを反映しているので、出力電圧読出し部7を介して高い入力インピーダンスを有するバッファ回路などで電位を計測すればよい。
このようにして構成された電位検出部100により、窒化シリコン膜14に誘起される電位を検出することができる。電位検出部100は水素イオンを吸着する窒化シリコン膜14を有しているので、電位検出部100のみを用いても液体中の水素イオン濃度もしくはpHを検出することができる。
ここでは、本実施形態で用いた電位検出部100の構成と動作について示したが、電位検出部100は感応膜14表面に誘起される電位を検出すればよく、特許文献3、特許文献4に記載されるイオンセンサ構造を用いてもよく、感応膜14表面の電位状態に対応してチャネルコンダクタンスを変化させるイオン感応型電界効果トランジスタ(ISFET)構造でもよい。
次に、薄膜構造体200の製造方法を述べる。製造では、予めPET樹脂層18にITO層17が積層された透明性導電フィルムを利用すると簡便である。ここで利用した透明性導電フィルムは日東電工株式会社製ELECRYSTA(登録商標)型番V100-ORJC5Bであり、フィルム膜厚は25μmである。PVDF樹脂を溶剤N-メチル-2-ピロリドン(NMP)及びメチルエチルケトン(MEK)の混合液に溶解し、濃度10質量%の樹脂液を調製する。調製した樹脂液を透明性導電フィルムにバーコーター法で塗布し、レベリングを行う。ここで、バーコーター法とは、金属シャフトに金属ワイヤを巻いたワイヤーバーを利用する方法であり、樹脂液はワイヤーバーを引く方向に対して手前に滴下しておくことで、均一で平坦な樹脂層を形成する方法である。更に、熱風循環炉にて温度180℃、時間1分の熱処理を加え、圧電層16を形成する。最後に、直流コロナ放電を利用してポーリング処理を行う。ポーリング処理はITO層17と圧電層16及び空気層の間に10kV程度の高電圧を印加する。なお、ポーリング処理中はITO層をGND電位と同電位とするため接地しておく。
薄膜構造体200の別な製造方法として、スパッタ法または真空蒸着法でITO層17を形成することができる。この場合、基材樹脂層18はポーリング処理後に剥離することができる。先ず、PVDF樹脂を溶剤NMP及びMEKに溶解し、濃度10質量%の樹脂液を調製する。次に、調製した樹脂液を離型フィルムにバーコーター法で塗布し、熱風循環炉にて温度180℃、時間1分の熱処理を加え、圧電層16を形成する。その後、スパッタ法または真空蒸着法でITO層17を膜厚0.05~0.1μm程度堆積させる。ITO層17の形成後、圧電層16とITO層17の積層体から離型フィルムを剥離する。剥離は粘着テープ等による引き剥がしにより可能であり、特別な溶剤は使用しない。ここで、離型フィルムとは、粘着剤等と接触した場合でも、圧力や温度が加わった場合でもすぐに剥離することができるフィルムであり、表面にシリコンコーティングを施すことが一般的である。最後に、ポーリング処理装置の接地板とITO層17を密着させ、直流コロナ放電を利用してポーリング処理を行う。
更に、薄膜構造体200の別な製造方法を述べる。先ず、PVDF樹脂を温度240℃で溶解させ、樹脂溶融液を作成し、押出形成工程、延伸工程を経て所望の圧電層を形成する。その後、ITO層17をスパッタ法または真空蒸着法で堆積させる。ITO層17の膜厚は0.1μmとし、堆積後は酸素雰囲気中で熱処理を加えた。最後に、直流コロナ放電を利用してポーリング処理を行う。
ポーリング処理を加えた薄膜構造体200を電位検出部100の感応膜14上に張り付けることで、力学的な力を検出するセンサ素子として機能する。貼り付けに際しては、予め、紫外線硬化性樹脂をスピンコーティング法により感応膜14上に塗布しておく。薄膜構造体200を貼り付けた後、紫外線を照射して樹脂を硬化させることで接着される。尚、感応膜14として、窒化シリコン膜または五酸化タンタル膜を用いている。
このように形成されたセンサ素子1は、薄膜構造体200表面に加わる圧力に対応して圧電層16が発生する電位変化を検出できる。圧電層16の膜厚が薄ければ、検出感度が増大するが、圧電層16の膜厚は1μm程度または1μm程度以下とすることが望ましい。
以上により、圧電層16の表面に加わる圧力もしくは力学的な力に対応する感応膜14の表面の電位がセンシング領域3の電位に反映される。
(ポーリング処理)
一般に圧電材料では結晶内で正と負に分極し、電気的に双極を形成している。近隣では配置も直線を保持しているが、結晶全体では無秩序な配置となり、中性となってしまう。そこで、圧電材料に高電界を印加し、結晶全体の配置を揃えることをポーリングという。ポーリングは昇温して行うことが一般的であるが室温でもその限りではない。
電位検出器100上に圧電層16を形成した後にポーリング処理を行うと、電位検出器100が高電界で破損する恐れがある。したがって、薄膜構造体200を別に形成し、電位検出器100上に形成する前に、ポーリング処理を終了しておくこととした。
(圧電層の膜厚)
圧電層16の膜厚は検出感度に影響を及ぼす。ここでは、圧電層16の膜厚の選定について述べる。図3は基準電位(Vref)と電位検出部との間の電気的な等価回路を示したものである。図3を用いて電位検出部で検出される電位(Vg)と基準電圧(Vref)の関係を求める。基準電位(Vref)は、式(1)で表される。各々の静電容量に蓄積される電荷量は電荷保存則により全て等しい。
Vref=Vf+Vs+Vg (1)
Qf=Cf×Vf (2)
Qs=Cs×Vs (3)
Qg=Cg×Vg (4)
Qf=Qs=Qg (5)
ただし、圧電層16の静電容量をCf、圧電層16に印加される電圧をVf、圧電層16に蓄積される電荷量をQf、感応膜14の静電容量をCs、感応膜14に印加される電圧をVs、感応膜14に蓄積される電荷量をQs、電位検出部100の静電容量をCg、電位検出部100に印加される電圧をVg、電位検出部100に蓄積される電荷量をQgとする。
ここで、Vg/Vrefを検出比と定義する。検出比が大きいほど検出感度が高くなる。式(1)~式(5)より、検出比を表す式(6)が導出される。
Vg/Vref=(Cf×Cs)/(Cs×Cg+Cf×Cg+Cf×Cs) (6)
図4は圧電膜14の膜厚と検出比をプロットしたものである。圧電層16の膜厚(d)を変数とし、膜厚0.5μmから20μmの範囲で変化させた。ただし、圧電層16の比誘電率を8.2とし、感応膜14の膜厚及び比誘電率をそれぞれ0.1μm及び27とし、ゲート酸化膜9の膜厚及び比誘電率をそれぞれ8nm及び3.9とした。また、感応膜14とセンシング領域3の面積比約17を考慮して検出比を計算した。
図4によれば、圧電層16の膜厚が薄いほど検出比は高くなることが判る。圧電層16の形成に利用したバーコーター法では、膜厚として0.1μmから500μm程度が実現可能であるが、剥離して使用できる自立した圧電層16を得るためには0.5μm以上の膜厚が必要となる。したがって、圧電層16製造の容易性や取り扱いの簡便さを鑑みて本実施形態では膜厚1μmを選んでいる。検出比が感応膜14表面の雑音レベルよりも大きくなれば、検出感度を向上させることができる。
(第2の実施形態)
図5に示すセンサ素子101は半導体基板上に複数の電位検出部100を形成し、その一部に薄膜構造体200を有するものである。薄膜構造体200が存在しない電位検出部100の最表面は水素イオンを吸着する感応膜14となっている。本実施形態によるセンサ素子101は、観察対象の水素イオン濃度もしくはpH等の化学量、光学画像、圧力等の力学的な力の挙動を同時に観察できる。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、ITO層17に基準電位を印加し、電位検出器100の基準電位とするが、周囲の環境が溶液中20であればITO層に基準電位を印加する必要はなく、溶液自身に基準電位を印加してもよい。基準電位を印加するためには、飽和塩化ナトリウム溶液を挿入した銀/塩化銀(Ag/AgCl)ガラス電極等を用いる。
図6のセンサ素子201は薄膜構造体から基材層18とITO層17を除去したものであり、圧電層16が最上面となる。この場合、基材層18による寄生成分が存在しないので検出比を増大でき、検出感度を増大できる。
図6に示すセンサ素子201の薄膜構造体200では天然マイカ基板を転写用の基材層18として利用する。厚さ0.2mm~0.4mm程度の天然マイカ基板上に電子ビーム蒸着法を用いて厚さ50nmのITO層17を形成した。ここでは、ITO層17の低抵抗化のために酸素雰囲気中で温度300℃、時間180分の熱処理を加えた。その後、バーコーター法により圧電層16を形成し、ポーリング処理を行うことで薄膜構造体200を作製する。
次に薄膜構造体200を電位検出器100に貼り付ける。貼り付ける際には、粘着性材料として紫外線硬化樹脂を電位検出器100の表面に塗布しておく。マイカは剥離が容易という特徴があり、基材層18であるマイカをITO層17から剥離することができる。剥離は粘着テープ等による引き剥がしにより可能であり、特別な溶剤は使用しない。最後に、アルゴンスパッタエッチング等のドライエッチング法を用いてITO層17を除去する。一般にアルゴンスパッタエッチング等では下層となる圧電層16とITO層17のエッチング選択性が得られないが、ITO層17の膜厚は圧電層16の膜厚に比べて充分に薄いことを利用して、エッチング時間を適宜調整することにより、圧電層16の膜厚減少を抑制できる。
圧電層16を除去してpHを検出する感応膜を露出させる場合は、フロン系有機ガス等を用いた反応性イオンエッチングを用いればよい。
ドライエッチング工程において温度上昇による圧電層16の分極配向を崩さないためにエッチング中は冷却することが望ましい。
産業上の利用分野
本発明によるセンサ装置をアレイ化することにより、化学反応、光学像、力学的な力の挙動が2次元分布として同時に観察可能となり、バイオ分野、例えば、細胞活動の分析等に新たな手法を提供できる。
本発明は前記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載の趣旨を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
1、101、201 センサ素子
2 電荷排出(D)領域
3 センシング領域
4 電荷移送制御(TG)領域
5 第1の電荷蓄積(FD1)領域
6 第2の電荷蓄積(FD2)領域
7 出力電圧読出し部
8 シリコン基板
9 ゲート酸化膜
10 電荷移送制御電極
11 センシング領域規定電極
12 導電層
13 酸化シリコン膜
14 感応膜(窒化シリコン膜、五酸化タンタル膜)
15 粘着性材料
16 圧電層
17 ITO層
18 基材層(基材樹脂層、PET樹脂層)
20 溶液
21 基準電極
100 電位検出部
200 薄膜構造体

Claims (3)

  1. 半導体基板上に窒化シリコン膜または五酸化タンタル膜で構成されて水素イオンを吸着する感応膜と、水素イオンの吸着による感応膜表面における電位変化に対応して半導体中の電位井戸の深さを変化させるセンシング領域からなる電位検出部を有し、該電位検出部は、前記センシング領域上に、センシング領域規定電極が形成されるとともに、酸化シリコン層が積層され、該酸化シリコン層内に埋設された金属材料からなる導電層が形成され、前記感応膜が該導電層を介して前記センシング領域規定電極に導通されるものであり、
    前記電位検出部の感応膜上に樹脂層、基準電位を印加するための金属層及び圧電材料層からなる薄膜構造体を有し、
    前記薄膜構造体は電位検出部の感応膜上に前記圧電材料層が接着または静電気力で密着され、前記金属層は、該圧電材料層と前記樹脂層との間に形成されていることを特徴とするセンサ素子。
  2. 半導体基板上に窒化シリコン膜または五酸化タンタル膜で構成されて水素イオンを吸着する感応膜と、水素イオンの吸着による感応膜表面における電位変化に対応して半導体中の電位井戸の深さを変化させるセンシング領域からなる複数の電位検出部を有し、該電位検出部は、前記センシング領域上に、センシング領域規定電極が形成されるとともに、酸化シリコン層が積層され、該酸化シリコン層内に埋没された金属材料からなる導電層が形成され、前記感応膜が該導電層を介して前記センシング領域規定電極に導通されるものであり、
    一部または全部の前記電位検出部の感応膜上に樹脂層、基準電位を印加するための金属層及び圧電材料層からなる薄膜構造体を有し、
    前記薄膜構造体は電位検出部の感応膜上に前記圧電材料層が接着または静電気力で密着され、前記金属層は、該圧電材料層と前記樹脂層との間に形成されていることを特徴とするセンサ素子。
  3. 前記圧電材料層の膜厚は、0.5μm以上500μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ素子。
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