実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る電力変換システムの構成の第一例を示す図であり、図2は実施の形態1に係るノイズ電流の伝搬経路を示す図である。図3は図1の変換回路の第一例を示す図であり、図4は図3のレグを示す図である。図5は、図1の変換回路の第二例を示す図である。図6は、図1の非導体筐体及び導体の配置の第一例を示す図である。図7は実施の形態1に係る電力変換システムの構成の第二例を示す図であり、図8は実施の形態1に係る電力変換システムの構成の第三例を示す図である。図9は図1の非導体筐体及び導体の配置の第二例を示す図であり、図10は図1の非導体筐体及び導体の配置の第三例を示す図である。図11は図1の接続部の間隔の第一例を示す図であり、図12は図1の接続部の間隔の第二例を示す図である。図13は、図1の導体の分割例を示す図である。図14は図1の入力電源の第二例を示す図であり、図15は図1の入力電源の第三例を示す図である。図16は実施の形態1に係る電力変換システムの構成の第四例を示す図であり、図17は実施の形態1に係る電力変換システムの構成の第五例を示す図であり、図18は実施の形態1に係る電力変換システムの構成の第六例を示す図である。
まず、電力変換装置が電力変換された電力を電動機に出力する場合の電力変換システムについて説明する。実施の形態1の電力変換システム50は、電動機4と、入力される電力から電力変換され、予め定められた出力電力を電動機4に供給し、電動機4を駆動する電力変換装置7と、電動機4と電力変換装置7とを接続する接続配線5と、を備えている。電力変換装置7の第一A端子11a、第二A端子11bには、入力電源30からの直流電力又は交流電力が入力される。電力変換装置7は、入力された直流電力又は入力される交流電力を直流電力に変換された直流電力が通電される、正側の第一通電路12a及び負側の第二通電路12bと、複数のスイッチング素子1を有し、第一通電路12a及び第二通電路12bから入力された直流電力を電力変換して出力電力を電動機に供給する変換回路3と、を備えている。直流の入力電力から交流の出力電力に変換する場合の電力変換装置7は、直流-交流変換器(インバータ)として機能する。直流の入力電力から直流の出力電力に変換する場合の電力変換装置7は、直流-直流変換器(コンバータ)として機能する。
実施の形態1の電力変換システム50の第一例を説明する。図1に示した入力電源30は、直流電源31の例である。電力変換装置7の第一A端子11a、第二A端子11bには、入力電源30からの直流電力が入力される。電力変換装置7は、複数のスイッチング素子1と、複数のスイッチング素子1を制御する制御回路2と、直流電力が通電される正側の第一通電路12a及び負側の第二通電路12bと、第一通電路12a及び第二通電路12bから入力された直流電力を電力変換して出力電力を電動機に供給する変換回路3と、を備えている。変換回路3は、正側接続端子16a、負側接続端子16bから入力された直流電力を電力変換して、予め定められた交流電力又は直流電力で電動機4を駆動する。交流電力で駆動される電動機4は例えば交流回転電機であり、直流電力で駆動される電動機4は例えば直流回転電機である。接続配線5は、変換回路3のB端子61と電動機4の電動機端子62とに接続されており、変換回路3から出力された電力を電動機4に供給する。電動機4は、巻線群51、巻線群51を収容する金属を含む電動機筐体9を備えている。電動機筐体9は、電位が接地電位Vsに設定されており、すなわち電位が接地電位Vsにされている。適宜、電位が接地電位Vsに設定されており、電位が接地電位Vsにされていることを、単に、「接地されている」と表現する。なお、金属を含む電動機筐体9は、電位が接地電位Vsにされている領域が一部であってもよく、全てが金属であってもよいすなわち金属筐体であってもよい。
実施の形態1の電力変換システム50は、電動機4、電力変換装置7、接続配線5の他に、電力変換装置を覆う非導体筐体21、対地間コンデンサ6、スイッチング素子1から発生する電磁ノイズをシールドする機能を有する導体8、電位が接地電位Vsにされている金属に導体8を接続する複数の接続部10a、10b、10c、10dを備えている。図1では、電動機筐体9は筐体本体52、延長部53を有する例を示した。延長部53は筐体本体52の破線54で示した部分から第一通電路12a及び第二通電路12b側に延伸している。また、4つの接続部10a、10b、10c、10dが電動機筐体9の延長部53に設けられており、4つの接続部10a、10b、10c、10dにて導体8が接続されている例を示した。対地間コンデンサ6は、スイッチング素子1から発生し、電動機筐体9を伝搬する電磁ノイズを、第一通電路12a又は第二通電路12bにバイパスする。導体8は、複数のスイッチング素子1、対地間コンデンサ6、対地間コンデンサ6が接続された第一通電路12a又は第二通電路12b、及び接続配線5に対向して配置されている。接地配線25は、電動機筐体9に設けられた接地接続部26を介して接地電位Vsにされている。接続部の符号は、総括的に10を用い、区別する場合に10a、10b、10c、10dを用いる。
図1では、対地間コンデンサ6は、コンデンサ第一端子14aが接地配線25に接続され、コンデンサ第二端子14bが第二通電路12bに接続されている例を示した。図1に示した電力変換システム50の第一例は、対地間コンデンサ6が第二通電路12bと接地配線25との間に接続されているので、電動機筐体9を伝搬する電磁ノイズを第二通電路12bにバイパスする例である。図1に示した電力変換システム50の第一例では、入力の正側の接続構成は、第一A端子11aから順に、第一通電路12aを介して変換回路3の正側接続端子16aへと直列接続された構成になっている。一方、負側の接続構成は、第二A端子11bから順に、第二通電路12bを介して対地間コンデンサ6のコンデンサ第二端子14b、変換回路3の負側接続端子16bへと直列接続された構成になっている。非導体筐体21は、電力変換装置7を覆うと共に導体8の少なくとも一部を支持する。非導体筐体21の材料は、軽量化及び低コストの観点から、例えば樹脂、プラスチック等である。
導体8は、スイッチング素子1と、接続配線5と、対地間コンデンサ6と、第一通電路12a及び第二通電路12bの少なくとも一方、とに対向して配置される。導体8の少なくとも一部が非導体筐体21に配置される。すなわち、電力変換システム50は、少なくとも一部が非導体筐体21に配置される導体8を、接続配線5だけでなく、スイッチング素子1、対地間コンデンサ6、第一通電路12a及び第二通電路12bの少なくとも一方にも、対向するように設けている。ここで、導体8は、非導体筐体21の内部に配置される場合だけでなく、表面に配置されている場合も含まれる。また、導体8は、少なくとも一部が、共通個所を介して接地電位Vs又は電位が接地電位Vsにされている電動機筐体9に電気的に接続されてもよい。図1では、導体8が、スイッチング素子1、接続配線5、対地間コンデンサ6、対地間コンデンサ6が接続されている第二通電路12bに対向して配置され、少なくとも一部が非導体筐体21に配置される例を示した。
図6では、第一通電路12a、第二通電路12bがプリント基板41に形成されており、電力変換装置7のスイッチング素子1、制御回路2、導体8の一部を非導体筐体21が覆っている例を示した。非導体筐体21は、導体8の一部、プリント基板41を支持している。スイッチング素子1は導体8に対向している。
図2を用いてノイズ電流の伝搬経路を説明する。図2では、図1にノイズ電流の一例であるコモンモードノイズ電流IN0の伝搬経路を示した。コモンモードノイズ電流は、電力変換装置7の外部に伝搬する電磁ノイズの主要発生源であることが知られている。電動機4の巻線群51と電動機筐体9との間に、浮遊容量等である対地間インピーダンス15が形成されている。高周波における対地間インピーダンス15は、浮遊容量だけでなく、誘導成分又は及び抵抗成分を含んでいる。なお、対地間インピーダンス15は、図において容量の記号を代表として用いている。スイッチング素子1のスイッチングに起因して発生するコモンモードノイズ電流IN0は、電動機4の対地間インピーダンス15を介して電動機筐体9から機器外部に、すなわち電力変換システム50の外部に伝搬することが知られている。実施の形態1の対地間コンデンサ6は、電力変換装置7の第一通電路12a及び第二通電路12bの少なくとも一方と接地電位Vsにされた接地配線25との間を高周波において低インピーダンスで接続することで、コモンモードノイズ電流IN0をバイパスする機能を有する。従って、スイッチング素子1、接続配線5、対地間コンデンサ6、対地間コンデンサ6に接続された第一通電路12a又は第二通電路12bのそれぞれには、スイッチング素子1から発生するコモンモードノイズ電流IN0に起因する電圧変動が生じる。この電圧変動に伴い発生する、容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズは、電力変換システム50の外部の周辺機器との電磁干渉を引き起こす虞がある。導体8は、コモンモードノイズ電流IN0の伝搬経路に対して配置されるため、コモンモードノイズ電流IN0に起因する電圧変動に起因する電磁界を遮蔽する電界シールドとして機能する。
図1、図2に示した実施の形態1の電力変換システム50は、4つの接続部10a、10b、10c、10dにて電動機筐体9に接続された導体8を備えている。図2では、対地間インピーダンス15を通過したコモンモードノイズ電流IN0が接続部10dに最も早く到達する例を示した。対地間インピーダンス15を通過したコモンモードノイズ電流IN0は、ノイズ分岐点p1で、電動機筐体9の接続部10c、10b、10a側に伝搬するノイズ電流IN1と、導体8を伝搬するノイズ電流IN2とに分流する。導体8を伝搬するノイズ電流IN2はノイズ合流点p2でノイズ電流IN1に合流し、これらが合流したコモンモードノイズ電流IN0が対地間コンデンサ6で第二通電路12bにバイパスされ、第二通電路12bを伝搬して変換回路3の負側接続端子16bに到達する。導体8を伝搬するノイズ電流IN2は、合流後のコモンモードノイズ電流IN0と互いに逆向きで伝搬し、かつ導体8は第二通電路12bに近接して配置されているため、発生する電磁界が互いに打ち消しあい、電磁ノイズを抑制することができる。なお、図2で示したコモンモードノイズ電流IN0は対地間コンデンサ6でバイパスされる成分のみを記載しており、例えば電力変換装置7の外部へ伝搬するような、対地間コンデンサ6でバイパスされずに他の伝搬経路を通るノイズ電流については記載していない。また、コモンモードノイズ電流IN0の伝搬経路では白塗潰しの三角印を付し、ノイズ電流IN1、ノイズ電流IN2の伝搬経路では黒塗潰しの三角印を付した。なお、一例として接続部10dでノイズ電流が分岐する伝搬経路を示したが、実際は接続部10a、10b、10cで分岐するノイズ伝搬経路も存在する。
ここで、コモンモードノイズ電流IN0に起因する電圧変動は対地間コンデンサ6の充放電を引き起こす。対地間コンデンサ6に対向する導体8がない場合には、対地間コンデンサ6の充放電により対地間コンデンサ6のコンデンサ第一端子14a、コンデンサ第二端子14bから容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズとなる場合がある。しかし、対地間コンデンサ6に対向する導体8がある場合には、コンデンサ第一端子14a、コンデンサ第二端子14bから容量結合により伝搬する電磁ノイズ及び空間に放射される電磁ノイズを抑制することができる。
また、コモンモードノイズ電流IN0に起因する対地間コンデンサ6の充放電は、対地間コンデンサ6に対向する導体8の電位が変動する。そのため電力変換システム50の第一例では、対地間コンデンサ6のコンデンサ第一端子14aが接地配線25を介して接続された接地接続部26と複数の接続部10とが電動機筐体9に設けられており、接続部10の少なくとも1つが接地接続部26と隣接して配置されている。また、対地間コンデンサ6のコンデンサ第一端子14aが接地接続部26に直接接続されてよい。また、接地接続部26と接続部10の少なくとも1つとが共通の接続部になっており、この共通の接続部に対地間コンデンサ6のコンデンサ第一端子14aが直接接続されてよい。このような構造とすることで、実施の形態1の電力変換システム50において、対地間コンデンサ6と対向する導体8の電位がより安定し、かつ対地間コンデンサ6と導体8との対向距離dpを縮めることができる。したがって、実施の形態1の電力変換システム50は、このような構造とすることで、容量結合により伝搬する電磁ノイズ及び空間に放射される電磁ノイズのシールド効果を向上することができ、電力変換システム50の外部の周辺機器との電磁干渉の抑制効果を向上することができる。
変換回路3を説明する。図3に直流-交流変換器(インバータ)である場合の変換回路3の一例を示し、図5に直流-直流変換器(コンバータ)である場合の変換回路3の一例を示した。図3に示した変換回路3はインバータ201であり、図5に示した変換回路3はコンバータ202である。インバータ201は、正側接続端子16a、負側接続端子16bから入力された直流電力をスイッチング素子1a、1b、1c、1d、1e、1fでスイッチングし、B端子61a、61b、61cからU相、V相、W相から成る予め定められた三相交流電力を出力する。インバータ201は、3つのレグ91a、91b、91cと、レグ91a、91b、91cを制御する制御回路2を備えるインバータである。レグの符号は、総括的に91を用い、区別する場合に91a、91b、91cを用いる。変換回路3のB端子の符号は総括的に61を用い、区別する場合に61a、61b、61cを用いる。U相の交流電力を出力するレグ91aは、正側接続端子16aと負側接続端子16bとの間に直列に接続されたスイッチング素子1a、1bを備えている。V相の交流電力を出力するレグ91bは、正側接続端子16aと負側接続端子16bとの間に直列に接続されたスイッチング素子1c、1dを備えている。W相の交流電力を出力するレグ91cは、正側接続端子16aと負側接続端子16bとの間に直列に接続されたスイッチング素子1e、1fを備えている。
接続配線5は、U相の三相交流を供給する接続配線5a、V相の三相交流を供給する接続配線5b、W相の三相交流を供給する接続配線5cを有している。電動機4は、電動機端子62a、62b、62cから入力されたU相、V相、W相から成る三相交流電力で駆動される巻線群51を備えている。電動機4の電動機端子の符号は総括的に62を用い、区別する場合に62a、62b、62cを用いる。変換回路3のB端子61a、61b、61cは、それぞれ接続配線5a、5b、5cを介して電動機4の電動機端子62a、62b、62cに接続されている。電動機4の電動機端子62a、62b、62cから巻線群51のU相、V相、W相の各巻線に接続する配線と接地されている電動機筐体9との間に浮遊容量等である対地間インピーダンス15が形成されている。
レグ91は、正側接続端子16aと負側接続端子16bとの間に直列に接続された正側のスイッチング素子Qp、負側のスイッチング素子Qnを備えている。図4では、スイッチング素子Qp、QnはMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)の例を示した。スイッチング素子Qp、Qnの各端子は、ドレイン端子d、ソース端子s、ゲート端子gである。スイッチング素子Qp、Qnは、トランジスタTr、ダイオードDを備えている。ダイオードDは、トランジスタTrと別の素子でもよく、寄生ダイオードでもよい。スイッチング素子Qp、Qnのゲート端子gはそれぞれ制御回路2と信号配線28で接続されている。スイッチング素子Qpのゲート端子gに制御回路2から出力された制御信号sigpが信号配線28を介して入力され、スイッチング素子Qnのゲート端子gに制御回路2から出力された制御信号signが信号配線28を介して入力される。スイッチング素子Qpのドレイン端子dは正側接続端子16aに接続され、スイッチング素子Qpのソース端子sはスイッチング素子Qnのドレイン端子dに接続され、スイッチング素子Qnのソース端子sは負側接続端子16bに接続されている。スイッチング素子Qpのソース端子sとスイッチング素子Qnのドレイン端子dとが接続された接続点にB端子61が接続されている。スイッチング素子Qp、Qnは、制御回路2から出力された制御信号sigp、signにより開閉しすなわちオン動作及びオフ動作を行い、B端子61に予め定められた交流電力を出力する。なお、スイッチング素子1a、1b、1c、1d、1e、1f、Qp、QnをMOSFETとしているがこの限りではなく、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、サイリスタ等のMOSFET以外のスイッチング素子としてもよい。
コンバータ202は、直流電圧を降圧させる降圧コンバータ又は直流電圧を昇圧させる昇圧コンバータである。コンバータ202は、高電圧VHが入力又は出力される正側端子63a、負側端子63bと、高電圧VHの入出力に応じて低電圧VLの入力又は出力が変わる正側端子64a、負側端子64bと、スイッチング素子1g、1hと、高電圧側の平滑コンデンサ65aと、低電圧側の平滑コンデンサ65bと、リアクトル66と、スイッチング素子1g、1hを制御する制御回路2と、を備えている。制御回路2は、スイッチング素子1gに制御信号sigaを出力し、スイッチング素子1hに制御信号sigbを出力する。正側の接続構成は、次のような直列接続になっている。高電圧VH側の正側端子63aから順に、平滑コンデンサ65aの正側端子、スイッチング素子1g、スイッチング素子1hの正側端子、リアクトル66、平滑コンデンサ65bの正側端子、低電圧VL側の正側端子64aへと直列接続されている。一方、負側の接続構成は、次のような直列接続になっている。高電圧VH側の負側端子63bから順に、平滑コンデンサ65aの負側端子、スイッチング素子1hの負側端子、平滑コンデンサ65bの負側端子、低電圧VL側の負側端子64bへと直列接続されている。なお、図5ではスイッチング素子1g、スイッチング素子1hを備えるコンバータ202の例をしたが、この例に限定されない。スイッチング素子1g、スイッチング素子1hの一方がダイオードであってもよい。スイッチング素子1gをダイオードに変更した場合、制御回路2は制御信号sigaを出力しない。スイッチング素子1hをダイオードに変更した場合、制御回路2は制御信号sigbを出力しない。
コンバータ202を降圧コンバータとして機能させる場合は、高電圧VHを入力として正側端子63aを図1の正側接続端子16aへ、負側端子63bを図1の負側接続端子16bへ接続し、低電圧VL側を出力として正側端子64a、負側端子64bを図1の接続配線5へ接続する。この場合は、接続配線5は2つの接続配線5a、5bを有しており、B端子61は2つのB端子61a、61bを有している。コンバータ202を昇圧コンバータとして機能させる場合は、低電圧VL側を入力として正側端子64aを図1の正側接続端子16aへ、負側端子64bを図1の負側接続端子16bへ接続し、高電圧VH側を出力として正側端子63a、負側端子63bを図1の接続配線5へ接続する。この場合も、接続配線5は2つの接続配線5a、5bを有しており、B端子61は2つのB端子61a、61bを有している。
次に、電力変換システム50の第二例、第三例を説明する。電力変換システム50は、第一通電路12a及び第二通電路12bの少なくとも一方にヒートシンク17等の金属板を含む構成としてもよい。図7に示した電力変換システム50の第二例は、第二通電路12bがヒートシンク17等の金属板を含む構成である。図8に示した電力変換システム50の第三例は、第一通電路12aがヒートシンク17等の金属板を含む構成である。なお、第二通電路12bがヒートシンク17等の金属板を含む構成は、ヒートシンク17等の金属板が第二通電路12bである例を含んでいる。第一通電路12aがヒートシンク17等の金属板を含む構成は、ヒートシンク17等の金属板が第一通電路12aである例を含んでいる。ヒートシンクは放熱を目的としているが、金属板の目的は放熱に限定されず、例えば防塵、防水等であってもよい。図7は、図1と同様に負側の第二通電路12bと対地間コンデンサ6とが接続されている例である。図7において、対地間コンデンサ6は、コンデンサ第一端子14aが接地されている接地配線25に接続され、コンデンサ第二端子14bが第二通電路12bに接続されている。図8は、正側の第一通電路12aと対地間コンデンサ6とが接続されている例である。図8において、対地間コンデンサ6は、コンデンサ第一端子14aが接地されている接地配線25に接続され、コンデンサ第二端子14bが第一通電路12aに接続されている。
図6では、制御回路2が導体8に対向していない例を示したが、図9に示すように制御回路2の少なくとも一部が導体8に対向していてもよく、図10に示すように制御回路2の一面が導体8に対向していてもよい。このような構造とすることで、実施の形態1の電力変換システム50は、制御回路2から発生する電磁ノイズに対してもシールド効果を有するため、容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズのシールド効果を更に向上することができ、電力変換システム50の外部の周辺機器との電磁干渉の抑制効果を更に向上することができる。
一般的に、シールドは隣接して配置された2つの接続部の間隔に応じた特定周波数でシールド効果が悪化することが知られている。一般的に、2つの接続部10の間隔が大きいほどシールド効果が悪化する周波数は低くなるため、2つの接続部10の間隔は極力小さい方が望ましい。また、導体8の形状は電力変換装置7、接続配線5、電動機4の形状に応じた複雑なものとなるため、全ての接続部10について配置間隔を等しくすることは困難である。そのため実施の形態1では、複数の接続部10の間隔が特定個所で大きくならないよう、隣接して配置された2つの接続部10の間隔は、それぞれ予め定められた範囲内に設定されている。予め定められた範囲内は等しい場合も含まれるので、隣接して配置された2つの接続部10の間隔はそれぞれ等しい場合でもよい。ここで、等しい間隔は、完全な一致に限るものではなく、製造誤差、配置誤差を含でいてもよい。
図11、図12に、接続部の間隔である接続部間隔の第一例、第二例を示した。図11では4つの接続部10a、10b、10c、10dが一次元的に配置されている例を示し、図12では4つの接続部10a、10b、10c、10dが二次元的に配置されている例を示した。図11において、接続部10aと接続部10bとの間隔は接続部間隔d1であり、接続部10bと接続部10cとの間隔は接続部間隔d2であり、接続部10cと接続部10dとの間隔は接続部間隔d3である。
図12では、角管状の側壁を有する電動機筐体9のz方向正側に導体8が配置され、電動機筐体9の外周に設けられた4つの接続部10a、10b、10c、10dにて導体8が接続されている例を示した。z方向は角管状の側壁が延伸する方向であり、x方向は導体8の一辺の方向であり、y方向はx方向及びz方向に垂直な方向である。4つの接続部10a、10b、10c、10dは、例えば4つの側壁のそれぞれ中央に設けられている。破線92aは接続部10aの中央をy方向に延びる破線であり、破線92cは接続部10cの中央をy方向に延びる破線である。破線92bは接続部10bの中央をx方向に延びる破線であり、破線92dは接続部10dの中央をx方向に延びる破線である。隣接する接続部10aと接続部10bとの間隔は、外周に沿った接続部間隔d1である。同様に、接する接続部10bと接続部10cとの間隔は外周に沿った接続部間隔d2であり、接する接続部10cと接続部10dとの間隔は外周に沿った接続部間隔d3であり、接する接続部10dと接続部10aとの間隔は、外周に沿った接続部間隔d4である。
導体8が分割されることなく一体となっているがこの限りでなく、図13に示すように導体8が複数に分割されている構造としてもよい。図13では、分割された2つの導体8が、それぞれ2つの接続部にて電動機筐体9に接続されている例を示した。導体8を複数に分割することで、導体8の形状の自由度を向上させることができる。
実施の形態1の電力変換システム50は、複数の接続部10の間隔が特定個所で大きくならないよう、隣接して配置された2つの接続部10の間隔がそれぞれ予め定められた範囲内に設定されているので、電磁ノイズをシールドするシールド効果の悪化を抑制でき、容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズのシールド効果を更に向上することができる。
今まで、電力変換装置7に入力される入力電力を直流電力としている例、すなわち入力電源30が直流電源31である例を示したがこの限りではない。例えば、図14に示すように入力電力を交流電力とし、整流回路33を用いて交流電力を直流電力に変換したものを、電源出力端子34a、34bから第一A端子11a、第二A端子11bに印加してもよい。すなわち、入力電源30が交流電源32及び交流電力を整流する整流回路33を備えていてもよい。
また、図15に示すように、入力電源30が交流電源32であり、整流機能を有した変換回路3を用いてもよい。すなわち、入力電源30が交流電源32であり、変換回路3の入力側に整流回路33を備えていてもよい。整流回路33は、正側出力端子35a、負側出力端子35bを介して第一通電路12a、第二通電路12bに直流電力を通電する。
電力変換システム50の第一例では、対地間コンデンサ6の一方の端子を第二通電路12bに接続しているがこの限りではなく、例えば図16に示すように第一通電路12aに接続する構成でもよい。図16は、正側の第一通電路12aと対地間コンデンサ6とが接続されている例である。対地間コンデンサ6は、コンデンサ第一端子14aが接地されている接地配線25に接続され、コンデンサ第二端子14bが第一通電路12aに接続されている。
また、対地間コンデンサ6は1つだけ設ける場合に限定されない。図17に示すように、対地間コンデンサ6を複数設け、第一通電路12aと第二通電路12bとにそれぞれ接続する構成としてもよい。図17では、第一の対地間コンデンサ6aは、コンデンサ第一端子14aが接地されている接地配線25に接続され、コンデンサ第二端子14bが第二通電路12bに接続されている。第二の対地間コンデンサ6bは、コンデンサ第一端子14aが接地されている接地配線25に接続され、コンデンサ第二端子14bが第一通電路12aに接続されている。
実施の形態1の電力変換システム50は、接続部10a、10b、10c、10dが金属を含む電動機筐体9を介して接地電位Vsに接続されている例に限定されない。例えば図18に示すように、接地電位Vsにされている接地配線25すなわち接地された接地配線25に複数の接続部10a、10b、10c、10dにて接続されていてもよい。図18では、接地接続部26が電動機筐体9の筐体本体52(図1参照)に設けられており、接地配線25が第一通電路12a及び第二通電路12b側に延伸している例を示した。
以上のように、実施の形態1の電力変換システム50は、電動機4と、入力される電力から電力変換された出力電力を電動機4に供給し、電動機4を駆動する電力変換装置7と、電動機4と電力変換装置7とを接続する接続配線5と、を備えている。電力変換システム50において、電動機4の金属を含む電動機筐体9は電位が接地電位Vsにされている。電力変換装置7は、入力された直流電力又は入力される交流電力を直流電力に変換された直流電力が通電される、正側の第一通電路12a及び負側の第二通電路12bと、複数のスイッチング素子1を有し、第一通電路12a及び第二通電路12bから入力された直流電力を電力変換して出力電力を電動機4に供給する変換回路3と、を備えている。電力変換システム50は、さらに電力変換装置7を覆う非導体筐体21と、スイッチング素子1から発生し、電動機筐体9を伝搬する電磁ノイズを、第一通電路12a又は第二通電路12bにバイパスする対地間コンデンサ6と、複数のスイッチング素子1、対地間コンデンサ6、対地間コンデンサ6が接続された第一通電路12a又は第二通電路12b、及び接続配線5に対向して配置された導体8と、を備えている。導体8は、電動機筐体9又は電位が接地電位Vsにされている接地配線25に複数の接続部10にて接続されている。実施の形態1の電力変換システムは、この構成により、非導体筐体21に覆われた電力変換装置7と、複数のスイッチング素子1、対地間コンデンサ6、対地間コンデンサ6が接続された第一通電路12a又は第二通電路12b、及び接続配線5に対向して配置された導体8とを備えているので、電力変換装置7に金属筐体を用いていない場合であっても、電力変換装置7の電磁ノイズを抑制できる。
実施の形態2.
図19は実施の形態2に係る電力変換システムの構成を示す図であり、図20は図19のパワーモジュールの構成を示す図である。図21、図22は、実施の形態2に係る電力変換システムの構成を示す斜視図である。図22では、導体8を支持する非導体筐体21を省略した電力変換システム50を示した。図23は図21のA-Aで示した破線に沿った接続部の断面図であり、図24は図21の接続部の断面図である。図25は、図24のB-Bで示した破線に沿った壁部の断面図である。図26は実施の形態2に係る電力変換装置の構成を示す斜視図である。図26では、図22の電力変換システム50から導体8を省略し、パワーモジュールの配置が分かるように制御回路2が外周のみで記載した電力変換装置7を示した。図27は図26のパワーモジュールの配置例を示す図であり、図28は図27に対応した制御回路を示す図である。図29は、実施の形態2に係る導体の壁部及び非導体筐体の配置を示す図である。図30、図31は、図27の導体と対地間コンデンサとの対向距離を説明する図である。
実施の形態2の電力変換システム50は、電動機4が2つの巻線群51a、51bを備えた二多重三相交流の回転電機である例である。実施の形態1の電力変換システムと異なる部分を主に説明する。実施の形態2の電力変換システム50は、2つの巻線群51a、51bを備えた電動機4と、2つの変換回路3a、3bを備えており、電動機4を駆動する電力変換装置7と、電動機4と電力変換装置7とを接続する接続配線5と、を備えている。変換回路3a、3bは、それぞれ図3に示したインバータである。変換回路3aはインバータ201aであり、変換回路3bはインバータ201bである。実施の形態2の電力変換装置7は、第一A端子11a、第二A端子11bから入力された直流電力を電力変換してU相、V相、W相の三相交流電力を出力する第一のインバータ201aと、第一A端子11a、第二A端子11bから入力された直流電力を電力変換してX相、Y相、Z相の三相交流電力を出力する第二のインバータ201bとを備えている。例えば図21に示すように、実施の形態2の電力変換システム50は、電力変換装置7が電動機4のz方向正側の一面に配置され、一体として構成されている。z方向は電動機4の電動機筐体9が延伸する方向であり、x方向は非導体筐体21の一辺の方向であり、y方向はx方向及びy方向に垂直な方向である。電力変換装置7と電動機4とは、図26に示すように、電力変換装置7の外周側に配置された接続配線5a、5b、5c、5d、5e、5fを介して電動機4に接続される。
電力変換装置7は、第一A端子11a、第二A端子11b、6個のB端子61a、61b、61c、61d、61e、61fを備えている。電動機4は、6個の電動機端子62a、62b、62c、62d、62e、62fを備えている。接続配線5は、U相の三相交流を供給する接続配線5a、V相の三相交流を供給する接続配線5b、W相の三相交流を供給する接続配線5c、X相の三相交流を供給する接続配線5d、Y相の三相交流を供給する接続配線5e、Z相の三相交流を供給する接続配線5fを有している。電動機4の電動機筐体9は接地されている。電動機4の電動機端子62a、62b、62cから巻線群51aのU相、V相、W相の各巻線に接続する配線と接地されている電動機筐体9との間に浮遊容量等である対地間インピーダンス15が形成されており、電動機4の電動機端子62d、62e、62fから巻線群51bのX相、Y相、Z相の各巻線に接続する配線と接地されている電動機筐体9との間に浮遊容量等である対地間インピーダンス15が形成されている。
変換回路3aは、スイッチング素子1を含む部品であるパワーモジュール19a、19b、19cと、制御回路2aと、を備えている。同様に、変換回路3bは、スイッチング素子1を含む部品であるパワーモジュール19d、19e、19fと、制御回路2bと、を備えている。パワーモジュールの構成を図20に示した。パワーモジュールの符号は、総括的に19を用い、区別する場合に19a、19b、19c、19d、19e、19fを用いる。パワーモジュール19の構成は、図4に示したレグ91の構成と同様である。パワーモジュール19のB端子27は、スイッチング素子Qpのソース端子sとスイッチング素子Qnのドレイン端子dとが接続された接続点に接続されている。パワーモジュール19a、19b、19cの正側接続端子16aは、それぞれ第一通電路12aを介して第一A端子11aに接続され、パワーモジュール19a、19b、19cの負側接続端子16bは、それぞれ第二通電路12bを介して第二A端子11bに接続されている。パワーモジュール19a、19b、19cのB端子27は、それぞれB端子61a、61b、61cに接続されている。パワーモジュール19d、19e、19fは、パワーモジュール19a、19b、19cと同様である。なお図20、図22、図26、図28では、制御回路2a及び制御回路2bを含む全体を制御回路2として示した。図28では、制御回路2の下側すなわちz方向負側のヒートシンク17、第一A端子11a、第二A端子11b、パワーモジュール19a~19fを破線で示した。
図26、図27に示すように、例えば電力変換装置7の第一通電路12aがバスバー22であり、第二通電路12bがヒートシンク17で構成される。スイッチング素子1を含む部品であるパワーモジュール19a、19b、19c、19d、19e、19fがヒートシンク17の周方向に配置され、それらを接続するバスバー22が6個のパワーモジュール19の内周側に配置されている。また、パワーモジュール19の上方すなわちz方向正側には、制御回路2が設けられ、パワーモジュール19の下方すなわちz方向負側には、ヒートシンク17が設けられている。すなわち、実施の形態2の電力変換装置7は、負側の第二通電路12bであるヒートシンク17に6個のパワーモジュール19a、19b、19c、19d、19e、19fが搭載されており、ヒートシンク17のz方向正側に第一通電路12aであるバスバー22が配置され、バスバー22のz方向正側に制御回路が配置されている。
電力変換装置7の第一A端子11a、第二A端子11bは、ヒートシンク17の一辺における端部に配置されている。図22、図26、図27~図29では、y方向負側の辺に第一A端子11a、第二A端子11bが配置されている例を示した。第一A端子11aはバスバー22に接続されており、第二A端子11bはヒートシンク17に接続されている。6個のパワーモジュール19a、19b、19c、19d、19e、19fは、それぞれ制御回路2に接続する2個の信号配線28を有している。図20では、パワーモジュール19と制御回路2とが2個の信号配線28で接続している例を示した。このため、制御回路2は、6個のパワーモジュール19a、19b、19c、19d、19e、19fの合計12個の信号配線28と接続されている例を示した。制御回路2は、回路基板82、回路基板82に搭載された2つの回路部品81を備えている。一方の回路部品81は図19の制御回路2aであり、他方の回路部品81は図19の制御回路2bである。図22、図26、図27、図28では、合計12個の信号配線28により回路基板82を支持している例を示した。図28では、回路基板82のx方向正側の辺がヒートシンク17のx方向正側の側面よりもx方向負側に後退しており、回路基板82の他の3辺がヒートシンク17の他の側面と重なっている例を示した。
導体8、非導体筐体21について説明する。導体8は、基板部71、基板部71の外周からz方向負側に延伸している3つの壁部72a、72b、72cを有している。非導体筐体21は、導体8の基板部71と壁部72a、72b、72cとを、壁部72a、72b、72cの一部が露出するように支持すると共に覆っている。すなわち、導体8は、非導体筐体21の内面86に配置されている。この場合、シールド効果を有する導体8が非導体筐体21に挿入またはスナップフィット構造などにより差し込まれている。これは、非導体筐体21は電力変換装置7の周囲を覆う保護用の樹脂、プラスチック等のカバーを利用する一例である。このような構造にすることで、実施の形態2の電力変換システム50は、実施の形態1の電力変換システム50と同様の効果を得ることができ、かつ導体8の設計自由度を向上することできる。なお、導体8は、非導体筐体21の内面86に配置されるように、導体8と非導体筐体21と一体成型されていてもよい。
電動機筐体9のヒートシンク17側すなわち電力変換装置7側には、導体8と接続する接続部10a、10b、10c、10dが設けられている。ヒートシンク17は、電動機筐体9の接続部10a、10b、10c、10dのそれぞれに対向する接続部45a、45b、45c、45dを4つの側面89のそれぞれに突出するように備えている。ヒートシンク17は、接続部45a、45b、45c、45dがそれぞれ対向する電動機筐体9の接続部10a、10b、10c、10dに絶縁部20を介して機械的に接続されている。図23に示すように、ヒートシンク17の接続部45bは、電動機筐体9の接続部10bに対向する面と電動機筐体9の接続部10bにおける接続部45bに対向する面とが絶縁部20を介して機械的に接続されている。電動機筐体9の接続部10bは、導体8の壁部72bに対向する面すなわち側面が導体8の壁部72bと接続されている。接続部10bは金属であり、導体8の壁部72bは接続部10bに電気的にかつ機械的に接続されている。金属板の一種であるヒートシンク17は、接続部45bの導体8に対向する面すなわちx方向正側の面、z方向正側の面、y方向正側の面、y方向負側の面が導体8に接続されていない。なお、y方向正側の面、y方向負側の面は、図25における接続部45の破線93bで示した面、接続部45の破線93cで示した面に相当する。
電動機筐体9の他の接続部10a、10c、10dとヒートシンク17の他の接続部45a、45c、45dとの接続構造、これらの接続部と導体8との配置構造も、図23に示した電動機筐体9の接続部10bとヒートシンク17の接続部45bとの接続構造、これらの接続部と導体8との配置構造と同様である。ヒートシンク17の接続部の符号は、総括的に45を用い、区別する場合に45a、45b、45c、45dを用いる。導体8の壁部の符号は、総括的に72を用い、区別する場合に72a、72b、72cを用いる。電動機筐体9の接続部10とヒートシンク17の接続部45との接続構造、これらの接続部と導体8との配置構造は、次のようになる。図24に示すように、ヒートシンク17の接続部45は、電動機筐体9の接続部10に対向する面と電動機筐体9の接続部10における接続部45に対向する面とが絶縁部20を介して機械的に接続されている。電動機筐体9の接続部10は、導体8の壁部72に対向する面すなわち側面が導体8の壁部72と接続されている。接続部10は金属であり、導体8の壁部72は接続部10に電気的にかつ機械的に接続されている。金属板の一種であるヒートシンク17は、接続部45の導体8に対向する面(表面88、側面89、接続部45の破線93bで示した面、接続部45の破線93cで示した面)が導体8に接続されていない。ヒートシンク17の表面88すなわち導体8の基板部71に対向する面は、接続部45以外の部分でも導体8に接続されていない。
ヒートシンク17の接続部45の表面88側の構造を、図25を用いて説明する。ヒートシンク17の接続部45は、破線93bから破線93cまでの部分である。ヒートシンク17の接続部45の図25において下方に配置された電動機筐体9の接続部10に接続する導体8の壁部72は、電動機筐体9の接続部10に接続する導体凹部75と、接続部10の先端部分すなわち電動機筐体9の筐体本体52から離れる方向の先端部分の形状に沿った導体凸部73を有している。導体凸部73は破線93aから破線93dまでの部分であり、導体凹部75は破線99aから破線99bまでの部分である。なお、図27、図29に示すように、接続部10aは、非導体筐体21の角部に位置し、x方向負側の面が導体8の壁部72aに接続されている例を示した。
実施の形態2の電力変換システム50は、電力変換装置7が電動機筐体9の一面(z方向正側の面)に対向して配置されており、かつ電動機筐体9の一面(z方向正側の面)を覆うように、すなわち非導体筐体21が電動機筐体9の一面を包含するように配置されている。つまり、z方向正側からz方向負側を見た場合に、電動機筐体9の一面(z方向正側の面)は非導体筐体21のz方向正側の面の外周よりも内側になっている。図21では、電動機筐体9の筐体本体52のz方向正側の面が非導体筐体21に配置された導体8の基板部71を覆うz方向正側の面よりも小さくなっており、4個の接続部10が電動機筐体9の4個の延長部53を介して配置されている例を示した。図21では、z方向正側からz方向負側を見た場合に、電動機筐体9の筐体本体52のz方向正側の面が全て非導体筐体21のz方向正側の面で覆われる例を示したが、この例に限定されない。導体8は、基板部71及び基板部71の垂直方向に延伸した壁部72を有しており、壁部72が電動機筐体9に設けられた複数の接続部10である第一接続部に接続されている。第一通電路12a、第二通電路12bのいずれか一方である金属板(ヒートシンク17)は、導体8の基板部71に対向する表面88と、導体8の壁部72に対向する側面89と、金属板(ヒートシンク17)の側面89に複数設けられ、導体8の壁部72側に突出した接続部45である第二接続部と、を有している。金属板(ヒートシンク17)の第二接続部(接続部45)は、金属板(ヒートシンク17)の表面88と反対側の裏面が電動機筐体9の第一接続部(接続部10)における導体8の基板部71に対向する表面に絶縁部20を介して接続されている。
電力変換装置7の構成部品であるヒートシンク17と電動機筐体9とは、電気的には絶縁されている。第二通電路12bであるヒートシンク17は、図7のように対地間コンデンサ6により電動機筐体9に接続されている。図26、図27では、対地間コンデンサ6はヒートシンク17のz方向負側に配置されており、コンデンサ第二端子14bがヒートシンク17のz方向負側の面に接続されており、コンデンサ第一端子14aが電動機筐体9に設けられた接続部10aのz方向正側の面に接続されている例を示した。電動機筐体9は、接地接続部26にて接地されている。対地間コンデンサ6は、コンデンサ第一端子14a、コンデンサ第二端子14bを介して電動機筐体9とヒートシンク17との間に接続され、高周波において両者を低インピーダンスで接続する役割を担う。
導体8は、スイッチング素子1を含むパワーモジュール19、接続配線5a、5b、5c、5d、5e、5f、対地間コンデンサ6、ヒートシンク17、バスバー22、制御回路2を覆うように、これらの周囲に配置される。また、接続配線5a、5b、5c、5d、5e、5fと対向している導体8の壁部72は、接続部10a、10b、10c、10dを介して、電動機筐体9に電気的に接続されている。導体8は、非導体筐体21の内部に配置されている。図29では、非導体筐体21の内面86とヒートシンク17の側面89との間に隙間87が形成されている例を示した。この場合、電力変換装置7の第一A端子11a、第二A端子11bと入力電源30とは、非導体筐体21の内面86とヒートシンク17の側面89との間に隙間87を通して接続される。なお、隙間87はy方向負側に示したが、y方向正側、x方向正側、x方向負側にも存在する。破線85aはy方向負側における非導体筐体21の内面86を示す破線であり、破線85bはy方向負側におけるヒートシンク17の側面89を示す破線である。なお、例えば、第一A端子11a、第二A端子11bは、非導体筐体21のz方向に垂直なx方向又はy方向の外周から外部に飛び出して配置されてもよい。この場合、第一A端子11a、第二A端子11bと、第一A端子11aが配置されたバスバー22等の第一通電路12aの一部、第二A端子11bが配置されたヒートシンク17等の第二通電路12bの一部は非導体筐体21の外側に配置される。
実施の形態2の電力変換システム50は、対地間コンデンサ6のコンデンサ第一端子14aが電動機筐体9に設けられた1つの接続部10である接続部10aに接続されている例である。このため、実施の形態1で説明したように、対地間コンデンサ6と導体8との対向距離dpを縮めることができ、対地間コンデンサ6と対向する導体8の電位をより安定させることができる。実施の形態2における、対地間コンデンサ6と導体8との対向距離dpについて、図30、図31を用いて説明する。対地間コンデンサ6と導体8との対向距離dpは、コンデンサ第一端子14a、コンデンサ第二端子14bの延伸方向と対地間コンデンサ6に対向する導体8の壁部72との距離である。対地間コンデンサ6の長手方向の長さ、短手方向の長さは、それぞれ長手長l1、短手長l2である。図30では、コンデンサ第一端子14a、コンデンサ第二端子14bの延伸方向と導体8の壁部72の延伸方向が平行である例を示したが、この例に限定されない。ここで、平行は、完全な平行に限るものではなく、製造誤差、配置誤差を含でいてもよい。
図31では、対地間コンデンサ6が導体8の壁部72と角度θで配置されている例を示した。破線96は、対地間コンデンサ6の壁部72側で、コンデンサ第一端子14a、コンデンサ第二端子14bの延伸方向を示している。対向中心点poは、破線96上における対地間コンデンサ6の中心点である。破線95は、対向中心点poを通り破線96に垂直な破線である。角度θは壁部72と破線96との角度である。対地間コンデンサ6の壁部72に平行な長さである実効対向長laは、破線97aから破線97bまでの距離である。破線97a、97bは、破線96上の対地間コンデンサ6の端を通り、壁部72に垂直な破線である。破線97cは、対向中心点poを通り、壁部72に平行な破線である。対地間コンデンサ6と導体8との対向距離dpは、破線97cと壁部72との距離である。
図31の実効対向長laは、式(1)で表せる。
la=l1cosθ ・・・(1)
実効対向長laが短手長l2よりも大きい場合は、対地間コンデンサ6の長手方向の面が壁部72に対向している。対地間コンデンサ6に対する導体8のシールド効果は、対地間コンデンサ6と導体8との対向距離及び対向する面積が大きい程効果が高くなるので、対地間コンデンサ6の長手方向の面で説明した。しかし、対地間コンデンサ6に対する導体8のシールド効果は、長手方向の面に限定されない。対地間コンデンサ6の短手方向の面と導体8が対向していれば、短手方向の面に対して導体8のシールド効果がある。また、対地間コンデンサ6の長手方向の面及び短手方向の面に垂直な面(図30、図31における手前側の表面、図30、図31における奥側の裏面)が導体8に対向していれば、この長手方向の面及び短手方向の面に垂直な面に対して導体8のシールド効果がある。
なお実施の形態2では、非導体筐体21が四角の環状すなわち角管状の側壁を有するカバーであり、電力変換装置7の構成部品を四角の環状に配置している例を示したが、これに限定されない。例えば、電力変換装置7の構成部品をリング状又は円弧形状に配置しても良く、非導体筐体21の側壁形状に応じて電力変換装置7の構成部品をリング状又は円弧形状に配置しても良い。また実施の形態2では、第一通電路12aをバスバー22としているがこの限りではなく、例えばケーブルなどバスバー以外の導体としてもよい。
パワーモジュール19は、三相交流電力における一相の交流電力を出力するための2つのスイッチング素子Qp、Qnがパッケージングされたものである。なお実施の形態2では、2つのスイッチング素子Qp、Qnがパッケージングされたパワーモジュール19としているがこの限りでなく、4つのスイッチング素子がパッケージングされたもの、6つのスイッチング素子がパッケージングされたものなど、1つのパワーモジュール19にパッケージングされるスイッチング素子の数は任意の数としても良い。スイッチング素子Qp、Qnが個別にパッケージングされたパワーモジュール場合は、2つのパワーモジュールを直列接続することで、レグを構成する。コンバータの場合、スイッチング素子Qp、Qnは、図5に示したスイッチング素子1g、1hに相当する。コンバータの場合もインバータの場合と同様に、1つのパワーモジュールにパッケージングされるスイッチング素子の数は任意の数としても良い。また、実施の形態2の電力変換装置7は、パワーモジュール19ではなくディスクリートのスイッチング素子1を複数用いても良い。
今まで導体8が分割されることなく一体となっているがこの限りでなく、導体8が複数に分割されている構造としてもよい。例えば、導体8の基板部71が2つに或いは3つ以上に分割されてもよい。導体8の基板部71を複数に分割することで、導体8の基板部71は形状の自由度が向上する。
なお、電動機4は巻線群51a、51bが一体となった回転電機の例で説明したが、電動機4は、巻線群51a、51bが個別になっており、巻線群51aを有する回転電機と巻線群51bを有する回転電機とで構成されていてもよい。
実施の形態2の電力変換システム50は、実施の形態1の電力変換システム50と同様に、非導体筐体21に覆われた電力変換装置7と、複数のスイッチング素子1、対地間コンデンサ6、対地間コンデンサ6が接続された第一通電路12a又は第二通電路12b、及び接続配線5に対向して配置された導体8とを備えているので、電力変換装置7に金属筐体を用いていない場合であっても、容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズのシールド効果を向上することができ、電力変換システム50の外部の周辺機器との電磁干渉の抑制効果を向上することができる。また、実施の形態2の電力変換システム50は、実施の形態1の電力変換システム50と同様に、電力変換装置7に金属筐体を用いていない場合であっても、電力変換装置7の電磁ノイズを抑制できる。
実施の形態3.
図32は実施の形態3に係る電力変換システムの構成の第一例を示す図であり、図33は図32の電力変換装置の構成を示す斜視図である。図34は、図32の線間コンデンサの第一の配置例を示す図である。図35は図34に対応した制御回路の第一例を示す図であり、図36は図34に対応した制御回路の第二例を示す図である。図37は、実施の形態3に係るノイズ電流の伝搬経路を示す図である。図38は図32の線間コンデンサの第二の配置例を示す図であり、図39は図38に対応した制御回路を示す図である。図40は、実施の形態3に係る電力変換システムの構成の第二例を示す図である。実施の形態3の電力変換システム50は、第一通電路12aと第二通電路12bとに接続された線間コンデンサ18を備え、シールド効果を有する導体8が線間コンデンサ18にも対向して配置されている点で、実施の形態1及び実施の形態2の電力変換システム50と異なる。実施の形態1及び実施の形態2の電力変換システム50と異なる部分を主に説明する。
図32では、線間コンデンサ18、導体8の線間コンデンサ18に対向する部分が非導体筐体21の内部に配置されている例を示した。線間コンデンサ18のコンデンサ第一端子24aが第一通電路12aに接続され、線間コンデンサ18のコンデンサ第二端子24bが第二通電路12bに接続されている。線間コンデンサ18は、対地間コンデンサ6によってバイパスされたコモンモードノイズ電流IN0の一部を対地間コンデンサ6が接続されていない他方の通電路に分配する。図37では、対地間コンデンサ6が第二通電路12bに接続されているので、線間コンデンサ18は、対地間コンデンサ6によってバイパスされたコモンモードノイズ電流IN0の一部を第一通電路12aに分配する。
図33の斜視図は、図26の斜視図に示した電力変換装置7に線間コンデンサ18が追加された図である。図33に示した電力変換装置7を覆う非導体筐体21、非導体筐体21に配置された導体8は、実施の形態2と同じである。図33、図34では、線間コンデンサ18のコンデンサ第一端子24aが第一通電路12aであるバスバー22に接続され、線間コンデンサ18のコンデンサ第二端子24bが第二通電路12bであるヒートシンク17に接続されている例を示した。制御回路2の回路基板82は線間コンデンサ18が導体8の基板部71に対向するように凹部83が形成されている。図33では、凹部83を破線で示した。図34は、図27に線間コンデンサ18が配置された図である。なお、導体8の壁部72a、72b、72cは省略している。図35は、図28の回路基板82に凹部83が形成されており、線間コンデンサ18を破線で示した図である。図35では、制御回路2の下側すなわちz方向負側のヒートシンク17、第一A端子11a、第二A端子11b、パワーモジュール19a~19f、線間コンデンサ18を破線で示した。
線間コンデンサ18が導体8の基板部71に対向するようにするには、制御回路2の回路基板82が凹部83を有する場合に限定されない。図36のように制御回路2の回路基板82が線間コンデンサ18を露出させる貫通孔84を有してもよい。また、制御回路2の回路基板82に線間コンデンサ18のコンデンサ第一端子24a、コンデンサ第二端子24bを通す穴をあけ、回路基板82の上面すなわち回路基板82のz方向正側に線間コンデンサ18を配置してもよい。
図37を用いてノイズ電流の伝搬経路を説明する。図37では、図32にノイズ電流の一例であるコモンモードノイズ電流IN0の伝搬経路を示した。図37では、コモンモードノイズ電流IN0が正側接続端子16aを介してスイッチング素子1に帰還する例を示した。図37は、図2の電力変換システム50に線間コンデンサ18が追加され、さらにシールド効果を有する導体8が線間コンデンサ18にも対向して配置されている図である。なお、線間コンデンサ18によってバイパスされるコモンモードノイズ電流IN0をノイズ電流IN3として表示した。図37に示すように、対地間コンデンサ6によってバイパスされたコモンモードノイズ電流IN0は、線間コンデンサ18を介して負側の第二通電路12bから正側の第一通電路12aに伝搬する伝搬経路が生じる。従って、線間コンデンサ18にもコモンモードノイズ電流(ノイズ電流IN3)に起因する電圧変動が生じる。コモンモードノイズ電流(ノイズ電流IN3)に起因する電圧変動は線間コンデンサ18の充放電を引き起こす。線間コンデンサ18に対向する導体8がない場合には、線間コンデンサ18の充放電により線間コンデンサ18のコンデンサ第一端子24a、コンデンサ第二端子24bから容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズとなる場合がある。しかし、線間コンデンサ18に対向する導体8がある場合には、コンデンサ第一端子24a、コンデンサ第二端子24bからの容量結合により伝搬する電磁ノイズ及び空間に放射される電磁ノイズを抑制することができる。
なお実施の形態3の電力変換システム50では、線間コンデンサ18は、第一A端子11a、第二A端子11bと、変換回路3の正側接続端子16a、負側接続端子16bとの間に一括して挿入されているがこの限りではなく、例えば複数のスイッチング素子1、あるいはパワーモジュール19の間に分割して配置しても良い。図38には、6個のパワーモジュール19の近傍に線間コンデンサ18が分割して配置されている例を示した。この場合、図39のように制御回路2の回路基板82が6個の線間コンデンサ18を露出させる6個の貫通孔84を有している。各線間コンデンサ18は回路基板82の貫通孔84を介して導体8の基板部71に対向している。
また実施の形態3の電力変換システム50では、対地間コンデンサ6を第二A端子11bと線間コンデンサ18のコンデンサ第二端子24bの間に配置しているがこの限りではなく、図40に示すように、例えば線間コンデンサ18のコンデンサ第二端子24bと変換回路3の負側接続端子16bの間に配置されていてもよい。
なお、線間コンデンサ18が導体8の基板部71に対向する例で説明したが、これに限定されない。図30、図31で説明したように、線間コンデンサ18が導体8の壁部72に対向してもよい。
実施の形態3の電力変換システム50は、実施の形態1及び実施の形態2の電力変換システム50と同様に、非導体筐体21に覆われた電力変換装置7と、複数のスイッチング素子1、対地間コンデンサ6、対地間コンデンサ6が接続された第一通電路12a又は第二通電路12b、及び接続配線5に対向して配置された導体8とを備えているので、電力変換装置7に金属筐体を用いていない場合であっても、容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズのシールド効果を向上することができ、電力変換システム50の外部の周辺機器との電磁干渉の抑制効果を向上することができる。また、実施の形態3の電力変換システム50は、実施の形態1及び実施の形態2の電力変換システム50と同様に、電力変換装置7に金属筐体を用いていない場合であっても、電力変換装置7の電磁ノイズを抑制できる。更に、実施の形態3の電力変換システム50は、線間コンデンサ18にも導体8が対向して配置されているので、線間コンデンサ18からの電磁ノイズに起因する、容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズについてもシールド効果を向上することができる。このため、実施の形態3の電力変換システム50は、電力変換装置7に金属筐体を用いていない場合であっても、実施の形態1及び実施の形態2の電力変換システム50よりも電力変換装置7の電磁ノイズを抑制できる。
実施の形態4.
図41は、実施の形態4に係る電力変換システムの構成を示す斜視図である。図42は図41のC-Cで示した破線に沿った接続部の断面図であり、図43は図41の接続部の断面図である。図44は、図43のD-Dで示した破線に沿った非導体筐体及び導体層の断面図である。実施の形態4の電力変換システム50は、導体8が非導体筐体21の内面に形成された導体層74である点で、実施の形態2の電力変換システム50と異なる。実施の形態2の電力変換システム50と異なる部分を主に説明する。
一例として、導体層74は、導電性塗料を塗着した層、金属の蒸着、亜鉛溶射等による金属層、めっきにより金属のめっき層等を用いることができる。導体8を導体層74で構成することで、実施の形態4の電力変換システム50は、実施の形態2の電力変換システム50と同様の効果を得ることができ、かつ導体8の設計自由度を向上することができる。
実施の形態2の電力変換システム50では、導体8の壁部72が電動機筐体9側ですなわちz方向負側で非導体筐体21から露出していた。これと異なり、実施の形態4の電力変換システム50は、導体8である導体層74が非導体筐体21の内面86に形成されており、非導体筐体21から露出していない。また、一体形成でない実施の形態2の非導体筐体21の場合は、製造された非導体筐体21の内面86に導体8を配置するので、強度を強くするために厚さを厚くする必要がある。これに対して、実施の形態4の非導体筐体21は、内面86に導体層74を形成するので、実施の形態4における導体8である導体層74の厚さ及び非導体筐体21の厚さを、実施の形態2における導体8の厚さ及び非導体筐体21の厚さよりも薄くすることができる。したがって、実施の形態4の電力変換装置7を覆う非導体筐体21及び導体層74を、実施の形態2の電力変換装置7を覆う非導体筐体21及び導体8よるも軽くすることができる。
実施の形態4の電力変換システム50は、電力変換装置7を覆う非導体筐体21及び導体8(導体層74)が実施の形態2の電力変換システム50よりも薄い。図41では、電動機筐体9に設けられた接続部10と導体層74を介して接続する非導体筐体21のz方向に延伸している外周に4つの筐体凸部77a、77b、77c、77dが形成されている例を示した。実施の形態4の非導体筐体21は、筐体本体56と、筐体本体56からz方向負側すなわち電動機筐体9側に延伸した突出部57を有している。非導体筐体21の突出部の符号は、総括的に57を用い、区別する場合に57にa~dを付して用いる。なお、突出部57bのみ図42に記載されている。まず図42に示したヒートシンク17の接続部45b、接続部10bの断面で説明する。破線94aから電動機筐体9側の破線94bまでが突出部57bである。破線94aから電動機筐体9から離れる側は、筐体本体56である。図41、図42、図43に示した破線58は、筐体本体56と突出部57との境界を示している。破線94cから電動機筐体9側の破線94bまでの導体層74は、図23に示した導体8の壁部72bに相当する。接続部45bを含むヒートシンク17の表面88、及び接続部45bに絶縁部20を介して接続する接続部10bの面に対向する導体層74は、導体8の基板部71に相当する。
ヒートシンク17の接続部45bは、電動機筐体9の接続部10bに対向する面と電動機筐体9の接続部10bにおける接続部45bに対向する面とが絶縁部20を介して機械的に接続されている。電動機筐体9の接続部10bは、導体8の壁部72bに対向する面すなわち側面が導体8の壁部に相当する導体層74の部分と接続されている。接続部10bは金属であり、導体8の壁部に相当する導体層74の部分は接続部10bに電気的にかつ機械的に接続されている。金属板の一種であるヒートシンク17は、接続部45bの導体層74に対向する面すなわちx方向正側の面(側面89)、z方向正側の面(表面88)、y方向正側の面、y方向負側の面が導体層74に接続されていない。なお、y方向正側の面、y方向負側の面は、図44における接続部45の破線93bで示した面、接続部45の破線93cで示した面に相当する。
電動機筐体9の他の接続部10a、10c、10dとヒートシンク17の他の接続部45a、45c、45dとの接続構造、これらの接続部と導体層74との配置構造も、図42に示した電動機筐体9の接続部10bとヒートシンク17の接続部45bとの接続構造、これらの接続部と導体層74との配置構造と同様である。電動機筐体9の接続部10とヒートシンク17の接続部45との接続構造、これらの接続部と導体層74との配置構造は、次のようになる。図43に示すように、ヒートシンク17の接続部45は、電動機筐体9の接続部10に対向する面と電動機筐体9の接続部10における接続部45に対向する面とが絶縁部20を介して機械的に接続されている。電動機筐体9の接続部10は、導体8の壁部に相当する導体層74の部分に対向する面すなわち側面が導体8の壁部に相当する導体層74の部分と接続されている。接続部10は金属であり、導体8の壁部に相当する導体層74の部分は接続部10に電気的にかつ機械的に接続されている。金属板の一種であるヒートシンク17は、接続部45の導体層74に対向する面(表面88、側面89、接続部45の破線93bで示した面、接続部45の破線93cで示した面)が導体層74に接続されていない。ヒートシンク17の表面88すなわち導体8の基板部に相当する導体層74の部分に対向する面は、接続部45以外の部分でも導体層74に接続されていない。
ヒートシンク17の接続部45の表面88側の構造を、図44を用いて説明する。ヒートシンク17の接続部45は、破線93bから破線93cまでの部分である。ヒートシンク17の接続部45の図44において下方に配置された電動機筐体9の接続部10に接続する導体8の壁部に相当する導体層74の部分は、電動機筐体9の接続部10に接続する導体凹部75と、接続部10の先端部分すなわち電動機筐体9の筐体本体52から離れる方向の先端部分の形状に沿った導体凸部73を有している。導体凸部73は破線93aから破線93dまでの部分であり、導体凹部75は破線99aから破線99bまでの部分である。非導体筐体21は、内面86に導体層74が形成されるので、導体凸部73が形成される筐体凹部78を有しており、導体凸部73の形状に沿った筐体凸部77を有している。筐体凹部78は破線99cから破線99dまでの部分であり、筐体凸部77は破線93eから破線93fまでの部分である。なお、図27、図29と同様に、接続部10aが非導体筐体21の角部に位置する場合には、接続部10aはx方向負側の面が導体8の壁部72aに相当する導体層74の部分に接続されていてもよい。
実施の形態4の電力変換システム50は、実施の形態2の電力変換システム50と同様に、非導体筐体21に覆われた電力変換装置7と、複数のスイッチング素子1、対地間コンデンサ6、対地間コンデンサ6が接続された第一通電路12a又は第二通電路12b、及び接続配線5に対向して配置された導体8とを備えているので、電力変換装置7に金属筐体を用いていない場合であっても、容量結合により外部に伝搬する電磁ノイズ及び外部の空間に放射される電磁ノイズのシールド効果を向上することができ、電力変換システム50の外部の周辺機器との電磁干渉の抑制効果を向上することができる。また、実施の形態4の電力変換システム50は、実施の形態2の電力変換システム50と同様に、電力変換装置7に金属筐体を用いていない場合であっても、電力変換装置7の電磁ノイズを抑制できる。
なお、実施の形態4の導体層74が内面に形成された非導体筐体21は、実施の形態3の電力変換システム50に適用することができる。すなわち、実施の形態4の電力変換システム50は、実施の形態3の電力変換システム50と同様に、第一通電路12aと第二通電路12bとに接続された線間コンデンサ18を備え、シールド効果を有する導体層74が線間コンデンサ18にも対向して配置されていてもよい。
なお、スイッチング素子1、Qp、Qnは、シリコンを用いて形成されたシリコン半導体の素子でも、シリコンに比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体材料を用いて形成されたワイドバンドギャップ半導体の素子でもよい。ワイドバンドギャップ半導体材料としては、例えば、炭化ケイ素(SiC:Silicon Carbide)、窒化ガリウム(GaN:Gallium Nitride)を含む窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドがある。スイッチング素子1、Qp、Qnが、ワイドバンドギャップ半導体材料によって形成された半導体素子、すなわちワイドバンドギャップ半導体の素子の場合は、シリコン半導体の素子よりもスイッチング速度が速く、スイッチング損失が小さい。更に、ワイドバンドギャップ半導体の素子は、シリコン半導体の素子よりも耐電圧性が高く、耐熱性も高い。そのため、スイッチング素子1、Qp、Qnがワイドバンドギャップ半導体の素子の場合は、大電流が導通するスイッチング素子1、Qp、Qnを冷却するヒートシンク等が小型にでき、ヒートシンク等が不要となることもある。すなわち、大電流が導通するスイッチング素子1、Qp、Qnであっても、これらをプリント基板41に搭載することができる。
今まで、電力変換装置が電力変換された電力を電動機に出力する場合の電力変換システムについて説明した。本願の電力変換システムはこの例に限定されず、発電機能を有する電動機から電力を受電して電力変換された電力を蓄電器等の電源に出力する場合、発電機から電力を受電して電力変換された電力を蓄電器等の電源に出力する場合等にも適用できる。発電機能を有する電動機は、電動発電機とも呼ばれている。電動機4が発電機能を有する電動機の場合について説明する。この場合、電力変換システムは、電動機4に電力を供給する動作すなわち電力供給動作と、電動機4から電力を受電する動作すなわち電力受電動作を行う。例えば、電動機4が発電機能を有する交流電動機の場合、電力変換装置7は、電動機4から受電した交流電力を直流電力に変換し、入力電源30に直流電力を供給する。この場合、入力電源30は、直流電源31である。
発電機から電力を受電して電力変換された電力を蓄電器等の電源に出力する場合の電力変換システムは、電動機4が発電機に変更された場合である。この場合、電力変換システムは、電力受電動作を行い、直流電源31である入力電源30に直流電力を供給する。したがって、この場合、電動機4を発電機と読み替え、電動機4への電力供給動作を電動機4からの電力受電動作と読み替え、入力電源30からの電力入力を入力電源30への電力出力と読み替え、電力の流れが電動機4から入力電源30に変更するように読み替えればよい。
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、又は複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、又は様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合又は省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。