JP7269132B2 - 浮体式海洋構造物ならびに浮体式洋上風力発電システムおよび浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム - Google Patents

浮体式海洋構造物ならびに浮体式洋上風力発電システムおよび浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 経済産業省 資源エネルギー庁が、下記のアドレス、https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/new/information/180824a/のウェブサイトにて公開の”浮体式洋上風力発電システム”(平成30年8月24日)に掲載。
本発明は、洋上浮体設備に連結され、例えば海中ケーブルや海中パイプラインに浮力体を装着した浮力体付き海中長尺体を備える浮体式海洋構造物、ならびに浮体式洋上風力発電システムおよび浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システムに関する。
近年、地球温暖化対策の観点から、洋上の風力、波力、潮流・海流等の海洋の自然エネルギーを電気エネルギーに変換して発電を行う、いわゆる海洋再生可能エネルギーの開発が注目されている。
海洋再生可能エネルギーが得られる洋上浮体設備(システム)としては、例えば洋上の風力を電気エネルギーに変換して発電することができる、いわゆる浮体式洋上風力発電システムが挙げられ、その実用化が進められている。
浮体式洋上風力発電システムは、洋上浮体設備に設けた発電用風車を、洋上の風力によって回転させて電気エネルギーに変換した後、得られた電力を、海中ケーブルを通じて送電することができるように構成されている。
また、洋上浮体設備は、潮の干満、波、潮流・海流等の海水の流れや、台風等の強風などによって、3次元的に揺動するなどの種々の動きをすることが知られており、海中ケーブルは、洋上浮体設備の種々の動きに追随できるように構成されている。例えば、特許文献1に記載の水中ケーブル(海中ケーブル)は、海中ケーブルの中間部(浮力体被装着部分)に、水中中間ブイ(浮力体)を装着し、海中ケーブルの浮力体被装着部分を、装着した浮力体による浮力の作用によって、海面に向かって凸状に湾曲させるとともに、浮力体被装着部分以外の海中ケーブルの部分を、海底に向かって凸状に湾曲させて、海中ケーブル全体がS字状に湾曲する延在形状にして、いわゆるスラック(弛み)をもたせるようにして構成されている。
また、海中ケーブルは、海底に接触して着底した部分が存在すると、海水の流れによって生じる外力によって、着底した部分が、海底面と接触した状態で摺動移動を繰り返して海底面と擦れ合うことによって損傷する恐れがあるため、海底に接触せずに海中に浮かんだ状態を維持できるように構成されていることが望ましい。
しかしながら、特許文献1に記載のように海中ケーブルに浮力体を装着した浮力体付き海中ケーブルは、海中に浮かんだ状態で設置したときのケーブル正常設置状態が、時間の経過とともに海中ケーブルが海中を下降移動(沈降)していき、ある程度の期間が経過すると、海中ケーブルが海底に沈降(接触)して着底するケーブル着底状態に移行する場合があった。このような着底状態が海中ケーブルに生じると、海中ケーブルの着底した部分が、海底面と接触した状態で摺動移動を繰り返して海底面と擦れ合うことによって損傷する恐れがあるため、海中ケーブルが海中でのケーブル正常設置状態を安定して長期間にわたって維持し、海底に沈降しないように構成する必要があった。
特開2015-39274号公報
本発明の目的は、海中に設置した後も長期間(例えば20年間以上)にわたって、海中ケーブルの沈降を有効に抑制することができる浮力体付き海中長尺体(浮力体付き海中ケーブル)を備える浮体式海洋構造物、ならびに浮体式洋上風力発電システムおよび浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システムを提供することにある。
本発明者らは、海中における浮力体付き海中ケーブルのケーブル正常設置状態からケーブル着底状態に移行する原因について、鋭意研究を重ねた結果、浮力体付き海中ケーブルを海中に設置すると、時間の経過とともに、海中ケーブル(海中長尺体)の浮力体被装着部分および第1浮力体の表面に、海洋生物の付着・堆積が進行し、これによって、海中ケーブルが海中を下降移動(沈降)してケーブル着底状態に移行すること、および、海中ケーブルの浮力体被装着部分および第1浮力体の表面を、所定の特性を有する網状袋体で所定の包囲状態で包囲することによって、海洋生物の付着を抑制できることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)海上に浮かんだ状態で位置する浮体式設備と、一端が海底に敷設された海底長尺体に接続され、他端が前記浮体式設備に連結される海中長尺体、および前記海中長尺体の浮力体被装着部分に装着された第1浮力体を有する浮力体付き海中長尺体とを備え、前記海中長尺体の前記浮力体被装着部分が、前記第1浮力体による浮力の作用によって、海面に向かって凸状に湾曲した延在形状を有し、かつ前記海中長尺体が、海底に接触せずに海中に浮かんだ状態を維持できるように構成されている浮体式海洋構造物において、前記海中長尺体が、前記第1浮力体、および前記第1浮力体を装着していない前記浮力体被装着部分のうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体をさらに備え、前記網状袋体は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって前記浮力体被装着部分および前記第1浮力体の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、前記網状袋体で包囲した部分の外面に海洋生物が付着しにくいように構成されていることを特徴とする海洋構造物。
(2)前記第1浮力体が、前記海中長尺体の前記浮力体被装着部分に装着された少なくとも1個の筒状ブイおよび玉状ブイのうちの少なくとも一方のブイである、上記(1)に記載の海洋構造物。
(3)前記網状袋体が、樹脂ネットである、上記(1)または(2)に記載の海洋構造物。
(4)前記浮力体付き海中長尺体は、一端が前記海中長尺体の前記浮力体被装着部分に連結され、海底に向かって垂下されて他端が少なくとも海底に到達する長さ寸法をもつ少なくとも1本の第1連結線と、前記第1連結線の前記他端側の部分に、前記第1連結線の延在方向に沿う間隔で装着された複数個の第1の錘とを有する沈降防止手段を有する、上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の海洋構造物。
(5)海上に浮かんだ状態で位置する浮体式洋上風力発電設備と、一端が海底に敷設された海底ケーブルに接続され、他端が前記浮体式洋上風力発電設備に連結される海中ケーブル、および前記海中ケーブルの浮力体被装着部分に装着された第1浮力体を有する浮力体付き海中ケーブルとを備え、前記海中ケーブルの前記浮力体被装着部分が、前記第1浮力体による浮力の作用によって、海面に向かって凸状に湾曲した延在形状を有し、かつ前記海中ケーブルが、海底に接触せずに海中に浮かんだ状態を維持できるように構成されている浮体式洋上風力発電システムにおいて、前記海中ケーブルが、前記第1浮力体、および前記第1浮力体を装着していない前記浮力体被装着部分のうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体をさらに備え、前記網状袋体は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって前記浮力体被装着部分および前記第1浮力体の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、前記網状袋体で包囲した部分の外面に海洋生物が付着しにくいように構成されていることを特徴とする浮体式洋上風力発電システム。
(6)海上に浮かんだ状態で位置する浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備と、一端が海底に敷設された海底パイプラインに接続され、他端が前記浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備に連結される海中パイプライン、および前記海中パイプラインの浮力体被装着部分に装着された第1浮力体を有する浮力体付き海中パイプラインとを備え、前記海中パイプラインの前記浮力体被装着部分が、前記第1浮力体による浮力の作用によって、海面に向かって凸状に湾曲した延在形状を有し、かつ前記海中パイプラインが、海底に接触せずに海中に浮かんだ状態を維持できるように構成されている浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システムにおいて、前記海中パイプラインが、前記第1浮力体、および前記第1浮力体を装着していない前記浮力体被装着部分のうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体をさらに備え、前記網状袋体は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって前記浮力体被装着部分および前記第1浮力体の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、前記網状袋体で包囲した部分の外面に海洋生物が付着しにくいように構成されていることを特徴とする浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム。
本発明によれば、海中ケーブルが、前記第1浮力体、および前記第1浮力体が装着されていない前記浮力体被装着部分のうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体をさらに備え、網状袋体は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって浮力体被装着部分および第1浮力体の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、前記網状袋体で包囲した部分の外面に海洋生物が付着しにくいように構成されていることによって、海中に設置した後も長期間(例えば20年間以上)にわたって、海中ケーブルの沈降を有効に抑制することができる浮力体付き海中ケーブルを備える浮体式海洋構造物、ならびに浮体式洋上風力発電システムおよび浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システムの提供が可能になった。
図1は、本発明に従う第1の実施形態の浮力体付き海中ケーブルを備える浮体式洋上風力発電システムの概略構成図である。 図2は、従来の浮力体付き海中ケーブルを備える浮体式洋上風力発電システムの概略構成図である。 図3は、図2に示す浮力体付き海中ケーブルを構成する浮力体に、海洋生物(MG)が付着・堆積して、海中ケーブルが海底に着底するまで沈降した状態を示す図である。 図4は、第2の実施形態の浮力体付き海中ケーブルを備える浮体式洋上風力発電システムの概略構成図である。 図5は、第3の実施形態の浮力体付き海中ケーブルを備える浮体式洋上風力発電システムの概略構成図である。 図6は、第4の実施形態の浮力体付き海中ケーブルを備える浮体式洋上風力発電システムの概略構成図である。 図7は、第5の実施形態である浮力体付き海中パイプラインを備える浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システムの概略構成図である。 図8は、図4に示す浮力体付き海中ケーブルを海中に3年間放置した後に、1個の第1浮力体(玉状ブイ)およびこれを包囲する網状袋体(樹脂ネット)だけを取り外して地上に引き上げて観察したときの外観写真であって、図8(a)は、樹脂ネットの外面状態、図8(b)は、樹脂ネットを取り外した玉状ブイの外面状態を示す。 図9は、玉状ブイ(樹脂ネットなし)を取り付けた従来の浮力体付き海中ケーブルを海中に3年間放置して海中ケーブルが海底に接触した状態で着底した後に、1個の第1浮力体(玉状ブイ)だけを取り外して地上に引き上げて観察したときの外観写真である。
次に、本発明の好ましい実施形態について、以下で説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明に従う第1の実施形態の海洋構造物である浮体式洋上風力発電システム10の概略構成を示したものである。図1に示す浮体式洋上風力発電システム10は、浮力体付き海中長尺体である浮力体付き海中ケーブル1と、洋上浮体設備である浮体式洋上風力発電設備2とを備えている。
図示の浮力体付き海中ケーブル1は、一端が海底S1に敷設された海底長尺体である海底ケーブル9に接続され、海中S2を通って延在し、他端が海上S3に浮かんだ状態で位置する浮体式洋上風力発電設備2に連結される海中長尺体である海中ケーブル3と、海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aに装着された第1浮力体4とを備えている。
浮体式洋上風力発電設備2は、海上S3に浮かんだ状態であり、下部が、海底S1に係留索(図示せず。)で固定されている。
海中ケーブル3は、浮体式洋上風力発電設備2で得られた電力を送電するためのものであって、主に、電力用線心、鎧装、外部防食層等から構成されている。なお、本発明では、海中ケーブル3は、後述するように、装着した第1浮力体4による浮力Fによって、海面S3に向かって凸状に湾曲した延在形状になるように変形できることが必要なので、ある程度の可撓性を有することが必要であるが、その他の構造および物性等については特に限定を要しないため、海中で使用することができる防水被覆を施した種々の電力ケーブルを使用することができる。
第1浮力体4は、海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aに装着された少なくとも1個の筒状ブイ(図1等)および玉状ブイ(図4等)のうちの少なくとも一方のブイであることが好ましい。図1に示す実施形態では、第1浮力体4は、浮力体被装着部分3aの延在方向に間隔をおいて、海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aの外周を覆うようにして装着された4個の筒状ブイで構成した場合を示している。第1浮力体4の材質としては、海中ケーブル3が海中S2に浮かんだ状態が維持できる程度の浮力を生じさせるものであればよく、特に限定はしないが、例えば、複合発泡体をポリウレタンなどの外皮でコーティングしたもの、ABS及びPE樹脂を用いたフロート等が挙げられる。
海中ケーブル3は、浮力体被装着部分3aが、第1浮力体4による浮力Fの作用によって、海面S3に向かって凸状に湾曲した延在形状を有し、かつ海中ケーブル3が、海底S1に接触せずに海中S2に浮かんだ状態を維持できるように構成されている。海中ケーブル3が海底S1に着底した状態で海中に設置されると、海中ケーブルの着底した部分が、海底面と接触した状態で摺動移動を繰り返して海底面と擦れ合うことによって損傷する恐れがあり、一方、海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aが、海面S3の高さ位置や、海面S3に近い海中S2の高さ位置に存在すると、海上を航行する船舶11等に接触する可能性があり、船舶の航行の妨げになったり、場合によっては、船舶等との接触によって海中ケーブルが損傷する恐れもある。
海中S2に浮かんだ状態の海中ケーブル3の、S字状湾曲延在形状をした山部(頂上)と谷部(谷底)が含まれる好適な海中設置深さ領域は、海底S1から、海面S3に向かう垂直方向(水深方向とは反対方向)に好ましくは10m以上、より好ましくは15m以上離れた深さ位置(海中下限深さライン)と、海面S3から好ましくは10m以上、より好ましくは15m以上離れた深さ位置(海中上限深さライン)とで区画された海中領域とする。特に、海中ケーブル3は、凸状に湾曲した前記浮力体被装着部分3aの山部(頂上)位置が海面S3から上記深さ位置の海中にあることが、浮体式洋上風力発電システムと船舶との接触などから浮体式洋上風力発電システムを回避する点で好ましい。また、海中ケーブル3は、谷部(谷底)位置が上記深さ位置の海中にあることが、海中ケーブルの海底への着底を回避する点で好ましい。海中ケーブル3は、その最深部が例えば水深100m以上よりも深い海中S2に設置される。
本発明者らは、特許文献1に記載されているような従来の浮力体付き海中ケーブルが、時間の経過とともに海中を下降移動(沈降)していき、ある程度の期間が経過すると、海中ケーブルが海底に沈降(接触)する着底状態に移行する場合があることについて、その原因を詳細に調査した。
ところで、海面S3に近い海中S2、海面S3に存在する海洋構造物には、必ずと言ってよいほど、フジツボなどの海洋生物(Marine Growth、以下、略して「MG」という場合がある。)が付着しやすく、MGは、さまざまな種類が存在し、大小や軽重があるものの質量を有している。
このため、本発明者らは、海中ケーブル3の着底状態への移行に関し、浮力体付き海中ケーブル1を海中に設置された場合、浮力体付き海中ケーブル1が、表面に海洋生物105が付着することに起因して海中を下降移動するとの仮説の下に鋭意検討を行った。その結果、海中に設置された浮力体付き海中ケーブル1は、第1浮力体4および第1浮力体4を装着した海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aに付着・堆積するフジツボ等の海洋生物105が、海中S2におけるケーブル設置期間の経過とともに、海中S2の海中ケーブル3を下降移動させること、そして、ケーブル設置期間が数年以上(例えば3年間以上)になったときに、想定を超えるフジツボ等の海洋生物105が付着して、海中ケーブル3が着底する場合があることを見出した。
さらに詳細に説明すると、従来の浮力体付き海中ケーブル101は、浮力体被装着部分に浮力体104が装着されており、海中S2でのケーブル正常設置状態では、図2に示すように、海底S1に接触せずに海中S2に浮かんだ状態を維持できるように構成されている。
しかしながら、海中ケーブル103は、時間の経過とともに、浮力体104および海中ケーブル103の表面に、海洋生物105の付着・堆積が進行していき、海洋生物105の付着・堆積によって海中ケーブル103の浮力体被装着部分の重量が重くなって、海中ケーブル103に大きな重力が作用することになるため、浮力体104による浮力が減じられてしまう。その結果、海中ケーブル103の全体が海底S1に向かって沈降するようになり、さらに、浮力体104および海中ケーブル103の表面に対する海洋生物105の付着・堆積が進行すると、図3に示すように、ケーブル着底状態に移行して、海中ケーブル103が海底S1と接触して着底する傾向があることを本発明者らは見出したのである。
また、海中ケーブル3に対する海洋生物の付着を防止するため、海中ケーブル3の外面に、亜酸化銅、ヒ素化合物、有機スズ化合物などを含有・コーティングする方法も考えられる。しかしながら、かかる方法による効果は、限定的であり、長期間にわたって発揮することができないばかりか、環境上の問題からも使用することは難しい。
このため、本発明者らは、海中ケーブル3に対する海洋生物105の付着防止を、環境に優しい方法で達成するべく鋭意検討した結果、海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aおよび第1浮力体4の表面を、所定の特性を有する網状袋体5により、所定の包囲状態で包囲することによって、海洋生物105の付着を有効に抑制できることを見出した。
すなわち、本発明では、海中ケーブル3は、第1浮力体4、および第1浮力体4を装着していない浮力体被装着部分3aのうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体5をさらに備え、網状袋体5は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって浮力体被装着部分3aおよび第1浮力体4の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、網状袋体5で包囲した部分の外面に海洋生物105が付着しにくいように構成されている。これによって、海中ケーブル3を海中S2に設置した後も長期間にわたって、海中ケーブル3の沈降を有効に抑制することができる。
網状袋体5は、第1浮力体4、および第1浮力体4を装着していない海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aのうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置し、かつ、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって浮力体被装着部分3aおよび第1浮力体4の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動くように構成することが必要である。
網状袋体5を、第1浮力体4等の外面に密着した状態で包囲するように配置すると、海水の流れによって生じる外力によって網状袋体5の部分が、第1浮力体4等の外面に対して揺れ動くことができないため、第1浮力体4等の外面への海洋生物105の付着を防止することができないからである。網状袋体5を第1浮力体4等の外面に対して弛んだ状態で包囲することによって、潮の干満、波、潮流・海流等の海水の流れ(自然な流れ)によって生じる外力によって、網状袋体5の部分が、形状を変える自由運動をして揺れ動き、浮力体4や海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aの外面に接触や分離を繰り返すことによって、浮力体4等に対する海洋生物105の付着を有効に防止することができる。
また、第1浮力体4等を網状袋体5で包囲することによって、網状袋体5の網目が紫外線などの光エネルギーを遮り、包囲した第1浮力体4等の外面に影を作り、海洋生物の光合成が抑制されることから、これによっても、浮力体4等に対する海洋生物105の付着を有効に防止することができる。
さらに、浮力体4等を包囲する網状袋体5が揺れ動くため、網状袋体5の網目を通過して浮力体4等の外面に到達する海水の流れは乱流となることから、これによっても、浮力体4等に対する海洋生物105の付着を有効に防止することができる。
網状袋体5の材質は、海水の流れによって生じる外力によって、形状が容易に変化する特性を有していればよく、特に限定はしないが、例えば樹脂ネットが挙げられる。
海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aおよび第1浮力体4に網状袋体5を装着する方法としては、図1に示すように第1浮力体4等に網状袋体5を被せた後に網状袋体5の両開口端を結束バンドやロープなどで縛ることによって装着すればよい。その他に、第1浮力体4等に網状体を弛んだ状態で包囲するように被せた後に結束バンドやロープなどで網状体を縛ることによって網状袋体5を形成してもよく、第1浮力体4等に網状体を弛んだ状態で包囲するように巻き付けて網状袋体5を形成してもよい。
このように第1の実施形態の浮力体付き海中ケーブル1は、網状袋体5が第1浮力体4等への海洋生物(MG)の付着を抑制することができるので、長期間にわたって、メンテナンスを行わなくても、海中ケーブル3が着底することがない。
<第2の実施形態>
図4は、本発明に従う第2の実施形態の浮力体付き海中ケーブル1Aを備える浮体式洋上風力発電システム10Aの概略構成を示したものである。なお、図4に示す各構成部材は、図1に示す構成部材と同じ場合には、同じ符号を付している。
第2の実施形態の浮体式洋上風力発電システム10Aは、第1浮力体の構成が異なることを除いては、第1の実施形態の浮体式洋上風力発電システム10と同様の構成を有しているので、以下では、第1浮力体4Aの構成について説明する。
本実施形態では、第1浮力体として玉状ブイ4Aを用いたものであって、図4では、海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aに、網状袋体5で包囲した4個の玉状ブイ4Aを、間隔をおいて装着して構成された場合を示している。
海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aおよび第1浮力体4Aに網状袋体5を装着する方法は、第1の実施形態における網状袋体5の装着方法と同様である。
<第3の実施形態>
図5は、本発明に従う第3の実施形態の浮力体付き海中ケーブル1Bを備える浮体式洋上風力発電システム10Bの概略構成を示したものである。なお、図5に示す各構成部材は、図1および図4に示す構成部材と同じ場合には、同じ符号を付している。
第3の実施形態の浮体式洋上風力発電システム10Bは、浮体式洋上風力発電設備2と、浮力体付き海中ケーブル1Bとを備え、海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aに、第1浮力体として、筒状ブイ4と玉状ブイ4Aの双方を装着するとともに、ブイ4、4Aを装着していない浮力体被装着部分3aの2カ所の外面を、網状袋体5で弛んだ状態で包囲するように配置したものであって、それ以外の構成については、第1の実施形態の浮体式洋上風力発電システム10と同様の構成を有している。以下では、第1の実施形態の浮体式洋上風力発電システム10とは異なる構成について説明する。
第3の実施形態では、第1浮力体として、筒状ブイ4と玉状ブイ4Aの双方を用いたものであって、図5では、海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aに、間隔をおいて4個の筒状ブイ4を装着するとともに、筒状ブイ4、4の間などに4個の玉ブイを装着するとともに、これらの計8個のブイ4、4Aと、ブイ4、4Aが装着されていない浮力体被装着部分3aの2カ所の部分とを、それぞれ個別に包囲する網状袋体5とを装着して構成された場合を示している。
なお、第1浮力体4、4Aの種類及び配設数や網状袋体5の配設数については、必要に応じて決定することができる。特に、海洋生物105の付着に起因した、海中ケーブル3の海底S1との接触(着底)を有効に防止する観点から、第1浮力体4、4Aおよび海中ケーブル3の浮力体被装着部3aを、できるだけ覆うように網状袋体5を配置することが好ましい。
<第4の実施形態>
図6は、本発明に従う第4の実施形態の浮力体付き海中ケーブル1Cを備える浮体式洋上風力発電システム10Cの概略構成を示したものである。なお、図6に示す各構成部材は、図1、図4および図5に示す構成部材と同じ場合には、同じ符号を付している。
第4の実施形態では、浮力体付き海中ケーブル1Cは、海洋生物(MG)105が第1浮力体4の表面に付着することによる海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aにおける重量増加に伴って、海中ケーブル3が沈降して、海底S1に接触するのを防止する沈降防止手段6をさらに備えている。
第4の実施形態では、沈降防止手段6は、少なくとも1本の第1連結線7と、複数個の第1の錘8とで主として構成され、図6では、4本の第1連結線7と、これら第1連結線7のそれぞれに、各12個の第1の錘8とで構成されている場合を示している。また、図6では、各第1連結線7に装着されている12個の第1の錘8として、同じものを使用した場合を示しているが、異なるサイズや重さのものを使用することができる。例えば、第1の錘8のうち、初めから着底している第1の錘8(図6では12個のうちの6個が着底)は、海中ケーブル3が第1浮力体4によって海中S2を上昇移動しないように固定するため、他の第1の錘8よりも重いものを使用してもよい。他の第1の錘8は、海中ケーブル3の海中への設置直後には海底S1に着底しておらず、初めから着底している第1の錘8よりも、第1連結線7の一端側(海面S3側)の部分に装着される錘である。
第1連結線7は、一端が海中ケーブル3の浮力体被装着部分3aに連結され、海底S1に向かって垂下され、他端が少なくとも海底S1に到達する長さ寸法を有している。
第1連結線7の他端側の部分には、第1連結線7の延在方向に沿う間隔で複数個の第1の錘8を装着し、図6では12個の第1の錘8を、いわゆるバランスチェーン(釣合い錘)方式に連結して構成した場合を示している。
このような沈降防止手段6を備える浮力体付き海中ケーブル1は、海中ケーブル3や第1浮力体4に、仮に海洋生物(MG)105が付着・堆積した場合であっても、沈降防止手段6を備えることによって、長期間にわたって、海底S1に着底することなく、メンテナンスフリーで海中S2に浮いたままの状態を維持することができる。
以下、そのメカニズムについて説明する。なお、説明を分かりやすくするため、海中ケーブル3に装着された第1浮力体4によって、海中ケーブル3に作用する浮力Fを1000kgf(9.8kN)とし、沈降防止手段6を、1本の第1連結線7と12個の第1の錘8(12個のうちの6個の第1の錘8は海中ケーブルの海中設置当初から着底した状態とする。)とで構成していることとし、また、12個の第1の錘8が、第1連結線7の他端側の部分に、第1連結線7の延在方向に沿って42cm間隔で装着され、12個分の第1の錘8の総重量W12が2000kgf(19.6kN)である時点をケーブル初期設定(正常)状態とし、この状態から、海洋生物105が、第1浮力体4および海中ケーブル3に付着していく場合を想定して考える。この場合、第1浮力体4によって海中ケーブル3に作用する浮力Fと、沈降防止手段6の着底していない6個の第1の錘8の総重量は、1000kgf(9.8kN)で重量バランスされている(釣り合っている)。なお、便宜上、上記構成はメカニズムを説明するための一例であり、第1浮力体4や沈降防止手段6などの設置条件は海底の深さや海水の流れなどの海洋条件に応じて適宜変更してもよい。
この場合、海洋生物(MG)105が、第1浮力体4および海中ケーブル3に付着していき、MGの付着重量wが、第1の錘8の1個分に相当する重量である約167kgf(約1.63N)に達すると、第1浮力体4により海中ケーブル3に生じる浮力Fと、着底していない6個の第1の錘8の総重量Wとのバランスが崩れて、海中ケーブル3が海中を下降移動することになる。しかしながら、海中ケーブル3が、42cmだけ下降移動すると、着底していない6個の第1の錘8のうち、最も海底S1側に位置する1個目の第1の錘8が着底する結果、浮力Fと、5個分の第1の錘8の総重量WおよびMGの付着重量wの合計重量が同じになって、重量バランスがとれるようになることから、海中ケーブル3の下降移動は抑制される。
その後、MGの付着重量wがさらに167kgfだけ増加すると、海中ケーブル3がさらに42cmだけ下降移動することになるが、海底S1側に位置する第1の錘8の2個目が着底する結果、浮力Fと、4個分の第1の錘8の総重量WおよびMGの付着重量2wの合計重量とが同じになって、重量バランスがとれるようになることから、海中ケーブル3の下降移動は抑制される。
このように、MGの付着重量wが167kgf増加するごとに、海中ケーブル3が42cmだけ下降移動するが、着底していない海底側に位置する第1の錘8の1個が着底するごとに、海底ケーブル3の下降移動が抑制されるため、海中ケーブル3は、長期間にわたって海底S1に着底するのを抑制することが可能になる。
なお、第1浮力体4および海中ケーブル3に対する海洋生物105の付着・堆積できる量には限界があり、海洋生物105の付着・堆積量が限界に達したとき、付着した海洋生物105のうちの一部は、第1浮力体4および海中ケーブル3の表面から剥がれ落ちるようになる。この場合には、重量バランスが崩れて、海中ケーブル3、特に浮力体被装着部分3aが、海中S2を急激に上昇移動へ転ずることになるが、上方移動すると、着底していた第1の錘8が、再び海中S2に持ち上げられて、重量バランスが取れるようになる結果、異常な上昇移動は抑制される。このため、海中ケーブル3は、海中S2での下降および上昇の移動変位(上下振れ幅)が比較的小さくなり、海中で浮かんだ状態を比較的安定して維持することができる。
このように第4の実施形態の浮力体付き海中ケーブル1Cは、第1浮力体4に対する海洋生物105の付着状況に応じて、自動的に下降移動と上昇移動を繰り返すことができるので、長期間にわたって、メンテナンスを行わなくても、海中ケーブル3が着底することがない。
<第5の実施形態>
図7は、第5の実施形態である浮力体付き海中パイプライン21を備える浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム30の概略構成を示したものである。
図7に示す浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム30は、浮力体付き海中長尺体である浮力体付き海中パイプライン21と、洋上浮体設備である浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備22とを備えている。
図示の浮力体付き海中パイプライン21は、一端が海底S1に敷設された海底長尺体である海底パイプライン29に接続され、海中S2を通って延在し、他端が海上S3に浮かんだ状態で位置する浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備22に連結される海中長尺体である海中パイプライン23と、海中パイプライン23の浮力体被装着部分23aに装着された第1浮力体24とを備えている。
浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備22は、海上S3に浮かんだ状態であり、下部が、海底S1に係留索(図示せず。)で固定されている。図7に示す浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備22は、船舶型の浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO)であって、船体と生産設備等を備えたトップサイドと呼ばれる甲板部分で構成されている。
海中パイプライン23は、海底S1から引き上げた炭化水素資源を含む流体を、海底パイライン29を介して浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備22に輸送するための管路である。なお、本発明では、海中パイプライン23は、後述するように、装着した第1浮力体24による浮力Fによって、海面S3に向かって凸状に湾曲した延在形状になるように変形できることが必要なので、ある程度の可撓性を有することが必要であるが、その他の構造および物性等については特に限定を要しないため、海中で使用することができる種々の配管を使用することができる。
第1浮力体24は、第1乃至第4の実施形態で記載されている第1浮力体4,4Aと同様のものを使用することができる。
浮体付き海中パイプライン21もまた、第1乃至第4の実施形態で示す浮体付き海中ケーブル1、1A、1B、1Cと同様に、海中パイプライン23の浮力体被装着部分23aが、第1浮力体24による浮力Fの作用によって、海面S3に向かって凸状に湾曲した延在形状を有し、かつ海中パイプライン23が、海底S1に接触せずに海中S2に浮かんだ状態を維持できるように構成されている。海中パイプライン23が海底S1に着底した状態で海中に設置されると、海中パイプライン23の着底した部分が、海底面と接触した状態で摺動移動を繰り返して海底面と擦れ合うことによって損傷する恐れがあり、一方、海中パイプライン23の浮力体被装着部分3aが、海面S3の高さ位置や、海面S3に近い海中S2の高さ位置に存在すると、海上を航行する船舶11等に接触する可能性があり、船舶の航行の妨げになったり、場合によっては、船舶等との接触によって海中パイプラインが損傷する恐れもある。
海中S2に浮かんだ状態の海中パイプライン23の、S字状湾曲延在形状をした山部(頂上)と谷部(谷底)が含まれる海中設置深さ領域は、海底S1から、海面S3に向かう垂直方向(水深方向とは反対方向)に、例えば好ましくは10m以上、より好ましくは15m以上離れた深さ位置(海中下限深さライン)と、海面S3から、例えば好ましくは10m以上、より好ましくは15m以上離れた深さ位置(海中上限深さライン)とで区画された海中領域としてもよい。海中パイプライン23は、凸状に湾曲した前記浮力体被装着部分3aの山部(頂上)位置が海面S3から上記深さ位置の海中にあると、浮体式洋上風力発電システムと船舶との接触を抑制する傾向にあり、谷部(谷底)位置が上記深さ位置の海中にあると、海中ケーブルの海底への着底を抑制する傾向にある。
第5の実施形態の浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム30では、海中パイプライン23が、第1浮力体24、および第1浮力体24を装着していない浮力体被装着部分23のうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体25をさらに備え、網状袋体25は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって浮力体被装着部分23aおよび第1浮力体24の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、網状袋体25で包囲した部分の外面に海洋生物が付着しにくいように構成されている。第5の実施形態である浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム30において、かかる構成を採用したことによる効果は、上述した第1乃至第4の実施形態の浮体式洋上風力発電システム10および10A~10Cのところで説明した効果と同様であるので、説明は省略する。
最後に、本発明の効果を説明するため、一例として、従来の浮力体付き海中ケーブル(従来例)と、第2の実施形態の浮力体付き海中ケーブル1A(実施例)とを、海中S2に3年間放置した後の状態について、調査したので以下で説明する。
図8は、第2の実施形態の浮力体付き海中ケーブル1A(図4)を、海中S2に3年間放置した後に、1個の第1浮力体(玉状ブイ)4Aおよびこれを包囲する網状袋体(樹脂ネット)5だけを取り外して、地上に引き上げて観察したときの外観写真であって、図8(a)は、樹脂ネット5の外面状態、図8(b)は、樹脂ネット5を取り外した玉状ブイ4Aの外面状態を示す。なお、浮力体付き海中ケーブル1Aは、第1浮力体4Aを取り外すまでは、適正な海中深さ設定領域内に浮かんだ状態を維持していた。
図9は、玉状ブイ(樹脂ネットなし)を取り付けた従来の浮力体付き海中ケーブルを海中S2に3年間放置した後に、1個の第1浮力体(玉状ブイ)だけを取り外して地上に引き上げて観察したときの外観写真である。
図8および図9に示す外観写真を見れば明らかなように、従来の浮力体付き海中ケーブルは、浮力体(玉状ブイ)に、多数の海洋生物が大量に付着・堆積していた。これに対し、実施例の浮力体付き海中ケーブル1Bは、第1浮力体(玉状ブイ)が網状袋体(樹脂ネット)で弛んだ状態で包囲されているので、海洋生物の付着がほとんど認められなかった。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
1、1A、1B、1C 浮力体付き海中長尺体(または浮力体付き海中ケーブル)
2 洋上浮体設備(または浮体式洋上風力発電設備)
3 海中長尺体(または海中ケーブル)
3a 海中長尺体の浮力体被装着部分
4 第1浮力体(または筒状ブイ)
4A 玉状ブイ
5 網状袋体
6 沈降防止手段
7 第1連結線
8 第1の錘(またはバランスチェーン)
9 海底長尺体(または海底ケーブル)
10、10A、10B、10C 浮体式海洋構造物(または浮体式洋上風力発電システム)
21 浮力体付き海中パイプライン
22 浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備
23 海中パイプライン
24 第1浮力体
25 網状袋体
26 沈降防止手段
27 第1連結線
28 第1の錘(またはバランスチェーン)
29 海底パイプライン
30 浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム
100 浮体式洋上風力発電システム
101 浮力体付き海中ケーブル
102 浮体式洋上風力発電設備
103 海中ケーブル
104 第1浮力体
105 海洋生物(MG)
S1 海底
S2 海中
S3 海上(海面)

Claims (6)

  1. 海上に浮かんだ状態で位置する洋上浮体設備と、
    一端が海底に敷設された海底長尺体に接続され、他端が前記洋上浮体設備に連結される海中長尺体、および前記海中長尺体の浮力体被装着部分に装着された第1浮力体を有する浮力体付き海中長尺体と
    を備え、
    前記海中長尺体の前記浮力体被装着部分が、前記第1浮力体による浮力の作用によって、海面に向かって凸状に湾曲した延在形状を有し、かつ前記海中長尺体が、海底に接触せずに海中に浮かんだ状態を維持できるように構成されている浮体式海洋構造物において、
    前記海中長尺体が、前記第1浮力体、および前記第1浮力体を装着していない前記浮力体被装着部分のうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体をさらに備え、
    前記網状袋体は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって前記浮力体被装着部分および前記第1浮力体の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、前記網状袋体で包囲した部分の外面に海洋生物が付着しにくいように構成されていることを特徴とする浮体式海洋構造物。
  2. 前記第1浮力体が、前記海中長尺体の前記浮力体被装着部分に装着された少なくとも1個の筒状ブイおよび玉状ブイのうちの少なくとも一方のブイである、請求項1に記載の浮体式海洋構造物。
  3. 前記網状袋体が、樹脂ネットである、請求項1または2に記載の浮体式海洋構造物。
  4. 前記浮力体付き海中長尺体は、
    一端が前記海中長尺体の前記浮力体被装着部分に連結され、海底に向かって垂下されて他端が少なくとも海底に到達する長さ寸法をもつ少なくとも1本の第1連結線と、
    前記第1連結線の前記他端側の部分に、前記第1連結線の延在方向に沿う間隔で装着された複数個の第1の錘と
    を有する沈降防止手段を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の浮体式海洋構造物。
  5. 海上に浮かんだ状態で位置する浮体式洋上風力発電設備と、
    一端が海底に敷設された海底ケーブルに接続され、他端が前記浮体式洋上風力発電設備に連結される海中ケーブル、および前記海中ケーブルの浮力体被装着部分に装着された第1浮力体を有する浮力体付き海中ケーブルと
    を備え、
    前記海中ケーブルの前記浮力体被装着部分が、前記第1浮力体による浮力の作用によって、海面に向かって凸状に湾曲した延在形状を有し、かつ前記海中ケーブルが、海底に接触せずに海中に浮かんだ状態を維持できるように構成されている浮体式洋上風力発電システムにおいて、
    前記海中ケーブルが、前記第1浮力体、および前記第1浮力体を装着していない前記浮力体被装着部分のうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体をさらに備え、
    前記網状袋体は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって前記浮力体被装着部分および前記第1浮力体の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、前記網状袋体で包囲した部分の外面に海洋生物が付着しにくいように構成されていることを特徴とする浮体式洋上風力発電システム。
  6. 海上に浮かんだ状態で位置する浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備と、
    一端が海底に敷設された海底パイプラインに接続され、他端が前記浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備に連結される海中パイプライン、および前記海中パイプラインの浮力体被装着部分に装着された第1浮力体を有する浮力体付き海中パイプラインと
    を備え、
    前記海中パイプラインの前記浮力体被装着部分が、前記第1浮力体による浮力の作用によって、海面に向かって凸状に湾曲した延在形状を有し、かつ前記海中パイプラインが、海底に接触せずに海中に浮かんだ状態を維持できるように構成されている浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システムにおいて、
    前記海中パイプラインが、前記第1浮力体、および前記第1浮力体を装着していない前記浮力体被装着部分のうち、少なくとも一方の外面を、弛んだ状態で包囲するように配置した網状袋体をさらに備え、
    前記網状袋体は、形状が容易に変化する特性を有し、海水の流れによって生じる外力によって前記浮力体被装着部分および前記第1浮力体の少なくとも一方の外面に接触するように揺れ動いて、前記網状袋体で包囲した部分の外面に海洋生物が付着しにくいように構成されていることを特徴とする浮体式石油・ガス生産貯蔵積出システム。
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