JP7270202B2 - 位相屈折率の導出方法及び位相屈折率の測定装置 - Google Patents

位相屈折率の導出方法及び位相屈折率の測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、位相屈折率の導出方法及び位相屈折率の測定装置に関する。
デュアルコム分光法は、繰り返し周波数の異なる2つの光周波数コムを用いたフーリエ変換分光法の1つであり、広波長域・高精度・高分解能な測定を可能にする分光法である。精密なスペクトルを超高速で計測できるため、デュアルコム分光法は、フーリエ変換赤外分光光度計(Fourier transform infrared spectrometer:FTIR)に代わる新しい分光法として期待されている。
デュアルコム分光法を用いた計測によって、固体試料の物性を評価できる。デュアルコム分光法を用いた計測では、2つの光周波数コムのうち1つの光周波数コムの進路上に固体試料を設置し、固体試料を通過した光周波数コムと通過しない光周波数コムとの干渉波形を取得する。例えば、非特許文献1に開示されているように、リアルタイムで干渉波形の位相補正及びコヒーレント積算を行うことによって、固体試料の特性を含む位相スペクトルを検出できる。検出した位相スペクトルをフーリエ解析することによって、固体試料の物性情報が得られる。
上述のように得られる固体試料の物性情報には、厚み、群屈折率及び位相屈折率が含まれる。厚みは、固体試料の幾何学的な厚みを表す。位相屈折率及び群屈折率は、各振動数によって変化する値である。群屈折率は、光周波数コムの波束の群速度に対応する屈折率を表し、実際には位相屈折率に群速度分散の影響を加味した値である。位相屈折率は、単に屈折率とも呼ばれ、正確には複素屈折率で表される。複素屈折率の虚部は虚数単位と固体試料の消衰係数との積で表される。例えば石英ガラスのように、消衰係数が例えば0以上0.001以下であるように略零とみなせる場合、複素屈折率nとして、実部の位相屈折率n(ω)のみを考慮すればよい。
"Dual-comb spectroscopy for rapid characterization of complex optical properties of solids",Akifumi Asahara,Akiko Nishiyama,Satoru Yoshida,Ken-ichi Kondo,Yoshiaki Nakajima and Kaoru Minoshima,Optics Letters,Vol. 41,No.21,pp.4971-4974,2016.
デュアルコム分光法を用いた計測によって検出される位相スペクトルφ(ω)には、2πで割った余りが表れる。位相スペクトルφ(ω)と本来検出されるべき絶対位相スペクトルΦ(ω)には、2πの整数倍の位相差がある。この整数は、位相オフセット係数Nと呼ばれる。位相オフセット係数Nが0である場合は、計測時に検出される位相スペクトルφ(ω)の補正せずに、位相スペクトルφ(ω)を用いて固体試料の正確な厚み、群屈折率及び位相屈折率を導出できる。固体試料の厚み及び群屈折率は、位相スペクトルφ(ω)の傾き、すなわち、角振動数ωの変化に対する位相スペクトルφ(ω)の変化率に基づいて導出できる。したがって、位相オフセット係数Nが1以上の整数である場合であっても、位相スペクトルφ(ω)の傾きと位相スペクトルφ(ω)に位相オフセット2πNを加えた絶対位相スペクトルΦ(ω)の傾きが互いに等しいので、固体試料の正確な厚み、群屈折率を導出できる。しかしながら、位相オフセットNが1以上の整数である場合、正確な位相屈折率を導出するためには、位相スペクトルφ(ω)を補正する必要があり、位相オフセット係数Nを求める必要がある(図4参照)。
位相スペクトルφ(ω)の補正を考慮した位相屈折率の導出方法には、例えば最小偏角法とデュアルコム分光法とを組み合わせる方法と、位相スペクトルの直線フィッティング解析を行う方法が挙げられる。
最小偏角法とデュアルコム分光法との組み合わせによる位相屈折率の導出方法では、最小偏角法によって、1つの特定の角周波数ωにおける固体試料の位相屈折率n(ω)が高精度に求められる。位相屈折率n(ω)を参照値として求まる特定の角周波数ωの絶対位相Φ(ω)とデュアルコム分光法に基づいて計測した位相φ(ω)とを用いれば、位相オフセット係数Nが求まる。求めた位相オフセット係数Nに基づいて、角周波数ωに応じた位相スペクトルΦ(ω)を高精度に導出できる。しかしながら、この導出方法ではデュアルコム分光法を用いる前に最小偏角法による位相屈折率の算出が必要であり、高速性に優れたデュアルコム分光法のみを用いて位相屈折率を導出できる方法が望まれていた。また、最小偏角法では、特定の角周波数ωの位相屈折率n(ω)しか評価できず、スペクトル情報を得るのは困難であった。さらに、最小偏角法による位相屈折率n(ω)の測定には、非常に高い精度で加工された高価なプリズムを用意する必要があり、費用と手間がかかる虞があった。
デュアルコム分光法のみを用いて位相スペクトルの直線フィッティング解析を行う方法では、デュアルコム分光法に基づいて計測した位相スペクトルを線形関数に近似し、線形関数に基づいて位相オフセット係数Nを求める。具体的には、光の波束と変位の原則から明らかであるΦ(0)=0を制約条件として、Φ(0)=0を原点とする線形関数Tに、位相スペクトルφ(ω)をフィッティングさせることによって、絶対位相スペクトルΦ(ω)、位相オフセット2πN、位相オフセット係数Nが求まり、位相オフセット2πNを含む絶対位相スペクトルΦ(ω)を導出できる(図4参照)。
デュアルコム分光法のみを用いて位相スペクトルの直線フィッティング解析を行う方法では、固体試料が評価時に照射される光の波長の10倍程度に薄ければ、位相オフセット係数を正確に決定できる。しかしながら、位相屈折率の導出時には固体試料の厚みを用い、位相屈折率と厚みの相対精度とがトレードオフの関係になっている。固体試料の厚みの評価時の分解能は一定であるため、固体試料が薄い程、厚みの相対精度(すなわち、厚みL及び厚みの分解能ΔLとしたときの相対精度ΔL/L)が低下する。厚みの相対精度に伴い、位相屈折率の相対精度が低下する。したがって、デュアルコム分光法のみを用いて位相スペクトルの直線フィッティング解析を行う方法では、位相オフセット係数を正確に決定するのと同時に、位相屈折率を高精度に導出することは難しい。一方、固体試料が評価時に照射される光の波長の10倍より厚い場合は、屈折率分散の影響が大きくなるので、位相スペクトルが曲線状になる。そのため、位相スペクトルが線形関数から大きくずれ、る位相オフセットの精度が低下する。つまり、デュアルコム分光法のみを用いて位相スペクトルの直線フィッティング解析を行う方法では、厚みの相対精度が十分に高く(すなわち、ΔL/Lが1よりも十分小さく、0以上0.01以下程度に)なる厚みを有する固体試料においても、位相屈折率を正確に導出することが難しいという問題があった。
本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであって、デュアルコム分光法を用いて位相屈折率を正確に導出可能な位相屈折率の導出方法を提供する。
本発明の位相屈折率の導出方法は、同一の試料において、所定の条件を満たすように厚みの差が互いに異なる複数の領域のそれぞれの位相スペクトルをデュアルコム分光によって取得する位相スペクトル取得工程と、取得した複数の前記位相スペクトルに基づき、前記厚みの差が小さい方から位相オフセット係数を算出し、算出した前記位相オフセット係数に基づき、前記試料の位相屈折率を導出する位相屈折率導出工程と、を備え、前記所定の条件は(1)式で表される。
Figure 0007270202000001
上述の(1)式において、Lはk番目に小さい前記厚みの差を表し、cは真空中の光速を表し、ωは前記デュアルコム分光で用いる光周波数コムの角周波数を表し、np,k-1(ω)は厚みの差Lk-1に対応する位相屈折率を表し、nair(ω)は大気の屈折率を表し、δLは前記試料の厚みの差の不確かさを表す。kは、任意の正の整数である。
前記所定の条件は、(1)式に基づいて、安全係数を導入した(2)式で表されてもよい。
Figure 0007270202000002
上述の(2)式において、Aは前記安全係数を表す。
上述の位相屈折率の導出方法において、前記位相屈折率導出工程は、前記複数の領域のなかで前記厚みの差が最も小さい前記領域の前記位相スペクトルに基づき、最も小さい前記厚みの差に対応する前記位相オフセット係数及び前記位相屈折率を算出する第1工程と、(k-1)番目に小さい前記厚みの差に対応する前記位相屈折率、及び、前記複数の領域のなかで前記厚みの差がk番目に小さい前記領域の前記位相スペクトル及び前記厚みの差に基づき、k番目に小さい前記厚みの差に対応する前記位相オフセット係数を算出し、算出した前記位相オフセット係数を用いて前記位相屈折率を導出する第2工程と、を有してもよい。
上述の位相屈折率の導出方法において、前記位相スペクトル取得工程において、前記デュアルコム分光に用いる第1光周波数コムを第3光周波数コム及び第4光周波数コムの2つに分け、前記試料に前記第3光周波数コムを通過させ、前記試料を通過した前記第3光周波数コムと前記デュアルコム分光に用い且つ前記第1光周波数コムとは異なる繰り返し周波数を有する第2光周波数コムとをマルチヘテロダイン検出し、前記位相スペクトルとして複数の第1の位相スペクトルを取得し、前記試料を通過していない前記第4光周波数コムと前記第2光周波数コムとをマルチヘテロダイン検出し、前記位相スペクトルとして複数の第2の位相スペクトルを取得してもよい。
上述の位相屈折率の導出方法において、前記試料は、2つの表面を有し、一方の前記表面は平滑な面であり、他方の前記表面には前記一方の表面からの前記厚みの差が互いに異なる段差を有する複数の領域が形成されていることが好ましい。
本発明の位相屈折率の測定装置は、繰り返し周波数が互いに異なる第1光周波数コム及び第2光周波数コムを出射するデュアルコム出射部と、所定の条件を満たすように厚みの差が互いに異なる複数の領域を有する同一の試料に前記第1光周波数コムを通過可能に構成され、複数の前記領域のそれぞれの位相スペクトルをデュアルコム分光によって取得する位相スペクトル取得部と、取得した複数の前記位相スペクトルに基づき、前記厚みの差が小さい方から位相オフセット係数を算出し、算出した前記位相オフセット係数に基づき、前記試料の位相屈折率を導出する位相屈折率導出部と、を備え、前記所定の条件は(1)式で表される。
Figure 0007270202000003
上述の(1)式において、Lはk番目に小さい前記厚みの差を表し、Aは安全係数を表し、cは真空中の光速を表し、ωは前記デュアルコム分光で用いる光周波数コムの角周波数を表し、np,k-1(ω)は厚みの差Lk-1に対応する位相屈折率を表し、nair(ω)は大気の屈折率を表し、δLは前記試料の厚みの差の不確かさを表す。kは、任意の正の整数である。
前記所定の条件は、(1)式に基づいて、安全係数を導入した(2)式で表されてもよい。
Figure 0007270202000004
上述の(2)式において、Aは前記安全係数を表す。
上述の位相屈折率の測定装置において、前記位相スペクトル取得部は、前記第1光周波数コムを第3光周波数コム及び第4光周波数コムの2つに分け、前記試料に前記第3光周波数コムを通過させ、前記試料を通過した前記第3光周波数コムと前記第2光周波数コムとをマルチヘテロダイン検出し、前記位相スペクトルとして複数の第1の位相スペクトルを取得し、前記試料を通過していない前記第4光周波数コムと前記第2光周波数コムとをマルチヘテロダイン検出し、前記位相スペクトルとして複数の第2の位相スペクトルを取得してもよい。
本発明によれば、デュアルコム分光法によって位相屈折率を正確に導出可能な位相屈折率の導出方法が提供される。
時間領域及び周波数領域の光周波数コムの模式図である。 デュアルコム分光法を説明するための模式図である。 デュアルコム分光法で得られる位相スペクトルについて説明するための模式図である。 位相スペクトルの直線フィッティング解析を行う原理を説明するための模式図である。 本発明の位相屈折率の導出方法で用いる固体試料の側面図である。 本発明の位相屈折率の導出方法に基づいて位相屈折率を導出する測定装置の概略図である。 図6に示す測定装置の一部を示す概要図である。 図5に示す固体試料の変形例の側面図である。
以下、本発明の位相屈折率の導出方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
[原理的説明]
図1の右側に示すように、光周波数コムは、周波数領域において周波数軸で零に対してオフセット周波数fCEOを有する第1の光周波数モードと、周波数軸で第1の光周波数モードに対して繰り返し周波数frepの正の整数倍の間隔をあけて並ぶ複数の第2の光周波数モードと、を有する。周波数軸の零からm番目の光周波数モードの周波数fは、次に示す(3)式で表される。
Figure 0007270202000005
以下では、第1の周波数モードと第2の光周波数モードとをまとめて光周波数モードと称する。光周波数コムの周波数分布をフーリエ変換して時間領域で見ると、図1の左側に示すように、繰り返し周期(1/frep)を有する光パルス列が現れる。
デュアルコム分光法は、繰り返し周波数が互いに異なる2つの光周波数コムを用いたフーリエ変換分光法である。2つの光周波数コムの繰り返し周波数をそれぞれ、繰り返し周波数frep1,frep2とする。繰り返し周波数frep1を基準とすると、繰り返し周波数frep2は、次に示す(4)式で表される。
Figure 0007270202000006
(4)式におけるΔfrepは、2つの光周波数コムの繰り返し周波数差を表す。
図2に示すように、デュアルコム分光法では、繰り返し周波数差Δfrepを有する2つの光周波数コム1,2のうち、光周波数コム(第1光周波数コム、第3光周波数コム)1のみが固体試料5を通過し、光周波数コム(第2光周波数コム)2は固体試料5を通過しない。固体試料5を通過することにより、光周波数コム1のスペクトルは、固体試料5の物性情報の影響を受けて変化する。つまり、固体試料5を透過することにより、光周波数コム1は光周波数コム3に変化する。光周波数コム3の繰り返し周波数は、光周波数コム1の繰り返し周波数frep1に等しい。一方、光周波数コム3の複数の周波数モードがなす包絡線は、光周波数コム1の複数の周波数モードがなす包絡線とは異なる。これらの包絡線の差異に、固体試料5の物性情報が反映されている。
光周波数コム2,3同士をマルチヘテロダイン検出することによって、光周波数コム3の振幅及び位相の情報を無線周波数コム4として取得できる。RF周波数コム4の繰り返し周波数は、繰り返し周波数差Δfrepに等しい。RF周波数コム4の複数の周波数モードがなす包絡線は、光周波数コム3の複数の周波数モードがなす包絡線を反映している。したがって、光周波数コム3に反映された固体試料5の物性情報を、光周波数コム3よりも低い繰り返し周波数を有するRF周波数コム4によって検出できる。
デュアルコム分光によって導出可能な物性情報は、種々挙げられる。本発明の位相屈折率の導出方法では、デュアルコム分光によって導出可能な物性情報のうち、厚みL、群屈折率n(ω)及び位相屈折率n(ω)に着目する。ωは、固体試料5を通過する光周波数コム1の角周波数を表し、2πfで表される。fは、角周波数ωに対応する光周波数コム1の周波数を表す。群屈折率n(ω)及び位相屈折率n(ω)は、それぞれ角周波数ωの関数である。
厚みLは、固体試料5の幾何学的な厚みを表す。群屈折率n(ω)は、光周波数コムの光パルスの伝搬速度に対応する屈折率であり、次に示す(5)式で表される。
Figure 0007270202000007
位相屈折率n(ω)は、次に示す(6)式の複素屈折率nに含まれる。(6)式におけるiは虚数単位であり、κは固体試料5の吸収係数を表す。
Figure 0007270202000008
本実施形態では、石英ガラスのように、吸収係数κは、十分に小さく、例えば0以上0.001以下であると想定する。その場合、固体試料5の複素屈折率nは、実部の位相屈折率n(ω)のみを考慮する。
位相屈折率n(ω)の導出にあたり、図3に示すモデルを想定する。図3の上段に示すように、固体試料5は、互いに平行な表面6,7を有し、表面6,7が光周波数コム1の進行方向に対して略直交するように配置されている。光周波数コム1が表面6から固体試料5に入射すると、光周波数コム1の一部は、固体試料5の内部を表面7に向かって進行し、固体試料5を透過した光周波数コム3として表面7から出射する。光周波数コム1の残りの一部は、表面7で反射した後に表面6に向かって折り返し、表面6で反射した後、固体試料5を2回多重反射した光周波数コム3として固体試料5から出射する。光周波数コム1の残りの残部は、さらに表面7で反射した後に折り返して表面6で反射した後、固体試料5をより多くの回数で多重反射した光周波数コム3として固体試料5から出射する。本実施形態では、図3に示すように固体試料5を透過した光周波数コム3と固体試料5を2回多重反射した光周波数コム3のみを扱う。
図3の上段に示すように、光周波数コム1の光パルス8は、固体試料5を通過すると、一定の時間の経過後、透過した光周波数コム3の透過パルス9と、2回多重反射した光周波数コム3の多重反射パルス10として現れる。
図3の下段に示すように、光パルス8が固体試料5を通過せずに一定の時間が経過すると、参照光パルス(第4光周波数コム)11となる。「固体試料5を通過せずに」とは、「固体試料5と同じ厚みL及び大気の屈折率nairを有する固体試料を通過する」のと同じ意味である。参照光パルス11に対する透過パルス9の位相スペクトルφ(ω)は、次に示す(7)式で表される。
Figure 0007270202000009
(7)式におけるNは、透過パルス9に基づく位相オフセット係数を表す。2πNは、透過パルス9に基づく位相オフセットを表す。参照光パルス11に対する多重反射パルス10の位相スペクトルφ(ω)は、次に示す(8)式で表される。cは、真空中の光速を表す。nairは、大気の屈折率を表す。
Figure 0007270202000010
(8)式におけるNは、多重反射パルス10に基づく位相オフセット係数を表す。2πNは、透過パルス9に基づく位相オフセットを表す。以下では、位相オフセット係数N,Nをまとめて位相オフセット係数Nという場合がある。(7)式及び(8)式によって、固体試料5の厚みLは、次に示す(9)式で表される。(9)式は、厚みLと位相スペクトルφ(ω),φ(ω)の傾きとの相対関係を示す式であり、位相スペクトルφ(ω),φ(ω)の傾きがわかれば、厚みLが求められるということを意味する。
Figure 0007270202000011
固体試料5の群屈折率n(ω)は、次に示す(10)式で表される。(10)式は、群屈折率n(ω)と位相スペクトルφ(ω)の傾きとの相対関係を示す式である。(10)式は、少なくとも位相スペクトルφ(ω)の傾きがわかれば、群屈折率n(ω)が求められるということを意味する。
Figure 0007270202000012
(7)式では、位相スペクトルφ(ω)において位相オフセット係数Nが考慮されているが、(8)式及び(9)式のように、角周波数ωに対する位相スペクトルφ(ω),φ(ω)の傾きに着目すればよい場合は、位相オフセット係数N,Nを必ずしも考慮しなくてよい。図4に示すように、絶対位相スペクトルΦ(ω)は、次に示す(11)式のように表される。
Figure 0007270202000013
デュアルコム分光法に基づくヘテロダイン検出では、(6)式及び(7)式の右辺の第2項の差異は、視覚化されず、取得できない。デュアルコム分光法に基づくヘテロダイン検出では、絶対位相スペクトルΦ(ω)を2πで割った余りが位相スペクトルφ(ω)として取得される。したがって、デュアルコム分光法に基づく測定結果に基づいて、位相スペクトルφ(ω)を位相オフセット2πNで補正しなくても、前述のように固体試料5の厚みLと群屈折率n(ω)は容易に、かつ直接導出される。
一方、固体試料5の位相屈折率n(ω)は、次に示す(11)式のように表され、光周波数コム3に基づく位相オフセット係数Nをパラメータとして含んでいる。
Figure 0007270202000014
すなわち、固体試料5の位相屈折率n(ω)を正確に導出するためには、厚みL、位相スペクトルφ(ω)及び位相オフセット係数Nをそれぞれ正確に求める必要がある。
[本発明の位相屈折率の導出方法]
本発明の位相屈折率の導出方法では、デュアルコム分光法に基づく測定結果より位相スペクトルφ(ω),φ(ω)を得る。位相スペクトルφ(ω),φ(ω)の不確かさδφ(ω),δφ(ω)は、次に示す(13)式のように表され、πより十分に小さいので、正確な位相屈折率の導出に高精度なデュアルコム分光法及びデュアルコム分光測定システムを用いることは重要である。
Figure 0007270202000015
デュアルコム分光法に基づく測定時の厚みの分解能ΔLは一定であるため、固体試料5が薄い程、厚みLの相対精度ΔL/Lが低下する。すなわち、デュアルコム分光法を用いて位相スペクトルφ(ω),φ(ω)の直線フィッティング解析を行う方法では、厚みLに対して、位相屈折率と厚みの相対精度ΔL/Lとがトレードオフの関係になっている。したがって、本発明の位相屈折率の導出方法では、厚みの相対精度ΔL/Lが低くても、全体として十分な厚みを有する固体試料(以下、このような試料を厚い固体試料という場合がある)の位相屈折率を正確に導出する。
厚い固体試料を用いて位相スペクトルφ(ω)の直線フィッティング解析を行っても、屈折率分散のために位相スペクトルφ(ω)の曲率が大きくなり、位相スペクトルΦ(ω)と近似する線形関数Tとの差が大きくなるので、位相オフセット係数Nを正確に求められない。このことをふまえ、本実施形態では、図5に示すように厚みの差が互いに異なる複数の領域(取得位置)R,・・・,Rを有する固体試料20を想定する。kは、任意の正の整数である。
固体試料20は、互いに平行な表面6,7を有する。総数Mの領域R,・・・,Rの表面6は面一である。総数Mは、2以上且つ任意の正の整数である。領域Rの表面7は、番号kが大きくなるにしたがって表面6に近づく段差を有する。番号kは、1以上M以下の整数である。それぞれの領域R,・・・,Rにおいて厚み(厚みの差)L,・・・,Lの段差S,・・・・,Sに隣接する領域の厚みT,・・・TM+1は一定である。厚みLは、番号kが大きくなるにしたがって大きくなっている。領域R,・・・,Rは、例えば固体試料20の任意の表面を研磨し、適宜研磨量を変化させることによって形成される。その際の研磨の精度(平面度)は、例えば0.1μm程度である。
最小の厚みLは、位相オフセット係数Nの不確かさδNが次に示す(13)式を満たすように、薄い。例えば、厚みLは、典型的に数10μm以下である。例えば、固体試料20がマグネシウムをドープしたストイキオ組成のニオブ酸リチウム(MgSLN)で構成される場合、厚みLは、0μmより大きく14μm以下であることが好ましい。
Figure 0007270202000016
2以上の番号kにおいてk番目に薄い厚みLは、厚みLk-1に対して前述の(1)式の条件を満たしている。
Figure 0007270202000017
測定環境内の屈折率の揺らぎ等を考慮し、(1)式に安全係数Aを導入した場合、(2)式が得られる。
Figure 0007270202000018
(2)式における安全係数Aは、前述のように安全係数を表す。安全係数Aは、例えば0.5であるが、測定環境の揺らぎ等を考慮し、0より大きく1以下の範囲内で調整される。である。
固体試料20の位相屈折率n(ω)は、全ての領域R,・・・,Rにわたって一定である。本発明では、固体試料20の全領域において位相屈折率n(ω)は一定であると想定し、このような固体試料(以下、同一の固体試料という場合がある)を、デュアルコム分光法の測定対象及び位相屈折率の導出対象とする。
位相オフセット係数Nと厚みLとのトレードオフをふまえ、本発明の位相屈折率の導出方法は、位相スペクトル取得工程と、位相屈折率算出工程と、を備える。位相スペクトル取得工程では、同一の固体試料(試料)20において、位相屈折率n(ω)の不確かさδn(ω)が所定値以下であるように、複数の領域R,・・・,Rのそれぞれの位相スペクトルφ(ω),φ(ω)をデュアルコム分光によって取得する。位相屈折率算出工程では、取得した複数の位相スペクトルφ(ω),φ(ω)に基づき、厚みL,・・・,Lが小さい領域R,・・・,Rから位相オフセット係数Nと位相屈折率n(ω)とをそれぞれ算出する。
上述の位相屈折率の導出方法では、(13)式を満たして領域R,・・・,Rのそれぞれにつき、位相スペクトルφ(ω)を高精度に取得できる。得られた位相スペクトルφ(ω)に基づき、厚みL,・・・,Lが小さい領域から、厚みL,・・・,Lの違いを一定の範囲内に抑え、位相屈折率n(ω)の導出結果をつなぎつつ、それぞれの厚みL,・・・,Lに対応する位相オフセット係数Nを正確に求める。
また、上述の位相屈折率の導出方法では、図2に示すデュアルコム分光の原理をふまえ、位相スペクトル取得工程において、デュアルコム分光に用いる光周波数コム1を2つの光周波数コム(第3光周波数コム及び第4光周波数)に分け、固定試料20に一方の光周波数コム(第3光周波数コム)1を通過させる。固定試料20を通過した光周波数コム1と光周波数コム2(デュアルコム分光に用い且つ第1光周波数コムとは異なる繰り返し周波数を有する第2光周波数コム)とをマルチヘテロダイン検出し、複数の位相スペクトル(第1の位相スペクトル)として図3に示す位相スペクトルφ(ω),φ(ω)を取得する。一方、固体試料20を通過していない他方の光周波数コム(第4光周波数コム)1と光周波数コム2とをマルチヘテロダイン検出し、複数の位相スペクトル(第2の位相スペクトル)として図3に示す位相スペクトルφ(ω),φ(ω)を取得する。
[本発明の位相屈折率の測定装置]
図6及び図7に示すデュアルコム分光測定装置(位相屈折率の測定装置)200は、上述した位相屈折率の導出方法を用いて位相屈折率を導出するための測定装置である。図6に示すように、デュアルコム分光測定装置200は、デュアルコム出射部301と、位相スペクトル取得部302と、位相屈折率導出部303と、を備える。デュアルコム出射部301は、繰り返し周波数が互いに異なる光周波数コム(第1光周波数コム、第2光周波数コム)1,2を出射する。位相スペクトル取得部302は、固体試料20において、位相屈折率n(ω)の不確かさδn(ω)が所定値以下であるように、複数の領域R,・・・,Rのそれぞれの位相スペクトルφ(ω),φ(ω)をデュアルコム分光によって取得する。位相屈折率導出部303は、取得した複数の位相スペクトルφ(ω),φ(ω)に基づき、厚みL,・・・,Lが小さい領域同士から位相オフセット係数Nと位相屈折率n(ω)とをそれぞれ算出する。
デュアルコム出射部301は、光周波数コム出力部210A,210Bと、連続発振レーザー(以下、CWレーザーという)292と、周波数安定化部295と、ファイバコリメータ141,142を備える。
図6に示すように、光周波数コム出力部210Aは、光周波数コム1を出射する。光周波数コム出力部210Bは、光周波数コム2を出射する。周波数制御部290は、光周波数コム出力部210A,210Bのそれぞれに対して周波数を制御するための基準信号を入力する。CWレーザー292は、2つの光周波数コム1,2同士の位相を同期させる。周波数安定化部295は、CWレーザー292から出射された連続発振光(以下、CW光という)と2つの光周波数コム1,2のそれぞれとのビート信号を制御する。
図6では、光周波数コム出力部210A,210Bのそれぞれの光周波数コム出射部220、オフセット周波数制御部18のファンクションジェネレータ(FG)64、繰り返し周波数制御部22のFG74、ピエゾ(PZT)素子230等の主要部分を図示し、主要部分以外の構成の図示は省略されている。詳細には、光周波数コム出力部210A,210Bのそれぞれは、前述の主要部分以外に、図7に示すように半導体レーザ(LD)や多数の光学素子等から構成されている。
図7に示すように、光周波数コム出力部210A,210Bはそれぞれ、光周波数コム光源212、光干渉部214、ビート信号検出部216、オフセット周波数制御部218、光周波数コム出射部220、及び、繰り返し周波数制御部222を備える。
光周波数コム光源212は、例えばループ型のファイバレーザである。光周波数コム光源212は、エルビウム添加ファイバ(EDF)24と、LD26と、を備える。EDF24からの光の出射方向(図6における時計回りの方向)に沿って光アイソレータ34、光カプラ32、前述のファイバレーザの共振器長を変更可能なPZT素子230、及び偏波コントローラ28がEDF24によって連結されている。LD26は、光カプラ25によって、偏波コントローラ28と光アイソレータ34とを直接つなぐ部分のEDF24に接続されている。
光カプラ32から出射された光周波数コムは、光干渉部214と、光周波数コム出射部220に供給される。光カプラ32と光干渉部214及び光周波数コム出射部220との間には、光カプラ32に近い側から順に偏波コントローラ38、EDF増幅器40が設けられている。EDF増幅器40は、EDF39と、励起LD41と、光カプラ43と、を備える。光カプラ32と光干渉部214までの各構成と、光カプラ32と光周波数コム出射部220までの各構成は、光ファイバ36によって連結されている。EDF増幅器40Aと光干渉部214との間には、高非線形光ファイバ(High-nonlinear fiber:HNLF)42が配置されている。HNLF42からは、入射する前よりも広帯域な光周波数コムが出射する。
光干渉部214は、光周波数コム光源212に近い側から順に、ファイバコリメータ44、集光レンズ46、λ/2波長板48、周期分極反転ニオブ酸リチウム(periodically-poled lithium niobate:PPLN)50、光バンドパスフィルタ52を備える。PPLN50からは、広帯域の光周波数コムと、PPLN50で新たに生成された第二高調波とが重なった成分が出射する。
広帯域の光コムと第二高調波は、ビート信号検出部216で干渉する。ビート信号検出部216では、広帯域の光コムと第二高調波とのビート信号が検出される。PPLN50から出射した光は、ビート信号検出部216のフォトディテクタ54によって検出される。フォトディテクタ54から出力された電気信号は、電気ケーブル56を介してオフセット周波数制御部218に伝送され、電気ケーブル58を介して繰り返し周波数制御部222に伝送される。
オフセット周波数制御部218は、高周波バンドパスフィルタ61、高周波アンプ62、ファンクションジェネレータ(Function generator:FG)64、周波数変換器(Double Balanced Mixer:DBM)66、ループフィルタ68を備える。オフセット周波数制御部218は、FG64から発信される参照信号の周波数が変更されると、ループフィルタ68によって励起LD26の印加電流にフィードバックをかける。すなわち、FG64から発信される参照信号の周波数を制御することによって、光周波数コム光源212から出射される光コムのオフセット周波数fCEOが制御される。
繰り返し周波数制御部222は、高周波バンドパスフィルタ71、高周波アンプ72、FG74、DBM76、ループフィルタ78を備える。繰り返し周波数制御部222は、FG74から発信される参照信号の周波数が変更されると、ループフィルタ78によってPZT素子230にフィードバックをかける。すなわち、FG74から発信される参照信号の周波数を制御することによって、光周波数コム光源212から出射される光周波数コムの繰り返し周波数frepが制御される。
図6に示す周波数安定化部295は、コンピュータに内蔵されたプログラム等からなる周波数制御部290と、FG130,132と、DBM108,118と、PID制御器110,120と、受光部106,116と、光カプラ102,104,112,114,122及びこれらの構成要素を適宜接続する光ファイバや電線で構成されている。光周波数コム出力部210Aから出射された光周波数コム1は、光カプラ102を介して光カプラ104に入射する。CWレーザー292から出射されたCW光は、光カプラ112を介して光カプラ104に入射する。光カプラ104で合わさった光周波数コム1とCW光は、フォトディテクタ等の受光部106で受光され、電気信号に変換される。受光部106から発せられた電気信号は、DBM108に入力され、FG130からの参照信号と合わさる。DBM108からの出力は、PID制御器110に入力される。PID制御器110からの出力は、CWレーザー292への入力電流値にフィードバックされる。
CWレーザー292から出射されたCW光は、光カプラ112を介して光カプラ114にも入射する。光周波数コム出力部210Bから出射された光周波数コム2は、光カプラ122を介して光カプラ114に入射する。光カプラ114で合わさった光周波数コム2とCW光はフォトディテクタ等の受光部116で受光され、電気信号に変換される。受光部116から発せられた電気信号は、DBM118に入力され、FG132からの参照信号と合わさる。DBM118からの出力は、PID制御器120に入力される。PID制御器110からの出力は、光周波数コム出力部210Bの光周波数コム光源212におけるPZT素子230の変位量にフィードバックされる。
デュアルコム分光測定装置200において、光周波数コム1に対して光周波数コム2を追随させ、位相同期のとれたデュアルコムを生成するためには、先ず光周波数コム1の繰り返し周波数frep1及びオフセット周波数fCEO1を光周波数コム出力部210AのFG64,74から発信される参照信号の周波数に合わせて安定化させる。次に、光周波数コム出力部210Aより出力される光周波数コム1とCW光とのビート信号をFG130からの参照信号に対して安定化させる。次に、光周波数コム出力部210Bから出力される光周波数コム2のオフセット周波数fCEO2を安定化させたうえで、CW光と光周波数コム2とのビート信号を検出し、検出したビート信号をFG132からの参照信号に対して安定化させる。このような手順により、光周波数コム1,2の繰り返し周波数frep1,frep2をそれぞれCW光の周波数を追随させる。つまり、光周波数コム1に対して光周波数コム2が追随し、互いに位相同期のとれたデュアルコムが出射される。
周波数制御部290は、オフセット周波数差ΔfCEO、オフセット周波数fCEO1、オフセット周波数fCEO2、繰り返し周波数差Δfrep、繰り返し周波数frep1、繰り返し周波数frep2の6つのパラメータ同士が任意の整数比で表される相対関係が成り立つように、オフセット周波数fCEO1,fCEO2及び繰り返し周波数frep1,frep2の4つのパラメータを制御する。
上述のように制御された光周波数コム1,2は、ファイバコリメータ141,142から出射する。
位相スペクトル取得部302は、ビームスプリッター151,152,153、折り返しミラー154,155、フォトディテクター160、データ処理部98を備える。
ファイバコリメータ141から出射した光周波数コム1は、ビームスプリッター151によって、参照用光周波数コム(第4光周波数コム)1-1と試料通過用光周波数コム(第3光周波数コム)1-2に分岐する。固体試料20は、試料通過用光周波数コム1-2の進路上に配置されている。図6では、固体試料20は、折り返しミラー154,155の間の試料通過用光周波数コム1-2の進路上に配置されている。
参照用光周波数コム1-1と試料通過用光周波数コム1-2は、互いに一定の時間遅延をもってビームスプリッター152で空間的に重なる。互いに合わさった参照用光周波数コム1-1と試料通過用光周波数コム1-2は、ビームスプリッター152によって、ファイバコリメータ142から出射された光周波数コム2と重なる。互いに重なった参照用光周波数コム1-1、試料通過用光周波数コム1-2及び光周波数コム2は、フォトディテクター160で受光される。
フォトディテクター160で受光された参照用光周波数コム1-1、試料通過用光周波数コム1-2及び光周波数コム2はマルチヘテロダイン検出され、その結果がコンピュータや計算機等のデータ処理部98に送信される。光周波数コム2は、ローカル光周波数コム或いは局部発振器光周波数コムと呼ばれるものである。データ処理部98は、フォトディテクター160からの情報に基づいて、固体試料20の物性情報を反映したRF周波数コム4(図示略)を算出し、位相スペクトルφ(ω),・・・,φ(ω)を取得する。
固体試料20は、領域R,・・・,Rの全体に試料通過用光周波数コム1-2が照射される(所謂、ワンショットで照射される)ように配置されてもよく、領域R,・・・,Rのそれぞれに対して任意の順番に試料通過用光周波数コム1-2が照射されるように試料通過用光周波数コム1-2の進路に直交してスライド可能であってもよい。ただし、振動を抑える点及び測定時間を短縮する点から、領域R,・・・,Rの全体に試料通過用光周波数コム1-2が照射されるように固体試料20が配置されていることが好ましい。このことによって、全領域に関する位相スペクトルφ(ω),φ(ω)を同時に一括して取得できる。
位相スペクトル(第1の位相スペクトル)φ1,k(ω)、位相オフセット係数N1,kは、透過パルス9及びk番目に薄い厚みLkに基づいていることを意味する。位相スペクトル(第2の位相スペクトル)φ2,k(ω)、位相オフセット係数N2,k 、多重反射パルス10及び厚みLに基づいていることを意味する。位相屈折率np,k(ω)はLに基づいていることを意味する。位相屈折率導出部303では、第1工程として、領域Rに関する位相スペクトルφ1,1(ω)を図4に示すように線形関数Tでフィッティングすることによって位相オフセット係数N1,1を正確に求める。領域Rについて取得したφ1,1(ω)及びφ2,1(ω)に基づいて、(9)式により、最も薄い厚みLを求める。求めた位相オフセット係数N1,1及び厚みLに基づき、(11)式によって、位相屈折率np,1(ω)を算出する。
位相屈折率np,1(ω)が算出されたので、2番目以降M番目までの領域R,・・・,Rに関する位相屈折率np,2(ω),・・・,np,M(ω)は、線形関数Tにフィッティングせずに、1つ前の順番の領域R,・・・,RM-1に基づいて求めたnp,1(ω),・・・,np,M-1(ω)と、領域R,・・・,Rに関して取得した位相スペクトルφ1,2(ω),・・・,φ1,M(ω)及び位相スペクトルφ2,2(ω),・・・,φ2,M(ω)を用いて算出する。例えば、領域Rに関して求めた位相屈折率np,1(ω)と、領域Rについて取得した位相スペクトルφ1,2(ω),φ2,2(ω)に基づいて(9)式により求めた厚みL2と、取得した位相スペクトルφ1,2(ω)を用いて、(7)式により領域Rに関する位相オフセット係数Nを算出する。求めた位相オフセット係数Nと取得した位相スペクトルφ1,2(ω)を用いて、(12)式により領域Rに関する位相屈折率np,2(ω)を算出する。同様に、領域Rに関して求めた位相屈折率np,2(ω)と、領域Rについて取得した位相スペクトルφ1,3(ω),φ2,3(ω)に基づいて(9)式により求めた厚みL3と、取得した位相スペクトルφ1,3(ω)を用いて、(7)式により領域Rに関する位相オフセット係数Nを算出する。求めた位相オフセット係数Nと取得した位相スペクトルφ1,3(ω)を用いて、(12)式により領域R3に関する位相屈折率np,3(ω)を算出する。
位相屈折率導出部303は、コンピュータや計算機等に内蔵されているプログラム等である。位相屈折率導出部303は、データ処理部98と共通のコンピュータに収容されていてもよい。
以上説明したように、本実施形態の位相屈折率の導出方法では、位相スペクトル取得工程において、同一の固体試料20において、(1)式の条件を満たすように段差S,・・・,Sの厚みL,・・・,Lが互いに異なる複数の領域R,・・・,Rのそれぞれの位相スペクトルφp,1(ω),・・・,φp,M(ω)をデュアルコム分光によって取得する。次に、位相屈折率算出工程では、取得した複数の位相スペクトルφp,1(ω),・・・,φp,M(ω)に基づき、厚みLが小さい方から順番に位相オフセット係数Nと位相屈折率n(ω)とをそれぞれ算出する。各領域の位相屈折率n(ω)の導出には、1つ前の順番の領域で算出した位相屈折率n(ω)を用いる。
本実施形態の位相屈折率の導出方法によれば、不確かさδφDCがπに比べて十分小さく高精度なデュアルコム分光法に基づいて位相スペクトルφ(ω),φ(ω)を取得し、かつ厚みLの相対精度(δL/L)を1より十分小さくして厚みLの精度を高めることができる。そのうえで、実際に測定で得られる位相スペクトルφDC(ω)及び既知の位相屈折率n(ω)及び厚みLから、正確に位相オフセット係数Nを求めることができる。したがって、従来のように最小偏角法を用いずにデュアルコム分光法のみを用いて位相屈折率を正確に導出できる。
また、本実施形態の位相屈折率の導出方法では、位相屈折率導出工程において、第1工程として、複数の取得位置のなかで最も小さい厚みLの領域Rの位相スペクトルφ1,1(ω),φ2,1(ω)に基づき、厚みLに対応する位相オフセット係数N及び位相屈折率np,1(ω)を正確に算出する。続いて、第2工程として、(k-1)番目に小さい厚み(すなわち、厚みLk-1)に対応する位相屈折率np,k-1(ω)、及び、複数の取得位置のなかで厚みの差がk番目に小さい領域Rの位相スペクトルφ1,k(ω),φ2,k(ω)及び厚みLに基づき、厚みLに対応する位相オフセット係数Nを算出し、位相オフセット係数Nを用いて位相屈折率np,k(ω)を導出し、位相屈折率np,k-1(ω)を更新する。
本実施形態の位相屈折率の導出方法によれば、デュアルコム分光法で取得する固体試料20の位相スペクトルの精度の高さと、固体試料20の厚みLの相対精度の高さを維持し、番号kが増えるごとに厚みLを段階的に大きくして位相オフセット係数Nを正確に求めることができる。正確な位相オフセット係数N、位相スペクトルφ1,k(ω),φ2,k(ω)、厚みLを用いて、位相屈折率np,k-1(ω)を更新し、より不確かさδnp,k(ω)が少ない位相屈折率np,k(ω)を導出できる。
本実施形態の位相屈折率の導出方法によれば、位相スペクトル取得工程において、光周波数コム1を参照用光周波数コム1-1、試料通過用光周波数コム1-2に分け、固体試料20に試料通過用光周波数コム1-2を通過させる。試料を透過するとき、時間的に遅れて、多重反射した試料透過用光周波数コム1-3が生じる。固体試料20を透過した試料通過用光周波数コム1-2と光周波数コム2とをマルチヘテロダイン検出し、位相スペクトルφ1,1(ω),・・・,φ1,M(ω)を取得する。一方、固体試料20を多重反射した試料透過用光周波数コム1-3と光周波数コム2とをマルチヘテロダイン検出し、位相スペクトルφ2,1(ω),・・・,φ2,M(ω)を取得する。位相屈折率導出工程では、位相スペクトルφ1,1(ω),・・・,φ1,M(ω)及び位相スペクトルφ2,1(ω),・・・,φ2,M(ω)に基づき、上述の第1工程及び第2工程で位相屈折率n(ω)を更新しつつ、正確に求めることができる。参照用光周波数コム1-1を用いて位相屈折率n(ω)を導出することによって、位相スペクトルφ1,1(ω),・・・,φ1,M(ω)及び位相スペクトルφ2,1(ω),・・・,φ2,M(ω)を高精度に取得できる。このことによって、位相屈折率n(ω)を高精度に導出できる。
本実施形態の位相屈折率の導出方法及び固体試料20によれば、表面6,7のうち、表面6は平滑な面であり、表面7には表面6からの厚みの差が互いに異なる段差S,・・・,Sを有する複数の領域R,・・・,Rが形成されている。段差Sの厚みLは、(13)式を満たすように設計されている。段差S,・・・,Sの厚みL,・・・,Lは、(1)式を満たすように設計されている。このように設計された固体試料20を用いることによって、前述のように位相屈折率np,k-1(ω)を番号kが増えるにしたがって更新しつつ、より不確かさδnp,k(ω)が少ない位相屈折率np,k(ω)を導出できる。
本実施形態のデュアルコム分光測定装置200によれば、デュアルコム出射部301と、位相スペクトル取得部302と、位相屈折率導出部303と、を備えるので、本実施形態の位相屈折率の導出方法と同様に、デュアルコム分光法に基づいて位相スペクトルφ(ω),φ(ω)を取得し、かつ厚みLの相対精度(δL/L)を1より十分小さくして厚みLの精度を高めることができる。そのうえで、実際に測定で得られる位相スペクトルφDC(ω)及び既知の位相屈折率n(ω)及び厚みLから、正確に位相オフセット係数Nを求めることができる。したがって、従来のように最小偏角法を用いずにデュアルコム分光法のみを用いて位相屈折率を正確に導出できる。
本実施形態のデュアルコム分光測定装置200によれば、位相スペクトル取得部302において、光周波数コム1を参照用光周波数コム1-1、試料通過用光周波数コム1-2に分け、固体試料20に試料通過用光周波数コム1-2を通過させる。試料を透過するとき、時間的に遅れて、多重反射した試料透過用光周波数コム1-3が生じる。参照用光周波数コム1-1を用いて、位相屈折率n(ω)を導出することによって、位相スペクトルφ1,1(ω),・・・,φ1,M(ω)及び位相スペクトルφ2,1(ω),・・・,φ2,M(ω)を高精度に取得できる。位相屈折率導出部303では、位相屈折率n(ω)を高精度に導出できる。
本実施形態の位相屈折率の導出方法及びデュアルコム分光測定装置200によれば、(2)式において安全係数Aを導入することによって、測定環境内の屈折率の揺らぎ等に柔軟に対応し、光学系の調整を容易にすることができる。
[計算例]
図5に示す固体試料20の厚みLと不確かさδn(ω)とを数値計算によって見積もった。安全係数(A)を1とし、総数Mを8とし、位相スペクトルφDC(ω)の観測帯域を188THzから195THzとした。不確かさδLは、0.6μmとした。固体試料20の材質は、BK7ガラスとした。厚みLは、(13)式を満たすように、25μmとした。表1に、前述の条件で、(1)式を満たすようにし、厚みLと不確かさδn(ω)とを見積もった結果を示す。
Figure 0007270202000019
表1に示すように、厚みが小さい順に位相屈折率np,k(ω)を導出することによって、不確かさδn(ω)が減少し、最終的に8番目の計算時には不確かさδnp,k(ω)が0.00055に達した。本計算例によって、番号kが増えるにしたがって、より不確かさδnp,k(ω)が少なくなり、位相屈折率np,k(ω)を導出できることを確認した。
上述の実施形態の変形例について説明する。
[本発明の位相屈折率の導出方法の別の態様]
本発明の位相屈折率の導出方法では、必ず参照用光周波数コム1-1を用いなくてもよい。光周波数コム1を2つに分けずに、固体試料20を通過させ、位相スペクトルを取得できれば、不確かさδnp,k(ω)が少ない位相屈折率n(ω)を導出できる。デュアルコム分光測定によって固体試料20のk番目の領域Rに関して取得される位相スペクトルをφDCS,k(ω)とすると、(14)式が成立する。
Figure 0007270202000020
本発明の位相屈折率の導出方法の位相屈折率導出工程では、第1工程において、領域Rに関する位相スペクトルφDCS,1(ω)を図4に示すように線形関数Tでフィッティングすることによって位相オフセット係数N及び厚みLを正確に求める。第2工程としては、番号kが2以上総数M以下であり、位相スペクトルφDCS,k、(k-1)番目に求めた位相屈折率np,k-1(ω)、厚みLから、位相オフセット係数Nを正確に求める。(14)式を位相オフセット係数Nについて変形し、位相オフセット係数の不確かさδNを定式化すると、(15)式のように表される。
Figure 0007270202000021
(15)式の不確かさδL,δφDCSは角周波数ωに依存せず、位相スペクトルφDCSの測定中は一定であると仮定した。高精度なデュアルコム分光に基づく測定装置では、不確かさδφDCS,δLについて、次に示す(16)式及び(17)式が成立する。
Figure 0007270202000022
Figure 0007270202000023
(16)式及び(17)式が成立する場合、(15)式において右辺の第2項及び第3項の寄与を無視できる。したがって、(15)式は、次に示す(18)式のように変形される。
Figure 0007270202000024
位相オフセット係数Nが正確に決定するということは、不確かさδN(ω)が±π以内に収まることと等価である。したがって、位相オフセット係数Nを正確に決まる条件は、安全係数Aを導入すると次に示す(19)式で表される。
Figure 0007270202000025
厚みLが(19)に示す条件を満たして正確に求められた位相オフセット係数Nを用いて、次に示す(20)式で位相屈折率np,k(ω)を導出できる。
Figure 0007270202000026
不確かさδnp,k(ω)は、次に示す(21)式によって表される。
Figure 0007270202000027
本発明の位相屈折率の導出方法では、デュアルコム分光測定を用いているので、厚みLの算出精度が位相屈折率n(ω)の算出精度に対する律速条件になると考えられる。その場合、(21)式の右辺の第1項は無視することができ、(21)式は次に示す(22)式のように書き換えられる。
Figure 0007270202000028
(22)式の関係を適用することによって、(19)式の条件式は前述の(1)式のように表される。
[試料の変形例]
上述の実施形態では、厚みL,・・・,Lがこの順に隣り合っている固体試料20を例示した。しかしながら、厚みLが(13)式を満たし、且つ番号kが2以上総数M以下であるときに厚みLk-1,Lが(1)式の条件を満たしてさえいれば、厚みL,・・・,Lの並び方は問わない。図8は、図5に示す固体試料20の変形例である固体試料21の側面図である。厚みLが前述の各条件を満たしていれば、固体試料21のように、表面7に沿って厚みLが小さい順に隣り合わずにランダムに形成されていてもよい。
固体試料21に対しても、上述の固体試料20の位相屈折率の測定時と同様に、全領域に関する位相スペクトルφ(ω),φ(ω)を同時に一括して取得してもよく、任意の順番で個々の領域に関する位相スペクトルφ(ω),φ(ω)を取得してもよい。但し、位相屈折率の導出時には、上述の固体試料20の位相屈折率の導出時と同様に、
領域Rに関する位相スペクトルφ1,1(ω)を図4に示すように線形関数Tでフィッティングし、位相オフセット係数Nを正確に求める。第2工程として、、領域R1について取得したφ1,1(ω)及びφ2,1(ω)に基づいて、(9)式により、最も薄い厚みLを求める。求めた位相オフセット係数N及び厚みLに基づき、(11)式によって、位相屈折率np,1(ω)を算出する。2番目以降M番目までの領域R,・・・,Rに関しては、1つ前の順番の位相屈折率np,1(ω),・・・,np,M-1(ω)と、デュアルコム分光法に基づいて取得した位相スペクトルφ1,2(ω),・・・,φ1,M(ω)及び位相スペクトルφ2,2(ω),・・・,φ2,M(ω)を用いて、位相屈折率np,2(ω),・・・,np,M(ω)を算出する。このようにして、位相屈折率np,k-1(ω)を番号kが増えるにしたがって更新しつつ、より不確かさδnp,k(ω)が少ない位相屈折率np,k(ω)を導出できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述した。本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において変更可能である。
例えば、上述の実施形態では、物性情報を取得する対象として吸収係数が無視できる程度に小さい固体試料を想定した。しかしながら、吸収係数を考慮した適切な数式やモデルを上述の内容に導入することによって、本発明の位相屈折率の導出方法は、汎用的な試料の位相屈折率の導出が可能になる。また、位相屈折率の異方性が大きくなければ、試料は固体試料に限定されない。
また、上述の実施形態では、表面6と複数の取得領域が形成された表面7が互いに平行な固体試料20を例示した。しかしながら、本発明の試料の形状は、固体試料20の形状に限定されず、例えば楔型であったり、長手方向の一方の端部側で互いに近づき、他方の端部側で一方の端部側よりも互いに離間した2枚のプレート状として形成されていてもよい。
5,20・・・固体試料(試料)
φ(ω),φDC(ω),φ(ω),φ(ω)・・・位相スペクトル
(ω)・・・位相屈折率

Claims (8)

  1. 同一の試料において、所定の条件を満たすように厚みの差が互いに異なる複数の領域のそれぞれの位相スペクトルをデュアルコム分光によって取得する位相スペクトル取得工程と、
    取得した複数の前記位相スペクトルに基づき、前記厚みの差が小さい方から位相オフセット係数を算出し、算出した前記位相オフセット係数に基づき、前記試料の位相屈折率を導出する位相屈折率導出工程と、
    を備え、
    前記所定の条件は(1)式で表される、位相屈折率の導出方法。
    Figure 0007270202000029
    上述の(1)式において、Lはk番目に小さい前記厚みの差を表し、cは真空中の光速を表し、ωは前記デュアルコム分光で用いる光周波数コムの角周波数を表し、np,k-1(ω)は厚みの差Lk-1に対応する位相屈折率を表し、nair(ω)は大気の屈折率を表し、δLは前記試料の厚みの差の不確かさを表す。kは、任意の正の整数である。
  2. 前記所定の条件は(1)式に基づいて、安全係数を導入した(2)式で表される、
    請求項1に記載の位相屈折率の導出方法。
    Figure 0007270202000030
    上述の(2)式において、Aは前記安全係数を表す。
  3. 前記位相屈折率導出工程は、
    前記複数の領域のなかで前記厚みの差が最も小さい前記領域の前記位相スペクトルに基づき、最も小さい前記厚みの差に対応する前記位相オフセット係数及び前記位相屈折率を算出する第1工程と、
    (k-1)番目に小さい前記厚みの差に対応する前記位相屈折率、及び、前記複数の領域のなかで前記厚みの差がk番目に小さい前記領域の前記位相スペクトル及び前記厚みの差に基づき、k番目に小さい前記厚みの差に対応する前記位相オフセット係数を算出し、算出した前記位相オフセット係数を用いて前記位相屈折率を導出する第2工程と、を有する、
    請求項1又は請求項2に記載の位相屈折率の導出方法。
  4. 前記位相スペクトル取得工程において、
    前記デュアルコム分光に用いる第1光周波数コムを第3光周波数コム及び第4光周波数コムの2つに分け、前記試料に前記第3光周波数コムを通過させ、
    前記試料を通過した前記第3光周波数コムと前記デュアルコム分光に用い且つ前記第1光周波数コムとは異なる繰り返し周波数を有する第2光周波数コムとをマルチヘテロダイン検出し、前記位相スペクトルとして複数の第1の位相スペクトルを取得し、
    前記試料を通過していない前記第4光周波数コムと前記第2光周波数コムとをマルチヘテロダイン検出し、前記位相スペクトルとして複数の第2の位相スペクトルを取得する、
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載の位相屈折率の導出方法。
  5. 前記試料は、
    2つの表面を有し、
    一方の前記表面は平滑な面であり、
    他方の前記表面には前記一方の表面からの前記厚みの差が互いに異なる段差を有する複数の領域が形成されている、
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載の位相屈折率の導出方法。
  6. 繰り返し周波数が互いに異なる第1光周波数コム及び第2光周波数コムを出射するデュアルコム出射部と、
    所定の条件を満たすように厚みの差が互いに異なる複数の領域を有する同一の試料に前記第1光周波数コムを通過可能に構成され、複数の前記領域のそれぞれの位相スペクトルをデュアルコム分光によって取得する位相スペクトル取得部と、
    取得した複数の前記位相スペクトルに基づき、前記厚みの差が小さい方から位相オフセット係数を算出し、算出した前記位相オフセット係数に基づき、前記試料の位相屈折率を導出する位相屈折率導出部と、
    を備え、
    前記所定の条件は(1)式で表される、位相屈折率の測定装置。
    Figure 0007270202000031
    上述の(1)式において、Lはk番目に小さい前記厚みの差を表し、cは真空中の光速を表し、ωは前記デュアルコム分光で用いる光周波数コムの角周波数を表し、np,k-1(ω)は厚みの差Lk-1に対応する位相屈折率を表し、nair(ω)は大気の屈折率を表し、δLは前記試料の厚みの差の不確かさを表す。kは、任意の正の整数である。
  7. 前記所定の条件は(1)式に基づいて、安全係数を導入した(2)式で表される、
    請求項に記載の位相屈折率の測定装置。
    Figure 0007270202000032
    上述の(2)式において、Aは前記安全係数を表す。
  8. 前記位相スペクトル取得部は、
    前記第1光周波数コムを第3光周波数コム及び第4光周波数コムの2つに分け、前記試料に前記第3光周波数コムを通過させ、
    前記試料を通過した前記第3光周波数コムと前記第2光周波数コムとをマルチヘテロダイン検出し、前記位相スペクトルとして複数の第1の位相スペクトルを取得し、
    前記試料を通過していない前記第4光周波数コムと前記第2光周波数コムとをマルチヘテロダイン検出し、前記位相スペクトルとして複数の第2の位相スペクトルを取得する、
    請求項又は請求項に記載の位相屈折率の測定装置。
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