以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るバスバー構造体を備えた駆動システムの回路図である。図1に示す駆動システムは、発電用モータ1の発電電力によって駆動用モータ2を駆動させるシステムである。駆動システムは、電気自動車又はハイブリッド車両などの電動車両に搭載され、車両駆動用のシステムとして用いられる。駆動システムは、電動車両に限らず、他の駆動装置に用いられてもよい。なお、以下の説明では、駆動システムを電動車両に搭載した例を説明する。
駆動システムは、発電用モータ1と、駆動用モータ2と、電力変換装置10とを備えている。発電用モータ1は、エンジン等の駆動源によりロータが回転することによって発電する。発電電力は電力変換装置10に供給される。駆動用モータ2は、車両の車軸に連結されており、電力変換装置10から供給される電力により駆動する。電力変換装置10は、発電用モータで発電した交流電力を直流電力に変換し、変換された電力をバッテリ(図示しない)に出力する。また、電力変換装置10は、バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換し、変換された電力を駆動用モータ2に出力する。
電力変換装置10は、電流センサ11と、インバータ回路12と、コンデンサ13と、インバータ回路14と、電流センサ15と、給電母線16、17とを備えている。
電流センサ11は、発電用モータ1とインバータ回路12との間で、U相の配線及びV相の配線に接続されている。電流センサ11は、発電用モータ1のU、V相の電流を検出し、検出電流をコントローラ(図示しない)に出力する。W相の電流は、U相及びV相の検出電流を用いた演算によって検出することができる。
インバータ回路12は、発電用モータ1から出力される交流電力を直流電力に変換する。インバータ回路12の交流側には発電用モータ1が電気的に接続されており、インバータ回路12の直流側にはコンデンサ13が接続されている。インバータ回路12は、複数のスイッチング素子と複数のダイオードを有している。スイッチング素子には、IGBT又はMOSFET等のトランジスタが用いられる。ダイオードは還流用のダイオードである。スイッチング素子とダイオードは、互いに電流の導通方向を逆向きにしつつ、並列に接続されている。スイッチング素子とダイオードとの並列回路を複数直列に接続した回路が、U、V、W相の各アーム回路となる。複数のアーム回路はPN給電母線間に並列に接続されている。U、V、W相のアーム回路は、半導体モジュール12а、12b、12cとしてそれぞれモジュール化されている。インバータ回路12の直流側から出力される電力はコンデンサ13を介して車載バッテリ(図示しない)に供給され、車載バッテリが充電される。
コンデンサ13はインバータ回路12の直流側の出力電圧を平滑する。また、コンデンサ13はインバータ回路14の直流側の入力電圧を平滑する。コンデンサ13は、インバータ回路12の直流側の端子と、インバータ回路14の直流側の端子との間に接続されている。コンデンサ13は、PN給電母線間に接続されている。
インバータ回路14は、車載バッテリから出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ回路12の交流側には駆動用モータ2が電気的に接続されており、インバータ回路14の直流側にはコンデンサ13が接続されている。インバータ回路14は、複数のスイッチング素子と複数のダイオードを有している。スイッチング素子には、IGBT又はMOSFET等のトランジスタが用いられる。ダイオードは還流用のダイオードである。インバータ回路14は、インバータ回路12と同様のブリッジ回路で構成されている。U、V、W相の各相のアーム回路はPN給電母線間に並列接続されている。U、V、W相のアーム回路は、半導体モジュール14а、14b、14cとしてそれぞれモジュール化されている。インバータ回路14は、駆動用モータ2の回生動作によって、駆動用モータ2の回生電力(交流電力)を直流に変換して、車載バッテリに供給され、車載バッテリが駆動用モータの回生電力によって充電される。
電流センサ15は、駆動用モータ2の入出力電流を検出するためのセンサであって、駆動用モータ2とインバータ回路14との間で、U相の配線及びV相の配線に接続されている。
給電母線16はP極の配線であり、給電母線17はN極の配線である。給電母線16、17は、金属製の板を折り曲げたバスバーにより構成されている。
次に、図2〜図4を用いて、電力変換装置10の構成を説明する。図2は電力変換装置10の斜視図を示し、図3は上蓋のない状態の電力変換装置10の斜視図を示し、図4は図3のVI−VI線に沿う断面図である。なお、図3では、図4で示したボルト91が図示されていない。
電力変換装置10は、インバータ回路12等を収容するための筐体19を備えている。筐体19は、蓋体19аと本体部19bを有している。本体部19bの形状は蓋の無い箱型である。本体部19bの内側の底面には、基板等をボルトで固定するための通孔が設けられている。また本体部19bは、収容部品を保護するための側壁が設けられている。本体部19bの側壁の上部(Z軸の正方向の端部)には、蓋体19аをボルトで固定するための通孔が設けられている。蓋体19аは、本体部19bの上面を覆うための蓋である。蓋体19аは、本体部19bの上面に沿うような板で形成されている。板部分の周囲には段差が形成されており、段差の部分にはボルトの通し孔が形成されている。
筐体19は、内部に電流センサ11、15、インバータ回路12、14、及び給電母線16、17を収容している。インバータ回路12は基板20а上に実装されており、インバータ回路14は基板20b上に実装されている。半導体モジュール12а、12b、12cは、基板20а上に列状に並んでいる。同様に、半導体モジュール14а、14b、14cは、基板20b上に列状に並んでいる。また、半導体モジュール12а、12b、12cの各列はy軸に沿う列であり、半導体モジュール14а、14b、14cの各列はy軸に沿う列である。基板20а及び基板20аは、バスバー構造体30を配置するために、y軸方向に対して間隔をあけつつ、本体部19bの底面と平行な面(xy面)上に配置されている。また、基板20а及び基板20bはx軸方向を長手方向とするように配置されている。
基板20аの下面(半導体モジュール12а、12b、12cの実装面に対して反対側の面)には、冷却器21аが設けられている。また、基板20bの下面(半導体モジュール14а、14b、14cの実装面に対して反対側の面)には、冷却器21bが設けられている。冷却器21а、21bは、金属板とフィンを備えている。冷却用のフィンは、金属板の底面(z軸の負側の面)に形成されている。また、冷却器21а、21bの下部には、冷却用の空間が形成されている。冷却用の空間は、冷却水を貯める空間であって、電力変換装置10の外側と流路を介してつながっている。流路は冷却水を流す管である。つまり、冷却器21а、21bの下部には、水冷式の冷却機構が設けられている。
基板20аと基板20bとの間には、バスバー構造体30が配置されている。バスバー構造体30に沿う面(xz面)が、筐体19の内部空間を区切っている。区切られた空間のうち、一方の空間に基板20аが配置され、他方の空間に基板20bが配置される。すなわち、バスバーは、基板20аと基板20bとの間の境界面になっている。
半導体モジュール12а〜12cの各入出力端子(高電位側のDC端子及び低電位側のDC端子)は、基板20аの一辺に沿って列状に並んでいる。同様に、半導体モジュール14а〜14cの各入出力端子(高電位側のDC端子及び低電位側のDC端子)は、基板20bの一辺に沿って列状に並んでいる。そして、半導体モジュール12а〜12cの入出力端子と半導体モジュール14а〜14cの入出力端子が、バスバー構造体30を介して互いに向き合うように、基板20а、20bが配置されている。半導体モジュール12а〜12c、14а〜14cの入出力端子はボルト91(図4を参照)によりバスバー構造体30の端子に締結されている。
電力変換装置10の底面の一部には、コンデンサ13等の外部接続部品を収容するための空間が設けられている。電力変換装置10の内部は、外部接続部品がバスバー構造体30と電気的に接続するような構造になっている。
次に、図5、図6、図7A、図7B、図8A、図8B、及び図9〜11を用いて、バスバー構造体30の構成を説明する。図5はバスバー構造体30の斜視図を示す。図6は、樹脂体のない状態のバスバー構造体30の斜視図であって、バスバー31、32、33の斜視図である。図7Aは図5のVIIA−VIIA線に沿う断面図である。図7Bは図5のVIIB−VIIB線に沿う断面図である。図8Aは図6のVIIIA−VIIIA線に沿う断面図である。図8Bは図6のVIIIB−VIIIB線に沿う断面図である。図9はバスバー31の斜視図である。図10はバスバー32の斜視図である。図11はバスバー33の斜視図である。
バスバー構造体30は、半導体モジュール12а〜12cの一対の直流端子と半導体モジュール14а〜14cの一対の直流端子との間に接続されている。バスバー構造体30は、バスバー31〜33と樹脂体34とを備えている。バスバー31はN極のバスバーであり、バスバー32はN極のバスバーであり、バスバー33はP極のバスバーである。バスバー31、32はN極の給電母線17に相当し、バスバー33はP極の給電母線16に相当する。バスバー31は半導体モジュール12а、12b、12cとコンデンサ13との間を接続する配線であり、バスバー32は半導体モジュール14а、14b、14cとコンデンサ13との間を接続する配線である。バスバー33は、半導体モジュール12а、12b、12c、14а、14b、14cとコンデンサ13との間を接続する配線である。
バスバー31は、複数の接続端子31а〜31cと、外部端子31dと、導体板31eを有している。複数の接続端子31а〜31cと、外部端子31dと、及び導体板31eは、銅などの導電材料で形成されており、一体になっている。接続端子31а、31b、31cは、半導体モジュール12а、12b、12cの各相に対応する端子である。接続端子31а〜31cは、半導体モジュール12а、12b、12cの低電位側の直流端子にそれぞれ接続される。接続端子31а〜31は、金属板で形成されている。また金属板には、ボルト91の通し孔が空けられている。接続端子31а〜31cは、半導体モジュール12а〜12cのN極側の端子の配列に合わせて、平面(yz面)上に並んでいる。接続端子31а〜31cの表面(通し孔が空けられている面)は、基板20аの実装面と平行な面であり、半導体モジュール12а、12b、12cのN極側の端子を配列した面と平行な面である。
外部端子31dは、コンデンサ13の負極側の端子に接続される。外部端子31dは金属板で形成されている。また金属板にはボルト91の通し孔が空けられている。また、外部端子31dの金属板の表面(通し孔が空けられている面)は、xz面に沿うように配置されており、接続端子31а〜31cの金属板の表面に対して垂直になっている。外部端子31dは、図示しない配線等を介してコンデンサ13の端子に接続されている。
導体板31eは導電性の板状の部材である。導体板31eは、3つの接続端子31а〜31cをx軸に沿う方向でつながるように、導体板31eの長手方向は接続端子31а〜31cの配列方向となる。接続端子31а〜31cの配列方向及び導体板31eの長手方向は同じ方向である。導体板31eの主面311а、311bの形状は、長辺と短辺をもつ矩形状である。主面311а、311bは、導体板31eの両側面である。導体板31eのx軸方向の両端部分には、接続端子31aと接続端子31cがそれぞれ設けられている。また、導体板31eのx軸方向の中央部分には、接続端子31bが設けられている。導体板31eのx軸方向の中央部分には、接続端子31bに対して反対側に外部端子31dが設けられている。
バスバー32は、複数の接続端子32а〜32cと、外部端子32dと、導体板32eを有している。複数の接続端子32а〜32c、外部端子32d、及び導体板32eは、銅などの導電材料で形成されており、一体になっている。接続端子32а、32b、32cは、半導体モジュール14а、14b、14cの各相に対応する端子である。接続端子32а〜32cは、半導体モジュール14а、14b、14cの低電位側の直流端子にそれぞれ接続される。接続端子32а〜32cは、金属板で形成されている。また金属板には、ボルト91の通し孔が空けられている。接続端子32а〜32cは、半導体モジュール14а〜14cのN極側の端子の配列に合わせて、平面(yz面)上に並んでいる。接続端子32а〜32cの表面(通し孔が空けられている面)は、基板20bの実装面と平行な面であり、半導体モジュール14а、14b、14cのN極側の端子を配列した面と平行な面である。
外部端子32dは、コンデンサ13の負極側の端子に接続される。外部端子32dは金属板で形成されている。また金属板にはボルト91の通し孔が空けられている。また、外部端子32dの金属板の表面(通し孔が空けられている面)は、xz面に沿うように配置されており、接続端子32а〜32cの金属板の表面に対して垂直になっている。外部端子32dは、図示しない配線等を介してコンデンサ13の端子に接続されている。外部端子31dの電位と外部端子32dの電位は同電位である。外部端子31d、32dからコンデンサ13の端子までの電流経路において、外部端子31dと外部端子32dは電気的に接続している。
導体板32eは導電性の板状の部材により構成されている。導体板32eは、3つの接続端子32а〜32cをx軸に沿う方向でつながるように、導体板32eの長手方向を接続端子32а〜32cの配列方向とする。接続端子31а〜31cの配列方向及び導体板31eの長手方向は同じ方向である。導体板32eの主面321а、321bの形状は、長辺と短辺をもつ矩形状である。主面321а、321bは、導体板32eの両側面である。導体板32eのx軸方向の両端部分には、接続端子32aと接続端子32cがそれぞれ設けられている。また、導体板32eのx軸方向の中央部分には、接続端子32bが設けられている。導体板32eのx軸方向の中央部分には、接続端子32bに対して反対側に外部端子32dが設けられている。
図8Bを参照しつつ、導体板32eの中央部分と接続端子32bとの間の構造について説明する。導体板32eは、導体板32eの中央部分からz軸に沿うように延在しつつ、延在方向をz軸方向からy軸方向に変えるように湾曲している。そして、導体板32eをy軸方向に延在させた部分の先端が、接続端子32bとなる。すなわち、導体板32eと接続端子32bとの間の接続部分は、xz面に沿う板状の部材(導体板32eの中央部分から延在した延在部322)と、湾曲した部材(yz断面でRを形成する湾曲部323)と、xy面に沿う板状の部材により形成されている。なお、導体板32eと接続端子32аとの間の構造は、導体板32eの中央部分と接続端子32bと間の構造と同様である。導体板32eと接続端子32cとの間の構造は、導体板32eの中央部分と接続端子32bと間の構造と同様である。また、接続端子31а〜31cと導体板31eとの間の接続構造は、導体板31eと接続端子31bとの間の構造とそれぞれ同様である。
バスバー33は、複数の接続端子33а〜33fと、外部端子33g、33hと、導体板33iを有している。複数の接続端子33а〜33f、外部端子33g、及び導体板33hは、銅などの導電材料で形成され、一体になっている。接続端子33а、33b、33cは、半導体モジュール12а、12b、12cの三相にそれぞれ対応する端子である。接続端子33d、33e、33fは、半導体モジュール14а、14b、14cの各相にそれぞれ対応する端子である。接続端子33а〜33cは、半導体モジュール12а、12b、12cの高電位側の直流端子に接続され、接続端子33d〜33fは、半導体モジュール14а、14b、14cの高電位側の直流端子に接続される。接続端子33а〜33fは、金属板で形成されている。また金属板には、ボルト91の通し孔が空けられている。接続端子33а〜33cは、半導体モジュール12а〜12cのP極側の端子の配列に合わせて、平面(yz面)上に並んでいる。接続端子33d〜33fは、半導体モジュール14а〜14cのP極側の端子の配列に合わせて、平面(yz面)上に並んでいる。接続端子33а〜33cは、接続端子33d〜33fと逆方向を向いている。接続端子33а〜33fの表面(通し孔が空けられている面)は、基板20а、20bの実装面と平行な面であり、半導体モジュール12а〜12cのP極側の端子を配列した面及び半導体モジュール14а〜14cのP極側の端子を配列した面と平行な面である。
外部端子33g、33hは、コンデンサ13の正極側の端子にそれぞれ接続される。外部端子33g、33hは金属板で形成されている。また金属板にはボルト91の通し孔が空けられている。また、外部端子33g、33hの金属板の表面(通し孔が空けられている面)は、xz面に沿うように配置されており、接続端子33а〜32fの金属板の表面に対して垂直になっている。外部端子33g、33hからコンデンサ13の端子までの電流経路において、外部端子33g、33hは電気的に接続している。
導体板33iは導電性の板状の部材である。導体板33iは、6つの接続端子33а〜33fをx軸に沿う方向でつながるように、導体板33iの長手方向を接続端子33а〜33fの配列方向とする。接続端子33а〜33fの配列方向及び導体板33iの長手方向は同じ方向である。導体板33iの主面331а、331bの形状は長辺と短辺をもつ矩形状である。主面331а、331bは、導体板33iの両側面である。導体板33iのx軸方向の両端部分には、接続端子33dと接続端子33cがそれぞれ設けられている。
接続端子33a〜33fのx軸方向の並びは、U相に対応する接続端子33dから、U相に対応する接続端子33а、V相に対応する接続端子33e、V相に対応する接続端子33b、W相に対応する接続端子33f、及びW相に対応する接続端子33cの順に並んでいる。外部端子31d、32d、33g、33hのx軸方向の並びは、外部端子31dから、外部端子33g、外部端子32d、及び外部端子33hの順に並んでいる。外部端子33g、33hは、接続端子33a〜33fが設けられた導体板33iの端部とは反対の端部に設けられている。また、接続端子33а〜33fと導体板33iとの間の接続構造は、導体板32eと接続端子32bとの間の構造とそれぞれ同様である。
樹脂体34は、バスバー31の導体板31e、バスバー32の導体板32e、及びバスバー33の導体板33iを覆う部材である。樹脂体34は樹脂で形成されている。樹脂体34は、少なくとも導体板31e、32e、33iの各主面311а、311b、321а、321b、331а、331bを覆っている。樹脂体34の長手方向の両端(x軸方向の端部)には、ボルトの通し孔がそれぞれ設けられている。
次に、バスバー31〜33の重なる部分の構成を、図5、図6、図7A、図7B、及び図8A、8Bを用いて説明する。
導体板33iは、導体板31eと導体板32eとの間に配置されている。導体板31e、32e、33iの各主面311а、311b、321а、321b、331а、331bが互いに平行になるように、導体板31e、32e、33iは配置されている。導体板31e、32e、33iは樹脂体34を挟持しつつ積層されている。言い換えると、導体板31e、32e、33iはy軸方向(導体板31e、32e、33iの各主面の法線方向)でみたときに、主面の少なくとも一部分で重なっている。導体板31eは、主面311bで、導体板33iの主面331аと対向している。また導体板32eは、主面321bで、導体板33iの主面331bと対向している。すなわち、導体板31eの主面311bと導体板33iの主面331аが樹脂体34を介して互いに向き合っている。また、導体板32eの主面321bと導体板33iの主面331bが、樹脂体34を介して互いに向き合っている。樹脂体34により、導体板31eと導体板33iとの間の絶縁性が確保されている。同様に、樹脂体34により、導体板32eと導体板33iとの間の絶縁性が確保されている。
次に、接続部35の構成を、図5、図6、図7A、図7B、及び図8A、8Bを用いて説明する。
バスバー31及びバスバー32は、バスバー31とバスバー32とを接続する接続部35を有している。接続部35は、バスバー31とバスバー32との間を接続するための部材であって、バスバー31、32の一部分を構成する。接続部35は、導体板31eと導体板32eとを接続した部材であって、導体板31eの端部と導体板32eの端部とを溶接により接合する。図6に示すように、接続部35は導体板31eの長辺側端部351に設けられている。長辺側端部351は、導体板31eの端部であって、主面311bの長辺側の端部のうち、接続端子31а〜31cが配置されていない方の端部である(図9を参照)。また、接続部35は導体板32eの長辺側端部352に設けられている。長辺側端部352は、導体板32eの端部であって、主面321bの長辺側の端部のうち、接続端子32а〜32cが配置されていない方の端部である(図10を参照)。
また、接続部35は、x軸方向で、外部端子31dが配置されていない部分に設けられている。図7Aに示すように、導体板31eの端部が導体板32eの端部と重なるように、導体板31eの端部は湾曲している。具体的には、導体板33iの端部はz軸の負方向に延在しつつ、y軸の正方向に向かって湾曲する。そして、y軸の正方向に湾曲した後、導体板33iの端部は導体板32eの表面に沿うように、z軸の負方向に向かって延在する。導体板31eが導体板33iと重ならないように、導体板31eの端部は湾曲しつつ導体板32eの端部と重なっている。導体板32eの端部はz軸の負方向に延在する。なお、接続部35の構造は上記構造に限らず、導体板32eの端部のみを折り曲げることで接続部35が構成されてもよく、導体板31eの端部と導体板32eの端部を両方折り曲げることで接続部35が構成されてもよい。
図9及び図10に示すように、接続部35のx軸に沿う方向の長さ(d1)は、導体板31eの短辺に沿う方向の長さ(d2)より長い。長さ(d2)は、導体板31eのz軸方向の長さである。また、接続部35のx軸に沿う方向の長さ(d1)は、バスバー31の延在部312の長さ(d3)及びバスバー32の延在部322の長さ(d3)よりも長い。延在部312は、導体板31eと各接続端子31а〜31cとの間の接続部分に設けられており、xz面に沿う板状の部材(導体板31eの長辺側の端部から延在した部分)である。延在部322は、導体板32eと各接続端子32а〜32cとの間の接続部分に設けられており、xz面に沿う板状の部材(導体板32eの長辺側の端部から延在した部分)である。延在部312の長さ(d3)は、延在部312のx軸方向の長さであり、延在部312の幅の大きさに相当する。延在部322の長さ(d3)は、延在部322のx軸方向の長さであり、延在部322の幅の大きさに相当する。
次に、図7Bを参照しつつ、導体板32eの側面を覆う樹脂体34の構成を説明する。樹脂体34は、導体板32eの側面を覆っている。樹脂体34により覆われる側面は、導体板32eの主面321аに相当し、主面321bに対して反対側に位置する面である。延在部322は、主面321аからz軸の正方向に向かって延在した部分である。湾曲部323は、延在部322から接続端子32bに向かって湾曲しつつ、接続端子32bにつながる部分である。なお、延在部322の延在方向及び湾曲部323の湾曲方向は、yz平面に沿う方向である。yz面に沿う、バスバー構造体30の断面において、樹脂体34のz軸方向の一端は、主面321аと湾曲部323との間に位置する。すなわち、yz面に沿う断面において、z軸の正側に位置する樹脂体34の一端は、z軸の正方向側に位置する主面321аの一端と、z軸の負方向側に位置する延在部322の一端との間に位置する。樹脂体34は、導体板32eと接続端子32bとの間に限らず、導体板32eと接続端子32аとの間、及び、導体板32eと接続端子32cとの間も、上記と同様の構造で、バスバー32の側面を覆っている。また、樹脂体34は、導体板31eと接続端子31аとの間、導体板31eと接続端子31bとの間、及び導体板31eと接続端子31cとの間も、上記と同様の構造で、バスバー31の側面を覆っている。
接続端子32а〜32cがボルト91で半導体モジュール14а〜14cに締結される場合には、応力が接続端子32а〜32cから導体板32eに向かって加われる。特に、接続端子32а〜32の収差等によって、半導体モジュール14а〜14cの端子の位置と接続端子32а〜32cの位置との間の位置ずれが大きい場合には、ボルト91で締結させることで生じる応力は大きくなる。本実施形態では、樹脂体34が湾曲部323を覆わない構造としているため、湾曲部323がたわみ易くなっている。そのため、ボルト91を締結させる際に、湾曲部323がたわむことで、バスバー32に加わる応力を軽減することができる。
次に、図12を用いて、バスバー31、32を流れる電流の経路を説明する。図12は、バスバー31〜33の斜視図である。図12の例では、半導体モジュール12aから出力される電流(U相のN極の電流)が、接続端子31аに入力したときの電流経路を示している。
接続端子31аに入力した電流はx軸の負方向に流れる。図12において、矢印IAが、接続端子31аから導体板31eに向かって流れる電流を示している。
本実施形態では、導体板31eと導体板32eが接続部35により接続されている。そのため、導体板31eを流れる電流は、そのまま導体板31eを流れる電流と、接続部35を介して導体板32eを流れる電流に分かれる。図12において、矢印IBは、接続部35による電流の分岐後、導体板31eを流れる電流を示している。また、矢印ICは、接続部35による電流の分岐後、導体板32eを流れる電流を示している。すなわち、本実施形態では、バスバー31とバスバー32とを接続部35で接続することによって、接続端子31аと外部端子31dとの間の電流経路が複数の電流経路に分岐する。分岐した電流経路のうち、一方の電流経路は導体板31eと外部端子31dとの間の経路であり、他方の電流経路は導体板32eと外部端子32dとの間の経路である。
また、接続端子31аと外部端子31dとの間の電流経路でみたときに、接続部35は、外部端子31dよりも接続端子31аに近い側に設けられている。すなわち、接続端子31аを電流の上流側とし、外部端子31dを電流の下流側とした場合に、接続部35はより上流側に近い位置に設けられている。
次に、図12、図13A、及び図13Bを用いて、接続部35の作用について説明する。図13Aは、比較例に係るバスバー構造体の電流経路を示す概念図である。図13Bは、本実施形態に係るバスバー構造体の電流経路を示す概念図である。図13Aの矢印IP1は半導体モジュール12а〜12cとコンデンサ13との間の流れるP側の電流の経路を示し、矢印IN1は半導体モジュール12а〜12cとコンデンサ13との間の流れるN側の電流の経路を示している。図13Bの矢印IP2は半導体モジュール12а〜12cとコンデンサ13との間の流れるP側の電流の経路を示し、矢印IN2は半導体モジュール12а〜12cとコンデンサ13との間の流れるN側の電流の経路を示している。比較例では、接続部35が設けられておらず、バスバー31とバスバー32が接続されていない。なお、接続部101は、外部端子31dからコンデンサ13までの電流経路と外部端子32dからコンデンサ13までの電流経路が接続する部分を示しており、バスバー31とバスバー32が、バスバー構造体30の外部で電気的に接続する部分を示している。
図13Aに示すように、比較例では、半導体モジュール12а、12b、12cからコンデンサ13へ電流が流れるときに、N極側の電流は、バスバー31を流れバスバー32を流れない。そのため、N極側の電流経路は、バスバー31により形成される経路のみである。半導体モジュール12а〜12cとコンデンサ13との間で電流が流れる際に、電流経路として機能しているのは、バスバー31とバスバー33の2枚のみである。
一方、図13Bに示すように、本実施形態では、半導体モジュール12а、12b、12cからコンデンサ13へ電流が流れるときに、N極側の電流は、バスバー31とバスバー32に流れる。N極の電流経路は、バスバー31により形成される経路とバスバー32により形成される経路なる。すなわち、本実施形態に係るN極側の電流経路は、比較例に係るN極側の電流経路よりも広くなる。
また、本実施形態では、接続部35により分離した電流が、バスバー33の導体板33iと対向する導体板31e及びバスバー33の導体板33iと対向する導体板32eをそれぞれ流れる。バスバー33の導体板33iにはP極の電流が流れる。そのため、電流がバスバー31、33を流れることで磁束が発生した場合に、導体板31eと導体板33iとの対向する部分(主面311bと主面331аに相当)では、磁束が打ち消し合う。同様に、電流がバスバー32、33を流れることで磁束が発生した場合に、導体板32eと導体板33iとの対向する部分(主面321bと主面331bに相当)では、磁束が打ち消し合う。すなわち、本実施形態では、導体板31〜33の対向する面積を広げて、拡大された対向部分を電流が流れることで、バスバー31〜33のインダクタンスを低減させることができる。
すなわち、本実施形態では、バスバー31とバスバー32が接続部35で接続させることで、接続端子31а〜31c、33а〜33cと外部端子31dとの間を、少なくとも2つの電流経路に分岐する。また、本実施形態では、分岐された電流が、バスバー31とバスバー33との間で対向する部分(互いの主面同士が向き合う部分)と、バスバー32とバスバー33との間で対向する部分とを、それぞれ流れる。これにより、バスバー31〜33のインダクタンスを低減させることができる。
上記のように、本実施形態に係るバスバー構造体30は、バスバー31〜33を備えている。バスバー33の導体板33iは、バスバー31の導体板31eとバスバー32の導体板32eとの間に配置されている。導体板31eは主面311bで導体板33iと対向しており、導体板32eは主面321bで導体板33iと対向している。バスバー31、32は、バスバー31とバスバー32との間を接続する接続部を有している。そして、接続端子31а、31b、31cと外部端子31dとの間の電流経路が複数の経路に分岐するように、接続部35は設けられている。複数の経路のうち一の経路は導体板31eと外部端子31dとの間の経路であり、複数の経路のうち他の経路は導体板32eと外部端子31dとの間の経路である。これにより、インダクタンスを低減させることができる。
また本実施形態に係るバスバー構造体30において、主面311b、321bの長辺に沿う方向の、接続部の長さが、導体板31e、32eの短辺より長い。これにより接続部35の電流経路が広がるため、インダクタンスを低減することができる。
また本実施形態に係るバスバー構造体30において、主面311b、321bの長辺に沿う方向の、接続部の長さが、バスバー31の延在部312の長さ(d3)又はバスバー32の延在部322の長さ(d3)よりも長い。これにより接続部35の電流経路が広がるため、インダクタンスを低減することができる。
また本実施形態に係るバスバー構造体30において、接続部35は、接続端子31а〜31c、32а〜32cと外部端子31d、32dとの間を流れる電流の経路で、外部端子31d、32dよりも接続端子31а〜31c、32а〜32cに近い側に設けられている。これにより、電流がバスバー31〜33を流れたときに、電流が導体板31e、32e、33iの互いに対向している部分に広がって流れる。そのため、導体板31e、32e、33iの対向部分のうち、磁束を打ち消し合う部分の面積が拡大する。その結果として、インダクタンスを低減することができる。
なお、本実施形態に係るバスバー構造体30において、接続部35は図6に示す位置に限らず、例えば図14に示す位置、図15に示す位置、又は他の位置であってもよい。図14及び図15は、本実施形態の変形例に係るバスバー31〜33の斜視図である。
図14に示すように、接続部35は、導体板31、32の長辺に沿う端部に設けられており、バスバー31〜33を積層させた状態で、外部端子32dと外部端子33gとの間の位置に設けられている。
図15に示すように、接続部35は、主面311b、321bの長辺側の端部のうち、接続端子31а〜31c、32а〜32cが配置されていない方の端部に設けられている。
なお、接続部35は、必ずしも導体板31eと導体板32eとを直接接続するような構成に限らず、例えばバスバー31の延在部312とバスバー32の延在部322とを直接接続するような構成でもよい。また、接続部35は、導体板31eの短辺側の端部と導体板32eの短辺側の端部とを接続してもよい。また、接続部35は、1つに限らず、複数設けられてもよい。