JP7269396B2 - 磁気ディスク基板用研磨剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体、ハードディスクといった磁気記録媒体などの電子部品の研磨に使用される研磨剤組成物に関する。特に、ガラス磁気ディスク基板やアルミニウム磁気ディスク基板などの磁気記録媒体用基板の表面研磨に使用される研磨剤組成物に関する。さらには、アルミニウム合金製の基板表面に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した磁気記録媒体用アルミニウム磁気ディスク基板の表面研磨に使用される研磨剤組成物に関する。
従来、アルミニウム磁気ディスク基板の無電解ニッケル-リンめっき皮膜表面を研磨するための研磨剤組成物として、研磨工程の生産性向上の観点から、高い研磨速度を実現し得る比較的粒径の大きなアルミナ粒子を水に分散させた研磨剤組成物が使用されてきた。しかし、アルミナ粒子はアルミニウム磁気ディスク基板の無電解ニッケル-リンめっき皮膜に比べてかなり硬度が高いため、アルミナ粒子を使用した場合、アルミナ粒子が基板に突き刺さり、この突き刺さった粒子が後段の研磨工程および洗浄工程に悪影響を与えていた。そして、基板表面の面質が悪化し、その対応の為、生産性を下げる要因となることが問題となっていた。
このような問題の解決策として、アルミナ粒子とシリカ粒子とを組み合わせた研磨剤組成物が提案されている(特許文献1~4等)。また、アルミナ粒子を使用せず、シリカ粒子のみで研磨する方法が提案されている(特許文献5~9)。
特開2001-260005号公報 特開2009-176397号公報 特開2011-204327号公報 特開2012-43493号公報 特開2010-167553号公報 特表2011-527643号公報 特開2014-29754号公報 特開2014-29755号公報 特開2012-155785号公報
特許文献1~4のように、アルミナ粒子とシリカ粒子とを組み合わせることにより、基板に突き刺さったアルミナ粒子をある程度除去することは可能となる。しかしながら、このアルミナ粒子を含む研磨剤組成物を使用する限り、研磨剤組成物中に含まれるアルミナ粒子が基板に突き刺さる可能性は、依然として残っている。また、このような研磨剤組成物は、アルミナ粒子とシリカ粒子の両方を含むため、それぞれの粒子が有する特性を相互に打ち消し合い、研磨速度および表面平滑性が悪化するという問題が生じる。
そこで、アルミナ粒子を使用せずに、シリカ粒子のみで研磨する方法が提案されている。特許文献5および6では、コロイダルシリカと研磨促進剤との組み合わせが提案されている。特許文献7および8では、コロイダルシリカやヒュームドシリカ、表面修飾されたシリカ、水ガラス法で製造されたシリカなどによる研磨、特に特殊な形状のコロイダルシリカを使用する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、研磨速度が不十分であり、改良が求められている。
また、特許文献9では、破砕シリカ粒子を使用することにより、アルミナ粒子に近い研磨速度を出す方法が提案されている。しかしながら、この方法では、表面平滑性が悪化するという問題があり、改良が求められている。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、アルミナ粒子を使用することなく、研磨速度を維持しながら、良好な表面平滑性と良好な洗浄性を実現することにより、後段(粗研磨後)の研磨工程および洗浄工程の負荷を軽減し、生産性向上に寄与する研磨剤組成物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、一つ目の態様として特定粒子径のコロイダルシリカと、特定粒子径の粉砕された湿式法シリカ粒子と、含窒素有機化合物及び/又は含窒素高分子化合物を組み合わせることにより、研磨速度を維持しながら、良好な表面平滑性と良好な洗浄性を達成し、後段工程の生産性向上に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、二つ目の態様として、特定粒子径のコロイダルシリカと、特定粒子径の粉砕された湿式法シリカ粒子と、カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を組み合わせることにより、研磨速度を維持しながら、良好な表面平滑性と良好な洗浄性を達成し、後段工程の生産性向上に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに三つ目の態様として、特定粒子径のコロイダルシリカと、特定粒子径の粉砕された湿式法シリカ粒子と、含窒素有機化合物及び/又は含窒素高分子化合物と、カルボン酸基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を組み合わせることにより、研磨速度を維持しながら、良好な表面平滑性と、極めて良好な洗浄性を達成し、後段工程の生産性向上に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下に示す研磨剤組成物が提供される。
] 平均一次粒子径5~200nmのコロイダルシリカと、平均粒子径100~1000nmの粉砕された湿式法シリカ粒子と、カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体と、水と、を含み、前記カルボン酸基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体は、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位とスルホン酸基を有する単量体に由来する構成単位の量比が、mol比で95:5~5:95の範囲にある共重合体であり、さらにカルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を含有し、前記アミド基を有する単量体がアクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、全シリカ粒子に占める前記コロイダルシリカの割合が5~95質量%、前記粉砕された湿式法シリカ粒子の割合が5~95質量%であり、全シリカ粒子の濃度が1~50質量%である磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
] 前記カルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体は、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位とアミド基を有する単量体に由来する構成単位の量比が、mol比で95:5~5:95の範囲にある共重合体である前記[]に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
] 前記カルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体は、重量平均分子量が1,000~1,000,000であり、前記研磨剤組成物中の濃度が0.0001~2.0質量%である前記[]または[]に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
] 前記研磨剤組成物が酸をさらに含有し、pH値(25℃)が0.1~4.0の範囲にある前記[1]~[]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
] 前記研磨剤組成物が酸化剤をさらに含有している前記[1]~[]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
] 無電解ニッケル-リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板の研磨に用いられる前記[1]~[]のいずれかに記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
本発明の磁気ディスク基板用研磨剤組成物は、[1]コロイダルシリカと、粉砕された湿式法シリカ粒子と、含窒素有機化合物及び/又は含窒素高分子化合物の組み合わせ、[2]コロイダルシリカと、粉砕された湿式法シリカ粒子と、カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の組み合わせ、[3]コロイダルシリカと、粉砕された湿式法シリカ粒子と、含窒素有機化合物及び/又は含窒素高分子化合物と、カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の組み合わせである。いずれの組み合わせの研磨剤組成物でも、アルミニウム合金製の基板表面に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した磁気記録媒体用アルミニウム磁気ディスク基板の表面を研磨する際に、研磨速度を維持しながら、良好な表面平滑性と良好な洗浄性を達成し、後段工程の生産性向上に寄与するものである。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.研磨剤組成物
本発明の研磨剤組成物は、一つ目の態様は、コロイダルシリカと、粉砕された湿式法シリカ粒子と、含窒素有機化合物及び/又は含窒素高分子化合物を含有する水系組成物である。
二つ目の態様は、コロイダルシリカと、粉砕された湿式法シリカ粒子と、カルボン酸基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を含有する水系組成物である。
三つ目の態様は、コロイダルシリカと、粉砕された湿式法シリカ粒子と、含窒素有機化合物及び/又は含窒素高分子化合物と、カルボン酸基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を含有する水系組成物である。
コロイダルシリカの平均一次粒子径は5~200nmであり、粉砕された湿式法シリカ粒子の平均粒子径は100~1000nmである。ここで、湿式法シリカ粒子は、その製造工程において、粉砕により解砕されたものである。即ち、湿式法シリカ粒子の製造工程は、粉砕工程を含むものである。
以下、本発明の研磨剤組成物について、さらに詳細に説明する。以下の説明中、単に、「研磨剤組成物」という場合、特に断らない限り、本発明の研磨剤組成物を意味する。また、以下の説明中、単に「コロイダルシリカ」、「湿式法シリカ粒子」と言う場合、特に断らない限り、本発明において用いられるコロイダルシリカ、湿式法シリカ粒子を意味するものとする。本発明で使用されるシリカとしては、必須成分としてのコロイダルシリカと湿式法シリカ粒子以外に、任意成分としてヒュームドシリカを使用することもできる。
1-1.コロイダルシリカ
本発明の研磨剤組成物に含有されるコロイダルシリカは、平均一次粒子径が5~200nmである。平均一次粒子径が5nm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。平均一次粒子径が200nm以下であることにより、研磨後の基板の表面平滑性の悪化を抑制することができる。コロイダルシリカの平均一次粒子径は、好ましくは10~150nmであり、さらに好ましくは30~100nmである。
コロイダルシリカは、球状、金平糖型(表面に凸部を有する粒子状)、異形型などの形状が知られており、水中に一次粒子が単分散してコロイド状をなしている。本発明で使用されるコロイダルシリカとしては、球状、または球状に近いコロイダルシリカが好ましい。球状、または球状に近いコロイダルシリカを用いることで、表面平滑性をより向上させることができる。コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウムを原料とする水ガラス法、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランを酸またはアルカリで加水分解することによって得られるアルコキシシラン法などにより製造される。
1-2.湿式法シリカ粒子
本発明で使用される湿式法シリカ粒子は、ケイ酸アルカリ水溶液と無機酸または無機酸水溶液とを反応容器に添加することにより、沈殿ケイ酸として得られる湿式法シリカから粉砕工程を経て調製される粒子のことであり、本発明の湿式法シリカ粒子には上述のコロイダルシリカは含まれない。
湿式法シリカ粒子の原料であるケイ酸アルカリ水溶液としては、ケイ酸ナトリウム水溶液、ケイ酸カリウム水溶液、ケイ酸リチウム水溶液などが挙げられるが、一般的には、ケイ酸ナトリウム水溶液が好ましく使用される。無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸等を挙げることができるが、一般的には硫酸が好ましく使用される。反応終了後、反応液を濾過、水洗し、その後乾燥機で水分が6%以下になるように乾燥を行う。乾燥機は静置乾燥機、噴霧乾燥機、流動乾燥機のいずれでも良い。その後ジェットミル等の粉砕機で粉砕し、さらに分級を行い、湿式法シリカ粒子を得る。このように粉砕により解砕された湿式法シリカ粒子の粒子形状は、角部を有しており、球状に近い粒子よりも研磨能力が高い。
湿式法シリカ粒子の平均粒子径は、100~1000nmであることが好ましく、より好ましくは200~800nmであり、さらに好ましくは200~600nmである。平均粒子径が100nm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。平均粒子径が1000nm以下であることにより、研磨後の基板の表面平滑性の悪化を抑制することができる。
1-3.ヒュームドシリカ
本発明で任意成分として使用されるヒュームドシリカは、揮発性シラン化合物(一般には四塩化ケイ素が用いられる。)を酸素と水素の混合ガスの炎の中(1000℃内外)で加水分解させたもので、極めて微細で高純度なシリカ粒子である。コロイダルシリカと比べると、コロイダルシリカが個々に分散した一次粒子として存在するのに対し、ヒュームドシリカは一次粒子が多数凝集し、鎖状につながり二次粒子を形成している。この二次粒子の形成により研磨パッドへの保持力が高くなり、研磨速度を向上させることができる。
本発明で使用されるヒュームドシリカは、通常平均粒子径が30~800nmである。好ましくは60~600nmであり、さらに好ましくは80~400nmである。平均粒子径が30nm以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。平均粒子径が800nm以下であることにより、研磨後の基板の表面平滑性の悪化を抑制できる。
尚、ここに開示される技術において、ヒュームドシリカの平均粒子径とは、特記しない限り、動的光散乱法に基づく体積基準の平均粒子径(D50)をいう。ヒュームドシリカの平均粒子径とは、一次粒子であるか二次粒子であるかを問わず、研磨剤組成物中に分散している粒子の平均粒子径をいう。
全シリカ粒子に占めるコロイダルシリカの割合は、5~95質量%であり、好ましくは10~80質量%であり、さらに好ましくは10~70質量%である。全シリカ粒子に占める湿式法シリカ粒子の割合は、5~95質量%であり、好ましくは10~80質量%であり、さらに好ましくは10~70質量%である。
全シリカ粒子の濃度は、研磨剤組成物全体の1~50質量%であり、好ましくは2~40質量%である。全シリカ粒子の濃度が1質量%以上であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。全シリカ粒子の濃度が50質量%以下であることにより、必要以上のシリカ粒子を使用することなく十分な研磨速度を維持することができる。
1-4.含窒素有機化合物
本発明で使用される含窒素有機化合物は、脂肪族アルカノールアミン、環状アミン、ポリアルキレンポリアミン、第4級アンモニウム塩からなる群より選ばれる化合物の少なくとも1種又はこれらの混合物である。
脂肪族アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、モノ-n-プロパノールアミン、ジ-n-プロパノールアミン、トリ-n-プロパノールアミンなどが挙げられる。
環状アミンとしては、ピペリジン、ピペラジン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンなどが挙げられる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げられる。
第4級アンモニウム塩としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でも、ポリアルキレンポリアミン、及び第4級アンモニウム塩が好ましい。
含窒素有機化合物の研磨剤組成物中の濃度は、通常0.00001~1.0質量%であり、より好ましくは0.00005~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.0001~0.3質量%である。
1-5.含窒素高分子化合物
本発明で使用される含窒素高分子化合物は、好ましくはカチオン性含窒素高分子化合物であり、例えば第4級アンモニウム塩の基を有する単量体を必須単量体とする重合体又は共重合体が挙げられる。さらに好ましくはジアリルジアルキルアンモニウム塩を必須単量体とする重合体又は共重合体が挙げられる。具体的には、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド又はジアリルジエチルアンモニウムクロライドを必須単量体とする重合体又は共重合体が挙げられる。さらに具体的には、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジエチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ共重合体、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体、ジアリルジエチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体などが挙げられる。
含窒素高分子化合物の重量平均分子量は通常500~1,000,000であり、好ましくは1,000~500,000である。尚、含窒素の高分子化合粒の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリエチレングリコール換算で測定したものである。
含窒素高分子化合物の研磨剤組成物中の濃度は、固形分換算で、0.00001~1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.00005~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.0001~0.3質量%である。
1-6.カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体
カルボン酸基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体について以下に説明する。カルボン酸基を有する単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩などが挙げられる。スルホン酸基を有する単量体の例としては、イソプレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸およびそれらの塩などが挙げられる。
カルボン酸基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の具体例としては、アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、メタクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体、メタクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸/2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体、メタクリル酸/2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸共重合体などが挙げられる。
上記カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体中のカルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位とスルホン酸基を有する単量体に由来する構成単位の割合は、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位とスルホン酸基を有する単量体に由来する構成単位との量比が、mol比で95:5~5:95の範囲であることが好ましく、より好ましくは、mol比で90:10~10:90であり、さらに好ましくは、mol比で80:20~20:80である。
上記カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000~1,000,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000~500,000の範囲である。尚、共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸換算で測定したものである。
上記カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体の研磨剤組成物中の濃度は、固形分換算で、0.0001~2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.005~0.5質量%である。
1-7.カルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体
本発明で、研磨速度を向上させる目的で好ましく使用されるカルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体について以下に説明する。
カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位は、一部がカルボン酸の塩として含有されていても良い。カルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位を、カルボン酸として含有させるには、カルボン酸基を有する単量体として重合しても良いし、カルボン酸塩の基を有する単量体として重合した後、陽イオン交換することによりカルボン酸へと変換しても良い。また、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位をカルボン酸の塩として含有させるには、カルボン酸塩の基を有する単量体として重合しても良いし、カルボン酸基を有する単量体として重合した後、塩基で中和することによりカルボン酸の塩を形成しても良い。
カルボン酸として含有される構成単位と、カルボン酸の塩として含有される構成単位との割合を評価するには、共重合体水溶液のpH値を用いることができる。共重合体水溶液のpH値が低い場合には、カルボン酸として含有される構成単位の含有割合が高いと評価できる。一方、共重合体水溶液のpH値が高い場合には、カルボン酸の塩として含有される構成単位の含有割合が高いと評価できる。本発明においては、例えば、濃度10質量%の共重合体水溶液におけるpH値が1~13の範囲の共重合体を用いることができる。
アミド基を有する単量体としては、α,β-エチレン性不飽和アミドを用いることが好ましい。より具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミドなどのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。
N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミドなどの好ましい具体例としては、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミド、N-iso-プロピルアクリルアミド、N-n-ブチルアクリルアミド、N-iso-ブチルアクリルアミド、N-sec-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-n-プロピルメタクリルアミド、N-iso-プロピルメタクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-iso-ブチルメタクリルアミド、N-sec-ブチルメタクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミドなどが挙げられる。なかでも、N-n-ブチルアクリルアミド、N-iso-ブチルアクリルアミド、N-sec-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-n-ブチルメタクリルアミド、N-iso-ブチルメタクリルアミド、N-sec-ブチルメタクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミドが特に好ましい。
これらの単量体成分を組み合わせて重合することにより、共重合体とすることが好ましい。共重合体の組み合わせとしては、アクリル酸および/またはその塩とN-アルキルアクリルアミドの組み合わせ、アクリル酸および/またはその塩とN-アルキルメタクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN-アルキルアクリルアミドの組み合わせ、メタクリル酸および/またはその塩とN-アルキルメタクリルアミドの組み合わせが好ましく用いられる。なかでも、N-アルキルアクリルアミドまたはN-アルキルメタクリルアミドのアルキル基が、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基からなる群より選択される少なくとも1つであるものが特に好ましく用いられる。
上記カルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体中のカルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位とアミド基を有する単量体に由来する構成単位の割合は、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位とアミド基を有する単量体に由来する構成単位の量比が、mol比で95:5~5:95の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、mol比で90:10~10:90の範囲である。
上記カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位およびアミド基を有する単量体に由来する構成単位を含有する共重合体の重量平均分子量は、好ましくは1,000~1,000,000の範囲であり、さらに好ましくは3,000~500,000の範囲である。尚、共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸換算で測定したものである。
上記カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位およびアミド基を有する単量体に由来する構成単位を含有する共重合体の研磨剤組成物中の濃度は、固形分換算で、0.0001~2.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.005~0.5質量%である。
1-8.酸
酸としては、具体的には硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の無機酸、2-アミノエチルホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン(メチレンホスホン酸)、エタン-1,1-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等の有機ホスホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸等のカルボン酸などが挙げられる。酸の使用量は、研磨剤組成物のpH値の設定に応じて適宜決められる。
1-9.酸化剤
酸化剤としては、過酸化物、過マンガン酸またはその塩、クロム酸またはその塩、過ヨウ素酸またはその塩などが挙げられる。具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、過マンガン酸カリウム、オルト過ヨウ素酸、メタ過ヨウ素酸ナトリウムなどが挙げられる。これらの中でも過酸化水素が好ましい。酸化剤は、研磨剤組成物中の含有量として、通常0.1~10.0質量%の範囲で使用される。
本発明の研磨剤組成物は、上記成分の他に、緩衝剤、防かび剤、防菌剤などを含有してもよい。
1-10.物性
本発明の研磨剤組成物のpH値(25℃)は0.1~4.0であることが好ましく、より好ましくは0.5~3.0である。研磨剤組成物のpH値(25℃)が0.1以上であることにより、表面平滑性の悪化を抑制することができる。研磨剤組成物のpH値(25℃)が4.0以下であることにより、研磨速度の低下を抑制することができる。無電解ニッケル-リンめっきにおいて、pH値(25℃)が4.0以下の条件ではニッケルが溶解傾向に向かうため、めっきが進行しにくくなる。一方、研磨においては、例えば、pH値(25℃)が4.0以下の条件下でニッケルが溶解傾向となるため、本発明の研磨剤組成物を用いることにより、研磨速度を高めることが可能になる。
2.磁気ディスク基板の研磨方法
本発明の研磨剤組成物は、無電解ニッケル-リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板(以下、「アルミディスク」)やガラス磁気ディスク基板等の磁気ディスク基板の研磨での使用に適している。特にアルミディスクの研磨での使用に適している。
本発明の研磨剤組成物を適用することが可能な研磨方法としては、例えば、研磨機の定盤に研磨パッドを貼り付け、研磨対象物(例えばアルミディスク)の研磨する表面または研磨パッドに研磨剤組成物を供給し、研磨する表面を研磨パッドで擦り付ける方法(ポリッシングと呼ばれている)がある。例えば、アルミディスクのおもて面と裏面を同時に研磨する場合には、上定盤および下定盤それぞれに研磨パッドを貼り付けた両面研磨機を用いる方法がある。この方法では、上定盤および下定盤に貼りつけた研磨パッドの間に研磨剤組成物を供給し、2つの研磨パッドを同時に回転させることによって、アルミディスクのおもて面と裏面を研磨する。研磨パッドは、ウレタンタイプ、スウェードタイプ、不織布タイプ、その他いずれのタイプも使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
(研磨剤組成物の調製方法)
実施例1~4、参考例1~26および比較例1~5で使用した研磨剤組成物は、下記の材料を、下記の含有量で含んだ研磨剤組成物である。尚、全ての実施例と比較例で全シリカ粒子の濃度は4質量%であり、研磨剤組成物のpHは1.2である。これらの研磨剤組成物を使用して研磨試験を行った結果を表1~3に示した。
<コロイダルシリカ1>(平均一次粒子径(D50):50nm、市販のコロイダルシリカ)
全シリカ粒子中の割合は表1~3に示した。実施例1~4、参考例1~6、8~21、23~26、比較例1~5で使用した。
<コロイダルシリカ2>(平均一次粒子径(D50):80nm、市販のコロイダルシリカ)
全シリカ粒子中の割合は表1、3に示した。参考22で使用した。
<湿式法シリカ粒子1>(平均粒子径(D50):300nm、市販の湿式法シリカ粒子)
全シリカ粒子中の割合は表1~3に示した。実施例1~参考例1~7、9~22、24~26、比較例1~5で使用した。
<湿式法シリカ粒子2>(平均粒子径(D50):400nm、市販の湿式法シリカ粒子)
全シリカ粒子中の割合は表1、3に示した。参考23で使用した。
<ヒュームドシリカ>(平均粒子径(D50):270nm、市販のヒュームドシリカ)
全シリカ粒子中の割合は50質量%であり、実施例3、4、参考例26、比較例4、5で使用した。
<硫酸>研磨剤組成物のpHが1.2になるように添加量を調整した。実施例1~4、参考例1~26、比較例1~5で使用した。
<過酸化水素>0.9質量%、実施例1~4、参考例1~26、比較例1~5で使用した。
<ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド>(第一工業製薬(株)製、DC-902P、重量平均分子量=8000)添加量は表1~3に示した。実施例1、3、参考例1、2、5~9、12、13、16、17、20~24で使用した。
<ペンタエチレンヘキサミン:PEHAと略す>添加量は表1~3に示した。参考例3、118で使用した。
<ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド>(第一工業製薬(株)製、カチオーゲンBC-50)添加量は表1~3に示した。参考例4、119で使用した。
<アクリルポリマー1>(アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸=50/50(mol比)の共重合体ナトリウム塩、重量平均分子量=10000)添加量は表1、3に示した。実施例1~4、参考例6、10、21、25で使用した。
<アクリルポリマー2>(アクリル酸/2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸=90/10(mol比)の共重合体ナトリウム塩、重量平均分子量=10000)添加量は表1、3に示した。参考例126で使用した。
<アクリルポリマー3>(アクリル酸/N-tert-ブチルアクリルアミド=90/10(mol比)の共重合体、重量平均分子量=10000)添加量は表1、3に示した。実施例1~4、参考例5、9、20、24で使用した。
<アクリルポリマー4>(アクリル酸の単独重合体ナトリウム塩、重量平均分子量=10000)添加量は表1、3に示した。比較例2、5で使用した。
なお、アクリルポリマー1、2、3、4の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸換算で測定したものであり、以下にGPC測定条件を示す。
[GPC条件]
カラム: TSKgel G4000PWXL(東ソー製)+G2500PWXL(東ソー製)+SHODEX OHpak SB-806M-HQ(昭和電工製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファー/アセトニトリル=9/1(容量比)
流速:1.0mL/min
温度: 40℃
検出: 示差屈折率(RI)
サンプル: 濃度0.1wt%(注入量100μL)
検量線用ポリマー: ポリアクリル酸 分子量(Mp)11.5万、2.8万、4100、1250(創和科学(株)、American Polymer Standards Corp.)
(シリカ粒子の粒径測定方法)
コロイダルシリカの粒子径(Heywood径)は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡JEM2000FX(200kV)を用いて倍率10万倍の視野の写真を撮影し、この写真を解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac-View Ver.4.0)を用いて解析することによりHeywood径(投射面積円相当径)として測定した。コロイダルシリカの平均一次粒子径は、前述の方法で2000個程度のコロイダルシリカの粒子径を解析し、小粒径側からの積算粒径分布(累積体積基準)が50%となる粒径を上記解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac-View Ver 4.0)を用いて算出した平均一次粒子径(D50)である。
湿式法シリカ粒子の平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラックUPA)を用いて測定した。湿式法シリカ粒子の平均粒子径は、体積を基準とした小粒径側からの積算粒径分布が50%となる平均粒子径(D50)である。
ヒュームドシリカの平均粒子径は、動的光散乱式粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラックUPA)を用いて測定した。ヒュームドシリカの平均粒子径は、体積を基準とした小粒径側からの積算粒径分布が50%となる平均粒子径(D50)である。
(研磨条件)
無電解ニッケル-リンめっきした外径95mmのアルミディスクを研磨対象の基板として、下記研磨条件で研磨を行った。
研磨機:システム精工(株)製、9B両面研磨機
研磨パッド:(株)FILWEL社製、P1パッド
定盤回転数:上定盤 -9.0min-1
下定盤 12.0min-1
研磨剤組成物供給量: 90ml/min
研磨時間:研磨量が1.2~1.5μm/片面となる時間まで研磨する。
(240~720秒)
加工圧力:120kPa
(研磨速度比)
研磨速度は、研磨後に減少したアルミディスクの質量を測定し、下記式に基づいて算出した。
研磨速度(μm/min)=アルミディスクの質量減少量(g)/研磨時間(min)/アルミディスク片面の面積(cm)/無電解ニッケル-リンめっき皮膜の密度(g/cm)/2×10
(ただし、上記式中、アルミディスク片面の面積は65.9cm、無電解ニッケル-リンめっき皮膜の密度は、8.0g/cm
研磨速度比は、上記式を用いて求めた比較例の研磨速度を1(基準)とした場合の相対値である。表1においては、比較例1の研磨速度を1として、他の実験例を相対値で表した。表2においては、比較例3の研磨速度を1として、他の実験例を相対値で表した。表3においては、比較例4の研磨速度を1として、他の実験例を相対値で表した。
(ピット)
ピットはZygo社製の走査型白色干渉法を利用した三次元表面構造解析顕微鏡を用いて測定した。Zygo社製の測定装置(New View 8300(レンズ:1.4倍、ズーム:1.0倍)とZygo社製の解析ソフト(Mx)を用いて測定した。得られた形状プロファイルにおいて、ピットがほとんど認められない場合に「○(良)」と評価した。ピットが若干認められた場合に「△(可)」と評価した。ピットが多数認められた場合に「×(不可)」と評価した。評価が「×(不可)」とは、目視でもピットを観察することができる場合であるが、今回の実験ではなかった。
(うねり(Zygo-Sa))
アルミディスクのうねり(Sa)は、Zygo社製の走査型白色干渉法を利用した三次元表面構造解析顕微鏡を用いて測定した(以下、この方法によって測定したうねりを、「Zygo-Sa」という)。測定条件は、Zygo社製の測定装置(New View 8300(レンズ:1.4倍、ズーム:1.0倍)、波長100~500μmとし、測定エリアは6mm×6mmとし、Zygo社製の解析ソフト(Mx)を用いて解析を行った。
(研磨剤の洗浄性の評価方法)
各実施例・各比較例で研磨後のアルミディスクに対して、イオン交換水でリンスし、イオン交換水を用いてバフ洗浄を行い、バフ洗浄後さらにイオン交換水でリンスを行ったのち、スピン乾燥を行った。得られたアルミディスクを、洗浄性評価用基板とした。
なお、上記の操作はクリーンルーム内で実施した。
上記で得られた洗浄性評価用基板を、基板表面の微細な残留パーティクルを強調し、検査することができる装置ビジョンサイテックス社製のMicroMAX VMX-4100を用いて、アルミディスクのおもて面と裏面に対して、下記の測定条件下でおもて面を6視野、裏面を6視野(合計12視野)観察し、一つの視野中(9mm×7mm)に観察された残留パーティクルの数を計測した。そして、上述の方法で観察された残留パーティクルの数について、下記「洗浄性評価基準」に照らしあわせて12視野合計の残留パーティクルの数から点数を付与した。洗浄性評価の点数を表1、表2および表3に示す。
MicroMAX VMX-4100測定条件:
傾斜:-5°
アイリス:10
ズーム:10
洗浄性評価基準(12視野合計の残留パーティクル数):
◎:残留パーティクル数0~10個
〇:残留パーティクル数11~30個
△:残留パーティクル数31~50個
×:残留パーティクル数>50個
Figure 0007269396000001
Figure 0007269396000002
Figure 0007269396000003
(考察)
実施例1、3、参考例1~9、12~15、16~24は、それぞれ窒素有機化合物・高分子化合物を含まない比較例1、3、4よりも優れた洗浄性を示している。実施例2、4、参考例10、11、25、26は、それぞれカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を含まない比較例1、4よりも優れた洗浄性を示している。参考参考例2はうねり高く見えるが、これは湿式法シリカの粒子径が大きいことによる影響であり、粒子径による影響を除けば、実施例においてうねりは問題がなかった。また、かわりにアクリル酸単独重合体を添加した比較例2、5では、洗浄性の改善効果がみられない。
実施例参考例621は、それぞれ含窒素有機化合物・高分子化合物とカルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を含まない比較例1、4よりも優れた洗浄性を示している。また、いずれかの共重合体を含まない、実施例2、参考例1、1、と1、2よりも洗浄性がさらに良好な結果となっている。
以上の効果に加えて、実施例1~4、参考例5、9、20、24は、それぞれに対応する実施例に、さらにカルボン酸基を有する単量体およびアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を追加添加した実験例であり、いずれの場合も対応する実施例より研磨速度が向上している。
本発明の研磨剤組成物は、半導体、ハードディスクといった磁気記録媒体などの電子部品の研磨に使用することができる。特に、ガラス磁気ディスク基板やアルミニウム磁気ディスク基板などの磁気記録媒体用基板の表面研磨に使用することができる。さらには、アルミニウム合金製の基板表面に無電解ニッケル-リンめっき皮膜を形成した磁気記録媒体用アルミニウム磁気基板の表面研磨に使用することができる。

Claims (6)

  1. 平均一次粒子径5~200nmのコロイダルシリカと、
    平均粒子径100~1000nmの粉砕された湿式法シリカ粒子と、
    カルボン酸基を有する単量体およびスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体と、
    水と、を含み、
    前記カルボン酸基を有する単量体及びスルホン酸基を有する単量体を必須単量体とする共重合体は、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位とスルホン酸基を有する単量体に由来する構成単位の量比が、mol比で95:5~5:95の範囲にある共重合体であり、
    さらにカルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体を含有し、前記アミド基を有する単量体がアクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルキルアクリルアミド、N-アルキルメタクリルアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    全シリカ粒子に占める前記コロイダルシリカの割合が5~95質量%、前記粉砕された湿式法シリカ粒子の割合が5~95質量%であり、
    全シリカ粒子の濃度が1~50質量%である磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  2. 前記カルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体は、カルボン酸基を有する単量体に由来する構成単位とアミド基を有する単量体に由来する構成単位の量比が、mol比で95:5~5:95の範囲にある共重合体である請求項1に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  3. 前記カルボン酸基を有する単量体及びアミド基を有する単量体を必須単量体とする共重合体は、重量平均分子量が1,000~1,000,000であり、前記研磨剤組成物中の濃度が0.0001~2.0質量%である請求項1または2に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  4. 前記研磨剤組成物が酸をさらに含有し、pH値(25℃)が0.1~4.0の範囲にある請求項1のいずれか一項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  5. 前記研磨剤組成物が酸化剤をさらに含有している請求項1~4のいずれか一項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
  6. 無電解ニッケル-リンめっきされたアルミニウム磁気ディスク基板の研磨に用いられる請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気ディスク基板用研磨剤組成物。
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