JP7267829B2 - 変速機 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される変速機に関する。
走行用の駆動源としてエンジンを搭載した車両では、そのエンジンの動力が変速機を介して駆動輪に伝達される。エンジンの搭載方式には、クランクシャフトが車体の前後方向に対して縦向きになる縦置きと横向きになる横置きとがある。FF(Front-engine Front-wheel-drive:フロントエンジン・フロントドライブ)レイアウトが採用された車両では、たとえば、エンジンコンパートメントの前後方向のサイズの縮小による車室長の拡大のため、エンジンが横置きで搭載されることが多い。一方、FR(Front-engine Rear-wheel-drive:フロントエンジン・リヤドライブ)レイアウトが採用された車両では、駆動輪である後輪への動力の伝達のしやすさなどから、エンジンが縦置きで搭載されることがある。
エンジンが縦置きで搭載される車両用の変速機として、縦置きCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)が既に提供されている。縦置きCVTは、エンジンの動力が入力される入力軸が車体の前後方向に対して縦向きとなるように配置される。
縦置きCVTの一例では、入力軸とプロペラシャフトに動力を出力する出力軸とが同一軸線上に配置され、入力軸と出力軸との間において、プライマリ軸が入力軸および出力軸と同一軸線上に配置されている。入力軸とプライマリ軸とは、動力を伝達可能に接続されており、エンジンから入力軸に入力される動力は、入力軸からプライマリ軸に伝達される。セカンダリ軸がプライマリ軸と間隔を空けて平行に配置されて、プライマリ軸に支持されるプライマリプーリとセカンダリ軸に支持されるセカンダリプーリとの間に無端状のベルトが巻き掛けられている。これにより、入力軸からプライマリ軸に伝達される動力は、プライマリプーリからベルトに伝達され、ベルトからセカンダリプーリに伝達される。また、セカンダリ軸と間隔を空けて平行に延びる中間軸が設けられており、セカンダリプーリに伝達される動力は、セカンダリ軸から中間軸にギヤを介して伝達され、中間軸から出力軸にギヤを介して伝達される(たとえば、特許文献1参照)。
特開2012-192855号公報
また、入力軸とプライマリ軸との間には、車両の前進および後進の切り替えのための遊星歯車機構が設けられている。そのため、かかる縦置きCVTには、全長が長いという問題がある。
全長の短縮を図るため、車両の後進時に入力軸からプライマリ軸に入力される動力を前進時と逆転させるリバースアイドラ軸を設けて、前後進の切り替えのための遊星歯車機構を省略する構成が考えられる。しかし、リバースアイドラ軸を設けると、通常では、縦置きCVTの上下方向のサイズが大きくなってしまう。
本発明の目的は、全長を短縮できながら、上下方向のサイズの拡大の抑制が可能である、変速機を提供することである。
前記の目的を達成するため、本発明に係る変速機は、車両に搭載される変速機であって、駆動源からの動力が入力される入力軸と、入力軸と平行に延びる出力軸と、入力軸と出力軸との間の動力伝達経路上に設けられ、入力軸とそれぞれ平行に延びるプライマリ軸およびセカンダリ軸を有し、プライマリ軸からセカンダリ軸に動力を変速して伝達する無段変速機構と、入力軸と平行に延び、車両の後進時に入力軸から伝達される動力をセカンダリ軸に伝達するリバースアイドラ軸とを含み、リバースアイドラ軸は、入力軸よりも上方に配置されている。
この構成によれば、車両の後進時には、入力軸からリバースアイドラ軸を介してセカンダリ軸に動力が伝達され、その動力がセカンダリ軸から出力軸に伝達される。そのため、車両の後進時には、入力軸から出力軸に無段変速機構を経由せずに動力を伝達することができる。動力が無段変速機構を経由しないことにより、動力の伝達効率が向上するので、変速機が搭載される車両の燃費を向上させることができる。さらに、無段変速機構による変速を制御するための油圧が不要であるので、その油圧が不要となる分の燃費向上の効果も得ることができる。また、アクセル操作時に、ダイレクト感(リニア感)のある走行フィーリングを得ることができる。さらには、路面から車両に過負荷が入力されても、その過負荷から無段変速機構を保護することができる。
一方、車両の前進時に入力軸からプライマリ軸に動力が伝達される構成を採用することにより、その前進時には、入力軸からプライマリ軸に伝達される動力がプライマリ軸からセカンダリ軸に変速して伝達され、さらにセカンダリ軸から出力軸に伝達される。そのため、車両の前進時には、入力軸から出力軸に動力を変速して伝達することができる。
したがって、車両の前進および後進の切り替えのための遊星歯車機構が不要であるので、変速機の全長の短縮を図ることができる。
また、リバースアイドラ軸が入力軸よりも上方に配置されているので、セカンダリ軸をリバースアイドラ軸よりも下方に配置することができる。セカンダリ軸をリバースアイドラ軸よりも下方に配置することにより、セカンダリ軸がリバースアイドラ軸よりも上方に配置した場合と比較して、上下方向のサイズを縮小することができる。また、入力軸の下方にスペースが生じるので、そのスペースを入力軸の動力により駆動される機械式のオイルポンプを配置するスペースの少なくとも一部として利用でき、これにより上下方向のサイズの縮小を図ることもできる。
よって、変速機の全長を短縮できながら、上下方向のサイズの拡大を抑制することが可能である。
本発明によれば、変速機の全長を短縮できながら、上下方向のサイズの拡大を抑制することができる。その結果、変速機の小型化を図ることができる。変速機の小型化により、変速機の軽量化を図ることができ、ひいては、変速機が搭載される車両の燃費の向上を図ることができる。また、変速機の小型化により、変速機の材料コストの低減も図ることができる。
本発明の一実施形態に係る変速ユニットの構成を示す断面図である。 図1から変速ユニットの一部を抜き出して拡大して示す断面図である。 変速ユニットの第2ケース内を前側(エンジン側)から見た図である。 変速ユニットの第2ケース内を後側(エンジン側と反対側)から見た図である。 縦置きCVTの構成とともに縦置きCVTにおける動力伝達経路を示すスケルトン図である。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<変速ユニット>
図1は、本発明の一実施形態に係る変速ユニット1の構成を示す断面図である。図2は、図1から変速ユニット1の一部を抜き出して拡大して示す断面図である。なお、図1以降の断面図では、断面を表すハッチングの付与が省略されている。
変速ユニット1は、車両に搭載されて、走行用の駆動源としてのエンジン(E/G)が発生する動力を変速するユニットである。車両は、FRレイアウトを採用し、エンジンは、たとえば、3気筒4ストロークエンジンであり、クランクシャフトが車体の前後方向に対して縦向きになる縦置きで搭載される。変速ユニット1は、外殻をなすユニットケース2内に、トルクコンバータ3および縦置きCVT4を備えている。
なお、以下では、エンジンが3気筒4ストロークエンジンである場合を取り上げるが、エンジンの気筒数は、3気筒に限らず、4気筒以上であってもよいし、2気筒以下であってもよい。また、エンジンのストローク数は、4ストロークに限らず、2ストロークであってもよい。
<ユニットケース>
ユニットケース2は、第1ケース11、第2ケース12および第3ケース13の3分割にて構成されている。第1ケース11、第2ケース12および第3ケース13は、たとえば、アルミ合金製であり、ダイカスト法によって鋳造されている。第1ケース11、第2ケース12および第3ケース13は、前側(エンジン側)からこの順に並べられて、第1ケース11と第2ケース12とがボルト(図示せず)で締結され、第2ケース12と第3ケース13とがボルト14で締結されることにより、一体化されている。トルクコンバータ3は、第1ケース11内に収容され、縦置きCVT4は、第2ケース12および第3ケース13内に収容されている。
<トルクコンバータ>
トルクコンバータ3は、フロントカバー21、ポンプインペラ22、タービンハブ23、タービンランナ24、ロックアップ機構25およびステータ26を備えている。
フロントカバー21は、車両(車体)の前後方向に延びる回転軸線を中心に略円板状に延び、その外周端部がエンジン側と反対側(後述する無段変速機構42側)である後側に屈曲した形状をなしている。フロントカバー21の中心部は、前側に膨出している。この膨出した部分には、エンジンのクランクシャフトが相対回転不能に結合される。
ポンプインペラ22は、フロントカバー21の後側に配置されている。ポンプインペラ22の外周端部は、フロントカバー21の外周端部に接続され、回転軸線を中心にフロントカバー21と一体回転可能に設けられている。ポンプインペラ22の内面には、複数のブレード27が放射状に並べて配置されている。
タービンハブ23は、フロントカバー21とポンプインペラ22との間に配置されている。
タービンランナ24は、タービンハブ23に固定されている。タービンランナ24のポンプインペラ22との対向面には、複数のブレード28が放射状に並べて配置されている。
ロックアップ機構25は、ロックアップピストン31およびダンパ機構32を備えている。
ロックアップピストン31は、略円環板状をなし、その内周端部がタービンハブ23に外嵌されて、フロントカバー21とタービンランナ24との間に位置している。ロックアップピストン31に対してタービンランナ24側の係合側油室33の油圧がフロントカバー21側の解放側油室34の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン31がフロントカバー21側に移動する。そして、ロックアップピストン31がフロントカバー21に押し付けられると、ポンプインペラ22とタービンランナ24とが直結(ロックアップオン)される。逆に、解放側油室34の油圧が係合側油室33の油圧よりも高いと、その差圧により、ロックアップピストン31がタービンランナ24側に移動する。ロックアップピストン31がフロントカバー21から離間した状態では、ポンプインペラ22とタービンランナ24との直結が解除(ロックアップオフ)される。
ダンパ機構32は、ポンプインペラ22とタービンランナ24との直結時にエンジンからの振動を減衰するための機構である。
ステータ26は、ポンプインペラ22とタービンランナ24との間に配置されている。
ロックアップオフの状態において、エンジントルクによりポンプインペラ22が回転すると、ポンプインペラ22からタービンランナ24に向かうオイルの流れが生じる。このオイルの流れがタービンランナ24のブレード28で受けられて、タービンランナ24が回転する。このとき、トルクコンバータ3の増幅作用が生じ、タービンランナ24には、エンジントルクよりも大きなトルクが発生する。
<縦置きCVT>
縦置きCVT4は、入力軸41、無段変速機構42、リバース伝達機構43および出力軸44を備えている。縦置きCVT4は、入力軸41が車両の前後方向に延びる縦向きとなるように配置されている。
入力軸41は、中空軸に形成されて、トルクコンバータ3の回転軸線上を延びている。入力軸41の前側の端部は、トルクコンバータ3内に挿入されて、タービンハブ23とスプライン嵌合している。
入力軸41の軸線方向の中央部は、ベアリング45を介して、第1ケース11に回転可能に支持されている。
入力軸41に対して後側(エンジン側と反対側)には、機械式のオイルポンプ46が配置されている。オイルポンプ46は、ポンプケース47と、ポンプケース47と重ね合わされるポンプカバー48とを備えている。ポンプケース47とポンプカバー48とは、複数のボルトにより締結されて、第2ケース12に保持されている。ポンプケース47とポンプカバー48とに囲まれる空間には、ポンプギヤ49が収容されている。
ポンプケース47は、ポンプカバー48に対して前側に配置されている。ポンプケース47の前側の端部には、図2に示されるように、後側に凹む円形状の凹部51が形成されている。入力軸41の後側の端部は、凹部51内に挿入されている。入力軸41の周面と凹部51の内周面との間には、ニードルベアリング52が介在され、入力軸41の端面と凹部51の底面との間には、スラストベアリング53が介在されている。これにより、入力軸41の後側の端部は、ニードルベアリング52およびスラストベアリング53を介して、ポンプケース47に回転可能に支持されている。
ポンプギヤ49には、図1に示されるように、ポンプ軸54の一端部が相対回転不能に接続されている。ポンプ軸54は、凹部51の中央部を貫通して、ポンプケース47から前側に突出し、入力軸41の中空部に入力軸41の内周面との間に隙間を空けて挿通されている。ポンプ軸54の前側の端部は、トルクコンバータ3のフロントカバー21の中心部の前側に膨出した部分に挿入されて、フロントカバー21に相対回転不能に結合されている。これにより、エンジンの動力によりフロントカバー21が回転すると、フロントカバー21と一体にポンプ軸54およびポンプギヤ49が回転し、オイルポンプ46から油圧が発生する。
また、入力軸41は、ベアリング45を介して第1ケース11に回転可能に支持され、ニードルベアリング52およびスラストベアリング53を介してポンプケース47に回転可能に支持されて、トルクコンバータ3のタービンハブ23とスプライン嵌合していることにより、タービンランナ24が回転すると、タービンランナ24と一体に回転する。
無段変速機構42は、プライマリ軸61、セカンダリ軸62、プライマリプーリ63、セカンダリプーリ64およびベルト65を備えている。
図3は、第2ケース12内を前側から見た図である。図4は、第2ケース12内を後側から見た図である。なお、図1は、図4に示される切断線面A-Aに沿って変速ユニット1を切断したときの断面図である。
プライマリ軸61は、その軸心が入力軸41の軸心に対して車両の後側から見て右下方に離間した位置に配置されて、入力軸41と平行に延びている。入力軸41とプライマリ軸61との軸心間距離、言い換えれば、入力軸41の軸線とプライマリ軸61の軸線との間の軸径方向(回転径方向)の距離は、トルクコンバータ3のタービンランナ24の回転半径よりも短い。
セカンダリ軸62は、その軸心が入力軸41の軸心に対して車両の後側から見て左上方に離間した位置に配置されて、入力軸41と平行に延びている。入力軸41とセカンダリ軸62との軸心間距離、言い換えれば、入力軸41の軸線とセカンダリ軸62の軸線との間の軸径方向の距離は、入力軸41の軸線とプライマリ軸61の軸線との間の軸径方向の距離に等しく、トルクコンバータ3のタービンランナ24の回転半径よりも短い。
よって、車両の前後方向に見て、プライマリ軸61の軸心とセカンダリ軸62の軸心とは、入力軸41の軸心を中心とする点対称をなしている。また、プライマリ軸61およびセカンダリ軸62は、それらの上下方向の位置がトルクコンバータ3のタービンランナ24の最上位置と最下位置との間に収まっており、タービンランナ24と前後方向に対向している。
プライマリプーリ63は、図1に示されるように、プライマリ軸61に固定されたプライマリ固定シーブ71と、プライマリ固定シーブ71にベルト65を挟んで対向配置され、プライマリ軸61にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されたプライマリ可動シーブ72とを備えている。プライマリ可動シーブ72は、プライマリ固定シーブ71に対して前側に配置されている。
プライマリ可動シーブ72に対してプライマリ固定シーブ71側と反対側、つまり前側には、シリンダ73が設けられている。シリンダ73は、内周端がプライマリ軸61に固定され、プライマリ軸61から軸径方向に延び、外周端部が後側に屈曲して延びている。プライマリ可動シーブ72の外周端は、シリンダ73の外周端部に回転径方向の内側から液密的に当接している。プライマリ可動シーブ72とシリンダ73との間は、ピストン室(油圧室)74として形成されている。
セカンダリプーリ64は、セカンダリ軸62に固定されたセカンダリ固定シーブ75と、セカンダリ固定シーブ75にベルト65を挟んで対向配置され、セカンダリ軸62にその軸線方向に移動可能かつ相対回転不能に支持されたセカンダリ可動シーブ76とを備えている。セカンダリ可動シーブ76は、セカンダリ固定シーブ75に対して後側に配置されており、前後方向において、セカンダリ固定シーブ75とセカンダリ可動シーブ76との位置関係は、プライマリプーリ63のプライマリ固定シーブ71とプライマリ可動シーブ72との位置関係と逆転している。
セカンダリ可動シーブ76に対してセカンダリ固定シーブ75と反対側、つまり後側には、ピストン77が設けられている。ピストン77は、内周端がセカンダリ軸62に固定され、セカンダリ軸62から軸径方向に延びている。セカンダリ可動シーブ76の外周端部は、後側に延出しており、ピストン77の外周端は、そのセカンダリ可動シーブ76の外周端部に回転径方向の内側から液密的に当接している。セカンダリ可動シーブ76とピストン77との間は、ピストン室(油圧室)78として形成されている。
セカンダリプーリ64のセカンダリ固定シーブ75およびセカンダリ可動シーブ76は、プライマリ可動シーブ72およびシリンダ73の一部と上下方向に重なっている(前後方向に見て重なっている)。具体的には、プライマリ可動シーブ72の外周端部は、前後方向に延びてその前端部が回転径方向の外側に屈曲しており、セカンダリ固定シーブ75は、プライマリ可動シーブ72の外周端部における前後方向に延びる部分に回転径方向の外側から対向し、その外周端部における回転径方向に延びる部分に後側から対向している。
無段変速機構42では、プライマリプーリ63およびセカンダリプーリ64の各ピストン室74,78に供給される油圧が制御されて、プライマリプーリ63およびセカンダリプーリ64の各溝幅が変更されることにより、ベルト変速比(プライマリプーリ63とセカンダリプーリ64とのプーリ比)が一定の変速比範囲内で連続的に無段階で変更される。
具体的には、ベルト変速比が小さくされるときには、プライマリプーリ63のピストン室74に供給される油圧が上げられる。これにより、プライマリプーリ63のプライマリ可動シーブ72がプライマリ固定シーブ71側に移動し、プライマリ固定シーブ71とプライマリ可動シーブ72との間隔(溝幅)が小さくなる。これに伴い、プライマリプーリ63に対するベルト65の巻きかけ径が大きくなり、セカンダリプーリ64のセカンダリ固定シーブ75とセカンダリ可動シーブ76との間隔(溝幅)が大きくなる。その結果、ベルト変速比が小さくなる。
ベルト変速比が大きくされるときには、プライマリプーリ63のピストン室74に供給される油圧が下げられる。これにより、ベルト65に対するセカンダリプーリ64の推力がベルト65に対するプライマリプーリ63の推力よりも大きくなり、セカンダリプーリ64のセカンダリ固定シーブ75とセカンダリ可動シーブ76との間隔が小さくなるとともに、プライマリ固定シーブ71とプライマリ可動シーブ72との間隔が大きくなる。その結果、ベルト変速比が大きくなる。
セカンダリプーリ64のピストン室68には、バイアススプリング69が設けられている。バイアススプリング69は、一端がセカンダリ可動シーブ76に弾性的に当接し、他端がピストン77に弾性的に当接している。バイアススプリング69の弾性力により、セカンダリ可動シーブ76およびピストン77が互いに離間する方向に付勢されている。セカンダリ可動シーブ76には、ピストン室68内の油圧およびバイアススプリング69による付勢力が付与され、ベルト65には、それに応じた挟圧が付与される。
また、プライマリ軸61は、第1プライマリ軸81と第2プライマリ軸82とに分割して構成されている。第1プライマリ軸81は、第2プライマリ軸82の前側に配置されている。プライマリプーリ63は、第2プライマリ軸82に支持されている。第1プライマリ軸81の後側の端部には、円形の接続凹部83が形成されている。第2プライマリ軸82の前側の端部は、接続凹部83に挿入されて、接続凹部83内において、第2プライマリ軸82の外周面は、接続凹部83の内周面とスプライン嵌合している。そして、第1プライマリ軸81の前側の端部は、ベアリング84を介して第1ケース11に回転可能に支持されている。第2プライマリ軸82の前側の端部は、ベアリング85を介して第2ケース12に回転可能に支持されている。プライマリプーリ63の後側には、第2ケース12に保持されるアダプタ86が配置されており、第2プライマリ軸82の後側の端部は、ベアリング87を介してアダプタ86に回転可能に支持されている。
入力軸41には、図2に示されるように、ベアリング45の内輪(インナレース)が外嵌される部分の後側に隣接する部分に、入力軸ギヤ91が一体に形成されている。これに対応して、第1プライマリ軸81には、プライマリ入力ギヤ92がニードルベアリング93を介して相対回転可能に支持されている。プライマリ入力ギヤ92は、入力軸ギヤ91と噛合しており、入力軸ギヤ91よりもギヤ径が大きい。
互いに噛合する入力軸ギヤ91およびプライマリ入力ギヤ92とオイルポンプ46のポンプケース47との間のスペースを利用して、第1プライマリ軸81に対するプライマリ入力ギヤ92の回転を許容/禁止する前進クラッチ94が設けられている。前進クラッチ94の一部は、オイルポンプ46と回転径方向に重なっている(回転軸線方向に見て重なっている)。前進クラッチ94は、クラッチドラム95、クラッチハブ96、クラッチピストン97およびキャンセラ98を備えている。
クラッチドラム95は、内周端が第1プライマリ軸81に固定され、第1プライマリ軸81から回転径方向に延び、外周端部がプライマリ入力ギヤ92側、つまり前側に屈曲して延びている。クラッチドラム95の外周端部には、複数のクラッチプレート101が前後方向に間隔を空けて並べて保持されている。
クラッチハブ96は、プライマリ入力ギヤ92と一体に形成されている。クラッチハブ96は、プライマリ入力ギヤ92から後側に延出する円筒状をなし、クラッチドラム95の外周端部に対して回転径方向の内側から間隔を空けて対向している。クラッチハブ96には、複数のクラッチディスク102が前後方向に間隔を空けて保持されている。クラッチプレート101とクラッチディスク102とは、中心軸線方向に交互に並ぶように配置されている。
クラッチピストン97は、クラッチドラム95とクラッチハブ96との間に、第1プライマリ軸81の軸線方向、つまり前後方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン97は、第1プライマリ軸81から第1プライマリ軸81の軸径方向外側に延び、外周端部が前側に屈曲して延びている。クラッチピストン97の外周端部の先端は、クラッチプレート101に当接する。また、クラッチピストン97は、クラッチドラム95に液密的に当接しており、クラッチドラム95とクラッチピストン97との間には、クラッチピストン97に作用する油圧が供給されるピストン室103が形成されている。
キャンセラ98は、クラッチハブ96とクラッチピストン97との間に設けられている。キャンセラ98の内周端は、第1プライマリ軸81に固定されている。キャンセラ98の外周端は、クラッチピストン97に液密的に当接している。これにより、クラッチピストン97とキャンセラ98との間に、キャンセラ室104が形成されている。キャンセラ室104には、リターンスプリング105が設けられており、クラッチピストン97とキャンセラ98とは、リターンスプリング105の付勢力により、互いに離間する方向に弾性的に付勢されている。
クラッチピストン97は、ピストン室103に供給される油圧により、クラッチプレート101側に移動し、クラッチプレート101を押圧する。この押圧により、クラッチプレート101とクラッチディスク102とが圧接し、前進クラッチ94が係合する。前進クラッチ94の係合により、第1プライマリ軸81に対するプライマリ入力ギヤ92の回転が禁止され、プライマリ入力ギヤ92が回転すると、第1プライマリ軸81がプライマリ入力ギヤ92と一体に回転する。前進クラッチ94の係合状態から油圧が開放されると、クラッチピストン97とキャンセラ98との間に介在されているリターンスプリング105の付勢力により、クラッチピストン97がクラッチプレート101から離間する。その結果、クラッチディスク102とクラッチプレート101との圧接が解除され、前進クラッチ94が解放される。前進クラッチ94の解放により、第1プライマリ軸81に対するプライマリ入力ギヤ92の回転が許容され、プライマリ入力ギヤ92が回転しても、その回転が第1プライマリ軸81に伝達されない。
セカンダリ軸62は、第1セカンダリ軸111と第2セカンダリ軸112とに分割して構成されている。第1セカンダリ軸111は、第2セカンダリ軸112の前側に配置されている。セカンダリプーリ64は、第2セカンダリ軸112に支持されている。第1セカンダリ軸111の後側の端部には、円形の接続凹部113が形成されている。第2セカンダリ軸112の前側の端部は、接続凹部113に挿入されて、接続凹部113内において、第2セカンダリ軸112の外周面は、接続凹部113の内周面とスプライン嵌合している。第1セカンダリ軸111は、第1プライマリ軸81と見比べて理解されるように、第1プライマリ軸81と同一の部品である。この第1プライマリ軸81と第1セカンダリ軸111との共通化により、変速ユニット1(縦置きCVT4)を構成する部品の種類の数を削減でき、変速ユニット1の製造コストを低減することができる。第1セカンダリ軸111の前側の端部は、ベアリング114を介して第1ケース11に回転可能に支持されている。第2セカンダリ軸112の前側の端部は、ベアリング115を介して第2ケース12に回転可能に支持されている。第2セカンダリ軸112の後側の端部は、ベアリング116を介して第3ケース13に回転可能に支持されている。
第2セカンダリ軸112には、ベアリング114の後側において、セカンダリ入力ギヤ121がニードルベアリング122を介して相対回転可能に支持されている。
セカンダリ入力ギヤ121とオイルポンプ46のポンプケース47との間のスペースを利用して、第1セカンダリ軸111に対するセカンダリ入力ギヤ121の回転を許容/禁止する後進クラッチ123が設けられている。後進クラッチ123の一部は、オイルポンプ46と回転径方向に重なっている(回転軸線方向に見て重なっている)。後進クラッチ123は、クラッチドラム124、クラッチハブ125、クラッチピストン126およびキャンセラ127を備えている。
クラッチドラム124は、内周端が第1セカンダリ軸111に固定され、第1セカンダリ軸111から軸径方向に延び、外周端部がセカンダリ入力ギヤ121側、つまり前側に屈曲して延びている。クラッチドラム124の外周端部には、複数のクラッチプレート131が前後方向に間隔を空けて並べて保持されている。
クラッチハブ125は、セカンダリ入力ギヤ121と一体に形成されている。クラッチハブ125は、セカンダリ入力ギヤ121から後側に延出する円筒状をなし、クラッチドラム124の外周端部に対して回転径方向内側から間隔を空けて対向している。クラッチハブ125には、複数のクラッチディスク132が前後方向に間隔を空けて保持されている。クラッチプレート131とクラッチディスク132とは、中心軸線方向に交互に並ぶように配置されている。クラッチプレート131およびクラッチディスク132の各枚数は、前進クラッチ94のクラッチプレート101およびクラッチディスク102の各枚数よりも多い。
クラッチピストン126は、クラッチドラム124とクラッチハブ125との間に、第1セカンダリ軸111の軸線方向、つまり前後方向に移動可能に設けられている。クラッチピストン126は、第1セカンダリ軸111から第1セカンダリ軸111の軸径方向外側に延び、外周端部が前側に屈曲して延びている。クラッチピストン126の外周端部の先端は、クラッチプレート131に当接する。また、クラッチピストン126は、クラッチドラム124に液密的に当接しており、クラッチドラム124とクラッチピストン126との間には、クラッチピストン126に作用する油圧が供給されるピストン室133が形成されている。
キャンセラ127は、クラッチハブ125とクラッチピストン126との間に設けられている。キャンセラ127の内周端は、第1セカンダリ軸111に固定されている。キャンセラ127の外周端は、クラッチピストン126に液密的に当接している。これにより、クラッチピストン126とキャンセラ127との間に、キャンセラ室134が形成されている。キャンセラ室134には、リターンスプリング135が設けられており、クラッチピストン126とキャンセラ127とは、リターンスプリング135の付勢力により、互いに離間する方向に弾性的に付勢されている。
クラッチピストン126は、ピストン室133に供給される油圧により、クラッチプレート131側に移動し、クラッチプレート131を押圧する。この押圧により、クラッチプレート131とクラッチディスク132とが圧接し、後進クラッチ123が係合する。後進クラッチ123の係合により、第1セカンダリ軸111に対するセカンダリ入力ギヤ121の回転が禁止され、セカンダリ入力ギヤ121が回転すると、第1セカンダリ軸111がセカンダリ入力ギヤ121と一体に回転する。後進クラッチ123の係合状態から油圧が開放されると、クラッチピストン126とキャンセラ127との間に介在されているリターンスプリング135の付勢力により、クラッチピストン126がクラッチプレート131から離間する。その結果、クラッチディスク132とクラッチプレート131との圧接が解除され、後進クラッチ123が解放される。後進クラッチ123の解放により、第1セカンダリ軸111に対するセカンダリ入力ギヤ121の回転が許容され、セカンダリ入力ギヤ121が回転しても、その回転が第1セカンダリ軸111に伝達されない。
リバース伝達機構43は、入力軸41の動力(回転)を無段変速機構42を経由せずにセカンダリ軸62(第1セカンダリ軸111)に伝達する機構である。リバース伝達機構43は、リバースアイドラ軸141、第1リバースギヤ142および第2リバースギヤ143を含む。
リバースアイドラ軸141は、図3に示されるように、入力軸41よりも上方に配置されて、入力軸41と平行をなす前後方向に延びている。リバースアイドラ軸141の前側の端部は、ベアリング144を介して第1ケース11に回転可能に支持されている。リバースアイドラ軸141の後側の端部は、ベアリング145を介して第2ケース12に回転可能に支持されている。また、リバースアイドラ軸141は、図4に示されるように、その上下方向の位置がトルクコンバータ3のタービンランナ24の最上位置と最下位置との間に収まっており、タービンランナ24と前後方向に対向している。
また、図3に示されるように、リバースアイドラ軸141が入力軸41の上方に配置されることにより、入力軸41の下方にスペースが生じ、このスペースにオイルポンプ46の一部が配置されている。
第1リバースギヤ142は、リバースアイドラ軸141と一体に形成されている。第1リバースギヤ142は、入力軸ギヤ91と噛合しており、入力軸ギヤ91よりもギヤ径が大きい。第2リバースギヤ143は、第1リバースギヤ142の後側において、リバースアイドラ軸141と一体に形成されている。第2リバースギヤ143は、セカンダリ入力ギヤ121と噛合しており、セカンダリ入力ギヤ121よりもギヤ径が小さい。
出力軸44は、入力軸41に対して後側に間隔を空けて、入力軸41と同一軸線上に配置されている。言い換えれば、入力軸41と出力軸44とは、前後方向に間隔を空けてそれぞれ前後に、車両の前後方向に沿った縦向きに延びる共通の軸線を有するように配置されている。
出力軸44の前側の端部は、ニードルベアリング146を介してアダプタ86に回転可能に支持されている。アダプタ86は、略全体がセカンダリプーリ64のセカンダリ可動シーブ76およびピストン77と前後方向に重なっている(セカンダリプーリ64の回転径方向から見て重なっている)。その結果、出力軸44は、セカンダリ可動シーブ76にほぼ極限まで近づけられ、ピストン77と前後方向に重なって配置されている。これにより、変速ユニット1(縦置きCVT4)の前後長の短縮が図られている。また、出力軸44は、ニードルベアリング146による支持部分に対して後側に間隔を空けた部分にベアリング147の内輪が外嵌されて、そのベアリング147を介して第3ケース13に回転可能に支持されている。
出力軸44には、ニードルベアリング146による支持部分とベアリング147による支持部分との間において、出力軸ギヤ148が一体に形成されている。これに対応して、セカンダリ軸62(第2セカンダリ軸112)には、セカンダリプーリ64のピストン77の後側に隣接して、セカンダリ出力ギヤ149がスプライン嵌合により相対回転不能に支持されている。出力軸ギヤ148とセカンダリ出力ギヤ149とは、噛合しており、出力軸ギヤ148は、セカンダリ出力ギヤ149よりもギヤ径が大きい。出力軸ギヤ148は、セカンダリプーリ64のピストン77と上下方向に重なっている(前後方向に見て重なっている)。
<バルブボディ>
第2ケース12の底部には、バルブボディ151が設けられている。バルブボディ151には、変速ユニット1の各部へのオイルの供給を制御するための各種のバルブを含む油圧回路が形成されている。第2ケース12には、オイルパン152が下側から複数のボルトで固定される。オイルパン152内には、オイルが貯留されており、そのオイルには、ストレーナが浸漬されている。オイルポンプ46のポンプギヤ49の回転により、オイルパン152に貯留されたオイルがストレーナを介して吸い上げられ、バルブボディ151に供給される。そして、バルブボディ151からオイルの供給を必要とする各部に作動油または潤滑油としてオイルが供給される。
前進クラッチ94のピストン室103には、前後方向にオイルポンプ46と重なる位置においてバルブボディ151から上方にプライマリ軸61の軸径方向に沿って延びる油路153を通して作動油が供給される。前進クラッチ94では、クラッチドラム95がクラッチハブ96に対してオイルポンプ46側に配置されており、前進クラッチ94の構成を前後反転させた構成と比較して、ピストン室103がオイルポンプ46に近い。そのため、前進クラッチ94の構成では、その構成を反転させた構成と比較して、油路153からピストン室103までの距離を短縮でき、ひいてはオイルポンプ46からピストン室103までの油路長を短縮でき、油路長の短縮による応答性の向上を図ることができる。
後進クラッチ123のピストン室133には、前後方向にオイルポンプ46と重なる位置においてバルブボディ151から上方にプライマリ軸61の軸径方向に沿って延びる油路154を通して作動油が供給される。後進クラッチ123では、クラッチドラム124がクラッチハブ125に対してオイルポンプ46側に配置されており、後進クラッチ123の構成を前後反転させた構成と比較して、ピストン室133がオイルポンプ46に近い。そのため、後進クラッチ123の構成では、その構成を反転させた構成と比較して、油路154からピストン室133までの距離を短縮でき、ひいてはオイルポンプ46からピストン室133までの油路長を短縮でき、油路長の短縮による応答性の向上を図ることができる。
また、第2ケース12には、図4に示されるように、隔壁155が一体に形成されている。隔壁155は、プライマリプーリ63の外周に沿って、プライマリプーリ63の下端と上下方向に対向する位置をセカンダリプーリ64側に越えて、プライマリプーリ63の左端と上下方向に対向する位置まで延びている。隔壁155により、プライマリプーリ63をオイルパン152に貯留されているオイルから隔離することができ、プライマリプーリ63の下部がそのオイルに浸漬することを抑制できる。
車両の前進時には、プライマリプーリ63が後側から見て時計回りに回転するので、隔壁155上にオイルが溜まっても、その溜まったオイルがプライマリプーリ63により隔壁155の開放端側に掻き出される。その結果、プライマリプーリ63の下部がオイルに浸漬することを抑制でき、オイルがプライマリプーリ63の回転の抵抗となることによるメカニカルロスを低減でき、車両の燃費の向上を図ることができる。
<動力伝達経路>
図5は、縦置きCVT4の構成とともに縦置きCVT4における動力伝達経路を示すスケルトン図である。
車両の前進時には、前進クラッチ94が係合されて、後進クラッチ123が解放される。エンジンからトルクコンバータ3を介して入力軸41に入力される動力は、前進クラッチ94の係合により、入力軸ギヤ91からプライマリ入力ギヤ92を介してプライマリ軸61に伝達される。一方、入力軸41に入力される動力が入力軸ギヤ91からセカンダリ入力ギヤ121に伝達されて、セカンダリ入力ギヤ121が回転しても、後進クラッチ123の解放により、セカンダリ入力ギヤ121がセカンダリ軸62(第1セカンダリ軸111)に対して空転し、セカンダリ軸62に動力が伝達されない。
プライマリ軸61に伝達される動力は、プライマリプーリ63とセカンダリプーリ64とのプーリ比に応じたベルト変速比で変速されて、セカンダリ軸62に伝達される。そして、セカンダリ軸62に伝達される動力は、セカンダリ出力ギヤ149から出力軸ギヤ148を介して出力軸44に伝達され、出力軸44からプロペラシャフト(図示せず)に出力されて、プロペラシャフトからリヤデファレンシャルギヤ(リヤデフ)およびドライブシャフトを介して左右の後輪に伝達される。
プライマリ入力ギヤ92のギヤ径が入力軸ギヤ91のギヤ径よりも大きいので、入力軸41の動力は、入力軸ギヤ91およびプライマリ入力ギヤ92により減速されて、プライマリ軸61に伝達される。また、出力軸ギヤ148のギヤ径がセカンダリ出力ギヤ149のギヤ径よりも大きいので、セカンダリ軸62の動力は、セカンダリ出力ギヤ149および出力軸ギヤ148により減速されて、出力軸44に伝達される。したがって、車両の前進時には、入力軸41から出力軸44に至る動力伝達経路において、入力軸ギヤ91およびプライマリ入力ギヤ92が動力を減速させる1次減速ギヤ機構156を構成し、出力軸ギヤ148およびセカンダリ出力ギヤ149が動力をさらに減速させる2次減速ギヤ機構157を構成する。
たとえば、セカンダリ軸62を出力軸44に直結させて、2次減速ギヤ機構157を省略した構成が考えられる。この構成において、1次減速ギヤ機構156および2次減速ギヤ機構157による減速比を得るには、1次減速ギヤ機構156の減速比を上げなければならず、プライマリ入力ギヤ92のギヤ径を大きくする必要がある。プライマリ入力ギヤ92のギヤ径の拡大により、縦置きCVT4のサイズが増大する。したがって、1次減速ギヤ機構156に加えて2次減速ギヤ機構157を備える構成では、2次減速ギヤ機構157を省略した構成と比較して、縦置きCVT4の小型化を図ることができる。
また、1次減速ギヤ機構156および2次減速ギヤ機構157を備えることにより、エンジンの仕様が変更になる場合に、2次減速ギヤ機構157を変更しなくても、1次減速ギヤ機構156の入力軸ギヤ91およびプライマリ入力ギヤ92の少なくとも一方の設計を変更することにより、縦置きCVT4をエンジンの変更後の仕様に対応させることができる。
車両の後進時には、前進クラッチ94が解放されて、後進クラッチ123が係合される。エンジンからトルクコンバータ3を介して入力軸41に入力される動力は、後進クラッチ123の係合により、入力軸ギヤ91からリバース伝達機構43およびセカンダリ入力ギヤ121を介してセカンダリ軸62に伝達される。このとき、セカンダリ軸62は、車両の前進時と逆方向に回転する。一方、入力軸41に入力される動力が入力軸ギヤ91からプライマリ入力ギヤ92に伝達されて、プライマリ入力ギヤ92が回転しても、前進クラッチ94の解放により、プライマリ入力ギヤ92がプライマリ軸61(第1プライマリ軸81)に対して空転し、プライマリ軸61に動力が伝達されない。
セカンダリ軸62に伝達される動力は、セカンダリ出力ギヤ149から出力軸ギヤ148を介して出力軸44に伝達され、出力軸44からプロペラシャフトに出力されて、プロペラシャフトからリヤデファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して左右の後輪に伝達される。
リバース伝達機構43の第1リバースギヤ142のギヤ径が入力軸ギヤ91のギヤ径よりも大きく、セカンダリ入力ギヤ121のギヤ径がリバース伝達機構43の第2リバースギヤ143のギヤ径よりも大きいので、入力軸41の動力は、入力軸ギヤ91、リバース伝達機構43およびセカンダリ入力ギヤ121により減速されて、セカンダリ軸62に伝達される。また、出力軸ギヤ148のギヤ径がセカンダリ出力ギヤ149のギヤ径よりも大きいので、セカンダリ軸62の動力は、セカンダリ出力ギヤ149および出力軸ギヤ148により減速されて、出力軸44に伝達される。したがって、車両の後進時には、入力軸41から出力軸44に至る動力伝達経路において、入力軸ギヤ91、リバース伝達機構43およびセカンダリ入力ギヤ121が動力を減速させる1次減速ギヤ機構158を構成し、出力軸ギヤ148およびセカンダリ出力ギヤ149が動力をさらに減速させる2次減速ギヤ機構157を構成する。
<作用効果>
以上のように、車両の後進時には、入力軸41からリバースアイドラ軸141を介してセカンダリ軸62に動力が伝達され、その動力がセカンダリ軸62から出力軸44に伝達される。そのため、車両の後進時には、入力軸41から出力軸44に無段変速機構42を経由せずに動力を伝達することができる。動力が無段変速機構42を経由しないことにより、動力の伝達効率が向上するので、縦置きCVT4が搭載される車両の燃費を向上させることができる。さらに、無段変速機構42による変速を制御するための油圧が不要であるので、その油圧が不要となる分の燃費向上の効果も得ることができる。また、アクセル操作時に、ダイレクト感(リニア感)のある走行フィーリングを得ることができる。さらには、路面から車両に過負荷が入力されても、その過負荷から無段変速機構42を保護することができる。
一方、車両の前進時には、入力軸41からプライマリ軸61に動力が伝達され、その動力がプライマリ軸61からセカンダリ軸62に変速して伝達され、さらにセカンダリ軸62から出力軸44に伝達される。そのため、車両の前進時には、入力軸41から出力軸44に動力を変速して伝達することができる。
したがって、縦置きCVT4では、車両の前進および後進の切り替えのための遊星歯車機構が不要であるので、全長の短縮を図ることができる。
また、リバースアイドラ軸141が入力軸41よりも上方に配置されているので、セカンダリ軸62をリバースアイドラ軸141よりも下方に配置することができ、セカンダリ軸62がリバースアイドラ軸141よりも下方に配置されている。これにより、セカンダリ軸62がリバースアイドラ軸141よりも上方に配置した構成と比較して、上下方向のサイズを縮小することができる。また、入力軸41の下方にスペースが生じるので、そのスペースを入力軸41の動力により駆動される機械式のオイルポンプ46を配置するスペースの少なくとも一部として利用でき、これにより上下方向のサイズの縮小を図ることもできる。
しかも、プライマリ軸61およびセカンダリ軸62は、それぞれ入力軸41に対して上下方向の一方側および他方側にオフセットしている。具体的には、縦置きCVT4では、プライマリ軸61が入力軸41よりも下側の位置に配置され、セカンダリ軸62が入力軸41よりも上側の位置に配置されている。これにより、変速ユニット1が収容されるエンジンコンパートメントにおいて、プライマリ軸61の上方にスペースを設けることができ、そのスペースにエンジンの始動のためのスタータ161などを配置することができる。
また、入力軸41に対して、プライマリ軸61とセカンダリ軸62とが左右に分かれて配置されている。これにより、プライマリ軸61とセカンダリ軸62との上下方向の軸間距離を短くすることができ、縦置きCVT4の上下方向のサイズをさらに小さくすることができる。変速ユニット1では、プライマリ軸61およびセカンダリ軸62の上下方向の位置がトルクコンバータ3の最上位置と最下位置との間に収まる程度まで、無段変速機構42の上下方向のサイズが小型化されている。そのため、商用車などの車室が低床化された車両であっても、その車両への変速ユニット1の搭載を車両の最低地上高を確保しつつ可能とすることができる。
よって、縦置きCVT4の全長を短縮できながら、上下方向のサイズの拡大を抑制することが可能である。その結果、縦置きCVT4の小型化を図ることができる。縦置きCVT4の小型化により、縦置きCVT4の軽量化を図ることができ、ひいては、縦置きCVT4が搭載される車両の燃費の向上を図ることができる。また、縦置きCVT4の小型化により、縦置きCVT4の材料コストの低減も図ることができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、リバース伝達機構43の第1リバースギヤ142のギヤ径が入力軸ギヤ91のギヤ径よりも大きいとしたが、縦置きCVT4と組み合わされるエンジンのサイズ(出力)によっては、第1リバースギヤ142のギヤ径が入力軸ギヤ91のギヤ径よりも小さくされてもよい。
また、変速機の一例として、縦置きCVT4を取り上げたが、本発明は、縦置きCVT4に限らず、入力軸が車両の左右方向に延びるように横置きされる変速機に適用することもできる。
無段変速機構42の動力伝達方式は、ベルト式に限らず、チェーン式またはトロイダル式であってもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
4:縦置きCVT(変速機)
41:入力軸
42:無段変速機構
44:出力軸
61:プライマリ軸
62:セカンダリ軸
141:リバースアイドラ軸

Claims (1)

  1. 車両に搭載される変速機であって、
    駆動源からの動力が入力される入力軸と、
    前記入力軸と平行に延びる出力軸と、
    前記入力軸と前記出力軸との間の動力伝達経路上に設けられ、前記入力軸とそれぞれ平行に延びるプライマリ軸およびセカンダリ軸を有し、前記プライマリ軸から前記セカンダリ軸に動力を変速して伝達する無段変速機構と、
    前記入力軸と平行に延び、前記車両の後進時に前記入力軸から伝達される動力を前記セカンダリ軸に伝達するリバースアイドラ軸とを含み、
    前記リバースアイドラ軸は、前記入力軸よりも上方に配置され
    前記セカンダリ軸は、前記リバースアイドラ軸よりも下方に配置されている、変速機。
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