JP7268618B2 - 1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物及びその硬化物 - Google Patents
1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物及びその硬化物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7268618B2 JP7268618B2 JP2020021679A JP2020021679A JP7268618B2 JP 7268618 B2 JP7268618 B2 JP 7268618B2 JP 2020021679 A JP2020021679 A JP 2020021679A JP 2020021679 A JP2020021679 A JP 2020021679A JP 7268618 B2 JP7268618 B2 JP 7268618B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- silicone rubber
- mass
- rubber composition
- platinum
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
この理由で、理想的には室温で全く硬化反応が進行せず、そしてプロセス条件下においてできるだけ高い反応速度を有する付加架橋性シリコーンゴム組成物に対して長い間市場の要求がある。
[1]
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する平均重合度が3,000以上の直鎖状ジオルガノポリシロキサン生ゴム: 100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 0.01~50質量部、
(C)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ: 5~100質量部、
(D)白金-ビニル基含有シロキサン錯体の1種又は2種以上から選択される、有機溶剤を含まないヒドロシリル化触媒と、
(E)23℃で液体であり、リン含有率が4~6質量%である亜リン酸エステル化合物を、
上記(D)成分の白金原子1モルに対し(E)成分の亜リン酸エステル化合物が0.9モルを超え1.6モル以下の範囲内で均一に混合されてなる(D)成分と(E)成分との液状反応物: (D)成分が0.00001~0.1質量部となる量、
(F)アセチレンアルコール化合物、窒素化合物、オキシム化合物及び有機クロロ化合物より選択される少なくとも1種の反応制御剤: 0.00001~0.1質量部
を含有する1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
[2]
(A)成分の直鎖状ジオルガノポリシロキサン生ゴムの平均重合度が3,000~100,000である[1]記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
[3]
(D)成分と(E)成分との液状反応物の外観が透明である[1]又は[2]記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
[4]
亜リン酸エステル化合物が、トリス(トリデシル)ホスファイトである[1]~[3]のいずれかに記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
[5]
さらに、(G)成分として充填剤用分散剤を含有するものである[1]~[4]のいずれかに記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の熱硬化物であるシリコーンゴム硬化物。
なお、本明細書中において、比表面積は、BET法により測定された値である。さらに、ミラブル型シリコーンゴム組成物とは、室温(23℃±15℃)において自己流動性のない(又はほとんどない)非常に高粘度で非液状(固体状又はペースト状)のシリコーンゴム組成物であって、ロールミル(例えば、二本ロールや三本ロール)などの混練機で剪断応力下に均一に混練することが可能なシリコーンゴム組成物を意味する。従って、ミラブル型シリコーンゴム組成物は、室温で液状であって混練機で剪断応力をかけることができない液状シリコーンゴム組成物とはその性状が本質的に相違するものである。
また、オルガノポリシロキサン生ゴムとは、高重合度(高粘度)であって、通常、室温(23℃±15℃)において自己流動性のない(又はほとんどない)非液状(固体状又はペースト状)のオルガノポリシロキサン成分であることを意味する。
(A)成分の直鎖状ジオルガノポリシロキサン生ゴムは、本組成物の主剤(ベースポリマー)であり、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個、好ましくは2~10,000個、より好ましくは2~500個程度含有し、平均重合度が100以上のものである。
R1 nSiO(4-n)/2 (1)
(式(1)中、R1は、炭素原子数1~20の同一又は異なる1価炭化水素基であり、nは1.95~2.04の正数である。)
[測定条件]
・展開溶媒:トルエン
・流量:1mL/min
・検出器:示差屈折率検出器(RI)
・カラム:KF-805L×2本(Shodex社製)
・カラム温度:25℃
・試料注入量:30μL(濃度0.2質量%のトルエン溶液)
(B)成分は、ケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。(B)成分は、ヒドロシリル化付加反応により硬化(架橋)する本発明の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物を硬化させるための硬化剤(架橋剤)として作用する成分であり、(B)成分中のSiH基が前記(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応により架橋して硬化する。
R2 bHcSiO(4-b-c)/2 (2)
上記式(2)においてR2で示される1価炭化水素基としては、上記したR1に例示した基が挙げられる。中でも脂肪族不飽和結合を有さない基が好ましい。
(C)成分の補強性シリカは、得られるシリコーンゴム組成物に対して優れた機械的特性を付与する充填剤として作用する。該補強性シリカは、沈降シリカ(湿式シリカ)でもヒュームドシリカ(煙霧質シリカ又は乾式シリカ)でもよく、通常、表面未処理の補強性シリカは、表面に多数のシラノール(SiOH)基が存在しているものである。本発明において(C)成分の補強性シリカのBET法による比表面積は、50m2/g以上であることが必要であり、好ましくは100~450m2/g、より好ましくは100~300m2/gである。この比表面積が50m2/g未満であると、(C)成分による補強効果が不十分となる。
(D)成分の白金-ビニル基含有シロキサン錯体の1種又は2種以上から選択される、有機溶剤を含まないヒドロシリル化触媒は、前記(A)成分のベースポリマー中のアルケニル基と、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応に寄与する硬化触媒である。有機溶剤を含まないヒドロシリル化触媒の具体例としては、塩化白金とビニル基含有シロキサンとの錯体、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの錯体、又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとの錯体からなる群から選択される少なくとも1種であり、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt錯体)、白金-1,3-ジアリル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体、白金-1,3-ジビニル-1,3-ジメチル-1,3-ジフェニルジシロキサン錯体、白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン錯体、及び白金-1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン錯体などが挙げられる。これらの群から選択される少なくとも1種のヒドロシリル化触媒を含有することが必須であり、それらの中に有機溶剤を含まないことも必須条件である。上記の有機溶剤を含まないヒドロシリル化触媒の中でも、特に白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体(Karstedt錯体)を用いることが極めて好ましい。
(E)成分のリン含有率が4~6質量%、好ましくは4.1~5.5質量%の範囲内である(即ち、分子量が517~775、好ましくは600~750である)亜リン酸エステル化合物は、前記(D)成分のヒドロシリル化触媒と予備的に均一に混合した液状反応物とすることにより、(E)成分の特定の亜リン酸エステル化合物が(D)成分と反応して白金-亜リン酸化合物錯体を形成することによって、(D)成分のヒドロシリル化触媒能を低温(室温)状態で安定化させて保存安定性を向上し、かつ100℃を超える温度に晒すことで(D)成分のヒドロシリル化触媒能を活性化させることができる必須成分である。
(F)成分は、アセチレンアルコール化合物、窒素化合物、オキシム化合物及び有機クロロ化合物より選択される少なくとも1種の反応制御剤である。これは、前述した(E)成分の亜リン酸エステル化合物のみでは、長期間ミラブル型シリコーンゴム組成物の保存安定性を達成するのは不可能であり、(F)成分を微量添加することで室温において長期間ミラブル型シリコーンゴム組成物の硬化を抑制することが可能となる。
本発明においては、前記(A)~(F)成分に加えて、必要に応じて任意に(C)成分の補強性シリカ等の充填剤の分散剤(ウェッター)として、ジメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニル基含有アルコキシシラン等の各種アルコキシシラン及びその加水分解物、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子シロキサンなどや、該分散剤(ウェッター)に加えて、さらに充填剤表面と分散剤(ウェッター)との相互作用を促進させるための反応促進剤として、カリウムシリコネートなどの分子鎖末端がアルカリ金属オキシドで封鎖されたオルガノポリシロキサン等を配合することができる。
本発明の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記成分に加え、必要に応じて、その他の成分として、(C)成分以外の充填剤(粉砕石英、珪藻土、炭酸カルシウム等)、着色剤(顔料)、引き裂き強度向上剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤(白金化合物等)、受酸剤、熱伝導率向上剤(アルミナ、窒化硼素等)、離型剤等の、熱硬化型シリコーンゴム組成物における公知の充填剤及び添加剤を添加してもよい。また、有機過酸化物等の硬化促進剤なども保存性を損なわない範囲内で添加してもよい。その他の成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物は、該組成物を構成する配合成分をニーダー、バンバリーミキサー、二本ロール等の公知の混練機でせん断応力下に混練することにより得ることができる。ここで、(D)成分の白金-ビニル基含有シロキサン錯体の1種又は2種以上から選択される、有機溶剤を含まないヒドロシリル化触媒と、(E)成分のリン含有率が4~6質量%の範囲内である(分子量が517~775に相当する)亜リン酸エステル化合物は予め均一に混合し反応させた状態(即ち、(D)成分中の白金原子が(E)成分の亜リン酸エステル化合物と錯体を形成した状態)にしてから添加することが必須である。この理由は、上記(E)成分の項目にて記述した通りである。この(D)成分と(E)成分を混合し反応させた触媒を、上記(A)成分に添加し、その後、各必須成分を添加することで、目的とするミラブル型シリコーンゴム組成物を得ることができる。例えば、一部の(A)成分のオルガノポリシロキサンと(C)成分の補強性シリカを配合したマスターベースに、一部の(A)成分と、(D)成分と(E)成分を混合し反応させた触媒を加え、二本ロール等の混練機にて調製した第1配合成分と、上記マスターベースに、一部の(A)成分と、(B)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、(F)成分である反応制御剤を加え、二本ロール等の混練機にて調製した第2配合成分を作製し、その後、上記の第1配合成分と第2配合成分を二本ロール等の混練機にて混練することで、目的とする保存安定性に優れた1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物を得ることができる。
本発明の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の成形方法としては、目的とする成形品の形状及び大きさにあわせて公知の成形方法を選択すればよい。例えば、注入成形、圧縮成形、射出成形、カレンダー成形、押出成形などの方法が挙げられる。
本発明のシリコーンゴム硬化物は、上記1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の熱硬化物である。
本発明の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の硬化条件は、用いる成形方法における公知の条件でよく、一般的に60~450℃の温度で数秒~1日程度である。また、得られるシリコーンゴム硬化物の圧縮永久歪の低下、得られるシリコーンゴム硬化物中に残存している低分子シロキサン成分の低減、該シリコーンゴム硬化物中の有機過酸化物の分解物の除去等の目的で、200℃以上、好ましくは200~250℃のオーブン内等で1時間以上、好ましくは1~70時間程度、より好ましくは1~10時間のポストキュア(2次キュア)を行ってもよい。
本実施例の評価は次のように行った。
(D)成分と(E)成分との混合触媒については、(D)成分の白金原子1モルに対し、所定量の(E)成分である亜リン酸エステル化合物を加えたのち、振とう器を用いて室温にて1時間振とうさせて調製した。その後、室温にて1か月静置したのち外観を確認し、透明であり沈殿物の生成がないものを合格、非相溶であるものや沈殿を生成したものは不合格と判定した。
下記実施例及び比較例で調製した(D)成分と(E)成分の混合触媒の保存安定性は、混合触媒を調製直後に作製した1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の硬化性(T50)と、(D)成分と(E)成分の混合触媒を23℃にて2週間保存した後に1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物を作製した該組成物の硬化性(T50)を比較することで確認した。ここで、硬化性はレオメーター(ALPHA TECHNOLOGIES社製 RUBBER PROCESS ANALYZER RPA2000)を用いて比較した。硬化温度150℃において、混合触媒を調製直後に作製した1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の硬化性T50と、(D)成分と(E)成分の混合触媒を23℃にて2週間保存した後に作製した1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の硬化性T50を比較し、その差が±0.3分以下であるものを合格と判定した。なお、硬化性T50とは、上記レオメーターで150℃において硬化開始から3分経過後のトルク値を100%とした時の硬化開始から50%トルク値に達するまでの時間である。
下記実施例及び比較例で作製した1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の硬化性は、レオメーター(ALPHA TECHNOLOGIES社製 RUBBER PROCESS ANALYZER RPA2000)を用いて比較した。硬化温度150℃におけるT50が3.0分以下であるものを合格と判定した。
下記実施例及び比較例で作製した1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の保存安定性は、得られた1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の初期(作製直後)の硬化性と作製した組成物を40℃の乾燥機に所定時間(1か月)晒したのちの硬化性をレオメーター(ALPHA TECHNOLOGIES社製 RUBBER PROCESS ANALYZER RPA2000)を用いて比較した。この時、40℃にて1か月後まで硬化性(T50)を評価できたものであって、なおかつ、初期の硬化性(T50)が3.0分以下であり、初期の硬化性(T50)と40℃×1か月保存後の硬化性(T50)との差が±0.3分以下であるものを合格と判定した。
[調製例1]
25gの透明ガラス容器に、ヒドロシリル化触媒として、1質量%のPt原子を有する、有機溶剤を含まない白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を10質量部、亜リン酸エステル化合物として、室温にて液体であるトリス(トリデシル)ホスファイト(リン含有率;4.9質量%、分子量;628g/mol)を0.3219質量部(上記の白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のPt原子1モルに対し、亜リン酸エステルが1.0モルとなる量)を加え、密封した後、室温条件下で1時間振とうさせた。混合直後は白濁となったが、室温にて1時間振とう後は無色透明の均一な液体が得られた。このヒドロシリル化触媒と亜リン酸エステル化合物との均一液状反応物を触媒1として組成物へ添加する。
25gの透明ガラス容器に、ヒドロシリル化触媒として、1質量%のPt原子を有する、有機溶剤を含まない白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を10質量部、亜リン酸エステル化合物として、室温にて液体であるトリス(トリデシル)ホスファイト(リン含有率;4.9質量%、分子量;628g/mol)を0.4828質量部(上記の白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のPt原子1モルに対し、亜リン酸エステルが1.5モルとなる量)を加え、密封した後、室温条件下で1時間振とうさせた。混合直後は白濁となったが、室温にて1時間振とう後は無色透明の均一な液体が得られた。このヒドロシリル化触媒と亜リン酸エステル化合物との均一液状反応物を触媒2として組成物へ添加する。
25gの透明ガラス容器に、ヒドロシリル化触媒として、1質量%のPt原子を有する、有機溶剤を含まない白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を10質量部、亜リン酸エステル化合物として、室温にて液体であるトリス(トリデシル)ホスファイト(リン含有率;4.9質量%、分子量;628g/mol)を0.3058質量部(上記の白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のPt原子1モルに対し、亜リン酸エステルが0.95モルとなる量)を加え、密封した後、室温条件下で1時間振とうさせた。混合直後は白濁となったが、室温にて1時間振とう後は無色透明の均一な液体が得られた。このヒドロシリル化触媒と亜リン酸エステル化合物との均一液状反応物を触媒3として組成物へ添加する。
25gの透明ガラス容器に、ヒドロシリル化触媒として、1質量%のPt原子を有する、有機溶剤を含まない白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を10質量部、亜リン酸エステル化合物として、室温にて液体であるトリス(トリデシル)ホスファイト(リン含有率;4.9質量%、分子量;628g/mol)を0.6438質量部(上記の白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のPt原子1モルに対し、亜リン酸エステルが2.0モルとなる量)を加え、密封した後、室温条件下で1時間振とうさせた。室温にて1時間振とう後も依然として、白濁した不均一な液体となり、不均一な触媒であることが分かった。このヒドロシリル化触媒と亜リン酸エステル化合物との不均一液状反応物を触媒4として組成物へ添加する。
25gの透明ガラス容器に、ヒドロシリル化触媒として、1質量%のPt原子を有する、有機溶剤を含まない白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を10質量部、亜リン酸エステル化合物として、室温にて液体であるトリス(トリデシル)ホスファイト(リン含有率;4.9質量%、分子量;628g/mol)を0.1609質量部(上記の白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のPt原子1モルに対し、亜リン酸エステルが0.5モルとなる量)を加え、密封した後、室温条件下で1時間振とうさせた。混合直後は白濁となったが、室温にて1時間振とう後は無色透明の均一な液体が得られた。このヒドロシリル化触媒と亜リン酸エステル化合物との均一液状反応物を触媒5として組成物へ添加する。
25gの透明ガラス容器に、ヒドロシリル化触媒として、1質量%のPt原子を有する、有機溶剤を含まない白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を10質量部、亜リン酸エステル化合物として、室温にて液体である亜リン酸トリイソプロピル(リン含有率;14.9質量%、分子量;208g/mol)を0.0534質量部(上記の白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のPt原子1モルに対し、亜リン酸エステルが0.5モルとなる量)を加え、密封した後、室温条件下で1時間振とうさせた。混合直後から相溶し、淡黄色液体となり、室温にて1時間振とう後も均一な淡黄色透明の液体が得られた。このヒドロシリル化触媒と亜リン酸エステル化合物との均一液状反応物を触媒6として組成物へ添加する。
25gの透明ガラス容器に、ヒドロシリル化触媒として、1質量%のPt原子を有する、有機溶剤を含まない白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体を10質量部、亜リン酸エステル化合物として、室温にて固体であるトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(リン含有率;4.7質量%、分子量;646g/mol)を0.3311質量部(上記の白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体のPt原子1モルに対し、亜リン酸エステルが1.0モルとなる量)を加え、密封した後、室温条件下で1時間振とうさせた。室温にて1時間振とう後の外観は、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが分散した白濁の不均一液体となり、均一な触媒は得られなかった。このヒドロシリル化触媒と亜リン酸エステル化合物との不均一液状反応物を触媒7として組成物へ添加する。
[実施例1]
ジメチルシロキサン単位99.85モル%、メチルビニルシロキサン単位0.125モル%、ジメチルビニルシロキシ単位0.025モル%からなり、平均重合度が8,000であるジオルガノポリシロキサン生ゴム(分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体)100質量部、BET法比表面積が200m2/gのヒュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル(株)製)55質量部、ジメチルジメトキシシラン12質量部、ビニルトリメトキシシラン0.2質量部、両末端シラノール基を有し、平均重合度4、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン12質量部、3質量%カリウムシリコネート0.15質量部を添加し、170℃で2時間、ニーダーにより混合下で加熱した後、ベースコンパウンド(1)を調製した。
実施例1において、触媒1の代わりに触媒2を0.00040質量部用いた以外は同様にして、1成分型シリコーンゴム組成物2を製造した。
実施例1において、触媒1の代わりに触媒3を0.00040質量部用いた以外は同様にして、1成分型シリコーンゴム組成物3を製造した。
実施例1において、触媒1の代わりに触媒4を0.00040質量部用いた以外は同様にして、1成分型シリコーンゴム組成物4を製造した。
実施例1において、触媒1の代わりに触媒5を0.00040質量部用いた以外は同様にして、1成分型シリコーンゴム組成物5を製造した。
実施例1において、触媒1の代わりに触媒6を0.00040質量部用いた以外は同様にして、1成分型シリコーンゴム組成物6を製造した。
実施例1において、触媒1の代わりに触媒7を0.00040質量部用いた以外は同様にして、1成分型シリコーンゴム組成物7を製造した。
ジメチルシロキサン単位99.85モル%、メチルビニルシロキサン単位0.125モル%、ジメチルビニルシロキシ単位0.025モル%からなり、平均重合度が8,000であるジオルガノポリシロキサン生ゴム(分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体)100質量部、BET法比表面積が200m2/gのヒュームドシリカ(アエロジル200、日本アエロジル(株)製)55質量部、ジメチルジメトキシシラン12質量部、ビニルトリメトキシシラン0.2質量部、両末端シラノール基を有し、平均重合度4、25℃における粘度が15mPa・sであるジメチルポリシロキサン12質量部、3質量%カリウムシリコネート0.15質量部を添加し、170℃で2時間、ニーダーにより混合下で加熱した後、ベースコンパウンド(1)を調製した。
実施例1において、エチニルメチルデシルカルビノール0.00080質量部を除いた以外は同様にして、1成分型シリコーンゴム組成物9を製造した。
上記調製例1~3及び比較調製例1~4で得られた触媒の結果を表1に示す。また、実施例1~3及び比較例1~6で得られた結果を表2、3に示す。
調製例1~3の触媒は、本発明の要件を満たすものであり、それを用いた実施例1~3は、調製初期の組成物、製造した触媒を2週間保存した後製造した組成物、及び調製した組成物を40℃にて1か月保管したもののいずれも硬化性の変化が少ないことが分かる。
Claims (6)
- (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有する平均重合度が3,000以上の直鎖状ジオルガノポリシロキサン生ゴム: 100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン: 0.01~50質量部、
(C)比表面積が50m2/g以上の補強性シリカ: 5~100質量部、
(D)白金-ビニル基含有シロキサン錯体の1種又は2種以上から選択される、有機溶剤を含まないヒドロシリル化触媒と、
(E)23℃で液体であり、リン含有率が4~6質量%である亜リン酸エステル化合物を、
上記(D)成分の白金原子1モルに対し(E)成分の亜リン酸エステル化合物が0.9モルを超え1.6モル以下の範囲内で均一に混合されてなる(D)成分と(E)成分との液状反応物: (D)成分が0.00001~0.1質量部となる量、
(F)アセチレンアルコール化合物、窒素化合物、オキシム化合物及び有機クロロ化合物より選択される少なくとも1種の反応制御剤: 0.00001~0.1質量部
を含有する1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。 - (A)成分の直鎖状ジオルガノポリシロキサン生ゴムの平均重合度が3,000~100,000である請求項1記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
- (D)成分と(E)成分との液状反応物の外観が透明である請求項1又は2記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
- 亜リン酸エステル化合物が、トリス(トリデシル)ホスファイトである請求項1~3のいずれか1項に記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
- さらに、(G)成分として充填剤用分散剤を含有するものである請求項1~4のいずれか1項に記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物の熱硬化物であるシリコーンゴム硬化物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020021679A JP7268618B2 (ja) | 2020-02-12 | 2020-02-12 | 1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物及びその硬化物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020021679A JP7268618B2 (ja) | 2020-02-12 | 2020-02-12 | 1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物及びその硬化物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021127373A JP2021127373A (ja) | 2021-09-02 |
JP7268618B2 true JP7268618B2 (ja) | 2023-05-08 |
Family
ID=77487954
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020021679A Active JP7268618B2 (ja) | 2020-02-12 | 2020-02-12 | 1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物及びその硬化物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7268618B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114316605A (zh) * | 2021-12-31 | 2022-04-12 | 东莞市正安有机硅科技有限公司 | 一种透明阻燃硅橡胶及其制备方法 |
JPWO2023136259A1 (ja) * | 2022-01-13 | 2023-07-20 | ||
CN115340570A (zh) * | 2022-06-17 | 2022-11-15 | 华南理工大学 | 一种炔基亚磷酸酯配体及其制备方法与在硅氢加成铂催化剂中的应用 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010009755A1 (en) | 2008-07-21 | 2010-01-28 | Momentive Performance Materials Gmbh | Curable silicone compositions comprising aryl-phosphites |
WO2010009754A1 (en) | 2008-07-21 | 2010-01-28 | Momentive Performance Materials Gmbh | Curable silicone compositions comprising organo-silylphosphites |
WO2010009752A1 (en) | 2008-07-21 | 2010-01-28 | Momentive Performance Materials Gmbh | Curable silicone compositions comprising cyclo-alkylphosphites |
-
2020
- 2020-02-12 JP JP2020021679A patent/JP7268618B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010009755A1 (en) | 2008-07-21 | 2010-01-28 | Momentive Performance Materials Gmbh | Curable silicone compositions comprising aryl-phosphites |
WO2010009754A1 (en) | 2008-07-21 | 2010-01-28 | Momentive Performance Materials Gmbh | Curable silicone compositions comprising organo-silylphosphites |
WO2010009752A1 (en) | 2008-07-21 | 2010-01-28 | Momentive Performance Materials Gmbh | Curable silicone compositions comprising cyclo-alkylphosphites |
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
KOWNACKI Ireneusz, et al.,Effect of triorganophosphites on platinum catalyzed curing ofsilicon rubber,Applied Catalysis A: General,2009年,Volume362, Issues 1-2,Pages 106-114,https://doi.org/10.1016/j.apcata.2009.04.027 |
KOWNACKI Ireneusz, etal.,Tris(triorganosilyl)phosphites-New ligands controlling catalyticactivity of Pt(0) complex in curing of silicone rubber,Applied Catalysis A: General,2010年,Volume 380, Issues 1-2,Pages 105-112,https://doi.org/10.1016/j.apcata.2010.03.041 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021127373A (ja) | 2021-09-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7268618B2 (ja) | 1成分型ミラブル型シリコーンゴム組成物及びその硬化物 | |
EP2845880B1 (en) | Addition curable liquid silicone rubber composition and silicone rubber cured article | |
CN106414611B (zh) | 加成固化性液态硅橡胶组合物 | |
KR101800341B1 (ko) | 폴리실록산 조성물 및 이의 경화물 | |
JP3765444B2 (ja) | 電気・電子部品封止・充填用シリコーンゲル組成物およびシリコーンゲル | |
JPH02102264A (ja) | 硬化性オルガノシロキサン組成物 | |
JP6344333B2 (ja) | 付加硬化性シリコーンゴム組成物 | |
JP5835100B2 (ja) | 帯電防止性シリコーンゴム組成物及び帯電防止性シリコーンゴム硬化物の黄変を抑制する方法 | |
TWI732061B (zh) | 耐熱性混煉型矽橡膠組合物 | |
JPH0270755A (ja) | オルガノポリシロキサン組成物 | |
JP7371717B2 (ja) | 付加硬化性液状シリコーンゴム組成物 | |
JPS6312662A (ja) | 熱安定性フッ素化ポリオルガノシロキサン組成物 | |
JP5862512B2 (ja) | シリコーンゴム硬化物の難燃性向上方法 | |
EP0577335A2 (en) | Storage stable one-part organosiloxane compositions and methods for preparing same | |
JP2021042323A (ja) | 硬化性シリコーンゲル組成物及びシリコーンゲル硬化物 | |
JPH051237A (ja) | 表面処理アルミナ及びそれを含有する熱伝導性シリコーン組成物 | |
JPH0726147A (ja) | 加熱硬化型シリコーンエラストマー組成物 | |
JP5110308B2 (ja) | 液状シリコーンゴム組成物の製造方法及び液状シリコーンゴム組成物 | |
JP6083372B2 (ja) | 付加硬化型液状シリコーンゴム組成物の製造方法 | |
JP2000169714A (ja) | 硬化性シリコーン組成物 | |
JP3855040B2 (ja) | 硬化性シリコーン組成物 | |
JP2002194214A (ja) | オルガノポリシロキサン組成物、前記組成物を含有する架橋性材料、および前記材料の架橋により製造される成形物 | |
WO2021241036A1 (ja) | 二液付加硬化型シリコーンゴム組成物 | |
JP2005325158A (ja) | 付加硬化型シリコーンゴム組成物 | |
WO2023136259A1 (ja) | 白金-亜リン酸エステル錯体含有ヒドロシリル化触媒、その製造方法及び硬化性オルガノポリシロキサン組成物並びに物品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220221 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20221228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230110 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230206 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230322 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230404 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7268618 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |