JP2010223627A - 干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】同一のオフセット値を有すると見なすことができる2次元位相データの集まりである共通オフセット位相データ群を生成する共通オフセット位相データ群生成工程S10と、共通オフセット位相データ群の各オフセット値z0iに対応するパラメータZ1_iをフィッティング関数を仮定して推定するオフセット推定工程S11と、推定された各パラメータZ1_iのうちいずれか、またはZ1_iによる加重平均位相を基準位相値Oとして、z0i=2π・round{(Z1_i−O)/2π}を算出し、このオフセット値z0iを共通オフセット位相データ群からそれぞれ減算して2次元位相データを生成するアンラップ工程S12とを備える。
【選択図】図8
Description
干渉縞強度分布データは、アークタンジェント演算を用いて位相データに変換される。このため、干渉計で得られた2次元位相データは、干渉縞強度分布データに2π以上の位相差がある場合には±πの範囲に折り畳まれる(ラップされる)。
したがって、干渉計で得られた折り畳まれた2次元位相データから波面を求めるには、折り畳まれた2次元位相データの位相を2πの整数倍だけシフトさせて、折り畳みのない(アンラップされた)2次元位相データを復元する必要がある。このため、干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法および装置が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、干渉計によって得られる2次元位相データのアンラップを行う干渉計による2次元位相データのアンラップ方法であって、2次元位相データにおける有効な領域を、隣り合う点同士の位相差がπよりも十分小さい点の集まりである小領域に分割する手順と、各小領域に、それぞれ、アンラップを行うために位相を2πの何倍だけずらせば良いかを表す変数を割り当てる手順と、隣り合う小領域の境界に沿って、隣り合う点の位相差を2πで割った値を整数に丸めた値を、隣り合う点の変数の値の差とする第1の方程式を作成する手順と、隣り合う小領域の境界毎に、同じ境界上についての第1の方程式を辺々足して第2の方程式を作成する手順と、第2の方程式を変数について解き、整数解がある場合はその整数解をそのまま各小領域毎の変数の値とし、解はあるが整数解ではない場合はその解を整数に丸めた値を各小領域毎の変数の値とし、解がない場合は隣り合う小領域の境界を挟んで隣り合う点の組の個数で重みを付けた最小2乗解を求めてその解を整数に丸めた値を各小領域毎の変数の値とする手順と、得られた各小領域毎の変数の値を2π倍した位相だけ、各小領域内の各点の位相をずらす手順とを備えたことを特徴とする干渉計による2次元位相データのアンラップ方法および装置が記載されている。
特許文献1に記載の技術では、干渉計で得られた2次元位相データの隣り合う位置における位相差を比較して、位相差がπよりも小さい複数の小領域(リージョン)に分割し、これらの小領域間で隣り合う位相を比較し、2πの整数倍の位相差がある小領域同士を連結するが、境界位置に測定誤差などにより「疑点」がある場合には、2πの整数倍の位相差が現れないため単純には連結できない。
このため、特許文献1の方法では、各小領域に、それぞれ、アンラップを行うために位相を2πの何倍だけずらせば良いかを表す変数を割り当て、第2の方程式を変数について解いて、整数解でない場合には解を丸め、解が得られない場合には最小二乗解を求めて整数に丸めることで、「多数決決定的に」小領域の連結を行っている。
ここでアンラップを行うために位相を2πの何倍だけずらせば良いかを表す変数は、互いに隣接する小領域の間で定義されるものである。例えば、2次元位相データの欠落などによって間隔があいた小領域同士では、最も近接した小領域をとっても位相が2πの整数倍だけずれるといった関係がないので、上記のような変数を割り当てることはできない。
したがって、この場合には、2次元位相データ全体は、アンラップすることができないという問題がある。すなわち、特許文献1に記載されたように、例えば、「ノイズはないが、有効領域の真ん中を十文字状に割って4つの領域に分けた場合について比較した結果」では、「4つの領域間では、位相にずれが生じているが、元々これをつなぐ方法はない」とされている。
z0i=2π・round{(Z1_i−O)/2π} ・・・(1)
z0i=2π・round{(Z1_i−O)/2π} ・・・(1)
本発明の実施形態に係る干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ装置について、それを備える干渉計とともに説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ装置およびそれを備える干渉計の概略構成を示す模式的な構成図である。図2は、本発明の実施形態に係る干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ装置を備える干渉計の制御ユニットの機能構成を示す機能ブロック図である。図3は、本発明の実施形態に係る干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
干渉計50の概略構成は、レーザ光源1、コリメータレンズ2、ビームスプリッタ3、フィゾーレンズ4、ピエゾ素子8、ピエゾ素子コントローラ9、保持台13、集光レンズ6、CCD7、および制御ユニット10を備える。
制御ユニット10には、干渉縞測定に必要な操作入力や設定情報の入力を行うため、例えばキーボード、マウス等からなる操作部12と、CCD7によって撮像された画像や形状測定結果などを表示するモニタ11とが電気的に接続されている。
被測定面5aとしては、例えば、凸球面や平面等でもよいが、以下では、一例として、平凹レンズからなる被測定物5の凹球面の場合で説明する。被測定面5aが凸球面や平面からなる場合の、干渉計の配置、構成は当業者には容易に理解される。
レーザ光源1によって発生された発散光は、コリメータレンズ2によって平行光30aとされ、ビームスプリッタ3に入射される。
ビームスプリッタ3は、平行光30aを反射してフィゾーレンズ4の光軸L上に導くとともに、フィゾーレンズ4側から入射する後述の被測定面反射光30c、参照面反射光30dを透過する光分岐素子である。
フィゾー面4aの形状は、精度よく仕上げられた球面である。このため、フィゾー面4aは、被測定面5aで反射された被測定面反射光30cの波面を変換して参照面反射光30dとの干渉縞を形成するための参照面を構成している。
フィゾーレンズ4の光軸Lは、干渉計50の光軸を構成している。
ピエゾ素子8の移動量は、ピエゾ素子8に電気的に接続されたピエゾ素子コントローラ9によって印加電圧を変化させることで制御される。
保持台移動機構14は、保持台13上の被測定面5aの光軸を光軸Lと同軸に位置合わせするとともに、フィゾーレンズ4と被測定物5との間の光軸Lに沿う方向の距離を調整する機構である。これにより、フィゾーレンズ4の焦点位置と、被測定面5aの球心位置あるいは面頂位置とが一致するように位置調整を行うことができる。
保持台移動機構14の装置構成は、例えば、光軸Lに直交する方向の移動ステージ、光軸Lに対する傾動ステージ、および光軸Lに沿う方向に移動させる1軸移動ステージの組合せを採用することができる。
CCD7は、撮像面7a上に投影された干渉縞画像を光電変換する撮像素子である。
CCD7は、制御ユニット10に電気的に接続されており、制御ユニット10によって撮像動作が制御される。CCD7で撮像した画像信号は制御ユニット10に送出される。
本実施形態では、フィゾー面4aをλ/8ピッチで移動して5枚の干渉縞画像を取得して2次元位相データを求める5バケット法を採用している。
このため、干渉縞画像取得部41は、操作部12から干渉縞画像取得開始の操作入力を受けると、フィゾー面4aを現在位置から±λ/4の範囲を移動させるように移動制御部42に制御信号を送り、フィゾー面4aが、現在位置に対して、−λ/4、−λ/8、0、+λ/8、+λ/4だけずれた5位置にそれぞれ到達するタイミングで、信号変換部40から干渉縞画像の輝度データを取得し、2次元の干渉縞強度分布データとして、記憶部43に記憶できるようになっている。
移動制御部42は、干渉縞画像取得部41からの制御信号に基づいて、ピエゾ素子コントローラ9にピエゾ素子8による移動量、移動方向を設定するとともに、ピエゾ素子コントローラ9から取得される移動位置の情報を干渉縞画像取得部41に送出するものである。
本実施形態では、各共通オフセット位相データ群Riのフィッティング関数Gi(x,y)として、次式(6)のようなk組の多項式fK(x,y)の線形結合からなるものを採用している。ここで、C1,…,Ckは、Z1_iの他のフィッティングパラメータである。
また、共通オフセット位相データ群Riを用いてフィッティングパラメータの最適値を求める演算としては、最小二乗法を採用している。
ゼルニケ多項式FK(X,Y)は、具体的には次式(5)の通りである。ただし、X2+Y2=r2としている。
図4は、本発明の実施形態に係る干渉計の動作を説明するフローチャートである。図5は、2次元位相データの有効領域の一例を示す模式図である。図6は、図5のA−A線に沿う断面のアライメント誤差を含む位相分布の一例を示す模式的なグラフである。図7は、図6に示す位相分布に対応して干渉計によって取得された2次元位相データを示す模式的なグラフである。図8は、本発明の実施形態に係る2次元位相データのアンラップ方法を説明するフローチャートである。図9(a)は、図5のA−A線に沿う断面の共通オフセット位相データ群の一例を示す模式的なグラフである。図9(b)は、図9(a)におけるパラメータZ1_iの推定値を示す模式的なグラフである。図9(c)は、図9(a)の共通オフセット位相データ群がアンラップされた様子を示す模式的なグラフである。図10は、図5における有効領域の共通オフセット位相データ群の一例を示す模式図である。図11は、図5のA−A線に沿う断面のアライメント誤差を除去した波面算出結果を示す模式的なグラフである。
ステップS1は、被測定面5aの干渉縞強度分布を取得する工程である。測定者は、被測定物5を保持台13に配置し、保持台移動機構14を操作して、被測定面5aの球心位置とフィゾーレンズ4の焦点位置とが略一致する位置に移動させる。
図1に示すように、レーザ光源1から出射されたレーザ光は、コリメータレンズ2によって平行光30aとされ、ビームスプリッタ3によって反射され、光軸Lに沿ってフィゾーレンズ4に入射する。
平行光30aは、フィゾー面4aによって分割され、一部はフィゾー面4aによってビームスプリッタ3の側に反射されて参照面反射光30dとして進む。その他の光は、透過光30bとして透過し、フィゾーレンズ4のレンズ作用により集光され、集光位置Fに集光されてから、被測定面5aに導かれ、被測定面5aの法線方向に入射することにより、被測定面反射光30cとして反射される。そして、被測定面反射光30cは、透過光30bと同一光路を逆進し、フィゾーレンズ4を透過して、ビームスプリッタ3側に出射される。その際、フィゾー面4a上には、被測定面反射光30cと参照面反射光30dとの光路差に応じた干渉縞画像が形成される。
この干渉縞画像は、集光レンズ6によりCCD7の撮像面7a上に投影される。そして、この干渉縞画像は、図2に示すように、CCD7で光電変換されて画像信号として制御ユニット10に送出され、制御ユニット10の表示制御部47を介してモニタ11に表示される。
この微調整が済むと、測定者は操作部12から干渉縞画像取得開始の操作入力を行う。 制御ユニット10では、干渉縞画像取得部41によって干渉縞画像取得開始の操作入力を検知し、モニタ11に表示された状態の干渉縞強度分布データを取得する。そして、フリンジスキャン法によって2次元位相データを得るため、移動制御部42を介してピエゾ素子コントローラ9を駆動し、ピエゾ素子8を伸縮させることで、フィゾーレンズ4を微小移動させて、さらに複数の干渉縞強度分布データを取得する。
本実施形態では、5バケット法によって2次元位相データを取得するため、フィゾー面4aを、微調整が済んだ状態の現在位置を0として、光軸L方向に、−2λ/8(=−λ/4)、−λ/8、0、+λ/8、+2λ/8(=+λ/4)だけ移動させて、それぞれ位相がπ/2だけずれた5枚の干渉縞画像に対応する干渉縞強度分布データg−2(x,y)、g−1(x,y)、g0(x,y)、g+1(x,y)、g+2(x,y)を取得し、記憶部43に記憶させる。
有効領域の判定は、記憶部43に記憶された各位置(x,y)における干渉縞強度データに対して、次式(10)を満足するかどうかを、干渉縞画像取得部41が判定することで行う。次式(10)を満足しない位置(x,y)は、例えば、適宜のフラグを立てておくなどして区別できるようにする。
例えば、図5に示す例では、有効領域31は略円形に分布しており、無効領域32は、有効領域31の外周側全体、および内部の一部に分布している。有効領域31の外周側の無効領域32は、フィゾー面4aまたは被測定面5aの光学的な有効領域外であるため、干渉縞が発生しなかった領域である。また、有効領域31の内部の一部に分布する無効領域32は、例えば、ノイズや、物理的、ソフト的なマスクなどにより干渉縞が得られなかった箇所であり、図5の例では、有効領域31の内部を横断している。
また、有効領域31内であっても、測定ノイズ33が存在し、被測定面5aの形状誤差などに基づく滑らかな位相変化とは異なり、急峻もしくは不連続な位相変化を起こしている場合がある。以下では、図5に示すように、測定ノイズ33は、隣接する受光画素との位相差が2πより小さい不連続な変化を起こす不規則なライン状のノイズが、有効領域31を横断するように発生している場合の例で説明する。
本実施形態では、有効領域31の半径rvalおよび中心の座標C(cx,cy)は、有効領域31に属す位置座標(x,y)の集合の最小外接円の半径、および中心座標を採用している。
干渉計50のようフィゾー型干渉計では、フィゾー面4aのλ/8の移動はπ/2の位相変化に相当するため、gM(x,y)(ただし、添字Mは、−2≦M≦2の整数)は次式(11)で表すことができる。
5バケット法では、2次元位相データφ(x,y)は次式(12)によって求める。ただし、関数atan2は、上記式(2b)で定義される。
例えば、測定ノイズ33や無効領域32が存在しない場合に、図5のA−A線に沿う断面の位相zが、アライメント誤差を含めて、位相値が−7πからπの間に分布し、有効領域31の中心Cを通る対称軸を有する上に凸の関数で表されるとする(以下、このデータを元位相データと称する)。
すなわち、このような元位相データは、図6にA−A線に沿う断面の様子を示すように、位相が−πからπまでの領域U1、位相が−3πから−πまでの領域U2、位相が−5πから−3πまでの領域U3、位相が−7πから−5πまでの領域U4からなる。ここで、領域U1の平面視形状は円状、領域U2、U3、U4の平面視形状は円環状である。
このような元位相データの場合に、上記式(12)から算出される2次元位相データφ(x,y)は、図7に示すように、全体的として、−πからπの範囲に折り畳まれる。
領域u2は、領域u1に対して、位相が+2πシフトしているため、領域u1の境界a1と連続すべき境界a2(図6の境界aに相当)は、2πの位相差がある。また、領域u3は、領域u1に対して、位相が+4πシフトしているため、領域u2の境界b2と連続すべき境界b3(図6の境界bに相当)は、2πの位相差がある。また、領域u4は、領域u1に対して、位相が+6πシフトしているため、領域u3の境界c3と連続すべき境界c4(図6の境界cに相当)は、2πの位相差がある。
また、領域u2は、測定ノイズ33を含むため、中間部で、互いに位置が隣接するものの位相が不連続的に変化する内部境界f、eが形成されている。
また、領域u3は、無効領域32を含むため、領域u2と領域u4との間には、領域u3が欠落することでデータが隣接しないことによる境界p、qが発生している。
本ステップは、図8に示すように、ステップS10からS12を順次行うことによって、アンラップを行う。
本工程は、干渉計50によって得られた2次元位相データφ(x,y)に基づいて、一定の基準位相値に対して同一のオフセット値を有すると見なすことができる2次元位相データの集まりであるn個(ただし、nは1以上の整数)の共通オフセット位相データ群Ri(ただし、添字iは、1≦i≦nの整数)を生成する工程である。
以下、簡単のため、特に断らない限り、図7に示す断面の1次元位相データを例にとって説明する。
分割工程は、2次元位相データφ(x,y)を、互いに隣接する2次元位相データの間の位相差が連結判定値P(ただし、Pは、0<P≦π)より小さい集合に分けることによって、Q個(ただし、Qは1以上の整数)のデータ群Dq(ただし、添字qは、1≦q≦Qの整数)を生成する工程である。
連結判定値Pは、一定の基準位相値に対して同一のオフセット値を有すると見なすことができる2次元位相データの集まりを生成するためのもので、本実施形態では、P=πを採用している。
図7の例では、データ群D1は領域u1に属する2次元位相データφ(x,y)に等しい。また、境界a2上の1点を起点としたデータ群D2は、内部境界e、fの間に連結判定値P以上の位相差があるため、内部境界fと境界b2の間の領域u2は、データ群D2に編入されず、データ群D2とは異なるデータ群、例えば、データ群D3に編入される。
以下、簡単のため、図7上で分断された曲線領域ごとに、データ群Dqが生成され、2次元位相データφ(x,y)が、データ群D1〜D7に分割されたものとする。
具体的にはデータ群Dqに対する一方のデータ群Dqの境界の位相差をdとして、|atan2{sin(d),cos(d)}|が連結判定値Pより小さいかどうか判定すれば良い。
なお、データ群Dqは実際には2次元的に分布するデータであり、他方のデータ群Dqとの境界は1点ではなく複数の点となるため、境界の位相差とは、データ群Dqと他方のデータ群Dqが上下または左右で互いに隣接するそれぞれのデータの位相差の平均とする。
例えば、データ群D1に隣接するデータ群D2、D6は、位相を−2πシフトさせることで、境界a1、a2の位相差が0となるため、連結判定値Pより小さいと判定される。
データ群D2は、データ群D2内の位相にすべて−2πを加算することで、データ群D1の境界a1の隣接位置で、連結判定値Pより小さな位相差となるので、−2πを加算したデータ群D2をデータ群D1と合併して、新たにデータ群D1とする。合併されたデータ群D2に隣接するデータ群D3は、位相を2πの整数倍を加えても隣接位置の位相差が連結判定値Pより大きな位相差となるため、合併されない。また、データ群D7は、合併されたデータ群D6の隣接位置にないため、合併されない。
このようにして、データ群D1には、データ群D2、D6のみが合併される。これを共通オフセット位相データ群R1とする。
同様にして、データ群D3には、データ群D4、D5が合併されるので、これを共通オフセット位相データ群R2とする。同様にして、データ群D7は、どのデータ群とも合併されないので、データ群D7を共通オフセット位相データ群R3とする。
このように、連結判定工程および連結工程を繰り返して連結された3個のデータ群によって、共通オフセット位相データ群R1、R2、R3(図9(a)参照)が生成され、オフセット推定演算部45Bに送出される。
ただし、図5に示す有効領域の例では、測定ノイズ33および無効領域32が有効領域31を横断しているため、図10に示すように、2次元的にも3つの共通オフセット位相データ群R1、R2、R3が生成される。
本工程は、少なくとも、共通オフセット位相データ群工程で生成された共通オフセット位相データ群Riの各オフセット値に対応するパラメータZ1_iをフィッティングパラメータとして含むフィッティング関数を仮定し、共通オフセット位相データ群Riを用いてフィッティングパラメータの最適値を求める演算を行い、各パラメータZ1_iを推定する工程である。
共通オフセット位相データ群Riに属する2次元位相データをzi(xi,yi)と表し、各共通オフセット位相データ群Riに属するziの個数をJ(i)と表すと、上記式(6)から、次式(3)が成り立つ。
例えば、被測定面5aが、例えば面精度のP−Vが、λ/4以下程度の球面であれば、アライメント誤差によって発生するチルトおよびパワー成分に対応する第2次、第3次、第4次のゼルニケ多項式のみ(上記式(5)のF2(X,Y)、F3(X,Y)、F4(X,Y))を採用することで、図6に示すような元位相データのxyz空間における曲面形状を十分精度良く(λ/4=π/2以上のフィッティング残差無く)近似できる。
この場合、上記式(3)の具体例として、次式(14)〜(16)を採用することができる。
また、被測定面5aが、設計上所定の収差を付与されていることが分かっている曲面の場合には、フィッティング関数に所定の収差に対応する次数のゼルニケ多項式も加えることが好ましい。例えば、第5次、第6次、第9次のゼルニケ多項式に対応する収差が付与されている場合、フィッティング関数には、上記第2次、第3次、第4次のゼルニケ多項式の線形結合に加えて、第5次、第6次、第9次のゼルニケ多項式の線形結合も加えることが好ましい。
例えば、図9(a)に示す共通オフセット位相データ群R1、R2、R3の場合、パラメータZ1_1、Z1_2、Z1_3は、図9(b)に示すように、Z1_1<Z1_2<Z1_3のような大小関係で算出される。なお、図9(c)に二点鎖線で示す曲線は、フィッティングパラメータの推定値から算出されるフィッティング曲線を示す。
ステップS11で推定されたオフセットであるパラメータZ1_iは、測定誤差やフィッティング関数の近似誤差がない理想的な場合には2πの整数倍間隔の値になるが、実際には、測定誤差や近似誤差を伴う。そこで、本工程では、オフセット推定工程で推定された各パラメータZ1_iのうちいずれか、または上記式(2a)、(2b)によって求められたパラメータZ1_iによる加重平均位相を基準位相値Oとして、Z1_iとOとの差を2πの整数倍に丸め、各共通オフセット位相データ群Riのオフセット値z0iを基準位相値Oに対する2πの整数倍の値として、上記式(1)のように求める。
基準位相値Oとしては、パラメータZ1_iのどれを選んでもよい。例えば、図9(c)には、O=Z1_1とした場合の、アンラップされた2次元位相データ71の例を示している。
ただし、基準位相値Oとしては、推定誤差ができるだけ少ないZ1_iを採用することが好ましい。
この場合、データ個数から基準位相値Oを求めるため、容易かつ迅速に好ましい基準位相値Oを選ぶことができる。
なお、加重平均位相を算出する際の重み付け係数Wiは、推定されたパラメータZ1_iの信頼性を表す適宜の重み付け係数を採用することができる。
このような他の重み付け係数の例として、次式(17)のように5バケット測定における各データの強度変化をMとして、式(2a)の重み付け係数Wiを共通オフセット位相データ群Riに含まれる各データの強度変化Mの和としても良い。
この場合、相対的にノイズの影響が大きく、誤差が含まれやすい強度変化の小さいデータの影響が少ない状態でアンラップされることになる。
このため、測定ノイズやマスク処理などによって、データが欠落している場合でも、共通のオフセット値を有すると見なすことができる2次元位相データが、フィッティングパラメータの数以上に確保できれば、有効領域31の全体をアンラップすることができる。
アンラップ演算部45Cは、アンラップされた2次元位相データφUN(X,Y)を波面算出部46に送出される。
以上で、アンラップ工程が終了する。
ステップS5は、アンラップ装置部45から送出されたアンラップされた2次元位相データφUN(X,Y)を高さ情報に換算し、被測定面5aの形状誤差を求める工程である。
波面算出部46では、まず、次式(18)によって、2次元位相データを高さ情報h(X,Y)に変換する。そして、次式(19)によって、元位相データに含まれるアライメント誤差である、チルトおよびパワー成分を差し引いた形状誤差h’(X,Y)を算出する。
このようにして、被測定面5aの形状誤差が、図11に示す形状誤差81のように、算出される。
算出された形状誤差h’(X,Y)は、波面算出部46から表示制御部47に送出される。
以上で、干渉計50による被測定面5aの形状測定が終了する。
本変形例は、フィッティング関数に用いる多項式fK(x,y)として、ゼルニケ多項式に代えて、次式(20)のような(2+t)個(ただし、tは自然数)の多項式群を採用する。このような多項式群は、非球面近似式となっている。
例えば、干渉計50に、レーザ光源1の波長を変動させる光源波長変動手段を備えておき、図4のステップS1では、被測定面5aの位置を固定し、レーザ光源1の波長λを、次式(21)に示すdλずつ5回変化させて、干渉縞強度分布データg−2(x,y)、g−1(x,y)、g0(x,y)、g+1(x,y)、g+2(x,y)を取得し、記憶部43に記憶させる。
このようなdλの波長変化は、π/2の位相変化となり、上記実施形態においてフィゾーレンズ4をλ/8動かしたのと同等である。
このキャリアメソッドは、保持台移動機構14によって被測定面5aを光軸Lに対して傾けて、干渉縞が、例えば20〜30本程度の所定本数だけでるように調整して、干渉縞画像を取得する。そして、これをフーリエ変換して1枚の干渉縞画像から波面を測定する。このキャリアメソッドの詳細は、例えば、特開2000−86057号公報等に開示されている。
また、少ない(例えば3組未満)境界データしか得られないデータ群間では、連結工程を行わなくても良い。この場合、全データを使うオフセット推定工程で連結されることになり、境界データの測定誤差の影響が少ない状態でアンラップされることになる
2 コリメータレンズ
3 ビームスプリッタ
4 フィゾーレンズ
4a フィゾー面
5 被測定物
5a 被測定面
7 CCD
8 ピエゾ素子
10 制御ユニット
11 モニタ
13 保持台
30c 被測定面反射光
30d 参照面反射光
41 干渉縞画像取得部
43 記憶部
44 2次元位相データ取得部
45 アンラップ装置部(アンラップ装置)
45A 共通オフセット位相データ生成演算部
45B オフセット推定演算部
45C アンラップ演算部
46 波面算出部
50 干渉計
Gi フィッティング関数
L 光軸
O 基準位相値
Ri 共通オフセット位相データ群
z0i オフセット値
φ 2次元位相データ
φUN アンラップされた2次元位相データ
Claims (8)
- 干渉計によって得られた2次元位相デ−タのアンラップを行う干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法であって、
前記干渉計によって得られた2次元位相データに基づいて、一定の基準位相値に対して同一のオフセット値を有すると見なすことができる2次元位相データの集まりであるn個(ただし、nは1以上の整数)の共通オフセット位相データ群Ri(ただし、添字iは、1≦i≦nの整数)を生成する共通オフセット位相データ群生成工程と、
少なくとも、該共通オフセット位相データ群工程で生成された前記共通オフセット位相データ群Riの前記各オフセット値に対応するパラメータZ1_iをフィッティングパラメータとして含むフィッティング関数を仮定し、前記共通オフセット位相データ群Riを用いて前記フィッティングパラメータの最適値を求める演算を行い、前記各パラメータZ1_iを推定するオフセット推定工程と、
該オフセット推定工程で推定された前記各パラメータZ1_iのうちいずれか、または次式(2a)、(2b)によって求められた前記パラメータZ1_iによる加重平均位相を基準位相値Oとして、前記各共通オフセット位相データ群Riのオフセット値z0iを次式(1)によって算出し、該オフセット値z0iを前記共通オフセット位相データ群Riからそれぞれ減算して、アンラップされた2次元位相データを生成するアンラップ工程とを備えることを特徴とする干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法。
z0i=2π・round{(Z1_i−O)/2π} ・・・(1)
- 前記基準位相値Oは、
前記共通オフセット位相データ群Riのうちデータ個数が最大である共通オフセット位相データ群Rix(ただし、添字ixは、1からnまでのいずれかの整数)から推定されたパラメータZ1_ixであることを特徴とする請求項1に記載の干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法。 - 前記基準位相値Oは、
前記加重平均位相であり、前記重み付け係数Wiは、前記共通オフセット位相データ群Riに含まれるデータ点数である方法とする。ことを特徴とする請求項1に記載の干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法。 - 前記共通オフセット位相データ群生成工程は、
前記干渉計によって得られた2次元位相データを、互いに隣接する2次元位相データの間の位相差が連結判定値P(ただし、Pは、0<P≦π)より小さい集合に分けることによって、前記共通オフセット位相データ群Riを生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法。 - 前記共通オフセット位相データ群生成工程は、
前記干渉計によって得られた2次元位相データを、互いに隣接する2次元位相データの間の位相差が連結判定値P(ただし、Pは、0<P≦π)より小さい集合に分けることによって、Q個(ただし、Qは1以上の整数)のデータ群Dq(ただし、添字qは、1≦q≦Qの整数)を生成する分割工程と、
該分割工程で生成された前記各データ群Dqの隣接位置で、互いに隣接する一方のデータ群Dqの隣接位置の位相を基準として、他方のデータ群Dqの位相を2πの整数倍(ただし0倍を除く)だけシフトさせて、位相差を求め、該位相差が前記連結判定値Pより小さいかどうか判定する連結判定工程と、
該連結判定工程で、前記位相差が前記連結判定値Pより小さいと判定された場合に、前記他方のデータ群Dqの位相を前記2πの整数倍(ただし0倍を除く)だけシフトさせた後に、前記他方のデータ群Dqを前記一方のデータ群Dqに合併することにより、互いに隣接する2つのデータ群Dqの連結を行う連結工程とを備え、
前記連結判定工程および前記連結工程を繰り返して連結されたn個(ただし、nは、1≦n<Qの整数)のデータ群によって、共通オフセット位相データ群Ri(ただし、添字iは、1≦i≦nの整数)を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法。 - 前記オフセット推定工程は、
前記オフセット位相データ群Riを構成するJ(i)個(ただし、J(i)は、1以上の整数)の2次元位相データを、位置座標(xij(i),yij(i))に対応して位相zij(i)(ただし、j(i)は、1≦j(i)≦J(i)の整数)と表すとき、次式の最小二乗解を求めることによって、前記各パラメータZ1_iを推定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ方法。
- 干渉計によって得られた2次元位相デ−タのアンラップを行う干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ装置であって、
前記干渉計によって得られた2次元位相データに基づいて、一定の基準位相値に対して同一のオフセット値を有すると見なすことができる2次元位相データの集まりであるn個(ただし、nは1以上の整数)の共通オフセット位相データ群Ri(ただし、添字iは、1≦i≦nの整数)を生成する共通オフセット位相データ群生成演算部と、
少なくとも、該共通オフセット位相データ群部で生成された前記共通オフセット位相データ群Riの前記各オフセット値に対応するパラメータZ1_iをフィッティングパラメータとして含むフィッティング関数を仮定し、前記共通オフセット位相データ群Riを用いて前記フィッティングパラメータの最適値を求める演算を行い、前記各パラメータZ1_iを推定するオフセット推定演算部と、
該オフセット推定部で推定された前記各パラメータZ1_iのうちいずれか、または次式(2a)、(2b)によって求められた前記パラメータZ1_iによる加重平均位相を基準位相値Oとして、前記各共通オフセット位相データ群Riのオフセット値z0iを次式によって算出し、該オフセット値z0iを前記共通オフセット位相データ群Riからそれぞれ減算して、アンラップされた2次元位相データを生成するアンラップ演算部とを備えることを特徴とする干渉計による2次元位相デ−タのアンラップ装置。
z0i=2π・round{(Z1_i−O)/2π} ・・・(1)
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