JP7269830B2 - 熱交換器及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱源機のケーシング内に収容される熱交換器に関する。特に、本発明は、熱交換器のハウジング外で接続される接続パイプと外部の連絡管との接続構造に関する。
給湯器などの熱源機のケーシング内に収容される熱交換器は、ハウジングと、ハウジング内に並設された複数の吸熱フィンと、吸熱フィンに貫挿された複数の吸熱パイプとを備える。この種の熱交換器では、隣接する吸熱パイプの管端がハウジング外でU字状のベント管などにより接続されて1つの熱交換管路が形成されており、熱交換管路の最上流側及び最下流側の吸熱パイプはそれぞれ、外部の連絡管である給水管や出湯管とハウジング外に配設される接続パイプを介して接続される。上記のような接続パイプとしては、連絡管と接続させる端部接続部に拡管部と鍔部とをプレス成形により一体形成した管継手部を有するものが提案されている(例えば、特許文献1)。ハウジング内に配設される吸熱パイプには加工性に優れるリン脱酸銅からなる銅管が汎用されているため、上記熱交換器によれば、吸熱パイプと同一の銅管を用いて接続パイプを構成できる。従って、高温に晒されると脱亜鉛現象が生じて強度不足や外観不良などの問題が生じる真鍮製の別体の管継手を手作業によるトーチろう付けすることなく、炉中ろう付けにより吸熱パイプと接続パイプとをろう付けすることができる。
また、炉中ろう付けでは約800~850℃の高温で加熱処理が行われるため、耐熱性に劣るリン脱酸銅からなる接続パイプでは端部接続部の熱変形や強度低下が生じやすい。そのため、接続パイプの端部接続部を吸熱パイプと接続される配管とは別体の耐熱銅からなる管継手により形成した熱交換器も提案されている(例えば、特許文献2)。この熱交換器によれば、高温の炉中ろう付けを行っても、接続パイプの端部接続部の熱変形や強度低下を防止することができる。
特開2002-243281号公報 特開2013-142514号公報
ところで、熱源機の小型化の観点から、給水管及び出湯管とそれぞれ接続される接続パイプは熱交換器のハウジングの一側方にまとめて配置することが好ましい。特に、一方の接続パイプの端部接続部の開口部が熱源機のケーシングの前面開放部側に向かって開口し、他方の接続パイプの端部接続部の開口部が前面開放部と対向する背面壁側に向かって開口するように、ハウジングの一側方に両接続パイプの端部接続部を配置すれば、端部接続部間に形成されるスペースに接続パイプと連絡管との配管接続部を配置することができるため、ケーシングの幅だけでなく、奥行も小さくすることができる。
しかしながら、特許文献1及び2の接続パイプと連絡管とは、接続パイプの端部接続部の内径と連絡管の端部接続部の外径とを略一致させ、連絡管が接続パイプの端部接続部に内嵌するように接続されている。給湯器などの熱源機では、配管接続部の接続不良を検査するため、接続パイプと連絡管とを接続させた後、熱交換器に熱媒を流通させた状態で、ケーシングの前面開放部から目視により配管接続部からの熱媒の漏洩を確認する必要がある。そのため、上記のようにいずれの接続パイプにも連絡管を内嵌させている場合、端部接続部の開口部がケーシングの背面壁側に向かって開口している接続パイプと連絡管との配管接続部は前面開放部から視認することができないという問題がある。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、熱交換器のハウジング外で接続される接続パイプと連絡管との配管接続部をケーシングの前面開放部から目視により確認できる熱交換器を提供すること、及び少ない製造工程で接続パイプの熱変形や強度低下を防止できる生産性に優れた熱交換器の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、
前面開放部を有する熱源機のケーシング内に収容される熱交換器であって、
ハウジングと、
ハウジング内に配設された吸熱パイプと、
一端が吸熱パイプと、他端がハウジング外で外部の連絡管と接続され、連絡管と接続される端部接続部の開口部が前面開放部に対向するケーシングの背面壁側に向かって開口するように配置される第1接続パイプと、を備え、
第1接続パイプの端部接続部は、連絡管の端部接続部が外嵌するように形成されている熱交換器が提供される。
上記熱交換器によれば、第1接続パイプの連絡管と接続される端部接続部の開口部は前面開放部に対向するケーシングの背面壁側に向かって開口するように配置されているが、第1接続パイプの端部接続部は連絡管の端部接続部が外嵌するように形成されているから、ケーシング内に熱交換器を収容させて、第1接続パイプと連絡管とを接続させると、連絡管は、連絡管の端部接続部の開口部が前面開放部側に向かって開口する姿勢で配置され、大径の連絡管の開口部に小径の第1接続パイプの端部接続部が内嵌する。これにより、第1接続パイプと連絡管との配管接続部をケーシングの前面開放部から目視により確認することができる。
好ましくは、上記熱交換器は、さらに、
一端が吸熱パイプと、他端がハウジング外で外部の連絡管と接続され、連絡管と接続される端部接続部の開口部がケーシングの前面開放部側に向かって開口するように配置される第2接続パイプを備え、
第2接続パイプの端部接続部は、連絡管の端部接続部が内嵌するように形成される。
上記熱交換器によれば、第2接続パイプと連絡管とを接続させると、第2接続パイプは、端部接続部の開口部が前面開放部側に向かって開口する姿勢で配置され、大径の第2接続パイプの開口部に小径の連絡管の端部接続部が内嵌する。これにより、第1及び第2接続パイプの端部接続部の開口部の開口方向に関わらず、いずれの配管接続部もケーシングの前面開放部から目視により確認することができる。
また、本発明によれば、
上記熱交換器の製造方法であって、
耐熱銅合金製の配管にステンレス製のバックアップリングを挿着させて成形することにより外周面にバックアップリングが一体形成された第1接続パイプの端部接続部を作製し、
ハウジング、吸熱パイプ、及びバックアップリングが一体形成された第1接続パイプの端部接続部における所定のろう付け対象箇所を炉中ろう付けする熱交換器の製造方法が提供される。
上記熱交換によれば、第1側接続パイプの端部接続部に連絡管を外嵌させるから、これらを密に接続させるために第1接続パイプの端部接続部の外周面に金属製のバックアップリングを装着させる必要があるが、リン脱酸銅製の配管や真鍮製のバックアップリングを用いて炉中ろう付けすると、第1接続パイプの端部接続部に熱変形や強度低下が生じるだけでなく、バックアップリングの脱亜鉛現象が生じて、端部接続部とバックアップリングとの密着性が低下する。そのため、ハウジングや吸熱パイプを炉中ろう付けした後、バックアップリングが装着された別体の管継手を手作業によりトーチろう付けする必要がある。
しかしながら、上記熱交換器の製造方法によれば、連絡管が外嵌される第1接続パイプの端部接続部が耐熱銅合金からなるため、吸熱パイプと第1接続パイプとを炉中ろう付けにより接続しても、第1接続パイプの端部接続部の熱変形や強度低下を防止することができる。また、上記熱交換器の製造方法によれば、炉中ろう付け後に、第1接続パイプに別体の管継手をトーチろう付けにより接続させる必要がない。また、上記熱交換器の製造方法によれば、耐熱銅合金製の第1接続パイプの端部接続部の外周面にステンレス製のバックアップリングが一体形成されているから、第1接続パイプを炉中ろう付けに供しても、脱亜鉛現象が生じず、第1接続パイプとバックアップリングとの密着性の低下を防止することができる。
以上のように、本発明によれば、ケーシングに熱交換器を収容させた状態でケーシングの前面開放部から接続パイプと連絡管との配管接続部を目視により確認することができるから、配管接続部の接続不良を確実に判定することができる。また、本発明によれば、少ない製造工程で接続パイプの熱変形や強度低下を防止できる熱交換器を効率よく生産することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る熱源機の一例を示す概略模式図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る熱源機の要部概略右側面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る熱交換器の一例を示す概略斜視図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る熱交換器の接続パイプと連絡管との接続状態の一例を示す要部概略断面図である。
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る熱交換器3は、風呂給湯器に組み込まれる。風呂給湯器は、前面開放部100を有する略矩形箱状のケーシング1と、前面開放部100を開閉するカバー(図示せず)とを備える。熱交換器3は、ガスバーナ2から放出された燃焼排ガス中の顕熱を回収して給水管11から供給される水を熱交換加熱する給湯熱交換部3Aと、燃焼排ガス中の顕熱を回収して風呂戻り管13から供給される浴槽V2の風呂水を熱交換加熱する風呂熱交換部3Bとを備えている。なお、本明細書では、ケーシング1の前面開放部100側を正面側とし、前面開放部100と対向する側を背面側、これらが対向する方向を前後方向、前後方向と横方向に交差する方向を左右方向、前後方向と高さ方向に交差する方向を上下方向という。
熱交換器3の外郭を構成するハウジング30は、銅製またはステンレス製の金属板をプレス成形することにより上下に開放する略矩形箱状に形成されている。ハウジング30の下端には、ガスバーナ2を収容する略矩形箱状の燃焼室20が連結されている。燃焼室20の下部には、燃焼室20内へガスバーナ2の燃焼用空気を送り込むファンユニット4が接続されている。ハウジング30の上端には、ガスバーナ2からハウジング30内に送り込まれた燃焼排ガスを風呂給湯器の外部へ導く排気フード31が連結されている。
ガスバーナ2は、熱交換器3の給湯熱交換部3Aへ燃焼排ガスを供給する給湯側燃焼部2Aと、熱交換器3の風呂熱交換部3Bへ燃焼排ガスを供給する風呂側燃焼部2Bとを有する。
ハウジング30は、右壁301、左壁302、前壁303、及び後壁304を有する(図3参照)。ハウジング30内には、前壁303及び後壁304と略平行に複数積層された薄肉板状の吸熱フィン32と、吸熱フィン32に対して直交する向きで吸熱フィン32を貫通する複数の直管状の吸熱パイプ33とが収容されている。給湯熱交換部3A及び風呂熱交換部3Bは、これら吸熱フィン32及び吸熱パイプ33によって各別に独立して構成されている。吸熱フィン32は、例えば、銅製やステンレス製の金属板を使用でき、吸熱パイプ33は、例えば、加工性に優れるリン脱酸銅製や、スズ、コバルト、ニッケル等の合金成分を含有し、耐熱性に優れる耐熱銅合金製の配管を使用できる。
給湯熱交換部3Aにおける隣り合う二つの吸熱パイプ33の管端相互は、前壁303側及び後壁304側において、半円弧状に曲成されたベント管34により直列的に連結されており、これら吸熱パイプ33及びベント管34によって蛇行する一本の給湯熱交換管路33Aが構成されている。給湯熱交換管路33Aの始端となる吸熱パイプ33の後壁304側の管端には、略L字状の給水側接続パイプ35が接続されている。図示しないが、給水側接続パイプ35は、後壁304の外側に沿って右側方に向かって延設されているとともに、右壁301と後壁304とのコーナ部で前方に折り曲げられている。給水側接続パイプ35の端部接続部35aに、給水管11が接続される。また、給湯熱交換管路33Aの終端となる吸熱パイプ33の前壁303側の管端には、同様に、略L字状の出湯側接続パイプ36が接続されている。出湯側接続パイプ36は、前壁303の外側に沿って右側方へ延設されているとともに、右壁301と前壁303とのコーナ部で後方に折り曲げられている。出湯側接続パイプ36の端部接続部36aに、カランやシャワーなどの湯水栓V1へ繋がる出湯管12が接続される。
従って、この給湯熱交換部3Aにおいては、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の一端がそれぞれ、給湯熱交換管路33Aの始端及び終端を構成する吸熱パイプ33の管端と接続され、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の他端がそれぞれ、給水管11及び出湯管12に接続されており、給水管11及び出湯管12が外部の連絡管を構成する。また、給水側接続パイプ35の給水管11と接続される端部接続部35aの開口部350はケーシング1の前面開放部100側に向かって開口しており、出湯側接続パイプ36の出湯管12と接続される端部接続部36aの開口部360はケーシング1の背面壁101側に向かって開口しているため、給水側接続パイプ35が第2接続パイプを構成し、出湯側接続パイプ36が第1接続パイプを構成する。
風呂熱交換部3Bは、給湯熱交換部3Aと同様に、隣り合う二つの吸熱パイプ33の管端相互が前壁303側及び後壁304側においてベント管34により直列的に接続されており、これら吸熱パイプ33及びベント管34によって蛇行する一本の風呂熱交換管路33Bが構成されている。風呂熱交換管路33Bの始端となる吸熱パイプ33の後壁304側の管端には、略L字状の給水側接続パイプ35(図1参照)が接続されている。給水側接続パイプ35は、後壁304の外側に沿って熱交換器3の左側方に延設されているとともに、左壁302と後壁304とのコーナ部で前方に折り曲げられている。給水側接続パイプ35の端部接続部(図示せず)に、風呂戻り管13が接続される。風呂熱交換管路33Bの終端となる吸熱パイプ33の前壁303側の管端には、同様に、略L字状の出湯側接続パイプ36が接続されている。出湯側接続パイプ36は、前壁303の外側に沿って熱交換器3の左側方に延設されているとともに、左壁302と前壁303とのコーナ部で後方に折り曲げられている。出湯側接続パイプ36の端部接続部36aに、浴槽V2へ繋がる風呂往き管14が接続される。
従って、この風呂熱交換部3Bにおいても、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の一端がそれぞれ、風呂熱交換管路33Bの始端及び終端を構成する吸熱パイプ33の管端と接続され、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の他端がそれぞれ、風呂戻り管13及び風呂往き管14に接続されており、風呂戻り管13及び風呂往き管14が外部の連絡管を構成する。また、図示しないが、給水側接続パイプ35の風呂戻り管13と接続される端部接続部の開口部はケーシング1の前面開放部100側に向かって開口しており、出湯側接続パイプ36の風呂往き管14と接続される端部接続部36aの開口部360はケーシング1の背面壁101側に向かって開口しているため、給水側接続パイプ35が第2接続パイプを構成し、出湯側接続パイプ36が第1接続パイプを構成する。
次に、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の構成について説明するが、給湯熱交換部3Aの給水側及び出湯側接続パイプ35,36と風呂熱交換部3Bの給水側及び出湯側接続パイプ35,36とは左右対称である以外は同様の構成を有する。このため、以下では給湯熱交換部3Aの給水側及び出湯側接続パイプ35,36について説明し、風呂熱交換部3Bの給水側及び出湯側接続パイプ35,36については説明を省略する。
図2及び図3に示すように、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の端部接続部35a,36aはいずれも、熱交換器3の右側方で、給水側接続パイプ35の端部接続部35aの開口部350がケーシング1の前面開放部100側に向かって開口し、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aの開口部360がケーシング1の背面壁101側に向かって開口するように配置されている。また、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の端部接続部35a,36aに接続される給水管11及び出湯管12は、熱交換器3の右側方において、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の端部接続部35a,36aの間から下方に延設される。従って、給水側及び出湯側接続パイプ35,36と給水管11及び出湯管12とを接続するために熱交換器3の周囲に大きな配管スペースを確保する必要がなく、ケーシング1の左右及び前後方向の長さを短くすることができる。これにより、ケーシング1の幅及び奥行を小さくすることができ、コンパクトな風呂給湯器を作製することができる。
給水側及び出湯側接続パイプ35,36はそれぞれ、給湯熱交換管路33Aの始端及び終端を構成する吸熱パイプ33と接続されるパイプ接続部35b,36bと、給水管11及び出湯管12と接続される端部接続部35a,36aとを有する。パイプ接続部35b,36bは、吸熱パイプ33と同様に、リン脱酸銅製や耐熱銅合金製の配管を使用できる。端部接続部35a,36aは、好ましくは、高耐熱性の耐熱銅合金製の配管を使用できる。なお、給水側及び出湯側接続パイプ35,36のパイプ接続部35b,36bの両端はそれぞれ、吸熱パイプ33及び端部接続部35a,36aの管端に内嵌するように形成されているが、パイプ接続部35b,36bの両端がそれぞれ、吸熱パイプ33及び端部接続部35a,36aの管端を外嵌するように形成されてもよい。
図4に示すように出湯側接続パイプ36の端部接続部36aの出湯管12側の一端には、一定の間隔を有して外方への突出高さの異なる2つの環状リブ361,362が一体形成され、パイプ接続部36b側の一方の環状リブ361にはバックアップリング8が一体形成されている。また、端部接続部36aのパイプ接続部36b側の他端には、パイプ接続部36bの管端が内嵌する拡径筒部365が形成されている。バックアップリング8は、脱亜鉛現象の生じないステンレス製のリングを使用できる。出湯側接続パイプ36の端部接続部36aは、環状リブ形成用の金型にバックアップリング8をセットし、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aとなる配管にバックアップリング8を挿着させた状態で所定箇所をプレス成形することにより形成される。端部接続部36aの外周面における環状リブ362とバックアップリング8との間にはOリング9が装着され、環状リブ362とバックアップリング8との間でOリング9が係止される。
出湯側接続パイプ36と接続される出湯管12の端部接続部12aには、プレス成形により拡管された拡管部121と拡管部121の開口端を外方に折り曲げた鍔部125とが一体形成されている。拡管部121は、開口部120側の大径筒部122と、大径筒部122に連続する小径筒部123とを有する。大径筒部122の内径は、既述したバックアップリング8及びOリング9を装着させた出湯側接続パイプ36の端部接続部36aの外径に略一致する大きさに形成されており、小径筒部123の内径は、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aの環状リブ362よりも小径に形成されている。
図示しないが、給水側接続パイプ35及び給水管11は、上記した出湯側接続パイプ36の端部接続部36a及び出湯管12の端部接続部12aを反転させた構成と略同様の構成を有する。すなわち、給水側接続パイプ35の端部接続部35aには、プレス成形により拡管された拡管部と拡管部の開口端を外方に折り曲げた鍔部とが一体形成されている。拡管部は、開口部350側の大径筒部と大径筒部に連続する小径筒部とを有する。給水管11の端部接続部11aには、一定の間隔を有して外方への突出高さの異なる2つの環状リブが形成され、開口部110側と反対の一方の環状リブにはステンレス製のバックアップリングが装着されている。端部接続部11aの外周面における開口部110側の環状リブとバックアップリングとの間にはOリングが装着され、環状リブとバックアップリングとによってOリングが係止される。給水側接続パイプ35の端部接続部35aの大径筒部の内径は、バックアップリング及びOリングを装着させた給水管11の端部接続部11aの外径に略一致する大きさに形成されており、小径筒部の内径は、給水管11の端部接続部11aの環状リブよりも小径に形成されている。
次に、熱交換器3の製造方法について説明する。上記したハウジング30、吸熱フィン32、吸熱パイプ33、ベント管34、給水側及び出湯側接続パイプ35,36の端部接続部35a,36a、並びに給水側及び出湯側接続パイプ35,36のパイプ接続部35b,36bを準備し、ハウジング30内に吸熱フィン32と吸熱フィン32の貫通孔(図示せず)に貫挿させた吸熱パイプ33とを収容させ、ハウジング30の前壁303及び後壁304の挿通孔(図示せず)から吸熱パイプ33の管端を外方に露出させる。次いで、隣り合う二つの吸熱パイプ33の管端にそれぞれベント管34の管端を挿入させる。また、給湯熱交換管路33A及び風呂熱交換管路33Bの始端となる吸熱パイプ33の後壁304から露出する管端にそれぞれ、各給水側接続パイプ35のパイプ接続部35bの一端を挿入させ、パイプ接続部35bの他端を各給水側接続パイプ35の端部接続部35aの一端に挿入させる。同様に、給湯熱交換管路33A及び風呂熱交換管路33Bの終端となる吸熱パイプ33の前壁303から露出する管端にそれぞれ、各出湯側接続パイプ36のパイプ接続部36bの一端を挿入させ、パイプ接続部36bの他端を各出湯側接続パイプ36の端部接続部36aの一端に挿入させる。そして、吸熱フィン32と吸熱パイプ33との連結箇所である吸熱フィン32の貫通孔の周囲、吸熱パイプ33とベント管34との連結箇所である前壁303及び後壁304の挿通孔の周囲、吸熱パイプ33と給水側及び出湯側接続パイプ35,36のパイプ接続部35b,36bとの連結箇所、給水側及び出湯側接続パイプ35,36のパイプ接続部35b,36bと端部接続部35a,36aとの連結箇所などの所定のろう付け対象箇所に線状のろう材(例えば、リン銅ろう)を配置させて、これらの部材が仮固定されたアセンブリを作製する。上記のようにして作製されたアセンブリを高温の加熱炉内に投入して、炉内ろう付けをすることにより、ろう付け対象箇所で各部材がろう付けされて、熱交換器3が作製される。
上記のようにして作製される熱交換器3を風呂給湯器に組み込む場合、各出湯側接続パイプ36の端部接続部36aにOリング9を装着させ、ケーシング1内の所定位置に熱交換器3を収容させる。次いで、Oリングが装着された給水管11の端部接続部11a及び風呂戻り管13の端部接続部をそれぞれ各給水側接続パイプ35の端部接続部35aに内嵌させ、さらに配管接続部の外周面にクイックファスナ7を取り付けて、各給水側接続パイプ35と給水管11及び風呂戻り管13とを接続させる。また、出湯管12の端部接続部12a及び風呂往き管14の端部接続部をそれぞれ各出湯側接続パイプ36の端部接続部36aに外嵌させ、さらに配管接続部の外周面にクイックファスナ7を取り付けて、各出湯側接続パイプ36と出湯管12及び風呂往き管14とを接続させる。これにより、各給水側接続パイプ35の内周面と給水管11及び風呂戻り管13の外周面との間、並びに各出湯側接続パイプ36の外周面と出湯管12及び風呂往き管14の内周面との間にOリング9が圧入されて、これらの配管が密(水密状態)に接続される。
本実施の形態によれば、ケーシング1内に熱交換器3を収容させたとき、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aの開口部360はケーシング1の背面壁101側に向かって開口するように配置されているが、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aには出湯管12や風呂往き管14が外嵌する。従って、出湯管12は端部接続部12aの開口部120が前面開放部100側に向かって開口する姿勢で配置され、大径の出湯管12の開口部120に小径の出湯側接続パイプ36の端部接続部36aが内嵌する。風呂往き管14と出湯側接続パイプ36との接続構造も同様である。このため、これらの配管接続部のいずれも前面開放部100から目視により確認することができる。
また、本実施の形態によれば、ケーシング1内に熱交換器3を収容させたとき、給水側接続パイプ35の端部接続部35aの開口部350はケーシング1の前面開放部100側に向かって開口する姿勢で配置され、大径の給水側接続パイプ35の開口部350に小径の給水管11の端部接続部11aが内嵌する。風呂戻り管13と給水側接続パイプ35との接続構造も同様である。このため、これらの配管接続部のいずれも前面開放部100から目視により確認することができる。
すなわち、本実施の形態によれば、給湯熱交換部3Aの給水側及び出湯側接続パイプ35,36並びに風呂熱交換部3Bの給水側及び出湯側接続パイプ35,36と、外部の連絡管との接続はいずれも、前面開放部100側に位置する一方の配管に背面壁101側に位置する他方の配管が外嵌するように形成されている。これにより、いずれの配管接続部も前面開放部100から視認することができるから、ケーシング1内に熱交換器3を収容させた状態で、これらの配管の接続不良を確実に判定することができる。
一方、本実施の形態によれば、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aに出湯管12や風呂往き管14の連絡管を外嵌させているから、これらを密に接続させるために出湯側接続パイプ36の端部接続部36aの外周面にバックアップリング8やOリング9を装着させる必要があるが、出湯側接続パイプ36にリン脱酸銅製の配管を用い、真鍮製のバックアップリング8を用いて炉中ろう付けすると、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aに熱変形や強度低下が生じるだけでなく、バックアップリング8の脱亜鉛現象が生じて、端部接続部36aとバックアップリング8との密着性が低下する。そのため、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aを炉中ろう付けすることができず、ハウジング30、吸熱パイプ33や出湯側接続パイプ36のパイプ接続部36bを炉中ろう付けした後、出湯側接続パイプ36のパイプ接続部36bにバックアップリング8が装着された別体の管継手を手作業によりトーチろう付けする必要がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、給水管11や出湯管12などの連絡管と接続される出湯側接続パイプ36の端部接続部36aは耐熱銅合金からなるため、ハウジング30などとともに出湯側接続パイプ36の端部接続部36bを炉中ろう付けしても、端部接続部36aの熱変形や強度低下を防止することができる。このため、炉中ろう付け後に、トーチろう付けにより出湯側接続パイプ36のパイプ接続部36bに別体の管継手を接続させる必要がない。
また、本実施の形態によれば、耐熱銅合金製の出湯側接続パイプ36の端部接続部36aの外周面にステンレス製のバックアップリング8を装着させているから、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aを炉中ろう付けしても、脱亜鉛現象が生じず、出湯側接続パイプ36の端部接続部36aとバックアップリング8との密着性の低下を防止することができる。また、本実施の形態によれば、炉中ろう付け後にバックアップリング8を出湯側接続パイプ36の端部接続部36aに装着させる必要がないから、熱交換器3の一側方に給水側及び出湯側接続パイプ35,36が配設され、バックアップリング8を装着させるための治具を配設するスペースを確保できない場合でも、出湯側接続パイプ36と出湯管12などの連絡管とを接続することができる。
また、本実施の形態によれば、ケーシング1内に熱交換器3を収容させた状態で給水側及び出湯側接続パイプ35,36と給水管11や出湯管12などの連絡管とをクイックファスナ7によって接続させることができるから、熱交換器3を熱源機に収容させる前にトーチろう付けによって給水側及び出湯側接続パイプ35,36と給水管11や出湯管12などの連絡管とを接続させる必要がない。また、連絡管を接続させた状態で熱交換器3を搬送する必要もない。
従って、本実施の形態によれば、少ない製造工程で接続パイプの熱変形や強度低下を防止できる熱交換器3を効率よく生産することができる。
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、出湯側接続パイプの端部接続部に出湯管の端部接続部が外嵌する熱交換器が説明された。しかしながら、給水側接続パイプの端部接続部の開口部が背面壁側に向かって開口する場合、給水側接続パイプの端部接続部に給水管の端部接続部を外嵌させてもよい。また、ケーシング内の配管の設置態様によっては、給水側及び出湯側接続パイプいずれも、端部接続部の開口部が背面壁側に向かって開口するように配置させ、これらの端部接続部に給水管及び出湯管の端部接続部を外嵌させてもよい。
(2)上記実施の形態では、接続パイプは、吸熱パイプと接続されるパイプ接続部と、連絡管と接続される端部接続部との2部材から構成されている。しかしながら、これらが一体に形成された接続パイプを用いてよい。この場合、好ましくは、接続パイプ全体が耐熱銅合金から形成される。
1 ケーシング
100 前面開放部
101 背面壁
3 熱交換器
30 ハウジング
35 第2接続パイプ
35a 端部接続部
350 開口部
36 第1接続パイプ
36a 端部接続部
360 開口部
11 給水管
11a 端部接続部
12 出湯管
12a 端部接続部
13 風呂戻り管
14 風呂往き管
8 バックアップリング
33 吸熱パイプ

Claims (3)

  1. 前面開放部を有する熱源機のケーシング内に収容される熱交換器であって、
    ハウジングと、
    ハウジング内に配設された吸熱パイプと、
    一端が吸熱パイプと、他端がハウジング外で外部の連絡管と接続され、連絡管と接続される端部接続部の開口部が前面開放部に対向するケーシングの背面壁側に向かって開口するように配置される第1接続パイプと、を備え、
    第1接続パイプの端部接続部は、連絡管の端部接続部が外嵌するように形成されている熱交換器。
  2. 請求項1に記載の熱交換器は、さらに、
    一端が吸熱パイプと、他端がハウジング外で外部の連絡管と接続され、連絡管と接続される端部接続部の開口部がケーシングの前面開放部側に向かって開口するように配置される第2接続パイプを備え、
    第2接続パイプの端部接続部は、連絡管の端部接続部が内嵌するように形成されている熱交換器。
  3. 請求項1に記載の熱交換器の製造方法であって、
    耐熱銅合金製の配管にステンレス製のバックアップリングを挿着させて成形することにより外周面にバックアップリングが一体形成された第1接続パイプの端部接続部を作製し、
    ハウジング、吸熱パイプ、及びバックアップリングが一体形成された第1接続パイプの端部接続部における所定のろう付け対象箇所を炉中ろう付けする熱交換器の製造方法。
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