JP7267868B2 - 含ホウ素縮合環化合物の製造方法 - Google Patents

含ホウ素縮合環化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、含ホウ素縮合環化合物の製造方法に関する。
有機電界発光素子などの有機エレクトロニクス素子に用いるための多環芳香族化合物として、例えば、特許文献1に記載されているホウ素原子を含有する縮合環化合物が検討されている。
この縮合環化合物の合成方法として、例えば、特許文献1には、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-クロロベンゼンの塩素原子をリチオ化した後、BBrと反応させる製造方法(下記式(i))、1,3-ビス(メチルフェニルアミノ)ベンゼンをリチオ化した後、BBrと反応させる製造方法(下記式(ii))、1,3,5-トリ(ジフェニルアミノ)ベンゼンとBBrとを反応させる製造方法(下記式(iii))等が記載されている。
Figure 0007267868000001
国際公開第2015/102118号
近年、多環芳香族化合物の需要増加に伴い、基質選択性、収率改善等の観点から、新たな製造方法の開発が望まれている。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[12]に関する。
[1]
下記式(1):
Figure 0007267868000002

[式中、
環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に芳香環を表す。
、H及びHは、水素原子を表す。
及びXは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表す。
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Rは環A、環B又は環Cと結合して環を形成していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
で表される部分構造を有する多環芳香族化合物の、前記環A上の水素原子、前記環B上の水素原子及び前記環C上の水素原子からなる群より選択される少なくとも一つの水素原子(但し、Hを除く)をハロゲン化して、ハロゲン化物を得るハロゲン化工程と、
前記ハロゲン化物、又は、前記ハロゲン化物のハロゲン-金属交換反応により得られる有機金属化合物と、BXで表されるホウ素化合物(Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、を反応させて、下記式(2):
Figure 0007267868000003

[式中、環A、環B、環C、X及びXは、前記と同じ意味を表す。]
で表される部分構造を有する含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程と、
を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
[2]
前記ハロゲン化工程が、前記環B上の水素原子及び前記環C上の水素原子からなる群より選択される少なくとも一つの水素原子がハロゲン化される工程であり、
前記環化工程が、前記ハロゲン化物と前記ホウ素化合物とを反応させる工程である、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記環Bが前記Xと結合するベンゼン環を有し、
前記ハロゲン化工程が、前記ベンゼン環の前記Xに対するパラ位の水素原子がハロゲン化される工程である、[2]に記載の製造方法。
[4]
前記ハロゲン化工程が、前記環A上の水素原子のうち少なくとも一つの水素原子(但し、Hを除く)がハロゲン化される工程であり、
前記環化工程が、前記有機金属化合物と前記ホウ素化合物とを反応させる工程である、[1]に記載の製造方法。
[5]
前記環Aが前記Hと結合するベンゼン環を有し、
前記ハロゲン化工程が、前記ベンゼン環の前記Hに対するメタ位の水素原子がハロゲン化される工程である、[4]に記載の製造方法。
[6]
前記多環芳香族化合物が、下記式(1A)で表される化合物であり、
前記含ホウ素縮合環化合物が、下記式(2A)で表される化合物である、[1]に記載の製造方法。
Figure 0007267868000004

[式中、
、H、H、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、1価の複素環基、アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、隣接する炭素原子に結合する基同士で結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも一つは水素原子である。]
Figure 0007267868000005

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。]
[7]
前記式(1A)におけるR、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも一つが水素原子であり、
前記ハロゲン化工程が、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも一つの水素原子がハロゲン化される工程であり、
前記環化工程が、前記ハロゲン化物と前記ホウ素化合物とを反応させる工程である、[6]に記載の製造方法。
[8]
前記式(1A)におけるRが水素原子であり、
前記ハロゲン化物が、下記式(3B)で表される化合物である、[7]に記載の製造方法。
Figure 0007267868000006

[式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
は、ハロゲン原子を表す。]
[9]
前記式(1A)におけるR、R及びRのうち少なくとも一つが水素原子であり、
前記ハロゲン化工程が、R、R及びRのうち少なくとも一つの水素原子がハロゲン化される工程であり、
前記環化工程が、前記有機金属化合物と前記ホウ素化合物とを反応させる工程である、[6]に記載の製造方法。
[10]
前記式(1A)におけるRが水素原子であり、
前記ハロゲン化物が、下記式(3C)で表される化合物である、[9]に記載の製造方法。
Figure 0007267868000007

[式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
は、ハロゲン原子を表す。]
[11]
下記式(3B)で表される化合物と、BXで表されるホウ素化合物(Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、を反応させて、下記式(2B)で表される含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
Figure 0007267868000008

[式中、
、H及びHは、水素原子を表す。
及びXは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表す。
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Rは、式(3B)中のベンゼン環と結合して環を形成していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、1価の複素環基、アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、隣接する炭素原子に結合する基同士で結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、ハロゲン原子を表す。]
Figure 0007267868000009

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。]
[12]
下記式(3C)で表される化合物のハロゲン-金属交換反応により得られる有機金属化合物と、BXで表されるホウ素化合物(Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、を反応させて、下記式(2C)で表される含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
Figure 0007267868000010

[式中、
、H及びHは、水素原子を表す。
及びXは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表す。
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Rは、式(3C)中のベンゼン環と結合して環を形成していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、1価の複素環基、アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、隣接する炭素原子に結合する基同士で結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
は、ハロゲン原子を表す。]
Figure 0007267868000011

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。]
本発明によれば、含ホウ素縮合環化合物の新規な製造方法が提供される。
実施例1の化合物A-2をHMQC法で測定して得られたNMRスペクトルを示す図である。 実施例1の化合物A-2をHMBC法で測定して得られたNMRスペクトルを示す図である。 実施例2の化合物B-3をTOCSY法で測定して得られたNMRスペクトルを示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<共通する用語の説明>
本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
「室温」とは、25℃を意味する。
Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基、i-Prはイソプロピル基、t-Buはtert-ブチル基、Phはフェニル基を表す。
水素原子は、重水素原子であっても、軽水素原子であってもよい。
「アルキル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5である。分岐のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20であり、更に好ましくは5~10である。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-プロピルヘプチル基、デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、ドデシル基等が挙げられる。また、アルキル基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。このようなアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジ-ヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基が挙げられる。また、シクロアルキル基は、このような基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい(例えば、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等)。
「アリール基」は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。アリール基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~10である。
アリール基としては、例えば、単環式の芳香族炭化水素(例えば、ベンゼンが挙げられる。)、又は、多環式の芳香族炭化水素(例えば、ナフタレン及びインデン等の2環式の芳香族炭化水素;アントラセン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン及びフルオレン等の3環式の芳香族炭化水素;ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾフルオレン、ピレン及びフルオランテン等の4環式の芳香族炭化水素;ジベンゾアントラセン、ジベンゾフェナントレン、ジベンゾフルオレン、ペリレン及びベンゾフルオランテン等の5環式の芳香族炭化水素;スピロビフルオレン等の6環式の芳香族炭化水素;並びに、ベンゾスピロビフルオレン及びアセナフトフルオランテン等の7環式の芳香族炭化水素が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基が挙げられる。また、アリール基は、これらの基が複数結合した基を含む。
アリール基は、置換基を有していてもよい。アリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基等が挙げられる。また、アリール基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「アルコキシ基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは4~10である。分岐のアルコキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルコキシ基は、置換基を有していてもよい。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「シクロアルコキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。シクロアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。
シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。また、シクロアルコキシ基は、このような基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基等が挙げられる。また、アリールオキシ基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「アルキルスルフェニル基」は、直鎖及び分岐のいずれでもよい。直鎖のアルキルスルフェニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは4~10である。分岐のアルキルスルフェニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルキルスルフェニル基は、置換基を有していてもよい。アルキルスルフェニル基としては、例えば、メチルスルフェニル基、エチルスルフェニル基、プロピルスルフェニル基、イソプロピルスルフェニル基、ブチルスルフェニル基、イソブチルスルフェニル基、tert-ブチルスルフェニル基、ペンチルスルフェニル基、ヘキシルスルフェニル基、ヘプチルスルフェニル基、オクチルスルフェニル基、2-エチルヘキシルスルフェニル基、ノニルスルフェニル基、デシルスルフェニル基、3,7-ジメチルオクチルスルフェニル基、ラウリルスルフェニル基等が挙げられる。また、アルキルスルフェニル基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「シクロアルキルスルフェニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
シクロアルキルスルフェニル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキルスルフェニル基としては、例えば、シクロヘキシルスルフェニル基が挙げられる。また、シクロアルキルスルフェニル基は、このような基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「アリールスルフェニル基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールスルフェニル基は、置換基を有していてもよい。アリールスルフェニル基としては、例えば、フェニルスルフェニル基、1-ナフチルスルフェニル基、2-ナフチルスルフェニル基、1-アントラセニルスルフェニル基、9-アントラセニルスルフェニル基、1-ピレニルスルフェニル基等が挙げられる。また、アリールスルフェニル基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「1価の複素環基」とは、複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基の中でも、芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうち1個の水素原子を除いた残りの原子団である「1価の芳香族複素環基」が好ましい。
「芳香族複素環式化合物」は、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール等の複素環自体が芳香族性を示す化合物、及び、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等の複素環自体は芳香族性を示さなくとも複素環に芳香環が縮環されている化合物を意味する。
1価の複素環基としては、例えば、単環式の複素環式化合物(例えば、フラン、チオフェン、オキサジアゾール、ピロール、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ジアザベンゼン及びトリアジンが挙げられる。)、又は、多環式の複素環式化合物(例えば、アザナフタレン、ジアザナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾジアゾール及びベンゾチアジアゾール等の2環式の複素環式化合物;ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ジベンゾホスホール、ジベンゾセレノフェン、カルバゾール、アザカルバゾール、ジアザカルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、9,10-ジヒドロアクリジン、5,10-ジヒドロフェナジン、フェナザボリン、フェノホスファジン、フェノセレナジン、フェナザシリン、アザアントラセン、ジアザアントラセン、アザフェナントレン及びジアザフェナントレン等の3環式の複素環式化合物;ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾカルバゾール、ベンゾナフトフラン及びベンゾナフトチオフェン等の4環式の複素環式化合物;ジベンゾカルバゾール、インドロカルバゾール及びインデノカルバゾール等の5環式の複素環式化合物;カルバゾロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール及びベンゾインデノカルバゾール等の6環式の複素環式化合物;並びに、ジベンゾインドロカルバゾール等の7環式の複素環式化合物が挙げられる。)から、環を構成する原子に直接結合する水素原子1個を除いた基が挙げられる。また、1価の複素環基は、これらの基が複数結合した基を含む。
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~60であり、好ましくは3~20であり、より好ましくは4~20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジニル基、ピペリジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基等が挙げられる。また、1価の複素環基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、置換アミノ基が好ましい。アミノ基が有する置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基が好ましい。アミノ基が有する置換基が複数存在する場合、それらは同一で異なっていてもよく、互いに結合して、それぞれが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。
置換アミノ基としては、二置換アミノ基が好ましい。二置換アミノ基としては、例えば、ジアルキルアミノ基、ジシクロアルキルアミノ基及びジアリールアミノ基が挙げられる。
二置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基が挙げられる。また、二置換アミノ基は、これらの基における水素原子の一部又は全部が、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、フッ素原子、塩素原子等で置換された基であってもよい。
「置換基」とは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、アミノ基を表す。
<含ホウ素縮合環化合物の製造方法>
本実施形態に係る製造方法は、ハロゲン化工程と環化工程とを含む。ハロゲン化工程は、式(1)で表される部分構造を有する多環芳香族化合物の、環A上の水素原子、環B上の水素原子及び環C上の水素原子からなる群より選択される少なくとも一つの水素原子(但し、Hを除く)をハロゲン化して、ハロゲン化物を得る工程である。また、環化工程は、当該ハロゲン化物、又は、当該ハロゲン化物のハロゲン-金属交換反応により得られる有機金属化合物と、BXで表されるホウ素化合物(Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、を反応させて、下記式(2)で表される部分構造を有する含ホウ素縮合環化合物を得る工程である。各工程において、原料、試薬などは、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
Figure 0007267868000012
Figure 0007267868000013
式中、環A、環B及び環Cは、それぞれ独立に芳香環を表す。
、H及びHは、水素原子を表す。
及びXは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表す。
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Rは環A、環B又は環Cと結合して環を形成していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
芳香環は、芳香族性を示す環であればよく、例えば、芳香族性を示す単環、芳香族性を示す縮合環等であってよい。
環A、環B及び環Cは、好ましくは芳香族炭化水素環(例えば、上述の単環式の芳香族炭化水素又は縮合した芳香族炭化水素)であり、より好ましくはベンゼン環である。
及びXは、含ホウ素縮合環化合物の安定性の観点から、好ましくは酸素原子又は-N(R)-で表される基であり、より好ましくは-N(R)-で表される基である。
Rは、化合物の安定性の観点から、好ましくはアルキル基、アリール基又は1価の複素環基であり、より好ましくはアルキル基又はアリール基である。
Rが有していてよい置換基は、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、1価の複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基又はアミノ基であり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアミノ基である。
多環芳香族化合物がハロゲン原子を有する場合、当該ハロゲン原子はフッ素原子又は塩素原子が好ましい。例えば、Rが有していてよい置換基におけるハロゲン原子は、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
多環芳香族化合物は、式(1)で表される部分構造を1つ有する化合物であってよく、式(1)で表される部分構造を複数有する化合物であってもよい。多環芳香族化合物が複数の部分構造を有する場合、複数の部分構造は、その一部が互いに重複していてもよい。
式(1)で表される芳香族化合物の分子量は、好ましくは10,000以下であり、より好ましくは3,000以下である。また、式(1)で表される芳香族化合物は分子量分布を有さない低分子化合物であることが好ましい。
含ホウ素縮合環化合物は、式(2)で表される部分構造を1つ有する化合物であってよく、式(2)で表される部分構造を複数有する化合物であってもよい。含ホウ素縮合環化合物が複数の部分構造を有する場合、複数の部分構造は、その一部が互いに重複していてもよい。
式(2)で表される含ホウ素縮合環化合物の分子量は、好ましくは10,000以下であり、より好ましくは3,000以下である。また、式(2)で表される含ホウ素縮合環化合物は分子量分布を有さない低分子化合物であることが好ましい。
多環芳香族化合物としては、得られる含ホウ素縮合環化合物の安定性、合成のし易さの観点から、下記式(1A)で表される化合物が好ましい。式(1A)で表される化合物を用いることで、含ホウ素縮合環化合物として、下記式(2A)で表される化合物が合成される。
Figure 0007267868000014
Figure 0007267868000015
式中、H、H、H、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、1価の複素環基、アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。また、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、隣接する炭素原子に結合する基同士で結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも一つは水素原子である。
式(1A)で表される化合物がハロゲン原子を有する場合、当該ハロゲン原子は、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。例えば、R~R11におけるハロゲン原子は、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。また、R~R11が有していてもよい置換基としてのハロゲン原子は、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
式(1A)で表される化合物は、R及びRのうち少なくとも一つが水素原子であることがより好ましい。
ハロゲン化工程は、多環芳香族化合物における、環A上の水素原子(但し、Hを除く)、環B上の水素原子(好ましくはH以外の水素原子)及び環C上の水素原子(好ましくはH以外の水素原子)からなる群より選択される少なくとも一つの水素原子をハロゲン化する工程である。ハロゲン化工程は、多環芳香族化合物中の一つ又は複数の水素原子をハロゲン化する工程であってよく、好ましくは多環芳香族化合物中の1~3個の水素原子をハロゲン化する工程であり、より好ましくは多環芳香族化合物中の一つの水素原子をハロゲン化する工程である。
ハロゲン化工程におけるハロゲン化は、好ましくは塩素化、臭素化又はヨウ素化であり、より好ましくは臭素化又はヨウ素化である。
好適な一態様において、ハロゲン化工程は、環B上の水素原子(好ましくはH以外の水素原子)及び環C上の水素原子(好ましくはH以外の水素原子)からなる群より選択される少なくとも一つの水素原子をハロゲン化する工程であってよく、環B上の水素原子(好ましくはH以外の水素原子)のうち少なくとも一つの水素原子をハロゲン化する工程であってもよい。
環BがXと結合するベンゼン環を有する場合、ハロゲン化工程は、環BのXに対するパラ位の水素原子(例えば、式(1A)におけるR)をハロゲン化する工程であることが好ましい。
好適な他の一態様において、ハロゲン化工程は、環A上の水素原子(但し、Hを除く)のうち少なくとも一つの水素原子をハロゲン化する工程であってよい。
環AがHと結合するベンゼン環を有する場合、ハロゲン化工程は、環AのHに対するメタ位の水素原子(例えば、式(1A)におけるR又はR)をハロゲン化する工程であることが好ましい。
ハロゲン化工程では、多環芳香族化合物を出発原料とする多段階反応によってハロゲン化物を得てもよいが、多環芳香族化合物を出発原料とする一段階のハロゲン化反応によってハロゲン化物を得ることが好ましい。
ハロゲン化反応は、通常、溶媒中で行われる。ハロゲン化反応に用いられる溶媒としては、例えば、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、非プロトン性極性溶媒、ハロゲン化炭化水素類、水、及びこれらの混合物等が挙げられる。また、ハロゲン化は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
ハロゲン化反応は、例えば、多環芳香族化合物とハロゲン化剤との反応により実施できる。ハロゲン化剤としては、公知のハロゲン化剤を特に制限なく使用できる。ハロゲン化剤としては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミド等が挙げられる。
ハロゲン化剤の量は、多環芳香族化合物1モルに対して、通常0.1~10モルであり、好ましくは0.3~3モルである。
ハロゲン化反応の反応温度は、通常-40℃~200℃、好ましくは-20℃~50℃である。ハロゲン化反応の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは0.5~48時間である。
ハロゲン化反応の反応終了後は、公知の精製方法等を行うことで、ハロゲン化物を単離することができる。例えば、ハロゲン化反応の反応終了後、反応混合物に水を加え、有機溶媒で抽出して、有機層を乾燥させ又は濃縮し、必要に応じて昇華、抽出、晶析、クロマトグラフィー、吸着剤処理等の精製を行うことで、ハロゲン化物を得ることができる。
ハロゲン化工程で得られるハロゲン化物は、多環芳香族化合物における環A上の水素原子(但し、Hを除く)、環B上の水素原子(好ましくはH以外の水素原子)及び環C上の水素原子(好ましくはH以外の水素原子)からなる群より選択される少なくとも一つの水素原子が、ハロゲン原子に置換された化合物である。
ハロゲン化物の好適な一態様として、例えば、下記式(3B)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007267868000016
式(3B)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。Yは、ハロゲン原子を表す。
ハロゲン化物が式(3B)で表される化合物であると、後述の環化工程により、含ホウ素縮合環化合物として、下記式(2B)で表される化合物を得ることができる。
Figure 0007267868000017
式(2B)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
ハロゲン化物の好適な他の一態様として、例えば、下記式(3C)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007267868000018
式(3C)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。Yは、ハロゲン原子を表す。
ハロゲン化物が式(3C)で表される化合物であると、後述の環化工程により、含ホウ素縮合環化合物として、下記式(2C)で表される化合物を得ることができる。
Figure 0007267868000019
式(2C)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
環化工程は、ハロゲン化工程で得られたハロゲン化物、又は、ハロゲン化物のハロゲン-金属交換反応により得られる有機金属化合物と、BXで表されるホウ素化合物とを反応させる工程である。
ホウ素化合物におけるXは、好ましくはハロゲン原子であり、より好ましくは臭素原子又はヨウ素原子であり、更に好ましくはヨウ素原子である。
好適な一態様において、環化工程は、ハロゲン化物とホウ素化合物とを反応させる工程であってよい。ハロゲン化物が、多環芳香族化合物における、環B上の水素原子及び環C上の水素原子からなる群より選択される一つ又は複数の水素原子がハロゲン原子に置換された化合物である場合、本態様の環化工程を行うことが好ましい。
本態様において、ハロゲン化物とホウ素化合物との反応(環化反応)は、通常、溶媒中で行われる。環化反応に用いられる溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、及びこれらの混合物等が挙げられる。また、環化反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
ホウ素化合物の量は、ハロゲン化物1モルに対して、通常0.1~20モルであり、好ましくは0.3~10モルである。
環化反応は、塩基の存在下で実施してもよい。塩基としては、例えば、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミンを好適に用いることができる。
塩基の量は、ハロゲン化物1モルに対して、通常0.1~30モルであり、好ましくは0.3~10モルである。
環化反応の反応温度は、通常0℃~200℃、好ましくは室温~溶媒の沸点温度である。環化反応の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは0.5~48時間である。
環化反応の反応終了後は、公知の精製方法等を行うことで、含ホウ素縮合環化合物を得ることができる。例えば、環化反応の反応終了後、反応混合物に水を加え、有機溶媒で抽出して、有機層を乾燥させ又は濃縮し、必要に応じて昇華、抽出、晶析、クロマトグラフィー、吸着剤処理等の精製を行うことで、含ホウ素縮合環化合物を得ることができる。
好適な他の一態様において、環化工程は、ハロゲン化物のハロゲン-金属交換反応により得られる有機金属化合物と、ホウ素化合物と、を反応させる工程であってよい。ハロゲン化物が、多環芳香族化合物における環A上の一つ又は複数の水素原子(但し、Hを除く)がハロゲン原子に置換された化合物である場合、本態様の環化工程を行うことが好ましい。
ハロゲン化物のハロゲン-金属交換反応は、ハロゲン化物中のハロゲン原子(ハロゲン化工程で導入されたハロゲン原子)の一つ又は複数を金属含有基に置換する反応ということができる。金属含有基としては、例えば、-Li、-Na、-K、-MgX(Xはハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)を表す。)、-ZnX(Xはハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子)を表す。)等が挙げられ、好ましくは-Li、-Na、-MgXであり、より好ましくは-Liである。
ハロゲン-金属交換反応は、通常、溶媒中で行われる。ハロゲン-金属交換反応に用いられる溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類、エーテル類、非プロトン性極性溶媒、及びこれらの混合物等が挙げられ、後述の溶媒置換が不要となる観点からは、芳香族炭化水素類が好ましい。また、ハロゲン-金属交換反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
ハロゲン-金属交換反応は、例えば、ハロゲン化物と金属化剤とを反応させて行うことができる。金属化剤としては、例えば、金属リチウム、アルキルリチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、金属マグネシウム、アルキルマグネシウムクロリド、アルキルマグネシウムブロミド等が挙げられ、アルキルリチウムを特に好適に用いることができる。
金属化剤の量は、ハロゲン化物1モルに対して、通常0.1~10モルであり、好ましくは0.3~3モルである。
ハロゲン-金属交換反応の反応温度は、通常-100℃~100℃である。ハロゲン-金属交換反応の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは0.5~48時間である。
ハロゲン-金属交換反応の反応終了後は、必要に応じて溶媒置換を行った後、反応混合液にホウ素化合物を添加して、有機金属化合物とホウ素化合物との反応(環化反応)を行うことができる。
有機金属化合物とホウ素化合物との反応(環化反応)は、通常、溶媒中で行われる。環化反応に用いられる溶媒としては、芳香族炭化水素類が好ましい。また、環化反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。
ホウ素化合物の量は、有機金属化合物(又は、ハロゲン-金属交換反応に用いたハロゲン化物)1モルに対して、通常0.1~30モルであり、好ましくは0.3~10モルである。
環化反応の反応温度は、通常0~250℃、好ましくは室温~200℃である。環化反応の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは0.5~50時間である。
環化反応の反応終了後は、公知の精製方法等を行うことで、含ホウ素縮合環化合物を得ることができる。例えば、環化反応の反応終了後、反応混合物に水を加え、有機溶媒で抽出して、有機層を乾燥させ又は濃縮し、必要に応じて昇華、抽出、晶析、クロマトグラフィー、吸着剤処理等の精製を行うことで、含ホウ素縮合環化合物を得ることができる。
本実施形態の製造方法として、例えば、下記の合成ルートによる製造方法が例示できる。
Figure 0007267868000020
Figure 0007267868000021
Figure 0007267868000022
Figure 0007267868000023
本実施形態の製造方法により製造される含ホウ素縮合環化合物として、例えば、下記の化合物が例示できる。
Figure 0007267868000024
Figure 0007267868000025
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態は、ハロゲン化工程と環化工程とを含む製造方法として記載したが、本発明はこのような製造方法に限定されない。
例えば、本発明は、上述のハロゲン化物と上述のホウ素化合物とを反応させる環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法であってもよい。このような本発明の一形態としては、上述の式(3B)で表される化合物と上述のホウ素化合物とを反応させて、上述の式(2B)で表される含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、製造方法が挙げられる。
また、本発明は、上述の有機金属化合物と上述のホウ素化合物とを反応させる環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法であってもよい。このような本発明の一形態としては、上述の式(3C)で表される化合物のハロゲン-金属交換反応により得られる有機金属化合物と上述のホウ素化合物とを反応させて、上述の式(2C)で表される含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、製造方法が挙げられる。
また、本発明は、上述した各化合物(例えば、含ホウ素縮合環化合物、ハロゲン化物、有機金属化合物)に関するものであってもよい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
LC-MSは、下記の方法で測定した。
測定試料を約2mg/mLの濃度になるようにクロロホルム又はテトラヒドロフランに溶解させ、LC-MS(Agilent製、商品名:1290 Infinity LC及び6230 TOF LC/MS)に約1μL注入した。LC-MSの移動相には、アセトニトリル及びテトラヒドロフランの比率を変化させながら用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムは、SUMIPAX ODS Z-CLUE(住化分析センター製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径3μm)を用いた。
TLC-MSは、下記の方法で測定した。
測定試料をトルエン、テトラヒドロフラン又はクロロホルムのいずれかの溶媒に任意の濃度で溶解させ、DART用TLCプレート(テクノアプリケーションズ社製、商品名:YSK5-100)上に塗布し、TLC-MS(日本電子製、商品名:JMS-T100TD(The AccuTOF TLC))を用いて測定した。測定時のヘリウムガス温度は、200℃~400℃の範囲で調節した。
NMRは、特に記載がない限り、下記の方法で測定した。
5~10mgの測定試料を約0.5mLの重クロロホルム(CDCl)、重テトラヒドロフラン、重ジメチルスルホキシド、重アセトン、重N,N-ジメチルホルムアミド、重トルエン、重メタノール、重エタノール、重2-プロパノール又は重塩化メチレンに溶解させ、NMR装置(Agilent製、商品名:INOVA300、又は、JEOL RESONANCE製、商品名:JNM-ECZ400S/L1)を用いて測定した。
化合物の純度の指標として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)面積百分率の値を用いた。この値は、特に記載がない限り、HPLC(島津製作所製、商品名:LC-20A)でのUV=254nmにおける値とする。この際、測定する化合物は、0.01~0.2重量%の濃度になるようにテトラヒドロフラン又はクロロホルムに溶解させ、濃度に応じてHPLCに1~10μL注入した。HPLCの移動相には、アセトニトリル/テトラヒドロフランの比率を100/0~0/100(容積比)まで変化させながら用い、1.0mL/分の流量で流した。カラムは、SUMIPAX ODS Z-CLUE(住化分析センター製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径3μm)又は同等の性能を有するODSカラムを用いた。検出器には、フォトダイオードアレイ検出器(島津製作所製、商品名:SPD-M20A)を用いた。
<実施例1>
以下の方法で化合物(A)を合成した。詳細を以下に示す。
Figure 0007267868000026
(化合物A-1の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、1,3-ジブロモ-5-tert-ブチルベンゼン 22.55g、ジフェニルアミン 25.57g、ナトリウム-tert-ブトキシド 17.65g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) 0.84g、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン 0.34g、トルエン 680mlを加え50℃で3時間撹拌した。反応液を冷却後、イオン交換水を滴下し、分液した。有機相をイオン交換水で分液洗浄した後、有機相に硫酸マグネシウムと活性炭を加えて1晩静置した。シリカゲルを敷いたフィルターを通して濾過し、得られた溶液を減圧濃縮し粗生成物を得た。酢酸エチル及びアセトニトリルの混合溶媒から再結晶し、29.43gの化合物A-1を得た。
TLC-MS(DART positive):m/z=469.2[M+H]
(化合物A-2の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物A-1 20.80g、クロロホルム420mlを加え、-20℃に冷却した。N-ブロモスクシンイミド 7.51gを加え、遮光下で5時間撹拌した。反応液に1質量%亜硫酸ナトリウム水溶液112g滴下し、分液した。有機相をイオン交換水で分液洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はヘキサン及びトルエンの混合溶媒)、次にトルエン及び2-プロパノールの混合溶媒から再結晶し、12.31gの化合物A-2を得た。
TLC-MS(DART positive):m/z=547[M+H]
(化合物A-2のNMR測定)
化合物A-2 10mgを、0.75mlの重クロロホルムに溶解させ、NMR用測定試料を作製した。
400MHz溶液NMR装置(装置名:JNM-ECS/L1、日本電子製)を用い、NMR用測定試料をH-NMR法、HMQC法及びHMBC法により測定した。
H-NMR法による測定は、観測周波数が399.78MHz、取り込み時間が2.19秒、待ち時間が5秒、積算回数が8回となる条件で行った。
HMQC法による測定は、待ち時間が1.5秒、積算回数が4回、F1展開数が256となる条件で行った。
HMBC法による測定は、待ち時間が1.5秒、積算回数が4回、F1方向展開数が256となる条件で行った。
H-NMR法による測定結果を以下に示す。HMQC法により測定して得られたNMRスペクトルを図1に示す。HMBC法により測定して得られたNMRスペクトルを図2に示す。
H-NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm) 1.12(9H、s)、6.59(1H、t)、6.70(1H、t)、6.76(1H、t)、6.92~6.96(5H、m)、7.02~7.07(6H、m)、7.17~7.23(6H、m)、7.26(2H、d)
各NMRスペクトルの解析結果から、化合物A-2の構造が確認された。以下に、化合物A-2の構造及び化学シフトを示す。
Figure 0007267868000027
(化合物(A)の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物A-2 8.50g、ジイソプロピルエチルアミン 2.01g、三ヨウ化ホウ素(BI) 12.16g、o-ジクロロベンゼン 170mlを加え、120℃で2時間、170℃で5時間撹拌した。反応液を冷却後、トルエン170ml、ジイソプロピルエチルアミン 12.0g、シリカゲル 17gを加え、30分撹拌した。濾過後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はヘキサン及びトルエンの混合溶媒)、次にトルエン及びアセトニトリルの混合溶媒から再結晶し、2.13gの化合物(A)を得た。
TLC-MS(DART positive):m/z=477[M+H]
H-NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm) 6.17(2H、s)、6.76(2H、d)、7.22~7.27(2H、m)、7.37~7.44(6H、m)、7.57~7.62(2H、m)、7.68~7.73(4H、m)、8,93(2H、dd)
<実施例2>
以下の方法で化合物(B)を合成した。詳細を以下に示す。
Figure 0007267868000028
(化合物B-1の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、2-ブロモ-5-クロロ-1,3-ジメチルベンゼン 10.0g、4-tert-ブチルアニリン 8.16g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) 0.75g、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート 0.42g、ナトリウム tert-ブトキシド 6.57g、トルエン 300mlを加え、35℃で1時間、55℃で1時間撹拌した。反応液を冷却後、シリカゲル13.1gとヘプタン300mlを加えた。シリカゲル26.2gを敷いたフィルターを通して濾過後、ヘプタン及びトルエンの混合溶媒で洗浄した。得られたろ洗液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はヘキサン及びトルエンの混合溶媒)により精製し、13.16gの化合物B-1を得た。
H-NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm) 1.28(9H、s)、2.18(6H、s)、5.03(1H、s)、6.45(2H、d)、7.10(2H、s)、7.17(2H、d)
(化合物B-2の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、1,3-ジブロモ-5-tert-ブチルベンゼン 2.80g、化合物B-1 6.07g、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) 0.33g、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート 0.18g、ナトリウム tert-ブトキシド 2.30g、トルエン 84mlを加え、55℃で1時間、70℃で2時間撹拌した。反応液を冷却後、セライト6.8gとヘキサン84mlを加えた。シリカゲル13.5gを敷いたフィルターを通して濾過後、ヘキサン及びトルエンの混合溶媒で洗浄した。得られたろ洗液を減圧濃縮し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はヘキサン及びトルエンの混合溶媒)により精製し、6.85gの化合物B-2を得た。
TLC-MS(DART positive):m/z=705.3[M+H]
(化合物B-3の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物B-2 0.20g、クロロホルム 10mlを加え、0℃に冷却した。N-ブロモスクシンイミド 51mgを加え、4.5時間撹拌した。反応液を10質量%亜硫酸ナトリウム水溶液を加え30分撹拌後、分液した。有機相を水洗後、減圧濃縮し、粗生成物を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はヘキサン及びトルエンの混合溶媒)により精製し、0.16gの化合物B-3を得た。必要量の化合物B-3が得られるまで、上記操作を繰り返した。
TLC-MS(DART positive):m/z=783.2[M+H]
(化合物B-3のNMR測定)
合成した化合物B-3 10mgを、0.7mlの重クロロホルムに溶解させ、NMR用測定試料を作製した。
600MHz溶液NMR装置(装置名:AV-600、Bruker製)を用い、NMR用測定試料をH-NMR法、TOCSY法により測定した。
H-NMR法による測定は、観測周波数が600.13MHz、取り込み時間が2.66秒、待ち時間が1.0秒、積算回数が16回、測定温度が40℃となる条件で行った。
TOCSY法による測定は、待ち時間が1.0秒、積算回数が8回、F1方向展開数が128、測定温度が40℃となる条件で行った。
H-NMR法による測定結果を以下に示す。TOCSY法により測定して得られたNMRスペクトルを図3に示す。
H-NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm) 1.26(9H、s)、1.27(9H、s)、1.42(9H、s)、1.84(6H、s)、1.87(6H、s)、6.25(1H、d)、6.51(2H、d)、6.71(2H、d)、6.78(1H、d)、6.94(2H、s)、7.02(2H、s)、7.10(2H、d)、7.14(2H、d)
各NMRスペクトルの解析結果から、化合物B-3の構造が確認された。以下に、化合物B-3の構造及び化学シフトを示す。
Figure 0007267868000029
(化合物(B)の合成)
反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物B-3 1.08gとキシレン32mlを加え、-40℃に冷却しsec-ブチルリチウム 2.5ml(1.0Mシクロヘキサン溶液)を滴下し、2時間撹拌した。BBr 0.69gを加え1時間撹拌した後、50℃まで昇温し、1.5時間撹拌した。反応液を冷却後、トルエン32ml、ジイソプロピルエチルアミン、10質量%亜硫酸ナトリウム水溶液を加え30分撹拌した。分液後、有機相を水洗し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相はヘキサン及びトルエンの混合溶媒)にて精製後、トルエン及びアセトニトリルの混合溶媒から再結晶し0.20gの化合物(B)を得た。
TLC-MS(DART positive):m/z=713.3[M+H]
<比較例1>
以下の方法で、化合物(B)の合成を行った。
Figure 0007267868000030
具体的には、反応容器内を不活性ガス雰囲気とした後、化合物B-2 1.00gとo-ジクロロベンゼン 11mlを加え、次いでBBr 1.06gを加え、140℃に昇温した。HPLC分析の結果、反応開始から6時間後に化合物(B)の面積百分率が23%となったが、それ以上加熱を継続すると面積百分率が減少した。

Claims (12)

  1. 下記式(1):
    Figure 0007267868000031

    [式中、
    環Aは、H に対するパラ位にアルキル基又はシクロアルキル基を有するベンゼン環を表し、環B及び環Cは、それぞれ独立に芳香族炭化水素環を表す。
    、H及びHは、水素原子を表す。
    及びXは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表す。
    Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Rは環A、環B又は環Cと結合して環を形成していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
    で表される部分構造を有する多環芳香族化合物の、前記環A上の水素原子、前記環B上の水素原子及び前記環C上の水素原子からなる群より選択される少なくとも一つの水素原子(但し、Hを除く)を、N-ブロモスクシンイミド及び臭素からなる群より選択される少なくとも一種のハロゲン化剤でハロゲン化して、ハロゲン化物を得るハロゲン化工程と、
    前記ハロゲン化物、又は、前記ハロゲン化物のハロゲン-金属交換反応により得られる有機金属化合物と、BXで表されるホウ素化合物(Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、を反応させて、下記式(2):
    Figure 0007267868000032

    [式中、環A、環B、環C、X及びXは、前記と同じ意味を表す。]
    で表される部分構造を有する含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程と、
    を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
  2. 前記ハロゲン化工程が、前記環B上の水素原子及び前記環C上の水素原子からなる群より選択される少なくとも一つの水素原子がハロゲン化される工程であり、
    前記環化工程が、前記ハロゲン化物と前記ホウ素化合物とを反応させる工程である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記環Bが前記Xと結合するベンゼン環を有し、
    前記ハロゲン化工程が、前記ベンゼン環の前記Xに対するパラ位の水素原子がハロゲン化される工程である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記ハロゲン化工程が、前記環A上の水素原子のうち少なくとも一つの水素原子(但し、Hを除く)がハロゲン化される工程であり、
    前記環化工程が、前記有機金属化合物と前記ホウ素化合物とを反応させる工程である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記環Aが前記Hと結合するベンゼン環を有し、
    前記ハロゲン化工程が、前記ベンゼン環の前記Hに対するメタ位の水素原子がハロゲン化される工程である、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記多環芳香族化合物が、下記式(1A)で表される化合物であり、
    前記含ホウ素縮合環化合物が、下記式(2A)で表される化合物である、請求項1に記載の製造方法。
    Figure 0007267868000033

    [式中、
    、H、H、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
    は、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、、R、R、R、R 、R 、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、1価の複素環基、アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R、R、R、R、R 、R 、R、R、R10及びR11は、隣接する炭素原子に結合する基同士で結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。但し、R、R、R、R、R 、R 、R、R、R10及びR11のうち少なくとも一つは水素原子である。]
    Figure 0007267868000034

    [式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。]
  7. 前記式(1A)におけるR、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも一つが水素原子であり、
    前記ハロゲン化工程が、R、R、R、R、R、R、R10及びR11のうち少なくとも一つの水素原子がハロゲン化される工程であり、
    前記環化工程が、前記ハロゲン化物と前記ホウ素化合物とを反応させる工程である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記式(1A)におけるRが水素原子であり、
    前記ハロゲン化物が、下記式(3B)で表される化合物である、請求項7に記載の製造方法。
    Figure 0007267868000035

    [式中、
    、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
    は、ハロゲン原子を表す。]
  9. 前記式(1A)におけるR びRのうち少なくとも一つが水素原子であり、
    前記ハロゲン化工程が、R びRのうち少なくとも一つの水素原子がハロゲン化される工程であり、
    前記環化工程が、前記有機金属化合物と前記ホウ素化合物とを反応させる工程である、請求項6に記載の製造方法。
  10. 前記式(1A)におけるRが水素原子であり、
    前記ハロゲン化物が、下記式(3C)で表される化合物である、請求項9に記載の製造方法。
    Figure 0007267868000036

    [式中、
    、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。
    は、ハロゲン原子を表す。]
  11. 下記式(3B)で表される化合物と、BXで表されるホウ素化合物(Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、を反応させて、下記式(2B)で表される含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
    Figure 0007267868000037

    [式中、
    、H及びHは、水素原子を表す。
    及びXは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表す。
    Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Rは、式(3B)中のベンゼン環と結合して環を形成していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
    は、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、、R、R、R 、R 、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、1価の複素環基、アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R、R、R 、R 、R、R、R10及びR11は、隣接する炭素原子に結合する基同士で結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
    は、ハロゲン原子を表す。]
    Figure 0007267868000038

    [式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。]
  12. 下記式(3C)で表される化合物のハロゲン-金属交換反応により得られる有機金属化合物と、BXで表されるホウ素化合物(Xは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。複数存在するXは、同一でも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)と、を反応させて、下記式(2C)で表される含ホウ素縮合環化合物を得る環化工程を含む、含ホウ素縮合環化合物の製造方法。
    Figure 0007267868000039

    [式中、
    、H及びHは、水素原子を表す。
    及びXは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子又は-N(R)-で表される基を表す。
    Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は1価の複素環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよく、Rは、式(3C)中のベンゼン環と結合して環を形成していてもよい。Rが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。
    は、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、、R、R、R 、R 、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルフェニル基、シクロアルキルスルフェニル基、アリールスルフェニル基、1価の複素環基、アミノ基又はハロゲン原子を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。R、R、R、R 、R 、R、R、R10及びR11は、隣接する炭素原子に結合する基同士で結合して、それぞれが結合する原子とともに環を形成していてもよい。
    は、ハロゲン原子を表す。]
    Figure 0007267868000040

    [式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、X及びXは、前記と同じ意味を表す。]
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