JP7269465B2 - 双ドラム式連続鋳造装置および双ドラム式連続鋳造方法 - Google Patents

双ドラム式連続鋳造装置および双ドラム式連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、双ドラム式連続鋳造装置および双ドラム式連続鋳造方法に関する。
双ドラム式連続鋳造は、溶湯を直接薄板状の鋳片(ストリップ)に鋳造する技術である。この鋳造技術に用いられる双ドラム式連続鋳造装置は、回転する一対のドラム(双ドラム)間に溜められた溶湯(例えば、溶鋼)が、凝固されながらドラムニップで圧着され、連続的にストリップを鋳造する。この双ドラム式連続鋳造装置を用いた双ドラム式連続鋳造方法によれば、ニアネットシェイプの素材を鋳造し、熱延工程を省略することができる。また、双ドラム式連続鋳造方法によれば、急冷凝固による材料特性の向上も期待される。
このような双ドラム式連続鋳造装置として、例えば、非特許文献1には、短時間で凝固コントロールすることと鋳型に掛かる過大な熱負荷を克服するため、レードルから一旦溶鋼を溜めるタンディッシュ(大タンディッシュ)の真下に、小タンディッシュ(Transition Piece:TP)が配置されたストリップキャスタが開示されている。非特許文献1では、TPは、溶鋼の鉄静圧を減少させ、鋳造ロールの幅方向の流量分布を均一にする役目を果たすとされている。
また、例えば、特許文献1には、大タンディッシュからスライディングノズルを介して小タンディッシュへ注入された溶湯を小タンディッシュから溢流させて、ベルト式連続鋳造機で鋳造する薄鋳片連続鋳造方法において、大タンディッシュから小タンディッシュへの給湯量を制御し、引き抜き速度を常に一定に制御することが開示されている。すなわち、この鋳造方法においては、小タンディッシュの湯面レベルを制御することにより、溶湯を溢流させることを特徴としている。
さらに、例えば、特許文献2には、ツインベルトキャスタを用いた連続鋳造方法において、キャスタ側のタンディッシュ側壁に開設した給湯口にゲートを設け、キャスタおよび当該キャスタ側のタンディッシュ内のそれぞれの湯面レベルに応じて、ゲートおよびキャスタ側のタンディッシュの上部に配置されたタンディッシュ(上部タンディッシュ)のノズルの開閉量を調整し、キャスタ内の湯面レベルを一定に制御することが開示されている。
加えて、例えば、特許文献3には、双ロールとタンディッシュとの間に、鋳造溶湯面をガス加圧するための加圧室を形成した双ロール式連続鋳造機が開示されている。また、この鋳造機では、上記の加圧式がタンディッシュの下端部から、ロール上面およびサイド堰上部に向けて形成されていてもよいこと、タンディッシュが底部に出湯用の流量規制ノズルを有し、このノズルの上部に底面積の比較的小さい下貯湯部を形成し、この下貯湯部の上部に底面積の比較的大きな上貯湯部を形成してもよいことなども開示されている。
特開昭60-203351号公報 特開昭61-014059号公報 特開平02-127946号公報
松下俊郎、他3名、IHI技報、石川島播磨重工業株式会社、Vol.48 No.2(2008-6)
ところで、本発明者らの検討によれば、従来の双ドラム式連続鋳造装置では、装置の運転を開始すると、鋳造プロセスの初期(特に、鋳造開始直後)に、双ドラム間の湯溜り部の湯面レベルが、理想的な湯面の上がり方を大きく上回ってしまう(突き抜けてしまう)、いわゆるオーバーシュートという現象が発生してしまうことがわかった。
このオーバーシュートが発生すると、双ドラム間の湯溜り部の湯面レベルが、狙いの湯面レベルよりも高いところまで上昇する。その結果、狙いの湯面レベルよりも上昇した部分の湯溜り壁面や、湯溜り内に設置されたスカム堰に地金が張ってしまう、という問題があった。場合によっては、双ドラム間から溶湯が溢れ出してしまう(オーバーフローしてしまう)恐れもある。
しかしながら、鋳造プロセスの初期に双ドラム間の湯溜り部の湯面レベルがオーバーシュートする問題について、上述した非特許文献1および特許文献1~3においては検討されていない。このように、これまでは、双ドラム式連続鋳造装置および双ドラム式連続鋳造方法において、鋳造プロセス初期のオーバーシュートを防止する手段は提案されていない状況である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、双ドラム式連続鋳造装置および双ドラム式連続鋳造方法において、鋳造プロセスの初期における双ドラム間の湯溜り部の湯面のオーバーシュートを防止することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、溶湯を一時的に貯留する第1タンディッシュと、前記第1タンディッシュから注入された溶湯を一時的に貯留する第2タンディッシュと、互いに反対方向に回転する一対のドラムを有し、当該一対のドラム間に前記第2タンディッシュから溶湯を注入することにより、前記一対のドラム間に湯溜りを形成して連続鋳造する連続鋳造する双ドラム式ストリップキャスタと、前記第1タンディッシュから前記第2タンディッシュへ注入される溶湯の質量流量であるスループットV1を、前記第2タンディッシュの溶湯面の高さHが所定の値となるように制御する流量制御装置と、前記双ドラム式連続鋳造装置は、前記第1タンディッシュの底部に設けられ、前記第1タンディッシュ内の溶湯を前記第2タンディッシュに注入する第1ノズルと、前記第2タンディッシュ内を上部で連通した投入部と排出部とに区分けする堰と、前記排出部の底部に設けられ、前記排出部内の溶湯を前記双ドラム式ストリップキャスタに注入する第2ノズルと、を備え、前記堰の底部が溶解壁となっており、前記第1ノズルの出口が、前記投入部内において前記堰の上端よりも低い位置となるように、前記第1ノズルが設置され、前記第2タンディッシュから前記双ドラム式ストリップキャスタへ注入される溶湯の質量流量であるスループットV2が、前記第2タンディッシュの溶湯面の高さHにより決定されることを特徴としている。
本発明によれば、第2タンディッシュを設け、この第2タンディッシュから双ドラム式ストリップキャスタに溶湯を注入することにより、第2タンディッシュから双ドラム式ストリップキャスタへの溶湯の注入速度は、第2タンディッシュの溶湯面の高さHの1/2乗に比例するようになる。したがって、鋳造開始時には、第2タンディッシュの湯面レベルは徐々に上昇し、鋳造プロセスの初期から急激な注湯が起こらないため、双ドラム式ストリップキャスタの双ドラム間の湯面レベルが、鋳造プロセスの初期においてオーバーシュートすることを防止できる。
前記双ドラム式連続鋳造装置は、少なくとも前記第2タンディッシュの底部から前記一対のドラム間に注入された溶湯の湯面までの空間を外気と遮断するカバー部材と前記カバー部材の内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、をさらに備えてもよい。
前記双ドラム式連続鋳造装置において、前記所定の値が、定常鋳造状態の前記双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片質量流量であるスループットV3が前記スループットV2と等しくなるときの前記第2タンディッシュにおける前記溶湯面の高さHであってもよい。
また、本発明は、前述した双ドラム式連続鋳造装置を用いた双ドラム式連続鋳造方法であって、定常鋳造状態の前記双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片のスループットV3が、前記スループットV2と等しくなるときの前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHを予め定めておき、前記双ドラム式連続鋳造装置の運転開始から前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さが前記高さHに到達するまでの期間には、前記スループットV2よりも大きな前記スループットV1で前記第1タンディッシュから前記第2タンディッシュに溶湯を注入し、前記双ドラム式ストリップキャスタの運転開始から、前記一対のドラム間に注湯された溶湯の湯面の湯面レベルが、前記湯面および前記ドラムの接触部とドラムニップ部とを結ぶ円弧の中心角である湯面角度が、前記鋳片のスループットV3が前記スループットV2と等しくなるときの湯面角度θに到達するまでの期間には、前記スループットV2よりも小さな前記双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片の質量流量であるスループットV3で鋳造することを特徴としている。
本発明によれば、第2タンディッシュを設け、この第2タンディッシュから双ドラム式ストリップキャスタに溶湯を注入することにより、第2タンディッシュから双ドラム式ストリップキャスタへの溶湯の注入速度は、第2タンディッシュの溶湯面の高さの1/2乗に比例するようになる。したがって、鋳造開始時には、第2タンディッシュの湯面レベルは徐々に上昇し、鋳造プロセスの初期から急激な注湯が起こらないため、双ドラム式ストリップキャスタの双ドラム間の湯面レベルが、鋳造プロセスの初期においてオーバーシュートすることを防止できる。
前記双ドラム式連続鋳造方法における前記双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片のスループットV3が一定となる定常鋳造状態、言い換えると、ドラムの周速度が一定で前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHがHに一致している状態において、前記一対のドラム間に注入された溶湯の湯面の湯面角度θが、θ<θの場合には、前記流量制御装置が、前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHが、前記高さHよりも高くなるように前記スループットV1を調整し、前記一対のドラム間に注入された溶湯の湯面の湯面角度θが、θ>θの場合には、前記流量制御装置が、前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHが、前記高さHよりも低くなるように前記スループットV1を調整してもよい。ここで、スループットとは、溶湯(例えば、溶鋼)または鋳片の質量流量(kg/min)を意味する。
本発明によれば、双ドラム式連続鋳造装置および双ドラム式連続鋳造方法において、鋳造プロセスの初期における双ドラム間の湯溜り部の湯面のオーバーシュートを防止することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置の構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法における制御方法の一例を示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置の第2タンディッシュの構成を示す模式図である。 一般的な双ドラム式ストリップキャスタに設けられるスカム堰の機能を説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法における制御方法の一例を示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置のカバー部材および不活性ガス供給装置の構成の一例を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置のカバー部材および不活性ガス供給装置の構成の他の例を示す模式図である。 本発明の実施例における双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片のスループットV3と、第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例における双ドラム式連続鋳造方法による双ドラム間における溶湯の湯面レベルのシミュレーション結果を示すグラフである。 鋳造プロセスの初期における双ドラム間の湯溜り部の湯面のオーバーシュート現象を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[オーバーシュートの発生原因とその防止手段の検討]
上述したように、従来の双ドラム式連続鋳造装置では、装置の運転を開始すると、鋳造プロセスの初期にオーバーシュートが発生してしまう。ここで、図10を参照しながら、オーバーシュートが発生する原因を説明する。
まず、双ドラム間の湯面の理想的な上がり方としては、図10に実線で示すように、主に双ドラム間の湯溜り部内の湯流れの安定性と生産性から定められる狙いの湯面レベルθ(例えば、湯面角度θ=40度)となるまで緩やかに上昇し、狙いの湯面レベルに到達した以降は、その湯面レベルを一定に保つという上がり方である。これに対して、双ドラム式連続鋳造の生産性を上げるためには、双ドラム間の湯面を狙いの湯面レベルに早めに到達させることが希求される。そのためには、鋳造プロセス初期(特に、鋳造開始直後)に双ドラム間に注入する溶湯の流量を大流量にすることが望ましい。この場合、双ドラム間の湯面が狙いの湯面レベルに近づいた際に、溶湯の流量を絞った(制限した)としても、溶湯の流量が大きいため、非常に急峻な制御(時定数の短い制御)となり、すぐに双ドラム間の湯面レベルの上昇速度が低下しない(溶湯の流量の調整に対する応答性が低い)。その結果、双ドラム間の実際の湯面レベルは、図10に破線で示すように、理想的な湯面の上がり方(図10に実線で示した曲線)を大きく上回り、オーバーシュート(図10の丸囲み部分を参照)が発生してしまう。また、双ドラム間への溶湯の流量をストッパを介して制御する場合、レードルからタンディッシュへの溶湯の注入開始時には、ストッパは閉じた状態であり、タンディッシュに溶湯が溜まってきた段階でストッパを開放する。ここで、ストッパを開放する直前には、タンディッシュ内に地金が張った状態となっており、この地金を洗い流すために、ストッパの開放直後は、ストッパを全開せざるを得ず、双ドラム間に注入される溶湯の流量が、鋳造プロセス初期に大きくなる。そのため、上記と同様に、溶湯の流量の制御が困難であり、オーバーシュートが発生してしまう。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、レードル(図示せず)から溶湯が注入される第1タンディッシュの後段(下部)に、第2タンディッシュを設け、第1タンディッシュからの第2タンディッシュへ注入される溶湯のスループットを、第2タンディッシュの溶湯面の高さHが所定の値となるように制御することで、双ドラム間へ注入される溶湯の穏やかな流量制御(時定数の長い制御)が可能であることを知見し、この知見に基づき、鋳造プロセス初期のオーバーシュートを防止する手段を着想した。
[第1実施形態]
以下、上述した知見に基づいてなされた本発明の第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置およびこの装置を用いた双ドラム式連続鋳造方法を詳述する。
(双ドラム式連続鋳造装置)
まず、図1を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1の構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1は、本実施形態に係る第1タンディッシュの一例としての大タンディッシュ10と、本実施形態に係る第2タンディッシュの一例としての小タンディッシュ20と、双ドラム式ストリップキャスタ30(以下、「双ドラムキャスタ30」と略記する。)と、流量制御装置40と、湯面レベル検出装置50と、を備える。
大タンディッシュ10は、レードル(図示せず。)から注入された溶湯を一時的に貯留する。大タンディッシュ10の底部には、第1ノズル11が設けられている。大タンディッシュ10に貯留された溶湯は、第1ノズル11から小タンディッシュ20に注入される。第1ノズル11には、第1ノズル11を流れるよう湯の流量を調整する流量調整装置として、アクチュエータ12が設けられており、このアクチュエータ12により、大タンディッシュ10から小タンディッシュ20に注入する溶湯のスループットV1が調整される。アクチュエータ12としては、ストッパ式、ゲート式、などから適宜選択することができる。相対的な比較であるが、ストッパ式は構造的に単純であるが開度特性(ストッパー移動量と流量の変化量との関係)が大きく、ストッパ自体の損傷等のトラブルが発生する場合がある。ゲート式は構造がやや複雑であるが動作は安定している。これらの方式は、各工場、設備の特性を考慮して選択すればよい。
小タンディッシュ20は、大タンディッシュ10から第1ノズル11を通して注入された溶湯を一時的に貯留する。小タンディッシュ20の底部には、第2ノズル21が設けられている。小タンディッシュ20に貯留された溶湯は、第2ノズル21から双ドラムキャスタ30の一対のドラム(双ドラム)31、31間の湯溜り部30aへ注入される。ここで、本実施形態では、第2ノズル21には、第1ノズル11のように流量調整装置は設けられておらず、小タンディッシュ20から双ドラムキャスタ30へ注入される溶湯のスループットV2は、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHにより決定される。なお、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHとは、図1に示すように、第2ノズル21の先端部(溶湯の出口側の端部)21aの側面に開口する溶湯の吐出口の中心からの、小タンディッシュ20に貯留されている溶湯の湯面レベル2TDP(例えば、溶鋼ヘッド)の高さのことを意味する。
双ドラムキャスタ30は、互いに反対方向に回転する一対のドラム(双ドラム)31、31を有し、当該一対のドラム31、31間の湯溜り部30aに小タンディッシュ20から注入された溶湯を連続鋳造する。双ドラムキャスタ30においては、回転する一対のドラム(双ドラム)31、31間に溶湯が注入され、各ドラム31の表面からの抜熱により、各ドラム31の表面に凝固シェルが形成される。2枚の凝固シェルは、双ドラム31、31間の間隔が最も小さい点で圧着され、1枚の鋳片(ストリップ)になる。
双ドラムキャスタ30の主要部分であるドラム31は、溶湯との接触による加熱に伴う熱変形が少ないこと、加熱・冷却の繰り返しで疲労破壊しないこと、溶湯を凝固させるための熱的条件が安定していることが要求される。こうした条件を満足させるために、ドラム31は、例えば、ステンレス鋼-銅合金-ニッケルめっきの3層構造とし、内部に冷却水路を設けることが好ましい。
流量制御装置40は、大タンディッシュ10から小タンディッシュ20へ注入される溶湯のスループットV1を、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHが所定の値となるように制御する。例えば、流量制御装置40は、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHが所定の値を一定に維持できるようにアクチュエータ12を制御することにより、スループットV1を調整する。このように、本実施形態では、大タンディッシュ10の第1ノズルには流量調整装置(アクチュエータ12)が設けられているが、小タンディッシュ20の第2ノズルには流量調整装置は設けられておらず、第1ノズルからの溶湯のスループットV1が、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHが所定の値で一定となるように制御されることにより、第2ノズルからの溶湯のスループットV2、すなわち、小タンディッシュ20から双ドラムキャスタ30に注入される溶湯の流量は、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHのみにより決定される。
ここで、所定の値は、双ドラムキャスタ30からの鋳片のスループットV3が一定となる定常鋳造状態(スループットが能力値となる状態)におけるスループットV3が、第2ノズル21からのスループットV2と等しくなる(V3=V2となる)ときの小タンディッシュ20における溶湯面の高さHであることが好ましい。
なお、小タンディッシュ20における溶湯の高さHの計測方法としては、例えば、小タンディッシュ20の重量を計測し、その計測値から推算する(例えば、小タンディッシュ20の変化重量を小タンディッシュ20の底面積で除することによる推算)方法や、レーザー変位計を用いて小タンディッシュ20の湯面レベル2TDPを直接計測する方法などが挙げられるが、これらの方法に制限されるものではない。
湯面レベル検出装置50は、双ドラムキャスタ30の双ドラム31、31間の湯溜り部30aの湯面レベルWSPを検出する。この湯面レベル検出装置50の具体的な構成は特に制限されるものではないが、例えば、CCDカメラ等の撮像手段を有する湯面レベル計とすることができる。なお、図1に示すように、湯面レベルWSPは、ドラム31に対する湯面角度(図1に示す断面において、湯面およびドラム31の接触部とドラムニップ部Nとを結ぶ円弧の中心角)θで表す。例えば、湯面レベル検出装置50は常時、湯面レベルWSPの湯面角度θを計測し、湯面角度θがθ>θまたはθ<θであることを検出した場合には、流量制御装置40に検出結果を送信する。この検出結果を受信した流量制御装置40は、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHを調整することで、θ=θとなるように、小タンディッシュ20からのスループットV2を制御する。
以上のように、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1によれば、小タンディッシュ20を設け、双ドラムキャスタ30の湯溜り部30aに第2ノズル21の出口を直結することにより、小タンディッシュ20から双ドラムキャスタ30への溶湯の注入速度は、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHの1/2乗に比例するようになる。したがって、鋳造開始時には、小タンディッシュ20の湯面レベル2TDPは徐々に上昇し、鋳造プロセスの初期から急激な注湯が起こらないため、双ドラムキャスタ30の双ドラム31、31間の湯面レベルWSPが、鋳造プロセスの初期においてオーバーシュートすることを防止できる。
また、定常鋳造状態(鋳造継続運転時)においては、小タンディッシュ20の湯面レベル2TDPが一定となるように流量制御装置40を制御することにより、小タンディッシュ20から双ドラムキャスタ30へ注入される溶湯のスループットV2も一定に維持される。したがって、従来の大タンディッシュ10のみ(単一のタンディッシュのみ)を有する双ドラム式連続鋳造装置における流量制御よりも容易となり、安定した鋳造プロセスを実施できる。
(双ドラム式連続鋳造方法)
次に、図2を参照しながら、上述した構成を有する本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1を運転することにより実施される本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法の流れについて説明する。図2は、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法における制御方法の一例を示す説明図である。
本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法は、以下の<条件1>~<条件3>の3つの条件を少なくとも満たす。
<条件1>
定常鋳造状態の双ドラムキャスタ30からの鋳片のスループットV3が、小タンディッシュ20から双ドラムキャスタ30へのスループットV2と等しくなる(V3=V2となる)ときの小タンディッシュ20における溶湯面の高さHを予め定めておく(以下、定常鋳造状態における値には上付きの*を付し、例えば、V3、H等のように表すこととする)。
ここで、小タンディッシュ20における溶湯面の高さHと、小タンディッシュ20から双ドラムキャスタ30へのスループットV2との間には、次の式(1)の関係がある。なお、第2ノズル21の圧損係数kとしては3~4の値を用いているが、これらの値は事前に実験により決定した。
V2 = S×k(2gH)1/2 ・・・(1)
V2:定常鋳造状態における双ドラムキャスタ30のスループット
S:第2ノズル21の断面積(出口面積)
g:重力加速度
k:第2ノズル21の圧損係数
そこで、双ドラム式連続鋳造装置1の運転に先立ち、定常鋳造状態における双ドラムキャスタ30のスループットV3が得られる小タンディッシュ20の溶湯面(湯面レベル2TDP)の高さHを予め求めておく。この高さHは、上記式(1)に基づき、次の式(2)で求めることができる。
= (V3/kS)/(2g) ・・・(2)
<条件2>
図2の最上段および上から2段目のチャートに示すように、双ドラム式連続鋳造装置1の運転開始(時刻t)から小タンディッシュ20における溶湯面の高さが定常状態における高さHに到達する(時刻t)までの期間(期間I)には、スループットV2よりも大きなスループットV1(V1>V2)で大タンディッシュ10から小タンディッシュ20に溶湯を注入するように、流量制御装置40によりアクチュエータ12を制御する。なお、V1>V2としているのは、小タンディッシュ20に溶湯を貯留するためである。
<条件3>
図2の最上段、上から3段目および最下段のチャートに示すように、双ドラムキャスタ30の運転(双ドラム31、31の回転)開始(時刻t)から、双ドラム31、31間の湯溜り部30aに注入された溶湯の湯面レベルWSPが、予定した湯面角度θ(例えば、θ=40度)に到達する(時刻t)までの期間(期間II)には、スループットV2よりも小さな双ドラムキャスタ30からの鋳片のスループットV3(V2>V3)で鋳造する。なお、V2>V3としているのは、双ドラムキャスタ30の双ドラム31、31間の湯溜り部30aに溶湯を貯留するためである。
次に、図2に基づき、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法の具体例を説明する。
<ステップS
まず、図2の最上段のチャートに示すように、レードル(図示せず。)から大タンディッシュ10へ溶湯(例えば、溶鋼)の注入を開始する(時刻t)。大タンディッシュ10内の溶湯量が所定の値に到達したら(時刻t)、アクチュエータ12(例えば、タンディッシュストッパ)を開放し、大タンディッシュ10から第1ノズル11を経由して小タンディッシュ20内に、スループットV1で溶湯を注入し始める。このときのスループットV1(第1ノズル11における溶湯の流量)は、流量制御装置40により、定常状態における双ドラムキャスタ30のスループットV3と同じ値となるように調整される。なお、スループットV3の値は予め定めておく。
小タンディッシュ20への溶湯の注入開始後、図2の上から2段目のチャートに示すように、小タンディッシュ20の湯面レベル2TDPが上昇を開始し、その結果、小タンディッシュ20における溶湯面の高さHも増加し始める。
<ステップS
大タンディッシュ10から小タンディッシュ20への溶湯の注入と同時に、小タンディッシュ20から第2ノズル21を経由して双ドラムキャスタ30の双ドラム31、31間に、スループットV2で溶湯が注ぎ込まれ、図2の最下段のチャートに示すように、湯溜り30aの湯面レベルWSPが上昇を開始する(湯面角度θが大きくなり始める)。このとき、上述したように、時刻tから小タンディッシュ20における溶湯面の高さが定常状態における高さHに到達する(時刻t)までの期間(期間I)には、スループットV1が、スループットV2よりも大きくなるように、流量制御装置40によりアクチュエータ12を制御する(上記条件2を参照)。
<ステップS
次に、図2の上から3段目および最下段のチャートに示すように、双ドラム31、31間の湯溜り部30aの湯面レベルWSPが、所定の湯面角度θ(例えば、15度)になった時点(時刻t)で、双ドラム31、31の回転を開始し、ストリップの鋳造を開始する。双ドラム31、31の回転速度は、図2の上から3段目のチャートに示すように、予め決定した加速度で増速し、目標の回転速度Vに到達したらその回転速度の値を維持する。
また、上述したように、ストリップの鋳造開始(時刻t)から、双ドラム31、31間の湯溜り部30aに注入された溶湯の湯面レベルWSPが、予定した湯面角度θ(例えば、θ=40度)に到達する(時刻t)までの期間(期間II)には、スループットV2よりも小さなスループットV3(V3<V2)でストリップを鋳造する(上記条件3を参照)。このとき、双ドラムキャスタ30のスループットV3は、双ドラム31、31の回転速度および湯溜り部30aの湯面レベルWSPから決まる。ここで、双ドラム31、31の回転速度および湯溜り部30aの湯面レベルWSPと、スループットV3との関係について以下に詳述する。
双ドラム式連続鋳造装置1のようなストリップ鋳造機において、ストリップの板厚(凝固シェル厚の2倍)は、次の式(3)に示すように、溶湯の凝固時間の1/2乗に比例する。
d = k(t)1/2 ・・・(3)
d:ストリップの板厚
t:溶湯の凝固時間
:係数(双ドラムキャスタ30に特有の値)
また、溶湯の凝固時間は、溶湯が各ドラム31に接触する時間に等しいので、ドラム31の直径を一定と仮定すると、以下の式(4)のように表せる。
t = k(θ/V) ・・・(4)
:係数
θ:湯面レベルWSP(弧角表示)
V:双ドラム31、31の回転速度
したがって、ストリップの板厚dは、以下の式(5)のような関係になる。
d = k(θ/V)1/2 ・・・(5)
:係数
上記式(5)より、狙いの板厚dのストリップを得るためには、湯溜り部30aにおける湯面レベルWSPと双ドラム31、31の回転速度との比を一定にしておけばよい。実際には、湯面レベルWSPの維持の安定性から、湯面レベルWSPの湯面角度θとして40度~50度の値を決定し、決定された湯面レベルWSPに合わせて双ドラム31、31の回転速度を決めることになる。
次に、スループットV3は、双ドラム31、31の幅を一定とすれば(当然、密度も一定となる。)、次の式(6)のような関係になる。
V3 = k×V×d
= k×(θ×V)1/2 ・・・(6)
、k:係数
仮に、湯面角度θをn倍に増加させた場合、同一の板厚dを得るためには、双ドラム31、31の回転速度Vもn倍となり、その結果、スループットV3はn倍となる。すなわち、高い湯面レベルWSPで操業するほど、双ドラム式連続鋳造の生産性が高くなる。
上述した双ドラム式連続鋳造方法において、大タンディッシュ10から小タンディッシュ20への溶湯の注入開始時における小タンディッシュ20の溶湯面(湯面レベル2TDP)の高さHを最大でも初期規定値である高さHとなるように、流量制御装置40がアクチュエータ12を制御することにより、双ドラムキャスタ30の湯溜り部30aの湯面レベルWSPがオーバーフローする(双ドラム31、31間から溶湯が溢れ出す)危険性はない。
なお、この流量制御装置40による制御は、アクチュエータ12での溶湯の流量の増減が、直接的に双ドラムキャスタ30への流量の増減とはなっていないため、非常に緩やかな制御(時定数の長い制御)となり、流量制御装置40として高応答の高価な制御装置を用いることなく、安定した湯面レベルWSPの制御が可能である。
また、鋳造開始直後の小タンディッシュ20における溶湯面(湯面レベル2TDP)の高さHは、最大でも初期規定値である高さHであるので、小タンディッシュ20から双ドラムキャスタ30へのスループットV2は、双ドラムキャスタ30のスループットV3を大きく超えることはない。そのため、双ドラム31、31間の湯面レベルWSPが鋳造開始直後にオーバーシュートすることはない。
<ステップS
双ドラムキャスタ30からの鋳片のスループットV3が一定となる定常鋳造状態においては、流量制御装置40は、アクチュエータ12を以下のように制御することにより、スループットV1を調整する。
例えば、小タンディッシュ20の溶湯面(湯面レベル2TDP)の高さHが所定の高さHとなり、すなわち、スループットV2がスループットV1と等しくなったことを前提とし、双ドラム31、31の増速が終了し、双ドラム31、31の回転速度が定常に達し(回転速度Vとなり)、かつ、双ドラムキャスタ30の湯溜り部30aの湯面レベルWSPが湯面角度θ*で安定した時点(時刻t4)以降の期間(期間III)においては、小タンディッシュ20内の溶湯面の高さHが、初期規定値である高さH(例えば、後述する実施例では、第2ノズルの先端からの溶鋼ヘッドの高さH=500mm)を維持できるように、流量制御装置40が、アクチュエータ12を制御する。
具体的には、期間IIIにおいて、双ドラム31、31間に注入された溶湯の湯面レベルWSP(湯面角度θ)が、θ<θの場合には、流量制御装置40が、小タンディッシュ20における溶湯面の高さHが、高さHよりも高くなるようにスループットV1を調整する。一方、双ドラム31、31間に注入された溶湯の湯面の湯面角度θが、θ>θの場合には、流量制御装置40が、小タンディッシュ20における溶湯面の高さHが、高さHよりも低くなるようにスループットV1を調整する。すなわち、期間IIIにおいて、湯面レベルWSPが、予定した湯面角度θ(例えば、40度)から外れていれば、流量制御装置40がアクチュエータ12を制御することにより、小タンディッシュ20内の狙いの溶湯面の高さH(溶鋼ヘッド)を増減し、すなわち、定常鋳造状態における高さHを高さH’(≠H)になるように調整することにより、湯面レベルWSPが湯面角度θになるようにする。例えば、図2の最下段のチャートに示すように、時刻t5以降の期間において、湯面レベルWSPの湯面角度θが、θ<θの場合には、図5の上から2番目のチャートに示すように、小タンディッシュ20における溶湯面の高さHを、高さH’(H’>H)に調整する。一方、時刻t5以降の期間において、湯面レベルWSPの湯面角度θが、θ>θの場合には、小タンディッシュ20における溶湯面の高さHを、高さH’(H’<H)に調整する。
以上のように、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法によれば、双ドラム式連続鋳造装置1の運転開始から、小タンディッシュ20の湯面レベル2TDPは、徐々に上昇し、鋳造プロセスの初期から急激な注湯が起こらないため、双ドラム31、31間の湯面レベルWSPの鋳造プロセスの初期におけるオーバーシュートを防止できる。また、定常鋳造状態においては、小タンディッシュ20の湯面レベル2TDPを一定に制御する、すなわち、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHが定常鋳造状態における高さH*を維持するように制御することにより、従来の双ドラム式ストリップ鋳造機のように、大タンディッシュから直接双ドラムキャスタ30へ溶湯を注入し、大タンディッシュの底部に設けられたノズルの開度を調整することにより双ドラムキャスタ30への流量(スループット)を制御する方法よりも、安定した鋳造が図れる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置およびこの装置を用いた双ドラム式連続鋳造方法を詳述する。本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置2は、上述した第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1と比較し、第2タンディッシュ20の構成が異なる。以下、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置およびこの装置を用いた双ドラム式連続鋳造方法について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
(双ドラム式連続鋳造装置)
以下、図3および図4を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置2の第2タンディッシュ20の構成を示す模式図である。図4は、一般的な双ドラム式ストリップキャスタに設けられるスカム堰32の機能を説明するための模式図である。
図3に示すように、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置2は、上述した第1実施形態と同様に、大タンディッシュ10の底部に設けられ、大タンディッシュ10内の溶湯を小タンディッシュ20に注入する第1ノズル11を有するとともに、第1実施形態とは異なり、小タンディッシュ20内に堰22をさらに備える。この堰22は、小タンディッシュ20内を投入室20aと排出室20bとに区分けする。投入室20aは、本実施形態に係る投入部の一例であり、小タンディッシュ20のうち、大タンディッシュ10から第1ノズル11を経由して溶湯が投入される部分である。排出室20bは、本実施形態に係る排出部の一例であり、小タンディッシュ20のうち、当該小タンディッシュ20から第2ノズル21を経由して双ドラムキャスタ30に溶湯が排出される部分である。投入室20aと排出室20bとは上部で連通している。すなわち、投入室20aと排出室20bとが連通した小タンディッシュ20の上部には、堰22は設けられていない。この理由は、堰22が小タンディッシュ20の上部まで設けられている場合、以下のトラブルが発生する可能性がある。第1に、流量制御装置40による第1ノズル11からの流量制御に不具合が生じ、投入室20aへの溶湯の流入が増加した場合、投入室20aから排出室20bへ溶湯が流れないため、投入室20aから溶湯がオーバーフローするタイミングが早くなる。第2に、溶解壁23の溶解が送れた場合、投入室20aから溶湯がオーバーフローする恐れがある。これらのトラブルを軽減するため、本実施形態では、堰22の高さを小タンディッシュ20の周囲の壁よりも低くすることにより、投入室20aと排出室20bが小タンディッシュ20の上部で連通するようにしている。投入室20aから溶湯がオーバーフローするタイミングが少しで遅くなれば、第1ノズル11の非常閉等の処置が有効になる。また、本実施形態に係る第2ノズル21は、排出室20bの底部に設けられ、排出室20内の溶湯を双ドラムキャスタ30に注入する。
さらに、堰22の底部は溶解壁23となっている。溶解壁23が、短時間壁を保持し、その後溶解するためには、溶解壁23の材質を、鋳造する金属と同程度の融点のものとする必要がある。従って、溶解壁23は、鋳造する金属と同じ金属で形成することが好ましい。例えば、鋳造する金属が鋼の場合には、溶解壁23は鉄板で形成される。また、鋳造する金属がアルミニウムの場合には、溶解壁23はアルミニウム板で形成される。大タンディッシュ10から小タンディッシュ20へ溶湯を注入し始めてから数秒(例えば、2~3秒)経過後、溶解壁23は溶解する。堰22の下部に溶解壁23を設ける理由は、排出室20bへの溶湯が流入する時間を僅かに遅らせることにより、溶湯成分が酸化して生成されるスカム等の介在物を投入室20aの上部へ浮上させ、清浄な溶湯を排出室20bへ導入し、この清浄な溶湯を双ドラムキャスタ30に注入するためである。また、溶解壁23を設けることにより、生成した介在物による第2ノズル21出口の吐出孔の詰まりを防止できる。
また、本実施形態によれば、小タンディッシュ20内に堰22および溶解壁23を設けることにより、小タンディッシュ20の排出室20bから清浄な溶湯が双ドラムキャスタ30の湯溜り部30aに注入される。そのため、図4に示すように、従来の双ドラム式ストリップキャスタ30の双ドラム31、31間の湯溜り部30aに設けられていたスカム堰32を省略できる。スカム堰32は、ノズル24から湯溜り部30aに注入された溶湯が、図4の矢印に示すような湯溜り部30aへの流れを堰き止め、湯面に浮遊するスカム(金属酸化物)が鋳片に巻き込まれるのを防止するためのものである。このスカム堰32が設けられていると、スカム堰32とノズル24の間、あるいはスカム堰32とサイド堰(図示していない)との間の湯面に地金が張ることがあり、正常な湯面レベル検出を阻害する一因となる。本実施形態ではスカム堰32を省略できるため、湯溜り部30aの湯面の地金皮張りを防止でき、その結果、正常な湯面レベル検出を維持でき安定した操業が可能となるとともに、正常な溶鋼が湯溜り部30aに供給される。その結果、スカム等の介在物の巻き込みが顕著に低減するため、本実施形態にかかる双ドラムキャスタ30により鋳造される鋳片(ストリップ)の品質が向上する。
また、本実施形態では、第1ノズル11の出口は、投入室20aにおいて開口しており、第1ノズル11の出口が投入室20aにおける堰22の上端よりも低い位置となるように、第1ノズル11が設置される。第1ノズル11から注入された介在物を含む溶湯が直接排出室20bに流入しないようにするためである。
さらに、小タンディッシュ20からの溶湯の流量(スループットV2)を決める高さHを規定するのに必要な小タンディッシュ20における湯面レベル2TDPは、第2ノズル21の出口の位置と堰22の上端の位置との間になるように設計する。投入室20aの湯面に浮いているスカム(酸化物)等の介在物が、堰22の上部から排出室20b側に流入するのを防止するためである。
(双ドラム式連続鋳造方法)
次に、図5を参照しながら、上述した構成を有する本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置2を運転することにより実施される本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法の流れについて説明する。図5は、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法における制御方法の一例を示す説明図である。
本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法が、上述した<条件1>~<条件3>の3つの条件を少なくとも満たすことは、第1実施形態と同様である。以下、図5に基づき、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法の具体例のうち、第1実施形態と異なる点を説明する。
<ステップS
ステップSでは、第1実施形態と同様に、レードル(図示せず。)から大タンディッシュ10へ溶湯の注入を開始し(時刻t)、大タンディッシュ10内の溶湯量が所定の値に到達したら(時刻t)、アクチュエータ12を開放し、大タンディッシュ10から第1ノズル11を経由して小タンディッシュ20内に、スループットV1で溶湯を注入し始める。本実施形態では、このとき、図5の上から2段目のチャートに示すように、まず、小タンディッシュ20の投入室20aの湯面が上昇を開始する(この時点では、排出室20bには溶湯は流入していない)。
<ステップS
小タンディッシュ20へ溶湯を注入し始めてから数秒経過後(通常は、2~3秒)、小タンディッシュ20内の堰22の下部に設けられた溶解壁23(例えば、鉄板)が溶解する(時刻t’)。溶解壁23の溶解と同時に投入室20aから排出室20bに溶湯が流入を開始し、概ね瞬時に投入室20aと排出室20bの湯面レベル2TDPは等しくなる。さらに、排出室20bの底部に設けられた第2ノズル21を経由して溶湯が双ドラム31、31間にスループットV2で注ぎ込まれ、双ドラムキャスタ30の湯溜り部30aの湯面レベルWSPが上昇を開始する。このとき、時刻tから小タンディッシュ20における溶湯面の高さが定常状態における高さHに到達する(時刻t)までの期間(期間I)には、スループットV1が、スループットV2よりも大きくなるように、流量制御装置40によりアクチュエータ12を制御することは、第1実施形態と同様である。
ステップS以下は、第1実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
(第2実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、小タンディッシュ20内に堰22および溶解壁23を設けることにより、溶湯の流れのパス(経路)が長くなるため、投入室20aにおけるスカム等の介在物の浮上を促進できる。これにより、従来、双ドラムキャスタ30の双ドラム31、31間に設けられていたスカム堰32を省略できる。その結果、湯溜り部30aの湯面に発生する皮張り(湯面にスカムによる膜が形成されること)が低減し、安定した操業が可能となるとともに、スカム等の介在物の巻き込みが低減し、介在物による鋳片表面の疵が低減するため、鋳片(ストリップ)の品質が向上する。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置およびこの装置を用いた双ドラム式連続鋳造方法を詳述する。本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置3は、上述した第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1の構成に加え、カバー部材の一例としてのフード60(またはフード60A)および不活性ガス供給装置70をさらに備える点で、第1実施形態と異なる。以下、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。なお、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法は、第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造方法と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
(双ドラム式連続鋳造装置)
以下、図6および図7を参照しながら、本発明の第3実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置の構成について説明する。図6は、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置3のカバー部材および不活性ガス供給装置の構成の一例を示す模式図である。図7は、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置3のカバー部材および不活性ガス供給装置の構成の他の例を示す模式図である。
図6に示すように、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置3は、上述した第1実施形態と同様の構成に加え、本実施形態に係るカバー部材の一例としてのフード60と、不活性ガス供給装置70とをさらに備える。フード60は、少なくとも小タンディッシュ20の底部から双ドラム31、31間に注入された溶湯の湯面(湯溜り部30aの表面)までの空間を外気と遮断する。また、不活性ガス供給装置70は、フード60の内部に不活性ガスを供給する。不活性ガスは、不活性ガス供給装置70から、フード60の内部と外部とを連通させるように設けられた不活性ガス供給ノズル71を経由して、フード60内に供給される。このように、本実施形態によれば、フード60および不活性ガス供給装置70が設けられることにより、双ドラムキャスタ30へ注湯時の溶湯の酸化が防止できるので、第1実施形態よりも、さらにスカム等の介在物の発生量が低下できる。その結果、スカム等の介在物の鋳片への巻き込み量が低下できるため、高品質の鋳片が得られる。
不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。不活性ガスのフード60内への流量は、フード60で囲まれた空間が大気圧よりも正圧に維持できれば十分である。
また、例えば、フード60とドラム31との間には、フード60の下端(ドラム31と接する側の端部)にブラシ(図示せず。)を設け、このブラシをドラム31の表面に圧接する構造とすればよい。一方、フード60とドラム31とのシールを避けるため、さらに広範囲、例えば、図7に示すように、小タンディッシュ20とピンチロール90との間をフード60Aにより覆ってもよい。
なお、本実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置3には、サイド堰80も設けられている。サイド堰80は、鋳造中の湯漏れ等を防止するためのものである。このサイド堰80は、第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1および第2実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置2に設けられていてもよいことは言うまでもない。
(第3実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、フード60(またはフード60A)および不活性ガス供給装置70を設けることにより、双ドラムキャスタ30への注湯時の酸化が防止できるので、スカム等の介在物の発生量が低下でき、さらに高品質の鋳片が得られる。
[各実施形態における操業上の効果および鋳片の品質の比較]
次に、下記表1に示す構成を備える従来の双ドラム式連続鋳造装置および上述した各実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1、2、3の操業上の効果および得られる鋳片(ストリップ)の品質について比較する。なお、表1においては、タンディッシュをTDと略記する。
Figure 0007269465000001
従来の双ドラム式連続鋳造装置の操業では、鋳造開始時に双ドラム間31、31の湯溜り部30aの湯面のオーバーシュートが発生する。また、スカム堰32とサイド堰80との間、および、スカム堰32と第2ノズル21と間の湯面に皮張りが発生(地金が生成)する。また、湯面レベル検出装置50により検出される湯面レベルWSP(検出湯面)と実際の湯面レベルWSP(実湯面)との差が大きく(検出湯面>実湯面)、実湯面が目標値よりも低いものとなり、スカム堰32が湯溜り部30aに浸漬せず、スカムが常時湯面に巻き込まれた状態となる。また、得られる鋳片の品質としては、スカム巻き込み部が多数存在し、スカム巻き込み部に鋳片の表面割れやスケールのムラ(デスケーリング性不良)を生じる。巨大な地金巻き込み部の板厚が厚く、部分的に孔が空くこともある。
一方、第1~第3実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1、2、3の操業では、双ドラム間31、31の湯溜り部30aの湯面のオーバーシュートは発生せず、緩やかに目標とする湯面レベルWSP(湯面角度θ=θ)に到達する。また、第1実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置1により得られる鋳片の品質は、スカム巻き込み部が僅かに存在し、そのスカム巻き込み部にスケールのムラを生じるが、概ね優良な品質である。第2実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置2により得られる鋳片の品質は、スカム巻き込み部が極僅かに存在し、そのスカム巻き込み部にスケールのムラを生じるが、概ね高品質である。第3実施形態に係る双ドラム式連続鋳造装置3(ただし、堰22を備える。)により得られる鋳片の品質は、スカム巻き込み部が存在せず、極めて高品質である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本発明の好適な実施形態と、上述した非特許文献1、特許文献1および特許文献2とは、第2タンディッシュ(小タンディッシュ)からの溶湯の流量(スループットV2)の制御方法が異なる。すなわち、本発明の好適な実施形態では、小タンディッシュ20の底部に設けた第2ノズル21からのスループットV2を、小タンディッシュ20の溶湯面の高さHを制御することにより調整する点で、非特許文献1、特許文献1および特許文献2とは相違する。
また、上述した特許文献3では、タンディッシュが一つのみで、第2タンディッシュ(小タンディッシュ20)への流量(スループットV1)の調整方法が示されていない。ここで、特許文献3には、「また、加圧室に送入されるガス圧が一定でも、・・・タンディッシュ3の上貯湯部15の静圧ΔHを変えるよう流量を調整し、双ロール関間の溶湯面7の高さを調整することにより、金属薄板10の厚さを一定化できる」(4頁左下)との記載がある。しかし、以下の2点から、本発明の好適な実施形態とは相違する。第1に、特許文献3は、加圧室の一定のガス圧を前提としたものであって、本発明では必要のない要件である。第2に、特許文献3のタンディッシュの前段はレードル5であり、本発明の好適な実施形態のように、第1タンディッシュおよび第2タンディッシュという2つのタンディッシュは存在しない。また、上述した実施形態に係る第2タンディッシュ(小タンディッシュ)を設けることへの示唆はない。
上述した本発明の好適な実施形態の効果を確認するため、以下の双ドラム式連続鋳造の操業シミュレーションを行った。
鋳造する鋼種は、炭素鋼(C:0.05質量%、Si:0.6質量%、Mn:1.5質量%、Al:0.03質量%、残部はFe及び不可避的不純物である。)とした。
鋳造設備は、以下のように設定した。
第1タンディッシュ(大タンディッシュ10)の容量:30トン
第2タンディッシュの容量:4トン
アクチュエータ12:ストッパ式
流量制御方法:第2タンディッシュ(小タンディッシュ20)の湯面レベルを測定し、その測定値が狙いの湯面レベル2TDPの値になるように、第1ノズル11からの流量(スループットV1)をストッパ式のアクチュエータ12により制御した。
以上の設定条件において、狙いの鋳片(ストリップ)の厚みdから予め、定常鋳造状態におけるV3(=V3)を求めた。その結果、V3=734kg/minとなった。このV3の値から、上述した下記式(2)により、定常状態における第2タンディッシュの溶湯面の高さHを求め、このHの値(=500mm)を第2タンディッシュの溶湯面の高さHの初期規定値とした。なお、下記式(2)における圧損係数kとしては、k=3を用いた。
= (V3/kS)/(2g) ・・・(2)
ここで、図9に示すように、異なる圧損係数k(例えば、図9に示す例では、圧損係数k=2、3、4、5)ごとに、予め、スループットV3と第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHとの関係を示す近似曲線を計算により求めておき、鋳造実験に先立ち溶湯放流試験を行い圧損係数kが3であることを確認した。
双ドラムキャスタ30については、以下の条件を採用した。
鋳造ロール径:600mm
鋳造ロール幅:1000mm
鋳造開始時の湯面レベルWSP(湯面角度θ):15度
定常状態における湯面レベルWSP(湯面角度θ):40度
鋳造能力(定常鋳造状態のスループットV3):734kg/min(ドラム31の冷却および凝固能力から定めた。)
本実施例における双ドラム31、31の回転開始時(立ち上げ時)の加速パターンとしては、図9に示すように、回転開始から1秒間で回転速度20mpmまで直線的に上昇させ、その後18秒間で回転速度70mpmまで直線的に上昇させ、回転速度70mpmに到達した後は、この回転速度を維持するようにした。
以上の条件の下で、双ドラム式連続鋳造の操業シミュレーションを行った結果として、第2タンディッシュから双ドラムキャスタ30へのスループットV2、双ドラムキャスタ30からのスループットV3、および、双ドラム31、31間の湯面レベルWSPの時間変化を図9に示す。
図9の湯面レベルWSPの時間変化の曲線からわかるように、鋳造プロセスの初期における双ドラム31、31間の湯溜り部30aの湯面のオーバーシュートが発生することなく、また、定常鋳造時においても湯面レベルWSPが一定であり、安定した連続鋳造の操業が可能であることがわかった。
本発明は、溶湯を直接薄板状の鋳片(ストリップ)に鋳造するストリップキャスティング技術に有用である。
1、2、3、3A 双ドラム式連続鋳造装置
10 大タンディッシュ(第1タンディッシュ)
11 第1ノズル
12 アクチュエータ
20 小タンディッシュ(第2タンディッシュ)
20a 投入室
20b 排出室
21 第2ノズル
22 堰
23 溶解壁
30 双ドラム式ストリップキャスタ
30a 湯溜り部
31 双ドラム
32 スカム堰
40 流量制御装置
50 湯面レベル検出装置
60、60A フード(カバー部材)
70 不活性ガス供給装置
71 不活性ガス供給ノズル
80 サイド堰
90 ピンチロール
2TDP 第2のタンディッシュの湯面レベル
WSP 双ドラム間の湯面レベル
N ドラムニップ部

Claims (5)

  1. 双ドラム式の連続鋳造装置であって、
    溶湯を一時的に貯留する第1タンディッシュと、
    前記第1タンディッシュから注入された溶湯を一時的に貯留する第2タンディッシュと、
    互いに反対方向に回転する一対のドラムを有し、当該一対のドラム間に前記第2タンディッシュから溶湯を注入することにより、前記一対のドラム間に湯溜りを形成して連続鋳造する双ドラム式ストリップキャスタと、
    前記第1タンディッシュから前記第2タンディッシュへ注入される溶湯の質量流量であるスループットV1を、前記第2タンディッシュの溶湯面の高さHが所定の値となるように制御する流量制御装置と、
    前記第1タンディッシュの底部に設けられ、前記第1タンディッシュ内の溶湯を前記第2タンディッシュに注入する第1ノズルと、
    前記第2タンディッシュ内を上部で連通した投入部と排出部とに区分けする堰と、
    前記排出部の底部に設けられ、前記排出部内の溶湯を前記双ドラム式ストリップキャスタに注入する第2ノズルと、
    を備え、
    前記堰の底部が溶解壁となっており、
    前記第1ノズルの出口が、前記投入部内において前記堰の上端よりも低い位置となるように、前記第1ノズルが設置され、
    前記第2タンディッシュから前記双ドラム式ストリップキャスタへ注入される溶湯の質量流量であるスループットV2が、前記第2タンディッシュの溶湯面の高さHにより決定されることを特徴とする、双ドラム式連続鋳造装置。
  2. 少なくとも前記第2タンディッシュの底部から前記一対のドラム間に注入された溶湯の湯面までの空間を外気と遮断するカバー部材と、
    前記カバー部材の内部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の双ドラム式連続鋳造装置。
  3. 前記所定の値が、定常鋳造状態の前記双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片の質量流量であるスループットV3が前記スループットV2と等しくなるときの前記第2タンディッシュにおける前記溶湯面の高さHであることを特徴とする、請求項1または2に記載の双ドラム式連続鋳造装置。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の双ドラム式連続鋳造装置を用いた双ドラム式連続鋳造方法であって、
    定常鋳造状態の前記双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片のスループットV3が、前記スループットV2と等しくなるときの前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHを予め定めておき、
    前記双ドラム式連続鋳造装置の運転開始から前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さが前記高さHに到達するまでの期間には、前記スループットV2よりも大きな前記スループットV1で前記第1タンディッシュから前記第2タンディッシュに溶湯を注入し、
    前記双ドラム式ストリップキャスタの運転開始から、前記一対のドラム間に注湯された溶湯の湯面の湯面レベルが、前記湯面および前記ドラムの接触部とドラムニップ部とを結ぶ円弧の中心角である湯面角度が、前記鋳片のスループットV3が前記スループットV2と等しくなるときの湯面角度θに到達するまでの期間には、前記スループットV2よりも小さな前記双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片の質量流量であるスループットV3で鋳造することを特徴とする、双ドラム式連続鋳造方法。
  5. 前記双ドラム式ストリップキャスタからの鋳片のスループットV3が一定となる定常鋳造状態において、
    前記一対のドラム間に注入された溶湯の湯面の湯面角度θが、θ<θの場合には、前記流量制御装置が、前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHが、前記高さHよりも高くなるように前記スループットV1を調整し、
    前記一対のドラム間に注入された溶湯の湯面の湯面角度θが、θ>θの場合には、前記流量制御装置が、前記第2タンディッシュにおける溶湯面の高さHが、前記高さHよりも低くなるように前記スループットV1を調整することを特徴とする、請求項4に記載の双ドラム式連続鋳造方法。
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