JP7269150B2 - 原子炉出力監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、原子炉内に固定した自己出力型ガンマ線検出器を用いて原子炉出力を監視する原子炉出力監視装置に関する。
従来、原子炉の出力を監視するため、原子炉内または原子炉外の放射線検出器により原子炉出力を測定するシステムが用いられている。
例えば、沸騰水型原子炉では、原子炉内に固定した固定式中性子検出器と、この固定式中性子検出器を校正するための移動式中性子検出器を組み合わせて、炉内の核分裂反応により生じた中性子を検出して、出力や出力分布を計測してきた。
固定式中性子検出器は、有感物質のウランの感度が中性子の照射により劣化していくため、移動式中性子検出器によって運転中に定期的に校正している。
近年、校正用の移動式中性子検出器に代えて、固定式のガンマ線検出器を用いることが検討されている。
特許文献1には、沸騰水型原子炉において、局所出力検出器(固定式中性子検出器)を、局所出力検出器に隣接して配置されたγ線温度計を用いて校正する、検出器集合体が開示されている。即ち、移動式中性子検出器に代えて、固定式のガンマ線検出器の一種であるγ線温度計を用いた構成である。
しかしながら、γ線温度計の測定原理は、炉内で生じたγ線によりセンサ部が発熱し、センサ部の温度を測定することによりγ線や隣接燃料の出力に関する情報を得るので、起動時などにおける炉出力変化に対して応答が遅れる。
応答が遅れる第1の理由は、センサ部がもつ熱容量により、出力変化後に温度が平衡するまでに時間を要することである。
応答が遅れる第2の理由は、核分裂生成物から放出される遅発γ線の影響により、γ線自体が出力変化後に時間遅れをもって変化することである。遅発γ線は、炉心内で発生する全γ線の30%程度を占め、その時定数が1秒以下の成分から1年を越える成分まで広範囲に存在し、長時間の応答遅れを生じる。
ここで、ステップ状に出力を上昇した場合のγ線の応答の一例を、図9に示す。
図9に示すように、出力上昇後、γ線は遅発成分以外の即発成分が瞬時に上昇するが、残りの遅発成分は緩やかに定常値に漸近していく。
特許文献2には、ガンマサーモメータ(γ線温度計)の信号に含まれる遅発ガンマ成分をその時定数及び重みで表し、その時定数及び重みにより表された遅発ガンマ成分を信号から除去して、遅発ガンマ成分の影響の無いガンマサーモメータ信号を求める、ガンマサーモメータ現場盤及び制御盤を備えた炉内計装信号処理装置が開示されている。
また、特許文献3には、γ線測定値を用い、出力に即応しない遅発γ線成分の寄与を予め内蔵した補正モデルにしたがって補正して、任意の時刻で補正値を出力する、遅発γ線補正手段と、遅発γ線補正手段に内蔵された補正モデルのパラメータを変更・調整する手段とを付加した原子炉出力測定装置が開示されている。
ガンマサーモメータ以外のガンマ線検出器としては、電離箱や自己出力型ガンマ線検出器(SPGD;Self-Powered Gamma Detector)などがある。
自己出力型ガンマ線検出器(SPGD)は、ガンマ線の照射により中心部のエミッタと呼ばれる部材中の電子が弾き出されることによって生じる電流値を計測するものであり、遅発ガンマ線の影響により、出力に対する応答の遅れはあるものの、ガンマサーモメータのような検出器の熱容量による応答の遅れは生じない。
特許文献4には、600℃以上の耐熱性を持ち、ガンマ線に感度の高いタングステンをエミッタに適用した自己出力型ガンマ線検出器が開示されている。
特開平3-65696号公報 特開2001-83280号公報 特開2002-202395号公報 特許第6095099号公報
前述した特許文献3による原子炉出力測定装置では、遅発ガンマ線補正手段に内蔵された補正モデルのパラメータを変更・調整する手段として、2種類の方法が開示されている。
第1の方法は、予め評価しておいたパラメータ値と燃料燃焼度、及びパラメータ値とボイド率の関係などから、ガンマ線検出器付近の燃料燃焼度及びボイド率の情報に基づいてパラメータ値を更新する方法である。
ただし、この方法は、実際の測定値に基づいたパラメータの調整ではないため、事前評価の不確かさが残る。
第2の方法は、固定式中性子検出器で測定された出力と遅発γ線成分を補正したγ線測定値との時系列データの比較に基づき、補正モデルのパラメータを変更・調整する方法である。
ただし、この方法は、ガンマ線検出器に隣接する固定式中性子検出器が必要である。従って、検出器の合理化のためにガンマ線検出器のみの構成として固定式中性子検出器を削除する場合、あるいは、固定式中性子検出器の設置数を減じてガンマ線検出器と隣接する固定式中性子検出器が必ずしも無い場合、などには使用できない。
特許文献2や特許文献3では、校正用の移動式中性子検出器に代えて、固定式のガンマ線検出器を用いた構成であった。
固定式のガンマ線検出器は、中性子の照射による感度の劣化が小さく、また、定常状態であれば、固定式中性子検出器と同等の出力計測が可能である。
そこで、従来の固定式中性子検出器の一部または全部を、固定式のガンマ線検出器で代替をすることによって、出力監視用の検出器を合理化し、コスト削減を図ることが考えられる。
しかしながら、固定式のガンマ線検出器では、前述した遅発ガンマ線によって、検出信号が出力に遅れる。また、遅発ガンマ線の割合は、燃料の組成やボイド率により変化し、一定ではない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、出力変化時の原子炉出力に対する検出信号の遅れを、速い応答で精度良く補正することが可能な、原子炉出力監視装置を提供することにある。
また、本発明の上記の目的及びその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって、明らかにする。
本発明の原子炉出力監視装置は、ガンマ線の照射により電子を放出する金属製のエミッタと、エミッタを電気的に絶縁して内包する金属製のコレクタとを備えた、自己出力型ガンマ線検出器と、実時間で遅発ガンマ線を補正する遅発ガンマ線補正装置とを備える。 本発明の原子炉出力監視装置は、さらに、自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号を採取するデータ採取装置と、データ採取装置に採取された検出信号に基づいて、遅発ガンマ線割合を算出する遅発ガンマ線割合算出装置と、を備える。
また、データ採取装置は、制御装置により出力操作信号が入力される、出力操作信号入力装置を備える。そして、データ採取装置は、出力操作信号に基づいて、原子炉の出力変動の開始と終了を検知し、出力変動中及び出力変動後の出力一定状態での自己出力型ガンマ線検出器からの前記検出信号を採取する。
また、遅発ガンマ線補正装置は、遅発ガンマ線割合算出装置で算出した遅発ガンマ線割合を用いて、データ採取装置で採取された出力一定状態における自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号に対して、実時間で遅発ガンマ線を補正する。
本発明によれば、自己出力型ガンマ線検出器は中性子による感度劣化が小さく、また遅発ガンマ線補正装置により実時間で遅発ガンマ線を補正できるので、原子炉出力の変化に対する検出信号の遅れを精度良く補正し、かつ応答の速い原子炉出力の測定ができる。
これにより、隣接する固定式中性子検出器が必ずしも無い場合でも、かつ応答の速い原子炉出力の測定ができる。
従って、コストの掛かる走査型中性子検出器を廃止できるとともに、自己出力型ガンマ線検出器によって固定式中性子検出器の一部または全てを代替することで、検出器の合理化とコスト削減を図ることができる。
また、本発明によれば、中性子による感度劣化が小さい自己出力型ガンマ線検出器で固定式中性子検出器を代替できるため、検出器の寿命を伸長することができ、コスト削減と廃棄物の物量低減を図ることができる。
なお、上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
実施例1の原子炉出力監視装置の全体構成図である。 図1の自己出力型ガンマ線検出器の一例の構造図である。 図1の遅発ガンマ線補正装置の一例の構成図である。 図3の入力装置のインターフェース画面の例を示す図である。 図1のデータ採取装置の一例の構成図である。 図5に示すデータ採取装置の演算装置が実施する出力操作信号に基づく処理のフローチャートである。 即発ガンマ線割合及び遅発ガンマ線割合を計算するためのフィッティングの模式図である。 実施例2の原子炉出力監視装置の全体構成図である。 ステップ状に出力を上昇した場合のγ線の応答の一例を示す図である。
以下、本発明に係る実施の形態及び実施例について、文章もしくは図面を用いて説明する。ただし、本発明に示す構造、材料、その他具体的な各種の構成等は、ここで取り上げた実施の形態及び実施例に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。また、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
前述した課題を解決するために、本発明の原子炉出力監視装置では、自己出力型ガンマ線検出器と、自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号に対して、実時間で遅発ガンマ線を補正する遅発ガンマ線補正装置を備える。また、原子炉の出力変化の開始と終了を検知して、出力変動中及び出力変動後の出力一定状態での自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号を採取するデータ採取装置を備える。
本発明の原子炉出力監視装置は、自己出力型ガンマ線検出器と、実時間で遅発ガンマ線を補正する遅発ガンマ線補正装置と、自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号を採取するデータ採取装置と、データ採取装置に採取された検出信号に基づいて、遅発ガンマ線割合を算出する遅発ガンマ線割合算出装置とを備える。
自己出力型ガンマ線検出器は、ガンマ線の照射により電子を放出する金属製のエミッタと、エミッタを電気的に絶縁して内包する金属製のコレクタとを備える。
データ採取装置は、操作員または制御装置により出力操作信号が入力される、出力操作信号入力装置を備える。そして、データ採取装置は、出力操作信号に基づいて、原子炉の出力変動の開始と終了を検知し、出力変動中及び出力変動後の出力一定状態での自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号を採取する。
遅発ガンマ線補正装置は、遅発ガンマ線割合算出装置で算出した遅発ガンマ線割合を用いて、データ採取装置で採取された出力一定状態における自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号に対して、実時間で遅発ガンマ線を補正する。
上記の原子炉出力監視装置において、さらに、データ採取装置が、制御棒操作信号及び再循環流量操作信号のうちの一方の信号または両方の信号を、出力操作信号として用いる構成とすることができる。
上記の原子炉出力監視装置において、さらに、遅発ガンマ線補正装置が、遅発ガンマ線を最短1秒未満から最長1日以上の複数の崩壊時定数の群にまとめ、全遅発ガンマ線の寄与を各群からの寄与の和として算出するモデル式を用いて、遅発ガンマ線を補正する構成とすることができる。
上記の原子炉出力監視装置において、さらに、データ採取装置が、出力操作信号に基づき原子炉の出力変動の開始と終了を検知し、出力開始から出力変動後の出力一定状態での自己出力型ガンマ線検出器の検出信号を採取して遅発ガンマ線割合算出装置に送出し、遅発ガンマ線割合算出装置が、予め定めた処理に従って遅発ガンマ線割合を算出して、遅発ガンマ線補正装置に送出し、遅発ガンマ線補正装置が、送出された遅発ガンマ線割合により、その時点で格納していた値を更新する、構成とすることができる。
上記の原子炉出力監視装置において、さらに、遅発ガンマ線補正装置からの出力に基づいて、原子炉のスクラム信号を生成する原子炉保護装置を備えた構成とすることができる。
上記の原子炉出力監視装置において、さらに、遅発ガンマ線補正装置からの出力に基づいて、炉心三次元シミュレータの計算を補正し、最大線出力密度及び最小限界出力比を計算する、炉心性能計算装置を備えた構成とすることができる。
本発明の原子炉出力監視装置は、沸騰水型原子炉(BWR)等の原子炉に適用することができる。
上記の原子炉出力監視装置において、自己出力型ガンマ線検出器は、ガンマ線の照射により電子を放出する金属製のエミッタと、エミッタを電気的に絶縁して内包する金属製のコレクタとを備える構成である。
この構成の自己出力型ガンマ線検出器では、ガンマ線が照射されたエミッタから電子が放出されて、エミッタとコレクタの間に電流が生じる。そして、この電流を、検出信号として検出できる。
自己出力型ガンマ線検出器をこのような構成としたことにより、ガンマサーモメータでは熱応答の影響から分離できないような、短い期間の比較的大きな変化を検出して、遅発ガンマ線割合の評価に使用することができる。
自己出力型ガンマ線検出器において、エミッタには、例えば鉛金属を用いることができ、コレクタには、例えばステンレスを用いることができる。
上記の原子炉出力監視装置において、自己出力型ガンマ線検出器としては、例えば、特許文献4等に開示された従来公知の自己出力型ガンマ線検出器も、採用することができる。
自己出力型ガンマ線検出器は、好ましくは、炉心内に三次元的に複数個配置する。
そして、自己出力型ガンマ線検出器を、例えば、炉心の高さ方向に4か所以上設置した場合には、ロッドブロック性能を十分に確保できる。
遅発ガンマ線補正装置は、好ましくは、遅発ガンマ線を最短1秒未満から最長1日以上の複数の崩壊時定数の群にまとめ、全遅発ガンマ線の寄与を各群からの寄与の和として算出するモデル式を用いて、遅発ガンマ線を補正する構成とする。
このように、モデル式の群のうち、崩壊時定数が最短の群の時定数を1秒未満とすることにより、遅発ガンマ線の補正の精度と応答性を高くすることができる。そして、遅発ガンマ線補正装置からの出力に基づいて、原子炉のスクラム信号を生成する原子炉保護装置をさらに備えた構成とすれば、スクラム信号の精度と応答性も高くすることができる。
上記の構成の原子炉出力監視装置によれば、ガンマ線の照射により電子を放出する金属製のエミッタと、エミッタを電気的に絶縁して内包する金属製のコレクタとを備えた、自己出力型ガンマ線検出器を備えている。この自己出力型ガンマ線検出器は、中性子による感度劣化が小さいので、従来の固定式の中性子検出器よりも中性子による感度劣化を低減することができる。
また、遅発ガンマ線補正装置は、自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号に対して、実時間で遅発ガンマ線を補正するので、応答の早い原子炉出力の測定ができる。
これにより、隣接する固定式中性子検出器が必ずしも無い場合でも、出力変化時の原子炉出力からの遅れを精度良く補正することが可能になる。
また、コストの掛かる走査型中性子検出器を廃止でき、固定式中性子検出器の一部または全てを代替することで、検出器の合理化とコスト削減を図ることができる。
さらにまた、中性子による感度劣化が小さい自己出力型ガンマ線検出器で、固定式の中性子検出器を代替できるため、検出器の寿命を伸長することができ、コスト削減と廃棄物の物量低減を図ることができる。
また、データ採取装置は、操作員または制御装置により出力操作信号入力装置に入力される出力操作信号に基づき、原子炉の出力変動の開始と終了を検知し、出力変動中及び出力変動後の出力一定状態での自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号を採取する。
さらにまた、データ採取装置に採取された検出信号に基づいて、遅発ガンマ線割合を算出する遅発ガンマ線割合算出装置を備えている。そして、この遅発ガンマ線割合算出装置で算出した遅発ガンマ線割合を用いて、遅発ガンマ線補正装置において、データ採取装置で採取された出力一定状態における検出信号に対する遅発ガンマ線の補正を行う。
従って、データ採取装置において、原子炉の出力一定状態を精度良く把握することができるので、遅発ガンマ線補正装置において、精度良く、かつリアルタイムで、遅発ガンマ線の補正を行うことができる。これにより、原子炉の出力の状態に精度良く対応して、原子炉の運転及び停止を行うことができ、原子炉の運転性を向上できる。
また、データ採取装置が、制御棒操作信号及び再循環流量操作信号のうちの一方の信号または両方の信号を、出力操作信号として用いる構成としたときには、運転中に変化する即発ガンマ線割合及び遅発ガンマ線割合を、炉出力が一定の状態の出力信号から算出できる。これにより、さらに精度良く遅発ガンマ線を補正できる。
また、遅発ガンマ線補正装置が、遅発ガンマ線を最短1秒未満から最長1日以上の複数の崩壊時定数の群にまとめ、全遅発ガンマ線の寄与を各群からの寄与の和として算出するモデル式を用いて、遅発ガンマ線を補正する構成としたときには、自己出力型ガンマ線検出器の検出信号から、逐次的に遅発成分を補正した信号を算出できる。
また、データ採取装置が、出力操作信号に基づき原子炉の出力変動の開始と終了を検知し、出力開始から出力変動後の出力一定状態での自己出力型ガンマ線検出器の検出信号を採取して遅発ガンマ線割合算出装置に送出する構成としたときには、出力操作信号に基づき原子炉の出力変動を精度良く検知できる。
さらに、遅発ガンマ線割合算出装置が、予め定めた処理に従って遅発ガンマ線割合を算出して遅発ガンマ線補正装置に送出し、遅発ガンマ線補正装置が、送出された遅発ガンマ線割合により、その時点で格納していた値を更新する構成としたときには、原子炉の出力変動に精度良く追随して遅発ガンマ線割合を算出できる。そして、遅発ガンマ線補正装置において、原子炉の出力変動に精度良く追随して遅発ガンマ線を補正できる。特に、原子炉の出力の大きさの変動に対して、短時間で精度良く追随して、遅発ガンマ線を補正できる。
また、遅発ガンマ線補正装置からの出力に基づいて、原子炉のスクラム信号を生成する原子炉保護装置を備えた構成としたときには、精度良く遅発ガンマ線が補正された、遅発ガンマ線補正装置からの出力に基づいてスクラム信号を生成できる。これにより、スクラム信号を、原子炉の出力に対応して精度良く生成できるので、出力が原子炉を緊急停止する必要がない状態である場合であってもスクラム信号を生成してしまうことを抑制し、原子炉の運転性を向上できる。
また、遅発ガンマ線補正装置からの出力に基づいて、炉心三次元シミュレータの計算を補正し、最大線出力密度及び最小限界出力比を計算する、炉心性能計算装置を備えた構成としたときには、遅発ガンマ線補正装置から炉心性能計算装置へ、応答性が速く精度の高い出力信号を供給できる。従って、炉心性能計算を速く精度良く行うことができ、炉心性能を速く精度良く監視して、原子炉の運用性及び安全性を向上できる。
次に、原子炉出力監視装置の実施例について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1の原子炉出力監視装置の全体構成図を、図1に示す。
本実施例の原子炉出力監視装置は、図1に示すように、炉心2を収容した原子炉圧力容器1内に挿入された、炉内計装管3及び自己出力型ガンマ線検出器4を備えている。
また、本実施例の原子炉出力監視装置は、原子炉圧力容器1の外部に、遅発ガンマ線補正装置6、データ採取装置7、原子炉保護システム8、制御棒駆動制御装置12、再循環流量制御装置13、遅発ガンマ線割合算出装置15を備えている。
自己出力型ガンマ線検出器4は、炉心2の内部の出力を計測するために、炉内計装管3に内包されている。自己出力型ガンマ線検出器4には、ケーブル5が接続されており、このケーブル5の他端は、遅発ガンマ線補正装置6及びデータ採取装置7が接続されている。
遅発ガンマ線補正装置6は、原子炉保護システム8に接続されている。
データ採取装置7には、出力操作信号入力装置14が内蔵されている。データ採取装置7は、遅発ガンマ線割合算出装置15に接続されている。
原子炉保護システム8は、原子炉を緊急停止させるスクラム信号を発生する。
制御棒駆動制御装置12は、原子炉圧力容器1に取り付けられた制御棒9及び制御棒駆動装置10への操作信号を発信する。
再循環流量制御装置13は、再循環ポンプ11への操作信号を発信する。
なお、制御棒9、制御棒駆動装置10、再循環ポンプ11、制御棒駆動制御装置12、再循環流量制御装置13は、原子炉の制御を行うために従来から用いられている構成である。
そして、特に、データ採取装置7に内蔵された出力操作信号入力装置14が、制御棒駆動制御装置12と再循環流量制御装置13に、接続されている。
これにより、制御棒駆動制御装置12の制御信号や、再循環流量制御装置13の制御信号を、出力操作信号として、出力操作信号入力装置14に入力することができる。
次に、図1の自己出力型ガンマ線検出器4の一例の構造図を、図2に示す。
図2に示す自己出力型ガンマ線検出器4は、中心に鉛金属製のエミッタ17、外側にステンレス製のコレクタ19を配設し、両者の間はアルミナ製の絶縁材18で絶縁されている。
エミッタ17は、金属シースケーブルの芯線20に接続され、エミッタ17と芯線20の間は導通している。金属シースケーブルの芯線20は、金属製シース21で覆われており、アルミナ製の絶縁材22により金属製シース21と絶縁されている。
また、コレクタ19の両端は、金属製の端栓23により、内部が気密な構造となっている。
この構成の自己出力型ガンマ線検出器4では、ガンマ線が照射されたエミッタ17から電子が放出されて、エミッタ17とコレクタ19の間に電流が生じる。そして、この電流を、検出信号として検出できる。
また、図1の遅発ガンマ線補正装置6の一例の構成図を、図3に示す。
図3に示す遅発ガンマ線補正装置6は、図1の自己出力型ガンマ線検出器4からケーブル5で接続され、微弱電流測定器25、演算装置26、記憶装置27、送信器28、入力装置29、初期化スイッチ30、を備えている。
微弱電流測定器25は、ケーブル5に接続され、ケーブル5からの信号を受信する。
微弱電流測定器25は、演算装置26に接続されている。
演算装置26は、記憶装置27、初期化スイッチ30、送信器28に、それぞれ接続されている。
記憶装置27には、入力装置29が接続されている。
ここで、図3の入力装置29のインターフェース画面の例を、図4に示す。
図4の画面左側にある、即発ガンマ線割合a及び遅発ガンマ線の各成分j(この画面ではj=1~10)の崩壊定数λと割合aを、画面右側にある方向ボタンと変数選択ボタンで選択し、数字ボタンと変更実行ボタンで変更する。
これらの定数の意味については後述する。
また、図3のデータ採取装置7の一例の構成図を、図5に示す。
図5に示すデータ採取装置7は、出力操作信号入力装置14、微弱電流測定器32、演算装置33、記憶装置34、送信器35、を備えている。
出力操作信号入力装置14は、制御棒駆動制御装置12及び再循環流量制御装置13からの操作信号を受信する。
微弱電流測定器32は、ケーブル5に接続され、ケーブル5からの信号を受信する。
微弱電流測定器32は、さらに演算装置33に接続されている。
演算装置33は、記憶装置34、送信器35に、それぞれ接続されている。
次に、上述したように構成した原子炉出力監視装置の動作を以下に説明する。
原子炉の運転が開始されると、原子炉圧力容器1に保持された炉心2の核分裂反応により、生成されたガンマ線が自己出力型ガンマ線検出器4に照射される。
自己出力型ガンマ線検出器4では、ガンマ線が照射されたエミッタ17から電子が放出されることにより、エミッタ17とコレクタ18の間に電流が生じる。この電流が検出信号として、遅発ガンマ線補正装置6とデータ採取装置7に送られる。
遅発ガンマ線補正装置6では、時々刻々受信する電流を微弱電流測定器25で測定し、出力信号に換算して、デジタル値として演算装置26に送出する。
演算装置26では、記憶装置27に保持された即発ガンマ線割合a0及び遅発ガンマ線の崩壊定数λと割合aを呼び出し、予め内蔵された補正モデルに従って、遅発ガンマ線成分を補正した出力信号を生成する。
補正モデルとしては、下記の式(1)に示すように、遅発ガンマ線を放出する核変換をいくつかの時定数の成分にまとめ、遅発ガンマ線を各成分の和として算出するモデルを用いる。
Figure 0007269150000001
ここで、G(t)はガンマ線測定値であり、GC(t)は遅発成分を補正したガンマ線測定値である。
また、前述したように、λjは第j群の遅発ガンマ線の崩壊定数であり、aは全ガンマ線に占める即発ガンマ線の割合であり、aは全ガンマ線に占める第j群の遅発ガンマ線の割合である。
崩壊時定数(崩壊定数の逆数)としては、1秒未満のオーダから1日超まで10個(N=10)のものを用いる。
この式(1)を用い、一定周期で得られる出力信号から逐次的に遅発成分を補正した出力信号を算出することができる。
この出力信号の算出に用いる逐次式を、下記の式(2)に示す。
Figure 0007269150000002
この式(2)において、Gkは時刻kでの出力信号を表し、GCj kは第j群の遅発γ線からの寄与を表し、GCkは補正した出力信号を表している。
また、時刻は、自己出力型ガンマ線検出器の電流サンプリング周期Δtの間隔で離散化されており、kは現在の時刻を表し、k-1は一周期前の時刻を表す。
式(2)では、全遅発ガンマ線の寄与を、各群(j=1~N)の遅発ガンマ線からの寄与の和として算出して、遅発ガンマ線成分を補正している。
この式(2)を用いた遅発ガンマ線の補正処理手順では、まず、現時刻kでの出力信号Gkが読み込まれる。
次に、補正した出力信号GCk、及び各成分の遅発γ線寄与GCj kが初期化されているか否かを確認する。
そして、初期化されていない場合には、出力信号が現時刻まで常に一定であったと仮定して初期化する。
一方、初期化済みであった場合には、式(2)に従い、現時刻の補正した出力信号GCk、各成分の遅発γ線寄与GCj kの順に算出する。
補正した出力信号GCk、及び各成分の遅発γ線寄与GCj kの初期化は、原子炉出力監視装置の起動時には自動的に実施し、その他、必要に応じて操作員が初期化スイッチ30を押下した時刻に、出力信号が現時刻まで常に一定であったと仮定して、実施する。
出力信号GCk、及び各成分の遅発γ線寄与GCj kの初期化は、下記の式(3)及び式(4)に従って、実施する。
Figure 0007269150000003
上述したように、予め内蔵された補正モデルに従って遅発ガンマ線成分を補正して生成した出力信号は、遅発ガンマ線補正装置6の送信器28により、原子炉保護システム8に送出して、スクラム信号の生成に使用する。
一方、データ採取装置7では、遅発ガンマ線補正装置6と同様に、時々刻々受信する電流を微弱電流測定器32で測定し、出力信号に換算して、デジタル値として演算装置33に送出する。
演算装置33には、出力操作信号入力装置14が接続されており、制御棒駆動制御装置12からの制御棒操作信号と、再循環流量制御装置13からの再循環流量操作信号とを、演算装置33に入力する。
演算装置33では、制御棒駆動装置12または再循環流量制御装置13により、原子炉の出力が変化を開始した時点から、所定の条件を満たす出力操作をさせた後に一定時間経過するまでの出力信号を、記憶装置34に格納する。
そして、全データの格納を完了した後に、このデータを、送信器35により遅発ガンマ線割合算出装置15に送出する。
ここで、図5に示すデータ採取装置7の演算装置33が実施する、出力操作信号に基づく処理のフローチャートを、図6に示す。
図6に示すフローチャートでは、演算装置33が処理を開始すると、まず、ステップS1において、制御棒操作または再循環流量操作があるまで、出力信号の初期値P0を現在の出力信号Pに初期化する。さらに、ステップS2において、1つめのタイマの初期値t1を現在の時刻tにリセットする。
この状態で、ステップS3において、制御棒操作または再循環流量操作が行われたかどうかを検知する。そして、制御棒操作または再循環流量操作が行われた場合には、ステップS4に進み、出力信号の記憶装置34への格納を開始する。一方、制御棒操作も再循環流量操作も行われない場合には、ステップS1に戻り、出力信号の初期値P0を現在の出力信号Pに初期化する。
ステップS4で出力信号の記憶装置34への格納を開始した後には、ステップS5において、制御棒操作または再循環流量操作が行われていないかどうかを、検知する。そして、制御棒操作も再循環流量操作も行われていない場合(Yes)には、操作が完了したと認定して、ステップS6に進む。一方、制御棒操作または再循環流量操作が行われている場合(No)には、操作が完了していないと認定して、ステップS5の前に戻る。
操作完了の後、ステップS6において、制御棒操作または再循環流量操作による出力変化|P-P0|が、所定値ΔP1(例えば定格出力の5%)以上であるかどうかを検知する。出力変化|P-P0|がΔP1以上である場合には、出力変化が十分であると認定して、ステップS9に進む。一方、出力変化|P-P0|がΔP1未満である場合には、出力変化が不十分であると認定して、ステップS7に進む。
ステップS7において、操作開始からの経過時間t-t1が、所定値Δt1(例えば2分)未満であるかどうかを検知する。経過時間t-t1がΔt1未満である場合には、経過時間が十分ではないと認定して、ステップS6の前に戻り、その後に再びステップS6の出力変化|P-P0|の検知を行う。一方、経過時間t-t1がΔt1以上である場合には、十分な時間を経過してもなお出力変化が不十分であると認定して、ステップS8に進む。
ステップS8では、出力変化が不十分で精度の良い評価ができないと判断し、記憶装置34に格納した出力信号を消去し、ステップS1の前に戻る。
ステップS9において、2つめのタイマの初期値t2を現在の時刻tに初期化する。
そして、ステップS10において、操作なしの状態での経過時間t-t2が所定値Δt2(例えば5分)以上であるかを検知する。経過時間t-t2がΔt2以上である場合には、経過時間が十分であると認定して、ステップS12に進む。一方、経過時間t-t2がΔt2未満である場合には、経過時間が不十分であると認定して、ステップS11に進む。
ステップS11では、操作なしの状態での経過時間が短いため、出力がまだ変化する可能性があることから、精度の良い評価ができないと判断する。そして、ステップS8の処理と同様に、記憶装置34に格納した出力信号を消去し、ステップS1の前に戻る。
ステップS12では、記憶装置34への出力信号の格納を完了し、ステップS13に進む。
ステップS13では、記憶装置34へ格納したデータを、遅発ガンマ線割合算出装置15へ送信する。
その後、データ採取装置7での処理を終了する。また、ステップS1の前に戻り、次の処理では、再度初期化を行う。
炉心出力変更後の出力信号データを受信した遅発ガンマ線割合算出装置15では、受信したデータにモデルを当てはめて、原子炉の運転中に変化する、式(1)及び式(2)のパラメータa及びaと真の出力変化ΔPを求める。
ただし、短時間のデータで崩壊時定数が短い成分の寄与を決定する方法は、精度が出ない。
そこで、短時間での応答精度を優先し、変更するパラメータa(または1-a)のみとし、これに応じて、下記の式(5)に示すように、和が1となるようにaを規格化し直す方法を用いる(λjも一定とする)。
Figure 0007269150000004
ここで、即発ガンマ線割合及び遅発ガンマ線割合を計算するためのフィッティングの模式図を、図7に示す。
図7に示すように、受信した出力信号データの各時刻の値に対して、前述の式(1)に基づいて算出したフィッティング値の差の二乗和が最も小さくなるように、a及びaとΔPを決定する。このとき、真の出力変化ΔPの前と後では出力が一定であった、との仮定の下で、a及びaとΔPを決定する。
このようにして決定したa及びaを、遅発ガンマ線補正装置6に送出する。
遅発ガンマ線補正装置6では、記憶装置27に格納されたa及びaの値を自動的に書き換えるか、もしくは、a及びaの値の書き換えの可否を操作者に確認するための画面を表示させる。
以上のように、炉心の出力操作信号として、制御棒操作信号と再循環流量操作信号とを入力することにより、参照となる中性子束信号が無くとも、炉出力が一定状態での出力信号から運転中に変化する遅発ガンマ線割合を算出することができ、遅発ガンマ線を精度よく補正することができる。
また、遅発ガンマ線は、最初の1分までにその半分程度が飽和するため、自己出力型ガンマ線検出器4を用いることにより、ガンマサーモメータでは熱応答の影響から分離できない期間の比較的大きな変化を、遅発ガンマ線割合の評価に使用することができる。これにより、短い時間のデータで評価が可能となるともに、出力変化直後の補正の精度を向上することができる。
上述の本実施例の構成によれば、鉛金属製のエミッタ17と、エミッタ17を絶縁材(アルミナ)18で絶縁して内包するステンレス製のコレクタ19を備えた自己出力型ガンマ線検出器4を備えている。
この構成の自己出力型ガンマ線検出器4では、ガンマ線が照射されたエミッタ17から電子が放出されて、エミッタ17とコレクタ19の間に電流が生じる。そして、この電流を、検出信号として検出できる。
自己出力型ガンマ線検出器4をこのような構成としたことにより、ガンマサーモメータでは熱応答の影響から分離できないような、短い期間の比較的大きな変化を検出して、遅発ガンマ線割合の評価に使用することができる。
そして、この構成の自己出力型ガンマ線検出器4を備えていることにより、自己出力型ガンマ線検出器4は中性子による感度劣化が小さいので、従来の固定式の中性子検出器よりも中性子による感度劣化を低減することができる。
上述の本実施例の構成によれば、遅発ガンマ線補正装置6が、自己出力型ガンマ線検出器4からの検出信号に対して、実時間で遅発ガンマ線を補正することができ、応答の早い原子炉出力の測定ができる。
これにより、自己出力型ガンマ線検出器4に隣接する固定式中性子検出器が必ずしも無い場合でも、出力変化時の原子炉出力からの遅れを精度良く補正することが可能になる。
また、コストの掛かる走査型中性子検出器を廃止でき、固定式中性子検出器の一部または全てを代替することで、検出器の合理化とコスト削減を図ることができる。
さらにまた、中性子による感度劣化が小さい自己出力型ガンマ線検出器4で、固定式の中性子検出器を代替できるため、検出器の寿命を伸長することができ、コスト削減と廃棄物の物量低減を図ることができる。
上述の本実施例の構成によれば、データ採取装置7が、操作員または制御装置により出力操作信号入力装置14に入力される出力操作信号に基づき、原子炉の出力変化の開始と終了を検知し、出力変動中及び出力変動後の出力一定状態での自己出力型ガンマ線検出器4からの検出信号を採取する。また、データ採取装置7に採取された検出信号に基づいて、遅発ガンマ線割合を算出する遅発ガンマ線割合算出装置15を備えており、この遅発ガンマ線割合算出装置15で算出した遅発ガンマ線割合を用いて、遅発ガンマ線補正装置6において、検出信号に対する遅発ガンマ線の補正を行う。
従って、データ採取装置7において、原子炉の出力一定状態を精度良く把握することができるので、遅発ガンマ線補正装置6において、精度良く、かつリアルタイムで、遅発ガンマ線の補正を行うことができる。これにより、原子炉の出力の状態に精度良く対応して、原子炉の運転及び停止を行うことができ、原子炉の運転性を向上できる。
上述の本実施例の構成によれば、データ採取装置7に内蔵された出力操作信号入力装置14が、制御棒駆動制御装置12と再循環流量制御装置13に、接続されている。
従って、制御棒駆動制御装置12からの制御棒操作信号、及び再循環流量制御装置13からの再循環流量操作信号のうちの、一方の信号または両方の信号を、出力操作信号として用いることができる。これにより、運転中に変化する即発ガンマ線割合及び遅発ガンマ線割合を、炉出力が一定の状態の出力信号から算出でき、さらに精度良く遅発ガンマ線を補正できる。
上述の本実施例の構成によれば、遅発ガンマ線補正装置6からの出力に基づいて、原子炉のスクラム信号を生成する原子炉保護装置8を備えるので、精度良く遅発ガンマ線が補正された、遅発ガンマ線補正装置6からの出力に基づき、スクラム信号を生成できる。
これにより、スクラム信号を、原子炉の出力に対応して精度良く生成できるので、出力が原子炉を緊急停止する必要がない状態である場合であってもスクラム信号を生成してしまうことを抑制し、原子炉の運転性を向上できる。
(実施例2)
実施例2の原子炉出力監視装置の全体構成図を、図8に示す。
本実施例では、図1に示した実施例1の原子炉出力監視装置の構成に、炉心性能監視装置37が追加されている。
炉心性能監視装置37は、遅発ガンマ線補正装置6に接続されている。
自己出力型ガンマ線検出器4(図1、図8では1個のみ記載)は、炉心2内に三次元的に配置されており、自己出力型ガンマ線検出器4から出力された微弱電流が、遅発ガンマ線補正装置6とデータ採取装置7に送られる。
遅発ガンマ線補正装置6では、時々刻々受信する電流を出力信号に換算して、式(1)及び式(2)に示した補正モデルに従って、遅発ガンマ線成分を補正した出力信号を生成する。
データ採取装置7では、微弱電流を出力信号に換算して、原子炉の出力が変化を開始した時点から、所定の条件を満たす出力操作をさせた後に一定時間経過するまでの出力信号を、遅発ガンマ線割合算出装置15に送出する。
そして、遅発ガンマ線割合算出装置15により算出された、最新のa及びaが遅発ガンマ線補正装置6に送られ、ガンマ線補正装置6によって遅発ガンマ線を補正された出力信号が、炉心性能計算装置37に送られる。
炉心性能計算装置37では、原子炉運転中の即発ガンマ線割合を考慮した出力信号に基づき、内蔵された炉心計算プログラム(炉心三次元シミュレータ)を調整(計算を補正)して、出力分布や最大線出力密度及び最小限界出力比などの炉心管理情報を出力する。
炉心性能計算装置37からの炉心管理情報の出力先としては、数値を表示する表示部、情報を表示するモニタ、情報を記憶する記憶装置、等が挙げられる。
上述の本実施例の構成によれば、遅発ガンマ線補正装置6からの出力に基づいて、炉心計算プログラムを調整し、出力分布や最大線出力密度及び最小限界出力比等の炉心管理情報を出力する炉心性能計算装置37を備える。
これにより、遅発ガンマ線補正装置6から炉心性能計算装置37へ、応答性が速く精度の高い出力信号を供給できるので、炉心性能計算を速く精度良く行うことができ、炉心性能を速く精度良く監視して、原子炉の運用性及び安全性を向上できる。
(変形例)
実施例1及び実施例2では、制御棒駆動制御装置12と再循環流量制御装置13から出力操作信号入力装置14に出力操作信号が入力される構成であったが、操作員によって出力操作信号入力装置14に出力操作信号が入力される構成としても構わない。
また、実施例1及び実施例2では、制御棒操作信号及び再循環流量操作信号の両方の信号を出力操作信号として用いていたが、制御棒操作信号或いは再循環流操作信号のいずれか一方の信号のみを出力信号として用いても構わない。
なお、本発明は、上述した実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施の形態及び実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1 原子炉圧力容器、2 炉心、3 炉内計装管、4 自己出力型ガンマ線検出器、5 ケーブル、6 遅発ガンマ線補正装置、7 データ採取装置、8 原子炉保護システム、9 制御棒、10 制御棒駆動装置、11 再循環ポンプ、12 制御棒駆動制御装置、13 再循環流量制御装置、14 出力操作信号入力装置、15 遅発ガンマ線割合算出装置、17 エミッタ、18 絶縁材、19 コレクタ、20 芯線、21 金属製シース、22 絶縁材、23 端栓、25 微弱電流測定器、26 演算装置、27 記憶装置、28 送信器、29 入力装置、30 初期化スイッチ、32 微弱電流測定器、33 演算装置、34 記憶装置、35 送信器、37 炉心性能計算装置

Claims (6)

  1. ガンマ線の照射により電子を放出する金属製のエミッタと、前記エミッタを電気的に絶縁して内包する金属製のコレクタとを備えた、自己出力型ガンマ線検出器と、
    実時間で遅発ガンマ線を補正する遅発ガンマ線補正装置と、
    前記自己出力型ガンマ線検出器からの検出信号を採取するデータ採取装置と、
    前記データ採取装置に採取された前記検出信号に基づいて、遅発ガンマ線割合を算出する遅発ガンマ線割合算出装置と、を備え、
    前記データ採取装置は、制御装置により出力操作信号が入力される、出力操作信号入力装置を備え、前記出力操作信号に基づいて原子炉の出力変動の開始と終了を検知し、出力変動中及び出力変動後の出力一定状態での前記自己出力型ガンマ線検出器からの前記検出信号を採取し、
    前記遅発ガンマ線補正装置は、前記遅発ガンマ線割合算出装置で算出した前記遅発ガンマ線割合を用いて、前記データ採取装置で採取された前記出力一定状態における前記自己出力型ガンマ線検出器からの前記検出信号に対して、実時間で遅発ガンマ線を補正する
    原子炉出力監視装置。
  2. 前記データ採取装置は、制御棒操作信号及び再循環流量操作信号のうちの一方の信号または両方の信号を、前記出力操作信号として用いる請求項1に記載の原子炉出力監視装置。
  3. 前記遅発ガンマ線補正装置は、遅発ガンマ線を最短1秒未満から最長1日以上の複数の崩壊時定数の群にまとめ、全遅発ガンマ線の寄与を各前記群からの寄与の和として算出するモデル式を用いて、前記遅発ガンマ線を補正する請求項1または請求項2に記載の原子炉出力監視装置。
  4. 前記データ採取装置は、前記出力操作信号に基づき原子炉の出力変動の開始と終了を検知し、出力開始から出力変動後の出力一定状態での前記自己出力型ガンマ線検出器の前記検出信号を採取して前記遅発ガンマ線割合算出装置に送出し、
    前記遅発ガンマ線割合算出装置は、予め定めた処理に従って前記遅発ガンマ線割合を算出して、前記遅発ガンマ線補正装置に送出し、
    前記遅発ガンマ線補正装置は、送出された前記遅発ガンマ線割合により、その時点で格納していた値を更新する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の原子炉出力監視装置。
  5. 前記遅発ガンマ線補正装置からの出力に基づいて、原子炉のスクラム信号を生成する原子炉保護装置をさらに備えた請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の原子炉出力監視装置。
  6. 前記遅発ガンマ線補正装置からの出力に基づいて、炉心三次元シミュレータの計算を補正し、最大線出力密度及び最小限界出力比を計算する、炉心性能計算装置をさらに備えた請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の原子炉出力監視装置。
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