JP7269688B1 - マウスガード - Google Patents

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Abstract

【課題】噛み締め時の噛み締め易さと、噛み締めを必要としない時の装着感に優れるマウスガードを提供する。【解決手段】使用者の上顎歯列A又は下顎歯列に対応した形状に成形され、使用者の上顎歯列A又は下顎歯列に装着される、厚さが0.1~5.0mmのマウスガードであって、上顎歯列A又は下顎歯列の第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの谷部に位置する部位10,14が、それぞれ、使用者の上顎歯列A又は下顎歯列に装着した際、第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの谷部との間に空隙を形成する形状であるマウスガード1である。【選択図】図1

Description

本発明は、スポーツ競技などに用いられるマウスガードに関する。
従来より、ボクシング、ラグビー、アメリカンフットボールなどの激しい動作を伴うコンタクトスポーツでは、外からの衝撃による歯や口腔内の外傷や脳震盪を防止するため、マウスガードが用いられている。また、マウスガードは、噛み合わせがよくなり、強く噛み締めることができて力を出せたり、集中力を高めたりすることができるなどのスポーツ能力の向上効果があることが知られており、近年、ゴルフ、卓球、水泳、テニスなどの直接の接触や強い衝撃が加わらないノンコンタクトスポーツにおいても、用いられるようになってきている。
このようなマウスガードとして、例えば、上顎又は下顎の、少なくとも左右の第一大臼歯の間の歯を覆うマウスガードであって、左第一大臼歯から左第一小臼歯の間の咬合面を覆う左咬合面被覆部、又は、右第一大臼歯から右第一小臼歯の間の咬合面を覆う右咬合面被覆部のいずれかの表面に、頬側から舌側に貫通する一定幅の溝が形成されているマウスガードが提案されている(特許文献1参照)。
特開2022-080136号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のマウスガードなどの従来のマウスガードは、衝撃を吸収するため、全体が肉厚に構成されており、噛み締め時には、噛み締めにくいという問題や、噛み締めを必要としない時には、呼吸がしにくい、会話がしにくい、水分補給がしにくい、時には吐き気を催すなどといった問題があった。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、噛み締め時の噛み締め易さと、噛み締めない時の装着感に優れるマウスガードを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状の薄型のマウスガードとすることにより、この空隙が十分な噛み締め距離を担保すると共に緩衝機能を果たし、噛み締め時に噛み締め易く、十分な噛み締めを可能とし、さらに、噛み締めない時にも装着感がよいことを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]使用者の上顎歯列又は下顎歯列に対応した形状に成形され、該使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着される、厚さが0.1~5.0mmのマウスガードであって、
前記上顎歯列又は下顎歯列の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に位置する部位が、それぞれ、前記使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、前記第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状であることを特徴とするマウスガード。
[2]前記小臼歯の谷部に位置する部位が、断面凸状、断面U字状及び断面平坦状のいずれかの形状であることを特徴とする上記[1]記載のマウスガード。
[3]前記小臼歯の谷部に位置する部位の外面と該小臼歯の谷部の底との距離が、1.0~5.5mmであることを特徴とする上記[1]又は[2]記載のマウスガード。
[4]前記小臼歯の谷部に位置する部位が、内部に空隙を有する第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部を具備する断面凸状であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載のマウスガード。
[5]前記小臼歯の谷部に位置する部位の内面に緩衝材が取り付けられていることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか記載のマウスガード。
[6]さらに、前記上顎歯列又は下顎歯列の第1大臼歯及び第2大臼歯の少なくとも一方の谷部に位置する部位が、それぞれ、前記使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、前記第1大臼歯及び第2大臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状であることを特徴とする上記[1]~[5]のいずれか記載のマウスガード。
[7]前記大臼歯の谷部に位置する部位が、断面凸状、断面U字状及び断面平坦状のいずれかの形状であることを特徴とする上記[6]記載のマウスガード。
[8]前記大臼歯の谷部に位置する部位が、内部に空隙を有する第1大臼歯突出部及び第2大臼歯突出部を具備する断面凸状であることを特徴とする上記[6]又は[7]記載のマウスガード。
[9]エチレン酢酸ビニル樹脂製であることを特徴とする上記[1]~[8]のいずれか記載のマウスガード。
[10]使用者の上顎歯列又は下顎歯列に対応して成形された歯列模型の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に空隙形成型を設置し、該空隙形成型が設置された歯型模型を加熱した熱可塑性樹脂シートで覆って真空吸引し、歯型模型の歯部の外形に適合する形状に成形することを特徴とするマウスガードの製造方法。
本発明のマウスガードは、噛み締め時の噛み締め易さに優れると共に、噛み締めない時の装着感に優れる。
本発明の第一実施形態に係るマウスガードの斜視図であり、(a)は装着前の状態を示し、(b)は装着した状態を示す。 図1に示すマウスガードの側面図である。 図1に示すマウスガードを装着した際の第1小臼歯部分の拡大断面図であり、(a)は噛み締めない時の状態を示し、(b)は噛み締め時の状態を示す。 本発明の第一~第三実施形態に係るマウスガードの製造方法の説明図であり、(a)は第一実施形態に係るマウスガードの第1小臼歯部分の拡大断面図であり、(b)は第二実施形態に係るマウスガードの第1小臼歯部分の拡大断面図であり、(c)は第三実施形態に係るマウスガードの第1小臼歯部分の拡大断面図である。 本発明の第四実施形態に係るマウスガードの斜視図である。
[マウスガード]
本発明のマウスガードは、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に対応した形状に成形され、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着される、厚さが0.1~5.0mmのマウスガードであって、上顎歯列又は下顎歯列の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に位置する部位が、それぞれ、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状であることを特徴とする。
本発明においては、口腔内において、歯に対して、頬側・唇側を「外側」、舌側又は口蓋側を「内側」という場合がある。また、噛み締め距離とは、上顎歯列又は下顎歯列の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に位置する部位が、対向する歯の押圧により変動する距離である。また、本発明においては、マウスガードを歯列に装着した際、歯と接触しない側の面を「外面」、歯と接触する側の面を「内面」という場合がある。
本発明のマウスガードは、第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に位置する部位が、それぞれ、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状であることから、この第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に位置する部位により形成される空隙部分が十分な噛み締め距離を担保すると共に緩衝機能を果たし、噛み締め時に噛み締め易く、十分な噛み締め機能を発揮できる。また、本発明のマウスガードは、使用者の歯型に対応した形状に成形されると共に、厚さが0.1~5.0mmと非常に薄いことから、噛み締めない時にも、呼吸がしやすく、会話がしやすく、水分補給がしやすく、吐き気も生じない。すなわち、本発明のマウスガードは、十分な噛み締め機能を有すると共に、呼吸等の邪魔にならず、装着感に優れる。また、本発明のマウスガードは、外傷予防や、噛み締めや食いしばりから生じる咬合圧による歯や歯茎の損傷を防止することができる。
また、本発明のマウスガードは、第1小臼歯及び第2小臼歯に所定の空隙が設けられることから、大臼歯に設けられる場合よりも噛み締め時の歯の負担(痛み)を抑制することでき、これにより、強く噛み締めることができると共に、長時間使用することが可能となる。
本発明のマウスガードは、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に対応した形状に成形されている。すなわち、本発明のマウスガードは、全体が馬蹄形に一体成形されると共に、個々の部分が使用者の歯の形状に成形されており、装着時に、歯にフィットして覆うことができるように構成されている(図1参照)。なお、使用者は、大人であっても子供であってもよい。また、本発明のマウスガードは、使用者の上顎歯列又は下顎歯列の一部が欠落した形状に成形されたものであってもよい。具体的に例えば、使用者の上顎歯列又は下顎歯列の大臼歯部分が欠落した形状に成形されたものや、使用者の上顎歯列又は下顎歯列の前歯部分(切歯、犬歯)が欠落した形状に成形されたもの等を挙げることができる。前歯部分が欠落した形状に成形されたものの場合、左右の上顎歯列(又は下顎歯列)を連結する連結部を有していることが好ましく、これにより、誤飲や紛失を防止することができる。
本発明のマウスガードは、上顎歯列又は下顎歯列に装着されるものであるが、上顎歯列に装着されるものであることが好ましい。本発明のマウスガードは、少なくとも歯冠部(歯牙)を覆うものであるが、歯冠部の下端(歯頚部)から歯肉側へ延伸したひだ部を備えていることが好ましい。このひだ部が歯肉に密着することにより、歯肉を保護すると共に、歯によりフィットさせることができる。ひだ部の長さとしては、0.5~20mmが好ましく、1.0~15mmがより好ましく、3.0~12mmがさらに好ましい。ひだ部は、歯の外側及び内側の少なくとも一方に設けられていることが好ましく、歯の外側及び内側の両方に設けられていることがより好ましい。
本発明のマウスガードに用いる材料としては、使用者の歯型に対応した形状に成形可能であれば特に制限されるものではなく、例えば、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA樹脂)等の熱可塑性樹脂材料、ポリオレフィン系ゴム材料、シリコーンゴム材料、バイオマス複合プラスチック材料などを挙げることができ、熱可塑性樹脂材料が好ましく、熱可塑性樹脂材料の中でもエチレン酢酸ビニル樹脂材料が特に好ましい。
[マウスガードの厚さ]
本発明のマウスガードの厚さとしては、0.1~5.0mmであり、0.2~4.0mmが好ましく、0.25~3.0mmがより好ましく、0.3~2.0mmがさらに好ましい。この範囲であることにより、噛み締めない時にも、呼吸等がしやすい。また、第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部との間に十分な空間を確保した空隙をより確実に形成することができる。また、同様に、後述する第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部の内部に、十分な空間を確保した空隙をより確実に形成することができる。
[小臼歯の谷部に位置する部位]
本発明のマウスガードにおいては、第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に位置する部位が、それぞれ、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状をしている。なお、子供用の場合は、第1小臼歯・第2小臼歯に相当する乳歯に所望の空隙が設けられる。
ここで、谷部との間に空隙を形成する形状としては、断面非V字形状が挙げられる。断面非V字形状とは、前歯側から奥歯側の方向をみた場合の断面形状をいい、通常、歯列に対応した形状でマウスガードを成形すると、小臼歯の谷部に位置する部位は、小臼歯の谷部の断面V字形状(上顎歯列の場合は逆V字形状となるが、本発明においては、このような上下逆形状も含む。)に適合したV字形状となるが、本発明においては、この小臼歯の谷部に位置する部位を、小臼歯の谷部のV字形状に適合させず、小臼歯の谷部との間に所定の空隙を形成する(谷部と非接触状態となる)、断面非V字形状とする。
具体的に、断面非V字形状の形状としては、例えば、断面凸状(図4(a)参照)、断面U字状(図4(b)参照)、断面平坦状(図4(c)参照)等を挙げることができる。なお、V字形状と同様に、上下逆形状を含む。
本発明のマウスガードの小臼歯の谷部に位置する部位の外面と小臼歯の谷部の底との距離(図3の距離X)としては、1.0~5.5mmであることが好ましく、1.5~5.0mmであることがより好ましく、2.0~4.5mmであることがさらに好ましい。なお、測定時の小臼歯の谷部の底の位置等の違いにより高さに違いが生じる場合は、最も長い距離をいう。
小臼歯の谷部に位置する部位は、その内面に緩衝材が取り付けられていてもよい。すなわち、小臼歯の谷部との間に形成される空隙に緩衝材が充填される構成であってもよい。この緩衝材としては、マウスガード全体を成形する材料よりも柔らかい材料が好ましく、例えば、ウレタン製のスポンジ等を挙げることができる。
(第1小臼歯突出部・第2小臼歯突出部)
本発明の小臼歯の谷部に位置する部位の具体的に好ましい態様としては、小臼歯の谷部に位置する部位が、内部に空隙を有する第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部を具備する断面凸状の態様を挙げることができる。この第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部の突出部分が、さらに十分な噛み締め距離を担保すると共に緩衝機能を果たし、噛み締め時により噛み締め易く、十分な噛み締め機能を発揮できる。
第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部は、上顎歯列又は下顎歯列の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部の位置にそれぞれ設けられた突出部であり、下方(上顎歯列の場合)又は上方(下顎歯列の場合)に突出すると共に内部に空隙を有している(図3参照)。第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部が、噛み締め時に対向する小臼歯に下方又は上方から押圧され、内部の空隙まで押し込まれることで、十分な噛み締め距離を噛み締めることができ、強く食いしばることができる。さらに、この時、第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部は柔らかいため、歯への負担(痛み)が軽減され、強く食いしばることができる。
第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部の形状としては、例えば、半球状、載頭円錐体状、円柱状等を挙げることができる。
第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部の内部の空隙の形状は、特に制限されるものではなく、通常、突出部の形状に応じた形状である。例えば、第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部が半球状の場合、内部の空隙も半球状に形成される。第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部の内部の空隙には、緩衝材が充填されていてもよい。緩衝材としては、マウスガード全体を成形する材料よりも柔らかい材料が好ましく、例えば、ウレタン製のスポンジ等を挙げることができる。
[大臼歯の谷部に位置する部位]
本発明のマウスガードは、上記のとおり、第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に位置する部位が、谷部との間に空隙を形成する形状をなしているものであるが、さらに、第1大臼歯又は第2大臼歯の谷部に位置する部位が、大臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状をなしているものであってもよい。すなわち、本発明のマウスガードは、さらに、上顎歯列又は下顎歯列の第1大臼歯及び第2大臼歯の少なくとも一方の谷部に位置する部位が、それぞれ、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、第1大臼歯及び第2大臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状であるものであってもよい。場合(人)によっては、大臼歯の谷部に位置する部位が、空隙を形成する断面非V字形状をしていることにより、より強く食いしばることができる。大臼歯の谷部に位置する部位は、上記小臼歯の谷部に位置する部位で説明したものと同様の構成であるため説明を省略する。
(第1大臼歯突出部・第2大臼歯突出部)
本発明の大臼歯の谷部に位置する部位の具体的に好ましい態様としては、大臼歯の谷部に位置する部位が、内部に空隙を有する第1大臼歯突出部及び第2大臼歯突出部を具備する断面凸状の態様を挙げることができる。第1大臼歯突出部・第2大臼歯突出部は、上記第1小臼歯突出部・第2小臼歯突出部で説明したものと同様の構成であるため説明を省略する。
[マウスガードの製造方法]
上記本発明のマウスガードは、使用者の上顎歯列又は下顎歯列に対応して成形された歯列模型や、使用者の上顎歯列又は下顎歯列のデジタルデータを用いて製造することができる。
具体的に歯列模型を用いて製造する場合は、成形された歯列模型の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に空隙形成型を設置し、該空隙形成型が設置された歯型模型を加熱した熱可塑性樹脂シートで覆って真空吸引し、歯型模型の歯部の外形に適合する形状に成形する方法を挙げることができる。この場合、歯列模型上に設置する空隙形成型によって、小臼歯の谷部に位置する部位が成形されることになり、谷部との間に空隙が形成される。空隙形成型の形状としては、例えば、球状、半球状、載頭円錐体状、円柱状、三角柱状、円錐状、角錐状等を挙げることができる。なお、小臼歯の谷部に位置する部位と同様に、大臼歯の谷部に位置する部位も成形することができる。また、真空吸引に代えて、歯型模型に液状の熱可塑性樹脂を噴霧して歯型模型の歯部の外形に適合する形状に成形する方法を採用することもできる。
以下、図面を用いて本発明のマウスガードの一実施形態を具体的に説明するが、本発明は本実施形態に制限されるものではない。
ここで、図1は、本発明の第一実施形態に係るマウスガードの斜視図であり、(a)は装着前の状態を示し、(b)は装着した状態を示す。図2は、図1に示すマウスガードの側面図である。図3は、図1に示すマウスガードを装着した際の第1小臼歯部分の拡大断面図であり、(a)は噛み締めない時の状態を示し、(b)は噛み締め時の状態を示す。なお、図1及び図2は、使用者の上顎歯列を下顎側から見た図である。また、図3は、前歯側から奥歯側の方向を見た図である。
図1及び図2に示すように、本発明の第一実施形態に係るマウスガード1は、熱可塑性樹脂シートを用いて使用者の上顎歯列Aに対応した形状に成形されたものであり、使用者の上顎歯列Aに装着して使用される。マウスガード1は、上顎歯列Aの第1小臼歯Bの谷部に位置する部位10a,10bに、第1小臼歯突出部12a,12bを備え、第2小臼歯Cの谷部に位置する部位14a,14bに、第2小臼歯突出部16a,16bを備えている。すなわち、上顎歯列Aの第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの谷部に位置する部位10,14が、断面凸状となっている。
マウスガード1は、全体が馬蹄形に一体成形されると共に、個々の部分が使用者の歯の形状に成形されている。図1(b)に示すように、マウスガード1は、装着時に、歯にフィットして覆うことができるように構成されている。
マウスガード1の製造に用いられる熱可塑性樹脂シートは、エチレン酢酸ビニル樹脂シートである。成形前のエチレン酢酸ビニル樹脂シートの厚さは、0.5mm程度であり、成形後のマウスガード1の歯を被覆する部分の厚さ(成形後のエチレン酢酸ビニル樹脂シートの厚さ)は0.45mm程度である。
マウスガード1は、歯の口蓋側(内側)に内側ひだ部18が設けられており、歯の頬側・唇側(外側)に外側ひだ部20が設けられている。内側ひだ部18及び外側ひだ部20は、歯冠部の下端(歯頚部)から歯肉側まで延伸しており、その長さは8mm程度である。
図3に示すように、第1小臼歯突出部12aは、その外面24と第1小臼歯Bの谷部26の底との距離が2.1mm程度(距離X)の下方(下顎側)に突出する部位であり、このような突出部の存在により、第1小臼歯Bの谷部26との間に空隙22が形成される。また、第1小臼歯突出部12aは、その内部に半球状の空隙23を有している。なお、第2小臼歯突出部16aも同様である。
上記説明した第一実施形態に係るマウスガード1は、第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの谷部に位置する部位10,14が、第1小臼歯突出部12及び第2小臼歯突出部16を備え、空隙を形成することから、この第1小臼歯突出部12及び第2小臼歯突出部16の突出部分と空隙部分が十分な噛み締め距離を保持して、噛み締め時(図3(b))に噛み締め易く、十分な噛み締め機能を発揮できる。また、マウスガード1は、薄いエチレン酢酸ビニル樹脂シートを用いて使用者の歯型に対応した形状に成形されることから、全体が肉厚とならず、噛み締めない時(図3(a))にも、呼吸がしやすく、会話がしやすく、水分補給がしやすく、吐き気もない。すなわち、マウスガード1は、十分な噛み締め機能を有すると共に、呼吸等の邪魔にならず、装着感に優れる。また、マウスガード1は、第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの位置に第1小臼歯突出部12及び第2小臼歯突出部16が設けられ、空隙が形成されていることから、大臼歯D,Fに設けられる場合よりも噛み締め時の歯の負担(痛み)を抑制することでき、これにより、強く噛み締めることができると共に、長時間使用することが可能となる。
続いて、本発明のマウスガードの製造方法について説明する。ここで、図4は、本発明の第一~第三実施形態に係るマウスガードの製造方法の説明図であり、(a)は第一実施形態に係るマウスガードの第1小臼歯部分の拡大断面図であり、(b)は第二実施形態に係るマウスガードの第1小臼歯部分の拡大断面図であり、(c)は第三実施形態に係るマウスガードの第1小臼歯部分の拡大断面図である。なお、図4(a)~(c)において、上段は、空隙形成型が設置された歯型模型を覆った状態を示し、下段は、歯型模型から取り外した状態を示す。また、前歯側から奥歯側の方向を見た図である。
第一実施形態に係るマウスガード1は、上顎歯列又は下顎歯列の第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの谷部に位置する部位が断面凸状であり、第二実施形態に係るマウスガード2は、上顎歯列又は下顎歯列の第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの谷部に位置する部位が断面U字状であり、第三実施形態に係るマウスガード3は、上顎歯列又は下顎歯列の第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの谷部に位置する部位が断面平坦状である。
まず、上記本発明の第一実施形態に係るマウスガード1の製造方法について以下説明する。
図4(a)に示すように、成形された歯列模型の第1小臼歯Fの谷部28に空隙形成型としての直径1.5mm程度の球体30を設置し、球体30が設置された歯型模型を加熱した熱可塑性樹脂シートで覆って真空吸引し、歯型模型の歯部の外形に適合する形状に成形する。これにより、小臼歯の谷部に位置する部位が断面凸状の第一実施形態に係るマウスガード1が製造される。
次に、第二実施形態に係るマウスガード2について説明する。なお、上記マウスガード1と同様の構成の部材については、同一符号を付して説明を省略する。
図4(b)に示すように、第二実施形態に係るマウスガード2の製造においては、断面逆三角形の小臼歯の谷部(溝)に沿って前後方向に延びる形状(三角柱を倒したような形状)で、その高さが後述する第三実施形態よりも低い空隙形成型32を用いる。上記第一実施例と同様に真空吸引することにより、小臼歯の谷部に位置する部位が断面U字状の第二実施形態に係るマウスガード2が製造される。
次に、第三実施形態に係るマウスガード3について説明する。なお、上記マウスガード1と同様の構成の部材については、同一符号を付して説明を省略する。
図4(c)に示すように、第三実施形態に係るマウスガード3の製造においては、断面逆三角形の小臼歯の谷部(溝)に沿って前後方向に延びる形状(三角柱を倒したような形状)で、その高さが第二実施形態よりも高い空隙形成型34を用いる。上記第一実施例と同様に真空吸引することにより、小臼歯の谷部に位置する部位が断面平坦字状の第三実施形態に係るマウスガード3が製造される。
本発明の製造方法により製造されるマウスガード1~3は、第1小臼歯B及び第2小臼歯Cの谷部に位置する部位が形成する空隙部分22が十分な噛み締め距離を担保すると共に緩衝機能を果たし、噛み締め時に噛み締め易く、十分な噛み締め機能を発揮できる。
続いて、本発明の第四実施形態に係るマウスガードについて説明する。ここで、図5は、本発明の第四実施形態に係るマウスガードの斜視図である。なお、図5は、使用者の上顎歯列を下顎側から見た図である。本実施形態においては、上顎歯列の第1大臼歯及び第2大臼歯の谷部の位置に、それぞれ、上方に突出すると共に内部に空隙を有する第1大臼歯突出部及び第2大臼歯突出部を備えている点で上記第一実施形態と異なる。また、上記第一実施形態のマウスガード1と同様の構成の部材については、同一符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、第四実施形態に係るマウスガード4においては、上顎歯列Aの第1大臼歯Dの谷部に位置する部位36a,36bに、第1大臼歯突出部38a,38bを備え、第2大臼歯Eの谷部に位置する部位40a,40bに、第2大臼歯突出部42a,42bを備えている。したがって、本実施形態のマウスガード4は、場合(人)によっては、強く食いしばることができる。
本発明のマウスガードを用いて、咬合力、運動性、及び装着性について評価した。
[製造方法]
マウスガードは、使用者(被験者)の上顎歯列に対応して成形された歯列模型の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に直径1.5mm程度の球を設置し、球が設置された歯型模型を加熱した厚さ0.5mm程度のエチレン酢酸ビニル樹脂シートで覆って真空吸引し、歯型模型の歯部の外形に適合する形状に成形する方法で作製した。
[咬合力測定]
デンタルプレスケールII(株式会社ジーシー製)を用いて、本発明のマウスガードの装着時と非装着時における最大咬合力を測定した。測定は、20~50代の健康な男女5名(被験者1~5)について行った。
その結果を表1に示す。
Figure 0007269688000002
表1に示すように、本発明のマウスガードを装着した場合、咬合力が向上することがわかった。
[運動性評価]
運動性の評価は、マウスガードの装着時及び非装着時における被験者1~5のスクワット運動及び反復横跳び運動の回数の増減により行った。その結果、スクワット運動においては、マウスガード非装着時と比較して10~30%の回数の増加が見られた。また、反復横跳び運動においては、マウスガード非装着時と比較して15%の回数の増加が見られた。
上記の結果から、本発明のマウスガードは、装着時に運動パフォーマンスが向上することがわかった。
[装着性評価]
被験者1~5に対して、本発明のマウスガード装着時におけるマウスガードの装着感のアンケートを行った。
全く違和感なく呼吸や会話がしやすいと感じた場合を評価◎とした。実用上問題ない程度の違和感であり、呼吸や会話がしやすいと感じた場合を評価○とした。若干の違和感があり、呼吸や会話が若干しにくいと感じた場合を△とした。また、違和感があり、装着が不快であると感じた場合を評価×とした。
その結果を表2に示す。
Figure 0007269688000003
表2に示すように、本発明のマウスガードは、装着感が優れていることがわかった。
本発明のマウスガードは、スポーツ競技用のマウスガードとして用いることができることから、産業上有用である。
1 マウスガード(第一実施形態)
2 マウスガード(第二実施形態)
3 マウスガード(第三実施形態)
4 マウスガード(第四実施形態)
10 第1小臼歯Bの谷部に位置する部位
12 第1小臼歯突出部
14 第2小臼歯Cの谷部に位置する部位
16 第2小臼歯突出部
18 内側ひだ部
20 外側ひだ部
22 空隙
23 空隙
24 第1小臼歯突出部12aの外面
26 第1小臼歯Bの谷部
28 歯列模型の第1小臼歯Fの谷部
30 球体
32 空隙形成型
34 空隙形成型
36 第1大臼歯Dの谷部に位置する部位
38 第1大臼歯突出部
40 第2大臼歯Eの谷部に位置する部位
42 第2大臼歯突出部
A 上顎歯列
B 第1小臼歯
C 第2小臼歯
D 第1大臼歯
E 第2大臼歯
F 歯列模型の第1小臼歯

Claims (9)

  1. 使用者の上顎歯列又は下顎歯列の個々の歯に対応した形状に成形され、該使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着される、厚さが0.1~5.0mmのマウスガードであって、
    前記上顎歯列又は下顎歯列の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に位置する部位が、それぞれ、前記使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、前記第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部との間に空隙を形成する、断面凸状及び断面U字状のいずれかの形状であることを特徴とするマウスガード。
  2. 前記小臼歯の谷部に位置する部位の外面と該小臼歯の谷部の底との距離が、1.0~5.5mmであることを特徴とする請求項1記載のマウスガード。
  3. 前記小臼歯の谷部に位置する部位が、内部に空隙を有する第1小臼歯突出部及び第2小臼歯突出部を具備する断面凸状であることを特徴とする請求項1記載のマウスガード。
  4. 前記小臼歯の谷部に位置する部位の内面に緩衝材が取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のマウスガード。
  5. さらに、前記上顎歯列又は下顎歯列の第1大臼歯及び第2大臼歯の少なくとも一方の谷部に位置する部位が、それぞれ、前記使用者の上顎歯列又は下顎歯列に装着した際、前記第1大臼歯及び第2大臼歯の谷部との間に空隙を形成する形状であることを特徴とする請求項1記載のマウスガード。
  6. 前記大臼歯の谷部に位置する部位が、断面凸状、断面U字状及び断面平坦状のいずれかの形状であることを特徴とする請求項記載のマウスガード。
  7. 前記大臼歯の谷部に位置する部位が、内部に空隙を有する第1大臼歯突出部及び第2大臼歯突出部を具備する断面凸状であることを特徴とする請求項記載のマウスガード。
  8. エチレン酢酸ビニル樹脂製であることを特徴とする請求項1記載のマウスガード。
  9. 使用者の上顎歯列又は下顎歯列に対応して成形された歯列模型の第1小臼歯及び第2小臼歯の谷部に空隙形成型を設置し、該空隙形成型が設置された歯型模型を加熱した熱可塑性樹脂シートで覆って真空吸引し、歯型模型の歯部の外形に適合する形状に成形することを特徴とするマウスガードの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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