JP3785847B2 - 原子炉出力測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、局所出力検出器と、固定式γ線検出器とを用いて原子炉出力を測定する原子炉出力測定装置に係わり、特に、局所出力検出器の測定出力を精度よく較正するの好適な原子炉出力測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉の原子炉出力分布測定、及び局部出力検出器による原子炉出力測定の較正を、γ線検出器を用いて行うことについては従来公知である。また、上記γ線検出器として固定式γ線検出器、特にγ線温度計を用いることも特開平10−104388号公報等に示されている。
【0003】
さらに、炉内γ線は核分裂生成物の崩壊に伴う遅発γ線の影響で、出力の変化に即応しない成分を持ち、この遅発γ線の補正の必要性も特開昭61−61095号公報、特公平5−48438号公報等に示されている。補正方法として、これらの公知例ではγ線検出器の検出値から遅発γ線の寄与を物理モデルを用いて差し引く方法を採っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、γ線検出器による従来の原子炉出力測定装置では、出力レベルの計測量としては即発γ線成分のみを用い、遅発γ線成分は計測量によらないで物理モデルで除去する補正方式を用いている。原子炉内で発生するγ線は、核分裂反応や中性子捕獲反応で発生する即発γ線と核分裂生成物等の崩壊で発生する遅発γ線があり、それぞれ30%程度の寄与を持っている。したがって、遅発γ線の寄与を除くというのは計測値の約30%の情報を捨てるということで、実測値に則った原子炉出力測定装置として、かつ検出効率を高めるという観点からは不利となる。また、遅発γ線はそれまでの出力履歴等の影響を強く受けるので純粋に物理モデルからその寄与を求めることにも限界があり、これも誤差要因となる。
【0005】
原子炉で用いられているγ線検出器には移動式と固定式の二種類があり、上述した補正方式は、主に移動式のγ線検出器を用いた計測システムを対象としたものである。一方、固定式のγ線検出器は同じ位置での時系列的な測定値が得られるという特長がある。
【0006】
本発明の目的は、固定式γ線検出器の特長を活かして、γ線計測値から短時間の計測でより精度よく出力レベルに比例した情報を引き出すことができる原子炉出力測定装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、原子炉内の熱中性子束を測定するための局所出力検出器と、γ線を測定するための固定式γ線検出器とを同一の検出器集合体内に実装し、該検出器集合体を複数個原子炉内に設置して原子炉出力を測定する原子炉出力測定装置において、前記固定式γ線検出器からの採取データを取り込む手段と、それを時系列データとして格納する手段と、格納した時系列データの変化から出力レベルに比例する成分を計算する手段とを有するデータ処理装置を備えたことによって達成される。
【0008】
更に上記の目的は、前記固定式γ線検出器からの採取データを取り込む手段と、該採取データを時系列データとして格納する手段と、該格納した時系列データの変化から出力レベルに比例する成分を計算する手段と、該出力レベル比例成分出力と前記局所出力検出器出力とから前記局所出力検出器出力の較正定数を計算する手段を有するデータ処理装置と、前記較正定数により前記局所出力検出器の測定出力を較正する処理手段とを備えたことによって達成される。
【0009】
上記手段によると、即発γ線成分および遅発γ線成分の両者を含む全γ線強度の実測値を用いることができる。これにより出力レベルの検出効率を高めるとともに、各検出器位置で複数の時刻で計測することにより計測データの信頼性を高めることができる。また、これを局所出力検出器出力の較正に利用することにより較正精度を高めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態の原子炉出力測定装置の全体構成図を示す。図示のように、原子炉の圧力容器1の炉心2内に保護管3に収納された複数の検出器集合体が設けられている。保護管3は、炉心を貫通して設けられる。この保護管3の内部の検出器集合体は、出力領域の中性子を検出する複数の局所出力検出器(以下、LPRMセンサという)5と、このLPRMセンサの較正手段と第2の出力検出手段とを兼用する複数の固定式γ線検出器4を挿入して構成されている。LPRMセンサ5は、A、B、C、Dで示すように、炉心の高さ方向に沿って4個設けられている。そして、LPRMセンサ5の出力信号は、信号ケーブルを介してLPRM処理手段6に入力される。LPRM処理手段6は、高周波信号を抑制して中性子束信号を出力するためのフィルタリング手段及びLPRMセンサ5の感度劣化を補正するための較正手段を備えている。
【0011】
LPRM処理手段6の出力信号は、局所出力信号として出力される他、平均出力領域モニタ(APRM)7と比較手段13に出力されている。APRM7は、LPRM処理手段6の出力信号を用いて原子炉の平均出力を算出し、平均炉出力として出力する。また、APRMは、この平均炉出力があらかじめ設定された基準値を越えた場合、原子炉に制御棒を緊急挿入して原子炉を停止させるためのスクラム信号を出力する。
【0012】
一方、固定式γ線検出器4は、図中にa、b、c、…、j、kで示すように、LPRMセンサ5の数より多く設けられており、LPRMセンサ5に対して径方向の位置を異ならせ、かつ、炉心高さ方向に沿って設けられている。このように固定式γ線検出器4の設置数を多くしているのは、LPRMセンサ5の較正精度及び炉心高さ方向出力分布測定精度を高めるためである。図示例では、11個の固定式γ線検出器を設けたものを示している。
【0013】
固定式γ線検出器4として、γ線温度計が用いられる。γ線温度計は、主に隣接する燃料集合体からのγ線照射によって発熱する金属の温度を熱電対等で測定することにより原子炉内の出力を測定するものであり、照射による感度劣化が少ないこと、構造が単純なことなどから固定式γ線検出器として用いられる。γ線温度計自体の較正には、γ線温度計に並設した電気ヒータ(図示せず)を用いる。すなわち、この電気ヒータに印加する電圧と電流及び電気ヒータの抵抗値を基に加熱量を評価し、この加熱量と上記熱電対の出力電圧及び別途用意される較正曲線(発熱量と熱電対出力電圧の関係)を基にセンサ感度を求め、例えば特開平9−236686号公報に具体的に述べられているような方法で熱電対出力信号を補正することで較正する。
【0014】
図1では、LPRMセンサ5が固定式γ線検出器(γ線温度計)4と同一高さにある場合を示しており、LPRMセンサ5A、5B、5C、5Dがγ線温度計4i,4g、4e、4cとそれぞれ同じ高さに設置されている。したがって、こ れらのLPRMセンサ5A、5B、5C、5Dの出力はそれぞれγ線温度計4i,4g、4e、4cの出力に基づいて較正することが可能である。
【0015】
固定式γ線検出器4の出力信号の流れは、以下のようになる。N個の固定式γ線検出器4の出力信号41S〜4NSは、データ処理装置8内のフィルタ91〜9Nに入力され、入力信号に含まれる電気雑音をフィルタ91〜9Nで除去した後に、時系列データメモリ101〜10Nに格納される。これらの時系列データメモリは、順次入力されるデータを取り込んで、これを時系列データとして格納する。したがって、それぞれの時系列データメモリ101〜10Nには、炉内に設置された同一ストリングの固定式γ線検出器(例えば、4a〜4k)の出力信号が時間経過とともに順次格納される。ただし、格納の仕方は、時系列データの処理に都合を考えて各時点までのデータの積算値等であってもよい。
【0016】
ところで、前述したように遅発γ線の影響により、出力レベルが一定であっても固定式γ線検出器の出力信号が時間経過とともに変化する。この変化を予測するのが、漸近線判定手段111〜11Nである。この漸近線判定手段は、時系列データメモリ101〜10Nに格納されているそれぞれの時系列データをあらかじめ用意している関数に当てはめる。この関数は、一種類でもよいが、出力レベルが整定してからの時間に応じてγ線変化に寄与する核種が異なってくることを考えて複数用意しておく方法も可能である。その場合、漸近線判定手段では、複数の関数のどれに一致、もしくはどれに最も当てはまるかを計算、判定する。これにより、固定式γ線検出器4の測定値の時間変化に対する漸近線が判定されることになる。
【0017】
次に漸近線判定結果は、整定判定手段121〜12Nに入力される。各整定判定手段121〜12Nは、漸近線判定結果を基に出力履歴が及ぼす遅発γ線への影響がなくなる時点に対する各固定式γ線検出器出力の推定値(漸近値)を求める。この算出した結果は出力測定結果として使用される一方、比較手段13に出力されてLPRMセンサ5の較正に使用される。すなわち、比較手段13では、あらかじめ定められた計算方法に従って、LPRM処理手段6からの出力信号と整定判定手段121〜12Nからの信号を基に、炉内の同一ストリングに入っているLPRMセンサ5と、同一高さの固定式γ線検出器4に対する信号の比較演算を実施して、LPRMセンサ5の較正定数を算出する。算出された較正定数は、LPRM処理手段6に自動あるいは手動で入力されて、LPRMセンサ信号に対するゲインは較正されることになる。
【0018】
遅発γ線に対する補正の方法の実施形態を説明する。
固定式γ線検出器4は炉内の出力分布を測定するためのものであり、隣接燃料集合体の出力に比例した出力信号が得られるのが理想である。しかし、前述したように主に核分裂生成物の崩壊γ線の影響で仮に出力レベルが一定になったとしても必ずしもγ線検出器の出力は一定にならない。しかも、この変化は炉内の各点の出力履歴に依存するため、この影響を取り除いて出力に比例する信号に変換する必要がある。ここで注意すべきことは、この信号が出力の絶対値に比例する必要は必ずしもなく、炉内各点の出力の相対的な関係が保たれていればよいということである。何故なら、炉心全体の出力はプラントヒートバランス計算等で得られる値に規格化されるからである。
【0019】
一般に、出力レベルが一定になった後の核分裂生成物から発生するγ線エネルギーの変化は、近似的に数1
【0020】
【数1】
【0021】
と表わせる。ここで、iは核種、εは崩壊当りのγ線放出エネルギー、Fは核分裂率、γは核分裂収率、λは崩壊定数であり、 tは出力レベルが一定となっ た後の基点とする時刻(例えば、測定開始時)からの経過時間、N0,iは基点と なる時刻の核種iの密度である。ここで、核分裂核種は数多く存在するので、核分裂生成物をほぼ同じ崩壊定数を持つ幾つかの組に分けて扱うのが便利である。例えば、原子炉の崩壊熱の時間変化を表わすには33の崩壊定数を持つ核種の組に分けて扱うことが推奨されている。こうすると数1のiを核種の組(i=1〜33)として考えればよい。
【0022】
ところで、出力履歴の影響は、各点における異なる崩壊定数を持つ核種の組成、すなわち、数1の右辺第2項に含まれる核種密度の相違として現れる。そして、この式から分かるように、十分長い時間が経てばこの寄与が無視でき、γ線エネルギーは核分裂に比例したものになる。
【0023】
図2に、異なる出力履歴を経て、t=0で同じ出力レベルになった幾つかのケースについて、γ線エネルギーの平均値と分散を示す。図に示すように、出力整定直後は出力履歴の影響が大きいが10時間以上経てばそれによる分散は小さくなる。したがって、10時間以上先の測定値を予測でき、そしてそれが出力に比例するならば、出力履歴の影響がない出力測定値として使用できることになる。図3に、遅発γ線の本発明の一実施形態の補正手順を示す。本図には、APRMの平均炉出力信号により炉出力の整定を確認し、時系列データの取得開始信号を発生する例が示されている。炉出力の整定は、APRMの平均炉出力信号から算出された原子炉ペリオドがあらかじめ定めた数値以上の値を一定時間(例えば、5分間)持続したことにより確認し、このとき時系列データの取得開始信号を発生する。この信号を受けて、データ処理装置は時系列データの取得を開始する。漸近線判定装置では数1を基に、数2
【0024】
【数2】
【0025】
の関数形に当てはめる。すなわち、上式の係数A、Bを時系列データから定める。しかし、数2のNは、必ずしも上述した核分裂生成物の組数33とする必要はない。33組の半減期は、非常に短いもの(例えば、10-5h)から非常に長いもの(例えば、1010h)まである。非常に短い半減期を持つものは直ぐにその出力レベルに追随し、逆に、非常に長い半減期を持つものは測定の時間内ではほとんど変化しない。測定が、仮に炉出力整定後数分から1時間程度の間に行われるとしたら、この間のγ線計測値の変化に寄与するのは数分から数十時間の半減期を持つ組だけである。したがって、数2に用いる崩壊定数の組も整定を判定した時刻、すなわち、時系列データ取得開始信号が発せられた時刻からの経過時間によって選択する方が当てはめ精度が良くなる。
【0026】
半減期0.1h〜100hを持つ7つの組(N=7)を用いて、50%出力から80%及び100%に出力上昇した場合のγ線エネルギー変化を、出力整定1時間後から1時間測定し、数2に当てはめて、先に述べた出力履歴の影響が小さくなる10時間後のγ線エネルギーを推定した結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
この実施形態における10時間後のγ線エネルギー予測誤差は1%以下であった。また、この結果に示されるように、10時間後のγ線エネルギー予測値は出力レベルと1%の精度で一致し、この方法によって出力履歴の影響を排除した出力測定が可能であることが分かる。このことは、10時間待ってγ線エネルギーを計測することを、本発明を用いれば1時間の計測で達成できることになる。
【0029】
次に、図4に示すような運転パターンを基に、遅発γ線の効果を補正する方法についての他の実施形態を説明する。この実施形態は、上述した実施形態に比べより単純な関数(崩壊定数の組数1〜2)で時系列データを当てはめ、さらに、解析的に導出される補正係数で精度を高めた例である。図4は、定格出力(100%)からΔP(50%)低下させ、ΔT時間で出力上昇し、出力整定(t=0)した場合の出力パターンを示す。図中のto,ti,tnは測定値サンプル時間を 示す。
【0030】
原子炉の炉心内には、核分裂反応に伴う即発γ線、生成した核分裂生成物(FP核種)の崩壊に伴う遅発γ線、中性子吸収反応に伴うγ線などが存在している。定格出力の50%から100%への出力変更(出力上昇)が生じた場合について、全γ線強度の相対時間変化(100%出力上昇後の経過時間)を、汎用の放射性核種生成・崩壊計算コードORIGEN2などを用いて計算した解析例を、図5に示す。これらの時間変化は、遅発γ線の影響によって生じたものであり、原子炉の運転状態や出力変更パターンなどに依存して大きく変化するので、これらの実機条件に適切に対応できる補正方式であることが重要である。そこで、本発明では、以下に示すように、全γ線強度の実測値を最大限活用する物理モデルを採用している。
【0031】
本発明では、原子炉の定常運転中に出力変更が生じた場合の遅発γ線の影響による全γ線強度の時間変化を、出力上昇後の経過時間 ( t )に依存する次の数 3で表示する。
【0032】
【数3】
【0033】
ここで、 G0 は、出力上昇後の t =0 における全γ線強度を表わす量であり、 f ( t ) は、その後の相対的な時間変化を表わす量である。α は、t=0 における全γ線強度を定常運転時の値に補正する補正因子であり、後述する 方法で数値シミュレーションによって求める。
【0034】
以下では、実測値を用いて数3を具体的に計算する方法について説明する。
時間依存の関数f ( t )で記述する物理現象は、核分裂によって生じた多数 の核分裂生成物(FP核種)から、それぞれに固有な崩壊定数を持って指数関数的に放出される遅発γ線の時間変化を積算したものである。そこで、本発明では、2個あるいは3個以上のパラメータ(指数関数の指数および成分割合)を有する1個あるいは2個以上の指数関数を用いた関数式で f ( t ) を表示する。 なお、指数関数の個数は(次に述べるように、計測点の個数に密接に関連する)、要求精度や計測時間等との兼ね合いで設定すべきものであるが、一般的には、指数関数の個数が増えるとともに補正値の信頼性が高まると言える。もっとも簡単なf(t)の例は、f(t)=A+Bexp(−λt)の形の関数であり、本実施形態の場合は前述した数2とは異なり崩壊定数λも当てはめの対象としていることである。
【0035】
次に、本発明による固定式γ線検出器を用いた計測システムの運用時において、出力上昇後の3点あるいは4点以上(to,…ti…,tn)の時刻で測定された全γ線強度の実測値を取り込み、上で定めた関数G 0 ・ f ( t ) の値が実測値に一致するように、この関数に含まれている3個あるいは4個以上のパラメータ(G0も含む)を解析的な方法あるいはフィッティング式を用いた方法で求め ることにより、補正関数(G0 ・ f ( t ))を決定する。
【0036】
このような方式で決定した補正関数(G0 ・ f ( t ))の解析精度は、その実測時間の範囲内(出力上昇後の1〜3時間を想定)では、数値計算誤差あるいはフィッティング計算誤差のみであるため、高精度が予想される。実際に、原子炉の各種運転状態を模擬した数値シミュレーションを行った検討結果からは、非常に良い精度で厳密計算の結果と一致する( 0.5%以内の差)ことが確認さ れている。
【0037】
以上の検討では、γ線検出器による計測時間を、出力上昇後の1〜3時間と比較的短時間の範囲に想定しているが、これは、熱中性子束を測定する局部出力検出器の較正等に、γ線検出器の計測結果を早期に反映する必要があることなどの計測システムに対する運用上の要請を考慮したためである。一方、1回の核分裂で放出される遅発γ線強度の時間変化を示す図6から分かるように、10時間経過後で約80%、100時間経過後で約90数%が放出されるており、遅発γ線の強度がほぼ定常状態に達する経過時間として10時間以上の経過時間を目安にすれば実用上問題ないと判断される。
【0038】
上で定義した補正関数 G0 ・ f ( t ) を、100時間程度の長時間経過後の補正値として適用する場合には、長時間経過後の実測値を使ってパラメータを再計算すれば、原理的には同程度の精度を得ることが可能である。しかし、上で述べた計測システムの実運用上の制約から、そのような実測値は得られない見通しであり、何らかの対策が必要である。
【0039】
本実施形態では、数3の左辺に示されているように、補正因子αを導入して、この効果を補正している。
【0040】
補正因子αの決定に際しての基本的な考え方は、上述のように、遅発γ線の長半減期成分の効果については、実測値を用いた補正関数の決定が不可能であることを考慮して、過去の長期間に及ぶ研究開発により核データおよび解析手法の面で高い技術レベルに達している核特性解析技術を活用して、その補正を行おうというものである。
【0041】
本実施形態では、補正因子αを次の数4で定義する。
【0042】
【数4】
【0043】
ここで、 G ( t ) は、 出力上昇後の経過時間t における全γ線強度の解析値であり(t0は最初の計測時刻、t100 は100時間経過後)、記号《》|(a)は、炉心の各種の運転状態(初装荷炉心/平衡炉心、運転サイクル初期/中期/末期、燃焼度、出力レベル等)や出力パターン(出力上昇率、出力変化幅、炉停止期間等)についての多数の解析結果について、パラメータaの関数として平均化することを意味している。 ここで、パラメータa は、全γ線強度の変化率を表わす量で、計測初期の値を用いる。
【0044】
ORIGEN2コードなどを用いたシミュレーション結果によれば、BWRの平衡炉心の運転サイクル初期/中期/末期に対する補正因子αの値は、1.01〜1.02(バラツキ:±〜0.005)の範囲で、aの値とともにほぼ直線的 に変化している。したがって、補正因子α の寄与はあまり大きくないことが分 かり、これらのデータをテーブル等の形で整理しておき、実際の補正計算で数2に従って用いればよい。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、固定式γ線検出器の同じ位置での時系列データを採取できるという特長を活かし、その時系列データから運転履歴等に依存する成分を取り除くことにより、原子炉内のγ線量が一定値に達する前に迅速に出力レベルのみに依存するγ線量を推定し、局所出力検出器の較正に利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図。
【図2】出力履歴の異なるケースの平均γ線エネルギー変化と分散状態図。
【図3】遅発γ線の補正手順のフロー図。
【図4】運転出力パターン図。
【図5】全γ線強度の時間変化(50→100%出力上昇後)状態図。
【図6】遅発γ線強度変化(U-235熱中性子核分裂)状態図。
【符号の説明】
1…原子炉出力容器、2…炉心、3…保護管、4…固定式γ線検出器、5…局所出力検出器(LPRMセンサ)、6…LPRM処理装置、7…平均出力領域モニタ(APRM)、8…データ処理装置、91〜9N…フィルタ、10I〜10N…時系列データメモリ、11I〜11N…漸近線判定手段、12I〜12N…整定判定手段、13…比較手段。
Claims (7)
- 原子炉内の熱中性子束を測定するための局所出力検出器と、γ線を測定するための固定式γ線検出器とを同一検出器集合体内に実装し、該検出器集合体を複数炉内に設置して原子炉出力を測定する原子炉出力測定装置において、前記固定式γ線検出器からの採取データを取り込む手段と、該採取データを時系列データとして格納する手段と、該格納した時系列データから遅発γ線への影響がなくなる時点での前記固定式γ線検出器の推定値を漸近値として出力レベルを計算する出力レベル比例成分計算手段とを有するデータ処理装置を備えたことを特徴とする原子炉出力測定装置。
- 原子炉内の熱中性子束を測定するための局所出力検出器と、γ線を測定するための固定式γ線検出器とを同一検出器集合体内に実装し、該検出器集合体を複数炉内に設置して原子炉出力を測定する原子炉出力測定装置において、前記固定式γ線検出器からの採取データを取り込む手段と、該採取データを時系列データとして格納する手段と、該格納した時系列データから遅発γ線への影響がなくなる時点での前記固定式γ線検出器の推定値を漸近値として出力レベルを計算する出力レベル比例成分計算手段と、該出力レベルと前記局所出力検出器出力とから前記局所出力検出器出力の較正定数を計算する手段とを有するデータ処理装置と、前記較正定数により前記局所出力検出器の測定出力を較正する処理手段とを備えたことを特徴とする原子炉出力測定装置。
- 請求項1又は2記載の原子炉出力測定装置において、上記データ処理装置の時系列データ採取手段は、局所出力検出器の信号により出力レベルが一定と見なされた時刻から固定式γ線検出器のデータを時系列に収集する機能を有するものであることを特徴とする原子炉出力測定装置。
- 請求項1又は2記載の原子炉出力測定装置において、上記データ処理装置の出力レベル比例成分計算手段は、前記時系列データに一致するように予め用意した関数の係数を定めて前記固定式γ線検出器の漸近値を計算するものであることを特徴とする原子炉出力測定装置。
- 請求項1又は2又は4記載の原子炉出力測定装置において、上記データ処理装置の出力レベル比例成分計算手段は、前記漸近値に固定式γ線検出器を囲む燃料集合体の燃焼度に依存した補正を施す機能を有するものであることを特徴とする原子炉出力測定装置。
- 請求項1又は2又は4記載の原子炉出力測定装置において、上記データ処理装置の出力レベル比例成分計算手段は、前記時系列データに一致するように、崩壊定数の異なる複数の指数関数の線形結合で定義した関数形の各係数を決定し、該関数形に含まれる指数関数の崩壊定数を上記局所出力検出器の指示値が一定と見なせると判断した時刻からの経過時間によって選択する機能を有するものであることを特徴とする原子炉出力測定装置。
- 請求項2記載の原子炉出力測定装置において、上記データ処理装置の較正定数計算手段は、上記局所出力検出器と同一局所に在る上記固定式γ線検出器に対する出力信号の比較演算によって較正定数を算出する機能を有するものであることを特徴とする原子炉出力測定装置。
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