JP7269570B2 - 蛍光体組成物、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、量子ドットを含有する蛍光体組成物、及びその製造方法、並びにそれを用いた蛍光体成形物に関する。
蛍光体は、発光素子、ディスプレイ、照明器具などに広く使用されている材料である。従来、希土類イオンや遷移金属イオンを用いる蛍光体が使用されてきたが、これらを凌ぐ高輝度の蛍光体が要望されており、それを実現する蛍光体材料として、紫外線等の照射により蛍光を発する量子ドット(Quantum Dot)が注目されている。
一般的に、量子ドットは、量子化学、量子力学に従う独特な光学特性を持つナノスケールの半導体結晶(半導体ナノ粒子)のことを指し、結晶のサイズによってバンドギャップを調節することが可能であるため、粒径に依存した特徴的な発光特性を持つことが知られている。
このような量子ドットを含有する蛍光体組成物としては、例えば特許文献1に記載されているように、発光効率25%以上の半導体ナノ粒子が無機マトリックス中に分散してなる蛍光体が知られている。この文献では、(1)金属アルコキシド、アルコール、水及び酸を混合して金属アルコキシドの加水分解溶液とし、(2)該加水分解溶液からアルコールの大部分を除去し、(3)さらにpH5.5~8.5に調製した後、(4)これと発光効率25%以上の半導体ナノ粒子の分散液とを混合した後、硬化させることで蛍光体を製造している。
一方、炭素系の量子ドットを使用した蛍光体としては、特許文献2に、ポリマー成分をグラフェン量子ドットと混合することで、ポリマーとグラフェン量子ドットを含むポリマー複合材料を形成する方法が提案されている。
特開2006-335873号公報 特開2017-525781号公報
しかしながら、特許文献1のように、半導体ナノ粒子として、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、硫化カドミウム又はセレン化亜鉛を使用すると、量子ドットの価格が高価になるという問題があった。また、特許文献1では、量子ドットの溶液の発光波長とガラス蛍光体の発光波長が殆ど等しいため、450nmを中心とした蛍光を発するグラフェン量子ドットでは、550nmを中心とした蛍光を発する単結晶YAG・Ceの置き換えができないと考えられていた。
また、特許文献2のように、ポリマー中にグラフェン量子ドットを分散させた蛍光体では、耐光性や耐熱性が低く、またポリマーマトリックスでは、発光波長をシフトさせる作用が小さく、550nmを中心とした蛍光を発する蛍光体が得られないという問題もあった。
そこで、本発明の目的は、安価な炭素系量子ドットを使用しつつも、波長シフトにより適切な発光波長を有し、しかも耐光性や耐熱性が良好な蛍光体組成物、及びその製造方法、並びにそれを用いた蛍光体成形物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、金属アルコキシドを含む溶液に炭素系量子ドットを分散させてゾル-ゲル反応で固化させることで、予想に反して波長シフトにより適切な発光波長を有する蛍光体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の態様を含むものである。
1.シリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した炭素系量子ドットとを含有する蛍光体組成物。
2.多塩基酸及び/又はその残基成分を含有する1.に記載の蛍光体組成物。
3.前記炭素系量子ドットの含有量が、蛍光体組成物中に0.0001~10質量%である1.又は2.に記載の蛍光体組成物。
4.励起光300nm~470nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長が400nm~750nmである1.~3.いずれかに記載の蛍光体組成物。
5.前記炭素系量子ドットの水分散体における蛍光特性が、励起光300nm~420nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長が380nm~600nmである1.~4.いずれかに記載の蛍光体組成物。
6.シリカを主成分とする固体ガラスの前駆体と、その前駆体中に分散した炭素系量子ドットとを含有する分散液を得る分散工程と、前記前駆体をゾル-ゲル反応により固化させて、固体ガラスとその固体ガラス中に分散した炭素系量子ドットとを含有する蛍光体組成物を得る反応工程と、を含む蛍光体組成物の製造方法。
7.前記固体ガラスの前駆体は、金属アルコキシド、アルコール、水、および酸触媒を含有するものである6.に記載の蛍光体組成物の製造方法。
8.前記固体ガラスの前駆体は、更に多塩基酸を含有する7.に記載の蛍光体組成物の製造方法。
9.前記多塩基酸の含有量は、得られる蛍光体組成物中に0.0001~10質量%である8.に記載の蛍光体組成物の製造方法。
10.1.~5.いずれかに記載の蛍光体組成物を所定の形状に成形してなる蛍光体成形
本発明の蛍光体組成物によると、安価な炭素系量子ドットを使用しつつも、波長シフトにより適切な発光波長を有し、しかも耐光性や耐熱性が良好なものとなる。また、本発明の蛍光体組成物の製造方法によると、安価な炭素系量子ドットを使用しつつも、波長シフトにより適切な発光波長を有し、しかも耐光性や耐熱性が良好な蛍光体組成物を得ることができる。また、本発明の蛍光体成形物によると、このような効果を奏する蛍光体組成物を任意の形状に成形することができる。
グラフェン量子ドットを用いて得られた実施例1~2の蛍光体の蛍光スペクトルの結果を原料水分散体の蛍光スペクトルと共に示すグラフである。 カーボン量子ドットを用いて得られた実施例3の蛍光体の蛍光スペクトルの結果を原料水分散体の蛍光スペクトルと共に示すグラフである。 実施例1と同様の条件で成形用の型を使用して製造した蛍光体成形物の一例を示す写真である。
<蛍光体組成物>
本発明の蛍光体組成物は、シリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した炭素系量子ドットとを含有するものである。本発明において「シリカを主成分とする」とは、ガラスの金属成分中のSi元素の含有量が、60モル%以上である場合を指し、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90~100モル%である。
(固体ガラス)
シリカを主成分とする固体ガラスとしては、シリカガラスであることが好ましい。シリカガラスには、他の金属成分として、Al、Ca、Cu、Fe、Na、K、Li、Mg、Mn、Tiを含有していてもよい。但し、これらの金属成分の含有量は、金属成分中に20モル%以下が好ましく、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは0~5モル%である。
シリカガラスは、天然の石英粉を溶融した溶融石英ガラスと、液体原料から合成した合成シリカガラスに大別でき、いずれも使用可能であるが、合成シリカガラスであることが好ましい。合成シリカガラスはその製造方法により、気相合成法、液相合成法に分類できる。溶融石英ガラスは電気溶融石英ガラスと火炎溶融石英ガラスに分類される。前者は、OH含有量が少なく、後者はOH量が比較的多いのが特徴である。いずれも、耐熱性に優れ、比較的廉価である。
気相合成法には、直接法、スート法、プラズマ法などがある。直接法は、四塩化ケイ素(SiCl)を酸水素火炎中で加水分解し、直接堆積・ガラス化することによりシリカガラスを合成する方法である。このタイプのシリカガラスは、OH基を500~1500ppm程度含む。光学的に均質なものを比較的容易に合成することができ、紫外線耐性にも優れている。したがって、紫外線用光学材料として使用される。
スート法では最初にシリカの微粒子を生成して多孔質体を形成する。次に適当な雰囲気中での熱処理により、OH量を制御する。最後に、高温で透明ガラス化する。この合成方法は、複数の工程からなっているため、性状を制御しやすい。プラズマ法は、スート法よりも古くから無水のシリカガラスの合成法として用いられてきた。
液相中で合成する方法として、ゾル-ゲル法がある。これは、金属アルコキシドの重縮合により、シリカの多孔質体を合成したのち、乾燥、焼結ガラス化する方法である。また、低温でのシリカガラス薄膜の生成方法として、液相析出(LPD)法がある。
本発明では、金属アルコキシドの加水分解と重縮合(ゾル-ゲル法)により得られるシリカガラスが好適に使用でき、後に詳述する本発明の製造方法により得たものを使用することができる。ゾル-ゲル法を行なう際に、多塩基酸を添加することが、クラックや欠けの防止の観点から好ましい。このため、本発明における固体ガラスには、多塩基酸及び/又はその残基成分を含有することが好ましい。
(炭素系量子ドット)
量子ドットは、量子化学、量子力学に従う独特な光学特性を持つナノスケールの粒子のことを指し、粒子サイズによって光学特性を調節することが可能であるため、粒径に依存した特徴的な発光特性を持つ。本発明では量子ドットのうち、炭素原子間のπ結合に起因して、粒径に依存した発光特性を有する炭素系量子ドットを使用することができる。
炭素系量子ドットとしては、グラフェン構造を有するグラフェン量子ドット、グラフェン構造を有しないカーボン量子ドット、これらを化学修飾した量子ドット等が挙げられるが、量子収率の観点からグラフェン量子ドット又は化学修飾したグラフェン量子ドットが好ましい。
これらの炭素系量子ドットは、シグマ-アルドリッチ社、冨士色素株式会社、GSアライアンス株式会社、フナコシ株式会社、キシダ化学株式会社などから、市販されており、これらを何れも使用することができる。
炭素系量子ドットの含有量は、蛍光特性における適度な波長シフトを得ることと、適度な発光出力を得ることの観点から、蛍光体組成物中に0.0001~10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001~5質量%であり、更に好ましくは0.01~1質量%である。
(グラフェン量子ドット)
グラフェン量子ドットとしては、非官能化グラフェン量子ドット、官能化グラフェン量子ドット、原初の(pristine)グラフェン量子ドット、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
官能化グラフェン量子ドットは1つ以上の官能基で官能化されていてもよい。官能基には、酸素基、カルボキシル基、カルボニル基、非晶質炭素、ヒドロキシル基、アルキル基、アリール基、エステル、アミン、アミド、ポリマー、ポリ(プロピレンオキシド)、およびこれらの組み合わせが含まれる。
また、グラフェン量子ドットには、1つ以上のアルキル基で官能化されている官能化グラフェン量子ドットが含まれる。アルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、およびこれらの組み合わせが含まれる。幾つかの態様において、アルキル基にはオクチル基(例えば、オクチルアミン)が含まれる。
また、グラフェン量子ドットは、1種以上のポリマー先駆物質で官能化することができる。例えば、グラフェン量子ドットは1種以上のモノマー(例えば、ビニルモノマー)で官能化することができる。
グラフェン量子ドットは、重合するポリマー先駆物質で官能化することにより、ポリマー官能化グラフェン量子ドットを形成することができる。例えば、重合するビニルモノマーで端部を官能化することにより、端部官能化ポリビニルの付加物を形成することができる。
グラフェン量子ドットは、1種以上の親水性官能基で官能化されている官能化グラフェン量子ドットを含む。親水性官能基には、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、およびこれらの組み合わせが含まれる。
グラフェン量子ドットは、1種以上の疎水性官能基で官能化されている官能化グラフェン量子ドットを含む。疎水性官能基には、アルキル基、アリール基、およびこれらの組み合わせが含まれる。疎水性官能基には1種以上のアルキルアミドまたはアリールアミドが含まれる。
グラフェン量子ドットは端部官能化グラフェン量子ドットを含む。端部官能化グラフェン量子ドットには、前述した1種以上の疎水性官能基が含まれる。端部官能化グラフェン量子ドットには、前述したような1種以上の疎水性官能基が含まれる。端部官能化グラフェン量子ドットには、やはり前述したような1種以上の親水性官能基が含まれる。端部官能化グラフェン量子ドットには、それらの端部上にある1種以上の酸素の付加物が含まれる。端部官能化グラフェン量子ドットには、それらの端部上にある1種以上の非晶質炭素の付加物が含まれる。
グラフェン量子ドットは、アルキルアミドまたはアリールアミドなどの1種以上のアルキル基またはアリール基で端部が官能化されている。アルキル基またはアリール基を用いるグラフェン量子ドットの端部官能化は、グラフェン量子ドットの端部におけるアルキルアミドまたはアリールアミドのカルボン酸との反応によって行われる。
グラフェン量子ドットには原初の(pristine)グラフェン量子ドットが含まれる。原初のグラフェン量子ドットは、合成後に未処理のままのグラフェン量子ドットを含む。原初のグラフェン量子ドットは、合成後にいかなる追加の表面変性も行われていないグラフェン量子ドットを含む。
グラフェン量子ドットは様々な発生源から得ることができる。例えば、グラフェン量子ドットには、石炭由来のグラフェン量子ドット、コークス由来のグラフェン量子ドット、およびこれらの組み合わせが含まれる。グラフェン量子ドットにはコークス由来のグラフェン量子ドットが含まれる。グラフェン量子ドットには石炭由来のグラフェン量子ドットが含まれる。石炭には、(これらに限定はされないが)無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、変性瀝青炭、アスファルテン、アスファルト、泥炭、亜炭、ボイラー用炭、石化油(petrified oil)、カーボンブラック、活性炭、およびこれらの組み合わせが含まれる。炭素源は瀝青炭である。炭素には瀝青炭が含まれる。
グラフェン量子ドットは様々な直径を有することができる。例えば、グラフェン量子ドットは約1nmから約100nmまでの範囲の直径を有することが好ましく、約1nmから約50nmまでの範囲の直径を有することがより好ましく、約1nmから約20nmまでの範囲の直径を有することが更に好ましい。
グラフェン量子ドットはまた、様々な構造を有することもできる。例えば、グラフェン量子ドットは結晶質の構造を有していてもよく、例えば結晶質の六方晶構造を有する。グラフェン量子ドットは単層又は複層を有していてもよく、例えばグラフェン量子ドットはおよそ2つの層からおよそ4つの層までを有する。
グラフェン量子ドットは、様々な量子収率を有することもできる。グラフェン量子ドットは約30~80%までの範囲の量子収率を有することが好ましい。また、グラフェン量子ドットの水分散体における蛍光特性は、励起光300nm~420nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長が380nm~650nmであることが好ましい。
グラフェン量子ドットは粉末の形態であってもよく、ペレットの形態であってもよい。グラフェン量子ドットは液体状態であってもよく、分散液、溶液、溶融した状態であってもよい。
グラフェン量子ドットを形成するために、様々な方法を利用することができる。例えば、グラフェン量子ドットを形成する工程は、炭素源を酸化剤に曝し、その結果としてグラフェン量子ドットを形成することを含むことができる。炭素源には、石炭、コークス、およびこれらの組み合わせが含まれる。
酸化剤には酸が含まれ、酸には、硫酸、硝酸、リン酸、次亜リン酸、発煙硫酸、塩化水素酸、オレウム、クロロスルホン酸、およびこれらの組み合わせが含まれる。また、酸化剤には、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、次亜リン酸、硝酸、硫酸、過酸化水素、およびこれらの組み合わせが含まれる。好ましい酸化剤は過マンガン酸カリウム、硫酸および次亜リン酸の混合物である。
酸化剤の存在下で炭素源を音波処理することによって炭素源は酸化剤に曝される。酸化剤の存在下で炭素源を加熱することが含まれる。加熱は少なくとも約100℃の温度において行われる。
グラフェン量子ドットを形成するさらなる方法の使用も想定することができる。例えば、グラフェン量子ドットを形成するさらなる方法は、国際特許出願であるPCT/US2014/036604号に開示されている。グラフェン量子ドットを製造するさらなる適当な方法は、次の参考文献にも開示されている:ACS Appl. Mater. Interfaces 2015, 7, 7041-7048;および、Nature Commun. 2013, 4:2943, 1-6。
(カーボン量子ドット)
カーボン量子ドットは、グラフェンのような環状構造を持っていない量子ドットである。pH値によってグラフェン量子ドットより影響を受け易く、発光強度、ピーク位置が変化する性質を有する。
カーボン量子ドットは様々な直径を有することができる。例えば、カーボン量子ドットは約1nmから約100nmまでの範囲の直径を有することが好ましく、約1nmから約50nmまでの範囲の直径を有することがより好ましく、約1nmから約30nmまでの範囲の直径を有することが更に好ましい。
カーボン量子ドットはまた、様々な量子収率を有することもできる。カーボン量子ドットは約20~50%までの範囲の量子収率を有することが好ましい。また、カーボン量子ドットの水分散体における蛍光特性は、励起光300nm~420nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長が380nm~600nmであることが好ましい。
カーボン量子ドットの製造方法は、グラフェン量子ドットの製造方法と大差はなく、使用原料や製造条件がグラフェン構造を形成し易いか否かの違いのみである。
従って、両者を含む炭素系量子ドットは、例えば、炭素ターゲットをレーザーアブレーション(laserablation)後、化学処理を実施して製造する手法(特表2012-501863号公報)や蝋燭の煤から製造する手法(H. Liu, et al., Angew. Chem.Int. Ed. 2007, 46, 6473-6475.)、グラファイト酸化物を化学処理して製造する手法(G. Eda, et al., Adv. Mater.2010, 22, 505-509.)、グラファイト酸化物を前駆体とする化学反応から製造する手法(特開2012-136566号公報)、フラーレンの転換反応から製造する手法(J. Lu, et al., Nature Nanotech.2011, 6, 247-252.)、更に、炭素繊維や活性炭など、より安価な炭素原料を化学処理して製造する手法(J. Peng, et al., Nano Lett. 2012, 12, 844-849.、Z.A. Qiao, ChemCommun. 2010, 46,8812-8814.、Y. Dong, et al., Chem. Mater.2010, 22, 5895-5899.)で製造することも可能である。
なお、これらの手法は、大別してトップダウン(top-down)の手法であるが、有機前駆体分子のポリマー化から炭素量子ドットを製造するボトムアップ(bottom-up)の手法(G. A. Ozin, et al., J. Mater. Chem., 2012, 22, 1265-1269.)でも製造可能である。
また、炭素材と過酸化水素とを混合し、過酸化水素により炭素を分解反応させ、炭素量子ドット生成液を調製する工程と、炭素量子ドット生成液中の炭素量子ドットと過酸化水素を分離して分解反応を停止させ、炭素量子ドットを取得する工程と、を含む炭素量子ドットの製造方法(特開2014-133685号公報)で製造することも可能である。
(蛍光特性)
本発明の蛍光体組成物の蛍光特性としては、汎用性の高い蛍光材料を提供する観点から、励起光300nm~470nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長(ピーク波長)が400nm~750nmであることが好ましく、発光波長が450nm~650nmであることがより好ましく、発光波長が500nm~600nmであることが更に好ましい。このような発光波長は、単結晶YAG・Ceとほぼ同じ領域の発光となり、本発明の蛍光体組成物により置き換えが可能になる。
また、発光ピーク波長を中心とした発光の半値幅が40nm~100nmであることが好ましく、発光波長が400nm~700nmであることがより好ましく、発光波長が420nm~750nmであることが更に好ましい。
なお、このような蛍光特性を得る観点から、原料となる炭素系量子ドットの水分散体における蛍光特性としては、励起光300nm~420nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長(ピーク波長)が380nm~600nmであることが好ましく、発光波長が400nm~550nmであることがより好ましく、発光波長が420nm~500nmであることが更に好ましい。
また、蛍光体組成物の量子収率(発光効率)は、25%以上が好ましく、さらに50%以上がより好ましく、特に70~80%が好ましい。
(蛍光体組成物の製造方法)
本発明の蛍光体組成物は、固体ガラスの合成時に炭素系量子ドットを分散させる方法、又は合成等によって得られた固体ガラスを微粉砕した後に、粉砕物中に炭素系量子ドットを分散させ固化させる方法などにより得ることができる。
後者の方法では、固体ガラスを平均粒径100nm~5000nmに微粉砕したものを使用することができ、炭素系量子ドットを分散させた混合物を、常法により適当な温度と圧力で固化することができる。
本発明では、炭素系量子ドットの均一分散性、光学特性などの観点から、合成時に炭素系量子ドットを分散させる方法が好ましく、金属アルコキシドの加水分解と重縮合(ゾル-ゲル法)によりシリカガラスを合成する際に、炭素系量子ドットを分散させる本発明の製造方法を用いることがより好ましい。以下、本発明の製造方法について詳述する。
<本発明の製造方法>
本発明の製造方法は、シリカを主成分とする固体ガラスの前駆体と、その前駆体中に分散した炭素系量子ドットとを含有する分散液を得る分散工程と、前記前駆体をゾル-ゲル反応により固化させて、固体ガラスとその固体ガラス中に分散した炭素系量子ドットとを含有する蛍光体組成物を得る反応工程と、を含むものである。
(分散工程)
分散工程は、シリカを主成分とする固体ガラスの前駆体と、その前駆体中に分散した炭素系量子ドットとを含有する分散液を得るものである。炭素系量子ドットの分散は、固体ガラスの前駆体の各成分とともに混合・撹拌すればよい。攪拌にはスターラー、攪拌羽根などを用いることができる。
炭素系量子ドットは、前述したものを使用できるが、水分散体を使用することが好ましい。水分散体における炭素系量子ドットの濃度は、分散性、固形化時の粒子収率の観点より、質量基準で0.01ppm~10ppmであることが好ましく、0.5ppm~5ppmであることがより好ましい。
炭素系量子ドットの含有量は、蛍光特性における適度な波長シフトを得ることと、適度な発光出力を得ることの観点から、蛍光体組成物中に0.0001~10質量%になるように添加することが好ましく、より好ましくは0.001~5質量%であり、更に好ましくは0.01~1質量%である。
なお、炭素系量子ドット以外の半導体ナノ粒子を量子ドットとして添加することも可能であり、シリコン系量子ドット、硫化カドミウム、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウムなどを使用することができる。但し、環境保護の観点からCd、Pbを含まないものが好ましい。また、コスト等の観点から、炭素系量子ドット以外の量子ドットを実質的に含まないものが好ましい。
固体ガラスの前駆体は、好ましくは、金属アルコキシド、アルコール、水、および酸触媒を含有する。金属アルコキシドとして、アルコキシシランのみを使用することも可能である。本発明では、得られる蛍光体のクラックや欠けの防止の観点から、分散工程で、多塩基酸を添加することが好ましい。
金属アルコキシドとしては、テトラアルコキシシラン(Si(OR))が使用され、テトラアルコキシジルコニウム(Zr(OR))、テトラアルコキシチタン(Ti(OR))、トリアルコキシアルミニウム(Al(OR))等が任意の成分として例示される。
上記のROはアルコキシ基であり、好ましくは、C1-4のアルコキシ基である。具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等が例示される。金属アルコキシドは、これらのうち、一種又は二種以上を用いることができる。金属アルコキシドとしてテトラアルコキシシランを用いるのが好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。二種以上を混合する場合は、テトラエトキシシランを主成分(例えば、80モル%以上)とするのが好ましい。
なお、本発明においては、原料として金属アルコキシドを用いるものであるが、本発明の作用効果に悪影響を与えない範囲で、必要に応じて一般式:
-Si(OR’)4-m
(式中、Xは、アミノアルキル基、メルカプトアルキル基等、R’はC1-3のアルキル基、m=1,2又は3を示す)
で表されるオルガノアルコキシシランを添加しても良い。オルガノアルコキシシランとしては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)等が挙げられる。通常、金属アルコキシドとオルガノアルコキシシランのモル比は、100:0~90:10程度であればよい。
用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のC1-4のアルコールが挙げられる。使用する金属アルコキシドのアルコキシドに対応するアルコールを用いることが好ましい。例えば、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシランを用いる場合、アルコールとしてエタノールが用いられる。
用いる酸触媒としては、塩酸、酢酸、硝酸等が挙げられる。酸の使用量は触媒量でよい。ゾル-ゲル法において酸を用いるのは、酸条件下では金属アルコキシドの加水分解は速いが続く脱水反応が遅いためである。なお、塩基を用いる場合には、金属アルコキシドの加水分解は遅いが続く脱水反応が速いため、ゲル化が急速に進行してしまう。
金属アルコキシド(オルガノアルコキシシランを含む場合は、オルガノアルコキシシランと金属アルコキシドの合計)、アルコール、及び水の配合量は、1:0.1~2:0.5~8程度のモル比であればよく、1:0.3~1:1~4程度のモル比であることが好ましい。酸は上述したように触媒量でよい。
多塩基酸としては、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、グルタミン酸、セバシン酸、ヘキサフルオロケイ酸などが挙げられる。これはの多塩基酸は、水和物として添加することも可能である。
多塩基酸の添加量としては、得られる蛍光体組成物中(固形分中)に0.00001~0.1質量%となるように添加することが好ましく、0.0001~0.05質量%がより好ましく、0.001~0.01質量%が更に好ましい。
多塩基酸の添加により、得られる蛍光体のクラックや欠けを抑制できる理由の詳細は不明であるが、-SiO結合に対するキレート効果や、OH基との反応による官能基の不活性化などによる、ゲル構造の変性などが考えられる。
上記各成分を混合する順序としては、最初に金属アルコキシドとアルコールを混合して完全に混和した後、水と炭素系量子ドット、多塩基酸を添加して混合することが好ましい。その後に、酸触媒を添加して、ゾル-ゲル反応を開始させることが好ましい。
各成分の混合は、通常、15~80℃程度で5分~1時間程度撹拌すればよい。混合時の温度は、金属アルコキシドの種類等に応じて適宜選択できる。なお、テトラアルコキシシランを主成分とする二種以上の金属アルコキシドを混合する場合は、テトラアルコキシシランにアルコール、水及び触媒量の酸を加えて得られる加水分解溶液に、他の金属アルコキシドのアルコール溶液を滴下すればよい。
(反応工程)
反応工程は前駆体をゾル-ゲル反応により固化させて、固体ガラスとその固体ガラス中に分散した炭素系量子ドットとを含有する蛍光体組成物を得るものである。この反応は所望の内面形状を有する型内で行なうことも可能である。
ゾル-ゲル反応は、常温で行なうことも可能であるが、反応を促進する上で、加熱条件下で行なうのが好ましい。加熱温度としては、25℃~60℃が好ましく30℃~50℃がより好ましい。また、加熱条件を2段階以上に変化させて、段階的に昇温させることも可能である。
反応時間としては、常温の場合、3日~7日程度が好ましく、加熱条件下の場合、反応温度にもよるが、12時間~36時間程度が好ましい。より高温で、より長時間の反応を行なうことで、硬度及び比重がより大きい蛍光体を得ることができる。
また、生成するアルコールや水分を除去しながら、ゾル-ゲル反応を行なってもよい。
また、金属アルコキシドの加水分解溶液に対して、pHを5.5~8.5に調製する工程を有していてもよい。上記の加水分解溶液は、酸触媒により液性が酸性にあるため、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)水溶液を用いてpHを5.5~8.5に調製すると、ゾル状の加水分解溶液の脱水縮合反応が促進されることになる。
<蛍光体成形物>
本発明の蛍光体成形物は、以上で説明した本発明の蛍光体組成物を所定の形状に成形してなるものである。蛍光体成形物の形状は、いずれでもよいが、例えば、棒状、板状、円盤状、ドーナツ形状、凸レンズ形状、球状、などが挙げられる。
このような成形物は、所望の内面形状を有する型内でゾル-ゲル反応を行なうことで、製造することができる。なお、本発明の蛍光体成形物には、型内で成形物を得た後、これを加工した成形物も包含される。また、インサート成形により、他の部材と一体的に形成した成形物も包含される。
(用途)
本発明の蛍光体組成物は、上記のような成形物としてだけでなく、コーティング塗膜、得られた蛍光体を粉砕した粉末、粉末にした蛍光体を適当な分散剤と混合することでインクなどとして使用することができる。具体的には、従来の蛍光体に替えて以下に示すような各種用途に利用できる。
成形物の用途としては、例えば、プロジェクタの蛍光ホイール、水銀灯や紫外LEDから白色照明光を得るための蛍光体、液晶表示装置のバックライトの蛍光体、照明光学系における波長変換光学部材などが挙げられる。光学部材として利用するときは、反射防止や励起光の閉じ込めのための多層膜コーティングを表面に行うことで好適に行われる。
コーティング塗膜の用途としては、例えば、太陽電池の波長変換膜、液晶表示装置のバックライトの蛍光体膜、夜間における反射材などが挙げられる。
蛍光体粉末の用途としては、例えば、粉末をインク化した塗料として、夜間の標識などに使用することができる。また、発光波長の異なる粉末をインク化した複数の塗料を所定のパターンで印刷することで、RGBの光源用蛍光モジュールとすることができる。
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(1)蛍光スペクトルの測定
液体の試料については、測定用セルを使用し、円板状の蛍光体については、測定セルと同じ形状に加工した測定用試料を作成し、蛍光分光光度計(RF-5300PC、島津製作所製)を用いて蛍光スペクトルを測定した。このとき、各試料について、まず励起光による発光強度が最大になる励起光波長をスキャンして決定し、次いで決定した波長の励起光を用いて、試料の蛍光スペクトルを測定した。
(2)密度の測定
円板状の蛍光体の体積(cm)を水中投下して溢れた水の体積から求め、測定した蛍光体の質量(g)を体積で除して求めた。
(3)量子収率
実施例1と同様にして製造した、0.01重量%のグラフェン量子ドットを分散させた蛍光体生成物を短冊状に切断し試料ホルダーに並べ、浜松ホトニクス社製のQuantaurus-QY絶対PL量子収率測定装置C11347を用いて測定を行ったところ、励起波長445nmの時58%の量子粒率を得た。
<水分散体1>(グラフェン量子ドット)
グラフェン量子ドットの水分散体(GSアライアンス株式会社製、グラフェン量子ドット、量子収率70%)について、前述した方法により励起光波長370nmで蛍光スペクトルを測定した。その結果を図1に示した。この水分散体1の発光のピーク波長は445nmであり、半値幅は75nmであった。
<水分散体2>(カーボン量子ドット)
カーボン量子ドットの水分散体(GSアライアンス株式会社製、カーボン量子ドット、量子収率40%))について、前述した方法により励起光波長365nmで蛍光スペクトルを測定した結果を図2に示した。この水分散体2の発光のピーク波長は445nmであり、半値幅は70nmであった。
<実施例1>(グラフェン量子ドット2質量%)
Si(OC(TEOS):エタノール(COH):水(HO)のモル比が2:1:4の比率となるように、TEOSをポリプロピレンビーカーにテフロン(登録商標)製メスピペットを用いて秤量し、メスピペットを用いて秤量したエタノールを加え、室温(25℃)にてスターラーで撹拌し、完全に混和した後、グラフェン量子ドットの水分散体1を水のモル比が4になるよう(量子ドット濃度は蛍光体中2質量%)と水とを加え(合計の水の比率を4とした)、さらに室温(25℃)で撹拌した。このとき、TEOS1モル(208.37g)に対して0.8mgのクエン酸水和物(C・HO)を加えた。この溶液に酸触媒である1M硝酸水溶液(HNO)を20ml添加し、ゲル化が開始するまで撹拌した。その後、底面が円形の容器に流し込み、室温(25℃)で60日間放置して、反応と乾燥を生じさせて、円板状(直径2cm、厚み10mm)の蛍光体を製造した。その際、エタノールの除去を適宜行なった。この蛍光体は、図3に示すように、グラフェン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長460nmで蛍光スペクトルを測定した結果を図1に示した。発光のピーク波長は540nmであり、半値幅は75nmであった。このように、使用したグラフェン量子ドットの水分散体の蛍光特性と比較して、100nm近い波長シフトが見られた。また、この蛍光体を200℃の大気炉中に24時間放置し、加熱前後の発光強度の比較を行ったところ、発光強度の変化がないことが確認できた。プロジェクタ等で蛍光体が使用される場合、100℃を超えないように冷却しながら運転されるため、十分な耐熱性があることが確認できた。
<実施例2>(グラフェン量子ドット0.1質量%)
実施例1において、グラフェン量子ドットの濃度を2質量%とする代わりに、蛍光体中に0.1質量%となるようにグラフェン量子ドットの水分散体を混合したこと以外は、実施例1と同じ条件で同じ形状の蛍光体を製造した。この蛍光体はグラフェン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長445nmで蛍光スペクトルを測定した結果を図1に示した。発光のピーク波長は515nmであり、半値幅は80nmであった。このように、使用したグラフェン量子ドットの水分散体の蛍光特性と比較して、50nm以上の波長シフトが見られた。また、実施例1との対比より、グラフェン量子ドットの濃度変化により、波長シフト量が変化することが分かった。
<実施例3>(カーボン量子ドット)
実施例1において、グラフェン量子ドットの水分散体1を用いる代わりに、カーボン量子ドットの水分散体2を水のモル比が4になるよう(量子ドット濃度は蛍光体中0.1質量%)用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で同じ形状の蛍光体を製造した。この蛍光体はカーボン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長440nmで蛍光スペクトルを測定した結果を図2に示した。発光のピーク波長は505nmであり、半値幅は80nmであった。このように、使用したカーボン量子ドットの水分散体の蛍光特性と比較して、約60nmの波長シフトが見られた。
<実施例4>(200℃加熱)
実施例1において、室温(25℃)で60日間放置する代わりに、加熱装置中で70℃14日加熱した後、200℃で20時間加熱したこと以外は、実施例1と同じ条件で同じ形状の蛍光体を製造した。この蛍光体はグラフェン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長445nmで蛍光スペクトルを測定した結果、実施例1と同じ蛍光特性を示すことが分かった。また、実施例1の蛍光体が密度2.0g/cmであるのに対して、得られた蛍光体の密度は1.8g/cmであった。
<実施例5>(クエン酸添加なし)
実施例1において、クエン酸水和物(C・HO)を加えないこと以外は、実施例1と同じ条件で蛍光体を製造した。このとき、実施例1と同じ形状にすると、クラックが生じ易くなるため、原料の混合後に少量の混合物を用いて(組成は同じ)、厚さ5mmの薄膜状の蛍光体を作成した。この蛍光体はグラフェン量子ドットが均一に分散したものであり、クラック、欠けなどは存在しないものであった。
この蛍光体について、前述した方法により励起光波長445nmで蛍光スペクトルを測定した結果、実施例1と同じ蛍光特性を示すことが分かった。また、実施例1の蛍光体が密度2.0g/cmであるのに対して、得られた蛍光体の密度は1.8g/cmであった。

Claims (9)

  1. シリカを主成分とする固体ガラスと、前記固体ガラス中に分散した炭素系量子ドットと、多塩基酸及び/又はその残基成分と、を含有する蛍光体組成物。
  2. 前記炭素系量子ドットの含有量が、蛍光体組成物中に0.0001~10質量%である請求項1に記載の蛍光体組成物。
  3. 励起光300nm~470nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長が400nm~750nmである請求項1又は2に記載の蛍光体組成物。
  4. 前記炭素系量子ドットの水分散体における蛍光特性が、励起光300nm~420nmの少なくとも何れかの波長に対して、発光波長が380nm~600nmである請求項1~3いずれか1項に記載の蛍光体組成物。
  5. シリカを主成分とする固体ガラスの前駆体と、その前駆体中に分散した炭素系量子ドットとを含有する分散液を得る分散工程と、前記前駆体をゾル-ゲル反応により固化させて、固体ガラスとその固体ガラス中に分散した炭素系量子ドットとを含有する蛍光体組成物を得る反応工程と、を含む蛍光体組成物の製造方法。
  6. 前記固体ガラスの前駆体は、金属アルコキシド、アルコール、水、および酸触媒を含有するものである請求項5に記載の蛍光体組成物の製造方法。
  7. 前記固体ガラスの前駆体は、更に多塩基酸を含有する請求項6に記載の蛍光体組成物の製造方法。
  8. 前記多塩基酸の含有量は、得られる蛍光体組成物中に0.0001~10質量%である請求項7に記載の蛍光体組成物の製造方法。
  9. 請求項1~4いずれか1項に記載の蛍光体組成物を所定の形状に成形してなる蛍光体成形物。
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